(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、袋体を構成する1枚の袋シートに対して、逆止弁を配置することができる袋ウエブに対する逆止弁の固定方法、逆止弁付き袋ウエブの製造装置、及び、逆止弁を備えた袋体の製造システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、袋体を構成する袋シートが長手方向に連続的に配置された袋ウエブに対して、シート状の逆止弁を固定する装置において、次の手段を備えた逆止弁付き袋ウエブの製造装置を提供する。
本発明の上記装置にあっては、前記逆止弁は、逆止弁テープの長手方向に複数が配列されたものである。そして、前記袋ウエブの所定位置に通気用の開口部を形成する穴あけステージと、前記逆止弁を前記開口部に対して位置決めした状態で仮固定する切断配置ステージと、前記袋ウエブに対して、前記逆止弁を固定する固定ステージとを備える。切断配置ステージは、前記袋ウエブの上方に送られてきた前記逆止弁テープを所定の位置で保持するための保持装置と、前記逆止弁毎に前記逆止弁テープを切断する切断装置と、前記逆止弁を前記開口部に対して位置決めした状態で仮固定する仮シール装置とを備えたものである。
【0011】
また、前記保持装置は、前記逆止弁テープにおける最も送り先側の前記逆止弁を前記開口部に対応する取り付け位置に配置した状態で、前記逆止弁テープを挟み付ける下保持体と上保持体とを備えるものとすることができる。前記切断装置は、前記保持装置によって前記取り付け位置に保持された状態で、前記逆止弁テープから前記最も送り先側の前記逆止弁を切り離し位置にて、切り離す装置である。前記仮シール装置は、前記保持装置によって前記取り付け位置に保持された状態で、前記最も送り先側の前記逆止弁の一部分を前記袋ウエブに仮固定する装置である。
前記下保持体は、前記袋ウエブの上であって前記切り離し位置に対して前記逆止弁テープの送り先側に配置された下先保持部を備える。
前記上保持体は、前記下保持体の上であって前記切り離し位置に対して前記逆止弁テープの送り先側に配置された上先保持部を備える。
前記下保持体と前記上保持体との少なくとも何れか一方にはガイド部分を備え、前記ガイド部分は、前記下先保持部における送り元側に備えられた下先ガイド部分と、前記上先保持部における送り先側に備えられた上先ガイド部分との少なくとも何れか一方を含む。前記下先ガイド部分は、前記逆止弁テープの先端を前記下先保持部よりも上方に案内するよう構成された部分であり、前記上先ガイド部分は、前記逆止弁テープの先端を前記上先保持部よりも下方に案内するよう構成された部分である。
前記逆止弁テープの先端は、前記下先ガイド部分によって案内されることにより、前記下先保持部の上に前記逆止弁テープが送られ、その結果、前記逆止弁テープの先端が前記下保持体に引っ掛かることを抑制することができる。また、前記逆止弁テープの先端は、前記上先ガイド部分によって案内されることにより、前記下先保持部よりも下方に前記逆止弁テープが送られ、その結果、前記逆止弁テープの先端が下方の前記袋ウエブに接近するように案内され、これによって、前記仮シール装置によるシール位置の狂いを抑制することができる。
【0012】
また、前記逆止弁は、上流端側が弁シート固定部によって固定され、下流端側が厚み方向に動くことができる弁シートと、前記弁シート固定部を挟んで上流側に設けられた流入口と、下流側に設けられた流出口と、前記弁シートの下方に配置された流路構成シートと、前記弁シートの上方に配置された基礎シートとを備え、
前記流路構成シートは、前記弁シート固定部より上流側の上流部分と、前記弁シート固定部より下流側の下流部分とを備え、前記弁シートは、その厚み方向への動きによって、前記流路構成シートの前記下流部分と接触離反することで、弁の開閉がなされるものであり、前記逆止弁により、前記開口部を通じてなされる前記袋体の内外の流体の流れを制御するものである。
【0013】
前記袋ウエブの下方に配置される基板の上に突出部が設けられ、前記固定ステージにて前記袋シートの上から前記逆止弁の外周と前記袋シートとがシールされることにより、前記逆止弁及びその下方に重ねられた前記袋シートに、少なくとも前記流路構成シートの前記上流部分を含む領域において、前記突出部による変形部が形成されるように構成されたものである。
【0014】
さらに、本発明は、前記逆止弁付き袋ウエブの製造装置と、前記逆止弁付き袋ウエブの製造装置により得られた袋ウエブを加工して袋体を製造する製袋機とを備えたことを特徴とする逆止弁を備えた袋体の製造システムを提供する。
またさらに、本発明は、袋体を構成する袋シートが長手方向に連続的に配置された袋ウエブと、シート製の逆止弁が長手方向に配置された逆止弁テープとを、それぞれ用意する準備工程と、前記袋ウエブの所定位置に、通気用の開口部を形成する穴あけ工程と、前記袋ウエブの上方から前記逆止弁テープを送り、前記逆止弁毎に切断し、前記逆止弁を前記開口部に対して位置決めした状態で仮固定する切断配置工程と、前記袋ウエブに対して、前記逆止弁テープから切り離された前記逆止弁を固定する固定工程とを、順次行うことを特徴とする袋ウエブに対する逆止弁の固定方法を提供する。
【0015】
前記切断配置工程は、保持工程と、切断工程と、仮シール工程とを備えたものとすることができる。前記保持工程は、前記逆止弁テープにおける最も送り先側の前記逆止弁を前記開口部に対応する取り付け位置に配置した状態で、前記逆止弁テープの送りを停止し、下保持体と上保持体との間で前記逆止弁テープを挟み付けることにより保持する工程である。前記切断工程は、前記保持工程によって前記取り付け位置に保持された状態で、前記逆止弁テープから前記最も送り先側の逆止弁を切り離し位置にて、切り離す工程である。前記仮シール工程は、前記保持工程によって前記取り付け位置に保持された状態で、前記最も送り先側の逆止弁の一部分を前記袋ウエブに仮固定する工程である。
そして、前記下保持体は、前記袋ウエブの上であって前記切り離し位置に対して前記逆止弁テープの送り先側に配置された下先保持部を備え、前記上保持体は、前記下保持体の上であって前記切り離し位置に対して前記逆止弁テープの送り先側に配置された上先保持部を備える。
前記下保持体と前記上保持体との少なくとも何れか一方にはガイド部分が設けられる。前記ガイド部分は、前記下先保持部における送り元側に備えられた下先ガイド部分と、前記上先保持部における送り先側に備えられた上先ガイド部分との、少なくとも何れか一方を含むものである。
前記逆止弁テープの先端が、前記下先ガイド部分によって案内されることにより、前記下先保持部よりも上方に導かれるものであるか、前記上先ガイド部分によって案内されることにより、前記上先保持部よりも下方に導かれるものであるかの、少なくと何れか一方の案内がなされる。
【0016】
また、前記方法に適用することができる逆止弁は、上端側が弁シート固定部によって固定され、下端側が厚み方向に動くことができる弁シートと、前記弁シート固定部を挟んで上流側に設けられた流入口と、下流側に設けられた流出口と、前記弁シートの下方に配置された流路構成シートと、前記弁シートの上方に配置された基礎シートとを備え、前記流路構成シートは、前記弁シート固定部より上流側の上流部分と、前記弁シート固定部より下流側の下流部分とを備え、前記弁シートは、その厚み方向への動きによって、前記流路構成シートの前記下流部分と接触離反することで、弁の開閉がなされるものであり、前記逆止弁により、前記開口部を通じてなされる前記袋体の内外の流体の流れを制御するものが、好適に使用できる。
【0017】
その際、前記基板の上に前記袋シートを配置し、前記袋シートの上に前記逆止弁を配置し、前記基板の上に突出部を設ける。前記固定工程は、貼り付けシールによって前記逆止弁の全周を前記袋シートに固定する工程である。前記固定工程は、前記突出部の上方に前記逆止弁の少なくとも前記弁シート固定部より上流側の部分が位置すると共に、前記逆止弁の外周が前記突出部のない前記基板の上方に位置するように、前記逆止弁を位置合わせして前記基板の上に配置し、前記袋シートの上から、前記逆止弁の外周と前記袋シートとをシールすることにより、前記逆止弁及び前記袋シートに、少なくとも前記流路構成シートの前記上流部分を含む領域において、前記貼り付けシールに比して上方に突出した変形部が形成される。
【0018】
本発明に適用することができる逆止弁は、種々の形態のものを挙げることができるが、その一例を以下に示す。
本発明に適用可能な逆止弁は、袋体を構成する袋シートと、前記袋シートに固定されたシート製の逆止弁とを備えた袋体の逆止弁構造を備える。前記シート製の逆止弁は、少なくもと弁シートと、前記弁シートの下方に配置された流路構成シート、前記弁シートの上方に配置された基礎シートとを備える。
【0019】
前記弁シートは、上端側が弁シート固定部によって固定され、下端側が厚み方向に動くことができるものであり、前記弁シート固定部よりも上側に流入口が設けられ、前記弁シート固定部よりも下側に設けられた流出口が設けられる。
前記流路構成シートは、前記弁シート固定部より上側の上流部分と、前記弁シート固定部より下側の下流部分とを備える。前記弁シートは、その厚み方向への動きによって、前記流路構成シートの前記下流部分と接触離反することで、弁の開閉がなされるものであり、前記逆止弁により、前記開口部を通じてなされる前記袋体の内外の流体の流れが制御される。
【0020】
前記弁シート固定部より上側の前記上流部分を含む領域においては、前記逆止弁を構成するシートのうち、少なくとも1枚のシートに変形部が形成される。この変形部は、そのシート自体が、変形の生じていない部分に比して上方に突出しており、前記変形部の前面が変形の生じていない部分の前面に比して上方に凹んでいると共に、前記変形部の後面が変形の生じていない部分の後面に比して上方に突出している。
【0021】
この逆止弁構造にあっては、逆止弁に対して、その厚み方向に圧力が加わった場合にあっても、上方に突出する前記変形部によって、逆止弁を構成する上記のシート自体が下方に突出するように変形することが抑制される。また、たとえ変形が生じたとしても、シート自体が不規則に変形する場合が多いため、シート同士の間に隙間が生じ易くなり、順流時の流体の流れが隙間から生じて、弁を開くことができる。
【0022】
また、本発明は、少なくとも前記流入口を上方から覆う位置にフィルターシートが配置され、前記流入口を含む領域において、前記逆止弁を構成する全てのシート及び前記袋シートに前記変形部が形成した逆止弁に適用し得る。その際、前記変形部は、少なくともその一部が、前記貼り付けシールの前面よりも上方に凹んでいるものとすることができる。
【0023】
また、少なくとも前記流入口を上方から覆う位置にフィルターシートが配置され、前記流入口を含む領域において、前記逆止弁を構成するシートのうちの少なくとも前記フィルターシートに前記変形部が形成された逆止弁にも適用することができる。
また、前記変形部は、前記フィルターシートよりも下方に配置された変形保持部材によって、少なくとも前記フィルターシートが上方に凹むことによって形成されたものとすることができる。
【0024】
さらに、本発明は、前記袋シートに開口部が形成され、前記開口部を上方から覆う位置に貼り付けシールによって前記逆止弁が固定され、前記貼り付けシールは、前記逆止弁の全周にて、前記袋シートと前記逆止弁とをシールしたものであり、前記流入口は、前記逆止弁の前記弁シート固定部よりも上側の領域で上方に開口するものとして実施した逆止弁に適用することができる。
【0025】
前記流入口は、前記逆止弁の前記弁シート固定部よりも下側の領域で下方に開口しており、前記袋内部の圧力が袋外部の圧力よりも高くなった際に、前記袋内部の流体が前記流入口から逆止弁の内部に流入し、前記流路構成シートと前記弁シートとの間を通過して、前記流出口を経て前記開口部から前記袋外部に流出する。
【0026】
前記開口部は逆止弁の前側の適宜位置に配置することができる。その際、前記開口部は、前記変形部の上方に位置する第2開口部を含むものとすることによって、その製造に際して、基板の上に設けられた突出部によって、前記変形部が形成され易いものとなる点で有利である。なお、開口部の数は1つであってもよく、2つ以上であってもよい。従って、前記変形部の上方に位置する前記第2開口部のみで実施することもできるし、上記流出口の上方に位置する開口部のみで実施することもできるし、両方の開口部を設けることもできる。また、両開口部を連続させたものであってもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、袋体を構成する1枚の袋シートに対して、逆止弁を配置することができる袋ウエブに対する逆止弁の固定方法、逆止弁付き袋ウエブの製造装置、及び、逆止弁を備えた袋体の製造システムを提供することができたものである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。各図の断面図では、下方又は下面の方向を矢印dで示し、上方又は上面の方向を矢印uで示した。また、各図の断面図では、その構造を簡潔に示すためにシート間の間隔や各シートの厚みを実際よりも大きく描いていると共に、実際には各シートは重ねられているものである。なお、本発明に係る請求の範囲、明細書に記載した、「前、後」「表、裏」「上、下、左、右」「縦、横」「一方、他方」などの位置や方向を示す表現は、相対的な位置関係を示すに止まるものであり、絶対的な位置を特定するものではなく、これらの態様に限定して理解されるべきではない。「上流、下流」との表現は、逆止弁中の流体の流れの正方向(逆止弁が使用される際に、流体の通過を許容する方向、言い換えれば弁が開く際の流れ方向)を基準としたものである。
本発明の実施の形態を説明するにあたっては、本発明の製法及び製造装置が適用できる逆止弁について詳しく説明し、その次にこの逆止弁を製造する場合を例にとって、本発明の製法及び製造装置について説明する。
【0030】
(逆止弁の全体構成の概略)
この実施の形態に係る袋体の逆止弁構造は、
図1に示すシート状の逆止弁1を、
図2に示す袋体2の袋シート3に取り付けた構造である。逆止弁1は、袋シート3に取り付ける際に変形部81が形成されるものであり、
図1では変形部81が形成される前の状態の逆止弁1を図示しており、
図2では変形部81が形成された後の逆止弁1を備えた袋体2を図示している。
【0031】
袋体2は、柔軟性と気密性を有する袋シート3をその全部又は一部に含み、溶着や接着剤の接着などによって、袋状に形成したものである。袋体2の内部にはコーヒー豆等の被収納物が収納される。焙煎後のコーヒー豆からは気体が放散されるため、コーヒー豆を密封袋に収納した場合、発生した気体を密封袋の外に排出する手段として、逆止弁が用いられる場合がある。この実施の形態は、このコーヒー袋用のシート製の逆止弁1の構造として最適なものを提案する。
図2(B)の例では、この逆止弁1は、袋体2の下側の袋シート3に設けられた開口部4に位置合わせして、袋体2の内面側に取り付けられている。具体的には、逆止弁1の下面が、下側の袋シート3の上面(袋体2の内側となる面)に、貼り付けシール75にて、融着や接着剤による接着などによって固定される。
【0032】
この逆止弁1は、
図2に示すように、貼り付けシール75によって、前後左右の逆止弁1の全周を袋シート3にシールして取り付けられるものである。袋体2内の流体は、
図2(B)における上面側の流入口11から流入し、逆止弁1内の弁流路13を通過し、下面側の流出口12を経て、開口部4から袋体2の外へ流出する。このように、袋体2に取り付けられた状態では、上流の流入口11が上に、下流の流出口12が下に位置するとして説明する。
【0033】
(各シートの概要)
ここで、
図1及び
図2を参照しながら、各シートの概要を説明する。この逆止弁1は、流路構成シート21、基礎シート31、フィルターシート41と、弁シート51とを備える。さらにこの例では、弁シート51の図中の左方に補助シート61が配置されているが、補助シート61を用いずに実施することもできる。これら4枚のシート(補助シート61を含めて5枚)の横幅(
図1(A)及び
図2(A)の上下幅)は、互いに等しく設定されている。説明の都合上、各断面図では各シートの厚みと間隔を実際よりも大きく描いているが、実際には各シートは接触した状態で重ねられており、合成樹脂フィルムなどの薄いフィルムの単体又は積層体や、不織布によって構成されている。
【0034】
上記シートの内、流路構成シート21と基礎シート31との2枚が密閉性(気体などの目的とする流体を通過させることなのない)合成樹脂フィルムの単体又は複合体から構成されている。
フィルターシート41は、不織布や織布などの通気性のある(厚み方向に目的とする流体を通過させることができる)シートから構成されている。このフィルターシート41は、被収納物であるコーヒー豆の破片や微細な粉が逆止弁1内に入ることを防止するためものであり、微粉末が発生しない被収納物の場合には、省略して実施することができる。
【0035】
弁シート51は弁の開閉をなすために可動に取り付けられたもので、合成樹脂フィルムの単体又は複合体から構成される。弁シート51は、その厚み方向に動いて弁の開閉をなす点で、流路構成シート21や基礎シート31よりも薄く、柔軟性の高いものを用いることが望ましいが、これに限定して理解されるべきではない。
【0036】
上記の4枚のシートに加えて、逆止弁1の下流端(
図2(B)の左端)に、補助シート61を配置することもできる。この補助シート61は、弁シート51の形状や厚みのバランスを保つために設けられたもので、弁シート51と同じ材質同じ厚みのものを用いることが望ましいが、これに限定して理解されるべきではない。補助シート61と弁シート51とは、製造過程では、同一の1枚のシートによって形成して、両者の間をカットしたり、切除したりして、形成してもよい。
【0037】
これらのシートは、合成樹脂製フィルムを積層したシートを用いることができるが、流路構成シート21の後面側と弁シート51の前面側とに自己密着性のフィルムを配置することによって、両者の密着性を高めることができ、弁流路13における流体の逆流を防止する逆流防止機能が強くすることができる。
袋シート3は、被収納物の種類などに応じて種々変更して実施することができるもので、合成樹脂フィルムの単体や積層体、金属フィルムや紙などの他の素材との複合材料製など種々のものを用いることができる。
【0038】
(各シートの位置関係と接着状態)
次に、これらのシートの位置関係と接着状態を説明する。まず最も上側に、基礎シート31が配置され、その下にフィルターシート41が配置される。フィルターシート41の下側に、弁シート51と必要に応じて補助シート61とが配置され、さらにその下側に流路構成シート21が配置され、これらによって、逆止弁1が構成されている。この逆止弁1の下側に袋シート3が配置された状態で、貼り付けシール75によって逆止弁1の全周が袋シート3にシールされて取り付けられる。
【0039】
これらのシートの前後の両辺は、この種の他の逆止弁と同様、前後シール74によって互いに接合されている。
この接合は、ヒートシールや超音波シールなどの溶着が好ましいが、接着剤によって行ってもよい(以下、このシールのみならず他のシールにおいても同様)。この前後シール74は、貼り付けシール75と兼ねることもできる。詳しくは、袋体2に取り付ける前には前後シール74を施さない状態としておき、袋シート3に取り付ける時に、貼り付けシール75を施すことで、貼り付けシール75と前後シール74とを兼ねることもできる。また、前後シール74を貼り付けシール75と別個に設ける場合でも、前後シール74を貼り付けシール75よりも細いものにし、前後シール74を含む位置に貼り付けシール75重ねてシールすることもできる。また、前後シール74として2本の細いシールを施し、これら2本の細いサイドシールの間をシールのない無シール部分とし、無シール部分に貼り付けシール75を施すようにしてもよい。なお、
図1では前後シール74を逆止弁1に形成したものとし、それと同位置に重ねて貼り付けシール75を形成した状態で図示している。
【0040】
基礎シート31とフィルターシート41との関係を説明すると、フィルターシート41は、逆止弁1の略全長に渡って配位されたものであり、フィルターシート41の後面側に基礎シート31が配位されている。この基礎シート31は、
図2(B)に示すように、その左右長さがフィルターシート41よりも短く設定されている。従って、フィルターシート41の上流側の部分には基礎シート31が重ねられておらず、フィルターシート41が露出している。フィルターシート41は前述のように通気性があり、この露出した部分が逆止弁1内部への流入口11となる流体通過部である。
【0041】
基礎シート31はフィルターシート41の下流側の部分に重ねられ、基礎シート31の上流端(図の右端)は、弁シート固定部71によってフィルターシート41へ固定されている。この弁シート固定部71も、前述の前後シール74と同様、ヒートシールや超音波シールなどの溶着が好ましいが、接着剤によって形成するものであってもよい。弁シート固定部71は、逆止弁1の前後両側(前の前後シール74と後の前後シール74との間)を結ぶように形成されたもので、流入口11と開閉する弁流路13との境界となる。またこの例では弁シート固定部71は1本のシールで構成したが、複数本のシールを平行に設けるなどしてもよい。さらにこの弁シート固定部71より下流側(図の左側)における基礎シート31の全面をフィルターシート41に熱溶着などでシールしておくことによって、逆止弁1に腰を持たせるようにしてもよい。これによって、袋体2内の流体の圧力の変動によって、逆止弁1が図の下方(袋体2の外側)に向けて反り返るなどの現象の発生を抑制することができる。
【0042】
基礎シート31の下流側の端(図の左端)は、フィルターシート41の下流側の端に対して(補助シート61を用いた場合には、補助シート61に対しても)、左シール73によって接合されている。この左シール73は、逆止弁1の前後両側(前後の前後シール74間)に渡ってシールされている。この左シール73も、貼り付けシール75と兼ねることもできるものであり、前述の前後シール74にて説明した種々の実施形態を採ることができる。
【0043】
基礎シート31は、フィルターシート41の流入口11以外の部分を被覆するものとして実施されており、被覆された部分ではフィルターシート41は、その機能を発揮しない。そのため、図示は略するが、基礎シート31に被覆されたフィルターシート41の下流側の部分については、フィルターシート41を一部又は全部について、設けずに実施することができる。言い換えれば、弁シート固定部71よりも上流側(図の右側)ではフィルターシート41のみを設け、弁シート固定部71よりも下流側では基礎シート31のみを設けるようにしてもよい。なお、弁シート固定部71よりも上流側においても基礎シート31を設けて、その一部に流入口11となる開口を形成してもかまわないし、また、流路構成シート21との間を一部シールしないことによって、当該シールしない部分を流入口11とすることもできる。但し、当該シールをしない部分を流入口11とする場合には、貼り付けシール75を当該シールしない部分には施さないようにする必要がある。
【0044】
次に、弁シート51について説明する。弁シート51はその上流側の部分(望ましくは図の右端)が、弁シート固定部71によって、フィルターシート41及び基礎シート31に対してシールされている。ただし、弁シート51とフィルターシート41とのシール位置と、フィルターシート41と基礎シート31とのシール位置とを異なる位置に設定してもよい。
【0045】
弁シート51は、弁シート固定部71より下流側の領域では、フィルターシート41に接着されておらず、その厚み方向(図の上下方向)に動くことができる。なお従来の逆止弁と同様、弁シート51は、その下流側の領域をも含めて、その両横は、前述の前後シール74で固定されているが、その中央の大部分は厚み方向に動くことができ、流路構成シート21に対して接触離反することにより、弁の開閉を行うものである。
【0046】
次に、補助シート61について説明する。補助シート61は、弁シート51との関係で、積層構造とシールのバランスをとるために設けられたもので、弁としての機能を果たさないものであるが、特許文献3や4に示すように、上方に突出させることで、弁としての機能を果たすものとして実施することもできる。
【0047】
補助シート61は、基礎シート31及びフィルターシート41にシールされている。この例では、逆止弁1の下流側の端辺に沿った左シール73で固定されている。ただし、補助シート61とフィルターシート41とのシール位置と、フィルターシート41と基礎シート31とのシール位置とを異なる位置に設定してもよい。
【0048】
この左シール73は、前述の前後シール74と同様、貼り付けシール75と兼ねることもできる。詳しくは、袋体2に取り付ける前には左シール73を施さない状態としておき、袋シート3に取り付ける時に、貼り付けシール75を施すことで、貼り付けシール75と左シール73とを兼ねることもできる。また、左シール73を貼り付けシール75と別個に設ける場合でも、左シール73を貼り付けシール75よりも細いものにし、左シール73を含む位置に貼り付けシール75重ねてシールすることもできる。また、左シール73として2本の細いシールを施し、これら2本の細いサイドシールの間をシールのない無シール部分とし、無シール部分に貼り付けシール75を施すようにしてもよい。
【0049】
最後に、流路構成シート21について説明する。流路構成シート21の上流側の部分は、右シール72によって、フィルターシート41の上流側の部分にシールされている。この右シール72も、左シール73と同様、逆止弁1の前後両側(前と後の前後シール74の間)を結ぶように、逆止弁1の上流側辺(図の右辺)に沿って形成されている。また、右シール72は、前述の貼り付けシール75との関係においても左シール73や前後シール74と同様の構成とすることができる。
【0050】
ここで貼り付けシール75についてまとめておくと、貼り付けシール75は、前後左右の逆止弁1の全周を袋シート3に対してシールしてしまうもので、前述の右シール72、左シール73及び前後シール74と、独立して、又は共用して、若しくは重複して形成されることができる。貼り付けシール75によって袋シート3の内面に貼り付けられた逆止弁1に対して、袋体2内の流体が、流入口11から流入する。この流体は、逆止弁1内の弁流路13を通過し、下流側の流出口12を経て、開口部4から袋体2の外へ流出する。
【0051】
(流体の流れ)
この逆止弁1にあっては、流路構成シート21と、これに対向する弁シート51との間が、弁流路13となるものである。弁流路13は、常時は流路構成シート21と弁シート51とが重なっているが、袋体2内の圧力が高まるなどして、流体が流入口11から流入すると、その流体が弁シート51を図の上側に動かし、弁流路13が開き流体が流出する。逆方向に流体が流れようとしても、弁シート固定部71によって弁シート51の上流側の部分が固定されているため、弁シート51と流路構成シート21との間が、それらの上下に位置するシートとの間に比して、負圧となる。その結果、弁シート51が流路構成シート21に密着して、弁流路13が閉じる。したがって流路構成シート21の長さは、上記の弁機能が果たされることを条件に設定されるもので、その下端は、弁シート固定部71よりも下流側であって、弁シート51との密着性が確保できる位置に設定される。図の例では、流路構成シート21の下流側の端は、弁シート51の下流側の端よりも左方に設定されているが、同じ位置でもよく、弁シート51よりも右方でもよい。そして、この流路構成シート21の下流側の端は開放されており、この開放箇所が流出口12となるが、この例では、上述のように、逆止弁1の外周が袋シート3に対して貼り付けシール75によって接着されるため、流路構成シート21の下流側の端と、貼り付けシール75(左シール73)との間が流出口12となる。なお、流路構成シート21を逆止弁1の左端まで延ばして逆止弁1の全面を覆うものとすることもできる。この場合には、流路構成シート21にスリットや開口穴を設けることによって流出口12を形成すればよい。
【0052】
流出口12から流出した流体は、開口部4から袋体2外に流出する。
図2では、開口部4は、流出口12と略同じ位置に設けられているが、貼り付けシール75の内側であればどの位置に設けてもよい。なお、場合によっては、流路構成シート21を設けずに、袋シート3を流路構成シート21と兼用させることもできる。この場合には開口部4が流出口12となるため、開口部4は、弁シート固定部71よりも下流側であって、弁シート51と袋シート3との密着性が確保できる位置に設けられる。
【0053】
(変形部81についての説明)
以上の構造の逆止弁1は全周を袋シート3にシールして用いるため、袋体2の内圧が高くなると、
図3(A)の矢印のように、逆止弁1を構成する全シートの全体に圧力が厚み方向に加わる。そのため、流路構成シート21と弁シート51とが密着してしまい、流入口11から流入した流体が弁シート51を動かして弁を開くという、開弁動作が円滑に行われない場合があり、順流における流体の流出性能が低下する。さらに内圧が極めて高くなった場合には、逆止弁1を構成するシートが袋体2の外側方向に突出するように、反り返ってしまうように変形してしまうこともある。設計者は、逆止弁1を構成するシートが略平面状に重なっていることを通常の使用状態として設計しているが、上記のように反り返ってしまうと、順流における流体の流出性能が低下するなどの弊害の発生が顕著になる。
【0054】
そこで本発明は、逆止弁1及びその下方に重ねられた袋シート3が、袋体2の内側方向(
図3の上方)に突出するように、変形させることによって、その弊害の発生防止を行った。詳しくは、流路構成シート21の弁シート固定部71よりも上流部分を含む領域において、当該領域における袋シート3と逆止弁1を構成するシート(フィルターシート41及び流路構成シート21)とをそれぞれ変形させて、それら自体を上方(袋体2の内側)に全体的に突出させた。以下、この変形した部分を、変形部81という。
【0055】
この変形部81は、各シートが湾曲や屈曲して変形したものであり、それらのシート自体が、変形の生じていない部分に比して上方に突出している。従って、変形部81の下面は、変形の生じていない部分の下面に比して上方に凹んでいると共に、変形部81の上面が変形の生じていない部分の上面に比して上方に突出している。
【0056】
特許文献4の逆止弁では、押し型によって流体導入凹部を形成するため、その凹みの程度はシートの厚みよりも大きくすることは困難であったが、この変形部81は、弁シート固定部71よりも上流部分を含む領域において、シート自体を全体的に上方(袋体2の内側)に突出させるため、突出の程度(言い換えれば、変形部81におけるシートの前面を凹ませる程度)を、比較的自由に設定することができる。
【0057】
このシート自体を突出させる程度は、順流時の流体が弁シート固定部71から弁流路13内に導入できる程度であれば少しであってもよいが、変形部81の中央部分などの少なくともその一部が、貼り付けシール75の上面よりも上方に凹んでいるようにすることが適当である。具体的には、凹み深さは、貼り付けシール75の上面よりも0.5〜3.0mm程度、上方に凹んでいれば足り、10mm以下、より好ましくは5mm以下程度であることが望ましい。
【0058】
凹み深さが少なすぎると変形させた効果が発揮されないおそれがあり、凹み深さが大きすぎると、逆止弁の機能に悪影響を及ぼすおそれがあるが、このような問題が生じない場合には、上記の数値範囲を超えるものであってもよい。
これによって、内圧が極めて高くなった場合にも、逆止弁1を構成するシートが袋体2の外側方向(図の下方)に突出するように、反り返ってしまうことが緩和され、また変形が生じたとしても、弁シート固定部71よりも下流側に流体が流れやすい状態を保つことができる。
【0059】
より具体的には、袋体2の内側方向(図の上方)から流体の圧力が加わった場合、逆止弁1は袋シート3に密着しようとする。ところが、変形部81を設けたことによって、
図3(A)の状態から
図3(B)に示す状態へ、不規則に袋体2の外側方向(図では下方)に変形する。これによって、シート同士の間(特に、弁シート51の弁シート固定部71の周辺部分と、流路構成シート21との間)において、隙間が形成される。その結果、この隙間を通って袋体2の内部の流体が弁流路13に導入され、弁シート51と流路構成シート21の下流側領域との間が開かれて、流出口12から円滑に流出する。なお、この隙間は僅かなものであれば足りる。というのも、弁シート51と流路構成シート21の下流側領域との間に一旦流体が導入されると、たとえその流体の量が僅かなものであっても、弁シート51と流路構成シート21の下流側領域との間隔は続いて流れる流体によって大きく開かれていくためである。
【0060】
なお、変形部81は、流入口11を中心にシートを上方に突出させることが適当である。順流時の流体の導入の改善は、弁シート固定部71よりも上流側の流入口11の周辺で解決することが適当であり、また、上流側の流入口11の下流側の弁流路13を構成する流路構成シート21及び弁シート51に大きな変形を加えすぎると、逆流を防止する逆流防止機能が低下するおそれが生じるためである。勿論、逆止弁1は、小型化することが求められており、流入口11の大きさも小さな面積を占めるに止まる場合も多いため、変形部81が弁シート固定部71よりも下流側の領域に及ぶことがあってもよい。このように、変形部81の変形は、弁シート固定部71よりも下流側の領域など逆止弁1の全体に及ぶ場合があってよい。但し、弁流路13に対して、求められる逆流防止機能を損なうような、局部的な変形を加えるなどは適当ではないが、逆止弁機を損なうような変形でなければ、変形を加えたものであってもよい。
【0061】
(開口部4との位置関係)
逆止弁1の流出口12と、袋シート3の開口部4の位置関係は、流出口12からの流体が開口部4から外部に流出できるものであれば、特に限定されるものではないが、この実施の形態では、開口部4は、弁シート固定部71よりも下流側に設けられている。特に、この例では、開口部4は、逆止弁1の幅方向(
図2(A)では上下方向)に伸びる幅方向切り目5の中央から、逆止弁の長さ方向に伸びる長さ方向切り目6を設けた略T字状をなしているが、幅方向切り目5は、流路構成シート21の下流端及び弁シート51の下流端よりも下流側の位置に設けられ、長さ方向切り目6は、幅方向切り目5から上流側に伸びて流路構成シート21の下流端及び弁シート51の下流端よりも上流側にまで達している。この開口部4は、順流時に弁流路13を流体が通過する際、流路構成シート21と弁シート51との間の間隔が広がり易くするため、T字状に形成されている。即ち、間隔が広がる際に、袋シート3における長さ方向切り目6の両側の部分が左右に分かれて拡げられるものであり、これによって弁流路13を流体が通過し易くすると共に拡がった開口部4からの流体が外部に排出され易くなる。勿論、この開口部4の形状はこれに限定されるものではなく、開口部4となるスリットの形状は適宜変更でき、また、開口部4として面積を有する切り抜き穴を採用することもできる。さらにまた、開口部4をドット状の小孔を多数形成したものであってもよく、流体が通過する種々の形状として実施することができる。
【0062】
(他の実施の形態)
次に、
図4を参照しつつ、本発明の第2の実施の形態について説明する。先の実施の形態は、基板91に突出部92を設けることによって、変形部81を形成したものであるが、この実施の形態では、逆止弁1に変形保持部材82を設けることによって、変形部81を形成するものである。なお、この第2の実施の形態は、逆止弁1や袋シート3の構成は先の実施の形態と実質的に同じであるため、相違する部分のみを説明し、他の部分については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0063】
この実施の形態では、
図4(B)に示すように、流入口11が設けられた領域内において、フィルターシート41の下面と基礎シート31の上面との間に変形保持部材82が配置されている。この変形保持部材82は厚み方向に高さを有する部材によって構成することができ、例えば、合成樹脂製、合成繊維製、天然繊維製、木製、金属製、あるいはこれらの複合材料製の糸や線材を用いることができる。この変形保持部材82は、左右の前後シール74同士の間に渡されて、その両端がサイドシールによって固定される。変形保持部材82は熱融着可能な合成樹脂又は合成繊維を用いることによって、前後シール74及び貼り付けシール75を施すことで固定することができるが、熱融着が不可能な素材であっても、前後シール74及び貼り付けシール75を施すことでシール部分に挟まれた状態となるため、動かない状態で配置することができる。なお、
図4(B)では、重なっている各シートについて間隔を空けた状態で描いているため、楕円形状の断面で変形保持部材82が描かれているが、実際には略円形のものとなる。但し、断面が楕円形状や多角形などの他の形状で実施することができる。
【0064】
この逆止弁1を量産する場合には、通常、各シートを前後方向(
図4(A)の上下方向)に連続したものとして製造され、その際、変形保持部材82も前後方向(
図4(A)の上下方向)に連続したものとして製造され、所定のシールが施されて、1つずつの逆止弁毎に切断される。
【0065】
そして、基板(
図4では図示せず)の上に袋シート3が配置され、その上に逆止弁1が配置された状態で、金型(
図4では図示せず)が閉じられることで貼り付けシール75が施される。その際、変形保持部材82の存在によって、流入口11の位置でフィルターシート41が上方に凹んだ状態となる。その結果、袋体2内の圧力が高まっても、フィルターシート41に対して弁シート固定部71によって上端が固定された弁シート51と流路構成シート21との間が拡がりやすい状態を維持することができ、先の実施の形態と同様に、順流時の流体の流れを改善することができる。
【0066】
次に、
図4(C)は、変形保持部材82を流路構成シート21の前面側に配置した例を示すものである。この場合も、変形保持部材82の存在によって、流入口11の位置でフィルターシート41及び流路構成シート21が上方に突出した状態となる。その結果、シート同士の間(特に、弁シート51の弁シート固定部71の周辺部分と、流路構成シート21との間)において、隙間が形成される。これにより、この隙間を通って袋体2の内部の流体が弁流路13に導入される。
【0067】
なお、図示は省略するが、袋シート3の前面側に変形保持部材82を配置することによって、同様な作用が発揮され得る。
このように、
図4に示された各例では、変形保持部材82を逆止弁1の前後方向(
図4(A)の上下方向)に連続したものとしているが、その形状は適宜変更することができ、半球状のものや多面体形状のものなどに変更することもできる。また、変形保持部材82の本数を複数本とすることもできる。
【0068】
(さらに他の実施の形態)
次に、
図5を参照しつつ、本発明の第3の実施の形態について説明する。先の2つの実施の形態は、開口部4を流出口12の上方に設けたが、この実施の形態では、変形部81の上方にも開口部(以下、第2開口部7という)を設けたものである。なお、この第3の実施の形態は、袋シート3の構成に第1の実施の形態に変更を加えたものであるため、相違する部分のみを説明し、他の部分については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0069】
この実施の形態に係る袋シート3には、変形部81の上方位置に、第2開口部7が形成されている。
図5(A)に示すように、先の実施の形態に示した開口部4(以下、この第3の実施の形態の説明では、第2開口部7と区別するために第1開口部4という)に加えて、この第2開口部7を設けたが、第1開口部4を設けずに第2開口部7のみで実施してもかまわない。この第2開口部7は、第1開口部4と前後対称の形状をなしている。具体的には、逆止弁の幅方向に伸びる幅方向切り目5の中央から、逆止弁の長さ方向(図では左右方向)に伸びる長さ方向切り目6を設けた略T字状をなしている。
【0070】
これによって、後で詳しく説明する製造方法を実施する際に、有利な作用効果を発揮する。即ち、
図5(B)に示すように、後述する固定ステージ103において金型93で逆止弁1を袋シート3にヒートシールなどで固定する際に、基板91に設けられた突出部92によって変形部81が形成される。このとき、突出部92が第2開口部7を開くようにして入り込んで、流路構成シート21を直接押すことができる。もちろん、完全に突出部92が第2開口部7から内部に入り込まない場合もあり得るが、その場合でも、袋シート3が開き易くなるため、突出部92が流路構成シート21などを押す力が伝わり易くなり、変形部81を確実に形成することができるものである。特に、袋シート3は、逆止弁1を構成する各シートよりも厚みが大きく変形し難い素材を用いた場合には、第2開口部7を設けて実施することが望ましい。
【0071】
さらに
図6に示すように、開口部4として、略H字状のものを採用することもできる。言い換えれば、開口部4の実施に際して、先に説明した第3の実施の形態(
図5(参照)の第2開口部7の長さ方向切り目6と、第1開口部4の長さ方向切り目6とを、連続させることもできる。これによって、開口部4の開きをより円滑になすことができる。なお第2開口部7の幅方向切り目5と、第1開口部4の幅方向切り目5との長さは、等しいものでも構わないし、異なる長さであってもかまわない。
【0072】
(変更例)
本発明は、上述の各実施の形態に限定して理解されるべきではない。
例えば、第1の実施の形態に係る突出部92による変形部81の形成と、第2の実施の形態に係る変形保持部材82による変形部81との両方の形態に係る変形部81とを併用することもできる。
【0073】
また、特許文献3や特許文献4に示された形態の逆止弁のように、複数枚の弁シートを流体の流れ方向に配置したものにも適用することもできる。さらにまた、複数枚の弁シートを厚み方向に配置したものにも適用することもできる。また、特許文献4に示された形態の逆止弁のように、弁シート固定部に押し型による導入凹部を流路構成シート21と弁シート51との少なくとも何れか一方に形成するようにしてもよい。
【0074】
さらに、逆止弁1を、袋体を構成する2枚の袋シート3の間に挟んで取り付けることもできる。この場合には、弁シート固定部71の位置にて、2枚の袋シート3に挟まれた状態でヒートシールなどで固定される。
また、先の実施の形態では、袋体2の内側に逆止弁1を配置したが、袋体2の外側に逆止弁1することもできる。また、順流を袋体2の内側から外側に抜ける方向に設定したが、順流を袋体2の外側から内側に入る方向に設定することもできる。
【0075】
次に、逆止弁付き袋ウエブの製造装置及び製造方法の実施の形態を説明する。本発明製造装置及び製造方法にあっては、前述の逆止弁構造に係るいずれの実施の形態についても適用することができ、また、変形部81を備えていない逆止弁についても適用することができるが、以下の説明では
図6に示す逆止弁1を例にとって説明する。
【0076】
(装置の概要)
この装置は、袋ウエブ113に対して順次加工を施すものであり、
図7に示ように、送り元ロール105、テンション調整部107、穴あけ工程を行うための穴あけステージ101、切断配置工程を行うための切断配置ステージ102、固定工程を行うための固定ステージ103、確認工程を行うための確認ステージ104、テンション調整部107、送り先ロール106が、順に配列されたものである。袋ウエブ113は、前述の袋シート3が長手方向に連続して配列された帯状体であり、未加工の袋ウエブ113が送り元ロール105に巻かれている。送り元ロール105から繰り出された袋ウエブ113は、ダンサーロールなどのテンション調整部107を経て、穴あけステージ101、切断配置ステージ102、固定ステージ103にて加工が施され、確認ステージ104で位置ずれの有無などが確認された後、ダンサーロールなどのテンション調整部107を経て、送り先ロール106に巻き取られるものである。
【0077】
穴あけステージ101、切断配置ステージ102及び固定ステージ103では、袋シート3に対する開口部4の加工と、逆止弁1の取り付けが行われる。
袋ウエブ113は、適宜位置に配置されたローラー(図示せず)によって支持された状態で空中を移動するものであってもよいが、基板91の上に配置された状態で移動するものであってもかまわない。また、穴あけステージ101、切断配置ステージ102及び固定ステージ103などの加工上必要な位置にのみ、基板91を設けるようにしてもよい。この基板91は、袋体の製造装置の常法に従い、金属や合成樹脂板や木質板などの硬質な変形しない素材によって構成することができ、その表面は袋ウエブ113の送りが円滑に行われるように平滑な平板状体で構成することが望ましい。
【0078】
なお、袋ウエブ113は、各ステージに各逆止弁1が順次停止するように間歇的に送られるものであり、ローラーなどの送り装置(図示せず)もサーボモーターなどで駆動したり、各逆止弁1に設けられたマークとセンサで停止位置を調整したりするなど、種々の制御手段で各ステージに正確に逆止弁1が停止するように実施すればよい。
【0079】
(穴あけステージ101について)
穴あけステージ101は、
図8に示すように袋ウエブ113の上方に配置された穴あけ装置120を備えたものであり、穴あけ装置120によって各袋シート3の所定の位置に開口部4が加工されるものである。開口部4の加工は、袋シート3に対して、刃物や金型による切断やレーザーによる溶断によって、貫通部を形成するものである。
【0080】
なお開口部4の加工は、送り元ロール105に巻かれる前の段階で行うようにしてもかまわない。また、穴あけステージ101の加工と切断配置ステージ102の加工とを逆止弁1つのステージで行うようにしてもかまわないが、異なるステージで行う方が製造時間の短縮の点からは有利である。
【0081】
(切断配置ステージ102について)
切断配置ステージ102は、逆止弁1を開口部4に対して位置決めした状態で仮固定するステージである(
図9及び
図10参照)。切断配置ステージ102は、
図10に示ように、保持装置121、切断装置122及び仮シール装置123を備え、さらに袋ウエブ113に対して逆止弁テープ111を供給するテープ送り装置135を備える。
【0082】
保持装置121は、袋ウエブ113の上方に送られてきた逆止弁テープ111を所定の位置で保持するための装置である。切断装置122は、保持装置121で保持された逆止弁テープ111を、一つずつの逆止弁1に切断する装置である。仮シール装置123は、逆止弁1を開口部4に対して位置決めした状態で仮固定する装置である。
【0083】
(テープ送り装置135について)
まず、テープ送り装置135から説明する。テープ送り装置135によって送られる逆止弁テープ111は、複数の逆止弁1が連続して配列されたテープ状をなし、ロール状に捲回されてセットされ、テープ送り装置135によって繰り出されて、袋ウエブ113上に供給される。この実施の形態では
図9に示されるように、平面視において、逆止弁テープ111の長手方向と略直交させて袋ウエブ113の長手方向を配置し、袋ウエブ113の送り方向と略直交した方向から逆止弁テープ111が送られて供給されている。但し、逆止弁テープ111の長手方向と袋ウエブ113の長手方向とを平行に配置し供給してもよく、傾斜した方向に配置し供給してもかまわない。
【0084】
また
図10に示すように、略水平に送られる袋ウエブ113に対して、斜め上方から逆止弁テープ111は供給される。このように袋ウエブ113を略水平に送ることによって袋ウエブ113が安定すると共に、斜め上方から逆止弁テープ111を供給することによって、平面視においていずれの方向からでも逆止弁テープ111を供給することができ、各装置の配列の自由度を増すことができる。
【0085】
テープ送り装置135は、この実施の形態においては、下ローラ136と上ローラ137とが用いられている。下ローラ136と上ローラ137は少なくともいずれか一方が数値制御にて回転するサーボモーターにより駆動されるもので、下ローラ136と上ローラ137とにより逆止弁テープ111を挟んだ状態で回転することによって、所定の寸法(一つの逆止弁1の長さ分)が、間歇的に送られる。下ローラ136と上ローラ137とは接近離反可能に配置しておくことができ、送り状態では接近し、停止状態では離反するようにして実施することもできる。なお接近離反せずに、下ローラ136と上ローラ137とを接近させた状態で逆止弁テープ111を挟み続けるようにしてもかまわない。
【0086】
また、図示は省略するが、下ローラ136と上ローラ137とに代えて、回転しない挟持体で逆止弁テープ111を挟みつけ、エアシリンダなどの移動手段によって挟持体を逆止弁テープ111の長手方向に所定の寸法だけ移動させることにより、逆止弁テープ111を送るようにしてもよい。
【0087】
(保持装置121と切断装置122について)
保持装置121は、袋シート3の開口部4の上まで、テープ送り装置135によって送られてきた逆止弁テープ111の最先端の逆止弁1を、その取り付け位置で保持するための装置である。具体的には保持装置121は、下保持体125と上保持体130とを備え、逆止弁テープ111は両者の間に通され、両者が接近することにより保持状態となり、両者が離反することにより開放状態となる。下保持体125と上保持体130とは双方をエアシリンダなどの移動手段によって動かして接近離反させてもよいが、下保持体125を固定した状態とし、上保持体130のみを移動手段によって上下に動かすようにしてもよい。
【0088】
取り付け位置で保持装置121によって保持された逆止弁テープ111は、切断装置122にて所定の切り離し位置で切断される。保持装置121には適宜の切断手段が採用され得るが、この例では刃物を逆止弁テープ111の幅方向に動かすことにより、逆止弁テープ111を切断するものが用いられている。
【0089】
そして下保持体125と上保持体130とは、切断装置122による切り離し位置の少なくとも前後何れか一方で、逆止弁テープ111を保持するものである。より望ましくは、下保持体125は、切り離し位置に対して送り元側(
図10の右側)に配置された下元保持部126と、送り先側(
図10の左側)に配置された下先保持部127とを備える。これに対応して、上保持体130は、切り離し位置に対して送り元側に配置された上元保持部131と、送り先側に配置された上先保持部132とを備える。そして、下元保持部126及び上元保持部131と、下先保持部127及び上先保持部132との間の空間(以下、切断用溝129という)を、切断装置122が移動することによって逆止弁テープ111を切断するものである。なお、下元保持部126及び上元保持部131を設けることなく、下先保持部127及び上先保持部132だけを設けて実施してもかまわないし、その逆であってもかまわないが、切り離し位置の前後の両方で保持することが最も確実な保持を実現することができる。
下先保持部127は、逆止弁テープ111の先端を下先保持部127よりも上方に案内する下先ガイド部分128を備える。この下先ガイド部分128は、下先保持部127の送り元側(図の右側)に形成された斜面として実施されている。
また上先保持部132は、逆止弁テープ111の先端を上先保持部132よりも下方に案内する上先ガイド部分133を備える。この上先ガイド部分133は、上先保持部132の送り先側(図の左側)に形成された斜面として実施されている。
なお、両ガイド部分128、133は、両方を設けて実施することが最も好ましいが、その少なくと何れか一方のみを設けるものであってもかまわない。また、両ガイド部分128、133は、下先保持部127及び上先保持部132と一体的に形成すればよいが、別体の部材として設けることも可能である。
【0090】
(仮シール装置123について)
仮シール装置123は、逆止弁テープ111から切り離される最先端の逆止弁1を開口部4に対して位置決めした状態で仮固定する装置である。仮固定の方法は、接着や粘着などであってもかまわないが、ヒートシールによる固定を好適に用いることができるものであり、仮シール装置123はヒートシール用の加熱型として実施することができる。
【0091】
(切断配置ステージ102での作動)
これらの装置による切断配置ステージ102における作動状態を
図10を参照して説明する。
(
図10(A)の工程)
図10(A)の工程は、逆止弁テープ111から先の逆止弁1が切り離されて次のステージ(固定ステージ103)へ移送された状態を示したものであり、この状態を初期状態として、下記の一連の工程が開始されるものである。なお、この図では、先の逆止弁1は図示されておらず、次の逆止弁1を切り離す前の逆止弁テープ111のみが図示されている。
【0092】
この状態では、上保持体130は上昇位置にあり、下保持体125との間は広がっている。仮シール装置123は、上保持体130と同体(接続された状態)として実施することができ、上保持体130と共に上昇位置にある。なお、仮シール装置123と上保持体130とを切り離して別々のエアシリンダなどの移動手段で昇降動動作を行うようにして実施することもできるが、両者は同じタイミングで昇降させても実施することができるため、その場合には、一体的に動くようにしておく方が、移動手段の数を少なくすることができると共に制御の単純化を図ることができる。
【0093】
切断装置122は、先の逆止弁1を切り離した状態から元の位置に戻っており、逆止弁テープ111から離れて干渉しない状態となっている。
この状態で、テープ送り装置135を作動させて、逆止弁テープ111を送り先側(図の左側)に送るものであり、その送りが完了した状態が次の
図10(B)の状態である。なお、逆止弁1が袋シート3の所定の位置に配置されるように、逆止弁1には、光電管で検知されるための検知用マーク32(
図10(A)にのみ図示)を印刷などで施し、これを検知することで位置決めの精度を高めておくことも好ましい。
【0094】
(
図10(B)の工程)
図10(B)は、上記の逆止弁テープ111を送って所定位置に位置決めしてその送りを停止する工程を示すもので、一つの逆止弁1の長さ分を1ピッチとして、1ピッチ分の送りが完了した状態を示すものである。テープ送り装置135による送りが完了した段階で、逆止弁テープ111の先端の一つ分の逆止弁1は、その先端部分が仮シール装置123の下方にまで到達している。
【0095】
この送りについて問題となるのが、逆止弁テープ111の先端辺が上先保持部132に引っ掛かってしまうという事態の発生である。
図10(A)に示すように、逆止弁テープ111は、下元保持部126と下先保持部127との間の切断用溝129の位置で切断装置122にて切断されるため、初期状態では、逆止弁テープ111の先端側は切断用溝129の中に位置している。言い換えれば、逆止弁テープ111は下元保持部126の上に乗っており、下先保持部127には到達していない。この状態でテープ送り装置135により逆止弁テープ111の送りを行うと、逆止弁テープ111の先端辺が上下方向に反っていた場合などには、下先保持部127に引っ掛かってしまい、送りができなかったり、送れても歪みが生じてしまったりするおそれがある。そこで、下先保持部127の送り元側(言い換えれば切断用溝129に面した部分)に、送り先側に向かうに従って漸次高くなるように傾斜した斜面を、下先ガイド部分128として形成する。これによって、
図10(A)の矢印に示すように、逆止弁テープ111の先端を下先保持部127よりも上方に案内することができ、上記の引っ掛かりや歪みの発生を抑制することができる。
なお、上先保持部132の送り元側(言い換えれば切断用溝129に面した部分)に、送り先側に向かうに従って漸次低くなるように傾斜した斜面を設けて実施してもかまわない。
【0096】
(
図10(C)の工程)
図10(C)は、逆止弁テープ111の送りが完了した段階で、保持装置121による逆止弁テープ111の保持を行う保持工程と、逆止弁テープ111と袋ウエブ113とを仮固定する仮シール工程を示す。まず、上述の送りが完了した段階で、保持装置121の上保持体130を下降させて、下保持体125との間で逆止弁テープ111を挟み付けることによって、同位置で保持する。この保持と同時又はこの保持の完了後に、仮シール装置123を下降させて、その熱によって逆止弁テープ111の先端と袋シート3とを溶着する。この溶着した箇所を溶着部124として
図10(C)、
図10(D)に示す。なお、この溶着部124は金型を加熱して溶着するものの他、超音波などの種々の溶融によるものや、接着や粘着に代えて実施してもかまわない。
上先保持部132には、逆止弁テープ111の先端を上先保持部132よりも下方に案内する上先ガイド部分133を備える。この上先ガイド部分133は、上先保持部132の送り先側(図の左側)に、送り先側に向かうに従って漸次低くなるように形成された斜面として実施されている。これによって、逆止弁テープ111の送りの段階で、その先端が下方(袋ウエブ113(袋シート3)に近づく方向)に案内される。これにより、仮シール装置123を下降させて、その熱によって逆止弁テープ111の先端と袋シート3とをヒートシールする際に、逆止弁テープ111が袋シート3と無理なく重なり合う状態となり、正確な位置で良好なヒートシールが行われる。従って、上先ガイド部分133の先端(図の左端)は、仮シール装置123の近くまで達していることが好ましいが、逆止弁テープ111と袋シート3とが良好に重なり合った状態でヒートシールされるのであれば、上先ガイド部分133の先端(図の左端)の手前で終わっているものであってもよい。また図では、上先ガイド部分133の下面は直線状の斜面としているが、曲線状であってもよく、階段状であってもよい。さらに、図の例では、上先ガイド部分133は、袋ウエブ113(袋シート3)や基板91には接触していないが、その少なくと先端を可撓性や弾性を有するゴムや合成樹脂などで形成することによって、袋ウエブ113(袋シート3)や基板91に接触するようにして実施することもできる。
【0097】
(
図10(D)の工程)
図10(D)の工程は切断工程を示すもので、下保持体125と上保持体130との間で保持された状態の逆止弁テープ111から、その先端の逆止弁1を切断装置122で切り離すものである。切断装置122は種々の切断手段を採用することができるが、例えば、切断装置122として刃物を用いて、その刃物を逆止弁テープ111の幅方向(
図9の左右方向)に切断用溝129内を移動させることによって、逆止弁テープ111を横断する方法を示すことができる。また、切断装置122を上下方向に移動させて切断することもできる。その際、袋ウエブ113を切断してしまうことは許されていないため、下保持体125がスペーサとして機能し、逆止弁テープ111と袋ウエブ113との間の空間を確保すると共に、下保持体125は袋ウエブ113に到達しない高さを維持して移動する。その際、切断用溝129の幅が数cm以上の大きなものとなると逆止弁テープ111や袋ウエブ113に弛みが生じてその高さが設定値を超えてしまうおそれがあるため、切断用溝129の幅は10mm以下、望ましくは5mm以下とするが、この数値に本発明は限定して理解されるべきではない。この切断工程は、下保持体125と上保持体130との間で逆止弁テープ111が保持された状態下で行うことが好ましく、下保持体125と上保持体130との間で逆止弁テープ111が保持された状態下で行うのであれば、上記の仮シール工程とのタイミングは考慮する必要はなく、いずれの工程が先であってもよく両工程が同時に行われるものであってもかまわない。但し、仮シール工程にて逆止弁1が僅かに変形することも考え得るため、仮シール工程の後で切断工程を行うことが最も適切である。いずれにしても、逆止弁テープ111は、テープ送り装置135、保持装置121、仮シール装置123の少なくとも何れか一つで保持又は固定されている状態を保つことが適当である。
【0098】
(袋ウエブ113の送り工程)
図10(D)の工程の完了後に、仮シール装置123が上昇して逆止弁1から離れて、袋ウエブ113は切断配置ステージ102における各装置から自由な状態となる。この自由状態で、袋ウエブ113は次の固定ステージ103へと送られ、次の逆止弁1の開口部4が保持装置121の位置に来た段階でその送りが停止する。この停止した状態が前述の
図10(A)の状態であり、上述の加工工程が順次繰り返される。
【0099】
(固定ステージ103について)
次に、固定ステージ103では、
図1に示す工程にて、袋シート3の固定が行われる。具体的には、開口部4の上方に逆止弁1が配置されて仮固定された状態で先の切断配置ステージ102から送られて来た袋ウエブ113の先端の袋シート3と、逆止弁1とを、貼り付けシール75(72、73及び74)によって固定するものである。より具体的には、この固定は、逆止弁1の全周を袋シート3に対して貼り付けシール75(72、73及び74)で溶着により固定するものである。
【0100】
(
図11(A)の工程)
図11(A)は、袋ウエブ113の送り過程中の状態を示すもので、未だ逆止弁1は固定ステージ103上に到達しておらず図示されていない。この固定ステージ103の基板91には、変形部81を形成するための突出部92が形成されている。この突出部92は、基板91と同様の硬質な変形しない素材によって構成することができるが、比較的軟質で大きな力が加わると変形するゴムなどの弾性を有する素材によって構成することもできる。
【0101】
突出部92の大きさは、平面視では開口部4よりも小さくすることが望ましく、また、基板91からの突出高さは、前述の変形部81の凹み深さと同程度であれば足りる。但し、この変形部81は、シート自体を完全に塑性変形させるものではないため、加工後に突出部92の高さよりも凹み深さよりも変形部81の突出高さを少し大きくしておくこともできる。
【0102】
この突出部92は、基板91上に完全に固定することもでき、着脱可能に配置することもできる。また、基板91に穴を開けて、この穴から突出部92を出没可能に配置するなどして、その突出高さを調整することができるようにしてもよい。突出部92を逆止弁1の左右幅と同じかそれ以上の長さに渡って設けることもでき、この場合には変形部81も逆止弁1の左右両辺間に伸びる状態で形成される。
【0103】
(
図11(B)の工程)
次に、開口部4と突出部92とが所定の位置関係となっている逆止弁1を取り付ける予定位置にて、袋ウエブ113の送りは一度停止する。逆止弁1が袋シート3の所定の位置に配置されるように、特に袋シート3の開口部4と逆止弁1との位置関係が正確に定まるように、逆止弁1の適宜位置(図では基礎シート31)には、光電管で検知されるための検知用マーク32を印刷などで施しておくことも好ましい。さらにまた、流路構成シート21の上面側には、密着性を調整する調整剤層22を形成しておくこともできる。この調整剤層22は、インキやシリコーン樹脂などを塗布しておくことで形成できる。前述のように、流路構成シート21の後面側と弁シート51の前面側とに自己密着性のフィルムを配置した場合、逆流を防止する逆流防止機能が強くなる反面、順流時の弁流路13の開きが悪くなる。そこで、流路構成シート21の上流側の部分に調整剤層22を形成して順流時の弁流路13の開きを促す一方、調整剤層22を流路構成シート21の下流側の部分には形成しないことによって、弁シート51との間での逆流防止機能を有効に発揮させることができる。調整剤層22は、弁シート固定部71よりも上流側に形成するだけでもよく、弁シート51との間での逆流防止機能を有効に発揮させることができることを条件に弁シート固定部71の下流側にも形成してもよい。
なお図では、検知用マーク32と調整剤層22とを
図11(B)にのみ図示したが、他の図でも同じく検知用マーク32と調整剤層22とが形成され得る。
【0104】
(
図11(C)の工程)
最後に、
図11(C)に示すように、逆止弁1の上方から、先端面が加熱された金型93が降下して、貼り付けシール75を施す。この貼り付けシール75は、従来の逆止弁の取り付け方法を実施する際に用いられるヒートシール用の一般的なもので足り、常法に従い、逆止弁1を基板91に押しつけると共に、その加熱された先端面によって、袋シート3及び逆止弁1を構成する各シートを融着する。その時、逆止弁における変形部81の形成予定位置(具体的には開口部4を中心とする位置)に、突出部92が位置合わせされているため、突出部92によって押し上げられるようにして、各シートが変形した状態で貼り付けシール75が形成される。この変形は、直接熱加工が変形部81の箇所に加えられたものではなく、その周囲の貼り付けシール75の位置でヒートシールされているに止まるため、変形部81における各シート(特に流路構成シート21及び袋シート3)はその柔軟性を維持しており、また、フィルターシート41に目詰まりが生じることもない。なお、突出部92の高さや大きさによって、開口部4以外の部分(具体的には弁シート固定部71)よりも下流側も緩やかな傾斜が生じる場合があるが、逆止弁の機能を損なわないものであれば、差し支えはない。
【0105】
(確認ステージ104について)
確認ステージ104は、正確な位置に逆止弁1が固定されているか否かを検知する確認工程を行うステージである。このステージには、
図12に示すように、所定位置に位置決めされたセンサなどの計測装置143が設けられ、計測装置143により所定位置に検知用マーク32が位置しているか否かを判断する。この計測装置143としては光電管を用いることができる他、カメラであってもよい。このカメラにより、検知用マーク32を撮影し、画像処理により検知用マーク32が所定の画像範囲144内に入っているか否かを検知するものであってもよく、モニター145にその画像を表示するようにしてもよい。この検知により正確な位置にあると判断された場合には、ラインはそのまま動き続け、不正確な位置にあると判断された場合には、ラインが停止し警報が発せられる。
【0106】
(変更例)
図4に示した逆止弁1を生産する場合にも、上述の装置を用いることができるが、逆止弁1自体に変形保持部材82が設けられているため、突出部92を用いずに、平坦な基板91のみで実施することができる。
図4(B)及び
図4(C)に示すように、平坦な基板91の所定位置に逆止弁1が配置された状態で、金型93が閉じられることで貼り付けシール75が施される。その際、変形保持部材82の存在によって、流入口11の位置でフィルターシート41が凹んだ状態となる。その結果、袋体2内の圧力が高まっても、フィルターシート41に対して弁シート固定部71によって上端が固定された弁シート51と流路構成シート21との間が拡がりやすい状態を維持することができ、先の実施の形態と同様に、順流時の流体の流れを改善することができる。また、変形部81を設けない逆止弁1を製造する場合にも、突出部92を用いずに、平坦な基板91のみで実施すればよい。
【0107】
(他の実施の形態)
上述の実施の形態にあっては、固定ステージ103において、逆止弁1の全周を袋シート3に対して貼り付けシール75で固定したが、この実施の形態にあっては、固定ステージを複数設けるものである。具体的には、
図13に示すように、2つのステージ(固定ステージ103(B)及び固定ステージ103(C))として実施するものであり、固定ステージ103(B)においては、
図13(B)に示すように、比較的細い第1弾シール76によって全周を袋シート3に対してシールし、次の固定ステージ103(C)において、
図13(C)に示すように、比較的太い幅で貼り付けシール75を形成するようにしたものである。これによって、逆止弁1における空気などの流体の漏れをより確実に抑制するようにすることができると共に、1つのステージのみで実施する場合に比して、溶着のための加熱時間を少なくすることができる。
【0108】
以上の装置及び方法によって、逆止弁1付きの袋シート3が連続した袋ウエブ113が完成され、テンション調整部107を経て送り先ロール106に巻き取られる。
図7に示すように、送り先ロール106に巻回された袋ウエブ113は、製袋機201にて定法に従い加工され、
図2(B)に示すような袋体2が完成される。この袋体2は、平袋であってもよく、サイドの襠や底面を有する袋体であってもよい。
この製袋機201は、1枚の袋シート3の平面内に逆止弁1が配置されているため、種々の形式の袋体を製造するのに用いられる種々の形態の製袋機201を幅広く採用することができる。このように、製袋機201において逆止弁1を取り付ける工程が不要となると共に、逆止弁1を設ける位置的な制約を少なくすることができるシステムを提供することができたものである。
なお、送り先ロール106に巻回することなく、袋ウエブ113を連続的に製袋機201に送り込むように、一連のラインとして実施することもできる。なお、製袋機201においては、袋ウエブ113を他の袋ウエブや補助材料を付加して製袋することができるし、また袋体2は一つづす切り離した状態であってもよく、連続したウエブの状態で生産を完了して、使用時に切り離すものであってもよい。さらにまた、製造ラインにおける袋シート113の表裏を変更することによって、外側に逆止弁1を配置した袋体2を製造することも可能である。
このように本発明は、その趣旨に反しないかぎり、種々の変更を加えて実施することができるものである。
【課題】袋体を構成する1枚の袋シートに対して、逆止弁を配置することができる袋ウエブに対する逆止弁の固定方法、逆止弁付き袋ウエブの製造装置、及び、逆止弁を備えた袋体の製造システムを提供する。
【解決手段】袋体を構成する袋シートが長手方向に連続的に配置された袋ウエブに対して、シート状の逆止弁を固定する方法及び装置である。袋ウエブ113の所定位置に通気用の開口部を形成する穴あけステージ101と、逆止弁を開口部に対して位置決めした状態で仮固定する切断配置ステージ102と、袋ウエブ113に対して、逆止弁を固定する固定ステージ103とを備える。切断配置ステージ102は、袋ウエブ113の上方に送られてきた逆止弁テープを所定の位置で保持するための保持装置と、逆止弁毎に前記逆止弁テープを切断する切断装置と、逆止弁を開口部に対して位置決めした状態で仮固定する仮シール装置とを備える。