(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。各図において、同一の部分または対応する部分には、同一符号を付してある。
【0027】
図1は、スイッチング電源装置100の構成図である。スイッチング電源装置100は、電気自動車(またはハイブリッドカー)用のDC−DCコンバータであり、高電圧の直流をスイッチングして交流に変換した後、低電圧の直流に変換する。以下で詳述する。
【0028】
スイッチング電源装置100の入力端子T1、T2には、高電圧バッテリ50が接続されている。高電圧バッテリ50の電圧は、たとえばDC220V〜DC400Vである。入力端子T1、T2へ入力される高電圧バッテリ50の直流電圧Viは、フィルタ回路51でノイズが除去された後、スイッチング回路52へ与えられる。
【0029】
スイッチング回路52は、たとえばFET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)を有する公知の回路からなる。スイッチング回路52では、PWM駆動部58からのPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)信号に基づいて、FETをオンオフさせて、直流電圧に対してスイッチング動作を行う。これにより、直流電圧が高周波のパルス電圧に変換される。
【0030】
そのパルス電圧は、トランス53を介して、整流回路54へ与えられる。整流回路54は、一対のダイオードD1、D2によりパルス電圧を整流する。整流回路54で整流された電圧は、平滑回路55へ入力される。平滑回路55は、チョークコイルLおよびコンデンサCのフィルタ作用により整流電圧を平滑し、低電圧の直流電圧として出力端子T3、T4へ出力する。この直流電圧により、出力端子T3、T4に接続された低圧バッテリ60が、たとえばDC12Vに充電される。低圧バッテリ60の直流電圧は、図示しない各種の車載電装品へ供給される。
【0031】
また、平滑回路55の出力電圧Voは、出力電圧検出回路59により検出された後、PWM駆動部58へ出力される。PWM駆動部58は、出力電圧Voに基づいてPWM信号のデューティ比を演算し、該デューティ比に応じたPWM信号を生成して、スイッチング回路52のFETのゲートへ出力する。これにより、出力電圧を一定に保つためのフィードバック制御が行なわれる。
【0032】
制御部57は、PWM駆動部58の動作を制御する。フィルタ回路51の出力側には、電源56が接続されている。電源56は、高電圧バッテリ50の電圧を降圧し、制御部57に電源電圧(たとえばDC12V)を供給する。
【0033】
上記のスイッチング電源装置100において、平滑回路55のチョークコイルLとして、後述する磁気デバイス1、1’、1”、21、31が用いられる。チョークコイルLには、たとえばDC150Aの大電流が流れる。チョークコイルLの両端には、電力入出力用の端子6i、6oが設けられている。
【0034】
次に、第1実施形態による磁気デバイス1と、該磁気デバイス1に備わるコイル一体型プリント基板3(以下、単に「基板3」という。)の構造を、
図2〜
図4−2を参照しながら説明する。
【0035】
図2は、磁気デバイス1の分解斜視図である(後述の磁気デバイス1’、1”、31も同様)。
図3は、基板3の各層の平面図である。
図4−1は、磁気デバイス1の断面図であって、(a)に
図3のX−X断面、(b)に
図3のY−Y断面を示している。
図4−2は、磁気デバイス1の断面図であって、
図3のU−U断面を示している。
【0036】
図2および
図4−1(a)に示すように、コア2a、2bは、断面形状がE字形の上コア2aと、断面形状がI字形の下コア2bの、2個1対で構成されている。コア2a、2bは、フェライトまたはアモルファス金属などの磁性体から成る。
【0037】
上コア2aは、下方へ突出するように、3つの凸部2m、2L、2rを有している。中央の凸部2mに対して、左右の凸部2L、2rの方が、突出量が多くなっている。
【0038】
図4−1(a)に示すように、上コア2aの左右の凸部2L、2rの下端を、下コア2bの上面に密着させて、該コア2a、2bは組み合わされる。この状態では、直流重畳特性を高めるため、上コア2aの凸部2mと下コア2bの上面には所定の大きさの隙間が設けられている。これにより、磁気デバイス1(チョークコイルL)に大電流を流したときでも、所定のインダクタンスを実現することができる(後述の磁気デバイス1’、1”、21、31も同様)。コア2a、2b同士は、図示しないねじや金具などの固定手段により固定される。
【0039】
下コア2bは、ヒートシンク10の上側に設けられた凹部10k(
図2)に嵌め込まれる。ヒートシンク10の下側には、フィン10fが設けられている。ヒートシンク10は、金属製であり、本発明の「放熱器」の一例である。
【0040】
基板3は、絶縁体から成る薄板状の基材の各層に、厚みの厚い銅箔(導体)でパターンが形成された厚銅箔基板から構成されている。本実施形態では、基板3に他の電子部品や回路が設けられていないが、実際に磁気デバイス1を
図1のスイッチング電源装置100で使用する場合、基板3より大きな同一基板上に磁気デバイス1とスイッチング電源装置100の他の電子部品や回路が設けられる(後述の磁気デバイス1’、1”、21、31も同様)。
【0041】
基板3の表面(
図2、
図4−1、および
図4−2で上面)には、
図3(a)に示すような表側外面層L1が設けられている。基板3の裏面(
図2、
図4−1、および
図4−2で下面)には、
図3(c)に示すような裏側外面層L3が設けられている。
図4−1および
図4−2に示すように、両外面層L1、L3の間には、
図3(b)に示すような内層L2が設けられている。つまり、基板3は、2つの外面層L1、L3と1つの内層L2の、3つの層L1、L2、L3を有している。
【0042】
基板3には、複数の貫通孔3m、3L、3r、3aが設けられている。そのうち、大径の貫通孔3m、3L、3rには、
図2〜
図4−1(a)に示すように、コア2aの各凸部2m、2L、2rがそれぞれ挿入される。つまり、コア2aの凸部2m、2L、2rは、基板3の各層L1〜L3を貫通する。
【0043】
複数の小径の貫通孔3aには、
図2および
図4−1(b)に示すように、各ねじ11が挿入される。基板3の裏面(裏側外面層L3)をヒートシンク10の上面(フィン10fと反対の面)と対向させる。そして、各ねじ11を基板3の表面(表側外面層L1)側から各貫通孔3aに貫通させて、ヒートシンク10の各ねじ孔10aに螺合する。これにより、
図4−1および
図4−2に示すように、基板3の裏側外面層L3側にヒートシンク10が近接状態で固定される。
【0044】
基板3とヒートシンク10の間には、伝熱性を有する絶縁シート12が挟み込まれる。絶縁シート12は可撓性を有しているため、基板3やヒートシンク10と隙間なく密着する。
【0045】
図3に示すように、基板3には、スルーホール8a、8d、スルーホール群9a〜9d、パッド8b、8c、端子6i、6o、パターン4a〜4f、5a
1〜5a
9、5b
1〜5b
9、およびピン7a〜7fといった導体が設けられている。スルーホール8a、8dとスルーホール群9a〜9dは、異なる層L1、L2、L3にあるパターン4a〜4f、5a
7〜5a
9、5b
7〜5b
9同士を接続する。
【0046】
詳しくは、各スルーホール8aは、基板3を貫通していて、表側外面層L1のパターン4a、4bと他の層L2、L3を接続する。また、各スルーホール8dは、
図4−1に示すように基板3を貫通していて、表側外面層L1と他の層L2、L3を接続したり、表側外面層L1のパターン4a、4bと裏側外面層L3のパターン5a
9、5b
9を接続したり、内層L2のパターン4c、4dと裏側外面層L3のパターン5a
7、5a
8、5b
7、5b
8を接続したりする。
【0047】
各スルーホール群9a、9b、9c、9dは、スルーホール8a、8dより小径で、
図4−2に示すように基板3を貫通する複数のスルーホールが、所定の間隔で集まって構成されている(スルーホール群9c、9dの断面は図示省略)。
図3に示すように、スルーホール群9a、9dは、表側外面層L1のパターン4a、4bと内層L2のパターン4c、4dを接続する。スルーホール群9b、9cは、内層L2のパターン4c、4dと裏側外面層L3のパターン4eを接続する。
【0048】
一対の大径のスルーホール8aのうち、一方には電力入力用の端子6iが埋設され、他方には電力出力用の端子6oが埋設されている。端子6i、6oは、銅ピンから成る。表側外面層L1と裏側外面層L3の端子6i、6oの周囲には、銅箔から成るパッド8bが設けられている。端子6i、6oやパッド8bの表面には、銅めっきが施されている。端子6i、6oの下端は、絶縁シート12と接触している(図示省略)。
【0049】
基板3の各層L1、L2、L3には、コイルパターン4a〜4eと放熱パターン5a
1〜5a
9、5b
1〜5b
9が設けられている。各パターン4a〜4e、5a
1〜5a
9、5b
1〜5b
9は、銅箔から成る。表側外面層L1の各パターン4a、4b、5a
1〜5a
4、5b
1〜5b
4の表面には、絶縁加工が施されている。コイルパターン4a〜4eの幅や厚みや断面積は、コイルの所定の性能を達成しつつ、所定の大電流(たとえばDC150A)を流しても、コイルパターン4a〜4eでの発熱量をある程度に抑えて、しかもコイルパターン4a〜4eの表面から放熱できるように設定されている。
【0050】
図3(a)に示すように、表側外面層L1において、コイルパターン4aは、凸部2Lの周囲4方向に1回巻回されている。コイルパターン4bは、凸部2rの周囲4方向に1回巻回されている。
【0051】
図3(b)に示すように、内層L2において、コイルパターン4cは、凸部2Lの周囲4方向に1回巻回されている。コイルパターン4dは、凸部2rの周囲4方向に1回巻回されている。
【0052】
図3(c)に示すように、裏側外面層L3において、コイルパターン4eは、凸部2Lの周囲4方向に1回巻回されてから、凸部2mの周囲3方向に1回巻回され、さらに凸部2rの周囲4方向に1回巻回されている。
【0053】
コイルパターン4aの一端とコイルパターン4cの一端とは、スルーホール群9aにより電気的(導通可能)に接続されている。スルーホール群9aは、コイルパターン4a、4cの電流経路(幅W1で引き回された部分)上に設けられ、基板3を貫通している。コイルパターン4cの他端とコイルパターン4eの一端とは、スルーホール群9cにより電気的に接続されている。スルーホール群9cは、コイルパターン4c、4eの電流経路(幅W1で引き回された部分)上に設けられ、基板3を貫通している。コイルパターン4eの他端とコイルパターン4dの一端とは、スルーホール群9bにより電気的に接続されている。スルーホール群9bは、コイルパターン4e、4dの電流経路(幅W1で引き回された部分)上に設けられ、基板3を貫通している。コイルパターン4dの他端とコイルパターン4bの一端とは、スルーホール群9dにより電気的に接続されている。スルーホール群9dは、コイルパターン4d、4bの電流経路(幅W1で引き回された部分)上に設けられ、基板3を貫通している。このように、スルーホール群9a〜9dは、異なる層L1〜L3にあるコイルパターン4a〜4e同士の接続数に応じて複数(4つ)設けられている。
【0054】
スルーホール群9a〜9dを構成する小径の各スルーホールの表面には、銅めっきが施され、該スルーホールの内側は、銅などで埋められている。スルーホール群9a〜9dは、本発明の「電気的層間接続手段」の一例である。
【0055】
表側外面層L1のスルーホール群9b、9cの周辺と、裏側外面層L3のスルーホール群9a、9dの周辺には、各スルーホールを形成し易くするため、小パターン4fがそれぞれ設けられている。それぞれのスルーホール群9a〜9dと小パターン4fは接続されている。小パターン4fは、銅箔から成る。表側外面層L1の小パターン4fの表面には、絶縁加工が施されている。
【0056】
コイルパターン4aの他端は、パッド8bを介して端子6iと電気的に接続されている。コイルパターン4bの他端は、パッド8bを介して端子6oと電気的に接続されている。
【0057】
上記構成により、基板3のコイルパターン4a〜4eは、表側外面層L1で、起点である端子6iから、凸部2Lの周囲に1回目が巻かれた後、スルーホール群9aを経由して、内層L2に接続される。次に、コイルパターン4a〜4eは、内層L2で、凸部2Lの周囲に2回目が巻かれた後、スルーホール群9cを経由して、裏側外面層L3に接続される。
【0058】
次に、コイルパターン4a〜4eは、裏側外面層L3で、凸部2Lの周囲に3回目が巻かれ、凸部2mの周囲を経由して、凸部2rの周囲に4回目が巻かれた後、スルーホール群9bを経由して、内層L2に接続される。次に、コイルパターン4a〜4eは、内層L2で、凸部2rの周囲に5回目が巻かれた後、スルーホール群9dを経由して、表側外面層L1に接続される。そして、コイルパターン4a〜4eは、表側外面層L1で、凸部2rの周囲に6回目が巻かれた後、終点である端子6oに接続される。
【0059】
磁気デバイス1に流れる電流も、上記のように、端子6i、コイルパターン4a、スルーホール群9a、コイルパターン4c、スルーホール群9c、コイルパターン4e、スルーホール群9b、コイルパターン4d、スルーホール群9d、コイルパターン4b、および端子6oの順番で流れる。
【0060】
放熱パターン5a
1〜5a
9、5b
1〜5b
9は、各層L1〜L3のコイルパターン4a〜4eや小パターン4fの周辺にある空き領域に、該パターン4a〜4e、4fと別体で形成されている。また、放熱パターン5a
1〜5a
9、5b
1〜5b
9同士は、別体になっていて、電気的に絶縁されている。つまり、各放熱パターン5a
1〜5a
9、5b
1〜5b
9は、コイルパターン4a〜4e、小パターン4f、および他の放熱パターン5a
1〜5a
9、5b
1〜5b
9と別体になっていて、電気的に絶縁されている。
【0061】
放熱パターン5a
1〜5a
9、5b
1〜5b
9に対して、パッド8b、端子6i、6o、貫通孔3a、およびねじ11は絶縁されている。ねじ11の軸部11bより径の大きな頭部11aが基板3の表面側に配置されるため、内層L2や裏側外面層L3の貫通孔3aの周囲の絶縁領域(導体の無い領域)R2より、表側外面層L1の貫通孔3aの周囲の絶縁領域R1の方が広くなっている(
図3参照)。
【0062】
複数の大径のスルーホール8dには、放熱ピン7a〜7fがそれぞれ埋め込まれている。放熱ピン7a〜7fは、銅などの導体で柱状に形成された金属ピンから成る。表側外面層L1と裏側外面層L3の放熱ピン7a〜7fの周囲には、銅箔から成るパッド8cが設けられている。放熱ピン7a〜7fやパッド8cの表面には、銅めっきが施されている。放熱ピン7a〜7fの下端は、絶縁シート12と接触している(
図4−1(b)参照)。放熱ピン7a〜7eとこれらの周囲のパッド8cとスルーホール8dは、本発明の「熱的層間接続手段」の一例である。
【0063】
図3(a)に示すように、表側外面層L1では、コイルパターン4aの電流経路から外れた位置に、該コイルパターン4aの一部を幅方向に拡張した拡張領域4t
1が設けられている。つまり、コイルパターン4aと拡張領域4t
1は、一体になっている。コイルパターン4aの拡張領域4t
1に対して、放熱ピン7aとこの周囲のパッド8cおよびスルーホール8dが熱的(熱伝導可能)に接続されている。また、コイルパターン4bの電流経路から外れた位置に、該コイルパターン4bの一部を幅方向に拡張した拡張領域4t
2が設けられている。つまり、コイルパターン4bと拡張領域4t
2は、一体になっている。コイルパターン4bの拡張領域4t
2に対して、放熱ピン7bとこの周囲のパッド8cおよびスルーホール8dが熱的に接続されている。他の放熱ピン7c〜7fとこれらの周囲のパッド8cおよびスルーホール8dは、放熱パターン5a
1〜5a
4、5b
1〜5b
4、コイルパターン4a、4b、および小パターン4fに対して、電気的に絶縁されている。また、放熱パターン5a
1〜5a
4、5b
1〜5b
4に対して、コイルパターン4a、4bと小パターン4fは、電気的に絶縁されている。
【0064】
図3(b)に示すように、内層L2では、コイルパターン4cの電流経路から外れた位置に、該コイルパターン4cの一部を幅方向に拡張した拡張領域4t
3、4t
4が設けられている。つまり、コイルパターン4cと拡張領域4t
3、4t
4は、一体になっている。コイルパターン4cの拡張領域4t
3、4t
4に対して、放熱ピン7c、7eとこれらの周囲のスルーホール8dがそれぞれ熱的に接続されている。また、コイルパターン4dの電流経路から外れた位置に、該コイルパターン4dの一部を幅方向に拡張した拡張領域4t
5、4t
6が設けられている。つまり、コイルパターン4dと拡張領域4t
5、4t
6は、一体になっている。コイルパターン4dの拡張領域4t
5、4t
6に対して、放熱ピン7d、7fとこれらの周囲のスルーホール8dがそれぞれ熱的に接続されている。他の放熱ピン7a、7bとこれらの周囲のスルーホール8dは、放熱パターン5a
5、5a
6、5b
5、5b
6とコイルパターン4c、4dに対して、電気的に絶縁されている。また、放熱パターン5a
5、5a
6、5b
5、5b
6に対して、コイルパターン4c、4dは電気的に絶縁されている。
【0065】
コイルパターン4a〜4dの拡張領域4t
1〜4t
6は、基板3の板厚方向に重ならないように、層L1、L2にそれぞれ配置されている。コイルパターン4a〜4dの拡張領域4t
1〜4t
6が設けられた部分の幅W2、W3、W4は、各コイルパターン4a〜4dの電流経路の幅W1より大きくなっている(W1<W2、W3、W4)。また、各拡張領域4t
1〜4t
6の面積は、放熱ピン7a〜7fの軸に対して垂直な断面積より大きくなっている。
【0066】
図3(c)に示すように、裏側外面層L3には、表側外面層L1のコイルパターン4aに対応させて、放熱パターン5a
9が設けられ、コイルパターン4bに対応させて、放熱パターン5b
9が設けられている。また、内層L2のコイルパターン4cに対応させて、放熱パターン5a
7、5a
8が設けられ、コイルパターン4dに対応させて、放熱パターン5b
7、5b
8が設けられている。対応するコイルパターン4a〜4dの拡張領域4t
1、4t
2、4t
3、4t
4、4t
5、4t
6と放熱パターン5a
9、5b
9、5a
7、5a
8、5b
7、5b
8の一部とは、それぞれ基板3の厚み方向に対向している。
【0067】
また、裏側外面層L3において、放熱ピン7cとこの周囲のパッド8cおよびスルーホール8dは、放熱パターン5a
7に熱的に接続されている。放熱ピン7eとこの周囲のパッド8cおよびスルーホール8dは、放熱パターン5a
8に熱的に接続されている。放熱ピン7aとこの周囲のパッド8cおよびスルーホール8dは、放熱パターン5a
9に熱的に接続されている。
【0068】
また、裏側外面層L3において、放熱ピン7dとこの周囲のパッド8cおよびスルーホール8dは、放熱パターン5b
7に熱的に接続されている。放熱ピン7fとこの周囲のパッド8cおよびスルーホール8dは、放熱パターン5b
8に熱的に接続されている。放熱ピン7bとこの周囲のパッド8cおよびスルーホール8dは、放熱パターン5b
9に熱的に接続されている。
【0069】
さらに、裏側外面層L3において、放熱パターン5a
7〜5a
9、5b
7〜5b
9に対して、コイルパターン4eおよび小パターン4fは電気的に絶縁されている。また、放熱ピン7a〜7f、パッド8c、およびスルーホール8dに対して、コイルパターン4eと小パターン4fは電気的に絶縁されている。
【0070】
上記構成により、放熱ピン7aとこの周囲のスルーホール8dは、表側外面層L1のコイルパターン4aの拡張領域4t
1と裏側外面層L3の放熱パターン5a
9とを通るように、基板3を貫通している。このため、放熱ピン7aとこの周囲のスルーホール8dとパッド8cにより、コイルパターン4aの拡張領域4t
1と放熱パターン5a
9とが熱的に接続されている。また、放熱ピン7bとこの周囲のスルーホール8dは、表側外面層L1のコイルパターン4bの拡張領域4t
2と裏側外面層L3の放熱パターン5b
9とを通るように、基板3を貫通している。このため、放熱ピン7bとこの周囲のスルーホール8dとパッド8cにより、コイルパターン4bの拡張領域4t
2と放熱パターン5b
9とが熱的に接続されている。放熱ピン7a、7bとこれらの周囲のパッド8cとスルーホール8dは、本発明の「第1の熱的層間接続手段」の一例である。
【0071】
放熱ピン7c、7eとこれらの周囲のスルーホール8dは、内層L2のコイルパターン4cの拡張領域4t
3、4t
4と裏側外面層L3の放熱パターン5a
7、5a
8とを通るように、基板3を貫通している。このため、放熱ピン7c、7eとこの周囲のスルーホール8dとパッド8cにより、コイルパターン4cの拡張領域4t
3、4t
4と放熱パターン5a
7、5a
8とが熱的に接続されている。また、放熱ピン7d、7fとこれらの周囲のスルーホール8dは、内層L2のコイルパターン4dの拡張領域4t
5、4t
6と裏側外面層L3の放熱パターン5b
7、5b
8とを通るように、基板3を貫通している。このため、放熱ピン7d、7fとこの周囲のスルーホール8dとパッド8cにより、コイルパターン4dの拡張領域4t
5、4t
6と放熱パターン5b
7、5b
8とが熱的に接続されている。放熱ピン7c〜7fとこれらの周囲のパッド8cとスルーホール8dは、本発明の「第2の熱的層間接続手段」の一例である。
【0072】
表側外面層L1のコイルパターン4a、4bは、それぞれ1か所で、対応する裏側外面層L3の放熱パターン5a
9、5b
9と熱的に接続されている。これに対して、内層L2のコイルパターン4c、4dは、それぞれ2か所で、対応する裏側外面層L3の放熱パターン5a
7、5a
8、5b
7、5b
8と熱的に接続されている。
【0073】
各放熱ピン7a〜7fの体積、各パッド8cの体積、および各スルーホール8dの体積は、それぞれ同一である。このため、表側外面層L1のコイルパターン4a、4bと裏側外面層L3の放熱パターン5a
9、5b
9を接続する複数(2カ所)の第1の熱的層間接続手段の合計容積より、内層L2のコイルパターン4c、4dと裏側外面層L3の放熱パターン5a
7、5a
8、5b
7、5b
8を接続する複数(4カ所)の第2の熱的層間接続手段の合計容積の方が、大きくなっている。前者の第1の熱的層間接続手段は、放熱ピン7a、7bとこれらの周囲のパッド8cとスルーホール8dのことであり、後者の第2の熱的層間接続手段は、放熱ピン7c〜7eとこれらの周囲のパッド8cとスルーホール8dのことである。
【0074】
コイルパターン4a〜4eには大電流が流れるため、コイルパターン4a〜4eが発熱源となって、基板3の温度が上昇する。
【0075】
表側外面層L1では、基板3の熱は、放熱パターン5a
1〜5a
4、5b
1〜5b
4に拡散され、パターン4a、4b、4f、5a
1〜5a
4、5b
1〜5b
4などの導体の表面で放熱される。また、基板3の熱は、放熱ピン7a〜7fやスルーホール8d、8aやスルーホール群9a〜9dなどの基板3を貫通する導体を伝って、絶縁シート12を介してヒートシンク10で放熱される。スルーホール群9a〜9dは、サーマルビアとして機能する。
【0076】
特に、表側外面層L1のコイルパターン4a、4bで発生した熱は、拡張領域4t
1、4t
2や放熱ピン7a、7bなどを伝って裏側外面層L3の放熱パターン5a
9、5b
9に拡散され、放熱パターン5a
9、5b
9の表面や放熱ピン7a、7bの下面から絶縁シート12を介してヒートシンク10で放熱される。
【0077】
内層L2では、基板3の熱は、放熱パターン5a
5、5a
6、5b
5、5b
6に拡散され、放熱ピン7a〜7fやスルーホール8dやスルーホール群9a〜9dなどの基板3を貫通する導体を伝って、絶縁シート12を介してヒートシンク10で放熱される。特に、コイルパターン4c、4dで発生した熱は、拡張領域4t
3、4t
4、4t
5、4t
6や放熱ピン7c〜7fなどを伝って裏側外面層L3の放熱パターン5a
7、5a
8、5b
7、5b
8に拡散され、放熱パターン5a
7、5a
8、5b
7、5b
8の表面や放熱ピン7c〜7fの下面から絶縁シート12を介してヒートシンク10で放熱される。
【0078】
裏側外面層L3では、基板3の熱は、放熱パターン5a
7〜5a
9、5b
7〜5b
9に拡散され、パターン4e、4f、5a
7〜5a
9、5b
7〜5b
9などの導体の表面から絶縁シート12を介してヒートシンク10で放熱される。特に、コイルパターン4eで発生した熱は、コイルパターン4eの表面から絶縁シート12を介してヒートシンク10で放熱される。
【0079】
上記第1実施形態によると、基板3の表側外面層L1と内層L2のコイルパターン4a〜4dの電流経路から外れた位置に、該コイルパターン4a〜4dの拡張領域4t
1〜4t
6を設けている。また、コイルパターン4a〜4dに対応させて、裏側外面層L3に放熱パターン5a
7〜5a
9、5b
7〜5b
9を設けている。そして、対応するコイルパターン4a〜4dの拡張領域4t
1〜4t
6と放熱パターン5a
7〜5a
9、5b
7〜5b
9とを、基板3を貫通する放熱ピン7a〜7fなどの熱的層間接続手段により熱的に接続している。
【0080】
このため、コイルパターン4a〜4eの電流の流れを妨げることなく、表側外面層L1と内層L2のコイルパターン4a〜4dからの発熱を、熱的層間接続手段により裏側外面層L3の放熱パターン5a
7〜5a
9、5b
7〜5b
9に伝えることができる。そして、該熱を、放熱パターン5a
7〜5a
9、5b
7〜5b
9の表面からヒートシンク10へ伝えて、ヒートシンク10から外部へ放熱させ易くすることができる。また、コイルパターン4a〜4eの電流の流れが妨げられないので、コイルの所定の性能を達成することが可能となる。
【0081】
また、異なる層L1〜L3のコイルパターン4a〜4e同士をスルーホール群9a〜9dで電気的に接続し、対応するコイルパターン4a〜4dと放熱パターン5a
7〜5a
9、5b
7〜5b
9を放熱ピン7a〜7fなどで熱的に接続している。また、裏側外面層L3では、コイルパターン4eと放熱パターン5a
7〜5a
9、5b
7〜5b
9を別体にして、電気的に絶縁している。このため、コイルパターン4a〜4eにおいて、電流経路と放熱経路を確実に分けて、通電性能と放熱性能を高めることができる。
【0082】
また、基板3の表側外面層L1と内層L2にある各コイルパターン4a〜4dで発生した熱を、放熱ピン7a〜7fや裏側外面層L3の放熱パターン5a
7〜5a
9、5b
7〜5b
9などの異なる放熱経路でヒートシンク10に伝えて、効率良く放熱させることができる。
【0083】
また、対応するコイルパターン4a〜4dの拡張領域4t
1〜4t
6と放熱パターン5a
7〜5a
9、5b
7〜5b
9とを対向するように基板3に設けて、これらを通るように放熱ピン7a〜7fやスルーホール8dを基板3に貫通させている。このため、放熱ピン7a〜7fやスルーホール8dが基板3に設け易くなり、基板3の製造を容易にすることができる。
【0084】
また、スルーホール群9a〜9dを、接続対象のコイルパターン4a〜4eの電流経路上で、基板3を貫通するように設けている。また、スルーホール群9a〜9dを構成する小径の各スルーホール内に、銅などの導電部材を充填している。このため、スルーホール群9a〜9dの導電率を向上させて、コイルパターン4a〜4e同士の電気的接続の信頼性を高くしつつ、スルーホール群9a〜9dが基板3に設け易くなり、基板3の製造を容易にすることができる。
【0085】
さらに、表側外面層L1のコイルパターン4a、4bと裏側外面層L3の放熱パターン5a
9、5b
9を接続する第1の熱的層間接続手段の数より、内層L2のコイルパターン4c、4dと裏側外面層L3の放熱パターン5a
7、5a
8、5b
7、5b
8を接続する第2の熱的層間接続手段の数の方が多くなっている。これにより、表側外面層L1のコイルパターン4a、4bから裏側外面層L3の放熱パターン5a
9、5b
9への伝熱容積より、内層L2のコイルパターン4c、4dから裏側外面層L3の放熱パターン5a
7、5a
8、5b
7、5b
8への伝熱容積の方が大きくなる。このため、外気に触れない内層L2のコイルパターン4c、4dで発生した熱を、表側外面層L1のコイルパターン4a、4bで発生した熱より、裏側外面層L3へ伝わり易くすることができる。そして、その内層L2の発熱を、裏側外面層L3からヒートシンク10を介して外部へ放熱して、基板3にこもり難くすることが可能となる。
【0086】
次に、第2実施形態による磁気デバイス1’と、該磁気デバイス1’に備わるコイル一体型プリント基板3’(以下、単に「基板3’」という。)の構造を、
図5および
図6を参照しながら説明する。
【0087】
図5は、基板3’の各層の平面図である。
図6は、磁気デバイス1’の断面図であって、(a)に
図5のZ
1−Z
1断面を示し、(b)に
図5のZ
2−Z
2断面を示している。
【0088】
基板3’は、表面(
図6で上面)に、
図5(a)に示すような表側外面層L1’が設けられ、裏面(
図6で下面)に、
図5(b)に示すような裏側外面層L2’が設けられた、2層の厚銅箔基板から構成されている。
【0089】
図6(a)に示すように、上コア2aの各凸部2m、2L、2rは、基板3’の貫通孔3m、3L、3rにそれぞれ挿入されることにより、各層L1’、L2’を貫通している。基板3’の裏側外面層L2’側には、ヒートシンク10が近接状態でねじ11により固定されている。基板3’とヒートシンク10の間には、絶縁シート12が挟み込まれている。
【0090】
図5に示すように、基板3’には、スルーホール8a、8d、スルーホール群9a’、9b’、パッド8b、8c、端子6i、6o、パターン4a’〜4c’、5L
1〜5L
7、5r
1〜5r
7、およびピン7a’〜7f’といった導体が設けられている。スルーホール8a、8dとスルーホール群9a’、9b’は、異なる層L1’、L2’にあるパターン4a’〜4c’、5L
5〜5L
7、5r
5〜5r
7同士を接続する。
【0091】
詳しくは、スルーホール8aは、基板3’を貫通していて、表側外面層L1’のパターン4a’、4b’と裏側外面層L2’を接続する。スルーホール8dは、
図6(a)に示すように基板3’を貫通していて、表側外面層L1’と裏側外面層L2’を接続したり、表側外面層L1’のパターン4a’、4b’と裏側外面層L2’のパターン5L
5〜5L
7、5r
5〜5r
7を接続したりする。
【0092】
各スルーホール群9a’、9b’は、スルーホール8a、8dより小径で、
図6(b)に示すように基板3’を貫通する複数のスルーホールが、所定の間隔で集まって構成されている。
図5に示すように、スルーホール群9a’は、表側外面層L1’のパターン4a’と裏側外面層L2’のパターン4c’を接続する。スルーホール群9b’は、表側外面層L1’のパターン4b’と裏側外面層L2’のパターン4c’を接続する。
【0093】
各層L1’、L2’には、コイルパターン4a’〜4c’と放熱パターン5L
1〜5L
7、5r
1〜5r
7が形成されている。これらのパターン4a’〜4c’、5L
1〜5L
7、5r
1〜5r
7は、銅箔から成り、表面に絶縁加工が施されている。各層L1’、L2’のレイアウトは、面対称になっている。コイルパターン4a’〜4c’の幅や厚みや断面積は、コイルの所定の性能を達成しつつ、所定の大電流(たとえばDC150A)を流しても、コイルパターン4a’〜4c’での発熱量をある程度に抑えて、しかもコイルパターン4a’〜4c’の表面から放熱できるように設定されている。
【0094】
図5(a)に示すように、表側外面層L1’において、コイルパターン4a’は、凸部2Lの周囲4方向に2回巻回されている。コイルパターン4b’は、凸部2rの周囲4方向に2回巻回されている。
【0095】
図5(b)に示すように、裏側外面層L2’において、コイルパターン4c’は、凸部2Lの周囲4方向に1回巻回されてから、凸部2mの周囲3方向を経由して、凸部2rの周囲4方向に1回巻回されている。
【0096】
コイルパターン4a’の一端とコイルパターン4c’の一端とは、スルーホール群9a’により電気的に接続されている。スルーホール群9a’は、コイルパターン4a’、4c’の電流経路(幅W5で引き回された部分)上に設けられ、基板3’を貫通している。コイルパターン4c’の他端とコイルパターン4b’の一端とは、スルーホール群9b’により電気的に接続されている。スルーホール群9b’は、コイルパターン4c’、4b’の電流経路(幅W5で引き回された部分)上に設けられ、基板3’を貫通している。このように、スルーホール群9a’、9b’は、異なる層L1’、L2’にあるコイルパターン4a’〜4c’同士の接続数に応じて複数(2つ)設けられている。
【0097】
スルーホール群9a’、9b’をそれぞれ構成する小径の各スルーホールの表面には、銅めっきが施され、該各スルーホールの内側は、銅などで埋められている。スルーホール群9a’、9b’は、本発明の「電気的層間接続手段」の一例である。
【0098】
コイルパターン4a’の他端は、パッド8bとスルーホール8aを介して、端子6iと電気的に接続されている。コイルパターン4b’の他端は、パッド8bとスルーホール8aを介して、端子6oと電気的に接続されている。
【0099】
つまり、基板3’のコイルパターン4a’〜4c’は、表側外面層L1’で、起点である端子6iから、凸部2Lの周囲に1回目と2回目が巻かれた後、スルーホール群9a’を経由して、裏側外面層L2’に接続される。
【0100】
次に、コイルパターン4a’〜4c’は、裏側外面層L2’で、凸部2Lの周囲に3回目が巻かれ、凸部2mの周囲を経由して、凸部2rの周囲に4回目が巻かれた後、スルーホール群9b’を経由して、表側外面層L1’
に接続される。そして、コイルパターン4a’〜4c’は、表側外面層L1’で、凸部2rの周囲に5回目と6回目が巻かれた後、終点である端子6oに接続される。
【0101】
磁気デバイス1’に流れる電流も、上記のように端子6i、コイルパターン4a’、スルーホール群9a’、コイルパターン4c’、スルーホール群9b’、コイルパターン4b’、および端子6oの順番で流れる。
【0102】
放熱パターン5L
1〜5L
7、5r
1〜5r
7は、各層L1’、L2’のコイルパターン4a’〜4c’の周辺にある空き領域に、該パターン4a’〜4c’と別体で形成されている。また、放熱パターン5L
1〜5L
7、5r
1〜5r
7同士は、別体になっていて、電気的に絶縁されている。つまり、各放熱パターン5L
1〜5L
7、5r
1〜5r
7は、コイルパターン4a’〜4c’および他の放熱パターン5L
1〜5L
7、5r
1〜5r
7と別体になっていて、電気的に絶縁されている。放熱パターン5L
1〜5L
7、5r
1〜5r
7に対して、パッド8b、端子6i、6o、貫通孔3a、およびねじ11は絶縁されている。
【0103】
複数の大径のスルーホール8dには、放熱ピン7a’〜7f’がそれぞれ埋め込まれている。放熱ピン7a’〜7f’は、銅などの導体で柱状に形成された金属ピンから成る。各層L1’、L2’の放熱ピン7a’〜7f’の周囲には、銅箔から成るパッド8cが設けられている。放熱ピン7a’〜7f’やパッド8cの表面には、銅めっきが施されている。放熱ピン7a’〜7f’の下端は、絶縁シート12と接触している(
図6(a)参照)。放熱ピン7a’〜7f’とこれらの周囲のパッド8cとスルーホール8dは、本発明の「熱的層間接続手段」の一例である。
【0104】
図5(a)に示すように、表側外面層L1’では、コイルパターン4a’の電流経路から外れた位置に、該コイルパターン4a’の一部を幅方向に拡張した拡張領域4s
1〜4s
3が設けられている。コイルパターン4a’と拡張領域4s
1〜4s
3は一体になっている。また、コイルパターン4b’の電流経路から外れた位置に、該コイルパターン4b’の一部を幅方向に拡張した拡張領域4s
4〜4s
6が設けられている。コイルパターン4b’と拡張領域4s
4〜4s
6は一体になっている。コイルパターン4a’の各拡張領域4s
1〜4s
3には、放熱ピン7a’、7c’、7e’とこれらの周囲のパッド8cおよびスルーホール8dがそれぞれ熱的に接続されている。コイルパターン4b’の各拡張領域4s
4〜4s
6には、放熱ピン7b’、7d’、7f’
とこれらの周囲のパッド8cおよびスルーホール8dがそれぞれ熱的に接続されている。放熱パターン5L
1〜5L
4、5r
1〜5r
4に対して、コイルパターン4a’、4b’、放熱ピン7a’〜7f’、パッド8c、およびスルーホール8dは電気的に絶縁されている。
【0105】
コイルパターン4a’、4b’の拡張領域4s
1〜4s
6が設けられた部分の幅W6、W7、W8は、各コイルパターン4a’、4b’の電流経路の幅W5より大きくなっている(W5<W6、W7、W8)。また、各拡張領域4s
1〜4s
6の面積は、放熱ピン7a’〜7f’の軸に対して垂直な断面積より大きくなっている。
【0106】
図5(b)に示すように、裏側外面層L2’では、表側外面層L1’のコイルパターン4a’に対応させて、放熱パターン5L
5〜5L
7が設けられ、コイルパターン4b’に対応させて、放熱パターン5r
5〜5r
7が設けられている。対応するコイルパターン4a’、4b’の拡張領域4s
1、4s
2、4s
3、4s
4、4s
5、4s
6と放熱パターン5L
7、5L
5、5L
6、5r
7、5r
5、5r
6の一部とは、それぞれ基板3’の厚み方向に対向している。
【0107】
また、裏側外面層L2’において、放熱ピン7c’とこの周囲のパッド8cおよびスルーホール8dは、放熱パターン5L
5に熱的に接続されている。放熱ピン7e’とこの周囲のパッド8cおよびスルーホール8dは、放熱パターン5L
6に熱的に接続されている。放熱ピン7a’とこの周囲のパッド8cおよびスルーホール8dは、放熱パターン5L
7に熱的に接続されている。
【0108】
また、裏側外面層L2’において、放熱ピン7d’とこの周囲のパッド8cおよびスルーホール8dは、放熱パターン5r
5に熱的に接続されている。放熱ピン7f’とこの周囲のパッド8cおよびスルーホール8dは、放熱パターン5r
6に熱的に接続されている。放熱ピン7b’とこの周囲のパッド8cおよびスルーホール8dは、放熱パターン5r
7に熱的に接続されている。
【0109】
さらに、裏側外面層L2’において、放熱パターン5L
5〜5L
7、5r
5〜5r
7に対して、コイルパターン4c’は電気的に絶縁されている。また、放熱ピン7a’〜7f’、パッド8c、およびスルーホール8dに対して、コイルパターン4c’は電気的に絶縁されている。
【0110】
上記構成により、放熱ピン7c’、7e’、7a’とこれらの周囲のスルーホール8dは、表側外面層L1’のコイルパターン4a’の拡張領域4s
2、4s
3、4s
1と裏側外面層L2’の放熱パターン5L
5、5L
6、5L
7とを通るように、基板3’を貫通している。このため、放熱ピン7c’、7e’、7a’とこれらの周囲のスルーホール8dとパッド8cにより、4a’の拡張領域4s
2、4s
3、4s
1と放熱パターン5L
5、5L
6、5L
7とが熱的に接続されている。
【0111】
また、放熱ピン7d’、7f’、7b’とこれらの周囲のスルーホール8dは、表側外面層L1’のコイルパターン4b’の拡張領域4s
5、4s
6、4s
4と裏側外面層L2’の放熱パターン5r
5、5r
6、5r
7とを通るように、基板3を貫通している。このため、放熱ピン7d’、7f’、7b’とこれらの周囲のスルーホール8dとパッド8cにより、コイルパターン4b’の拡張領域4s
5、4s
6、4s
4と放熱パターン放熱パターン5r
5、5r
6、5r
7とが熱的に接続されている。
【0112】
さらに、表側外面層L1’のコイルパターン4a’、4b’は、それぞれ3か所で、対応する裏側外面層L2’の放熱パターン5L
5〜5L
7、5r
5〜5r
7と接続されている。
【0113】
コイルパターン4a’〜4c’には大電流が流れるため、コイルパターン4a’〜4c’が発熱源となって、基板3’の温度が上昇する。表側外面層L1’では、基板3’の熱は、放熱パターン5L
1〜5L
4、5r
1〜5r
4に拡散され、パターン4a’、4b’、5L
1〜5L
4、5r
1〜5r
4などの導体の表面で放熱される。また、基板3’の熱は、放熱ピン7a’〜7f’やスルーホール8d、8aやスルーホール群9a’、9b’などの基板3’を貫通する導体を伝って、絶縁シート12を介してヒートシンク10で放熱される。スルーホール群9a’、9b’は、サーマルビアとして機能する。
【0114】
コイルパターン4a’、4b’の幅が狭い部分は、他より発熱量が高くなる。コイルパターン4a’、4b’で発生した熱は、拡張領域4s
1〜4s
6や放熱ピン7a’〜7f’などを伝って裏側外面層L2’の放熱パターン5L
1〜5L
4、5r
1〜5r
4に拡散され、放熱パターン5L
1〜5L
4、5r
1〜5r
4の表面や放熱ピン7a’〜7f’の下面から絶縁シート12を介してヒートシンク10で放熱される。
【0115】
裏側外面層L2’では、基板3’の熱は、放熱パターン5L
5〜5L
7、5r
5〜5r
7に拡散され、パターン4c’、5L
5〜5L
7、5r
5〜5r
7などの導体の表面から絶縁シート12を介してヒートシンク10で放熱される。特に、コイルパターン4c’で発生した熱は、コイルパターン4c’の表面から絶縁シート12を介してヒートシンク10で放熱される。
【0116】
上記第2実施形態によると、基板3’の表側外面層L1’のコイルパターン4a’、4b’の電流経路から外れた位置に、該コイルパターン4a’、4b’の拡張領域4s
1〜4s
6を設けている。また、コイルパターン4a’、4b’に対応させて、裏側外面層L2’に放熱パターン5L
5〜5L
7、5r
5〜5r
7を設けている。そして、対応するコイルパターン4a’、4b’の拡張領域4s
1〜4s
6と放熱パターン5L
5〜5L
7、5r
5〜5r
7とを、基板3’を貫通する放熱ピン7a’〜7f’などの熱的層間接続手段により熱的に接続している。
【0117】
このため、コイルパターン4a’〜4c’の電流の流れを妨げることなく、表側外面層L1’のコイルパターン4a’、4b’からの発熱を、熱的層間接続手段により裏側外面層L2’の放熱パターン5L
5〜5L
7、5r
5〜5r
7に伝えることができる。そして、該熱を、放熱パターン5L
5〜5L
7、5r
5〜5r
7の表面からヒートシンク10へ伝えて、ヒートシンク10から外部へ放熱させ易くすることができる。また、コイルパターン4a’〜4c’の電流の流れが妨げられないので、コイルの所定の性能を達成することが可能となる。
【0118】
また、異なる層L1’、L2’のコイルパターン4a’〜4c’同士をスルーホール群9a’、9b’で電気的に接続し、対応するコイルパターン4a’〜4c’と放熱パターン5L
5〜5L
7、5r
5〜5r
7を放熱ピン7a’〜7f’などで熱的に接続している。さらに、裏側外面層L2’でコイルパターン4c’と放熱パターン5L
5〜5L
7、5r
5〜5r
7を別体にして、電気的に絶縁している。このため、コイルパターン4a’〜4c’の電流経路と放熱経路を確実に分けて、通電性能と放熱性能を高めることができる。
【0119】
また、対応するコイルパターン4a’、4b’の拡張領域4s
1〜4s
6と放熱パターン5L
5〜5L
7、5r
5〜5r
7とを対向するように基板3’に設けて、これらを通るように放熱ピン7a’〜7f’やスルーホール8dを基板3’に貫通させている。このため、放熱ピン7a’〜7f’やスルーホール8dが基板3’に設け易くなり、基板3’の製造を容易にすることができる。
【0120】
さらに、スルーホール群9a’、9b’を接続対象のコイルパターン4a’〜4c’の電流経路上で基板3’を貫通するように設けている。また、スルーホール群9a’、9b’を構成する小径の各スルーホール内に、銅などの導電部材を充填している。このため、スルーホール群9a’、9b’の導電率を向上させて、コイルパターン4a’〜4c’同士の電気的接続信頼性を高くしつつ、スルーホール群9a’、9b’が基板3’に設け易くなり、基板3’の製造を容易にすることができる。
【0121】
次に、第3実施形態による磁気デバイス1”と、該磁気デバイス1”に備わるコイル一体型プリント基板3”(以下、単に「基板3”」という。)の構造を、
図7および
図8を参照しながら説明する。
【0122】
図7は、基板3”の各層の平面図である。
図8は、磁気デバイス1”の断面図であって、(a)に
図7のV
1−V
1断面を示し、(b)に
図7のV
2−V
2断面を示している。
【0123】
基板3”は、表面(
図8で上面)に、
図7(a)に示すような表側外面層L1”が設けられ、裏面(
図8で下面)に、
図7(b)に示すような裏側外面層L2”が設けられた、2層の厚銅箔基板から構成されている。
【0124】
図8(a)に示すように、上コア2aの各凸部2m、2L、2rは、基板3”の貫通孔3m、3L、3rにそれぞれ挿入されることにより、各層L1”、L2”を貫通している。基板3”の裏側外面層L2”側には、ヒートシンク10が近接状態でねじ11(
図7)により固定されている。基板3”とヒートシンク10の間には、絶縁シート12が挟み込まれている。
【0125】
図7に示すように、基板3”には、スルーホール8a、8d、スルーホール群9a”、9b”、パッド8b、8c、端子6i、6o、パターン4a”〜4c”、4u、5s
0〜5s
6、およびピン7a”〜7f”といった導体が設けられている。スルーホール8a、8dとスルーホール群9a”、9b”は、異なる層L1”、L2”にあるパターン4a”〜4c”、5s
1〜5s
6同士を接続する。
【0126】
詳しくは、スルーホール8aは、基板3”を貫通していて、表側外面層L1”のパターン4a”、4b”と裏側外面層L2”を接続する。スルーホール8dは、
図8(a)に示すように基板3”を貫通していて、表側外面層L1”と裏側外面層L2”を接続したり、表側外面層L1”のパターン4a”、4b”と裏側外面層L2”のパターン5s
1〜5s
6を接続したりする。
【0127】
各スルーホール群9a”、9b”は、スルーホール8a、8dより小径で、
図8(b)に示すように基板3”を貫通する複数のスルーホールが、所定の間隔で集まって構成されている。
図7に示すように、スルーホール群9a”は、表側外面層L1”のパターン4a”と裏側外面層L2”のパターン4c”を接続する。スルーホール群9b”は、表側外面層L1”のパターン4b”と裏側外面層L2”のパターン4c”を接続する。
【0128】
各層L1”、L2”には、コイルパターン4a”〜4c”と放熱パターン5s
0〜5s
6、4uが形成されている。これらのパターン4a”〜4c”、4u、5s
0〜5s
6は、銅箔から成り、表面に絶縁加工が施されている。各層L1”、L2”のレイアウトは、面対称になっている。コイルパターン4a”〜4c”の幅や厚みや断面積は、コイルの所定の性能を達成しつつ、所定の大電流(たとえばDC150A)を流しても、コイルパターン4a”〜4c”での発熱量をある程度に抑えて、しかもコイルパターン4a”〜4c”の表面から放熱できるように設定されている。
【0129】
図7(a)に示すように、表側外面層L1”において、コイルパターン4a”は、凸部2Lの周囲4方向に1回巻回されている。コイルパターン4b”は、凸部2rの周囲4方向に1回巻回されている。
【0130】
図7(b)に示すように、裏側外面層L2”において、コイルパターン4c”は、凸部2Lの周囲4方向に1回巻回されてから、凸部2mの周囲3方向を経由して、凸部2rの周囲4方向に1回巻回されている。
【0131】
コイルパターン4a”の一端とコイルパターン4c”の一端とは、スルーホール群9a”により電気的に接続されている。スルーホール群9a”は、コイルパターン4a”、4c”の電流経路(幅Waで引き回された部分)上に設けられ、基板3”を貫通している。コイルパターン4c”の他端とコイルパターン4b”の一端とは、スルーホール群9b”により電気的に接続されている。スルーホール群9b”は、コイルパターン4c”、4b”の電流経路(幅Waで引き回された部分)上に設けられ、基板3”を貫通している。このように、スルーホール群9a”、9b”は、異なる層L1”、L2”にあるコイルパターン4a”〜4c”同士の接続数に応じて複数(2つ)設けられている。
【0132】
スルーホール群9a”、9b”をそれぞれ構成する小径の各スルーホールの表面には、銅めっきが施されていて、該各スルーホールの内側は、銅などで埋められている。スルーホール群9a”、9b”は、本発明の「電気的層間接続手段」の一例である。
【0133】
コイルパターン4a”の他端は、パッド8bとスルーホール8aを介して、端子6iと電気的に接続されている。コイルパターン4b”の他端は、パッド8bとスルーホール8aを介して、端子6oと電気的に接続されている。
【0134】
つまり、基板3”のコイルパターン4a”〜4c”は、表側外面層L1”で、起点である端子6iから、凸部2Lの周囲に1回目が巻かれた後、スルーホール群9a’を経由して、裏側外面層L2”に接続される。
【0135】
次に、コイルパターン4a”〜4c”は、裏側外面層L2”で、凸部2Lの周囲に2回目が巻かれ、凸部2mの周囲を経由して、凸部2rの周囲に3回目が巻かれた後、スルーホール群9b”を経由して、表側外面層L1”に接続される。そして、コイルパターン4a”〜4c”は、表側外面層L1”で、凸部2rの周囲に4回目が巻かれた後、終点である端子6oに接続される。
【0136】
磁気デバイス1”に流れる電流も、上記のように端子6i、コイルパターン4a”、スルーホール群9a”、コイルパターン4c”、スルーホール群9b”、コイルパターン4b”、および端子6oの順番で流れる。
【0137】
図7(a)に示すように、表側表面層L1”のコイルパターン4a”、4b”の周辺にある空き領域には、放熱パターン5s
0が、コイルパターン4a”、4b”と別体で複数(8つ)形成されている。放熱パターン5s
0同士は、別体になっていて、電気的に絶縁されている。放熱パターン5s
0に対して、パッド8b、端子6i、6o、貫通孔3a、およびねじ11は絶縁されている。
【0138】
図7(b)に示すように、裏側外面層L2”のコイルパターン4c”の周辺にある空き領域には、放熱パターン5s
1〜5s
6が、コイルパターン4c”と別体で形成されている。放熱パターン5s
1〜5s
6、4u同士は、別体になっていて、電気的に絶縁されている。放熱パターン5s
1〜5s
6に対して、パッド8b、端子6i、6o、貫通孔3a、およびねじ11は電気的に絶縁されている。
【0139】
複数の大径のスルーホール8dには、放熱ピン7a”〜7f”がそれぞれ埋め込まれている。放熱ピン7a”〜7f”は、銅などの導体で柱状に形成された金属ピンから成る。各層L1”、L2”の放熱ピン7a”〜7f”の周囲には、銅箔から成るパッド8cが設けられている。放熱ピン7a”〜7f”やパッド8cの表面には、銅めっきが施されている。放熱ピン7a”〜7f”の下端は、絶縁シート12を介してヒートシンク10と接触している(
図8(a)参照)。放熱ピン7a”〜7f”とこれらの周囲のパッド8cとスルーホール8dは、本発明の「熱的層間接続手段」の一例である。
【0140】
図7(a)に示すように、表側外面層L1”では、コイルパターン4a”の電流経路から外れた位置に、該コイルパターン4a”の一部を幅方向に拡張した拡張領域4u
1〜4u
3が設けられている。コイルパターン4a”と拡張領域4u
1〜4u
3は一体になっている。また、コイルパターン4b”の電流経路から外れた位置に、該コイルパターン4b”の一部を幅方向に拡張した拡張領域4u
4〜4u
6が設けられている。コイルパターン4b”と拡張領域4u
4〜4u
6は一体になっている。コイルパターン4a”の各拡張領域4u
1〜4u
3には、放熱ピン7a”、7c”、7e”とこれらの周囲のパッド8cおよびスルーホール8dがそれぞれ熱的に接続されている。コイルパターン4b”の各拡張領域4u
4〜4u
6には、放熱ピン7b”、7d”、7f”とこれらの周囲のパッド8cおよびスルーホール8dがそれぞれ熱的に接続されている。放熱パターン5s
0に対して、コイルパターン4a”、4b”、放熱ピン7a”〜7f”、パッド8c、およびスルーホール8dは、電気的に絶縁されている。
【0141】
コイルパターン4a”、4b”の拡張領域4u
1〜4u
6が設けられた部分の幅Wb、Wc、Wdは、各コイルパターン4a”、4b”の電流経路の幅Waより大きくなっている(Wa<Wb、Wc、Wd)。また、各拡張領域4u
1〜4u
6の面積は、放熱ピン7a”〜7f
”の軸に対して垂直な断面積より大きくなっている。
【0142】
図7(b)に示すように、裏側外面層L2”では、表側外面層L1”のコイルパターン4a”に対応させて、放熱パターン5s
1〜5s
3が設けられ、コイルパターン4b”に対応させて、放熱パターン5s
4〜5s
6が設けられている。対応するコイルパターン4a”、4b”の拡張領域4u
1、4u
2、4u
3、4u
4、4u
5、4u
6と放熱パターン5s
3、5s
1、5s
2、5s
6、5s
4、5s
5の一部とは、それぞれ基板3”の厚み方向に対向している。裏側外面層L2”で、放熱パターン5s
3、5s
1、5s
2、5s
6、5s
4、5s
5同士は別体になっていて、電気的に絶縁されている。
【0143】
また、裏側外面層L2”において、放熱ピン7c”とこの周囲のパッド8cおよびスルーホール8dは、放熱パターン5s
1に熱的に接続されている。放熱ピン7e”とこの周囲のパッド8cおよびスルーホール8dは、放熱パターン5s
2に熱的に接続されている。放熱ピン7a”とこの周囲のパッド8cおよびスルーホール8dは、放熱パターン5s
3に熱的に接続されている。
【0144】
また、裏側外面層L2”において、放熱ピン7d”とこの周囲のパッド8cおよびスルーホール8dは、放熱パターン5s
4に熱的に接続されている。放熱ピン7f”とこの周囲のパッド8cおよびスルーホール8dは、放熱パターン5s
5に熱的に接続されている。放熱ピン7b”とこの周囲のパッド8cおよびスルーホール8dは、放熱パターン5s
6に熱的に接続されている。
【0145】
さらに、裏側外面層L2”において、放熱パターン5s
1〜5s
6に対して、コイルパターン4c”は電気的に絶縁されている。また、放熱ピン7a”〜7f”、パッド8c、およびスルーホール8dに対して、コイルパターン4c”は絶縁されている。また、コイルパターン4c”の電流経路から外れた位置に、該コイルパターン4c”の一部を幅方向に拡張した拡張領域4u
7〜4u
9、4u
0が設けられている。コイルパターン4c”と拡張領域4u
7〜4u
9、4u
0は一体になっている。
【0146】
上記構成により、放熱ピン7c”、7e”、7a”とこれらの周囲のスルーホール8dは、表側外面層L1”のコイルパターン4a”の拡張領域4u
2、4u
3、4u
1と裏側外面層L2”の放熱パターン5s
1、5s
2、5s
3とを通るように、基板3を貫通している。このため、放熱ピン7c”、7e”、7a”とこれらの周囲のスルーホール8dとパッド8cにより、コイルパターン4a”の拡張領域4u
2、4u
3、4u
1と放熱パターン5s
1、5s
2、5s
3とが熱的に接続されている。
【0147】
また、放熱ピン7d”、7f”、7b”とこれらの周囲のスルーホール8dは、表側外面層L1”のコイルパターン4b”の拡張領域4u
5、4u
6、4u
4と裏側外面層L2”の放熱パターン5s
4、5s
5、5s
6とを通るように、基板3を貫通している。このため、放熱ピン7d”、7f”、7b”とこれらの周囲のスルーホール8dとパッド8cにより、コイルパターン4b”の拡張領域4u
5、4u
6、4u
4と放熱パターン5s
4、5s
5、5s
6とが熱的に接続されている。
【0148】
図7に示すように、裏側外面層L2”のコイルパターン4c”の面積(拡張領域4u
7〜4u
9、4u
0の面積も含む)より、表側外面層L1”のコイルパターン4a”、4b”とこれに対応する裏側外面層L2”の放熱パターン5s
1〜5s
6の合計面積の方が大きくなっている。また、拡張領域4u
7〜4u
9、4u
0の合計面積より、放熱パターン5s
1〜5s
6の合計面積の方が大きくなっている。
【0149】
コイルパターン4a”〜4c”には大電流が流れるため、コイルパターン4a”〜4c”が発熱源となって、基板3”の温度が上昇する。表側外面層L1”では、基板3”の熱は、放熱パターン5s
0に拡散され、パターン4a”、4b”、5s
0などの導体の表面で放熱される。また、基板3”の熱は、放熱ピン7a”〜7f”やスルーホール8d、8a、やスルーホール群9a”、9b”などの基板3”を貫通する導体を伝って、絶縁シート12を介してヒートシンク10で放熱される。特に、コイルパターン4a”、4b”で発生した熱は、拡張領域4u
1〜4u
6や放熱ピン7a”〜7f”などを伝って裏側外面層L2”の放熱パターン5s
1〜5s
6に拡散され、放熱パターン5s
1〜5s
6の表面や放熱ピン7a”〜7f”の下面から絶縁シート12を介してヒートシンク10で放熱される。
【0150】
裏側外面層L2”では、基板3”の熱は、放熱パターン5s
1〜5s
6に拡散され、パターン4c”、4u、5s
1〜5s
6などの導体の表面から絶縁シート12を介してヒートシンク10で放熱される。特に、コイルパターン4c”で発生した熱は、拡張領域4u
7〜4u
9、4u
0に拡散され、コイルパターン4c”や拡張領域4u
7〜4u
9、4u
0の表面から絶縁シート12を介してヒートシンク10で放熱される。
【0151】
上記第3実施形態によると、基板3”の表側外面層L1”のコイルパターン4a”、4b”
の電流経路から外れた位置に、該コイルパターン4a”、4b”の拡張領域4u
1〜4u
6を設けている。また、コイルパターン4a”、4b”に対応させて、裏側外面層L2”に放熱パターン5s
1〜5s
6を設けている。そして、対応するコイルパターン4a”、4b”の拡張領域4u
1〜4u
6と放熱パターン5s
1〜5s
6とを、基板3”を貫通する放熱ピン7a”〜7f”などの熱的層間接続手段により熱的に接続している。
【0152】
このため、コイルパターン4a”〜4c”の電流の流れを妨げることなく、表側外面層L1”のコイルパターン4a”、4b”からの発熱を、熱的層間接続手段により裏側外面層L2”の放熱パターン5s
1〜5s
6に伝えることができる。そして、該熱を、放熱パターン5s
1〜5s
6の表面からヒートシンク10へ伝えて、ヒートシンク10から外部へ放熱させ易くすることができる。また、コイルパターン4a”〜4c”の電流の流れが妨げられないので、コイルの所定の性能を達成することが可能となる。
【0153】
また、異なる層L1”、L2”のコイルパターン4a”〜4c”同士をスルーホール群9a”、9b”で電気的に接続し、対応するコイルパターン4a”〜4c”と放熱パターン5s
1〜5s
6を放熱ピン7a”〜7f”などで熱的に接続している。さらに、裏側外面層L2”でコイルパターン4c”と放熱パターン5s
1〜5s
6を別体にして、電気的に絶縁している。このため、コイルパターン4a”〜4c”の電流経路と放熱経路を確実に分けて、通電性能と放熱性能を高めることができる。
【0154】
また、対応するコイルパターン4a”、4b”の拡張領域4u
1〜4u
6と放熱パターン5s
1〜5s
6とを対向するように基板3’に設けて、これらを通るように放熱ピン7a”〜7f”やスルーホール8dを基板3”に貫通させている。このため、放熱ピン7a”〜7f”やスルーホール8dが基板3”に設け易くなり、基板3’の製造を容易にすることができる。
【0155】
さらに、スルーホール群9a”、9b”を接続対象のコイルパターン4a”〜4c”の電流経路上で基板3”を貫通するように設けている。また、スルーホール群9a”、9b”を構成する小径の各スルーホール内に、銅などの導電部材を充填している。このため、スルーホール群9a”、9b”の導電率を向上させて、コイルパターン4a”〜4c”同士の電気的接続信頼性を高くしつつ、スルーホール群9a”、9b”が基板3”に設け易くなり、基板3”の製造を容易にすることができる。
【0156】
次に、第4実施形態による磁気デバイス21と、該磁気デバイス21に備わるコイル一体型プリント基板23(以下、単に「基板23」という。)の構造を、
図9〜
図14を参照しながら説明する。
【0158】
図9に示すように、磁気デバイス21には、上下一対のコア2a、2b、基板23、およびヒートシンク10が備わっている。
【0159】
基板23は、3層の厚銅箔基板から構成されている。基板23の表面(
図11〜
図13で上面)には、
図10(a)に示すような表側外面層La
1が設けられ、裏面(
図11〜
図13で下面)には、
図10(c)に示すような裏側外面層La
3が設けられている。表側外面層La
1と裏側外面層La
3の間には、
図10(b)に示すような内層La
2が1つ設けられている。
【0160】
基板23には、複数の開口部23m、23L、23rが設けられている。開口部23mは大径の円形の貫通孔から成り、開口部23L、23rは切欠きから成る。
図9、
図10、および
図12に示すように、中央にある1つの開口部23mには、上コア2aの中央の凸部2mが挿入され、左右にある開口部23L、23rには、上コア2aの左右の凸部2L、2rがそれぞれ挿入される。
【0161】
図12に示すように、上コア2aの左右の凸部2L、2rの下端に、下コア2bの上面を密着させることにより、該コア2a、2bは組み合わされる。下コア2bは、ヒートシンク10の上側に設けられた凹部10kに嵌め込まれる。
【0162】
基板23には、
図9に示すように、小径で円形の貫通孔23aが2つ設けられている。各貫通孔23aには、
図13に示すように、ねじ11が挿入される。基板23の裏面をヒートシンク10の上面と対向させる。そして、2つのねじ11を基板23の表面側から各貫通孔23aに貫通させて、ヒートシンク10の各ねじ孔10aに螺合する。これにより、
図11〜
図14に示すように、基板23の裏側外面層La
3側にヒートシンク10が近接状態で固定される。基板23とヒートシンク10の間には、伝熱性を有する絶縁シート12が挟み込まれる。
【0163】
図10に示すように、基板23には、スルーホール8a、8d、スルーホール群29a、29b、パッド8b、8c、端子6i、6o、パターン24a〜24d、25s
0〜25s
9、およびピン27a〜27dといった導体が設けられている。スルーホール8a、8d、スルーホール群29a、29b、端子6i、6o、およびピン27a〜27dは、基板23を貫通するように設けられている(
図11、
図13、および
図14参照)。
【0164】
一対のスルーホール8aには、それぞれ端子6i、6oが埋設されている。外面層La
1、La
3の端子6i、6oの周囲には、スルーホール8aのパッド8bが設けられている。端子6i、6oの下端は、絶縁シート12と接触している(図示省略)。
【0165】
スルーホール群29a、29bは、スルーホール8a、8dより小径で、
図14に示すように基板23を貫通する複数のスルーホールが、所定の間隔で集まって構成されている。
【0166】
基板23の各層La
1〜La
3には、コイルパターン24a〜24cと放熱パターン25s
0〜25s
9が設けられている。各パターン24a〜24c、25s
0〜25s
9は、銅箔から成る。表側外面層La
1の各パターン24a、25s
0〜25s
2の表面には、絶縁加工が施されている。コイルパターン24a〜24cの幅や厚みや断面積は、コイルの所定の性能を達成しつつ、所定の大電流(たとえばDC150A)を流しても、コイルパターン24a〜24cでの発熱量をある程度に抑制して、しかもコイルパターン24a〜24cの表面から放熱できるように設定されている。
【0167】
図10に示すように、各コイルパターン24a〜24cは、各層La
1〜La
3で中央の凸部2mの周囲に2回巻回されている。表側外面層La
1のコイルパターン24aの一端と、内層La
2のコイルパターン24bの一端とは、スルーホール群29aにより電気的に接続されている。スルーホール群29aは、コイルパターン24a、24bの電流経路(幅W1’で引き回された部分)上に設けられ、基板23を貫通している。内層La
2のコイルパターン24bの他端と、裏側外面層La
3のコイルパターン24cの一端とは、スルーホール群29bにより電気的に接続されている。スルーホール群29cは、コイルパターン24b、24cの電流経路(幅W1’で引き回された部分)上に設けられ、基板23を貫通している。
【0168】
つまり、スルーホール群29a、29bは、異なる層La
1〜La
3にあるコイルパターン24a〜24c同士を接続し、該接続数に応じて複数(2つ)設けられている。スルーホール群29a、29bをそれぞれ構成する小径の各スルーホールの表面には、銅めっきが施され、該各スルーホールの内側は、銅などで埋められている。スルーホール群29a、29bは、本発明の「電気的層間接続手段」の一例である。
【0169】
表側外面層La
1のスルーホール群29bの周辺と、裏側外面層La
3のスルーホール群29aの周辺には、小パターン24dがそれぞれ設けられている。それぞれのスルーホール群29a、29bと小パターン24dは接続されている。小パターン24dは、銅箔から成る。表側外面層La
1の小パターン24dの表面には、絶縁加工が施されている。
【0170】
図10(a)に示すように、表側外面層La
1のコイルパターン24aの他端は、パッド8bとスルーホール8aを介して端子6oと電気的に接続されている。
図10(c)に示すように、裏側外面層La
3のコイルパターン24cの他端は、パッド8bとスルーホール8aを介して端子6iと電気的に接続されている。
【0171】
上記構成により、基板23のコイルパターン24a〜24cは、裏側外面層La
3で、起点である端子6iから、凸部2mの周囲に1回目と2回目が巻かれた後、スルーホール群29bを経由して、内層La
2に接続される。次に、コイルパターン24a〜24cは、内層La
2で、凸部2mの周囲に3回目と4回目が巻かれた後、スルーホール群29aを経由して、表側外面層La
1に接続される。そして、コイルパターン24a〜24cは、表側外面層La
1で、凸部2mの周囲に5回目と6回目が巻かれた後、終点である端子6oに接続される。
【0172】
磁気デバイス21に流れる電流も、上記のように、端子6iから入力されて、コイルパターン24c、スルーホール群29b、コイルパターン24b、スルーホール群29a、およびコイルパターン24aの順に流れた後、端子6oから出力される。
【0173】
図10に示すように、放熱パターン25s
0〜25s
9は、各層La
1〜La
3のコイルパターン24a〜24cや小パターン24dの周辺にある空き領域に、該パターン24a〜24dと別体で形成されている。また、放熱パターン25s
0〜25s
9同士は、別体になっている。つまり、各層La
1〜La
3で、放熱パターン25s
0〜25s
9は、互いに電気的に絶縁され、かつ、同じ層にあるコイルパターン24a〜24cに対して電気的に絶縁されている。また、放熱パターン25s
0〜25s
9に対して、パッド8b、端子6i、6o、貫通孔23a、およびねじ11は電気的に絶縁されている。
【0174】
複数の大径のスルーホール8dには、放熱ピン27a〜27dがそれぞれ埋め込まれている。放熱ピン27a〜27dは、銅などの導体で柱状に形成された金属ピンから成る。表側外面層La
1と裏側外面層La
3の放熱ピン27a〜27dの周囲には、銅箔から成るパッド8cが設けられている。放熱ピン27a〜27dやパッド8cの表面には、銅めっきが施されている。放熱ピン27a〜27dの下端は、絶縁シート12と接触している(
図11および
図13参照)。放熱ピン27a〜27dとこれらの周囲のパッド8cとスルーホール8dは、本発明の「熱的層間接続手段」の一例である。
【0175】
図10(a)に示すように、表側外面層La
1では、コイルパターン24aの電流経路から外れた位置に、該コイルパターン24aの一部を幅方向に拡張した拡張領域24t
0、24t
1、24t
2が設けられている。つまり、コイルパターン24aと拡張領域24t
0、24t
1、24t
2は、一体になっている。コイルパターン24aの拡張領域24t
0、24t
1に対して、放熱ピン27a、27cとこれらの周囲のパッド8cおよびスルーホール8dがそれぞれ熱的に接続されている。他の放熱ピン27b、27dとこれらの周囲のパッド8cおよびスルーホール8dは、放熱パターン25s
1、25s
2にそれぞれ熱的に接続されているが、コイルパターン24a、拡張領域24t
0、24t
1、24t
2、放熱パターン25s
0、および小パターン24dに対しては、電気的に絶縁されている。
【0176】
また、表側外面層La
1の放熱パターン25s
1、25s
2は、内層La
2のコイルパターン24bに対応させて設けられている。放熱パターン25s
1とコイルパターン24aの拡張領域24t
2の近傍には、これらに対して電気的に絶縁されるように、放熱パターン25s
0が設けられている。放熱パターン25s
0〜25s
2に対して、コイルパターン24aは電気的に絶縁されている。端子6iとこの周囲のスルーホール8aおよびパッド8bは、近傍にある拡張領域24t
0に対して電気的に絶縁されている。端子6oとこの周囲のスルーホール8aおよびパッド8bは、近傍にある拡張領域24t
2と電気的に接続され、放熱パターン25s
0に対して電気的に絶縁されている。
【0177】
図10(b)に示すように、内層La
2では、コイルパターン24bの電流経路から外れた位置に、該コイルパターン24bの一部を幅方向に拡張した拡張領域24t
3、24t
4が設けられている。つまり、コイルパターン24bと拡張領域24t
3、24t
4は、一体になっている。コイルパターン24bの拡張領域24t
3、24t
4に対して、放熱ピン27b、27dとこれらの周囲のパッド8cおよびスルーホール8dがそれぞれ熱的に接続されている。他の放熱ピン27a、27cとこれらの周囲のパッド8cおよびスルーホール8dは、放熱パターン25s
3、25s
4にそれぞれ熱的に接続されているが、コイルパターン24bと拡張領域24t
3、24t
4に対しては、電気的に絶縁されている。
【0178】
また、内層La
2において、放熱パターン25s
3、25s
4に対して、コイルパターン24bは電気的に絶縁されている。端子6iとこの周囲のスルーホール8aは、放熱パターン25s
3に対して電気的に絶縁されている。端子6oとこの周囲のスルーホール8aは、拡張領域24t
3に対して電気的に絶縁されている。
【0179】
図10(c)に示すように、裏側外面層La
3には、表側外面層La
1のコイルパターン24aに対応させて、放熱パターン25s
5、25s
6が設けられている。また、内層La
2のコイルパターン24bに対応させて、放熱パターン25s
7、25s
8が設けられている。対応するコイルパターン24a、24bの拡張領域24t
0、24t
1、24t
3、24t
4と放熱パターン25s
1、25s
2、25s
5、25s
6、25s
7、25s
8の一部とは、それぞれ基板23の厚み方向に対向している。
【0180】
また、裏側外面層La
3において、放熱ピン27aとこの周囲のパッド8cおよびスルーホール8dは、放熱パターン25s
5に熱的に接続されている。放熱ピン27cとこの周囲のパッド8cおよびスルーホール8dは、放熱パターン25s
6に熱的に接続されている。放熱ピン27bとこの周囲のパッド8cおよびスルーホール8dは、放熱パターン25s
7に熱的に接続されている。放熱ピン27dとこの周囲のパッド8cおよびスルーホール8dは、放熱パターン25s
8に熱的に接続されている。
【0181】
また、裏側外面層La
3では、コイルパターン24cの電流経路から外れた位置に、該コイルパターン24cの一部を幅方向に拡張した拡張領域24t
5、24t
6が設けられている。つまり、コイルパターン24cと拡張領域24t
5、24t
6は、一体になっている。コイルパターン24cの拡張領域24t
5に対して、端子6iとこれらの周囲のスルーホール8aおよびパッド8bが電気的に接続されている。端子6oとこの周囲のスルーホール8aおよびパッド8bは、放熱パターン25s
9に電気的に接続され、拡張領域24t
6に対して電気的に絶縁されている。コイルパターン24cと拡張領域24t
5、24t
6に対して、放熱パターン25s
5〜25s
8は電気的に絶縁されている。
【0182】
表側外面層La
1と内層La
2のコイルパターン24a、24bの拡張領域24t
0、24t
1、24t
3、24t
4は、基板23の板厚方向に重ならないように、層La
1、La
2にそれぞれ配置されている。また、コイルパターン24a、24bの拡張領域24t
0、24t
1、24t
3、24t
4が設けられた部分の幅W2’、W3’、W4’、W5’は、コイルパターン24a、24bの電流経路の幅W1’より大きくなっている(W1’<W2’、W3’、W4’、W5’)。また、コイルパターン24a〜24cの各拡張領域24t
0〜24t
6の面積は、放熱ピン27a〜27dの軸に対して垂直な断面積より大きくなっている。
【0183】
上記構成により、放熱ピン27aとこの周囲のスルーホール8dは、表側外面層La
1のコイルパターン24aの拡張領域24t
0、内層La
2の放熱パターン25s
3、および裏側外面層La
3の放熱パターン25s
5を通るように、基板23を貫通している。このため、放熱ピン27aとこの周囲のスルーホール8dとパッド8cにより、コイルパターン24aの拡張領域24t
0と放熱パターン25s
3、25s
5とが熱的に接続されている。また、放熱ピン27bとこの周囲のスルーホール8dは、表側外面層La
1の放熱パターン25s
1、内層La
2のコイルパターン24bの拡張領域24t
3、および裏側外面層La
3の放熱パターン25s
7を通るように、基板23を貫通している。このため、放熱ピン27bとこの周囲のスルーホール8dとパッド8cにより、コイルパターン24bの拡張領域24t
3と放熱パターン25s
1、25s
7とが熱的に接続されている。放熱ピン27a、27bとこれらの周囲のパッド8cとスルーホール8dは、本発明の「第1の熱的層間接続手段」の一例である。
【0184】
放熱ピン27cとこの周囲のスルーホール8dは、表側外面層La
1のコイルパターン24aの拡張領域24t
1、内層La
2の放熱パターン25s
4、および裏側外面層La
3の放熱パターン25s
6を通るように、基板23を貫通している。このため、放熱ピン27cとこの周囲のスルーホール8dとパッド8cにより、コイルパターン24aの拡張領域24t
1と放熱パターン25s
4、25s
6とが熱的に接続されている。また、放熱ピン27dとこの周囲のスルーホール8dは、表側外面層La
1の放熱パターン25s
2、内層La
2のコイルパターン24bの拡張領域24t
4、および裏側外面層La
3の放熱パターン25s
8を通るように、基板23を貫通している。このため、放熱ピン27dとこの周囲のスルーホール8dとパッド8cにより、コイルパターン24bの拡張領域24t
4と放熱パターン25s
2、25s
8とが熱的に接続されている。放熱ピン27c、27dとこれらの周囲のパッド8cとスルーホール8dは、本発明の「第2の熱的層間接続手段」の一例である。
【0185】
表側外面層La
1と内層La
2のコイルパターン24a、24bは、それぞれ2か所で、対応する裏側外面層La
3の放熱パターン25s
5〜25s
8と熱的に接続されている。
【0186】
コイルパターン24a〜24cには大電流が流れるため、コイルパターン24a〜24cが発熱源となって、基板23の温度が上昇する。
【0187】
表側外面層La
1では、基板23の熱は、たとえば、拡張領域24t
0〜24t
2や放熱パターン25s
0〜25s
2などの導体に拡散され、該導体の表面から放熱される。また、基板23の熱は、たとえば、放熱ピン27a〜27dや端子6i、6oやスルーホール8d、8aやスルーホール群29a、29bなどの基板23を貫通する導体を伝って、絶縁シート12を介してヒートシンク10で放熱される。スルーホール群29a、29bは、サーマルビアとしても機能する。
【0188】
特に、表側外面層La
1のコイルパターン24aで発生した熱は、拡張領域24t
0〜24t
2に拡散され易く、コイルパターン24aや24t
0〜24t
2の表面から放熱される。また、コイルパターン24aで発生した熱は、拡張領域24t
0〜24t
2から放熱ピン27a、27c、端子6o、およびこれらの周囲のスルーホール8d、8aを伝って、他の層La
2、La
3の放熱パターン25s
3〜25s
6、25s
9に拡散される。そして、この拡散された熱は、裏側外面層La
3の放熱パターン25s
5、25s
6、25s
9の表面、放熱ピン27a、27cの下面、および端子6oの下面から絶縁シート12を介してヒートシンク10に伝わって、ヒートシンク10で放熱される。
【0189】
内層La
2では、基板23の熱は、たとえば、拡散領域24t
3、24t
4や放熱パターン25s
3、25s
4などの導体に拡散され、放熱ピン27a〜27dや端子6i、6oやスルーホール8d、8aやスルーホール群29a、29bなどの基板23を貫通する導体を伝って、表側外面層La
1と裏側外面層La
3の拡張領域24t
0〜24t
2、24t
5、24t
6や放熱パターン25s
0〜25s
2、25s
5〜25s
9に拡散される。そして、この拡散された熱は、表側外面層La
1の拡張領域24t
0〜24t
2や放熱パターン25s
0〜25s
2の表面などから放熱されたり、裏側外面層La
3の拡張領域24t
5、24t
6や放熱パターン25s
5〜25s
9から絶縁シート12を介してヒートシンク10に伝わって、ヒートシンク10で放熱されたりする。
【0190】
特に、内層La
2のコイルパターン24bで発生した熱は、拡散領域24t
3、24t
4に拡散され易く、該拡散領域24t
3、24t
4から放熱ピン27b、27dおよびこれらの周囲のスルーホール8dを伝って、他の層La
1、La
3の放熱パターン25s
1、25s
2、25s
7、25s
8に拡散される。そして、この拡散された熱は、表側外面層La
1の放熱パターン25s
1、25s
2の表面から放熱されたり、裏側外面層La
3の放熱パターン25s
7、25s
8の表面や放熱ピン27b、27dの下面から絶縁シート12を介してヒートシンク10に伝わって、ヒートシンク10で放熱されたりする。
【0191】
裏側外面層La
3では、基板23の熱は、たとえば、拡散領域24t
5、24t
6や放熱パターン25s
5〜25s
9などの導体に拡散され、該導体から絶縁シート12を介してヒートシンク10に伝わって、ヒートシンク10で放熱される。また、基板23の熱は、たとえば、放熱ピン27a〜27dや端子6i、6oやスルーホール8d、8aやスルーホール群9a、9bなどの基板23を貫通する導体を伝って、表側外面層La
1の拡散領域24t
0〜24t
2や放熱パターン25s
0〜25s
2に拡散され、これら導体の表面などから放熱される。
【0192】
特に、裏側外面層La
3のコイルパターン24cで発生した熱は、拡散領域24t
5、24t
6に拡散され易く、コイルパターン24cの表面や拡散領域24t
5、24t
6の表面から絶縁シート12を介してヒートシンク10に伝わって、ヒートシンク10で放熱される。また、コイルパターン24cで発生した熱は、端子6iおよびこれの周囲のスルーホール8aを伝って、表側外面層La
1の端子6iの表面やこれの周囲のパッド8bの表面などから放熱される。
【0193】
上記第4実施形態によると、基板23の表側外面層La
1と内層La
2のコイルパターン24a、24bの電流経路から外れた位置に、該コイルパターン24a、24bの拡張領域24t
0、24t
1、24t
3、24t
4を設けている。また、コイルパターン24a、24bに対応させて、裏側外面層La
3に放熱パターン25s
5〜25s
8を設けている。そして、対応するコイルパターン24a、24bの拡張領域24t
0、24t
1、24t
3、24t
4と放熱パターン25s
5〜25s
8とを、基板23を貫通する放熱ピン27a〜27dなどの熱的層間接続手段により熱的に接続している。
【0194】
このため、コイルパターン24a〜24cの電流の流れを妨げることなく、表側外面層La
1と内層La
2のコイルパターン24a、24bからの発熱を、熱的層間接続手段により裏側外面層La
3の放熱パターン25s
5〜25s
8に伝えることができる。そして、該熱を、放熱パターン25s
5〜25s
8の表面からヒートシンク10へ伝えて、ヒートシンク10から外部へ放熱させ易くすることができる。また、コイルパターン24a〜24cの電流の流れが妨げられないので、コイルの所定の性能を達成することが可能となる。
【0195】
また、異なる層La
1、La
2、La
3のコイルパターン24a〜24c同士をスルーホール群29a、29bで電気的に接続し、対応するコイルパターン24a、24bと放熱パターン25s
5〜25s
8を放熱ピン27a〜27dなどで熱的に接続している。また、裏側外面層La
3でコイルパターン24cと放熱パターン25s
5〜25s
8を別体にして、電気的に絶縁している。このため、コイルパターン24a〜24cの電流経路と放熱経路を確実に分けて、通電性能と放熱性能を高めることができる。
【0196】
また、基板23の表側外面層La
1と内層La
2にある各コイルパターン24a、24bで発生した熱を、放熱ピン27a〜27dや裏側外面層La
3の放熱パターン25s
5〜25s
8などの異なる放熱経路でヒートシンク10に伝えて、効率良く放熱させることができる。
【0197】
また、対応するコイルパターン24a、24bの拡張領域24t
0、24t
1、24t
3、24t
4と放熱パターン25s
5〜25s
8とを対向するように基板23に設けて、これらを通るように放熱ピン27a〜27dやスルーホール8dを基板23に貫通させている。このため、放熱ピン27a〜27dやスルーホール8dが基板23に設け易くなり、基板23の製造を容易にすることができる。
【0198】
また、スルーホール群29a、29bを接続対象のコイルパターン24a〜24cの電流経路上で基板23を貫通するように設けている。また、スルーホール群29a、29bを構成する小径の各スルーホール内に、銅などの導電部材を充填している。このため、スルーホール群29a、29bの導電率を向上させて、コイルパターン24a〜24c同士の電気的接続の信頼性を高くしつつ、スルーホール群29a、29bが基板23に設け易くなり、基板23の製造を容易にすることができる。
【0199】
本発明では、以上述べた以外にも種々の実施形態を採用することができる。たとえば、以上の実施形態では、基板3、3’、3”、23の全ての層L1〜L3、L1’、L2’、L1”、L2”、La
1、La
2、La
3にコイルパターン4a〜4e、4a’〜4c’、4a”〜4c”、24a〜24cを形成した例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。複数の層を有する基板において、放熱パターンを設けた外面層と、これ以外の少なくとも1層に、コイルパターンを形成すればよい。
【0200】
また、以上の実施形態では、コア2aの3つの凸部2m、2L、2rまたは中央の凸部2mに巻回するように、基板3、3’、3”、23に
コイルパターン4a〜4e、4a’〜4c’、4a”〜4c”、24a〜24cを形成した例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。コイルパターンは、コアの少なくとも1つの凸部に巻回されていればよい。
【0201】
また、
図3などに示した第1実施形態では、表側外面層L1や内層L2のコイルパターン4a〜4dを裏側外面層L3の放熱パターン5a
7〜5a
9、5b
7〜5b
9に熱的に接続する放熱ピン7a〜7fなどの熱的層間接続手段の径を同一にした例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、
図15に示す第5実施形態の磁気デバイス31のコイル一体型プリント基板33(以下、単に「基板33」という。)のように、放熱ピン37a〜37fなどの熱的層間接続手段の径を異ならせてもよい。
【0202】
図15に示す基板33において、各スルーホール8d、8d’には、放熱ピン37a〜37fが埋め込まれている。放熱ピン37a〜37fは、銅などの導体で柱状に形成された金属ピンから成る。放熱ピン37a、37bとこれらの周囲のスルーホール8d’とパッド8c’の各径より、放熱ピン37c、37d、37e、37fとこれらの周囲のスルーホール8dとパッド8cの各径の方が大きくなっている。放熱ピン37a〜37fとこれらの周囲のスルーホール8d’、8dとパッド8c’、8cは、本発明の「熱的層間接続手段」の一例である。
【0203】
放熱ピン37a、37bとこれらの周囲のスルーホール8d’とパッド8c’は、表側外面層L1のコイルパターン4a、4bの拡張領域4t
1、4t
2と裏側外面層L3の放熱パターン5a
9、5b
9とをそれぞれ熱的に接続している。放熱ピン37a、37bとこれらの周囲のスルーホール8d’とパッド8c’は、本発明の「第1の熱的層間接続手段」の一例である。
【0204】
放熱ピン37c、37d、37e、37fとこれらの周囲のスルーホール8dとパッド8cは、内層L2のコイルパターン4c、4dの拡張領域4t
3〜4t
6と裏側外面層L3の放熱パターン5a
7、5a
8、5b
7、5b
8とをそれぞれ熱的に接続している。放熱ピン37c、37d、37e、37fとこれらの周囲のスルーホール8dとパッド8cは、本発明の「第2の熱的層間接続手段」の一例である。
【0205】
つまり、表側外面層L1のコイルパターン4a、4bと裏側外面層L3の放熱パターン5a
9、5b
9を接続する柱状体である第1の熱的層間接続手段の径より、内層L2のコイルパターン4c、4dと裏側外面層L3の放熱パターン5a
7、5a
8、5b
7、5b
8を接続する柱状体である第2の熱的層間接続手段の径の方が大きくなっている。
【0206】
これにより、表側外面層L1のコイルパターン4a、4bから裏側外面層L3の放熱パターン5a
9、5b
9への伝熱容積より、内層L2のコイルパターン4c、4dから裏側外面層L3の放熱パターン5a
7、5a
8、5b
7、5b
8への伝熱容積の方が大きくなる。このため、外気に触れない内層L2のコイルパターン4c、4dで発生した熱を、表側外面層L1のコイルパターン4a、4bで発生した熱より、裏側外面層L3へ伝わり易くすることができる。そして、その内層L2の発熱を、裏側外面層L3からヒートシンク10を介して外部へ放熱して、基板33にこもり難くすることが可能となる。
【0207】
また、以上の実施形態では、異なる層の対応するコイルパターンと放熱パターンを、放熱ピンとパッドとスルーホールにより接続した例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、たとえば端子、ピン、およびスルーホールなどの少なくとも1つの熱的層間接続手段により、異なる層の対応するコイルパターンと放熱パターンを接続してもよい。
【0208】
また、以上の実施形態では、異なる層のコイルパターン同士をスルーホール群により接続した例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、たとえば端子やピンや単一のスルーホールなどの他の電気的層間接続手段により、異なる層のコイルパターン同士を接続してもよい。
【0209】
また、以上の実施形態では、放熱器として、ヒートシンク10を用いた例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではなく、これ以外の、空冷式や水冷式の放熱器、または冷媒を用いた放熱器などを用いてもよい。また、金属製の放熱器だけでなく、熱伝導性の高い樹脂で形成された放熱器を用いてもよい。この場合、放熱器と基板との間に絶縁シート12を設ける必要はなく、絶縁シート12を省略することができる。さらに、放熱器を基板の両外面層にそれぞれ設けてもよいし、放熱器を省略してもよい。
【0210】
また、以上の実施形態では、コイル一体型プリント基板として、厚銅箔基板を用いた例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。通常の厚みの銅箔が形成されたプリント基板や金属製の基板などのような、他の基板を用いてもよい。金属製の基板の場合は、基材と各パターンとの間に絶縁体を設ければよい。また、内層が複数設けられた多層基板にも、本発明は適用することができる。
【0211】
また、以上の実施形態では、E字形の上コア2aにI字形の下コア2bを組み合わせた例を示したが、本発明は、2つのE字形コアを組み合わせた磁気デバイスにも適用することができる。
【0212】
さらに、以上の実施形態では、車両用のスイッチング電源装置100における、平滑回路55のチョークコイルLとして使用される磁気デバイス1、1’、1”、21、31に本発明を適用した例を挙げたが、トランス53(
図1)として使用される磁気デバイスに対しても、本発明を適用することは可能である。また、車両以外の、たとえば電子機器用のスイッチング電源装置で使用される磁気デバイスにも本発明を適用することは可能である。