(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6083993
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】発泡性の1剤式二酸化炭素外用剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/70 20060101AFI20170213BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20170213BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20170213BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20170213BHJP
【FI】
A61K8/70
A61K8/19
A61K8/60
A61Q19/00
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-213138(P2012-213138)
(22)【出願日】2012年9月7日
(65)【公開番号】特開2014-51481(P2014-51481A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2015年6月29日
【審判番号】不服2016-9461(P2016-9461/J1)
【審判請求日】2016年6月24日
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501110570
【氏名又は名称】ノーベル化学宏業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504426609
【氏名又は名称】株式会社美源堂
(74)【代理人】
【識別番号】100104307
【弁理士】
【氏名又は名称】志村 尚司
(72)【発明者】
【氏名】勝見 篤嗣
(72)【発明者】
【氏名】中村 貴信
【合議体】
【審判長】
大熊 幸治
【審判官】
小川 慶子
【審判官】
齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2010/0150971(US,A1)
【文献】
特開2008−230982(JP,A)
【文献】
特開2005−089357(JP,A)
【文献】
特開2010−222259(JP,A)
【文献】
特開2009−292740(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
界面活性剤と、ハイドロフルオロエーテルと、炭酸塩を含み、皮膚に塗布されることで二酸化炭素を含む泡を発生することを特徴とする発泡性の1剤式二酸化炭素外用剤。
【請求項2】
前記ハイドロフルオロエーテルが、メチルパーフルオロブチルエーテル、及び、又は、メチルパーフルオロイソブチルエーテルである請求項1に記載の発泡性の1剤式二酸化炭素外用剤。
【請求項3】
前記界面活性剤が、アルキルポリグルコシドである請求項1又は2に記載の発泡性の1剤式二酸化炭素外用剤。
【請求項4】
前記アルキルポリグルコシドが、デシルグルコシドである請求項3に記載の発泡性の1剤式二酸化炭素外用剤。
【請求項5】
前記炭酸塩が、炭酸水素ナトリウムであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の発泡性の1剤式二酸化炭素外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は美容効果を有する発泡性外用剤に関し、より詳しくは発泡性二酸化炭素外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素が、皮膚や皮下組織の血行を促進し、新陳代謝を活発化することによって美容効果が得られることは、これらの効果を得る目的で、世界各地で炭酸泉が利用されていることや、様々な研究により明らかである。
【0003】
また、二酸化炭素の外用による美容効果を簡便に得るために、二酸化炭素を配合した二酸化炭素化粧料や、用時調製により二酸化炭素を発生させる化粧料が提案されている。
【0004】
二酸化炭素外用剤は、その製造技術が確立されていないこと、保存容器が封入の機能を得るため高価になることなどの問題点があるのに対し、用時調製により二酸化炭素を発生させる外用剤ではこれらの問題点が少ないが、使用時に複数の組成物を混合する必要があり、使用性に問題があった。
【0005】
用時調製による外用剤を調製できる組成物として、
例えば特許文献1には、
二酸化炭素経皮・経粘膜吸収用組成物製造キットが提案されている。この公報には、二酸化炭素の経皮・経粘膜吸収が、水虫、虫さされ、アトピー性皮膚炎などの他に、そばかす、肌荒れ、肌のくすみ、肌の張りや肌の艶の衰え、髪の艶の衰えなどの皮膚や毛髪などの美容上の問題及び部分肥満に有効であることが開示されている。
【0006】
特許文献2には、
部分肥満改善用化粧料、或いは水虫、アトピー性皮膚炎又は褥創の治療用医薬組成物として使用される二酸化炭素含有粘性組成物を得るためのキットであって、
1)炭酸塩及びアルギン酸ナトリウムを含有する含水粘性組成物と、酸を含む顆粒(細粒、粉末)剤の組み合わせ;又は
2)炭酸塩及び酸を含む複合顆粒(細粒、粉末)剤と、アルギン酸ナトリウムを含有する含水粘性組成物の組み合わせ
からなり、含水粘性組成物が、二酸化炭素を気泡状で保持できるものであることを特徴とする、含水粘性組成物中で炭酸塩と酸を反応させることにより気泡状の二酸化炭素を含有する前記二酸化炭素含有粘性組成物を得ることが開示されている。
【0007】
特許文献3には、
水溶性酸、増粘剤として加工澱粉、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロースおよびキサンタンガムから選択される1種又は2種以上、この増粘剤とは別の物質である水溶性分散剤としてD−マンニトール、乳糖および尿素から選択される1種又は2種以上を必須成分とし、増粘剤が水溶性酸及び水溶性分散剤と混合されている粒状物と、
炭酸塩、水、増粘剤としてアルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステルおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムから選択される1種又は2種以上を必須成分とし、使用時に前記粒状物と混合する粘性組成物とを含み、
前記粒状物全体に対して水溶性酸が2〜50重量%、前記粒状物の増粘剤が10〜40重量%、前記水溶性分散剤が30〜85重量%であり、
前記粘性組成物全体に対して炭酸塩が0.1〜10重量%、水が70〜97.5重量%、前記粘性組成物の増粘剤が0.5〜20重量%であり、
前記粒状物と粘性組成物との重量比が1:10〜40であり、
かつ、前記粘性組成物が、二酸化炭素外用剤の皮膚粘膜への粘着性と延びを良くして美容又は医療効果を高めるための1,3−ブチレングリコールを1〜15重量%含むことを特徴とする二酸化炭素外用剤調製用組成物を得ることが開示されている。
【0008】
特許文献4には、
水溶性酸、増粘剤として加工澱粉、デキストリン、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、キサンタンガム及びヒドロキシプロピルセルロースから選択される1種又は2種以上、この増粘剤とは別の物質である水溶性分散剤として乳糖、白糖、D−マンニトール
、及び尿素から選択される1種又は2種以上を必須成分とし、前記増粘剤が前記水溶性酸及び前記水溶性分散剤と混合されている粒状物と、
炭酸塩、水、増粘剤を必須成分とし、使用時に前記粒状物と混合する粘性組成物とを含み、
前記粒状物全体に対して前記水溶性酸が2〜50重量%、前記増粘剤が10〜40重量%、前記水溶性分散剤が30〜85重量%であり、
前記粘性組成物全体に対して炭酸塩が0.1〜10重量%、水が70〜97.5重量%、前記粘性組成物の増粘剤が0.5〜20重量%であり、
前記粒状物と粘性組成物との重量比が1:10〜40であることを特徴とする二酸化炭素外用剤調製用組成物を得ることが開示されている。
【0009】
特許文献5には、
水溶性酸としてリンゴ酸、増粘剤として加工澱粉、デキストリン及び馬鈴薯澱粉から選択される1種又は2種以上、この増粘剤とは別の物質である水溶性分散剤として乳糖を必須成分とし、前記増粘剤が前記水溶性酸及び前記水溶性分散剤と混合されている粒状物と、
炭酸塩、水、増粘剤としてアルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロースナトリウムから選択される1種又は2種以上を必須成分とし、使用時に前記粒状物と混合する粘性組成物とを含み、
前記粒状物全体に対して前記水溶性酸が2〜50重量%、前記粒状物の増粘剤が10〜40重量%、前記水溶性分散剤が30〜85重量%であり、
前記粘性組成物全体に対して炭酸塩が0.1〜10重量%、水が70〜97.5重量%、前記粘性組成物の増粘剤が0.5〜20重量%であり、
前記粒状物と粘性組成物との重量比が1:10〜40であることを特徴とする二酸化炭素外用剤調製用組成物を得ることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−319187号公報
【特許文献2】特許第4659980号公報
【特許文献3】特許第4248878号公報
【特許文献4】特許第4589432号公報
【特許文献5】特許第4130181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
[特許文献1]のキットは水、増粘剤及び炭酸塩を含有する塩基性組成物と、酸を含有する二酸化炭素発生補助剤との組み合わせ、もしくは水、増粘剤及び酸を含有する酸性組成物と、炭酸塩を含有する二酸化炭素発生補助剤との組み合わせからなり、各組成物とそれに対応する二酸化炭素発生補助剤を用時混合して二酸化炭素を発生させ、二酸化炭素外用剤を調製するものである。
しかしながら、粘度が不十分であり、供給される二酸化炭素量が不十分となり、充分な美容効果が得られないなどの欠点があった。
【0012】
また、その他の文献による二酸化炭素配合化粧料においては、発泡量が不充分であり、使用時の爽快感、清涼感に不満が残るものであった。
【0013】
加えて、上記先行技術は、使用時に複数の組成物を混合する必要があり、使用性にも問題があった。
【0014】
そして、何れの組成物においても、使用時に複数の組成物を混合し、発泡している該混合物を皮膚に塗布するものであるため、混合後は、速やかに皮膚に塗布する必要があった。
【0015】
本発明の目的は、組成物の混合をすることなく、充分な発泡量を得るとともに、使用時に爽快感、清涼感を得ることができる発泡性外用剤、特に、発泡性二酸化炭素外用剤を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の発泡性外用剤は、皮膚の表面温度により、該組成物を温度上昇させることにより発泡させるものである。
【0017】
本発明の発泡性外用剤は、ハイドロフルオロエーテルと、界面活性剤を必須成分とするものである。
【0018】
本発明の
1剤式の発泡性二酸化炭素外用剤は、上記発泡性外用剤に、炭酸塩を配合することにより、得ることができる。
【0019】
前記界面活性剤としては、例えば、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステルなどのショ糖脂肪酸エステル、ラウリルグルコシド、デシルグルコシドなどのアルキルポリグルコシド、ソルビタン脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、デカなどのポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドなどの脂肪酸アルキロールアミド、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体などの非イオン性界面活性剤や、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの炭素数が10〜20個の脂肪酸を、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ剤でケン化した脂肪酸石鹸、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸カリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ラウロイル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ラウロイル−L−グルタミン酸カリウム、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸カリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウムなどのN−アシルグルタミン酸塩;N−ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウムなどのN−アシルグリシン塩;N−ヤシ油脂肪酸アシル−DL−アラニントリエタノールアミンなどのN−アシルアラニン塩;などのアミノ酸石鹸、アクリル酸・メタアクリル酸アルキル共重合体などの高分子乳化剤(前記アルカリ剤で中和したものを含む)、などがあげられ、これらを単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
これらの中でも、ハイドロフルオロエーテルとの乳化安定性に優れている点から、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、脂肪酸アルキロールアミド、脂肪酸石鹸、アクリル酸・メタアクリル酸アルキル共重合体が好ましい。
特に、アルキルポリグルコシドとして、ラウリルグルコシド、または、デシルグルコシドがより好ましい。
界面活性剤の配合量は、0.01〜70.00重量%が好ましいが、より好ましくは0.05〜30.00重量%、さらに好ましくは0.10〜20.00重量%である。
【0020】
ハイドロフルオロエーテルは、メチルパーフルオロブチルエーテル、メチルパーフルオロイソブチルエーテル、エチルパーフルオロブチルエーテル、およびこれらの混合物などがあげられる。これらの中でも、泡を塗り伸ばしたときに起泡を継続させやすい点からメチルパーフルオロブチルエーテル、若しくは、メチルパーフルオロイソブチルエーテルが好ましい。
ハイドロフルオロエーテルの配合量は、0.05〜70.00重量%が好ましいが、より好ましくは0.01〜50.00重量%、さらに好ましくは1.00〜20.00重量%である。
【0021】
炭酸塩としては、酸と反応して二酸化炭素を発生するものであれば特に限定されない。例えば炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、セスキ炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、セスキ炭酸リチウム、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、セスキ炭酸セシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水酸化マグネシウム、炭酸バリウムが挙げられ、これらの1種以上が用いられるが、特に、炭酸水素ナトリウムが好ましい。
炭酸塩の配合量は、0.01〜30.00重量%が好ましいが、より好ましくは0.01〜20.00重量%、さらに好ましくは0.10〜10.00重量%である。炭酸塩の配合量が0.1重量%以下であると、これと反応する酸の量がどれだけ多くても二酸化炭素の発生量が少ないために、美容効果が得られない。
【0022】
一つの好適な態様において、前記発泡性外用剤は、ハイドロフルオロエーテルが0.05〜70.00重量%、界面活性剤が1.00〜20.00重量%配合されるものである。
【0023】
特に好ましくは、ハイドロフルオロエーテルとしてのメチルパーフルオロブチルエーテル、及び、メチルパーフルオロイソブチルエーテルが1.00〜30.00重量%、界面活性剤としてのアルキルポリグルコシドが1.00〜20.00重量%配合されるものである。
【0024】
さらに、より好ましくは、アルキルポリグルコシドとしてのデシルグルコシドが1.00〜20.00重量%配合されるものである。
【0025】
この態様においては、皮膚に塗布したときに、充分に爽快感、清涼感を得ることができ、発泡性外用剤を調製することができる。
【0026】
一つの好適な態様において、前記発泡性二酸化炭素外用剤は、ハイドロフルオロエーテルが0.05〜70.00重量%、界面活性剤が1.00〜20.00重量%、炭酸塩が0.01〜30.00重量%配合されるものである。
【0027】
特に好ましくは、ハイドロフルオロエーテルとしてのメチルパーフルオロブチルエーテル、及び、メチルパーフルオロイソブチルエーテルが1.00〜30.00重量%、界面活性剤としてのアルキルポリグルコシドが1.00〜20.00重量%、炭酸塩としての炭酸水素ナトリウムが0.10〜10.00重量%配合されるものである。
【0028】
さらに、より好ましくは、アルキルポリグルコシドとしてのデシルグルコシドが1.00〜20.00重量%配合されるものである。
【0029】
この態様においては、皮膚に塗布したときに、充分に爽快感、清涼感を得ることができ、且つ、必要充分量の二酸化炭素もまんべんなく発生する発泡性二酸化炭素外用剤を得ることができる。
【0030】
前記発泡性二酸化炭素外用剤は、そのままでも使用性は良好であるが、多価アルコールを加えることにより、皮膚への粘着性と延びがさらに良くなるため、使用性は一層良好になるとともに、効果が一層確実になる。多価アルコールの配合量としては、1.00〜20.00重量%が好ましいが、より好ましくは3.00〜10.00重量%である。1.00重量%以下では前記の効果が得られず、15.00重量%以上配合すると、該外用剤の粘度が低くなり、皮膚に塗布したとき垂れたり流れたりするため好ましくない。
【0031】
多価アルコールとしては、特に制限されず、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、スピログリコールなどのグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンなどのグリセロール類、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオールなどのジオール類が挙げられ、これらの1種以上が使用される。
【0032】
本発明により得られる外用剤には、化粧品に使用される原料を、随時、添加できることは、言うまでも無い。前記必須成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、通常化粧料に用いられる原料、例えば香料、色素、界面活性剤、油分、保湿剤、アルコール類、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収・散乱剤、ビタミン類、アミノ酸類、抗炎症剤、収斂剤、などを配合できる。これにより、発泡性二酸化炭素外用剤を化粧料として好適に使用できる。
【0033】
加えて、二酸化炭素による血行促進、新陳代謝の活発化により、上記化粧品原料の経皮吸収が促されることが、期待できる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の発泡性外用剤によれば、組成物の混合をすることなく、充分な発泡量を得るとともに、使用時に爽快感、清涼感のある外用剤を得ることができる。
【0035】
また、本発明の
1剤式の発泡性二酸化炭素外用剤によれば、組成物の混合をすることなく、より強い美容効果が、より短期間で得られる発泡性二酸化炭素外用剤を調製することができる。
【0036】
前記発泡性二酸化炭素外用剤の塗布後の厚さは0.2〜10mmが好ましいが、より好ましくは0.5〜5mm、さらに好ましくは1〜3mmである。塗布の厚さが0.2mm以下では美容もしくは医療効果が得られにくく、10mm以上では塗布しにくいだけでなく、それ以上の効果が得られない。
発泡性二酸化炭素外用剤の塗布時間は、美容目的の場合5分間〜3時間が好ましいが、より好ましくは10分間〜2時間、さらに好ましくは15分間〜1時間である。塗布時間が5分間より短いと美容効果が弱く、3時間より長いとそれ以上の効果が得られず、また皮膚がふやけてしまう。
【実施例1】
【0037】
1剤式の発泡性二酸化炭素外用剤としては、メチルパーフルオロブチルエーテル6.5重量%、メチルパーフルオロイソブチルエーテル3.50重量%、デシルグルコシドが5.00重量%、炭酸水素ナトリウム1.00重量%、その他(ジプロピレングリコール、保湿剤など)10.00重量%を必須成分として配合し、クリーム状パック化粧料を得た。
【0038】
該化粧料を、皮膚に塗布すると、瞬時に発泡を開始した。
【0039】
使用テスト
上記の発泡性外用剤を10人の女性に、就寝前に、塗布の厚み2mm、塗布時間30分の条件で10日間使用させると、7人の女性が、使用直後に爽快感、清涼感を得ることができたと共に、皮膚のハリを感じ始め、メーキャップ化粧料のノビが良くなったと回答した。このことは、皮膚肉の血行が促進され、新陳代謝が促され、美容効果が得られた結果と、思われる。
【0040】
尚、TOC−IC法により、無機体炭素より分子量換算したところ、19,000ppmの分析値を得ることができ、発泡している泡には、二酸化炭素が含まれることが確認できた。
【0041】
以上述べたごとく、本発明によると、界面活性剤とハイドロフルオロエーテルを配合することにより皮膚温の影響を受け発泡し、特異な容器や組成物の混合をすることなく、簡便に爽快感、清涼感を得ることができる発泡性外用剤を提供できる。
【0042】
また、本発明によると、界面活性剤と、ハイドロフルオロエーテル、炭酸塩を配合することにより、
二酸化炭素を含む泡を発泡し、特異な容器や組成物の混合をすることなく、簡便に二酸化炭素の効果である皮膚の血行促進、新陳代謝の促進による美容効果を得ることができる発泡性二酸化炭素外用剤を提供できる。