(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
建造物の天井側、壁面側、床面側のいずれかを被装着部とし、有機ELモジュールが天井面、壁面、床面のいずれかを構成し、前記天井面、壁面、床面と平行に固定平面が設けられ、前記固定平面に給電線が配されていてマウント受け部に給電されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の有機ELモジュールの取り付け構造。
板状の有機ELパネルを有していて一方の主面が発光し、発光面の反対側の主面たる反発光面の中央にマウント部材が設けられ、有機ELパネルの取り付け対象部である被装着部に設けられたマウント受け部材にマウント部材を係合させる有機ELモジュールであって、
マウント部材は、マウント受け部材に対して電気的に結合する接点と、機械的に結合する係合部とを有し、
マウント部材を回転することによって、前記係合部が係合・離脱し、
マウント部材又はマウント受け部材の少なくとも一方が主面の法線方向に伸縮可能な伸縮部材を有し、有機ELモジュールを所定の取り付け位置から主面の法線方向に突出させることが可能であり、
マウント部材の接点は、中央に設けられた中央接点と、中央接点の周囲に間隔を開けて設けられた周辺接点があり、
中央接点は、周辺接点に比べて突出あるいは凹変していることを特徴とする有機ELモジュール。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
昨今は、隣接する有機EL装置同士を隙間なく配置したいという要望があり、特許文献1の電球装置の電球のような球形で且つ単体で固定されるものは、このような要望に応えることができない。すなわち、隣接する有機EL装置同士を隙間なく配置するためには、有機EL装置が四角形を呈している必要がある。
ところが、有機EL装置を四角形に構成した結果、天井等に装着された有機ELパネルを取り外す際に、有機ELパネルを回転させようとしても、隣接する他の有機ELパネルが邪魔になって回転させることができない。すなわち、有機ELパネルを取り外すことは容易ではない。
そこで本発明は、被装着部に対して容易に着脱することができる有機ELパネル、有機ELパネルの取り付け構造、及び有機ELパネルの取り換え方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、有機ELモジュールを被装着部に取り付ける有機ELモジュールの取り付け構造において、有機ELモジュールは、板状の有機ELパネルを有していて一方の主面が発光し、発光面の反対側の主面たる反発光面の中央にマウント部材が設けられ、被装着部にはマウント受け部材があり、マウント部材とマウント受け部材は、共に電気的に結合する接点と、機械的に結合する係合部とを有し、マウント部材を回転することによって、前記係合部が係合・離脱し、マウント部材又はマウント受け部材の少なくとも一方が主面の法線方向に変位可能な変位部材を有し、有機ELモジュールを所定の取り付け位置から主面の法線方向に突出させることが可能であ
り、マウント部材の接点は、中央に設けられた中央接点と、中央接点の周囲に間隔を開けて設けられた周辺接点があり、中央接点は、周辺接点に比べて突出あるいは凹変していることを特徴とする有機ELモジュールの取り付け構造である。
すなわち、本発明に関連する発明は、有機ELモジュールを被装着部に取り付ける有機ELモジュールの取り付け構造において、有機ELモジュールは、板状の有機ELパネルを有していて一方の主面が発光し、発光面の反対側の主面たる反発光面の中央にマウント部材が設けられ、被装着部にはマウント受け部材があり、マウント部材とマウント受け部材は、共に電気的に結合する接点と、機械的に結合する係合部とを有し、マウント部材を回転することによって、前記係合部が係合・離脱し、マウント部材又はマウント受け部材の少なくとも一方が主面の法線方向に伸縮可能な伸縮部材を有し、有機ELモジュールを所定の取り付け位置から主面の法線方向に突出させることが可能であることを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明では、有機ELパネル側のマウント部材と、被装着部側のマウント受け部材とが、係合部によって機械的に結合すると、両者は接点で電気的に結合し、通電すると有機ELパネルを発光させることができる。
マウント部材又はマウント受け部材の少なくとも一方には、主面の法線方向に伸縮可能な伸縮部材を有しているので、有機ELパネルは主面の法線方向に移動することができる。そのため、有機ELパネルの同一平面内に回転するのに障害となる障害物が隣接していても、法線方向に移動することによって障害物とは異なる平面に移動し、障害物に衝突することなく有機ELパネルは回転することができる。
このような本発明に係る伸縮部材としては、公知の曲がるストローの蛇腹部分の如き構造を剛性の高い材料で形成した部材を用いることが好ましい。このような伸縮部材は、範囲は限定されるものの上下に伸縮可能なだけでなく左右前後に伸縮部を曲げることが可能である。
従って、好ましい実施形態としては、有機ELパネルの主面の法線方向にパネルを移動可能とするだけでなく、被装着部である例えば天井面の法線に対して、パネル毎にその主面の法線を傾斜可能とする態様も含む。
また、このような本発明のパネルを用いた好ましい実施態様として、複数のパネルにより概ね平面の発光面を形成しつつ、本発明の構成を利用することにより簡便に、全パネルの前述の概ね平面の発光面である全発光面と個別パネルの個別発光面との法線を傾ける態様がある。
さらに、好ましい実施態様としては、前記全発光面に対して複数のパネルの前記個別発光面を全て一定の角度としたり、その一定の角度とされた複数のパネルとは別の複数のパネルを別の一定の角度として図形を表示したりすることで優れた装飾効果を得る態様がある。
【0009】
請求項
1に記載の発明では、マウント部材の接点は、中央に設けられた中央接点と、中央接点の周囲に間隔を開けて設けられた周辺接点があるので、中央接点を中心に回転させて周辺接点をマウント受け部材側の接点に接続することができる。
【0010】
また、請求項1に記載の発明では、中央接点は、周辺接点に比べて突出あるいは凹変していてもよい
。
【0011】
請求項
2に記載の発明は、
有機ELモジュールを被装着部に取り付ける有機ELモジュールの取り付け構造において、有機ELモジュールは、板状の有機ELパネルを有していて一方の主面が発光し、発光面の反対側の主面たる反発光面の中央にマウント部材が設けられ、被装着部にはマウント受け部材があり、マウント部材とマウント受け部材は、共に電気的に結合する接点と、機械的に結合する係合部とを有し、マウント部材を回転することによって、前記係合部が係合・離脱し、マウント部材又はマウント受け部材の少なくとも一方が主面の法線方向に変位可能な変位部材を有し、有機ELモジュールを所定の取り付け位置から主面の法線方向に突出させることが可能であり、係合部は、爪と爪受け部材であり、有機ELモジュールを360度未満の回転角度で回転させることによって係合・離脱させることが可能であることを特徴とす
る有機ELモジュールの取り付け構造である。
【0012】
請求項
2に記載の発明では、係合部は、爪と爪受け部材であり、有機ELモジュールを360度未満の回転角度で回転させることによって係合・離脱させることが可能であるので、有機ELモジュールは、確実に被装着部に係合して固定することができると共に、有機ELモジュールを回転させるだけで容易に被装着部から離脱させることができる。
【0013】
請求項
3に記載の発明は、
有機ELモジュールを被装着部に取り付ける有機ELモジュールの取り付け構造において、有機ELモジュールは、板状の有機ELパネルを有していて一方の主面が発光し、発光面の反対側の主面たる反発光面の中央にマウント部材が設けられ、被装着部にはマウント受け部材があり、マウント部材とマウント受け部材は、共に電気的に結合する接点と、機械的に結合する係合部とを有し、マウント部材を回転することによって、前記係合部が係合・離脱し、マウント部材又はマウント受け部材の少なくとも一方が主面の法線方向に変位可能な変位部材を有し、有機ELモジュールを所定の取り付け位置から主面の法線方向に突出させることが可能であり、建造物の天井側、壁面側、床面側のいずれかを被装着部とし、有機ELモジュールが天井面、壁面、床面のいずれかを構成し、前記天井面、壁面、床面と平行に梁材又は縦材が設けられ、前記梁材又は縦材に給電線が取り付けられていてマウント受け部に給電されることを特徴とする有機ELモジュールの取り付け構造である。
【0014】
請求項
3に記載の発明では、有機ELモジュールによって構成される天井面、壁面、床面と平行に梁材又は縦材を設けるので、梁材又は縦材に給電線を取り付け、マウント受け部に給電することができる。
【0015】
請求項
4に記載の発明は、変位部材は、変位した状態を維持し、外力によって前記法線方向の位置が変化することを特徴とする請求項1
乃至3のいずれかに記載の有機ELモジュールの取り付け構造である。
【0016】
請求項
4に記載の発明では、
変位部材は、
変位した状態を維持し、外力によって
法線方向の位置が変化するので、有機ELパネルは
、法線方向に移動した位置で停止することができる。
【0017】
請求項
5に記載の発明は、変位部材は、収縮部を有する収縮部材であり、前記収縮部材は、伸びた状態を維持し、外力によって伸びた状態から縮んだ状態に変化することを特徴とする請求項1
乃至4のいずれかに記載の有機ELモジュールの取り付け構造である。
【0018】
請求項
5に記載の発明では、変位部材を収縮部材で容易に構成することができる。収縮部材としては、例えば蛇腹構造を有する部材を採用することができる。
【0019】
請求項
6に記載の発明は、周辺接点は、中央接点を環状に取り巻き、且つ周辺接点と中央接点は両者を平面的に観察すると同心であることを特徴とする請求項
1に記載の有機ELモジュールの取り付け構造である。
【0020】
請求項
6に記載の発明では、周辺接点は、中央接点を環状に取り巻き、且つ周辺接点と中央接点は両者を平面的に観察すると同心であるので、マウント受け部材に対するマウント部材の回転位置に汎用性を持たせることができる。すなわち、どのような回転位置であっても、マウント部材側の中央接点と周辺接点は、マウント受け部材側の接点に接続される。
【0021】
請求項
7に記載の発明は、中央接点と周辺接点との間に絶縁部があり、周辺接点の外側にも絶縁部が設けられていることを特徴とする請求項
1又は
6に記載の有機ELモジュールの取り付け構造である。
【0022】
請求項
7に記載の発明では、中央接点と周辺接点との間に絶縁部があり、周辺接点の外側にも絶縁部が設けられているので、絶縁性が良好である。
【0023】
請求項8に記載の発明は、有機ELパネルは、面状に広がりを有する基板に透明電極層と、有機EL層と、裏面電極層が順に積層されたものであり、中央接点は透明電極層又は裏面電極層の一方に接続され、周辺接点は透明電極層又は裏面電極層の他方に接続されていることを特徴とする請求項
1、6、7のいずれかに記載の有機ELモジュールの取り付け構造である。
【0024】
請求項8に記載の発明では、中央接点が有機ELパネルの透明電極層と裏面電極層のいずれか一方に接続され、周辺接点は透明電極層又は裏面電極層の他方に接続されているので、有機ELパネルには外部から良好に電力が供給される。
【0025】
請求項
9に記載の発明は、有機ELモジュールが建造物の被装着部に2×2以上のマトリクス状、及び/又は3個以上が直線状に配置されていることを特徴とする請求項1乃至
8のいずれかに記載の有機ELモジュールの取り付け構造である。
【0026】
請求項
9に記載の発明では、複数の有機ELモジュールを隣接して配置することができる。その際、各有機ELモジュールは、主面の法線方向に移動可能であるので、隣接する他の有機ELモジュールに衝突することなく、着脱することができる。
【0027】
建造物の天井側、壁面側、床面側のいずれかを被装着部とし、2個以上のマウント受け部を被装着部に取り付けることもできる(請求項
10)。
【0028】
請求項
11に記載の発明は、建造物の天井側、壁面側、床面側のいずれかを被装着部とし、有機ELモジュールが天井面、壁面、床面のいずれかを構成し、前記天井面、壁面、床面と平行に固定平面が設けられ、前記固定平面に給電線が配されていてマウント受け部に給電されることを特徴とする請求項1乃至
10のいずれかに記載の有機ELモジュールの取り付け構造である。
【0029】
請求項
11に記載の発明では、有機ELモジュールが構成する天井面、壁面、床面と平行に固定平面が設けられているので、固定平面に給電線を配することによって、マウント受け部に給電することができる。
【0030】
請求項
12に記載の発明は、
板状の有機ELパネルを有していて一方の主面が発光し、発光面の反対側の主面たる反発光面の中央にマウント部材が設けられ、当該マウント部材と、被装着部にあるマウント受け部材は、共に電気的に結合する接点と、機械的に結合する係合部とを有し、マウント部材を回転することによって、前記係合部が係合・離脱し、マウント部材又はマウント受け部材の少なくとも一方が主面の法線方向に変位可能な変位部材を有し、有機ELモジュールを所定の取り付け位置から主面の法線方向に突出させることが可能である有機ELモジュールを取り換える有機ELモジュールの取り換え方法であって、有機ELモジュールの一部に取り付けられる取り付け部材を使用し、取り付け部材を有機ELモジュールに固定し、取り付け部材を引っ張って有機ELモジュールを突出させる工程を有することを特徴とする有機ELモジュールの取り換え方法である。
【0031】
請求項
12に記載の発明では、有機ELモジュールの一部に取り付けられる取り付け部材を使用し、取り付け部材を有機ELモジュールに固定し、取り付け部材を引っ張って有機ELモジュールを突出させるので、有機ELモジュールの通常使用時には、取り付け部材が有機ELモジュールに取り付けられておらず、見栄えが良好である。
【0032】
請求項
13に記載の発明は、板状の有機ELパネルを有していて一方の主面が発光し、発光面の反対側の主面たる反発光面の中央にマウント部材が設けられ、有機ELパネルの取り付け対象部である被装着部に設けられたマウント受け部材にマウント部材を係合させる有機ELモジュールであって、マウント部材は、マウント受け部材に対して電気的に結合する接点と、機械的に結合する係合部とを有し、マウント部材を回転することによって、前記係合部が係合・離脱し、マウント部材又はマウント受け部材の少なくとも一方が主面の法線方向に伸縮可能な伸縮部材を有し、有機ELモジュールを所定の取り付け位置から主面の法線方向に突出させることが可能であ
り、マウント部材の接点は、中央に設けられた中央接点と、中央接点の周囲に間隔を開けて設けられた周辺接点があり、中央接点は、周辺接点に比べて突出あるいは凹変していることを特徴とする有機ELモジュールである。
すなわち、本発明に関連する発明は、板状の有機ELパネルを有していて一方の主面が発光し、発光面の反対側の主面たる反発光面の中央にマウント部材が設けられ、有機ELパネルの取り付け対象部である被装着部に設けられたマウント受け部材にマウント部材を係合させる有機ELモジュールであって、マウント部材は、マウント受け部材に対して電気的に結合する接点と、機械的に結合する係合部とを有し、マウント部材を回転することによって、前記係合部が係合・離脱し、マウント部材又はマウント受け部材の少なくとも一方が主面の法線方向に伸縮可能な伸縮部材を有し、有機ELモジュールを所定の取り付け位置から主面の法線方向に突出させることが可能であることを特徴とする。
【0033】
請求項
13に記載の発明では、マウント部材又はマウント受け部材の少なくとも一方が主面の法線方向に伸縮可能な伸縮部材を有するので、有機ELモジュールは、主面の法線方向に移動可能である。すなわち、有機ELモジュールを所定の取り付け位置から主面の法線方向に突出させることが可能である。
そのため、有機ELモジュールと同一平面内に回転するのに障害となる障害物が存在していても、有機ELパネルを主面の法線方向に移動させて、障害物とは異なる平面に配置することができる。そのため、障害物に衝突することなく有機ELモジュールを回転させて係合部を離脱させることができる。
【0034】
請求項14に記載の発明は、板状の有機ELパネルを有していて一方の主面が発光し、発光面の反対側の主面たる反発光面の中央にマウント部材が設けられ、有機ELパネルの取り付け対象部である被装着部に設けられたマウント受け部材にマウント部材を係合させる有機ELモジュールであって、マウント部材は、マウント受け部材に対して電気的に結合する接点と、機械的に結合する係合部とを有し、マウント部材を回転することによって、前記係合部が係合・離脱し、マウント部材又はマウント受け部材の少なくとも一方が主面の法線方向に伸縮可能な伸縮部材を有し、有機ELモジュールを所定の取り付け位置から主面の法線方向に突出させることが可能であり、係合部は、爪と爪受け部材であり、有機ELモジュールを360度未満の回転角度で回転させることによって係合・離脱させることが可能であることを特徴とする有機ELモジュールである。
【発明の効果】
【0035】
本発明の有機ELモジュールの取り付け構造、有機ELモジュールの取り換え方法、及び有機ELモジュールでは、有機ELパネル側のマウント部材と、被装着部側のマウント受け部材とが、係合部によって機械的に結合すると、両者は接点で電気的に結合し、有機ELパネルを発光させることができる。
マウント部材又はマウント受け部材の少なくとも一方には、主面の法線方向に伸縮可能な伸縮部材を有しているので、有機ELパネルは主面の法線方向に移動することができる。そのため、有機ELパネルの同一平面内に回転するのに障害となる障害物が隣接していても、法線方向に移動することによって障害物とは異なる平面に移動し、障害物に衝突することなく有機ELパネルは回転することができる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1(a)に示す様に、複数の有機EL装置1が、部屋2の天井3に隙間なく敷き詰められている。各有機EL装置1は、薄板状の四角形(正方形)の外形を有する。そのため、
図1(a)に示す様に、各有機EL装置1は、隙間なく隣接して配置することができる。
【0038】
有機EL装置1は、詳しくは後述する様に有機ELモジュール4と固定部5(被装着部)とを有する。固定部5は、天井3の梁等に固定され、有機ELモジュール4は固定部5に着脱可能に固定される。
図1(a)に示す例では、有機EL装置1は部屋2の天井3(上側)に配置されており、有機ELモジュール4の主面4aが部屋2に露出して部屋2内を照らすことができる。有機EL装置1は、部屋2の側壁や、建物の外壁等にも設置可能である。
【0039】
有機EL装置1は、
図1(b)に示す様に、下方(発光する主面の法線方向)に引き出し、さらに固定部5に対して有機ELモジュール4を回転させることにより、有機ELモジュール4を固定部5から取り外すことができる。すなわち、
図2(a)に示す様に、各有機EL装置1の有機ELモジュール4が同一平面上に配置されている状態から、
図2(b)に示す様にある1つの有機EL装置1だけを下方に引き出し、さらに
図2(c)に示す様に固定部5に対して有機ELモジュール4を所定角度(例えば45度)だけ回転させると、固定部5から有機ELモジュール4を取り外すことができる。
図2(d)は、有機ELモジュール4が取り外されて固定部5の下面側が露出した状態を示している。
以下、この有機EL装置1の構成を詳述する。
【0040】
図3、
図4に示す様に、有機EL装置1は、薄板状の四角い外形を有する。有機EL装置1は、有機ELモジュール4と固定部5とを有する。
図5、
図6に示す様に、有機ELモジュール4と固定部5は、各々複数の部材が組み合わされて構成されている。
【0041】
有機ELモジュール4は、詳しくは後述する有機ELパネル100と、マウント部材7とを有する。
マウント部材7は、
図5、
図6、
図7(a)、(b)に示す様に、環状構造を呈しており、筒部9とフランジ部10とを有する。筒部9は、貫通孔9aを有する。
【0042】
フランジ部10は、外向きのフランジであり、筒部9の他方の端面に連続して形成されている。また、フランジ部10には切欠部10a、10b、10cが設けられている。すなわち、フランジ部10は、切欠部10a、10b、10cによって互いに離間した3つの突出片11a、11b、11c(爪受け部)で構成されている。
【0043】
筒部9の貫通孔9a内には、内側導通部材12a、内側絶縁部材13a、外側導通部材12b、外側絶縁部材13bが、内側からこの順で同心状に配置されている。内側導通部材12aは、円柱状の電気導通性が良好な部材であり、外側導通部材12bは、筒状の電気導通性が良好な部材であり、内側絶縁部材13a及び外側絶縁部材13bは、各々筒状の絶縁性を有する部材である。すなわち、内側導通部材12aと外側導通部材12bは、内側絶縁部材13aによって絶縁されており、外側絶縁部材13bは、外側導通部材12bと筒部9の貫通孔9aの間に配置されている。
【0044】
そのため、内側導通部材12aと外側導通部材12bは、絶縁されると共に、同心状に配置される。そして、
図7(b)に示す様に、内側導通部材12a、外側導通部材12bにおける、フランジ部10を設けた側とは反対側の端面17a、17bは、筒部9の端面16aと同一平面上に配置されている。
【0045】
図7(a)に示す様に、内側導通部材12a、外側導通部材12b、内側絶縁部材13a、外側絶縁部材13bにおける、有機ELパネル100とは反対側の端面14a、14b、15a、15bは、筒部9のフランジ部10を設けた側の端面16bから若干突出している。この内側導通部材12aの端面14a(中央接点)と、外側導通部材12bの端面14b(周辺接点)が、有機ELモジュール4側の電気的に接合される接点である。内側導通部材12aの端面14aと外側導通部材12bの端面14bは、後述する固定部5側の通電シート23の通電部34a(陽極側)と通電部34b(陰極側)にそれぞれ接合される。
ここで、周辺接点である外側導通部材12bの端面14bは、環状の代わりに、中央接点である内側導通部材12aの端面14aの周辺の1点又は複数点の突起状のもので構成してもよい。
また、中央接点である内側導通部材12aの端面14aは、後述する固定部5側の接点(通電シート23)との兼ね合いで、周辺接点である外側導通部材12bの端面14bよりも突出あるいは凹変していてもよい。
【0046】
次に、固定部5の構造を説明する。
図5、
図6に示す様に、固定部5は、ベース部材20、通電シート固定部材21、上側保持部材24(マウント受け部材)、下側保持部材25(マウント受け部材)、3つの固定部材26等を有している。
【0047】
ベース部材20は、剛性を有する薄板状の略四角形の部材である。ベース部材20の四隅には、上方に突出する突出面30が設けられている。ベース部材20の中央部分には、中央孔27が設けられている。中央孔27は、ベース部材20の中央部分を貫通する孔である。中央孔27には、半径方向内方に向かう3つの内向きフランジ部18が設けられている。各内向きフランジ部18は、等間隔に配置されており、各内向きフランジ部18の間にはくぼみ部27aが形成されている。
中央孔27の周囲4箇所には、雌ねじ部28が設けられている。各雌ねじ部28は、ベース部材20から起立する円筒形の起立部28aを有し、円筒の内壁部分に雌ねじが設けられている。
また、中央孔27の周囲の、雌ねじ部28を避けた位置には、3つの孔29が設けられている。各孔29同士は、互いに等間隔である。
【0048】
通電シート固定部材21は、剛性を有する薄板状の四角形の部材であり、四隅には各々貫通孔31が設けられている。貫通孔31にはねじ32が挿通されている。貫通孔31を挿通したねじ32が、ベース部材20の雌ねじ部28と螺合しており、これによって通電シート固定部材21はベース部材20に固定されている。
【0049】
通電シート固定部材21におけるベース部材20側の面(下面)には、ホルダ22が接着されている。ホルダ22は円板形の部材であり、中央に四角孔33を有する。図示しない電気配線の端部(電極)が、通電シート固定部材21とベース部材20の接着部分を介して四角孔33に配置されている。
【0050】
ホルダ22の四角孔33には、通電シート23が嵌め込まれている。通電シート23は、四角孔33にちょうど嵌まる外形を有する。また、通電シート23には、通電部34a(陽極側)と通電部34b(陰極側)とが同心状に設けられている。すなわち、通電部34aが中心に配置されており、通電部34bが外側に環状に配置されている。通電部34aと通電部34bの間は絶縁されている。さらに通電シート23は、導電性を有する接着剤で通電シート固定部材21に接着されると共に、前述の図示しない電気配線(電極)が接着固定されている。通電シート23は、ホルダ22で回転不能に固定されている。
通電シート23に対して通電可能に接着固定された図示しない電気配線は、天井3の梁等に沿って外部の電源に接続されている。
【0051】
上側保持部材24と下側保持部材25は、ベース部材20を挟むようにベース部材20の上側と下側から結合して一体の保持部材(マウント受け部材)を構成し、後述するマウント部材7と係合したり、マウント部材7を保持する機能を有する。
【0052】
上側保持部材24は、中心に孔35が設けられた円板形状の剛性を有する部材である。
上側保持部材24の孔35の周囲には、複数の小孔36が設けられている。各小孔36は、所定角度間隔に形成されている。
図6には、6つの小孔36が設けられた例を示している。また、上側保持部材24の下側保持部材25側の面には3つの突起50(
図5)が設けられている。突起50は、等角度間隔で配置されている。
【0053】
下側保持部材25は、円板形状を呈する剛性を有する部材である。
図6に示す様に、下側保持部材25の中央部分には肉厚部37が設けられている。肉厚部37は、下側保持部材25の中央部分に形成された肉厚が大きい部位である。また、肉厚部37の周辺には肉厚が薄い周辺部39が形成されている。すなわち、下側保持部材25は、円板形状を呈しているが、中央部分の肉厚が厚く、周辺部分の肉厚は薄い。
【0054】
肉厚部37と周辺部39の間には段40が形成されている。肉厚部37には、段40から半径方向外方へ突出する3つの突出部41が設けられている。突出部41は、段40の周囲に等間隔に配置されている。すなわち、突出部41は、肉厚部37と同じ肉厚を有し、肉厚部37から半径方向外方へ突出する部位である。
【0055】
また、肉厚部37には、複数の突起43が設けられている。突起43は、肉厚部37の肉厚を厚くする方向に突出している。各突起43は、下側保持部材25の中心に対して等角度間隔で配置されている。
【0056】
さらに、下側保持部材25の中央部分には、孔42が設けられている。孔42は、肉厚部37を貫通している。孔42は、内壁42aを有し、内壁42aには半径方向内方へ突出する突出片44(爪)が設けられている。突出片44は、等角度間隔で複数(例えば3つ)設けられている。
【0057】
固定部材26は、蛇腹状に伸縮する部材であり、
図9(a)に示す様に、伸縮部45、外側フランジ46、内側フランジ47を有する。固定部材26は中空の部材であり、本体を構成する伸縮部45は中空である。伸縮部45は、例えばストローの屈曲部のような蛇腹構造を有している。伸縮部45の一方の端部には外側フランジ46が形成されており、他方の端部には内側フランジ47が形成されている。内側フランジ47は、伸縮部45の中空部分の内側に向かって張り出すフランジである。固定部材26は、所定以上の大きさの外力が作用しない限り、伸縮部45が伸長した姿勢と、収縮した姿勢をそれぞれ保持することができる。
【0058】
固定部材26には、内側フランジ47によって開口48が形成されている。
図9(a)に示す様に、固定部材26の内部には、ねじ49を配置することができる。ねじ49のねじ部49aは、開口48を通過することができ、ねじ49の頭部49bは、開口48を通過することができず、内側フランジ47に当接する。よって、ねじ49のねじ部49aのみが開口48から突出する。
【0059】
次に、固定部5の各部材の関係を説明する。
ベース部材20の中央孔27には、上側から上側保持部材24が配置され、下側から下側保持部材25が配置される。
図6に示す下側保持部材25の肉厚部37は、ベース部材20の中央孔27を貫通している。上側保持部材24の各小孔36には、下側保持部材25の各突起43が嵌合している。また、各小孔36の内壁と各突起43の周面は接着されている。すなわち、上側保持部材24と下側保持部材25は、ベース部材20を挟んで一体固着されている。
【0060】
上側保持部材24は、ベース部材20の中央孔27の上側の縁に当接しており、中央孔27を通過してベース部材20の下方へ移動することはできない。また、下側保持部材25の各突出部41は、中央孔27のくぼみ部27a内に配置されている。突出部41の幅は、くぼみ部27aの幅よりも若干小さい。そのため、下側保持部材25とベース部材20は、若干相対回転する余地がある。また、突出部41の幅とくぼみ部27aの幅は、突出部41がくぼみ部27aにちょうど嵌まるように設定してもよい。
【0061】
また、ねじ32がベース部材20の雌ねじ部28に螺合することによって、通電シート固定部材21がベース部材20に固定されている。通電シート固定部材21に固着されたホルダ22と通電シート23は、上側保持部材24の孔35内に配置されている。
【0062】
さらに、ベース部材20の各孔29には、各々固定部材26が下方から挿通されている。
図9(a)に示す様に、固定部材26の外側フランジ46は、ベース部材20の孔29の下面側の縁に当接している。すなわち、外側フランジ46は、孔29よりも大径である。
【0063】
図9(a)に示す様に、固定部材26の内部に配置されたねじ49のねじ部49aが、固定部材26の開口48から露出し、天井3(
図1)の梁(図示せず)等に固定されている。よって、固定部材26は、ねじ49を介して天井3に固定されている。固定部材26は、ベース部材20を保持している。ベース部材20は、通電シート固定部材21と上側保持部材24及び下側保持部材25を保持している。すなわち、ねじ49が天井3に固定されることによって、固定部5の全ての部材が天井3に固定される。
【0064】
次に、固定部5と有機ELモジュール4の係合関係について説明する。
有機ELモジュール4のマウント部材7は、下側保持部材25と係合する。
固定部5に有機ELモジュール4を装着する際、
図8(a)に示す様に、有機ELモジュール4のマウント部材7の突出片11a〜11cが、下側保持部材25の突出片44を避けて孔42(
図5、
図6)内に入り、突出片44(
図6)よりも上方側(上側保持部材24側)へ移動する。また、上側保持部材24の各突起50(
図5)が、マウント部材7の切欠部10a〜10c(
図7(b))内に入る。このとき、マウント部材7と一体の有機ELパネル100(有機ELモジュール4)は、
図1(b)及び
図2(c)に示す様に、固定部5に対して角度位置が45度(360度未満の角度)ずれている。
【0065】
この状態で、有機ELモジュール4(マウント部材7)を回転させると、マウント部材7のフランジ部10の各突出片11a〜11cが下側保持部材25の各突出片44の上方に回転移動し、マウント部材7の各突出片11a〜11cの縁が、上側保持部材24の各突起50(
図5)に当接する。すなわち、上側保持部材24の各突起50が、マウント部材7の回転のストッパとして機能する。
【0066】
各突起50が各突出片11a〜11cの縁に当接して、マウント部材7の回転が停止すると、マウント部材7の各突出片11a〜11c(爪受け部)が、下側保持部材25の各突出片44(爪)の上側に配置され、マウント部材7の各突出片11a〜11cは、下側保持部材25の各突出片44と係合する。そのため、マウント部材7は、下側保持部材25によって支持される。このとき、有機ELパネル100は、
図2(b)に示す様に、固定部5との角度位置が一致している。
【0067】
このとき、内側導通部材12aの端面14a(接点)と外側導通部材12bの端面14b(接点)が、固定部5側の通電シート23の通電部34a(陽極側接点)と通電部34b(陰極側接点)にそれぞれ接合される。
【0068】
また、有機ELモジュール4内では、
図12に示す有機ELパネル100の第1導電部材102が、
図7(b)に示す内側導通部材12aと導通可能に接続されており、第2導電部材105が、外側導通部材12bと導通可能に接続されている。そのため、有機ELモジュール4が固定部5に装着されると、有機ELパネル100の第1導電部材102と第2導電部材105には、内側導通部材12a及び外側導通部材12bと図示しない電気配線(電極)を介して、外部の電源から電力が供給可能になる。
【0069】
そして、
図2(b)に示す状態から有機EL装置1を上方へ押圧すると、各固定部材26の伸縮部45が
図9(a)に示す状態から
図9(b)に示す状態に収縮し、ベース部材20の各突出面30(
図6)が天井3の梁(図示せず)に当接し、有機EL装置1は、
図2(b)に示す突出状態から
図2(a)に示す状態に収容される。すなわち、有機EL装置1は、他の有機EL装置1と同一平面に配置される。突出面30が天井3の梁等に当接すると、有機EL装置1の姿勢が安定する。
【0070】
逆に、有機ELパネル100を取り外す際には、
図2(a)に示す状態の有機EL装置1に、図示しない吸盤を吸着させ、当該有機EL装置1を手前側(下側)へ引き出す。すなわち、固定部材26は、伸縮部45が収縮した状態で有機EL装置1を支持しており、この固定部材26の伸縮部45の支持力に抗して、図示しない吸盤で有機EL装置1を引き出す。その結果、伸縮部45は伸長し、当該有機EL装置1(有機ELパネル100)は、
図2(b)に示す様に、他の有機EL装置1よりも下方へ移動し、引き出される。
【0071】
図2(b)に示す状態では、引き出された有機EL装置1は、隣接する他の有機EL装置1よりも下方に位置している。よって、引き出された有機EL装置1の有機ELパネル100は、隣接する他の有機EL装置1に衝突することなく回転させることができる。
【0072】
そして、引き出された有機EL装置1の有機ELパネル100を所定角度(例えば45度)回転させると、
図2(c)に示す状態となる。
図2(c)に示す状態では、有機ELパネル100と一体のマウント部材7の各突出片11a〜11cと、下側保持部材25の各突出片44の係合が解除されている。よって、有機ELモジュール4(有機ELパネル100とマウント部材7)を固定部5から取り外すことができる。
【0073】
有機ELパネル100を取り外す際、
図2(a)に示す状態の有機EL装置1に、図示しない吸盤を吸着させる代わりに、有機EL装置1に小さな係合爪を形成しておき、この係合爪にフック等の係合部材を係合させ、手前側(下側)へ引き出すことができるようにしてもよい。また、ベース部材20等に鉄板を埋め込んでおき、磁石を接近させて吸引させ、手前側に引き出すようにしてもよい。さらに、これらの方法に寄らず、その他の適宜の方法により、有機EL装置1を手前側に引き出してもよい。
【0074】
有機EL装置1は、天井3の梁等に固定されて部屋2の天井面を形成する。有機EL装置1は、縦横に2×2以上のマトリクス状、及び/又は3個以上が直線状に配置されて天上面を構成する。
【0075】
また、有機EL装置1は、部屋2の天井3に限らず、建造物の天井側、壁面側、床面側のいずれかを被装着部とし、2個以上の固定部5(マウント受け部材)を被装着部に取り付けて天上面、壁面、床面等を形成することもできる。その際には、当該天上面、壁面、床面と平行に固定平面(図示せず)を別途設け、この固定平面に給電線を配し、固定部5(マウント受け部)に給電するのが好ましい。この場合において、固定平面の代わりに、天上面、壁面、床面と平行に梁材又は縦材を設けてもよい。そして、この梁材又は縦材に給電線を取り付ける。
さらに、固定部側の電気接点と、有機ELモジュール4側の電気接点は、上記の様な構成に限らず、例えば電球の接点の様なねじ構造で構成してもよい。
【0076】
続いて、有機ELパネル100について
図12〜
図20を参照しながら説明する。以下の説明においては、平面視した場合における
図14を基準として縦横方向を規定している。
【0077】
有機ELパネル100は、
図19のように、正方形状の基板202上に第1電極層203、機能層205、第2電極層206からなる有機EL素子210が積層しており、有機EL素子210上に無機封止層207が積層している。
そして、有機ELパネル100では、
図15のように、さらに無機封止層207の上方に給電部材110が載置されており、無機封止層207と給電部材110が軟質樹脂層101によって接着されている。
また、有機ELパネル100は、
図13のように給電部材110と第1電極層203がワイヤー111,112によって接続されており、ワイヤー111,112は、
図12に示す硬質壁部106内に埋没するように接着されている。
【0078】
有機ELパネル100は、
図18(a)のように基板202を平面視したときに、その面内において、発光領域130と、額縁領域131を有している。
発光領域130は、第1電極層203と、機能層205と、第2電極層206の重畳部位に当たる領域であり、点灯時に実際に発光する領域である。また発光領域130は、基板202の形状と相似した形状を有しており、基板202の中央にあって大部分を占めている。本実施形態では、発光領域130は、正方形状を成している。
【0079】
額縁領域131は、発光領域130を囲むように設けられ、かつ、基板202の縁に沿って配された領域であり、発光領域130への給電に寄与する領域である第1電極給電領域132及び第2電極給電領域133を有している。
額縁領域131の幅は、発光領域130が占める面積を大きくする観点から、基板202の幅(横方向s又は縦方向pの長さ)の1/10以下の領域となっており、1/12以下となっていることが好ましい。
【0080】
第1電極給電領域132は、
図18(b)のように発光領域130の外側であって、発光領域130の第1電極層203(
図19)と電気的に接続された領域であり、発光領域130内の有機EL素子210に給電する場合に、陽極を担う領域である。第1電極給電領域132は、それぞれ各辺に対して平行に延びた長方形状の領域である。
第2電極給電領域133は、
図18(b)のように発光領域130の外側であって、発光領域130の第2電極層206(
図19)と電気的に接続された領域であり、発光領域130内の有機EL素子210に給電する場合に、陰極を担う領域である。第2電極給電領域133は、それぞれ各辺と平行に延びた長方形状の領域である。
第1電極給電領域132と第2電極給電領域133は、額縁領域131内を周方向(各辺に沿った方向)に1列に並んで配置されている。有機ELパネル100の一辺に注目すると、一方の角部側から順に、第2電極給電領域133、第1電極給電領域132、第2電極給電領域133が当該辺に対して平行に交互に並んでいる。
【0081】
有機ELパネル100は、
図18,
図19のように、第1電極層203を第1電極分離溝107によって、複数の区画に分離されている。すなわち、有機ELパネル100は、第1電極分離溝107によって、第1電極給電領域132と第2電極給電領域133を分離し、さらに発光領域130と第2電極給電領域133を分離している。
【0082】
具体的には、第1電極分離溝107は、
図18のように平面視して略「L」字状の溝であり、基板202の各辺に平行に延びた第1分離部135と、基板202の各辺に対して直交方向に延びた第2分離部136から形成されている。
第1分離部135は、
図18のように発光領域130と第2電極給電領域133を分離する部位である。それぞれの第1分離部135は、縦方向p又は横方向sに同一直線上に並んでおり、発光領域130の縁を形成している。言い換えると、第1分離部135は、各辺に平行に並んでいる。本実施形態では、第1分離部135は、第1電極給電領域132以外の部位に設けられており、1つの環状(四角環)を形成している。
【0083】
第2分離部136は、
図18のように第1電極給電領域132と第2電極給電領域133を分離する部位である。第2分離部136は内外方向(各辺に対して直交する方向)に延びており、隣接する第2分離部136は、第1電極給電領域132を挟んで平行に配されている。
【0084】
額縁領域131の内部構造について注目すると、第1電極給電領域132では、
図16のA−A断面のように第1電極層203が無機封止層207から張り出している。すなわち、第1電極給電領域132に位置する第1電極層203(以下、第1給電部125ともいう)は、発光領域130内の第1電極層203と連続している。当然の事ながら、発光領域130内の第1電極層203と第1給電部125は、電気的に接続されている。
また、第1電極給電領域132では、
図16,
図17のように、機能層205は、発光領域130に位置する第2電極層206から外側に張り出しており、機能層205によって発光領域130内の第2電極層206と第1給電部125が電気的に接続されることを妨げている。
【0085】
第2電極給電領域133では、
図16のC−C断面のように、第1電極層203上に機能層205が覆い被さっており、さらに機能層205の上を第2電極層206が覆い被さっている。そして、第2電極層206の一部が、第2電極給電領域133に位置する第1電極層203(以下、第2給電部126ともいう)と直接接触している。すなわち、発光領域130内の第2電極層206と第2給電部126は電気的に接続されている。
また、機能層205は、第1電極分離溝107の第1分離部135に進入しており、基板202に固着している。すなわち、発光領域130内の第1電極層203と第2給電部126は、機能層205によって電気的に切り離されている。
【0086】
給電部材110に目を移すと、給電部材110は、板状又は箔状の部材であり、
図15のように第1導電部材102と、絶縁部材103と、第2導電部材105が部材厚方向に重ね合わさって形成されている。給電部材110は、基板202と相似形状となっており、本実施形態では、正方形状となっている。
【0087】
給電部材110は、縦横方向(縦方向p及び横方向s)の中央に外部電源と接続された電極端子を接続可能な給電穴115を有している。
給電穴115は、
図13,
図15のように第1導電部材102を底部とする有底穴であって、絶縁部材103に設けられた第1貫通孔116と、第2導電部材105に設けられた第2貫通孔117が連通して形成された連通穴である。
第1貫通孔116の開口形状は円形状であり、第2貫通孔117の開口形状は、第1貫通孔116の開口形状の相似形状(円形状)である。
また、第1貫通孔116の開口面積は、第2貫通孔117の開口面積よりも小さい。すなわち、給電穴115の内壁は、絶縁部材103の天面を介して段状に連続している。
言い換えると、
図14のように給電穴115を平面視した場合では、第1導電部材102の天面と絶縁部材103の天面が露出しており、第1導電部材102の天面の周りを絶縁部材103の天面が囲んでいる。
【0088】
外部電源の一方の電極(内側導通部材12a)が、給電穴115を通過して第1導電部材102に接続され、外部電源の他方の電極(外側導通部材12b)が、第2導電部材105に接続されると、第1導電部材102と第2導電部材105に異なる電極として機能させることができる。
【0089】
また、給電部材110は、
図20のように平面視した際に、第1導電部材102が絶縁部材103から露出した露出領域138を有している。
露出領域138は、有機ELパネル100の組み立てた状態において、ワイヤー111が接着される領域である。
露出領域138は、
図20のように平面視して「L」字状の領域であり、給電部材110の四角に沿って設けられている。すなわち、露出領域138は、給電部材110の角部を形成する2辺に沿って形成されている。
本実施形態では、給電部材110の平均厚み(膜厚)は、有機ELパネル100の薄いという特長を活かす観点から1μm以上10μm以下であることが好ましい。
【0090】
給電部材110の各部材に注目すると、第1導電部材102は、
図15のように正方形状の板状又は箔状の部材であり、導電性を有した部材である。第1導電部材102の材質は、導電性を有していれば特に限定されるものではなく、例えば、銅、金、銀、白金、アルミニウム等の金属や、合金、金属表面にメッキ加工されたもの、などが採用できる。より好ましくは、アルミニウム、銅、ステンレス鋼等の金属箔を使用して、水蒸気バリア層としての防湿機能を持たせることが好ましい。
【0091】
絶縁部材103は、
図15に示されるように、組み立てた際に発光領域130全体を覆う本体部121と、本体部121から第2電極給電領域133の一部まで延びる延長部122から形成されている。本体部121は、発光領域130の面積よりもやや大きくなっている。
【0092】
絶縁部材103は、箔状又は板状の絶縁体であり、第1導電部材102と第2導電部材105とが直接接触することを防止する部材である。絶縁部材103の材質は、絶縁性を有していれば特に限定されるものではなく、例えば、ガラス、樹脂フィルムなどが採用でき、その中でも、加工の容易さの観点からポリエチレンテレフタレート(PET)が好適である。
【0093】
第2導電部材105は、
図20のように平面視すると、「十」字状をしており、その中央から縦方向p(縦辺と平行な方向)及び横方向s(横辺と平行な方向)に広がりをもって延びている。第2導電部材105は、発光領域130をほぼ横断及び縦断可能となっている。すなわち、第2導電部材105の先端(外側)は給電部材110の各辺の近傍まで至っているが、第2導電部材105の外側(全周)には、絶縁部材103が張り出しており、第2導電部材105は、給電部材110の各辺までは至っていない。
【0094】
第2導電部材105は、箔状又は板状の導電体である。第2導電部材105の材質は、導電性を有していれば特に限定されるものではなく、例えば、銅、金、銀、白金、アルミニウム等の金属や、合金、金属表面にメッキ加工されたもの、などが採用できる。より好ましくは、アルミニウム、銅、ステンレス鋼等の金属箔を使用して、水蒸気バリア層としての防湿機能を持たせることが好ましい。
なお、本実施形態では、第1導電部材102と第2導電部材105は共に銅箔を採用し、水蒸気バリア層としての防湿機能を持たせている。
【0095】
給電部材110の各部材の位置関係について注目すると、
図15及び
図16に示す様に、第1導電部材102上に絶縁部材103が被覆している。絶縁部材103上に第2導電部材105が被覆している。第2導電部材105は、絶縁部材103の本体部121と延長部122に跨がって被覆している。
延長部122の中央側に第2導電部材105は位置している。すなわち、第2導電部材105の両側に絶縁部材103が張り出しており、第1導電部材102と第2導電部材105が接触することを防止している。
【0096】
ワイヤー111,112に注目すると、ワイヤー111,112は、線状の部材である。ワイヤー111,112の直径は、15μm以上100μm以下となっており、50μm以上100μm以下であることが好ましい。
ワイヤー111,112の材質は、電気伝導性を有していれば、特に限定されるものではないが、例えば、銅、金、アルミニウムなどが採用できる。
ワイヤー112は、第1電極給電領域132に位置する第1電極層203(第1給電部125)と第2導電部材105の先端近傍(外側方向端部)を直接接続し、第1給電部125と第2導電部材105を電気的に接続する部材である。
ワイヤー111は、第2電極給電領域133に位置する第1電極層203(第2給電部126)と第1導電部材102の露出領域138を直接接続し、第2給電部126と露出領域138を電気的に接続する部材である。
【0097】
ワイヤー111は、
図14のように縦方向p又は横方向sに隣接するワイヤー111と所定の間隔を空けて配されており、1つの第2電極給電領域133に配設されるワイヤー111はそれぞれ等間隔に配されている。本実施形態の有機ELパネル100では、1つの第2電極給電領域133につき、3本以上のワイヤー111が接続されている。
また、ワイヤー111は、第1分離部135の部材厚方向の投影面上を跨がって接続されている。
ワイヤー112は、縦方向p又は横方向sに隣接するワイヤー112と所定の間隔を空けて配されており、1つの第1電極給電領域132に配設されるワイヤー112はそれぞれ等間隔に配されている。本実施形態の有機ELパネル100では、1つの第1電極給電領域132につき、3本以上のワイヤー111が接続されている。
【0098】
図12に示す硬質壁部106に注目すると、硬質壁部106は、
図18に示す発光領域130を含む領域を囲むような壁を形成しており、
図16に示す給電部材110が有機EL素子210側から離反しないように固定している。すなわち、硬質壁部106は、給電部材110の一部を覆っており、給電部材110の縁部を巻き込んでいる。本実施形態では、硬質壁部106は、額縁領域131(
図18)上に形成されている。
【0099】
ワイヤー111,112の大部分は、
図12に示す硬質壁部106で被覆されている。言い換えると、ワイヤー111,112の大部分が硬質壁部106内に埋設されている。本実施形態では、ワイヤー111,112全体が硬質壁部106内に埋没している。すなわち、ワイヤー111,112は外部に露出していない。
【0100】
軟質樹脂層101は、柔軟性及び接着機能を有した層であり、給電部材110と無機封止層207を接着させる接着層である。
軟質樹脂層101は、
図15,
図16のように無機封止層207上であって、少なくとも、発光領域130の部材厚方向の投影面全面を覆うように積層されている。軟質樹脂層101は、面状に広がりをもって、無機封止層207の大部分を覆っている。
【0101】
軟質樹脂層101は、上記したように柔軟性を有し、所定の条件によって塑性変形又は弾性変形する層である。そのため、軟質樹脂層101は、発光領域130内の有機EL素子210の膨張等による無機封止層207に加わる応力を緩和させることが可能となっている。
JIS K 6253に準じた軟質樹脂層101のショア硬さは、ショア硬さがA30以上、A70以下であり、A40以上、A65以下であることが好ましく、A45以上、A63以下であることがより好ましい。
軟質樹脂層101のショア硬さがA70より大きい場合、軟質樹脂層101の剛性が大きすぎて、ふくらみや衝撃を十分吸収できない。また、ショア硬さがA30より小さい場合には、防湿部材の形状を維持できない。
【0102】
軟質樹脂層101の材料の曲げ弾性率は、3MPa以上、30MPa以下であることが好ましく、3MPa以上、25MPa以下であることがより好ましい。
軟質樹脂層101の具体的な材質としては、アクリルゴム(ACM)、エチレンプロピレンゴム(EPM,EPDM)、シリコーンゴム(Q)、ブチルゴム(IIR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、フッ素ゴム(FKM)、ニトリルゴム(NBR)、イソプレンゴム(IR)、ウレタンゴム(U)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、エピクロルヒドリンゴム(CO,ECO)、クロロプレンゴム(CR)等のゴム材料が使用できるが、一定の水蒸気バリア性を有し、安価に入手可能である点から、アクリルゴム系樹脂、エチレンプロピレンゴム系樹脂、シリコーンゴム系樹脂、及びブチルゴム系樹脂から選ばれる1種以上であることが好ましく、その中でもフィルムとして入手が容易な、ブチルゴム系樹脂がより好ましい。
【0103】
軟質樹脂層101の平均厚みは、2μm以上、1000μm以下であることが好ましく、10μm以上、200μm以下がより好ましく、20μm以上、100μm以下がさらに好ましい。
【0104】
硬質壁部106は、軟質樹脂層101の材料よりも剛性が高く硬い材料となっている。具体的には、JIS K 6253に準じた硬質壁部106のショア硬さ(及び対応する曲げ弾性率の概算値)は、ショアA80以上、即ち、ショアD30以上(25MPa以上)であることが好ましく、より高信頼性の有機EL装置とする観点からショアD55以上(250MPa以上)、ショアD95以下(6000MPa以下)とすることがより好ましく、ショアD80以上(1500MPa以上)、ショアD90以下(4000MPa以下)とすることがさらに好ましい。硬質壁部106の具体的な材質としては、水蒸気バリア性に優れるエポキシ樹脂が好ましい。
【0105】
続いて、有機ELパネル100の各層構成について説明する。
上記したように、有機ELパネル100の基本構造は、基板202上に有機EL素子210が積層し、その上に、無機封止層207の順に積層したものである。
【0106】
基板202は、透光性及び絶縁性を有したものである。基板202の材質については特に限定されるものではなく、例えば、フレキシブルなフィルム基板やプラスチック基板などから適宜選択され用いられる。特にガラス基板や透明なフィルム基板は透明性や加工性の良さの点から好適である。
基板202は、面状に広がりを持っており、円形又は多角形状をしている。本実施形態では、4角形状であり、具体的には長方形状をしている。
【0107】
第1電極層203の素材は、透明であって、導電性を有していれば、特に限定されるものではなく、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化錫(SnO
2)、酸化亜鉛(ZnO)等の透明導電性酸化物などが採用される。機能層205内の発光層から発生した光を効果的に取り出せる点では、透明性が高いITOあるいはIZOが特に好ましい。本実施形態では、透明導電性酸化物であるITOを採用している。
【0108】
機能層205(有機EL層)は、第1電極層203(透明電極層)と第2電極層206(裏面電極層)との間に設けられ、少なくとも一つの発光層を有している層である。機能層205は、主に有機化合物からなる複数の層から構成されている。この機能層205は、一般的な有機EL装置に用いられている低分子系色素材料や、共役系高分子材料などの公知のもので形成することができる。また、この機能層205は、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などの複数の層からなる積層多層構造であってもよい。
【0109】
また、これらの機能層205の構成層は真空蒸着法やスパッタ法、CVD法、ディッピング法、ロールコート法(印刷法)、スピンコート法、バーコート法、スプレー法、ダイコート法、フローコート法など適宜公知の方法によって成膜できる。
【0110】
第2電極層206の材料は、特に限定されるものではなく、例えば銀(Ag)やアルミニウム(Al)などの金属が挙げられる。本実施形態の第2電極層206は、アルミニウムで形成されている。また、これらの材料はスパッタ法又は真空蒸着法によって堆積されることが好ましい。
第2電極層206の電気伝導率及び熱伝導率は、第1電極層203よりも大きい。言い換えると、第2電極層206は、第1電極層203よりも電気伝導性及び熱伝導性が高い。
【0111】
無機封止層207の材質は、絶縁性及び封止性を有していれば、特に限定されるものではないが、酸素、炭素、窒素の中から選ばれた1種類以上の元素と、ケイ素元素とからなるシリコン合金により形成されていることが好ましく、Si−O、Si−N、Si−H、N−H等の結合を含む窒化珪素や酸化珪素、および両者の中間固溶体である酸窒化珪素であることが特に好ましい。また、本実施形態では、これらの構造を有した多層構造の無機封止層を使用してもよい。
具体的には、無機封止層207は、有機EL素子210側から乾式法によって形成される第1無機封止層と、湿式法によって形成される第2無機封止層がこの順に積層されて形成されていることが好ましい。
第1無機封止層は、化学気相蒸着によって形成される層であり、さらに詳細にはシランガスやアンモニアガス等を原料としてプラズマCVD法で成膜される層である。第1無機封止層は、有機EL装置の製造工程において、水分含量が少ない雰囲気下で、有機EL素子の形成工程に連続して成膜できるため、空気や水蒸気に晒さずに成膜でき、使用直後の初期ダークスポットの発生を低減することができる。
第2無機封止層は、液体状又はゲル状の原料を塗布した後、化学反応を介して成膜される層である。第2無機封止層は、より詳細には、緻密性を有したシリカを素材としている。また、第2無機封止層はポリシラザン誘導体を原料とするのが好ましい。ポリシラザン誘導体を用いてシリカ転化によって第2無機封止層を成膜した場合、シリカ転化時に重量増加を生じ、体積収縮が小さい。また、シリカ膜転化時(固化時)に樹脂の耐え得る温度で十分にしかもクラックを生じ難くすることができる。
なお、ここでいうポリシラザン誘導体は、珪素−窒素結合を持つポリマーであり、Si−N、Si−H、N−H等からなるSiO
2、Si
3N
4、および両者の中間固溶体SiOxNy等のセラミック前駆体ポリマーである。また、このポリシラザン誘導体は、Siと結合する水素部分が一部アルキル基等で置換された誘導体も含む。ポリシラザン誘導体の中でも特に側鎖が全て水素であるペルヒドロポリシラザンや、珪素と結合する水素部分が一部メチル基に置換された誘導体が好ましい。第2無機封止層は、第1無機封止層に比べて緻密な層が形成できるため、封止性が高く、経時的な新たなダークスポットの発生を防止したり、発生したダークスポットの拡大化を抑制したりすることができる。
【0112】
有機ELパネル100であれば、第1電極給電領域132及び第2電極給電領域133が各辺に沿ってそれぞれ設けられているため、縦横の4方向から発光領域130の有機EL素子210に給電することが可能である。そのため、十分な給電面積を確保することが可能であり、額縁領域131の幅を小さくすることができる。それ故に額縁領域131の幅が狭い場合でも、確実に給電することができる。
【0113】
有機ELパネル100であれば、ワイヤー111,112は、硬質壁部106に埋没した状態で硬化され、疑似的なポッティング封止としての機能を有しているため、発光領域130内の有機EL素子210に水等が進入しにくい。
また、硬質壁部106の硬度によってワイヤー111,112の強度を補足することが可能であり、ワイヤー111,112が断線しにくい。また、共通の硬質壁部106によって複数のワイヤー111,112が覆われており、当該硬質壁部106が辺方向に広がりを持っているため、外力の影響を受けにくく、断線しにくい。
【0114】
次に、
図10及び
図11を参照しながら別の有機EL装置51について説明する。
有機EL装置51は、
図4に示す有機EL装置1と多くの部材が共通しているが、有機EL装置51のベース部材(ベース部材60、枠部材61)の構成が有機EL装置1のベース部材20の構成と相違している。
【0115】
有機EL装置51は、
図6に示す有機EL装置1のベース部材20の代わりに、ベース部材60と枠部材61とを有する。
【0116】
図11に示す様に、枠部材61の外形は、
図6に示すベース部材20の外形と同様であるが、枠部材61の内部には大きな設置孔62が設けられている。枠部材61の上面61aの四隅には、突出面70が設けられている。また、枠部材61の設置孔62の周囲には、磁石63が等間隔で接着固定されている。上面61aからの磁石63の高さは、突出面70の突出高さと一致している。
【0117】
突出面70は、有機EL装置51の設置部(例えば天井3の梁等)に当接し、枠部材61の姿勢を安定させる機能を有する。また、天井3の梁等の設置部には、予め磁性体又は磁石63と磁極が相違する磁石が設置されており、磁石63は、当該設置部に吸引固定されている。すなわち、枠部材61は、天井3の梁等の設置部に固定されている。
【0118】
図11に示す様に、ベース部材60は、外形が円板形状の部材であり、中央部分に中央孔67が設けられている。中央孔67は、ベース部材60の中央部分を貫通する孔である。中央孔67には、半径方向内方に向かう3つの内向きフランジ部78が設けられている。各内向きフランジ部78は、等間隔に配置されており、各内向きフランジ部78の間にはくぼみ部67aが形成されている。
【0119】
中央孔67の周囲4箇所には、雌ねじ部68が設けられている。各雌ねじ部68は、ベース部材60から起立する円筒形の起立部68aを有し、円筒の内壁部分に雌ねじが設けられている。
【0120】
また、中央孔67の周囲の、雌ねじ部68を避けた位置には、3つの孔69が設けられている。各孔69同士は、互いに等間隔である。各孔69には、各々固定部材26が装着されている。
【0121】
各雌ねじ部68に、ねじ32が螺合しており、ベース部材60に通電シート固定部材21が固定されている。また、ベース部材60(中央孔67)を挟んで、上側には上側保持部材24が配置されており、下側には下側保持部材25が配置され、両保持部材が嵌合及び接着されて固着されている。
【0122】
ベース部材60の各孔69に装着された各固定部材26が、ねじ49で天井3の梁等に固定されている。各固定部材26は、伸縮部45を備えており、伸縮部45が伸縮することによってベース部材60の位置を変更することができる。
【0123】
外形が円形のベース部材60の直径は、枠部材61の設置孔62の直径と一致しており、ベース部材60は、枠部材61の設置孔62内にちょうど収容可能である。各固定部材26が収縮すると、ベース部材60が枠部材61の設置孔62内に収容される。また、各固定部材26が伸長すると、ベース部材60は、枠部材61の設置孔62から外れる。
【0124】
有機EL装置51のその他の構成は、有機EL装置1の構成と同じであり、
図10及び
図11では、有機EL装置1と同じ構成には同じ符合を付し、重複する説明は省略する。
【0125】
有機EL装置51では、通常の使用状態では、有機EL装置1と同様に、
図10(a)に示す様に有機ELモジュール4が隣接する他の有機EL装置51と同一平面に揃っている。ところが、有機ELモジュール4を取り外す際には、有機ELパネル100に吸盤等を吸着させ、手前側(下側)に引くことによって、有機ELモジュール4と共に円形のベース部材60が引き出される。
図10(b)は、固定部材26が伸長し、ベース部材60が引き出された状態を示している。
【0126】
図10(b)に示す様に、固定部材26が伸長すると、枠部材61に対してベース部材60が下方へ移動する。その結果、有機ELパネル100は、隣接する有機EL装置51の有機ELパネル100に対して下方へ移動し、回転することができる。そして、有機ELモジュール4を取り外すことができる。有機ELモジュール4が取り外されても、固定部材26は伸長した状態を維持している。すなわち、ベース部材60が下方で停止している。
【0127】
各固定部材26が伸長してベース部材60が下方へ移動しているので、新規の有機ELモジュール4の有機ELパネル100は、隣接する他の有機EL装置51の発光パネルと異なる向きの状態でベース部材60に装着することができる。そして、ベース部材60(上側保持部材24と下側保持部材25)に対して有機ELモジュール4(有機ELパネル100とマウント部材7)を回転させて、下側保持部材25にマウント部材7を係合させると共に、有機ELパネル100の向きを隣接する他の有機EL装置51の発光パネルの向きと一致させた状態で有機ELパネル100を押し上げる。その結果、
図10(a)に示す様に、各固定部材26の伸縮部45が収縮して枠部材61の設置孔62内にベース部材60が収容され、有機EL装置51は、隣接するその他の有機EL装置51と同一平面上に配置される。
【0128】
固定部材26の代わりに、
図21に示す様な昇降機構150(変位部材)を採用することもできる。
昇降機構150は、剛性を有する回転部材151、ばね153、ストッパ161を有している。
回転部材151は、回動中心155と連結部156とを有している。
連結部156は、前述の実施形態の固定部5(被装着部)に回動可能に固定されている。
ばね153は、つるまきばねであり、一端が固定部159に固定され、他端が回転部材151の連結部156に固定されている。ばね153の一端を固定する固定部159と、回転部材151の回動中心155は、建造物側の例えば天井の梁等に設けられている。
すなわち、回転部材151は、回動中心155を中心に回動可能に固定されており、ばね153は、一端が固定部159に固定され、固定部159を中心に回転部材151に追従して伸縮しながら回動可能である。
【0129】
ストッパ161は、建造物側の例えば天井の梁等に設けられた部材である。ストッパ161は、回転部材151の回転範囲を規制する機能を有する。
【0130】
図21(a)に示す状態では、固定部159と連結部156を結ぶ直線は、回動中心155よりも上側にある。
ばね153の付勢力に抗して回転部材151を回転させると、昇降機構150は、
図21(a)に示す状態から
図21(b)に示す状態に変化する。ばね153の付勢力は、固定部159と連結部156を結ぶ直線が、回動中心155と重なったときに最大となる。そのため、回転部材151を回転させて連結部156を下方へ移動させる際には、ばね153の付勢力による抵抗を受ける。また、逆に回転部材151を回転させて連結部156を
図21(b)に示す下方位置から
図21(a)に示す上方位置へ移動させる際にもばね153の付勢力による抵抗を受ける。
【0131】
そして、
図21(b)に示す様に、固定部159と連結部156を結ぶ直線が回動中心155よりも下方へ移動すると、回転部材151がストッパ161に当接して停止する。
すなわち、昇降機構150は、
図21(a)に示す上昇位置と、
図21(b)に示す下降位置に連結部156の位置を変位させることができる。
【0132】
このような構成を有する昇降機構150を複数設ける。
図21では、昇降機構150と共に、昇降機構150と同様の構成を有する昇降機構170を設けた例を示している。昇降機構は、3つ以上設けることもできる。
【0133】
図21(a)に示す上昇位置では、有機ELモジュール4が、二点鎖線で示す隣の有機ELモジュール4と同一平面上に配置されている。また、
図21(b)に示す下降位置では、有機ELモジュール4が、隣の有機ELモジュール4よりも下方にある。そのため、下降した有機ELモジュール4は、隣の有機ELモジュール4に衝突することなく回転することができ、固定部5に対して着脱することができる。