特許第6084202号(P6084202)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6084202基板処理装置、半導体装置の製造方法及び基板処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6084202
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】基板処理装置、半導体装置の製造方法及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20170213BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20170213BHJP
   C23C 16/52 20060101ALI20170213BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20170213BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20170213BHJP
【FI】
   H01L21/31 B
   H01L21/316 X
   C23C16/52
   H01L21/68 N
   H01L21/68 A
【請求項の数】7
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2014-503788(P2014-503788)
(86)(22)【出願日】2013年2月27日
(86)【国際出願番号】JP2013055126
(87)【国際公開番号】WO2013133101
(87)【国際公開日】20130912
【審査請求日】2016年2月9日
(31)【優先権主張番号】特願2012-49992(P2012-49992)
(32)【優先日】2012年3月7日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 武夫
【審査官】 長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−250780(JP,A)
【文献】 特開平07−045524(JP,A)
【文献】 特開2004−259933(JP,A)
【文献】 特開2011−222825(JP,A)
【文献】 特開昭62−132321(JP,A)
【文献】 特開平04−142057(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205−21/32、21/365、
21/469−21/475、21/67−21/683、
21/86、
C23C 16/00−16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の処理基板を収容する処理基板用カセット及び複数枚のダミー基板を収容するダミー基板用カセットを載置するカセット載置部と、
前記処理基板もしくは前記ダミー基板、又は前記処理基板及び前記ダミー基板を複数枚処理する処理室と、
前記処理室内に設けられ、前記処理基板又は前記ダミー基板を載置する基板載置面をそれぞれ有する複数の基板載置部が円周上に配列された基板支持部と、
前記処理室内に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内を排気する排気部と、
前記カセット載置部と前記処理室との間で、前記処理基板又は前記ダミー基板を搬送する搬送部と、
前記ダミー基板毎の累積膜厚値を算出する算出部と、
少なくとも前記処理室内で行われる基板処理及び前記搬送部による前記処理基板又は前記ダミー基板の搬送処理を制御する制御部と、を備え
前記基板処理を行う際に、前記処理室内への前記ダミー基板の搬入が必要と判断された場合、
前記制御部は、
前記ダミー基板の搬送処理を行うときに、前記ダミー基板用カセットに収容された前記ダミー基板のうち、前記累積膜厚値の最も少ない前記ダミー基板を優先的に選択し、前記搬送部により前記処理室内に搬入するように制御する
基板処理装置。
【請求項2】
前記制御部は
記算出部により算出された前記ダミー基板の前記累積膜厚値に基づいて、前記搬送部による前記基板の搬送処理の制御、又は前記処理室内で行われる基板処理の実行可否の判定の少なくともいずれかを行うよう制御する
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記制御部には、前記ダミー基板に設定された累積膜厚値の第一の閾値が予め格納されており、
前記制御部は、
前記ダミー基板用カセットに収容された前記ダミー基板のうち、前記処理室内に搬入される前記ダミー基板の累積膜厚値が、前記第一の閾値を超えた場合、基板処理を実行しつつ、前記ダミー基板用カセットの交換を促す警告を、操作部又は上位装置に通知するよう制御する
請求項1又は2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記制御部には、前記ダミー基板に設定された累積膜厚値の第二の閾値が予め格納されており、
前記制御部は、
前記ダミー基板用カセットに収容された前記ダミー基板のうち、前記処理室内に搬入される前記ダミー基板の累積膜厚値が、前記第二の閾値を超えた場合、基板処理を実行せずに、前記ダミー基板の累積膜厚値が、前記第二の閾値を超えている旨を示す警告を、操作部又は上位装置に通知するよう制御する
請求項1ないしのいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項5】
複数枚の処理基板を収容する処理基板用カセット及び複数枚のダミー基板を収容するダミー基板用カセットを、カセット載置部に載置するカセット載置工程と、
基板処理の要求を受け付けて、前記処理基板用カセットに収容された前記処理基板の枚数を検出し、処理室内に搬入する前記ダミー基板の枚数を決定するダミー基板割当工程と、
前記ダミー基板毎の累積膜厚値を算出する算出工程と、
前記ダミー基板用カセットから前記処理室内に搬入する所定枚数の前記ダミー基板を選択するダミー基板選択工程と、
搬送部を用いて前記処理基板及び前記ダミー基板選択工程にて選択された前記ダミー基板を前記処理室内に搬送し、前記処理室内に設けられた基板支持部の表面に円周上に配列された複数の基板載置部が備えるそれぞれの基板載置面上に、複数枚の前記基板を載置する基板搬入工程と、
排気部により前記処理室内を排気しつつ、ガス供給部により前記処理室内に処理ガスを供給して前記基板を処理する基板処理工程と、を有し、
前記基板搬入工程では、前記処理室内への前記ダミー基板の搬入が必要と判断された場合、前記ダミー基板の搬送処理を行うときに、前記ダミー基板用カセットに収容された前記ダミー基板のうち、前記累積膜厚値の最も少ない前記ダミー基板を優先的に選択し、前記搬送部により前記処理室内に搬入する、
半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記ダミー基板選択工程では、
制御部が備える算出部により算出された前記ダミー基板毎の累積膜厚値に基づいて、前記処理室内に搬入する前記ダミー基板を選択し、
前記基板搬入工程では、
前記基板を前記処理室内に搬送する前に、前記処理室内に搬入される前記ダミー基板の累積膜厚値に基づいて、基板処理の実行可否を判定する
請求項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
複数枚の処理基板を収容する処理基板用カセット及び複数枚のダミー基板を収容するダミー基板用カセットを、カセット載置部に載置するカセット載置工程と、
基板処理の要求を受け付けて、前記処理基板用カセットに収容された前記処理基板の枚数を検出し、処理室内に搬入する前記ダミー基板の枚数を決定するダミー基板割当工程と、
前記ダミー基板毎の累積膜厚値を算出する算出工程と、
前記ダミー基板用カセットから前記処理室内に搬入する所定枚数の前記ダミー基板を選択するダミー基板選択工程と、
搬送部を用いて前記処理基板及び前記ダミー基板選択工程にて選択された前記ダミー基板を前記処理室内に搬送し、前記処理室内に設けられた基板支持部の表面に円周上に配列された複数の基板載置部が備えるそれぞれの基板載置面に、複数枚の前記基板を載置する基板搬入工程と、
排気部により前記処理室内を排気しつつ、ガス供給部により前記処理室内に処理ガスを供給して前記基板を処理する基板処理工程と、を有し、
前記基板搬入工程では、前記処理室内への前記ダミー基板の搬入が必要と判断された場合、前記ダミー基板の搬送処理を行うときに、前記ダミー基板用カセットに収容された前記ダミー基板のうち、前記累積膜厚値の最も少ない前記ダミー基板を優先的に選択し、前記搬送部により前記処理室内に搬入する、
基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置、半導体装置の製造方法及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばDRAM等の半導体装置の製造工程の一工程として、基板上に薄膜を形成する等の基板処理工程が実施されてきた。かかる基板処理工程は、複数枚の処理基板を収容する処理基板用カセット及び複数枚のダミー基板を収容するダミー基板用カセットを載置するカセット載置部と、処理基板又はダミー基板の少なくともいずれかの基板を処理する処理室と、処理室内に処理ガスを供給するガス供給部と、処理室内を排気する排気部と、カセット載置部と処理室との間で基板を搬送する搬送部と、を備える基板処理装置により実施されている。
【0003】
ダミー基板は繰り返し使用されるため、例えば基板処理が成膜処理である場合、複数回使用されるうちにダミー基板上には堆積膜が累積していく。そこで、累積膜厚値の増大による膜剥がれや、堆積膜の応力によるダミー基板の反りや変形等を未然に防ぐため、所定の使用回数又は所定の累積膜厚値を超過した場合にはダミー基板を交換する。工場の製造ラインでは、一のダミー基板用カセットに収容された複数枚のダミー基板のいずれかが所定の累積膜厚値を超えると、ダミー基板用カセット毎にダミー基板が交換され、一様に廃棄されるか再生される。このため、ダミー基板の使用回数又は累積膜厚値等がそれぞれ均等になるように使用することが望ましい。そこで、例えばダミー基板の累積膜厚値等に基づきダミー基板を選択して使用することにより、ダミー基板用カセット内の全ダミー基板について有効利用が図られてきた(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−259933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、所定枚数のダミー基板が、所定の累積膜厚値を超えたため、ダミー基板用カセットを交換する必要があるにもかかわらず、例えば、ダミー基板用カセットの交換忘れ等の管理ミスが発生する場合がある。このような管理ミスが発生した際、所定の累積膜厚値を超えたダミー基板を使用して、基板処理が続行される場合があった。このため、累積膜厚値の増大による膜剥がれ等によって、処理室内にパーティクルが発生し、基板処理の品質が低下する場合があった。
【0006】
本発明は、パーティクルの発生を抑制し、基板処理品質を向上させることができる基板処理装置、半導体装置の製造方法及び基板処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、
複数枚の処理基板を収容する処理基板用カセット及び複数枚のダミー基板を収容するダミー基板用カセットを載置するカセット載置部と、
前記処理基板もしくは前記ダミー基板、又は前記処理基板及び前記ダミー基板を複数枚処理する処理室と、
前記処理室内に設けられ、複数枚の前記基板を載置する基板載置面をそれぞれ有する複数の基板載置部が円周上に配列された基板支持部と、
前記処理室内に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内を排気する排気部と、
前記カセット載置部と前記処理室との間で、前記基板を搬送する搬送部と、
少なくとも前記処理室内で行われる基板処理及び前記搬送部による前記基板の搬送処理を制御する制御部と、を備える
基板処理装置が提供される。
【0008】
本発明の他の態様によれば、
複数枚の処理基板を収容する処理基板用カセット及び複数枚のダミー基板を収容するダミー基板用カセットを、カセット載置部に載置するカセット載置工程と、
基板処理の要求を受け付けて、前記処理基板用カセットに収容された前記処理基板の枚数を検出し、処理室内に搬入する前記ダミー基板の枚数を決定するダミー基板割当工程と、
前記ダミー基板用カセットから前記処理室内に搬入する所定枚数の前記ダミー基板を選択するダミー基板選択工程と、
搬送部を用いて前記処理基板及び前記ダミー基板割当工程にて割り当てられた前記ダミー基板を前記処理室内に搬送し、前記処理室内に設けられた基板支持部の表面に円周上に配列された複数の基板載置部が備えるそれぞれの基板載置面に、複数枚の前記基板を載置する基板搬入工程と、
排気部により前記処理室内を排気しつつ、ガス供給部により前記処理室内に処理ガスを供給して前記基板を処理する基板処理工程と、を有する
半導体装置の製造方法が提供される。
【0009】
本発明の更に他の態様によれば、
複数枚の処理基板を収容する処理基板用カセット及び複数枚のダミー基板を収容するダミー基板用カセットを、カセット載置部に載置するカセット載置工程と、
基板処理の要求を受け付けて、前記処理基板用カセットに収容された前記処理基板の枚数を検出し、処理室内に搬入する前記ダミー基板の枚数を決定するダミー基板割当工程と、
前記ダミー基板用カセットから前記処理室内に搬入する所定枚数の前記ダミー基板を選択するダミー基板選択工程と、
搬送部を用いて前記処理基板及び前記ダミー基板割当工程にて割り当てられた前記ダミー基板を前記処理室内に搬送し、前記処理室内に設けられた基板支持部の表面に円周上に配列された複数の基板載置部が備えるそれぞれの基板載置面に、複数枚の前記基板を載置する基板搬入工程と、
排気部により前記処理室内を排気しつつ、ガス供給部により前記処理室内に処理ガスを供給して前記基板を処理する基板処理工程と、を有する
基板処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る基板処理装置、半導体装置の製造方法及び基板処理方法によれば、パーティクルの発生を抑制し、基板処理品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るクラスタ型の基板処理装置の横断面概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係る処理室が備える反応容器の概略斜視図である
図3】本発明の一実施形態に係る処理室の縦断面概略図である。
図4】本発明の一実施形態に係る処理室の横断面概略図である
図5】本発明の実施形態で好適に用いられる基板処理装置のコントローラの概略構成図である。
図6】本発明の一実施形態に係る基板処理工程を含むロット処理工程を示すフロー図である。
図7】本発明の一実施形態に係る基板処理工程における成膜工程での基板への処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<本発明の一実施形態>
本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0013】
(1)基板処理装置の構成
図1は、本実施形態にかかるクラスタ型の基板処理装置の横断面図である。本実施形態にかかるクラスタ型の基板処理装置の搬送装置は、真空側と大気側とに分かれている。本明細書中における「真空」とは工業的真空を意味する。
【0014】
(真空側の構成)
クラスタ型の基板処理装置100は、内部を真空状態などの大気圧未満の圧力(例えば100Pa)に減圧可能なロードロックチャンバ構造に構成された第1搬送室としての真空搬送室103を備えている。真空搬送室103の筐体101は、平面視が例えば六角形で、上下両端が閉塞した箱形状に形成されている。
【0015】
真空搬送室103の筐体101を構成する六枚の側壁のうち、前側に位置する二枚の側壁には、ゲートバルブ126,127を介して,ロードロック室122,123が真空搬送室103と連通可能にそれぞれ設けられている。
【0016】
真空搬送室103の他の四枚の側壁には、ゲートバルブ244a,244b,244c,244dを介して、処理室としてのプロセスチャンバ202a,202b,202c,202dが真空搬送室103と連通可能にそれぞれ設けられている。プロセスチャンバ202a〜202dは、後述するガス供給部250、排気部等が設けられている。プロセスチャンバ202a〜202dは、後述するように、1つの反応容器203内に複数の処理領域及び処理領域と同数のパージ領域が交互に配列されており、基板支持部としてのサセプタ217を回転させて、処理基板である処理ウエハ200a及びダミー基板であるダミーウエハ200bの少なくともいずれかであるウエハ200が処理領域及びパージ領域を交互に通過することにより、ウエハ200への処理ガスの供給及び不活性ガスの供給を交互に行い、ウエハ200上へ薄膜を形成する処理や、ウエハ200表面を酸化、窒化、炭化等する処理等の各種基板処理を実施するように構成されている。
【0017】
真空搬送室103内には、第1搬送機構としての真空搬送ロボット112が設けられている。真空搬送ロボット112は、ロードロック室122,123と、プロセスチャンバ202a〜202dとの間で、ウエハ200(図1中、点線で示す)を搬送可能に構成されている。後述するように、本実施例では、処理ウエハ200a、ダミーウエハ200bをウエハ200として使用している。真空搬送ロボット112は、エレベータ115によって、真空搬送室103の気密性を維持しつつ昇降可能に構成されている。また、ロードロック室122,123のゲートバルブ126,127、プロセスチャンバ202a〜202dのゲートバルブ244a〜244dのそれぞれの近傍には、処理ウエハ200a又はダミーウエハ200bの有無を検知する基板検知部として図示しないウエハ有無センサが設けられている。
【0018】
ロードロック室122,123は、内部が真空状態などの大気圧未満の圧力(減圧)に減圧可能なロードロックチャンバ構造に構成されている。すなわち、ロードロック室122,123の前側には、ゲートバルブ128,129を介して、後述する第2搬送室としての大気搬送室121が設けられている。このため、ゲートバルブ126〜129を閉じてロードロック室122,123内部を真空排気した後、ゲートバルブ126,127を開けることで、真空搬送室103の真空状態を保持しつつ、ロードロック室122,123と真空搬送室103との間で処理ウエハ200a及びダミーウエハ200bを搬送可能に構成されている。また、ロードロック室122,123は、真空搬送室103内へ搬入する処理ウエハ200a及びダミーウエハ200bを一時的に収納する予備室として機能する。この際、ロードロック室122内では基板載置部140上に、ロードロック室123内では基板載置部141上にそれぞれウエハ200(処理ウエハ200a又はダミーウエハ200b)が載置されるように構成されている。
【0019】
(大気側の構成)
基板処理装置100の大気側には、略大気圧下で用いられる、第2搬送室としての大気搬送室121が設けられている。すなわち、ロードロック室122,123の前側には、ゲートバルブ128,129を介して、大気搬送室121が設けられている。なお、大気搬送室121は、ロードロック室122,123と連通可能に設けられている。
【0020】
大気搬送室121には、処理ウエハ200a及びダミーウエハ200bを移載する第2搬送機構としての大気搬送ロボット124が設けられている。大気搬送ロボット124は、大気搬送室121に設けられた図示しないエレベータによって昇降されるように構成されているとともに、図示しないリニアアクチュエータによって左右方向に往復移動されるように構成されている。また、大気搬送室121のゲートバルブ128,129の近傍には、処理ウエハ200a及びダミーウエハ200bの有無を検知する基板検知部として図示しないウエハ有無センサが設けられている。
【0021】
また、大気搬送室121内には、少なくとも処理ウエハ200aの位置補正を行う補正装置として、処理ウエハ200aの結晶方向や位置合わせ等を処理ウエハ200aのノッチを用いて行うノッチ合わせ装置106が設けられている。なお、ノッチ合わせ装置106の代わりに、図示しないオリフラ(Orientation Flat)合わせ装置が設けられてもよい。そして、大気搬送室121の上部には、クリーンエアを供給する図示しないクリーンユニットが設けられている。
【0022】
大気搬送室121の筐体125の前側には、処理ウエハ200a及びダミーウエハ200bを大気搬送室121内外に搬送する基板搬送口134と、カセットオープナ108とが設けられている。基板搬送口134を挟んで、カセットオープナ108と反対側、すなわち筐体125の外側には、カセット載置台(カセット載置部)としてのロードポート(I/Oステージ)105が設けられている。ロードポート105上には複数枚のウエハ200を収容するカセット109が載置されている。すなわち、本実施形態では、ロードポート105上には、複数枚の処理ウエハ200aを収容する処理基板用カセット109a,109b、及び複数枚のダミーウエハ200bを収容するカセット109cが載置されている。また、大気搬送室121内には、基板搬送口134を開閉する蓋(図示せず)や、カセット109のキャップ等を開閉させる開閉機構(図示せず)と、開閉機構を駆動する開閉機構駆動部(図示せず)とが設けられている。カセットオープナ108は、ロードポート105に載置されたカセット109のキャップを開閉することにより、カセット109に対する処理ウエハ200a又はダミーウエハ200bの出し入れを可能にする。また、カセット109は図示しない搬送装置(RGV)によって、ロードポート105に対して、搬入(供給)および搬出(排出)されるようになっている。
【0023】
主に、真空搬送室103、真空搬送ロボット112、ロードロック室122,123、大気搬送室121、大気搬送ロボット124及びゲートバルブ126〜129により、ロードポート105とプロセスチャンバ202a,202bとの間で、処理ウエハ200a及びダミーウエハ200bを搬送する、本実施形態に係る基板処理装置100の搬送部が構成される。
【0024】
また、基板処理装置100の搬送部の各構成には、後述する制御部221が電気的に接続されている。そして、上述した各構成の動作を、それぞれ制御するように構成されている。
【0025】
(ウエハ搬送動作)
次に、本実施形態に係る基板処理装置100内における処理ウエハ200a及びダミーウエハ200bの搬送動作、すなわちウエハ200の搬送動作を説明する。なお、基板処理装置100の搬送部の各構成の動作は、後述する制御部221によって制御される。
【0026】
まず、例えば、25枚の未処理の処理ウエハ200aを収容した処理基板用カセット109a、25枚の処理済みの処理ウエハ200aを収容する処理基板用カセット109b、及び25枚のダミーウエハ200bを収容したダミー基板用カセット109cが、図示しない搬送装置によって基板処理装置100に搬入されてくる。搬入されてきたカセット109a〜109cは、ロードポート105上に載置される。このとき、基板処理装置100内に常駐するダミー基板用カセット109cは、1つに留めることが望ましい。そして、図示しない開閉機構が、処理基板用カセット109a又はダミー基板用カセット109cのキャップを取り外し、基板搬送口134と、処理基板用カセット109a又はダミー基板用カセット109cのウエハ出入口とを開放する。
【0027】
処理基板用カセット109a又はダミー基板用カセット109cのウエハ出入口を開放すると、大気搬送室121内に設置されている大気搬送ロボット124は、処理基板用カセット109a又はダミー基板用カセット109cから、処理ウエハ200a又はダミーウエハ200bを1枚ピックアップして、ノッチ合わせ装置106上へ載置する。
【0028】
ノッチ合わせ装置106は、載置されたウエハ200(処理ウエハ200a又はダミーウエハ200b)を、水平の縦横方向(X方向,Y方向)及び円周方向に動かして、ウエハ200のノッチ位置や中心位置等を調整する。ノッチ合わせ装置106で、処理基板用カセット109から搬出した1枚目のウエハ200の位置調整を実施中に、大気搬送ロボット124は、2枚目の処理ウエハ200a又はダミーウエハ200bを処理基板用カセット109a又はダミー基板用カセット109cからピックアップして大気搬送室121内に搬入し、大気搬送室121内で待機する。
【0029】
ノッチ合わせ装置106により1枚目のウエハ200の位置調整が終了した後、大気搬送ロボット124は、ノッチ合わせ装置106上の1枚目のウエハ200をピックアップする。大気搬送ロボット124は、そのとき大気搬送ロボット124が保持している2枚目のウエハ200を、ノッチ合わせ装置106上へ載置する。その後、ノッチ合わせ装置106は、載置された2枚目のウエハ200のノッチ位置等を調整する。
【0030】
次に、ゲートバルブ128が開けられ、大気搬送ロボット124は、1枚目のウエハ200をロードロック室122内に搬入し、基板載置部140上に載置する。この移載作業中には、真空搬送室103側のゲートバルブ126は閉じられており、真空搬送室103内の減圧雰囲気は維持されている。1枚目のウエハ200の基板載置部140上への移載が完了すると、ゲートバルブ128が閉じられ、ロードロック室122内が図示しない排気装置によって負圧になるよう排気される。
【0031】
以降、大気搬送ロボット124は、上述の動作を繰り返す。ただし、ロードロック室122が負圧状態の場合、大気搬送ロボット124は、ロードロック室122内への処理ウエハ200a又はダミーウエハ200bの搬入を実行せず、ロードロック室122の直前位置で停止して待機する。
【0032】
ロードロック室122内が予め設定された圧力値(例えば100Pa)に減圧されると、ゲートバルブ126が開けられて、ロードロック室122と真空搬送室103とが連通される。続いて、真空搬送室103内に配置された真空搬送ロボット112は、基板載置部140から1枚目のウエハ200をピックアップして、真空搬送室103内に搬入する。
【0033】
真空搬送ロボット112が基板載置部140から1枚目のウエハ200をピックアップした後、ゲートバルブ126が閉じられ、ロードロック室122内が大気圧に復帰させられ、ロードロック室122内に次のウエハ200(2枚目の処理ウエハ200a又はダミーウエハ200b)を搬入するための準備が行われる。それと並行して、所定の圧力(例えば100Pa)にあるプロセスチャンバ202aのゲートバルブ244aが開けられ、真空搬送ロボット112が1枚目のウエハ200をプロセスチャンバ202a内に搬入する。この動作をプロセスチャンバ202a内に、処理ウエハ200a又はダミーウエハ200bの少なくともいずれかのウエハ200が任意の枚数(例えば5枚)搬入されるまで繰り返す。プロセスチャンバ202a内に任意の枚数(例えば5枚)のウエハ200の搬入が完了したら、ゲートバルブ244aが閉じられる。そして、プロセスチャンバ202a内に後述するガス供給部250から処理ガスが供給され、ウエハ200に所定の処理が施される。
【0034】
プロセスチャンバ202aにおいて所定の処理が終了すると、ゲートバルブ244aが開けられ、真空搬送ロボット112によって、ウエハ200がプロセスチャンバ202a内から真空搬送室103へ搬出される。搬出された後、ゲートバルブ244aが閉じられる。
【0035】
続いて、ゲートバルブ127が開けられ、プロセスチャンバ202aから搬出したウエハ200は、ロードロック室123内へ搬入されて、基板載置部141上に載置される。なお、ロードロック室123は、図示しない排気装置によって、予め設定された圧力値に減圧されている。そして、ゲートバルブ127が閉じられ、ロードロック室123に接続された図示しない不活性ガス供給部から不活性ガスが導入され、ロードロック室123内の圧力が大気圧に復帰させられる。
【0036】
ロードロック室123において、ロードロック室123内の圧力が大気圧に復帰させられると、ゲートバルブ129が開けられる。続いて、大気搬送ロボット124が基板載置部141上から処理済みのウエハ200をピックアップして大気搬送室121内に搬出した後、ゲートバルブ129が閉じられる。その後、大気搬送ロボット124は、大気搬送室121の基板搬送口134を通して、処理済の処理ウエハ200aを、例えば、空きの処理基板用カセット109bに収容し、ダミーウエハ200bを、ダミー基板用カセット109cに収容する。ここで、処理基板用カセット109bのキャップは、最大25枚のウエハ200が戻されるまでずっと開け続けていてもよい。また、処理済みのウエハ200は、空きのカセット109bに収容せずにウエハを取り出した元の処理基板用カセット109aに戻してもよい。
【0037】
前述の工程によって処理基板用カセット109a内の全ての未処理の処理ウエハ200aに所定の処理が施され、処理済みの25枚の処理ウエハ200aの全てが所定のカセット109bへ収容されると、カセット109a〜109cのキャップと、基板搬送口134の蓋とが図示しない開閉機構によって閉じられる。その後、処理基板用カセット109a,109bは、ロードポート105上から次の工程へ、図示しない搬送装置によって搬送される。以上の動作が繰り返されることにより、処理ウエハ200が25枚ずつ順次処理されていく。
【0038】
(2)プロセスチャンバの構成
続いて、本実施形態に係る処理室としてのプロセスチャンバ202aの構成について、主に図2図5を用いて説明する。図2は、本実施形態に係る処理室が備える反応容器の概略斜視図である。図3は、本実施形態に係る処理室の縦断面概略図である。図4は、本実施形態に係る処理室の横断面概略図である。図5は、本実施形態で好適に用いられる基板処理装置のコントローラの概略構成図である。なお、プロセスチャンバ202b〜202dについては、プロセスチャンバ202aと同様に構成されているため、説明を省略する。
【0039】
(反応容器)
図2図4に示すように、処理室としてのプロセスチャンバ202aは、円筒状の気密容器である反応容器203を備えている。反応容器203内には、処理ウエハ200a又はダミーウエハ200bの少なくともいずれかのウエハ200を処理する処理空間が形成されている。反応容器203内の処理空間の上側、即ち天井側には、中心部から放射状に延びる4枚の仕切板205が設けられている。4枚の仕切板205は、反応容器203内の処理空間を、第1の処理領域201a、第1のパージ領域204a、第2の処理領域201b、第2のパージ領域204bに仕切るように構成されている。なお、第1の処理領域201a、第1のパージ領域204a、第2の処理領域201b、第2のパージ領域204bは、後述するサセプタ217の回転方向に沿って、この順番に配列するように構成されている。
【0040】
後述するように、サセプタ217を回転させることで、サセプタ217上面に円周上に複数配列された載置部217aのそれぞれに載置されたウエハ200は、第1の処理領域201a、第1のパージ領域204a、第2の処理領域201b、第2のパージ領域204bの順に移動することとなる。また、後述するように、第1の処理領域201a内には第1の処理ガスが供給され、第2の処理領域201b内には第2の処理ガスが供給され、第1のパージ領域204a内及び第2のパージ領域204b内には、不活性ガスが供給されるように構成されている。そのため、サセプタ217を回転させることで、ウエハ200上には、第1の処理ガス、不活性ガス、第2の処理ガス、不活性ガスがこの順に交互に供給され、所望の膜が形成される。このとき、サセプタ217上の特に載置部217aにも係る膜が形成されてしまうことがある。サセプタ217及びガス供給部250の構成については後述する。
【0041】
仕切板205の端部と反応容器203の側壁との間には、所定の幅の隙間が設けられており、この隙間をガスが通過できるように構成されている。第1のパージ領域204a内及び第2のパージ領域204b内や上述の隙間から第1の処理領域201a内及び第2の処理領域201b内に向けて不活性ガスを噴出させるようにすることで、第1のパージ領域204a内及び第2のパージ領域204b内への処理ガスの侵入を抑制することができ、処理ガスの反応(これによる異物の生成)を抑制することができるように構成されている。
【0042】
なお、本実施形態では、各仕切板205の間の角度をそれぞれ90度としたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、ウエハ200への各種ガスの供給時間等を考慮して、例えば第2の処理領域201bを形成する2枚の仕切板205の間の角度を大きくしたりする等、適宜変更してもよい。
【0043】
(サセプタ)
図2図4に示すように、仕切板205の下側、すなわち反応容器203内の底側中央には、反応容器203の中心に回転軸の中心を有し、回転自在に構成された基板支持部としてのサセプタ217が設けられている。サセプタ217は、ウエハ200の金属汚染を低減することができるように、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、セラミックス、石英等の非金属材料で形成されている。なお、サセプタ217は、反応容器203とは電気的に絶縁されている。
【0044】
サセプタ217は、反応容器203内にて、複数枚(本実施形態では例えば5枚)のウエハ200を同一面上に、かつ同一円周上に並べて支持するように構成されている。ここで、同一面上とは、完全な同一面に限られるものではなく、サセプタ217を上面から見たときに、図2に示すように、複数枚のウエハ200が互いに重ならないように並べられていればよい。
【0045】
なお、サセプタ217表面におけるウエハ200のそれぞれの支持位置には、図3に示すように、円形状の凹部である載置部217aが設けられている。この載置部217aは、その直径がウエハ200の直径よりもわずかに大きくなるように構成されている。この載置部217aの底部である基板載置面は面状であり、その基板載置面上にウエハ200を載置することにより、ウエハ200の位置決めを容易に行うことができる。ところで、基板載置面の径はウエハ200の直径よりも大きいので、サセプタ217の回転開始時にウエハ200に加わる遠心力によって、ウエハ200はサセプタ217の外周に向かって基板載置面上を滑る。この場合、滑ったウエハ200は載置部217a側面に当たるため、載置部217aからウエハ200が飛び出してしまうことを抑制することができる。
【0046】
ウエハ200をサセプタ217上に載置する際には、処理基板用カセット109aに収容された未処理の処理ウエハ200aの枚数を検出し、プロセスチャンバ202a内に搬入するダミーウエハ200bの枚数を決定する。
【0047】
ダミーウエハ200bは、後述するように、例えば載置部217aの基板載置面上に膜を形成しないことを目的として載置される。
【0048】
図3に示すように、サセプタ217には、サセプタ217を昇降させる昇降機構268が設けられている。サセプタ217には、貫通孔が複数設けられている。上述の反応容器203の底面には、反応容器203内へのウエハ200の搬入・搬出時に、ウエハ200を突き上げて、ウエハ200の裏面を支持するウエハ突き上げピンが複数設けられている。貫通孔及びウエハ突き上げピンは、ウエハ突き上げピンが上昇させられた時、又は昇降機構268によりサセプタ217が下降させられた時に、ウエハ突き上げピンがサセプタ217とは非接触な状態で貫通孔を突き抜けるように、互いに配置されている。
【0049】
昇降機構268には、サセプタ217を回転させる回転機構267が設けられている。回転機構267の図示しない回転軸は、サセプタ217に接続されており、回転機構267を作動させることでサセプタ217を回転させることができるように構成されている。回転機構267には、後述する制御部221が、カップリング部267aを介して接続されている。カップリング部267aは、回転側と固定側との間を金属ブラシ等により電気的に接続するスリップリング機構として構成されている。これにより、サセプタ217の回転が妨げられないように構成されている。制御部221は、サセプタ217を所定の速度で所定時間回転させるように、回転機構267への供給電力を制御するように構成されている。上述したように、サセプタ217を回転させることにより、サセプタ217上に載置されたウエハ200は、第1の処理領域201a、第1のパージ領域204a、第2の処理領域201b及び第2のパージ領域204bをこの順番に移動することとなる。
【0050】
(加熱部)
サセプタ217の内部には、加熱部としてのヒータ218が一体的に埋め込まれており、ウエハ200を加熱できるように構成されている。ヒータ218に電力が供給されると、ウエハ200表面が所定温度(例えば室温〜1000℃程度)にまで加熱されるようになっている。なお、ヒータ218は、サセプタ217に載置されたそれぞれのウエハ200を個別に加熱するように、同一面上に複数(例えば5つ)設けてもよい。
【0051】
サセプタ217には温度センサ274が設けられている。ヒータ218及び温度センサ274には、電力供給線222を介して、温度調整器223、電力調整器224及びヒータ電源225が電気的に接続されている。温度センサ274により検出された温度情報に基づいて、ヒータ218への供給電力が制御されるように構成されている。
【0052】
(ガス供給部)
図3及び図4に示すように、反応容器203の上側には、第1の処理ガス導入部251と、第2の処理ガス導入部252と、不活性ガス導入部253と、後述する各ガス導入部にガスを供給する処理ガス供給系及び不活性ガス供給系とを備えるガス供給部250が設けられている。ガス供給部250は、反応容器203の上側に開設された開口に気密に設けられている。第1の処理ガス導入部251の側壁には、第1のガス噴出口254が設けられている。第2の処理ガス導入部252の側壁には、第2のガス噴出口255が設けられている。不活性ガス導入部253の側壁には、第1の不活性ガス噴出口256及び第2の不活性ガス噴出口257がそれぞれ対向するように設けられている。ガス供給部250は、第1の処理ガス導入部251から第1の処理領域201a内に第1の処理ガスを供給し、第2の処理ガス導入部252から第2の処理領域201b内に第2の処理ガスを供給し、不活性ガス導入部253から第1のパージ領域204a内及び第2のパージ領域204b内に不活性ガスを供給するように構成されている。ガス供給部250は、各処理ガス及び不活性ガスを混合させずに個別に供給することができ、また、各処理ガス及び不活性ガスを同時に供給することができるように構成されている。
【0053】
(処理ガス供給系)
第1の処理ガス導入部251の上流側には、第1のガス供給管232aが接続されている。第1のガス供給管232aの上流側には、上流方向から順に、原料ガス供給源233a、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)234a、及び開閉弁であるバルブ235aが設けられている。
【0054】
第1のガス供給管232aからは、第1の処理ガスとして、例えば、シリコン含有ガスが、マスフローコントローラ234a、バルブ235a、第1のガス導入部251及び第1のガス噴出口254を介して、第1の処理領域201a内に供給される。シリコン含有ガスとしては、例えばトリシリルアミン((SiHN、略称:TSA)ガス等を用いることができる。なお、第1の処理ガスは、常温常圧で固体、液体、及び気体のいずれであっても良いが、ここでは気体として説明する。第1の処理ガスが常温常圧で液体の場合は、原料ガス供給源233aとマスフローコントローラ234aとの間に、図示しない気化器を設ければよい。
【0055】
第2の処理ガス導入部252の上流側には、第2のガス供給管232bが接続されている。第2のガス供給管232bの上流側には、上流方向から順に、原料ガス供給源233b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)234b、及び開閉弁であるバルブ235bが設けられている。
【0056】
第2のガス供給管232bからは、第2の処理ガスとして、例えば酸素含有ガスである酸素(O)ガスが、マスフローコントローラ234b、バルブ235b、第2のガス導入部252及び第2のガス噴出口255を介して、第2の処理領域201b内に供給される。第2の処理ガスである酸素ガスは、プラズマ生成部206によりプラズマ状態とされ、ウエハ200に供給される。なお、第2の処理ガスである酸素ガスは、ヒータ218の温度及び反応容器203内の圧力を所定の範囲に調整し、熱で活性化させてもよい。なお、酸素含有ガスとしては、オゾン(O)ガスや水蒸気(HO)を用いてもよい。
【0057】
主に、第1のガス供給管232a、原料ガス供給源233a、マスフローコントローラ234a及びバルブ235aにより、第1の処理ガス供給系が構成される。なお、第1の処理ガス導入部251及び第1のガス噴出口254を、第1の処理ガス供給系に含めて考えてもよい。また、主に、第2のガス供給管232b、原料ガス供給源233b、マスフローコントローラ234b及びバルブ235bにより、第2の処理ガス供給系が構成される。なお、第2のガス導入部252及び第2のガス噴出口255を、第2の処理ガス供給系に含めて考えてもよい。そして、主に、第1のガス供給系及び第2のガス供給系により、処理ガス供給系が構成される。
【0058】
(不活性ガス供給系)
不活性ガス導入部253の上流側には、第1の不活性ガス供給管232cが接続されている。第1の不活性ガス供給管232cの上流側には、上流方向から順に、不活性ガス供給源233c、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)234c、及び開閉弁であるバルブ235cが設けられている。
【0059】
第1の不活性ガス供給管232cからは、不活性ガスとして、例えば窒素(N)ガスが、マスフローコントローラ234c、バルブ235c、不活性ガス導入部253、第1の不活性ガス噴出口256及び第2の不活性ガス噴出口257を介して、第1のパージ領域204a内及び第2のパージ領域204b内にそれぞれ供給される。第1のパージ領域204a内及び第2のパージ領域204b内に供給される不活性ガスは、後述する成膜工程(S32)ではパージガスとして作用する。なお、不活性ガスとしては、Nガスのほか、例えばHeガス、Neガス、Arガス等の希ガスを用いることができる。
【0060】
第1のガス供給管232aのバルブ235aよりも下流側には、第2の不活性ガス供給管232dの下流端が接続されている。第2の不活性ガス供給管232dの上流端は、第1の不活性ガス供給管232cのマスフローコントローラ234cとバルブ235cとの間に接続されている。第2の不活性ガス供給管232dには、開閉弁であるバルブ235dが設けられている。
【0061】
第2の不活性ガス供給管232dからは、不活性ガスとして、例えばNガスが、マスフローコントローラ234c、バルブ235d、第1のガス供給管232a、第1のガス導入部251及び第1のガス噴出口254を介して、第1の処理領域201a内に供給される。第1の処理領域201a内に供給される不活性ガスは、後述する成膜工程(S32)ではキャリアガス或いは希釈ガスとして作用する。
【0062】
また、第2のガス供給管232bのバルブ235bよりも下流側には、第3の不活性ガス供給管232eの下流端が接続されている。第3の不活性ガス供給管232eの上流端は、第1の不活性ガス供給管232cのマスフローコントローラ234cとバルブ235cとの間に接続されている。第3の不活性ガス供給管232eには、開閉弁であるバルブ235eが設けられている。
【0063】
第3の不活性ガス供給管232eからは、不活性ガスとして、例えばNガスが、マスフローコントローラ234c、バルブ235e、第2のガス供給管232b、第2のガス導入部252及び第2のガス噴出口255を介して、第2の処理領域201b内に供給される。第2の処理領域201b内に供給される不活性ガスは、第1の処理領域201a内に供給される不活性ガスと同様に、後述する成膜工程(S32)ではキャリアガス或いは希釈ガスとして作用する。
【0064】
主に、第1の不活性ガス供給管232c、不活性ガス供給源233c、マスフローコントローラ234c及びバルブ235cにより第1の不活性ガス供給系が構成される。なお、不活性ガス導入部253、第1の不活性ガス噴出口256及び第2の不活性ガス噴出口257を、第1の不活性ガス供給系に含めて考えてもよい。また、主に、第2の不活性ガス供給管232d及びバルブ235dにより第2の不活性ガス供給系が構成される。なお、不活性ガス供給源233c、マスフローコントローラ234c、第1のガス供給管232a、第1のガス導入部251及び第1のガス噴出口254を、第2の不活性ガス供給系に含めて考えてもよい。また、主に、第3の不活性ガス供給管232e及びバルブ235eにより第3の不活性ガス供給系が構成される。なお、不活性ガス供給源233c、マスフローコントローラ234c、第2のガス供給管232b、第2のガス導入部252及び第2のガス噴出口255を、第3の不活性ガス供給系に含めて考えてもよい。そして、主に、第1〜第3の不活性ガス供給系により、不活性ガス供給系が構成される。
【0065】
(排気部)
反応容器203には、処理領域201a,201b内及びパージ領域204a,204b内の雰囲気を排気する排気管231が設けられている。排気管231には、反応容器203内(処理領域201a,201b内及びパージ領域204a,204b内)の雰囲気を排出する際に流量を調整する流量調整バルブ245、及び圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ243を介して、真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されており、反応容器203内の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気し得るように構成されている。なお、APCバルブ243は、弁を開閉して反応容器203内の真空排気・真空排気停止ができ、更に弁開度を調節して圧力調整可能となっている開閉弁である。主に、排気管231、APCバルブ243、及び流量調整バルブ245により排気部が構成される。なお、真空ポンプ246を排気部に含めて考えてもよい。
【0066】
(制御部)
図5に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ221は、中央処理装置(CPU)221aと、内部にメモリ領域を有するメモリ(RAM)221bと、記憶装置(例えば、フラッシュメモリ、HDD等)221cと、I/Oポート221dと、を備えたコンピュータとして構成されている。RAM221b、記憶装置221c、I/Oポート221dは、内部バス221eを介して、CPU221aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ221には、例えばタッチパネル等として構成された操作部である入出力装置222が接続されている。
【0067】
記憶装置221c内には、基板処理装置100の動作を制御する制御プログラムや、基板処理の手順や条件などが記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。なお、プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ221に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単にプログラムともいう。また、RAM221bは、CPU221aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。プログラムがRAM221bに読み出されてCPU221aに実行されることにより、後述するダミーウエハ200bの累積膜厚値の更新や、処理室内に搬入されるダミーウエハ200bの累積膜厚値が所定の閾値を超えていないかの判定を、コンピュータであるコントローラ221に実現されるように構成されている。
【0068】
記憶装置221cには、ダミーウエハ200b毎の累積膜厚値をそれぞれ算出して蓄積する算出部が設けられている。累積膜厚値は、繰り返し使用されるダミーウエハ200bの累積的な膜厚値を表す。ここでは、予め設定されている単位時間当たりの膜厚レート、プロセス実時間、及び使用された回数に応じて累積膜厚値を計算する。言い換えれば、例えば、1回の基板処理で成膜される膜厚に、基板処理の実行回数を乗算することで算出される。そして、算出部により算出されたダミーウエハ200bの累積膜厚値に基づいて、上述の搬送部によるウエハ200の搬送処理の制御と、処理室(反応容器203)内で行われる基板処理の実行可否の判定とを行う。
【0069】
コントローラ221は、ウエハ200の搬送処理の制御として、例えば、ダミーウエハ200bの累積膜厚値に基づいて、累積膜厚値の最も少ないダミーウエハ200bから優先的に選択を行う。これにより、処理室内のパーティクルの発生を抑制でき、基板処理の品質を向上させることができる。また、ダミー基板用カセット109cに収容されたダミーウエハ200bを、まんべんなく使用することができ、ダミー基板用カセット109cの交換回数を減らすことができる。
【0070】
また、記憶装置221cには、ダミーウエハ200bに設定された累積膜厚値の複数の所定の閾値が予め格納されている。本実施形態では、複数の所定の閾値として、第一の閾値、第二の閾値及び第三の閾値の3つの閾値が予め格納されている。そして、コントローラ221は、基板処理の実行可否の判定を行う。すなわち、例えば、処理室(反応容器203)内に搬入されるダミーウエハ200bの累積膜厚値が、第一の閾値を超えている場合には、基板処理を実行しつつ、第一の警告が発せられる(通知される)。第二の閾値を超えている場合には、基板処理を実行せずに、第二の警告が発せられる。第三の閾値を超えている場合には、基板処理を実行せずに、第三の警告が発せられる。なお、第一の警告としては、例えばダミー基板用カセット109cの交換を促す警告が行われる。第二の警告としては、例えば処理室内に搬入されるダミーウエハ200bの累積膜厚値が第二の閾値を超えており、基板処理を実行しない旨を示す警告が発せられる。第三の警告としては、例えばダミー基板用カセット109cに収容された複数のダミーウエハ200bの累積膜厚値の平均値が、第三の閾値を超えており、次の処理基板用カセット109aに収容された処理ウエハ200aの処理を実行しない旨を示す警告が発せられる。
【0071】
このように、処理室内に搬入されるダミーウエハ200bの累積膜厚値が、所定の閾値を超えると、基板処理が実行されないことで、所定の累積膜厚値を超えたダミーウエハ200bを使用して基板処理が行われることを抑制できる。また、処理室内に搬入されるダミーウエハ200bの累積膜厚値が、所定の閾値を超えている場合、所定の閾値に応じた警告を行うことで、例えば、ダミー基板用カセット109cの交換忘れ等の管理ミスの発生を抑制できる。これにより、ダミーウエハ200bの累積膜厚値の増大による膜剥がれを抑制でき、処理室内のパーティクルの発生を抑制できる。また、堆積膜の応力によるダミーウエハ200bの反りや変形が未然に防止され易くなる。これにより、例えば、変形したダミーウエハ200bが、サセプタ217や周辺部材と擦れること等によって、処理室内にパーティクルが発生することを抑制できる。
【0072】
なお、第一の警告、第二の警告及び第三の警告は、例えば、コントローラ221が備える入出力装置222に表示等することで行ってもよく、複数のコントローラ221を一括して管理する上位装置に表示等することで行ってもよい。特に、上述の警告が上位装置に行われると、例えばリモート制御でダミー基板用カセット109cの交換指示を出し、交換することができる。
【0073】
I/Oポート221dは、上述のマスフローコントローラ234a、234b、234c、バルブ235a、235b、235c、235d、235e、流量調整バルブ245、APCバルブ243、真空ポンプ246、ヒータ218、温度センサ274、回転機構267、昇降機構268、ヒータ電源225等に接続されている。
【0074】
CPU221aは、記憶装置221cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置222からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置221cからプロセスレシピを読み出すように構成されている。そして、CPU221aは、読み出したプロセスレシピの内容に沿うように、マスフローコントローラ234a、234b、234cによる各種ガスの流量調整動作、バルブ235a、235b、235c、235d、235eの開閉動作、APCバルブ243の開閉及び流量調整バルブ245に基づく圧力調整動作、温度センサ274に基づくヒータ218の温度調整動作、真空ポンプ246の起動・停止、回転機構267の回転速度調節動作、昇降機構268の昇降動作や、ヒータ電源225による電力供給等を制御するように構成されている。
【0075】
なお、コントローラ221は、専用のコンピュータとして構成されている場合に限らず、汎用のコンピュータとして構成されていてもよい。例えば、上述のプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)223を用意し、係る記録媒体123を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本実施形態に係るコントローラ221を構成することができる。なお、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、記録媒体223を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、記録媒体223を介さずにプログラムを供給するようにしてもよい。
【0076】
(3)基板処理工程
続いて、本実施形態にかかる半導体製造工程の一工程として、上述した反応容器203を備えるプロセスチャンバ202aを用いて実施される基板処理工程を含むロット処理工程について、図6及び図7を用いて説明する。図6は、本実施形態に係る基板処理工程を含むロット処理工程を示すフロー図であり、図7は、本実施形態に係る基板処理工程における成膜工程での基板としてのウエハ200への処理を示すフロー図である。なお、本実施形態では、処理ウエハ200a及びダミーウエハ200bはそれぞれ、カセット毎のロットで管理される。また、以下の説明において、基板処理装置100のプロセスチャンバ202aの各構成の動作は、コントローラ221により制御される。
【0077】
ここでは、第1の処理ガスとして、シリコン含有ガスであるトリシリルアミン(TSA)を用い、第2の処理ガスとして、酸素含有ガスである酸素ガスを用い、ウエハ200上に絶縁膜としてシリコン酸化膜(SiO膜。以下、SiO膜という)を形成する例について説明する。
【0078】
(カセット載置工程(S10))
まず、上述したように、例えば、未処理の処理ウエハ200aを収容した処理基板用カセット109a、処理済みの処理ウエハ200aを収容する処理基板用カセット109b、及びダミーウエハ200bを収容したダミー基板用カセット109cが、図示しない搬送装置によって基板処理装置100に搬入されてくる。搬入されてきたカセット109a〜109cは、ロードポート105上に載置される。
【0079】
(基板搬送工程(S20))
基板搬送工程(S20)では、少なくとも以下のダミー基板割当工程(S21)、ダミー基板選択工程(S22)、第一の閾値・第二の閾値判定工程、基板搬入工程(S23)を順に行う。
【0080】
[ダミー基板割当工程(S21)]
基板処理の要求を受け付けて、処理基板用カセット109aに収容された、未処理の処理ウエハ200aの枚数を検出し、処理室(反応容器203)内に搬入するダミーウエハ200bの枚数を決定する。
【0081】
このようにすることで、例えば、未処理の処理ウエハ200aの枚数が、1回あたりの処理枚数(例えば5枚)に対して不足を生じるような枚数であったとしても、予めダミーウエハ200bの搬入枚数を決定して不足分を補充することができる。上述のように、ダミーウエハ200bは、例えば載置部217aの底部である基板載置面上に膜を形成しないことを目的として載置される。
【0082】
仮に、処理ウエハに不足が生じた載置部に、ダミーウエハを載置しない場合を考える。ウエハが載置される底部(基板載置面)は面状であるため、ウエハ上にSiO膜を成膜するような基板処理をすると、ウエハが載置されていない載置部の基板載置面上には膜が形成される。基板載置面上に膜が形成された状態で、次ロットの未処理の処理ウエハを載置部に載置した場合、回転開始時に発生する遠心力によって、基板載置面上に形成された膜上を処理ウエハが滑る。その結果、処理ウエハの裏面と基板載置面上の膜との間で摩擦力が発生する。その結果、載置部の基板載置面上に形成された膜が剥がれて異物(パーティクル)となり、それが処理ウエハに対する基板処理に影響を及ぼすことが考えられる。
【0083】
本実施形態では、このような課題に対し、ダミーウエハ200bを載置部217aに載置することで、載置部217aの基板載置面上に膜を形成することを抑制する。
【0084】
[ダミー基板選択工程(S22)]
後述する基板処理工程(S30)を行う際、処理室(反応容器203)内へのダミーウエハ200bの搬入が必要と判断された場合、ダミー基板用カセット109cに収容されたダミーウエハ200bから、処理室内に搬入する所定枚数のダミーウエハ200bを選択する。このとき、上述の算出部により算出したダミーウエハ200bの累積膜厚値に基づいて、処理室内に搬入するダミーウエハ200bを選択する。具体的には、ダミー基板用カセット109cに収容されたダミーウエハ200bのうち、もっとも累積膜厚値の少ないダミーウエハ200bを優先的に選択する。
【0085】
[第一の閾値・第二の閾値判定工程]
次に、ダミー基板選択工程(S22)で選択したダミーウエハ200bの累積膜厚値が第一の閾値を超えていないかを判定する。第一の閾値を超えていないと判定した場合、基板処理の実行を許可し、後述する基板搬入工程(S23)を行う。
【0086】
ダミー基板選択工程(S22)で選択したダミーウエハ200bの累積膜厚値が、第一の閾値を超えていると判定した場合、ダミーウエハ200bの累積膜厚値が、第二の閾値を超えていないかを判定する。ダミーウエハ200bの累積膜厚値が、第二の閾値を超えていないと判定した場合、第一の警告を操作部である入出力装置222又は上位装置に通知した後、基板処理を実行し、後述する基板搬入工程(S23)を行う。すなわち、ダミーウエハ200bの累積膜厚値が、第一の閾値は超えているが第二の閾値は超えていないと判定した場合、基板処理を実行しつつ、第一の警告として、例えば、ダミー基板用カセット109cの交換を促す警告を入出力装置222又は上位装置に通知する。
【0087】
ダミー基板選択工程(S22)で選択したダミーウエハ200bの累積膜厚値が、第二の閾値を超えていると判定した場合、基板処理を実行せずに、第二の警告を入出力装置222又は上位装置に通知する。すなわち、ダミーウエハ200bの累積膜厚値が、第二の閾値を超えていると判定した場合、基板処理を実行せずに、第二の警告として、例えば、ダミーウエハ200bの累積膜厚値が第二の閾値を超えているため基板処理を実行しない旨を示す警告を入出力装置222又は上位装置に通知し、ダミー基板用カセット109cの交換を要求する。
【0088】
[基板搬入工程(S23)]
まず、ウエハ200の搬送位置までウエハ突き上げピンを上昇させ、サセプタ217の貫通孔にウエハ突き上げピンを貫通させる。その結果、ウエハ突き上げピンが、サセプタ217表面よりも所定の高さ分だけ突出した状態となる。続いて、ゲートバルブ244aを開き、真空搬送ロボット112を用いて、反応容器203内に所定枚数(例えば5枚)のウエハ200を搬入する。ここでは、処理ウエハ200a又はダミーウエハ200bの少なくともいずれかを搬入する。そして、サセプタ217の図示しない回転軸を中心として、各ウエハ200が重ならないように、サセプタ217の同一面上に載置する。これにより、ウエハ200は、サセプタ217の表面から突出したウエハ突き上げピン上に水平姿勢で支持される。
【0089】
反応容器203内にウエハ200を搬入したら、真空搬送ロボット112を反応容器203外へ退避させ、ゲートバルブ244aを閉じて反応容器203内を密閉する。その後、ウエハ突き上げピンを下降させて、第1の処理領域201a、第1のパージ領域204a、第2の処理領域201b、第2のパージ領域204bの各底面のサセプタ217上にウエハ200を載置し、本実施形態に係る基板搬送工程(S20)を終了する。
【0090】
なお、ウエハ200を反応容器203内に搬入する際には、排気部により反応容器203内を排気しつつ、不活性ガス供給系から反応容器203内にパージガスとしてのNガスを供給するとよい。すなわち、真空ポンプ246を作動させ、APCバルブ243を開け、反応容器203内を排気しつつ、少なくとも第1の不活性ガス供給系のバルブ235cを開け、反応容器203内にNガスを供給するとよい。これにより、処理領域201内へのパーティクルの侵入や、ウエハ200上へのパーティクルの付着を抑制することが可能となる。ここで、さらに第2の不活性ガス供給系及び第3の不活性ガス供給系から不活性ガスを供給してもよい。
【0091】
(基板処理工程(S30))
基板処理工程(S30)では、少なくとも以下の昇温・圧力調整工程(S31)、成膜工程(S32)、パージ工程(S33)、圧力調整・基板搬出工程(S34)を順に行う。
【0092】
[昇温・圧力調整工程(S31)]
続いて、サセプタ217の内部に埋め込まれたヒータ218に電力を供給し、ウエハ200の表面が所定の温度(例えば200℃以上であって400℃以下)となるように加熱する。この際、ヒータ218の温度は、温度センサ274により検出された温度情報に基づいてヒータ218への供給電力を制御することによって調整される。
【0093】
また、反応容器203内が所望の圧力(例えば0.1Pa〜300Pa、好ましくは20Pa〜40Pa)となるように、反応容器203内を真空ポンプ246によって真空排気する。この際、反応容器203内の圧力は圧力センサで測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ243の開度をフィードバック制御する。
【0094】
また、ウエハ200を加熱しつつ、回転機構267を作動して、サセプタ217の回転を開始させる。この際、サセプタ217の回転速度はコントローラ221によって制御される。サセプタ217の回転速度は例えば1回転/秒である。なお、サセプタ217は、後述する成膜工程(S32)が終了するまでの間は、常に回転させた状態とする。サセプタ217を回転させることにより、ウエハ200は、第1の処理領域201a、第1のパージ領域204a、第2の処理領域201b、第2のパージ領域204bの順に移動を開始することになる。
【0095】
[成膜工程(S32)]
次に、第1の処理領域201a内に第1の処理ガスとしてのTSAガスを供給し、第2の処理領域201b内に第2の処理ガスとしての酸素ガスを供給することによりウエハ200上にSiO膜を成膜する工程を行う場合を例に説明する。なお、以下の説明では、TSAガスの供給、酸素ガスの供給、不活性ガスの供給を併行して行う。
【0096】
ウエハ200を加熱して所望とする温度に達し、サセプタ217が所望とする回転速度に到達したら、少なくともバルブ235a,235b及び235cを開け、処理ガス及び不活性ガスの処理領域201及びパージ領域204への供給を開始する。すなわち、バルブ235aを開けて第1の処理領域201a内にTSAガスの供給を開始すると共に、バルブ235bを開けて第2の処理領域201b内に酸素ガスを供給し、さらにバルブ235cを開けて第1のパージ領域204a及び第2のパージ領域204b内に不活性ガスであるNガスを供給する。このとき、APCバルブ243を適正に調整して反応容器203内の圧力を、例えば10Pa〜1000Paの範囲内の圧力とする。このときヒータ218の温度は、ウエハ200の温度が、例えば200℃〜400℃の範囲内の温度となるような温度に設定する。
【0097】
すなわち、バルブ235aを開け、第1のガス供給管232aから第1のガス導入部251及び第1のガス噴出口254を介して第1の処理領域201aにTSAガスを供給しつつ、排気管231から排気する。このとき、TSAガスの流量が所定の流量となるように、マスフローコントローラ234aを調整する。なお、マスフローコントローラ234aで制御するTSAガスの供給流量は、例えば100sccm〜5000sccmの範囲内の流量とする。
【0098】
TSAガスを第1の処理領域201a内に供給する際には、バルブ235dを開け、第2の不活性ガス供給管232dからキャリアガス或いは希釈ガスとしてのNガスを第1の処理領域201a内に供給するとよい。これにより、第1の処理領域201a内へのTSAガスの供給を促進させることができる。
【0099】
また、バルブ235bを開け、第2のガス供給管232bから第2のガス導入部252及び第2のガス噴出口255を介して第2の処理領域201bに酸素ガスを供給しつつ、排気管231から排気する。このとき、酸素ガスの流量が所定の流量となるように、マスフローコントローラ234bを調整する。なお、マスフローコントローラ234bで制御する酸素ガスの供給流量は、例えば1000sccm〜10000sccmの範囲内の流量とする。
【0100】
酸素ガスを第2の処理領域201b内に供給する際には、バルブ235eを開け、第3の不活性ガス供給管232eからキャリアガス或いは希釈ガスとしてのNガスを第2の処理領域201b内に供給するとよい。これにより、第2の処理領域201b内への酸素ガスの供給を促進することができる。
【0101】
また、バルブ235a及びバルブ235bを開けると共に、さらにバルブ235cを開け、パージガスとしての不活性ガスであるNガスを、第1の不活性ガス供給管232cから不活性ガス導入部253、第1の不活性ガス噴出口256及び第2の不活性ガス噴出口257を介して第1のパージ領域204a及び第2のパージ領域204bにそれぞれ供給しつつ排気する。このとき、Nガスの流量が所定の流量となるように、マスフローコントローラ234cを調整する。なお、仕切板205の端部と反応容器203の側壁との間には、隙間が設けられている。第1のパージ領域204a内及び第2のパージ領域204b内や上述の隙間から第1の処理領域201a内及び第2の処理領域201b内に向けて不活性ガスを噴出させることで、第1のパージ領域204a内及び第2のパージ領域204b内への処理ガスの侵入を抑制することができる。
【0102】
ガスの供給開始と共に、第2の処理領域201bの上方に設けられたプラズマ生成部206に、高周波電源(図示せず)から高周波電力を供給する。第2の処理領域201b内に供給され、プラズマ生成部206の下方を通過した酸素ガスは、第2の処理領域201b内でプラズマ状態となり、これに含まれる活性種がウエハ200に供給される。なお、高周波電源から印加する高周波電力は、例えば50W〜1000Wの範囲内の電力となるように設定する。
【0103】
酸素ガスは反応温度が高く、上述のようなウエハ200の処理温度、反応容器203内の圧力では反応しづらいが、本実施形態のように酸素ガスをプラズマ状態とし、これに含まれる活性種を供給するようにすると、例えば400℃以下の温度帯でも成膜処理を行うことができる。なお、第1の処理ガスと第2の処理ガスとで要求する処理温度が異なる場合、処理温度が低い方の処理ガスの温度に合わせてヒータ218を制御し、処理温度を高くする必要のある他方の処理ガスを、プラズマ状態として供給するとよい。このようにプラズマを利用することで、ウエハ200を低温で処理することができる。そのため、アルミニウム等の熱に弱い配線等を有するウエハ200の処理が可能となる。また、処理ガスの不完全反応による生成物等の異物の発生を抑制することができ、ウエハ200上に形成する薄膜の均質性や耐電圧特性等を向上させることができる。また、プラズマ状態とした酸素ガスの高い酸化力によって、酸化処理時間を短縮することができる等、基板処理の生産性を向上させることができる。
【0104】
上述したように、サセプタ217を回転させることにより、ウエハ200は、第1の処理領域201a、第1のパージ領域204a、第2の処理領域201b、第2のパージ領域204bの順に移動を繰り返す。そのため、図7に示すように、ウエハ200には、TSAガスの供給、Nガスの供給(パージ)、プラズマ状態とされた酸素ガスの供給、Nガスの供給(パージ)が交互に所定回数実施されることになる。
【0105】
まず、第1の処理領域201aを通過したウエハ200表面にTSAガスが供給され、ウエハ200上にシリコン含有層が形成される。
【0106】
次に、シリコン含有層が形成されたウエハ200が第1のパージ領域204aを通過する。このとき、ウエハ200に不活性ガスであるNガスが供給される。
【0107】
次に、第2の処理領域201bを通過したウエハ200に酸素ガスが供給され、ウエハ200上にシリコン酸化層(SiO層)が形成される。すなわち、酸素ガスは、第1の処理領域201aでウエハ200上に形成されたシリコン含有層の一部と反応する。これにより、シリコン含有層は酸化されて、シリコン及び酸素を含むSiO層へと改質される。
【0108】
そして、第2の処理領域201bでSiO層が形成されたウエハ200が第2のパージ領域204bを通過する。このとき、ウエハ200に不活性ガスであるNガスが供給される。
【0109】
このように、サセプタ217の1回転を1サイクルとし、すなわち第1の処理領域201a、第1のパージ領域204a、第2の処理領域201b及び第2のパージ領域204bのウエハ200の通過を1サイクルとし、このサイクルを少なくとも1回以上行うことにより、ウエハ200上に所定膜厚のSiO膜を成膜することができる。
【0110】
ウエハ200上に所定の膜厚のSiO膜が形成された後、少なくともバルブ234a及びバルブ235bを閉じ、TSAガス及び酸素ガスの第1の処理領域201a及び第2の処理領域201bへの供給を停止する。このとき、プラズマ生成部206に対する電力供給も停止する。さらに、ヒータ218の電力供給量を制御して温度を低くするか、あるいはヒータ218への電力供給を停止する。
【0111】
[パージ工程(S33)]
第1の処理領域201a内へのTSAガスの供給及び第2の処理領域201b内への酸素ガスの供給を停止した後、バルブ235d及びバルブ235eを開けて、第1の処理領域201a及び第2の処理領域201b内へのNガスの供給を行う。これにより、第1の処理領域201a及び第2の処理領域201b内をNガスによりパージし、第1の処理領域201a及び第2の処理領域201b内に残留している残留ガス等を除去する。
【0112】
[圧力調整・基板搬出工程(S34)]
パージが完了したら、APCバルブ243の開度を調整して反応容器203内の圧力を所定の圧力にする。成膜工程(S32)が終了した後、ウエハ突き上げピンを上昇させ、サセプタ217の表面から突出させたウエハ突き上げピン上にウエハ200を支持させる。そして、ゲートバルブ244aを開き、真空搬送ロボット112を用いてウエハ200を反応容器203の外へ搬出し、本実施形態に係る基板処理工程(S30)を終了する。なお、上記の基板処理工程(S30)において、ウエハ200の温度、反応容器203内の圧力、各ガスの流量、プラズマ生成部206が備える電極に印加する電力、処理時間等の条件等は、膜厚等によって任意に調整する。
【0113】
(膜厚値更新工程(S40))
基板処理工程(S30)が終了した後、算出部により、各ダミーウエハ200bの累積膜厚値がそれぞれ更新される。
【0114】
そして、処理基板用カセット109aに収容された全ての処理ウエハ200aについて、処理が行われたかを判定する。全ての処理ウエハ200aの処理が終了していない場合は、上述の基板搬送工程(S20)及び基板処理工程(S30)を繰り返して行う。処理基板用カセット109aに終了された全ての処理ウエハ200aの処理が終了した場合は、未処理の処理ウエハ200aを収容する処理基板用カセット109a及び処理済みの処理ウエハ200aを収容する処理基板用カセット109bを搬出し、次の処理基板用カセット109a,109bの搬送を待つ。
【0115】
(第三の閾値判定工程)
処理基板用カセット109aに収容された全ての処理ウエハ200aの処理が終了した後、すなわち、1ロットの処理が終了した後、ダミー基板用カセット109cに収容されたダミーウエハ200bの累積膜厚値の平均値が、第三の閾値を超えていないかを判定する。具体的には、本実施形態では、全ての処理ウエハ200aの処理が終了した処理基板用カセット109aが、ロードポート105上から次の工程へ搬送され、新たな未処理の処理ウエハ200aが収容された処理基板用カセット109aがロードポート105上に載置された後(上述のカセット載置工程(S10)が終了した後)に、ダミーウエハ200bの累積膜厚値の平均値が、第三の閾値を超えていないかを判定する。
【0116】
ダミー基板用カセット109cに収容された全てのダミーウエハ200bの累積膜厚値の平均値が、第三の閾値を超えていると判定した場合、次に処理が行われる予定の処理基板用カセット109aに収容された処理ウエハ200aの処理を実行せずに、第三の警告を入出力装置222又は上位装置に通知する。すなわち、ダミーウエハ200bの累積膜厚値の平均値が、第三の閾値を超えていると判定した場合、第三の警告として、例えば、ダミーウエハ200bの累積膜厚値が第三の閾値を超えているため新たに搬送されてきた処理基板用カセット109aに収容された処理ウエハ200aの基板処理を実行しない旨を示す警告を、入出力装置222又は上位装置に通知し、ダミー基板用カセット109cの交換を要求する。
【0117】
(4)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
【0118】
(a)本実施形態によれば、ウエハ200をサセプタ217上に載置する際には、処理基板用カセット109aに収容された未処理の処理ウエハ200aの枚数を検出し、プロセスチャンバ202a内に搬入するダミーウエハ200bの枚数を決定する。これにより、サセプタ217表面の複数の載置部217aの全ての基板載置面上に、処理ウエハ200a又はダミーウエハ200bが載置されることとなり、基板載置面上に膜が形成され難くなる。よって、次ロットのウエハ200を載置した際、例えば回転開始時に遠心力によりウエハ200が基板載置面上を滑っても、基板裏面と膜が接触する可能性が低いので、膜が剥がれて異物(パーティクル)となってしまうことを抑制することができる。
【0119】
(b)本実施形態によれば、コントローラ221は、ダミーウエハ200b毎の累積膜厚値をそれぞれ算出する算出部を備えている。そして、算出部により算出されたダミーウエハ200bの累積膜厚値に基づいて、搬送部によるウエハ200(処理ウエハ200a及びダミーウエハ200b)の搬送処理の制御、及び処理室で行われる基板処理の実行可否の判定を行う。これにより、ダミーウエハ200bの累積膜厚値の増大による膜剥がれ等を抑制し、パーティクルの発生を抑制でき、基板処理品質を向上させることができる。
【0120】
(c)本実施形態によれば、次の基板処理において、処理室(反応容器203)内へのダミーウエハ200bの搬入が必要と判断された場合、ウエハ200の搬送処理を行う際に、ダミー基板用カセット109cに収容されたダミーウエハ200bのうち、もっとも累積膜厚値の少ないダミーウエハ200bを優先的に選択し、搬送部により処理室内に搬入する。これにより、ダミーウエハ200bの累積膜厚値の増大による膜剥がれ等を抑制し、パーティクルの発生を抑制できる。また、ダミー基板用カセット109cに収容されたダミーウエハ200bを、まんべんなく使用することができ、ダミー基板用カセット109cの交換回数を減らすことができる。
【0121】
(d)本実施形態によれば、コントローラ221には、ダミーウエハ200bに設定された累積膜厚値の、複数の所定の閾値が予め格納されている。そして、基板処理が行われるとき、処理室に搬入されるダミーウエハ200bの累積膜厚値が、それぞれの所定の閾値を超えていないかをそれぞれ判定する。そして、処理室に搬入されるダミーウエハ200bの累積膜厚値が、所定の閾値を超えている場合には、基板処理を実行しない。これにより、所定の累積膜厚値を超えたダミーウエハ200bを使用して基板処理が行われることを抑制できる。従って、ダミーウエハ200bの累積膜厚値の増大による膜剥がれ等によるパーティクルの発生を抑制できる。また、堆積膜の応力によるダミーウエハ200bの反りや変形を未然に防止され易くなる。これにより、例えば、変形したダミーウエハ200bが、サセプタ217や周辺部材と擦れること等によるパーティクルの発生を抑制できる。
【0122】
(e)本実施形態によれば、ダミーウエハ200bの累積膜厚値が、所定の閾値を超えている場合、基板処理の実行可否の判定を行いつつ、所定の閾値のそれぞれに応じた警告を入出力装置222又は上位装置に通知する。これにより、例えば、ダミー基板用カセット109cの交換忘れ等の管理ミスの発生を抑制でき、所定の閾値を超えた累積膜厚値を有するダミーウエハ200bを使用して基板処理が行われることを回避し易くなる。
【0123】
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0124】
上述の実施形態では、第一の警告として、ダミー基板用カセット109cの交換を促す警告を行い、第二の警告として、ダミーウエハ200bの累積膜厚値が、第二の閾値を超えており、基板処理を実行しない旨を示す警告を行い、第三の警告として、ダミーウエハ200bの累積膜厚値の平均値が第三の閾値を超えており、新たに搬送された処理基板用カセット109aに収容された処理ウエハ200aの基板処理を実行しない旨を示す警告を行う場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、コントローラ221には、ダミーウエハ200bの累積膜厚値に設定された第一の閾値、第二の閾値及び第三の閾値の3つの所定の閾値が予め格納されており、基板処理が行われるときに、処理室内に搬入されるダミーウエハ200bの累積膜厚値が、第一の閾値を超えている場合には、第一の警告として、ダミー基板用カセット109cの交換を促す警告を行い、第二の閾値を超えている場合には、第二の警告として、次回の基板処理を行うと、ダミー基板用カセット109cに収容された全てのダミーウエハ200bの累積膜厚値が、第三の閾値を超える可能性が高い旨を示す警告を行い、第三の閾値を超えている場合には、第三の警告として、基板処理の要求をしない警告を行ってもよい。
【0125】
上述の実施形態では、処理基板用カセット109aに収容された全ての処理ウエハ200aの処理が終了し、次の処理基板用カセット109aがロードポート105上に載置された後、ダミー基板用カセット109cに収容されたダミーウエハ200bの累積膜厚値の平均値が、第三の閾値を超えていないか判定したが、これに限定されるものではない。例えば、一の処理基板用カセット109aに収容された全ての処理ウエハ200aの処理が終了した直後に、ダミー基板用カセット109cに収容されたダミーウエハ200bの累積膜厚値の平均値が、第三の閾値を超えていないかを判定してもよい。すなわち、次の処理基板用カセット109aに収容された処理ウエハ200aの処理が始まる前までに、ダミー基板用カセット109cに収容されたダミーウエハ200bの累積膜厚値の平均値が、第三の閾値を超えていないかを判定すればよい。
【0126】
上述の実施形態では、ダミーウエハ200bの累積膜厚値に設定された複数の所定の閾値として、第一の閾値、第二の閾値及び第三の閾値の3つの所定の閾値を予め格納し、それぞれの所定の閾値に応じて、基板処理の実行可否の判定を行いつつ、第一の警告、第二の警告又は第三の警告を行うようにしたが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、複数の所定の閾値として、第一の閾値及び第二の閾値の2つの閾値を予め格納し、それぞれの所定の閾値に応じて、基板処理の実行可否の判定を行いつつ、第一の警告又は第二の警告の少なくともいずれかを行うようにしてもよい。また、複数の所定の閾値として、4つ以上の閾値を予め格納し、それぞれの所定の閾値に応じて、基板処理の実行可否の判定を行いつつ、4つ以上の警告を行うようにしてもよい。
【0127】
上述の実施形態では、処理室内に搬入されるダミーウエハ200bの累積膜厚値が所定の閾値を超えている場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ダミー基板用カセット109cに収容された複数のダミーウエハ200bの累積膜厚値の平均値が、所定の閾値を超えた場合に、警告等を行ってもよく、ダミー基板用カセット109cに収容されたもっとも累積膜厚値の少ないダミーウエハ200bの累積膜厚値が、所定の閾値を超えた場合に警告等を行ってもよい。
【0128】
上述の実施形態では、累積膜厚値は、1回の基板処理で成膜される膜厚に、基板処理の実行回数を乗算して算出したが、例えば、ダミーウエハ200b毎の累積成膜時間で算出してもよく、ダミーウエハ200bの成膜実行回数が予め定めた回数に達したかで算出してもよい。
【0129】
上述の実施形態では、搬送部によるウエハ200の搬送処理の制御、及び処理室で行われる基板処理の実行可否の判定の両方を行う場合について説明したが、少なくともいずれかが行われればよい。
【0130】
上述の実施形態では、警告は、入出力装置222又は上位装置に表示して行ったが、これに限定されず、例えば、警告ランプ、警告音で警告を行ってもよく、あるいは、これらを組み合わせて警告を行ってもよい。
【0131】
上述の実施形態では、多枚葉式の基板処理装置について説明したが、これに限定されるものではなく、基板支持部に載置可能なウエハ200の数と、実際に載置される処理ウエハ200aの数との差を解消するために使用されるフィルダミーウエハが用いられる基板処理装置に適用できる。すなわち、例えば、複数枚のウエハ200を水平姿勢でかつ互いに中心をそろえた状態で垂直方向に多段に整列させて基板支持具に保持し、基板処理を行う縦型の基板処理装置や、他の多枚葉式の各種基板処理装置に適用してもよい。
【0132】
上述の実施形態では、処理ウエハ200a及びダミーウエハ200bのウエハ200が、カセット109a,109cから一旦予備室としてのロードロック室122,123に搬送され、予備室から真空搬送室103を介して処理室(反応容器203)内に搬送される場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、処理基板用カセット109a及びダミー基板用カセット109cのそれぞれから直接、処理室に搬送してもよい。
【0133】
また、上述の実施形態では、ウエハ200上に所定の薄膜(SiO膜)を形成するための基板処理装置100に適用する場合を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ウエハ200に窒化膜を形成する基板処理装置や、ウエハ200中に不純物原子を添加するための不純物ドーピング処理装置に適用してもよい。
【0134】
また、上述の実施形態では、ウエハ200を処理する基板処理装置に適用する場合を説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、ガラス基板を処理するLCD(Liquid Crystal Display)製造装置等の基板処理装置にも適用できる。
【0135】
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0136】
本発明の一態様によれば、
複数枚の処理基板を収容する処理基板用カセット及び複数枚のダミー基板を収容するダミー基板用カセットを載置するカセット載置部と、
前記処理基板もしくは前記ダミー基板、又は前記処理基板及び前記ダミー基板を複数枚処理する処理室と、
前記処理室内に設けられ、前記基板を載置する基板載置面をそれぞれ有する複数の基板載置部が円周上に配列された基板支持部と、
前記処理室内に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内を排気する排気部と、
前記カセット載置部と前記処理室との間で、前記基板を搬送する搬送部と、
少なくとも前記処理室内で行われる基板処理及び前記搬送部による前記基板の搬送処理を制御する制御部と、を備える
基板処理装置が提供される。
【0137】
好ましくは、
前記制御部は、
前記ダミー基板毎の累積膜厚値をそれぞれ算出する算出部を備え、
前記算出部により算出された前記ダミー基板の累積膜厚値に基づいて、前記搬送部による前記基板の搬送処理の制御、又は前記処理室内で行われる基板処理の実行可否の判定の少なくともいずれかを行なうよう制御する。
【0138】
また好ましくは、
次の基板処理を行う際、前記処理室内への前記ダミー基板の搬入が必要と判断された場合、
前記制御部は、
前記基板の搬送処理を行うとき、
前記ダミー基板用カセットに収容された前記ダミー基板のうち、もっとも累積膜厚値の少ない前記ダミー基板を優先的に選択し、前記搬送部により前記処理室内に搬入するように制御する。
【0139】
また好ましくは、
前記制御部には、前記ダミー基板に設定された累積膜厚値の第一の閾値が予め格納されており、
前記制御部は、
前記ダミー基板用カセットに収容された前記ダミー基板のうち、前記処理室内に搬入される前記ダミー基板の累積膜厚値が、前記第一の閾値を超えた場合、基板処理を実行しつつ、前記ダミー基板用カセットの交換を促す警告を、操作部又は上位装置に通知するよう制御する。
【0140】
また好ましくは、
前記制御部には、前記ダミー基板に設定された累積膜厚値の第二の閾値が予め格納されており、
前記制御部は、
前記ダミー基板用カセットに収容された前記ダミー基板のうち、前記処理室内に搬入される前記ダミー基板の累積膜厚値が、前記第二の閾値を超えた場合、基板処理を実行せずに、前記ダミー基板の累積膜厚値が、前記第二の閾値を超えている旨を示す警告を、操作部又は上位装置に通知するよう制御する。
【0141】
また好ましくは、
前記制御部には、前記ダミー基板に設定された累積膜厚値の第三の閾値が予め格納されており、
前記制御部は、
前記処理基板用カセットに収容された全ての前記処理基板の処理が終了した後、前記ダミー基板用カセットに収容された全ての前記ダミー基板の累積膜厚値の平均値が第三の閾値を超えている場合、次に処理が行われる予定の前記処理基板用カセットに収容された前記処理基板の処理を実行せずに、前記ダミー基板の累積膜厚値の平均値が、前記第三の閾値を超えている旨を示す警告を、操作部又は上位装置に通知するよう制御する。
【0142】
また好ましくは、
前記基板支持部は回転自在に構成され、
前記基板載置部は、
前記基板支持部の回転方向に沿って前記基板支持部の表面に円周上に配列され、
前記基板支持部の表面から窪んだ底部を前記基板載置面とする凹部として構成される。
【0143】
また好ましくは、
前記基板支持部は回転自在に構成され、
前記基板載置部は、
前記基板支持部の表面から窪んだ底部を前記基板載置面とする凹部として構成されることで、前記処理室内で基板処理が行われるとき、前記基板支持部の回転により遠心力を受けて前記基板載置面上を滑った前記基板が前記凹部内に留まるよう構成されている。
【0144】
本発明の他の態様によれば、
複数枚の処理基板を収容する処理基板用カセット及び複数枚のダミー基板を収容するダミー基板用カセットを、カセット載置部に載置するカセット載置工程と、
基板処理の要求を受け付けて、前記処理基板用カセットに収容された前記処理基板の枚数を検出し、処理室内に搬入する前記ダミー基板の枚数を決定するダミー基板割当工程と、
前記ダミー基板用カセットから前記処理室内に搬入する所定枚数の前記ダミー基板を選択するダミー基板選択工程と、
搬送部を用いて前記処理基板及び前記ダミー基板割当工程にて割り当てられた前記ダミー基板を前記処理室内に搬送し、前記処理室内に設けられた基板支持部の表面に円周上に配列された複数の基板載置部が備えるそれぞれの基板載置面に、複数枚の前記基板を載置する基板搬入工程と、
排気部により前記処理室内を排気しつつ、ガス供給部により前記処理室内に処理ガスを供給して前記基板を処理する基板処理工程と、を有する
半導体装置の製造方法が提供される。
【0145】
好ましくは、
前記ダミー基板選択工程では、
制御部が備える算出部により算出された前記ダミー基板毎の累積膜厚値に基づいて、前記処理室内に搬入する前記ダミー基板を選択し、
前記基板搬入工程では、
前記基板を前記処理室内に搬送する前に、前記処理室内に搬入される前記ダミー基板の累積膜厚値に基づいて、基板処理の実行可否を判定する。
【0146】
本発明の更に他の態様によれば、
複数枚の処理基板を収容する処理基板用カセット及び複数枚のダミー基板を収容するダミー基板用カセットを、カセット載置部に載置するカセット載置工程と、
基板処理の要求を受け付けて、前記処理基板用カセットに収容された前記処理基板の枚数を検出し、処理室内に搬入する前記ダミー基板の枚数を決定するダミー基板割当工程と、
前記ダミー基板用カセットから前記処理室内に搬入する所定枚数の前記ダミー基板を選択するダミー基板選択工程と、
搬送部を用いて前記処理基板及び前記ダミー基板割当工程にて割り当てられた前記ダミー基板を前記処理室内に搬送し、前記処理室内に設けられた基板支持部の表面に円周上に配列された複数の基板載置部が備えるそれぞれの基板載置面に、複数枚の前記基板を載置する基板搬入工程と、
排気部により前記処理室内を排気しつつ、ガス供給部により前記処理室内に処理ガスを供給して前記基板を処理する基板処理工程と、を有する基板処理方法が提供される。
【符号の説明】
【0147】
100 基板処理装置
105 ロードポート(カセット載置台)
109a,109b 処理基板用カセット
109c ダミー基板用カセット
200a 処理ウエハ(処理基板)
200b ダミーウエハ(ダミー基板)
221 コントローラ(制御部)
231 排気管
250 ガス供給部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7