(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記色情報取得部は、前記第一の画像データの画素の画素値と当該第一の画像データの画素の裏側に位置する前記第二の画像データの画素の画素値との組み合わせによるヒストグラムを解析し、前記第一の色情報及び前記第二の色情報を取得する
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0012】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置を備えた画像形成システムとしての複合機100の外観を説明する斜視図である。
図2は、複合機100の機能構成を説明するブロック図である。本実施形態に係る複合機100は、画像処理装置としての画像処理部10、スキャナ部20及び画像形成部としてのプリンタ部30を備える。複合機100は、スキャナ部20が原稿を読み取ることで生成した画像データを画像処理部10が加工や補正等の変換を施し、プリンタ部30で当該画像データに基く画像を印刷媒体に印刷することが可能となるように構成されている。
【0013】
スキャナ部20は、
図1に示すように、載置台21又は自動給紙装置22の少なくともどちらかを備え、図示せぬ光源、受光素子、信号処理部からなる原稿読取り装置23を備える。載置台21に置かれた原稿又は自動給紙装置22から給紙された原稿には、光源から光が照射される。照射された光は原稿又は図示せぬ反射板によって反射され、その反射光を受光素子が受光することにより画像信号が読み取られる。信号処理部は、例えば、A/D変換やシューティング補正等の信号処理を画像信号に対して施し、輝度情報のビットマップデータを取得する。
【0014】
なお、本発明においては、取得したビットマップデータを読取り画像データと称し、原稿の第一面(表側の面)が読取られて生成した第一面読取り画像データD
fと第二面(裏側の面)が読取られて生成した第二面読取り画像データD
bとが取得される。すなわち、上記載置台21又は自動給紙装置22によりまず第一面が読み取られ、その後原稿を裏返ししてセットした後、同様に第二面を読み取ることで両面の読取り画像データを取得することができる。なお、原稿を裏返してセットする他にも、自動給紙装置22により第一面を読取り後、自動で原稿を反転させ、第二面を読み取る方法を用いてもよく、また、図示せぬ第二の原稿読取り装置を設け、第一面と第二面を同時に読み取る構成としてもよい。
【0015】
プリンタ部30は、例えば、電子写真方式の印刷エンジンを用いることができ、入力された出力画像データに基きトナー色材を用いて印刷媒体に画像を形成する。
【0016】
表示部40は、複合機100の装置状態や、スキャナ部20により読み取られて生成した読取り画像データ等を表示可能な液晶画面等を備える。操作部50は、複合機100に対するユーザの指示入力を受け付けるためのスイッチやボタン等を備える。なお。表示部40と操作部50とは液晶表示による画面とスイッチとが一体化されたタッチパネル等を用いてもよい。
【0017】
次に、
図2において、画像処理部10は、記憶部202と、位置補正部203と、ヒストグラム生成部204と、色情報取得部としての基準画素値検出部205と、判定部としての裏写り判定部206と、補正部としての裏写り補正部207とを備え、取得部としての読取り部201を有するスキャナ部20と、印刷部208を有するプリンタ部30とに接続されて複合機100を構成している。
【0018】
読取り部201は、スキャナ部20により原稿となる紙媒体に形成された第一面の画像と、その裏側の面にあたる第二面の画像とのビットマップデータをそれぞれ第一面読取り画像データD
f及び第二面読取り画像データD
bとして読取り、画像処理部10の記憶部202に格納させる。
【0019】
記憶部202は、例えば、RAM(Random Access Memory)やHDD(Hard Disk Drive)といった書き換え可能な記憶装置で構成することができ、前述した第一面読取り画像データD
f及び第二面読取り画像データD
b、後述する第一面位置補正画像データDX
f及び第二面位置補正画像データDX
b、第一面基準画素値E
f及び第二面基準画素値E
b、第一面裏写り補正画像データDO
f及び第二面裏写り補正画像データDO
bを格納する。
【0020】
位置補正部203は、記憶部202に格納された第一面読取り画像データD
f及び第二面読取り画像データD
bから原稿の傾き等を補正し、第一面と第二面との位置の整合をとった第一面位置補正画像データDX
f及び第二面位置補正画像データDX
bを生成し、記憶部202に格納させる。
【0021】
ヒストグラム生成部204は、記憶部202に格納された第一面位置補正画像データDX
f及び第二面位置補正画像データDX
bを読込み、それぞれの画像データの対応する位置の画素の画素値から、二次元ヒストグラムを作成する。ここで、第二面は第一面の裏側の画像であるため、第一面位置補正画像データDX
fのある座標に対応する位置の画素とは、第二面位置補正画像データDX
bを左右反転させたときに同じ座標となる位置の画素となる。
【0022】
例えば、第一面位置補正画像データDX
fの左上の画素の輝度値が242、第二面位置補正画像データDX
bの右上の画素の輝度値が165の場合、Front=242かつBack=165のヒストグラム度数をインクリメントする。
図3は、全画素についてヒストグラム度数を計数し、X軸を第一面の輝度値(Front:0〜255)、Y軸を第二面の輝度値(Back:0〜255)、Z軸を第一面の輝度値がf、第二面の輝度値がbである画素の出現頻度(Histgram[f][B]:0%〜100%)とした場合の二次元ヒストグラムをグラフ化した例である。
【0023】
基準画素値検出部205は、ヒストグラム生成部204で作成されたヒストグラムを参照し、第一面基準画素値E
f及び第二面基準画素値E
bを検出する。ここで、第一面基準画素値E
f及び第二面基準画素値E
bは、第一面及び第二面の下地色の輝度値として検出される値であり、
図3における第一面の輝度値(Front)及び第二面の輝度値(Back)のうちヒストグラムの最頻値をもつ輝度値とする。基準画素値検出部205は、検出した第一面基準画素値E
f及び第二面基準画素値E
bを記憶部202に格納させる。
【0024】
裏写り判定部206は、記憶部202に格納された第一面位置補正画像データDX
f及び第二面位置補正画像データDX
bの対応する位置の画素の画素値を読込み、これと、同じく記憶部202に格納されている第一面基準画素値E
f及び第二面基準画素値E
bを比較することで、裏写りの有無を判定する。そして、裏写り判定部206は、読込んだ第一面位置補正画像データDX
f及び第二面位置補正画像データDX
bの対応する位置の画素の画素値と、裏写り判定結果を裏写り補正部207に出力する。
【0025】
裏写り補正部207は、裏写り判定部206から出力された裏写り判定結果に基き、第一面位置補正画像データDX
f及び第二面位置補正画像データDX
bの対応する位置の画素の画素値をそれぞれ補正し、補正結果を第一面裏写り補正画像データDO
f及び第二面裏写り補正画像データDO
bとして記憶部202に格納させる。
【0026】
印刷部208は、プリンタ部30によりトナー色材を用いて印刷媒体上に画像を形成する。
【0027】
次に、本実施形態に係る画像処理部10を備えた複合機100の具体的動作について
図4のフローチャートを用いて説明する。
【0028】
まず、ステップS401において、スキャナ部20は、原稿の第一面及び第二面の画像データをそれぞれ第一面読取り画像データD
f及び第二面読取り画像データD
bとして取得し、記憶部202に格納させる。
【0029】
次に、位置補正部203は、記憶部202に格納された第一面読取り画像データD
f及び第二面読取り画像データD
bから原稿の傾きを補正し、位置の整合をとった第一面位置補正画像データDX
f及び第二面位置補正画像データDX
bを生成し、これを記憶部202に格納させる。なお、位置画像補正の方法は公知の技術を用いることができ、例えば、特許公報第5017431号に開示された技術を用いることで補正画像を生成することができる(ステップS402)。
【0030】
そして、ステップS403において、ヒストグラム生成部204は、記憶部202に格納された第一面位置補正画像データDX
f及び第二面位置補正画像データDX
bを読込み、それぞれの画像データの対応する位置の画素の画素値から、二次元ヒストグラムを作成する。ヒストグラム生成部204は、例えば、二つの画像データの画像幅ピクセル数をw、画像高さピクセル数をhとした場合、第一面位置補正画像データDX
fの参照画素座標を(x,y)、(0≦x≦w−1,0≦y≦h−1)、第二面位置補正画像データDX
bの参照画素座標を第一面の左右反転位置である(w−x−1,y)とし、それぞれの参照画素の画素値f=DX
f[x][y]、b=DX
b[w−x−1][y]に応じて二次元ヒストグラム(Histogram[f][b])をインクリメントする。これをx,yの組み合わせ全てで繰り返し、全ての画素について計数する。
【0031】
次に、基準画素値検出部205は、ヒストグラム生成部204により作成された二次元ヒストグラムを参照し、第一面基準画素値E
f及び第二面基準画素値E
bを検出する(ステップS404)。ここで、基準画素値検出部205が検出する基準画素値について
図3、
図5及び
図6を用いて説明する。
【0032】
図5は、ステップS401においてスキャナ部20が読取る原稿の一例であり、
図5(a)は原稿の第一面500を、
図5(b)は原稿の第二面510をそれぞれ表している。原稿の第一面500は、下地色部501と、下地色よりもやや輝度の低い文字部502の要素からなる。一方、原稿の第二面510は、下地色部511と、下地色よりも輝度の低い文字部512の要素からなる。
【0033】
図6は、ステップS402において位置補正部203により生成された位置補正画像データの一例であり、
図6(a)は第一面位置補正画像データDX
f600を、
図5(b)は第二面位置補正画像データDX
b610をそれぞれ表している。第一面位置補正画像データDX
f600は、原稿の第一面500と同様に、下地色部601(例えば、輝度値242)と、下地色よりもやや輝度の低い文字部602(例えば、輝度値216)とがあり、さらに、原稿の第二面510の画像の文字部512が透過し第一面の下地色部501の裏写りとなった領域603(例えば、輝度値204)と、同じく原稿の第二面510の画像の文字部512が透過し第一面の文字部502の裏写りとなった領域604(例えば、輝度値191)の要素からなる。そして、第二面位置補正画像データDX
b610は、原稿の第二面510と同様に下地色部611(例えば、輝度値165)と、下地色よりも輝度が低い文字部612(例えば、輝度値76)の要素からなる。ここで、原稿の第一面500の文字部502は輝度が高いことから、その裏側に当る画素613及び画素614には画素の透過による裏写りは発生していない状態を表している。
【0034】
図6で表した位置補正画像データに対応する画素の画素値をヒストグラム化にしたものが
図3に示したヒストグラムである。一般的に、下地部は画素内において最も広い領域を有することから、
図3に示すヒストグラムの最も頻度の高い部分は、第一面及び第二面ともに下地部であると判断される。そこで、基準画素値検出部205は、ヒストグラムの最頻値を持つときの第一面の輝度値E
f及び第二面の輝度値E
bを(例えば、E
f=242,E
b=165)、それぞれ第一面基準画素値E
f及び第二面基準画素値E
bとして検出し、記憶部202に格納させる。
【0035】
再び
図4に戻り、ステップS405において、裏写り判定部206は、記憶部202に格納された第一面位置補正画像データDX
f及び第二面位置補正画像データDX
bの対応する位置のそれぞれの1画素の画素値を順次読込み、これと記憶部202に格納された第一面基準画素値E
f及び第二面基準画素値E
bとを比較することにより、裏写りを判定する。例えば、裏写り判定部206が、i番目(1≦i≦w*h)に読込んだ第一面位置補正画像データDX
fの画素値をf
i、第二面位置補正画像データDX
bの画素値をb
iとする。裏写り判定部206は、読込んだ画素値f
iと第一面基準画素値E
fとの差の絶対値ABS
f=|f
i−E
f|及び読込んだ画素値b
iと第二面基準画素値E
bとの差の絶対値ABS
b=|f
b−E
b|を算出し、それぞれの差の絶対値と所定の閾値との大きさを比較する。
【0036】
ここで、ABS
f<TH
1且つABS
b<TH
1の場合(例えば、TH
1=5)、裏写り判定部206は、第一面、第二面ともに下地色と判断し、裏写りなしと判定する。これは、例えば、
図6において、第一面位置補正画像データDX
f600の下地色部601及び第二面位置補正画像データDX
b610の下地色部611に相当する。
【0037】
また、TH
1≦ABS
f且つABS
b<TH
1の場合、裏写り判定部206は、第一面は前景画像だが第二面は下地色と判断し、裏写りなしと判定する。例えば、
図6において、第一面位置補正画像データDX
f600の文字部602及び第二面位置補正画像データDX
b610の画素613に相当する。
【0038】
同様に、ABS
f<TH
1且つTH
1≦ABS
bの場合、裏写り判定部206は、第二面は前景画像だが第一面は下地色と判断し、裏写りなしと判定する(図示なし)。
【0039】
所定の閾値TH
2(TH
1<TH
2)を用い(例えば、TH
2=50)、TH
1≦ABS
f<TH
2且つTH
2≦ABS
bの場合、裏写り判定部206は、第一面、第二面とも下地色ではなく、第一面に裏写りありと判定する。例えば、
図6において、第一面位置補正画像データDX
f600の領域604及び第二面位置補正画像データDX
b610の文字部612又は第一面位置補正画像データDX
f600の領域603及び第二面位置補正画像データDX
b610の画素614に相当する。
【0040】
また、TH
2≦ABS
f且つTH
1≦ABS
b<TH
2の場合、裏写り判定部206は、第一面、第二面ともに下地色ではなく、第二面に裏写りありと判定し(図示なし)、TH
2≦ABS
f且つTH
2≦ABS
bの場合、裏写り判定部206は、第一面、第二面ともに下地色ではなく、両面に裏写りありと判定する(図示なし)。
【0041】
このようにして、裏写り判定部206は、i番目に読込んだ画素値f
i及び画素値b
iと上記判定結果を裏写り補正部207へ出力する。
【0042】
次に、ステップS406において、裏写り補正部207は裏写り判定部206から画素値f
i及び画素値b
iと、裏写り判定結果を受け、当該判定結果に基き画素値f
iを補正した第一面裏写り補正画像データDO
f及び画素値b
iを補正した第二面裏写り補正画像データDO
bを記憶部202に格納させる。なお、裏写り判定結果が裏写しなしの場合、裏写り補正部207は画素値f
i及び補正値b
iを補正せずに裏写り補正データDO
f及びDO
bとして格納させる。
【0043】
裏写り判定結果が第一面のみに裏写りあり、又は第二面のみに裏写りあり、若しくは両面裏写りありの場合、裏写り補正部207は裏写りがある面のみ画素値を補正する。画素値の補正は、例えばLUT(ルックアップテーブル)を用いる方法がある。裏写り補正部207は、補正する面の画素値(第一面を補正する場合が画素値f
i)及び補正する面と他方の面の画素値(第二面を補正する場合は画素値b
i)を入力とするLUTを用い、その出力値を補正値として裏写り補正画像データ(第一面を補正する場合はDO
f)として記憶部202に格納させる。
【0044】
そして、画像の全画素の裏写り判定及び裏写り補正が終了した(i=w*h)場合(ステップS407 Yes)、処理はステップS408に移行する。全画素の裏写り判定及び裏写り補正が終了していない(i≠w*h)場合(ステップS407 No)、裏写り判定部206はiをインクリメントして処理をステップS405に戻す。
【0045】
ステップS408において、印刷部208は、プリンタ部30によりトナー色材を用いて印刷媒体上に画像を形成する。
【0046】
以上のように、第1の実施形態によれば、原稿の第一面及び第二面に対応する画素の画素値の組み合わせを二次元ヒストグラムとして生成するヒストグラム生成部と、第一面と第二面との双方が下地色となる領域のそれぞれの画素値を第一面基準画素値及び第二面基準画素値として検出する基準画素値検出部と、基準画素値からの差分で裏写りの判定を行う判定部とを設けることにより、第一面と第二面とで異なる下地色を有する場合であっても、それぞれの下地色を基準値として裏写りを判定できるため、誤判定に基く不要な補正による画質の劣化を防ぐことが可能となる。
【0047】
[第二の実施形態]
第2の実施形態に係る複合機100'の外観は、
図1で説明した複合機100と同様であるためここでの説明は省略する。
【0048】
図7は、複合機100'の機能構成を説明するブロック図である。本実施形態に係る複合機100'は、画像処理装置としての画像処理部10'、スキャナ部20、及び画像形成部としてのプリンタ部30を備える。画像処理部10'は、第1の実施形態に係るヒストグラム生成部204に代えて表示画像生成部704、基準画素値検出部205に代えて色情報取得部としての基準画素値決定部705を備える。他の構成は第1の実施形態に係る画像処理部10と同様であり、第1の実施形態と同一な構成については同一の符号を付してその説明は省略する。
【0049】
表示画像生成部704は、記憶部202に格納された第一面位置補正画像データDXf及び第二面位置補正画像データDXbを読込み、第一面及び第二面の対応する位置を同時に参照及び指定するための表示画像を生成し、表示部40に出力する。また、操作部50により後述する下地領域の指定操作がユーザにより行われた場合は、当該指定に基き表示画面を更新する。
【0050】
表示部40及び操作部50は、例えば、液晶画面とタッチセンサによるスイッチを備えたタッチパネルとして構成することができ、表示画像生成部704により生成された表示画面を表示するとともに、ユーザからの操作に対応した指示情報を表示画面生成部704及び基準画素値決定部705に出力する。
【0051】
基準画素値決定部705は、操作部50を介してユーザにより後述する下地領域の指定操作が行われた場合、指定された領域の第一面の画素値E
fi及び第二面の画素値E
biを、記憶部202に格納された第一面位置補正画像データDX
f及び第二面位置補正画像データDX
bより取得し保持する。また、操作部50を介してユーザにより下地領域決定操作が行われた場合、保持した画素値E
fi及び画素値E
biを第一面基準画素値E
f及び第二面基準画素値E
bとして決定し、記憶部202に格納させる。
【0052】
次に、本実施形態に係る画像処理装置10'を備えた複合機100'の具体的動作について
図8のフローチャートを用いて説明する。なお、第1の実施形態の
図4のフローチャートで説明した動作と同一な動作については同一の符号を付してその説明は省略する。
【0053】
ステップS402において、位置補正部203により位置の整合をとった第一面位置補正画像データDX
f及び第二面位置補正画像データDX
bが生成され、記憶部202に格納されると、表示画像生成部704は、記憶部202に格納された第一面位置補正画像データDX
f及び第二面位置補正画像データDX
bを読込み、
図9に示すような表示画像900を生成する(ステップS801)。
【0054】
メッセージ領域901には、ユーザへ第一面の画像及び第二面の画像からそれぞれが下地である領域を指定するよう促す文字メッセージが表示される。画像領域902には、読込んだ第一面位置補正画像データDX
fを表示する第一面描画領域903、第二面位置補正画像データDX
bを表示する第二面描画領域904、第一面においてユーザにより指定を受けた領域の位置を指し示す第一のカーソル905、第二面においてユーザにより指定を受けた領域の位置を指し示す第二のカーソル906、指定された領域の第一面の位置の拡大図を表示する第一の拡大図領域907及び指定された領域の第二面の位置の拡大図を表示する第二の拡大図領域908が表示される。さらに、表示画像900は、ユーザにより指定された領域を確定するための決定ボタン909と、処理の中止を受け付ける中止ボタン910とを備える。表示画像生成部704が生成した表示画像900を表示部40が液晶画面(オペレーション画面)に表示する。
【0055】
次に、ユーザは、操作部50であるタッチパネルを用いて、第一面描画領域903又は第二面描画領域904の領域のうち、第一面、第二面ともに下地である領域として任意の位置を指定する。そして、操作部50は、指定された領域と座標情報とを表示画面生成部704及び基準画素値決定部705に出力する(ステップS802)。ここで、例えば、ユーザにより指定された座標が第一面描画領域903の座標(x,y)であった場合、操作部50は第一面の座標情報として(x,y)を、第二面の座標情報として(w−x−1,y)(wは画像幅)を出力する。
【0056】
そして、表示画像生成部704は、ユーザにより指定された描画領域及び座標情報に基き、第一のカーソル905の表示位置を(x,y)に、第二のカーソル906の表示位置を(w−x−1,y)に変更し、第一の拡大図領域907と第二の拡大図領域908との表示色を変更する(ステップS803)。変更された画像は表示部40により表示される。ステップS802及びステップS803において、ユーザが第一面描画領域903又は第二面描画領域904の何れか一方の領域を指定することで、指定された位置にカーソルが表示されるとともに、自動的に指定された面と他方の面との対応した位置(他方の面は一方の面の左右反転の座標)にカーソルが表示され、拡大図領域にて指定された領域の第一面及び第二面の色情報を同時に確認することができるため、ユーザは簡単な操作での指定が可能となる。
【0057】
次に、ステップS804において、基準画素値決定部705は、ユーザにより指定された描画領域及び座標情報に基き、記憶部202から第一面位置補正画像データDX
fの座標(x,y)の画素の画素値を第一面の画素値E
fiとして保持し、同様に、第二面位置補正画像データDX
bの座標(w−x−1,y)の画素の画素値を第二面の画素値E
biとして保持する。
【0058】
そして、ユーザにより決定ボタン909が押下された場合(ステップS805 YES)、操作部50は下地領域決定情報を基準画素値決定部705に出力し、処理はステップS806に移行する。一方、ユーザにより決定ボタン909が押下されていない場合(ステップS805 NO)、操作部50は、ユーザにより中止ボタン910が押下されたか否かを確認する。ここで、ユーザにより中止ボタン910が押下されると(ステップ807 YES)、一連の処理は終了する。一方、ユーザにより中止ボタン910が押下されていない場合(ステップ807 NO)、操作部50の処理はステップS802に戻る。
【0059】
ステップS806において、基準画素値決定部705は、操作部50から入力された下地領域決定情報を取得すると、保持している画素値E
fi及び画素値E
biを第一面基準画素値E
f及び第二面基準画素値E
bとして決定し、記憶部202に格納させる。
【0060】
以上のように、第2の実施形態によれば、第一面及び第二面の対応する位置を同時に参照及び指定するための表示画面を生成する表示画面生成部を設けたことにより、ユーザが第一面及び第二面に対応する座標位置の色を簡易に指定することができる。また、指定を受けた領域の画素値を基準画素値とする基準画素値決定部を設けたことにより、ユーザにより指定された第一面及び第二面の下地の色情報を取得することができ、裏写りの判定をより確実に行うことができる。
【0061】
本実施形態の説明においては、スキャナとプリンタとを備えたカラー複合機としての例を示したが、本発明はこれに限らず複写機、ファクシミリ等の画像処理装置にも適用可能である。
【0062】
また、本実施形態の説明においては、ヒストグラムの生成時の画素値、裏写り判定や補正における画素値として輝度値を用いているが、これに限らず、モノクロ1チャンネル時の輝度値又は濃度値を用いることができるとともに、RGBカラー3チャンネル時でも輝度に近いグリーンチャンネルの値を用いたり、明るさ情報と色情報とが独立した色空間(例えば、CIEL*a*b*色空間)へ変換する色空間変換部を更に設け、明るさ情報(例えば、L*値)を画素値として用いることもできる。また、色情報(例えば、a*b*値)を用いて、明るさ情報と色情報とをもった基準画素値を決定し、当該明るさ情報と色情報との差分の組み合わせにより裏写りを判定する方法を用いてもかわまない。
【0063】
さらに、本実施形態の説明においては、スキャナ部における読取りにより原稿の画像データを取得する構成について説明したが、事前に原稿の第一面及び第二面を読取り、HDDやUSBメモリ等の可搬記憶媒体に保存した画像データを取得する構成としてもかまわない。さらにまた、本実施形態の説明においては、プリンタ部により印刷媒体に画像(トナー像)を印刷する画像形成装置の例について説明したが、裏写り補正画像データをHDDやUSBメモリ等の可搬記憶媒体に保存したり、ネットワークを介してPC等にEメール送信する構成としてもよい。