(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記駆動パルス群を選択して最初に主駆動パルスを選択するとき、前記選択した駆動パルス群に含まれる主駆動パルス中の最大エネルギの主駆動パルスを選択することを特徴とする請求項1に記載のステッピングモータ制御回路。
前記電圧検出部は、所定エネルギの駆動パルスによって前記ステッピングモータを駆動した際、前記回転検出部が検出した前記ステッピングモータの回転状況に基づいて前記電池の電圧を検出することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一に記載のステッピングモータ制御回路。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の各実施の形態に係るステッピングモータ制御回路、前記ステッピングモータ制御回路を備えたムーブメント、前記ムーブメントを備えたアナログ電子時計に共通するブロック図で、アナログ電子腕時計の例を示している。
図1において、アナログ電子時計は、所定周波数の信号を発生する発振回路101、発振回路101で発生した信号を分周して計時の基準となる時計信号を発生する分周回路102、前記時計信号の計時動作やアナログ電子時計を構成する各電子回路要素の制御あるいは駆動パルスの変更制御等の各種制御を行う制御回路103を備えている。
【0014】
また、アナログ電子時計は、電池104、制御回路103からの電圧検出制御信号に応答して電池104の電圧(電池電圧)を検出し当該電池電圧を制御回路103に出力する電源電圧検出回路105を備えている。電池104は、アナログ電子時計の各電子的構成要素に電力を供給するための電源である。電池104は、少なくともステッピングモータ109に電力を供給する電源として機能する。
【0015】
電池104は温度等による電圧変動が大きい電池であり、例えば、低品質のSR電池のように、温度低下や消費にともなって電池電圧が大きく低下する電池である。
図5は電池104の特性の一例を示す図で、縦軸は電池電圧(V)、横軸は電池容量(mAh)である。
図5において、電池104は、時間当たりの電圧変動割合が大きい第1領域と、時間当たりの電圧変動割合が前記第1領域よりも小さい第2領域とを備えている。第1領域は電池が消費を開始してから所定時間の間、電池電圧が所定電圧(基準電圧Vref)を超える状態にある領域である。第2領域は電池が消費を開始してから前記所定時間経過後に電池電圧が前記所定電圧(基準電圧Vref)以下になると共に電圧変化が小さい(電池電圧が基準電圧Vrefと略等しい)領域である。第2領域の後の領域では、第2領域よりも大きな電圧変動割合で電池電圧が低下する。
【0016】
また、アナログ電子時計は、制御回路103からの制御信号に対応する駆動パルスを選択し、当該選択した駆動パルスを表す駆動パルス選択信号を出力する駆動パルス群選択回路106を備えている。
制御回路103から出力される制御信号には、予め用意した複数の駆動パルス群の中から選択した駆動パルス群を表す駆動パルス群制御信号、選択した駆動パルス群に含まれる複数の主駆動パルスP1の中から選択した主駆動パルスP1に対応するエネルギランクを表す主駆動パルス制御信号、補正駆動パルスP2を表す補正駆動パルス制御信号が含まれている。尚、後述するように所定エネルギの固定駆動パルスを用いる場合には、制御回路103から出力される制御信号には固定駆動パルスを表す固定駆動パルス制御信号が含まれる。
【0017】
駆動パルス群選択回路106には、予め用意された複数種類の駆動パルス群と、各駆動パルス群に含まれる複数種類の主駆動パルスP1と、各主駆動パルスP1よりもエネルギの大きい固定駆動パルスと、各主駆動パルスP1及び固定駆動パルスよりもエネルギの大きい補正駆動パルスP2を表す情報が記憶されている。各駆動パルス群には、組み合わせが異なる複数種類の主駆動パルスP1が含まれている。
【0018】
駆動パルス群選択回路106は、制御回路103からの前記駆動パルス群制御信号に対応する駆動パルス群を選択すると共に、前記選択した駆動パルス群に含まれる複数種類の主駆動パルスP1の中から、前記主駆動パルス制御信号に対応するエネルギランクの主駆動パルスP1を選択して主駆動パルス出力回路107に出力する。制御回路103からの前記補正駆動パルス制御信号に応答して補正駆動パルスP2を補正駆動パルス出力回路108に出力する。また、駆動パルス群選択回路106は、固定駆動パルスを用いる場合には、制御回路103からの固定駆動パルス制御信号に応答して固定駆動パルスを主駆動パルス出力回路107に出力する。
【0019】
また、アナログ電子時計は、主駆動パルス出力回路107、補正駆動パルス出力回路108を備えている。主駆動パルス出力回路107は、駆動パルス群選択回路106から出力された主駆動パルスP1によってステッピングモータ109を回転駆動する。補正駆動パルス出力回路108は、駆動パルス群選択回路106から出力された補正駆動パルスP2によってステッピングモータ109を回転駆動する。固定駆動パルスを用いる場合、主駆動パルス出力回路107は、駆動パルス群選択回路106から出力された固定駆動パルスによってステッピングモータ109を回転駆動する。
また、アナログ電子時計は、主駆動パルス出力回路107と補正駆動パルス出力回路108によって回転駆動されるステッピングモータ109、ステッピングモータ109によって回転駆動され時刻を表示するための時刻針(
図1の例では時針111、分針112、秒針113の3種類)を有するアナログ表示部110を備えている。
【0020】
また、アナログ電子時計は、ステッピングモータ109の回転状況を検出する回転検出判定回路114を備えている。回転検出判定回路114は、ステッピングモータ109回転駆動時の自由振動によって発生する誘起信号VRsを検出し、後述するようなステッピングモータ109の回転状況(ステッピングモータ109が回転したか否か等の駆動状態)を表す誘起信号VRsのパターンを制御回路103に出力する。制御回路103は、回転検出判定回路114からの前記パターンに基づいて、ステッピングモータ109の回転状況を判定し、駆動パルスの変更等のパルス制御を行う。
【0021】
また、アナログ電子時計は時計ケース115を備えており、時計ケース115の外面側にアナログ表示部110が配設され又、時計ケース115の内部にはムーブメント116が配設されている。
発振回路101、分周回路102、制御回路103、電池104、電源電圧検出回路105、駆動パルス群選択回路106、主駆動パルス出力回路107、補正駆動パルス出力回路108、ステッピングモータ109、回転検出判定回路114はムーブメント116の構成要素である。
一般に、時計の動力源、時間基準などの装置からなる時計の機械体をムーブメントと称する。電子式のものをモジュールと呼ぶことがある。時計としての完成状態では、ムーブメントには文字板、針が取り付けられ、時計ケースの中に収容される。
【0022】
ここで、発振回路101及び分周回路102は信号発生部を構成し、アナログ表示部110は表示部を構成している。電源電圧検出回路105は電圧検出部を構成し、回転検出判定回路114は回転検出部を構成している。制御回路103は電圧検出部を構成し又、制御回路103及び駆動パルス群選択回路106は制御部を構成している。主駆動パルス出力回路107及び補正駆動パルス出力回路108は駆動部を構成している。また、発振回路101、分周回路102、制御回路103、電源電圧検出回路105、駆動パルス群選択回路106、主駆動パルス出力回路107、補正駆動パルス出力回路108、回転検出判定回路114はステッピングモータ制御回路を構成している。
【0023】
図2は、本発明の各実施の形態で使用するステッピングモータ109の構成図で、アナログ電子時計で一般に用いられている時計用ステッピングモータの例を示している。
図2において、ステッピングモータ109は、ロータ収容用貫通孔203を有するステータ201、ロータ収容用貫通孔203に回転可能に配設されたロータ202、ステータ201と接合された磁心208、磁心208に巻回されたコイル209を備えている。ステッピングモータ109をアナログ電子時計に用いる場合には、ステータ201及び磁心208はネジ(図示せず)あるいは熱カシメによって地板(図示せず)に固定され、互いに接合される。コイル209は、第1端子OUT1、第2端子OUT2を有している。
【0024】
ロータ202は、2極(S極及びN極)に着磁されている。磁性材料によって形成されたステータ201の外端部には、ロータ収容用貫通孔203を挟んで対向する位置に複数(本実施の形態では2個)の切り欠き部(外ノッチ)206、207が設けられている。各外ノッチ206、207とロータ収容用貫通孔203間には可飽和部210、211が設けられている。
【0025】
可飽和部210、211は、ロータ202の磁束によっては磁気飽和せず、コイル209が励磁されたときに磁気飽和して磁気抵抗が大きくなるように構成されている。ロータ収容用貫通孔203は、輪郭が円形の貫通孔の対向部分に複数(本実施の形態では2つ)の半月状の切り欠き部(内ノッチ)204、205を一体形成した円孔形状に構成されている。
【0026】
切り欠き部204、205は、ロータ202の停止位置を決めるための位置決め部を構成している。コイル209が励磁されていない状態では、ロータ202は、
図2に示すように前記位置決め部に対応する位置、換言すれば、ロータ202の磁極軸Aが、切り欠き部204、205を結ぶ線分と直交するような位置(角度θ0位置)に安定して停止している。ロータ202の回転軸(回転中心)を中心とするXY座標空間を4つの象限(第1象限I〜第4象限IV)に区分している。
【0027】
いま、主駆動パルス出力回路107から矩形波の主駆動パルスP1をコイル209の端子OUT1、OUT2間に供給して(例えば、第1端子OUT1側を正極、第2端子OUT2側を負極)、
図2の矢印方向に電流iを流すと、ステータ201には破線矢印方向に磁束が発生する。
これにより、可飽和部210、211が飽和して磁気抵抗が大きくなり、その後、ステータ201に生じた磁極とロータ202の磁極との相互作用によって、ロータ202は反時計回り方向に180度回転し、磁極軸Aが角度θ1位置で安定的に停止する。
尚、ステッピングモータ109を回転駆動することによって通常動作(本実施の形態ではアナログ電子時計であるため時刻針の運針動作)を行わせるための回転方向(
図2では反時計回り方向)を正方向とし、その逆(時計回り方向)を逆方向としている。
【0028】
次に、主駆動パルス出力回路107から、逆極性の矩形波の主駆動パルスをコイル209の端子OUT1、OUT2に供給して(前記駆動とは逆極性となるように、第1端子OUT1側を負極、第2端子OUT2側を正極)、
図2の反矢印方向に電流を流すと、ステータ201には反破線矢印方向に磁束が発生する。
これにより、可飽和部210、211が先ず飽和し、その後、ステータ201に生じた磁極とロータ202の磁極との相互作用によって、ロータ202は前記と同一方向(正方向)に180度回転し、磁極軸Aが角度θ0位置で安定的に停止する。
以後、このように、コイル209に対して極性の異なる信号(交番信号)を供給することによって、前記動作が繰り返し行われて、ロータ202を180度ずつ矢印方向に連続的に回転させることができるように構成されている。
【0029】
図3は、本発明の各実施の形態において、主駆動パルスP1によってステッピングモータ109を駆動した場合のタイミング図で、負荷に対する駆動パルスのエネルギの関係(状態)、ロータ202の回転挙動、回転状況を表すパターン、回転検出後の動作をあわせて示している。
図3において、P1は主駆動パルスP1を表すと共にロータ202が主駆動パルスP1によって回転駆動される領域を表し、又、a〜eは主駆動パルスP1の駆動にともなう自由振動によるロータ202の回転位置を表す領域である。
【0030】
主駆動パルスP1による駆動直後の所定時間を第1区間T1、第1区間T1よりも後の所定時間を第2区間T2、第2区間よりも後の所定時間を第3区間T3としている。このように、主駆動パルスP1による駆動直後から始まる検出区間T全体を複数の区間(本実施の形態では3つの区間T1〜T3)に区分している。
ロータ202を中心として、その回転によってロータ202の主磁極Aが位置するXY座標空間を第1象限I〜第4象限IVに区分した場合、第1区間T1〜第3区間T3は次のように表すことができる。
【0031】
即ち、通常駆動の状態において、第1区間T1はロータ202を中心とする空間の第3象限IIIにおいてロータ202の最初の正方向回転状況を判定する区間、第2区間T2は第3象限IIIにおいてロータ202の最初の正方向回転状況及び最初の逆方向回転状況を判定する区間、第3区間T3は第3象限IIIにおいてロータ202の最初の逆方向回転後の回転状況を判定する区間である。
ここで、通常駆動とは、電池104が公称電圧を基準とする所定範囲内にある状態で、通常時に駆動される負荷を主駆動パルスP1で正常に駆動できる状態である。本実施の形態では、時刻針(時針111、分針112、秒針113)を通常時に駆動される負荷とし、前記負荷を主駆動パルスP1で正常に駆動できる状態を通常駆動としている。
【0032】
また、通常駆動に対して僅かに駆動エネルギが小さい状態(ややエネルギ低い状態)では、第1区間T1は第2象限IIにおいてロータ202の最初の正方向の回転状況を判定する区間、第2区間T2は第2象限IIにおいてロータ202の最初の正方向の回転状況及び第3象限IIIにおいてロータ202の最初の正方向の回転状況並びに第3象限IIIにおいてロータ202の最初の逆方向の回転状況を判定する区間、第3区間T3は第3象限IIIにおいてロータ202の最初の逆方向回転後の回転状況を判定する区間である。
【0033】
また、ややエネルギが低い状態よりも更に駆動エネルギが小さい状態(かなりエネルギ低い状態)では、第1区間T1は第2象限IIにおいてロータ202の最初の正方向の回転状況を判定する区間、第2区間T2は第2象限IIにおいてロータ202の最初の正方向の回転状況及び第3象限IIIにおいてロータ202の最初の正方向の回転状況並びに第3象限IIIにおいてロータ202の最初の逆方向の回転状況を判定する区間、第3区間T3は第3象限IIIにおいてロータ202の最初の逆方向の回転状況を判定する区間及び第3象限においてロータ202の最初の逆方向回転後の回転状況を判定する区間である。
【0034】
また、通常駆動よりも駆動エネルギが大きい状態(駆動余裕ありの状態)では、第1区間T1は第3象限IIIにおいてロータ202の最初の正方向の回転状況を判定する区間、第2区間T2は第3象限IIIにおいてロータ202の最初の逆方向の回転状況並びに第3象限IIIにおいてロータ202の最初の逆方向回転後の回転状況を判定する区間、第3区間T3は第3象限IIIにおいてロータ202の最初の逆方向回転後の回転状況を判定する区間である。
また、非回転の状態は、駆動エネルギが通常駆動に対して極めて低下し、主駆動パルスP1のエネルギが不足してステッピングモータ105を回転できない駆動状態である。
【0035】
Vcompはステッピングモータ105で発生する誘起信号VRsの電圧レベルを判定する基準しきい電圧であり、ステッピングモータ105が回転した場合等のようにロータ202が一定の速い動作を行った場合には誘起信号VRsが基準しきい電圧Vcompを超え、回転しない場合等のようにロータ202が一定の速い動作を行わない場合には誘起信号VRsが基準しきい電圧Vcompを超えないように基準しきい電圧Vcompは設定されている。
【0036】
例えば、
図3の通常駆動の状態において、領域bで生じた誘起信号VRsは第1区間T1と第2区間T2において検出され、領域cで生じた誘起信号VRsは第2区間T2において検出され、領域c後に生じた誘起信号VRsは第3区間T3において検出される。
回転検出判定回路114が基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを検出した場合を判定値「1」、回転検出回路110が基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを検出できなかった場合を判定値「0」とすると、
図3の通常駆動の例では、回転状況を表すパターン(第1区間の判定値,第2区間の判定値,第3区間の判定値)として(0,1,1)が得られている。
【0037】
この場合、制御回路103は前記パターンに基づいて通常駆動の状態と判定し、次回の駆動も主駆動パルスP1によってステッピングモータ109を駆動すると共に、通常駆動の状態が所定回数連続した場合には駆動余裕があると判定して、その次の駆動からはエネルギランクが1ランク低い主駆動パルスP1に変更(ランクダウン)して駆動する。
また、ややエネルギ低い状態においてはパターン(1,1,0)が得られるため、制御回路103は前記パターンが得られた場合にはややエネルギ低い状態と判定して、当該主駆動パルスP1による連続駆動回数を計数するカウンタの計数値(パルスカウント)を0にリセットする。尚、前記カウンタは図示していないが、制御回路103が有する機能である。
【0038】
同様に、駆動余裕ありの状態においては、パターン(0,1,0)が得られるため、制御回路103は通常駆動の場合と同じように、次回の駆動も主駆動パルスP1によって駆動すると共に、通常駆動の状態が所定回数連続した場合には駆動余裕があると判定して、その次の駆動からはエネルギランクが1ランク低い主駆動パルスP1にランクダウンして駆動する。
【0039】
また、かなりエネルギ低い状態においては、パターン(1,0,1)が得られるため、制御回路103は前記パターンに基づいて、ステッピングモータ109を回転することはできたものの駆動エネルギが十分ではないと判定して、補正駆動パルスP2による駆動を行うことなく、次回からの駆動は1ランク高いエネルギの主駆動パルスP1に変更(ランクアップ)して駆動する。
また、非回転の状態においては、パターン(0,0,0)が得られるため、制御回路103は前記パターンの場合には、ステッピングモータ109を回転できなかったと判定して、補正駆動パルスP2によってステッピングモータ109を強制的に回転させ、主駆動パルスP1をエネルギが1ランク高い主駆動パルスP1にランクアップする。
【0040】
図4は本発明の第1の実施の形態に係るステッピングモータ制御回路、ムーブメント及びアナログ電子時計の動作を示すフローチャートであり、主として制御回路103の処理を示すフローチャートである。
図4において、NVは電源電圧検出回路105が電池104の電池電圧を検出する回数(電池電圧検出回数)の計数値、nは主駆動パルスP1のランク、Nは同じ主駆動パルスP1によって連続して駆動した回数(連続駆動回数)の計数値である。
【0041】
本実施の形態では複数種類の駆動パルス群Gとして、第1駆動パルス群G1と第2駆動パルス群G2の2種類の駆動パルス群を用いている。
第1駆動パルス群G1には相互にエネルギが異なる3ランク(第1ランク〜第3ランク)の主駆動パルスP11、P12、P13(エネルギの大小関係は、P11<P12<P13である。)が含まれ、第2駆動パルス群G2には相互にエネルギが異なる3ランク(第3ランク〜第5ランク)の主駆動パルスP13、P14、P15(エネルギの大小関係は、P13<P14<P15である。)が含まれている。
【0042】
第1駆動パルス群G1に含まれる最大エネルギランクの主駆動パルスP1は第3ランクの主駆動パルスP13であり又、第2駆動パルス群G2に含まれる最大エネルギランクの主駆動パルスP1は第5ランクの主駆動パルスP15である。補正駆動パルスP2は、各主駆動パルスP11〜P15よりも大きいエネルギを有している。各駆動パルスは、エネルギを異ならせるためにパルス幅が異なるように構成している。
【0043】
以下、
図1〜
図4を用いて、本発明の第1の実施の形態の動作を説明する。
図1において、発振回路101は所定周波数の基準クロック信号を発生し、分周回路102は発振回路101で発生した前記信号を分周して計時の基準となる時計信号を発生し、制御回路103に出力する。制御回路103は、前記時計信号を計数して計時動作を行う。
制御回路103は先ず、電源電圧検出回路105に電圧検出制御信号を出力して、電池104の電圧を検出するように指示した後(
図4のステップS401)、電池電圧検出回数の計数値NVを1にする(ステップS402)。
電源電圧検出回路105は、前記電圧検出制御信号に応答して電池104の電池電圧を検出し、当該電池電圧を制御回路103に出力する。
【0044】
次に制御回路103は、電源電圧検出回路105が検出した電池電圧が所定の基準電圧Vrefを超えるか否かを判定する(ステップS403)。ここで、基準電圧Vrefは
図5に示した基準順電圧Vrefと同じであるが、異なる電圧を用いてもよい。
制御回路103は、処理ステップS403において電池電圧が基準電圧Vrefを超えると判定した場合、駆動パルス群G1を選択し(ステップS404)、又、当該駆動パルス群G1に含まれる複数の主駆動パルスP11〜P13中の最大ランク(n=3、即ち主駆動パルスP13)を選択する(ステップS405)。
【0045】
次に制御回路103は、電池電圧検出回数の計数値NVを所定回数(第1電池電圧検出回数と称する。本第1の実施の形態では80回)まで計数するように設定する(ステップS406)。
次に制御回路103は、連続駆動回数の計数値Nを所定回数(第1連続駆動回数と称する。本第1の実施の形態では3600回)まで計数するように設定した後(ステップS407)、処理ステップS412に移行する。
【0046】
制御回路103は、処理ステップS403において電池電圧が所定の基準電圧Vrefを超えないと判定した場合、駆動パルス群G2を選択し(ステップS408)、又、当該駆動パルス群G2に含まれる複数の主駆動パルスP13〜P15中の最大ランク(n=5、即ち主駆動パルスP15)を選択する(ステップS409)。
【0047】
次に制御回路103は、電池電圧検出回数の計数値NVを所定回数(第2電池電圧検出回数と称する。)まで計数するように設定する(ステップS410)。第2電池電圧検出回数は第1電池電圧検出回数よりも多い回数であり、本第1の実施の形態では3600回である。
次に制御回路103は、連続駆動回数の計数値Nを所定回数(第2連続駆動回数)まで計数するように設定した後(ステップS411)、処理ステップS412に移行する。第2連続駆動回数は第1連続駆動回数よりも少ない回数であり、本第1の実施の形態では80回である。
【0048】
以上のように、処理ステップS404、S405、S408、S409では、選択した駆動パルス群に含まれる複数の主駆動パルスのうち、最大エネルギランクの主駆動パルスを最初に選択して駆動するようにしている。したがって、選択した駆動パルス群に含まれる複数の主駆動パルスのうち、最小エネルギランクの主駆動パルスを最初に選択して駆動することはないので、駆動パルス群を選択した際に、電池電圧が低下していた場合でもより確実にステッピングモータ109を回転させることができる。
【0049】
また、処理ステップS406、S410のように、電池電圧が高い場合は電池電圧が低い場合よりも、電池電圧検出回数NVを少なくしている。電池電圧が高い場合は、電圧変動が大きく又動作も不安定になりやすいため、電池電圧が低い場合よりも電池電圧の検出間隔を短くすることにより、適切な駆動パルス群に設定すること等が可能になる。
また、処理ステップS407、S411のように、電池電圧が高い場合は電池電圧が低い場合よりも、連続駆動回数Nを大きくしている。電池電圧が高い場合は、電圧変動が大きく又動作も不安定になりやすいため、電池電圧が低い場合よりも連続駆動回数Nを大きくすることにより、主駆動パルスP1のランク変動が起こり難くなるため、動作を安定化することができる。
【0050】
次に制御回路103は、処理ステップS412において連続駆動回数の計数値Nを0にリセットした後、上記のようにして選択した駆動パルス群G及び主駆動パルスP1を表す制御信号を駆動パルス群選択回路106に出力する(ステップS413)。前記制御信号には、選択した駆動パルス群Gを表す駆動パルス群制御信号及び選択した主駆動パルスP1を表す主駆動パルス制御信号が含まれる。
【0051】
駆動パルス群選択回路106は、制御回路103からの制御信号に対応する駆動パルス群Gを選択すると共に、前記駆動パルス群の主駆動パルスP1を主駆動パルス出力回路107に出力する。主駆動パルス出力回路107は、前記主駆動パルスP1によってステッピングモータ109を回転駆動する。
ステッピングモータ109が回転した場合には、アナログ表示部110の時刻針111〜113が運針駆動され、現在時刻の表示が行われる。
回転検出判定回路114は、主駆動パルスP1による駆動が行われる毎に、検出区間Tにおいて、ステッピングモータ109の回転駆動によって生じる誘起信号VRsを検出し、基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsがどの区間T1〜T3に属するかを判別する。
【0052】
制御回路103は、基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを第1区間T1内で検出していないと判定した場合には(パターンが(0,x,x)の場合である。但し判定値「x」は判定値が「1」か「0」かを問わないことを意味する。)(ステップS414)、基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを第2区間T2内で検出したか否かを判定する(ステップS422)。
制御回路103は、処理ステップS422において基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを第2区間T2内で検出していないと判定した場合(パターンが(0,0,x)の場合である。)、基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを第3区間T3内で検出したか否かを判定する(ステップS418)。
【0053】
制御回路103は、処理ステップS418において、基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを第3区間T3内で検出していないと判定した場合(パターンが(x,0,0)の場合である。)、ステッピングモータ109は非回転と判定する。この場合、制御回路103は、処理ステップS413の主駆動パルスP1と同極性の補正駆動パルスP2によってステッピングモータ109を駆動するように補正駆動パルス制御信号を駆動パルス群選択回路106に出力する(ステップS420)。駆動パルス群選択回路106は、前記補正駆動パルス制御信号に応答して、補正駆動パルス出力回路108に補正駆動パルスを出力する。補正駆動パルス出力回路108は補正駆動パルスP2によってステッピングモータ109を駆動し強制的に回転させる。
【0054】
次に制御回路103は、主駆動パルスP1のランクnを1ランクアップして変更すると共に連続駆動回数の計数値Nを0にリセットする(ステップS421)。
次に制御回路103は、電池電圧検出回数の計数値NVが所定回数に到達したか否かを判定する(ステップS417)。制御回路103は、処理ステップS417において所定回数に到達したと判定すると処理ステップS401に戻り、所定回数に到達していないと判定すると、電池電圧検出回数の計数値NVに1加算して処理ステップS413に戻る(ステップS426)。
【0055】
制御回路103は、処理ステップS418において基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを第3区間T3内で検出したと判定した場合(パターンが(x,0,1)の場合である。)、回転しているがエネルギがかなり低い状態であるため、主駆動パルスP1のランクnを1ランクアップして変更すると共に連続駆動回数の計数値Nを0にリセットして(ステップS419)、処理ステップS417に移行する。
【0056】
制御回路103は、処理ステップS422において基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを第2区間T2内で検出したと判定した場合(パターンが(0,1,x)の場合である。)、連続駆動回数の計数値Nに1加算する(ステップS423)。
次に制御回路103は、計数値Nが所定回数に到達したか否か(換言すれば、同一エネルギの主駆動パルスP1でパターンが(0,1,x)になる駆動を所定回数連続して行ったか否か)を判定し(ステップS424)、所定回数に到達していれば主駆動パルスP1のランクnを1ランクダウンすると共に計数値Nを0にリセットして処理ステップ417に移行し(ステップS425)、計数値Nが所定値に到達していない場合には直ちに処理ステップS417に移行する。
【0057】
一方、制御回路103は、処理ステップS414において基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを第1区間T1内で検出したと判定した場合、基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを第2区間T2内で検出していないときは処理ステップS418に移行する(ステップS415)。
制御回路103は、処理ステップS415において基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを第2区間T2内で検出したと判定した場合(パターンが(1,1,x)の場合である。)、連続駆動回数の計数値Nを0にリセットして処理ステップS417へ移行する(ステップS416)。
【0058】
以後、選択した駆動パルス群に含まれる主駆動パルスP1を用いて、連続駆動回数が所定回数になる毎にランクダウンを行い又エネルギが不足する場合にはランクアップを行いながら、適切なエネルギの主駆動パルスP1を選択して、ステッピングモータ109を回転駆動する。また、電池電圧検出回数が所定回数になる毎に電池電圧を検出して適切な駆動パルス群を選択して駆動を行う。
【0059】
以上述べたように本発明の第1の実施の形態に係るステッピングモータ制御回路は、少なくともステッピングモータ109に電力を供給する電源としての電池104と、電池104の電圧を検出する電圧検出部と、ステッピングモータの回転状況を検出する回転検出判定回路114と、各々複数種類の主駆動パルスP1を含む複数の駆動パルス群Gの中から、前記電圧検出部が検出した電池104の電圧に応じた駆動パルス群Gを選択し、前記選択した駆動パルス群Gに含まれる複数種類の主駆動パルスP1又は前記各主駆動パルスP1よりもエネルギの大きい補正駆動パルスP2の中から、回転検出判定回路114が検出したステッピングモータ109の回転状況に応じた駆動パルスを選択する制御部と、前記制御部が選択した駆動パルスでステッピングモータ109を回転駆動する駆動部とを備え、前記制御部は、前記駆動パルス群Gを選択して最初に主駆動パルスP1を選択するとき、選択した駆動パルス群Gに含まれる主駆動パルスP1の中から最小エネルギの主駆動パルスP1以外の主駆動パルスP1(本第1の実施の形態では、当該駆動パルス群Gに含まれる主駆動パルスP1中の最大エネルギの主駆動パルスP1)を選択することを特徴としている。
【0060】
したがって、電池104からステッピングモータ109に印加される電圧が電池特性等によって低下する等の変動を生じた場合でも、より確実にステッピングモータ109を回転させることが可能である。
また、駆動パルス群選択時に、当該駆動パルス群に含まれる複数の主駆動パルスP1のうち、先ず最大エネルギランクの主駆動パルスP1で駆動するように構成するようにしているため、ステッピングモータの回転駆動をより確実に行うことができる。
【0061】
例えば、電源電圧検出回路105による検出電圧が一定値以上の場合でも、実際の回転駆動時には電池104の内部抵抗によってステッピングモータ109に印加される電圧が大きく低下する場合がある。このような場合、電池電圧に応じた駆動パルス群を選択したとしても、最小エネルギランクの主駆動パルスから先ず駆動するように構成すると、エネルギ不足で非回転となる恐れがある。しかしながら、本発明の実施の形態のように、選択した駆動パルス群に含まれる主駆動パルスP1のうち、先ず最小エネルギランク以外の主駆動パルスP1(本第2の実施の形態では最大エネルギランクの主駆動パルスP1)を選択して駆動するようにしているため、エネルギ不足で非回転となることをより確実に回避できる。
【0062】
ここで、前記電圧検出部は、電池104の電圧に応じた間隔で電池104の電圧を検出するように構成することができる。
また、前記電圧検出部は、前記電池の電圧が高いときは低いときよりも短い間隔で前記電池の電圧を検出するように構成することができる。
このように、電池104の高電圧領域のように電圧が不安定な領域では電池電圧の検出間隔を短くすることで、電池電圧の変化を正確に捉えることができ、電池電圧に応じた適切な駆動パルスを選択して駆動することができる。また、電池電圧が安定している領域では電池電圧の検出間隔を長くすることにより、電池電圧の検出動作を削減することができる。
【0063】
また、前記制御部は、同一エネルギの主駆動パルスP1で所定回数連続して余裕のある駆動を行った場合に主駆動パルスP1をランクダウンするように構成されて成り、前記所定回数は前記電圧検出部が検出した電池104の電圧に応じた回数に設定されているように構成することができる。
前記所定回数は、電池104の電圧が高いときは低いときよりも多い回数に設定するように構成することができる。
【0064】
ランクダウン制御を行う場合でも、ランクダウンする周期を電圧に応じた周期に設定するため、電池電圧に応じたランクダウンを行うことができる。したがって、適切な駆動パルスを選択して駆動することが可能になり、安定した回転駆動が可能になる。
以上のように、電池電圧に応じて、連続駆動回数や電池電圧検出回数を変化させることにより、高電圧領域による駆動エネルギの変化に柔軟に対応させて安定した駆動が可能になる。
【0065】
また、本発明の第1の実施の形態に係るムーブメントは前記いずれかのステッピングモータ制御回路を備えているため、ステッピングモータ109に印加される電圧が変動した場合でも、より確実にステッピングモータ109を回転させることが可能なアナログ電子時計を構築することができる等の効果を奏する。
また、本発明の第1の実施の形態に係るアナログ電子時計は前記ムーブメントを備えているため、電池104の電圧が低下する等の電池電圧変動が生じた場合でも、より確実にステッピングモータ109を回転させることが可能であり、より確実な運針が可能になる等の効果を奏する。
尚、本第1の実施の形態では2つの駆動パルス群を用いた例で説明したが、3つ以上の複数の駆動パルス群を用いるように構成することができる。
【0066】
図6は本発明の第2の実施の形態に係るステッピングモータ制御回路、ムーブメント及びアナログ電子時計の動作を示すフローチャートであり、
図4と同一処理を行う部分には同一符号を付している。本第2の実施の形態のブロック図やタイミング図等は
図1〜
図3、
図5と同じである。
第1の実施の形態では、駆動パルス群を選択して最初に主駆動パルスP1を選択するとき、選択した駆動パルス群に含まれる主駆動パルスP1の中から最小エネルギの主駆動パルスP1以外の主駆動パルスP1として、当該駆動パルス群に含まれる最大エネルギの主駆動パルスP1を選択するように構成したが、本第2の実施の形態では、前記最小エネルギの主駆動パルスP1以外の主駆動パルスP1として、当該選択した駆動パルス群中に3種類以上の主駆動パルスP1が含まれる場合には2番目に大きいエネルギの主駆動パルスP1を選択するように構成している。これにより、電池104の電圧が低下した場合でも、より確実にステッピングモータ109を回転させることを可能にすると共に、選択した主駆動パルスP1で回転しない場合には直ちに補正駆動パルスP2で駆動せずに、当該主駆動パルスP1よりエネルギの大きい主駆動パルスP1で駆動できるように構成することにより省電力化を可能にしている。
【0067】
以下、本発明の第2の実施の形態について、第1の実施の形態と異なる部分についてのみ動作説明する。
図6において、制御回路103は、分周回路102からの時計信号を計数して計時動作を行い、電池104の電池電圧が所定の基準電圧Vrefを超えると判定した場合(ステップS403)、駆動パルス群G3を選択する(ステップS601)。
【0068】
駆動パルス群G3には相互にエネルギが異なる3種類以上の主駆動パルスP11〜P14が含まれているため、制御回路103は、選択した駆動パルス群G3に含まれる複数の主駆動パルスP11〜P14の中からエネルギランクが2番目に大きい主駆動パルス(n=3、即ち主駆動パルスP13)を選択する(ステップS602)。
以後、
図4と同じ処理を行うことによりステッピングモータ109を回転駆動する(ステップS406、S407、S412〜S426)。
尚、最初に選択した主駆動パルスP13で回転できない場合には、直ちに補正駆動パルスP2で駆動せずに、1ランク上の主駆動パルスP14で駆動する。これにより、省電力化が可能になる。
【0069】
一方、制御回路103は、処理ステップS403において電池電圧が所定の基準電圧Vrefを超えないと判定した場合、駆動パルス群G4を選択する(ステップS603)。
駆動パルス群G4には相互にエネルギが異なる3種類以上の主駆動パルスP13〜P16が含まれているため、制御回路103は、選択した駆動パルス群G4に含まれる複数の主駆動パルスP13〜P16の中からエネルギランクが2番目に大きい主駆動パルス(n=5、即ち主駆動パルスP15)を選択する(ステップS604)。
【0070】
以後、
図4と同じ処理を行うことによりステッピングモータ109を回転駆動する(ステップS410、S411、S412〜S426)。
尚、この場合、最初に選択した主駆動パルスP15で回転できない場合には、直ちに補正駆動パルスP2で駆動せずに、1ランク上の主駆動パルスP16で駆動する。これにより、省電力化が可能になる。
【0071】
以上述べたように本発明の第2の実施の形態に係るステッピングモータ制御回路は、制御部は、駆動パルス群Gを選択して最初に主駆動パルスP1を選択するとき、選択した駆動パルス群Gに含まれる主駆動パルスP1の中から最小エネルギの主駆動パルスP1以外の主駆動パルスP1(本第2の実施の形態では、当該駆動パルス群Gに含まれる主駆動パルスP1中の2番目にエネルギが大きい主駆動パルスP1)を選択することを特徴としている。
【0072】
したがって、電池104からステッピングモータ109に印加される電圧が低下する等の変動を生じた場合でも、より確実にステッピングモータ109を回転させることが可能である等、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
また、選択した駆動パルス群G中の最大エネルギの主駆動パルスP1ではエネルギが過大な場合には
図2の角度θ0位置あるいはθ1位置近傍でパルスオフが生じることで逆方向回転時の回転速度が低下してしまい、それに伴い適切な誘起信号VRsが発生せず回転誤検出の恐れがあるが、2番目にエネルギが大きい主駆動パルスP1を選択して駆動することにより、このような回転誤検出の発生を抑制することが可能になる。
また、最初に選択した主駆動パルスP1で非回転の場合でも、当該主駆動パルスP1よりも大きい主駆動パルスP1によって回転駆動させることが可能であるため、補正駆動パルスP2による駆動回数を抑制して低消費電力化が可能になるという効果を奏する。
【0073】
図7及び
図8は本発明の第3の実施の形態に係るステッピングモータ制御回路、ムーブメント及びアナログ電子時計の動作を示すフローチャートであり、
図4と同一処理を行う部分には同一符号を付している。本第3の実施の形態のブロック図やタイミング図等は
図1〜
図3、
図5と同じである。
第1、第2の実施の形態では、主駆動パルスP1で所定回数駆動する毎に電池104の電圧を検出して駆動パルス群Gを選択し主駆動パルスP1を決定するように構成したが、本第3の実施の形態では、電池動作開始後又はリセット解除後の所定期間において電池104の電圧を検出するように構成している。電池104の電圧が安定した第2領域では電圧変動が小さく頻繁に電圧検出して駆動パルス群Gを設定する必要がないため、電圧検出及び主駆動パルスP1の駆動回数計数動作に必要な電力を低減することが可能になる。
【0074】
以下、本発明の第3の実施の形態について、第1の実施の形態と異なる部分についてのみ動作説明する。
図7において、電池動作開始(電池104のアナログ電子時計内へのセット)又はリセット解除(制御回路103のリセット端子(図示せず)へのリセット操作解除)が行われると、制御回路103は動作開始して電池動作開始又はリセット解除されたと判定し(ステップS701)、総動作回数の計数値Ntotalを1にセットする(ステップS702)。
【0075】
制御回路103は、以後、
図4と同様に電池104の電圧検出、駆動パルス群Gや主駆動パルスP1の選択、ステッピングモータ109の駆動を行った後(ステップS401〜S425)、総動作回数の計数値Ntotalに1加算する(ステップS703)。
制御回路103は、計数値Ntotalが所定回数を超えていない(換言すれば電池動作開始又はリセット解除から所定期間経過していない)と判定すると(ステップS704)、処理ステップS417に移行する。
【0076】
制御回路103は、処理ステップS704において計数値Ntotalが所定回数を超えた(換言すれば電池動作開始又はリセット解除から所定期間経過した)と判定すると、
図8に示す電圧検出終了モードの動作へ移行する(ステップS705)。電圧検出終了モードは、電圧検出を行わずに(換言すればパルス群Gの選択動作を行わずに)ステッピングモータ109を回転駆動するモードである。
電圧検出終了モードでは、制御回路103は、低電圧用の駆動パルス群G2を選択し(ステップS408)、又、当該駆動パルス群G2に含まれる複数の主駆動パルスP13〜P15中の最大ランク(n=5、即ち主駆動パルスP15)を選択する(ステップS409)。
【0077】
次に制御回路103は、連続駆動回数の計数値Nを所定回数(本第3の実施の形態では80回)まで計数するように設定した後(ステップS406)、処理ステップS412に移行し、以下、選択した主駆動パルス群G2を用いて前記同様にステッピングモータ109を回転駆動する(ステップS413〜S416、S418〜S425)。
以上述べたように本発明の第3の実施の形態に係るステッピングモータ制御回路は、第1の実施の形態と同様の効果を奏するばかりでなく、電圧検出部は電池動作開始後又はリセット解除後の所定期間においてのみ電池104の電圧を検出するように構成しているため、不要な電圧検出を削除することで省電力化が可能になる等の効果を奏する。
【0078】
図9は本発明の第4の実施の形態に係るステッピングモータ制御回路、ムーブメント及びアナログ電子時計の動作を示すフローチャートであり、
図4と同一処理を行う部分には同一符号を付している。本第4の実施の形態のブロック図やタイミング図等は
図1〜
図3、
図5と同じである。
第1〜第3の実施の形態では、複数の駆動パルス群Gの中から電池電圧に応じた駆動パルス群Gを選択し当該駆動パルス群G中の主駆動パルスP1を選択するように構成したが、本第4の実施の形態では、複数種類の主駆動パルスP1を有する少なくとも1つ(本第4の実施の形態では1つ)の駆動パルス群Gと所定エネルギの固定駆動パルスを備え、電池電圧に応じた駆動パルスG又は固定駆動パルスを選択して駆動するように構成している。特に本第4の実施の形態では、電池電圧が所定電圧を超えるときに、所定エネルギの固定駆動パルスを選択して駆動するようにしている。このように電池電圧が変動する領域において固定駆動パルスでステッピングモータ109を駆動することにより、安定した回転駆動が可能になるように構成している。
【0079】
以下、本発明の第4の実施の形態について、前記第1の実施の形態と異なる部分についてのみ動作説明する。
図9において、制御回路103は、分周回路102からの時計信号を計数して計時動作を行い、電池104の電池電圧が所定の基準電圧Vrefを超えると判定した場合(ステップS403)、所定エネルギの駆動パルス(固定駆動パルス)P15を選択する(ステップS903)。
【0080】
次に制御回路103は、電池電圧検出回数の計数値NVを所定回数(本第4の実施の形態では80回)に設定し(ステップS904)、計数値NVに1加算した後(ステップS905)、当該固定駆動パルスP1でステッピングモータ109を駆動する(ステップS906)。
次に制御回路103は、計数値NVが前記所定回数か否かを判定し、計数値NVが所定回数になっていない場合には処理ステップS905に戻り、計数値NVが所定回数になった場合には処理ステップS401に戻る(ステップS907)。
【0081】
一方、制御回路103は処理ステップS403において電池104の電池電圧が所定の基準電圧Vrefを超えないと判定した場合、駆動パルス群G5を選択する(ステップS901)。
次に制御回路103は、選択した駆動パルス群G5に含まれる複数種類の主駆動パルスP11〜P14の中から最大エネルギランク(n=4)の主駆動パルスP14を選択する(ステップS902)。以後、
図4と同じ処理を行うことによりステッピングモータ109を回転駆動する(ステップS410〜S426)。
本第4の実施の形態では駆動パルス群Gが1つの例で説明したが、複数設けるように構成してもよい。
また、固定駆動パルスP15として、補正駆動パルスP2よりも小さい所定エネルギの駆動パルスを用いることができる。また、固定駆動パルスP15として、各駆動パルス群Gに含まれる各主駆動パルスP1よりも大きく、かつ補正駆動パルスP2よりも小さいエネルギの駆動パルスを用いることが可能である。
【0082】
以上述べたように本発明の第4の実施の形態に係るステッピングモータ制御回路は、少なくともステッピングモータ109に電力を供給する電源としての電池104と、電池104の電圧を検出する電圧検出部と、ステッピングモータ109の回転状況を検出する回転検出判定回路114と、前記電圧検出部が検出した電池104の電圧に応じて、所定エネルギを有する固定駆動パルスP15又は少なくとも一つの駆動パルス群Gの中の駆動パルス群Gを選択すると共に、駆動パルス群Gを選択した場合には当該駆動パルス群Gに含まれる複数種類の主駆動パルスP1の中から回転検出判定回路114が検出したステッピングモータ109の回転状況に応じた主駆動パルスP1を選択する制御部と、前記制御部が選択した前記固定駆動パルスP15又は主駆動パルスP1でステッピングモータ109を回転駆動する駆動部とを備え、前記制御部は、駆動パルス群Gを選択して最初に主駆動パルスP1を選択するときには、前記選択した駆動パルス群Gに含まれる主駆動パルスP1の中から最小エネルギの主駆動パルスP1以外の主駆動パルスP1を選択することを特徴としている。
【0083】
ここで、前記制御部は、前記電圧検出部が検出した電池104の電圧が所定電圧を超える場合には固定駆動パルスP15を選択し、前記電圧検出部が検出した電池104の電圧が前記所定電圧以下の場合には電池104の電圧に応じた駆動パルス群Gを選択し当該駆動パルス群Gの中から最小エネルギの主駆動パルス以外の主駆動パルスを選択するように構成することができる。
したがって、電圧変動の大きい電池を用いた場合でも安定した駆動が可能になる。また、高電圧領域での駆動を安定化することが可能になる等の効果を奏する。
【0084】
尚、前記各実施の形態では、電池電圧を検出するために電源電圧検出回路105を用いたが、電源電圧検出回路105を使用せずに、制御回路103が、所定エネルギの駆動パルス(例えば駆動パルス群中の最大エネルギランクの主駆動パルス)でステッピングモータ109を駆動したとき、得られる誘起信号VRsのパターンによって電池104が所定電圧以上か否かを判定するように構成してもよい。
【0085】
即ち、前記電圧検出部は、所定エネルギの駆動パルスによってステッピングモータ109を駆動した際、回転検出判定回路114が検出したステッピングモータ109の回転状況に基づいて電池104の電圧を検出するように構成することができる。
これにより、構成を簡略化することが可能になる。この場合、回転検出判定回路114及び制御回路103は電圧検出部を構成することになる。
【0086】
また、前記各実施の形態では、各駆動パルスP1、P2のエネルギを変えるために、パルス幅が異なるように構成したが、駆動パルスを複数の櫛歯状パルスによって構成し前記櫛歯状パルスの数やデューティを変える、あるいは、パルス電圧を変える等によっても、駆動パルスのエネルギを変えることが可能である。
また、カレンダ機能を有するアナログ電子時計にも適用可能である。
また、ステッピングモータの応用例として単一モータの電子時計の例で説明したが、クロノグラフ時計等のような複数モータの電子時計や、モータを使用する各種電子機器にも適用可能である。
【0087】
また、前記各実施の形態では検出区間Tは3つの区間を有するように構成したが、少なくとも2つ以上の区間を有するように構成することができる。
また、ステッピングモータの応用例としてアナログ電子時計の例で説明したが、モータを使用する電子機器に適用可能である。