【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、吸湿剤として特定の配合割合からなるSrOとCaOとの混合物を採用する場合は、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、下記の吸湿性成形体及び有機EL素子に関する。
1.吸湿剤及びバインダーを含有する吸湿性成形体であって、前記吸湿剤はSrOとCaOとの混合物からなり、SrOとCaOとの重量比はSrO:CaO=50.0〜87.5:50.0〜12.5であることを特徴とする吸湿性成形体。
2.前記CaOは、比表面積10m
2/g以上である、上記項1に記載の吸湿性成形体。
3.前記吸湿剤の含有量が30〜95重量%である、上記項1又は2に記載の吸湿性成形体。
4.前記バインダーは、樹脂成分である、上記項1〜3のいずれかに記載の吸湿性成形体。
5.前記樹脂成分は、フッ素系樹脂である、上記項4に記載の吸湿性成形体。
6.前記フッ素系樹脂は、フィブリル化されている、上記項5に記載の吸湿性成形体。
7.有機EL素子用である、請求項1〜6のいずれかに記載の吸湿性成形体。
【0013】
以下、本発明の吸湿性成形体について詳細に説明する。
【0014】
本発明の吸湿性成形体は、吸湿剤及びバインダーを含有する吸湿性成形体であって、前記吸湿剤はSrOとCaOとの混合物からなり、SrOとCaOとの重量比はSrO:CaO=50.0〜87.5:50.0〜12.5であることを特徴とする。
【0015】
上記特徴を有する本発明の吸湿性成形体は、特に吸湿剤がSrOとCaOとの混合物からなり、SrOとCaOとの重量比がSrO:CaO=50.0〜87.5:50.0〜12.5であることにより、極めて低い水分濃度(低露点)の環境下(水分濃度20〜70ppmv)で優れた吸湿性とシワの発生が防止されている低膨張性を示す。よって、粘着テープを貼り付けた後で吸湿性成形体が膨張してもシワの発生がない。従って、例えば、有機EL素子に適用した場合には、長期に亘りダークスポットの発生・成長を抑制できるとともに吸湿性成形体と有機EL素子とが近接して配置されていても経時的な接触を抑制できる。
【0016】
一方、SrOとCaOとの重量比がSrO:CaO=100:0になった場合には、吸湿後の膨張率が著しく大きくなり、粘着テープを貼り付けた時に吸湿性成形体にシワが発生し、有機EL素子に適用する場合での吸湿性成形体厚さの予測が不可能となってしまう問題がある。かかる問題に対して、発明者らは、有機EL素子に最適なSrOとCaOとの重量比がSrO:CaO=50.0〜87.5:50.0〜12.5であることを見出して本発明を完成した。
【0017】
吸湿性成形体の形状は限定的でなく、最終製品の用途、使用目的、使用部位等に応じて適宜設定すれば良く、例えば、シート状、ペレット状、板状、フィルム状、粒状(造粒体)等を挙げることができる。
【0018】
本発明の吸湿剤(SrO及びCaOの混合物)は、重量比がSrO:CaO=50.0〜87.5:50.0〜12.5であればよい。
【0019】
本発明の吸湿剤は、粉末の形態で含有させることが好ましい。この場合、CaO粉末の比表面積(BET比表面積)は、通常10m
2/g以上、更には30m
2/g以上、特に40m
2/g以上であることが好ましい。CaOであれば、例えば、水酸化カルシウムを900℃以下(好ましくは700℃以下、最も好ましくは500℃以下(特に490〜500℃)で加熱して得られるCaO(粉末)を好適に用いることができる。
【0020】
本発明の吸湿剤の平均粒径は限定されないが、CaOは3〜20μmが好ましく、4〜9μmがより好ましい。また、SrOは3〜20μmが好ましく、4〜6μmがより好ましい。なお、本明細書における平均粒径は、日機装社製MT3300EX-IIを用いて測定を行った。また、溶媒にはSrOがトルエン、CaOがエタノールを使用し、SrOに限っては分散剤としてZeneca specialities社製のSolsperse28000を使用し測定を行った。なお、吸湿剤の平均粒径が大きすぎる場合には吸湿性成形体の薄膜化が困難となる場合があり、吸湿剤の平均粒径が小さすぎる場合には吸湿性成形体の成形性が低下するおそれがある。
【0021】
バインダーとしては、吸湿剤を固定させる役目を果たし、吸湿剤の水分除去作用を妨げないものであれば特に限定的でなく、気体透過性高分子材料(即ち、ガスバリアー性の低い高分子材料)である樹脂成分を好適に用いることができる。樹脂成分としては、例えば、フッ素系、ポリオレフィン系、ポリアクリル系、ポリアクリロニトリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリカーボーネート系等の高分子材料が挙げられる。気体透過性は、最終製品の用途、所望の特性等に応じて適宜設定すれば良い。
【0022】
本発明では、これらの樹脂成分の中でも、フッ素系、ポリオレフィン系等が好ましい。具体的には、フッ素系としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等が挙げられる。ポリオレフィン系としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン等のほか、これらの共重合体等が挙げられる。これら樹脂成分のうち、本発明では、フッ素系樹脂が好ましい。
【0023】
本発明では、吸湿剤及びバインダーの含有量は適宜設定すれば良いが、通常は吸湿剤及びバインダーの合計量を100重量%として吸湿剤30〜95重量%程度及びバインダー70〜5重量%程度にすれば良い。好ましくは吸湿剤50〜85重量%程度及びバインダー50〜15重量%、最も好ましくは吸湿剤55〜85重量%程度及びバインダー45〜15重量%とすれば良い。
【0024】
本発明では、その効果を妨げない範囲内で、吸湿性成形体に、必要に応じて他の成分を適宜含んでもよい。例えば、ヒドラジド化合物は、特にダークスポットの発生防止又は発生したダークスポットの成長抑制効果に寄与する。ヒドラジド化合物としては特に制限されず、分子中に1個のヒドラジド基を有するモノヒドラジド化合物;分子中に2個のヒドラジド基を有するジヒドラジド化合物;分子中に3個以上のヒドラジド基を有するポリヒドラジド化合物等を包含する。通常は吸湿剤及びバインダーの合計量100重量部に対して1〜15重量部程度とすればよい。
【0025】
本発明では、その効果を妨げない範囲内で、必要に応じて無機材料又は金属材料の粉末を分散させてもよい。急激な温度変化又は湿度変化に対する耐久性等を高めるためには、マイカ、アルミニウム粉等のリーフィング現象を示す粉末(鱗片状粒子)を分散させてもよい。また、導電性の付与や顔料として、ファーネスブラック、チャネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック粉末、及び活性炭などを分散させてもよい。上記粉末の含有量は特に限定的でないが、通常は吸湿剤及びバインダーの合計量100重量部に対して0.1〜50重量%程度とすれば良い。
【0026】
本発明の吸湿性成形体は、これらの各成分を均一に混合し、所望の形状に成形することによって得られる。その際、吸湿剤は予め十分乾燥させてから配合することが好ましい。また、バインダーとの混合に際しては、必要に応じて加熱して溶融状態としてもよい。成形方法は、公知の成形方法又はフィブリルを成長させるための混練設備を採用でき、公知の成形方法としては、例えばプレス成形(ホットプレス成形等を含む。)、押し出し成形のほか、カレンダー成形等を適用することができる。
【0027】
本発明の吸湿性成形体は、有機EL素子用とする場合には、形状はシート状であることが好ましい。
【0028】
本発明の吸湿性成形体は、バインダーとして樹脂成分を用いる場合には、樹脂成分がフィブリル化されていることが好ましい。フィブリル化によって、いっそう優れた吸湿性を発揮することができる。フィブリル化は、吸湿性成形体の成形と同時に実施しても良いし、成形後の加工により実施しても良い。例えば、樹脂成分と吸湿剤とを乾式混合して得られた混合物を圧延することにより樹脂成分のフィブリル化を行うことができる。なお、ここで言う乾式混合とは水分を使用しない混合方法を意味するが、必要に応じて有機溶剤等を用いてもよい。また例えば、本発明成形体を更に前記のように延伸加工を施すことによってフィブリル化を行うことができる。
【0029】
より具体的には、吸湿剤粉末とフッ素系樹脂粉末(例えば、ポリテトラフルオロエチレン等)とを乾式混合した後、得られた混合物を圧延することによりフィブリル化された吸湿性成形体を製造することができる。圧延又は延伸は、公知の装置を用いて実施すれば良い。フィブリル化の程度は、最終製品の用途、所望の特性等に応じて適宜調整することができる。吸湿剤粉末は、前記の比表面積を有するものを用いることが好ましい。フッ素系樹脂粉末は限定的でなく、公知又は市販のフッ素系樹脂粉末(粒度)をそのまま使用すれば良い。
【0030】
本発明の吸湿性成形体は、吸湿が必要な箇所又は部位に常法により設置すれば良い。例えば、有機EL素子の容器内雰囲気中の水分を吸湿する場合は、容器内面の一部又は全部に吸湿性成形体を固定すれば良い。
【0031】
有機EL素子はガス成分によってもダークスポットやダークエリアと呼ばれる非発光領域が進行することが知られている。よって、吸湿性成形体の固定に使用する粘着テープや接着剤としてはアウトガスの低いものを用いることが望ましい。
【0032】
本発明によれば、有機EL素子内部に侵入した水分を容易かつ確実に除去することができる。また、吸湿に伴う膨張が抑制されていることにより、粘着テープを貼り付けた時に吸湿性成形体が膨張してもシワが発生しないことによって経時的に吸湿性成形体と電子デバイス等とが接触することを防止し、小型化の要請に応えることができる。更に、吸湿性成形体であるため、乾燥手段の設置を機械化することも可能である。そのため雰囲気内に水分が侵入する機会が減り、当初から高い乾燥状態をもつ雰囲気を作り出すことができる。即ち、高い乾燥状態でデバイスを製造できるとともに製造後も確実に水分を除去でき、安定性・信頼性の高いデバイスを工業的規模で提供することが可能となる。