(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アレイ(104)のピッチは、λ/12とλ/20との間の範囲であることを特徴とし、式中λは検出すべき入射放射線の波長である、請求項1に記載のボロメータ検出器。
前記マイクロブリッジ(106)は、0.5マイクロメートルから2.5マイクロメートルの間の範囲の高さで前記支持体(102)上に懸吊されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のボロメータ検出器。
前記絶縁材料層(130)内に形成され、前記アレイ(104)のパターンを前記反射層(132)に接続する金属ビア(150)を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のボロメータ検出器。
前記第1のボウタイアンテナ(118)と交差し、前記周期的なパターンアレイ(104)上に堆積された絶縁材料の層(160)上に形成され、前記マイクロブリッジ(106)の前記抵抗性負荷(116)と容量結合した、電磁放射線を収集することを目的とする第2のボウタイアンテナ(162)を含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のボロメータ検出器。
前記第2のアンテナ(162)に容量結合した前記抵抗性負荷は、金属膜(116)を含み、前記マイクロブリッジ(106)は、前記金属膜(116)上の前記第2のアンテナ(162)の前に配置されたフィン(120、122、124)を含み、前記第2のアンテナと前記金属膜(116)との間のインピーダンス整合を実現することを特徴とする、請求項6に記載のボロメータ検出器。
前記フィン(120、122、124)は、電気絶縁体(126)で覆われ、前記温度測定素子(128)は、前記絶縁体(126)上に少なくとも部分的に配置され、前記金属膜(116)と少なくとも部分的に接触することを特徴とする、請求項7に記載のボロメータ検出器。
前記抵抗性負荷は、金属膜(116)を含み、前記第1のアンテナ(118)は、この金属膜(116)上に少なくとも部分的に配置されることを特徴とする、請求項6、7、または8に記載のボロメータ検出器。
【背景技術】
【0002】
テラヘルツ放射領域、すなわち100ギガヘルツから10テラヘルツの間の周波数領域における検出は、多くの用途を有する。
【0003】
したがって、これを限定事項とすることなく、以下のように述べることができる。
− テラヘルツ領域における検出により、X線によっても超音波によっても提供することができない、解剖学的構造の詳細およびそのレベルで起こる化学反応にアクセスできるようにする医学診断。
識別可能にする、対ステルスレーダまたは高分解能レーダの形成などの軍事分野および航空安全。
大気汚染の研究および検出、すなわち大気化学に関する重要な情報を実際に提供し、したがって、遠赤外線の強い吸収線により従来技法を用いて検出するのが難しい、例えば三酸化窒素などの大気汚染の最上の追跡を可能にする、サブミリ波の観測。
化学種、例えば、いくつかの爆発物および有毒生成物、果実の熟成から生じるいくつかの化合物、またはさらに工業燃焼から生じるいくつかの化合物などの、確実な検出を可能にすることが十分明白である、テラヘルツ領域における特性を有する多くの複雑な化合物の特定。
分子または原子の現象の分析、すなわち光励起、光解離、および溶媒和などのメカニズムに関する新情報を得ることを可能にするテラヘルツ分光分析。同じことは、分子相互作用(分子または水素結合の振動状態など)、凝相系、ペプチドおよび蛋白質などの大きい分子の動的プロセスの分析、またはテラヘルツ放射線に基づく技法による高分子の幾何学的配向の観測に当てはまる。
移動性、超高速キャリアの動力学およびキャリア・フォノン間の相互作用、超電導体、高分子、セラミック、有機材料、および多孔材料などを非破壊的に特定する、半導体などの材料の特性の研究。さらに、テラヘルツ領域では、プラスチック、紙、および繊維などの材料は、透過的であり、反対に、金属は完全な反射体であり、水は高い吸収力を有する。したがって、特に、この領域における検出は、梱包製品の検査、または製造プロセスの実時間現場制御などに十分適合する。
広帯域通信、すなわち、地上レベルおよび衛星間における、ますます高くなるデータ流量の競争であり、現在は数百ギガヘルツ、またはさらに近い将来には数テラヘルツに達する周波数で動作するシステムを開発するように製造者は求められる。
【0004】
通常、抵抗性ボロメータ検出器は、赤外線領域の入射放射線の出力を測定する。このため、ボロメータ検出器は、光の流れを熱流に変換し、基準温度に対する素子の温度上昇をもたらす、吸収用抵抗性ボロメータ素子を含む。次に、この温度上昇は、吸収素子の電気抵抗値の変化を誘発し、したがって、その両端に電圧または電流変化が起こる。そうした電気変化は、センサにより分配される信号を形成する。
【0005】
しかし、吸収素子の温度は、通常、その環境、特に電子読取回路を含む基板の温度に大きく依存する。吸収素子のその環境に対する感度をできる限り下げ、したがって検出器感度を上げるために、吸収素子は、通常、基板から断熱されている。
【0006】
図1は、この断熱原理を示す、従来技術の基本的な抵抗性ボロメータ検出器10の簡略化斜視図である。懸吊された膜の形態の説明する例でわかるように、そうした基本的な検出器は、通常、基本的な検出器の1次元または2次元のアレイに属する。
【0007】
検出器10は、2つの導電性固定爪16を介して基板支持体14上に懸吊され、2つの断熱アーム18により固定爪16に取り付けられた、入射放射線を吸収する薄膜12を含む。膜12は、通常、膜12、および絶縁体層上に堆積された電気的金属相互接続層の機械的剛性を確実にする、例えばSiO
2、SiO、SiN、ZnSなどの電気絶縁体の層を含む。
【0008】
抵抗性温度測定材料の薄層20は、金属相互接続層、特に、抵抗性が高いまたは低いポリシリコンもしくは非結晶のp型またはn型シリコン、または半導体相に形成されたバナジウム酸化物(V
2O
5、VO
2)などの半導体材料から作製された層が膜12の中心にさらに堆積される。
【0009】
最終的に、基板支持体14は、通常「読取回路」として知られている、シリコンウエハ上に集積した電子回路を含む。読取回路は、一方には温度測定素子20の励振および読取用の素子を含み、他方にはアレイ検出器内に存在する異なる温度測定素子から生じる信号をシリアライズすることができる多重化要素を含む。
【0010】
動作中、膜12は、入射電磁放射線の効果のもとで加熱され、発生した熱出力は、温度測定材料層20に伝達される。基板14内に配置された読取回路は、周期的に、爪16に偏極電圧をかけることにより膜12を偏極させ、温度測定素子20を通って流れる電流を集め、それから、その抵抗値の変化、したがって前記変化の原因となった入射放射線を推定する。
【0011】
簡潔にするために、そうした検出器の構成および動作は従来型であるので、これをさらに詳細には説明しない。しかし、膜12は、断熱機能に加えて、3つの主な機能、すなわち、放射線を受け取るアンテナ機能、受け取った電磁出力を熱出力に変換する機能、および発生した熱出力を温度測定する機能を果たすことに留意されたい。膜12は、アンテナとして使用されるので、測定することを目的とする放射線の波長と同程度の大きさとなるように適宜選択される寸法を有する。
【0012】
ここで、テラヘルツ領域では、波長は、1ミリメートルに達する可能性があり、したがって、同程度の規模の膜を必要とする。しかし、そうした寸法では、膜の熱質量、機械的保持、および放射損失は、結局、検出器効率に悪影響を及ぼす問題である。
【0013】
そのため、そうした周波数領域では、放射線受信機能は、他の機能から分離される。したがって、この受信機能は、平面アンテナにより確実になり、電磁出力を熱出力に変化する機能は、アンテナの抵抗性負荷により確実になる。負荷寸法は、通常、最適に変換するために、アンテナの幾何学的配置およびそれを支持する層の特性に依存するインピーダンス整合条件を満たす。さらに、抵抗性負荷は、発生した熱出力の測定において温度測定素子と熱接触する。その際、組立体は、アンテナを有するボロメータを形成する。
【0014】
米国特許出願第2006/0231761号の文献は、例えば1から10THzの範囲などのミリメートル領域で動作し、ボウタイアンテナ32を設けられた、アンテナ付きの「直接抵抗結合」ボロメータ30を説明し、その簡略化斜視図および断面図をそれぞれ
図2および3に示す。ボロメータは、2つの断熱アーム40により膜34が取り付けられた2つの導電性固定爪すなわち「保持アーム」38を介して基板支持体36上に懸吊された膜34の形態で作成される。膜34は、ボウタイアンテナ32と、ボウタイアンテナ32と同じ平面内でそれと接触する抵抗性負荷42と、抵抗性負荷42上および/またはその下に形成され、それと接触する温度測定素子44とを含む。抵抗性負荷42は、アンテナと最大に抵抗結合するように最適化された面積抵抗値、特に100Ωから200Ωの間の範囲の面積抵抗値を有する。ボウタイアンテナの説明は、例えば、以下のサイト、http://www.unilim.fr/theses/2005/sciences/2005limo0053/perez_r.pdfにおいて参照することができるR.PEREZの論文に見出すことができる。
【0015】
単純なアンテナは、入射出力のすべてを吸収することができず、入射出力の一部分は、アンテナの後方に伝達される。より具体的には、吸収した入射出力の一部分は、アンテナの後方に再び放射される。全体的な吸収量を増加させるために、一方には温度測定素子44の励振および読取用の素子を含み、他方にはアレイ検出器内に存在する異なる温度測定素子から生じる信号をシリアライズすることができる多重化要素を含む読取回路48上の基板支持体36内に反射組立体46が設けられる。
【0016】
反射組立体46は、以下の関係式を満たす誘電材料層52が堆積する反射層50を含む。
e=λ/(4n) (1)
ここで、λは共振現象が所望される波長、eは層52の厚さ、およびεを含む
【0017】
【数1】
【0018】
は、層52を形成する材料52の誘電率を表す。したがって、4分の1波長空洞を得る。
【0019】
そうした構成では、温度測定素子は、アンテナから独立しており、その際、そのサイズは、もはや入射波長に依存しないが、能動撮像または受動撮像などの目的用途の要求に応じて、検出器固有の性能(感度、信号対雑音比など)を決定する要素に依存する。
【0020】
さらに、ほとんどの場合、入射電磁放射線は、偏光しておらず、そのため、単一のアンテナによるその受信により、全電磁出力を捕捉することができない。しかし、無偏光放射線は、それぞれが波出力の半分を伝達する、2つの直交する方向に直線偏光する2つの成分の重畳に由来するものとみなすことができる。それ自体既知のように、入射電磁放射線を捕捉する効率的な方法は、2つの交差するボウタイアンテナを使用することである。
【0021】
しかし、膜上に懸吊された、2つの交差するボウタイアンテナの使用は、ボウタイアンテナの一方が必然的に断熱アームと交差するので、膜の熱抵抗値の大幅な減少をもたらす。
【0022】
図4および5の簡略化上面図および断面図を参照すれば、米国特許第6329655号の文献は、ミリメートル領域で動作し、この問題を克服する2つの交差するボウタイアンテナ62、64を設けられた、アンテナ付ボロメータ60を説明する。
【0023】
ボロメータ60の原理は、基板支持体66上に配置されたアンテナ62、64と、懸吊された膜70内に配置され、上に温度測定素子72が配置される抵抗性負荷68との間で達成される容量結合に基づいている。
【0024】
アンテナ62、64の中心上に垂直に配置された正方形の層の形態をとる抵抗性負荷68は、それと反対の表面を有し、したがって、アンテナ62、64と静電容量を形成する。したがって、アンテナ62、64により捕捉される放射線は、容量結合により負荷68に伝達される。
【0025】
負荷68の抵抗値、および負荷68がアンテナ62、64と形成する静電容量の値は、アンテナ62、64と抵抗性負荷68との間の最適なインピーダンス整合、したがって最適な容量結合を達成する以下の関係式を有利にも最高の状態で満たすために、高い容量結合を構築するように選択される。
【0026】
【数2】
【0027】
ここで、fは放射線周波数、Cはアンテナ62、64と抵抗性負荷68との間に形成される静電容量の値、Rは抵抗性負荷68の抵抗値である。したがって、容量結合の特性は、特に、静電容量の値Cを介して、膜70を基板支持体66から分離する空洞の高さe
bolometer cavityを設定する。
【0028】
最終的に、上述の理由により、放射線の全体的な吸収を増加させるために、一方には温度測定素子68の励振および読取用の素子を含み、他方にはアレイ検出器内に存在する異なる温度測定素子から生じる信号をシリアライズすることができる多重化要素を含む読取回路74上の基板支持体66内に反射組立体72が設けられる。
【0029】
反射組立体72は、上に堆積された誘電材料層78により形成される4分の1波長空洞を有して上述の関係式e=λ/(4n)を満たす反射層76を含む。反射組立体72およびアンテナ62、64は、共に、共振空洞を形成する。
【0030】
温度測定検出における共振空洞の原理を
図6と関連付けて説明する。それ自体既知のように、共振空洞は、吸収素子、特にアンテナ上に入射する波長λの単色放射線Iと、材料層80が上に堆積された金属反射層82から形成された反射組立体により反射される放射線Rとの間の干渉による強め合いを構築することにより形成され、層80の誘電率εおよび厚さeは、関係式(1)に従って選択され、共振を所望の波長に合わせる。吸収素子は、素子90で示すように層80上に形成され、および/または、素子92で示すように、その上に懸吊される。
【0031】
それにより、入射放射線Iと反射放射線Rとの間の位相変化は、反射層82から距離eで0となり、その結果、この距離で、入射電磁界の出力の最適な吸収をもたらす、干渉による強め合いが得られる。上述のように、層80は、ここで、関係式e=λ/(4n)のために「4分の1波長空洞」と呼ばれる。
【0032】
懸吊されたボロメータ膜および4分の1波長空洞の最適な配置は、層80が選択的に真空またはさらに低熱伝導率のガスの層であるときに達成され、ボロメータ膜は、膜の読取回路を含む基板84上に次に堆積する反射層82から距離eに配置される。そうした場合、膜は、基板84と絶縁し、さらに電磁界出力吸収が最大となる位置に配置される。
【0033】
このタイプのレイアウトは、例えば、ここで赤外線温度測定検出用に使用され、厚さeは、2マイクロメートルから5マイクロメートルの間の範囲であり、この距離は、高品質の機械的保持を行う、懸吊された膜の大量生産を可能にする。実際、それ自体既知のように、支持体上に懸吊された膜を形成するために、最初に、反射層上に犠牲層が堆積され、その後、犠牲層上に膜が構築される。膜が構築されると、犠牲層が除去され、その結果、支持体上のほぼ真空に膜が懸吊される。したがって、支持体に反射層を設け、所望の厚さeを有する犠牲層を選択することにより、反射層から厚さeに配置された膜によって4分の1波長空洞が得られる。
【0034】
しかし、このレイアウトは、テラヘルツ検出を実現するのが難しい。実際、そうした波長領域では、厚さeは、10マイクロメートルよりも大きく、またはさらに30マイクロメートルよりも大きい。第1に、そうした高さを有する支持パッドは、懸吊された膜に高品質の機械的保持をもたらさない。第2に、膜の作成において犠牲層が受ける、堆積中に発生する残留応力により、そうした厚さでは、犠牲層の分離の問題を観測する可能性があるが、この応力は、犠牲層厚さが増加するにつれて増加する。
【0035】
そのため、例えば
図3および5に示す、従来技術の反射組立体46、72は、固体材料52、78から作成され、ボロメータ膜34、70は、適当な厚さ、幅、および長さを有する断熱アームにより、その断熱のために、反射組立体46、72上、数マイクロメートルに懸吊される。反射組立体上のこの空間は、マイクロボロメータ作成方法の間、その機械的安定性に依然として適合し、さらに懸吊されたボロメータ膜と、反射組立体46、72を含む基板との間の接触部の形成に適合する必要がある厚さを有する犠牲層の堆積により形成される。
【0036】
これは、妥当な高さの支持パッドを有することを可能にし、犠牲層分離問題を回避する。その際、膜懸吊高さは、もはや反射組立体の厚さに左右されず、したがって、大幅に小さくなる可能性がある。したがって、ボロメータ膜34、70は、反射組立体46、72に対してもはや最適に配置されることはなく、その上の数マイクロメートルの距離に配置され、
図6の左手部分の図に示すように、この距離に依然として電磁界出力の最適化現象があることを利用することが留意されうる。この図面は、反射層82からの距離が増加するにつれて減少する電磁界強度を示す。したがって、テラヘルツ検出に関する従来技術のレイアウトは、品質係数を最適化するのが望ましい、反射組立体上に懸吊された膜の技術的可能性との間の妥協点である。
【0037】
しかし、そうしたレイアウトは、いくつかの特定の問題を含む。
【0038】
第1に、大きい厚さの固体層52、78は、読取回路とボロメータ膜との間の接触復元を必要とするが、それは、形成が難しく、特に効率低下をもたらす。例えば、700GHz付近の放射線を検出することを目的とする検出器では、シリコン酸化物(マイクロエレクトロニクスに最近使用される材料の1つ)の層を含む反射組立体46、72の厚さは、約33マイクロメートルである。ここで、接続ビアが横切るそうした厚さの層を大きいスケールで作成するために、それぞれがビアの一部分の形成に関連する、少なくとも3つの堆積ステップを実施しなければならない。
【0039】
最終的に、層52、78は、後続の作成ステップの間の分離のいかなる危険も避けるには層52、78が十分付着していない場合がある金属層上に堆積される。
【0040】
層52、78の厚さを減少させるために、関係式(1)に従い、したがって、これらの問題を少なくとも部分的に解決するように、高い誘電率の誘電体を使用することができる。しかし、誘電率が増加するにつれて、ボウタイアンテナの動作に悪影響を及ぼし、特に、検出の質を変える、アンテナ間の結合の増加をもたらす可能性がある電磁現象が現れる。したがって、一般に、反射組立体の選択は、いくつかの拮抗する現象間の妥協点に由来する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0043】
本発明は、代償として、誘電率の増加を要求することなく、低減した厚さを有する、懸吊されたボロメータ膜に基づいて、テラヘルツ検出器用の反射組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0044】
このため、本発明は、テラヘルツ領域に属する波長領域の電磁放射線のボロメータ検出器であって、
前記電磁放射線を反射する組立体を含む支持体と、
支持体および断熱パッドにより反射組立体上に懸吊された少なくとも1つのボロメータマイクロブリッジであって、
前記電磁放射線を収集することを目的とする第1のボウタイアンテナ、
収集された電磁出力を熱出力に変換するために前記アンテナと結合する抵抗性負荷、および
発生した熱出力の効果のもとで加熱するために抵抗性負荷と結合する温度測定素子
を含むボロメータマイクロブリッジと
を含む、ボロメータ検出器を目的とする。
【0045】
本発明によれば、反射組立体は、
前記電磁放射線を反射する層と、
反射層上に形成される絶縁材料層と、
前記マイクロブリッジのレベルで、検出すべき入射放射線と、前記反射組立体により反射される放射線との間の干渉による強め合いを得るために、絶縁材料層の厚さおよび誘電率、ならびにアレイのピッチおよび充填率が選択される、絶縁材料層上に形成される金属パターンの周期的なアレイと
を含む。
【0046】
「マイクロブリッジ」は、このように、特にボロメータ膜および1つまたは複数のアンテナを含む、懸吊された構造体を呼ぶのに使用される。
【0047】
言い換えれば、アンテナ付ボロメータ検出器上で、反射層、絶縁材料層、およびパターンの周期的なアレイを組み合わせることにより、4分の1波長空洞により得られるものと同様の共振現象を得ることができることを発明者は観測した。その際、絶縁材料層の観測した厚さは、従来技術で観測した厚さよりも小さい。より具体的には、従来技術では、絶縁体層の厚さおよび誘電率は、入射放射線と反射放射線との間の位相変化が0となるように、したがって干渉による強め合いが起こるように厚さeを設定するために選択される。周期的なアレイの導入は、この距離の調整の少なくとも2つの追加パラメータ、すなわち誘電率をほとんど増加させることなく、この厚さを減少させることができる、アレイ周期および充填率をもたらす。
【0048】
したがって、本発明による反射組立体上に懸吊されたマイクロブリッジを設けられた検出器の吸収効率は、周期的なパターンアレイを有しない反射組立体を含む支持体上に懸吊されたマイクロブリッジを設けられた検出器の吸収効率よりも高い。
【0049】
反射組立体の特性の設定は、例えば以下のように得られる。第1に、絶縁材料層の厚さおよび材料が選択され、有利にも、製造および/または機械的強度制約に適合する。その際、アレイのピッチおよび充填率を変化させることにより、いくつかの検出器が形成される。基準の先行技術検出器よりも吸収効率を増加させることができるアレイ特性が維持される。
【0050】
変形形態として、電磁界出力の吸収は、ボロメータ膜および反射組立体のモデルを使用し、アレイ特性を変更することにより、コンピュータシミュレーションされる。その際、現在は、特に、例えば、ANSYS Inc.のソフトウェア「ANSYS HFSS」およびCOMSOL Inc.の「COMSOL」により実行される有限要素法を用いて、そうしたシステムの正確なコンピュータシミュレーションを行うことができる。
【0051】
本発明の一実施形態によれば、アレイピッチは、λ/12とλ/20との間の範囲であり、ここでλは検出すべき電磁放射線の波長であり、特にλ/16に等しいアレイピッチである。この範囲で共振現象を容易に得ることができることを発明者は観測した。その際、充填率の設定により、本発明による検出器の吸収効率を最適化することができる。
【0052】
本発明の一実施形態によれば、絶縁材料層の厚さは、8から15マイクロメートルの間の範囲である。特に、そうした厚さは、分離現象を最小化することができる。
【0053】
一実施形態によれば、周期的なアレイの充填率は、95%から99.5%の間、好ましくは97.5%から99.5%の間の範囲である。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、マイクロブリッジは、0.5マイクロメートルから2.5マイクロメートルの間の範囲の高さで支持体上に懸吊される。
【0055】
一実施形態によれば、本検出器は、絶縁材料層内に形成され、アレイパターンを反射層に接続する金属ビアを含むが、そうした構造は、追加の製造ステップをもたらさない一方、放射線がその上に斜めに入射する際、検出器吸収効率を増加させる。そうした金属ビアは、ビアがマイクロブリッジを読取回路に接続するのと同時に形成することができる。
【0056】
一実施形態によれば、本検出器は、第1のボウタイアンテナと交差し、周期的なパターンアレイ上に堆積された絶縁材料の層上に形成され、マイクロブリッジの抵抗性負荷と容量結合した、電磁放射線を収集することを目的とする第2のボウタイアンテナを含む。したがって、検出は、放射線の偏光に対する感度が低い。さらに、アンテナは、マイクロブリッジと基板との間の真空により互いに分離し、その結果、特に材料を介した、それらの間の結合が減少する。
【0057】
より具体的には、抵抗性負荷は、金属膜を含み、マイクロブリッジは、金属膜上の第2のアンテナの前に配置されたフィンを含み、第2のアンテナと金属膜との間のインピーダンス整合を実現する。
【0058】
フィンは、第1のアンテナの中央部の形状と同様の形状をとるのが好ましい。特に、フィンは、電気絶縁体で覆われ、ボロメータ素子は、前記絶縁体上に少なくとも部分的に配置され、金属膜と少なくとも部分的に接触する。言い換えれば、フィンは、第2のアンテナと独立した第1のアンテナとの最適なインピーダンス整合を実現するために、寸法、形状、および材料が設計される。
【0059】
本発明の一実施形態によれば、抵抗性負荷は、金属層を含み、第2のアンテナは、通常、例えば温度測定素子の読取回路への電気接続をもたらす、この金属膜すなわち金属層上に少なくとも部分的に配置される。ここで、抵抗性膜は、フィンおよび第1のアンテナと独立した第2のアンテナにより受け取られた電磁出力の変換を行う。
【0060】
本発明はさらに、それぞれが上述の説明に従う、少なくとも第1および第2の検出器を含む検出システムを目的とし、そのシステム内で、
第1の検出器は、第1のテラヘルツ領域の電磁放射線を検出することができ、第2の検出器は、第1のテラヘルツ領域と異なる第2のテラヘルツ領域の電磁放射線を検出することができる。
第1の検出器の反射層は、第2の検出器の反射層と並び、第1の検出器の絶縁材料層は、第2の検出器の絶縁材料層と並ぶ。
【0061】
言い換えれば、本発明は、異なる波長の反射組立体を得ることを可能にし、前記組立体は、多重スペクトル検出器の製造を簡略化する、ほぼ等しい厚さの組立体である。
【0062】
本発明の以上および他の特徴および利点を、添付の図面と関連付けて、特定の実施形態の非限定的な以下の説明に詳細に論じる。図面において、同一の参照符号は同一または同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
ここで、本発明による反射組立体を含むボロメータ検出器を説明する。しかし、本発明は、当然、反射組立体を含む、いかなるタイプのボロメータ検出器にも適用されることを理解されたい。
【0065】
図7および8は、テラヘルツ放射線範囲で検出するための基本的な検出器のアレイの一部分を形成する、本発明の第1の実施形態による基本的なボロメータ検出器100を示す。
【0066】
ボロメータ100は、金属パターン104の周期的なアレイがその上に堆積する支持体102を含む。ボロメータ100は、少なくとも2つの導電性固定爪108により支持体102上に懸吊されるマイクロブリッジ106も含む。
【0067】
マイクロブリッジ106は、中央部110と、中央部110を固定パッドすなわち爪108に接続する2つの断熱アーム112とから形成される。マイクロブリッジ106は、第1の電気絶縁体層114および導電層116を含み、より具体的には、絶縁体層114上に堆積する金属膜を含む。
【0068】
断熱アーム112に平行な主軸(A−A)を有する、導電材料から作成されたボウタイアンテナ118が、マイクロブリッジ106の導電層116上にさらに形成され、ボウタイアンテナ118は中央部110の片側に延びる。したがって、ボウタイアンテナ118は、導電層116と抵抗結合する。
【0069】
アンテナ118と同じ材料から作成されたフィン120、122、124も適宜、導電層116上に設けられる。フィン120、122、124、および中央部110内に配置されたボウタイアンテナ118の一部分は、電気絶縁された電気絶縁体層126で覆われ、導電層116の一部分は、覆われないままにされる。
【0070】
温度測定材料層128は、絶縁体層126により覆われないままにされた導電層116の一部分のレベルで導電層116と接触しながら、電気絶縁体層126上にさらに堆積する。
【0071】
支持体102は、検出器の動作波長範囲で低吸収係数を有する絶縁層130と、層130の下に配置された反射体132とを含む。層130、反射体132、およびアレイ104は、対象となる波長に関する反射組立体を形成する。その際、検出器読取回路を含む機能層134が、反射体132の下に設けられ、機能層134は、層130を横切る導電性ビア133により爪108に電気接続する。
【0072】
周期的なアレイ104は、少なくとも1つの周期性の軸、例えば1組の平行な金属ストリップを有しており、より好ましくは、放射偏光に対する感度が低い少なくとも2つの周期性の軸、例えば、1組の矩形、正方形、円形、特にエルサレム十字架または三芒星などの形態の星形パッドを有する。
【0073】
層130は、1から15マイクロメートルの間の範囲、好ましくは8から15マイクロメートルの間の範囲、好ましくは12マイクロメートル程度の厚さを有し、特に、ビア133を容易に構築するようにする。
【0074】
周期的なアレイ104は、その周期性の軸のそれぞれに沿って、λ/12からλ/20の間の範囲のピッチ(λは、検出すべき放射線の波長であり、例えばボウタイアンテナを設計するための波長でもある)、好ましくは、例えば8行8列の金属パッドの周期的なアレイに対応する、ほぼλ/16に等しいピッチを有する。
【0075】
次いで、共振波長を正確に設定するために、2つの隣接するパターンの間の前記軸に沿った寸法Lおよび空隙lの合計(L+l)に対する周期性の軸に沿ったパターンLの寸法の比率として定義される、それぞれの周期性の軸に従うアレイの充填率が選択される。パターンの寸法Lが決定され、層130の厚さが決定されると、空隙lの値が選択されるのが好ましく、この決定は、その結合性、その堆積物寿命などの技術基準に基づいて行われる。
【0076】
特に、充填率は、95%から99.5%の間、より好ましくは97.5%から99.5%の間の範囲である。
【0077】
したがって、マイクロブリッジ106のレベルで、前記ブリッジ上の入射放射線と、反射組立体により反射された放射線との間の干渉による強め合いが得られる。他方、マイクロブリッジ106は、数マイクロメートル程度、したがって入射放射線の波長よりも十分小さい高さe
bolometer cavity、有利には、2マイクロメートルなどの3マイクロメートルよりも小さい高さに懸吊されているので、マイクロブリッジ106は、電磁界強度が最大になる領域に配置される。
【0078】
いくつかの例では、30マイクロメートルピッチで配置された、29.3マイクロメートルから29.65マイクロメートルの間の範囲、好ましくは29.65マイクロメートルの辺長を有する正方形パターンの周期的なアレイを支持する、11マイクロメートルの厚さを有するシリコン酸化物層130は、マイクロブリッジ106による450マイクロメートル波長(すなわち670GHz周波数)の最大吸収を可能にする。
【0079】
同じ層130では、10マイクロメートルピッチで配置された、9.90マイクロメートルから9.95マイクロメートルの間の範囲、好ましくは9.95マイクロメートルの辺長を有する正方形パターンの周期的なアレイは、マイクロブリッジ106による200マイクロメートル波長(すなわち1.5THz周波数)の最適吸収を可能にする。
【0080】
動作中、テラヘルツ領域の電磁放射線は、ボウタイアンテナ118により捕捉される。アンテナ118により捕捉された電磁出力は、ほぼフィン120、122、124の間に配置された導電層116の一部分内で熱に変換される。
【0081】
次に、導電層116と接触する温度測定素子128は、前記接触のために熱を受け、したがって、その変化した抵抗値がわかる。その際、温度測定素子128にバイアスをかけるための電極としても使用される導電層116は、温度測定素子128に例えばバイアス電圧をかけるために、したがって、それ自体既知のように、その抵抗値変化がわかるようになるようにそれに電流を通すために、常時バイアスがかけられる。
【0082】
ここで、説明したばかりの検出器を製造するための方法を
図9〜11と関連付けて開示する。
【0083】
図9に示すように、検出器の反射組立体104、130、132は、例えば、検出器の動作波長において可能な最低の吸収係数を有するのが好ましいアルミニウム層130などの、読取回路134上に配置された反射体132を含む。例えば、層130は、SiO、SiO
2、SiN、Ta
2O
5、Ta
2O
5−TiO
2、HfO
2、SrTiO
3、Ba
l−xSr
xTiO
3またはその混合物から形成される。反射組立体は、アレイ104も含む。
【0084】
アレイ104および層130は、上述のように、マイクロブリッジ106のレベルでの干渉による強め合いを得るようにさらに選択され、検出すべきテラヘルツ放射線用の共振空洞を得る。
【0085】
例えば固定爪108に続く電気接続部133は、さらに層130を横切る。例えば、通常の技法により、ビアが層130内に形成され、このように形成されたビアは、平坦化技法と関連するダマシン技術により、タングステン、アルミニウム、または銅などの金属で満たされる。
【0086】
支持体102およびアレイ104が製造されると、0.5マイクロメートルから5マイクロメートルの間、好ましくは0.5μmから2.5μmの間の範囲の厚さを有する、例えばポリイミドから作成された犠牲層140が、アレイ104および層130上に形成される。犠牲層の厚さは、マイクロブリッジ106の機械的保持(静電結合)、および支持体102に対するマイクロブリッジ106の断熱要求に適合しながら、できる限り小さくなるように選択されるのが好ましい。
【0087】
次に、絶縁体層114が犠牲層140上に堆積され、その後、例えばTi、TiN、Pt、NiCrなどから作成された薄い金属膜116が、絶縁体層114上に堆積される。
【0088】
上述のように、金属膜116は、断熱アーム112を介した電力供給および温度測定素子128の読取りの機能、およびボウタイアンテナ118に接触するその表面による抵抗電荷(resistive charge)機能を確実にする。
【0089】
それぞれが0.005マイクロメートルから0.05マイクロメートルの間の範囲の厚さを有する、絶縁体層114および膜116は、好ましくは、PECVD(「プラズマ化学気相堆積法」)またはカソードスパッタリングにより堆積され、次に化学的に、またはプラズマによりエッチングされ、断熱アーム112を形成する。金属膜116はさらに、化学的に、またはプラズマによりエッチングされ、上にフィン120、122、124およびアンテナ118が形成されることになる中央部142と、温度測定素子128の電力供給およびその読取りのために温度測定素子128に接触することになる側方部144とを形成する。
【0090】
マイクロブリッジ106の読取回路134からの効率的な断熱を実現するために、金属膜116の面抵抗率を有利に選択する。金属膜116の面抵抗率は、マイクロボロメータアームに関する高い熱抵抗値を得るために、100Ω/スクエアから500Ω/スクエアの間の範囲であるのが好ましい。最終的に、金属膜116は、接続部132と同様に、犠牲層140を通して形成された導電固定爪108を介して読取回路134に接続される。
【0091】
アンテナ118およびフィン120、122、124は、アルミニウム、タングステンシリサイド、チタンなどの導電材料から形成される。それらを形成するために、0.1マイクロメートルから0.5マイクロメートルの間の範囲の厚さを有する導電材料の層は、カソードスパッタリング、または低圧化学気相堆積法(LPCVD)、またはプラズマ化学気相堆積法(PECVD)により、金属膜116の中央部142上に堆積され、その後、化学エッチング、プラズマエッチングにより、または前記層に適用されるリフトオフ形式の技法により、第2のアンテナおよびフィンが形成される。変形形態として、アンテナおよびフィンは、金属多重層から形成される。
【0092】
このように形成されたアンテナ118およびフィン120、122、124は、テラヘルツ電磁放射線を電流に変換する領域を画定し、電流を熱出力に変換する、金属膜116の露出領域を画定する。
【0093】
次に、アンテナ118およびフィン120、122、124は、SiN、SiO、ZnSなどの絶縁材料の層126で覆われる(
図11)。フィン120、122、124と温度測定素子128との間のいかなる短絡も避けるために、0.005マイクロメートルから0.1マイクロメートルの間の範囲の厚さを有する層126が形成される。層126は、例えば、カソードスパッタリングまたはプラズマ気相堆積法(PECVD)などの低温堆積技法により形成される。次に、層126は、温度測定素子128が接続されることになる金属膜116の側方部144および断熱アーム112を露出させるために、例えば、化学的に、またはプラズマによりエッチングされる。
【0094】
次に、例えば、スパッタリングなどの低温堆積技法により、層126および側方部144上に、温度測定素子128が堆積される。温度測定素子128を形成する材料は、例えば、Si、Ge、SiC、a−Si:H、a−SiGe:H、金属材料、またはバナジウム酸化物、またはマグネタイト酸化物などの非結晶または多結晶の半導体である。この材料は、非ゼロ抵抗温度係数(TCR)を有する必要がある。言い換えれば、その抵抗値は、温度に応じて変化する。
【0095】
最終的に、犠牲層140は、その特性が剥離技法を決定するが、好ましくは化学エッチングまたはプラズマエッチングにより除去される。
【0096】
観測することができるように、本発明による検出器を形成する材料のエッチングは、主にまたは単独に、プラズマ増強することができる化学エッチング技法により行われており、そうした技法は、正確で再現可能なエッチングを提供する。
【0097】
図12の簡略化断面図は、説明したばかりの実施形態の変形形態を示し、この変形形態は、さらに本発明により、いかなる共振空洞でも形成することができる。
【0098】
この変形形態は、例えば、マイクロブリッジ106を読取回路134に接続するために使用されるビア133とほぼ同一の、アレイ104のパターンを反射体132に接続する金属化ビア150の存在により説明したばかりの検出器と異なる。これは、放射線がマイクロブリッジ106、したがって反射組立体104、130、132に斜め入射で到達する際の吸収効率を増加させることができる。実際、その際に、各パターンと、それに最も近いパターンとの間に電流が流れるので、誘導性効果は、容量性効果を増加させる。
【0099】
さらに、この変形形態は、上述した方法に対して追加の製造ステップを導入せず、ビア150は、ビア133と同時に製造される。
【0100】
アンテナを有するボロメータ検出器を説明してきたが、アンテナは、マイクロブリッジ内に懸吊されている。本発明は、1つまたは複数のアンテナが支持体上に形成された検出器にも適用される。
【0101】
そうしたアンテナを含む、本発明の第2の実施形態を
図13〜15と関連付けて説明する。本実施形態は、周期的なパターンアレイ104上に堆積された絶縁体層160を含む点、および第1のアンテナ118を形成する材料などの導電材料から作成された第2の平面ボウタイアンテナ162が絶縁体層160上に形成される点で、
図7および8と関連付けて説明したものと異なる。第2のアンテナ162は、第1のアンテナ118と交差し、第1のアンテナの主軸(E−E)に垂直な主軸(D−D)を有する。
【0102】
第2のアンテナ162は、フィン120、122、124と容量結合し、その表面のいくつかは、その反対にある。フィン120、122、124は、さらに第2のアンテナ162とのインピーダンス整合を実現するように選択される。特に、フィンは、関係
【0104】
に従うように選択されるが、ここで、fは検出すべき放射線の周波数、Cは第2のアンテナ162とフィン120、122、124との間に形成される静電容量値、Rはフィン120、122、124と直列の抵抗器の値である。マイクロブリッジ106と支持体102とを分離する空洞の厚さは、マイクロブリッジの機械的保持(静電結合)、および断熱制約に適合しながら、できる限り小さくなるように選択されるのが好ましい。
【0105】
したがって、第2のアンテナ162により捕捉された電磁出力は、容量結合によりフィン120、122、124に伝達される。次に、フィン120、122、124に伝達された電磁出力は、上にフィンが形成され、したがってフィンが電気接触する、ほぼフィンの間に配置された導電層116の領域内で熱に変換される。
【0106】
SiN、SiO、ZnSなどから作成された絶縁体層160は、例えばカソードスパッタリングまたはPECVDなどの低温堆積技法によりアレイ104上に堆積される。アルミニウム、タングステンシリサイド、チタンなどの導電材料から作成された第2のアンテナ162は、例えば、通常のフォトリソグラフィ技法により絶縁体層160上に形成され、0.1マイクロメートルから0.5マイクロメートルの間の範囲の厚さを有する。
【0107】
交差したボウタイアンテナを有するそうした検出器は、同じ平面上には配置されておらず、同じ支持体上には堆積されていないボウタイアンテナの減結合と、アンテナのそれぞれに関してさらに独立に達成される、フィンによる最適なインピーダンス整合と、抵抗性負荷の極めて小さい表面積とを達成することができ、したがって、第1近似として負荷表面積に比例する、検出器の赤外線放射との結合を減少させる。
【0108】
テラヘルツ放射線範囲における検出用に設計された検出器を説明してきた。より具体的には、検出器の特性、特にアンテナの幾何学的配置および反射組立体の特性が、特定の波長に対して決定され、その際、この波長付近を中心とする範囲で検出が行われる。
【0109】
本発明は、有利にも、異なる波長、したがって入射放射線の異なる波長に対して同じ厚さの反射組立体を提供する。
【0110】
図16は、並べて配置され、一定の厚さの共通の支持体を共有する、
図7および8と関連付けて説明した2つの検出器などの2つの検出器100a、100bを含むバイスペクトル検出器200を概略的に示す断面図である。特に、反射組立体に含まれる絶縁体層130a、130bの厚さは、一定であり、これらの検出器のそれぞれの周期的なパターンアレイ104a、104bは、2つの異なる波長範囲における共振現象を得るために設計される。必要に応じて、一定の厚さの反射組立体を得るために、最小の波長に関する検出器には、従来の反射組立体を設けることができ、最大の波長範囲には、本発明による反射組立体を設けることができる。
【0111】
多重スペクトル検出器200により、通常「大気の窓」と呼ばれる、大気が透過的であることがわかる2つの波長範囲、すなわち670GHz付近の第1の範囲および850GHz付近の第2の範囲における検出、例えば撮像機能を実施することができる。
【0112】
検出材料の特性を特定するための分光分析機能の実施と共に、大気の窓の1つなどの第1の範囲における検出、例えば撮像機能を実施することもできるが、検出材料の特性の特定は、2から3THzまでの範囲で行われる。
【0113】
当然、3つ以上の異なる検出器を共に使用することができる。
【0114】
同様に、本発明は、アレイ検出器の単位検出素子すなわち「ピクセル」のスペクトル検出範囲を拡大することができる。
【0115】
特に、撮像素子の解像度は、光学素子およびセンサから形成された光学システムの周波数応答を特徴づける、撮像素子の変調伝達関数すなわち「MTF」により決定されることがわかる。回折現象によってのみ限定される解像度を有する理想的な光学システムでは、検出波長λに関するシステム解像度は、それに与えられる値1.22xλxNを有するが、ここで、Nは光学システムの開口数である。ここで、アレイ検出器のピクセルピッチは、通常、λ/2に等しいが、ピクセル寸法は、テラヘルツ領域におけるシステム解像度を限定する特性ではない。
【0116】
したがって、本発明の一実施形態によれば、ピクセル検出範囲を拡大するために、有利にも、ピクセル寸法のサブ波長特性を使用することができる。
【0117】
図17を参照すれば、解像度Δlの光学システムでは、関連する反射組立体およびアンテナを有するいくつかの膜が、表面積ΔlxΔlの正方形内に含まれ、4つの波長λ
1、λ
2、λ
3、λ
4などのいくつかの波長において観測される、同じ状態点から生じる放射線の検出器を形成する。
【0118】
したがって、検出素子100a、100b、100c、100dから形成されたマクロピクセルのアレイ300が得られ、前記素子の寸法は、λ
1/2、λ
2/2、…λ
n/2のうちの最大値以下であり、これらの素子のそれぞれは、特定の吸収周波数を有する。同時に生じる周波数の数は、捕捉表面積の減少によってのみ限定され、所与の周波数に対して係数1/nだけ減少する。
【0119】
当然、本発明は、当業者が容易に想到する、様々な変形形態、変更形態、および改良を含む可能性がある。そうした変形形態、変更形態、および改良は、本開示の一部であるものとし、本発明の趣旨および範囲内にあるものとする。したがって、以上の説明は、例示のためだけのものであり、限定を目的とするものではない。本発明は、以下の特許請求の範囲およびそれらと均等なものに規定されるものとしてのみ限定される。