特許第6083952号(P6083952)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6083952
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】コンタクトレンズ洗浄器具
(51)【国際特許分類】
   G02C 13/00 20060101AFI20170213BHJP
【FI】
   G02C13/00
【請求項の数】9
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2012-122664(P2012-122664)
(22)【出願日】2012年5月30日
(65)【公開番号】特開2013-11876(P2013-11876A)
(43)【公開日】2013年1月17日
【審査請求日】2015年3月31日
(31)【優先権主張番号】特願2011-123547(P2011-123547)
(32)【優先日】2011年6月1日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】311005183
【氏名又は名称】有限会社ヘルス・アンド・ケア
(74)【代理人】
【識別番号】100079577
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 全啓
(72)【発明者】
【氏名】加藤 光祥
【審査官】 後藤 亮治
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04957128(US,A)
【文献】 国際公開第02/097518(WO,A1)
【文献】 特開昭63−026618(JP,A)
【文献】 特開2001−188207(JP,A)
【文献】 特開平10−325943(JP,A)
【文献】 実開平03−084810(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 1/00 − 13/00
A61L 2/00 − 2/28
11/00 − 12/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄器本体と、
前記洗浄器本体の上部に設けた、コンタクトレンズと洗浄液とを収容したレンズケースを収容するための凹状収容部と、
前記凹状収容部の内側に設けられ、前記凹状収容部内に収容された前記レンズケースを把持するレンズケース把持部材と、
前記凹状収容部内に収容された前記レンズケースに振動を与える振動発生手段と、
前記振動発生手段の振動が前記洗浄器本体に伝達されるのを防止するための緩衝部材と、
を備え
前記凹状収容部に設けたストッパ部と、前記レンズケース把持部材の外側に設けた係止部とが、垂直方向において、前記緩衝部材を間に配設して対向していること、を特徴とする、コンタクトレンズ洗浄器具。
【請求項2】
洗浄器本体と、
前記洗浄器本体の上部に設けた、コンタクトレンズと洗浄液とを収容したレンズケースを収容するための凹状収容部と、
前記凹状収容部の内側に設けられ、前記凹状収容部内に収容された前記レンズケースを把持するレンズケース把持部材と、
前記凹状収容部内に収容された前記レンズケースに振動を与える振動発生手段と、
前記振動発生手段の振動が前記洗浄器本体に伝達されるのを防止するための緩衝部材と、
を備え、
前記緩衝部材は、前記洗浄器本体の凹状収容部に設けたストッパ部と、前記レンズケース把持部材の外側との間に配設され、
前記レンズケース把持部材は、前記凹状収容部内に収容されるレンズケースを把持するために、1組の柔軟性を有する把持部を備え
前記把持部は、それぞれ前記凹状収容部の両端部において対向して配置されていること、を特徴とする、コンタクトレンズ洗浄器具。
【請求項3】
前記凹状収容部は平面視で長円形であり、前記レンズケース把持部材は1組の略半円環状把持部を形成され、前記略半円環状把持部は、それぞれ前記凹状収容部の内側の両端部において対向して配置されていること、を特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のコンタクトレンズ洗浄器具。
【請求項4】
前記レンズケース把持部材の底部を一方の端部で付勢する弾性部材を備え、前記弾性部材の弾性力によって、前記レンズケース把持部材の係止部が、前記緩衝部材を介して、前記凹状収容部のストッパ部を押圧していること、を特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のコンタクトレンズ洗浄器具。
【請求項5】
前記弾性部材は、長さ方向を有する弾性ばね、シリコンゴムからなり、長さ方向における上端で前記レンズケース把持部材を支持し、前記レンズケース把持部材と前記凹状収容部との間にギャップを有するように前記洗浄器本体に内装されていること、を特徴とする、請求項に記載のコンタクトレンズ洗浄器具。
【請求項6】
前記弾性部材の他方の端部が、前記洗浄器本体の底部に設けた弾性足部材に圧接していること、を特徴とする、請求項又はに記載のコンタクトレンズ洗浄器具。
【請求項7】
前記振動発生手段を制御する制御回路手段をさらに備えたこと、を特徴とする、請求項1ないし請求項のいずれかに記載のコンタクトレンズ洗浄器具。
【請求項8】
前記洗浄器本体の凹状収容部は、上方が開口され、水平状態に載置された前記レンズケースと垂直状にのびる前記レンズケース把持部材の平面視形状とを合わせた、前記レンズケース及び前記レンズケース把持部材を収容するために十分な底壁面積を有し、且つ、前記レンズケース把持部材の外側部分と、前記洗浄器本体の凹状収容部の内側部分との間に、前記レンズケース把持部材が振動しても両者の接触を防止できるだけのギャップを確保するように構成されている、ことを特徴とする、請求項1ないし請求項のいずれかに記載のコンタクトレンズ洗浄器具。
【請求項9】
前記レンズケース把持部材は、前記レンズケース把持部材の外側部分と、前記洗浄器本体の凹状収容部の内側部分との間に、前記レンズケース把持部材が振動しても両者の接触を防止できるだけのギャップを確保するように構成されている、ことを特徴とする、請求項1ないし請求項のいずれかに記載のコンタクトレンズ洗浄器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクトレンズの洗浄器具に関し、特に、例えばコンタクトレンズを殺菌、消毒及び洗浄をするためのコンタクトレンズ洗浄器具に関する。
【背景技術】
【0002】
コンタクトレンズは、若い人を中心に、視力矯正のために広く使用されている。現在は、酸素透過性及び親水性に優れた、高精度のレンズ性能を有するコンタクトレンズが市販されている。それに伴って、コンタクトレンズ用の漬け置きタイプの洗浄液も、市場で数多く市販されている。
【0003】
しかしながら、コンタクトレンズの装着に伴う眼障害も、多数発生している。その原因の1つは、不潔なコンタクトレンズやレンズケースを使用することである。本来、漬け置きタイプの洗浄液は、擦り洗いをすべきものである。これを怠ると、コンタクトレンズやレンズケースの洗浄が不十分となり、コンタクトレンズやレンズケースが汚染され、眼障害が発生する。この眼障害原因については、眼科学会、コンタクトレンズメーカ及び洗浄液メーカが、従来より、注意喚起している。しかし、洗浄作業の煩雑さのため、ユーザによるコンタクトレンズ洗浄が十分に行われず、眼障害の発生が続いている。
【0004】
そこで、この問題を解消するために、例えば、特許文献1に記載のコンタクトレンズ保存装置が提案されている。このコンタクトレンズ保存装置は、コンタクトレンズと洗浄液とを収容したレンズケースに振動を加えて、洗浄液を振動させることによって、自動的にコンタクトレンズ表面の汚れを除去するものである。従って、ユーザ自身は、擦り洗いをする必要がなくなり、コンタクトレンズやレンズケースの洗浄を容易に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−325943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のコンタクトレンズ保存装置は、レンズケースを、単に、保存容器の収容部内に、把持することなく載置するだけである。従って、レンズケースに振動を加えると、レンズケースが、保存容器の収容部内を移動したり、あるいは、保存容器の収容部内で飛び跳ねたりするなどの心配があった。
【0007】
それゆえに、本発明の目的は、レンズケースに振動を加えても、レンズケースが、洗浄器本体の収容部内を移動したり、あるいは、洗浄器本体の収容部内で飛び跳ねたりせず、市販の洗浄液に添付されている、あらゆるレンズケースに対応する、把持部に固定することにより、振動発生手段の振動をより確実に伝えることができる、コンタクトレンズ洗浄器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、洗浄器本体と、
前記洗浄器本体の上部に設けた、コンタクトレンズと洗浄液とを収容したレンズケースを収容するための凹状収容部と、
前記凹状収容部の内側に設けられ、前記凹状収容部内に収容された前記レンズケースを把持するレンズケース把持部材と、
前記凹状収容部内に収容された前記レンズケースに振動を与える振動発生手段と、
前記振動発生手段の振動が前記洗浄器本体に伝達されるのを防止するための緩衝部材と、
を備え
前記凹状収容部に設けたストッパ部と、前記レンズケース把持部材の外側に設けた係止部とが、垂直方向において、前記緩衝部材を間に配設して対向していること、を特徴とする、コンタクトレンズ洗浄器具である。
【0009】
本発明では、レンズケース把持部材が、レンズケースを確実に把持するため、振動発生手段によってレンズケースに振動を加えても、レンズケースが、洗浄器本体の収容部内を移動したり、あるいは、洗浄器本体の収容部内で飛び跳ねたりなどしない。
【0010】
また、本発明は、凹状収容部は平面視で長円形であり、レンズケース把持部材は1組の略半円状把持部を形成され、略半円状把持部は、それぞれ凹状収容部の内側の両端部において対向して配置されていること、を特徴とする、コンタクトレンズ洗浄器具である。
【0011】
本発明では、対向する1組の略半円の内側の凹湾曲面にて、レンズケースを挟持するため、必要最小限の部材で効率良くレンズケースが把持される。
【0012】
また、本発明は、凹状収容部とレンズケース把持部材との間に設けられた、振動発生手段の振動が洗浄器本体に伝達されるのを防止するための緩衝部材をさらに備えたこと、を特徴とする、コンタクトレンズ洗浄器具である。
【0013】
本発明では、振動発生手段によってレンズケースに加えられた振動が、レンズケース把持部材に伝達されても、レンズケース把持部材と凹状収容部との間に設けられた緩衝部材が、この振動を吸収するため、振動が洗浄器本体に伝達されることを防止できる。
【0014】
また、本発明は、凹状収容部の内側に設けたストッパ部と、レンズケース把持部材の外側に設けた係止部とが、垂直方向において、緩衝部材を間に配設して対向していること、を特徴とする、コンタクトレンズ洗浄器具である。
【0015】
本発明では、ストッパ部と係止部との間に配設されている緩衝部材によって、レンズケース把持部材に伝達された振動が効率良く吸収され、振動が洗浄器本体に伝達されることを効率良く防止できる。
【0016】
また、本発明は、レンズケース把持部材の底部を一方の端部で付勢する弾性部材を備え、弾性部材の弾性力によって、レンズケース把持部材の係止部が、緩衝部材を介して、凹状収容部のストッパ部を押圧していること、を特徴とする、コンタクトレンズ洗浄器具である。
【0017】
本発明では、さらに弾性部材によっても、レンズケース把持部材に伝達された振動が吸収され、より一層、振動が洗浄器本体に伝達されることを防止できる。そして、弾性部材の弾性力によって、レンズケース把持部材の係止部が、緩衝部材を介して、凹状収容部のストッパ部を押圧しているため、レンズケース把持部材や緩衝部材の位置決めが確実に行われる。
【0018】
また、本発明は、弾性部材は、長さ方向を有する弾性ばね、シリコンゴムからなり、長さ方向における上端でレンズケース把持部材を支持し、レンズケース把持部材と凹状収容部との間にギャップを有するように洗浄器本体に内装されていること、を特徴とする、コンタクトレンズ洗浄器具である。
【0019】
また、本発明は、弾性部材の他方の端部が、洗浄器本体の底部に設けた弾性足部材に圧接していること、を特徴とする、コンタクトレンズ洗浄器具である。
【0020】
本発明では、振動発生手段によって発生した振動が、弾性部材及び弾性足部材に吸収されるため、卓上に置いたコンタクトレンズ洗浄器具は、振動による移動ずれを生じない。
【0021】
また、本発明は、振動発生手段を制御する制御回路手段をさらに備えたこと、を特徴とする、コンタクトレンズ洗浄器具である。
【0022】
本発明では、タイマーなどの制御回路手段によって、コンタクトレンズ表面の汚れ除去が自動的に行われる。
【0023】
また、本発明は、洗浄器本体の凹状収容部は、上方が開口され、水平状態に載置されたレンズケースと垂直状にのびるレンズケース把持部材の平面視形状とを合わせた、レンズケース及びレンズケース把持部材を収容するために十分な底壁面積を有し、且つ、レンズケース把持部材の外側部分と、洗浄器本体の凹状収容部の内側部分との間に、レンズケース把持部材が振動しても両者の接触を防止できるだけのギャップを確保するように構成されている、ことを特徴とする、コンタクトレンズ洗浄器具である。
【0024】
また、本発明は、レンズケース把持部材は、レンズケース把持部材の外側部分と、洗浄器本体の凹状収容部の内側部分との間に、レンズケース把持部材が振動しても両者の接触を防止できるだけのギャップを確保するように構成されている、ことを特徴とする、コンタクトレンズ洗浄器具である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、レンズケース把持部材が、レンズケースを確実に把持するので、レンズケースに振動を加えても、レンズケースが、洗浄器本体の収容部内を移動したり、あるいは、洗浄器本体の収容部内で飛び跳ねたりしないコンタクトレンズ洗浄器具が得られる。
【0026】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴及び利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明に係る一実施の形態のコンタクトレンズ洗浄器具を示す外観斜視図である。
図2】コンタクトレンズ洗浄器具にレンズケースをセットした状態を示す一部切り欠き斜視図である。
図3】コンタクトレンズ洗浄器具の平面図である。
図4図3のA−A断面図である。
図5図4のB−B断面図である。
図6図4のC−C断面図である。
図7図4のD−D断面図である。
図8図1の図示コンタクトレンズ洗浄器具の変形例を示す断面図解図である。
図9】本発明に係る一実施の形態のコンタクトレンズ洗浄器具の横断面図解図である。
図10】コンタクトレンズ洗浄器具を示す平面図解図である。
図11】コンタクトレンズ洗浄器の洗浄機本体を外した状態の平面図解図である。
図12図10A−A断面図である。
図13図10のA−A断面分解図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、コンタクトレンズ洗浄器具10を示す外観斜視図である。図2は、コンタクトレンズ洗浄器具10にレンズケース1をセットした状態を示す一部切り欠き斜視図である。図3はコンタクトレンズ洗浄器具10の平面図であり、図4はその垂直断面図である。また、図5図6及び図7は、それぞれ、図4のB−B断面図、C−C断面図及びD−D断面図である。
【0029】
図1に示すように、コンタクトレンズ洗浄器具10は、概略、洗浄器本体12と、洗浄器本体12の上部に形成された凹状収容部14と、凹状収容部14の内側に配設されている1組のレンズケース把持部材16と、及び、振動発生手段20とにより構成されている。
【0030】
レンズケース1は、市販のソフトコンタクトレンズ洗浄液に添付されている周知のレンズケース1である。より具体的には、レンズケース1は、左右に分かれた平面視で略円形の有底円筒状の収容部2aと収容部2bとを平面視円形状の収容部2a及び収容部2bの直径より短い幅の薄板状連結部2cにより連結してなるケース本体2を有している。更に、レンズケース1は、前記一方の収容部2aを被蓋する蓋4aと他方の収容部2bを被蓋する蓋4bとを有する。
一方の収容部2aと他方の収容部2bとは、左右対称形であり、左右2つのソフトコンタクトレンズ6と洗浄液8とを収容するためのものである。洗浄液8には、界面活性剤などが含まれている。また、洗浄液8としては、洗浄の他に、殺菌や消毒を兼ねるものなどが適宜選択される。
【0031】
洗浄器本体12は略直方体形状であり、プラスチックの成形品などからなる。この洗浄器本体12の上部に、広面積の凹状収容部14が形成されている。
凹状収容部14は、上方が開口され、平面視で長円形である。凹状収容部14は、水平状態に載置されたレンズケース1と垂直状にのびるレンズケース把持部材16の平面視形状とを合わせた、レンズケース1を収容するために十分な底壁面積を有する。
レンズケース1が水平状態に載置されるとは、蓋4a及び蓋4bを上にして、収容部2a及び収容部2bを水平面上に並置され且つ収容部2a及び収容部2bの開口部及び底部を略々水平に保たれた状態をいう。
【0032】
凹状収容部14の開口側端部には、開口の周囲にわたって、凹状収容部14の内周側壁14aから内側方向に水平に延在した鍔状のストッパ部40が形成されている。
ストッパ部40の延在寸法(幅寸法)は、後で説明する緩衝部材50(52)の幅より大きい寸法に設定されている。
【0033】
凹状収容部14の底壁14bの左右の端部には、それぞれ、レンズケース把持部材16の足部16c及び足部18cを収容するための位置決め用溝42及び位置決め用溝44が形成されている。
一方の位置決め用溝42と他方の位置決め用溝44とは、それぞれ、レンズケース把持部材16の一方の足部16cとレンズケース把持部材16の他方の足部18cの形状に合わせて、平面視で略半円環形状をしており、左右対称形に形成されている。
一方の位置決め用溝42と他方の位置決め用溝44とは、凹湾曲を内側にして対向して配設されている。位置決め用溝42,44の溝幅は、レンズケース把持部材16の足部16c,18cの幅より若干大きい寸法に設定されている。位置決め用溝42,44の深さは、レンズケース把持部材16の足部16c,18cの厚さより若干深い寸法に設定されている(図4参照)。
【0034】
レンズケース把持部材16は、それぞれ略半円形状で左右対称形に形成された把持部16a及び把持部18aを備えている。一方の把持部16aと他方の把持部18aとは、凹状収容部14の内側の両端部の位置に、レンズケース把持部材16の一方の把持部16aの凹湾曲面16a1と他方の把持部18aの凹湾曲面18a1とを内側にして、凹湾曲面16a1と凹湾曲面18a1とを対向して配置されている。
レンズケース把持部材16は、凹状収容部14内に収容されるレンズケース1を把持するためのものであり、適度の柔軟性を有する樹脂材で作成されている。
一方の把持部16aと他方の把持部18aとは、下部において、連接部16bにより連結されている。
【0035】
レンズケース把持部材16の一方の把持部16aの下側端部には、凹湾曲面(内側面)16a1から内側方向に水平に延在した足部16cが形成されている。
レンズケース把持部材16の他方の把持部18aの下側端部には、凹湾曲面(内側面)18a1から内側方向に水平に延在した足部18cが形成されている。
この実施の形態においては、一方の把持部16aは、一方の収容部2aの連結部2cとは反対側の左側半分の外周縁形状に対応した把持領域を備えており、他方の把持部18aは、他方の収容部2bの連結部2cとは反対側の右側半分の外周縁形状に対応した把持領域を備えている。
一方の把持部16aと他方の把持部18aとの対向面の間に、収容部2a及び収容部2bが密嵌される。
この実施の形態においては、足部16cと足部18cとは、連接部16bの一部分によって構成されている。
【0036】
レンズケース把持部材16の一方の把持部16aの凸湾曲面(外側面)16a2には、その高さ方向の中央の位置に、外周にわたって、凸湾曲面(外側面)16a2から外側方向に水平に延在した係止部36が形成されている。
同様に、レンズケース把持部材16の他方の把持部18aの凸湾曲面(外側面)18a2には、その高さ方向の中央の位置に、外周にわたって、凸湾曲面(外側面)18a2から外側方向に水平に延在した係止部38が形成されている。
一方の足部16cは、一方の収容部2aの底部(底壁)の下方を保持するために必要な面積を有している。
他方の足部18cは、他方の収容部2bの底部(底壁)の下方を保持するために必要な面積を有している。
この実施の形態においては、一方の足部16cは、一方の収容部2aの連結部2cとは反対側の左側半分の底部の外周縁形状に対応した平面視半円環状で、上面及び下面のいずれも平面である。足部16cは、一方の収容部2a及び他方の収容部2bを安定した状態で保持できるように、構成されている。
他方の足部18cは、他方の収容部2bの連結部2cとは反対側の右側半分の底部の外周縁形状に対応した平面視半円環状で、上面及び下面のいずれも平面である。足部18cは、他方の収容部2b及び一方の収容部2aを安定した状態で保持できるように、構成されている。
【0037】
一方の係止部36及び他方の係止部38の上面には、それぞれ、シリコンゴムやウレタンなどからなる緩衝部材50及び緩衝部材52が載置されている。
一方の緩衝部材50と他方の緩衝部材52とは、左右対称形であり、同一の高さ位置において一方の係止部36及び他方の係止部38と接している。
緩衝部材50及び緩衝部材52は、後述の振動発生手段20によって発生した振動が、洗浄器本体12に伝達されることを防止するためのものである。
さらに、一方の係止部36の上面は、垂直方向において、緩衝部材50を間に挟んで、凹状収容部14のストッパ部40の下面に対向している。同様に、他方の係止部38の上面は、垂直方向において、緩衝部材52を間に挟んで、凹状収容部14のストッパ部40の下面に対向している。
そして、一方の緩衝部材50は、一方の係止部36と一方のストッパ部40との対向面の間に介在され、他方の緩衝部材52は、他方の係止部38と他方のストッパ部40との対向面の間に介在されている。
【0038】
図5に示すように、一方の緩衝部材50は、一方の係止部36の形状に合わせて、平面視で略半円環形状をしている。緩衝部材50の幅は、一方の係止部36の上面の幅寸法より小さい寸法に設定されている。緩衝部材50の高さは、一方の係止部36の上面と凹状収容部14のストッパ部40の下面との間の距離より若干大きい寸法に設定されている。
同様に、他方の緩衝部材52は、他方の係止部38の形状に合わせて、平面視で略半円環形状をしている。緩衝部材52の幅は、他方の係止部38の上面の幅寸法より小さい寸法に設定されている。
他方の緩衝部材52の高さは、他方の係止部38の上面と凹状収容部14のストッパ部40の下面との間の距離より若干大きい寸法に設定されている。
なお、本実施形態の場合、緩衝部材50,52は、横断面が矩形であるけれども(図4参照)、必ずしもこれに限定されるものではなく、仕様によっては、横断面が円形のものなどが使用される。
【0039】
レンズケース把持部材16の一方の足部16cは、凹状収容部14の一方の位置決め用溝42に嵌挿されている。また、レンズケース把持部材16の他方の足部18cは、凹状収容部14の他方の位置決め用溝44に嵌挿されている。これによって、レンズケース把持部材16の把持部16aと把持部18aとの間の距離が決まり、レンズケース把持部材16の把持部16aの凹湾曲面16a1とレンズケース把持部材16の凹湾曲面18a1との間の距離が、レンズケース1の長さより若干小さい寸法に設定されている。
また、凹湾曲面16a1,18a1の内周径は、レンズケース1の略円形の収容部2a,2bの外周径と同一か外周縁より若干小さい寸法に設定されている。この結果、レンズケース把持部材16は、対向する1対の凹湾曲面16a1と凹湾曲面18a1とによりレンズケース1を挟持することができ、レンズケース1を必要最小限の部材で効率良く、かつ、確実に把持することができる。
【0040】
一方、レンズケース把持部材16の上端は開放端(自由端)であるため、レンズケース把持部材16は、いわゆる片持ち梁のような状態に近く、レンズケース把持部材16の上部側は水平振動自在である。この結果、後で説明するように、振動発生手段20の駆動によって、凹状収容部14内に収容されたレンズケース1と共に、レンズケース把持部材16の上側部を水平振動させることができる。
【0041】
このとき、レンズケース把持部材16の把持部16aの凸湾曲面(外側面)16a2の上側部分と、洗浄器本体12の上側部分との間には、振動しても両者の接触を防止できるだけの十分な寸法を有するギャップが確保されている。
より具体的には、凹状収容部14のストッパ部40の先端面40aとレンズケース把持部材16の把持部16aの凸湾曲面(外側面)16a2との間に形成されたギャップS1、並びに、レンズケース把持部材16の係止部36の先端面36aと凹状収容部14の内周側壁14aとの間に形成されたギャップS2は、レンズケース把持部材16が振動しても、レンズケース把持部材16と凹状収容部14の内周側壁14aとの接触を防止できるだけの寸法に設定されている。
【0042】
同様に、レンズケース把持部材16の把持部18aの凸湾曲面(外側面)18a2の上側部分と、洗浄器本体12の上側部分との間には、振動しても両者の接触を防止できるだけの十分な寸法を有するギャップが確保されている。
より具体的には、凹状収容部14のストッパ部40の先端面40aとレンズケース把持部材16の把持部18aの凸湾曲面(外側面)18a2との間に形成されたギャップS1、並びに、レンズケース把持部材16の係止部38の先端面38aと凹状収容部14の内周側壁14aとの間に形成されたギャップS2は、レンズケース把持部材16が振動しても、レンズケース把持部材16と凹状収容部14の内周側壁14aとの接触を防止できるだけの寸法に設定されている。
【0043】
レンズケース把持部材16の把持部16aの凸湾曲面(外側面)16a2の外側部分と、洗浄器本体12の位置決め用溝42の内側部分との間には、振動しても両者の接触を防止できるだけの十分な寸法を有するギャップが確保されている。又、レンズケース把持部材16の連接部16bの底面と洗浄器本体12の底壁14bとの間には、振動しても両者の接触を防止できるだけの十分な寸法を有するギャップが確保されている。
より具体的には、洗浄器本体12の位置決め用溝42の内側面とレンズケース把持部材16の把持部16aの凸湾曲面(外側面)16a2との間に形成されたギャップS3、並びに、レンズケース把持部材16の一方の足部16c及び連接部16bの下端面と凹状収容部14の一方の位置決め用溝42及び底壁14bの上面との間に形成されたギャップS4は、レンズケース把持部材16が振動しても、レンズケース把持部材16と凹状収容部14の内周側壁14aとの接触を防止できるだけの寸法に設定されている。
同様に、レンズケース把持部材16の把持部18aの凸湾曲面(外側面)18a2の外側部分と、洗浄器本体12の位置決め用溝44の内側部分との間には、振動しても両者の接触を防止できるだけの十分な寸法を有するギャップが確保されている。
より具体的には、洗浄器本体12の位置決め用溝44の内側面とレンズケース把持部材16の把持部18aの凸湾曲面(外側面)18a2との間に形成されたギャップS3、並びに、レンズケース把持部材16の他方の足部18c及び連接部16bの下端面と凹状収容部14の他方の位置決め用溝44及び底壁14bの上面との間に形成されたギャップS4は、レンズケース把持部材16が振動しても、レンズケース把持部材16と凹状収容部14の内周側壁14aとの接触を防止できるだけの寸法に設定されている。
【0044】
さらに、洗浄器本体12内には、一方の位置決め用溝42から洗浄器本体12の底面に到る貫通穴45,46と、他方の位置決め用溝44から洗浄器本体12の底面に到る貫通穴47,48とが形成されている。図3及び図5に示すように、複数個形成された貫通穴45,46は、平面視で、略半円環形状の一方の位置決め用溝42の周方向にバランス良く配置されている。貫通穴45,46は横断面が円形であり、その直径は、一方の位置決め用溝42の溝幅と等しい寸法、すなわち、レンズケース把持部材16の一方の足部16cの幅より若干大きい寸法に設定されている。
同様に、複数個形成された貫通穴47,48も、平面視で、略半円環形状の他方の位置決め用溝44の周方向にバランス良く配置されている。貫通穴47,48は横断面が円形であり、その直径は、他方の位置決め用溝44の溝幅と等しい寸法、すなわち、レンズケース把持部材16の他方の足部18cの幅より若干大きい寸法に設定されている。
【0045】
これら4個の貫通穴45,46,47,48のそれぞれには、図4及び図7に示すように、弾性ばね60a,60b,60c,60dが軸方向に挿通され、圧縮された状態で装填されている。弾性ばね60a〜60dは、それぞれ、横断面が円形であり、その直径は貫通穴45〜48の直径より若干小さい寸法の圧縮コイルばねであり、内装できるように構成されている。弾性ばね60a〜60dは、長さ方向を有し、その長さは、貫通穴45〜48の長さより長くてギャップS4を生じさせる寸法、すなわち装填された弾性ばね60a〜60dが位置決め用溝42及び位置決め用溝44の上面より若干突き出る寸法に設定されている。
【0046】
一方の弾性ばね60a,60bは、その上端がレンズケース把持部材16の一方の足部16cの底面に圧接し、レンズケース把持部材16を付勢している。
同様に、他方の弾性ばね60c,60dは、その上端がレンズケース把持部材16の他方の足部18cの底面に圧接し、レンズケース把持部材16を付勢している。
一方の弾性ばね60a,60bと他方の弾性ばね60c,60dとは、弾力、個数等が同じであり、一方の弾性ばね60cと他方の足部18cとを左右均等に付勢するように構成されている。
【0047】
これによって、レンズケース把持部材16の係止部36の上面が、弾性ばね60a,60bの圧縮ばね力によって、緩衝部材50を介して、凹状収容部14のストッパ部40の下面を押圧している。従って、レンズケース把持部材16及び緩衝部材50の位置決めが確実となる。同様に、レンズケース把持部材16の係止部38の上面が、弾性ばね60c,60dの圧縮ばね力によって、緩衝部材52を介して、凹状収容部14のストッパ部40の下面を押圧している。従って、レンズケース把持部材16及び緩衝部材52の位置決めが確実となる。ストッパ部40があるため、レンズケース把持部材16は、弾性ばね60a〜60dの圧縮ばね力によって付勢されても、洗浄器本体12から飛び出さない。
【0048】
弾性ばね60a〜60dの下端は、それぞれ、洗浄器本体12の底部に配設されている弾性足部材62に圧接されている(図4参照、ただし、図4において、4個の弾性足部材62のうち2個は表示せず)。弾性足部材62は、洗浄器本体12の底部に螺着、ネジ留め、接着などの方法によって装着されている。弾性足部材62の材料としては、シリコンゴムやウレタンなどが使用される。
【0049】
従って、レンズケース把持部材16は、緩衝部材50,52、弾性ばね60a〜60d、及び、4個の弾性足部材62によって、いわゆる洗浄器本体12から浮き上がったような状態となる。その結果、振動発生手段20によって発生したレンズケース把持部材16及びレンズケース1の振動が、洗浄器本体12に伝わり難い構造が得られる。
【0050】
振動発生手段20は、レンズケース把持部材16の連接部16bの中央に形成された振動発生手段支持部16dに配設され、振動発生手段支持部16dの上面に略均等の接触面積で直接に接触するように構成されている。振動発生手段20は、回転駆動軸を偏心させるなどした振動直流モータ(例えば、ミネベアモータ株式会社製、型式:KHN4NX)からなる。振動直流モータ20は、例えば、9200〜11000rpmの回転数で駆動することによって、凹状収容部14内に収容されたレンズケース1に略均等に振動を与え、レンズケース1を振動させる。
従って、レンズケース把持部材16の振動発生手段支持部16dに固定された振動発生手段20は、緩衝部材50,52、弾性ばね60a〜60d、及び、4個の弾性足部材62によって、いわゆる洗浄器本体12から浮き上がったような状態となる。その結果、振動発生手段20によって発生したレンズケース把持部材16及びレンズケース1の振動が、洗浄器本体12に伝わり難い構造が得られる。
【0051】
図4に示すように、洗浄器本体12の下部には、振動直流モータ20を駆動させるための電池22が配設されている。振動直流モータ20と電池22との間には、振動直流モータ20を制御する制御回路手段が電気的に接続されている。制御回路手段は、洗浄器本体12の上面に配設されているスイッチ30と、洗浄器本体12の内部に配設されているタイマー回路(図示せず)とを含む。タイマー回路は、スイッチ30を手動でON側へ移動させることによって、振動直流モータ20を所定時間(数分間〜数十分間)駆動させる。これによって、コンタクトレンズ6の表面の汚れ除去が自動的に行われる。あるいは、タイマー回路は、レンズケース1を凹状収容部14内にセットすると、それがトリガーとなって自動的にON状態になるように構成されていてもよい。このように、コンタクトレンズ洗浄器具10は、小型軽量の電池式装置であるので、携帯が可能である。
【0052】
次に、以上の構成からなるコンタクトレンズ洗浄器具10の作用効果を説明する。
洗浄液8とコンタクトレンズ6を入れたレンズケース1は、コンタクトレンズ洗浄器具10の凹状収容部14に、水平状態に載置される。すなわち、蓋4a及び蓋4bを上にして、収容部2a及び収容部2bを水平面上に並置され且つ収容部2a及び収容部2bの開口部及び底部を略々水平に保たれた状態においてセットされる。
このとき、レンズケース把持部材16は、適度の柔軟性を有しているので、把持部16aと把持部18aとの間にレンズケース1を挿入することに伴って、レンズケース把持部材16の把持部16aと把持部18aとの間隔、及び、レンズケース把持部材16の把持部16a及び把持部18aの凹湾曲面(内側面)16a1及び凹湾曲面(内側面)18a1の上側部分が若干広がり、レンズケース1が円滑に挿入される。そして、レンズケース1は、その左右両側部が凹湾曲面(内側面)16a1及び凹湾曲面(内側面)18a1の上側部分に接触した状態で、レンズケース把持部材16によって確実に把持される。
【0053】
次に、コンタクトレンズ洗浄器具10上のスイッチ30がONされると、タイマー回路によって振動直流モータ20が所定時間駆動される。振動直流モータ20によって発生した振動は、凹状収容部14内に収容されたレンズケース1を水平振動させる。洗浄液8は、振動することによって、コンタクトレンズ6の表面に微細な衝突を繰り返し、コンタクトレンズ6の表面に付着した汚れ(油脂成分やたんぱく質成分など)を除去する。すなわち、コンタクトレンズ6は擦り洗いされる。このとき、レンズケース1はレンズケース把持部材16によって確実に把持されているため、レンズケース1が、洗浄器本体12の凹状収容部14の内部を移動したり、あるいは、凹状収容部14の内部で飛び跳ねたりなどしない。そして、振動直流モータ20の振動が、効率良くレンズケース1(すなわち、洗浄液8)に伝わるので、洗浄効果が増大する。
【0054】
ここで、レンズケース1は、レンズケース把持部材16の一方の把持部16a及び他方の把持部18aの上側部分によって、一方の収容部2a及び他方の収容部2bを確実に把持されている。そのため、レンズケース1の振動は、レンズケース把持部材16の把持部16a及び把持部18aの上側部分の同調振動をもたらす。
しかも、レンズケース把持部材16の係止部36,38と凹状収容部14のストッパ部40との間に配設している緩衝部材50,52によって、レンズケース把持部材16の把持部16a及び把持部18aの上側部分の振動は、効率良く吸収できる。さらに、弾性ばね60a〜60dによっても、レンズケース把持部材16に伝達された振動が吸収され、より一層、振動が洗浄器本体12に伝達されることを防止できる。
【0055】
一方、レンズケース把持部材16の足部16c,18cは、それぞれ、凹状収容部14の底壁14bに形成された位置決め用溝42,44によって位置決めされている。このため、レンズケース把持部材16は、足部16c,18cを支点した片持ち梁振動のような動作をする。このとき、レンズケース把持部材16の把持部16a及び把持部18aの凸湾曲面(外側面)16a2,18a2の上側部分と、洗浄器本体12の上側部分との間には、振動しても両者の接触を防止できるだけの十分な寸法を有するギャップS1,S2が確保されているので、両者は接触しない。レンズケース把持部材16の把持部16a及び把持部18aの外側と位置決め用溝42及び位置決め用溝44の内側面との間並びにレンズケース把持部材16の連接部16bと凹状収容部14の底壁14bとの間には、振動しても両者の接触を防止できるだけの十分な寸法を有するギャップS3,S4が確保されている。
この結果、振動直流モータ20によって発生した振動が洗浄器本体12に伝わらないので、コンタクトレンズ洗浄器具10の振動を防止できる。
しかも、振動直流モータ20によって発生した振動が、弾性ばね60a〜60d及び弾性足部材62に吸収されるため、卓上に置いたコンタクトレンズ洗浄器具10は、振動による移動ずれを生じない。
【0056】
次に、レンズケース1は、所定時間の振動の後、振動直流モータ20の停止によって静止し、数時間(例えば4時間以上)放置される。この間、コンタクトレンズ6は、洗浄液8に浸漬された状態である。こうして、コンタクトレンズ6の表面は洗浄される。レンズケース1は、定期的に新しいものに交換することができ、レンズケース1の経年汚染による洗浄不十分も発生しない。
【0057】
なお、この発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変形される。
例えば、凹状収容部14は、上方が開口され、水平状態に載置されたレンズケース1と垂直状にのびるレンズケース把持部材16の平面視形状とを合わせた、レンズケース1及びレンズケース把持部材16を収容するために十分な底壁面積を有し、且つ、レンズケース把持部材16の外側部分と、洗浄器本体12の凹状収容部14の内側部分との間に、レンズケース把持部材16が振動しても両者の接触を防止できるだけのギャップを確保するように構成されているならば、内周側壁14a,底壁14b,位置決め用溝42及び位置決め用溝44の形状は、変更されてもよい。
例えば、レンズケース把持部材16は、レンズケース把持部材16の外側部分と、洗浄器本体12の凹状収容部14の内側部分との間に、レンズケース把持部材16が振動しても両者の接触を防止できるだけのギャップを確保するように構成されているならば、把持部16a,把持部18a,連接部16b,足部16c,足部18c,振動発生手段支持部16dの形状は、変更されてもよい。
また、例えば、図8に示すように、緩衝部材50及び緩衝部材52は、円筒状のシリコンゴムで構成してもよい。
また、例えば、洗浄液8としては、ソフトコンタクトレンズ用洗浄液の他に、ハードコンタクトレンズ用洗浄液を使用してもよい。この場合は、コンタクトレンズ洗浄器具10は、ハードコンタクトレンズ用洗浄機として使用できる。
【0058】
図9は、本発明に係る一実施の形態のコンタクトレンズ洗浄器具の横断面図解図である。
このコンタクトレンズ洗浄器具は、レンズケース1が種々のものが存在していることに対応できるように構成されている。
このコンタクトレンズ洗浄器具10は、概略、洗浄器本体12と、洗浄器本体12の上部に形成された凹状収容部14と、凹状収容部14の内側に配設されている1組のレンズケース把持部材16と、及び、振動発生手段120とにより構成されている。
振動発生手段120は、レンズケース1の底部に直接接し合わない形状の偏心モータである。而して、レンズケース1の底部の形状が、どのような形状であっても、振動発生手段120により発生した振動はレンズケース1に伝播される。
偏心モータは、例えば、モータの回転軸に、中心をはずした(偏心した)金属製の重りがつけられ、小刻みな振動を発生させる。
【0059】
この実施の形態においては、洗浄器本体12,凹状収容部14,レンズケース把持部材16は、前記の実施の形態と略々同じ構成を備えており、これらについての説明は省略する。
振動発生手段120の回転により発生した振動は、底壁14bを通して、把持部16a及び把持部18aに伝わる。
そして、レンズケース把持部材16の上端は開放端(自由端)であるため、レンズケース把持部材16は、いわゆる片持ち梁のような状態に近く、レンズケース把持部材16の上部側は水平振動自在である。振動発生手段120の駆動によって、レンズケース把持部材16の上側部を水平振動し、凹状収容部14内に収容されたレンズケース1が振動する。
【0060】
振動直流モータ120によって発生した振動は、凹状収容部14内に収容されたレンズケース1を水平振動させる。洗浄液8は、振動することによって、コンタクトレンズ6の表面に微細な衝突を繰り返し、コンタクトレンズ6の表面に付着した汚れ(油脂成分やたんぱく質成分など)を除去する。すなわち、コンタクトレンズ6は擦り洗いされる。
【0061】
図10ないし図12は、別の実施の形態の図である。
【0062】
図10は、コンタクトレンズ洗浄器具210を示す平面図解図である。図11はコンタクトレンズ洗浄器具の洗浄機本体を外した状態の平面図解図であり、図12はその図10A−A断面図である。また、図13は、図10のA−A断面分解図解図である。
【0063】
図10ないし図12に示すように、コンタクトレンズ洗浄器具210は、概略、洗浄器本体212と、洗浄器本体212の上部に形成された凹状収容部214と、凹状収容部214の内側に配設されている1組のレンズケース把持部材216と、及び、振動発生手段220とにより構成されている。
【0064】
レンズケース1は、市販のソフトコンタクトレンズ洗浄液に添付されている周知のレンズケース1である。より具体的には、レンズケース1は、左右に分かれた平面視で略円形の有底円筒状の収容部2aと収容部2bとを平面視円形状の収容部2a及び収容部2bの直径より短い幅の薄板状連結部2cにより連結してなるケース本体2を有している。更に、レンズケース1は、前記一方の収容部2aを被蓋する蓋4aと他方の収容部2bを被蓋する蓋4bとを有する。
一方の収容部2aと他方の収容部2bとは、左右対称形であり、左右2つのソフトコンタクトレンズ6と洗浄液8とを収容するためのものである。洗浄液8には、界面活性剤などが含まれている。また、洗浄液8としては、洗浄の他に、殺菌や消毒を兼ねるものなどが適宜選択される。
【0065】
洗浄器本体212は略直方体形状であり、プラスチックの成形品などからなる。この洗浄器本体212は、その上面が開口されている。洗浄器本体212の開口部212aの内側に、広面積の凹状収容部214が形成されている。開口部212aは、手前側と向こう側とにおいて対面するように、レンズケース1を例えば親指と人差し指とによって把持するための凹みを形成されている。
【0066】
洗浄器本体212は、下部に、底板270が固定されている。底板270は、洗浄機本体212の下端縁に沿った形状の平面視略方形状である。
洗浄器本体212と底板270との間、より具体的には洗浄器本体212の開口部212aの外側の近傍と底板270の上面との間に、洗浄機本体212の下面からのびた取付シャフト272が架け渡されている。
取付シャフト272は、洗浄機本体212の内側において、右側に形成された前後一対の第1シャフト272a及び第2シャフト272bと左側に形成された第3シャフト272cとを有している。
底板270は、嵌合溝274が穿設されており、取付ボルト276を嵌合溝274に嵌挿して取り付けシャフト272の中央に形成されたねじ孔に螺合されて、洗浄機本体212に底板270を固定される。
洗浄器本体212の下端縁に突設された嵌合突起214c,嵌合突起214d,嵌合突起214e及び嵌合突起214fは、底板270の外周縁に沿って形成された、嵌合溝274に嵌合されている。
嵌合溝274は、底板270の前側の第1嵌合溝274aと底板270の後側の第2嵌合溝274bと底板270の右側の第3嵌合溝274cと、底板270の左側の第4嵌合溝274dとを備えている。
底板270は、その下面に、4個の弾性足部材262が、4隅において等間隔をおいて、突設されている。
【0067】
凹状収容部214は、上方が開口され、平面視略楕円形である。凹状収容部214は、水平状態に載置されたレンズケース1と垂直状にのびるレンズケース把持部材216の平面視形状とを合わせた、レンズケース1を収容するために十分な底壁面積を有する。
レンズケース把持部材216は、連接部216bを構成するワークステーション216Aを有しており、ワークステーション216Aは、洗浄器本体212の開口部212aより広い平面視長方形の長方体状である。
ワークステーション216Aは、その上部に把持部216a及び把持部218aが上方に向けて突設されている。把持部216a及び把持部218aは、ワークステーション216Aと一体形成されている。把持部216aと把持部218aとは、同じ高さで、把持領域などを含めた全体の形状が対称性を有している。
レンズケース把持部材216は、レンズケース1を水平状態に保つために、ワークステーション216Aが凹状収容部214内において取り付けられ、又、ワークステーション216Aより垂設された把持部216a及び把持部218aは凹状収容部214内において同じ高さ位置において取り付けられている。
【0068】
レンズケース1が水平状態に載置されるとは、蓋4a及び蓋4bを上にして、収容部2a及び収容部2bを水平面上に並置され且つ収容部2a及び収容部2bの開口部及び底部を略々水平に保たれた状態をいう。
【0069】
凹状収容部214の開口側端部には、開口の周囲にわたって、凹状収容部214の内周側壁214aから外側方向に水平に延在した鍔状のストッパ部240が形成されている。
ストッパ部240の延在寸法(幅寸法)は、後で説明する緩衝部材250(252)の幅より大きい寸法に設定されている。
【0070】
凹状収容部214のワークステーション216Aの左右の端部には、それぞれ、一方の位置決め部材260a並びに位置決め部材260bを収容するための一方の位置決め用溝241並びに位置決め用溝242及び他方の位置決め部材260c並びに位置決め部材260dを収容するための他方の位置決め用溝243並びに位置決め用溝244が形成されている。
一方の位置決め用溝241及び位置決め用溝242は、それぞれ一方の位置決め部材260a及び位置決め部材260bの形状に合わせて、平面視で略半円環形状をしている。他方の位置決め用溝243並びに位置決め用溝244は、それぞれ、他方の位置決め部材260c及び位置決め部材260dの形状に合わせて、平面視で略半円環形状をしている。位置決め部材260aと位置決め部材260cとは、左右対称に形成され、位置決め部材260bと位置決め部材260dとは、左右対称形に形成されている。
一方の位置決め用溝241並びに位置決め用溝242と他方の位置決め用溝243並びに位置決め用溝244とは、凹湾曲を内側にして対向して配設されている。位置決め用溝241,242,243及び244の溝幅は、位置決め部材260a,260b,260c,及び260dの外形と略々同じ寸法に設定されている。位置決め用溝241,242,243及び244の深さは、位置決め部材260a,260b,260c,及び260dの上部を嵌合するに適する深い寸法に設定されている(図13参照)。
【0071】
レンズケース把持部材216は、それぞれ略半円形状で左右対称形に形成された把持部216aと把持部218aとを備えている。一方の把持部216aと他方の把持部218aとは、凹状収容部214の内側の両端部の位置に、レンズケース把持部材216の一方の把持部216aの凹湾曲面216a1と他方の把持部218aの凹湾曲面218a1とを内側にして、凹湾曲面216a1と凹湾曲面218a1とを対向して配置されている。
レンズケース把持部材216は、凹状収容部214内に収容されるレンズケース1を把持するためのものであり、適度の柔軟性を有する樹脂材で作成されている。
一方の把持部216aと他方の把持部218aとは、下部において、ワークステーション216Aにより連結されている。
【0072】
この実施の形態においては、一方の把持部216aは、一方の収容部2aの連結部2cとは反対側の左側半分の外周縁形状に対応した把持領域を備えており、他方の把持部218aは、他方の収容部2bの連結部2cとは反対側の右側半分の外周縁形状に対応した把持領域を備えている。
一方の把持部216aと他方の把持部218aとの対向面の間に、レンズケース1の収容部2a及び収容部2bが密嵌される。
【0073】
レンズケース把持部材216の一方の把持部216aの凸湾曲面(外側面)216a2には、その高さ方向の中央の位置に、外周にわたって、凸湾曲面(外側面)216a2から外側方向に水平に延在した、一方の係止部236が形成されている。
同様に、レンズケース把持部材216の他方の把持部218aの凸湾曲面(外側面)218a2には、その高さ方向の中央の位置に、外周にわたって、凸湾曲面(外側面)218a2から外側方向に水平に延在した、他方の係止部238が形成されている。
【0074】
ストッパ部240は、把持部216a及び把持部218aの外側の下面においてそれぞれ、シリコンゴムやウレタンなどからなる緩衝部材250及び緩衝部材252が設けられている。
一方の緩衝部材250と他方の緩衝部材252とは、左右対称性を有しており、同一の高さ位置において把持部216aの左側端部に形成された一方の係止部236及び把持部218aの右側端部に形成された他方の係止部238と接している。
緩衝部材250及び緩衝部材252は、後述の振動発生手段220によって発生した振動が、洗浄器本体212に伝達されることを防止するためのものである。
さらに、一方の係止部236の上面は、垂直方向において、緩衝部材250を間に挟んで、凹状収容部214のストッパ部240の下面に対向している。同様に、他方の係止部238の上面は、垂直方向において、緩衝部材252を間に挟んで、凹状収容部214のストッパ部240の下面に対向している。
この実施の形態においては、一方の緩衝部材250は、手前側の第1緩衝部材250aと向こう側の第2緩衝部材250bとに分かれており、第1緩衝部材250aと第2緩衝部材250bとは、上下対称性を有している。第1緩衝部材250a及び第2緩衝部材250bは、ワークステーション216Aの一方の把持部216aの外側の係止部236と洗浄器本体212の開口部212aの外側との対向面の間に介在される。
他方の緩衝部材252は、手前側の第3緩衝部材252aと向こう側の第4緩衝部材252bとに分かれており、第3緩衝部材252aと第4緩衝部材252bとは、上下対称性を有している。第3緩衝部材252a及び第4緩衝部材252bは、ワークステーション216Aの他方の把持部218aの外側の係止部238と洗浄器本体212の開口部212aの外側との対向面の間に介在されている。
この実施の形態においては、上下対称性は、ワークステーション216Aの中心を通る長さ方向にのびる水平な直線L1のまわりにおける対称性をいい、左右対称性は、ワークステーション216Aの中心を通る幅方向にのびる直線又は該直線と交わる鉛直線L2のまわりにおける対称性をいう(図11参照)。
【0075】
図10及び11に示すように、一方の緩衝部材250は、平面視で略円形状をしている。緩衝部材250の高さは、ワークステーション216Aの一方の把持部216aの外側の上面と洗浄器本体212の開口部212aの外側の下面との間の距離より若干大きい寸法に設定されている。
同様に、他方の緩衝部材252は、平面視で略円形状をしている。他方の緩衝部材252の高さは、ワークステーション216Aの他方の把持部218aの外側の上面と洗浄器本体212の開口部212aの外側の下面との間の距離より若干大きい寸法に設定されている。
なお、本実施形態の場合、緩衝部材250,252は、横断面が円形であるけれども、必ずしもこれに限定されるものではなく、仕様によっては、横断面が矩形のものなどが使用される。
【0076】
凹状収容部214のワークステーション216Aの下方には、凹状収容部214の一方の位置決め用溝241並びに位置決め用溝242及び他方の位置決め用溝243並びに位置決め用溝244を備えている。また、凹状収容部214のワークステーション216Aの下方は、位置決め用溝241並びに位置決め用溝242及び位置決め用溝243並びに位置決め用溝244に、底板270の内側から突設された、位置決め部材260a,位置決め部材260b,位置決め部材260c及び位置決め部材260dを嵌合されている。位置決め部材260a,位置決め部材260b,位置決め部材260c及び位置決め部材260dは、同一の形状で、シリコンゴム等の弾力性を有する素材をもって円柱状に形成されている。これによって、凹状収容部214の洗浄器本体212の中における位置関係が決まる。
この実施の形態においては、位置決め用溝241及びそれに嵌合された位置決め部材260aと位置決め用溝242及びそれに嵌合された位置決め部材260bとは、上下対称性を有している。
位置決め用溝243及びそれに嵌合された位置決め部材260cと位置決め用溝244及びそれに嵌合された位置決め部材260dとは、上下対称性を有している。
又、位置決め用溝241及びそれに嵌合された位置決め部材260aと位置決め用溝243及びそれに嵌合された位置決め部材260cとは、左右対称性を有している。
位置決め用溝242及びそれに嵌合された位置決め部材260bと位置決め用溝244及びそれに嵌合された位置決め部材260dとは、左右対称性を有している。
而して、ワークステーション216Aは、位置決め部材穴245,位置決め部材穴246,位置決め部材穴247及び位置決め部材穴248の上面との間及び底板270の上面との間に適宜な間隔が保持される。
【0077】
さらに、洗浄器本体212内には、一方の位置決め用溝241並びに位置決め用溝242から洗浄器本体212の底面に到る位置決め部材穴245,246と、他方の位置決め用溝243並びに位置決め用溝244から洗浄器本体212の底面に到る位置決め部材穴247,248とが形成されている。図12及び図13に示すように、複数個形成された位置決め部材穴245,246は、平面視で、略半円環形状の一方の位置決め用溝241並びに位置決め用溝242の周方向にバランス良く配置されている。位置決め部材穴245,246は横断面が円形であり、その直径は、一方の位置決め用溝242の溝幅と等しい寸法に設定されている。
同様に、複数個形成された位置決め部材穴247,248も、平面視で、略半円環形状の他方の位置決め用溝243並びに位置決め用溝244の周方向にバランス良く配置されている。位置決め部材穴247,248は横断面が円形であり、その直径は、他方の位置決め用溝244の溝幅と等しい寸法に設定されている。
この実施の形態においては、位置決め部材穴245と位置決め部材穴246とは、上下対称性を有しており、位置決め部材穴247と位置決め部材穴248とは、上下対称性を有している。位置決め部材穴245と位置決め部材穴247とは、左右対称性を有しており、位置決め部材穴246と位置決め部材穴248とは、左右対称性を有している。
【0078】
これら4個の位置決め部材穴245,246,247,248のそれぞれには、図11及び図13に示すように、位置決め部材260a,260b,260c,260dが軸方向に挿通され、圧縮された状態で装填されている。位置決め部材260a〜260dは、それぞれ、横断面が円形であり、その直径は位置決め部材穴245〜248の直径と同等又はそれよりわずかに長いシリコンゴムからなる柱状体であり、内装できるように構成されている。位置決め部材260a〜260dは、長さ方向を有し、その長さは、位置決め部材穴245〜248の長さより長くて、ワークステーション216Aの下面と底板270の上面との間の平行関係を保ちつつ適宜な間隔(ギャップS4)を生じさせる寸法、すなわち装填された位置決め部材260a〜260dが位置決め用溝242及び位置決め用溝244の上面より若干突き出る寸法に設定されている。
【0079】
レンズケース把持部材216の把持部216aの凹湾曲面216a1とレンズケース把持部材216の凹湾曲面218a1との間の距離が、レンズケース1の長さより若干小さい寸法に設定されている。
また、凹湾曲面216a1,218a1の内周径は、レンズケース1の略円形の収容部2a,2bの外周径と同一か外周縁より若干小さい寸法に設定されている。この結果、レンズケース把持部材216は、対向する1対の凹湾曲面216a1と凹湾曲面218a1とによりレンズケース1を挟持することができ、レンズケース1を必要最小限の部材で効率良く、かつ、確実に把持することができる。
【0080】
一方、レンズケース把持部材216の上端は開放端(自由端)であるため、レンズケース把持部材216は、いわゆる片持ち梁のような状態に近く、レンズケース把持部材216の上部側は水平振動自在である。この結果、後で説明するように、振動発生手段220の駆動によって、凹状収容部214内に収容されたレンズケース1と共に、レンズケース把持部材216の上側部を水平振動させることができる。
【0081】
このとき、レンズケース把持部材216の把持部216aの凸湾曲面(外側面)216a2の上側部分と、洗浄器本体212の上側部分との間には、振動しても両者の接触を防止できるだけの十分な寸法を有するギャップが確保されている。
より具体的には、凹状収容部214のストッパ部240の先端面240aとレンズケース把持部材216の把持部216aの凸湾曲面(外側面)216a2との間に形成されたギャップS1、並びに、レンズケース把持部材216の係止部236の先端面236aと凹状収容部214の内周側壁214aとの間に形成されたギャップS2は、レンズケース把持部材216が振動しても、レンズケース把持部材216と凹状収容部214の内周側壁214aとの接触を防止できるだけの寸法に設定されている。
【0082】
同様に、レンズケース把持部材216の把持部218aの凸湾曲面(外側面)218a2の上側部分と、洗浄器本体212の上側部分との間には、振動しても両者の接触を防止できるだけの十分な寸法を有するギャップが確保されている。
より具体的には、凹状収容部214のストッパ部240の先端面240aとレンズケース把持部材216の把持部218aの凸湾曲面(外側面)218a2との間に形成されたギャップS1、並びに、レンズケース把持部材216の係止部238の先端面238aと凹状収容部214の内周側壁214aとの間に形成されたギャップS2は、レンズケース把持部材216が振動しても、レンズケース把持部材216と凹状収容部214の内周側壁214aとの接触を防止できるだけの寸法に設定されている。
【0083】
レンズケース把持部材216のワークステーション216Aの下側部分と、洗浄器本体212の位置決め部材穴245,位置決め部材穴246,位置決め部材穴247及び位置決め部材穴248の上側部分との間には、振動しても両者の接触を防止できるだけの十分な寸法を有するギャップが確保されている。又、凹状収容部214のワークステーション216Aの底面と洗浄器本体212の底板270との間には、振動しても両者の接触を防止できるだけの十分な寸法を有するギャップが確保されている。
より具体的には、洗浄器本体212の位置決め部材穴245,位置決め部材穴246,位置決め部材穴247及び位置決め部材穴248の上側面とレンズケース把持部材216のワークステーション216Aの下側面との間に形成されたギャップS3、並びに、レンズケース把持部材216のワークステーション216Aの下端面と底板270の上面との間に形成されたギャップS4は、レンズケース把持部材216が振動しても、レンズケース把持部材216と位置決め部材穴245,位置決め部材穴246,位置決め部材穴247及び位置決め部材穴248の上側との接触を防止できるだけの寸法に設定されている。
同様に、レンズケース把持部材216のワークステーション216Aの下側部分と、洗浄器本体212の位置決め部材穴245,位置決め部材穴246,位置決め部材穴247及び位置決め部材穴248の上側部分との間には、振動しても両者の接触を防止できるだけの十分な寸法を有するギャップが確保されている。
より具体的には、洗浄器本体212の位置決め部材穴245,位置決め部材穴246,位置決め部材穴247及び位置決め部材穴248の上側面とレンズケース把持部材216のワークステーション216Aの下側面との間に形成されたギャップS3、並びに、レンズケース把持部材216のワークステーション216Aの下端面と底板270の上面との間に形成されたギャップS4は、レンズケース把持部材216が振動しても、レンズケース把持部材216と位置決め部材穴245,位置決め部材穴246,位置決め部材穴247及び位置決め部材穴248の上側との接触を防止できるだけの寸法に設定されている。
【0084】
一方の位置決め部材260a,260bは、その上端がワークステーション216Aの底面に圧接し、レンズケース把持部材216を付勢している。
同様に、他方の位置決め部材260c,260dは、その上端がワークステーション216Aの底面に圧接し、レンズケース把持部材216を付勢している。
一方の位置決め部材260a,260bと他方の位置決め部材260c,260dとは、弾力、個数等が同じであり左右均等に付勢するように構成されている。
【0085】
これによって、レンズケース把持部材216の係止部236の上面が、位置決め部材260a,260bの弾発力によって、緩衝部材250を介して、凹状収容部214のストッパ部240の下面を押圧している。従って、レンズケース把持部材216及び緩衝部材250の位置決めが確実となる。同様に、レンズケース把持部材216の係止部238の上面が、位置決め部材260c,260dの弾発力によって、緩衝部材252を介して、凹状収容部214のストッパ部240の下面を押圧している。従って、レンズケース把持部材216及び緩衝部材252の位置決めが確実となる。ストッパ部240があるため、レンズケース把持部材216は、位置決め部材260a〜260dの弾発力によって付勢されても、洗浄器本体212から飛び出さない。
【0086】
従って、レンズケース把持部材216は、緩衝部材250,252及び位置決め部材260a〜260dによって、いわゆる洗浄器本体212及び振動発生手段20から浮き上がったような状態となる。その結果、振動発生手段220によって発生したレンズケース把持部材216及びレンズケース1の振動が、洗浄器本体212に伝わり難い構造が得られる。
【0087】
振動発生手段220は、レンズケース把持部材216の連接部216bの中央に形成された振動発生手段支持部216dに配設され、振動発生手段支持部216dの上面に略均等の接触面積で直接に接触するように構成されている。振動発生手段220は、回転駆動軸を偏心させるなどした振動直流モータ(例えば、ミネベアモータ株式会社製、型式:KHN4NX)からなる。振動直流モータ220は、例えば、9200〜11000rpmの回転数で駆動することによって、凹状収容部214内に収容されたレンズケース1に略均等に振動を与え、レンズケース1を振動させる。
従って、レンズケース把持部材216の振動発生手段支持部216dに固定された振動発生手段220は、緩衝部材250,252及び位置決め部材260a〜260dによって、いわゆる洗浄器本体212から浮き上がったような状態となる。その結果、振動発生手段220によって発生したレンズケース把持部材216及びレンズケース1の振動が、洗浄器本体212に伝わり難い構造が得られる。
【0088】
図10図11及び図12に示すように、洗浄器本体212の下部には、振動直流モータ220を駆動させるための電池222が配設されている。振動直流モータ220と電池222との間には、振動直流モータ220を制御する制御回路手段が電気的に接続されている。制御回路手段は、洗浄器本体212の上面に配設されているスイッチ230と、洗浄器本体212の内部に配設されているタイマー回路(図示せず)とを含む。タイマー回路は、スイッチ230を手動でON側へ移動させることによって、振動直流モータ220を所定時間(数分間〜数十分間)駆動させる。これによって、コンタクトレンズ6の表面の汚れ除去が自動的に行われる。あるいは、タイマー回路は、レンズケース1を凹状収容部214内にセットすると、それがトリガーとなって自動的にON状態になるように構成されていてもよい。このように、コンタクトレンズ洗浄器具210は、小型軽量の電池式装置であるので、携帯が可能である。
【0089】
次に、以上の構成からなるコンタクトレンズ洗浄器具210の作用効果を説明する。
洗浄液8とコンタクトレンズ6を入れたレンズケース1は、コンタクトレンズ洗浄器具210の凹状収容部214に、水平状態に載置される。すなわち、蓋4a及び蓋4bを上にして、収容部2a及び収容部2bを水平面上に並置され且つ収容部2a及び収容部2bの開口部及び底部を略々水平に保たれた状態においてセットされる。
このとき、レンズケース把持部材216は、適度の柔軟性を有しているので、把持部216aと把持部218aとの間にレンズケース1を挿入することに伴って、レンズケース把持部材216の把持部216aと把持部218aとの間隔、及び、レンズケース把持部材216の把持部216a及び把持部218aの凹湾曲面(内側面)216a1及び凹湾曲面(内側面)218a1の上側部分が若干広がり、レンズケース1が円滑に挿入される。そして、レンズケース1は、その左右両側部が凹湾曲面(内側面)216a1及び凹湾曲面(内側面)218a1の上側部分に接触した状態で、レンズケース把持部材216によって確実に把持される。
【0090】
次に、コンタクトレンズ洗浄器具210上のスイッチ230がONされると、タイマー回路によって振動直流モータ220が所定時間駆動される。振動直流モータ220によって発生した振動は、凹状収容部214内に収容されたレンズケース1を水平振動させる。洗浄液8は、振動することによって、コンタクトレンズ6の表面に微細な衝突を繰り返し、コンタクトレンズ6の表面に付着した汚れ(油脂成分やたんぱく質成分など)を除去する。すなわち、コンタクトレンズ6は擦り洗いされる。このとき、レンズケース1はレンズケース把持部材216によって確実に把持されているため、レンズケース1が、洗浄器本体212の凹状収容部214の内部を移動したり、あるいは、凹状収容部214の内部で飛び跳ねたりなどしない。そして、振動直流モータ220の振動が、効率良くレンズケース1(すなわち、洗浄液8)に伝わるので、洗浄効果が増大する。
【0091】
ここで、レンズケース1は、レンズケース把持部材216の一方の把持部216a及び他方の把持部218aの上側部分によって、一方の収容部2a及び他方の収容部2bを確実に把持されている。そのため、レンズケース1の振動は、レンズケース把持部材216の把持部216a及び把持部218aの上側部分の同調振動をもたらす。
しかも、レンズケース把持部材216の係止部236,238と凹状収容部214のストッパ部240との間に配設している緩衝部材250,252によって、レンズケース把持部材216の把持部216a及び把持部218aの上側部分の振動は、効率良く吸収できる。さらに、位置決め部材260a〜260dによっても、レンズケース把持部材216に伝達された振動が吸収され、より一層、振動が洗浄器本体212に伝達されることを防止できる。
【0092】
一方、位置決め部材260a,260b,260c,及び260dは、それぞれ、ワークステーション216Aに形成された位置決め用溝241,242,243,244によって位置決めされている。このため、レンズケース把持部材216は、位置決め部材260a,260b,260c,及び260dを支点した片持ち梁振動のような動作をする。このとき、レンズケース把持部材216の把持部216a及び把持部218aの凸湾曲面(外側面)216a2,218a2の上側部分と、洗浄器本体212の上側部分との間には、振動しても両者の接触を防止できるだけの十分な寸法を有するギャップS1,S2が確保されているので、両者は接触しない。レンズケース把持部材216の把持部216a及び把持部218aの外側と位置決め用溝241並びに242及び位置決め用溝243並びに244の内側面との間並びにレンズケース把持部材216の連接部216bと凹状収容部214の底壁214bとの間には、振動しても両者の接触を防止できるだけの十分な寸法を有するギャップS3,S4が確保されている。
この結果、振動直流モータ220によって発生した振動が洗浄器本体212に伝わらないので、コンタクトレンズ洗浄器具210の振動を防止できる。
しかも、振動直流モータ220によって発生した振動が、位置決め部材260a〜260d及び弾性足部材262に吸収されるため、卓上に置いたコンタクトレンズ洗浄器具210は、振動による移動ずれを生じない。
【0093】
次に、レンズケース1は、所定時間の振動の後、振動直流モータ220の停止によって静止し、数時間(例えば4時間以上)放置される。この間、コンタクトレンズ6は、洗浄液8に浸漬された状態である。こうして、コンタクトレンズ6の表面は洗浄される。レンズケース1は、定期的に新しいものに交換することができ、レンズケース1の経年汚染による洗浄不十分も発生しない。
【符号の説明】
【0094】
1 レンズケース
2 ケース本体
2a,2b 収容部
2c 連結部
4a,4b 蓋
6 コンタクトレンズ
8 洗浄液
10,210 コンタクトレンズ洗浄器具
12,212 洗浄器本体
12a,212a 開口部
14,214 凹状収容部
14a,214a 内周側壁
14b,214b 底壁
214c,214d,214e,214f 嵌合突起
16,216 レンズケース把持部材
16a,18a,216a,218a 把持部
16a1,18a1,216a1,218a1 凹湾曲面(内側面)
16a2,18a2,216a2,218a2 凸湾曲面(外側面)
16b,216b 連接部
16c,18c 足部
16d,216d 振動発生手段支持部
216A ワークステーション
20,120,220 振動発生手段(振動直流モータ)
22,222 電池
30,230 スイッチ
36,38,236,238 係止部
36a,38a,40a,236a,238a,240a 先端面
40,240 ストッパ部
42,44,242,244 位置決め用溝
45,46,47,48,245,246,247,248 位置決め部材穴
50,52,250,252 緩衝部材
60a,60b,60c,60d,260a,260b,260c,260d 位置決め部材
62,262 弾性足部材
250a 第1緩衝部材
250b 第2緩衝部材
252a 第3緩衝部材
252b 第4緩衝部材
270 底板
272 取付シャフト
272a 第1シャフト
272b 第2シャフト
272c 第3シャフト
274 嵌合溝
274a 第1嵌合溝
274b 第2嵌合溝
274c 第3嵌合溝
274d 第4嵌合溝
S1,S2,S3,S4 ギャップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13