特許第6084042号(P6084042)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6084042商品仕分けシステムおよび商品仕分け方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6084042
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】商品仕分けシステムおよび商品仕分け方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20170213BHJP
   B65G 1/04 20060101ALI20170213BHJP
   B65G 1/08 20060101ALI20170213BHJP
【FI】
   B65G1/137 E
   B65G1/137 F
   B65G1/04 501
   B65G1/08 A
【請求項の数】21
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2013-3305(P2013-3305)
(22)【出願日】2013年1月11日
(65)【公開番号】特開2014-133643(P2014-133643A)
(43)【公開日】2014年7月24日
【審査請求日】2015年10月30日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成24年9月11日に東京ビックサイトでの「国際物流展2012」にて出展
(73)【特許権者】
【識別番号】000196705
【氏名又は名称】西部電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126712
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 督生
(72)【発明者】
【氏名】古賀 直幸
(72)【発明者】
【氏名】白竹 健一
(72)【発明者】
【氏名】藤本 直哉
【審査官】 八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−225582(JP,A)
【文献】 特開2000−238905(JP,A)
【文献】 特開2006−213493(JP,A)
【文献】 特開平11−208830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00−1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の列および段により仕切られる複数の配置棚を有する自動倉庫と、
前記自動倉庫に複数の種類の商品アイテムを入庫する入庫ラインと、
前記複数の配置棚に保管されている前記複数の種類の前記商品アイテムの内、所定の種類の商品アイテムを、作業者の仕分けのために設置するフローラックと、
前記入庫ラインから入庫する前記商品アイテムを前記配置棚に配置すると共に、前記配置棚に保管されている前記商品アイテムを前記フローラックに移動して設置するクレーンと、
前記フローラックから仕分けされる前記商品アイテムを詰める配送ケースを搬送する搬送レーンであって、前記搬送レーンの一方は、前記配送ケースを投入する投入部を有し、他方は、前記配送ケースを排出する排出部を有し、
前記搬送レーンが、前記フローラックを挟んで、前記自動倉庫と対向する位置に設けられる前記作業者の作業領域と、を備え、
前記入庫ラインは、前記商品アイテムを搬送させることで、前記商品アイテムを前記自動倉庫に入庫させ、
前記クレーンは、前記入庫ラインから入庫した前記商品アイテムを移動させて、前記配置棚のいずれかに配置し、
前記クレーンは、前記配置棚に保管されている前記商品アイテムの内、仕分け対象候補の商品アイテムを、前記フローラックに移動させて設置し、
前記作業者は、前記作業領域において、前記フローラックに設置されている前記商品アイテムの内、前記搬送レーンに搬送されてくる前記配送ケースに詰めるべき商品アイテムを、選択して詰め、
前記フローラックは、前記作業者の作業対象となる所定の前記配送ケースに仕分ける対象商品アイテムに、表示を行う表示部を備え、
前記作業者は、前記表示部が仕分け対象として表示される前記商品アイテムを前記フローラックから取り出して、作業対象の前記配送ケースに詰め込む仕分け作業を行い、
前記仕分け作業後の、所定時間および所定仕分け作業回数の少なくとも一方を越えた期間まで残っている前記商品アイテムは、残り商品アイテムとして定義されて、前記フローラックから前記配置棚に戻される、商品仕分けシステム。
【請求項2】
前記作業領域においては、前記作業者の前面に前記搬送レーン上を搬送される前記配送ケースが到達し、前記作業者の後方に仕分け対象となる前記商品アイテムを設置する前記フローラックが位置し、
前記作業者は、後方に位置する前記フローラックに設置されている前記商品アイテムから、前面に到達している前記配送ケースに詰めるべき商品アイテムを選択して、前記配送ケースに詰める、請求項1記載の商品仕分けシステム。
【請求項3】
前記配送ケースは、前記搬送レーンを前面としている作業者の一方から他方へ搬送されるので、前記作業者は、前記作業領域において、略一定の範囲の立ち位置で、前方、後方を中心とした動線によって、仕分け対象の前記商品アイテムを、前記配送ケースに詰める、請求項1又は2記載の商品仕分けシステム。
【請求項4】
前記搬送レーンは、前記投入部より前記自動倉庫から離れる方向に延伸し、所定距離延伸したところで湾曲もしくは屈曲して、前記自動倉庫と略平行に延伸して、前記排出部に到達する、請求項1から3のいずれか記載の商品仕分けシステム。
【請求項5】
前記クレーンは、前記複数の配置棚のそれぞれに、同一種類、同一形状および同一サイズの少なくとも一つで揃えられる前記商品アイテムを、単数もしくは複数配置する、請求項1から4のいずれか記載の商品仕分けシステム。
【請求項6】
前記クレーンは、前記複数の配置棚のそれぞれに複数の前記商品アイテムを配置する場合に、前記複数の前記商品アイテム同士の距離を、略等間隔にして配置する、請求項5記載の商品仕分けシステム。
【請求項7】
前記フローラックは、前記複数の配置棚の一部に対向すると共に前記自動倉庫の高さ方向および横方向のいずれかの前記配置棚に対応して装着される、請求項1から6のいずれか記載の商品仕分けシステム。
【請求項8】
前記作業者は、前記仕分け作業後には、前記配送ケースは、前記作業対象の前記配送ケースに必要な全ての前記商品アイテムが詰められた状態の前記配送ケース(以下、「完成配送ケース」という)と、前記作業対象の前記配送ケースに必要な前記商品アイテムが不足している状態の前記配送ケース(以下、「仕掛かり配送ケース」という)と、に分けられる、請求項1記載の商品仕分けシステム。
【請求項9】
前記フローラックは、前記残り商品アイテムとなりやすい前記商品アイテムの履歴を記録し、前記クレーンは、前記入庫ラインから入庫される当該商品アイテムを、前記フローラックの位置から遠い配置棚に配置する、請求項1記載の商品仕分けシステム。
【請求項10】
前記搬送レーンは、排出部の手前で分岐して、先端部が前記自動倉庫に向かう分岐レーンを有し、
前記仕掛かり配送ケースは、前記仕分け作業後に、前記分岐レーンを通じて、前記自動倉庫の備える配置棚に戻される、請求項8記載の商品仕分けシステム。
【請求項11】
前記クレーンは、前記分岐レーンの先端に到達した前記仕掛かり配送ケースを、前記配置棚に移動して配置する、請求項10記載の商品仕分けシステム。
【請求項12】
前記配置棚に戻された前記仕掛かり配送ケースは、前記投入部から再び前記搬送レーンに投入され、再度の前記仕分け作業において、前記フローラックに設置される不足していた前記商品アイテムを詰められる、請求項11記載の商品仕分けシステム。
【請求項13】
前記分岐レーンは、前記完成配送ケースを、所定条件の場合に、前記分岐レーンを経由して、前記自動倉庫の配置棚に戻す、請求項10記載の商品仕分けシステム。
【請求項14】
前記所定条件は、同じ仕分け条件で同じ組み合わせの前記商品アイテムが詰められる前記完成配送ケースが、所定数以上連続する場合、所定時間以上連続する場合、所定期間内に所定数以上となる場合、排出後の前記完成配送ケースを取り扱う次工程の準備未完了の場合の少なくとも一つの場合を含む、請求項13記載の商品仕分けシステム。
【請求項15】
前記搬送レーンは、前記所定条件以外の場合には、前記完成配送ケースを前記排出部に送り出す、請求項13または14記載の商品仕分けシステム。
【請求項16】
前記複数の配置棚の少なくとも一部は、前記商品アイテムの底面の少なくとも一部に接触する箇所に、滑り止めを有する、請求項1から15のいずれか記載の商品仕分けシステム。
【請求項17】
複数の列および段により仕切られる複数の配置棚を有する自動倉庫に複数の商品アイテムを入庫させる入庫ステップと、
前記複数の配置棚のいずれかに、前記入庫ステップで入庫した複数の商品アイテムのそれぞれを、クレーンを用いて配置して保管する配置ステップと、
前記配置棚に保管されている前記商品アイテムの内、仕分け対象候補の商品アイテムを、前記配置棚の一部に対向して装着されたフローラックに設置する設置ステップと、
前記フローラックから仕分けされる前記商品アイテムを詰める配送ケースを搬送する搬送レーンであって、その一端から前記配送ケースを投入する投入ステップと、
前記搬送レーンで作業者の前面に搬送される前記配送ケースに詰めるべき前記商品アイテムを、前記フローラックから選択して詰める仕分けステップと、
前記仕分けステップの完了した前記配送ケースを、前記搬送レーンが、前記投入ステップで用いられる投入部と逆側に設けられる排出部に、排出する排出ステップと、を備え、
前記搬送レーンが、前記投入部から前記自動倉庫から離れる方向に延伸し、所定距離延伸したところで湾曲もしくは屈曲して、前記フローラックを挟んで、前記自動倉庫と略平行に延伸して、前記排出部に到達する構成を有することで、前記作業者の作業領域を形成し、
前記作業領域では、作業者の前面に前記搬送レーンで搬送される配送ケースが到達し、前記作業者の背面に、仕分け対象となる前記商品アイテムが設置される前記フローラックが位置し、所定範囲内での前後の身体の向き変更での動線で、前記作業者は、前記仕分けステップを行え、
前記フローラックは、前記作業者の作業対象となる所定の前記配送ケースに仕分ける対象商品アイテムに、表示を行う表示部を備え、
前記作業者は、前記表示部が仕分け対象として表示される前記商品アイテムを前記フローラックから取り出して、作業対象の前記配送ケースに詰め込む前記仕分けステップを行い、
前記仕分けステップ後の、所定時間および所定仕分け作業回数の少なくとも一方を越えた期間まで残っている前記商品アイテムは、残り商品アイテムとして定義されて、前記フローラックから前記配置棚に戻される、商品仕分け方法。
【請求項18】
前記仕分けステップは、所定の前記配送ケースに仕分けるべき前記商品アイテムを、前記フローラックから取り出して、前記所定の前記配送ケースに詰め込み、
前記仕分けステップ完了後に、
前記配送ケースは、前記作業者の作業対象となる前記配送ケースに必要な全ての前記商品アイテムが詰められた状態の前記配送ケース(以下、「完成配送ケース」という)として、定義される場合と、
前記作業対象の前記配送ケースに必要な前記商品アイテムが不足している状態の前記配送ケース(以下、「仕掛かり配送ケース」という)と、に定義される場合と、を生じさせる、請求項17記載の商品仕分け方法。
【請求項19】
前記仕分けステップ完了後に、前記配送ケースが、前記仕掛かり配送ケースとして定義される場合には、
前記搬送レーンは、排出部の手前で分岐して、先端部が前記自動倉庫に向かう分岐レーンを有し、前記仕掛かり配送ケースが、前記分岐レーンを通じて、前記自動倉庫の備える配置棚に戻される、第1戻りステップを、更に備える、請求項18記載の商品仕分け方法。
【請求項20】
前記仕分けステップ完了後に、前記配送ケースが、前記完成配送ケースとして定義される場合であって、所定条件を満たす場合には、
前記完成配送ケースが、前記分岐レーンを通じて、前記自動倉庫の備える配置棚に戻される、第2戻りステップを更に備え、
前記所定条件は、同じ仕分け条件で同じ組み合わせの前記商品アイテムが詰められる前記完成配送ケースが、所定数以上連続する場合、所定時間以上連続する場合および所定期間内に所定数以上となる場合、排出後の前記完成配送ケースを取り扱う次工程の準備未完了の場合の少なくとも一つの場合を含む、請求項19記載の商品仕分け方法。
【請求項21】
前記仕分けステップ完了後に、前記フローラックに設置されている商品の少なくとも一部が、前記残り商品アイテムとして定義される場合には、
前記残り商品アイテムを、前記クレーンによって、前記配置棚に戻す、第3戻りステップを更に有し、
第3戻りステップでは、前記残り商品アイテムとなりやすい履歴を有する前記商品アイテムを、前記フローラックから遠い配置棚に配置する、請求項17記載の商品仕分け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な種類や個数の商品、物品(以下、「商品アイテム」という)を一次保管する自動倉庫に、搬入、保管、仕分け、搬出の全てを、コンパクトにまとめつつ作業者の省力化を図りながら、これらの作業手順を短時間で処理できる商品仕分けシステムおよび商品仕分け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の製品を製造する工場、製品を流通させる配送センター、製品の集積・配送を行う集積倉庫などにおいては、配送先にあわせた単数もしくは複数の種類、単数もしくは複数の個数の商品アイテム(商品アイテム群)を、配送ケースに仕分けることが必要である。例えば、ある配送先には、商品アイテムAを2個、商品アイテムBを3個および商品アイテムCを1個、を配送する必要がある。このとき、商品アイテムを、単数もしくは複数の配送ケースに仕分けして、この配送ケースを、次のステージである配送業務に渡す必要がある。
【0003】
ここで、上述のような工場、配送センター、集積倉庫においては、仕分けを必要とする商品アイテムを一時的に保管する自動倉庫を有している。自動倉庫は、立体形状を有する、複数の列、段からなる構造物であり、要は大きな棚のようなものである。棚であるので、それぞれの列や段に、様々な種類と数の商品アイテムが一時的に配置(保管)される。商品仕分けにおいては、この自動倉庫に配置されている複数の種類、複数の個数の商品アイテムから、配送先に必要となる商品アイテムを選択して配送ケースに詰めて、配送業務に引き渡される。
【0004】
当然ながら、自動倉庫を構成する複数の棚(段と列)から、作業者が人力で必要となる商品アイテムを探して配送ケースに詰めてもよい。しかしながら、作業者の体力負担と能力に頼った仕分け作業は、作業速度、作業効率、作業精度のいずれにとっても好ましくなく、特に国際競争の厳しい現在においては工場での作業コスト削減が求められる。このため、作業者のみに頼る商品仕分け作業が、工場や配送センターにおいて採用されることは困難である。
【0005】
一方で、商品アイテムを一時的に保管する自動倉庫は、自動倉庫の棚に保管される商品アイテムを棚に設置したり、棚に保管されている商品アイテムを取り出したりするクレーンを備えている。このクレーンにより、自動倉庫の棚に保管されている様々な商品アイテムを、直接的に配送ケースに詰めることが考えられる。この結果、人力作業が省力化されると考えられるからである。
【0006】
しかしながら、工場や配送センターなどで用いられる自動倉庫は、小型のものであっても所定の大きさを有しており、棚のあちらこちらに保管されている商品アイテムの位置に次々とクレーンが移動して、1つの配送ケースに複数の商品を詰めることは、効率が悪い。様々な位置に保管されている商品アイテムにクレーンが次々と移動しなければならないとすれば、当然ながらクレーンの移動量、移動方向変化回数などが多くなってしまう。これは、クレーンの動作時間を長くするだけであって、人力と比較して精度は上がっても作業時間を短縮できることにはなりにくい。また、クレーンの動作には機械動作と電気動作を必要とするので、エネルギーコストや騒音などの問題を生じさせることもある。
【0007】
このため、現在では、自動倉庫と配送ケースへの仕分けとの間に、フローラックと呼ばれる仕分け対象商品が集中的に配置される、中間要素を用いることが行われる。すなわち、大型で多くの棚を有する(ということは、広い範囲に渡って商品アイテムが保管されている)自動倉庫から、狭い範囲に集中的に仕分け対象商品アイテムが配置されるフローラックに、商品アイテムが移動する。このフローラックを中間要素としてこのフローラックから、作業者が配送ケースに必要な商品アイテムを詰めるという、商品仕分けが行われるようになっている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−123283号公報
【特許文献2】特開2007−176658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1および特許文献2のそれぞれは、商品仕分け装置や商品仕分け装置に必要となる技術を開示している。これらの特許文献に開示される技術は、自動倉庫にフローラックが設けられ、自動倉庫からこのフローラックへ商品アイテムを、クレーンなどの自動であるいは人力によって移動させる。次いで、フローラックには、仕分けに必要な商品アイテムが並ぶ状態となるので、作業者が、このフローラックから必要な商品アイテムを取り出して、配送ケースに詰める。配送ケースは、コンベアラインに設置されており、必要な商品アイテムが詰められた配送ケースは、コンベアラインの移動に合わせて、次のステージに排出される。
【0010】
次のステージでは、配送ケースが実際の配送のためのパレットや大型ケースに集積されて、工場や配送センターから、各所(商店や次の工場あるいは次の配送センターなど)に、運送される。
【0011】
過去においては、少品種大量生産が主流だったこともあり、自動倉庫は非常に大型であって、コンベアラインも非常に長い商品仕分け装置が主流であった。仕分けを行う対象となる商品アイテムが少ないので、一度に多くの配送ケースに対する商品アイテムのつめこみが可能であるので、自動倉庫の大きさに合わせてフローラックも大きくなる。このため、作業するスペースが広く確保でき、この広い作業スペースに多くの作業者を配置して、多くの作業者が同時に仕分け作業(フローラックから配送ケースに商品アイテムを詰める作業)を行うことが主流であった。
【0012】
これは、上述の通り、少品種大量生産が主流だったことや、広大な敷地の工場や配送センターに、多くの自動倉庫を配置することが可能だったこともあり、自動倉庫毎に商品アイテムの種類を分けて、ある種類の商品アイテムの仕分け作業を、ある自動倉庫を中心とした商品仕分け装置で集中的に行い、別の種類の商品アイテムの仕分け作業を、別の自動倉庫を中心とした商品仕分け装置で集中的に行うことも行われていた。
【0013】
しかしながら、近年は多品種少量生産、多品種大量生産など、工場や配送センターでの性質が変化してきている。また、工場や配送センターの敷地を大きく取ることは、企業にとってはリスク負債を抱え込む危険性もあり、コンパクトな敷地でコンパクトな作業を行いたい要望が強い。特に、工場や配送センターから最終的に商品アイテムが運送される先は、コンビニエンス店舗や小型商店などであることが多くなっており、さまざまな種類の商品アイテムを、小型の配送ケースに細かく詰める仕分け作業が要求されるようになっている。
【0014】
これらは、例えば食品、衣料品、機械部品、日用品などで顕著になってきており、従来のように、広大な工場や配送センター内部に、大型の自動倉庫と、これに合わせた大型のコンベアや多人数の作業者を配置する、商品仕分け装置は、次第に主流から外れてきている。
【0015】
現在では、多品種少量生産、工場や配送センターそのもののコンパクト化、省力化、少人数化が求められており、商品仕分け装置そのものも、コンパクト化されて、省力作業によって、商品アイテムの仕分けが行われることが求められている。特に、我が国だけでなく、新興国に工場を展開する企業が増えている中で、コンパクト化された商品仕分け装置が求められる傾向が生じてきている。産業構造の変化に伴い、このような傾向が今後も顕著になっていくものと考えられる。
【0016】
このような傾向に照らした場合には、特許文献1、特許文献2に代表されるような従来技術の商品仕分け装置には、次のような問題があった。
【0017】
(問題1)少品種大量生産が前提であるので、自動倉庫への商品アイテムの入庫、自動倉庫の棚に対する商品アイテムの配置、自動倉庫からフローラックへの商品アイテムの移動、フローラックから配送ケースへの詰め込み、配送ケースの排出などの、商品仕分け装置に必要となるそれぞれの要素が、分離していたり、まとまっていなかったりして、商品仕分け装置が、コンパクト化されていない。
コンパクト化されていない場合には、多品種少量生産を行う工場などに適用しようとすると、無駄や無理が多くなってしまう事となる。
【0018】
(問題2)自動倉庫の棚に商品アイテムを配置する際に、多品種によって大きさや形状の異なる商品アイテムが、同じ段や同じ列の中に配置されてしまい、自動倉庫の保管能力の効率的運用ができていなかった(自動倉庫の小型化ができないことに繋がっていた)。
【0019】
(問題3)問題2に基づいて、クレーンの移動距離が大きくなりすぎて、商品アイテムの自動倉庫への配置、自動倉庫からフローラックへの商品アイテムの移動などに、無駄な時間とエネルギーコストを要していた。
【0020】
(問題4)問題1、2に基づいて、自動倉庫への商品アイテムの入庫、入庫した商品アイテムの自動倉庫への棚への保管、保管されている商品アイテムのフローラックへの移動、商品アイテムの詰め込みのための配送ケースの搬送、フローラックから配送ケースへの商品アイテムの仕分けと詰め込み、商品アイテムが詰め込まれた配送ケースの排出、排出された配送ケースの次のステージへの運搬などの、個々の処理手順が、一連となりにくかったり、不要な重複を生じさせたり、手順が入れ替わったりするなどの問題があった。このように、処理手順がスムーズに進まないことでの、商品仕分けでの余分な時間が掛かるなどの問題があった。
【0021】
(問題5)多品種となることで、1つの配送ケースに詰める必要のある全ての商品アイテムがフローラックに揃っていない場合には、仕分け未完了のいわゆる仕掛配送ケースが生じてしまう。このような仕掛配送ケースは、商品仕分け装置とは、別のスペースに一時的に集積されて、再度商品仕分け装置に投入されて、不足する商品アイテムを詰める(場合によっては、3度以上の仕分け作業も生じる)ことが行われる問題があった。この場合にも、商品仕分け装置のコンパクト化が阻害される上、作業者が余分に必要であったり、作業者の作業負担が増加したりする問題もあった。
【0022】
(問題6)仮に問題5を解消しようとすると、フローラックを大型化して、常にフローラックに全ての商品アイテムが配置されているようにする必要があるが、そうなれば、作業者の作業動線が大きくなって省力化を図れない問題が生じたり、作業者増員が必要となったりなどの問題も生じる。
(問題7)問題5,6などの、商品仕分けにおけるエラーなどが生じると、作業手順を全てやり直さなければならないなどの問題も生じさせる。商品仕分けにおいては、ある配送ケースに詰めるべき全ての商品アイテムが完全に揃うとは限らないので、このような不整合が生じる場合への対応が必要となることも多い。しかしながら、従来技術の商品仕分け装置では、このような不整合への対応が困難で、処理のやり直しや余分な補足的処理を必要とすることも多かった。
【0023】
これら、問題1〜7が融合して、現在の産業構造の変化に適応した、コンパクトな商品仕分け装置であって、より省力化、より自動化、より低コスト化された商品仕分けシステムや商品仕分け方法が実現できない問題があった。
【0024】
本発明は、これらの問題1〜7を解決することで、現在の産業構造の要請に適応したコンパクトで省力化された商品仕分けシステム、商品仕分け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記課題に鑑み、本発明の商品仕分けシステムは、複数の列および段により仕切られる複数の配置棚を有する自動倉庫と、自動倉庫に複数の種類の商品アイテムを入庫する入庫ラインと、複数の配置棚に保管されている複数の種類の商品アイテムの内、所定の種類の商品アイテムを、作業者の仕分けのために設置するフローラックと、入庫ラインから入庫する商品アイテムを配置棚に配置すると共に、配置棚に保管されている商品アイテムをフローラックに移動して設置するクレーンと、フローラックから仕分けされる商品アイテムを詰める配送ケースを搬送する搬送レーンであって、搬送レーンの一方は、配送ケースを投入する投入部を有し、他方は、配送ケースを排出する排出部を有し、搬送レーンが、フローラックを挟んで、自動倉庫と対向する位置に設けられる作業者の作業領域と、を備え、入庫ラインは、商品アイテムを搬送させることで、商品アイテムを自動倉庫に入庫させ、クレーンは、入庫ラインから入庫した商品アイテムを把持し移動して、配置棚のいずれかに配置し、クレーンは、配置棚に保管されている商品アイテムの内、仕分け対象候補の商品アイテムを、フローラックに移動させて設置し、作業者は、作業領域において、フローラックに設置されている商品アイテムの内、搬送レーンに搬送されてくる配送ケースに詰めるべき商品アイテムを、選択して詰め、フローラックは、作業者の作業対象となる所定の配送ケースに仕分ける対象商品アイテムに、表示を行う表示部を備え、作業者は、表示部が仕分け対象として表示される商品アイテムをフローラックから取り出して、作業対象の配送ケースに詰め込む仕分け作業を行い、仕分け作業後の、所定時間および所定仕分け作業回数の少なくとも一方を越えた期間まで残っている商品アイテムは、残り商品アイテムとして定義されて、フローラックから配置棚に戻される。

【発明の効果】
【0026】
本発明の商品仕分けシステムは、自動倉庫への商品アイテムの入庫、自動倉庫の棚に対する商品アイテムの配置、自動倉庫からフローラックへの商品アイテムの移動、フローラックから配送ケースへの詰め込み、配送ケースの排出などの、商品仕分け装置に必要となるそれぞれの要素を、作業工程に合わせてまとめることで、処理手順を含んだ機構全体である商品仕分けシステムをコンパクト化できる。
【0027】
特に、コンパクト化の妨げであった、上述の問題5〜7を解決する構成を導入することで、コンパクト化された商品仕分けシステムのみで、最終的な商品仕分けを完了して、運送するだけの状態にまで仕分けることができる。
【0028】
これらの結果によって、少ない作業者が少ない動線で仕分け作業を行えるので、人件費等も削減でき、作業者の作業負担を低下させることもできる。当然ながら、作業者の精神的肉体的負担が減少し、労働衛生条件が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施の形態1における商品仕分けシステムの全体概要図である。
図2】本発明の実施の形態1における自動倉庫の正面図である。
図3】本発明の実施の形態における商品仕分けシステムの処理のフローチャートである。
図4】本発明の実施の形態1における自動倉庫の拡大図であり、配置棚をより詳細に示す正面図である。
図5】本発明の実施の形態1におけるフローラックの側面図である。
図6】自動倉庫の正面図および平面図である。
図7】本発明の実施の形態における作業者の作業状態を示す説明図である。
図8】自動倉庫とクレーンとの位置関係を示す図面である。
図9】本発明の実施の形態における配置棚に滑り止めが施された状態を示す斜視図である。
図10】本発明の実施の形態3における商品仕分けシステムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の第1の発明に係る商品仕分けシステムは、複数の列および段により仕切られる複数の配置棚を有する自動倉庫と、自動倉庫に複数の種類の商品アイテムを入庫する入庫ラインと、複数の配置棚に保管されている複数の種類の商品アイテムの内、所定の種類の商品アイテムを、作業者の仕分けのために設置するフローラックと、入庫ラインから入庫する商品アイテムを配置棚に配置すると共に、配置棚に保管されている商品アイテムをフローラックに移動して設置するクレーンと、フローラックから仕分けされる商品アイテムを詰める配送ケースを搬送する搬送レーンであって、搬送レーンの一方は、配送ケースを投入する投入部を有し、他方は、配送ケースを排出する排出部を有し、搬送レーンが、フローラックを挟んで、自動倉庫と対向する位置に設けられる作業者の作業領域と、を備え、入庫ラインは、商品アイテムを搬送させることで、商品アイテムを自動倉庫に入庫させ、クレーンは、入庫ラインから入庫した商品アイテムを移動させて、配置棚のいずれかに配置し、クレーンは、配置棚に保管されている商品アイテムの内、仕分け対象候補の商品アイテムを、フローラックに移動させて設置し、作業者は、作業領域において、フローラックに設置されている商品アイテムの内、搬送レーンに搬送されてくる配送ケースに詰めるべき商品アイテムを、選択して詰める。
【0031】
この構成により、商品仕分けシステムは、作業者の作業領域も含めて非常にコンパクト化できて、様々な工場や配送センターに、フレキシブルに設置できる。適用範囲が広いことで、普及も促進される。
【0032】
本発明の第2の発明に係る商品仕分けシステムでは、第1の発明に加えて、作業領域においては、作業者の前面に搬送レーン上を搬送される配送ケースが到達し、作業者の後方に仕分け対象となる商品アイテムを設置するフローラックが位置し、作業者は、後方に位置するフローラックに設置されている商品アイテムから、前面に到達している配送ケースに詰めるべき商品アイテムを選択して、配送ケースに詰める。
【0033】
この構成により、作業者の動線は小さくなり、作業者と装置との組み合わせで行われる仕分け作業の効率が高くなる。
【0034】
本発明の第3の発明に係る商品仕分けシステムでは、第1又は第2の発明に加えて、配送ケースは、搬送レーンを前面としている作業者の一方から他方へ搬送されるので、作業者は、作業領域において、略一定の範囲の立ち位置で、前方、後方を中心とした動線によって、仕分け対象の商品アイテムを、配送ケースに詰める。
【0035】
この構成により、作業者の動線は小さくなり、作業者と装置との組み合わせで行われる仕分け作業の効率が高くなる。
【0036】
本発明の第4の発明に係る商品仕分けシステムでは、第1から第3のいずれかの発明に加えて、搬送レーンは、投入部より自動倉庫から離れる方向に延伸し、所定距離延伸したところで湾曲もしくは屈曲して、自動倉庫と略平行に延伸して、排出部に到達する。
【0037】
この構成により、搬送レーンは、自動倉庫に対応した形態を有して、作業領域も確保しながら、商品仕分けシステムに係る装置部分が小型化できる。
【0038】
本発明の第5の発明に係る商品仕分けシステムでは、第1から第4のいずれかの発明に加えて、クレーンは、複数の配置棚のそれぞれに、同一種類、同一形状および同一サイズの少なくとも一つで揃えられる商品アイテムを、単数もしくは複数配置する。
【0039】
この構成により、配置棚の効率的な使用が可能となる。また、クレーンの動線が小さくなり、エネルギー消費も減少する。
【0040】
本発明の第6の発明に係る商品仕分けシステムでは、第5の発明に加えて、クレーンは、複数の配置棚のそれぞれに複数の商品アイテムを配置する場合に、複数の商品アイテム同士の距離を、略等間隔にして配置する。
【0041】
この構成により、配置棚の効率的な使用が可能となる。また、クレーンの動線が小さくなり、エネルギー消費も減少する。特に、クレーンが、座標数値を基準に配置棚からフローラックへの商品アイテムの移動において、画像処理などを不要とでき、低コストが実現される。
【0042】
本発明の第7の発明に係る商品仕分けシステムでは、第1から第6のいずれかの発明に加えて、フローラックは、複数の配置棚の一部に対向すると共に自動倉庫の高さ方向および横方向のいずれかの配置棚に対応して装着され、作業者の作業対象となる所定の配送ケースに仕分ける対象商品アイテムに、表示を行う表示部を備える。
【0043】
この構成により、自動倉庫からフローラック、フローラックから作業者、作業者から配送ケースへの、商品アイテムの移動が直線的になり、仕分け作業の効率が向上する。
【0044】
本発明の第8の発明に係る商品仕分けシステムでは、第7の発明に加えて、作業者は、表示部が仕分け対象として表示される商品アイテムをフローラックから取り出して、作業対象の配送ケースに詰め込む仕分け作業を行い、仕分け作業後には、配送ケースは、作業対象の配送ケースに必要な全ての商品アイテムが詰められた状態の配送ケース(以下、「完成配送ケース」という)と、作業対象の配送ケースに必要な商品アイテムが不足している状態の配送ケース(以下、「仕掛かり配送ケース」という)と、に分けられる。
【0045】
この構成により、商品仕分けシステムは、仕分け作業の状態に応じた、様々な対応を行うことができる。
【0046】
本発明の第9の発明に係る商品仕分けシステムでは、第7又は第8のいずれかの発明に加えて、仕分け作業後の、所定時間および所定仕分け作業回数の少なくとも一方を越えた期間まで残っている商品アイテムは、残り商品アイテムとして定義されて、フローラックから配置棚に戻される。
【0047】
この構成により、フローラックの使用効率が上がり、フローラックの小型化が実現できる。
【0048】
本発明の第10の発明に係る商品仕分けシステムでは、第9の発明に加えて、フローラックは、残り商品アイテムとなりやすい商品アイテムの履歴を記録し、クレーンは、入庫ラインから入庫される当該商品アイテムを、フローラックの位置から遠い配置棚に配置する。
【0049】
この構成により、クレーンの動線を効率化でき、作業効率向上およびエネルギーの低減が可能となる。
【0050】
本発明の第11の発明に係る商品仕分けシステムでは、第8から第10のいずれかの発明に加えて、搬送レーンは、排出部の手前で分岐して、先端部が自動倉庫に向かう分岐レーンを有し、配仕掛かり配送ケースは、仕分け作業後に、分岐レーンを通じて、自動倉庫の備える配置棚に戻される。
【0051】
この構成により、仕掛かり配送ケースを、商品仕分け装置の外部で一時保管する必要がなくなり、余分なスペースや余分な再投入作業が不要となる。
【0052】
本発明の第12の発明に係る商品仕分けシステムでは、第11の発明に加えて、クレーンは、分岐レーンの先端に到達した仕掛かり配送ケースを、配置棚に移動して配置する。
【0053】
この構成により、仕掛かり配送ケースが自動倉庫から再度搬送レーンに投入されて、完成配送ケースへの仕分け作業が行われる。
【0054】
本発明の第13の発明に係る商品仕分けシステムでは、第12の発明に加えて、配置棚に戻された仕掛かり配送ケースは、投入部から再び搬送レーンに投入され、再度の仕分け作業において、フローラックに設置される不足していた商品アイテムを詰められる。
【0055】
この構成により、仕掛かり配送ケースの完了処理が、配置棚から再開されて効率的である。
【0056】
本発明の第14の発明に係る商品仕分けシステムでは、第8から第10のいずれかの発明に加えて、分岐レーンは、完成配送ケースを、所定条件の場合に、分岐レーンを経由して、自動倉庫の配置棚に戻す。
【0057】
この構成により、完成配送ケースであっても、同一種類などの場合には、一定量を自動倉庫で一時保管できる。この結果、実際の配送までの時間やスペースの短縮ができる。
【0058】
本発明の第15の発明に係る商品仕分けシステムでは、第14の発明に加えて、所定条件は、同じ仕分け条件で同じ組み合わせの商品アイテムが詰められる完成配送ケースが、所定数以上連続する場合、所定時間以上連続する場合、所定期間内に所定数以上となる場合、排出後の完成配送ケースを取り扱う次工程の準備未完了の場合の少なくとも一つの場合を含む。
【0059】
この構成により、完成配送ケースであっても、同一種類などの場合には、一定量を自動倉庫で一時保管できる。この結果、実際の配送までの時間やスペースの短縮ができる。
【0060】
本発明の第16の発明に係る商品仕分けシステムでは、第14又は第15の発明に加えて、搬送レーンは、所定条件以外の場合には、完成配送ケースを排出部に送り出す。
【0061】
この構成により、完成配送ケースは、次段階の配送に引き渡される。
【0062】
本発明の第17の発明に係る商品仕分けシステムでは、第1から第16のいずれかの発明に加えて、複数の配置棚の少なくとも一部は、商品アイテムの底面の少なくとも一部に接触する箇所に、滑り止めを有する。
【0063】
この構成により、地震や突発事故が生じても、商品アイテムが、配置棚から落下したり、配置棚においてずれたりすることがないので、災害等からの復旧が容易となる。
【0064】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0065】
(全体概要)
最初に実施の形態1における商品仕分けシステムの全体概要を説明する。図1は、本発明の実施の形態1における商品仕分けシステムの全体概要図である。図1は、商品仕分けシステム全体を、上から見た状態を示しており、必須の要素およびオプション的な要素を組み合わせた状態で示している。
【0066】
商品仕分けシステム1は、自動倉庫2と、入庫ライン4と、フローラック5と、クレーン6と、搬送レーン7を備える。これらが、商品仕分けシステム1を構成する主な要素である。また、搬送レーン7の一端は、配送ケース200を投入する投入部8を有し、搬送レーン7の他端は、配送ケース200を排出する排出部9を有する。
【0067】
商品仕分けシステム1は、入庫した商品アイテム100を保管する自動倉庫2を中心に、自動倉庫2への入庫方向と自動倉庫2からの出庫方向とを有している。この入庫方向となるものが、商品アイテム100を自動倉庫2に入庫させる入庫ライン4と、後述する分岐レーン30を通じて搬送レーン7から再度自動倉庫に入庫する再入庫ライン50である。
【0068】
一方、出庫方向となるものは、配送ケース200を投入する投入部8であり、自動倉庫2の配置棚3からフローラック5に商品アイテム100を移動して設置するクレーン6である。また、自動倉庫2からの直接的な出庫ではないが、搬送レーン7での仕分けとつめこみが完了した配送ケース200を排出する排出部9が、出庫方向の一つとなる。また、自動倉庫2と搬送レーン7とを結ぶ、まとめ出庫ライン40が備わっている。まとめ出庫ラインは、後述する、完成配送ケースが、一時的に配置棚3に保管される場合に、保管されている複数の完成配送ケースをまとめて出庫して、排出部9から排出する。
【0069】
すなわち、実施の形態1の商品仕分けシステムは、自動倉庫2を基準にして対向するように搬送レーン7が配置され、自動倉庫2への入庫と自動倉庫2(もしくは搬送レーン7)からの出庫と、の方向性を有している。この方向性が適切な構造によって実現されていることで、自動倉庫2を基点とする入庫、出庫が実現されて、商品仕分けが容易となる。
【0070】
自動倉庫2は、複数の列および段により仕切られる複数の配置棚3を有する。図2は、本発明の実施の形態1における自動倉庫の正面図である。自動倉庫2は、段20と列21を有しており(更には、図2では不明瞭であるが、奥行きを利用した列も有していることもある)、この段20と列21によって囲まれる複数の配置棚3を有する。複数の配置棚3のそれぞれは、商品アイテム100を一時的に保管する。
【0071】
フローラック5は、複数の配置棚3のそれぞれに一時的に保管されている商品アイテム100の内、所定の種類の商品アイテム100を、作業者の仕分けのために(ある配送ケース200に詰め込むための仕分けであって、例えば、ある配送ケース200が、所定の商店や別の工場などに運送される場合に、運送される必要のある単数または複数の商品アイテム100が、この配送ケース200に詰め込まれる。この詰め込みための商品アイテム100を選択すること(場合によっては詰め込みも含めて)仕分けとして定義している)設置する。
【0072】
クレーン6は、自動倉庫2の横方向および縦方向に移動可能であって、入庫ライン4から入庫する商品アイテム100を、配置棚3に配置する。加えて、クレーン6は、配置棚3に一時的に保管されている商品アイテム100を、フローラック5に移動して設置する。このように、商品アイテム100は、入庫ライン4、自動倉庫2の配置棚3、フローラック5へと、順々に移動していく。
【0073】
作業者は、フローラック5と搬送レーン7との間に形成される作業領域10において作業する。作業者は立って作業しても良いし、座って作業しても良い。作業者は、この作業領域10で、上述の仕分けを行う。すなわち、作業者は、作業領域10において、フローラック5に設置されている商品アイテム100であって搬送レーン7で、目前に搬送されてきた配送ケース200に詰め込むべき商品アイテム100を、フローラック5から手作業で取り出して、配送ケース200に詰め込む。
【0074】
搬送レーン7は、フローラック5を挟んで、自動倉庫2と対向する位置に設けられ、投入部8および排出部9は、自動倉庫の両端のそれぞれの側に(両端とは限らず、両端の側に近い位置であればよい)位置する。搬送レーン7は、図1に示されるように、投入部8で自動倉庫2に対して突出するように延伸した後で、湾曲部7Aで湾曲して、自動倉庫2に対して平行するように延伸する。この自動倉庫2に対して平行して延伸する際には、フローラック5を挟んでいる。
【0075】
商品仕分けシステム1は、以上のように図1に示されるような構成を有することで、搬送レーン7とフローラック5との間の空間に、作業者の作業領域10を形成できる。作業者は、この作業領域10において、実際の仕分け作業を実行する。図1でわかる通り、作業領域10は、作業者にとっての動線を非常に小さくしている。動線が小さいことで、作業者は、少ない動きで、フローラック5から仕分け対象の商品アイテム100を取り出し、配送ケース200に詰めることができる。
【0076】
また、搬送レーン7は、図1では、商品仕分けシステム1の横方向に延伸しており、自動倉庫2と搬送レーン7の横方向の長さで、商品仕分けシステム1の横方向の長さの大体が決定される。一方、搬送レーン7は、自動倉庫2と対向するようにもうけられており、自動倉庫2の縦方向の長さ(幅)と搬送レーン7の縦方向の長さ(湾曲7Aを含めた幅)とによって、図1での商品仕分けシステム1の縦方向の大体の長さ(幅)が決定される。
【0077】
この商品仕分けシステム1の横方向の長さと、縦方向の長さ(幅)との間の作業領域が作業者の空間となり、その他の要素も含めて、商品仕分けシステム1は、無駄な要素、空間、領域、面積を生じさせていない。また、商品仕分けに必要となる上述の種々の要素が、全く別の場所に設けられる必要もない。
【0078】
以上の結果、実施の形態1における商品仕分けシステム1は、横方向も縦方向も非常にコンパクトとなり、このコンパクトな空間だけで、商品投入、商品アイテム100の一時的な保管、商品アイテム100のフローラック5への移動、商品アイテム100の仕分けと詰め込み、商品アイテム100を詰めた配送ケース200の搬送と排出、の一連の流れが、人的作業も含めて行うことが可能となる。すなわち、従来技術の問題であった、大型化や高コスト化を防止できる。結果として、多品種少量や、商品アイテムの変化スピード(商品サイクルの速さ)に対応できる、小回りのよい商品仕分けシステム1が実現される。
【0079】
また、既述したとおり、作業領域10が、フローラック5と搬送レーン7の直進部分との間に形成されるので、作業領域10が狭い領域となって作業者の動線が小さくなり、作業効率が高くなる。近年の工場や配送センターでは、作業者の動線を小さくすることが目標とされている。作業者の動線が小さくなることで、作業者の単位時間当たりでの作業工数が向上することはもちろん、作業者の肉体的・精神的負担も減少すると考えられるからである。
【0080】
以上のように、実施の形態1における商品仕分けシステム1は、従来技術の問題点、特に、小型化、多品種少量に最適化されたコンパクト化、コンパクト設置の容易性、商品サイクルの短い変化に対応したきめ細かな商品仕分けシステムの設置や構成など、が困難であることを、解決できる。
【0081】
なお、上記では、作業領域10では、人間である作業者を想定して説明したが、本明細書での作業者は、人間の作業者だけでなく、作業ロボットなどの機械や半機械も含む概念である。
【0082】
(動作説明と各部の詳細)
次に、各部の詳細について、商品仕分けシステム1の動作説明に合わせて説明する。商品仕分けシステム1は、図1図2で説明した自動倉庫2や搬送レーン7などの構造物(ハードウェア)と、作業領域10での作業者による作業(ソフトウェア)との融合によって、商品アイテム100の仕分けを実行する。図3は、本発明の商品仕分けシステムの処理のフローチャートである。商品仕分けシステム1は、図3のフローチャートのそれぞれのステップ(ST1〜ST7)を実行する。このとき、構造物(機械・ハードウェア)のみによって行われるステップと、構造物と作業者の融合(ハードウェアとソフトウェアの融合)によって行われるステップと、作業者のみ(ソフトウェアのみ)によって行われるステップとを、商品仕分けシステム1は、含む。
【0083】
図3を用いて商品仕分けシステム1の処理の概要を説明する。処理概要に続いて、各処理の詳細を説明する。
【0084】
まず、ステップST1にて、商品仕分けシステム1は、商品アイテム100を自動倉庫2に入庫させる。次いで、ステップST2にて、商品仕分けシステム1は、商品アイテムを自動倉庫2の配置棚3に配置する。次いで、ステップST3にて、商品仕分けシステム1は、配置棚3からフローラック5に商品を移動して設置する。次いで、商品仕分けシステム1は、ステップST4にて投入部8を介して、配送ケース200を搬送レーン7に投入する。更に、商品仕分けシステム1は、ステップST5にて配送ケースを作業位置に到達させる。
【0085】
次に、ステップST6にて、作業者が、フローラック5に設置されている商品を仕分けして選択する。次に、ステップST7にて、作業者が、選択した商品を配送ケース200に詰め込む。その後、完成配送ケース、仕掛かり配送ケース、再入庫へと分かれて、搬送レーンを通じて、商品仕分けシステム1は、配送ケース200を搬送する。
【0086】
(ST1 : 商品アイテムの入庫)
ステップST1では、商品仕分けシステム1は、自動倉庫2に商品アイテム100を入庫させる。この入庫においては、入庫ライン4が、自動倉庫2に商品アイテム100を入庫させる。入庫ライン4は、コンベアやローラーを有しており、入庫ライン4に設置された商品アイテム100が自動倉庫2に向かって搬送される。このとき、入庫ライン4に、作業者が人力で商品アイテム100を置いてもよいし、作業機械(作業ロボット)が、入庫ライン4に、商品アイテム100を置いてもよい。あるいは、入庫ライン4に、他のコンベアが接続されており(図1には図示されず)、このコンベアから、次々と、商品アイテム100が入庫ライン4に運ばれてきても良い。
【0087】
すなわち、ステップST1の商品アイテム100の入庫処理は、機械のみでの処理の場合(ハードウェアのみでの処理の場合)と、機械と人力での処理の場合(ハードウェアとソフトウェアの融合での処理の場合)とがありえる。
【0088】
入庫ライン4は、商品仕分けシステム1および自動倉庫2のどのような位置に設けられても良いが、配送ケース200の投入部8や、排出部9、作業領域10などを、コンパクトな設置領域(商品仕分けシステム1の設置領域)に確保するためには、商品仕分けシステム1の、一方側であって投入部8と逆側であることが好ましい。こうすることで、搬送レーン7や作業領域10の確保が、コンパクトな設置領域で可能となるからである。図1では、入庫ライン4は、商品仕分けシステム1および自動倉庫2の右側の端部近くに設けられている。
【0089】
あるいは、自動倉庫2の裏側に、入庫ライン4が設けられることで、商品仕分けシステム1のコンパクト化が図られることでも良い。縦方向でのコンパクト化が図られるからである。
【0090】
商品アイテム100は、様々な種類を有しており、商品としても異なり、その大きさ、幅、高さ、長さ、重さ、形状なども異なるものである。これら様々な種類の商品アイテム100が、入庫ライン4から、次々(もちろん間欠的となることもある)と、自動倉庫2に入庫する。
【0091】
(ステップST2 : 配置棚への配置)
入庫ライン4から自動倉庫2に入庫された商品アイテム100は、ステップST2にて、自動倉庫2が備える配置棚3へ配置される。具体的には、クレーン6が、入庫ライン4を通じて入庫する商品アイテム100を、所定の配置棚3に配置する。クレーン6は、自動倉庫2に合わせて備わっているので、配置棚3に対して、入庫ライン4より入庫した商品アイテム100を配置することもできるし、配置棚3から商品アイテム100を取り出す(取り出してフローラック5に移動して設置する)こともできる。
【0092】
図2は、上述の通り、自動倉庫2と、自動倉庫2の段20および列21によって形成される複数の配置棚3を示している。また、図4は、本発明の実施の形態1における自動倉庫の拡大図であり、配置棚をより詳細に示す正面図である。
【0093】
図4より明らかな通り、自動倉庫2は、複数の配置棚3を有している。また、配置棚3は、商品アイテム100を一時的に保管するので、いわゆる水平な底面を有するが、その縦、横の長さは、様々であっても良い。もちろん、場合によっては奥行きも、複数の配置棚3のそれぞれで異なっても良い。
【0094】
ここで、クレーン6は、複数の配置棚3のそれぞれに、同一種類、同一形状および同一サイズの少なくとも一つで揃えられる商品アイテム100を、ある配置棚3に揃えるように、単数又は複数個、配置する。図4を用いて詳細を説明する。
【0095】
例えば、図4では、自動倉庫2は、配置棚3A、配置棚3B、配置棚3C、配置棚3D、配置棚3Eを備えている(もちろん、それ以外の配置棚3を有している)。配置棚3A〜配置棚3Eのそれぞれは、高さの異なる配置棚3と高さの同じ配置棚3とを有している。図4では、配置棚3B,3C,3Dのそれぞれは、大体同じ高さを有しているが、配置棚3Aと3Eは、異なる高さを有している。これは、次に述べるように、配置棚3に配置する商品アイテム100の特性に合わせたものである。但し、必ずしも、このような配置棚3の高さとなっていなければならないものではない。
【0096】
クレーン6は、あるサイズを有する商品アイテム100Aのみを、配置棚3Aに配置する。同様に、クレーン6は、商品アイテム100Aとはサイズの異なる商品アイテム100Bを、配置棚3Aと異なる配置棚3Bに配置する。同様に、クレーン6は、商品アイテム100A、100Bとはサイズの異なる商品アイテム100Cを、配置棚3A,3Bと異なる配置棚3Cに配置する。更に、クレーン6は、商品アイテム100A〜100Cとサイズの異なる商品アイテム100Dを、配置棚3A〜3Cと異なる配置棚3Dに配置する。更に、クレーン6は、商品アイテム100A〜100Dとサイズの異なる商品アイテム100Eを、配置棚3A〜3Dと異なる配置棚3Eに配置する。
【0097】
この結果、同じ配置棚3には、同一種類、同一形状および同一サイズの少なくとも一つで揃えられる商品アイテム100のみが、配置されて保管されるようになる。
【0098】
また、このとき、クレーン6は、複数の商品アイテム100を、一つの配置棚3に配置する際に、商品アイテム100同士を、略等間隔にして、配置することもよい。この略等間隔の場合には、上述の通り、ある配置棚3には、同一種類、同一形状および同一サイズの少なくとも一つで揃えられる商品アイテム100のみが配置される場合でもあるし、場合によっては、同一種類、同一形状および同一サイズの少なくとも一つが異なる商品アイテム100が配置される場合でもありえる。
【0099】
以上の、処理は、ステップST2にて、クレーン6が(商品仕分けシステム1が)、自動倉庫2に入庫した商品アイテム100を、適切に配置棚3に配置することである。クレーン6は、予め定められたコンピュータプログラムや作業者のオペレーションなどによって、商品仕分けシステム1は、上述のような商品アイテム100にあわせた配置棚3への配置を行う。
【0100】
このように、一つの配置棚3に、同一種類、同一形状および同一サイズの少なくとも一つで揃えられる商品アイテム100のみが配置され(場合によっては、商品アイテム100同士が略等間隔で配置される)ることで、配置棚3での商品アイテム100の配置が、面積比率として、有効活用できる。この結果、自動倉庫2そのものを商品アイテム100の数、種類数に対して、小型化できる。
【0101】
また、クレーン6は、配置棚3に保管されている商品アイテム100を、仕分け対象となる場合に、フローラック5に移動して設置するが、同じ商品アイテム100は、同じ配置棚3に保管されている。このため、複数の同じ商品アイテム100をフローラック5に移動して設置する場合には、クレーン6の移動距離および移動時間を短縮できる。また、クレーン6による、配置棚3からフローラック5へ移動しての設置作業が短縮・簡略化されることで、フローラック5を小型化することや、フローラック5の位置を作業領域10に合わせることもしやすくなる。
【0102】
これらも加味されることで、商品仕分けシステム1全体のコンパクト化が実現されるようになる。
【0103】
なお、図4では、配置棚3A〜3Eのそれぞれに、複数の商品アイテム100A〜100Eが配置されているが、複数であっても単数であっても、ある配置棚3では単数であり、他の配置棚3では複数であっても良い。
【0104】
(ステップST3: フローラックへの移動)
次いで、商品仕分けシステム1は、ステップST3にて、配置棚3に保管されている商品アイテム100の内、仕分けに必要となる商品アイテム100(投入予定の配送ケース200に詰め込むべき商品アイテム100)を、クレーン6を用いて、フローラック5に移動して設置する。商品仕分けシステム1は、作業者のオペレーションや予め記憶されたコンピュータプログラムによって、クレーン6を動作させて、仕分けに必要となる商品アイテム100を、配置棚3からフローラック5に移動させればよい。
【0105】
このように、配置棚3からフローラック5への商品アイテム100の移動を、ハードウェアのみあるいはハードウェアとソフトウェア(ソフトウェアは、コンピュータプログラムや人的オペレーションも含む概念である)とによって、実行する。
【0106】
図5は、本発明の実施の形態1におけるフローラックの側面図である。フローラック5は、自動倉庫2の配置棚3の一部に対向するように装着される。対向するように装着されるので、自動倉庫2に接して装着されてもよいし、自動倉庫2と一定の距離を置いて装着されてもよい。後者の場合には、例えば、自動倉庫2とフローラック5との間をクレーン6が移動する、移動ラインが確保される。
【0107】
また、フローラック5は、配置棚の高さ方向および横方向のいずれかに対応して装着される。図5は、側面図であるので、フローラック5が、配置棚3から突出している状態を確認できる。このように、フローラック5は、配置棚3から外側(図1に照らすと、配送レーン7側)に突出して設けられる。このような突出により、フローラック5と搬送レーン7との間に形成される作業領域10で、作業者がフローラック5に設置されている商品アイテム100を取り出して、搬送レーン7にある配送ケース200に詰めることができる。
【0108】
当然ながら、自動倉庫2、フローラック5、搬送レーン7と並んだ状態での、フローラック5と搬送レーン7との間に作業領域10が確保されるので、作業者は、少ない動線で作業領域10での作業を行える。作業者を中心として考えれば、その前面に配送ケース200が流れてくる搬送レーン7があり、背面にフローラック5がある。背面にあるフローラック5に設置されている商品アイテム100を取り出して、前面の配送ケース200に詰めればよいだけであるので、作業者は、前後に身体の向きを変える動線だけで済む。このため、作業領域10も狭くて済むので、商品仕分けシステムのコンパクト化および作業者による人的仕分け作業の効率化が図られる。
【0109】
フローラック5は、図5に示されるように、配置棚の段に合わせて、複数の段51を有している。この複数の段51のそれぞれに、商品アイテム100が、クレーン6によって移動して設置される。また、この段51は、突出によって、作業者から見ると奥行きも有している。すなわち、図1図5とを合わせてみればわかる通り、フローラック5は、3次元的に商品アイテム100を設置している。
【0110】
図1では、フローラック5は自動倉庫2の横方向の一部に装着されている。フローラック5は、自動倉庫2の横方向の狭い範囲に装着されている。すなわち、フローラック5は、横方向に大きな占有をしないので、自動倉庫2および搬送レーン7の横方向も、当然に小型化される。
【0111】
加えて、フローラック5が、3次元的であって横方向に小型であることでも、作業者の動線を少なくしている。
【0112】
また、図5に示されるように、フローラック5は(フローラック5が複数の段51を有する場合には段51は)、自動倉庫2から搬送レーン7に向けて、斜め下方向に傾いていることも好適である。更に、図示していないが、フローラック5もしくは段51は、設置される商品アイテム100のストッパーを有することも好適である。ストッパーを有することで、フローラック5もしくは段51が斜め下方向に傾いていても、商品アイテム100がフローラック5もしくは段51から落下したり滑り落ちたりする心配はない。
【0113】
ストッパーは、フローラック5もしくは段51の先端部の突起や凸部でも良いし、フローラック5もしくは段51の底面に装着される高い摩擦係数を有する滑り止め部材でもよい。
【0114】
また、後述する、作業者による仕分け作業の便宜のために、フローラック5および段51の少なくとも一方は、仕分け対象の商品アイテム100を示す表示部を更に備えることも好適である。例えば、作業者が視認可能なLEDランプが、フローラック5および段51の先端などであって、商品アイテム100の位置に対応する場所に設けられる。あるいは、配送先(どの配送ケースに詰めるかが示される)が表示される文字表示部が備わっていても良い。このような表示部を備えることで、作業者の仕分け作業が容易且つ確実となる。
【0115】
図6は、本発明の実施の形態における自動倉庫の正面図および平面図である。図6の上半分が平面図であり、自動倉庫2を上から見た状態を示している。自動倉庫2は、奥行きも有しているので配置棚3は、奥行きも含めた状態で配置される。また、図6の下半分は、正面図であり、複数の配置棚3が設けられていることが分かる。図5に示されるフローラック5は、この自動倉庫2の正面のいずれかの場所であって、いずれかの配置棚3の前に重複して突出するように、装着される。
【0116】
(ステップST4:配送ケースの投入)
次に、ステップST4にて、商品仕分けシステム1は、投入部8から配送ケース200を搬送レーン7に投入する。投入部8において、仕分けを行う作業者と別の作業者が、配送ケース200を手作業で投入しても良いし、投入部8にコンベアラインなどが接続されており、自動で配送ケース200が投入部8に投入されても良い。
【0117】
配送ケース200は、最終的な配送先にあわせた大きさ、種類、色、マークなどで異なっていることも好適である。フローラック5の前の作業領域10で作業する作業者は、この配送ケース200の識別を可能とでき、仕分けの際のミスを防止できるメリットがあるからである。
ここで、配送ケース200は、連続的もしくは断続的に搬送レーン7に投入されても良い。
【0118】
搬送レーン7は、投入部8より自動倉庫2から離れる方向にややまっすぐに(もしくは斜めに)延伸し、一定量延伸したところにおいて、湾曲部7Aで湾曲もしくは屈曲する。この湾曲もしくは屈曲の後で、自動倉庫2に略平行に延伸して、そのまま排出部9に到達する。このため、投入部8から投入された配送ケース200は、この湾曲と直進とに合わせて、搬送レーン7上を進んでいく。
【0119】
(ステップST5:配送ケースの到達)
ステップST5にて、投入部8から搬送レーン7に投入された配送ケース200は、搬送レーン7の搬送力によって移動される。搬送レーン7は、ベルトコンベアなどで構成されており、投入部8から作業領域10に向けて移動する。この移動によって、搬送レーン7は、投入部8から投入された配送ケース200を、作業領域10まで搬送する。搬送されれば、配送ケース200は、作業領域10に到達する。
【0120】
搬送レーン7は、配送ケース200が、作業領域10に対応する位置に到達すると、搬送レーン7は、搬送スピードを緩めたり搬送を止めたりする。これにより、作業者が作業領域10に対応する位置に到達した配送ケース200に、フローラック5から選択した仕分け対象の商品アイテム100を詰める時間を持つことができるようになる。
【0121】
もちろん、搬送レーン7の搬送速度が最初からゆっくりであると、配送ケース200が作業領域10の対応する前後を通過する時間も遅くなるので、作業者は、配送ケース200への商品アイテム100の詰め込みを、十分な時間で行える。
【0122】
特に、搬送レーン7は、図1などに示されるように、作業領域10に対向する位置では略まっすぐに延伸している。このため、配送ケース200は、作業者に対して平行の状態を有することになる。作業者に対して、配送ケース200が平行であることで、作業者は、フローラック5から選択した商品アイテム200を、容易に配送ケース200につめることができるようになる。
【0123】
(ステップST6;作業者による商品アイテムの仕分け)
次に、ステップST6にて、商品仕分けシステム1は、作業者によって、フローラック5に設置されている商品アイテム100の内、対応する配送ケース200に詰め込むべき商品アイテム200を選択して詰め込む仕分け作業を実施する。
【0124】
配送ケース200は、ステップST5で、作業領域10にいる作業者の前に到達している。作業者は、自分の前に到達した配送ケース200に詰めるべき商品を、背後のフローラック5から選択して詰める(仕分け作業)。このとき、図1などではフローラック5が作業者の背面にあるが、フローラック5の構造によって、作業者の側面になってもよい。
【0125】
図7は、本発明の実施における作業者の作業状態を示す説明図である。図7の右側は、作業者60を基準にして、フローラック5を側面から見た状態を示しており、図7の左側は、作業者60を基準にして、フローラック5を正面から見た状態を示している。すなわち、作業者60を基準とした場合に、フローラック5がどのような状態であるかを、図7の一つの左右にまとめて示している。
【0126】
フローラック5(もしくは段51)に、図1図4に示されるように、仕分け対象となる商品アイテム100が並んでいる。フローラック5は、図7などに示されるように、複数の段と横幅を有しているので、フローラック5は、複数の商品アイテム100を設置している。ここで、フローラック5は、その段において、表示部を有しており、作業者60の前に到達した配送ケース200に仕分けるべき商品を、表示部によって知らせることも好適である。
【0127】
作業者60は、表示部(例えば、ランプ表示や文字表示など)をみて、仕分け対象となっている商品アイテム100をフローラック5から取り出す。もちろん、表示部には、配送ケース200のID番号などが表示されて、それを見て、複数の配送ケース200が搬送レーン7で搬送されてきたところで、対応する配送ケース200に合わせて、商品アイテム100を選択する。
【0128】
(ステップST7:選択した商品の配送ケースへの詰め込み)
次に、ステップST7にて、商品仕分けシステム1は、作業者60の作業を通じて、仕分け対象として選択した商品を配送ケース200に詰め込む。このようにして、作業者は、自動倉庫2に入庫された種々雑多で多数の商品アイテム100から、特定商店や特定工場などに配送すべき商品アイテム100の組み合わせを、この特定商店や特定工場に配送すべき配送ケース200に詰めることができる。
【0129】
作業者60が配送ケース200に仕分けるべき商品アイテム100を詰め終わると、搬送レーン7は、商品を詰めた配送ケース200をそのまま投入部8と反対方向に搬送する。通常は、作業者60の仕分け作業により、配送ケース200には、必要な商品アイテム100の全てが詰め込まれる。これは、例えば特定の商店や配送センターに、次の段階で移送される。このように、配送ケース200は、仕分け作業が終わって、必要となる全ての商品アイテム100が詰め込まれると、仕分け作業は完成となる。すなわち、図3のフローチャートに示される、完成配送ケースとなる。
【0130】
完成配送ケースとなる場合には、延伸する搬送レーン7は、当該完成品配送ケースを、排出部9から排出する。排出された完成配送ケースは、そのまま特定商店や配送センターに配送される次の段階へ移行する。この次の段階に移行すれば、仕分けされた商品が、必要な場所に配送される。
【0131】
以上のように、実施の形態1における商品仕分けシステム1は、その構成や要素毎の特徴、また全体組み合わせの特徴、要素ごとや全体の形状、要素の位置関係、作業手順と要素との位置、配置棚3への配置への工夫、フローラック5の装着位置などの工夫などがあいまって、非常にコンパクトに構成できる。この結果、従来技術の商品仕分けシステム1の問題点であった、大型化や、多品種少量に向きにくい事情や、一つの工場や配送センターで、異なるタイプの商品仕分けシステムを複数レイアウトできない問題などを、実施の形態1の商品仕分けシステム1は、解決できる。
【0132】
これらは、日本のみならず、海外に工場を展開する日本企業にとっても好適である。海外に展開する日本企業は、大型の商品仕分けシステムを設置して高いイニシャルコストと、事業維持のリスクとを天秤にかける必要がなくなり、イニシャルコストを抑えることで、小回りと機動力の高い海外への工場展開も可能となるからである。
【0133】
ここで、図3に示されるように、ステップST7の後においては、ある配送ケース200に詰め込むべき全ての商品アイテム100が詰め込まれた完成配送ケースと、全ての商品アイテム100が詰め込まれていない未完成の仕掛かり配送ケースとが生じる。また、完成配送ケースであっても、そのまま排出部9から排出される場合と、自動倉庫2に再入庫される場合とがある。以下、これら3つの場合について説明する。
【0134】
(パターンPT1:完成配送ケースの排出)
上述の通り、作業者が、ある配送ケース200に詰めるべき必要な全ての商品アイテム100を詰め込んだ場合には、当該詰め終わった配送ケース200は、完成配送ケースとして扱われる。商品仕分けシステム1は、通常においては、完成配送ケースを、搬送レーン7を通じてそのまま移動させて排出部9より排出する。このとき、搬送レーン7は、投入部8から排出部9まで一定のスピードで動いており、配送ケース200に商品アイテム100が詰め込まれると、そのまま排出部9より排出しても良い。
【0135】
あるいは、作業者60が、完成配送ケースとなったのを確認して、一定の操作を行うことで、搬送レーン7が、完成配送ケースを排出部9より排出しても良い。この場合には、例えば、投入部8に配送ケース200が投入されて作業者60の前まで到達するまでは、搬送レーン7は、その搬送速度は速くし、作業者60の前では搬送速度が遅く(仕分け作業のため)、仕分け作業後(作業者が操作する、もしくは画像処理や重さ検出などで完成配送ケースとなったことを検出する)に、搬送速度を早くしてもよい。
【0136】
いずれにしても、図3におけるパターンPT1の場合には、完成配送ケースとなった場合には、パターンPT1の通り、排出部9は、完成配送ケースを排出する。排出された完成配送ケースは、そのまま次工程に引き渡される。
【0137】
(パターンPT2:仕掛かり配送ケース)
場合によっては、作業者60の前に搬送されてきた所定の配送ケース200に詰め込む必要のある商品アイテム100の全てが、フローラック5に設置されていないことがある。この場合に、搬送レーン7の搬送を止めて、クレーン6を操作してフローラック5に配置棚3から不足している商品アイテム100を移動させることは、仕分け作業を止めることになるので、効率上好ましくない。ほとんどの工場や配送センターにおいて、許容されにくい対応である。
【0138】
このように、フローラック5に、所定の配送ケース200に詰め込むべき全ての商品アイテム100が揃っておらず、仕分けと詰め込み(仕分け作業)が完了しないことがある。このように、必要な商品アイテム100の全てが詰められていない配送ケース200(以下、「仕掛かり配送ケース」と定義する)が、搬送レーン7での仕分け作業で生じることがありうる。
【0139】
従来技術においては、このような仕掛かり配送ケースは、そのまま排出部9から排出されていた。排出された仕掛かり配送ケースは、人力もしくは機械によって、排出部9から排出された後、専用の仕掛かり配送ケース用専用倉庫や棚に一時保管されたり、専用の配置領域に配置されたりしていた。その後、人力もしくは機械(専用倉庫や配置領域と、配送ケース200を投入する投入部8と接続するコンベアなどによって)によって、再び搬送レーン7に仕掛かり状態で投入され、作業者60が、不足している商品アイテム100を、フローラック5から取り出して詰めて、仕分けと詰め込みを完了させる。
【0140】
このような従来技術では、仕掛かり配送ケースのための、専用倉庫や専用配置領域、あるいは投入部8とこれらをつなげるコンベアとそのための動力源や制御機会を必要とする。当然ながら、コストも高くなるし、商品仕分けに必要な面積も大きくなってしまう。結果的に、商品仕分けシステムとその周辺に必要な面積とコストが大きくなり、フレキシビリティの高いレイアウトで、工場や配送センターに、商品仕分けシステムを設置できない問題があった。
【0141】
実施の形態1の商品仕分けシステム1は、図1に示されるように、搬送レーン7の途中であって、排出部9の手前に分岐31を有している。搬送レーン7は、この分岐31から、自動倉庫2に向かう分岐レーン30を有している。この分岐レーン30は、排出部9に配送ケース200を搬送するのではなく、自動倉庫2(すなわち配置棚3)に、配送ケース200を搬送する。この分岐レーン30は、自動倉庫2に再入庫させる再入庫ライン50に繋がっている。
【0142】
このため、上述した仕掛かり配送ケースは、この分岐31で分岐レーン30を通り、再入庫ライン50から、自動倉庫2の備える配置棚3に戻される。配置棚3を備える自動倉庫2は、商品仕分けシステム1として、最初から用意されているものであり、従来技術のように、仕掛かり配送ケースの専用倉庫や専用領域ではない。このため、商品仕分けシステム1の外部に、余分な装置、倉庫、面積を必要としない。
【0143】
搬送レーン7(もちろんクレーン6やフローラック5など全体)を、制御する制御部は、配送ケース200の重さや画像処理、あるいは作業者の指示を受けて、配送ケースが仕掛かり配送ケースであることを把握できる。この結果、制御部は、当該仕掛かり配送ケースを、分岐レーン30に分岐させ、排出部9から排出させないようにする。
【0144】
このようにして、再投入ライン50から自動倉庫2に再投入された仕掛かり配送ケースは、クレーン6によって、自動倉庫2の配置棚3に移動して配置される。
【0145】
図8は、本発明の実施の形態3における自動倉庫とクレーンとの位置関係を示す図面である。図8は、自動倉庫の側面から見た状態を示している。自動倉庫2の両側に複数に区切られた配置棚3が設けられ、その中間にクレーン6が設置されている。クレーン6は、駆動制御部62とアーム61とを備え、駆動制御部62が、アーム61を動作させて、上述の仕掛かり配送ケースを、配置棚3に配置したり、実施の形態1で説明したように商品アイテム100を配置棚3に配置したりする。
【0146】
配置棚3に戻された仕掛かり配送ケースは、クレーン6が、所定のタイミングで、投入部8に移動させる。この結果、仕掛かり配送ケースは、投入部8から再び搬送レーン7に投入される。搬送レーン7に投入されれば、未完成だが一定の商品アイテム100が詰め込まれた仕掛かり配送ケースが、搬送レーン7を移動して、作業者60の前に到達する。
【0147】
作業者60は、フローラック5に設置されている、当該仕掛かり配送ケースに不足している商品アイテム100を取り出して、当該仕掛かり配送ケースに詰め込んで、仕分けと詰め込みを完成させる。このようにして、完成した配送ケース200は完成配送ケースとして、通常通り(制御部による判断によって)、搬送レーン7をそのまま進み、排出部9から排出される。結果として、仕分け作業は、余分な専用倉庫、専用領域を必要とせずに、完了する。
【0148】
もちろん、2回目の仕分け作業でも仕分けと詰め込みが完了しない場合には、再び、仕掛かり配送ケースとして判断されて、分岐レーン30よび再投入ライン50を経由して配置棚3に戻される。その後、3回目の仕分け作業のために、再び配置棚3から投入部8を介して、搬送レーン7に戻される。
【0149】
以上のように、仕掛かり配送ケースも、図1に示される商品仕分けシステム1内部で処理することで(分岐レーン30と、制御部での判断により)、生じてしまいかねない仕掛かり配送ケースのためだけの、余分な装置、領域、作業を必要とせず、全体としてのコンパクト化、レイアウトの容易性、低コスト化(作業コストも含めて)が、実現される。
【0150】
(パターンPT3:完成配送ケースの再入庫)
また、分岐レーン30と再入庫ライン50は、仕分けが未完成の仕掛かり配送ケースだけでなく、仕分けと詰め込みが完了した完成配送ケースも、所定条件の場合には、配置棚3に戻すことも好適である。
【0151】
完成配送ケースは、本来は、そのまま排出部9から排出されて、搬送用の一時保管倉庫やトラックなどに運び込まれる。しかしながら、完成配送ケースは、様々な行き先商店や行き先工場を有していることもあるし、様々な詰め込まれた商品アイテム100の組み合わせを有していることもある。このような場合に、排出部9から、様々に異なる完成配送ケースが排出されると、一時保管倉庫やトラックへの移動作業の効率が悪い。
【0152】
例えば、同じ行き先商店や行き先工場の完成品配送ケースが一定量溜まってから、一時保管倉庫やトラックへ移動するほうがベターであることもある。あるいは、同じ商品組み合わせを有する完成配送ケースが、一定量溜まってから、一時保管倉庫やトラックへ移動するほうがベターであることもある。
【0153】
このような場合には、商品仕分けシステム1は、排出部9から次々と完成配送ケースを排出するよりも、ある程度溜まってから排出するほうがベターである。
【0154】
あるいは、完成配送ケースが次々と排出部9から排出される場合に、トラックでの運び出しや、運び出しのための整理整頓などの準備が整っていない場合がある。このように、次段階での準備が整っていない場合には、完成配送ケースが、排出部9の先のスペースに散らばったり、スペースを占有したりする問題も生じる。このように、完成配送ケースを処理する次段階処理の準備が整っていない場合に、排出部9が、完成配送ケースを排出することは、配送までをも考えた状態では好ましくない。
【0155】
このため、所定条件として、同じ仕分け条件で同じ組み合わせの商品アイテム100が詰められる完成配送ケースが、所定数以上連続する場合、所定時間以上連続する場合、所定期間内に所定数以上となる場合および排出後の完成配送ケースを取り扱う次工程の準備未了の場合の少なくとも一つの場合には、搬送レーン7などを管理する制御部は、分岐レーン30を介して、当該完成配送ケースを自動倉庫2に戻すことが好適である。
【0156】
こうされることで、同じ行き先商店や行き先工場の完成品配送ケースが一定量溜まってから、あるいは、同じ商品組み合わせを有する完成配送ケースが一定量溜まってから(これらは、自動倉庫2の配置棚3に溜められている)、再び搬送レーン7に投入されて、まとめて排出部9から排出される。もちろん、このときには、配置棚3から投入部8を経て搬送レーン7を移動する完成配送ケースには、仕分け作業は行われない。
【0157】
また、完成配送ケースが一定量たまってから、投入部8からの投入ではなく、まとめ出庫ライン40からまとめて出庫されても良い。まとめ出庫ライン40は、搬送レーン7に接続しており、図1の矢印に表されるように、配置棚3から搬送レーン7に向かって出庫する。搬送レーン7に到達した一時保管されていた完成配送ケースは、そのまま排出部9を介して排出される。このとき、一時的に保管されていた複数の完成配送ケースが、重ねられて出庫されてもよいし、順次出庫されてもよい。このように、まとめ出庫ライン40が用いられる場合には、投入部8からの再度の投入が不要となって、作業者60の前を完成配送ケースが通ることが無くなり、作業者60を煩わせることもないし、新たな配送ケース200の搬送を妨げることも無く、仕分け作業の効率を向上させる。
【0158】
逆に、上記条件以外の場合には、搬送レーン7は、完成配送ケースをそのまま排出部9から外部に排出する。特段の問題が生じにくいからである。
【0159】
このように、完成配送ケースも、一時的に自動倉庫2に溜めておかれることで、実際の運送までの手間、作業、保管場所などを低減できることになる。結果として、商品仕分けシステム1の周辺のコンパクト化とレイアウトの容易性を高めることができる。
【0160】
以上のように、パターンPT3の場合には、再入庫ライン50を介して、完成配送ケースが、配置棚3に再び戻されて、配送等の都合や配送等の準備不足に合わせた処理を実施できる。
【0161】
以上、実施の形態1の商品仕分けシステム1は、ハードウェア、ソフトウェア(人的作業を含む)の組み合わせにおよび商品仕分け装置の構造上の工夫とによって、コンパクト化して、フレキシブルな工場等への設置ができる。また、種々の工夫によって、作業領域を含めたコンパクト化が可能となり、商品仕分けシステム1は、様々な場所に適用されやすくなる。
【0162】
また、商品仕分けシステム1は、自動倉庫2や搬送レーン7などの装置としてのハードウェアを前提とした商品仕分け方法として把握されることもできる。
【0163】
すなわち、次のステップのそれぞれを含む、商品仕分け方法として把握されれば良い。
【0164】
(1)複数の列および段により仕切られる複数の配置棚3を有する自動倉庫2に複数の商品アイテム100を入庫させる入庫ステップ。
(2)複数の配置棚3のいずれかに、入庫ステップで入庫した複数の商品アイテム100のそれぞれを、クレーン6を用いて配置して保管する配置ステップ。
(3)配置棚3に保管されている商品アイテム100の内、仕分け対象候補の商品アイテム100を、自動倉庫2の一部に対向して装着されたフローラック5に設置する設置ステップ。
(4)フローラック5から仕分けされる商品アイテム100を詰める配送ケース200を搬送する搬送レーン7であって、その一端から配送ケース200を投入する投入ステップ。
(5)搬送レーン7で作業者60の前面に搬送される配送ケース200に詰めるべき商品アイテム100を、フローラック5から選択して詰める仕分けステップ。
(6)仕分けステップの完了した配送ケース200を、搬送レーン7が、投入部8と逆側に設けられる排出部9に、排出する排出ステップ。
【0165】
ここで、搬送レーン7の構造、搬送レーン7と自動倉庫2(フローラック5)との位置関係により、図1に示されるような作業領域10が確保されることは、上述で説明した通りである。加えて、この作業領域10では、作業者60の前面に搬送レーン7で搬送される配送ケース200が到達し、作業者60の背面に、仕分け対象となる商品アイテム100が設置されるフローラック5が位置し、所定範囲内での前後の身体の向き変更での動線で、作業者60は、仕分けステップを行える。
【0166】
このように、商品仕分け方法として、把握されることも好適である。また、商品仕分け方法における、仕掛かり配送ケースの再入庫や完成配送ケースの再入庫などの追加的な処理が加わるオプションの追加は、既に述べた通り、可能である。
【0167】
(実施の形態2)
【0168】
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2では、商品仕分けシステム1の更なる小型化、および商品仕分けシステム1が処理すべき役割を、図1に示す商品仕分けシステム1以外の装置や構造物に分担させることを極力低減できる工夫(この結果、当然ながら、商品仕分けシステム1は、小型化できるし、工場や配送センター内でのレイアウトの自由度や容易性が高まるからである)について、説明する。
【0169】
(フローラックでの商品余りに対する対応)
クレーン6は、配置棚3に保管されている商品アイテム100を、フローラック5に移動して設置する。このとき、クレーン6は、搬送レーン7を搬送されてくる配送ケース200に対応する商品アイテム100を、なるべく選択してフローラック5に移動して設置する。
【0170】
しかしながら、配送ケース200の投入は様々であり、配置棚3での商品アイテム100の保管位置も様々である。このため、必ずしも、すぐに仕分けの対象となる(配送ケース200に詰め込む対象となる)商品アイテム100が、フローラック5に設置されているとは限らない。作業者60が、フローラック5に設置されている複数の商品アイテム100において(例えば、仕分け対象としての表示がある商品アイテム100)、何回かの仕分け作業を行っても、仕分け対象とならない(配送ケース200に詰めることがなく放置されたまま)商品アイテム100が残ることがある。
【0171】
すなわち、フローラック5に配置された複数の商品アイテム100において、所定時間および所定仕分け作業回数の少なくとも一方を越えた期間まで残っている商品アイテム100は、この一定期間仕分け作業に必要とされなかった商品アイテム100である(以下、「残り商品アイテム」と定義する)。言い換えれば、残り商品アイテムは、その後もしばらく仕分け対象とならない可能性が高い。
【0172】
このような残り商品アイテムが、いつまでもフローラック5に残っていると、フローラック5の使用効率を低下させてしまう。この使用効率の低下を防止するためには、例えば、フローラック5を大きくすることが考えられる。但し、作業者60の作業を考えると、フローラック5の高さ方向を大きくしすぎることは無理があるので、横方向を大きくすることになってしまう。こうなると、作業者の動線が大きくなってしまって、作業者の仕分け作業効率が低下する。あるいは、複数の作業者が、作業領域10において作業する必要があり、後者の場合に、作業者の役割分担や熟練度によっては、仕分けミスが生じることもありうる。
【0173】
また、フローラック5の横方向が大きくなってしまえば、当然に商品仕分けシステム1そのものが大きくなってしまう問題も生じさせる。これは、従来技術の問題である、多品種少量に対応する商品仕分けシステムや、様々なレイアウトに合わせてコンパクトに設置できる商品仕分けシステムを、解決できないことになる。
【0174】
そこで、クレーン6は、上記条件によって分類される残り商品アイテムを、フローラック5から配置棚3に戻す。こうすることで、しばらく仕分け作業に使用されない商品アイテム100が、フローラック5の限られた空間を長期間に渡って、占有することがなくなる。結果として、フローラック5に設置される商品アイテム100が、次々と仕分けされて配送ケース200に詰められる。このため、フローラック5は、横方向に小さくできるようになり、当然ながら、商品仕分けシステム1は、小型化できる。上述に記載の、従来技術の商品仕分けシステムの問題点を、実施の形態2の商品仕分けシステム1は、解消できる。
【0175】
クレーン6は、所定時間および所定仕分け作業回数の少なくとも一方を越えた期間まで残っている商品アイテムを、残り商品アイテムとして判定するのに、所定のルールを用いればよい。また、この所定ルールは、クレーン6を始めとした商品仕分けシステム1に備えられる制御部が、コンピュータプログラムやLSIを用いることで、定められればよい。このため、この所定ルールは、変更可能であることも好適である。
【0176】
すなわち、残り商品アイテムと判定されるまでの時間は、商品アイテム100の特性、仕分けの特性、商品仕分けシステム1が設置される工場などの特性に応じて、変更可能である。このような、高いフレキシビリティは、商品仕分けシステム1が、様々な用途に適用しやすくなるので、商品仕分けシステム1の適用範囲が更に広がるメリットがある。
【0177】
(配置棚へ残り商品アイテムを戻す際の工夫)
また、フローラック5は、残り商品アイテムとなりやすい商品アイテム100の履歴を記録する。複数の商品アイテム100は、様々な種類を有しており、商品アイテム100によっては、配送ケース200に仕分けられることが少ない商品アイテム100も生じうる(すなわち、商店や工場に配送されることが少ない商品アイテム)。フローラック5は、電子的制御部を有しており、この電子的制御部は、プロセッサやメモリなどを有しており、このメモリは、この残り商品アイテムとなりやすい商品アイテム100を記録する。
【0178】
例えば、所定期間において、所定回数以上残り商品アイテムとなる商品アイテム100を、メモリが履歴として記録する。この履歴された商品アイテム100が、残り商品アイテムとなりやすい商品アイテム100であると判断される。
【0179】
クレーン6は、この履歴に従って、残り商品アイテムとなりやすい商品アイテム100であると判断された商品アイテムを、フローラック5の位置から遠い配置棚3に戻して配置することも好適である。このような残り商品アイテムとなりやすい商品アイテム100は、フローラック5に移動して設置する回数や可能性が低いと判断される。このような商品アイテム100が、フローラック5の近くの配置棚3に保管されると、フローラック5に移動させる頻度の高い商品アイテム100が、フローラック5より遠い位置に保管されやすいことになってしまう。
【0180】
この場合には、クレーン6の移動距離が大きくなりやすく、作業効率および消費エネルギーにとっても好ましくない。このため、クレーン6は、フローラック5から残り商品アイテムとなりやすい商品アイテム100を配置棚3に戻す際には、フローラック5から遠い配置棚3に戻すことが適当である。なお、フローラック5から遠いとは、例えば、フローラック5の装着領域と重複していない配置棚3や、フローラック5の装着領域と重複しておらず、さらに、所定距離以上離れている配置棚3である。あるいは、自動倉庫2において、両端とその近辺の配置棚3を言う。あるいは、クレーン6が、フローラック5を基準として、所定距離以上移動しなければならない配置棚3を言う。
【0181】
このような結果、残り商品アイテムとなりやすい商品アイテム100が、フローラック5の近くの配置棚3を占有しにくくなり、より高い頻度で仕分け対象となる商品アイテム100が、フローラック5の近くの配置棚3に配置されるようになる。この結果、仕分け作業全体の効率が向上し、エネルギー効率も向上する。
【0182】
更には、フローラック5を小型化できるメリットも生じ、商品仕分けシステム1のコンパクト化、様々な場所での設置容易性の高さ、適用範囲の広さ、普及の容易性などが生じる。
【0183】
(滑り止め)
配置棚3には、図4図6に示されるように多数の商品アイテム100が配置・保管される。配置棚3は、一時的に仕分け対象となる商品アイテム100を保管するとはいえ、場合によっては長時間の保管を行う必要もある。例えば、仕分け作業が1日で終了しない場合や、上述のように、残り商品アイテムが、いつまでも配置棚3に残ってしまう場合もある。
【0184】
このような場合に、自動倉庫2および配置棚3が頑丈かつ十分な耐久性を持って形成されていても、地震や突発事故などによって、配置棚3から商品アイテム100が滑り落ちてしまうこともありうる。特に、我が国では震災の記憶も生々しく、工場や配送センターで震災による被害が生じた場合の復旧の早さが求められている。
【0185】
このため、自動倉庫2が備える複数の配置棚3の少なくとも一部(全部でももちろん良い)は、商品アイテム100の底面の少なくとも一部と接触する滑り止めを有することも好適である。滑り止めが施されていることで、地震や突発事故が生じても、配置棚3に保管されている多数の商品アイテム100が落下することが防止される。落下が防止されれば、人的、物的被害が減少する上、復旧も早くなるからである。
【0186】
また、滑り止めがあることで、地震や突発事故などが生じても、配置棚3の中で商品アイテム100の位置がずれにくくなり、商品アイテム100の位置に合わせて動作するクレーン6にとっても好適である。クレーン6が、画像処理で配置棚3に配置されている商品アイテム100を把持するのではなく、設定された座標値に基づいて、商品アイテム100を把持する場合には、商品アイテム100が、配置棚3での位置がずれていないことが好適である。
【0187】
滑り止めが設けられることによって、配置棚3の中で商品アイテム100の位置がずれにくくなり、クレーン6による作業へすぐに復帰できる。
【0188】
図9は、本発明の実施の形態2における配置棚に滑り止めが施された状態を示す斜視図である。このように、配置棚3の底面の一部(もしくは全部)に、滑り止め(摩擦係数の高い部材)が装着されることで、上述のような震災対策と復旧対策も可能である。
【0189】
以上、実施の形態2の商品仕分けシステム1は、コンパクト化を更に実現し、様々な場所での設置容易性の高さ、適用範囲の広さ、普及の容易性などを実現できる。
【0190】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。
【0191】
実施の形態3では、実施の形態1〜2で説明した商品仕分けシステム1を、複数組み合わせる商品仕分けシステムについて説明する。
【0192】
図10は、本発明の実施の形態3における商品仕分けシステムの模式図である。図10は、商品仕分けシステム300を上から見た状態を示している。商品仕分けシステム1は、実施の形態1〜3で説明したように、自動倉庫、搬送レーン、フローラック、クレーンを主な要素としている。ここで、搬送レーンを共有化するように、搬送レーン同士が対向して接続されたり、搬送レーンが共有化されて、複数の自動倉庫2(これに付随するフローラック5、クレーン6など)が対向するように構成されたりすることも好適である。
【0193】
例えば、自動倉庫2が、複数である場合に、複数の自動倉庫2を搬送レーン7を挟むように対向させて構成させる。また、複数の自動倉庫2が、搬送レーン7を挟む場合には、搬送レーン7とフローランク5の前の作業領域10で作業するそれぞれの作業者60が対向する位置となる。
【0194】
図10は、このような構成を示しており、複数の自動倉庫2(あるいは複数の商品仕分けシステム1)が、対向するように組み合わされている。このように、実施の形態1〜3で説明した商品仕分けシステム1は、その構造上の特徴から、図10に示されるように、相互に対向して組み合わされることができる。この結果、様々な商品アイテム100を取り扱う必要のある工場や配送センターに、フレキシビリティの高いレイアウトでの設置が可能である。当然、個々の商品仕分けシステム1が小型であることはもちろん、構造上の特徴から、作業者60Aと作業者60Bとが向き合うようになる。
【0195】
このように、作業者60Aと50Bとが向き合えると、お互いに確認しあいながら作業することもできるので、作業ミスを防止できる。加えて互いに対向する構成によって、2つの作業領域のそれぞれが、確実に確保できるようになり、全体としてのコンパクト化が可能となる。
【0196】
また、商品アイテム100の投入ライン4A,4Bが対向して、商品アイテム100の投入作業が、集約される上に、商品アイテム100のそれぞれは、商品仕分けシステム1Aと商品仕分けシステム1Bのそれぞれに必要な商品アイテム100が投入される。
【0197】
同様に、配送ケース200の投入部8A,8Bのそれぞれが近い位置に存在することになるので、配送ケース200の投入に必要な作業が集約されやすくなる。集約されやすくなった上で、商品仕分けシステム1Aと商品仕分けシステム1Bのそれぞれに必要な配送ケース200が、投入される。
【0198】
更には、排出部9Aと排出部9Bとも集約されやすくなり、特に、ほぼ同一の位置で同一方向に仕分けられた配送ケース200を排出できる。この点で、排出される配送ケース200が、商品仕分けシステム1Aから排出されたものでも、商品仕分けシステム1Bから排出されたものであっても、ほぼ同じ場所に排出されるので、その後の配送のための移動作業などの効率が向上する。
【0199】
このように、図1に示される構成を有する商品仕分けシステム1をベースとして、これらを対向するように組み合わせる事で、商品仕分けシステム1A、1Bのそれぞれに必要となる他の作業が集約されやすくなる。これは、当然に商品仕分け作業の効率を上げることになり、更には、商品仕分け対象の商品量、種類、特性などに応じた、様々な商品仕分けシステムが構築できる。
【0200】
もちろん、図10の2台の組み合わせだけでなく、様々な組み合わせ方があり、工場や配送センターでの都合に合わせた、フレキビシリティの高い商品仕分けのシステムを、工場や配送センターに構築できる。当然ながら、商品仕分けの作業効率が高まったり、商品アイテムの変化等に即座に応じた組み合わせの変更も容易であったりするので、適用範囲が広がる。
【0201】
結果として、本発明の商品仕分けシステム1は、様々な産業、特に多品種少量や外国展開など、製造や配送現場における、技術の進歩とグローバリゼーションを、促進させることができる。
【0202】
なお、実施の形態1〜3で説明された商品仕分けシステムは、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【符号の説明】
【0203】
1 商品仕分けシステム
2 自動倉庫
3 配置棚
4 入庫ライン
5 フローラック
6 クレーン
7 搬送レーン
7A 湾曲部
8 投入部
9 排出部
10 作業領域
30 分岐レーン
40 まとめ出庫ライン
50 再入庫ライン
60 作業者
100 商品アイテム
200 配送ケース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10