(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6084013
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】雄コネクタ
(51)【国際特許分類】
A61M 39/10 20060101AFI20170213BHJP
【FI】
A61M39/10 100
A61M39/10 120
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-254734(P2012-254734)
(22)【出願日】2012年11月20日
(65)【公開番号】特開2014-100347(P2014-100347A)
(43)【公開日】2014年6月5日
【審査請求日】2015年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029676
【氏名又は名称】株式会社トップ
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前迫 文男
【審査官】
鶴江 陽介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−50530(JP,A)
【文献】
米国特許第5176415(US,A)
【文献】
米国特許第5620427(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0152669(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/10
A61J 15/00
F16L 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下流側の輸液管に設けられ、上流側の輸液管の雌コネクタに連結させて該下流側の輸液管及び上流側の輸液管を接続するための雄コネクタであって、
前記雌コネクタに連結される雄側連結管と、
前記雄側連結管の外周に設けられたロック部とを備え、
前記雄側連結管は、前記雌コネクタの対応する円錐内面と嵌合させて前記雌コネクタとの連結を確立するための円錐外面を前端側に備え、
前記ロック部は、後端側が前記雄側連結管に固定され前端側が開放した円筒状の内壁を前記円錐外面の外周に備え、
前記円筒状の内壁には、前記雌コネクタの対応する雄ネジと螺合させて前記雌コネクタとの連結を固定するための雌ネジが設けられ、
前記ロック部には、前記円筒状の内壁への付着物を外部へ排出させるための付着物排出手段が設けられ、
前記付着物排出手段は、前記雄側連結管の軸線方向から離れる方向に向かって前記ロック部の内壁から外壁に貫通した貫通孔を備えることを特徴とする雄コネクタ。
【請求項2】
下流側の輸液管に設けられ、上流側の輸液管の雌コネクタに連結させて該下流側の輸液管及び上流側の輸液管を接続するための雄コネクタであって、
前記雌コネクタに連結される雄側連結管と、
前記雄側連結管の外周に設けられたロック部とを備え、
前記雄側連結管は、前記雌コネクタの対応する円錐内面と嵌合させて前記雌コネクタとの連結を確立するための円錐外面を前端側に備え、
前記ロック部は、後端側が前記雄側連結管に固定され前端側が開放した円筒状の内壁を前記円錐外面の外周に備え、
前記円筒状の内壁には、前記雌コネクタの対応する雄ネジと螺合させて前記雌コネクタとの連結を固定するための雌ネジが設けられ、
前記ロック部には、前記円筒状の内壁への付着物を外部へ排出させるための付着物排出手段が設けられ、
前記付着物排出手段は、前記ロック部の内壁に、その後端部から前端にかけて延在するスリット溝を備えることを特徴とする雄コネクタ。
【請求項3】
下流側の輸液管に設けられ、上流側の輸液管の雌コネクタに連結させて該下流側の輸液管及び上流側の輸液管を接続するための雄コネクタであって、
前記雌コネクタに連結される雄側連結管と、
前記雄側連結管の外周に設けられたロック部とを備え、
前記雄側連結管は、前記雌コネクタの対応する円錐内面と嵌合させて前記雌コネクタとの連結を確立するための円錐外面を前端側に備え、
前記ロック部は、後端側が前記雄側連結管に固定され前端側が開放した円筒状の内壁を前記円錐外面の外周に備え、
前記円筒状の内壁には、前記雌コネクタの対応する雄ネジと螺合させて前記雌コネクタとの連結を固定するための雌ネジが設けられ、
前記ロック部には、前記円筒状の内壁への付着物を外部へ排出させるための付着物排出手段が設けられ、
前記付着物排出手段は、前記ロック部の内壁から外壁に貫通した貫通孔を備え、
前記貫通孔は、前記ロック部の円筒状の内壁の後端側から前端側にかけて延在するスリット孔であることを特徴とする雄コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下流側の輸液管に装着されるロック部付きの雄コネクタであって、上流側の輸液管に装着される雌コネクタと連結させて該上流側及び下流側の輸液管を接続するためのものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、経腸栄養投与セット等の輸液管と、その下流側(患者側)の経腸栄養カテーテル等の輸液管とを接続するコネクタとしては、上流側の輸液管に装着される雄コネクタと、下流側の輸液管に装着される雌コネクタとを備えたものが、広く一般的に用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−200145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、経腸栄養カテーテルのコネクタに関する国際規格が新たに設定される見込みとなっている。この新規格によれば、下流側(患者側)の経腸栄養カテーテルに装着されるコネクタとして、ロック用の雌ネジが設けられたロック部を有する雄コネクタの採用が見込まれる。
【0005】
すなわち、従来は上述のように、下流側に雌コネクタが用いられ、上流側に雄コネクタが用いられるのに対し、上記新規格によれば、雄コネクタと雌コネクタの用い方が逆になる。また、ロック用の雌ネジを有するロック部も、従来と異なり、下流側に設けられる。
【0006】
このため、新規格の雄コネクタによれば、雌コネクタとの接続の際や、その接続を解除する際に、上流側の雌コネクタから栄養剤が流下して雄コネクタのロック部に侵入し易い。さらに、侵入した栄養剤等は、ロック部の雌ネジ部分に付着し、その排出が困難となる。かかる付着物が雌ネジ部分に溜まると、雄コネクタと雌コネクタとの連結に支障を来たすおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、かかる従来技術の問題点に鑑み、雌コネクタの下流側に連結されるロック部付きの雄コネクタにおいて、ロック部への付着物による不都合の発生を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の雄コネクタは、下流側の輸液管に設けられ、上流側の輸液管の雌コネクタに連結させて該下流側の輸液管及び上流側の輸液管を接続するための雄コネクタであって、前記雌コネクタに連結される雄側連結管と、前記雄側連結管の外周に設けられたロック部とを備え、前記雄側連結管は、前記雌コネクタの対応する円錐内面と嵌合させて前記雌コネクタとの連結を確立するための円錐外面を前端側に備え、前記ロック部は、後端側が前記雄側連結管に固定され前端側が開放した円筒状の内壁を前記円錐外面の外周に備え、前記円筒状の内壁には、前記雌コネクタの対応する雄ネジと螺合させて前記雌コネクタとの連結を固定するための雌ネジが設けられ、前記ロック部には、前記円筒状の内壁への付着物を外部へ排出させるための付着物排出手段が設けられ
、前記付着物排出手段は、前記雄側連結管の軸線方向から離れる方向に向かって前記ロック部の内壁から外壁に貫通した貫通孔を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明において、下流側の輸液管と上流側の輸液管との接続に際しては、雄コネクタの円錐外面と雌コネクタの円錐内面とが嵌合されながら、雄コネクタの雌ネジと雌コネクタの雄ネジとが締結される。この嵌合により、雄コネクタと雌コネクタとが連結する。また、雌ネジと雄ネジの締結により、この連結が固定(ロック)される。この連結及び固定により、下流側の輸液管と上流側の輸液管との接続が確立される。
【0010】
このような、雄コネクタと雌コネクタとの連結時や、連結を解除する際に、上流側の雌コネクタから薬剤等が流下して雄コネクタのロック部に侵入し易い。侵入した薬剤等は、ロック部の雌ネジに付着するおそれがある。かかる付着物が雌ネジ部分に溜まると、雄コネクタの雌ネジと雌コネクタの雄ネジとの締結に支障を来たし、締結が困難となったり、締結が外れ易くなったりするおそれがある。
【0011】
この点、本発明では、ロック部は、その内壁への付着物を排出させるための付着物排出手段を備えるので、ロック部の内壁への付着物を、付着物排出手段を介して外部へ容易に排出させることができる。これにより、付着物により雄コネクタと雌コネクタとの連結に支障が生じるのを防止することができる。
【0012】
なお、本発明の雄コネクタは、一度の使用で破棄される使い捨て製品として実施されるものである。したがって、ロック部への付着物の排出は、雄コネクタの一度の使用に際して行われるものであり、雄コネクタを繰り返し再使用するために行われるものではない。
【0013】
本発明において、前記付着物排出手段は、前記ロック部の円筒状の内壁から外壁に貫通した貫通孔を備えてもよい。これによれば、ロック部の内壁への付着物を、水流や適当な道具を用いて、貫通孔から外部へ容易に排出させることができる。
【0014】
本発明において、前記付着物排出手段は、前記ロック部の円筒状の内壁に、その後端部から前端にかけて延在するスリット溝を備えてもよい。これによれば、スリット溝の前端側が下方に位置するように雄コネクタを傾けることによって、ロック部の内壁への付着物を、スリット溝を経て、外部へ容易に排出させることができる。
【0015】
本発明において、前記貫通孔は、前記ロック部の円筒状の内壁の後端側から前端側にかけて延在するスリット孔であってもよい。これによれば、ロック部の内壁への付着物を、水流や適当な道具を用いて、スリット孔から外部へ容易に排出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る雄コネクタと雌コネクタとが連結される様子を示す図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係る雄コネクタの正面図である。
【
図4】本発明の第3実施形態に係る雄コネクタの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る雄コネクタと雌コネクタとが連結される様子を示す。
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る雄コネクタ1は、下流側の輸液管2に設けられる。そして、雄コネクタ1は、上流側の輸液管3に装着された雌コネクタ4と連結して輸液管2及び3を接続するために用いられる。
【0018】
輸液管2及び3は、例えば薬剤や栄養剤の患者への投与に用いられる。輸液管2及び輸液管3としては、例えば、経腸栄養療法に用いられる経腸栄養カテーテルや、経腸栄養投与セットのチューブが該当する。雄コネクタ1は、新たに設定される見込みとなっている経腸栄養カテーテルのコネクタに関する国際規格に従った経腸栄養カテーテル側の雄コネクタとして使用することができる。
【0019】
なお、以下の説明において、雄コネクタ1に関し、「前端」及び「後端」は、それぞれ雌コネクタ4への接続方向及びその逆方向の端を意味し、雌コネクタ4に関し、「前端」及び「後端」は、それぞれ雄コネクタ1への接続方向及びその逆方向の端を意味するものとする。
【0020】
図2は、
図1の雄コネクタの断面図である。
図2に示すように、雄コネクタ1は、雌コネクタ4の雌側連結管5に連結可能な雄側連結管6と、雄側連結管6の外周に設けられたロック部7とを備える。
【0021】
雄側連結管6は、雌コネクタ4との連結に際し、雌コネクタ4の対応する円錐内面8(
図1参照)と嵌合して該連結を確立するための円錐外面9を前端側に備える。円錐外面9は、雄側連結管6の前端にかけて径が漸減する。
【0022】
雄側連結管6の後端側の内壁10には、下流側の輸液管2(
図1参照)の端部が挿入され、固定される。雄側連結管6の後端側の外周には、雄側連結管6の軸線方向に沿った凸条としてのリブ6aが、雄コネクタ1と雌コネクタ4との連結操作の便宜のために設けられる。
【0023】
ロック部7は、後端側が雄側連結管6の中間部に固定され、前端側が開放した円筒状の内壁11を円錐外面9の外周に備える。円筒状の内壁11には、雌コネクタ4の対応する雄ネジ12(
図1参照)に螺合させて、雄コネクタ1と雌コネクタ4との連結を固定(ロック)するための雌ネジ13が設けられる。また、ロック部7には、円筒状の内壁11から外壁へ貫通した貫通孔14が設けられる。貫通孔14は、本発明における付着物排出手段として機能し、内壁11への付着物を排出させるために用いられる。
【0024】
貫通孔14の位置としては、ロック部7としての機能を担保しつつ付着物を排出し易いように、内壁11の後端近傍の位置が好ましい。貫通孔14の形状としては、付着物を排出し易いように、例えば長手方向が内壁11の周方向に沿った長方形状を採用することができる。
【0025】
貫通孔14の大きさとしては、付着物の排出容易性の観点からは大きい方が好ましいが、ロック部7としての必要な機能や強度を担保するために、過大とならない適度な大きさを採用するのが好ましい。
【0026】
この構成において、下流側の輸液管2と上流側の輸液管3とを接続する際には、輸液管2に設けられた雄コネクタ1の円錐外面9と、輸液管3に設けられた雌コネクタ4の円錐内面8とが嵌合される。これと並行して、雄コネクタ1の雌ネジ13と雌コネクタ4の雄ネジ12とが締結される。
【0027】
このとき、円錐外面9と円錐内面8との嵌合により、雄コネクタ1と雌コネクタ4とが連結する。また、この連結が、雌ネジ13と雄ネジ12との締結により固定(ロック)される。これにより、下流側の輸液管2と上流側の輸液管3との接続が確立される。
【0028】
しかし、このような、雄コネクタ1と雌コネクタ4との連結時や、連結を解除する際に、上流側の雌コネクタ4から薬剤等が流下して雄コネクタ1のロック部7に侵入し易い。下流側及び上流側にそれぞれ雌コネクタ及び雄コネクタが用いられる従来の場合とは、雄コネクタ1及び雌コネクタ4の用い方が逆になっており、下流側の雄コネクタ1に雌ネジ13を有するロック部7が設けられているからである。
【0029】
ロック部7に侵入した薬剤等は、ロック部7の雌ネジ13部分に付着するおそれがある。かかる付着物が雌ネジ13部分に溜まると、雄コネクタ1の雌ネジ13と雌コネクタ4の雄ネジ12との締結に支障を来たし、雄コネクタ1と雌コネクタ4との連結が困難となったり、外れ易くなったりするおそれがある。また、付着物は、ロック部7の内壁11と円錐外面9との間の隙間に付着しているので、取り除くことが困難である。
【0030】
なお、従来は、ロック用の雌ネジは、上流側の雄コネクタに存在し、下流側の雌コネクタには、対応する雄ネジが存在するだけであるため、この雄ネジには付着物が溜まり難く、付着物は容易に除去できるので、かかる付着物が問題となることはなかった。
【0031】
この点に鑑み、本実施形態によれば、ロック部7は、その内側の付着物を排出させるための貫通孔14を備えるので、水流や適当な道具を用いることにより、ロック部7内の付着物を、必要に応じて貫通孔14から外部へ容易に排出させることができる。この措置を、必要に応じて適宜施すことにより、付着物によって雄コネクタ1と雌コネクタ4との連結に支障が生じるのを防止することができる。
【0032】
図3は、本発明の第2実施形態に係る雄コネクタの正面図である。
図3に示すように、この雄コネクタ21は、上述の貫通孔14に代えて、スリット溝22を備えること以外は、上述の雄コネクタ1と同様の構成を備える。スリット溝22は、雄コネクタ21のロック部23における円筒状の内壁に設けられ、該内壁への付着物を排出させるために用いられる。
【0033】
スリット溝22は、該内壁の後端から前端にかけて延在し、付着物を排出させるに適した適度な幅を有する。この場合、ロック部23に進入した薬剤等の付着物は、スリット溝22の前端側が下方に位置するように雄コネクタ21を傾けることにより、スリット溝22を経て、外部へ容易に排出させることができる。他の作用等については、第1実施形態の雄コネクタ1の場合と同様である。
【0034】
図4は、本発明の第3実施形態に係る雄コネクタの正面図である。
図4に示すように、この雄コネクタ31は、上述の貫通孔14に代えて、スリット孔32を備えること以外は、上述の雄コネクタ1と同様の構成を備える。スリット孔32は、貫通孔14の場合と同様に、雄コネクタ31のロック部33における円筒状の内壁から外壁にかけて貫通したスリットとして設けられ、該内壁への付着物を排出させるために用いられる。
【0035】
スリット孔32は、該内壁の後端から前端近傍にかけて延在し、付着物を排出させるに適した適度な幅を有する。この場合も、ロック部33内の付着物は、水流や適当な道具により、スリット孔32を経て、外部へ容易に排出させることができる。他の作用等については、第1実施形態の雄コネクタ1の場合と同様である。
【0036】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、ロック部の付着物排出手段として、上述の貫通孔14及びスリット溝22の双方をロック部に設けてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1、21、31…雄コネクタ、2…輸液管、3…輸液管、4…雌コネクタ、6…雄側連結管、7、23、33…ロック部、8…円錐内面、9…円錐外面、11…内壁、12…雄ネジ、13…雌ネジ、14…貫通孔、22…スリット溝、32…スリット孔。