特許第6084006号(P6084006)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6084006
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】変速機操作装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/28 20060101AFI20170213BHJP
   F16H 61/34 20060101ALI20170213BHJP
【FI】
   F16H61/28
   F16H61/34
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-241787(P2012-241787)
(22)【出願日】2012年11月1日
(65)【公開番号】特開2014-92195(P2014-92195A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2015年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000177276
【氏名又は名称】三輪精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085637
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 辰也
(72)【発明者】
【氏名】今里 和成
【審査官】 塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−010009(JP,A)
【文献】 特開2006−132720(JP,A)
【文献】 特開2005−207570(JP,A)
【文献】 実開昭56−011136(JP,U)
【文献】 特開2007−192264(JP,A)
【文献】 実開平03−107550(JP,U)
【文献】 特開2005−113956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 61/28
F16H 61/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シフトシャフトと、
前記シフトシャフトの外周に嵌合されたストライカと、
前記ストライカを前記シフトシャフトの軸方向へ移動させる1台のセレクトモータと、 前記ストライカを前記シフトシャフトの軸線回りに回動させる1台のシフトモータと、 一端が前記セレクトモータに連結され、他端がハウジングに支承されたセレクト用スクリューと、このセレクト用スクリューに螺合されたセレクト用ナットと、前記シフトシャフトと前記セレクト用スクリューとの間に配置された支点軸と、一端がこの支点軸に固定され、他端が前記ストライカに連結されたストライカ側セレクトレバーと、一端が前記支点軸に固定され、他端が前記セレクト用ナットに連結されたナット側セレクトレバーと、前記支点軸の一端に取り付けられ前記支点軸の回転角度を検出するセレクトセンサとを備え、前記セレクトモータの回転運動を直線運動に変換するセレクト用変換機構と、
一端が前記シフトモータに連結され、他端が前記ハウジングに支承されたシフト用スクリューと、このシフト用スクリューに螺合されたシフト用ナットとを備え、前記シフトモータの回転運動を直線運動に変換するシフト用変換機構とを備えており、
前記シフトシャフトに固定されたシフトレバーには、互いに平行の二股形状に一対の係合部が形成され、
前記シフト用変換機構の前記シフト用ナットには、一対の側面が平行に形成された係合溝が、一対形成され、
前記一対の係合部が前記一対の係合溝に滑動自在に係合されている、
ことを特徴とする変速機操作装置。
【請求項2】
前記一対の係合部が円板形状に形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の変速機操作装置。
【請求項3】
一対のスライダが前記係合溝に摺動自在に係合され、前記一対のスライダには前記一対の係合部が回動自在に枢支されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の変速機操作装置。
【請求項4】
ホルダと、このホルダ内部に、前記シフト用ナットが相対移動するように設けられ、前記ホルダには前記一対の係合溝が形成され、前記一対の係合溝には前記一対の係合部が滑動自在に係合され、前記ホルダと前記シフト用ナットとの間にはダンパが介設されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の変速機操作装置。
【請求項5】
前記ナット側セレクトレバーには、互いに平行の二股形状に一対の係合部が形成され、
記セレクト用ナットには、一対の側面が平行に形成された係合溝が、一対形成され、
前記一対の係合部が前記一対の係合溝に滑動自在に係合されている、
ことを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の変速機操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速機操作装置、特に、電動モータを駆動源とする電動モータ駆動型変速機操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の変速機操作装置として、例えば、特許文献1に開示されているものがある。
この変速機操作装置は、シフトシャフトと、シフトシャフトの外周に嵌合されたストライカと、ストライカをシフトシャフトの軸方向へ移動させるセレクトモータと、ストライカをシフトシャフトの軸線回りに回動させるシフトモータとを備えており、これらセレクトモータとシフトモータの駆動を制御することにより、変速機のセレクト作動およびシフト作動を行なう。そして、セレクトモータおよびシフトモータの回転運動を直線運動に変換するために、ボールスクリューとボールナットからなる変速機構がそれぞれ使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−10009号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の変速機操作装置においては、ボールナットの両側に形成されている係合ピンを二股に分かれ脚状をしている各々のレバーに形成されたU字形状切欠きに係合させて使用している。
しかしながら、ボールスクリューの回転運動によりボールナットもボールスクリューの回転方向に回転しようとするので、ボールナットと二股レバーの幅隙間やU字形状切欠き溝底にその回転を規制され、ボールスクリューに与えられた回転力はボールナットの推力に変換されてレバーを駆動する。
その際、レバーのU字形状切欠きがボールスクリュー軸に対して直角でなく傾斜している場合には、片側の係合ピンが傾斜したレバーのU字形状切欠きに沿って切欠き底部方向へ回転移動するとき、もう一方の係合ピンは、同様に傾斜したU字形状切欠きの開口部方向へ移動する。U字形状切欠きがボールスクリュー軸に対して直角でないために、ボールナット係合ピンのボールスクリュー周りの回転移動と同時に、両側の係合ピンはボールスクリュー軸方向に互いに逆方向へ移動する。
その結果、ボールナットの軸は、ボールスクリュー軸に対して傾きを持つことになる。ボールナットとボールスクリューはボールを介して相互に荷重を伝達しており、ボールナットとボールスクリューが同軸であれば介在するボールに加わる荷重は均等に分散される。
しかし、前述のように、ボールナットとボールスクリューの軸が相互に傾いていると、ボールに対する荷重の均等な分散は期待できなくなる。
よって、偏荷重状態になっても充分使用に耐えるように、高負荷用大寸法のボールナットおよびボールスクリューを選択する必要があり、また、レバー出力に見合った負荷容量のボールナットとボールスクリューを選択するためには、ボールスクリューに対してボールナットの傾きを防止する機構を設けなければならない。
【0005】
本発明の目的は、ボールスクリューに対してボールナットの傾き防止機構を設ける必要がない変速機操作装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、レバーの傾転動作全域に渡りナットがスクリューに対して傾くことがない、新たな変換機構を有する変速機操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決するための手段のうち代表的なものは、次の通りである。
シフトシャフトと、前記シフトシャフトの外周に嵌合されたストライカと、前記ストライカを前記シフトシャフトの軸方向へ移動させるセレクトモータと、前記ストライカを前記シフトシャフトの軸線回りに回動させるシフトモータと、前記セレクトモータの回転運動を直線運動に変換するセレクト用変換機構と、前記シフトモータの回転運動を直線運動に変換するシフト用変換機構とを備えており、
前記シフトシャフトに固定されたシフトレバーには、互いに平行の二股形状に一対の係合部が形成され、
前記シフト用変換機構のシフト用ナットには、一対の側面が平行に形成された係合溝が、一対形成され、
前記一対の係合部が前記一対の係合溝に滑動自在に係合されている、
ことを特徴とする変速機操作装置。
【発明の効果】
【0007】
シフト用変換機構のシフト用スクリューの中心軸に対しシフトレバーが直角にあるときは、係合溝と係合部との接触角はシフト用変換機構軸に直角である。さらに、シフト用ナットがシフト用変換機構のシフト用スクリューの中心軸上を移動し、シフトレバーが傾いた状態にあるときにおいても、係合溝と係合部との接触角はシフト用変換機構のシフト用スクリュの中心軸に常に直角であるから、シフトレバーの傾きによってシフト用ナットを傾かせるような力が発生することがない。
したがって、変速機操作装置に特別な傾き防止機構を必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第一実施形態である変速機操作装置を示す概略斜視図である。
図2図1の一部切断平面図である。
図3図2のIII −III 線に沿う正面断面図である。
図4図1の一部切断側面図である。
図5図4のV−V矢視図である。
図6】本発明の第二実施形態である変速機操作装置の主要部を示しており、(A)は正面図、(B)は(A)のB−B線に沿う断面図である。
図7】本発明の第三実施形態である変速機操作装置の主要部を示しており、(A)は正面図、(B)は(A)のB−B線に沿う断面図、(C)は(B)のC−C線に沿う断面図、(D)は(C)のD矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を図面に即して説明する。
【0010】
図1図5は本発明の第一実施形態を示している。
図1に示されているように、変速機操作装置1はシフトシャフト2を備えており、シフトシャフト2にはストライカ3が軸方向に摺動自在にスプライン結合されている。シフトシャフト2はストライカ3の軸方向Aへの移動によってセレクト動作を実行し、周方向Bへの回動によってシフト動作を実行する。
シフトシャフト2の近傍には変速機の所定の変速ギヤにそれぞれ対応した複数本のシフトロッド6が、シフトシャフト2と直交する方向で変速機に配置されて、変速機ケース(図示せず)に摺動自在に軸架されている。各シフトロッド6にはシフトフォーク5および係合部材4がそれぞれ固定されており、係合部材4にはストライカ3が選択的に係合し得るようになっている。シフトシャフト2はストライカ3を係合部材4に係合した状態で周方向Bに回動することによって、シフト動作を実行するようになっている。
【0011】
図2図5に示されているように、変速機操作装置1はハウジング11を備えており、ハウジング11は変速機ケースに据え付けられる。
ハウジング11にはセレクトモータ12が設置されている。セレクトモータ12のモータシャフト(図示せず)にはセレクト用変換機構14のセレクト用スクリューとしてのセレクト用ボールスクリュー15が、回転伝達装置13によって一体回転するように連結されている。セレクト用ボールスクリュー15はシフトシャフト2と平行に配置されている。
セレクト用ボールスクリュー15の中間部にはセレクト用変換機構14のセレクト用ボールナット16が多数のボール(図示せず)を介して螺合されている。セレクトモータ12が駆動されると、モータシャフトに連結されたセレクト用ボールスクリュー15が一方向に回転して、セレクト用ボールナット16がセレクト用ボールスクリュー15上を軸方向に移動する。
【0012】
図1に示されているように、シフトシャフト2とセレクト用ボールスクリュー15の中間には支点軸17が、両者2、15と直交する方向に配置されており、図3に示されているように、支点軸17はハウジング11に回転自在に支持されている。支点軸17の一端には第二セレクトレバー18の一端が固定されており、第二セレクトレバー18の他端はシフトシャフト2方向に延びて、ストライカ3に連結されている。ストライカ3は第二セレクトレバー18の回動により、シフトシャフト2の軸方向に移動される。
【0013】
支点軸17の第二セレクトレバー18が固定されている側と逆の端部側には、第一セレクトレバー19の一端が取り付けられている。第一セレクトレバー19の他端はセレクト用ボールナット16にセレクトレバー連結構造20によって連結されている。セレクト用ボールスクリュー15の回転によってセレクト用ボールトナット16が軸方向に移動されると、セレクト用ボールナット16にセレクトレバー連結構造20によって連結された第一セレクトレバー19が支点軸17を支点にして回動し、支点軸17に固定された第二セレクトレバー18も共に回動するため、ストライカ3がシフトシャフト2の軸方向に移動する。これにより、変速機のセレクト動作が実施される。
【0014】
ここで、セレクトレバー連結構造20について説明する。
図2および図3に示されているように、第一セレクトレバー19の一端部は支点軸17の一端部に嵌合されて回り止め部21によって回り止めされており、ボルト22およびナット23によって締結されている。第一セレクトレバー19の自由端部である他端部には一対の係合部24、24が互いに平行になった二股形状に形成されており、両係合部24、24は略円板形状にそれぞれ形成されている。
セレクト用ボールナット16の外周中央部には一対の係合溝25、25がそれぞれ没設されており、両係合溝25、25は一対の側面が平行にそれぞれ形成されている。セレクト用ボールナット16の両係合溝25、25には第一セレクトレバー19の一対の係合部24、24が滑動自在にそれぞれ係合されている。
【0015】
支点軸17の対向位置に被着されたカバー11aには、回転角度検出型のセレクトセンサ26が取り付けられており、セレクトセンサ26の検出子27は支点軸17の先端部に係合されている。セレクトセンサ26は支点軸17の回転角度を検出子27によって検出することにより、変速機のセレクト位置を確認する。
【0016】
図1図5に示されているように、ハウジング11のシフトシャフト2と直交する方向には、シフトシャフト2と高さを異ならせてシフトモータ32が設置されている。シフトモータ32のモータシャフト(図示せず)にはシフト用変換機構34のシフト用スクリューとしてのシフト用ボールスクリュー35が回転伝達装置33によって一体回転するように連結されている。シフト用ボールスクリュー35はシフトシャフト2と直角に配置されている。
シフト用ボールスクリュー35の中間部には、シフト用変換機構34のシフト用ボールナット36が多数のボール(図示せず)を介して螺合されている。シフトモータ32が駆動されると、モータシャフトに連結されたシフト用ボールスクリュー35が一方向に回転して、シフト用ボールナット36がシフト用ボールスクリュー35の上を軸方向に移動する。
【0017】
シフトシャフト2の一端にはシフトレバー37の一端が直角に配されて固定されており、シフトレバー37の他端はシフト用ボールナット36にシフトレバー連結構造40によって連結されている。したがって、シフト用ボールスクリュー35の回転によりシフト用ボールナット36が軸方向に移動すると、シフト用ボールナット36にシフトレバー連結構造40によって連結されたシフトレバー37が回動されるため、シフトシャフト2が周方向Bに回動する。これにより、変速機のシフト動作が行われる。
【0018】
図4に示されているように、ハウジング11のシフトレバー37と反対側位置には、回転角度検出型のシフトセンサ38が取り付けられており、シフトセンサ38の検出子39はシフトシャフト2の先端部に係合されている。シフトセンサ38はシフトシャフト2の回転角度を検出子39によって検出することにより、変速機のシフト位置を確認する。
【0019】
ここで、シフトレバー連結構造40について説明する。
図4図5に示されているように、シフトレバー37の一端部はシフトシャフト2の一端部に嵌合されて回り止め部41によって回り止めされており、ボルト42およびナット43によって締結されている。シフトレバー37の自由端部である他端部には一対の係合部44、44が互いに平行になった二股形状に形成されており、両係合部44、44は略円板形状にそれぞれ形成されている。
シフト用ボールナット36の外周中央部には一対の係合溝45、45がそれぞれ没設されており、両係合溝45、45は一対の側面が平行にそれぞれ形成されている。シフト用ボールナット36の両係合溝45、45には、シフトレバー37の両係合部44、44が滑動自在にそれぞれ係合されている。
【0020】
以下、変速機操作装置1の作用および効果について説明する。
図1において、セレクトモータ12が作動方向に駆動されて、セレクトモータ12のモータシャフトが回転すると、セレクト用ボールスクリュー15が回転するため、セレクト用ボールナット16がセレクト用ボールスクリュー15の軸方向に移動する。セレクト用ボールナット16が移動すると、セレクト用ボールナット16にセレクトレバー連結構造20によって連結された第一セレクトレバー19が支点軸17を中心に回動し、支点軸17に固定された第二セレクトレバー18が支点軸17と共に回動する。第二セレクトレバー18の自由端部にはストライカ3が連結されているため、ストライカ3がシフトシャフト2の軸方向Aに所定量移動する。これにより、変速機のセレクト作動が行われる。
支点軸17に係合されたセレクトセンサ26(図3)は支点軸17の回動量を計測することにより、ストライカ3の移動量を求め、変速機のセレクト位置を検出する。
【0021】
セレクト用ボールスクリュー15の回転に伴って、セレクト用ボールナット16は周方向に傾くとき、セレクトレバー連結構造20の一対の係合部24、24は傾いたセレクト用ボールナット16の一対の係合溝25、25の平行面を回動しつつ摺動するので、第一セレクトレバー19はセレクト用ボールナット16の傾きに何らの影響を受けずに支点軸17を中心に回動することができる。
すなわち、セレクトレバー連結構造20の係合部24および係合溝25はセレクト用ボールナット16のセレクト用ボールスクリュー15に対する連れ回りによるセレクト用ボールナット16の傾きを許容することができるので、セレクト用ボールナット16の傾きを防止するための傾き防止機構をセレクト用ボールナット16に設けるのを省略することができる。したがって、変速機操作装置は小型軽量化が可能になり安価に製作することができる。
【0022】
シフトモータ32が作動方向に駆動されて、シフトモータ32のモータシャフトが回転すると、シフト用ボールスクリュー35が回転するため、シフト用ボールナット36がシフト用ボールスクリュー35の軸方向C(図1参照)に移動する。シフト用ボールナット36が移動すると、シフト用ボールナット36にシフトレバー連結構造40によって連結されたシフトレバー37がシフトシャフト2を周方向Bに回動させるため、シフトシャフト2にスプライン結合されたストライカ3がセレクトされたシフトロッド6を係合部材4を介して軸方向Dに移動させる。シフトロッド6はシフトフォーク5によって、変速機のシフト作動を実行する。
シフトシャフト2に係合されたシフトセンサ38(図4)はシフトシャフト2の回動量を計測することにより、ストライカ3の回動量を求め、変速機のシフト動作を検出する。
【0023】
シフト用ボールスクリュー35の回転に伴って、シフト用ボールナット36は周方向に傾くとき、シフトレバー連結構造40の一対の係合部44、44は傾いたシフト用ボールナット36の一対の係合溝45、45の平行面を回動しつつ摺動するので、シフトレバー37はシフト用ボールナット36の傾きに何らの影響を受けずにシフトシャフト2を中心に回動することができる。
すなわち、シフトレバー連結構造40の係合部44および係合溝45はシフト用ボールナット36のシフト用ボールスクリュー35に対する連れ回りによるシフト用ボールナット36の傾きを許容することができるので、シフト用ボールナット36の傾きを防止するための傾き防止機構をシフト用ボールナット36に設けるのを省略することができる。したがって、変速機操作装置は小型化や軽量化が可能になり安価に製作することができる。
【0024】
図6は本発明の第二実施形態である変速機操作装置の主要部を示している。
本実施形態が第一実施形態と異なる点は、シフトレバー連結構造40Aである。
本実施形態に係るシフトレバー連結構造40Aは一対のスライダ46、46を備えている。シフトレバー37の一対の係合部44、44には、一対のピン47、47がそれぞれ直角に立設されており、ピン47、47にはスライダ46、46が回動自在に嵌合されて、シフト用ボールナット36の一対の係合溝45、45にシフト用ボールスクリュー35に直交する方向に摺動自在にそれぞれ係合されている。
【0025】
シフト用ボールスクリュー35の回転に伴って、シフト用ボールナット36は周方向に傾くとき、シフトレバー連結構造40Aの一対のスライダ46、46が一対の係合溝45、45の平行面を摺動することにより、シフト用ボールナット36の傾きを許容するので、一対の係合部44、44が両スライダ46、46のピン47、47に枢支されたシフトレバー37はシフト用ボールナット36の傾きに何らの影響を受けずにシフトシャフト2を中心に回動することができる。
すなわち、シフトレバー連結構造40Aの係合部44、係合溝45、スライダ46およびピン47はシフト用ボールナット36のシフト用ボールスクリュー35に対する連れ回りによるシフト用ボールナット36の傾きを許容することができるので、シフト用ボールナット36の傾きを防止するための傾き防止機構をシフト用ボールナット36に設けるのを省略することができる。したがって、変速機操作装置は小型化や軽量化が可能になり安価に製作することができる。
【0026】
図7は本発明の第三実施形態である変速機操作装置の主要部を示している。
本実施形態が第一実施形態と異なる点は、シフトレバー連結構造40Bである。
本実施形態に係るシフトレバー連結構造40Bはホルダ48を備えており、ホルダ48はシフト用ボールナット36の外側に被せられてシフト用ボールナット36の軸方向への相対的移動のみが可能なように、ホルダ48に長孔53を設け、シフト用ボールナット36にピン52をねじ止めして構成されている。ホルダ48の外周中央部には、シフトレバー連結構造40Bの一対の係合溝45、45がそれぞれ没設されており、両係合溝45、45は一対の側面が平行にそれぞれ形成されている。ホルダ48の両係合溝45、45には、シフトレバー37の両係合部44、44が滑動自在にそれぞれ係合されている。
シフト用ボールナット36とホルダ48との間には一対のダンパ49、49が、シフト用ボールナット36の軸方向両端面にそれぞれ配置されてサポートリング50およびストッパリング51によってそれぞれ固定されている。一対のダンパ49、49はゴムまたは樹脂のような弾性体から形成されており、シフト用ボールナット36とホルダ48との間で発生する衝撃を緩和するようになっている。
【0027】
シフト用ボールスクリュー35の回転に伴って、シフト用ボールナット36と一体となったホルダ48は周方向に傾くとき、シフトレバー連結構造40Bの一対の係合部44、44は傾いたホルダ48の一対の係合溝45、45の平行面を回動しつつ摺動するので、シフトレバー37はホルダ48の傾きに何らの影響を受けずにシフトシャフト2を中心に回動することができる。
すなわち、シフトレバー連結構造40Bのホルダ48の係合部44および係合溝45はホルダ48のシフト用ボールスクリュー35に対する連れ回りによるホルダ48の傾きを許容することができるので、ホルダ48の傾きを防止するための傾き防止機構をホルダ48に設けるのを省略することができる。したがって、変速機操作装置は小型化や軽量化が可能になり安価に製作することができる。
一対のダンパ49、49により、シフト用ボールナット36とホルダ48との間で発生する衝撃を緩和することができるので、シフト用ボールスクリュー35、シフト用ボールナット36、両者間のボール、シフトモータ32、シフトレバー37等の構成部品の破損や損傷を防止することができる。
【0028】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。
【0029】
例えば、第二実施形態に係るシフトレバー連結構造40Aおよび第三実施形態に係るシフトレバー連結構造40Bは、セレクトレバー連結構造にも適用することができる。
【0030】
他方、第一実施形態において、シフトレバー側のみ連結構造を用いてもよい。
【0031】
セレクトモータおよびシフトモータの回転運動を直線運動に変換するための機構としては、ボールスクリューを使用するに限らず、台形ねじとナットを使用してもよい。
【符号の説明】
【0032】
1…変速機操作装置、2…シフトシャフト、3…ストライカ、4…係合部材、5…シフトフォーク、6…シフトロッド、
11…ハウジング、12…セレクトモータ、13…回転伝達装置、14…セレクト用変換機構、15…セレクト用ボールスクリュー(セレクト用スクリュー) 、16…セレクト用ボールナット(セレクト用ナット)、17…支点軸、18…第二セレクトレバー、19…第一セレクトレバー、
20…セレクトレバー連結構造、21…回り止め部、22…ボルト、23…ナット、24…係合部、25…係合溝、26…セレクトセンサ、27…検出子、
32…シフトモータ、33…回転伝達装置、34…シフト用変換機構、35…シフト用ボールスクリュー(シフト用スクリュー) 、36…シフト用ボールナット(シフト用ナット)、37…シフトレバー、38…シフトセンサ、39…検出子、 40、40A、40B…シフトレバー連結構造、41…回り止め部、42…ボルト、43…ナット、44…係合部、45…係合溝、46…スライダ、47…ピン、48…ホルダ、49…ダンパ、50…サポートリング、51…ストッパリング、52…ピン、53…長孔。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7