(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
モータと、出力軸と、前記モータの出力回転を前記出力軸に伝達する減速歯車列とが、第1のケースと第2のケースを前記出力軸の回転軸方向に重ねて構成される本体ケース内に設けられており、
前記出力軸に取り付けられたコイルばねにより、前記出力軸に、当該出力軸を回転軸回りの一方向に回動させる付勢力が作用するギアードモータであって、
前記コイルばねは、コイル状の基部の一端から前記回転軸方向に延びる軸方向係合部と、前記基部の他端から前記回転軸の径方向外側に延びる径方向係合部を有しており、
前記軸方向係合部は、前記第2のケース側から前記出力軸に係合しており、
前記径方向係合部は、前記第2のケースに設けられた係止溝に係止されて、前記コイルばねを回り止めしており、
前記係止溝は、前記第1のケース側に開口して設けられていると共に、
前記第2のケースは、
前記出力軸の前記第2のケース側の軸部を回転可能に支持する支持壁部と、
前記第2のケースの周縁に沿って設けられて前記支持壁部を所定間隔で囲むと共に、前記支持壁部との間に前記コイルばねの基部を収容する収容室を形成する周壁と、
前記周壁の内周から前記支持壁部側に突出して設けられて、前記コイルばねの基部を前記支持壁部側に誘導するガイドと、を有しており、
前記ガイドは、前記回転軸の周りの周方向に複数設けられており、
前記ガイドの各々には、前記第1のケース側の端部に、前記支持壁部側に向かう傾斜が設けられていることを特徴とするギアードモータ。
前記コイルばねは、前記蓋体が前記開位置側の駆動範囲外に位置しているときに巻き締められていない状態となり、前記蓋体が、前記閉位置と前記開位置の間の駆動範囲内に位置しているときには巻き締められて、前記付勢力が前記出力軸に作用していることを特徴とする請求項3に記載のギアードモータ。
前記係止溝は、前記回転軸の径方向に延びており、前記回転軸周りの周方向における前記係止溝の両側に、前記周方向における係止溝の中心側に向かうテーパが設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載のギアードモータ。
前記回転軸方向において前記ガイドの前記第1のケース側は、前記係止溝よりも前記第1のケース側に位置しており、前記ガイドのうちのひとつは、前記周方向における前記係止溝の一側から連続して前記第1のケース側に延びていることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載のギアードモータ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を、洋式便器の便座や便蓋および上面に蓋が設けられた洗濯機等、水平軸回りに回転駆動される蓋体の開閉駆動用のギアードモータ1に適用した実施の形態について説明する。
図1は、実施の形態にかかるギアードモータ1の外観を示す斜視図である。
図2は、ギアードモータ1を、後方右斜め下方から見た分解斜視図である。
図3は、ギアードモータ1の輪列展開図である。
図4は、ロアハウジング70からアッパハウジング30を取り外した状態を示す平面図であって、ロアハウジング70内における減速歯車列5と出力ギアGfの配置を説明する図である。なお、
図4においては、ピニオンギア90、第1ギアG1の大径歯車91a、小径歯車91b、センサ歯車137を仮想線で示している。
なお、以下の説明においては、
図1における左側を前方、右側を後方とし、手前側を左方、奥側を右方、上側を上方、下側を下方とする。
【0012】
実施の形態のギアードモータ1は、それぞれ樹脂製のアッパハウジング30、ロアハウジング70およびカバー10からなるケース7内に、DCモータ2と、減速歯車列5と、出力ギアGfとを収容して構成される。
【0013】
図3に示すように、減速歯車列5を構成する第1ギアG1から第4ギアG4は、それぞれ大径歯車91a〜94aと、小径歯車91b〜94bを備えており、小径歯車と次のギアの大径歯車とが順次噛み合うように設けられている。なお、第1ギアG1、第2ギアG2、第4ギアG4は、小径歯車と大径歯車が樹脂成型で一体に構成される。
【0014】
第1ギアG1〜第4ギアG4は樹脂製で、それぞれ鋼製の第1支持軸S1〜第4支持軸S4で回転可能に支持されており、これら第1支持軸S1〜第4支持軸S4は、アッパハウジング30およびロアハウジング70に形成された支持ボス等の支持部に支持されている。
なお、減速歯車列5の各ギアの回転中心および各支持軸およびセンサ歯車137の回転中心はすべて平行に構成されている。
【0015】
ギアードモータ1では、DCモータ2の回転が減速歯車列5を介して出力ギアGfに伝達されて、この出力ギアGfに連結された出力部材200、210が、軸線Xa周りに回転するようになっている(
図1参照)。出力部材200、210は、例えば洋式便器の便座や便蓋および上面に蓋が設けられた洗濯機等の蓋体の回転軸に連結されており、出力部材200、210の回転に連動して、蓋体が開閉駆動されるようになっている。
【0016】
図1および
図2に示すように、ケース7は、ロアハウジング70上にアッパハウジング30を載置し、このアッパハウジング30の前方側のヘッド部31を除く減速歯車列搭載部32上にカバー10を載置して構成される。
アッパハウジング30のヘッド部31は、カバー10の重ねによる制限がないため、減速歯車列搭載部32よりも上方に膨出している。ヘッド部31の上面は、カバー10の上面よりも低くなっているため、カバー10のヘッド部31側には傾斜面10aが設けられて、ヘッド部31の上面とカバー10の上面とが連続している。
【0017】
ケース7の平面形は、前端部が半円形をなし、後方は一辺が当該半円に接して延びると共に、半円よりも大きい幅を有する略矩形を成して、上記の一辺と対向する他辺は半円近傍で当該半円に連なる傾斜部を有している。
ここで、アッパハウジング30には、ロアハウジング70の後記するコネクタ95との干渉を避けるためのコネクタ逃げ部38(
図6参照)が設けられている。そのため、アッパハウジング30は、このコネクタ逃げ部38を除いた他の部分の平面輪郭が、ロアハウジング70と平面輪郭と同一となっている(
図6参照)。
アッパハウジング30のヘッド部31はその主要部が半円形部分である。ヘッド部31の半円中心からは、出力部材200、210が、上下方に延びている(
図1参照)。
【0018】
以下、ギアードモータ1の各部の構成を順番に説明する。
[カバー]
図5は、カバー10の斜視図であり、(a)は裏面を、(b)は上面(表面)をそれぞれ示している。
【0019】
図5の(a)に示すように、カバー10は、上壁部11と、この上壁部11の外周縁に沿って設けられた側壁部12(121、122、123、124)と、を有する略皿形状に形成されており、その4隅部においてネジ8でアッパハウジング30およびロアハウジング70と共締めにより一体に結合されるようになっている。
【0020】
側壁部122〜124の各々は、基本高さは同一であるが、側壁部123の長手方向における途中位置には、後記するアッパハウジング30の切欠き42に対応する位置に、アッパハウジング30側に突出して突片部125が形成されている。
また、側壁部121には、後記するアッパハウジング30側のスプリング支持部65等との干渉を避けるために、切欠き121aが形成されている。
【0021】
図1および
図5に示すように、カバー10におけるヘッド部31側(前方側)の両側には、取付部13、13が設けられている。
この取付部13は、平面視において略半円形状を有する底壁131と、この底壁131の弧状の周縁から上壁部11側に延びる弧状壁部132と、を有しており、底壁131には、ネジ8(
図1参照)を挿通させる貫通孔131aが、当該底壁131を厚み方向に貫通して形成されている。
【0022】
取付部13、13は、上壁部11から側壁部122、123の下端(アッパハウジング30側の端部)よりも下方まで延びて形成されており、弧状壁部132、132の先端に設けられた板状の底壁131、131は、上壁部11からアッパハウジング30側にオフセットした位置で、弧状の周縁を互いに対向させる向きで設けられている。
カバー10において弧状壁部132は、上端から底壁131に達するまで側方に開口しており、この弧状壁部132の後方側には、それぞれ側壁部122、123が接続されている。
【0023】
カバー10後方の左側には、切欠凹部11aが設けられており、この切欠凹部11aの底側には、ネジ8を貫通させるための貫通孔14aを有するフランジ部14が設けられている。
また、カバー10後方の右側には、後記するロアハウジング70のコネクタ95との干渉を避けるために、コネクタ95に対応して矩形に凹んだコネクタ逃げ部11bが設けられている。そのため、側壁部123は、このコネクタ逃げ部11bに沿って折れ曲がっている。
【0024】
このコネクタ逃げ部11bの近傍には、上壁部11からアッパハウジング30側に突出して円筒壁16が形成されている。この円筒壁16は、その長手方向で2段階に縮径しており、その中心には、ネジ8を挿通させるための貫通孔16aを有している。
【0025】
円筒壁16における上壁部11側の大径部162は、側壁部124と一体に形成され、大径部162の下面は側壁部124の下縁よりもわずかに高い位置にあり先端側の小径部161(ボス161)は、側壁部124の下縁(アッパハウジング30側の端面)よりもアッパハウジング30側に突出している。
【0026】
上壁部11におけるボス161の略対角となる位置には、取付部13に近接してボス部17が設けられている。このボス部17は、上壁部11からアッパハウジング30側の下方に突出して形成されており、その長手方向で2段階に縮径している。
ボス部17における先端側は、基部172よりも小径の位置決めピン171となっており、この位置決めピン171は、側壁部123よりもアッパハウジング30側の下方に突出している。ボス部17の上壁部11側の基部172と側壁部122および弧状壁部132との間はリブで接続され、剛性が高められている。
【0027】
ここで、実施の形態では、円筒壁16から延びるボス161と、ボス部17の位置決めピン171は、カバー10がアッパハウジング30に載置される際に、それぞれアッパハウジング30側の位置決め孔37a、位置決め孔39a(
図6参照)に嵌入されて、カバー10がアッパハウジング30に対して位置決めされるようになっている。
【0028】
図5の(b)に示すように、カバー10の表面側には前記した円筒壁16に対応して収容穴16bが形成され、その底壁16cの中央に貫通孔16aが開口している。
底壁16cの上面はフランジ部14の上面と同一の高さに設定されている(
図21参照)。
【0029】
ここで、カバー10は、前方側の貫通孔131a、131aと、後方側の貫通孔14a、16aに挿通させたネジ8(
図1参照)により、ロアハウジング70にネジ止めされるようになっている。そのため、カバー10の表面側の収容穴16bには、貫通孔16aを挿通させたネジ8(
図1参照)の頭部が収容されるようになっている。
【0030】
図5の(a)に示すように、側壁部122、123、124の内面側には、上壁部11側に一定量だけ退避した段部122a、123a、124aが形成されている。
側壁部123の内面に設けられた段部123aは、コネクタ逃げ部11bの内面にも及んで形成されている。ここで、コネクタ逃げ部11bの角部11b1は、後述する第1ギアG1の大径歯車91aの近傍に位置しているため、コネクタ逃げ部11bにおいて段部123aは、角部11b1において中断して、大径歯車91aとの干渉を避けている。
【0031】
また、側壁部123における突片部125が設けられた部分では、突片部125の形状に追従した段部125aが形成されており、側壁部124の内面に設けられた段部124aは、円筒壁16の部分で中断している。
また、段部122a、123aの前端は、前記した弧状壁部132に達して終わっている。
【0032】
図6は、ギアードモータ1のケース7から、カバー10を取り外した状態の平面図である。
図7は、
図6に示すアッパハウジング30の上面から角度センサ150および第1ギアG1を取り外した状態の平面図である。なお、この図においては、ベース33に形成した切欠き42の形状を判りやすくするために、アッパハウジング30の下側に位置するロアハウジング70の図示も省略している。
図8は、アッパハウジング30の単体を示した斜視図であって、(a)は、アッパハウジング30のカバー10側の上面を左斜め後方から見た斜視図であり、(b)は、アッパハウジング30のロアハウジング70側の下面を左斜め前方から見た斜視図である。
図9は、
図6におけるX−X断面図である。
図10は、アッパハウジング30をロアハウジング70側から見た平面図であり、後記する出力ギアGfに組み付けられるスプリングSpを仮想線で示した図である。
図11は、
図10におけるA−A断面図である。
また、
図19は、
図6におけるA−A断面図であって、ロアハウジング70へのアッパハウジング30の載置を説明する図である。
図20の(a)は、
図6におけるB−B断面図であり、(b)は、
図6におけるC−C断面図であり、
図21の(a)は、
図6におけるD−D断面図であり、(b)は、
図6におけるE−E断面図である。
図22の(a)は、F−F断面図であり、(b)は、G−G断面図である。
【0033】
図8に示すように、アッパハウジング30は、外観上、ヘッド部31と減速歯車列搭載部32から構成される。ヘッド部31の上壁部310は、減速歯車列搭載部32の上壁を形成するベース33よりもカバー10側の上方に位置している。減速歯車列搭載部32は、平面視において略矩形形状を成している。
上壁部310のロアハウジング70側の周縁には、その外周に沿って周壁部311が設けられており、ベース33のロアハウジング70側の周縁にも、その外周に沿って側壁部322、323、324、325が設けられている。
側壁部322、323は、後記する弧状壁部351を介して、それぞれ周壁部311に接続されており、アッパハウジング30のロアハウジング70側は、周壁部311、側壁部322、323、324、325により囲まれている。
【0034】
図6に示すように、アッパハウジング30では、ベース33のカバー10側の上面に、周縁から所定量内側に沿って、カバー10の段部に対応するフランジ342、343、344、345が設けられている。
なお、フランジ342、343、344、345の高さはカバー10の段部122a〜124aの深さ(下縁からの退避量)と同一かわずかに小さく設定してある。
ここで、ケース7の後方右側の場合を例に挙げて説明すると、
図21の(b)に示すように、フランジ343の高さhaが、カバー10の側壁部123の段部123aの深さhbと同一か僅かに小さく設定されている(ha≦hb)
【0035】
図6に示すように、アッパハウジング30のカバー10側では、前記したヘッド部31と、フランジ342、343、344、345の内側に、角度センサ150、第1ギアG1の大径歯車91a、ピニオンギア90が位置している。
【0036】
フランジ342、343、344、345には、カバー10をアッパハウジング30に載置した際に、カバー10の側壁部122〜124がインロー状に嵌合するようになっており、この状態においてフランジ342、343、344、345の外側に、側壁部122〜124が位置し、フランジ342〜344の外側の側壁部322〜324の上面(合わせ面)に、カバー10の側壁部122〜124のアッパハウジング側の端面が接触するようになっている(
図19〜
図22参照)。
【0037】
図6に示すように、ベース33の前方側の両側では、ヘッド部31とベース33との接続部分に、カバー10の取付部13を受容する切欠き凹部310bが設けられている。
フランジ342、343の前端は、切欠き凹部310bに達した位置で内方に折れ、切欠き凹部310bの壁面の一部を形成しながらスプリング支持部65に接続している。
切欠き凹部310bは、ベース33の上面に開口すると共に側壁部322、323に沿ってロアハウジング70側の下方に延びており、その下端にネジ8を貫通させる貫通孔35aが形成された底壁35を有している。
底壁35の上面は側壁部322、323の高さの範囲内にあり、ベース33の上面にカバー10を重ねたときに、取付部13の底壁131の下面が当接する高さに設定してある(
図20の(a)参照)。
【0038】
底壁35は、平面視において略半円形状を有しており、弧状の周縁を互いに対向させる向きで設けられている。この底壁35において貫通孔35aは、カバー10の底壁131、131の貫通孔131a、131aに整合する位置に形成されている。
【0039】
ヘッド部31に設けた切欠き凹部310bは、中心側(軸線Xa側)に窪んで形成されており、平面視においてこの切欠き凹部310bは、前記したカバー10の取付部13(弧状壁部132:
図5参照)の形状に整合した弧状を成している。
実施の形態では、カバー10がアッパハウジング30に重ねられると、弧状壁部132の外周が切欠き凹部310bの内周にほぼ隙間無く接触するようになっており、弧状壁部132が、カバー10をアッパハウジング30に組み付ける際のガイドとして機能するようになっている。
【0040】
ベース33後方の左側では、カバー10の貫通孔14aに対応する位置に、ベース33を厚み方向に貫通して貫通孔36aが形成されている。
貫通孔36aは、フランジ342とフランジ344とを接続するフランジ345の外側に位置しており、貫通孔36a周りの平面状のフランジ受部36は、カバー10のフランジ部14が当接する当接面となっている。
このフランジ受部36のカバー10とは反対側の面(下面)には、後記するロアハウジング70のフランジ部89が当接するようになっており(
図20の(b)参照)、フランジ受部36は、側壁部322のロアハウジング70との後述する合わせ面までの厚肉W2となっている。
【0041】
図6に示すように、ベース33の後端右角部はカバー10と同様のコネクタ逃げ部38となっており、コネクタ逃げ部38に沿うフランジ343、344寄りの位置には、カバー10の円筒壁16に対応して位置決めボス37が設けられている。
なお、ベース33後端のフランジ344は、位置決めボス37の形成部位で中断しており、その間は位置決めボス37の上端の高さと同じ高さになっている。
【0042】
位置決めボス37は、ベース33からカバー10側の上方に膨出すると共に、ベース33の下方にも側壁部324の下端(ロアハウジング70との合わせ面)の高さまで延びている(
図21の(a)参照)。
位置決めボス37の上端には、円筒壁16から延びるボス161と整合する位置決め孔37aが開口し、上端からボス161の長さに対応する深さ位置に隔壁371を有している。位置決めボス37には隔壁371を挟んでロアハウジング70の後述するコラム88と整合する位置決め孔37bが形成されており、この位置決め孔37bは、下端に開口している。隔壁371にはカバー10の貫通孔16aに対応してネジ8を通す貫通孔371aが設けられ、この貫通孔371a、位置決め孔37a、37bは互いに上下方向の軸心が一致するように設定してある。
【0043】
さらに、ベース33の裏面の前方左側では、前記した底壁35の近傍であってフランジ432よりも内側に、ロアハウジング70側に延びる位置決めボス39が設けられている。位置決めボス39は、カバー10の位置決めピン171に対応してベース33の上面に開口すると共に、下端まで貫通する位置決め孔39aを有している(
図21の(b)参照)。
位置決め孔39aは、カバー10の位置決めピン171と整合する内径を有し、軸方向上半に位置決めピン171を受け入れ、軸方向下半にはロアハウジング70の後述する位置決めピン87aを受け入れる(
図21の(b)参照)。
【0044】
実施形態では、この位置決め孔39aと、貫通孔371aを囲む位置決め孔37aは、平面視において略矩形形状のベース33において略対角となる位置に設けられており、これらとカバー10側の位置決めピン171および位置決めボス161との嵌め合いにより、カバー10とアッパハウジング30間が正確に位置決めされるようになっている。
【0045】
ベース33後方の左側では、ベース33のロアハウジング70側の面にDCモータ2(
図3参照)が取り付けられており、
図6に示すように、ベース33のカバー10側の上面には、DCモータ2のモータ軸3(
図3参照)の先端に取り付けられたピニオンギア90が位置している。
このピニオンギア90には、ベース33の右寄りに配置された第1ギアG1の大径歯車91aが噛み合っており、DCモータ2の出力回転が、ピニオンギア90を介して第1ギアG1に伝達されるようになっている。
【0046】
図7に示すように、ベース33では、ピニオンギア90の近傍に、モータ取付孔40a、40bが形成されており、DCモータ2は、モータ取付孔40a、40bを挿通させたネジ9(
図6参照)により、ベース33におけるロアハウジング70側の面に取り付けられている。
なお、モータ取付孔40aは、平面視において小判型の長孔となっており、DCモータ2の周方向を調整して位置決めすることができるようになっている。
【0047】
なお、
図5の(a)に示すように、カバー10の上壁部11では、アッパハウジング30側の裏面に、ピニオンギア90との干渉を避ける逃げ穴15と、第1ギアG1の第1支持軸S1が挿入される軸孔21が形成されている。
【0048】
図6および
図7に示すように、ベース33におけるDCモータ2の取付部近傍には、切欠き42が設けられている。切欠き42は、フランジ342側の側方に開口しており、フランジ342は、切欠き42を境にして、前方側のフランジ342aと後方側のフランジ342bとに分かれている。
図8に示すように、フランジ342a、342bは、それぞれ切欠き42に達した位置でロアハウジング70側に折れ、切欠き42の壁面の一部を形成しながらロアハウジング70側に延びている。
前記したカバー10の突片部125は、この切欠き42に対応し、アッパハウジング30にカバー10を重ねたとき、突片部125の下端が側壁部322の高さ方向の略中間位置となるように設定されている(
図22の(b)参照)。
【0049】
切欠き42は、ベース33を厚み方向に貫通して設けられており、ベース33を挟んだ上下空間を連通させている。
実施の形態では、角度センサ150から延びる配線Wが、この切欠き42を通ってロアハウジング70内に引き込まれており、ロアハウジング70内において配線Wは、後記する基板100(
図13参照)に半田付けされている。
【0050】
平面視における切欠き42の開口面積は、後記する角度センサ150(基板151)が通過できない大きさに設定されている。しかし、ベース33において切欠き42が、側壁部322側の側方に開口して形成されているため、配線Wの一端と他端が基板151、100に予め半田付けされている場合であっても、側壁部322側から切欠き42内に配線Wを挿入することで、角度センサ150の設置に支障が生じないようになっている。
そのため、平面視における切欠き42の開口面積は、配線Wのみを通過させることができる最小の大きさに設定されており、角度センサ150の投影面よりも小さくなっている。
【0051】
図6および
図8に示すように、ベース33の前方側では、後記する第4ギアG4の支持ボス64が、ヘッド部31に隣接して設けられており、この支持ボス64の左右両側には、後記するスプリングSpの一端部Sp1(
図2参照)を支持するためのスプリング支持部65、65が設けられている。
ベース33において、支持ボス64とスプリング支持部65、65は、カバー10側の上方に突出して形成されており、これらはベース33の上面から立ち上がるリブ67で接続されている。
【0052】
図8の(b)および
図10に示すように、支持ボス64とスプリング支持部65、65のロアハウジング70側の下面には、第4ギアG4の第4支持軸S4の上端を回転可能に支持する軸孔64aと、スプリングSpの一端部Sp1を係止させる係止溝65a、65bが形成されている。係止溝65a、65bは、出力ギア収容室を構成する凹部335に連通している。
【0053】
ベース33では、第4ギアG4に関連させて角度センサ150が配置されている(
図3参照)。
図6に示すように、角度センサ150は、配線をプリントした剛性の基板151上にポテンショメータ135を備えており、これらにセンサ歯車137の上側の軸138aを下方から貫通させて構成されている(
図3参照)。なお、上側の軸138aと後記する下側の軸138bはセンサ歯車137と一体である。
【0054】
図5の(a)に示すように、カバー10の上壁部の前方側には、角度センサ150を固定するための押さえボス18、19と、センサ歯車137の軸138aを軸孔20aに挿入して回転可能に支持する支持ボス20とが形成されている。
なお、押さえボス18、19、支持ボス20、そして前記したボス部17や円筒壁16は、カバー10の樹脂成型の際に一体に形成される。
後記するアッパハウジング30およびロアハウジング70における各支持ボスおよびその他のボスも同様にアッパハウジング30およびロアハウジング70の樹脂成型の際に一体に形成される。
第4ギアG4および角度センサ150については追って詳述する。
【0055】
図7および
図8の(a)に示すように、ベース33の前方側には、ベース33の上面よりも窪んだ凹部331、332が、ベース33の幅方向に間隔を空けて設けられている。これら凹部331、332には、角度センサ150の基板151を載置するための第1支持台49と第2支持台51とが、それぞれ上方に膨出して形成されている。
第1支持台49の上面にはピン50が、第2支持台51の上面には2本のピン52、53が、それぞれ設けられている。
【0056】
基板151(
図6参照)には、これらのピン50、52、53に対応するピン孔152、153、154が設けられており、ピン50、52、53にピン孔152、153、154を嵌め込むことにより、角度センサ150が位置決めされる。
【0057】
第1支持台49と第2支持台51の間には、角度センサ150のセンサ歯車137を挿通させる挿通穴55が、ベース33を厚み方向に貫通して設けられており、この挿通穴55の中央部には、センサ歯車137の下側の軸138bを支持する支持ボス56が位置している。
図7および
図9に示すように、支持ボス56は、ベース33のロアハウジング70側の下側から挿通穴55の中心側に膨出した膨出部57の先端に設けられており、センサ歯車137の軸138bは、支持ボス56に形成された軸孔56aで、回転可能に支持されている。
【0058】
図7に示すように、挿通穴55内には、第4ギアG4の小径歯車94bが覗いており、この小径歯車94bに、センサ歯車137が噛合させて設けられるようになっている。
【0059】
ベース33における凹部332と側壁部322との間には、平面視において略矩形形状の配線収容部336が設けられている。配線収容部336は、ベース33のカバー10側の上面よりも下方に窪んだ凹状に形成されており、この配線収容部336には、角度センサ150の基板151から延びる配線W(
図6参照)が収容されるようになっている。
ここで、
図6に示すように、基板151の側壁部322側の端部は、配線収容部336の上方に及んで設けられており、配線Wは、基板151の配線収容部336上に位置する部分において、アッパハウジング30側の裏面に半田付けにより接続されている。
そのため、配線Wのカバー10側の上方への移動が、基板151により規制されるようになっており、配線Wが配線収容部336から大きくはみ出して、配線収容部336の近傍に位置する第1ギアG1(大径歯車91a)と干渉しないようにされている。
【0060】
図8の(b)および
図10に示すように、アッパハウジング30の周壁部311および側壁部322、323、324の下端面(ロアハウジング70との合わせ面)にも周方向所定箇所を除いてフランジ431、432、433、434を設けてある。フランジ431、432、433、434は、周壁部311および側壁部322、323、324の外周面から所定量内側から、ロアハウジング70側の下方に所定高さで延びている。フランジ431、432、433、434の内側面は周壁部311および側壁部322、323、324の内面に一致しており、すなわち、周壁部311および側壁部322、323、324の内面を延長した形態となっている。
例えば、
図21の(b)の場合には、フランジ343の内側面と、フランジ433の内側面は、ベース33の直交方向に延びる仮想線Im2に沿って設けられている。
【0061】
図8に示すように、アッパハウジング30のカバー10側の面では、後部の位置決めボス37の形成部位でフランジ344を中断させてあるので、位置決めボス37をベース33の周縁にできるだけ近づけながら位置決めボス37の上端面の面積を確保でき、円筒壁16の大径部162と当接した状態でのネジ締め付け力が高められる。
フランジ受部36もフランジ345より外周側に広い面積を確保すると共に、高さ方向に厚肉W2に形成されて、側壁部324のカバー10側の合わせ面からロアハウジング70側の合わせ面までの厚みが厚くなっているので、大きなネジ締め付け力に耐えられるようになっている。
アッパハウジング30の前方側の左右に設けられた底壁35も、高さ方向に所定の厚みを有している。すなわち、切欠き凹部310bにおける底壁35の貫通孔35aを中心とする所定面積部分が厚肉とされ、当該厚肉部がフランジ432、433を中断させて側壁部322、323の外周面に沿ってフランジ432、433の下縁と同一またはわずかに下方まで延びている。
ここで、ネジ8の締め付け部となる左右の底壁35とフランジ受部36が、高さ方向に所定の厚みを持っているので、ネジの締め付けトルクを高めることができる。
【0062】
図10に示すように、ベース33のロアハウジング70側の面では、前後方向における略中央部が、減速歯車列5が設けられる領域T1となっており、この領域T1の後方側が、DCモータ2が設けられる領域T2、前方側が、出力ギアGfが設けられる領域T3となっている。
【0063】
そして、ベース33の後方右側は、コネクタ95との干渉を避けるために、平面視において略矩形状に窪んだコネクタ逃げ部38となっており、このコネクタ逃げ部38の外周に沿って、平面視において略L字形状の側壁部325が形成されている。
フランジ433aは、コネクタ逃げ部38でも側壁部325のロアハウジング70の開口縁との合わせ面から張り出す方向に延びている。
【0064】
ここで、領域T3は、領域T1よりも紙面奥側(上方側)に大きく窪んでおり、領域T3の底壁となる上壁部310の中央には、上壁部310を厚み方向に貫通して開口334が形成されている。
この開口334の径方向外側には、当該開口334を所定間隔で囲むギア支持壁45が形成されている。
ギア支持壁45の内側には、後記する出力ギアGfの円筒状の軸部256が回転可能に支持されるようになっており、この出力ギアGfに連結された出力部材200が、開口334を通って、ケース7の外部に突出するようになっている(
図9参照)。
【0065】
図10に示すように、上壁部310の内面には補強用のリブ47(471〜478)がギア支持壁45の外周から放射状に延びている。補強用のリブ47(471〜478)は、開口334の中心軸(軸線Xa)周りの周方向に、等間隔で複数設けられている。
補強用のリブ47(471〜478)のうちの前方側のリブ471〜475には、スプリングSpの変位を規制するガイド片46(461〜465)が接続されている。
ガイド片461〜465は、周壁部311に沿って高さ方向に延びており、ガイド片461〜465の内径端461b〜465bとギア支持壁45の外周面45aとの間に、スプリングSpを配置するための隙間St(スプリング収容空間)が確保されている(
図11参照)。
【0066】
平面視におけるガイド片461〜465(内径端461b〜465b)の内接円(図中符号Im1で示す仮想円参照)の直径は、自由状態のスプリングSpのコイル外径よりも大きく設定してある。そして、ギア支持壁45の外径は、蓋体の全閉位置まで出力ギアGfが回転してスプリングSpが巻き締められたときのコイル内径より小さく設定されており、出力ギアGfの回転途中で、スプリングSpがギア支持壁45に巻き付かないようにされている。
これによりまた、スプリングSpは自由状態で支障なくスプリング収容空間(隙間St)内に入れることができる。
図11に示すように、これらガイド片46(461〜465)の上端は、ヘッド部31のフランジ431の上端と一致しており、ガイド片46(461〜465)の上端側には、傾斜面461a〜465aが設けられている。
傾斜面461a〜465aは、軸線Xa側に向かうにつれて上壁部310の下面310aからの距離hが短くなっており、スプリングSpを隙間Stに挿入する際のガイドとして機能するようになっている。
【0067】
平面視において後方側の補強用のリブ476〜478は、ギア支持壁45の径方向に延びており、リブ477の延長上には、軸孔64aが位置している。
また、残りのリブ477、478の延長上には、前記したガイド片46と同じ機能を担う弧状壁部351が位置している。
図10に示すように、弧状壁部351のロアハウジング70側の先端(下端)には、傾斜面351aが設けられており、この傾斜面351aもまた、スプリングSpを隙間Stに挿入する際のガイドとして機能するようになっている。
また、弧状壁部351の外周は、軸線Xa回りの周方向における係止溝65a、65bの一方の側縁と一致しており、スプリングSpの一端部Sp1が、この弧状壁部351沿って係止溝65a、65b内に誘導されるようになっている。
【0068】
ここで、
図9に示すように、出力ギアGfと噛み合う第4ギアG4の小径歯車94bが、アッパハウジング30のベース33の上面側に取り付けられる角度センサ150とも噛み合うため上方に延びて、ギア収容室St内に、軸線Xaの径方向から臨んでいる。
前記したようにスプリングSpのコイル内径がギア支持壁45の外径よりも大きいためその間に遊びが生じ、スプリングSpが後方(
図10において右側)に変位したとき第4ギアG4の小径歯車94bと干渉する恐れがある。
【0069】
そこで、
図10に示すように、底壁35を囲む弧状壁部351の凹部335内への突出量は、前述の条件として、スプリングSpが後方(図中右側)に変位して弧状壁部351に当接したときに、第4ギアG4の小径歯車94b(図中仮想線参照)との間に所定の間隙が残るように設定される。この条件下でも、ギア支持壁45の外周面と他のガイド片46(461〜465)との間に自由状態のスプリングSpが間隙をもって配置されるものとする。
【0070】
なお、スプリングSpの高さ方向におけるどの部位が変位しても弧状壁部351に当接するように、弧状壁部351はスプリングSpの高さ(長さ)の大部分の範囲に沿うようにロアハウジング70側の下方に延ばしてあるので、その底壁35(および取付部13の底壁131)のカバー10の上壁部11からの位置は後部のフランジ部14等よりも低くなっている(
図20の(a)、(b)参照)。
【0071】
さらに他の手段としては、出力ギアGfの回転範囲でスプリングSpが最小径に巻き絞められたときにもギア支持壁45を締め付けないという条件で、スプリングSpが後方に変位してコイル内径の前部がギア支持壁45に当接したときに、第4ギアG4の小径歯車94b(図中仮想線参照)との間に所定の間隙が残るように、ギア支持壁45の外径を設定してもよい。
【0072】
図10に示すように、平面視において底壁35、35の前方側には、ヘッド部31の周縁に沿って設けられたフランジ431が接続されている。このフランジ431は、ベース33からロアハウジング70側に突出して形成されており、ヘッド部31の外周よりも内側を、ヘッド部31の周縁に沿って延びている。
このフランジ431には、アッパハウジング30がロアハウジング70に重ねられた際に、後記するロアハウジング70の側壁部721がインロー嵌合するようになっている(
図19の(b)参照)。
【0073】
図10に示すように、さらに底壁35、35の後方側には、ベース33の左側の側縁に沿って直線状に延びる側壁部322と、ベース33の右側の側縁に沿って延びる側壁部323とが設けられている。
側壁部322の後方側には、ベース33の後端を幅方向に延びる側壁部324が接続されており、この側壁部324と側壁部322との接続部分はフランジ432a、434を中断して、両側壁部の内面側を削って、DCモータ2の外周に沿う弧状をなす内周面324aとしDCモータ2の収容部を確保している。
ベース33のコネクタ逃げ部38の部分に設けられた側壁部325は、他の側壁部322、323、324よりもロアハウジング70側の下方側に延びており、アッパハウジング30がロアハウジング70に重ねられた際に、後記する基板100まで達する長さで形成されている。
【0074】
側壁部323のフランジ433は、この側壁部325の部分に及んで形成されており、この側壁部325の部分では、側壁部325から前方側とロアハウジング70側の下方に突出するように設けられている(図中、符号433a参照、
図8の(b)も参照)。
ベース33後方側のフランジ434もまた、側壁部325に及んで形成されており、このフランジ434では、側壁部325から左方側とロアハウジング70側に突出するように設けられている(図中、符号434a参照、
図8の(b)も参照)。
【0075】
図10に示すように、ベース33の左側のフランジ432は、ベース33の外周よりも内側を、ベース33の長手方向に沿って切欠き42まで延びている。フランジ432は、切欠き42を挟んだ反対側にも設けられており、モータ取付孔40bの側方に及んで形成されている(図中、符号432a参照)。
切欠き42の部分ではフランジ432、432aは、カバー10側の上方に折れて、ベース33上面のフランジ342a、342bから下方に折れたフランジに連なっている(
図8参照)。
【0076】
図10および
図8に示すように、ベース33後方側の前記した貫通孔371aに対応する位置には、ロアハウジング70側に突出して円柱形状の位置決めボス37が形成されている。この位置決めボス37の中央には、この貫通孔371aを囲むように、凹状の位置決め孔37bが形成されている。
【0077】
ベース33のロアハウジング70側の下面においてこの位置決めボス37の略対角となる位置には、底壁35に近接して位置決めボス39が設けられている。この位置決めボス39は、フランジ432よりも僅かに低い高さで形成されており、その中央には、位置決め孔39aが形成されている。
【0078】
図10に示すように、さらに、ベース33のロアハウジング70側の下面では、切欠き42の側縁に沿って壁部421が設けられている。
ここで、ベース33のロアハウジング70側(
図10における紙面手前側)の面では、切欠き42の近傍に減速歯車列5の第3ギアG3が位置するようになっている(図中仮想線参照)。
実施の形態では、切欠き42を通って、基板100と角度センサ150とを接続する配線W(
図6参照)が設けられるようになっている。そのため、壁部421は、切欠き42の前方側の側縁から、右方側の側縁までの範囲、すなわち、切欠き42における第3ギアG3が設けられる領域T1側の側縁に沿って設けられて、配線Wが、減速歯車列5(第3ギアG3)と干渉することを防止している。
また、壁部421は、ロアハウジング70側の下方に延びており、後記するロアハウジング70に設けられた基板100の近傍に及ぶ長さで形成されている。
【0079】
なお、配線Wと第3ギアG3との干渉を防止するためには、壁部421は、カバー10側の上方から見て、切り欠き42に最も近い位置に配置される第3ギアG3の大径歯車93aよりも、基板100側の下方まで延びていれば良く、基板100との間に隙間が生じていたとしても、かかる隙間が配線Wを第3ギアG3側に通過させることのない隙間であれば良い。
【0080】
以下、ギア等のアッパハウジング30側の支持部について説明する。
図8の(b)および
図10に示すように、アッパハウジング30のベース33では、ロアハウジング70側の面の後方側に、DCモータ2の上端部2aを嵌め込むためのモータ軸用のモータ軸孔41が開口している。
なお、DCモータ2は上端部2aをモータ軸孔41に嵌め込むことで、モータ軸3に嵌め込んだピニオンギア90を位置決めしている(
図3参照)。
【0081】
このモータ軸孔41の前方側には、第1ギアG1の小径歯車91bを貫通させるギア貫通孔61が設けられている。
ギア貫通孔61から見て挿通穴55寄りの位置には、第2ギアG2を支持する支持ボス62が、ロアハウジング70側に突出して形成されており、さらにその前方側には第4ギアG4を支持する軸孔64aが形成されている。
ベース33から挿通穴55側の内方に膨出して形成された膨出部57には、第3ギアG3を支持する支持ボス63が、ロアハウジング70側に突出して形成されている。
【0082】
支持ボス62は、第2ギアG2の第2支持軸S2の上端が挿入される軸孔62aを有し、支持ボス63は、第3ギアG3の第3支持軸S3の上端が挿入される軸孔63aを有し、支持ボス64は、第4ギアG4の第4支持軸S4の上端が挿入される軸孔64aを有している。
【0083】
[ロアハウジング]
次に、ロアハウジング70側におけるギア等の支持部について説明する。
図12は、ロアハウジング70の斜視図であり、(a)は、ロアハウジング70を、左側の斜め上方から見た斜視図であり、(b)は、ロアハウジング70を、右斜め下方から見た斜視図である。
図13は、ロアハウジング70をアッパハウジング30側から見た平面図であって、ロアハウジング70と共に、コネクタ95と基板100を示した図である。
なお、
図13では、基板100の裏面にプリントされた配線が仮想線で示されている。
【0084】
図12に示すように、ロアハウジング70は、底壁71と、底壁71の外周に沿って設けられた側壁部72(721、722、723、724)とを有しており、側壁部72の内側に、DCモータ2、減速歯車列5、出力ギアGfが設けられるようになっている。
【0085】
ロアハウジング70の側壁部72(721〜724)で上縁には、周方向の所定箇所を除いた内側面に、アッパハウジング30のフランジ43(431、432、433、434)に対応させて、底壁71側に一定量だけ退避した段部721a〜724aが形成されている。
ロアハウジング70の後方左側の角部においては、側壁部722、724の内面側を削って段部722a、724aの幅を狭くしDCモータ2の収容部を確保している(
図13参照)。
側壁部722の長手方向における途中位置には、前記したアッパハウジング30の切欠き42に対応する位置に、アッパハウジング30側に突出して突片部725が形成されている。
【0086】
底壁71では、前後方向における略中央部が、減速歯車列5が設けられる領域T1となっており、この領域T1の後方側が、DCモータ2が設けられる領域T2、前方側が、出力ギアGfが設けられる領域T3となっている。そして、底壁71の後方右側が、コネクタ95が設けられる領域T4(コネクタ取付部)となっている。
ここで、領域T2〜領域T4は、領域T1よりも窪んでおり、領域T2を構成する凹部 71aの中央には、位置規制部78が上方に突出して形成されている。この位置規制部 78は、
図3に示すように、DCモータ2をベース33に固定しているネジ9が緩んだ 場合に、DCモータ2の上端部2aがモータ軸孔41から外れないようにするために設 けられている。
【0087】
平面視において凹部71aは、DCモータ2に外形に対応した略円形を成しており、この凹部71aの側壁部723側から、平面視において略矩形形状の凹部71bが、側壁部723に沿って前方側に延びている。
この凹部71bは、前記したアッパハウジング30の切欠き42の直下の位置まで延びている。
【0088】
図13に示すように、ロアハウジング70の後方側では、領域T2と領域T4とに跨って基板100が設けられており。この基板100の裏面には、配線100a〜100eがプリントされている。これら配線100a〜100eの一端には、コネクタ95の各端子95a〜95eが半田付けにより接続されている。
コネクタ95の各端子95a〜95eは、アッパハウジング30側の上方に延びており、コネクタ95に接続される相手側部材が、アッパハウジング30側からコネクタ95に接続されるようになっている。
【0089】
また、配線100a〜100cの他端には、前記した角度センサ150から延びる配線Wが半田付けされており、配線100d、100eの他端には、DCモータ2から突出する接続端子25、25が半田付けされている。
ここで、配線Wと、DCモータ2の接続端子25、25は、領域T2の窪み(凹部71b、71a)内で、基板100の裏面に半田付けされている。
【0090】
配線Wと基板100の配線100a〜100cとの接続部では、アッパハウジング30の切欠き42の周縁からロアハウジング70側に延びる壁部421が、基板100のアッパハウジング側の上面に当接しており、アッパハウジング30側から基板100に引き出された配線Wが、ロアハウジング70内に設けられた減速歯車列(第3ギアG3)と接触しないようにされている。
【0091】
底壁71の領域T1では、第1ギアG1を支持する支持ボス81が、アッパハウジング30側の上方に突出して形成されている。この支持ボス81は、凹部71aに近接して設けられており、第1ギアG1の第1支持軸S1の下端を回転可能に支持する軸孔81aを有している。
【0092】
さらに、領域T1における支持ボス81よりも前方側には、第2ギアG2を支持する支持ボス82が上方に突出して形成されており、この支持ボス82は、第2ギアG2の第2支持軸S2の下端を回転可能に支持する軸孔82aを有している。
【0093】
領域T1における支持ボス82の左側と前方には、第3ギアG3を支持する支持ボス83と、第4ギアG4を支持する支持ボス84とが上方に突出して形成されており、これら支持ボス83、84は、第3ギアG3の第3支持軸S3の下端を回転可能に支持する軸孔83aと、第4ギアG4の第4支持軸S4の下端を回転可能に支持する軸孔84aを、それぞれ有している。
【0094】
領域T1において支持ボス84は、底壁71の幅方向(左右方向)における略中央に位置しており、領域T3を構成する凹部71dに接して設けられている。
【0095】
図13に示すように、平面視において凹部71dは、略円形を成しており、その中央部には、出力ギアGfに連結された出力部材210を挿通させる開口71d1が、底壁71(凹部71d)を厚み方向に貫通して形成されている。
凹部71dでは、この開口71d1を囲むようにギア支持部79が立設されており、このギア支持部79の内側で、出力ギアGfの筒状の軸部255が、回転可能に支持されるようになっている(
図3参照)。
【0096】
実施の形態では、ギア支持部79の後方側の支持ボス84で第4ギアG4が回転可能に支持されるようになっており、ギア支持部79には、第4ギアG4の大径歯車94aとの干渉を避けるための切欠き79bが設けられて、ギア支持部79は、平面視において略C字形状を成している。
【0097】
ここで、前記したアッパハウジング30のヘッド部31はベース33よりも高く延びて、ヘッド部31の周壁部311とロアハウジング70の底壁71間(
図19の(b):距離L参照)が長いので、出力ギアGfの上下の軸受けを成すギア支持壁45とギア支持部79はそれぞれ大きな軸方向サイズを確保できている。
【0098】
ギア支持部79の周囲には、当該ギア支持部79の外周から径方向外側に直線状に延びるリブ791〜796が、放射状に設けられている。
これらリブ791〜796のうち、切欠部79bの間から径方向に延びるリブ796は、底壁71の領域T1と同じ高さで形成されており、その延長上に支持ボス84が位置している。
また、残りのリブ791〜795は、ギア支持部79の前方側に所定間隔で設けられており、出力ギアGfのストッパ部257との干渉を避けるために、軸線Xa方向におけるギア支持部79の略半分の高さで形成されている(
図19の(a)、(b)参照)。
【0099】
図13に示すように、リブ791とリブ796との間、そしてリブ796とリブ795との間には、平面において略コ字形状の規制ブロック801、802が設けられている。規制ブロック801、802は、側壁部721、722、723と一体に形成された固定用ボス861、862の外周から、ギア支持部79側(軸線Xa側)に突出して形成されており、規制ブロック801、802の前方側の面801a、802aが、出力ギアGfの軸線Xa周りの回転範囲を規定するストッパ面となっている。
ストッパ面(面801a、802a)は、軸線Xaを通るギア支持部79の経線に沿って設けられており、後記する出力ギアGfのストッパ部257が当接して、出力ギアGfの軸線Xa周りの回転範囲と、センサ歯車137を第4ギアG4の小径歯車94bに噛合させるときの出力ギアGfの初期位置を規定するために設けられている。
【0100】
なお、規制ブロック801、802の高さは、その上端面と支持筒に支持された出力ギアGfの歯部の下端面との間隙がスプリングの線径より小さくなるように設定され、何らかの原因でスプリングが切断されてもその切断片が間隙に入ってロック状態となることがないようにしている。
また、同様のことを目的として、
図11に示すように、前記したフランジ431と、後記する出力ギアGfの外周に設けられた歯部のフランジ431側の下面との間の隙間h1が、スプリングSpを構成する線状部材の断面直径dよりも小さく設定されている。
【0101】
図13に示すように、固定用ボス861、862は、底壁71からアッパハウジング30側の上方に突出して設けられており、側壁部721、722、723の段部721a、722a、723aと同じ高さで当該側壁から内方に張り出して形成されている。この固定用ボス861、862では、アッパハウジング30の貫通孔35aと整合する位置に、ネジ孔861a、862bが形成されている。
【0102】
固定用ボス861、862の上端面には、アッパハウジング30をロアハウジング70に重ねたときに、アッパハウジング30の底壁35の下面が当接するようになっている。
固定用ボス861、862の上端面は、アッパハウジング30をロアハウジング70に重ねたとき切欠き凹部の底壁35の下面が当接するように、段部721a、722a、723aと同一またはわずかに低く、側壁部722、723の上縁を切り欠いてその外周面まで延びている(
図13:符号722b、723b参照)。
そのため、この切り欠かれた部分を含む固定用ボス861、862の上面全体で、アッパハウジング30の底壁35を支持すると共に、切欠部722b、723bの両側に位置する側壁部721、722、723の間に底壁35が保持されるようになっている。
【0103】
図12および
図13に示すように、ロアハウジング70の後端左角部の外周71eは、平面視において、ロアハウジング70に収容されるDCモータ2の外周に沿う円弧状に形成されており、アッパハウジング30側に、フランジ部89が形成されている。このフランジ部89はアッパハウジング30のフランジ受部36と同程度の厚肉とし、その上面に開口させてアッパハウジング30の貫通孔36aに対応する位置にネジ孔89aが設けられている(
図20の(b)参照)。
【0104】
側壁部722では、固定用ボス862の近傍に、円柱形状の位置決め部87が設けられており、この位置決め部87は、側壁部722と一体に、段部722aと同じ高さで形成されている。
位置決め部87の中心には、アッパハウジング30側の上方に突出して位置決めピン87aが形成されており、この位置決めピン87aは、アッパハウジング30の位置決め孔39aに整合する位置に設けられている。
なお、
図21の(b)に示すように、位置決め部87は底壁71から下方にも所定量突出し、上端近傍から延びる穴87bがその下端に開口している。穴87bは、ギアードモータ1の蓋体への取り付けに使用可能である。
【0105】
さらに、
図12および
図13に示すように、底壁71における位置決めピン87aと略対角となる位置には、円筒形状のコラム88が設けられている。このコラム88は、底壁71からアッパハウジング30側の上方に延出して設けられており、アッパハウジング30の位置決め孔37bの内径と整合する大きさを有している(
図21の(a)参照)。そして、コラム88では、アッパハウジング30の貫通孔371aと整合する位置に、ネジ孔88aが設けられている。コラム88は、上端の高さがアッパハウジング30をロアハウジング70に重ねたとき位置決めボス37の隔壁371の下面の位置となるように設定され、リブ724b(
図12の(b)参照)で側壁部724に接続されて剛性を高めている。
【0106】
アッパハウジング30とロアハウジング70を組付ける際には、ロアハウジング70の位置決め部87の位置決めピン87aとコラム88を、アッパハウジング30の位置決めボス39の位置決め孔39aと、位置決めボス37の位置決め孔37bに挿入することで、アッパハウジング30がロアハウジング70に対して位置決めされるようになっている。
【0107】
[減速歯車列]
次に、減速歯車列5の各ギア(第1ギアG1〜第4ギアG4)と出力ギアGfの構成を説明する。
図3に示すように、第1ギアG1は、軸線X1に沿って延びる小径歯車91bと、この小径歯車91bの一端に設けられた大径歯車91aと、有しており、大径歯車91aは、小径歯車91bのカバー10側の一端に形成されている。
第1ギアG1では、第1支持軸S1を挿通させる挿通穴91cが、大径歯車91aと小径歯車91bとを貫通して形成されている。
第1支持軸S1は、カバー10の軸孔21とロアハウジング70の支持ボス81(軸孔81a)とに両端が支持されており、この第1支持軸S1に外挿された第1ギアG1は、軸線X1周りに回転可能に設けられている。
【0108】
小径歯車91bは、アッパハウジング30のベース33に設けられたギア貫通孔61を貫通して設けられており、大径歯車91aは、アッパハウジング30とカバー10との間の空間Su内に位置している。
この空間Su内には、DCモータ2のピニオンギア90も位置しており、このピニオンギア90に大径歯車91aが噛合している。
【0109】
アッパハウジング30とロアハウジング70との間の空間Sd内では、アッパハウジング30のベース33寄りの上側で、第1ギアG1の小径歯車91bに、第2ギアG2の大径歯車92aが噛合している。
【0110】
第2ギアG2は、軸線X2に沿って延びる小径歯車92bと、この小径歯車92bに相対回転可能に組み付けられた大径歯車92aとを有しており、大径歯車92aと小径歯車92bとの間の回転駆動力の伝達が、これらの間に介在させたラチェット機構(トルクリミッタT)を介して行われるようになっている。
【0111】
小径歯車92bには、第2支持軸S2を挿通させる挿通穴92cが貫通して形成されている。
第2支持軸S2は、アッパハウジング30の支持ボス62(軸孔62a)と、ロアハウジング70の支持ボス82(軸孔82a)とに両端が支持されており、この第2支持軸S2に外挿された第2ギアG2は、軸線X2周りに回転可能に設けられている。
【0112】
図14は、第2ギアG2におけるトルクリミッタTを説明する図である。
図14に示すように、大径歯車92aは、有底円筒形状の基部921を有しており、この外周に、第1ギアG1の小径歯車91bと噛合する歯部92a1が形成されている。
軸線X2の軸方向から見て大径歯車92aは、その内周にカム面922を有しており、このカム面922には、小径歯車92bの基部925から延びるアーム926が係合している。
アーム926は、小径歯車92bの基部925の外周に沿って周方向に延びており、実施の形態では、軸線X2周りの周方向で、合計3つのアーム926が設けられている。
アーム926は、径方向外側に突出する爪927が設けられたその先端側が内径側に弾性変形可能となっており、これにより、通常はロック状態となって小径歯車92bと大径歯車92aが一体に回転するが、大径歯車92aと小径歯車92b間に所定以上の相対回転トルクが加わったときにはアーム926が弾性変形して爪927がカム面922を滑り相対回転するトルクリミッタTが形成されている。
上記の所定以上の相対回転トルクとしては、蓋体を持ち上げることが可能なトルクより大きなトルクに設定される。
【0113】
なお、大径歯車92aのカム面922は、アーム926が基部925から延びる方向(
図10における反時計方向)に小径歯車92bが回転した場合に爪927と係合する面の(小径歯車92bの回転中心(X2)を中心とする円周との)傾きが小さく、アーム926が基部925から延びる方向と逆の方向(
図10における時計方向)に小径歯車92bが回転した場合に爪927と係合する面の傾きが大きい。このためアーム926が弾性変形して爪927がカム面922を滑り相対回転するトルクは小径歯車92bの回転方向によらず同じになっている。
【0114】
第2ギアG2の小径歯車92bでは、アーム926が設けられた基部925に隣接して筒状の軸部928が設けられており、この軸部の外周に、第3ギアG3の大径歯車93aが噛合する歯部92b1が形成されている。
【0115】
第3ギアG3は、大径歯車93aと小径歯車93bと、を有しており、その中心部には、第3支持軸S3を挿通させる挿通穴93cが形成されている。
第3支持軸S3は、アッパハウジング30の支持ボス63とロアハウジング70の支持ボス83に両端が支持されており、この第3支持軸S3に外挿された第3ギアG3は、軸線X3周りに回転可能に設けられている。
小径歯車93bは、大径歯車93aよりも底壁71側の下方に位置しており、その外周に、第4ギアG4の大径歯車94aが噛合している。
【0116】
第4ギアG4は、軸線X4に沿って延びる小径歯車94bと、この小径歯車94bの一端に設けられた有底円筒形状の大径歯車94aと、を有しており、その中心部には、第4支持軸S4を挿通させる挿通穴94cが、小径歯車94bと大径歯車94aとを貫通して形成されている。
【0117】
第4支持軸S4は、アッパハウジング30の支持ボス64とロアハウジング70の支持ボス84とに両端が支持されており、この第4支持軸S4に外挿された第4ギアG4は、軸線X4周りに回転可能に設けられている。
【0118】
大径歯車94aの外周には、第3ギアG3の小径歯車93bが噛合する歯部が形成されており、小径歯車94bの外周には、出力ギアGfと、センサ歯車137が噛合する歯部が長手方向の全長に亘って形成されている。
【0119】
[出力ギア]
図15は、出力ギアGfを説明する図であり、(a)は、斜視図、(b)は、カバー10側から見た平面図、(c)は、ロアハウジング70側から見た平面図、(d)は、(c)におけるA−A断面図である。
【0120】
出力ギアGfは、筒状の軸部250と、この軸部250を所定間隔で囲む筒状部251を有しており、軸部250と筒状部251とは、軸部250の一端から径方向に延びる接続壁253と、軸部250の外周から放射状に延びる補強壁254とを介して接続されている。
【0121】
軸部250におけるロアハウジング70側の下方には、軸部250よりも小径の筒状の軸部255が設けられており、この軸部255は、ロアハウジング70に設けたギア支持部79で回転可能に支持されるようになっている。
軸部255は、その内周が、出力部材210が嵌合する嵌合穴255cとなっており、この嵌合穴255cは、出力ギアGfをロアハウジング70で支持させたときに、当該ロアハウジング70の開口71d1内で開口するようになっている。
軸方向から見て嵌合穴255cの内部には、互いに平行な二面幅255a、255aが形成されており、この二面幅255a、255aの略中央には、キー溝255b、255bが形成されている。
【0122】
軸部250における軸部255とは反対側には、軸部255よりも大径の軸部256が設けられており、この軸部256は、アッパハウジング30に設けたギア支持壁45で回転可能に支持されるようになっている。
軸部256は、その内周が、出力部材200が嵌合する嵌合穴256cとなっており、この嵌合穴256cは、軸部256をアッパハウジング30のギア支持壁45で支持させたときに、アッパハウジング30の開口334内で開口するようになっている。
この嵌合穴256cは、内周に互いに平行な二面幅256a、256aが形成されており、この二面幅256a、256aの略中央には、キー溝256b、256bが形成されている。
【0123】
図1および
図3に示すように、軸部255、256には、それぞれ、出力部材200、210が内嵌して取り付けられている。
出力部材200、210は、基本形状が円筒の樹脂製または金属製で、軸方向略中央の所定幅の嵌合部201、211を残して、外周の上部と下部にそれぞれ2面幅部を備えている。
出力部材200、210は、前記した軸部255、256の二面幅256a、256aに対応する2面幅部と、キー溝256b、256bに対応する突条を有しており、軸部255、256に対する軸線Xa周りの相対回転が規制された状態で、軸部255、256に圧入されている。
【0124】
図15に示すように、筒状部251の外周には、前記した第4ギアG4の小径歯車94bが噛合する歯部251aが形成されており、さらに軸方向から見て扇形状のストッパ部257が設けられている。
ストッパ部257は、筒状部251からロアハウジング70側の下方に突出して形成された筒状の部材であり、その弧状外周面257cは、歯部251aの外周を結ぶ仮想線Im3上に位置している(
図15の(c)参照)。ストッパ部257は、歯部251aの外径に沿った弧状外周面257cおよび基部に近い弧状内周面257dと、これらをつないで周方向に面し軸心からの経線に沿った当接面257e、257fとを有し、歯部251aの上端から軸方向下方に延びて、歯部251aの下端から所定量h突出している。ストッパ部257はその上端に開口して軸方向に所定量延びるスプリング支持孔257aを備え、スプリング支持孔257aより下方は肉抜き穴257bとしてある。
スプリング支持孔257aには、出力ギアGfの軸部256に外挿して取り付けられるスプリングSpの他端部Sp2が挿入されるようになっている。
【0125】
次に、ケース7における減速歯車列5(第1ギアG1〜第4ギアG4)、出力ギアGf、スプリングSpの組付けを説明する。
【0126】
減速歯車列5の組付けに当たっては、始めに、ロアハウジング70を組立台上に載せた状態で、第1ギアG1を除く各ギアG2〜G4の支持軸S2〜S4の下端を、ロアハウジング70の底壁71の対応する軸孔82a、83a、84aに挿し込む。続いて、各ギアG2〜G4の挿通穴92c〜94cに、各支持軸S2〜S4を挿入する。この際、各ギアG2〜G4は、その大径歯部と92a〜94aと小径歯車92b〜94bを、隣接するギアの対応する歯部に噛み合わせた状態で組付ける。
【0127】
減速歯車列5の第2ギアG2から第4ギアG4の組付けが完了すると、出力ギアGfの組付けが行われる。
【0128】
実施の形態にかかるギアードモータ1は、蓋体の回転軸の一端と他端の何れにも接続できるようになっている。
前記したように蓋体は、水平軸(回転軸)周りに回動駆動されるようになっており、ギアードモータ1は、水平軸の径方向から見て、当該水平軸の右側に接続される場合と、左側に接続される場合とがあり、右側に接続された場合と左側に接続された場合とで、蓋体を開位置側に向けて駆動させるときの出力ギアGfの回転方向が逆になるからである。
そのため、スプリングSpは、コイル部の巻き方向が異なるものが2種類用意されており、ギアードモータ1が、蓋体の回転軸の一端と他端のどちらに取り付けられるのかに応じて、適切なスプリングが選択されて、出力ギアGfに取り付けられるようになっている。
これは、ギアードモータ1を蓋体の回転軸の一端に接続した場合と他端に接続した場合とでは、出力ギアGfが蓋体の自重によって動作する方向(閉方向)が、時計方向と反時計方向で逆になり、スプリングSpから作用させる付勢力の方向が異なるためである。
【0129】
図16は、スプリングSpの組込み位置を説明する図であって、図中反時計回り方向に出力ギアGfが回転すると蓋体が全閉位置から全開位置に駆動される関係で、出力部材200、210と蓋体とが接続される場合を説明する図である。
図17は、スプリングSp’の組込み位置を説明する図であって、図中時計回り方向に出力ギアGfが回転すると蓋体が全閉位置から全開位置に駆動される関係で、出力部材200、210と蓋体とが接続された場合を説明する図である。
【0130】
ここで、
図16の(a)および
図17の(a)は、出力ギアGfに組み付けられるスプリングSp、Sp’を説明する図であり、(b)は、出力ギアGfが、スプリングの組込位置に配置された状態を示す平面図であり、(c)は、ロアハウジング70で支持された出力ギアGfにスプリングが組付けられた状態を示す平面図の上側に、ロアハウジング70に重ねられるアッパハウジングのロアハウジング70側の面を示した図である。なお、
図16の(c)および
図17の(c)では、他の部品との区別のために、スプリングSp、Sp’をハッチングを付して示している。
【0131】
出力ギアGfの
図16の(b)における反時計回り方向の回動が蓋体を開方向に駆動させる関係で、出力部材200、210と蓋体とが連結される場合、
図16の(a)に示す右巻きのスプリングSpが用いられる。
このスプリングSpの場合、ロアハウジング70にアッパハウジング30を重ねたときに、スプリングの一端部Sp1をアッパハウジング30の係止溝65aに係止させるようになっている。そのため、自由状態のスプリングSpの他端部Sp2を、出力ギアGfのスプリング支持孔257aに挿入したときに、スプリングSpの一端部Sp1を係止溝65aに整合させる必要がある。
【0132】
ここで、ロアハウジング70にアッパハウジング30を重ねたときの、係止溝65aの位置は、
図16の(b)において仮想線で示す位置となる。
よって、軸方向から見たときの係止溝65aと出力ギアGfのストッパ部257との位相差θが、軸方向から見たときのスプリングSpの一端部Sp1と他端部Sp2の位相差視θと一致する角度位置(
図16の(b)に示すスプリング組込位置)まで出力ギアGfを回動させたのち、紙面手前側からスプリングSpの一端部Sp1を、スプリング支持孔257aに挿入して、スプリングSpを出力ギアGfに取り付ける。
【0133】
そして、この状態にしたうえで、ロアハウジング70の上にアッパハウジング30を重ねると、出力ギアGfに載置されたスプリングSpは、アッパハウジング30のロアハウジング70側の面に設けた傾斜面461a〜465a、351a(
図10、
図19も参照)により、アッパハウジング30のギア支持壁45を囲む隙間St(スプリング収容空間)内に誘導される。
さらに、アッパハウジング30には、スプリングSpの一端部Sp1を係止溝65a内に誘導するための傾斜面651が設けられているので、スプリングSpの一端部Sp1は、係止溝65a内に誘導される。
【0134】
これにより、一端部Sp1を係止溝65aに係止させ、他端部Sp2をスプリング支持孔257aに挿入させた状態で、ケース7内にスプリングSpが組み込まれることになる。
【0135】
このスプリングSpが組み込まれたギアードモータ1は、出力ギアGfが時計回り方向に回転するときに、係止溝65aで回り止めされたスプリングSpが巻き締められる。
よって、出力ギアGfには、当該出力ギアGfを反時計回り方向に回転させようとする付勢力が、スプリングSpから作用し、この付勢力は、蓋体が閉位置側に位置しているほど大きくなるようになっている。
【0136】
また、出力ギアGfの
図17の(b)における時計回り方向の回動が蓋体を開方向に駆動される関係で、出力部材200、210と蓋体とが連結される場合、
図17の(a)に示す左巻きのスプリングSp’が用いられる。
【0137】
このスプリングSp’の場合、ロアハウジング70にアッパハウジング30を重ねたときに、スプリングSp’の一端部Sp1をアッパハウジング30の係止溝65bに係止させるようになっている。そのため、自由状態のスプリングSp’の他端部Sp2を、出力ギアGfのスプリング支持孔257aに挿入したときに、スプリングSp’の一端部Sp1を係止溝65aに整合させる必要がある。
【0138】
ここで、ロアハウジング70にアッパハウジング30を重ねたときの、係止溝65bの位置は、
図17の(b)において仮想線で示す位置となる。
よって、軸方向から見たときの係止溝65bと出力ギアGfのストッパ部257との位相差θが、軸方向から見たときのスプリングSp’の一端部Sp1と他端部Sp2の位相差視θと一致する角度位置(
図17の(b)に示すスプリング組込位置)まで出力ギアGfを回動させたのち、紙面手前側からスプリングSp’の一端部Sp1を、スプリング支持孔257aに挿入して、スプリングSpを出力ギアGfに取り付ける。
【0139】
そして、この状態にしたうえで、ロアハウジング70の上にアッパハウジング30を重ねると、出力ギアGfに載置されたスプリングSp’は、アッパハウジング30のロアハウジング70側の面に設けた傾斜面461a〜465a、351a(
図10、
図19も参照)により、アッパハウジング30のギア支持壁45を囲む隙間St(スプリング収容空間)内に誘導される。
さらに、アッパハウジング30には、スプリングSp’の一端部Sp1を係止溝65b内に誘導するための傾斜面651が設けられているので、スプリングSpの一端部Sp1は、係止溝65a内に誘導される。
【0140】
これにより、一端部Sp1を係止溝65bに係止させ、他端部Sp2をスプリング支持孔257aに挿入させた状態で、ケース7内にスプリングSp’が組み込まれることになる。
【0141】
このスプリングSp’が組み込まれたギアードモータ1は、出力ギアGfが反時計回り方向に回転するときに、係止溝65aで回り止めされたスプリングSp’が巻き締められる。
よって、出力ギアGfには、当該出力ギアGfを時計回り方向に回転させようとする付勢力が、スプリングSp’から作用し、この付勢力は、蓋体が閉位置側に位置しているほど大きくなるようになっている。
【0142】
ここで、実施の形態のギアードモータ1では、軸線Xaを通りケース7の前後方向に延びる直線Lm(
図18参照)を境にして、係止溝65a、65bと、規制ブロック801、802と、が対象に設けられている。そのため、図中出力ギアGfが時計回り方向に回動するときに蓋体が閉位置に向けて駆動される場合と、出力ギアGfが反時計回り方向に回動するときに蓋体が閉位置に向けて駆動される場合の何れにおいても、ケース7(ロアハウジング70とアッパハウジング30)を共通して用いることができるようになっている。
【0143】
出力ギアGfのロアハウジング70への配置が完了した状態で、各支持軸S2〜S4は、位置決めピン87a、およびコラム88と共に互いに平行な直立状態となる。
そのため、アッパハウジング30のロアハウジング70への載置は、アッパハウジング30の位置決めボス37、39を、コラム88と位置決めピン87aとに位置合わせしながら行われる。
この際、各ギアG2〜G4の支持軸S2〜S4の上端は、アッパハウジング30の対応する軸孔62a〜64aに嵌るが、若干倒れてアッパハウジングの対応する軸孔に正対していない支持軸がある場合は必要に応じてその上端位置を調整して嵌め込む。
【0144】
なお、アッパハウジング30をロアハウジング70に載置する前に、基板100を取り付けたDCモータ2をベース33の裏面側に予め取り付けておく。ここで、DCモータ2は、後記するコネクタ95と共に基板100に予め半田付けにより接続されている。また、基板100と角度センサ150の基板151とを接続する配線Wは、その端部を、それぞれ対応する基板100、150に半田付けにより接続しておく。
このようにすることにより、ケース7から離れた場所で半田付け作業を行うことができるようになる。そのため、半田付け作業において、半田やフラックスが飛び散るような事態が生じても、これらがケース7内に進入することを防止できる。
そして、基板100と基板151とを接続している配線Wは、アッパハウジング30をロアハウジング70に載置する前に、アッパハウジング30の側壁部322の側方に開口している切欠き42から、配線収容部336内に押し込んでおき、配線Wの一端に接続された角度センサ150をベース33の上に載せておく。
【0145】
このようにして、ロアハウジング70へのアッパハウジング30の載置が完了すると、アッパハウジング30のギア貫通孔61(
図7参照)に、第1ギアG1の小径歯車91bを挿通させて、小径歯車91bを第2ギアG2の大径歯車92aに、大径歯車92aをピニオンギア90にそれぞれ噛合させる。
【0146】
アッパハウジング30とロアハウジング70が重なった状態では、位置決めボス37、39と、コラム88と位置決めピン87aとの嵌合により、水平方向、すなわち各支持軸の軸方向に対して垂直な面内で軸孔が位置決めされる。
したがって、従来のようにまず2部材(アッパハウジング30とロアハウジング70)をネジで結合しなくても、高精度の軸間距離で各ギア間が支持された状態となる。
【0147】
ロアハウジング70にアッパハウジング30が重ねられた状態において、アッパハウジング30の底壁35は、それぞれロアハウジング70の側壁部722、723の切欠部722b、723bに嵌って固定用ボス861、862の上端に着座し、底壁35の貫通孔35aが、固定用ボス861、862のネジ孔861a、862aに整列する。
また、アッパハウジング30後端左角部の厚肉のフランジ受部36が、ロアハウジング70のフランジ部89に着座し、アッパハウジング30の貫通孔36aがロアハウジング70のネジ孔89aに整列する。そして、ロアハウジング70のコラム88に嵌ったアッパハウジング30の位置決めボス37はその隔壁371の下面がコラム88の上端に着座し、隔壁371の貫通孔371aが、コラム88のネジ孔88aに整列する。
アッパハウジング30の切欠き42はその下半部が、ロアハウジング70の突片部725で閉じられる。
【0148】
アッパハウジング30をロアハウジング70に重ねた後、ベース33に角度センサ150が取り付けられる。
【0149】
ここで、実施の形態のギアードモータ1では、蓋体が起立位置(開位置:水平線に対して約120°の傾き)に達したときに、出力ギアGfにスプリングSpの付勢力が作用しなくなり、起立位置から水平位置(閉位置:水平線に対して0°)に向かうにつれて、スプリングSpから作用する付勢力であって、蓋体を開く方向に回転させようとする付勢力が大きくなるように構成されている。
前記したように、スプリングSpおよびSp’は、出力ギアGfが蓋体の自重によって動作する方向(閉方向)と逆方向(開方向)、すなわち蓋体を開位置側に向けて回動させる方向に作用する付勢力を、出力ギアGfに作用させるようになっている。
このため、蓋体を開閉するために必要な最大トルクを小さくすることができ、最大トルクの小さいDCモータ2を採用することができるようになっている。
さらに、スプリングSpおよびSp’が出力ギアGfに取り付けられるため、出力ギアGfおよび減速歯車列5にかかる負荷を小さくできるようになっている。
また、使用者が蓋体を急に閉めた場合でも、スプリングSpおよびSp’の付勢力が逆方向(開方向)に働くため、出力ギアGfおよび減速歯車列5にかかる負荷を小さくできる。このため、第1ギアG1〜第4ギアG4を樹脂など低強度の材料で構成することや、モジュールや歯幅を小さくして第1ギアG1〜第4ギアG4を小型化することが可能になる。
【0150】
ギアードモータ1は、角度センサ150により特定される蓋体の角度位置、具体的には出力ギアGfの角度位置に基づいて、図示しない制御装置により制御されるようになっている。
そして、蓋体の水平位置側、すなわち蓋体の閉位置側の角度位置を精密に検出することで、蓋体が急に倒れることや、閉位置に達したにもかかわらず蓋体の閉位置側への駆動が終了しないようになることを防止している。
【0151】
そのため、実施の形態のギアードモータ1では、蓋体の角度位置を、特に閉位置側で正確に検出できるようにするために、出力ギアGfが閉位置側の所定位置に対応する角度位置にあるときに、センサ歯車137を組み込むようになっている。
【0152】
以下、センサ歯車の組込みと、角度センサの取付けを説明する。
図18は、センサ歯車の組込み位置を説明する図である。(a)は、図中反時計回り方向に出力ギアGfが回転すると蓋体が全閉位置から全開位置に駆動される関係で、出力ギアGfと蓋体とが接続されるギアードモータ1の場合のセンサ歯車137の組込位置を説明する図である。(b)は、図中時計回り方向に出力ギアGfが回転すると蓋体が全閉位置から全開位置に駆動される関係で、出力ギアGfと蓋体とが接続されるギアードモータ1の場合のセンサ歯車137の組込位置を説明する図である。
【0153】
図9に示すように、角度センサ150は、基板151上に、回転軸138の周方向に沿って設けられた抵抗体(図示せず)と、この抵抗体の表面を摺動するブラシ(図示せず)を有するポテンショメータ135を備える可変抵抗であり、センサ歯車137を基板151の下方に位置させると共に、センサ歯車137の軸138aが基板151およびポテンショメータ135を貫通している。
ポテンショメータ135は、内部の不図示のロータリー部が軸138aと一体に回転するようになっている。ここでは、センサ歯車137の歯数は第4ギアG4の小径歯車94bの歯数と近似させてある。
【0154】
なお、抵抗体の一端に接続された端子と、他端に接続された端子と、可動部であるブラシに接続された端子の3つの端子が、配線Wと基板100の配線100a〜100cを介して、ロアハウジング40に付設されたコネクタ95の端子95a〜95cに接続されている構成となっている。
そのため、抵抗体の両端に印可する電圧の極性を入れ換えるだけで、可動部に接続された端子から取り出される電圧の変化方向を逆にできる。よって、出力ギアGfの一方向の回動が蓋体を開位置から閉位置に向けて回動させる場合と、他方向の回動が蓋体を開位置から閉位置に向けて回動させる場合の何れにおいても、電圧の極性を入れ換えるだけで、出力信号が同じとなるので、角度センサ150を共通して採用できる。
【0155】
図中反時計回り方向に出力ギアGfが回動すると蓋体が全閉位置から全開位置に駆動される関係で、出力ギアGfと蓋体とが接続される場合、センサ歯車137を組み込む前では、出力ギアGfは、スプリングSpの付勢力が作用していない角度位置(スプリング組込位置)に設けられている(
図18の(a)参照)。
この状態から、出力ギアGfを、時計回り方向(蓋体を閉じる方向)に、回動させて、出力ギアGfのストッパ部257が、ロアハウジング70の規制ブロック801に当接するまで回動させる。
【0156】
この状態では、スプリングSpが巻き締められているので、出力ギアGfには、当該ギアGfを反時計回り方向(蓋体を開く方向)に回動させようとする付勢力が、スプリングSpから作用している。
【0157】
実施の形態では、このストッパ部257を規制ブロック801に当接させた位置が、センサ歯車137の組込位置(センサ組込位置)となっており、この状態において、センサ歯車137を、アッパハウジング30の挿通穴55を挿通させて、挿通穴55内に位置する第4ギアG4の小径歯車94bに噛合させるようになっている。
なお、この組込位置から反時計回り方向に所定角度回転させた位置が、蓋体の全閉位置に対応する角度位置になっている。そして、この全閉位置から反時計回り方向に大凡120°回動させた角度位置が、蓋体の全開位置に対応する角度位置になっている。
【0158】
また、図中時計回り方向に出力ギアGfが回転すると蓋体が全閉位置から全開位置に駆動される関係で、出力ギアGfと蓋体とが接続される場合、センサ歯車137を組み込む前では、出力ギアGfは、スプリングSpの付勢力が作用していない角度位置(スプリング組み込み位置)に設けられている(
図18の(b)参照)。
この状態から、出力ギアGfを、反時計回り方向(蓋体を閉じる方向)に、回動させて、出力ギアGfのストッパ部257が、ロアハウジング70の規制ブロック802に当接するまで回動させる。
【0159】
この状態では、スプリングSpが巻き締められているので、出力ギアGfには、当該出力ギアGfを時計回り方向(蓋体を開く方向)に回動させようとする付勢力が、スプリングSpから作用している。
【0160】
実施の形態では、このストッパ部257を規制ブロック802に当接させた位置が、センサ歯車137の組込位置(センサ組込位置)となっており、この状態において、センサ歯車137を、アッパハウジング30の挿通穴55を挿通させて、挿通穴55内に位置する第4ギアG4の小径歯車94bに噛合させる。
なお、この組込位置から時計回り方向に所定角度回転させた位置が、蓋体の全閉位置に対応する角度位置になっている。そして、この全閉位置から反時計回り方向に大凡120°回動させた角度位置が、蓋体の全開位置に対応する角度位置になっている。
【0161】
実施の形態のギアードモータ1では、この全閉位置と全開位置の間の角度範囲が、出力ギアGfの回動範囲(使用範囲)として設定されており、蓋体の回動駆動にあたり、出力ギアGfのストッパ部257と規制ブロック801とが互いに接触しないようになっている。
【0162】
ここで、実施の形態のギアードモータ1では、出力ギアGfの回転中心となる軸線Xaを通り、ケース7の幅方向に延びる直線Lnを境にして後方側に、減速歯車列5や係止溝65a、65bが配置された構成を有している。そのため、ケース7の半円形を成す前端部の径が、出力ギアGfの径に応じた径となっており、後方側の幅が、減速歯車列5の配置に応じた幅となっている。
また、前端部の半円形は、出力ギアGfと同心円である。具体的には、一定の厚みを有するロアハウジング70の側壁部721の内周が、出力ギアGfの歯部251aと一定のクリアランスを有して対向している。
そのため、ギアードモータ1の蓋体の回転軸との連結部分であるケース7の前方側のサイズ(蓋体の回転軸から前方、右方、左方の端部までのサイズ)が抑えられているので、ギアードモータ1を蓋体側の装置に組み込んだときに、ギアードモータの本体が、装置から大きく突出して、装置の見栄えを損なうことが好適に防止されるようになっている。
【0163】
センサ歯車137の組み込みが完了すると、アッパハウジング30のギア貫通孔61(
図7参照)に、第1ギアG1の小径歯車91bを挿通させて、小径歯車91bを第2ギアG2の大径歯車92aに、大径歯車92aをピニオンギア90にそれぞれ噛合させる。
第1ギアG1が組み込まれる前の段階では、出力ギアGfとDCモータ2とが減速歯車列5を介して直接に接続されていないので、出力ギアGfの位置決めと、出力ギアGfの角度位置とセンサ歯車137の角度位置の対応の調整と、が容易に行えるようになっている。
【0164】
そして、角度センサ150の他の部品の組付けが行われる。
基板151は、
図6に示されたように、羽子板状の平面形を有し、細幅の前端部にピン孔152を、広幅の後端部に2つのピン孔153、134を備えている。
よって、基板151のピン孔152、133、134に、第1支持台49のピン50と、第2支持台51のピン52、53をそれぞれ挿通させて、角度センサ150の取付けを行う(
図6、
図7参照)。
また、カバー10(
図5参照)の押さえボス19は、第2支持台51のピン52、53に対応して設定され、ピン52、53が挿入可能な孔を有しており、押さえボス18は、第1支持台49のピン50の後側近接位置に設定されている。
【0165】
基板151は、第1支持台49および第2支持台51の上面に着座するとともに、カバー10の押さえボス18、19によって押さえつけられて位置固定される。
そして、カバー10とアッパハウジング30の支持ボス20、56に支持されたセンサ歯車137が回転すると、ポテンショメータ135がその回転角度を検出し、検出した回転角度を示す信号が、ポテンショメータ135から延びる配線Wを介して、出力される。
【0166】
なお、ポテンショメータ135は検出可能な絶対角度範囲が1回転(360°)内に限定されているので、出力ギアGfがその最大回転角度まで回転したとき出力ギアGfから第4ギアG4を経てセンサ歯車137に至る間の増速比によるセンサ歯車137の回転角度が360°未満となるように、それぞれの歯数が設定される。
【0167】
図9に示すように、センサ歯車137は、アッパハウジング30のベース33の下面すれすれを回転し、挿通穴55内に外周の一部が突出する第4ギアG4の小径歯車94bと噛み合っている。
【0168】
実施の形態では、角度センサ150がポテンショメータを用いているため、蓋体の重量や形状を設計変更した場合などにも、モータの制御を変化させる出力ギアGfの角度設定の自由度が高い。
【0169】
センサ歯車137は、軸方向直近で軸138bが支持ボス56に支持され、第4ギアG4の小径歯車94bのセンサ歯車137との噛み合い部は、その第1支持軸S1を支持する支持ボス64直近の上端であり、いずれの支持ボス56、64も同じアッパハウジング30のベース33に形成されている。したがってその軸間距離は、複数部材の誤差の累積による影響を受けることなく、減速歯車列5に制動を掛けることのない範囲で歯間のバックラッシュが極力小さくなるように設定された適正値に安定して高精度に保持される。
【0170】
なお、センサ歯車137は、第4ギアG4の小径歯車94bと歯数が近似して小径となっており、軸間距離が小さいので、この点でもバックラッシュが小さい。
出力ギアGfと第4ギアG4もそれぞれの支持軸が共通のアッパハウジングとロアハウジングに支持されて軸間距離の精度が高いので、バックラッシュも小さく、その結果、DCモータ2でブレーキをかける蓋体の平伏付近に対応する出力ギアGfの回転位置の角度センサ150による検出にも高精度が得られる。
【0171】
角度センサ150の組付けが完了すると、カバー10のアッパハウジング30への載置が行われる。
始めに、カバー10の位置決めピン171とボス161を、位置決め孔39a、37aに位置合わせしながら(
図21の(b)、
図20の(b)参照)、カバー10をアッパハウジング30の減速歯車列搭載部32に重ねる。
この間、第1ギアG1の第1支持軸S1の上端が上壁部11の対応する軸孔21に嵌る(
図3参照)。
【0172】
カバー10がアッパハウジング30に重なった状態において、アッパハウジング30の切欠き42は、ロアハウジング70の突片部725で閉じられた残部である上半部がカバー10の突片部125で閉じられる(
図22の(b)参照)。
カバー10がアッパハウジング30に重なった状態において、弧状壁部132が切欠き凹部310bに嵌って弧状壁部132の底壁131の下面が切欠き凹部310bの底壁35の上面に着座し(
図20の(a)参照)、カバー10のフランジ部14は、アッパハウジング30のフランジ受部36に着座する(
図20の(b)参照)。
また、位置決め孔37aに挿入されたボス161の底壁の下面は位置決めボス37の隔壁371の上面に着座する(
図21の(a)参照)。
【0173】
弧状壁部132の底壁131の貫通孔131aは、切欠き凹部310bの底壁35の貫通孔35aに整列しているから(
図20の(a)参照)、これらを貫通して上方からネジ8をロアハウジング70の固定用ボス861、862のネジ孔861a、862aにねじ込む。
フランジ部14の貫通孔14aはフランジ受部36の貫通孔36aに整列しているから(
図20の(b)参照)、これらを貫通して上方からネジ8をロアハウジングのフランジ部89のネジ孔89aにねじ込む。
ボス161の貫通孔16aは、位置決めボス37の隔壁371の貫通孔371aに整列しているから(
図21の(a)参照)、これらを貫通して上方からネジ8をロアハウジング70のコラム88のネジ孔88aにねじ込む。
これにより、カバー10、アッパハウジング30およびロアハウジング70は略矩形部の4隅のネジ締め付け部において結合される。
【0174】
なお、本実施の形態において、ネジ締め付け部とはカバー10において貫通孔14a、16a、131aまわり(
図5参照)を指し、これに対応するアッパハウジング30の貫通孔35a、36a、371a(
図6参照)およびロアハウジング70のネジ孔88a、89a、861a、862aまわり(
図13参照)も同様にネジ締め付け部となる。
上述の貫通孔14a、16a、131aからネジ孔88a、89a、861a、862aへのネジ8のねじ込みにより、カバー10、アッパハウジング30およびロアハウジング70は減速歯車列搭載部32の4隅のネジ締め付け部において結合される。
なお、ネジ8としてタッピングネジを用いるときは、ネジ孔88a、89a、861a、862bはネジ溝を有しない下孔の形態でよい。
【0175】
ネジ8のヘッドが着座するカバー10の弧状壁部132の底壁131、およびアッパハウジング30の底壁35の高さ位置は、弧状壁部351をスプリングの変位規制兼用のために長くしたことにより若干低いが(
図20の(a)参照)、アッパハウジング30のフランジ受部36および収容穴16bの底壁16cと同レベルにあり(
図21の(a)参照)、アッパハウジング30の各ネジ締め付け部の厚さも大きな相違がないので、4本のネジは長さ同一の1種で済む。
【0176】
ネジ締め付け部における各取付け孔およびネジ穴まわりは何れも相当の面積を確保すると共に厚肉となっているので、ネジの締め付け力を大きくできる。したがって、例えばケースの各部材に一体成形された弾性ファスナによる係合と比較して、軸方向はもちろんのこと水平方向にも高い結合強度が得られる。
【0177】
カバー10は、DCモータ2のピニオンギア90とアッパハウジング30のベース33の上面側で噛み合う第1ギアG1の第1支持軸S1を支持すると共に、同じくベース33の上面側に配置されたこの角度センサ150を水から防御する。
さらに、カバー10の側壁部12(122〜124)にはその下縁に沿って段部122a〜124aを設けると共に、アッパハウジング30にはベース33上に段部122a〜124aに対応させたフランジ342〜345を設けてあるので、側壁部12の下端縁をベース33に当接させてカバー10をアッパハウジング30に重ねたとき、段部122a〜124aにフランジ342〜345が嵌まってインロー状となる。
このため、カバー10とアッパハウジング30の合わせ面から水が浸入しようとしても、フランジ342〜345が障壁となって浸入が低減し、直接内部の角度センサ150に及ぶことを困難にしている。なお、フランジに中断箇所があっても角度センサの配置部位から離間しているので、影響はない。
【0178】
カバー10とアッパハウジング30とロアハウジング70とが組付けられると、アッパハウジング30の切欠き72の側壁部322側の開口が、カバー10の突片部125と、ロアハウジング70の突片部725により塞がれるので、ケース7の側方に切欠き72に起因する開口が露出することが好適に防止される。
【0179】
以上の構成になる減速歯車列5により、DCモータ2の回転は減速して出力ギアGfに伝達され、出力部材200、210を蓋体の例えば支軸に連結することにより、蓋体を略水平位置から90°を越える所定位置(略120°の開位置)まで駆動することができる。
具体的には、DCモータは蓋体の平伏状態の略水平から起立の略120°までの間を開方向および閉方向に駆動するとともに、閉方向における略水平になる手前では逆トルクによってブレーキをかけて減速するように制御される
また第2ギアG2に所定以上のトルクが加わったとき大径歯車92aと小径歯車92b間が相対回転するトルクリミッタTが形成されているので、DCモータ2の停止状態で蓋体を急に開閉したり、DCモータ2による駆動方向と逆方向に蓋体を開閉した場合でも、DCモータ2や各ギア、その支持軸あるいは支持ボス等に過大な力がかかることによる破損が防止される。
なお、トルクリミッタTは、減速歯車列5を構成するギアのうちのひとつに設けられていれば良く、第2ギアG2に設けた構成にのみ限定されない。
【0180】
さらに、スプリングSpは、断面円形の線状部材から構成されており、線状部材を螺旋状に巻き回した基部と、この基部の長手方向における一端から径方向に延びる一端部Sp1と、長手方向における他端から軸方向(長手方向)に延びる他端部Sp2を有しており、基部における巻き方向を変更することで、出力ギアGfが軸線Xa回りに一方向に回転する場合に付勢力を発生させるスプリングと、他方向に回転するに付勢力を発生させるスプリングを提供できるようにした。
これにより、一端部Sp1の係止溝65a(65b)側の下縁が、断面視において弧状を成すので、この弧状の部分がガイド片46(461〜465)として機能する。そのため、ロアハウジング70にアッパハウジング30を重ねる際に、一端部Sp1が係止溝65a(65b)内に誘導され易くなる。
【0181】
実施の形態では、DCモータ2が発明におけるモータに相当し、出力ギアGfが発明における出力軸に相当し、ロアハウジング70が発明における第1のケースに相当し、アッパハウジング30が発明における第2のケースに相当し、ケース7が発明における本体ケースに相当し、スプリングSpが発明におけるコイルばねに相当し、出力ギアGfの軸線Xaが発明における回転軸に相当する。
【0182】
以上の通り、実施の形態では、
DCモータ2と、出力ギアGf(出力軸)と、DCモータ2の出力回転を出力ギアGfに伝達する減速歯車列5とが、ロアハウジング70(第1のケース)とアッパハウジング30(第2のケース)を出力ギアGfの軸線Xa方向に重ねて構成されるケース7内に設けられており、
出力ギアGfに取り付けられたスプリングSp(コイルばね)により、出力ギアGfに、当該出力ギアGfを軸線Xa(回転軸)回りの一方向に回動させる付勢力が作用するギアードモータ1であって、
スプリングSpは、コイル状の基部の一端から軸線Xa方向に延びる他端部Sp2(軸方向係合部)と、基部の他端から軸線Xaの径方向外側に延びる一端部Sp1(径方向係合部)を有しており、
他端部Sp2は、アッパハウジング30側から出力ギアGfに係合しており、
一端部Sp1は、アッパハウジング30に設けられた係止溝65a(65b)に係止されて、スプリングSpを回り止めしており、
係止溝65a(65b)は、ロアハウジング70側に開口して設けられている構成のギアードモータ1とした(請求項1に相当)。
【0183】
このように構成すると、ロアハウジング70に支持させた出力ギアGfに、スプリングSpの他端部Sp2を係止させて取り付けたのち、アッパハウジング30をロアハウジング70側に重ねると、アッパハウジング30の係止溝65a(65b)がロアハウジング70側に開口して形成されているため、スプリングSpの一端部Sp1が、アッパハウジング30に設けた係止溝65a(65b)に軸線Xa方向から挿入されて係止される。
従来の場合のように、一端部Sp1を、ケース側の突出ボスにその径方向から係止させる構成となっていないので、ケース7の組み付けを容易に行うことができる。
【0184】
ギアードモータ1は、出力ギアGfに出力部材200、210を介して連結された蓋体を水平軸周りに回動させて、蓋体を開位置と閉位置との間で往復動させるギアードモータであり、スプリングSpは、蓋体を開位置側に回動させる方向の付勢力を、出力ギアGfに作用させる構成とした(請求項2に相当)。
【0185】
このように構成すると、蓋体を閉位置からかい位置に向けて駆動するときにDCモータ2に作用する負荷を低減できる。
【0186】
出力ギアGfは、スプリングSpの他端部Sp2が係合するスプリング支持孔257a(係合孔)を有しており、
スプリング支持孔257aと係止溝65a(65b)の軸線Xa周りの位相差θは、スプリングSpが巻き締められていない状態のときの、軸線Xa方向から見た他端部Sp2と一端部Sp1の位相差θと同じに設定されている構成とした(請求項3に相当)。
【0187】
スプリングSpが巻き締められているときには、スプリングSpの一端部Sp1側には、当該一端部Sp1を軸線Xa周りに回動させて、巻き締めがない形状に復帰しようとする力が作用している。
そのため、スプリングSpが巻きしめられているときに、ロアハウジング70をアッパハウジング30に重ねる場合には、何らかの手段で軸線Xa周りの一端部Sp1の位置を保持しながら、ロアハウジング70にアッパハウジング30を重ねる必要がある。
スプリングSpが巻き締められていないときには、軸線Xa周りの一端部Sp1の位置が変化しないので、このときの位置に対応させて係止溝65a(65b)を形成しておくことで、ロアハウジング70にアッパハウジング30を簡単に重ねることができる。
【0188】
スプリングSpは、蓋体が開位置側の駆動範囲外(
図18におけるセンサ組込位置)もに位置しているときに巻き締められていない状態となり、蓋体が、閉位置と開位置の間の駆動範囲内(
図18における使用範囲内)に位置しているときには巻き締められて、蓋体を開位置側に回動させようとする付勢力が出力ギアGfに作用する構成とした(請求項4に相当)。
【0189】
このように構成すると、蓋体の開位置と閉位置との間の使用範囲内では、蓋体を回動させようとする付勢力が常時作用することになるので、開位置にある蓋体が閉位置地側に倒れることが好適に防止される。
【0190】
係止溝65a(65b)は、軸線Xaの径方向に延びており、軸線Xa周りの周方向における係止溝65a(65b)の両側に、周方向における係止溝65a(65b)の中心側に向かう傾斜面651(テーパ)が設けられている構成とした(請求項5に相当)。
【0191】
このように構成すると、軸線Xa周りの周方向で、係止溝65a(65b)とスプリングSpの一端部Sp1の位置が多少ずれていても、ロアハウジング70にアッパハウジング30を重ねた際に、スプリングSpの一端部Sp1が傾斜面651より係止溝65a(65b)内に誘導されるので、ロアハウジング70にアッパハウジング30を重ねるときに、かかる操作に支障を生じることなく、スプリングSpの一端部Sp1と他端部Sp2をあらかじめ設定された所定位置に設けることができる。これにより、ケース7の組み付け易さが、いっそう向上する。
【0192】
アッパハウジング30は、
出力ギアGfのアッパハウジング30側の軸部256を回転可能に支持するギア支持壁45(支持壁部)と、
アッパハウジング30の周縁に沿って設けられてギア支持壁45を所定間隔で囲むと共に、ギア支持壁45との間に前記スプリングSpの基部を収容する収容室を形成する周壁部311(周壁)と、
周壁部311の内周からギア支持壁45側に突出して設けられて、スプリングSpの基部をギア支持壁45側に誘導するガイド(ガイド片461〜465、弧状壁部351)と、を有しており、
ガイドは、軸線Xaの周りの周方向に複数設けられており、
ガイド片46(461〜465)と弧状壁部351の各々には、ロアハウジング70側の端部に、ギア支持壁45側に向かう傾斜面461a〜465a、351aが設けられている構成とした(請求項6に相当)。
【0193】
このように構成すると、アッパハウジング30をロアハウジング70に重ねるために、ロアハウジング70に近づけた際に、スプリングSpの基部が、ガイド片46(461〜465)の傾斜面461a〜465aと弧状壁部351の傾斜面351aによりギア支持壁45側に誘導されたのち、ギア支持壁45の外側の所定位置に位置決めされるので、スプリングSpの組み付け性が改善される。
【0194】
軸線Xa方向においてガイド片46(461〜465)のロアハウジング70側は、係止溝65a(65b)よりもロアハウジング70側に位置しており、弧状壁部351は、周方向における係止溝65a(65b)の一側から連続してロアハウジング70側に延びている構成した(請求項7に相当)。
【0195】
このように構成すると、アッパハウジング30をロアハウジング70に重ねる際に、コイルスばねの一端部Sp1が、係止溝65a(65b)の一側から連続してロアハウジング70側に延びる弧状壁部351に沿って移動して、係止溝65a(65b)内に導かれるので、スプリングSpの組み付け性が改善される。
【0196】
ロアハウジング70は、出力ギアGfのロアハウジング70側の軸部255を回転可能に支持するギア支持部79を有すると共に、このギア支持部79の内径側に、アッパハウジング30とは反対側に開口する開口71d1が設けられており、
出力ギアGfのロアハウジング70側の軸部255には嵌合穴256cが設けられており、嵌合穴256cは、ロアハウジング70の開口71d1内で開口している構成とした(請求項8に相当)。
【0197】
このように構成すると、出力ギアGfの嵌合穴256cが、ロアハウジング70のアッパハウジング30とは反対側に開口しているので、アッパハウジング30をロアハウジング70に重ねた後でも、嵌合穴256cに出力ギアGfの位置決め用の工具を嵌合させることができる。よって、アッパハウジング30をロアハウジング70に重ねた後でも、出力ギアGfの位置決めを容易に行える。
【0198】
スプリングSpには、前記出力ギアが、軸線Xa周りの一方向に回転するときに巻き締められる第1のスプリングSpと、他方向に回転するときに巻き締められる第2のスプリングSp’とがあり、
係止溝65a(65b)は、
第1のスプリングの前記一端部Sp1が係止される第1の係止溝65aと、
前記第2のスプリングの前記一端部Sp1が係止される第2の係止溝65bと、があり、
アッパハウジング30において第1の係止溝65aと第2の係止溝65bは、出力ギアGfの軸線Xa(回転中心)を通る線分を挟んで対称となる位置に設けられている構成とした(請求項9に相当)。
【0199】
第1のスプリングSpと第2のスプリングSp’は、巻き方向が異なるだけで、軸線Xa方向から見た他端部Sp2と一端部Sp1の位相差θは同じである。
そのため、出力ギアGfの回転中心(軸線Xa)を通る線分を挟んで対称となる位置関係で、第1の係止溝65aと第2の係止溝65bを設けることで、第1のスプリングSpと第2のスプリングSp’の何れを用いる場合であっても、アッパハウジング30を共通して用いることができる。
【0200】
スプリングSpの基部は、断面円形の線状部材を螺旋状に巻きつけて構成され、スプリングSpの一端部Sp1と他端部Sp2の断面形状も円形である構成とした。
【0201】
このように構成すると、一端部Sp1の係止溝65a(65b)側の下縁が、断面視において弧状を成すので、この弧状の部分がガイド片46(461〜465)として機能する。そのため、ロアハウジング70にアッパハウジング30を重ねる際に、一端部Sp1が係止溝65a(65b)内に誘導され易くなる。
【0202】
なお、実施の形態ではモータをDCモータとしたが、これに限らず、制御目的に応じてステッピングモータやその他適宜に選択することができる。
また、減速歯車列5はDCモータ2のピニオンギア90と出力ギアGfとの間に第1ギアG1から第4ギアG4を備えて5段の減速機構を形成するものとしたが、これに限定されず、任意の段数を選択可能である。
【0203】
センサ歯車137と噛み合う参照ギアを出力ギアGfと噛み合う第4ギアG4としたが、第3ギアG3などさらに前段のギアを参照ギアとしてセンサ歯車137を噛み合わせてもよい。ただし、出力ギアGfからセンサ歯車137までの累積バックラッシュがより小さい点で、参照ギアは出力ギアGfと噛み合う最終段の第4ギアG4とした実施の形態が有利である。
また、実施の形態では支軸としての軸138bはセンサ歯車137と一体の回転軸、第4支持軸S4は第4ギアG4と別体の固定軸、そして出力部材200は出力ギアGfと一体で支持ボスに対して回転する回転軸としたが、支軸は回転軸であるか固定軸であるかを問わず、同一部材に直接保持されていればよい。
【0204】
角度センサ150の基板151は剛性のものとしたが、これに限定されず、例えばフレキシブル基板であってもよい。
実施の形態は洋式便器の便座や便蓋および上面に蓋が設けられた洗濯機等、蓋体の開閉駆動用ギアードモータとして説明したが、本発明は、冷蔵庫の扉、その他の用途のギアードモータにも適用可能である。
【0205】
実施の形態では、第1ギアG1を組み込む前に、センサ歯車137を第4ギアに噛合させる場合を例示した。
これは、第1ギアG1を組み込みこまれていると、出力ギアGfとDCモータ2とが減速歯車列5を介して直接接続されており、出力ギアGfを、当該出力ギアGfのストッパ部257を規制ブロック801(または規制ブロック802)に当接させたセンサ組込位置まで回動させることが難しくなるためである。
【0206】
しかし、第1ギアG1を組み込んで、出力ギアGfとDCモータ2とを減速歯車列5を介して直接接続したのちに、センサ歯車137を組み込むようにしても良い。
かかる場合、DCモータ2により出力ギアGfをセンサ組込位置まで回動させたのちにセンサ歯車137を組み込むことで、センサ歯車137を予め決められた所定の角度位置で組み込むことができる。