特許第6084168号(P6084168)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッドの特許一覧

特許6084168トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを共に製造するための統合方法
<>
  • 特許6084168-トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを共に製造するための統合方法 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6084168
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを共に製造するための統合方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 17/20 20060101AFI20170213BHJP
   C07C 17/25 20060101ALI20170213BHJP
   C07C 19/08 20060101ALI20170213BHJP
   C07C 21/18 20060101ALI20170213BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20170213BHJP
【FI】
   C07C17/20
   C07C17/25
   C07C19/08
   C07C21/18
   !C07B61/00 300
【請求項の数】3
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-550501(P2013-550501)
(86)(22)【出願日】2012年1月12日
(65)【公表番号】特表2014-510715(P2014-510715A)
(43)【公表日】2014年5月1日
(86)【国際出願番号】US2012021061
(87)【国際公開番号】WO2012154227
(87)【国際公開日】20121115
【審査請求日】2015年1月6日
(31)【優先権主張番号】61/434,002
(32)【優先日】2011年1月19日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/315,341
(32)【優先日】2011年12月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】マーケル,ダニエル・シー
(72)【発明者】
【氏名】ウォン,ハイユー
(72)【発明者】
【氏名】ポクロフスキー,コンスタンティン・エイ
(72)【発明者】
【氏名】トゥン,シュー・スン
(72)【発明者】
【氏名】シャンクランド,イアン
【審査官】 山本 昌広
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−509942(JP,A)
【文献】 特表2002−504528(JP,A)
【文献】 特開2008−110980(JP,A)
【文献】 特許第5792280(JP,B2)
【文献】 特開平10−87523(JP,A)
【文献】 米国特許第7829748(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 17/00−25/28
C07B 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン(240fa)を液相触媒反応器内において、1233zd(E)及び1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパン(244fa)並びに副生成物のHClが共に製造されるようにHFと反応させ;
(2)244fa生成物流を、下記:
(3a)244fa流を脱塩化水素化して1234ze(E)を生成させ;及び/又は
(3b)244fa流を脱フッ化水素化して1233zd(E)を生成させ;及び/又は
(3c)244fa流を更にフッ素化して245faを生成させる;
のように更に反応させる;
工程を含む、
(i)トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233zd(E))、
(ii)トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233zd(E))及びトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234ze(E))、
(iii)トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233zd(E))及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)、又は
(iv)トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233zd(E))、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234ze(E))及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)
を製造するための統合方法であって、
工程(1)のフッ素化反応を、同時に副生成物のHClを除去し且つ1233zd(E)及び244faを分離しながら連続モードで行うか、または、工程(1)のフッ素化反応を、副生成物のHClを除去し、1233zd(E)及び244faを分離しながらバッチモードで行い、
1233zd(E)、245fa、及び1234ze(E)生成物を回収するための1以上の精製工程を更に含む、方法
【請求項2】
液相フッ素化触媒が、単独かまたは組み合わせて、TiCl、SnCl、TaCl、SbCl、AlCl、又はSbClからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1233zd(E)、245fa、及び1234ze(E)生成物を回収するための1以上の精製工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、共に所有され、共に係属している2011年1月19日出願の米国仮特許出願61/434,002(その開示事項を参照として本明細書中に包含する)からの国内優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
クロロフルオロカーボン又はヒドロクロロフルオロカーボンをフォーム発泡剤として用いることは、それらの放出がオゾン層を損傷するという懸念のために禁止されている。より最近では、フォームの発泡(ポリマー混合物に揮発性材料を加えて発泡マトリクスを形成し、これによって断熱又は緩衝価値を付与する)は1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)を用いることによって行われているが、この材料の地球温暖化係数に関する懸念が増してきている。
【0003】
これらの用途において最終的に245faに置き換わる1つの候補物質は、トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233zd(E))である。この物質はまた、溶媒として使用する可能性も有している。例えば、米国特許6,884,475(参照として本明細書中に包含する)を参照。
【0004】
単一成分フォームの発泡用途における適用に関して245faに置き換わる第2の候補物質は、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234ze(E))である。例えば、米国特許7,230,146及び7,485,760(これらの開示事項を参照として本明細書中に包含する)を参照。
【0005】
1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233zd)、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234ze)、及び245faなどのフルオロプロパン及びハロプロペンを製造するために用いる方法は、米国特許公開2010/0168482−A1に教示されている。これらの化合物は、通常は、反応物質及び他の副生成物に加えて他のフルオロプロパン及び/又はハロプロペンを含む複雑な生成物の混合物中で形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許6,884,475
【特許文献2】米国特許7,230,146
【特許文献3】米国特許7,485,760
【特許文献4】米国特許公開2010/0168482−A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
当該技術において認識されている1つの問題は、1233zd(E)及び1234ze(E)を連続的に製造するための経済的な方法に対する継続する必要性である。化合物245faはゆっくりと廃止され、新しい製品がゆっくりと導入されるので、化合物245faはしばらくの間は引き続き必要である。したがって、本発明は、1種類の共通の供給材料、即ち240faから出発してこれらの3種類の化合物を共に製造するための統合方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233zd(E))、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234ze(E))、及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)を共に製造するための統合方法に関する。共製造は全体として3工程プロセスである。化学反応は、
(1)主として1233zd(E)及び244fa(並びに副生成物のHCl)が共に製造されるように、液相触媒反応器内において240faを過剰の無水HFと反応させ;
(2)次に、244fa流を用いて次の任意の3種類の所望の生成物を直接生成させることができ:
(3a)244fa流を脱塩化水素化して所望の第2の生成物である1234ze(E)を生成させることができ;及び/又は
(3b)より多くのこの生成物を所望の場合には、244fa流を脱フッ化水素化して1233zd(E)を生成させることができ;及び/又は
(3c)244fa流を更にフッ素化して245faを形成することができる;
の工程を含む。
【0009】
本発明の一態様によれば、単一のヒドロクロロカーボン供給材料、即ち240faを用いて出発する統合方法において、1233zd(E)、1234ze(E)、及び245faを全て共に製造することができる。この方法の1つの利点は、共沸性組成物を形成するために蒸留のような通常の分離技術を用いて複数の成分を分離することが不可能になる化合物である1233zd(E)と245faの密な接触が避けられることである。
【0010】
本方法は、前駆体として245faの代わりに中間体の1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパン(244fa)も用いるので、文献においてこれまで開示されている方法を凌ぐ1234ze(E)を製造する経済的な有利性を有する。これらの化合物はいずれも同じ240fa供給材料から製造することができるが、245faは元の供給材料に加えられる余分なフッ素原子を有しており、これは1234ze(E)を製造するためにHFとして除去しなければならない。而して、245faを用いて1234ze(E)を製造すると、製造される1234ze(E)1モルあたり1モルのHFが廃棄される。他方において、元の供給材料から最後に残留する塩素原子を(HClの形態で)除去することによって、244faから1234ze(E)を製造することができる。
【0011】
本発明の好ましい方法はまた、第1の液相反応器内における運転条件又は反応物質及び/又は触媒の濃度を調節することによって、異なる量のそれぞれの化合物を製造する大きな柔軟性を可能にするという有利性も有する。
【0012】
好ましい統合製造方法は、未反応の出発材料を再循環して原材料の利用及び生成物の収率を最大にする能力も有するので、従来技術とは異なる。これはまた、商業的価値のために販売することができる副生成物を単離する能力も与える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の好ましい製造方法の幾つかの主要単位操作の相対位置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで、単一の塩素化炭化水素の240faを用いて出発する統合製造方法によって、1234ze(E)及び245faを連続的且つ経済的に共製造することができることが見出された。1233zd(E)及び1234ze(E)を製造するための完全共製造方法の1つの好ましい態様を下記に詳細に記載する。
【0015】
共製造は全体で3工程プロセスである。化学反応は、
(1)主として1233zd(E)及び244fa(並びに副生成物のHCl)が共に製造されるように、液相触媒反応器内において240faを過剰の無水HFと反応させ;
(2)次に、244fa流を用いて次の任意の3種類の所望の生成物を直接生成させることができ:
(3a)244fa流を脱塩化水素化して所望の第2の生成物である1234ze(E)を生成させることができ;及び/又は
(3b)より多くのこの生成物を所望の場合には、244fa流を脱フッ化水素化して1233zd(E)を生成させることができ;及び/又は
(3c)244fa流を更にフッ素化して245faを形成することができる;
の工程を含む。
【0016】
所望の反応:
工程1:
【0017】
【化1】
【0018】
工程2:
【0019】
【化2】
【0020】
工程3:
【0021】
【化3】
【0022】
本製造方法は、好ましくは次の7つの主要単位操作から構成される。
(1)液相フッ素化触媒の製造(四塩化チタン);
(2)副生成物のHCl並びに共生成物の1233zd(E)及び244faの同時除去を伴う、HFを用いるフッ素化反応(連続又は半バッチモード);
(3)副生成物のHClの分離及び精製;
(4)過剰のHFの分離及び(2)への戻し;
(5)最終生成物の1233zd(E)の精製;
(6)244bbの1234ze(E)への脱塩化水素化(回収するためのHClの再循環を伴う);及び
(7)最終生成物の1233zd(E)の精製。
【0023】
これらの操作の相対位置の一態様を図に示す。
液相フッ素化触媒の製造:反応器1:
本反応は、所望の反応を達成するために適当な強度の液相触媒を用いる。優先的には、無水HFの作用によって部分フッ素化又は全フッ素化された四塩化チタン(雰囲気条件下で液体)を含む触媒によって、望ましくない揮発性の副生成物を形成することなく所望の転化度が達成されることが見出された。触媒のフッ素化は、一定量の四塩化チタンを撹拌している温度制御反応容器に加え、HFを漸次流によって加えることによって行う。運転中においては、中程度の量のHClが生成する。条件は、10℃〜50℃及び約0〜100psigの圧力である。用いることができる更なるフッ素化触媒としては、単独又は組み合わさって、(全て無水HFの作用によって部分フッ素化又は全フッ素化されている)SnCl、TaCl、SbCl、AlCl、SbClが挙げられる。
【0024】
反応及びストリッピングカラム:反応1:
本反応の1つの鍵は装置の配置である。両方の供給材料を液体触媒と接触させるための撹拌されている温度制御反応器、及び生成物を(副生成物のHCl、微量の軽質有機物質、主として1234ze(E+Z)、及び若干の無水HF(AHF)と一緒に)排出し、一方でHFのバルク、並びに過小フッ素化及び二量体化有機物質、及び触媒を残留させることができる統合蒸留カラムは他の鍵である。好ましくは、反応器は、ハステロイ−C、インコネル、モネル、インコロイ、又はフルオロポリマーライニング鋼製容器のようなHF及び触媒の腐食作用に抵抗性の材料から構成する。かかる液相フッ素化反応器は当該技術において周知である。
【0025】
触媒が調製されたら、反応を直ちに開始することができる。触媒製造のためのHFの流れを停止する必要はない。反応器を85℃〜95℃の温度に加熱して撹拌しながら、更なる量のHFを反応器に加えて、反応器をその容量の20%〜90%まで充填する。次に、所望の生成物を生成させるのに十分な量に加えて、統合蒸留カラムの頂部から排出される1233zd(E)/HF及び244fa/HFの共沸混合物の組成物による損失量よりも過剰量のHFの流れを保持しながら、直ちに240faの添加を開始して連続反応を引き起こすことができる。反応はHFに富む条件下で行って、反応共生成物の1233zd(E)及び244faを生成させる。ストリッピングカラムを有効にするためには、冷却剤の適当な温度制御及び十分な還流作用が必要である。
【0026】
反応及びストリッピングに関して良好に作用することが分かった一般的な運転条件は、ストリッパーカラムからの排出流に対する制御バルブによって維持される80psig〜140psigの運転圧力;主として反応器ジャケット中への水蒸気流によって供給される85℃〜115℃の反応器温度;還流を誘発するためのストリッパーカラムの頂部上の熱交換器への塩水冷却の適用;反応器内のものよりも約10℃〜40℃低いストリッパーの中央部分における温度;HF蒸気供給流を高圧水蒸気によって120℃〜150℃に過熱することによる更なる入熱;反応器及びストリッパー条件を維持するためのHFの供給速度;である。
【0027】
過小フッ素化中間体及びHFの再循環:
ストリッパーカラム(2)から排出される流れは、再循環カラムに導入する。ここで、高沸点の過小フッ素化中間体及び若干のHFを分離して、更なる反応のために反応器(2)に戻す。1233zd/244fa、HF、及びHClを含む粗混合物を、統合方法において先に送る。
【0028】
HClの除去:
再循環カラム(3)から排出される流れは、1233zd/244fa/1234ze、HCl、及びHFを含む他の更なるプロセス流と混合する(下記に記載;(7)及び(11)を参照)。この混合流中のHClは、次に、低温HCl蒸留カラムを用いて精製して販売のために回収することができる。高純度のHClが単離され、これは販売のために濃HClとして脱イオン水中に吸収させることができる。
【0029】
過剰のHFの分離及び(2)への再循環:
1233zd/244fa/1234zeの粗生成物混合物及び約30重量%のHFを含むHClカラム(4)からの塔底流は、この混合物からHFを取り出すために硫酸抽出器又は相分離器に供給する。HFは、流酸中に溶解するか又は有機混合物から相分離する。HFは、ストリッピング蒸留によって硫酸/HFを混合物から取り除き、反応器に再循環して戻す。硫酸抽出器の塔頂のいずれかからの有機混合物は、それを次の単位操作(6)に送る前に、微量のHFを除去するために処理(スクラビング又は吸着)が必要な可能性がある。
【0030】
最終生成物の1233zd(E)及び1234ze(E)の精製:
最終生成物の1233zd(E)及び1234ze(E)の精製は、3つの連続運転蒸留カラムから構成される。第1のカラムは、粗生成物から軽質留分(1234ze(E)など)を取り出すために用いる。第1のカラムからの軽質留分は第2のカラムに供給して、そこで1234ze(E)をカラム塔頂流中に単離する。幾つかの時点で、この流れから軽質副生成物をパージすることも必要であることを認識すべきである。第3のカラムは第1のカラムから重質留分を回収して、生成物グレードの1233zd(E)を塔頂生成物として生成する。第3のカラムの塔底フラクションは主に244faを含み、第2のカラムの塔底物と混合する。混合流の一部(この部分は所望の生成物スプリットによって定まる)を蒸気相反応器(7)に供給し、一部を液相フッ素化反応器(8)に供給する。幾つかの時点で、この流れから重質副生成物をパージすることも必要であることを認識すべきである。
【0031】
244faの1234ze(E)又は1233zd(E)への脱ハロゲン化水素化:
(6)における蒸留カラムの底部からの混合流の一部を1以上の触媒蒸気相反応器に供給して、そこで244faを、(a)脱塩化水素化して所望の1234ze(E)生成物及びHClを生成させるか、及び/又は(b)脱フッ化水素化して更なる量の1233zd(E)及びHFを生成させる。
【0032】
場合によっては、1つ又は複数の反応器は脱塩化水素化及び脱フッ化水素化触媒の両方を含み、1233zd(E)及び1234ze(E)の両方を生成させる。反応器流出流は、HCl回収カラム(4)に再循環して戻す。場合によっては、(9)において生成した245faも、脱フッ化水素化して1234ze(E)を形成するためにこの工程に再循環して戻すことができる。
【0033】
液相フッ素化触媒の製造:反応器2:
この反応は、所望の反応を達成するために適当な強度の液相フッ素化触媒を用いる。優先的には、無水HFの作用によって部分フッ素化又は全フッ素化された五塩化アンチモン(雰囲気条件下で液体)を含む触媒によって、望ましくない副生成物を形成しないで所望の転化度が達成されることが見出された。接触フッ素化は、一定量の五塩化アンチモンを非撹拌温度制御反応容器に加え、HFを漸次流によって加えることによって行う。この運転においては、中程度の量のHClが生成する。条件は、10℃〜50℃の反応温度及び0psig〜100psigの圧力である。用いることができる更なるフッ素化触媒としては、五塩化アンチモンと組み合わせて、(全て無水HFの作用によって部分フッ素化又は全フッ素化されている)TiCl、TaCl、SbClが挙げられる。
【0034】
反応及びストリッピングカラム:反応3:
本反応の1つの鍵は装置の配置である。両方の供給材料を液体触媒と接触させるための非撹拌温度制御反応器、及び所望の245faを副生成物のHCl、及び反応圧力において245faと共沸混合物を形成するのに必要な量以上の量のAHFと一緒に排出し、一方でHFのバルク、並びに過小フッ素化物及び触媒を残留させることができる統合蒸留カラムは他の鍵である。好ましくは、反応器は、フルオロポリマーライニング鋼製容器のようなHF及び触媒の腐食作用に抵抗性の材料から構成する。かかる液相フッ素化反応器は当該技術において周知である。触媒が調製されたら、所望の反応温度に加熱することによって反応を直ちに開始することができる。触媒製造のためのHFの流れを停止する必要はなく、一方で反応器を85℃〜95℃の温度に加熱する。
【0035】
好ましくは、HF供給材料を気化及び過熱して、適当な反応器運転温度を維持するのに必要な熱を与える。次に、所望の生成物を生成させるのに十分な量に加えて、統合蒸留カラムの頂部から排出される245fa/HFの共沸混合物の組成物による損失量よりも過剰量のHFの流れを保持しながら、有機混合供給材料(244fa/1234ze(Z)/1233zd(Z)/1233zd(E))の添加を直ちに開始して連続反応を引き起こすことができる。反応はHFに富む条件下で行って反応生成物の245faを生成させる。ストリッピングカラムを有効にするためには、冷却剤の適当な温度制御及び十分な還流作用が必要である。
【0036】
反応及びストリッピングに関して良好に作用することが分かった一般的な運転条件は、ストリッパーカラムからの排出流に対する制御バルブによって維持される80psig〜140psigの運転圧力;主として、HF蒸気供給材料を高圧水蒸気で120℃〜150℃に過熱することによって反応混合物中に直接、及び反応器ジャケット中への水蒸気流によって供給される85℃〜115℃の反応器温度;還流を誘発するためのストリッパーカラムの頂部上の熱交換器への塩水冷却の適用;反応器内のものよりも約10℃〜40℃低いストリッパーの中央部分における温度;更なる入熱;反応器及びストリッパー条件を維持するためのHFの供給速度;である。
【0037】
酸の除去:
ストリッパーカラム(9)から排出される流れは、水吸収カラム、次に苛性物質吸収カラム、次に乾燥器から構成される酸除去システムに導入する。ここで、HF及びHClを245fa粗物質から取り出し、次に粗物質を乾燥し、その後に生成物吸収カラム及び粗生成物再循環カラムを通して精製する。ここで、高沸点の過小フッ素化中間体及び若干のHFを分離し、更なる反応のために反応器(2)に戻す。粗1233zd/244fa、HF、及びHClを統合方法において先に送る。
【0038】
最終生成物の245faの精製:
最終生成物である245faの精製は、2つの連続運転蒸留カラムから構成される。第1のカラムは245faから軽質留分、主として1234ze(E)を取り出すために用い、第2のカラムはより重質の成分、主として244faを取り出すために用いる。第1のカラムの頂部及び第2のカラムの底部から取り出される軽質及び重質留分は両方とも、(4)又は(6)などの前段の処理工程に再循環して戻すことができる。
【0039】
統合方法−HCl及び硫酸HF回収を伴う1233zd(E)、1234ze(E)、及び245faの共製造:
図に示されるように、液相反応器R1にまず、単独又は組み合わせて、TiCl、SnCl、TaCl、SbCl、AlCl、又はSbClを含む群から選択されるフッ素化触媒を充填する。TiClが最も好ましい。HFはまず、金属塩化物触媒を全フッ素化する量で加える。例えば、TiClを用いる場合には、4:1のHF:触媒のモル比より多い量を加える。触媒の製造は、反応器が10℃〜50℃及び約0〜160psigの圧力にある際に行う。触媒の製造中にHClが生成し、これは触媒ストリッパーカラムCS−1の頂部から排気して、反応器圧力を反応器の所期の運転圧力以下に制御することができる。好ましくは、反応器は、ハステロイ−C、インコネル、モネル、インコロイ、又はフルオロポリマーライニング鋼製容器のようなHF及び触媒の腐食作用に抵抗性の材料から構成する。かかる液相フッ素化反応器は当該技術において周知である。
【0040】
次に、良好な撹拌が達成されるまで、気化器HX−1を通して更なるHFをR−1中に連続的に加え、その後、この供給を継続することができる。
次に、反応器の内容物を撹拌しながら約85℃に加熱し、この時点で240faの供給を開始し、240faとHFとの間のフッ素化反応を開始する。240fa連続流は反応器R−1中に直接供給し、加熱器HX−1は通さない。場合によっては、240faはHX−1を通して反応器R−1に供給する。
【0041】
触媒ストリッパーカラムCS−1からの排出流に対する制御バルブによって60psig〜160psig(好ましくは80psig〜140psig)の運転圧力を維持し、反応器温度は主として反応器ジャケット中への水蒸気流によって供給して80℃〜150℃(好ましくは85℃〜115℃)の範囲に維持する。触媒ストリッパーカラムCS−1は反応器R−1に接続されており、同伴触媒、若干のHF、部分フッ素化中間体、及び若干の未反応の240faを排出して更なる反応のために反応器に戻す目的を果たす。
【0042】
液相フッ素化反応器内での運転条件又は反応物質及び/又は触媒の濃度を調節することによって、異なる量のそれぞれの所望の共生成物である1233zd(E)及び244faが生成するように反応を行うことができる。
【0043】
触媒ストリッパーカラムCS−1の頂部から排出される、未反応の240fa、部分フッ素化中間体及び副生成物、過フッ素化副生成物、HF、1233zd(E+Z)、244fa、及びHClから構成される流れは、次に再循環カラムD−1に導入して、ここで、主として未反応の240fa、部分フッ素化中間体、及びHFの大部分から構成される流れが再循環カラムの底部から排出され、これは気化器HX−1を通して液相フッ素化反応器R−1に再循環して戻す。
【0044】
主として1233zd(E)、244fa、HF、及びHClから構成される流れが再循環カラムの頂部から排出され、これはHClカラムD−2に導入する。主としてHCl副生成物から構成される流れがHClカラムの頂部から排出され、これはHCl回収システムに供給する。回収されるHCl副生成物は、利益目的のために販売することができる。主としてHF、1233zd(E)、及び244faから構成されるHClカラム塔底物は、次にHF回収システム中に供給する。
【0045】
HF回収システムは、粗1233zd/244fa/HF流を熱交換器HX−2内で気化して、HF吸収カラムA−1中に供給して開始される。ここで、50%〜80%のHSOの液体流を気体状1233zd/HF流と接触させて、HFの大部分を吸収させる。A−1の底部から排出される流れはHF/HSO/HOから構成され、これは熱交換器HX−3に供給し、ここでHFの大部分を少量のHO及びHSOと一緒にフラッシングするのに十分な温度に加熱する。この流れをHF回収蒸留カラムD−3に供給する。HX−3内でHFをフラッシング除去した後に残留する、主としてHSO及びHO(並びに0%〜2%のHF)から構成される液体は、HX−4内で冷却して、HF吸収カラムA−1に再循環して戻す。
【0046】
主としてHSO及びHOから構成されるHF回収カラムD−3の塔底流は、熱交換器HX−3に再循環して戻す。HF回収カラムD−3の頂部から無水HFを回収し、気化器HX−1を通して反応器R−1に再循環して戻す。HF吸収カラムA−1の頂部から排出される、主として1233zd(E)及び244fa(微量のHF)を含む流れは、最終精製システムA−2に送って、そこで気体流を水又は苛性溶液と接触させて微量のHFを取り出し、次にデシカントを用いて乾燥する。吸収器A−2から排出される酸を含まない粗生成物は、3つの精製カラムの1番目:D−4に送る。
【0047】
カラムD−4の頂部から排出される、主として1234ze(E)、及び1233zd(E)のものよりも低い沸点を有する反応副生成物から構成される流れは、1234ze(E)生成物回収蒸留カラムD−6に供給する。蒸留カラムD−6の頂部から、製品グレードの1234ze(E)を生成物貯留槽に排出する。1234ze(E)生成物回収カラムの塔底流は、主として1234ze(Z)及び1233zd(E)(及び場合によっては少量の245fa)から構成される。この塔底流は、1233zd(E)生成物回収カラムD−5からの塔底流と混合する(下記に更に記載する)。
【0048】
この混合流は、次に2つの別々の流れA及びB(その比は所望の生成物分布によって決定する)に分割する。流れAは、気化器HX−5、次に蒸気相脱ハロゲン化水素化/異性化反応器R−2に供給する。245fa不純物はR−2内で脱フッ化水素化して、所望の1234ze(E)生成物を生成させる。更に、1234ze(Z)不純物はR−2内で異性化して、所望の1234ze(E)生成物を生成させる。流れBのその後は下記に記載する。
【0049】
R−2において用いる蒸気相脱塩化水素化触媒は、バルク又は担持形態の金属ハロゲン化物、ハロゲン化金属酸化物、中性(又はゼロの酸化状態)の金属又は金属合金、或いは活性炭であってよい。金属ハロゲン化物又は金属酸化物触媒を用いる場合には、好ましくは1価、2価、又は3価の金属のハロゲン化物、酸化物、及びこれらの混合物/組み合わせ、より好ましくは1価及び2価の金属のハロゲン化物、及びこれらの混合物/組み合わせを用いる。成分の金属としては、Cr3+、Fe3+、Mg2+、Ca2+、Ni2+、Zn2+、Pd2+、Li、Na、K、及びCsが挙げられるが、これらに限定されない。成分のハロゲンとしては、F、Cl、Br、及びIが挙げられるが、これらに限定されない。有用な1価又は2価の金属のハロゲン化物の例としては、LiF、NaF、KF、CsF、MgF、CaF、LiCl、NaCl、KCl、及びCsClが挙げられるが、これらに限定されない。ハロゲン化処理としては、従来技術において公知の任意のもの、特にハロゲン化源としてHF、F、HCl、Cl、HBr、Br、HI、及びIを用いるものを挙げることができる。
【0050】
中性、即ち0価の金属、金属合金、及びそれらの混合物を用いる場合には、有用な金属としては、Pd、Pt、Rh、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Cr、Mn、及び合金又は混合物としての上記の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。触媒は担持であっても非担持であってもよい。金属合金の有用な例としては、SS316、モネル400、インコロイ825、インコネル625、インコネル600、及びインコネル625が挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
好ましい触媒としては、活性炭、ステンレススチール(例えばSS316)、オーステナイトニッケルベースの合金(例えばインコネル625)、ニッケル、フッ素化10%CsCl/MgO、及び10%CsCl/MgFが挙げられる。反応温度は好ましくは約300℃〜550℃であり、反応圧力は好ましくは0psig〜約150psigである。
【0052】
R−2からの反応器流出流はHCl回収蒸留カラムD−2に再循環して戻して、そこでHClを回収する。
場合によっては、流れAは苛性溶液と一緒に液相撹拌反応器中に供給して、244fa(主)及び245fa(副)を脱ハロゲン化水素化し、244faの一部が脱塩化水素化し、一部が脱フッ化水素化するので、所望の生成物の1234ze(E)及び1233zd(E)の両方が生成する。
【0053】
カラムD−4の底部から排出される、主として1233zd(E+Z)、244fa、及びより重質の副生成物から構成される流れは、1233zd(E)生成物回収蒸留カラムD−5に供給する。蒸留カラムD−5の頂部から生成物グレードの1233zd(E)を生成物貯留槽に排出する。1233zd(E)生成物カラムの塔底流は、主として244fa、1233zd(Z)、及び1233zd(E)のものよりも高い沸点を有する反応副生成物から構成される。この塔底流は、1234ze(E)生成物回収カラムD−6からの塔底流と混合した後に、次に上記に記載したように2つの別々の流れA及びBに分割する。1233zd(Z)不純物は、R−2においてある程度異性化して所望の1233zd(E)生成物を生成させる。
【0054】
液相反応器R−3にまず、単独か又は組み合わせてSbCl、TiCl、SnCl、TaCl、SbCl、又はAlClを含む群からのフッ素化触媒を単独か又は組み合わせて充填する。SbClが最も好ましい。HFはまず、金属塩化物触媒を少なくとも部分的にフッ素化する量で加える。例えば、SbClを用いる場合には、3:1のHF:触媒のモル比より多い量を加える。触媒の製造は、反応器が10℃〜50℃及び0psig〜約160psigの圧力にある際に行う。
【0055】
触媒の製造中にHClが生成し、これは触媒ストリッパーカラムCS−1の頂部から排気して、反応器圧力を反応器の所期の運転圧力以下に制御することができる。好ましくは、反応器はフルオロポリマーライニング鋼製容器のようなHF及び触媒の腐食作用に抵抗性の材料から構成する。かかる液相フッ素化反応器は当該技術において周知である。
【0056】
気化器HX−9を通して更なるHFをR−3中に連続的に加え、約90℃の所望の反応温度が達成されるまで反応器を加熱し、この時点で流れBをHX−9の前に新しいHFと混合し、次にR−3中に導入して、ここでHCFC−244fa(主)、1234ze(E)(副)、1233zd(Z)(副)、及び1233zd(E)(副)と、HFの間のフッ素化反応を開始する。
【0057】
触媒ストリッパーカラムCS−1からの排出流に対する制御バルブによって60psig〜160psig(好ましくは80psig〜140psig)の運転圧力を維持し、反応器温度は、主として過熱したHF供給流及び反応器ジャケット中への水蒸気流によって供給して80℃〜150℃(好ましくは85℃〜115℃)の範囲に維持する。触媒ストリッパーカラムCS−1は反応器R−3に接続されており、同伴触媒、若干のHF、部分フッ素化中間体、及び若干の未反応の240faを排出して更なる反応のために反応器に戻す目的を果たす。
【0058】
触媒ストリッパーカラムCS−1の頂部から排出される、主として245fa、HF、HCl、及び未反応の出発有機材料から構成される流れは、次に水吸収カラムA−3に導入して、ここで、HF及びHClの大部分を除去する。水吸収器A−3の底部から排出される水性流は、中和して廃棄物として廃棄する。水吸収カラムA−3の頂部から排出される、主として245fa及び未反応の出発有機材料(微量のHF及びHCl)から構成される流れは最終精製システムA−4に送って、ここで、気体流を弱苛性溶液と接触させて微量のHF及びHClを除去し、次に乾燥剤を用いて乾燥する。
【0059】
吸収器A−4から排出される酸を含まない粗生成物は、2つの精製カラムの1番目:D−7に送る。カラムD−7の頂部から排出される流れは、主として1234ze(E)、及び245faのものよりも低い沸点を有する反応副生成物から構成され、これはD−4に再循環して戻し、カラムの塔底物は245fa生成物回収蒸留カラムD−8に供給する。蒸留カラムD−8の頂部から生成物グレードの245faを生成物貯留槽に排出する。244fa及び245faのものよりも高い沸点を有する反応副生成物はD−4に再循環して戻す。
【実施例】
【0060】
実施例1:
本実施例は、240faをハロゲン化チタン触媒及びHFの充填物中に連続的に供給する連続反応を示す。
【0061】
ハステロイCで構成した清浄な空の10ガロンのジャケット付き撹拌反応器を準備した。この反応器を、充填材料(ストリッパー)を含む直径2インチの縦型PTFEライニング管に接続し、これを次に塔頂熱交換器に接続した。熱交換器には、シェル側に−40℃の塩水循環を供給した。このストリッパーから排出される蒸気を、温度を制御した希釈水酸化カリウム水溶液をその中に循環させているスクラバーを通して処理した。このストリッパーから排出される蒸気を、秤量した冷却(−40℃)シリンダー、次にドライアイス浴中で冷却した直列のより小さいシリンダー中に回収した。
【0062】
最初に約1200グラムポンドのTiClを触媒として加え、次に直ちに28ポンドのHFを加えた。反応器の内容物を撹拌しながら約85℃に加熱し、触媒のフッ素化の後にHClが形成された後は120psigの圧力であった。反応器へのHFの供給は、水蒸気加熱交換器を通して気化させた後に1ポンド/時の速度で継続した。次に、240faの連続供給を1.0ポンド/時で開始した。反応器を、85℃〜87℃、及び120psigの圧力において保持した。触媒ストリッパーの頂部から排出される反応器流出流の有機部分の試料を、GCを用いて分析した。結果は、約55GC面積%の244fa、及び約42GC面積%の1233zd(E)を示した。反応器をこれらの条件において56時間連続して運転し、非常に一貫した結果を得た。
【0063】
実施例2:
本実施例は、240faをハロゲン化チタン触媒及びHFの充填物中に連続的に供給する半バッチ反応を示す。
【0064】
実施例1と同じ反応器を用いた。反応器に2600gの新しいTiCl触媒を充填した。実験の意図は、実際には、高い選択率で1233zd(E)を製造することであった。
【0065】
プロセス(TiCl触媒の存在下における240fa+HFの反応)は、反応器内におけるG240の滞留時間を減少させ、それによって過フッ素化種の244faの形成を減少させる目的で、全バッチプロセスから半連続プロセスに変化させた。反応器にまず50ポンドのHF、次に13ポンドのG240を充填した。反応器の温度をゆっくりと上昇させ、反応を約80℃〜85℃において観察した。反応を数時間進行させ、より軽質の成分を触媒ストリッパーの頂部からスクラバー及び生成物回収ドライアイストラップ(DIT)に連続的に回収した。次に、240faの供給を連続的に開始して、反応器の蒸気空間中に加えた。塔頂流回収システムは、一定量の物質を触媒ストリッパーから回収し、G240供給速度をこの速度に合致するように調節するように修正した。製造運転中の幾つかの時点で、反応器を停止してより多くのHFを加え、前述と同様に再び始動させた。
【0066】
1233zdの製造に関する反応の選択率は、40%〜50%と驚くほど低かった。主要な副生成物は過フッ素化種の244fa(50%〜55%)であった。HFに富む運転及びより多い量の触媒は、1233zd(E)への選択率に悪影響を与えた。
【0067】
実施例3:
本実施例(実験#3と呼ぶ)は、HFを四塩化チタン触媒及び240faの充填物中に連続的に供給する半バッチ反応を示す。
【0068】
ハステロイCで構成した清浄な空の10ガロンのジャケット付き撹拌反応器を準備した。この反応器を、充填材料(ストリッパー)を含む直径2インチの縦型PTFEライニング管に接続し、これを次に塔頂熱交換器に接続した。熱交換器には、シェル側に−40℃の塩水循環を供給した。このストリッパーから排出される蒸気を、温度を制御した希釈水酸化カリウム水溶液をその中に循環させているスクラバーを通して処理した。このストリッパーから排出される蒸気を、秤量した冷却(−40℃)シリンダー(生成物回収シリンダーと呼ぶ)、次にドライアイス浴中で冷却した直列のより小さいシリンダー中に回収した。
【0069】
実験#3に関しては、14ポンドの無水HFを供給して触媒のフッ素化を確保した。次に、1.5ポンドのTiClを触媒として加えた。反応器内の圧力の増大によって観察されるように、HClが直ちに生成した。HClの殆どをシステムから排気することによって圧力を減少させた後、50ポンドの240faを加えた。反応器を加熱した。約85℃においてHClが生成し始め、これはフッ素化反応が開始したことを示した。システム圧力は約120psigに制御した。次に、240faが消費されるまで、更なるHFを連続的に供給して生成物を生成物回収シリンダー中に回収した。運転中に回収された粗物質のGC分析は次の通りであった。86.4%の1233zd(E);5.5%のG−244fa;3.1%の1234ze(E);1.5%の1233zd(Z);1.1%の1234ze(Z);1.1%の二量体;及び0.2%のトリフルオロプロピン。
【0070】
実施例4:
金属塩化物触媒上での244faの脱ハロゲン化水素化:
本実施例においては、一連の1価、2価、及び3価金属の塩化物を脱ハロゲン化水素化触媒として用いた。20mLの触媒を用いた。244faを、350℃の温度において12g/時の速度でそれぞれの触媒上に通過させた。下表1に示すように、1価及び2価金属塩化物触媒は全て、80%より高いトランス/シス(t/c)−1234ze選択率、及び20%より低いt/c−1233zd選択率を与えた。これは、これらの触媒が244faの脱フッ化水素化よりも244faの脱塩化水素化に関してより活性であることを示す。比較すると、1価金属塩化物触媒は、2価金属塩化物のものよりもt/c−1234zeの形成に関してより選択性である。
【0071】
次の触媒上で90%より高い244faの転化率が達成された。10.0重量%のLiCl/C、10.0重量%のKCl/C、及び10.0重量%のMgCl/C。他方において、3価鉄塩化物触媒は、約9%のt/c−1234ze選択率、及び約61%のt/c−1233zd選択率を示した。これは、この触媒は244faの脱塩化水素化よりも244faの脱フッ化水素化に関してより活性であることを示唆している。
【0072】
【表1】
【0073】
実施例5:
アルカリ金属塩化物をドープしたMgF触媒上での244faの脱ハロゲン化水素化:
本実施例においては、一連のアルカリ金属塩化物をドープしたMgF触媒を脱ハロゲン化水素化触媒として用いた。20mLの触媒を用いた。244faを、350℃の温度において12g/時の速度でそれぞれの触媒上に通過させた。下表2に示すように、アルカリ金属塩化物をドープしたMgF触媒は全て、90%より高いt/c−1234ze選択率、及び5%より低いt/c−1233zd選択率を与えた。これは、これらの触媒が244faの脱フッ化水素化よりも244faの脱塩化水素化に関して遙かにより活性であることを示す。
【0074】
【表2】
【0075】
実施例6:
本実施例は、本発明の幾つかの好ましい態様によるHF、1233zd、及び244faの混合物からの無水HFの回収を示す。
【0076】
約30重量%の1233zd(E)、40重量%の244fa、及び約30重量%のHFから構成される混合物を気化させ、約2.9ポンド/時の供給速度で充填カラムの底部に約4時間供給した。その中に約2%のHFを溶解した約80重量%の硫酸(80/20のHSO/HO)の流れを、同じ時間枠中において約5.6ポンド/時の供給速度で同じ充填カラムの頂部に連続的に供給した。カラムの頂部から排出される気体流は、1233zd(E)及び244faを含み、その中に1.0重量%未満のHFを有していた。カラム塔底物中の硫酸中のHFの濃度は、2.0重量%から約15重量%に増加した。
【0077】
硫酸及び約15重量%のHFを含むカラム塔底物を回収し、2ガロンのPTFE容器中に充填した。混合物を約140℃に加熱して、HF生成物を気化及びフラッシングして回収した。回収されたHF生成物は、約6000ppmの水及び約500ppmのイオウを含んでいた。硫酸は約500ppmのTOC(全有機炭素)を含んでいた。
【0078】
フラッシュ蒸留から回収されたHFを蒸留カラム内で蒸留し、無水HFを回収した。回収された無水HFは、50ppm未満のイオウ不純物及び100ppm未満の水を含んでいた。
【0079】
実施例7:
本実施例は、酸を含まない1233zd(E)粗生成物の精製を示す。これは、図1における蒸留カラムD−1である。実施例2において製造された92ポンドの酸を含まない1233zd/244fa粗物質をバッチ蒸留カラムに充填した。粗物質は、約94GC面積%及び6GC面積%の不純物を含んでいた。蒸留カラムは、10ガロンのリボイラー、ID=2インチ×長さ10フィートのpropackカラム、及びシェルアンドチューブ凝縮器から構成した。カラムは約30の理論段を有していた。蒸留カラムに、温度、圧力、及び差圧の送信機を取り付けた。主として1234ze(Z+E)、トリフルオロプロピン、245fa、及び1233zd(E)から構成される約7ポンドの軽質留分が回収された。82ポンドの99.8+GC面積%の1233zd(E)が回収された。約3ポンドの量のリボイラー残渣は、主として244fa、1233zd(Z)、1233zd二量体、及び1233zd(E)であった。99.8+GC面積%の純度の1233zd(E)の回収率は94.8%であった。
【0080】
実施例8:
本実施例は、再循環カラムの使用を示す。実施例2において規定した代表的な1233zd(E)及び244fa液相反応器流出物混合物を、バッチ蒸留カラム中に充填した。蒸留カラムは、10ガロンのリボイラー、ID=2インチ×長さ10フィートのpropackカラム、及び−40℃の冷媒流能力を有するシェルアンドチューブ凝縮器から構成した。カラムは約30の理論段を有していた。蒸留カラムに、温度、圧力、及び差圧の送信機を装備した。蒸留カラム供給混合物は、約30重量%のHF、37重量%のHCl、及び33%の粗1233zd(E)/244faであった。蒸留は、約100psigの圧力、及び15〜20インチ−HOの差圧(ΔP)において運転した。
【0081】
留出物及びリボイラーの両方を周期的にサンプリングし、ガス及びイオンクロマトグラフィーを用いて、有機物質、HF、及びHClに関して分析した。初期においては、両方の試料中にHCl、有機物質、及びHFが観察された。より多くの物質が留出物として取り出されるにつれて、リボイラーの濃度が変化した。第1に、HClの濃度が検出できなくなるまで低下した。リボイラー試料中の有機物質の濃度がガスクロマトグラフィーを用いて分析して僅かな微量に低下するまで、蒸留を進行させた。蒸留の終了時には、リボイラー中に残留する物質は実質的に純粋なHFであった。回収されたHF(リボイラー塔底物)は、次に、回収されるHFの液相フッ素化反応器への再循環を示すために用い、これは満足に機能した。
【0082】
実施例9:
本実施例は、実質的に1234ze(E)、1234ze(Z)、及び245faから構成される粗混合物の連続蒸留を示す。蒸留カラムは、10ガロンのリボイラー、ID=2インチ×長さ10フィートのpropackカラム、及びシェルアンドチューブ凝縮器から構成した。カラムは約30の理論段を有していた。蒸留カラムに、リボイラーレベル指示計;温度、圧力、及び差圧の送信機;を装備した。蒸留は、約50psigの圧力及び約17インチ−HOの差圧において連続モードで運転した。
【0083】
1234ze(E)、1234ze(Z)、245fa、及び少量の不純物(表3を参照)から実質的に構成される供給材料を、蒸留カラムの底部における入口を通して約1.75ポンド/時の速度で連続的に供給した。1234ze(E)及び軽質不純物(表3を参照)から実質的に構成される留出物が、約1.02ポンド/時の速度で凝縮器の頂部から回収された。リボイラー内の物質のレベルを約40%に維持するために、245fa及び1234ze(Z)から実質的に構成される流れ(表3を参照)を、約0.73ポンド/時の速度でリボイラーの底部から連続的に取り出した。蒸留は約1000時間連続的に運転した。
【0084】
【表3】
【0085】
実施例10及び11:
244faのt/c−1234ze及びt/c−1233zdへの脱ハロゲン化水素化の例:
実施例10においては、フッ素化Crを脱ハロゲン化水素化触媒として用いた。20mLの触媒を3/4インチのモネル反応器中に充填した。244fa供給材料を、350℃の温度において12g/時の速度で触媒に通した。
【0086】
下表4に示すように、フッ素化Cr触媒は、約75%の1233zd選択率、及び約21%の1234ze選択率を与えた。これは、この触媒上での244faの脱ハロゲン化水素化から、1234ze及び1233zdを共製造することができることを示す。244faは全て反応中に転化した。
【0087】
【表4】
【0088】
実施例11においては、フッ化アルミニウムを脱ハロゲン化水素化触媒として用いた。20mLの触媒を3/4インチのモネル反応器中に充填した。244fa供給材料を、350℃の温度において12g/時の速度でそれぞれの触媒に通した。
【0089】
下表5に示すように、AlF触媒は、約77%の1233zd選択率、及び約22%の1234ze選択率を与えた。これは、この触媒上での244faの脱ハロゲン化水素化から、1234ze及び1233zdを共製造することができることを示す。244faは全て反応中に転化した。
【0090】
【表5】
【0091】
実施例12:
本実施例は、苛性溶液中で244faを脱ハロゲン化水素化して1234ze(E)及び1233zd(E)の両方を生成させることを示す。539.5gの9.3重量%KOH溶液及び135.4gの90.0GC面積%の純度の244faを、1.0Lのステンレススチール(SS)シリンダーに加えた。他の主成分は、9.2GC面積%の量の1223xdであった。シリンダーを75℃〜80℃に加熱し、5時間振盪した。蒸気空間の試料は、75.6面積%の1234zeトランス異性体、12.9面積%の1234zeシス異性体、8.5GC面積%の244fa、及び0.8GC面積%の1223xdの存在を示した。有機液相の試料は、24.4GC面積%の1234ze(E)、12.9GC面積%の1233zd(E)異性体、44.2GC面積%の244fa、及び8.1GC面積%の1223xdを示した。
【0092】
実験の後に560.0gの水溶液が回収され、これは水性層中において20.5gの重量増加を意味した。この重量増加は244faの脱塩化水素化中に生成したHClであると仮定すると、反応中に244faの1234zeへの約60%の転化が起こったと計算することができる。
【0093】
実施例13:
244fa、1233zd(Z)、1233zd(E)、及び1234ze(Z)を含む混合流の連続液相フッ素化を示す。この実験に関するフッ素化触媒はSbClであった。触媒ストリッパー、ID(内径)2インチの充填カラム、及び凝縮器(その機能は、システムを連続反応モードで運転している際に、同伴触媒、未反応のHFの一部、及び未反応の有機物質の一部を反応器に戻すことである)を装備したPTFEライニング液相反応器内に6500gのSbClを含ませた。反応器はID=2.75インチ×L(長さ)36インチであり、ミキサー/撹拌器は装備しなかった。反応器を約85℃〜87℃に加熱した。次に、1500gのHF、次に1500gのClを加えることによって触媒を活性化した。触媒のフッ素化によって生成したHClによって、反応システムの圧力が、制御している場合に約100psigに上昇した。
【0094】
まず気体状HFの連続供給を開始した。これを1.9ポンド/時の速度で浸漬管を通して液体触媒中にバブリングし、1.0ポンドのHFが加えられた時点で混合有機供給流を導入した。また、浸漬管を用いて液体触媒も導入し、約83%の244fa、10%の1234ze(Z)、5%の1233zd(Z)、及び2%の1233zd(E)から構成されていた。混合有機物質は2.0ポンド/時の速度で連続的に供給した。HFと有機原材料とのモル比は7:1であった。反応温度は90℃〜95℃に維持し、圧力は120psigに維持した。245fa、未反応の有機物質、有機副生成物、HCl、及び未反応のHFが触媒ストリッパーカラムの頂部から排出された。実験は500時間以上
連続的に運転し、有機原材料の平均転化率は99.5%より大きく、245faへの選択率は99.5%に達した。触媒を活性に維持するために、Cl(有機物質1モルあたり0.02モル)を、浸漬管を通して周期的に反応混合物中に連続的に供給した。
【0095】
実施例14:
50ガロンのパイロットプラントフッ素化反応システムから排出される245fa粗物質を、吸収カラム内で水と接触させてHCl及びHFを除去した。微量の酸のみが残留した。この流れを、次に第2の吸収器内で希釈苛性流と接触させて、残りの酸を除去した。この流れを、次にX13モレキュラーシーブを含むカラムに通して、酸除去工程中において水との接触中に流れに加えられた湿分を除去した。
【0096】
実施例15:
実施例13からの乾燥した酸を含まない245fa粗物質を、次に直列の2つの通常の蒸留カラムを用いて99.95%より高い純度に連続的に蒸留して、低沸点及び高沸点の不純物の殆どを除去した。
【0097】
本明細書において用いる単数形の「a」、「an」、及び「the」は、記載によって他に明確に示されていない限りにおいて、複数のものを包含する。更に、量、濃度、又は他の値若しくはパラメーターを、範囲、好ましい範囲、又はより高い好ましい値とより低い好ましい値のリストのいずれかとして与える場合には、これは、範囲が別々に開示されているかどうかにかかわらず、任意のより高い範囲限界又は好ましい値、及び任意のより低い範囲限界又は好ましい値の任意の対から形成される全ての範囲を具体的に開示すると理解すべきである。本明細書において数値の範囲が示されている場合には、他に示されていない限りにおいて、この範囲はその端点及びこの範囲内の全ての整数及び小数を含むと意図される。本発明の範囲を、範囲を規定する際に示される具体的な値に限定することは意図しない。
【0098】
上記の記載は本発明の単なる例示であると理解すべきである。種々の代替及び修正は、発明から逸脱することなく当業者によって想到することができる。したがって、本発明は、特許請求の範囲内のかかる変更、修正、及び変化の全てを包含すると意図される。
本発明は以下の態様を含む。
[1]
(1)1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン(240fa)を液相触媒反応器内において、1233zd(E)及び1,3,3,3−テトラフルオロプロパン(244fa)並びに副生成物のHClが共に製造されるようにHFと反応させ;
(2)244fa生成物流を、下記:
(3a)244fa流を脱塩化水素化して1234ze(E)を生成させ;及び/又は
(3b)244fa流を脱フッ化水素化して1233zd(E)を生成させ;及び/又は
(3c)244fa流を更にフッ素化して245faを生成させる;
のように更に反応させる;
工程を含む、トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233zd(E))、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234ze(E))、及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)を共に製造するための統合方法。
[2]
244fa流を脱塩化水素化して1234ze(E)を生成させる、[1]に記載の方法。
[3]
244fa流を脱フッ化水素化して1233zd(E)を生成させる、[1]に記載の方法。
[4]
244fa流を更にフッ素化して245faを生成させる、[1]に記載の方法。
[5]
工程(1)のフッ素化反応を、同時に副生成物のHClを除去し且つ1233zd(E)及び244faを分離しながら連続モードで行う、[1]に記載の方法。
[6]
工程(1)のフッ素化反応を、副生成物のHClを除去し、1233zd(E)及び244faを分離しながらバッチモードで行う、[1]に記載の方法。
[7]
液相フッ素化触媒が、単独かまたは組み合わせて、TiCl、SnCl、TaCl、SbCl、AlCl、又はSbClからなる群から選択される、[1]に記載の方法。
[8]
工程(3b)が、フッ素化金属酸化物、金属フッ化物、及び担持金属触媒からなる群から選択される脱フッ化水素化触媒を用いる蒸気相反応である、[1]に記載の方法。
[9]
1233zd(E)、245fa、及び1234ze(E)生成物を回収するための1以上の精製工程を更に含む、[1]に記載の方法。
[10]
未反応の245faを再循環することを更に含む、[9]に記載の方法。
図1