(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
袋の側縁のシール部に縦方向に延びるエアバッグ部が一体的に形成さたエアバッグ付き袋の前記エアバッグ部に充填された気体の圧力を検査する気体圧力検査装置であり、両側縁上部を一対のグリッパーに挟持されて吊り下げられた前記エアバッグ付き袋の一方の側に配置されて前記エアバッグ付き袋の厚み方向に進退し、前進したとき前記エアバッグ部を押圧する押圧部材、前記エアバッグ付き袋の他方の側に配置され、前記エアバッグ部の背面側の所定の受け位置に位置決めされる受け部材、前記押圧部材の後方側で前記押圧部材を前後方向に移動可能に支持すると共に前方に付勢する支持部材、前記支持部材を一定のストロークで進退させる駆動源、及び前記押圧部材の後方側に配置され、前記駆動源により前記支持部材と共に進退し、前記押圧部材までの距離を測定する距離センサーからなり、前記駆動源が前記支持部材を前進させたとき前記押圧部材が前進して前記受け位置に位置決めされた受け部材との間で前記エアバッグ部を挟圧し、前記距離センサーがそのときの押圧部材までの距離を測定する測定装置と、前記距離センサーからの信号に基づき前記エアバッグ部に充填された気体の圧力が設定範囲内かどうかを判定する制御装置を備え、前記支持部材が前記駆動源に連結された移動部材と前記移動部材に設置されたエアシリンダからなり、前記移動部材に前記距離センサーが設置され、前記エアシリンダのピストンロッドに前記押圧部材が設置され、ピストンロッドとは反対側のシリンダ室に所定圧の加圧エアが導入されていることを特徴とするエアバッグ部の気体圧力検査装置。
袋の側縁のシール部に縦方向に延びるエアバッグ部が一体的に形成され、該エアバッグ部の気体導入部のフィルムにエアバッグ部内と袋外を連通させる切り込み又は穴が形成されたエアバッグ付き袋の両側縁上部を挟持して移動し、前記エアバッグ付き袋を所定の移送経路に沿って間欠的に移送する左右一対の袋移送用グリッパーを複数組備え、前記エアバッグ付き袋を前記移送経路に沿って間欠的に移送する過程で、前記切り込み又は穴を通して前記エアバッグ部内に気体を吹き込み、次いで前記エアバッグ部内に封入する気体封入装置において、請求項1〜3のいずれかに記載されたエアバッグ部の気体圧力検査装置を備え、かつ前記測定装置が前記移送経路上の所定の停止位置近傍に配置されていることを特徴とするエアバッグ付き袋への気体封入装置。
袋の側縁のシール部に縦方向に延びるエアバッグ部が一体的に形成され、該エアバッグ部の気体導入部のフィルムにエアバッグ部内と袋外を連通させる切り込み又は穴が形成されたエアバッグ付き袋の両側縁上部を挟持して移動し、前記エアバッグ付き袋を円形の移送経路に沿って間欠的に移送する左右一対の袋移送用グリッパーを複数組備え、前記エアバッグ付き袋を前記移送経路に沿って間欠的に移送する過程で、前記エアバッグ付き袋に被包装物を充填するとともに、前記切り込み又は穴を通して前記エアバッグ部内に気体を吹き込み、次いで前記エアバッグ部内に封入するロータリー式包装装置において、請求項1〜3のいずれかに記載されたエアバッグ部の気体圧力検査装置を備え、かつ前記測定装置が前記移送経路上の所定の停止位置近傍に配置されていることを特徴とするロータリー式包装装置。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2には開示されていないが、エアバッグ部内に封入される気体の圧力は、所定の範囲内に納まっている必要がある。すなわち、エアバッグ部に封入された気体の圧力が低すぎると、袋に保形性や自立性を付与するというエアバッグ部の本来の目的が達成できない。また、封入された気体の圧力が低すぎると、エアバッグ部を持ち手部として利用することができない。逆に、エアバッグ部に封入された気体の圧力が高すぎると、その圧力でエアバッグ部(未シール部)周辺のシール部が剥離し、包装製品として見栄えが低下する。
【0006】
エアバッグ部に封入される気体の圧力を上記所定の範囲内に納めるためには、気体封入装置のノズルから吹き出される気体の圧力のほか、圧縮ばねのばね定数(特許文献1の圧縮ばね18参照)やノズルと受け部材の間隔(特許文献2の
図5参照)等の吹き込み条件を、予め試験を繰り返し厳密に調整する必要がある。しかし、実操業に入ってから、エアバッグ部に封入された気体の圧力が上記目標範囲内から外れた包装製品(不良品)が発生する場合がある。
【0007】
一方、エアバッグ部内に封入される気体の圧力を個々の袋ごとに、インラインで(気体充填工程や気体封入工程と同じ移送経路上で)直ちに検査することができれば、このような不良品を発生の都度容易に排除することができ、また、必要に応じて前記吹き込み条件を調整して、不良品の発生を抑えることもできると思われる。しかし、現在、そのような検査装置は存在しない。
本発明は、このような現状に鑑みてなされたもので、エアバッグ部内に封入される気体の圧力を個々の袋ごとに、インラインで検査することができる気体圧力検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る気体圧力検査装置は、袋の側縁のシール部に縦方向に延びるエアバッグ部が一体的に形成さたエアバッグ付き袋の前記エアバッグ部に充填された気体の圧力を検査するもので、測定装置と制御装置からなる。測定装置は、両側縁上部を一対のグリッパーに挟持されて吊り下げられた前記エアバッグ付き袋の一方の側に配置されて前記エアバッグ付き袋の厚み方向に進退し、前進したとき前記エアバッグ部を押圧する押圧部材、前記エアバッグ付き袋の他方の側に配置され、前記エアバッグ部の背面側の所定の受け位置に位置決めされる受け部材、前記押圧部材の後方側で前記押圧部材を前後方向に移動可能に支持すると共に前方に付勢する支持部材、前記支持部材を一定のストロークで進退させる駆動源、及び前記押圧部材の後方側に配置され、前記駆動源により前記支持部材と共に進退し、前記押圧部材までの距離を測定する距離センサーからなる。前記駆動源が前記支持部材を前進させたとき、前記押圧部材が前進して前記受け位置に位置決めされた受け部材との間で前記エアバッグ部を挟圧する。前記距離センサーは、そのときの押圧部材までの距離を測定する。制御装置は、前記距離センサーからの信号に基づき前記エアバッグ部に充填された気体の圧力が設定範囲内かどうかを判定する。
【0009】
前記気体圧力検査装置は、例えば以下に挙げる好ましい実施の形態をとることができる。
(1)前記支持部材が前記駆動源に連結された移動部材と前記移動部材に設置されたエアシリンダからなり、前記移動部材に前記距離センサーが設置され、前記エアシリンダのピストンロッドに前記押圧部材が設置され、前記エアシリンダはピストンロッドとは反対側のシリンダ室に所定圧の加圧エアが導入されている。
(2)前記受け部材が前記受け位置と前記エアバッグ付き袋から離れた退避位置の間を所定のタイミングで移動可能とされている。
(3)前記制御装置は、前記距離が所定範囲内にあるかどうかでエアバッグ部の気体の圧力が前記設定範囲内かどうかを判定する。
【0010】
(4)前記気体圧力検査装置を、気体封入装置の一部として設置する。この気体封入装置は、袋の側縁のシール部に縦方向に延びるエアバッグ部が一体的に形成され、該エアバッグ部の気体導入部のフィルムにエアバッグ部内と袋外を連通させる切り込み又は穴が形成されたエアバッグ付き袋の両側縁上部を挟持して移動し、前記エアバッグ付き袋を所定の移送経路に沿って間欠的に移送する左右一対の袋移送用グリッパーを備え、前記エアバッグ付き袋を前記移送経路に沿って間欠的に移送する過程で、前記切り込み又は穴を通して前記エアバッグ部内に気体を吹き込み、次いで前記エアバッグ部内に封入する。前記気体圧力検査装置の測定装置が前記移送経路上の所定の停止位置近傍に配置される。
【0011】
(5)前記気体圧力検査装置を、ロータリー式包装装置の一部として設置する。このロータリー式包装装置は、袋の側縁のシール部に縦方向に延びるエアバッグ部が一体的に形成され、該エアバッグ部の気体導入部のフィルムにエアバッグ部内と袋外を連通させる切り込み又は穴が形成されたエアバッグ付き袋の両側縁上部を挟持して移動し、前記エアバッグ付き袋を円形の移送経路に沿って間欠的に移送する左右一対の袋移送用グリッパーを備え、前記エアバッグ付き袋を前記移送経路に沿って間欠的に移送する過程で、前記エアバッグ付き袋に被包装物を充填するとともに、前記切り込み又は穴を通して前記エアバッグ部内に気体を吹き込み、次いで前記エアバッグ部内に封入する。前記気体圧力検査装置の測定装置が前記移送経路上の所定の停止位置近傍に配置される。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る気体圧力検査装置の測定装置はコンパクトであり、これをエアバッグ付き袋の移送経路上の所定の停止位置に設置することにより、エアバッグ部内に封入される気体の圧力を個々の袋ごとに、インラインで検査することができるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、
図1〜12を参照して、本発明に係る気体圧力検査装置について具体的に説明する。
まず、
図1にエアバッグ付き袋1を示す。袋1は底ガセット方式の自立袋であり、表裏両面のフィルムと折りたたまれた底部のフィルムからなる。袋1の上部領域Xでは、両側縁において袋1の表裏両面のフィルム同士が接着し、シール部2,3が形成されている。上縁は表裏両面のフィルムが接着されておらず、開口した袋口4となっている。袋1の下部領域Yでは、両側縁において表裏両面のフィルムが底部のフィルムを挟んで接着し、かつ底部のフィルム自体も折り込まれた内側で接着し、中央部において表裏両面のフィルムがそれぞれ底部のフィルムと接着し(底部のフィルム同士は接着していない)、シール部5が形成されている。シール部2,3,5を
図1に斜線で示す。
【0015】
シール部2の一部に表裏両面のフィルム同士が溶着していない非溶着部(エアバッグ部)6が形成されている。
エアバッグ部6は、表裏両面のフィルム7,8(
図12(b)参照)を熱シール(溶着)する際に加圧せずシールし残した箇所であり、袋口4(シール部2の上端)近傍から下方に縦方向に細長く延びて閉じた輪郭を有し、その上端近傍の表裏両面のフィルム7,8にエアバッグ部6内と袋外を連通させる十字の切り込み9が形成されている。エアバッグ部6には、中心に切り込み9が形成された円形の気体導入部6aに続いて所定長さにわたり、くびれた挟幅部6bが形成され、その下方が幅広の本体部6cとなっている。
【0016】
次に、上記エアバッグ付き袋1に被包装物を充填するロータリー式包装装置について、
図2を参照して説明する。このロータリー式包装装置には、気体封入装置及び気体圧力検査装置が含まれる。
図2に示すロータリー式包装装置は、特許文献1の
図5に記載されたロータリー式包装装置と同様に、間欠回転するテーブルの周囲に左右一対の袋移送用グリッパー11,12が複数対、等間隔で設置されていて、供給されたエアバッグ付き袋1の両側縁上部を挟持して吊り下げ、テーブルが間欠回転するのに伴って間欠移動し、エアバッグ付き袋1を円形の移送経路に沿って間欠的に移送する。グリッパー11,12が停止する各停止位置(停止位置I〜VIII)では、グリッパー11,12に対するエアバッグ付き袋1の供給に続き、グリッパー11,12に挟持されたエアバッグ付き袋1に対し、袋口の開口、被包装物の充填及び袋口のシール等の各包装工程が順次行われ、併せて、前記気体封入装置によりエアバッグ部6への気体の充填及び封入工程が実施され、さらに前記気体圧力検査装置によりエアバッグ部6に充填された気体の圧力検査工程が実施される。
【0017】
一対のグリッパー11,12のうち一方のグリッパー11は、一対のグリップ片13,14を有し、外側のグリップ片13は正面視略コの字形状をなし(
図10参照)、一方、内側のグリップ片14は正面視略四角形状をなし(
図2参照)、その輪郭がグリップ片13の外形とほぼ一致する。グリッパー11は、グリップ片13の上下の横行部13a,13bとグリップ片14により、エアバッグ部6が形成された側縁のシール部2を表裏両面から挟持する。グリップ片13の上下の横行部13a,13bの挟持面13A側には、上下方向に連なる浅い溝15が形成され(
図10,11参照)、グリップ片14の挟持面14A側は、溝等はなく実質的に平坦である。袋移送用グリッパー11(グリップ片13,14)が挟持する部位は、シール部2に形成されたエアバッグ部6の気体導入部6aの近傍であり、グリップ片13の上下の横行部13a,13bとグリップ片14が、挟幅部6bを水平に横断する形で挟持する。ただし、袋移送用グリッパー11が閉じたとき、前記溝15が挟幅部6bを挟む位置にあり、挟幅部6bにおいてグリップ片13,14の対向面同士の間隔J(
図11参照)は、エアバッグ部6の表裏両面のフィルムの厚みKより溝15の深さの分だけ広くなっている。つまり、袋移送用グリッパー11が閉じたときも、グリップ片13,14は挟幅部6bを互いに所定間隔Jを置いて挟むだけで、該挟幅部6bのみは挟持していない。
袋1の他方の側縁のシール部3は、通常の袋移送用グリッパー12(特許文献1のグリッパー8と同じ)により挟持される。
【0018】
各対のグリッパー11,12に対応して1つずつ、遮断用グリッパー16がグリップ片14に対向して設置され、グリッパー11,12と共に移動し、所定のタイミングで開閉する。遮断用グリッパー16が閉じたとき、該遮断用グリッパー16はグリップ片13の上下の横行部13a,13bの間に入り、グリップ片14との間でエアバッグ部6の挟幅部6bを表裏両面から挟持する。遮断用グリッパー16が挟持する挟幅部6bのこの部位を本発明では遮断部位という。
【0019】
上記ロータリー式包装装置において、前記移送経路の停止位置Iにコンベアマガジン式給袋装置17が配置され、停止位置IIに印字装置(ヘッド部18のみ示す)が配置され、停止位置IIIに開口装置(吸盤19及び開口ヘッド21のみ示す)が配置され、停止位置IVに充填装置(ノズル部22のみ示す)が配置され、停止位置VIIにシール装置(一対の熱板23,23のみ示す)が配置され、停止位置VIIIに冷却装置(一対の冷却板24,24のみ示す)が配置されている。また、気体封入装置の一部として、停止位置IVに予備加熱装置(加熱気体吹き付け用ノズル25のみ示す)が配置され、停止位置Vに予備気体吹き込み装置(予備気体吹き込み用ノズル26と受け部材27のみ示す)が配置され、停止位置VIに気体吹き込み装置(一対の気体吹き込み用ノズル28,29のみ示す)が配置されている。さらに、気体圧力検査装置の一部として、停止位置VIIに測定装置(押圧部材31及び距離センサー32のみ示す)が配置される。
【0020】
図1に示すエアバッグ付き袋1、及び
図2に示すロータリー式包装装置(気体封入装置及び気体圧力検査装置を含む)を用いた包装方法は次のように行われる。
(1)停止位置I(給袋工程位置)において、コンベアマガジン式給袋装置17からエアバッグ付き袋1がグリッパー11,12に供給され、グリッパー11,12がシール部2,3の所定位置を表裏両面から挟持する。このときエアバッグ部6は、その挟幅部6bがグリッパー11により挟持される。その状態を
図3(a)、
図10,11に示す。このとき遮断用グリッパー16は開いている。
図11に示すように、エアバッグ部6の挟幅部6bを挟むグリップ片13,14の挟持面13A,14A同士の間に、溝15に対応して間隔Jが形成されている。
【0021】
(2)停止位置II(印字工程位置)において、印字装置により袋面への印字が行われる。
(3)停止位置III(開口工程位置)において、開口装置により袋の開口が行われる。開口装置の一対の吸盤19,19はエアバッグ付き袋1に向けて進退し、前進してエアバッグ付き袋1の両面を吸着し、そのまま後退して袋口を開口する。開口ヘッド21はエアバッグ付き袋1の上方で昇降し、下降したとき下端が開口した袋口から袋内に入り、エアを袋内に吹き出す。
【0022】
(4)停止位置IV(被包装物充填工程及び予備加熱工程位置)において、充填装置により液状物の充填が行われる(
図8に示す被包装物33参照)。充填装置のノズル部22はエアバッグ付き袋1の上方で昇降し、下降したとき袋口から袋内に挿入され、液状物を袋内に充填する。
また、この停止位置IVには、エアバッグ付き袋1の移送経路の近傍に、予備加熱装置の一部である加熱気体吹き付け用ノズル25が設置され、エアバッグ付き袋1のエアバッグ部6を加熱する予備加熱工程が行われる。加熱気体吹き付け用ノズル25は、ファンと加熱源に接続され、吹き付け開口が停止位置IVに停止するエアバッグ付き袋1のエアバッグ部6に向けられている。加熱気体吹き付け用ノズル25は、前記吹き付け開口からホットエア(加熱気体)を吹き出してエアバッグ部6に吹き付け、主として(又は全部が)熱可塑性樹脂フイルムからなるエアバッグ付き袋1のエアバッグ部6を加熱し、エアバッグ部6を構成するフィルムを軟化させる。
【0023】
(5)停止位置V(予備気体吹き込み工程位置)には、エアバッグ付き袋1の移送経路の近傍に、予備気体吹き込み装置の一部である予備気体吹き込み用ノズル26及び受け部材27が設置され、エアバッグ付き袋1のエアバッグ部6に気体を吹き込む予備気体吹き込み工程が行われる。予備気体吹き込み用ノズル26は、図示しない切換弁等を介して圧力気体供給源に接続され、待機位置と前進位置の間をエアバッグ付き袋1の袋面に対し垂直方向に進退し、前進位置において先端の吹き出し口26aが切り込み9にあてがわれる。受け部材27は、エアバッグ付き袋1を挟んでノズル26の反対側に配置され、待機位置と前進位置の間をノズル26と同方向逆向きに進退し、前進位置においてノズル26の吹き出し口26aに対向する位置で、エアバッグ付き袋1の背面側を支持する。受け部材27の先端に凹部27aが形成されている。ノズル26は圧縮ばね34により前方に付勢されている。
【0024】
図3(b)に示すように、袋1が停止位置Vに停止したとき、予備気体吹き込み用ノズル26及び受け部材27は後退して待機位置にある。続いて
図3(c)に示すように、予備気体吹き込み用ノズル26及び受け部材27が共に前進位置にきて、予備気体吹き込み用ノズル26の先端の吹き出し口26aが気体導入部6aに当接し、その背面で受け部材27が気体導入部6aに当接し、同時に予備気体吹き込み用ノズル26の先端から加圧気体が吹き出され、切り込み9を通して気体がエアバッグ部6内に吹き込まれる。先に述べたように、エアバッグ部6の挟幅部6bは、袋移送用グリッパー11のグリップ片13,14により挟持されていない(間隔Jを置いて挟まれているだけ)から、該挟幅部6bを通って下方の本体部6cにも気体が流通する。
【0025】
気体吹き込み中、エア圧により予備気体吹き込み用ノズル26は圧縮ばね34の付勢力に抗して若干後退し、これによりエアバッグ部6の気体導入部6aが膨張して該気体導入部6aを構成する表裏のフィルム7,8の間に隙間ができ、予備気体吹き込み用ノズル26側の切り込み9を通して気体がエアバッグ部6内に吹き込まれる。この間、受け部材27はエアバッグ付き袋1の背面側を支持している。受け部材27の先端に凹部27aが形成されていることにより、前記気体導入部6aが背面側(受け部材27側)でも膨張し、予備気体吹き込み用ノズル26側の切り込み9を通しての気体の流入が促進される。
この予備気体吹き込み工程において、切り込み9からエアバッグ部6の気体導入部6aに入った加圧気体は、挟幅部6bを通って本体部6cに入り、エアバッグ部6全体を膨張させる。
【0026】
なお、エアバッグ部6を構成する表裏のフィルム7,8同士が、静電気等により全体的に又は部分的に強固に密着している場合がある。この場合、予備気体吹き込み用ノズル26から吹き出した加圧気体は、切り込み9からエアバッグ部6の気体導入部6aに入り、密着した表裏両面のフィルム7,8を剥がし、押し広げて該気体導入部6aを膨張させ、続いて挟幅部6bに入り、同様に密着した表裏両面のフィルム7,8を剥がし、押し広げて該挟幅部6bを膨張させ、さらに本体部6cに入り、密着した表裏両面のフィルム7,8を剥がし、押し広げて該本体部6cを膨張させ、エアバッグ部6の全部又は大部分において表裏両面のフィルム7,8同士の密着状態を解(ほぐ)す。前工程の予備加熱工程でエアバッグ部6のフィルム7,8を軟化させたことが、この密着状態を解す助けになる。
続いて、
図3(d)に示すように、予備気体吹き込み用ノズル26及び受け部材27を後退させ、加圧気体の吹き込みを止めると、エアバッグ部6内に吹き込まれた気体は切り込み9から直ちに流出し、いったん膨張していたエアバッグ部6は収縮し、元のように平らとなる。この状態でエアバッグ付き袋1は次の停止位置VIに移送される。
【0027】
(6)停止位置VI(気体充填工程位置)には、エアバッグ付き袋1の移送経路の近傍に、気体吹き込み装置の一部である気体吹き込み用ノズル28,29が設置され、該気体吹き込み用ノズル28,29によりエアバッグ付き袋1のエアバッグ部6に気体を吹き込み、続いて遮断用グリッパー16により気体導入部6a(切り込み9)とエアバッグ部6内との気体の流通を遮断する気体充填工程が行われる。
気体吹き込み用ノズル28,29は、図示しない切換弁等を介して圧力気体供給源に接続され、先端の吹き出し口28a,29aをエアバッグ部6の気体導入部6aに垂直に向けた状態で、待機位置と前進位置の間を互いに逆向きに、エアバッグ付き袋1に対し垂直に進退する。前進位置において吹き出し口28a,29aがエアバッグ付き袋1の両面から、気体導入部6aにあてがわれる。気体吹き出し方向はエアバッグ付き袋1に対し垂直である。
【0028】
図4(a)に示すように、袋1が停止位置VIに移送され、停止したとき、気体吹き込み用ノズル28,29は後退して待機位置にある。続いて
図4(b)に示すように、気体吹き込み用ノズル28,29が共に前進して前記前進位置に位置決めされ、先端の吹き出し口28a,29aが気体導入部6aにあてがわれる。
このとき、両吹き出し口28a,29aの間には、
図12(a)に示すように、両フィルム7,8の厚みよりやや広い所定の隙間Lが置かれ、この隙間Lは気体吹き込み用ノズル28,29が前記前進位置から後退するまで変化しない。両吹き出し口28a,29aの間に間隔Lが置かれることにより、気体の吹き出し中、エアバッグ部6の気体導入部6aが膨張し、フィルム7,8の間に隙間が形成され、その隙間を通ってエアバッグ部6内(挟幅部6b、本体部6c)内に気体が流入する。
【0029】
気体吹き込み用ノズル28,29は、
図10に示すように、その吹き出し口28a,29aの内径が、エアバッグ部6の切り込み9が形成された気体導入部6aの径より小さく設定されている。このように、吹き出し口28a,29aの内径を気体導入部6aの径(気体導入部が円形でない場合はその幅)より小さくすることで、気体吹き込み用ノズル28,29から吹き出される気体の流れが気体導入部6aに集中し、気体の吹き込みをより効率的に行うことができる。
【0030】
また、気体吹き込み用ノズル28,29が前記前進位置に位置決めされたとき、吹き出し口28a,29aの中心が切り込み9の中心から等距離、合計で間隔Mだけずれている。この配置により、グリッパー11,12に挟持されたエアバッグ付き袋1の高さ位置が、当初の設定位置(
図10に示す位置)より多少上下方向にばらついた場合、あるいは切り込み9の形成位置が、気体導入部6aの中心から多少上下方向にばらついている場合でも、気体の吹き込みに支障が出るのを防止することができる。
【0031】
前記前進位置において、気体吹き込み用ノズル28,29が気体の吹き込みを開始すると、両フィルム7,8に形成された切り込み9から加圧気体がエアバッグ部6の気体導入部6aに吹き込まれ、該気体導入部6aが膨張して、
図12(b)に示すように、フィルム7,8がそれぞれノズル28,29の吹き出し口28a,29aに密着する。言い換えれば、前進位置に位置決めされたノズル28,29の吹き出し口28a,29aの隙間Lは、膨張した気体導入部6aのフィルム7,8が吹き出し口28a,29aに密着する程度の大きさに設定されている。気体導入部6aが膨張すると、該導入部6aにおいてフィルム7,8の間に隙間が形成され、続いて、挟幅部6b及び本体部6cに加圧気体が流入し、
図12(c)に示すように、エアバッグ部6全体が膨張する。前記予備気体吹き込み工程でエアバッグ部6のフィルム7,8の密着状態が一度解されているため、この気体充填工程では、気体の吹き込み及びエアバッグ部6内への気体の充填は支障なくスムースに行われる。
【0032】
続いて
図4(c)に示すように、遮断用グリッパー16が閉じて、グリップ片13の横行部13a,13bの間に設定された前記遮断部位を、グリップ片14との間で両面から挟持する。これにより、前記遮断部位は完全に押しつぶされ、気体導入部6a(切り込み9)とエアバッグ部6内との気体の流通が遮断される。続いて、
図4(d)に示すように、気体吹き込み用ノズル28,29が後退し、エアバッグ付き袋1は、遮断用グリッパー16及びグリップ片14による遮断状態を維持したまま、次の停止位置VIIに移送される。
【0033】
(7)停止位置VII(袋口シール工程、気体封入工程及び気体圧力検査工程位置)には、エアバッグ付き袋1の移送経路の近傍に、シール装置の一部である一対の熱板23,23が配置され、エアバッグ付き袋1の気体導入部6aをシールする気体封入工程が行われ、同時にエアバッグ付き袋1の袋口をシールする袋口シール工程が行われる。エアバッグ付き袋1が停止位置VIIに停止したとき、それまで開いていた熱板23,23が閉じて、
図5(a)及び
図8に示すように、エアバッグ付き袋1の表裏面のフィルム7,8を、気体導入部6a及び袋口4において両面から挟圧してシールし、これにより、被包装物33をエアバッグ付き袋1内に密封し、同時にエアバッグ部6内に気体を封入する。
【0034】
また、停止位置VIIには、
図6〜9に示すように、気体圧力検査装置35の一部である測定装置36が配置されている(
図5(a)では測定装置36の図示を省略)。
気体圧力検査装置35は、測定装置36と制御装置37からなる。測定装置36は、エアバッグ付き袋1の移送経路の外側に配置された押圧部材31、前記移送経路の内側に配置された受け部材38、押圧部材31の後方側で該押圧部材31を支持する支持部材39、支持部材39を一定のストロークで前後方向に進退させる駆動源41、支持部材39に設置された距離センサー32からなる。なお、ここでいう前後方向とは、停止位置VIIに停止したエアバッグ付き袋1の厚み方向(エアバッグ付き袋1のシール部2の面に垂直方向)であり、エアバッグ付き袋1に近い側が前方である。
【0035】
駆動源41は復動型エアシリンダであり、ピストンロッド42の先端に支持部材39が設置され、支持部材39を一定のストロークで前後方向に水平に進退させる。
図6は、ピストンロッド42が収縮して支持部材39が後退位置に停止した状態、
図7は、ピストンロッド42が伸張して支持部材39が前進位置に停止した状態を示す。
支持部材39はピストンロッド42の先端に固定された移動部材43と、移動部材43に固定された付勢部材44からなる。付勢部材44は復動型エアシリンダからなり、そのピストンロッド45の先端に押圧部材31が固定されている。付勢部材(エアシリンダ)44は、ピストンロッド45とは反対側のシリンダ室に所定圧の加圧エアが導入されていて、押圧部材31を常時一定の力で前方に付勢している。この付勢力によりピストンロッド45が伸張し、押圧部材31が無負荷状態のとき、該押圧部材31は前方側ストロークエンドに位置決め(又はストッパに当接して位置決め)されている。一方、前記付勢力より大きい後方向きの負荷が押圧部材31に掛かったとき、押圧部材31は前記前方側ストロークエンドから後退する(ピストンロッド45が収縮する)。
【0036】
押圧部材31は、その前面側に、停止位置VIIに停止したエアバッグ付き袋1の厚み方向に垂直(エアバッグ付き袋1のシール部2に平行)に向き、縦方向に長い長方形(縦方向長さがエアバッグ部6の本体部6cの長さと同程度)の押圧面31aを有する。
受け部材38は、図示しない駆動源により、支点軸46を中心として鉛直面内で上下に退避位置と受け位置の間を揺動する。
図6は、受け部材38が下方に揺動して前記退避位置に停止した状態、
図7は、受け部材38が上方に揺動して前記受け位置に停止し、同位置に決めされた状態を示す。受け部材38は、その前面側に縦方向に長い長方形(縦方向長さがエアバッグ部6の本体部6cの長さと同程度)の受け面38aを有し、受け部材38が前記受け位置に停止したとき、受け面38aが停止位置VIIに停止したエアバッグ付き袋1の厚み方向に垂直(エアバッグ付き袋1のシール部2に平行)に向く。
【0037】
エアバッグ付き袋1が停止位置VIIに停止するまで、
図6に示すように、熱板23,23が開き、支持部材39が後退位置にあり、押圧部材31が前方側に付勢されてストロークエンドに位置し、受け部材38が下方の退避位置にある。
エアバッグ付き袋1が停止位置VIIに停止したとき、
図5(a)を参照して先に述べたとおり、それまで開いていた熱板23,23が閉じ、さらに
図7に示すように、駆動源(エアシリンダ)41が作動して支持部材39が所定ストローク前進し、前記前進位置に停止する。支持部材39の前進に伴い押圧部材31もエアバッグ付き袋1に向けて前進する。同時に、図示しない駆動源が作動して受け部材38が上方に揺動し、エアバッグ付き袋1の背面側で前記受け位置に停止し、同位置に位置決めされる。
【0038】
押圧部材31の前進及び受け部材38の上方への揺動により、停止位置VIIに停止したエアバッグ付き袋1のシール部2(加圧気体が封入されて膨張したエアバッグ部6が形成されている)が、押圧部材31の押圧部31aと受け部材38の受け部38aの間に挟持される。
押圧部材31と受け部材38がシール部2(エアバッグ部6)を挟持したとき、押圧部材31と受け部材38にはそれぞれ反力(後退させる方向に作用する負荷)が掛かる。受け部材38は前記受け位置に位置決めされ、この受け位置はシール部2(エアバッグ部6)を挟持したときに掛かる反力により事実上変動しない。一方、押圧部材31は付勢部材(エアシリンダ)44により一定の力で前方に付勢されているから、その付勢力がシール部2(エアバッグ部6)を挟持したときに掛かる反力と釣り合う位置まで、前記前方側ストロークエンドから後退する。この後退距離の大きさは、エアバッグ部6内に封入された気体の圧力が大きく、エアバッグ部6が大きく膨張しているほど大きい。つまり、押圧部材31の前記後退距離とエアバッグ部6内の気体の圧力には相関がある。
【0039】
本発明では、押圧部材31の前記後退距離に代えて、距離センサー32により押圧部材31までの距離D(
図7参照)を測定する。いうまでもなく、距離Dの大きさは、エアバッグ部6内に封入された気体の圧力が大きく、エアバッグ部6が大きく膨張しているほど小さい。このように、距離Dとエアバッグ部6内の気体の圧力には相関があり、この相関関係は実機を用いた試験により予め求められる。前記相関関係から、エアバッグ部6内の気体の圧力の目標値(望ましい範囲)が設定されれば、距離Dの範囲が決まる。そして、目標値(望ましい範囲)の圧力が得られる距離Dの範囲(上限値と下限値)が制御装置37に予め設定されている。
【0040】
押圧部材31と受け部材38がシール部2(エアバッグ部6)を挟持したとき、距離センサー32が押圧部材31までの距離Dを測定し、その測定信号は制御装置37に送信される。
制御装置37は、距離センサー32からの測定信号に基づき、測定された距離Dが設定範囲内(下限値以上、上限値以下)かどうか、いいかえればエアバッグ部6に充填された気体の圧力が設定した目標値の範囲内(下限値以上、上限値以下)かどうかを判定する。
続いて、エアバッグ付き袋1は次の停止位置VIIIに移送される。
【0041】
なお、制御装置37の判定結果に基づいて、気体の圧力が設定範囲外と判定されたエアバッグ付き袋1を、後工程で排除することができる。また、この判定結果に基づいて、ノズル28,29から吹き出される気体の圧力や、両吹き出し口28a,29aの間隔L等の吹き込み条件を調整し、エアバッグ部6内に封入される気体の圧力を調整することもできる。
【0042】
(8)停止位置VIII(シール部冷却及び排出工程位置)には、エアバッグ付き袋1の移送経路の近傍に、冷却装置の一部である一対の冷却板24,24が配置され、
図5(b)に示すように、前工程でシールされた箇所を両面から挟圧して冷却する。続いて、
図5(c)に示すように、冷却中に遮断用グリッパー16及び袋移送用グリッパー11,12が開き、さらに冷却板24,24が開き、エアバッグ付き袋1P(エアバッグ付き袋製品)が落下し、シュート47により装置外に排出される。なお、遮断用グリッパー16は、気体封入工程が終了した段階で開いてもよい。
【0043】
以上、
図1〜12を参照して、本発明の実施形態について説明したが、そのほかにも例えば次のような実施形態が考えられる。
(1)以上の説明では、エアバッグ部6の上端に切り込み9を形成していたが、切り込み9の代わりに穴を形成してもよい。
(2)以上の説明では、エアバッグ部6に挟幅部6bを形成していたが、特許文献1に記載されたエアバッグ付き袋のように、エアバッグ部6全体を同じ幅としてもよい。
(3)以上の説明では、エアバッグ部6が形成されたシール部2を挟持する袋移送用グリッパー11が、エアバッグ部6を横切るように前記シール部2を挟持していたが、特許文献1に記載された袋移送用グリッパーのように、エアバッグ部の外側のみを挟持するようにしてもよい。
【0044】
(4)以上の説明では、気体充填工程では一対の気体吹き込み用ノズル28,29を用いたが、予備気体吹き込み工程で用いた予備気体吹き込み用ノズル26及び受け部材27を用いることもできる。
(5)以上の説明では、目標値(望ましい範囲)の圧力が得られる距離Dの範囲として、上限値と下限値を制御装置37に予め設定したが、エアバッグ部6に充填される気体の圧力が、設定した目標値の範囲の上限値を超えないことが推測できる場合、距離Dの範囲として上限値のみを設定することもできる。例えば、ノズル28,29から吹き出す気体の圧力が、エアバッグ部6に充填される気体の圧力の目標値の上限値とほぼ同等のレベルに調整されている場合、エアバッグ部6に充填される気体の圧力は前記目標値の上限値を超えないことが推測できる。
【0045】
(6)以上の説明では、気体圧力検査工程を停止位置VIIで気体封入工程と同時に実施したが、気体圧力検査工程を停止位置VIにおいて気体充填工程後に実施することもできる。この場合、気体圧力測定装置36は停止位置VIの前記移送経路近傍に配置される。なお、気体圧力検査工程は、エアバッグ部6に気体を充填後(遮断用グリッパーで前記遮断部位を遮断後)であれば、適宜のタイミングで実施できる。
(7)以上の説明では、気体圧力検査装置は、ロータリー式包装装置の一部として構成されていたが、被包装物の充填に関わる装置(例えば開口装置や充填装置)を含まない単なる気体封入装置の一部として構成することもできる。