【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のモータは何れもコイル(巻線)を形成するものであり、このコイルに電流を流すことによって発生させる磁場を用いてモータを回転させるものであるから、巻線に流れる電流から磁界を形成するステップと、コイルによって形成された磁界が他の永久磁石または電磁石に吸引または反発するステップとを経て初めてモータが回転する。また、より少ない電流によって強い磁場を形成できるように、コイルの巻き数を増やすことにより磁束の倍増化を図ることにより、インダクタンスが増加するという問題が発生する。
【0006】
すなわち、まずコイルに流れる電流を一旦磁界に変換する段階でコイルのインダクタンスによる誘導特性が応答の遅れとなるという問題が発生する。また、コイルによって形成される磁束が他の永久磁石または電磁石と吸引または反発するときにも、ロータにかかるトルクの変動によって滑りが発生するため、負荷トルクの変動に対する応答性の遅れも発生する。
【0007】
さらに、三相誘導モータなどのようにコイルに擬似的な交流電流を流す場合には、PWM変換などのスイッチング素子によるパルス波形による電流制御を行うため、スイッチング素子の切り替わり時点においてインダクタンス分による遅れ電流によって必ず損失が発生するので、スイッチングの素子のキャリア周波数の高さに比例してスイッチング損失が大きくなるという問題もある。
【0008】
加えて、PWM変調によって120°位相のずれた電力を供給する場合には、インダクタンスの影響で位相のズレが発生するので、各相の位相差120°を維持するための制御が困難となり、高速回転する場合にはさらに位相維持の制御が困難となり、複雑で高速な制御を行なう必要が生じる。さらには、回生動作時においては制御がより複雑になり、これによって全体として制御性が悪くなり、コストアップや効率の低下を招いていた。
【0009】
また、コイルに鉄心(ヨーク)を用いて磁束の集中を行なう場合には、特に磁気飽和が発生することによる損失が発生するという問題も生じる。逆に、鉄心などを用いることなくコイルを配線した場合は、コイルが曝される磁束密度が低い事に加えて、コイルによって発生可能な磁界も弱くなるため駆動トルクが弱くならざるを得ないという問題に加えて、コイルの剛性が十分でないため、回転速度を上げられないという問題も発生する。
【0010】
とりわけ近年のハイブリッド車や電気自動車の普及に伴って、電気制御によって瞬時に回転トルクを発生させたり、逆に瞬時に回生動作を行なう必要があるが、コイルの誘導特性によってレスポンスの遅れが発生することが効率低下の原因となっていた。
【0011】
本発明は上述の事柄を考慮に入れてなされたものであり、高速応答の妨げとなり損失増加の原因となるコイルを排除して誘導特性を可及的に抑えたコイルレスモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記問題点を解決するために、第1発明は、略円柱形状の外周面に、円周方向において等間隔に、また、軸方向に揃えたN極、S極の磁束を交互に形成するように磁極を配置させた少なくとも1つの永久磁石を備えるロータと、このロータの外周面に対して隙間を設けて、ロータの軸と同軸に配置した略円筒形状の磁性体と、この磁性体の内周面の前記ロータの各磁極に対応した角度範囲内に、これを各回路に等分割した回路分割角度範囲を定めて、前記N極、S極の磁極の極性に合わせて交互に逆方向の電流を流すように略己字状に配線された導電体とを有し、かつ、前記磁性体の内周面には、前記ロータの各磁極に対応した角度範囲内を等分割した微小角度間隔で軸に略平行な方向に均一幅で放射状に形成した複数の配線溝を形成して、この配線溝の間に櫛歯状の磁性体隔壁を形成してあり、前記配線溝内に前記導電体を絶縁的に挿入配線することにより前記ロータの全磁極に対応した各回路分割角度範囲内に導電体を配線し
、磁極を跨ぐことのない位置にある導電体の回路に切り替えて電流を流すことにより回転力の発生または回生を行うことができるように構成してあることを特徴とする配線溝形コイルレスモータを提供する。(請求項1)
【0013】
前記ロータの略円柱形状の外周面に、円周方向において等間隔に、また、軸方向に揃えたN極、S極の磁束を交互に形成するように磁極を配置させた少なくとも1つの永久磁石を備えるので、このロータの外周面に隙間を空けて同心円状に配置させた磁性体の内周面には、磁極に対応する角度範囲毎に放射方向または軸芯方向の磁界が発生する。なお、ロータはその外周面に永久磁石を露出するSPM型(表面磁石型)のロータであっても、永久磁石を内部に有するIPM型(埋込磁石型)のロータであっても、円周方向においてN極、S極を交互に形成するものであればよい。
【0014】
前記各磁極に対応した角度範囲内に、これを各回路に等分割した回路分割角度範囲を定めているので、前記回路の導電体が前記磁極対応範囲を跨がないように配置される回転角の間は、この回路の導電体に電流を流すことにより、配線溝内に挿入されたガイド部において磁束に略直交する方向に電流を流して、ガイド部の導電体に流す電流の大きさに比例してローレンツ力が作用し、その反作用でロータが逆方向に回転する。また、隣接する回転角の配線溝内に挿入配線されたガイド部における導電体は磁性体の両側部で折り返して、前記N極、S極の磁極の極性に合わせて交互に逆方向の電流を流すように配線され、前記ロータの全磁極に対応した各回路分割角度範囲内に略己字状に配線してあるので、配線溝内に挿入配線された導電体に電流を流すことにより発生する回転力は全て同じ方向に作用する。
【0015】
このように、導電体に電流を流すことにより発生する回転力は、ロータに形成する磁極の数だけ発生させることができるので、それだけ回転力を倍増することができる。一方、上述のように構成された導電体は磁性体を一周するときに1回巻きのコイルを形成するだけであるので、インダクタンスが不用意に大きくなることを抑えて高速応答性を確保しながら、必要十分な回転力を得ることができる。
【0016】
加えて、配線溝に挿入させた導電体はその位置を固定することができ、それだけ、安定した回転力を得ることができると共に、堅牢性が向上する。さらに、配線溝に挿入された導電体の周囲には高い透磁率の磁性体隔壁が櫛歯状に形成されるので、磁性体を構成する部材の透磁率に比例して高い密度の磁束が存在し、この高い密度の磁束が、導電体に流れる電流によって形成される磁界と作用し合うことにより、磁束密度に比例した高い回転力が発生する。また、導電体によって発生する熱は磁性体を介して放熱されるので、導電体には比較的大きな電流を流すことが可能である。なお、本発明における配線溝とは磁性体隔壁によって導電体を挟み込むように保持するスリット状の部分を示しており、その形成方法などを限定するものではない。
【0017】
さらに、磁性体の各磁極に対応した角度範囲内を等分割した回路分割角度範囲を定められた前記回路が複数ある場合には、ロータの回転角がどのような角度であっても、何れかの回路に割り当てられた回路分割角度範囲は磁極を跨ぐことのない位置にあるため、電流を流す回路を切り替えることにより、回転力を発生させたり、回転力を回生することが可能となる。このときPWM電源のような特別な制御回路を形成する必要がなく、回路の切り替えだけで、トルク変動をほとんど発生させることがなく、安定した回転力と電流の変換を行うことができる。
【0018】
前記回路数は多ければ多いほど、磁極端面を跨ぐことのない導電体の回路の数を多くすることができる(磁極端面を跨いでいる導電体の回路が占める角度範囲を狭くすることができる)ので、磁極端面を跨がない回路への接続状態をすべてオン状態とすることにより、回転力の発生または回生に用いる導電体の回路が占める角度範囲を広くすることができ、より大きな回転力(より大きな回生電流)を得ることができる。
【0019】
なお、前記隙間はロータが高速回転したとしてもロータと磁性体が接触しない程度のもので、磁束の漏れを抑えるためにできるだけ狭い間隔が好ましく、その寸法は永久磁石の持つ起磁力と磁路の断面積の大きさによって相対的に決まる。磁性体は透磁率に優れると共に渦電流の発生をできるだけ抑え、ヒステリシスの少ない金属(最適は放射方向に圧延して形成してなる多層ケイ素鋼板)であることが好ましい。
【0020】
永久磁石はより強力な磁束を生成するものであればあるほど好ましく、希土類元素のネオジムを用いた希土類磁石を用いることが好ましいが、磁化させた強磁性体を用いてもよい。さらに、電磁石に一定の電流を流して形成したものを永久磁石として用いても同様の効果が得られることはいうまでもない。
【0021】
とりわけ、磁性体は、軟質磁性体の粉体を有機結合剤(バインダー)によって固めてなる複合軟磁性体であることにより、渦電流の発生をより確実に防止できるとともにヒステリシス特性も最小限に抑えることができ、それだけ、損失を小さくすることができる。さらに、前記磁性体は導電体に当接する圧縮アモルファスと、この圧縮アモルファスに当接する射出アモルファスとを備えるものであることにより、制作容易であり製造コストの引き上げを防ぎながら高い透磁率を得て漏れを抑え、さらに、ヒステリシス損や渦電流損の発生を必要最小限に抑えることができ、磁気飽和を避けることができるので、好ましい。
【0022】
上述のように、第1発明の配線溝形コイルレスモータはローレンツ力を直接的に用いることにより、従来のコイルを用いるものに比べて応答速度を飛躍的に高めることができ、電流制御によって回転力を直接的に制御できる。ここで前記略直交とは、ローレンツ力が電場と磁束密度のクロス積によって加わる力であるため、直角に配置することが最も効率の良い配置になるが、直角からずれていたとしてもローレンツ力が作用することを意味するものである。また、ロータに回転力が加わって回転し、導電体が配置された角度範囲が、逆極性の磁極端面の磁極対応範囲内に入り磁界が逆になると、電流も逆方向に流すことにより、回転方向および回転トルクを同じ方向に保つことができる。
【0023】
同様に、回生動作においても回生させる回転力に比例して導電体に電流が流れるので、回生する電流の制御によって回生トルクの調節を比較的容易に行うことができる。
【0024】
また、ステータ側に固定した導電体への電力供給はブラシを介することなく容易に行なうことができるので、コイルレスモータの構成を可能な限り簡素にすることができ、有寿命部材であるブラシを用いることによる耐久性の低下を防止できる。
【0025】
第2発明は、略円筒形状の内周面に、円周方向において等間隔に、また、軸方向に揃えたN極、S極の磁束を交互に形成するように磁極を配置させた少なくとも1つの永久磁石を備えるロータと、このロータの内周面に対して隙間を設けて、ロータと同軸に配置した軸芯を有する略円柱形状の磁性体と、この磁性体の外周面の前記ロータの各磁極に対応した角度範囲内に、これを各回路に等分割した回路分割角度範囲を定めて、前記N極、S極の磁極の極性に合わせて交互に逆方向の電流を流すように略己字状に配線された導電体とを有し、かつ、前記磁性体の内周面には、前記ロータの各磁極に対応した角度範囲内を等分割した微小角度間隔で軸に略平行な方向に均一幅で軸芯方向に形成した複数の配線溝を形成して、この配線溝の間に櫛歯状の磁性体隔壁を形成してあり、前記配線溝内に前記導電体を絶縁的に挿入配線することにより前記ロータの全磁極に対応した各回路分割角度範囲内に導電体を配線し
、磁極を跨ぐことのない位置にある導電体の回路に切り替えて電流を流すことにより回転力の発生または回生を行うことができるように構成してあることを特徴とする配線溝形コイルレスモータを提供する。(請求項2)
【0026】
前記ロータの内周面に、円周方向において等間隔に、また、軸方向に揃えたN極、S極の磁束を交互に形成するように磁極を配置させた少なくとも1つの永久磁石を備えるので、このロータの内周面に隙間を空けて同心円状に配置させた円柱状の磁性体の外周面には、磁極対応角度範囲毎に放射方向または軸芯方向の磁界が発生する。
【0027】
前記各磁極に対応した角度範囲内に、これを各回路に等分割した回路分割角度範囲を定めているので、前記回路の導電体が前記磁極対応範囲を跨がないように配置される回転角の間は、この回路の導電体に電流を流すことにより、配線溝内に挿入されたガイド部において磁束に略直交する方向に電流を流して、ガイド部の導電体に流す電流の大きさに比例してローレンツ力が作用し、その反作用でロータが逆方向に回転する。また、隣接する回転角の配線溝内に挿入されたガイド部における導電体は磁性体の両側部で折り返して、前記N極、S極の磁極の極性に合わせて交互に逆方向の電流を流すように配線され、前記ロータの全磁極に対応した各回路分割角度範囲内に略己字状に配線してあるので、配線溝内に挿入配線された導電体に電流を流すことにより発生する回転力は全て同じ方向に作用する。
【0028】
このように、導電体に電流を流すことにより発生する回転力は、ロータに形成する磁極端面の数だけ発生させることができるので、それだけ回転力を倍増することができる。一方、上述のように構成された導電体は磁性体を一周するときに1回巻きのコイルを形成するだけであるので、インダクタンスが不必要に増加することを抑えながら、安定した回転力を得ることができる。加えて、配線溝に挿入させた導電体はその位置を固定できるので、それだけ堅牢性が向上する。さらに、配線溝に挿入された導電体の周囲には高い透磁率の強磁性体が櫛歯状に残されるので、磁束密度の高さに比例した高い回転力が発生する。
【0029】
さらに、磁性体の各磁極に対応した角度範囲内を等分割した回路分割角度範囲を定められた前記回路が複数ある場合には、ロータの回転角がどのような角度であっても、何れかの回路に割り当てられた回路分割角度範囲は磁極を跨ぐことのない位置にあるため、電流を流す回路を切り替えることにより、回転力を発生させたり、回転力を回生することが可能となる。このときPWM電源のような特別な制御回路を形成する必要がなく、回路の切り替えだけで、トルク変動をほとんど発生させることがなく、安定した回転力と電流の変換を行うことができる。
【0030】
前記回路数は多ければ多いほど、磁極端面を跨ぐことのない導電体の回路の数を多くすることができる(磁極端面を跨いでいる導電体の回路が占める角度範囲を狭くすることができる)ので、磁極端面を跨がない回路への接続状態をすべてオン状態とすることにより、回転力の発生または回生に用いる導電体の回路が占める角度範囲を広くすることができ、より大きな回転力(より大きな回生電流)を得ることができる。
【0031】
なお、前記隙間はロータが高速回転したとしても接触しない程度のもので、磁束の漏れを抑えるためにできるだけ狭い間隔が好ましく、その寸法は永久磁石の持つ起磁力と磁路の断面積の大きさによって相対的に決まる。強磁性体は透磁率に優れると共に渦電流の発生をできるだけ抑える金属(最適は多層ケイ素鋼板)であることが好ましい。
【0032】
すなわち、第2発明の配線溝形コイルレスモータは、第1発明の配線溝形コイルレスモータと同様にローレンツ力を直接的に用いることにより、従来のコイルを用いるものに比べて応答速度を飛躍的に高めることができ、電流制御によって回転力を直接的に制御できるといった、第1発明と同様の特徴を備える。さらに、第2発明の配線溝形コイルレスモータはロータが円筒形状であるから、コンベアローラの駆動部としてそのまま利用できる。
【0033】
前記各回路の導電体の両端にそれぞれ電圧検出部を有し、この電圧検出部によって検出されたインパルスによって、前記磁極を跨いで磁束が反転する回転角に位置する回路を判別して配線溝を形成する前記微小角度間隔でロータの回転を検出する角度検出回路を有する場合(請求項3)には、磁極を跨いでいる角度範囲の回路を構成する導電体に設けた電圧検出部は、配線溝に挿入された導電体が磁極を跨ぐ瞬間に急激な磁束密度の変化が発生するのでインパルス的な起電力が発生する。したがって、このインパルスを用いて角度検出回路がロータの回転角を検出することができる。
【0034】
すなわち、角度検出回路は特別なセンサを設けることなく、配線溝を形成する微小角度間隔を分解能とする角度検出が可能となり、それだけ、構成の簡略化を図ることが可能となる。なお、この導電体に生じるインパルスは配線溝形コイルレスモータをモータとして使用するときにも、発電機として使用するときにも、通電していない状態において慣性や外力によって回転するときにも発生するので、前記電圧検出部および回転検出回路は二次電池などのバックアップ電源によって常に動作して、現在の回転角を確認し続け、この回転角を不揮発メモリなどに記憶しておくことが好ましい。加えて、電圧検出部と角度検出回路が動作する程度の電力であれば特別なバックアップ電源がなくても、前記インパルスの起電力を用いて得ることも可能である。
【0035】
前記回転角が明確であれば、磁極を跨がない角度範囲に位置する導電体の回路が明確になるので、磁極を跨がない回路の導電体にのみ電源を接続させるように切り替えるスイッチング回路を形成することにより、従来のPWM電源のような特別な制御回路を用いるまでもなく、磁極端面の大部分を有効に用いてローレンツ力を発生させることができるので、十分に強力な回転力を得ることができる。
【0036】
なお、回路数は増やせば増やすほど、磁極端面の回転力の発生に用いる割合を大きくすることが可能となるので、それだけ得られる回転力を強くすることができる。この場合、前記電圧検出部および角度検出回路は集積化可能な回路によって構成し、各回路の接続を切り替えるスイッチング回路も優れた応答性を有する電界効果トランジスタなどを用いて比較的に小型化が可能であるから、例えば磁極に対応する角度範囲内の全ての配線溝のそれぞれを別々の導電体の回路となるようにすることも可能であり、この場合はほとんどすべての磁束を用いて回転力を発生させることができ、さらなる回転力の向上を図ることが可能となる。
【0037】
前記導電体は前記配線溝の形状に合わせて形成された断面形状帯状の導体である場合(請求項4)には、配線溝の断面形状に最大限に隙間なく沿わせた導電体を得ることができるので、それだけ大電流を流すことができる。
【0038】
なお、帯状の導体は配線溝の横幅と深さ幅に合わせた辺の断面形状長方形を有する帯状の導体であることにより、一つの配線溝に一本の導電体を挿入させることができるため、組み付けが容易であると共に、各回路のインダクタンスをできるだけ小さくすることが可能である。また、配線溝の断面積に合わせて最大限に大きな電流を流すことが可能である。
【0039】
しかしながら、前記配線溝の深さ幅を整数等分した幅と、配線溝の幅に合わせた断面形状長方形または正方形の導電体を一つの配線溝に整数本挿入するようにしてもよい。すなわち、一つの配線溝に複数の導電体を挿入する場合、何れの導電体も直列接続した一本の導電体であるから、配線溝の深さ方向のいずれの位置においても同じ方向に同じ強さの電流が流れるので異常発熱することはなく、回転力も配線溝の深さ方向のいずれの位置においても均等に発生させることが可能となる。
【0040】
前記導電体は前記配線溝に挿入されるグラフェンからなる導体であり、前記配線溝はグラフェンを挿入可能な必要最小幅に形成してある場合(請求項5)には、導電体の導電率を可能な限り上げられるだけでなく、配線溝の幅を可能な限り薄く形成してあるので、それだけ櫛歯状の磁性体隔壁の厚み割合を相対的に増すことにより、より強い磁束をかけて扱う回転力を大きくすることができ、しかも鉄損、渦電流など電磁的損失を極力小さく出来る。なお、前記グラフェンとは2次元のハチの巣状格子内に周密に詰め込まれた単層の炭素原子からなる導電体である。
【0041】
また、配線溝を形成する微小角度間隔を可及的に狭くすることができ、それだけ大きな回転力を出力させ、大きな回生電流を得ることが可能となるだけでなく、この導電体に生じるインパルスを用いて回転角を検出する場合の回転角の検出精度を向上させることができる。
【0042】
前記導電体は前記配線溝の内に複数陥入した導線である場合(請求項6)には、導電体として汎用の導線を利用できるので、それだけ製造コストを削減できる。このとき、同じ回路を構成する導電体は同じ配線溝内に複数回陥入されるように配線されて、配線溝内の導線は直列接続した一本の導線であることにより、配線溝の深さ方向のいずれの位置においても同じ方向に同じ強さの電流が流れるので異常発熱することはなく、回転力も配線溝の深さ方向のいずれの位置においても均等に発生させることが可能となる。
【0043】
しかしながら、同じ配線溝内に挿入される導電体は配線溝に挿入する前と後とで並列接続してもよく、これによってインダクダンスの増加をさらに低く抑えることができる。
【0044】
本発明の配線溝形コイルレスモータでは、導電体の両端に電圧検出部を設けることにより、導電体をセンサとして用いることが可能であるが、これに変えてロータリーエンコーダを別途設けてもよいことは言うまでもない。あるいは、前記ステータ側の前記磁極に面する位置に取り付けられてロータの回転に伴う磁界の変化を検知する磁束検出器を設けて、より確実なロータの回転角の検出を行ってもよい。
【0045】
また、ロータの回転角に対応して各回路の導電体に流す電流の方向および断続制御を行なうスイッチング回路を備える場合には、このスイッチング回路を介して電力供給を行うだけでコイルレスモータに対して直流的に電力供給を行なってロータの回転方向を自在に制御することができる。また、回生動作においてもスイッチング回路を介するだけで、回生電流を容易に電源側に流すことができる。
【0046】
前記スイッチング素子は高速に切り替え可能な電界効果トランジスタによって形成されるものであることが好ましいが、バイポーラトランジスタ、フォトカプラ、サイリスタ、ソリッドステートリレーなどを用いたスイッチング素子であってもよい。