【実施例】
【0022】
図1に示すように、型締装置10は、ターンテーブル11と、このターンテーブル11を回転自在に支える固定盤12と、この固定盤12に取付けられたコア移動機構20、20とを備えているロータリー式竪型型締装置である。
ターンテーブル11の回転中心にセンタータイバー13が貫通しつつ図面表裏方向に延び、このセンタータイバー13に平行に2本のサイドタイバー14、14が固定盤12を貫通しており、これらのタイバー13、14、14の上端に図示せぬ可動盤が取付けられており、ターンテーブル11上の金型16が型締めされる。
【0023】
金型16は、スライドコア17、17を内蔵し、これらのスライドコア17、17の一端が金型16外へ突出している。スライドコア17の先端に、例えば穴18が設けられている。以下、スライドコア17の軸をx軸、このx軸に直交し且つ水平面を通る軸をy軸、x軸に直交し且つ鉛直面を通る軸をz軸と呼ぶ。
【0024】
次に、コア移動機構20、20の構造例を説明する。
コア移動機構20は、ベース21と、このベース21に敷設されy軸に沿って延びるレール22と、このレール22に移動自在に嵌められるスライダ23と、このスライダ23に取付けられx軸に沿って延びる第1アクチュエータ24と、ベース21に設けられスライダ23を移動させる第2アクチュエータ25とを備えている。
【0025】
第1アクチュエータ24のロッド26には、係合部材27が取付けられている。この係合部材27は、例えば、ロッド26の先端にねじ込まれるソケット28と、ねじ込まれたソケット28の回り止めを図るロックナット29と、ソケット28に設けられy軸方向に延びる先尖りピン30とからなる。先尖りピン30の径は、穴(
図1、符号18)の径より0.5〜1.0mm小さく設定される。
【0026】
第1アクチュエータ24は、油圧シリンダ、エアシリンダ、電動シリンダの何れでもよいが、スライドコア17の引き抜きや押し込みのために、大きな軸力を発生させる必要があることから、油圧シリンダが好適である。
【0027】
第2アクチュエータ25は、油圧シリンダ、エアシリンダ、電動シリンダの何れでもよいが、無負荷状態の第1アクチュエータ24を水平移動させるだけであるから、軸力は少なくて済む。したがって、エアシリンダ又は電動シリンダが採用できる。電動シリンダは高価であるため、安価なエアシリンダが推奨される。
【0028】
油圧シリンダ及びエアシリンダは、サーボ制御によりピストンロッドの位置制御が可能となる。ただし、サーボ制御を採用すると制御系が高価となる。
そこで、本発明の一つの形態として、サーボ制御によらない技術を採用する。その具体例を以下に説明する。
【0029】
シリンダユニットの基本構成と作用を
図3に示す概念図で説明する。
図3(a)に示すように、油圧シリンダ又はエアシリンダは、シリンダ32と、このシリンダ32に移動自在に収納されるピストン33と、シリンダ32を塞ぐ前エンドプレート34及び後エンドプレート35と、ピストン33から延びて前エンドプレート34を貫通するピストンロッド36と、後エンドプレート35にねじ込んだストローク調整ねじ37とを基本要素とする。
【0030】
ピストン33を前進させると、
図3(b)に示すように、前エンドプレート34に当たって止まる。すなわち、前側ストロークエンドで止められる。
ピストン33を後進させると、
図3(c)に示すように、ストローク調整ねじ37に当たって止まる。すなわち、後側ストロークエンドで止められる。
【0031】
ロックナット38を緩めて、ストローク調整ねじ37を回すことにより、後側ストロークエンドの位置が変更できる。ストローク調整ねじ37は前エンドプレート34に設けることもできる。
以上により、サーボ制御を行うことなく、ピストンロッド36の前進限位置と後進限位置を人為的に定めることができる。
【0032】
以上の構成からなる型締装置10の作用を、
図4〜
図6に基づいて説明する
図4(a)で、金型16へ射出工程を実施しつつ、第1アクチュエータ24は前進限位置に保ち、第2アクチュエータ25は後進限位置に保つ。
図4(b)に示すように、ターンテーブル11を180°回す。この後、第2アクチュエータ25を前進動させる。すると、先尖りピン30が穴18に向かう。
【0033】
図5(a)に示すように、スライドコア17に係合部材27が係合された。この状態で、第1アクチュエータ24を後退動させる。
図5(b)に示すように、スライドコア17が距離Lだけ引かれた。この後、金型16から成形品を取り出す。
【0034】
次の成形に備えて、
図6(a)に示すように、第1アクチュエータ24を前進動させて、スライドコア17を前進させる。
図6(b)に示すように、第2アクチュエータ25を後退動させて、スライドコア17から係合部材27を十分に引き離す。次に、ターンテーブル11を180度回す。これで、
図4(a)に戻る。すなわち、
図4〜
図6を繰り返した射出成形を実施する。
【0035】
次に、コア移動機構20の変形例を説明する。
図7に示すように、コア移動機構20Bは、固定盤12に取付けられるブラケット41と、このブラケット41に取付けられるベース21と、このベース21にz軸に沿って延びるように取付けられる第2アクチュエータ25と、この第2アクチュエータ25で支持される昇降板42と、この昇降板42から下へ延びてベース21を貫通するガイド43、43と、昇降板42の取付けられてx軸に沿って延びる第1アクチュエータ24とを備えている。
この場合、スライドコア17に設けられる穴18はz軸に沿って延びる。
【0036】
第1アクチュエータ24を前進動させて、想像線で示すように穴18の下に先尖りピン30を置く。次に、第2アクチュエータ25を前進動させる。すると、昇降板42と共に第1アクチュエータ24が上昇し、結果、穴18に先尖りピン30が嵌る。次に、第1アクチュエータ24を後退動させることで、スライドコア17を抜き方向へ移動させることができる。
【0037】
第2アクチュエータ24は、
図2に示すようにy軸に沿って水平に配置することも、
図7に示すようにz軸に沿って鉛直に配置することもできる。
ただし、
図2よりも
図7の方がベース21の平面積が小さくなる。竪型型締装置は、横型型締装置よりも格段に床面積が小さいという特典がある。このような竪型型締装置には、
図7に示すコア移動機構20Bが好適である。
【0038】
尚、本実施例では、互いに直交する第1アクチュエータ24と第2アクチュエータ25で、係合部材27を二次元的に移動させることで、コア移動機構20、20Bを簡素化した。
しかし、第3アクチュエータを加えて、係合部材27を三次元的に移動させるようにすることは差し支えない。
【0039】
また、実施例ではロータリー式竪型型締装置を説明したが、型締装置20、20Bは、ターンテーブルを備えていない竪型型締装置や横型型締め装置であってもよい。また、ロータリー式横型型締め装置であってもよい。
【0040】
また、係合部材は、穴にピンを嵌める他、スライドコアの一端をクランプするクランパであってもよく、その構成、構造は適宜変更可能である。