【文献】
R.C. ROWE,Journal of Pharmacy and Pharmacology,The opacity of tablet film coatings,英国,1984年,Vol.36,p.569-572
【文献】
日本医薬品添加剤協会,医薬品添加物事典 2007,日本,株式会社薬事日報社,2007年 7月,p.66, p.93, p.181, p.223
【文献】
TIEFENBACHER E-M et al.,Photodegradation of Some Quinolones Used as Antimicrobial Therapeutics.,Journal of Pharmaceutical Sciences,米国,1994年 4月,Vol.83, No.4,p.463-467
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(1):7−[4−(4−ベンゾ[b]チオフェン−4−イル−ピペラジン−1−イル)ブトキシ]−1H−キノリン−2−オン又はその塩又はその塩、賦形剤(a)、結合剤(b)、及び崩壊剤(c)を含む混合物を造粒し、さらに滑沢剤(d)を混合する工程;並びに
(2):得られた混合物を錠剤化する工程;
を含む錠剤の製造方法であって、
賦形剤(a)が、乳糖、トウモロコシデンプン、及び結晶セルロースよりなる群から選ばれる少なくとも1種;
結合剤(b)が、ヒドロキシプロピルセルロース;
崩壊剤(c)が、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、及びカルボキシメチルスターチナトリウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種;並びに
滑沢剤(d)が、ステアリン酸マグネシウム;
である錠剤の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の錠剤は、有効成分として、上記化合物(I)又はその塩を含有する。ここで、本発明における錠剤とは、コーティング層を有しない素錠であってもよく、また、コーティング層を有するコーティング錠であってもよい。また、口腔内崩壊錠として用いることもできる。化合物(I)又はその塩は、公知の方法によって製造することができ、例えば、特開2006−316052号公報に記載の方法、又はそれに準じた方法により製造することができる。
【0020】
化合物(I)の好適な塩としては、薬理的に許容される塩であれば特に限定されず、例えば、アルカリ金属塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(例えばカルシウム塩、マグネシウム塩等)等の金属塩、アンモニウム塩、炭酸アルカリ金属(例えば、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム等)、炭酸水素アルカリ金属(例えば、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等)、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等)等の無機塩基の塩;例えば、トリ(低級)アルキルアミン(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−エチルジイソプロピルアミン等)、ピリジン、キノリン、ピペリジン、イミダゾール、ピコリン、ジメチルアミノピリジン、ジメチルアニリン、N−(低級)アルキル−モルホリン(例えば、N−メチルモルホリン等)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)等の有機塩基の塩;塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩;ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、炭酸塩、ピクリン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、グルタミン酸塩等の有機酸塩等が挙げられる。
【0021】
これらの化合物(I)又はその塩は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0022】
化合物(I)又はその塩の含有割合としては、錠剤(コーティングされた錠剤である場合には、コーティング前の素錠)中、約0.05〜25重量%程度が好ましく、約0.1〜15重量%程度がより好ましい。
【0023】
本発明の錠剤には、賦形剤(a)、結合剤(b)、崩壊剤(c)、滑沢剤(d)等の添加剤が含まれることが好ましい。
【0024】
賦形剤(a)としては、例えば、果糖、白糖、精製白糖、粉糖、乳糖、粉末還元麦芽糖水アメ、マルトース等の糖類;
D−マンニトール、D−ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール等の糖アルコール類;
コムギデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン等のデンプン類;
デキストリン、β−シクロデキストリン等のデンプン誘導体;
結晶セルロース、微結晶セルロース、粉末セルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(カルメロース)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(カルメロースナトリウム)、結晶セルロース・カルメロースナトリウム等のセルロース又はその誘導体;
軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等のケイ酸又はその塩;
カオリン、酸化チタン、酸化マグネシウム、タルク、沈降炭酸カルシウム、無水リン酸水素カルシウム等が挙げられる。
【0025】
これらの賦形剤(a)は、1種単独で使用してもよく、また、2種以上を併用して使用してもよい。これらの中で、糖、糖アルコール、デンプン、セルロースが好ましく、乳糖、結晶セルロース、トウモロコシデンプンがより好ましい。
【0026】
賦形剤(a)の含有割合としては、特に限定されるものではないが、錠剤(コーティングされた錠剤である場合には、コーティング前の素錠)中、約10〜98.5重量%程度が好ましく、約20〜95重量%程度がより好ましく、約30〜90重量%程度がさらに好ましい。
【0027】
また賦形剤(a)の含有量としては、特に限定されるものではないが、化合物(I)又はその塩1重量部に対して、約1〜2000重量部程度が好ましく、約3〜1800重量部程度がより好ましい。賦形剤(a)を上記の含有割合及び含有量とすることで、製造適性が向上するという効果が得られる。
【0028】
結合剤(b)としては、例えば;精製白糖;白糖;アルファー化デンプン;部分アルファー化デンプン;結晶セルロース、微結晶セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(カルメロースナトリウム)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース2208、ヒプロメロース2906、ヒプロメロース2910等のヒプロメロース)等のセルロース又はその誘導体;
アラビアゴム、アラビアゴム末、カンテン、カンテン末、グアーガム、トラガント、トラガント末、プルラン、ペクチン等のその他の多糖類;
メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマーLD、メタクリル酸コポリマーS、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS等のアクリル酸系高分子;
アルギン酸ナトリウム;精製ゼラチン;加水分解ゼラチン末;カルボキシビニルポリマー;コポリビドン;ポビドン;ポリビニルアルコール等が挙げられる。これらの結合剤(b)は、1種単独で使用してもよく、また、2種以上を併用して使用してもよい。これらの中で、セルロース誘導体が好ましく、ヒドロキシプロピルセルロースがより好ましい。なお、結合剤(b)としてポビドンを含有すると、得られる錠剤は、光に対する安定性や保存安定性を損なう傾向がある。そのため、この化合物は実質的に含まないことがより好ましい。
【0029】
結合剤(b)の含有割合としては、特に限定されるものではないが、錠剤(コーティングされた錠剤である場合には、コーティング前の素錠)中、約0.1〜20重量%程度が好ましく、約0.5〜5重量%程度がさらに好ましい。
【0030】
また結合剤(b)の含有量としては、特に限定されるものではないが、化合物(I)又はその塩1重量部に対して、約0.01〜100重量部程度が好ましく、約0.1〜50重量部程度がより好ましい。結合剤(b)を上記の含有割合及び含有量とすることで、製造適性及び崩壊性が向上するという効果が得られる。
【0031】
崩壊剤(c)としては、例えば、コムギデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分アルファー化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ等のデンプン又はその誘導体;
結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース(カルメロース)、カルボキシメチルセルロースカルシウム(カルメロースカルシウム)、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース又はその誘導体;
クロスポビドン、アルギン酸、ベントナイト等が含まれる。これらの崩壊剤(c)は、1種単独で使用してもよく、また、2種以上を併用して使用してもよい。これらの中で、デンプン又はその誘導体、セルロース又はその誘導体が好ましく、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースがより好ましい。なお、クロスポビドンを含有すると、得られる錠剤は、光に対する安定性や保存安定性を損なう傾向がある。そのため、この化合物は実質的に含まないことがより好ましい。
【0032】
なお、本明細書における「低置換度ヒドロキシプロピルセルロース」とは、ヒドロキシプロポキシル基を約5〜16%程度含有するセルロースの誘導体である。前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースのヒドロキシプロポキシル基の含量は、例えば、日本薬局方に収載されている方法により測定することができる。前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、公知の製造方法により製造することができ、また、市販品を用いることもできる。低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの市販品としては、例えば、信越化学工業株式会社製の「LHシリーズ」、「NBDシリーズ」等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
また、本明細書における「ヒドロキシプロピルセルロース」は、ヒドロキシプロポキシル基を約50〜85%程度含有するセルロースの誘導体である。ヒドロキシプロピルセルロースのヒドロキシプロポキシル基の含量は、例えば、日本薬局方に収載されている方法により測定することができる。前記ヒドロキシプロピルセルロースは、公知の製造方法により製造することができ、また、市販品を用いることもできる。ヒドロキシプロピルセルロースの市販品としては、例えば、日本曹達社製の「HPCシリーズ」、ハーキュレス社製の「クルーセルシリーズ」等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
また、本明細書における「カルボキシメチルスターチナトリウム」は、ナトリウムを約6〜11%程度含有するデンプンの誘導体である。
【0035】
崩壊剤(c)の含有割合としては、特に限定されるものではないが、錠剤(コーティングされた錠剤である場合には、コーティング前の素錠)中、約1〜25重量%程度が好ましく、約2〜20重量%程度がより好ましく、約3〜15重量%程度がさらに好ましい。
【0036】
また崩壊剤(c)の含有量としては、特に限定されるものではないが、化合物(I)又はその塩1重量部に対して、約0.1〜500重量部程度が好ましく、約1〜500重量部程度がより好ましく、約1〜250重量部程度がさらに好ましい。崩壊剤(c)を上記の含有割合及び含有量とすることで、崩壊性が向上するという効果が得られる。
【0037】
滑沢剤(d)としては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸又はその塩;
カルナウバロウ、グリセリン脂肪酸エステル、硬化油、ミツロウ、サラシミツロウ、タルク、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール(マクロゴール400、マクロゴール600、マクロゴール1500、マクロゴール4000、マクロゴール6000等のマクロゴール)等が挙げられる。これらの滑沢剤(d)は、1種単独で使用してもよく、また、2種以上を併用して使用してもよい。これらの中で、ステアリン酸塩、ショ糖脂肪酸エステル、硬化油が好ましく、ステアリン酸マグネシウムがより好ましい。
【0038】
滑沢剤(d)の含有割合としては、特に限定されるものではないが、錠剤(コーティングされた錠剤である場合には、コーティング前の素錠)中、約0.1〜10重量%程度が好ましく、約0.2〜8重量%程度がより好ましく、約0.3〜7重量%程度がさらに好ましい。
【0039】
また滑沢剤(d)の含有量としては、特に限定されるものではないが、化合物(I)又はその塩1重量部に対して、約0.01〜50重量部程度が好ましく、約0.02〜30重量部程度が好ましい。滑沢剤(d)を上記の含有割合及び含有量とすることで、打錠適性が向上するという効果が得られる。
【0040】
本発明の錠剤は、前記の賦形剤(a)、結合剤(b)、崩壊剤(c)、及び滑沢剤(d)以外にも、その他の成分を加えてもよい。その他の成分としては、例えば、着色剤、pH調整剤、保存剤、吸収促進剤、矯味剤、抗酸化剤、緩衝剤、キレート剤、研磨剤、溶剤、硬化剤、界面活性剤、甘味剤、流動化剤、光沢化剤、香料等の錠剤として配合可能な各種添加剤を含有することができる。その他の成分は、本発明の効果を妨げない範囲の含有量で用いることができる。
【0041】
本発明の錠剤は、前記の成分を含有し、コーティング層を施さない素錠として用いることができる。長期的な保存安定性や光による劣化の防止という観点から、コーティング層を施したコーティング錠(フィルムコーティング錠)とすることが好ましい。
【0042】
コーティング層には、コーティング剤、可塑剤、分散剤、消泡剤など、通常経口投与医薬品のコーティング(皮膜)処理を施す際に用いられる医薬品添加物を必要に応じて添加することができる。
【0043】
これらの添加剤としては、結晶セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)等のセルロース又はその誘導体;ポリエチレングリコール(マクロゴール)、ポリビニルアルコール、酸化チタン、タルク等を挙げることができ、これらは、1種単独で使用してもよく、また、2種以上を併用して使用してもよい。
【0044】
これらの中で、コーティング剤成分であるヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、タルク、酸化チタンの組み合わせが好ましい。なお、ポリエチレングリコール(マクロゴール)がコーティング層中に存在すると、得られる錠剤は光に対する安定性や保存安定性を損なう傾向がある。そのため、ポリエチレングリコール(マクロゴール)は実質的に含まないことがより好ましい。
【0045】
さらに、コーティングされた錠剤において、コーティング層を着色することにより、コーティング錠に光安定性を付与することができる。そのため、コーティング層中に着色剤(e)を含有することが好ましい。
【0046】
着色剤(e)としては、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄等の酸化鉄;酸化チタン;β―カロテン;食用青色2号;食用青色2号アルミニウムレーキ;及びリボフラビン等が挙げられる。
【0047】
これらの中で、酸化鉄を含むことが、錠剤の着色だけでなく錠剤の光に対する安定性をより向上することができる点からより好ましい。
【0048】
上記の着色剤(e)は、調製したいコーティング錠の色に応じて適宜選択し、或いは組み合わせて使用すればよい。例えば、コーティング錠を白色にする場合には、酸化チタン、コーティング錠を赤色にする場合には、酸化チタンと三二酸化鉄との組み合わせ、コーティング錠を黄色にする場合には、酸化チタンと黄色三二酸化鉄との組み合わせ、コーティング錠を青色にする場合には、酸化チタンと食用青色2号アルミニウムレーキとの組み合わせ、コーティング錠をオレンジ色にする場合には、酸化チタン、三二酸化鉄、及び黄色三二酸化鉄との組み合わせ、コーティング錠を緑色にする場合には、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、及び黒酸化鉄との組み合わせ、或いは酸化チタン、黄色三二酸化鉄、及び食用青色2号アルミニウムレーキの組み合わせ、コーティング錠を紫色にする場合には、酸化チタン、三二酸化鉄、及び黒酸化鉄との組み合わせ、或いは酸化チタン、三二酸化鉄、及び食用青色2号アルミニウムレーキの組み合わせを用いることにより、コーティング錠に、各種の色を着色することができる。
【0049】
着色剤(e)の含有割合としては、コーティングされた錠剤全体に対して、約0.1〜3重量%程度が好ましい。また、コーティングされた錠剤におけるコーティング層中に約5〜50重量%程度が好ましい。
【0050】
前記のコーティング層用添加剤及び必要に応じて含まれる着色剤(e)によってコーティングされた錠剤におけるコーティング層の含有量としては、コーティング前の錠剤(素錠)100重量部に対して、約1〜10重量部程度が好ましい。
【0051】
本発明の錠剤に含まれる添加剤の具体例としては、
賦形剤(a)として糖、糖アルコール、デンプン、及びセルロースよりなる群から選ばれる少なくとも1種;
結合剤(b)としてセルロース誘導体;
崩壊剤(c)としてセルロース誘導体、及びデンプン誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種;
並びに滑沢剤(d)としてステアリン酸塩を含むことが好ましい。
【0052】
さらにこれらの添加剤の組み合わせとしては、賦形剤(a)として乳糖、トウモロコシデンプン、及び結晶セルロースよりなる群から選ばれる少なくとも1種;結合剤(b)としてヒドロキシプロピルセルロース;崩壊剤(c)として低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、及びカルボキシメチルスターチナトリウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種;並びに滑沢剤(d)としてステアリン酸マグネシウムを用いることが、製造性及び崩壊性の観点からより好ましい。
【0053】
本発明の錠剤の好ましい形態における各成分は、以下の好ましい含有割合及び含有量で含まれる。
【0054】
・錠剤中の各成分の含有割合
化合物(I)又はその塩 : 0.05〜20重量%
糖及び/又は糖アルコール : 20〜80重量%
デンプン : 5〜50重量%
セルロース : 1〜30重量%
ヒドロキシプロピルセルロース: 0.1〜20重量%
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、及びデンプン誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種
: 1〜25重量%
ステアリン酸塩 : 0.1〜10重量%。
【0055】
・錠剤中の化合物(I)又はその塩1重量部に対する各成分の含有量
糖及び/又は糖アルコール : 1〜1000重量部
デンプン : 1〜400重量部
セルロース : 0.1〜200重量部
ヒドロキシプロピルセルロース: 0.01〜100重量部
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、及びデンプン誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種
:0.1〜500重量部
ステアリン酸塩 : 0.01〜50重量部。
【0056】
本発明の錠剤のさらに好ましい形態における各成分は、以下の含有割合及び含有量で含まれる。
【0057】
・錠剤中の各成分の含有割合
化合物(I)又はその塩 : 0.1〜15重量%
乳糖 : 30〜60重量%
トウモロコシデンプン : 10〜30重量%
結晶セルロース : 5〜20重量%
ヒドロキシプロピルセルロース: 0.5〜10重量%
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、及びカルボキシメチルスターチナトリウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種
: 2〜15重量%
ステアリン酸マグネシウム : 0.1〜10重量%。
【0058】
・錠剤中の化合物(I)又はその塩1重量部に対する各成分の含有量
乳糖 : 2〜500重量部
トウモロコシデンプン : 2〜200重量部
結晶セルロース : 0.5〜100重量部
ヒドロキシプロピルセルロース: 0.05〜50重量部
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、及びカルボキシメチルスターチナトリウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種
: 1〜250重量部
ステアリン酸マグネシウム : 0.05〜30重量部。
【0059】
本発明の錠剤がコーティング錠である場合に含まれる添加剤の具体例としては、
コーティング前の素錠の成分として
賦形剤(a)として糖、糖アルコール、デンプン、及びセルロースよりなる群から選ばれる少なくとも1種;
結合剤(b)としてセルロース誘導体;
崩壊剤(c)としてセルロース誘導体、及びデンプン誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種;
並びに滑沢剤(d)としてステアリン酸塩;
コーティング層の成分として、セルロース誘導体、タルク、酸化チタン、着色剤(e)として酸化鉄
を含むことが好ましい。
【0060】
また、本発明の錠剤がコーティング錠である場合のより好ましい組み合わせとしては、化合物(I)又はその塩、乳糖、トウモロコシデンプン、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウムを含有する素錠に、ヒプロメロース、タルク、酸化チタン、及び三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種の着色剤(e)(酸化鉄)からなるコーティング層を施した製剤が挙げられる。
【0061】
コーティング錠の好ましい形態における各成分は、以下の好ましい含有割合及び含有量、並びにさらに好ましい含有割合及び含有量で含まれる。
【0062】
・素錠中の各成分の含有割合
化合物(I)又はその塩 : 0.05〜20重量%
糖及び/又は糖アルコール : 20〜80重量%
デンプン : 5〜50重量%
セルロース : 1〜30重量%
ヒドロキシプロピルセルロース: 0.1〜20重量%
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、及びデンプン誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種
: 1〜25重量%
ステアリン酸塩 : 0.1〜10重量%。
【0063】
・コーティング層中の各成分の含有割合(コーティング錠全体に対して)
セルロース誘導体 : 1〜6重量%
タルク : 0.1〜1重量%
酸化チタン : 0.1〜2重量%
酸化鉄 : 0.01〜1重量%。
【0064】
・コーティング錠中の化合物(I)又はその塩1重量部に対する各成分の含有量
乳糖 : 1〜1000重量部
デンプン : 1〜400重量部
セルロース : 0.1〜200重量部
ヒドロキシプロピルセルロース: 0.01〜100重量部
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、及びデンプン誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種
: 0.1〜500重量部
ステアリン酸塩 : 0.01〜50重量部
ヒプロメロース : 0.1〜50重量部
タルク : 0.01〜10重量部
酸化チタン : 0.01〜20重量部
酸化鉄 : 0.0005〜5重量部。
【0065】
コーティング錠のさらに好ましい形態における各成分は、以下の含有割合及び含有量で含まれる。
【0066】
・素錠中の各成分の含有割合
化合物(I)又はその塩 : 0.1〜15重量%
乳糖 : 30〜60重量%
トウモロコシデンプン : 10〜30重量%
結晶セルロース : 5〜20重量%
ヒドロキシプロピルセルロース: 0.5〜10重量%
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、及びカルボキシメチルスターチナトリウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種
: 2〜15重量%
ステアリン酸マグネシウム : 0.1〜10重量%。
【0067】
・コーティング層中の各成分の含有割合(コーティング錠全体に対して)
ヒプロメロース : 1.5〜4重量%
タルク : 0.2〜0.5重量%
酸化チタン : 0.2〜1重量%
酸化鉄 : 0.02〜0.5重量%。
【0068】
・コーティング錠中の化合物(I)又はその塩1重量部に対する各成分の含有量
乳糖 : 2〜500重量部
トウモロコシデンプン : 2〜200重量部
結晶セルロース : 0.5〜100重量部
ヒドロキシプロピルセルロース: 0.05〜50重量部
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、及びカルボキシメチルスターチナトリウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種
: 1〜250重量部
ステアリン酸マグネシウム : 0.05〜30重量部
ヒプロメロース : 0.2〜40重量部
タルク : 0.02〜8重量部
酸化チタン : 0.02〜15重量部
酸化鉄 : 0.001〜2.5重量部。
【0069】
本発明の錠剤の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、化合物(I)又はその塩、及び錠剤にするときに必要な化合物(I)又はその塩以外の成分(賦形剤(a)、結合剤(b)、崩壊剤(c)、及び滑沢剤(d)等)を含む混合物を錠剤化する工程、又は化合物(I)又はその塩、賦形剤(a)、結合剤(b)、及び崩壊剤(c)を含む混合物を造粒し、さらに滑沢剤(d)を混合する工程;並びに得られた混合物を錠剤化する工程によって製造される。
【0070】
前記錠剤化するために用いる、造粒物を得るための造粒法は、特に限定されないが、例えば、乾式造粒法、湿式造粒法(例えば、流動層造粒法、練合造粒法等)等が挙げられる。これらの中で、錠剤中の有効成分及びその他の成分を均一に混合させることができ、得られる錠剤中に含まれる成分が均一なものが得られるという点から、湿式造粒法によって製造されることが好ましい。
【0071】
前記錠剤化する方法としては、打錠する方法が挙げられ、例えば、直接打錠法、乾式打錠法、湿式打錠法、外部滑沢打錠法等が挙げられる。
【0072】
本発明のコーティング錠は、例えば、前記の製造方法を用いて製造された素錠に、コーティング剤、着色剤(e)、及び液状媒体を混合し得られた混合液を連続的にスプレー・乾燥し、コーティングする工程により製造される。
【0073】
前記工程において用いられる液状媒体(例えば、分散媒)としては、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素;これらの混合溶媒等を挙げることができる。
【0074】
本発明の錠剤中には、有効成分である化合物(I)又はその塩が、好ましくは、化合物(I)として約0.05〜25mg程度で含有されるのが好ましい。
【0075】
本発明の錠剤の投与量は、用法、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度等により適宜選択されるが、通常、一日当り有効成分である化合物(I)又はその塩の量が、化合物(I)として約0.05〜6mg程度とするのがよい。
【実施例】
【0076】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例で使用した化合物(I)は、全て「7−[4−(4−ベンゾ[b]チオフェン−4−イル−ピペラジン−1−イル)ブトキシ]−1H−キノリン−2−オン」である。
【0077】
<実施例1>
化合物(I)の素錠(コーティング層を有していない錠剤)を表1に示した成分の配合量を用いて、以下の手順によって製造した。
【0078】
<実施例1−1>
化合物(I)、乳糖、トウモロコシデンプン、結晶セルロース(セオラスPH−301)及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業(株)のLH−11、ヒドロキシプロポキシル基含量:10.0〜12.9%)を量り取り、混合した。得られた混合粉に、別に水溶液としたヒドロキシプロピルセルロースを添加し、湿式練合造粒した。乾燥・整粒後、ステアリン酸マグネシウムを添加混合し、直径6.5mmの杵臼を用いて、単発式打錠機で1錠重量100mgとなるように打錠して、化合物(I)を10mg/錠で含有する素錠を得た。
【0079】
<実施例1−2>
化合物(I)、乳糖、トウモロコシデンプン、結晶セルロース及びクロスカルメロースナトリウムを量り取り、混合した。得られた混合粉に、別に水溶液としたヒドロキシプロピルセルロースを添加し、湿式練合造粒した。乾燥・整粒後、ステアリン酸マグネシウムを添加混合し、直径6.5mmの杵臼を用いて、単発式打錠機で1錠重量100mgとなるように打錠して、化合物(I)を10mg/錠で含有する素錠を得た。
【0080】
<実施例1−3>
化合物(I)、乳糖、トウモロコシデンプン、結晶セルロース及びカルボキシメチルスターチナトリウムを量り取り、混合した。得られた混合粉に、別に水溶液としたヒドロキシプロピルセルロースを添加し、湿式練合造粒した。乾燥・整粒後、ステアリン酸マグネシウムを添加混合し、直径6.5mmの杵臼を用いて、単発式打錠機で1錠重量100mgとなるように打錠して、化合物(I)を10mg/錠で含有する素錠を得た。
【0081】
【表1】
【0082】
実施例1−1から実施例1−3で得られた素錠について、錠剤物性を表2に示した。
【0083】
【表2】
【0084】
崩壊時間の測定(崩壊試験)は、各実施例の各錠剤の6個の測定結果であり、試験溶液として水を用い、日局崩壊試験法(補助盤なし)にて測定した結果である。
【0085】
<実施例2−1〜2−3>
実施例1−1から実施例1−3で得られた、化合物(I)を10mg含有する100mgの各素錠を用いて、下記表3に示した配合量のコーティング層の成分を含むコーティング液を噴霧して、コーティングを施しコーティング錠を得た。
【0086】
【表3】
【0087】
実施例2−1から実施例2−3で得られたコーティング錠について、実施例1−1と同様に崩壊時間の測定(崩壊試験)を行い、結果を表4に示した。実施例2−1から実施例2−3のコーティング錠は、コーティング層を有していることによる崩壊時間の遅延は認められなかった。
【0088】
【表4】
【0089】
実施例1−1から実施例1−3で得られた素錠及び実施例2−1から実施例2−3で得られたコーティング錠について、溶出試験を行い、結果を
図1に示した。
【0090】
溶出試験は、各実施例の各錠剤の2個の測定結果の平均値であり、試験溶液としてpH4.5のリン酸水素二ナトリウム・クエン酸緩衝液(900mL)を用い、日局溶出試験法(パドル法、50rpm)にて測定した結果である。
【0091】
溶出試験の結果より、実施例1−1から実施例1−3で得られた素錠、実施例2−1から実施例2−3で得られたコーティング錠は、ともに良好な溶出プロファイルを示した。
【0092】
さらに、実施例1−1から実施例1−3で得られた素錠及び実施例2−1から実施例2−3で得られたコーティング錠について、光照射(可視光:総照度180万Lux・hr、紫外光:総強度300W・hr/m
2)、40℃密閉系(1ヶ月及び3ヶ月、ガラス瓶に入れて密栓保存)の保存条件下で安定性試験を行った。各条件下で保存後の化合物(I)の含量、及び類縁物質量を測定し、結果を表5に示した。
【0093】
なお、光照射条件下における保存後では、実施例1−1から1−3の素錠は黄色の着色が認められた。
【0094】
【表5】
<実施例3−1>
下記の表6に示した成分の配合量を用いて、直径6.0mmの杵臼を用いて、ロータリー式打錠機で1錠重量90mgとなるように打錠する以外は、実施例1−1と同様にして化合物(I)を0.25mg/錠で含有する素錠を製造した。
【0095】
【表6】
【0096】
<実施例3−2〜3−9>
実施例3−1で得られた化合物(I)を0.25mg含有する1錠重量90mgの素錠を用いて、下記表7に示した配合量のコーティング層の成分を含むコーティング液を噴霧して、コーティングを施し、コーティング錠を得た。
【0097】
【表7】
【0098】
さらに、実施例3−1で得られた素錠、及び実施例3−2から実施例3−9で得られたコーティング錠について、光照射(可視光:総照度180万Lux・hr、紫外光:総強度300W・hr/m
2)、40℃/75%RH開放系(3ヶ月、6ヶ月)、即ち実施例1−1から実施例1−3、及び実施例2−1から実施例2−3と同等或いは厳しい保存条件下で安定性試験を行った。各条件下で保存後の類縁物質量を測定し、結果を表8に示した。
実施例3−5および実施例3−7の錠剤は、光照射によっても類縁物質の増加は認められなかった。
【0099】
【表8】
【0100】
<実施例4−1〜4−13>
下記表9に示した成分及び配合量の実施例4−1から4−13の化合物(I)のコーティング錠を実施例3−2と同様の方法で製造した。
【0101】
【表9】