特許第6084188号(P6084188)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6084188
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】型締装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/26 20060101AFI20170213BHJP
   B22D 17/26 20060101ALI20170213BHJP
   B22D 17/22 20060101ALI20170213BHJP
【FI】
   B29C45/26
   B22D17/26 A
   B22D17/22 H
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-173679(P2014-173679)
(22)【出願日】2014年8月28日
(65)【公開番号】特開2016-47634(P2016-47634A)
(43)【公開日】2016年4月7日
【審査請求日】2016年2月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227054
【氏名又は名称】日精樹脂工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100161355
【弁理士】
【氏名又は名称】野崎 俊剛
(72)【発明者】
【氏名】中沢 潤
(72)【発明者】
【氏名】池田 透
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 薫
(72)【発明者】
【氏名】竹内 克
【審査官】 田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−174594(JP,A)
【文献】 特開2004−82447(JP,A)
【文献】 特開2007−223081(JP,A)
【文献】 特開2010−173107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/26
B22D 17/22
B22D 17/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライドコアを備える金型を型締めする型締装置において、
前記金型は前記スライドコアを内蔵し、前記スライドコアの一端が前記金型から突出している構造の前記金型を型締めする型締装置であって、
前記型締装置は、前記金型を移動するターンテーブルと、このターンテーブルを回転自在に支える固定盤とを備えており、
前記型締装置は、前記スライドコアを軸方向に移動させるコア移動機構を備え、
前記コア移動機構は、前記固定盤に取付けられ、
前記コア移動機構は、前記スライドコアの一端に係合する係合部材と、この係合部材を前記スライドコアの軸方向へ移動する第1アクチュエータと、この第1アクチュエータを前記スライドコアの軸に直交する方向へ移動する第2アクチュエータとを備えている、
ことを特徴とする型締装置。
【請求項2】
前記型締装置は、竪型装置であることを特徴とする請求項1記載の型締装置。
【請求項3】
前記第1アクチュエータは油圧シリンダであり、前記第2アクチュエータはエアシリンダであることを特徴とする請求項1又は請求項2項記載の型締装置。
【請求項4】
前記油圧シリンダ及び前記エアシリンダは、ストロークエンドで止められることを特徴とする請求項3項記載の型締装置。
【請求項5】
前記油圧シリンダ及び前記エアシリンダは、サーボ制御により位置制御されることを特徴とする請求項3項記載の型締装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形装置に用いられる型締装置に関する。
【背景技術】
【0002】
成形品の形状が複雑である場合に、スライドコアが使用される。さらに、スライドコアをスライドさせる駆動手段の取付構造が知られている(例えば、特許文献1(図6)参照。)。
【0003】
特許文献1の図6に示されるように、可動型基部(11x)(括弧付き数字は、特許文献1に記載された符号を示す。以下同様)に、駆動シリンダ(29x)が取付けられている。この駆動シリンダ(29x)のピストンロッドに、コアブロックと呼ばれるスライドコア(4x)が取付けられており、このスライドコア(4x)は可動型基部(11x)に形成されているガイド凹部(27x)に沿って移動する。
【0004】
1個の金型に1本の駆動シリンダ(29x)が付設されるため、金型の数だけ駆動シリンダが必要となり、金型の製造コストが嵩む。また、駆動シリンダには油圧、エア圧又は電気を供給する必要があるが、金型の交換毎にホース又はハーネスを脱着する必要があり、そのための作業量が増加する。
【0005】
成形品の製造コストを圧縮することが求められている中、金型の製造コストが圧縮でき且つホース又はハーネスを着脱する必要がない型締装置が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3583076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、金型の製造コストが圧縮でき且つホース又はハーネスを着脱する必要がない型締装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、スライドコアを備える金型を型締めする型締装置において、前記金型は前記スライドコアを内蔵し、前記スライドコアの一端が前記金型から突出している構造の前記金型を型締めする型締装置であって、前記型締装置は、前記金型を移動するターンテーブルと、このターンテーブルを回転自在に支える固定盤とを備えており、前記型締装置は、前記スライドコアを軸方向に移動させるコア移動機構を備え、前記コア移動機構は、前記固定盤に取付けられ、前記コア移動機構は、前記スライドコアの一端に係合する係合部材と、この係合部材を前記スライドコアの軸方向へ移動する第1アクチュエータと、この第1アクチュエータを前記スライドコアの軸に直交する方向へ移動する第2アクチュエータとを備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明は、型締装置は、竪型装置であることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明は、第1アクチュエータは油圧シリンダであり、第2アクチュエータはエアシリンダであることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明は、油圧シリンダ及びエアシリンダは、ストロークエンドで止められることを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明は、油圧シリンダ及びエアシリンダは、サーボ制御により位置制御されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明では、スライドコアを備える金型を型締めする型締装置において、金型はスライドコアを内蔵し、スライドコアの一端が金型から突出している構造の金型を型締めする型締装置であって、コア移動機構を、金型ではなく、型締装置自体に設けた。金型にコア移動機構を設けないため、金型の製造コストを低減することができる。コア移動機構を型締装置側に設けたので、ホース又はハーネスは接続したままで済む。すなわち、本発明によれば、金型の製造コストが圧縮でき且つホース又はハーネスを着脱する必要がない型締装置が提供される。
【0015】
また、請求項1に係る発明では、型締装置は、金型を移動するターンテーブルと、このターンテーブルを回転自在に支える固定盤とを備えており、コア移動機構は、固定盤に取付けられる。ターンテーブルで、金型が射出ポジションと型開きポジションとに移動され、生産性を高めることができる。
【0016】
請求項2に係る発明では、型締装置は竪型装置であり、横型装置に比較して床面積を小さくすることができる。
【0017】
請求項3に係る発明では、第1アクチュエータは油圧シリンダであり、第2アクチュエータはエアシリンダである。油圧シリンダは大きな軸力を発生させることができるため、スライドコアを円滑に移動させることができる。エアシリンダの軸力は油圧シリンダより小さいものの、油圧シリンダに比べて格段に安価である。
【0018】
請求項4に係る発明では、油圧シリンダ及びエアシリンダは、ストロークエンドで止められる。ストロークエンドで止めるため、格別に位置制御を行う必要が無く、制御系を安価に構成することができる。
【0019】
請求項5に係る発明では、油圧シリンダ及びエアシリンダは、サーボ制御により位置制御される。位置制御が可能であるため、スライドコアの位置変更に追従させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る型締装置の平面図である。
図2】コア移動機構の平面図である。
図3】シリンダユニットの概念図である。
図4】型締装置の作用図である。
図5】型締装置の作用図である。
図6】型締装置の作用図である。
図7】コア移動機構の変更例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0022】
図1に示すように、型締装置10は、ターンテーブル11と、このターンテーブル11を回転自在に支える固定盤12と、この固定盤12に取付けられたコア移動機構20、20とを備えているロータリー式竪型型締装置である。
ターンテーブル11の回転中心にセンタータイバー13が貫通しつつ図面表裏方向に延び、このセンタータイバー13に平行に2本のサイドタイバー14、14が固定盤12を貫通しており、これらのタイバー13、14、14の上端に図示せぬ可動盤が取付けられており、ターンテーブル11上の金型16が型締めされる。
【0023】
金型16は、スライドコア17、17を内蔵し、これらのスライドコア17、17の一端が金型16外へ突出している。スライドコア17の先端に、例えば穴18が設けられている。以下、スライドコア17の軸をx軸、このx軸に直交し且つ水平面を通る軸をy軸、x軸に直交し且つ鉛直面を通る軸をz軸と呼ぶ。
【0024】
次に、コア移動機構20、20の構造例を説明する。
コア移動機構20は、ベース21と、このベース21に敷設されy軸に沿って延びるレール22と、このレール22に移動自在に嵌められるスライダ23と、このスライダ23に取付けられx軸に沿って延びる第1アクチュエータ24と、ベース21に設けられスライダ23を移動させる第2アクチュエータ25とを備えている。
【0025】
第1アクチュエータ24のロッド26には、係合部材27が取付けられている。この係合部材27は、例えば、ロッド26の先端にねじ込まれるソケット28と、ねじ込まれたソケット28の回り止めを図るロックナット29と、ソケット28に設けられy軸方向に延びる先尖りピン30とからなる。先尖りピン30の径は、穴(図1、符号18)の径より0.5〜1.0mm小さく設定される。
【0026】
第1アクチュエータ24は、油圧シリンダ、エアシリンダ、電動シリンダの何れでもよいが、スライドコア17の引き抜きや押し込みのために、大きな軸力を発生させる必要があることから、油圧シリンダが好適である。
【0027】
第2アクチュエータ25は、油圧シリンダ、エアシリンダ、電動シリンダの何れでもよいが、無負荷状態の第1アクチュエータ24を水平移動させるだけであるから、軸力は少なくて済む。したがって、エアシリンダ又は電動シリンダが採用できる。電動シリンダは高価であるため、安価なエアシリンダが推奨される。
【0028】
油圧シリンダ及びエアシリンダは、サーボ制御によりピストンロッドの位置制御が可能となる。ただし、サーボ制御を採用すると制御系が高価となる。
そこで、本発明の一つの形態として、サーボ制御によらない技術を採用する。その具体例を以下に説明する。
【0029】
シリンダユニットの基本構成と作用を図3に示す概念図で説明する。
図3(a)に示すように、油圧シリンダ又はエアシリンダは、シリンダ32と、このシリンダ32に移動自在に収納されるピストン33と、シリンダ32を塞ぐ前エンドプレート34及び後エンドプレート35と、ピストン33から延びて前エンドプレート34を貫通するピストンロッド36と、後エンドプレート35にねじ込んだストローク調整ねじ37とを基本要素とする。
【0030】
ピストン33を前進させると、図3(b)に示すように、前エンドプレート34に当たって止まる。すなわち、前側ストロークエンドで止められる。
ピストン33を後進させると、図3(c)に示すように、ストローク調整ねじ37に当たって止まる。すなわち、後側ストロークエンドで止められる。
【0031】
ロックナット38を緩めて、ストローク調整ねじ37を回すことにより、後側ストロークエンドの位置が変更できる。ストローク調整ねじ37は前エンドプレート34に設けることもできる。
以上により、サーボ制御を行うことなく、ピストンロッド36の前進限位置と後進限位置を人為的に定めることができる。
【0032】
以上の構成からなる型締装置10の作用を、図4図6に基づいて説明する
図4(a)で、金型16へ射出工程を実施しつつ、第1アクチュエータ24は前進限位置に保ち、第2アクチュエータ25は後進限位置に保つ。
図4(b)に示すように、ターンテーブル11を180°回す。この後、第2アクチュエータ25を前進動させる。すると、先尖りピン30が穴18に向かう。
【0033】
図5(a)に示すように、スライドコア17に係合部材27が係合された。この状態で、第1アクチュエータ24を後退動させる。
図5(b)に示すように、スライドコア17が距離Lだけ引かれた。この後、金型16から成形品を取り出す。
【0034】
次の成形に備えて、図6(a)に示すように、第1アクチュエータ24を前進動させて、スライドコア17を前進させる。
図6(b)に示すように、第2アクチュエータ25を後退動させて、スライドコア17から係合部材27を十分に引き離す。次に、ターンテーブル11を180度回す。これで、図4(a)に戻る。すなわち、図4図6を繰り返した射出成形を実施する。
【0035】
次に、コア移動機構20の変形例を説明する。
図7に示すように、コア移動機構20Bは、固定盤12に取付けられるブラケット41と、このブラケット41に取付けられるベース21と、このベース21にz軸に沿って延びるように取付けられる第2アクチュエータ25と、この第2アクチュエータ25で支持される昇降板42と、この昇降板42から下へ延びてベース21を貫通するガイド43、43と、昇降板42の取付けられてx軸に沿って延びる第1アクチュエータ24とを備えている。
この場合、スライドコア17に設けられる穴18はz軸に沿って延びる。
【0036】
第1アクチュエータ24を前進動させて、想像線で示すように穴18の下に先尖りピン30を置く。次に、第2アクチュエータ25を前進動させる。すると、昇降板42と共に第1アクチュエータ24が上昇し、結果、穴18に先尖りピン30が嵌る。次に、第1アクチュエータ24を後退動させることで、スライドコア17を抜き方向へ移動させることができる。
【0037】
第2アクチュエータ24は、図2に示すようにy軸に沿って水平に配置することも、図7に示すようにz軸に沿って鉛直に配置することもできる。
ただし、図2よりも図7の方がベース21の平面積が小さくなる。竪型型締装置は、横型型締装置よりも格段に床面積が小さいという特典がある。このような竪型型締装置には、図7に示すコア移動機構20Bが好適である。
【0038】
尚、本実施例では、互いに直交する第1アクチュエータ24と第2アクチュエータ25で、係合部材27を二次元的に移動させることで、コア移動機構20、20Bを簡素化した。
しかし、第3アクチュエータを加えて、係合部材27を三次元的に移動させるようにすることは差し支えない。
【0039】
また、実施例ではロータリー式竪型型締装置を説明したが、型締装置20、20Bは、ターンテーブルを備えていない竪型型締装置や横型型締め装置であってもよい。また、ロータリー式横型型締め装置であってもよい。
【0040】
また、係合部材は、穴にピンを嵌める他、スライドコアの一端をクランプするクランパであってもよく、その構成、構造は適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、ロータリー式竪型型締装置に好適である。
【符号の説明】
【0042】
10…型締装置、11…ターンテーブル、12…固定盤、16…金型、17…スライドコア、20、20B…コア移動機構、24…第1アクチュエータ、25…第2アクチュエータ、27…係合部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7