(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記オイルパーム材の面に形成した深溝は、前記オイルパーム幹の長さ方向に垂直に切断した前記オイルパーム幹の直径の1/3以上の深さであり、全体の面に対して1本乃至4本の何れか1つとしたことを特徴とする請求項3に記載の歪除去圧密材。
前記オイルパーム材に対して特定の面に形成した深溝には、前記オイルパーム幹から得た粉体を付着させたことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の歪除去圧密材。
【背景技術】
【0002】
一般に、オイルパームの成木は単一の幹からなり高さ10〜20m以上に達する。葉は羽状で長さ3〜5m程度、若木で年間に約30枚、樹齢10年以上の木では約20枚が新しく生えている。花は3枚の花弁と3枚のがく(萼)からなり、個々には小さいが密集した集団を形成し、受粉してから果実が成熟するまでは約6ヶ月を要している。果実は油分の多い多肉質の果肉(中果皮)と、同じく油分に富んだ1つの種子からなり、果実の重さは1房あたり40〜50kg程度になる。
【0003】
19世紀後半から東南アジアのプランテーションで栽培されるようになり、オイルパームから採れる植物性油脂のヤシ油(palm oil)は、大豆や菜種等他の植物性油脂よりも生産性が高く、安価であることから、マーガリン、揚げ物用の油等の食用に使用されている。また、石鹸、化粧品等にも多用されている。近年、ヤシ油(palm oil)は、マレーシやインドネシア等の東南アジアから日本への輸出される量も増大している。したがって、オイルパームといえば、果肉と種子から取れる油脂の意味と、油椰子の幹自体を指す場合もある。
【0004】
通常、学術的にはオイルパームは、ヤシ科アブラヤシ属に分類される植物の総称で、西アフリカを原産とするギニアアブラヤシ(Elaeis guineensis)と、中南米原産のアメリカアブラヤシ(Elaeis oleifera)の2種類が有名であり、栽培品種の中にはギニアアブラヤシとアメリカアブラヤシの交配品種も存在する。特に、植物性油脂の原料となる椰子の一種であるアブラヤシ(油椰子)を「オイルパーム」と呼ぶ場合もある。
即ち、オイルパームは、果肉と種子から油脂が取れ、単位面積当たり得られる油脂の量は他の植物に対して群を抜いていることから、商業作物としてマレーシア等の東南アジア諸国を中心に大規模なプランテーション農業が行われているので、油脂の方を「オイルパーム」と呼ぶ方が著名になりつつあるかもしれない。
しかし、本発明においては、果肉と種子から取れる油脂のオイルパームを意味するものではなく、油椰子の幹自体または植物の個体全体をオイルパームと呼ぶこととする。
【0005】
このオイルパームを扱った特許出願には、特許文献1(空果房を扱った発明)に掲載のものがある。特許文献1では、オイルパームを利用した建築材料の製造方法を開示している。具体的には、パーム繊維を洗滌した後乾燥油が95%になるように乾燥する段階と、前記乾燥したパーム繊維を1〜1.5cm単位で破送・切断してパーム繊維チップを製造する段階と、前記乾燥したパーム繊維を200メッシュの粒経で粉碎する段階と、竹を200メッシュの粒経で粉碎する段階と、前記パーム繊維チップ、前記パーム繊維粉末、前記竹粉末、バイオセラミック粉末を1:1:1:1の比率で混合して主原料を製造する段階と、石炭の炭化物から200メッシュの粒経を有するフライアッシュを抽出する段階と、火炎防止剤と耐熱性樹脂である硬化用難燃樹脂を1:1の比率で混合・溶融してバインダを製造する段階と、前記製造されたバインダ20〜30重量%、前記混合した主原料50〜60重量%、フライアッシュ20〜25重量%の粉末を混合して高液状で練る段階と、前記ねりを150〜200℃の温度を発散する成形部間を通過させて1次で焼く段階と、前記焼かれた成形物を多数の上部ローラー群と下部ローラー群が後側に行くほどその間隔が徐徐に細くなるように配置された圧延部の間を通過させて徐徐に薄い厚さで圧延する段階と、前記成形物を多数の上部ローラー群と下部ローラー群からなった冷却部を通過させながら0〜4℃で冷凍させる段階と、切断シリンダーによって昇降する刃により前記成形物を一定な長さ単位で切断する段階との工程から成り立っている。
【0006】
この特許文献1では、パーム繊維を主原料として利用することにより人体に無害であるだけではなく、パーム繊維を1〜1.5cmで切断したものをパーム繊維粉末とともに使用するので、パーム繊維が周辺の他の内容物との仮橋役を成して堅固な建築材料となり、竹とバイオセラミックにより抗菌及び脱臭機能を具現化することができる。また、カビが発生しないで、遠赤外線、陰イオンの発生が期待できる。そして、不燃性廃材をリサイクルすることができ、製作コストが安くなる。更に、全ての組成物から有毒性ガスが発生しないので建築材料として安全性が高いとされている。
【0007】
また、特許文献2(空果房を扱った発明)では、板状体または成形体は、油ヤシの空果房を解繊して得た油ヤシ繊維にゴム状弾性を示す樹脂を付着し、圧縮成形することにより得られた板状体または成形体である。
したがって、オイルパームの空果房を解繊して得た油ヤシ繊維は、例えば、ココヤシ繊維等の他のヤシ繊維に比して、繊維表面にパームオイルが付着しているために繊維の撥水性が優れていると共に、繊維中に含まれるセルロース及びリグニンの量が相対的に多いので、耐水性に優れる。加えて、油ヤシ繊維は、ココヤシ繊維等の他のヤシ繊維に比して、繊維強度が大であると共に、繊維径が大きく、かつ、繊維長が長いので、寸法安定性が優れている。また、油ヤシ繊維は、その表面の凹凸が大きいと共に屈曲の強度が大きくて繊維同士のからみあいが大きいから、このことによっても寸法安定性が高められる。そのため、この板状体または成形体は、吸水、吸湿時における寸法安定性が優れている。
そして、油ヤシ繊維表面の凹凸が大きいので、ゴム状弾性を示す樹脂が油ヤシ繊維の表面の空隙に侵入して固化又は硬化し、これが釘または楔のように作用して、所謂、アンカー効果を発揮するから、油ヤシ繊維はゴム状弾性を示す樹脂により強く結合する。このことも吸水、吸湿時における寸法安定性の向上に寄与していると考えられる。
【0008】
油ヤシ繊維は、例えば、ココヤシ繊維等の他のヤシ繊維に比して、繊維の剛性及び強度が大であると共に、繊維径が大きく、かつ、繊維長が長いので、弾性回復性に優れている。また、油ヤシ繊維は、繊維の屈曲の強度が大きくて繊維同士のからみあいが大きいので、弾性回復性が高められる。そして、ゴム状弾性を示す樹脂は弾性回復性が高い。そのため、油ヤシ繊維がゴム状弾性を示す樹脂により連結されている板状体または成形体は、優れた弾性回復性を示し、歩行感及びクッション性が良く、しかも、遮音性が良い。
この板状体または成形体では、油ヤシ繊維を使用するから、他の種類のヤシ繊維に比して解繊等に要する労力が少なく、そのため、製造コスト及びエネルギーが節減でき、製品が安価となる。例えば、ココヤシ繊維では、ヤシ殻を軟化させるために長期間水中に浸漬し、その後に機械的に繊維状に解繊するために長期間多大のエネルギを必要とする。これに対してオイルパームは、もともと繊維状のままで集合体となっている空果房を解繊するから、水中浸漬の必要はなく、解繊のために要するエネルギも非常に少なくて済む。また、油ヤシ繊維はココヤシ繊維に比して発塵性が少なく、その取り扱いにおいて作業環境の悪化が避けられる。
更に、油ヤシ繊維の繊維間に大きな隙間が形成されるので、噴霧または浸漬によりゴム状弾性を示す樹脂を供給したときには、樹脂が上記隙間を介して全繊維に均等に付着し、強度分布が均一になるという板状態が得られる。
【0009】
そして、特許文献3(オイルパーム幹の発明)では、接着剤で貼り合わされた複数の単板の表面に露出している繊維に接着剤を浸透させた合板の技術を開示している。
特許文献3に係るパーム合板は、樹脂接着剤で貼り合わされた複数の単板を備え、複数の単板のうちの最も外側の少なくとも1枚の単板は、パーム単板であり、パーム単板の表面に露出しているパーム繊維に樹脂接着剤が浸透させたものである。これにより、品質が比較的良好な樹木の単板をフェイスとバックとして使用せずに、安価な廃棄材のヤシの幹から製造可能なパーム単板を使用して表面を樹脂接着剤で処理することで、低コストで合板を製造する。
また、特許文献3のパーム合板は、複数の単板を全てパーム単板とし、安価な廃棄材のヤシの幹から製造可能なパーム単板のみを使用し、互いを樹脂接着剤で接着してもよい。このときのパーム繊維に浸透させてある樹脂接着剤は、複数の単板を貼り合わせる樹脂接着剤と同系のものである。樹脂接着剤が同系であるため、安価に合板を製造することができる。なお、ここで、同系とは、同一の樹脂接着剤、配合(例えば、配合比率)を変えたものを含む。
【0010】
そして、特許文献3のパーム合板は、パーム繊維に樹脂接着剤を浸透させる面を研磨した後に、パーム繊維に樹脂接着剤を浸透させ、合板表面から突出するパーム繊維を少なくし、パーム繊維に樹脂接着剤を浸透させるものである。この合板製造方法は、複数の単板を接着剤で貼り合わせる工程と、複数の単板の表面であり、露出している繊維に接着剤を浸透させる面を研磨する工程と、研磨した面に接着剤を塗布して繊維に接着剤を浸透させる工程と、接着剤を乾燥させる工程とを備え、これにより、品質が比較的良好な樹木の単板をフェイスとバックとして使用することなく、低いコストで合板を製造することができる。
このように、特許文献3によれば、品質が比較的良好な樹木の単板をフェイスとバックとして使用せずに、低いコストで製造が可能な合板およびパーム合板、合板製造方法が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このように、特許文献1及び特許文献2は、何れもオイルパームの果実の空果房を解繊して得た油ヤシ繊維の利用であり、直接的にオイルパームの幹を利用するものではない。しかし、オイルパームの幹は成木で20m以上となり、全体の90〜95%を占める容積率であることからその利用が望まれていた。
特に、マレーシア等の東南アジア等では、パームオイルの生産のためにオイルパームが栽培されているが、パームオイル採取後の空果房には繊維等が多く含まれていることから、その空果房は繊維ボード等種々の用途に活用されている。しかし、毎年伐採されているヤシの幹は有効に活用されておらず、廃棄処分されているのが現状である。
また、特許文献3には、最も外側の少なくとも1枚の単板がパーム単板を複数樹脂接着剤で貼り合わせる工程と、パーム単板の表面であり、露出しているパーム繊維に樹脂接着剤を浸透させる面を研磨する工程と、研磨した面に樹脂接着剤を塗布してパーム繊維に樹脂接着剤を浸透させる工程と、樹脂接着剤を乾燥させる工程とを備えた合板製造方法を開示している。しかし、オイルパームの単板に如何に樹脂接着剤を塗布するか、露出しているパーム繊維に樹脂接着剤を浸透させるかについては説明されておらず不明であり、具体的な合板の製造方法が不明である。少なくとも、オイルパームの単板を複数樹脂接着剤で貼り合わせるという樹脂接着剤の使用を前提としている。
【0013】
故に、特許文献3の技術は、一般に合板と呼ばれているもので、ベニヤ材と呼ばれているラワン(lauan)合板、そのラワン合板の表面にシナ材が仕上げに貼られているシナ合板等と同じである。しかし、パーム単板を複数樹脂接着剤で貼り合わせも、スポンジ状の柔らかさがあり、用途が限られている。
また、近年解ったことに維管束がオイルパーム幹に平行に形成されているもののみではなく、オイルパーム幹に対して螺旋状に巻回しながら上方に伸びるものの存在が明らかになってきた。オイルパーム幹に対して当該螺旋状に巻回しながら上方に伸びる維管束は、オイルパーム幹の中心付近の密度は薄く、オイルパーム幹の外周付近の密度は高くなっている。勿論、オイルパーム幹に対して当該螺旋状に巻回しながら上方に伸びる維管束に限らず、維管束は、オイルパーム幹の中心付近に比較して周辺の維管束の密度が高くなっている。
【0014】
オイルパーム幹に対して螺旋状に巻回しながら上方に伸びる維管束は、オイルパーム幹から所定の幅、厚み、長さでオイルパーム材を切り出すと、少なくとも、オイルパーム幹の中心軸側に維管束の端部が現れる。維管束外周には、10〜30μmの程度の大きさの非常に硬いシリカ結晶が藤壺(フジツボ)のようにびっしりと付着し、また、そのシリカ結晶の端部はシャープな突起を多く有しており、特に、シャープな突起は「カメノテ」が開いた状態のようになっているから、硬いものでも傷をつける危険性がある。そこで、本願出願人は、維管束の端部が露出面に出てこないオイルパーム圧密材及びその製造装置、その製造方法を発明した。
【0015】
その実施物の製造に入ったが、所定の幅、厚み、長さで切り出したオイルパーム材は、オイルパーム幹から製材した所定の形状のオイルパーム材は、所定の幅、厚み、長さに切り出したものと、所定長のオイルパーム幹をその周方向に回転させながらロータリーレースで外周から所定の厚みに剥いて形成した所定の幅、厚み、長さのオイルパーム板とは、微妙な性質の違いが出てきた。即ち、ロータリーレースで外周から所定の厚みに剥いて形成した所定の幅、厚み、長さのオイルパーム板では捻じれ、ゆがみ等の歪が無視できたが、所定長のオイルパーム幹WDをその周方向に所定の厚みに製材したオイルパーム材Wの捻じれ、ゆがみ等の歪は無視できないものがある。
【0016】
そこで、本発明はかかる不具合を解決すべくなされたものであって、オイルパーム幹を廃棄処分することなく、かつ、オイルパームが本来的に有している成分を利用して機械的に接合し、全体の機械的強度を上げ、オイルパーム圧密加工材の直線性を良くした歪除去圧密材及びその製造装置、その製造方法の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
請求項1の発明にかかる歪除去圧密材の製造装置としてのオイルパーム歪除去圧密材の製造装置は、切り出し手段でオイルパーム幹から所定の幅、厚み、長さでオイルパーム材を切り出し、深溝形成手段で前記オイルパーム幹を略螺旋状に伸びる維管束を切断して、前記オイルパーム材に対して特定の面から深溝を形成し、強制乾燥手段で前記深溝を形成したオイルパーム材を強制乾燥させ、熱板加熱圧縮手段で前記オイルパーム材の面を熱板で加熱し、かつ、圧縮力を付与し、前記熱板加熱圧縮手段で所定時間加熱及び圧縮力を供給した後、熱板冷却解圧手段で前記オイルパーム材の温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧するものである。
ここで、上記切り出し手段は、オイルパーム幹から所定の幅、厚み、長さでオイルパーム材を製材して切り出すものである。
また、上記深溝形成手段は、前記オイルパーム幹を略螺旋状に伸びる維管束を切断して、前記オイルパーム材に対して特定の面から深溝を形成するものであればよく、通常、鋸の目立てされた厚みが溝として形成される2〜10mm程度の幅の溝であり、前記オイルパーム幹の直径の1/3以上の深さである。
そして、上記強制乾燥手段は、前記深溝を形成したオイルパーム材を、前記深溝を利用して効率よく強制乾燥させるものである。
更に、上記熱板加熱圧縮手段は、前記オイルパーム材の面を熱板で加熱し、かつ、圧縮力を付与し、前記熱板加熱圧縮手段で所定時間加熱及び圧縮力を供給するものであり、所定の圧密加工の圧縮を行い、また、上記熱板冷却解圧手段は、前記オイルパーム材の温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧しても、所定の圧密加工の状態が維持できるようにするものである。
【0018】
請求項2の発明にかかる歪除去圧密材の製造装置のオイルパーム歪除去圧密材の製造方法は、切り出し工程でオイルパーム幹から所定の幅、厚み、長さでオイルパーム材を切り出し、深溝形成工程で前記オイルパーム幹を略螺旋状に伸びる維管束を切断して前記オイルパーム材に対して特定の面から深溝を形成し、強制乾燥工程で前記深溝を形成したオイルパーム材を強制乾燥させ、熱板加熱圧縮工程で前記オイルパーム材の面を熱板で加熱し、圧縮力を付与し、前記熱板加熱圧縮手段で所定時間加熱及び圧縮力を供給した後、熱板冷却解圧工程で前記オイルパーム材の温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧するものである。
ここで、上記切り出し工程は、オイルパーム幹から所定の幅、厚み、長さでオイルパーム材を製材して切り出すものであり、板状でも柱状でもよい。
また、上記深溝形成工程は、前記オイルパーム幹を略螺旋状に伸びる維管束を切断して、前記オイルパーム材に対して特定の面から深溝を形成するものであればよく、通常、鋸の溝として形成される2〜10mm程度の幅の溝である。また、深さは、オイルパーム幹の芯の中心の±50までの距離で、含水率の高い場所である。
そして、上記強制乾燥工程は、前記深溝を形成したオイルパーム材を、前記深溝を利用して、その含水率の高い中心からも効率よく強制乾燥させるものである。
更に、上記熱板加熱圧縮工程は、前記オイルパーム材の面を熱板で加熱し、かつ、圧縮力を付与し、前記熱板加熱圧縮工程で所定時間加熱及び圧縮力を供給するものであり、所定の圧密加工の圧縮を行い、また、上記熱板冷却解圧工程は、前記オイルパーム材の温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧しても、所定の圧密加工の状態が維持できるようにするものである。
【0019】
請求項3の発明にかかる歪除去圧密材としてのオイルパーム歪除去圧密材は、オイルパーム幹から所定の幅、厚み、長さで切り出してなるオイルパーム材に、略螺旋状に伸びる維管束を切断するように、前記オイルパーム材に対して特定の面から深溝を形成し、前記深溝を形成した前記オイルパーム材を乾燥させ、前記乾燥させたオイルパーム材の面を熱板で加熱し、圧縮力を付与し、所定時間加熱及び圧縮力を供給した後、前記オイルパーム材の温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧したものである。
ここで、上記オイルパーム材は、オイルパーム幹から所定の幅、厚み、長さで製材して切り出したものである。
また、上記深溝は、前記オイルパーム幹を略螺旋状に伸びる維管束を切断して、前記オイルパーム材に対して特定の面から深溝を形成したものであればよく、通常、鋸の溝として形成される2〜10mm程度の幅の溝である。
そして、上記強制乾燥は、前記深溝を形成したオイルパーム材を、前記深溝を利用して効率よく強制乾燥させるものである。
更に、上記熱板加熱圧縮は、前記オイルパーム材の面を熱板で加熱し、かつ、圧縮力を付与し、前記熱板加熱圧縮で所定時間加熱及び圧縮力を供給するものであり、所定の圧密加工の圧縮を行い、また、上記熱板冷却解圧は、前記オイルパーム材の温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧しても、所定の圧密加工の状態が維持できるようにするものである。
【0020】
請求項4の発明にかかる歪除去圧密材としてのオイルパーム歪除去圧密材の前記オイルパーム材に対して特定の面に形成した深溝は、前記オイルパーム幹の直径の1/3以上の深さであり、全面に対して1本から4本の何れか1つとしたものであり、オイルパーム幹の長さ方向に垂直に切断した芯に至る深さとしたものである。
ここで、深溝は、四角柱の1面に1本から、全面に垂直に形成した計4本の深溝をとすることができ、その深さも、オイルパーム幹の芯に至るまでの深さは、正確に芯の中心までの距離を意味するものではなく、オイルパーム幹の含水率の高い芯の中心から±50mm以内であればよい。また、その幅は、通常、鋸の溝として形成される2〜10mm程度の溝である。
【0021】
請求項5の発明にかかる歪除去圧密材としての前記オイルパーム材に対して特定の面に形成した深溝には、前記オイルパーム幹から得た粉体を付着させたものである。
ここで、前記深溝には、前記オイルパーム幹から得た粉体を付着させて接合したものである。この付着には、粉体を流体として付着させてもよいし、粉体の状態で挿入してもよい。前記オイルパーム幹から得た粉体には、前記オイルパーム幹の製材によって発生する大鋸屑等を乾燥させて粉体化したものである。
【0022】
請求項6の発明にかかる歪除去圧密材としてのオイルパーム歪除去圧密材は、オイルパーム以外の木材から形成され、特定方向に伸びた芯材と、前記芯材の周面に配置され、前記オイルパーム幹を略螺旋状に伸びる維管束を切断するように切断して所定の幅、厚み、長さに形成されたオイルパーム材と、前記芯材及び前記オイルパーム材を乾燥させ、前記乾燥させた前記芯材及び前記オイルパーム材の面を熱板で加熱し、圧縮力を付与し、所定時間加熱及び圧縮力を供給した後、前記芯材及び前記オイルパーム材の温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧したものである。
ここで、上記芯材は、オイルパーム以外の木材から形成された四角柱状の木材を入れ、その特定方向に伸びた前記芯材の周面に、前記オイルパーム幹を略螺旋状に伸びる維管束を切断するように切断して所定の幅、厚み、長さに形成されたオイルパーム材を配設したものである。
また、前記芯材及びオイルパーム材は、乾燥させ、前記乾燥させた前記芯材及び前記オイルパーム材の面を熱板で加熱し、圧縮力を付与し、所定時間加熱及び圧縮力を供給した後、前記芯材及び前記オイルパーム材の温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧し手固定化したものである。
【0023】
請求項7の発明にかかる歪除去圧密材としてのオイルパーム歪除去圧密材は、前記芯材の周囲に前記オイルパーム幹から得た粉体を付着させて接合したものである。この付着には、液体として付着させてもよいし、粉体として付着させてもよい。
【発明の効果】
【0024】
請求項1の歪除去圧密材の製造装置としてのオイルパーム歪除去圧密材の製造装置は、オイルパーム幹から所定の幅、厚み、長さでオイルパーム材を切り出し、前記オイルパーム幹を略螺旋状に伸びる維管束を切断するように前記オイルパーム材に対して深溝を形成したものである。これによって、オイルパーム幹の長さ方向に螺旋状に形成されている維管束の周方向の力が切断され、膨張収縮力が断たれ、しかも、前記オイルパーム材の乾燥が内部と表面からと同時に開始されるから、オイルパーム材が厚くても、四角柱等の柱状であっても、捻じれ、ゆがみ等の歪が無視できる。そこで、前記深溝を形成したオイルパーム材を強制乾燥させ、前記オイルパーム材の面を熱板で加熱し、圧縮力を付与し、前記熱板加熱圧縮手段で所定時間加熱及び圧縮力を供給した後、前記オイルパーム材の温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧することにより、オイルパーム板が厚くても、四角柱等の柱状であっても、捻じれ、ゆがみ等の歪が修正され、厚いオイルパーム板或いは柱状の建材が得られる。
したがって、オイルパーム幹を廃棄処分することなく、かつ、オイルパームが本来的に有している成分を利用して機械的に接合し、機械的強度を上げ、オイルパーム圧密加工材の直線性を良くしたオイルパーム歪除去圧密材の製造装置となる。
【0025】
請求項2の歪除去圧密材としてのオイルパーム歪除去圧密材の製造方法は、オイルパーム幹から所定の幅、厚み、長さで切り出すオイルパーム材の切り出し、前記オイルパーム幹を略螺旋状に伸びる維管束を切断して前記オイルパーム材に対して特定の面から深溝を形成し、前記深溝を形成したオイルパーム材を強制乾燥させ、前記オイルパーム材の面を熱板で加熱し、圧縮力を付与し、所定時間加熱及び圧縮力を供給した後、前記オイルパーム材の温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧したものである。
したがって、オイルパーム幹から所定の幅、厚み、長さでオイルパーム材を切り出し、このとき前記オイルパーム幹を略螺旋状に伸びる維管束を切断するように前記オイルパーム材に対して深溝を形成したものであるから、オイルパーム幹の長さ方向に螺旋状に形成されている維管束の周方向の力が切断され、維管束による強い膨張収縮力が断たれ、しかも、前記オイルパーム材の乾燥が内部と表面からと同時に開始されるから、オイルパーム板が厚くても、四角柱等の柱状であっても、捻じれ、ゆがみ等の歪が無視できる。そこで、前記深溝を形成したオイルパーム材を強制乾燥させた状態で、前記オイルパーム材の面を熱板で加熱し、圧縮力を付与し、前記熱板加熱圧縮手段で所定時間加熱及び圧縮力を供給した後、前記オイルパーム材の温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧することにより、オイルパーム板が厚くても、柱状であっても、捻じれ、ゆがみ等の歪が修正され、厚いオイルパーム板或いは四角柱等の柱状の建材が得られる。
よって、オイルパーム幹を廃棄処分することなく、かつ、オイルパームが本来的に有している成分を利用して機械的に接合し、機械的強度を上げ、オイルパーム圧密加工材の直線性を良くしたオイルパーム歪除去圧密材の製造方法となる。
【0026】
請求項3の歪除去圧密材としてのオイルパーム歪除去圧密材は、オイルパーム幹から所定の幅、厚み、長さで切り出してなるオイルパーム材に対して特定の面から深溝を形成したものであるから、オイルパーム幹の長さ方向に螺旋状に形成されている維管束の周方向の力が切断され、膨張収縮力が断たれ、しかも、前記オイルパーム材の乾燥が内部と表面からと同時に開始されるから、オイルパーム板が厚くても、柱状であっても、捻じれ、ゆがみ等の歪が無視できる。そこで、前記深溝を形成したオイルパーム材を強制乾燥させ、前記オイルパーム材の面を熱板で加熱し、圧縮力を付与し、前記熱板加熱圧縮手段で所定時間加熱及び圧縮力を供給した後、前記オイルパーム材の温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧することにより、オイルパーム板が厚くても、四角柱等の柱状であっても、捻じれ、ゆがみ等の歪が修正され、厚いオイルパーム板或いは柱状の建材が得られる。
【0027】
請求項4の歪除去圧密材としてのオイルパーム歪除去圧密材の前記オイルパーム材に対して特定の面に形成した深溝は、前記オイルパーム幹の直径の1/3以上の深さで、面全体に対して1本から4本、例えば、1面に1本、対向する2面に2本、四角柱等の柱状の各面に1本づつの計4本の何れか1つとしたものであり、オイルパーム幹の長さ方向に垂直に切断した芯に至る深さとしたものであるから、請求項3に記載の効果に加えて、オイルパーム幹自体が持っている歪の要因に応じて全面に対して1本から4本の深溝の何れか1つとし、特に、深溝は、四角柱の1面に1本から、各面に垂直の深溝とすることができ、その深さも、オイルパーム幹の芯に至るまでの深さは、正確に芯の中心までの距離を意味するものではなく、前記オイルパーム幹の直径の1/3以上の深さで、通常、芯の中心から例えば、±50mm以内としたものであるから、特に中心の含水率が400%以上の位置に溝ができるので、オイルパームの含水率の高い部分から直接乾燥を開始でき、乾燥をオイルパーム幹の外部と内部を同時に行うことができ、その歪の量を少なくすることができる。
【0028】
請求項5の歪除去圧密材としてのオイルパーム歪除去圧密材の前記オイルパーム材に対して特定の面に形成した深溝には、前記オイルパーム幹から得た粉体を付着させたものであるから、請求項3または請求項4に記載の効果に加えて、深溝の開口をオイルパーム自身が含有するリグニン等の樹脂成分及びセルロース、ヘミセルロース等の糖類の作用によって接合されるときの圧縮力によって、オイルパーム材の空隙が殆どなくなり、緻密な組織の接合体とすることができる。
【0029】
請求項6の歪除去圧密材としてのオイルパーム歪除去圧密材は、オイルパーム以外の木材から形成され、特定方向に伸びた芯材と、前記芯材の周面に配置され、前記オイルパーム幹を略螺旋状に伸びる維管束を切断して所定の幅、厚み、長さに形成されたオイルパーム材と、前記芯材及び前記オイルパーム材を乾燥させ、前記乾燥させた前記芯材及び前記オイルパーム材の面を熱板で加熱し、圧縮力を付与し、所定時間加熱及び圧縮力を供給した後、前記芯材及び前記オイルパーム材の温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧したものである。
したがって、オイルパーム以外の木材から形成された特定方向に伸びた芯材を中心に、オイルパーム幹から所定の幅、厚み、長さでオイルパーム材を切り出し、前記オイルパーム幹を略螺旋状に伸びる維管束を切断し、所定の幅、厚み、長さでオイルパーム材を切り出し、前記芯材に対してオイルパーム材を接合したものであるから、オイルパーム幹の長さ方向に螺旋状に形成されている維管束の周方向の力が切断され、維管束による強い膨張収縮力が断たれ、しかも、前記オイルパーム材の乾燥が個別にできるから、オイルパーム板が厚くても、四角柱等の柱状であっても、捻じれ、ゆがみ等の歪が無視できる。また、強制乾燥させた前記オイルパーム材の面を熱板で加熱し、圧縮力を付与し、前記熱板加熱圧縮手段で所定時間加熱及び圧縮力を供給した後、前記オイルパーム材の温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧することにより、オイルパーム板が厚くても、柱状であっても、捻じれ、ゆがみ等の歪が修正され、厚いオイルパーム板或いは柱状の建材が得られる。
よって、オイルパーム幹を廃棄処分することなく、かつ、オイルパームが本来的に有している成分を利用して機械的に接合し、機械的強度を上げ、オイルパーム圧密加工材の直線性を良くしたオイルパーム歪除去圧密材の製造方法となる。
【0030】
請求項7の歪除去圧密材としてのオイルパーム歪除去圧密材の前記芯材の周囲には、前記オイルパーム幹から得た粉体を付着させたものであるから、請求項6に記載の効果に加えて、前記芯材の周囲に前記オイルパーム幹から得た粉体を付着された状態で圧密加工されるから、オイルパーム自身が含有するリグニン等の樹脂成分及びセルロース、ヘミセルロース等の糖類の作用によって接合される成分の補給となり、緻密な組織の接合体とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態において、図中の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
【0033】
まず、この発明の実施の形態で使用するオイルパーム幹WDは、木材の板目と柾目を製材するように製材を行うと、
図1に示すように、何れも柾目状に繊維(維管束)が並ぶ面になる。即ち、国産材の桧や杉のような年輪がなく、畳表の藺草のように0.2〜1.0mmの維管束繊維がオイルパーム幹WDの長さ方向に延びている。維管束のオイルパーム幹WDの長さ方向に伸びる維管束密度は、中心からの位置によって違いが出ている。維管束の密度は、中心付近が疎で、外周に近いほど密になっている。ところが、オイルパーム幹WDの外周に近い位置では、維管束のオイルパーム幹WDの長さ方向に伸びる維管束のみではなく、オイルパーム幹WDの長さ方向に螺旋状に巻回されている維管束Kが存在し、その密度が高くなっている。
【0034】
オイルパーム幹WDの成分は産地によって若干違いがあるが、その差は僅かであり、一般にセルロース30.6重量%、ヘミセルロース33.2重量%、リグニン(総リグニン28.5重量%=クラーソンリグニン24.7重量%+酸可溶性リグニン3.8重量%)、抽出成分3.6重量%、灰分4.1重量%といわれており、Characterization in Chemical Composition of the Oil Palm (Elaeis guineensis) (Journal of the Japan Institute of Energy,87,383-388(2008))にも記載がある。
視認できる0.2〜1.0mmの繊維、即ち、維管束と維管束の間はリグニン等の樹脂成分及びセルロース、ヘミセルロース等の糖類、少ない空孔等、柔細胞によって一体になっている。
【0035】
図2(a)に示すように、オイルパーム幹WDの長さ方向に対し垂直に切断した断面は、
図2(b)の表に示すように、オイルパーム幹WDの中心を挟み直径の1/3の径程度が中心部のA領域、中心部のA領域の外側の径で直径の1/3乃至1/6の範囲が内部領域となるB領域、A領域の外側の径から1/6の範囲が外部のC領域とすると、乾燥重量を基準とする各部位の含水率は、A領域が502%、B領域が313%、C領域が217%である。また、糖濃度は、A領域が67.5mg/ml、B領域が76.6mg/ml、C領域が55.4mg/mlである。
【0036】
即ち、糖濃度は、A領域が67.5mg/ml、B領域が76.6mg/mlであるから、乾燥できない程度に高い糖濃度ではない。しかし、水分の蒸発によって糖濃度が高くなると、柔細胞の水分の蒸発部位が変化が予測される。
本件発明者らは、熱板加熱等による乾燥の際に含水率の低い方から順次乾燥させ、含水率の高い方が最後に乾燥させられるものであることから、この糖分濃度と含水率の関係と、乾燥の進行によって、所定の厚みに製材したオイルパーム材Wの捻じれ、ゆがみ等の歪が発生していると推定した。
【0037】
そこで、本件発明者らは、オイルパーム材Wの捻じれ、ゆがみ等の歪は、オイルパーム幹WDの中心部のA領域の位置と他の部分との乾燥開始及び終了のタイムラグが要因であることを、中心部のA領域を他の領域と同様に、初期状態から加熱し、そして、乾燥させると、オイルパーム材Wの捻じれ、ゆがみ等の歪の量が激減することによって確認した。
したがって、オイルパーム幹WDから製材したオイルパーム材Wに対して、特定の面から廻転鋸刃等によって深溝(
図3(a)の深溝M)を形成することにより、オイルパーム材Wの乾燥のタイムラグを少なくすることができることを見出した。
【0038】
一方、
図1(a)及び(b)に示すように、オイルパーム幹WDの長さ方向に螺旋状に巻回されている維管束Kは、外部から加える圧縮力でその径が小さくなったり、大きくなったりすることはない。そのため、オイルパーム材Wを圧密加工する場合には、全体の何れか最も弱い個所にその歪が出ることになる。それがまた、オイルパーム材Wの捻じれ、ゆがみ等の歪の要因となっていると予測される。
そこで、本件発明者らは、オイルパーム材Wの乾燥工程において、オイルパーム幹WDから所定の幅、厚み、長さでオイルパーム材Wを製材等で切り出されるとき、前記オイルパーム幹を略螺旋状に伸びる維管束Kを切断するように、
図3に示すように、オイルパーム材Wに対して特定の面に深溝M(格別、オイルパーム材Wの溝の位置及び数を意図しない場合には、単に深溝Mと記す)を形成したものである。
【0039】
深溝Mは、オイルパーム幹WDから所定の幅、厚み、長さで切り出してなるオイルパーム材Wに対して特定の面に対して、
図2(a)のオイルパーム幹WDの直径の1/3の径程度の中心部のA領域まで溝を形成したものである。これにより、乾燥重量を基準とするA領域の含水率は、502%で、B領域が313%、C領域が217%であるから、含水率の大きい位置からも同時に乾燥を開始することができる。
また、オイルパーム幹WDの直径の1/3の径程度の中心部A領域まで深溝Mを形成することにより、前記オイルパーム幹を略螺旋状に伸びる維管束Kをまとめて切断することになり、略螺旋状に伸びる維管束Kは、少なくとも切断された範囲で変型が可能となり、また、その範囲で維管束Kは歪エネルギを蓄積するが連続する長さが制限されるから、大きな歪エネルギは蓄積できない。
【0040】
したがって、略螺旋状に伸びる維管束Kを切断することは、
図3(b)のように、対向する面に互いに近接して並行する深溝M1及び深溝M2を形成することになり、より効率的に乾燥できる条件及び略螺旋状に伸びる維管束Kを更に略1/2に切断するので、維管束Kの変位しようとする歪エネルギをより小さくすることができる。
また、更に、
図3(c)に示すように、対向する2面、即ち、四角柱等の柱状の4面に互いに近接して並行する深溝M1及び深溝M2、深溝M3及び深溝M4を形成すると、より効率的に乾燥できる条件及び略螺旋状に伸びる維管束Kを略1/4に切断するので、維管束Kの変位しようとする歪エネルギをより小さくすることができる。
【0041】
このように、オイルパーム幹WDの長さ方向に螺旋状に形成されている維管束Kは、その長さ方向に対する垂直方向の切断面を圧密加工によって二次元的な小面積とするとき、螺旋状に形成されている維管束Kはその径を小さくできないので現状を維持しようとする作用が発揮される。しかし、
図3のように、略螺旋状に伸びる維管束Kを切断すると、切断された螺旋状に形成されている維管束Kは、二次元的な小面積となり、また、オイルパーム幹WDの長さ方向のピッチの変更も可能となり、内部ひずみが除去できる。
したがって、所定の位置の維管束Kによって特定部位に歪が入ることがなくなる。
【0042】
このように、オイルパーム幹WDの長さ方向に螺旋状に形成されている維管束Kの周方向の力が切断され、膨張及び収縮力が断たれ、しかも、前記オイルパーム材Wの乾燥が内部と表面からと同時に開始されるから、オイルパーム材Wが厚くても、柱状であっても、内部応力が小さくなるから、捻じれ、ゆがみ等の歪が無視できる。そこで、前記深溝Mを形成したオイルパーム材Wを強制乾燥させ、オイルパーム材Wの面を熱板で加熱し、圧縮力を付与し、所定時間加熱及び圧縮力を供給した後、オイルパーム材Wの温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧することにより、オイルパーム材Wが厚くても、四角柱等の柱状であっても、捻じれ、ゆがみ等の歪が修正され、厚いオイルパーム板或いは柱状を圧密加工したオイルパーム歪除去圧密材が得られる。
【0043】
本件発明者らは、乾燥重量を基準とするA領域の含水率は、502%で、B領域が313%、C領域が217%であり、A領域の含水率とC領域の含水率が2,5倍近くあり、均一乾燥でき難いこと。及び乾燥重量を基準とする含水率であるから、乾燥した場合には、質量が同一となれば、量的にA領域はC領域の1/3程度に減少する。圧密加工材としても、圧密加工材の部分的に実質的な密度が異なることになる。
例えば、四角柱等の柱状であったとき、捻じれ、ゆがみ等の歪が修正されているが、その芯と外周の面との柔細胞の密度に違いが生じ、それが経年変化により、全体が内部歪によって湾曲する可能性がある。
【0044】
そこで、発明者らは、全体が内部歪によって湾曲する可能性を除去し、経年変化によっても変化し難い構造のオイルパーム歪除去圧密材として、
図4に示すように、芯材Pにオイルパーム材以外の材料を使用したところ、期待していた通りの結果が得られた。この芯材Pとしては、桧、杉、米桧、桧葉、米杉、唐松、赤松、栗、欅、槇、樫、桜、樅、栂等の木目を生かした材料が使用できる。
ただし、経年変化に関するデータは、法的な試験方法が確立されていないことから、60℃の湯及び20度の水に交互に浸漬させた耐久試験を行って、
図3(c)に示すオイルパーム歪除去圧密材よりも湾曲量が少ないことが確認されたものである。
【0045】
即ち、四角柱等の柱状の芯材Pとして杉材を使用した。また、その4面に接合するオイルパーム材W1,・・,W4としては、
図5に示す製材を行った。
図5(a)に示すように、4本のオイルパーム材W1,・・,W4を環状に製材した事例で、芯部Rはオイルパームの粉体とした事例である。
図5(b)に示すように、オイルパーム幹1本から平行に4本のオイルパーム材を製材した事例、
図5(c)に示すように、オイルパーム幹1本から平行に2本のオイルパーム材を製材した事例で、他のオイルパーム幹から得た2本のオイルパーム材と共に4本とした。
【0046】
これらの4本のオイルパーム材W1,・・,W4は、芯材Pの周囲に配設し、その状態で4本のオイルパーム材W1,・・,W4及び芯材Pを同時に圧密加工した。このとき、4本のオイルパーム材W1,・・,W4は芯材Pの4面に接合し、かつ、全体が所定の圧縮率で圧縮され、固定化した。
図5の4本のオイルパーム材W1,・・,W4は、何れによって製材しても、
図4(c)の形態のオイルパーム歪除去圧密材が得られた。また、圧密加工する前に、四角柱等の柱状の芯材Pに
図5(a)に示す芯部Rを微粉末に粉体化して、それを4面に付着させて接合させると、より強靭な接合力が得られる。しかし、芯材Pと4本のオイルパーム材W1,・・,W4のみでも、オイルパーム材W1,・・,W4の有する自己接着能力により、十分な接合力が得られた。
なお、
図4及び
図5に示す実施の形態2のオイルパーム歪除去圧密材の製造方法は、
図3に示す実施の形態1と相違するものではない。また、
図4のオイルパーム材W1,・・,W4についても深溝Mを入れることができる。
【0047】
次に、本実施の形態1にかかるオイルパーム歪除去圧密材、及びオイルパーム歪除去圧密材の製造装置、オイルパーム歪除去圧密材の製造方法について図を用いて具体的に説明する。
本実施の形態にかかるオイルパーム歪除去圧密材を構成するオイルパーム材Wの形成について
図1を用いて説明する。
オイルパーム材Wは、20年以上成長した単一の幹を所定長のオイルパーム幹WDとして切断し、通常の木材と同様に、所定幅及び厚み、所定長のオイルパーム材Wが製材される。
なお、オイルパーム幹WDを除くオイルパームの葉、空果房、根等は、チップ状に裁断され、好気性細菌処理によってコンポスト化(堆肥化)する有機廃棄物発酵処理方法によって処理される。特に、空果房は他の実用性のある処理を行ってもよい。また、細かく破砕し、粉体化して、セルロース、ヘミセルロース、リグニン等の成分抽出を行って、接合補助にそれを芯材Pの4面の接合材として、深溝Mの溝埋め兼用接合材として利用してもよい。
【0048】
本実施の形態1では、オイルパーム材Wの形状は限定されるものではないが、本実施の形態では、所定の面積、所定の厚みの柱状のオイルパーム材Wの1本を形成する事例で説明する。所定の厚み、所定の幅、所定の長さのオイルパーム材Wは、
図3(a)のように、オイルパーム幹WDからオイルパーム材Wを形成し、その中心から放射方向に深溝M1を形成する。本来、深溝M1は、オイルパーム幹WDの中心から放射方向に形成するのが望ましいが、直径50cmのオイルパーム幹WDは、切除部分を除くと50%の圧縮率で1辺が約20cm、60%の圧縮率で1辺が約16cmの柱となる。
このとき、深溝M1は柱体からなるオイルパーム材Wの中心まで形成することになり、具体的に10cmまたは8cmの深さとなる。結果的には、
図2(a)のオイルパーム幹WDの直径の1/3の径程度の中心部のA領域まで溝を形成したものであればよい。
【0049】
ここでは、四角柱等の柱状のオイルパーム歪除去圧密材を前提に説明したが、本発明を実施する場合には、
図1に示すオイルパーム板状のものであってもよい。
深溝Mの位置は、オイルパーム材Wの断面を均等分する位置に入れるのが望ましい。即ち、深溝Mによって
図2(a)のオイルパーム幹WDの直径の1/3の径程度の中心部のA領域まで溝を形成したものであり、深溝Mによってオイルパーム材Wの各部の肉厚が略均一の厚みになることが望ましい。このように、深溝Mは、通常、全体の厚みのバランスを考慮して、縦または横に深溝Mを形成している。
【0050】
因みに、
図3(a)では肉厚が上下に均一になっており、かつ、深溝M1が中心部A領域まで届いている。
図3(b)では深溝M1及び深溝M2を挟んで、肉厚が深溝Mの表面から均一になっており、かつ、深溝M1及び深溝M2が中心部A領域まで届いている。そして、
図3(c)では深溝M1及び深溝M2並びに深溝M3及び深溝M4を挟んで、肉厚が均一になっており、かつ、深溝M1及び深溝M2並びに深溝M3及び深溝M4が中心部のA領域まで届いている。
したがって、オイルパーム材Wの各部分が略同時に乾燥を開始するから、部分的に乾燥の進行が進んだり、遅れたりしないから、例えば、四角柱等の柱状であったとき、捻じれ、ゆがみ等の歪が発生し難くなる。
【0051】
図3(b)のように、対向する面に互いに近接して並行する深溝M1及び深溝M2を形成すると、略螺旋状に伸びる維管束Kを切断し、より効率的に乾燥できる条件に加えて、略螺旋状に伸びる維管束Kを更に1/2の弧として切断するので、維管束Kの変位しようとする歪エネルギをより小さくすることができる。
また、
図3(c)に示すように、対向する2面、即ち、四角柱等の柱状の4面に互いに近接して並行する深溝M1及び深溝M2、深溝M3及び深溝M4を形成すると、より効率的に乾燥できる条件及び略螺旋状に伸びる維管束Kを略1/4の弧として切断するので、維管束Kの変位しようとする歪エネルギを更に小さくすることができる。
【0052】
このように深溝Mが形成されたオイルパーム材Wは、強制乾燥される。具体的には、本実施の形態1のオイルパーム歪除去圧密材の製造装置においては、マイクロ波を用いたオイルパームの乾燥装置100による乾燥工程で処理される。
この乾燥工程におけるオイルパーム材Wの乾燥方法としては、強制乾燥または自然乾燥(天日乾燥)がある。強制乾燥としては、例えば、高温蒸気を熱源とし、その熱風をオイルパーム材Wに吹き付けたり、プレス盤で加熱圧搾したりすることによってオイルパーム材Wの外部から加熱する外部加熱方式や、オイルパーム材Wに誘電加熱を施して内側から加熱する内部加熱方式等が挙げられる。
【0053】
特に、オイルパーム材Wを自然乾燥する場合、オイルパーム材Wの厚みが厚いと、カビ等の細菌が繁殖して腐食しやすく、生産性や商品価値が損なわれる。これは、建築材料等に一般的に使用されているラワン等の木材が水や養分の移動が停止した細胞(死細胞)組織から成る二次木部を形成しているのに対し、オイルパーム幹WDは維管束及び柔細胞の一次組織のみで構成され、柔細胞を中心とする殆どの細胞が水や養分の移動がなされる生活細胞であり、含水率が極めて高いためである。更に、オイルパーム幹WD(オイルパームの樹幹)には、糖類(例えば、フラクト−ス、グルコ−ス、フラクトオリゴ糖、イノシト−ル等)が多く含まれていることが判明し、このため、オイルパームの樹幹から得たオイルパーム材Wの厚みが厚い場合、天然乾燥ではカビ等の細菌が繁殖して腐食しやすく生産性や商品価値が損なわれる。
【0054】
そこで、本発明者らの実験によれば、オイルパーム幹WDから得たオイルパーム材Wの厚みを10mm〜20mmの範囲以下とすることで、自然乾燥でもカビ等の細菌による商品価値や生産性の低下を招くことなく、低コストにできることを確認した。しかし、本発明者らの実験によれば、20mm以上の厚みの場合、内部まで均一に乾燥され難いため、後述する圧密加工後において変形、膨らみが起こり易く、また、曲面を直線に置き直すことから、クラック等が生じやすいことも確認されており、自然乾燥ではカビ等の細菌により商品価値や生産性の低下を招くことになり実用的でない。
そこで、誘電加熱を行うオイルパームの乾燥装置100の使用によって、カビ等の細菌による商品価値や生産性の低下を招くことなく、低コストにできることが確認された。
【0055】
また、本発明者らが実験を重ねた結果、乾燥させたオイルパーム材Wの含水率が10%未満の場合は、後述する圧密加工によって十分な化学変化を起こさせることができず、また、表面が乾燥し過ぎて、圧密化後において水に濡れた場合に圧縮した部分が元の厚さ形状に戻る現象、所謂、固定化不良が起こり易くなり、一方、含水率が30%を超えるものでは、内部まで均一に乾燥され難く、圧密化後においてクラック、破裂等の損傷や、変形、膨らみ等が起こり易くなることを確認したことから、これに基づいて設定をしたものである。即ち、オイルパーム材Wの含水率が厚み全体で略均一となるようにして、厚み全体が略均一な圧縮率で塑性加工されるようにするのが望ましく、含水率10%〜30%の範囲内が好適である。より好ましくは、含水率が13%〜18%の範囲内である。なお、含水率は、例えば、高周波含水率計等の測定器を使用して測定される。
【0056】
次に、誘電加熱を行うオイルパームの乾燥装置100は、
図6に示す構成を有している。ここでは、
図3(c)のオイルパーム材Wの乾燥を行うものとする。
まず、誘電加熱炉73は、耐火煉瓦等でtanδ等の非常に小さい、即ち、良好な誘電体で温度に耐える材料で構成したハウジングであり、その外側には、マイクロ波が漏れないようにシールド室72を形成している。このシールド室72は銅板及び鉄板によって形成されている。シールド室72及び誘電加熱炉73によって収容室70を構成している。
誘電加熱炉73内には、被加熱体の位置を決めるための良好な誘電体からなる台座74及び熱的に断熱効果を得るスペーサ76が配置されている。
【0057】
誘電加熱源71上には、所定以上の荷重及び高温に耐える陶板(陶磁器の板)で形成したテーブル板75−1,・・・,75−nに対して、各テーブル板75−1,・・・,75−n相互間に
図3(c)のオイルパーム材Wであるオイルパーム材W1−1,・・・,Wn−1、オイルパーム材W1−2,・・・,Wn−2、オイルパーム材W1−3,・・・,Wn−3、オイルパーム材W1−4,・・・,Wn−4を載置し、所定の荷重によって乾燥によってオイルパーム材Wが変形しないようにしている。また、オイルパーム材Wに対して、マイクロ波を遮断しても、それまでのオイルパーム材Wの余熱、即ち、テーブル板75−1,・・・,75−nの余熱によって、オイルパーム材Wの温度が徐々に降下するようにしている。
【0058】
誘電加熱炉73内に供給するマイクロ波は誘電加熱源71の周波数が2.4GHz、出力10KWのものを使用し、オイルパーム材Wに含まれる水の分子を気化させ、排気した。これによって、誘電加熱炉73内で発生した水蒸気は、乾燥空気供給管路77から供給される空気によって、湿度の高い空気が排出管路78から排気された。
したがって、誘電加熱炉73内に各テーブル板75−1,・・・,75−n相互間にオイルパーム材W1−1,・・・,Wn−1、オイルパーム材W1−2,・・・,Wn−2、オイルパーム材W1−3,・・・,Wn−3、オイルパーム材W1−4,・・・,Wn−4を載置し、所定の荷重によってオイルパーム材Wが変形しないように加熱すれば、オイルパーム材Wの水分のみが気化し、オイルパーム材Wを乾燥させることができる。
なお、本実施の形態では、台座74が固定のもので説明したが、通常は、回転させ、マイクロ波が特定の位置のみを加熱させないようにしている。また、オイルパーム材Wが長尺であるから、台座74が走査するように往復移動し、均一加熱している。
【0059】
また、各テーブル板75−1,・・・,75−nとしては、重しを前提とした説明をしているが、本発明を実施する場合には、導電体の粉体を入れてマイクロ波を受けて発熱するようにすることもできる。間接的に、各テーブル板75−1,・・・,75−nを加熱し、オイルパーム材W1−1,・・・,Wn−1、オイルパーム材W1−2,・・・,Wn−2、オイルパーム材W1−3,・・・,Wn−3、オイルパーム材W1−4,・・・,Wn−4を間接的に加熱することもできる。
しかし、導電体の粉末を入れなくても、オイルパーム材W1−1,・・・,Wn−1、オイルパーム材W1−2,・・・,Wn−2、オイルパーム材W1−3,・・・,Wn−3、オイルパーム材W1−4,・・・,Wn−4は水分が多いから、誘電加熱された熱で、100℃以上に上昇している。
【0060】
本実施の形態で使用するオイルパームの乾燥装置100は、
図7のように乾燥制御されている。
まず、ステップS11でオイルパーム材W1,・・・,Wnの搬入、配置を行い、ステップS12でその終了が確認されるまで行う。通常、収容室70の図示しない扉のロックにより搬入及び配置の完了が検出される。ステップS12で完了が確認されると、ステップS13でポンプ49が駆動され、湿気の排出が開始される。
次に、ステップS14で誘電加熱源71を駆動し、収容室70内にマイクロ波出力を出力し、ステップS15でその所定時間の誘電加熱の継続を判断し、所定時間を経たとき、ステップS16でマイクロ波出力を停止する。更に、ステップS17で、余熱による加熱として所定の時間の経過を判断する。そして、ステップS18でオイルパーム材W1,・・・,Wnの温度が所定の温度まで低下しているかを判断し、所定の温度まで温度が低下しているとき、ステップS19でポンプ49を停止し、ステップS20でオイルパーム材W1,・・・,Wnを搬出し、本実施の形態で使用するオイルパームの乾燥装置100の動作を終了する。
【0061】
また、本実施の形態で使用するオイルパームの乾燥装置100における誘電加熱工程は、ステップS14乃至ステップS15からなる前記オイルパーム材を誘電加熱源71で所定の熱エネルギを付与して誘電加熱する工程である。
そして、湿気排出工程は、収容室70から空気をポンプ49で排気または吸気する工程でステップS13乃至ステップS19の間の湿度を除去する工程を意味する。
なお、オイルパーム材Wが板材状のもの、柱状のものでも同様に乾燥を行うことができ、特に、厚みが厚いものは誘電加熱を行うとオイルパーム材Wの芯から加熱することで乾燥速度を速めることができる。
【0062】
本実施の形態で使用するオイルパームの乾燥装置100は、所定長のオイルパーム幹WDをその長さ方向に所定の厚みに製材したオイルパーム材Wを誘電加熱する誘電加熱源71と、オイルパーム材Wを収容して誘電加熱源71で誘電加熱する室内圧力を大気圧と分離して制御する収容室70と、収容室70から空気を排気または吸気するポンプ49とを具備する。しかし、通常、オイルパーム材Wが長尺であるので、複数台の誘電加熱源71を有するか、スペーサ76の上をテーブル板75−1,・・・,75−nが走査され、往復動することによって、全体が加熱されるようになっている。
【0063】
したがって、オイルパーム材Wは誘電加熱によって加熱され、その水蒸気が収容室70からポンプ49を介してから放出されるから、加熱によって発生する水蒸気と、必要に応じて脱気によって発生する水分が排出され、乾燥能率を上げることができる。また、オイルパーム材Wは誘電加熱によって加熱及び加圧されるから、誘電加熱の熱がオイルパーム材Wの芯まで届き、全体の乾燥を急速に行うことができる。
よって、カビ細菌が繁殖しない程度にオイルパーム材Wを乾燥させることができ、爾後の加工に影響を及ぼすことのないオイルパーム材Wが用意できる。
【0064】
また、本実施の形態で使用するオイルパームの乾燥方法は、所定長のオイルパーム幹WDをその長さ方向に所定の厚みに製材したオイルパーム材Wを形成する材料形成工程と、オイルパーム材Wを誘電加熱源71で誘電加熱する誘電加熱工程と、オイルパーム材Wを収容して誘電加熱源71で誘電加熱する収容室70の室内圧力を大気圧と分離し、前記収容室70から空気をポンプ49で排気または吸気する湿気排出工程とを具備する。
【0065】
したがって、オイルパーム材Wは誘電加熱によって加熱され、その水蒸気が収容室70からポンプ49を介してから放出されるから、加熱によって発生する水蒸気と、必要に応じて脱気によって発生する水分が排出され、乾燥能率を上げることができる。また、オイルパーム材Wは誘電加熱によって加熱及び加圧されるから、誘電加熱の熱がオイルパーム材Wの芯まで届き、全体の乾燥を急速に行うことができる。
よって、カビ細菌が繁殖しない程度にオイルパーム材Wを乾燥させることができ、爾後の加工に影響を及ぼすことのないオイルパーム材Wが用意できる。
【0066】
次に、本発明の実施の形態1のオイルパーム歪除去圧密材を製造するオイルパーム歪除去圧密材の製造装置200について、
図8乃至
図11を参照して説明する。
油圧シリンダ81は油圧によって垂直方向にピストン81bを移動自在なもので、その先端には、蒸気圧または冷却水によって表面温度を加熱または冷却する熱板81aが配設されている。それに対応して蒸気圧または冷却水によって表面温度を加熱または冷却する基台となる熱板80が配設されている。したがって、上下の圧縮は、油圧シリンダ81のピストン81bのみで行われ、基台となる熱板80はそれを受けているに過ぎない。
【0067】
油圧シリンダ82は油圧によって水平方向にピストン82bを移動自在なもので、その先端には、蒸気圧または冷却水によって表面温度を加熱または冷却する熱板82aが配設され、また、油圧シリンダ83は油圧によって水平方向にピストン83bを移動自在なもので、その先端には、蒸気圧または冷却水によって表面温度を加熱または冷却する熱板83aが配設されている。
【0068】
そして、油圧シリンダ84は油圧によって水平方向にピストン84bを移動自在なもので、その先端には、蒸気圧または冷却水によって表面温度を加熱または冷却する熱板84aが配設され、また、油圧シリンダ85は油圧によって水平方向にピストン85bを移動自在なもので、その先端には、蒸気圧または冷却水によって表面温度を加熱または冷却する熱板85aが配設されている。
【0069】
図8乃至
図11は概念的に示すものであり、製造する本発明の実施の形態のオイルパーム歪除去圧密材の長さ方向に対する断面を示すものであり、各熱板80、81a、82a、83a、84a、85aは、具体的には、平面構造を維持すべく構造体となっており、各油圧シリンダ81,82,83,84は、1本で制御するものではなく、複数本で成り立っている。また、図示しないバルブ及び管路、センサ、ストッパが配設されている。
【0070】
本発明の実施の形態のオイルパーム歪除去圧密材の製造装置200の動作は、
図12の全体動作を説明するフローチャートのように制御される。
まず、ステップS31の乾燥工程でオイルパームの乾燥装置100を使用し、オイルパーム材Wを乾燥させる。次に、乾燥させたオイルパーム材Wを
図3(c)に示すものを前提とする。したがって、深溝M1及び深溝M2並びに深溝M3及び深溝M4が中心部のA領域まで届いているオイルパーム材Wを配置する。まず、初期設定として、少なくとも、油圧シリンダ81のピストン81bが上昇されて熱板81aが所定の間隔を拡げた状態とする。勿論、熱板82a及び熱板84a及び/または熱板83a及び熱板85aを後退させてもよい。
【0071】
ここで、基台となる熱板80の上にオイルパーム材Wを配置する。配置が終了すると
図8の位置を各油圧シリンダ81,82,83,84を開始設定位置とし、各熱板80、81a、82a、83a、84a、85aは
図8に示す位置とする。ステップS33で各熱板80、81a、82a、83a、84a、85aの位置が確認されると、ステップS34で全熱板80、81a、82a、83a、84a、85aに110〜160℃の水蒸気が供給され、オイルパーム材Wの加熱が開始される。ステップS35で加熱時間t1の経過が確認され、オイルパーム材Wの加熱温度が所定の温度まで上昇される時間t1まで加熱が継続される。この加熱時間t1はオイルパーム材Wの加熱温度が圧縮開始の温度に到達しているか否かで判断される。
【0072】
オイルパーム材Wの加熱温度が所定の温度まで上昇され、かつ、加熱時間t1の経過が確認されると、ステップS36で熱板82a及び熱板83aの水蒸気の供給を断ち、ステップS37で
図9に示すように油圧シリンダ82によりピストン82bが熱板82aを離して後退させ、同様に、油圧シリンダ83によりピストン83bが熱板83aを離して後退させ、熱板81aの昇降に影響しない位置に移動させる。
そして、ステップS37で
図10に示すように油圧シリンダ81によってピストン81bを下降させ、その熱板81aでオイルパーム材Wを垂直方向に圧縮する。油圧シリンダ81によるオイルパーム材Wを垂直方向の圧縮限界が検出されるまで、ステップS38及びステップS39のルーチンを継続的に実行する。
【0073】
ステップS39でオイルパーム材Wの圧縮完了が圧縮位置等により検出されると、油圧シリンダ81による熱板81aの下降を停止し、
図11に示すように、ステップS40で油圧シリンダ84によってピストン84bを介して熱板84aをオイルパーム材W側に移動させ、同時に、油圧シリンダ85によってピストン85bを介して熱板85aをオイルパーム材W側に移動させ、熱板84aと熱板85aでオイルパーム材Wを圧縮する。ステップS41で油圧シリンダ84による熱板84aと油圧シリンダ85による熱板85aの圧縮が完了したことその位置等で確認されると、その圧縮状態が維持され、ステップS42で更にオイルパーム材Wの加熱を行い、ステップS42及びステップS43のルーチンにより加熱温度をT1、例えば、150〜210℃までに上昇させ、その上昇が確認されると、ステップS44でそれがt2時間継続される。これは、ステップS42からステップS44のルーチンで実行される。
【0074】
ステップS44のルーチンで、オイルパーム材Wの加熱が加熱温度T1で、t2時間継続されたことが確認されると、ステップS45で熱板82a、83aを除き、他の熱板80、81a、84a、85aに水蒸気の供給が停止され、ステップS46で冷却水の供給に切り替えられる。ステップS47で冷却時間のt3時間の経過を判断する。即ち、ステップS46及びステップS47のルーチンで冷却時間のt3時間の経過を判断し、ステップS47でそれが判断されると、ステップS48で冷却を停止し、ステップS49で全油圧シリンダ81,82,83,84を解放状態とする。
なお、このとき、油圧シリンダ84のピストン84bを介して熱板84aでオイルパーム材Wを、油圧シリンダ85の熱板85a側に押して、基台の熱板80から落下させ、次の工程に送ることができる。
【0075】
このように、オイルパーム歪除去圧密材は、加圧状態で冷却した後、加圧を解除することによって、即ち、冷却によってオイルパーム材W自身の水蒸気圧を下げた後、徐々に解圧して内部蒸気圧を開放することによって、冷却圧縮を解除したときに膨らみ変形、割れ、破壊(パンク)等がないオイルパーム圧密材となる。即ち、本実施の形態のオイルパーム圧密材によれば、圧縮解除後に膨らみ変形、割れ、破壊等が生じることなく安定した品質が確保されたものである。変形が生じることのない圧力状態下で冷却することによって圧密状態を恒久的に維持する固定化が完了する。
【0076】
次に、本発明の実施の形態2のオイルパーム歪除去圧密材を製造するオイルパーム歪除去圧密材の製造装置200について、
図13乃至
図16を参照して説明する。
油圧シリンダ81,82,83,84,85の構成及びそれらを制御する部品の構成は実施の形態で説明したとおりである。また、本発明の実施の形態のオイルパーム歪除去圧密材の製造装置200の動作は、前述した
図12の全体動作を説明するフローチャートのように制御される。
まず、ステップS31の乾燥工程でオイルパームの乾燥装置100を使用し、オイルパーム材Wを乾燥させる。次に、乾燥させたオイルパーム材W及びオイルバーム以外の木材からなる芯材Pを
図13に示すように5個用いて配置する。まず、初期設定として、少なくとも、油圧シリンダ81のピストン81bが上昇されて熱板81aが所定の間隔を拡げた状態とする。勿論、熱板82a及び熱板84a及び/または熱板83a及び熱板85aを後退させてもよい。
この圧密加工によって、オイルパーム材Wに形成されていた深溝M1及び深溝M2並びに深溝M3及び深溝M4が接合され、図示では確認されるが、オイルパーム自体の接着能力により、実際には確認できない程度の接合境界線となる。また、このとき、深溝M1及び深溝M2並びに深溝M3及び深溝M4にオイルパーム自体を粉体化したものを充填したり、塗布したりしておいて、圧密加工を行うと、より接着力を高めることができる。
【0077】
ここで、基台となる熱板80の上にオイルパーム材W1及びオイルパーム材W2を配置し、次いで芯材P及びオイルパーム材W3を配置し、最後にオイルパーム材W4を配置する。配置が終了すると
図13の位置を各油圧シリンダ81,82,83,84の開始設定位置とし、各熱板80、81a、82a、83a、84a、85aは、
図13に示す位置とする。ステップS33で各熱板80、81a、82a、83a、84a、85aの位置が確認されると、ステップS34で全熱板80、81a、82a、83a、84a、85aに110〜160℃の水蒸気が供給され、オイルパーム材W1乃至オイルパーム材W4及び芯材Pの加熱が開始される。ステップS35で加熱時間t1の経過が確認され、オイルパーム材W1乃至オイルパーム材W4及び芯材Pの加熱温度が所定の温度まで上昇される時間t1まで加熱が継続される。この加熱時間t1はオイルパーム材W1乃至オイルパーム材W4及び芯材Pの加熱温度が圧縮開始の温度に到達しているか否かで判断される。
【0078】
オイルパーム材W1乃至オイルパーム材W4及び芯材Pの加熱温度が所定の温度まで上昇され、かつ、加熱時間t1の経過が確認されると、ステップS36で熱板82a及び熱板83aの水蒸気の供給を断ち、ステップS37で
図14に示すように油圧シリンダ82によりピストン82bが熱板82aを離して後退させ、同様に、油圧シリンダ83によりピストン83bが熱板83aを離して後退させ、熱板81aの昇降に影響しない位置に移動させる。
そして、ステップS37で
図15に示すように油圧シリンダ81によってピストン81bを下降させ、その熱板81aでオイルパーム材W1乃至オイルパーム材W5を垂直方向に圧縮する。油圧シリンダ81によるオイルパーム材W1乃至オイルパーム材W4及び芯材Pを垂直方向の圧縮限界が検出されるまで、ステップS38及びステップS39のルーチンを継続的に実行する。
【0079】
ステップS39でオイルパーム材W1乃至オイルパーム材W4及び芯材Pの圧縮完了が圧縮位置等により検出されると、油圧シリンダ81による熱板81aの下降を停止し、
図16に示すように、ステップS40で油圧シリンダ84によってピストン84bを介して熱板84aをオイルパーム材W1乃至オイルパーム材W5側に移動させ、同時に、油圧シリンダ85によってピストン85bを介して熱板85aをオイルパーム材W1乃至オイルパーム材W4側に移動させ、熱板84aと熱板85aでオイルパーム材W1乃至オイルパーム材W4及び芯材Pを圧縮する。ステップS41で油圧シリンダ84による熱板84aと油圧シリンダ85による熱板85aの圧縮が完了したことその位置等で確認されると、その圧縮状態が維持され、ステップS42で更にオイルパーム材W1乃至オイルパーム材W4及び芯材Pの加熱を行い、ステップS42及びステップS43のルーチンにより加熱温度をT1、例えば、150〜210℃までに上昇させ、その上昇が確認されると、ステップS44でそれがt2時間継続される。これは、ステップS42からステップS44のルーチンで実行される。
【0080】
ステップS44のルーチンで、オイルパーム材W1乃至オイルパーム材W4及び芯材Pの加熱が加熱温度T1で、t2時間継続されたことが確認されると、ステップS45で熱板82a、83aを除き、他の熱板80、81a、84a、85aに水蒸気の供給が停止され、ステップS46で冷却水の供給に切り替えられる。ステップS47で冷却時間のt3時間の経過を判断する。即ち、ステップS46及びステップS47のルーチンで冷却時間のt3時間の経過を判断し、ステップS47でそれが判断されると、ステップS48で冷却を停止し、ステップS49で全油圧シリンダ81,82,83,84を解放状態とする。
なお、このとき、油圧シリンダ84のピストン84bを介して熱板84aでオイルパーム材W1乃至オイルパーム材W4及び芯材Pを、油圧シリンダ85の熱板85a側に押して、基台の熱板80から落下させ、次の工程に送ることができる。
【0081】
このように、オイルパーム歪除去圧密材は、加圧状態で冷却した後、加圧を解除することによって、即ち、冷却によってオイルパーム材W自身の水蒸気圧を下げた後、徐々に解圧して内部蒸気圧を開放することによって、冷却圧縮を解除したときに膨らみ変形、割れ、破壊(パンク)等がないオイルパーム圧密材となる。即ち、本実施の形態のオイルパーム圧密材によれば、圧縮解除後に膨らみ変形、割れ、破壊等が生じることなく安定した品質が確保されたものである。変形が生じることのない圧力状態下で冷却することによって圧密状態を恒久的に維持する固定化が完了する。
この圧密加工によって、芯材Pとオイルパーム材W1乃至オイルパーム材W4が接合し、図示では確認されるが、オイルパーム材W1乃至オイルパーム材W4自体の接着能力により、実際には確認できない程度の接合境界状態となる。また、このとき、芯材Pの外周にオイルパーム自体を粉体化したものを塗布したりしておいて、圧密加工を行うと、より接着力を高めることができる。
【0082】
また、圧密加工により気乾比重を0.8以上としたオイルパーム歪除去圧密材が製造される。そして、このようにして得られたオイルパーム歪除去圧密材は、圧密加工により木材同士が強固に接合されている。これは、圧密加工によってセルロースや、ヘミセルロースや、リグニンが水素結合し、特に、アブラヤシの樹幹には糖類、リグニン、プラスチック成分等が多く含まれていて、圧密加工によりこれらの成分が分解や軟化して染み出し、木材間を移動した後に再結晶化・再結合化されることでバインダとして機能し、更には、圧密加工によりオイルパーム材Wの表層の繊維が軟化して積層方向に隣接する木材の繊維と絡み合うことによって、木材同士が強固に接合したものと考えられる。
【0083】
このように本実施の形態のオイルパーム歪除去圧密材によれば、ホルムアルデヒド等による環境負荷が懸念される人工接着剤やコストが高い天然接着剤を使用することなく木材同士が接合されることから、環境に優しく、また、コストを抑えることができる。
しかも、オイルパーム自体の接着能力の使用によって、一般的に、接着剤の使用によってオイルパーム材Wを接合する場合には、接着剤を塗布等した後、圧締して接着剤を硬化するため接着剤塗布等の工程及び圧締工程が必要であるのに対し、本実施の形態のオイルパーム歪除去圧密材によれば、圧密加工によって接着剤を使用することなく木材同士が接合されるため、上記別個の接合工程が不要であり、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0084】
また、得られたオイルパーム歪除去圧密材は、圧密加工されたことによって、オイルパーム材Wの柔細胞が小さくなって、また、細胞壁を構成するリグニン、ヘミセルロース等が軟化・分解及び再結合・再結晶化され細胞密度が高まり、比重が小さくて強度が小さく変形しやすいというオイルパーム材Wの欠点が補完され、高い強度及び安定した寸法形状性が確保される。特に、気乾比重が0.8以上となるように圧密加工することで、オイルパーム歪除去圧密材の厚み全体が均一に圧縮され、オイルパーム材Wの性質が変化して硬度等が顕著に高くなり、また、硬度等の物性値・特性値のばらつきが少なくなり、更には、周囲環境条件の変化による膨張率及び乾燥率のばらつきも少なくそれによる変形等が抑えられ、寸法形状安定性が増す。
したがって、物性的に安定して製品間の品質にばらつきが少なく商品価値が高いものとなる。更に、乾燥させたオイルパーム材Wを複数枚積層した状態で全体を圧密化しており、接合面において周囲環境条件の変化による膨張率及び収縮率は略均一となることから安定した接合性が維持され、周囲環境条件の変化で接合面にストレスがかかることによる歪み、変形、クラック等が生じることなく、安定した寸法形状性が確保される。
【0085】
特に、オイルパーム材Wの繊維方向を同一にして積層した場合においては、圧密加工において軟化した表面層の繊維が、繊維方向を同一として縦方向に隣接している木表層の木繊維と絡み易く、その絡み合った状態で固定化されたオイルパーム材Wは強固に接合される。しかも、接合面における膨張率及び収縮率を完全に等しくできることから周囲環境条件が変化した場合において接合面に全くストレスが掛かることがない。したがって、接合強度が高くて機械的強度も高く、高い寸法形状安定性が確保される。
【0086】
そして、本実施の形態のオイルパーム歪除去圧密材は、その圧縮面とされた表裏面においても圧密加工により緻密化されてオイルパーム材Wの繊維同士が絡み合って定着され、環境負荷が懸念される人工接着剤やコストが高い天然接着剤を使用しなくても、外表面から剥離し難くなっていて、表面の品質が良い。即ち、人工接着剤やコストが高い天然接着剤を使用しなくても繊維の表面からの剥離が抑制できることから、環境に優しく、コストを抑えることができる。
更に、厚み全体が塑性加工されたものであることから、厚み側面の稜線に対して大きな面取り加工や曲面加工を施したとしてもその端面では、高い硬度による材強度が確保される。
【0087】
上記実施の形態のオイルパーム歪除去圧密材の製造装置200は、オイルパーム幹WDから所定の幅、厚み、長さでオイルパーム材Wを製材により
図1(c)のように切り出す切り出し手段と、オイルパーム幹WDを略螺旋状に伸びる維管束Kを切断すべく、オイルパーム材Wに対して特定の面から
図3のように深溝Mを形成した深溝形成手段と、深溝Mを形成したオイルパーム材Wを強制乾燥させるオイルパームの乾燥装置100からなる強制乾燥手段と、オイルパーム材Wの面を熱板80,81a,82a,83a,84a,85aで加熱し、油圧シリンダ81,82,83,84で圧縮力を付与するステップS42乃至ステップS44からなる熱板加熱圧縮手段と、ステップS42乃至ステップS44からなる熱板加熱圧縮手段で所定時間加熱及び圧縮力を供給した後、オイルパーム材Wの温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧するステップS45乃至ステップS49からなる熱板冷却解圧手段を具備するものである。
【0088】
上記実施の形態1のオイルパーム歪除去圧密材の製造装置200は、オイルパーム幹WDから所定の幅、厚み、長さでオイルパーム材Wを
図1(c)のように切り出し、オイルパーム幹WDを略螺旋状に伸びる維管束Kを切断するようにオイルパーム材Wに対して深溝Mを形成したものである。なお、深溝Mは、オイルパーム幹WDの長さ方向に垂直に切断したオイルパーム幹WDの直径の1/3以上の深さである。これによって、オイルパーム幹WDの長さ方向に螺旋状に形成されている維管束Kの周方向の力が切断され、膨張収縮力が断たれ、しかも、オイルパーム材Wの乾燥が内部と表面からと同時に開始されるから、オイルパーム材Wが厚くても、四角柱等の柱状であっても、捻じれ、ゆがみ等の歪が無視できる。そこで、深溝Mを形成したオイルパーム材Wを強制乾燥させ、オイルパーム材Wの面を熱板80,81a,82a,83a,84a,85aで加熱し、油圧シリンダ81,82,83,84,85で圧縮力を付与し、前記熱板加熱圧縮手段でステップS42乃至ステップS44からなる所定時間加熱及び圧縮力を供給した後、オイルパーム材Wの温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧するステップS45乃至ステップS49により、オイルパーム材Wが厚くても、四角柱等の柱状であっても、捻じれ、ゆがみ等の歪が修正され、厚いオイルパーム材W或いは柱状の建材が得られる。
したがって、オイルパーム幹WDを廃棄処分することなく、かつ、オイルパームが本来的に有している成分を利用して機械的に接合し、機械的強度を上げ、オイルパーム圧密加工材の直線性を良くしたオイルパーム歪除去圧密材の製造装置200となる。
【0089】
上記実施の形態1のオイルパーム歪除去圧密材の製造方法は、オイルパーム幹WDから所定の幅、厚み、長さで
図1(c)のように切り出すオイルパーム材Wの切り出し工程と、オイルパーム幹WDを略螺旋状に伸びる維管束Kを切断すべく、オイルパーム材Wに対して特定の面から深溝Mを形成した
図3のように深溝形成工程と、深溝Mを形成したオイルパーム材Wをオイルパームの乾燥装置100で強制乾燥させる強制乾燥工程と、オイルパーム材Wの面を熱板80,81a,82a,83a,84a,85aで加熱し、油圧シリンダ81,82,83,84,85で圧縮力を付与するステップS42乃至ステップS44からなる熱板加熱圧縮工程と、ステップS42乃至ステップS44からなる熱板加熱圧縮手段で所定時間加熱及びステップS45乃至ステップS49からなる圧縮力を供給した後、オイルパーム材Wの温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧する熱板冷却解圧工程とを具備するものである。
【0090】
上記実施の形態1のオイルパーム歪除去圧密材の製造方法は、オイルパーム幹WDから所定の幅、厚み、長さで切り出すオイルパーム材Wの切り出し、オイルパーム幹WDを略螺旋状に伸びる維管束Kを切断してオイルパーム材Wに対して特定の面から深溝Mを形成し、深溝Mを形成したオイルパーム材Wをオイルパームの乾燥装置100によって強制乾燥させ、オイルパーム材Wの面を熱板80,81a,82a,83a,84a,85aで加熱し、ピストン81b,82b,83b,84b,85bで圧縮力を付与し、所定時間加熱及び圧縮力を供給した後、オイルパーム材Wの温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧したものである。
【0091】
したがって、オイルパーム幹WDから所定の幅、厚み、長さでオイルパーム材Wを切り出し、このときオイルパーム幹WDを略螺旋状に伸びる維管束Kを切断するようにオイルパーム材Wに対して深溝Mを形成したものであるから、オイルパーム幹WDの長さ方向に螺旋状に形成されている維管束Kの周方向の力が切断され、維管束Kによる強い膨張収縮力が断たれ、しかも、オイルパーム材Wの乾燥が内部と表面からと同時に開始されるから、オイルパーム材Wが厚くても、四角柱等の柱状であっても、捻じれ、ゆがみ等の歪が無視できる。そこで、前記深溝を形成したオイルパーム材Wを強制乾燥させた状態で、オイルパーム材Wの面を熱板80,81a,82a,83a,84a,85aで加熱し、ピストン81b,82b,83b,84b,85bで圧縮力を付与し、ステップS42乃至ステップS44からなる熱板加熱圧縮手段で所定時間加熱及び圧縮力を供給した後、ステップS45乃至ステップS49でオイルパーム材Wの温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧することにより、オイルパーム材Wの圧縮された状態を維持すべく内部効力を除去し、固定化されるから、オイルパーム板が厚くても、柱状であっても、捻じれ、ゆがみ等の歪が修正され、厚いオイルパーム板或いは四角柱等の柱状の建材が得られる。
よって、オイルパーム幹WDを廃棄処分することなく、かつ、オイルパームが本来的に有している成分を利用して機械的に接合し、機械的強度を上げ、オイルパーム圧密加工材の直線性を良くしたオイルパーム歪除去圧密材の製造方法となる。
【0092】
上記実施の形態1のオイルパーム歪除去圧密材は、オイルパーム幹WDから所定の幅、厚み、長さで切り出してなるオイルパーム材Wと、オイルパーム幹WDを略螺旋状に伸びる維管束Kを切断すべく、オイルパーム材Wに対して特定の面から形成した深溝Mと、深溝Mを形成したオイルパーム材Wを乾燥させ、前記乾燥させたオイルパーム材Wの面を熱板80,81a,82a,83a,84a,85aで加熱し、ピストン81b,82b,83b,84b,85bで圧縮力を付与し、ステップS42乃至ステップS44で所定時間加熱及び圧縮力を供給した後、ステップS45乃至ステップS49でオイルパーム材Wの温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧したものである。
【0093】
上記実施の形態1のオイルパーム歪除去圧密材は、オイルパーム幹WDから所定の幅、厚み、長さで切り出してなるオイルパーム材Wに対して特定の面から深溝Mを形成したものであるから、オイルパーム幹WDの長さ方向に螺旋状に形成されている維管束Kの周方向の力が切断され、膨張収縮力が断たれ、しかも、オイルパーム材Wの乾燥が内部と表面からと同時に開始されるから、オイルパーム材Wが厚くても、柱状であっても、捻じれ、ゆがみ等の歪が無視できる。そこで、深溝Mを形成したオイルパーム材Wをオイルパームの乾燥装置100で強制乾燥させ、オイルパーム材Wの面を熱板80,81a,82a,83a,84a,85aで加熱し、ピストン81b,82b,83b,84b,85bで圧縮力を付与し、ステップS42乃至ステップS44からなる熱板加熱圧縮手段で所定時間加熱及び圧縮力を供給した後、ステップS45乃至ステップS49でオイルパーム材Wの温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧する固定化によって、オイルパーム材Wが厚くても、四角柱等の柱状であっても、捻じれ、ゆがみ等の歪が修正され、厚いオイルパーム板或いは柱状の建材が得られる。
【0094】
上記実施の形態1のオイルパーム歪除去圧密材は、オイルパーム材Wの面に形成した深溝Mは、オイルパーム幹WDの長さ方向に垂直に切断した芯に至る深さであり、全体の面に対して1本乃至4本の何れか1つとしたものである。そして、オイルパーム材Wの面に形成した深溝Mは、オイルパーム幹WDの長さ方向に垂直に切断したオイルパーム幹WDの直径の1/3以上の深さであるから、オイルパーム幹WDの中心部のA領域の乾燥を最初から行うことができ、バランスの良い乾燥が開始される。
【0095】
上記実施の形態のオイルパーム歪除去圧密材のオイルパーム材Wに対して特定の面に形成した深溝Mは、面全体に対して1本から4本、例えば、1面に1本、対向する2面で計2本、四角柱等の柱状の各面に1本づつの計4本の何れか1つとしたものであり、オイルパーム幹WDの長さ方向に垂直に切断した中芯のA領域に至る深さとしたものであるから、オイルパーム幹WD自体が持っている歪の要因に応じて全面に対して1本から4本の深溝Mの何れか1つとし、特に、深溝Mは、四角柱の1面に1本から、各面に垂直の深溝Mとすることができ、その深さも、オイルパーム幹WDの芯に至るまでの深さは、正確に芯の中心までの距離を意味するものではなく、オイルパーム幹WDの芯の中心を跨ぎ、オイルパーム幹WDの長さ方向に垂直に切断したオイルパーム幹WDの直径の1/3以上の深さである。例えば、オイルパーム幹WDの芯の中心から±50mm以内としたものであるから、特に中心の含水率が400%以上の位置に溝ができるので、オイルパームの含水率の高い部分から直接乾燥を開始でき、乾燥をオイルパーム幹WDの外部と内部を同時に行うことができ、その歪の量を少なくすることができる。
【0096】
上記実施の形態1のオイルパーム歪除去圧密材のオイルパーム材Wに対して特定の面に形成した深溝Mには、オイルパーム幹WDから得た粉体を付着させたものである。
したがって、オイルパーム材Wに対して特定の面に形成した深溝Mには、オイルパーム幹WDから得た粉体を付着させたものであるから、深溝Mの開口をオイルパーム自身が含有するリグニン等の樹脂成分及びセルロース、ヘミセルロース等の糖類の作用によって接合されるときの圧縮力によって、オイルパーム材Wの空隙が殆どなくなり、緻密な組織の接合体とすることができる。
【0097】
上記実施の形態2のオイルパーム歪除去圧密材は、オイルパーム以外の木材、例えば、桧、杉、米桧、桧葉、米杉、唐松、赤松、栗、欅、槇、樫、桜、樅、栂等から形成され、特定方向に伸びた芯材Pと、芯材Pの周面に配置され、オイルパーム幹WDを略螺旋状に伸びる維管束Kを切断して所定の幅、厚み、長さに形成されたオイルパーム材Wと、前記乾燥させた芯材P及びオイルパーム材Wの面を熱板80,81a,82a,83a,84a,85aで加熱し、ピストン81b,82b,83b,84b,85bで圧縮力を付与し、ステップS42乃至ステップS44で所定時間加熱及び圧縮力を供給した後、ステップS45乃至ステップS49で芯材P及びオイルパーム材Wの温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧し、固定化したものである。
【0098】
上記実施の形態2のオイルパーム歪除去圧密材は、オイルパーム以外の木材から形成され、特定方向に伸びた芯材Pと、芯材Pの周面に配置され、オイルパーム幹WDを略螺旋状に伸びる維管束Kを切断して所定の幅、厚み、長さに形成されたオイルパーム材Wと、芯材P及びオイルパーム材Wを乾燥させ、前記乾燥させた芯材P及びオイルパーム材Wの面を熱板80,81a,82a,83a,84a,85aで加熱し、ピストン81b,82b,83b,84b,85b圧縮力を付与し、ステップS42乃至ステップS44で所定時間加熱及び圧縮力を供給した後、ステップS45乃至ステップS49で前記芯材及びオイルパーム材Wの温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧したものである。
【0099】
したがって、オイルパーム以外の木材から形成された特定方向に伸びた芯材Pを中心に、オイルパーム幹WDから所定の幅、厚み、長さでオイルパーム材Wを切り出し、オイルパーム幹WDを略螺旋状に伸びる維管束Kを切断し、所定の幅、厚み、長さでオイルパーム材Wを切り出し、芯材Pに対してオイルパーム材Wを接合したものであるから、オイルパーム幹WDの長さ方向に螺旋状に形成されている維管束Kの周方向の力が切断され、維管束Kによる強い膨張収縮力が断たれ、しかも、オイルパーム材Wの乾燥が個別にできるから、オイルパーム材Wが厚くても、四角柱等の柱状であっても、捻じれ、ゆがみ等の歪が無視できる。また、強制乾燥させたオイルパーム材Wの面を熱板で加熱し、圧縮力を付与し、ステップS42乃至ステップS44からなる熱板加熱圧縮手段で所定時間加熱及び圧縮力を供給した後、ステップS45乃至ステップS49でオイルパーム材Wの温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧することにより、オイルパーム材Wが厚くても、柱状であっても、捻じれ、ゆがみ等の歪が修正され、厚いオイルパーム材W或いは柱状の建材が得られる。
よって、オイルパーム幹WDを廃棄処分することなく、かつ、オイルパームが本来的に有している成分を利用して機械的に接合し、機械的強度を上げ、オイルパーム圧密加工材の直線性を良くしたオイルパーム歪除去圧密材の製造方法となる。
【0100】
上記実施の形態2のオイルパーム歪除去圧密材の芯材Pの周囲には、オイルパーム幹WDから得た粉体を付着させたものである。
したがって、芯材Pの周囲には、オイルパーム幹WDから得た粉体を付着させたものであるから、芯材Pの周囲にオイルパーム幹WDから得た粉体を付着された状態で圧密加工されるから、オイルパーム自身が含有するリグニン等の樹脂成分及びセルロース、ヘミセルロース等の糖類の作用によって接合される成分の補給となり、緻密な組織の接合体とすることができる。
【0101】
上記実施の形態のオイルパーム歪除去圧密材の芯材Pは、前記乾燥させたオイルパーム材Wを圧密加工する前に、芯材Pのみを先に圧密加工することもできる。
オイルパーム歪除去圧密材の芯材Pは、オイルパーム材Wを圧密加工する前に芯材Pのみを先に圧密加工し、その後、前記乾燥させた芯材P及びオイルパーム材Wの面を熱板80,81a,82a,83a,84a,85aで加熱し、ピストン81b,82b,83b,84b,85b圧縮力を付与し、ステップS42乃至ステップS44で所定時間加熱及び圧縮力を供給した後、ステップS45乃至ステップS49で芯材P及びオイルパーム材Wの温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧したものであるから、オイルパーム材Wを圧密加工する前に芯材Pのみを先に圧密加工されていると、芯材Pは外力でほとんど変化せず、その周囲のオイルパーム材Wのみが変化するから、オイルパーム材Wが厚くても、四角柱等の柱状であっても圧密対象に均一な熱及び圧縮力が加わり、バランスのとれた圧密加工が可能となる。
【0102】
上記実施の形態2のオイルパーム歪除去圧密材の芯材Pは、前記乾燥させた芯材P及びオイルパーム材Wを同時に圧密加工したものである。
したがって、芯材Pとその周囲のオイルパーム材Wが変化するから、オイルパーム材Wが厚くても、四角柱等の柱状であっても圧密対象に均一な熱及び圧縮力が加わり、バランスのとれた圧密加工が可能となる。このように、オイルパーム材Wを圧密加工すると同時に芯材Pも圧密加工すると、芯材Pとオイルパーム材Wとの接着力を高めることができる。
【0103】
因みに、特に含水率が高く軟質な樹心付近のオイルパーム材Wを使用した場合であっても、圧密加工によって強度を高めることができ、または、圧密加工において温度及び圧縮制御を行うことで、略同時に余分な水分の排出が可能で、オイルパーム材Wの水蒸気圧が均一に好適に調節されることから、圧縮加工後の膨らみ変形等も抑制される。よって、十分な加熱圧縮がされて木材相互間の比重の差が小さくなり、製品化後における寸法変化率の差も小さくなるから、製品化後における寸法形状の安定性が増す。十分な強度が確保され安定した寸法形状性を有するオイルパーム歪除去圧密材としての使用が可能である。したがって、オイルパームの樹幹全体の有効活用を図ることができる。
【0104】
このように本実施の形態のオイルパーム歪除去圧密材は、本来含水率が高く軟質なオイルパーム幹WDを製材し、圧密加工することによって、表面のみならず板厚全体における強度及び硬度が大きく向上され、床材、腰板材、屋内家具材、表面塗装して使用する住宅用外装材等、広範な用途が見込まれる。殊に、圧密加工によって表面硬度が高められ、厚みが薄くても十分な強度及び硬度が確保できることから、製品化において厚みを薄くすることが可能である。
【0105】
また、加える温度と圧力によってオイルパーム幹WD自体が含有する樹脂成分及び糖成分によってその接合力を変化させるから、加える温度と圧力の制御によって任意の接着力が得られる。そして、複数枚のオイルパーム材Wをオイルパーム幹WD自体が含有する樹脂成分及び糖成分によって接合して積層合板PWを形成するものでは、他の合成樹脂、合成ゴムを接着材として使用していないから、自然に戻すことができ公害問題を引き起こすことがない。
【0106】
更に、オイルパーム幹WD自体が含有するリグニン等の樹脂成分及びセルロース、ヘミセルロース等の糖類の作用によって接合されるときの圧縮力によって、オイルパーム材Wの空隙が殆どなくなり、緻密な組織になるから、耐水性があり、かつ、防水、防虫性に富み、建築材料として使用しても耐用年数が長くなる。
特に、ヘミセルロースはリグニンとセルロースとの結び付ける機能を有しており、オイルパーム幹WDの自然栽培されている状態では、互いにどれだけ干渉し合っているかは不明である。しかし、所定の温度、例えば、リグニンの反応開始温度の80度以上に温度を上げることにより、ヘミセルロースの反応開始温度の60度以上となり、互いに反応し、堅固な特性となることが確認された。
【0107】
上記実施の形態のオイルパーム歪除去圧密材は、オイルパーム材W含有する樹脂成分及び糖成分が不足した場合には、接合対象に接着剤を追加して貼り合せることにより、所望のオイルパーム歪除去圧密材を製造するものである。よって、オイルパーム材Wが含有する樹脂成分及び糖成分が不足した場合に接着剤を使用するものであるから、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド系接着剤の使用を抑え、オイルパームが本来的に有している成分を利用したオイルパーム歪除去圧密材が得られる。
【0108】
上記実施の形態のオイルパーム歪除去圧密材は、
図4の実施の形態2に示された圧密化されたオイルパーム材Wの接合には、オイルパーム材Wが含有する樹脂成分及び糖成分とし、桧、杉、米桧、桧葉、米杉、唐松、赤松、栗、欅、槇、樫、桜、樅、栂等の何れかからなる芯材Pの周囲の接合面には、オイルパーム材Wが含有する樹脂成分及び糖成分の他に、他の接着剤を付加したものでは、オイルパーム材Wが含有する樹脂成分及び糖成分を使用し、更に、ラワン板またはシナ薄板または針葉樹板の何れかの1枚以上の接合も堅固に行うことができるから、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド系接着剤の使用を抑え、オイルパームが本来的に有している成分を利用したオイルパーム歪除去圧密材が得られる。
【0109】
また、加える温度と圧縮力によってオイルパーム幹WD自体が含有するリグニン等の樹脂成分及びセルロース、ヘミセルロース等の糖類の作用によってその接合力を変化させることができるから、加える温度と圧縮力の制御によって任意の接着力が得られる。そして、複数枚のオイルパーム材Wをオイルパーム幹WD自体が含有するリグニン等の樹脂成分及びセルロース、ヘミセルロース等の糖類の作用によって接合して積層合板PWを形成するものであるから、他の合成樹脂、合成ゴムを接着材として使用していないから、自然に戻すことができ公害問題を引き起こさない。更に、オイルパーム幹WD自体が含有するリグニン等の樹脂成分及びセルロース、ヘミセルロース等の糖類の作用によって接合されるときの圧縮力によって、オイルパーム材Wの空隙が殆どなくなり、緻密な組織になるから、耐水性があり、かつ、防水、防虫性に富み、建築材料として使用しても耐用年数が長くなる。
【0110】
本実施の形態のオイルパーム材Wの乾燥後の含水率を10%〜30%の範囲内としたものであるから、クラック、変形、膨らみ、破裂等が防止される。よって、より安定した寸法形状性が確保され、歩留りも高いものとなる。また、含水率を10%〜30%の範囲内の乾燥状態であると、ラワン材、シナ材、針葉樹材等との接合にも好適である。
【0111】
上記ステップS42乃至ステップS44からなる加熱工程における加熱温度は、110℃〜170℃の範囲内としたものであるから、圧密加工における固定化不良や木材間の接合不良、また、表面炭化、材質強度の低化等の材質劣化を防止することができる。また、加熱温度が110℃〜170℃の範囲内であると、ラワン材、シナ材、針葉樹材等との接合にも好適である。
【0112】
上記ステップS40及びステップS41からなる圧縮工程による所定の圧縮圧力は、0.1MPa〜10MPaの範囲内としたものであるから、圧密加工における固定化不良や木材間の接合不良、また表面クラックの発生を防止することができる。ラワン材、シナ材、針葉樹材等との接合にも問題がないことが確認された。
【0113】
上記オイルパーム歪除去圧密材の製造工程におけるステップS35の加熱工程及びステップS38及びステップS39の圧縮工程に要する時間は、10分間〜120分間の範囲内であることから、圧密加工における固定化不良や木材間の接合不良、また、表面の炭化を防止できる。ラワン板、シナ板、針葉樹板等との接合にも問題がないことが発明者の実験によって確認された。
【0114】
上記実施の形態の歪除去圧密材としてのオイルパーム歪除去圧密材の前記芯材は、前記オイルパーム材を圧密加工する前に芯材のみを先に圧密加工し、その後、前記乾燥させた前記芯材及び前記オイルパーム材の面を熱板で加熱し、圧縮力を付与し、所定時間加熱及び圧縮力を供給した後、前記芯材及び前記オイルパーム材の温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧したものである。
ここで、前記芯材と前記オイルパーム材は、個別に乾燥させてもよいし、同時に乾燥させてもよい。圧密加工する前に芯材のみが先に圧密加工してあればよい。
【0115】
この歪除去圧密材としてのオイルパーム歪除去圧密材の前記芯材は、前記オイルパーム材を圧密加工する前に芯材のみを先に圧密加工し、その後、前記乾燥させた前記芯材及び前記オイルパーム材の面を熱板で加熱し、圧縮力を付与し、所定時間加熱及び圧縮力を供給した後、前記芯材及び前記オイルパーム材の温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧したものであるから、前記オイルパーム材を圧密加工する前に芯材のみを先に圧密加工されていると、前記芯材は外力でほとんど変化せず、その周囲のオイルパーム板のみが変化するから、オイルパーム板が厚くても、四角柱等の柱状であっても圧密対象に均一な熱及び圧縮力が加わり、バランスのとれた圧密加工が可能となる。
【0116】
上記実施の形態の歪除去圧密材としてのオイルパーム歪除去圧密材の前記芯材は、前記乾燥させた前記芯材及び前記オイルパーム材を同時に圧密加工したものである。
ここで、前記芯材と前記オイルパーム材は、個別に乾燥させてもよいし、同時に乾燥させてもよい。圧密加工するときには前記芯材と前記オイルパーム材が同時に圧密加工されるものであればよい。
【0117】
この歪除去圧密材としてのオイルパーム歪除去圧密材の前記芯材は、前記芯材及び前記オイルパーム材を同時に圧密加工するものであるから、前記芯材とその周囲のオイルパーム板が変化するから、オイルパーム板が厚くても、四角柱等の柱状であっても圧密対象に均一な熱及び圧縮力が加わり、バランスのとれた圧密加工が可能となる。このように、前記オイルパーム材を圧密加工すると同時に前記芯材も圧密加工すると、前記芯材と前記オイルパーム材との接着力を高めることができる。