【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の事項を提案している。
(1) 本発明は、2次電池(例えば、
図1の2次電池BTに相当)を充電する充電装置(例えば、
図1の充電装置1に相当)であって、前記2次電池の正極と直流電源(例えば、
図1の直流電源DCに相当)の正極とを断続する第1の充電スイッチ素子(例えば、
図1の充電スイッチ素子Q1に相当)と、前記第1の充電スイッチ素子の第1端子(例えば、
図1の充電スイッチ素子Q1のソースに相当)と制御端子(例えば、
図1の充電スイッチ素子Q1のゲートに相当)とを断続する第1の制御スイッチ素子(例えば、
図1の制御スイッチ素子SW1に相当)と、前記第1の充電スイッチ素子の制御端子に正極が接続され、当該第1の充電スイッチ素子の第1端子に負極が接続された定電圧源(例えば、
図1の定電圧源VDDに相当)と、を備え、前記第1の充電スイッチ素子の第1端子には、前記2次電池の正極が接続され、前記第1の充電スイッチ素子の第2端子(例えば、
図1の充電スイッチ素子Q1のドレインに相当)には、前記直流電源の正極が接続され、前記第1の充電スイッチ素子において、制御端子の電位が第1端子の電位と比べて前記定電圧源の電源電圧の分だけ高くなると、第1端子と第2端子とが導通することを特徴とする充電装置を提案している。
【0017】
この発明によれば、2次電池を充電する充電装置に、第1の充電スイッチ素子、第1の制御スイッチ素子、および定電圧源を設けた。そして、第1の充電スイッチ素子の第1端子には、2次電池の正極を接続し、第1の充電スイッチ素子の第2端子には、直流電源の正極を接続し、この第1の充電スイッチ素子により、2次電池の正極と直流電源の正極とを断続することとした。また、第1の制御スイッチ素子により、第1の充電スイッチ素子の第1端子と制御端子とを断続することとした。また、定電圧源の正極には、第1の充電スイッチ素子の制御端子を接続し、定電圧源の負極には、第1の充電スイッチ素子の第1端子を接続した。また、第1の充電スイッチ素子において、制御端子の電位が第1端子の電位と比べて定電圧源の電源電圧の分だけ高くなると、第1端子と第2端子とが導通することとした。
【0018】
このため、第1の制御スイッチ素子がオフ状態である場合には、第1の充電スイッチ素子の制御端子の電位は、第1の充電スイッチ素子の第1端子の電位と比べて、定電圧源の電源電圧の分だけ高くなる。したがって、第1の充電スイッチ素子の第1端子と第2端子とが導通し、第1の充電スイッチ素子がオン状態になる。
【0019】
一方、第1の制御スイッチ素子がオン状態である場合には、第1の充電スイッチ素子の制御端子の電位は、第1の充電スイッチ素子の第1端子の電位と等しくなる。このため、第1の充電スイッチ素子の第1端子と第2端子とが絶縁状態となり、第1の充電スイッチ素子がオフ状態になる。
【0020】
以上によれば、2次電池の充電電圧が直流電源の電源電圧以下である状態において、第1の制御スイッチ素子をオフ状態にすることで、第1の充電スイッチ素子をオン状態にし、直流電源の正極から2次電池の正極に向かって電流を流して、2次電池の充電を行うことができる。また、2次電池の充電電圧が直流電源の電源電圧以下である状態において、第1の制御スイッチ素子をオン状態にすることで、第1の充電スイッチ素子をオフ状態にし、直流電源の正極から2次電池の正極に向かって電流を流さないようにして、2次電池の充電を停止させることができる。
【0021】
また、第1の充電スイッチ素子の制御端子には、第1の制御スイッチ素子を介して第1の充電スイッチ素子の第1端子が接続されるとともに、定電圧源を介して第1の充電スイッチ素子の第1端子が接続される。このため、第1の充電スイッチ素子において、制御端子の電位は、第1端子の電位と等しくなるか、または、第1端子の電位より定電圧源の電源電圧分だけ高くなる。したがって、第1の充電スイッチ素子の第1端子と制御端子との電位差は、定電圧源の電源電圧に依存するが、2次電池の充電電圧には依存しない。このため、2次電池の充電電圧が高い場合であっても、この2次電池を充電装置に接続することができるので、多様な種類の2次電池の充電に対応できる。
【0022】
また、第1の充電スイッチ素子において、制御端子の電位が第1端子の電位と比べて定電圧源の電源電圧の分だけ高くなると、第1端子と第2端子とが導通する。このため、第1の充電スイッチ素子を、例えばNチャネルMOSFETで構成することができる。ここで、
図3に示した従来例に係る充電装置100では、2次電池BTの正極と直流電源DCの正極との間の充電スイッチ素子Q、すなわち本発明の第1の充電スイッチ素子に対応するスイッチ素子を、PチャネルMOSFETで構成している。NチャネルMOSFETのオン抵抗は、PチャネルMOSFETのオン抵抗と比べて小さい。そして、2次電池の充電中においては、2次電池の正極と直流電源の正極との間のスイッチ素子には、電流が流れる。このため、充電装置100と比べて、2次電池の充電中における損失を低減できる。
【0023】
(2) 本発明は、(1)の充電装置について、一端から他端に向かって電流を流す逆流防止手段(例えば、
図1の充電スイッチ素子Q2や、ダイオードに相当)を備え、前記逆流防止手段の一端には、前記第1の充電スイッチ素子の第1端子が接続され、前記逆流防止手段の他端には、前記2次電池の正極が接続されることを特徴とする充電装置を提案している。
【0024】
ここで、(1)の充電装置において、2次電池の充電電圧が直流電源の電源電圧より高い状態で、第1の充電スイッチ素子をオン状態にすると、2次電池の正極から直流電源の正極に向かって電流が逆流してしまうおそれがある。
【0025】
そこで、この発明によれば、(1)の充電装置において、一端から他端に向かって電流を流す逆流防止手段を設け、逆流防止手段の一端には、第1の充電スイッチ素子の第1端子を接続し、逆流防止手段の他端には、2次電池の正極を接続した。
【0026】
このため、逆流防止手段により、2次電池の正極から直流電源の正極に向かって電流が逆流してしまうのを防止できる。
【0027】
(3) 本発明は、(2)の充電装置について、前記逆流防止手段は、前記第1の充電スイッチ素子の第1端子と前記2次電池の正極とを断続する第2の充電スイッチ素子(例えば、
図1の充電スイッチ素子Q2に相当)と、前記第2の充電スイッチ素子の第1端子と制御端子とを断続する第2の制御スイッチ素子(例えば、
図1の制御スイッチ素子SW2に相当)と、を備え、前記第1の充電スイッチ素子の第1端子には、前記第2の充電スイッチ素子を介して、前記2次電池の正極が接続され、前記第2の充電スイッチ素子の第1端子(例えば、
図1の充電スイッチ素子Q2のソースに相当)には、前記第1の充電スイッチ素子の第1端子と前記定電圧源の負極とが接続され、前記第2の充電スイッチ素子の第2端子(例えば、
図1の充電スイッチ素子Q2のドレインに相当)には、前記2次電池の正極が接続され、前記第2の充電スイッチ素子の制御端子(例えば、
図1の充電スイッチ素子Q2のゲートに相当)には、前記定電圧源の正極が接続され、前記第2の充電スイッチ素子において、制御端子の電位が第1端子の電位と比べて前記定電圧源の電源電圧の分だけ高くなると、第1端子と第2端子とが導通することを特徴とする充電装置を提案している。
【0028】
この発明によれば、(2)の充電装置において、逆流防止手段に、第2の充電スイッチ素子および第2の制御スイッチ素子を設けた。そして、第2の充電スイッチ素子を介して、第1の充電スイッチ素子の第1端子と2次電池の正極とを接続し、この第2の充電スイッチ素子により、第1の充電スイッチ素子の第1端子と2次電池の正極とを断続することとした。具体的には、第2の充電スイッチ素子の第1端子には、第1の充電スイッチ素子の第1端子と定電圧源の負極とを接続し、第2の充電スイッチ素子の第2端子には、2次電池の正極を接続し、第2の充電スイッチ素子の制御端子には、定電圧源の正極を接続した。また、第2の制御スイッチ素子により、第2の充電スイッチ素子の第1端子と制御端子とを断続することとした。また、第2の充電スイッチ素子において、制御端子の電位が第1端子の電位と比べて定電圧源の電源電圧の分だけ高くなると、第1端子と第2端子とが導通することとした。
【0029】
このため、第2の制御スイッチ素子がオフ状態である場合には、第2の充電スイッチ素子の制御端子の電位は、第2の充電スイッチ素子の第1端子の電位と比べて、定電圧源の電源電圧の分だけ高くなる。したがって、第2の充電スイッチ素子の第1端子と第2端子とが導通し、第2の充電スイッチ素子がオン状態になる。
【0030】
一方、第2の制御スイッチ素子がオン状態である場合には、第2の充電スイッチ素子の制御端子の電位は、第2の充電スイッチ素子の第1端子の電位と等しくなる。このため、第2の充電スイッチ素子の第1端子と第2端子とが絶縁状態となり、第2の充電スイッチ素子がオフ状態になる。
【0031】
以上によれば、2次電池の充電電圧が直流電源の電源電圧より高い場合には、第1の制御スイッチ素子の状態にかかわらず第2の制御スイッチ素子をオン状態にすることで、第1の充電スイッチ素子の状態にかかわらず第2の充電スイッチ素子をオフ状態にして、2次電池から直流電源に向かって電流が逆流してしまうのを防止できる。
【0032】
また、
図3のダイオードDのように、(2)の充電装置における逆流防止手段をダイオードで構成しても、上述のように、2次電池から直流電源に向かって電流が逆流してしまうのを防止できる。しかしながら、第2の充電スイッチ素子のオン抵抗は、ダイオードのオン抵抗と比べて小さい。そして、2次電池の充電中においては、第2の充電スイッチ素子、または、第2の充電スイッチ素子の代わりに設けられたダイオードに、電流が流れる。このため、第2の充電スイッチ素子の代わりにダイオードを設けた場合と比べて、2次電池の充電中における損失を低減できる。
【0033】
(4) 本発明は、(3)の充電装置について、前記2次電池の充電を開始する際に、前記第2の制御スイッチ素子をオフ状態にした後に、前記第1の制御スイッチ素子をオフ状態にすることを特徴とする充電装置を提案している。
【0034】
ここで、2次電池の充電を開始する際に、第1の制御スイッチ素子をオフ状態にした後に、第2の制御スイッチ素子をオフ状態にする場合について、検討する。この場合、第1の充電スイッチ素子がオン状態になってから、第2の充電スイッチ素子がオン状態になる。このため、第1の充電スイッチ素子がオン状態になるタイミングでは、第2の充電スイッチ素子がオフ状態であるため、第1の充電スイッチ素子の第1端子と2次電池の正極とが絶縁状態である。これによれば、第1の充電スイッチ素子がオン状態になるタイミングにおいて、直流電源から見た負荷のインピーダンスが小さくなるため、直流電源から大電流が出力されてしまうおそれがある。
【0035】
そこで、この発明によれば、(3)の充電装置において、2次電池の充電を開始する際には、第2の制御スイッチ素子をオフ状態にした後に、第1の制御スイッチ素子をオフ状態にすることとした。このため、2次電池の充電を開始する際には、第2の充電スイッチ素子がオン状態になってから、第1の充電スイッチ素子がオン状態になる。したがって、第1の充電スイッチ素子がオン状態になるタイミングでは、第2の充電スイッチ素子が既にオン状態であるため、スイッチ素子の第1端子と2次電池の正極とが導通状態である。これによれば、第1の充電スイッチ素子がオン状態になるタイミングにおいて、直流電源にとっては、負荷として2次電池が既に接続されている状態であるため、直流電源から大電流が出力されてしまうのを防止できる。
【0036】
(5) 本発明は、(3)または(4)の充電装置について、前記2次電池の充電を終了する際に、前記第1の制御スイッチ素子をオン状態にした後に、前記第2の制御スイッチ素子をオン状態にすることを特徴とする充電装置を提案している。
【0037】
ここで、2次電池の充電を終了する際に、第2の制御スイッチ素子をオン状態にした後に、第1の制御スイッチ素子をオン状態にする場合について、検討する。この場合、第2の充電スイッチ素子がオフ状態になってから、第1の充電スイッチ素子がオフ状態になる。第2の充電スイッチ素子には、ボディダイオードといった一方向性素子が内蔵されているため、第2の充電スイッチ素子をオフ状態にしても、第1の充電スイッチ素子と、第2の充電スイッチ素子に内蔵されている一方向性素子と、を介して、直流電源の正極から2次電池の正極に向かって電流が流れてしまう。このため、第2の充電スイッチ素子に内蔵されている一方向性素子に電流が流れることによって、損失が増大してしまう。
【0038】
そこで、この発明によれば、(3)または(4)の充電装置において、2次電池の充電を終了する際には、第1の制御スイッチ素子をオン状態にした後に、第2の制御スイッチ素子をオン状態にすることとした。このため、2次電池の充電を終了する際には、第1の充電スイッチ素子がオフ状態になってから、第2の充電スイッチ素子がオフ状態になる。したがって、第1の充電スイッチ素子がオフ状態になるタイミングで、直流電源の正極から2次電池の正極に向かって電流が流れなくなる。よって、第2の充電スイッチ素子に内蔵されている一方向性素子に電流が流れてしまうのを防止して、損失を抑制できる。