特許第6084205号(P6084205)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6084205熱硬化により密封可能な組立体及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6084205
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】熱硬化により密封可能な組立体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/02 20060101AFI20170213BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20170213BHJP
   B63B 3/00 20060101ALI20170213BHJP
   B64C 1/00 20060101ALI20170213BHJP
   B64C 1/12 20060101ALI20170213BHJP
   G10K 11/16 20060101ALI20170213BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20170213BHJP
   F16J 15/14 20060101ALI20170213BHJP
【FI】
   H04R1/02 102B
   B62D25/20 G
   B63B3/00 Z
   B64C1/00 B
   B64C1/12
   G10K11/16 J
   B60R11/02 B
   F16J15/14 B
【請求項の数】16
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-509743(P2014-509743)
(86)(22)【出願日】2012年5月10日
(65)【公表番号】特表2014-523657(P2014-523657A)
(43)【公表日】2014年9月11日
(86)【国際出願番号】EP2012058702
(87)【国際公開番号】WO2012152897
(87)【国際公開日】20121115
【審査請求日】2015年5月8日
(31)【優先権主張番号】1107828.4
(32)【優先日】2011年5月11日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】513208973
【氏名又は名称】ジャガー・ランド・ローバー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】JAGUAR LAND ROVER LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ネイル・ハーウィン
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー・モイス
【審査官】 千本 潤介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−004445(JP,A)
【文献】 特開2004−208067(JP,A)
【文献】 特開平11−001148(JP,A)
【文献】 特開平05−345578(JP,A)
【文献】 特開2002−099281(JP,A)
【文献】 特開2000−271951(JP,A)
【文献】 特開2006−001472(JP,A)
【文献】 特開2006−168716(JP,A)
【文献】 特開2010−111328(JP,A)
【文献】 特開2005−319842(JP,A)
【文献】 特開平04−357315(JP,A)
【文献】 特表2010−527304(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0138683(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/02
B60R 11/02
B62D 25/20
B63B 3/00
B64C 1/00
B64C 1/12
F16J 15/14
G10K 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続手段を用いて第1のコンポーネントを第2のコンポーネントに間隔を置いて接続することによって組立体を形成すること、
前記第1及び第2のコンポーネント間に熱的に活性化されたシール手段を設けることであって、前記第1のコンポーネント、第2のコンポーネント及びシール手段は、前記第1及び第2のコンポーネントの間に流体の流れを許容する隙間がその間に存在するように配置されること、
前記組立体を流体に晒すこと、
前記組立体を加熱し、これにより前記シール手段を膨張させて前記第1及び第2のコンポーネント間の前記隙間を埋め、これにより前記コンポーネントの間に流体密封シールを形成すること、
前記第1のコンポーネントと対向する自由周縁端部を有するトレイを形成する形状の前記第2のコンポーネントにして、前記シール手段の膨張が前記第2のコンポーネントの前記周縁端部の周囲の前記第1及び第2のコンポーネントの間に流体密封シールを生じさせる第2のコンポーネントを設けること、
前記第1のコンポーネント内に開口部を形成し、これにより前記第2のコンポーネントによって形成された前記トレイの内部にアクセス可能にさせること、
を含む組立体の製造方法。
【請求項2】
第3のコンポーネントを設けることを含み、前記組立体を加熱する前に、前記第2のコンポーネントが前記第1及び第3のコンポーネントによって少なくとも部分的に取り囲まれるように前記第3のコンポーネントを設ける請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第3のコンポーネントを前記第1及び第2のコンポーネントの一方又は両方に接続することを更に備える請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記第3のコンポーネントと前記第1及び第2のコンポーネントの一方又は両方との間に隙間を存在させ、前記組立体が加熱される前に流体が前記隙間を流れて前記組立体から排出されるように、前記第3のコンポーネントと前記第1及び第2のコンポーネントの一方又は両方との間にシール手段を設けることを含む請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
記シール手段は、前記シール手段の膨張が、前記第3のコンポーネントと前記第1及び第2のコンポーネントの一方又は両方との間に流体密封シールを生じさせるように設られる請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記第2のコンポーネント内に少なくとも1の開口部を設け、前記開口部を介して流体の流れを前記第2のコンポーネントへ流すことを可能にすることを含む請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のコンポーネント内の前記少なくとも1の開口部の1つの周囲に熱的に活性化されたシール手段を設けることを含む請求項記載の方法。
【請求項8】
使用時に前記第2のコンポーネント内の前記少なくとも1の開口部の1つへ又はそこから流れる流体の流れを制御するためのバルブ手段を設けることを含む請求項又はに記載の方法。
【請求項9】
オーディオスピーカーシステムのエアキャビティを形成するために前記第2のコンポーネントを設けることを含む請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
接続手段を用いて互いに間隔を置いて接続された第1のコンポーネント及び第2のコンポーネントと、
前記第1及び第2のコンポーネント間において熱的に活性化されたシール手段と
を備え、
前記第1のコンポーネント、第2のコンポーネント及びシール手段が、前記第1及び第2のコンポーネントの間に存在する隙間がその間に流体を流すことを可能にするように配置されており、
前記熱的に活性化されたシール手段が、加熱されると膨張して前記第1及び第2のコンポーネント間の前記隙間を埋め前記コンポーネント間の流体密封シールを形成する構成を有し、
前記第2のコンポーネントがトレイを含み、前記第1及び第2のコンポーネント間のシール手段が、前記トレイの周縁端部の周囲に設けられ、且つ加熱されると前記トレイの周縁端部から離れて膨張して前記周縁端部と前記第1のコンポーネントとの間の隙間を埋めて前記流体密封シールを形成する構成を有し、
前記トレイの内部へのアクセスを可能にする開口部が前記第1のコンポーネント内に設けられる組立体。
【請求項11】
第3のコンポーネントを更に備え、前記第1及び第3のコンポーネントが前記第2のコンポーネントを少なくとも部分的に又は完全に取り囲む請求項10に記載の組立体。
【請求項12】
前記第2のコンポーネントへ又は前記第2のコンポーネントからの流体の流れを許容するために、前記第2のコンポーネントがその中に少なくとも1の開口部を備える請求項10又は11に記載の組立体。
【請求項13】
熱的に活性化されたシール手段が前記第2のコンポーネント内の前記少なくとも1の開口部の1つの周囲に設けられ、前記シール手段が加熱されると前記第2及び第3のコンポーネント間にシールを形成する構を有する請求項12に記載の組立体。
【請求項14】
前記第1のコンポーネントが自動車のフロアパン組立体を備える請求項1013のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項15】
前記第2のコンポーネントがオーディオスピーカーシステムのエアキャビティを形成する請求項1014のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項16】
請求項1015のいずれか1項に記載の組立体を備える自動車、船又は航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立体及び組立体の製造方法に関する。特に、限定されるものではないが、本発明は、コンポーネント間の流体密封シールを形成するために必要な組立体の製造方法に関する。本発明の側面は、自動車のための組立体及び組立体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
運転手又は乗客の座席の下或いは自動車の荷物室内にサブウーファーが設けられた自動車オーディオシステムを提供することが知られている。典型的には、サブウーファーは、許容可能な音声性能を提供するために、僅かでない量の空間を占める必要がある。サブウーファーによって占められるキャビン又は積載空間(例えばブートなどの)の量を減らすために小型化したサブウーファーを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明のある実施の形態の目的は、既知のサブウーファーの欠点を少なくとも部分的に軽減することである。
本発明のある実施の形態は、自動車、船又は航空機の組み立ての改善された方法を提供することである。
本発明のある実施の形態は、バラストタンクを有する自動車、船又は航空機の組み立ての改善された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施の形態は、自動車、船又は航空機の組み立ての改善された方法を提供する。
【0005】
本発明の実施の形態は、バラストタンクを有する自動車、船又は航空機の組み立ての改善された方法を提供する。
【0006】
本発明の実施の形態は、方法、組立体、自動車、船及び航空機を提供するものである。本発明の実施の形態は添付の特許請求の範囲を参照することにより理解できるであろう。
【0007】
保護が求められる本発明の一側面によれば、接続手段を用いて第1のコンポーネントを第2のコンポーネントに間隔を置いて接続することによって組立体を形成することと、第1及び第2のコンポーネント間に熱的に活性化されたシール手段を設けることであって、第1のコンポーネント、第2のコンポーネント及びシール手段は、第1及び第2のコンポーネントの間に流体の流れを許容する隙間がその間に存在するように配置されることと、組立体を加熱し、これによりシール手段を膨張させて第1及び第2のコンポーネント間の隙間を埋め、これによりコンポーネントの間に流体密封シールを形成することを含む組立体の製造方法が提供される。
【0008】
本発明の実施の形態は、第1及び第2のコンポーネントが互いに接続され、液体中に浸漬され、流体が組立体から隙間を介して排出されることを可能にするために液体から除去され、その後隙間をシールするために組立体への操作者又はツールアクセスの必要無しに加熱処理されるという利点を有する。
【0009】
本発明の実施の形態は、2つのコンポーネント間において防水及び/又は気密のシールが必要で、組立体がコーティング又は耐食液体等の液体に浸漬されることが必要な他の処理又は他の処理が行われる前に、製造プロセス中においてアクセス不能になる場合のようなコンポーネントの製造において特別な利点をもたらすものである。
【0010】
第1及び第2のコンポーネント間の隙間の存在により、液体がコンポーネントの間及び周囲を流れることが可能になる。処理が一旦完了すると、隙間をシールするためにシール手段の膨張を生じさせるための熱処理がコンポーネントに行われる前に、任意の過剰の液体をコンポーネントから隙間を介して排出させることができる。
【0011】
操作者又は道具によるコンポーネントへのアクセスが必要とされないため、第1及び第2のコンポーネントは、例えば第3のコンポーネント内に含まれることができ、第1及び第2のコンポーネント間の流体密封シールを形成する能力を損なうことなく操作者又は道具に対して実質的にアクセス不能になり得ることを理解すべきである。
【0012】
シール手段は、加熱により膨張するように構成された熱的に活性化されたマスチックを備えることができる。シール手段は、マスチックの層の形態で設けられることができ、例えば、マスチックの連続するループ状又はガスケットの形態であり得る。シール手段は、代替的にはマスチックの断続的な帯の形状であり得る。
【0013】
第1のコンポーネントは、第2のコンポーネントを少なくとも部分的に取り囲むことができることを理解すべきである。
【0014】
有利には、方法は、第3のコンポーネントを設ける工程を備え、第1の組立体を加熱する工程の前に、第2のコンポーネントが第1及び第3のコンポーネントによって少なくとも部分的に取り囲まれるように第3のコンポーネントを設ける工程を含む。
【0015】
第2のコンポーネントは、第1及び第3のコンポーネントにより実質的に完全に取り囲まれることができる。
【0016】
第2のコンポーネントが開口部を介して見え、第1及び第3のコンポーネントによって部分的に又は完全に取り囲まれるように、第1及び/又は第3のコンポーネントはその中に開口部を有し得ることを理解すべきである。
【0017】
更に有利には、方法は、第3のコンポーネントを第1及び第2のコンポーネントの一方又は両方に接続する工程を更に備えることができる。
【0018】
随意には、第3のコンポーネントは、単体構造コンポーネントの形態であり得る。代替的には、第3のコンポーネントは、複数のサブコンポーネントを含むことができ、方法は、複数のサブコンポーネントから第3のコンポーネントを組み立てる工程を備える。
【0019】
随意には、第1及び第2のコンポーネントの一方又は両方は、単体構造コンポーネントを含むことができる。代替的には、第1及び第2のコンポーネントの一方又は両方は、複数のサブコンポーネントを含むことができる。
【0020】
有利には、方法は、第3のコンポーネントと第1及び第2のコンポーネントの一方又は両方との間に隙間を存在させ、組立体が加熱される前に流体が隙間を流れて組立体から排出されるように、第3のコンポーネントと第1及び第2のコンポーネントの一方又は両方との間にシール手段を設ける工程を含むことができる。
【0021】
この特徴は、ある配置においては、シール手段の膨張後に隙間を埋めることにより、シール手段が第3のコンポーネントに対して、第1及び/又は第2のコンポーネントへの支持を行うことを可能とするという利点を有する。
【0022】
ある実施の形態においては、シール手段の膨張前及び後にシール手段が隙間を埋めることができることを理解すべきである。
【0023】
随意には、第3のコンポーネントと第1及び第2のコンポーネントの一方又は両方との間にシール手段を設ける工程は、シール手段の膨張が、第3のコンポーネントと第1及び第2のコンポーネントの一方又は両方との間に流体密封シールを生じさせるようにシール手段を設けることを含むことができる。
【0024】
有利には、方法は、流体密封シールを形成するために組立体を加熱する前に、組立体を流体に晒す工程を含むことができる。
【0025】
更に有利には、方法は、第1のコンポーネントと対向する自由周縁端部を有するトレイを定義する形状の第2のコンポーネントを設ける工程を備え、シール手段の膨張が第2のコンポーネントの周縁端部の周囲の第1及び第2のコンポーネントの間に設けられる流体密封シールを生じさせることを含み得る。
【0026】
方法は、第1のコンポーネント内に開口部を形成し、これにより第2のコンポーネントによって定義されたトレイの内部にアクセス可能にさせる工程を含むことができる。
【0027】
この特徴は、第2のコンポーネントの内部が、装置、自動車コンポーネント又は乗客の手回り品又はラゲッジ等の保存庫などの目的に用いられ得るという利点を有する。よって、第2のコンポーネントがトレイの形態を有する場合には、トレイは、保管又は他の目的のために有用な容量を提供し得る。例えばトレイは、以下に示すようなオーディオシステムのキャビティとして、流体容器として又は他の有益な目的として有益な容量を設けることができる。
【0028】
随意には、方法は、開口部を介して流体の流れを第2のコンポーネントへ流すことを可能にするために、第2のコンポーネント内に少なくとも1の開口部を設ける工程を備えることができる。
【0029】
この特徴は、液体又はガスなどの流体を第2のコンポーネントの一方の側面から他方へと流すことが出来るという利点を有する。
【0030】
これは、例えば組立体に、電着ディッピングプロセスとして知られる電気泳動析出プロセス等の電着プロセスが行われる場合等の製造において有用であり得る。そのようなプロセスにおいて、組立体上に電着流体の塗膜を形成するために、組立体が、プライマー、 塗料又は他の任意の好適な流体等の電着流体の溶液槽に浸漬され得る。そのようなプロセスは、典型的には車体がディッピングプロセスの対象となる自動車産業において利用される。ある応用においては、組立体が流体中に浸漬される場合に、組立体の実質的に全部の表面が流体でコートされることを保証することが必要である。したがって、第2のコンポーネント内の開口部の存在は、ディッピングプロセス中に第2のコンポーネントを流体で溢れさせることを保証するのに有用である。
【0031】
有利には、方法は、第2のコンポーネント内の少なくとも1の開口部の1つの周囲に熱的に活性化されたシール手段を設けることを含むことができる。
【0032】
少なくとも1の開口部の1つとは、1よりも多い開口部が説明された特徴を有する可能性を排除するものではないことを理解すべきであり、本件の場合、熱的に活性化されたシール手段の特徴がそれらを取り巻くものである。
【0033】
ある実施の形態においては、バルブ手段が、必要に応じて第2の開口部を介して選択的に流体の流れを可能にするか又は妨げることができる。
【0034】
本発明の実施の形態は、構造体の内部又は上部又は下部にバラストタンクを設けるために好適であることを理解すべきである。例えば、自動車又は船舶のバラストタンクなどである。タンクはバルブ手段を開閉することによって浸水又は排出ができるように構成されることができる。
【0035】
バルブ手段は、開口部と接続されるか一体化して形成され得る。代替的には、バルブ手段は、ホース又は他の導管などの流体導管と関連づけられ、バラストタンクへ流体供給を伝達するように構成され得る。開口部は、組立体の使用中の向きに対し、バラストタンクの下方領域内に配置され得る。
【0036】
方法は、第3のコンポーネント内に少なくとも1の開口部を設ける工程を備えることができる。
【0037】
この特徴は、ある配置においては、第2及び第3のコンポーネントの間の容積を浸水させるために流体を第3のコンポーネントに流すことができるという利点を有する。
【0038】
随意には、方法は、第2のコンポーネント内の開口部を第3のコンポーネントの一部と対向する第2のコンポーネントの位置に設けることを含み、開口部の周囲のシール手段の膨張により開口部がシール手段と第3のコンポーネントの一部によってシールされるようにし、これにより開口部を介して第2のコンポーネントを流れる流体の流れを防ぐことを含み得る。
【0039】
有利には、方法は、第2のコンポーネント内の少なくとも1の開口部の1つの周囲にあるシール手段が膨張する際に、第3のコンポーネント内の少なくとも1の開口部が第2のコンポーネント内の少なくとも1の開口部の1つと実質的に一部たりとも重ならないようにし、これにより第2のコンポーネント内の少なくとも1の開口部の1つがシールされて閉じられ得るように、第3のコンポーネント内の少なくとも1の開口部の1つを第2のコンポーネント内の開口部に対して横方向にずれた位置に設ける工程を含むことができる。
【0040】
この特徴は、第3のコンポーネント内の開口部及びその後に続く第2のコンポーネント内の開口部に流体の流れを流すための直接的な経路が存在しないように、組立体を形成することができるという利点を有する。
【0041】
有利には、方法は、使用時に第2のコンポーネント内の少なくとも1の開口部の1つへ又はそこから流れる流体の流れを制御するためのバルブ手段を設ける工程を含むことができる。
【0042】
バルブ手段を設ける工程が、バルブ手段を第2のコンポーネントへ接続する工程、バルブ手段を第2のコンポーネントと一体化して形成させる工程及び流体が第2のコンポーネントを満たす又は排出させるために通過可能な流体導管内にバルブ手段を設ける工程の中から選択される1の工程を含むことができる。
【0043】
随意には、バルブ手段を設ける工程が、第2のコンポーネントを満たす又は排出させるために第2及び第3のコンポーネントに流れる流体の流れを制御するためのバルブ手段を設けることを含むことができる。
【0044】
方法は、フロアパン組立体の形態の第1のコンポーネントを設けることを含むことができる。
【0045】
随意には、第3のコンポーネントが、台枠又は下部構造、シャーシ、梯子形フレーム組立体及びモノコック構造又は任意の他の構造を含むことができる。第3のコンポーネントは、自動車、船、航空機又は他の任意の好適な構造物の一部であり得る。
【0046】
有利には、第2のコンポーネントが第1及び第3のコンポーネントによって少なくとも部分的に取り囲まれるように第3のコンポーネントを設ける工程は、第2のコンポーネントを第3のコンポーネントの縦部材又は横部材に設ける工程を含むことができる。
【0047】
随意には、第2のコンポーネントが第1及び第3のコンポーネントによって少なくとも部分的に取り囲まれるように第3のコンポーネントを設ける工程は、台枠又は下部構造、 シャーシ、梯子形フレーム組立体、モノコック又は他の任意の好適な構造物の横部材又は縦部材などの第3のコンポーネントの縦部材又は横部材内に第2のコンポーネントを設ける工程を含む。
【0048】
これは、ある実施の形態において、利用されない空間は運転手又は自動車の利益のために利用されることができるという利点を有し、この場合は、縦部材又は横部材、随意には梁部材の空洞が挙げられる。
【0049】
他の構造部材もまた、第2のコンポーネント位置に有用な空間を提供する。
【0050】
随意には、方法は、自動車、船及び航空機の中から選択される1つの一部を形成するための組立体の製造方法である。
【0051】
有利には、方法は、自動車、船又は航空機の内部からアクセス可能なように、第1のコンポーネント内の開口部を設けることを含む。
【0052】
有利には、第2のコンポーネントがオーディオスピーカーシステムのエアキャビティを定義し得る。
【0053】
更に有利には、第2のコンポーネントがオーディオシステムのサブウーファーの一部を定義し得る。
【0054】
代替的には、第2のコンポーネントがバラストシステムのタンクを定義し得る。バラストシステムは、重量を増大させるため、及び/又は必要に応じて組立体の浮力を低減させるために利用され得る。例えば、組立体が自動車の一部を形成する場合、自動車が水中移動する際に自動車の浮力を低減させることに有用であり得る。これは、車輪と運転表面(例えば河川敷又は浸水道など)の間の牽引を可能にし改善させるために自動車の車輪の重量を増加させることに役立つことができる。
【0055】
本発明の更なる側面によれば、前述の側面の方法によって形成された組立体が設けられる。
【0056】
そこに保護が求められる本発明の一側面においては、接続手段を用いて互いに間隔を置いて接続された第1のコンポーネント及び第2のコンポーネントと、第1及び第2のコンポーネント間において熱的に活性化されたシール手段とを備え、第1のコンポーネント、第2のコンポーネント及びシール手段が、第1及び第2のコンポーネントの間に存在する隙間がその間に流体を流すことを可能にするように配置されており、シール手段が、第1及び第2のコンポーネント間の隙間を埋め、これによりコンポーネント間の流体密封シールを形成するために、加熱により膨張するように構成された熱的に活性化されたシール手段を備える組立体が提供される。
【0057】
組立体は、第3のコンポーネントを更に備え、第1及び第3のコンポーネントが第2のコンポーネントを少なくとも部分的に取り囲むことができる。
【0058】
第2のコンポーネントは、第1及び第3のコンポーネントにより、実質的に完全に取り囲まれることができる。
【0059】
有利には、第3のコンポーネントが第1及び第2のコンポーネントの一方又は両方に接続され得る。
【0060】
更に有利には、第2のコンポーネントへ又は第2のコンポーネントからの流体の流れを許容するために、第2のコンポーネントがその中に少なくとも1の開口部を備えることができる。
【0061】
より更に有利には、熱的に活性化されたシール手段が第2のコンポーネント内の少なくとも1の開口部の1つの周囲に設けられ、シール手段が加熱により第2及び第3のコンポーネント間にシールを形成するように構成され得る。
【0062】
第2のコンポーネント内の少なくとも1の開口部の1つの周囲のシール手段は、第3のコンポーネントの一部と対向する第2のコンポーネントの位置に設けられ、シール手段の膨張がシール手段及び第3のコンポーネントの一部によって第2のコンポーネント内の少なくとも1の開口部の1つを閉じさせるようにし、これにより少なくとも1の開口部の1つを介して第2のコンポーネントへ又は第2のコンポーネントからの流体の流れを妨ぐことを含む。
【0063】
随意には、少なくとも1の開口部が第3のコンポーネント内に設けられる。
【0064】
この特徴は、第2及び第3のコンポーネント間の容積を満たすために流体を第3のコンポーネントへ流し得るという利点を有する。
【0065】
有利には、第2のコンポーネント内の少なくとも1の開口部の周囲のシール手段が第2及び第3のコンポーネント間のシールを形成するために膨張する際に、第3のコンポーネント内の少なくとも1の開口部が第2のコンポーネント内の少なくとも1の開口部と一部たりとも重ならないように、第3のコンポーネント内の少なくとも1の開口部の1つが第2のコンポーネント内の少なくとも1の開口部に対して横方向にずれた位置に設けられる。
【0066】
この特徴は、第3のコンポーネント内の開口部及びその後に続く第2のコンポーネント内の開口部に流体の流れを流すための直接的な経路が存在しないように、組立体を形成することができるという利点を有する。
【0067】
更に有利には、第2のコンポーネントが、トレイと、トレイの周縁端部の周囲に設けられた第1及び第2のコンポーネント間のシール手段とを備え、シール手段は周縁端部と第1のコンポーネントとの間の隙間を埋めるためにトレイの周縁端部から離れて加熱により膨張するように構成され、これによりその間に流体密封シールを形成する。
【0068】
組立体は、少なくとも1の開口部の1つを介して第2のコンポーネントへ又は第2のコンポーネントからの流体の流れを制御するためのバルブ手段を備えることができる。
【0069】
バルブ手段が、第2のコンポーネント接続されること、第2のコンポーネントと一体化して形成されること及び流体が第2のコンポーネントを満たす又は排出させるために通過可能な流体導管内に設けられることの中から選択された1つであり得る。
【0070】
バルブ手段は、第2のコンポーネントを流体が満たすか又は排出することを可能にするために第2及び第3のコンポーネントを流れる流体の流れを制御するように構成され得る。
【0071】
随意には、開口部がトレイの内部へのアクセスを可能にする第1のコンポーネント内に設けられる。
【0072】
有利には、第1のコンポーネントが自動車のフロアパン組立体を備えることができる。
【0073】
更に有利には、第3のコンポーネントが、台枠又は下部構造、シャーシ、梯子形フレーム組立体及びモノコックの中から選択される1つを備えることができる。
【0074】
より更に有利には、第2のコンポーネントが、第3のコンポーネントの縦部材又は横部材の内部に配置され得る。
【0075】
随意には、第2のコンポーネントがオーディオスピーカーシステムのエアキャビティを定義し得る。第2のコンポーネントが、オーディオシステムのサブウーファーの一部を定義し得る。
【0076】
そこに保護が求められる本発明の一側面においては、上述の側面に従う組立体を備える自動車、船又は航空機が設けられる。
【0077】
保護が求められる本発明の一側面によれば、フロアパン組立体とバッフルトレイとを備える組立体が提供されるものであり、バッフルトレイは、トレイ部とトレイ部の周縁端部の周囲に設けられたシール部材を備え、バッフルトレイは、フロアパン組立体と空間をおいて支持され、シール部材は、熱的に活性化されたシール手段を備え、シール手段は、トレイの周縁端部とフロアパン組立体との間の隙間を埋め、これによりトレイの周縁端部の周りのその間で液体密封シールを形成するために、周縁端部から離間して加熱により膨張するように構成されている。
【0078】
本発明の有利な特徴は、以下の詳細な説明及びここに添付される特許請求の範囲において言及される。
【0079】
本出願の範囲内において、上述の段落、特許請求の範囲及び/又は以下の詳細な説明及び図面に記載されている種々の側面、実施の形態、実施例、特徴、及び代替物は、独自に又はその任意の組み合わせにおいて取り込まれることが想定されている。ある実施形態に関連して説明した特徴は、その特徴が相反することが無い限り全ての実施形態に適用できる。
【0080】
本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら例示の目的のみにおいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
図1図1は、本発明の実施の形態に係るサブウーファーバッフルトレイの斜視図である。
図2図2は、サブウーファーバッフルトレイが自動車のフロアパン組立体の底面に接続されるプロセスの概略図である。
図3図3(a)は、床板に接続されたサブウーファーバッフルトレイの概略図であり、図3(b)は、バッフルトレイと床板とを間隔を開けた関係に保持する接続部材のクローズアップ図の概略図である。
図4図4は、車体組立体を形成するためにフロアパン組立体が自動車の梯子形フレーム組立体接続されるプロセスの概略図である。
図5図5は、梯子形フレーム組立体の縦部材内に取り囲まれたトレイ組立体を示す車体組立体の一部の断面図である。
図6図6は、梯子形フレーム組立体の縦部材内に取り囲まれたトレイ組立体を示す図5に示す車体の一部の断面図である。
図7図7は上からみたフロアパン組立体の斜視図である。
図8図8は、サブウーファーシステムの上部への取付が完了した後のフロアパン組立体の概略断面図である。
図9図9は、本発明の実施の形態に係る内部に設置されたバラストタンクを備える車体組立体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0082】
図1は、本発明の実施の形態に係るサブウーファーバッフルトレイ110の斜視図である。トレイ110は、自動車フロアパン組立体155(図2)の床板150の底面150Uに接続されるように配置されており、これによりサブウーファーシステムの箱部を定義している。
【0083】
トレイ110は、実質的にU字形であり、2つの細長く平行な側壁110A、110Cと基底壁110Eとによって定義される矩形の断面をなしている。一組の端壁110B、110Dが、対向する端部側壁110A、110Cと基底壁110Eとに配置されている。トレイ110の剛性を高めるために、横方向ウェブ部材110Wが、トレイ110内でその縦軸に対して横向きに配置されている。これにより、トレイ110の壁110A、110C、110B、110Dの厚みを減少させることが可能であり、これによりトレイ110の重量が低減される。ある実施の形態においては、トレイ110は、ガラス繊維強化プラスチック(GRP)材料で形成されている。
【0084】
側壁110A、110C及び端壁110A、110Bの自由端によって定義されるトレイ110の自由周縁端部110Pは、加熱活性化マスチックの形態の層状のシール部材110Sを備える。シール部材110Sは、開口部の周縁端部110Pに沿って形成された溝116内に設けられている(図3)。シール部材110Sの材料であるマスチックは、約180℃のシール部材活性化温度に加熱されるときにその体積が少なくとも最大約2−3倍に膨張するように構成されている。
【0085】
トレイ110の基底壁110Bは、その内部に設けられた3つの排水開口部112、113、114を有する。シール部材112S、113S、114Sは、各開口部112、113、114の周縁端部の周囲に設けられている。シール部材112S、113S、114Sは、シール部材110Sとは反対方向に向く基底壁110の外層上に設けられている。シール部材110Sと同様に、図5及び図6にその詳細が示されるシール部材112S、113S、114Sが、その各開口部112、113、114の周囲の溝に同様に配置されている。
【0086】
モミの木型のクリップの形態を有する6つの接続要素131は、トレイ110の周縁端部110Pの周囲に設けられている。クリップは、シール部材110Sと床板150とが一度接続されるとその間に隙間が存在するように、床板150の底面にトレイ110を接続可能に配置されている。図3は、床板150と並設されたトレイ110をその場で支持する接続要素131を示す。床板150に対して間隔を置いてトレイ110を支持可能にする任意の好適なクリップ又は他の機械的固定が利用され得る。
【0087】
要素131がシール部材110Sを通過する位置でシール部材110Sにより接続要素131を取り囲むように、接続要素131がシール部材110Sの一部を通過していることが理解できるであろう。この特徴は、一旦シール部材110Sが塗料焼き付けオーブンを通過した後に膨張すると、接続要素131の周囲に流体密封シールが形成され得るという利点を有する。流体密封シールの形成は、トレイ110の外側の流体が、トレイ110が配置される床板150上の側面からトレイ110を介して床板150の対向側面へと通過することを防ぐという利点を有する。
【0088】
トレイ110が組み込まれる自動車の組立の際、トレイ110は、図2に示す接続要素131を用いて床板150の底面150Uに接続される。床板150の開口部151により、以下に示す自動車の内部のトレイ110によって定義されるキャビティへの便利なアクセス(接続)が可能となる。
【0089】
その後、フロアパン組立体155は、図4及び図5に示すような車体組立体101を形成するために、梯子形フレーム組立体160の縦部材161(又は梯子部材161)に接合される。フロアパン組立体155は、トレイ110が縦部材161のうちの1つの中に含まれるように、縦部材161に(例えば溶接、機械的固定要素又は任意の他の好適な方法により)永久的に接合される。縦部材161は実質的にU字形の区域を有する。トレイ110の外部形状はそれが設けられる縦部材161内の内部形状に対応する。
【0090】
縦部材161は、図5に示すようにその基底部内に形成された排水開口部161Aを有する。図5から、接続要素131がトレイ110から床板150を通過し、床板150を横(東−西)方向に走る床板横部材153によって取り囲まれていることが分かるであろう。この特徴は、シール部材131の露出部分と車体組立体101のコンポーネントとの間に衝突が発生するリスクを低減させるか又は実質的に除去するという利点を有する。
【0091】
一度フロアパン組立体155が梯子形フレーム組立体160に接合されると、車体組立体101には、電着ディッピングプロセスとして一般的に知られる電気泳動析出プロセスなどの電着プロセスが行われる。車体組立体101は、車体組立体101上に電着流体の塗膜を形成するためのプライマー、塗料又は他の任意の好適な流体などの電着流体の溶液槽内に浸漬される。
【0092】
床板150内の開口部151は、組立体101が流体に浸漬される際に、トレイ110によって定義された内部容積を電着流体で溢れさせることを可能にするように配置される。トレイ110の基底壁110B内に設けられた排水開口部112、113、114と縦部材161内に形成された開口部161Aは、電着ディッピングプロセスの間に、トレイ110と縦部材161との間の容積を電着流体で溢れさせることを可能にする。
【0093】
車体組立体101がその後電着流体の溶液槽から取り除かれると、過剰の電着流体は、電着の層でコートされた縦部材161と床板150のすべての表面から実質的に取り去る開口部151、112、113、114、161Aを介して組立体101からから排出することが可能である。トレイ110がプラスチック又は他の非導電材料で形成された実施の形態においては、トレイ110は電着とそれに続く溶液槽からの除去によってはコートされそうにないことを理解すべきである。トレイ110が導電材料で形成される実施の形態においては、トレイ110が電着の層でコートされるように配置され得る。
【0094】
よって、トレイ110又は縦部材161によって取り囲まれた床板150の底面150Uの一部は、トレイ110が床板150に対してシールされることを可能にし、これによりトレイ110のシールされた内部容積又はキャビティを形成する間に、組立体101が形成された後に行われるコーティングプロセスにおける電着流体の層でコートされることができることを理解すべきである。これは、組立体101が形成される前に組立体101の個々のコンポーネントのコーティングが必要でなくなるという利点を有する。
【0095】
いくつかの組立体プロセスにおいては、車体組立体101が形成される前に電着プロセスを実行することが可能ではないことを理解すべきである。ある配置においては、これは、採用される接合方法が塗装表面と適合しないからである。
【0096】
ある配置においては、車体組立体101は、そこから電着流体の排出を可能とするために電着流体の溶液槽からの除去の後に回転される。ある配置においては、車体組立体101は、溶液槽からの除去の後に、実質的に360°の角度で回転される。ある配置においては、車体組立体101は、車体組立体101が溶液槽内で浸漬された状態で回転され得る。
【0097】
車体組立体101が電着流体に晒されるプロセスが説明される間、ある代替的な実施の形態においては、車体組立体101が陽極酸化プロセスの電解質、洗浄流体又は車体組立体101を晒すために必要な任意の他の流体などの電着流体以外の流体に晒されることができることを理解すべきである。電着プロセス以外のプロセスもまた有用である。
【0098】
車体組立体101は、その後電着層を硬化させるためにオーブン内で加熱される。車体組立体101は、まず電着層の硬化が行われる温度に加熱されることができ、その硬化温度はシール部材活性温度よりも低いことが理解されるべきである。一旦組立体101の温度で硬化が行われた後は、シール部材活性化温度へと上昇される。
【0099】
ある配置においては、車体組立体101は、シール部材110S、112S、113S、114Sの活性化が可能となるために十分な程度にまで電着層の硬化が起こる温度へ加熱されることができ、シール部材110S、112S、113S、114Sが各隙間をシールするために膨張した後に更なる硬化が起こることを理解すべきである。
【0100】
ある配置においては、組立体101は、シール部材活性化温度に到達する前に、電着層の硬化を許容するために十分に長い期間にわたってシール部材活性化温度に加熱される。
【0101】
一旦シール部材活性化温度に到達すると、シール部材110S、112S、113S、114Sを形成する加熱活性化マスチックが膨張する。トレイ110の周縁端部110P周囲のシール部材110Sは、トレイ110と床板150との間の隙間をシールするために膨張する。トレイ110内の排水開口部112、113、114の周囲のシール部材112S、113S、114Sは、排水開口部112、113、114と縦部材161との間の隙間をシールするために膨張する。
【0102】
よって、一旦シール部材110S、112S、113S、114Sがトレイ110の内部容積とトレイ110の外側にある環境との間の流体伝達を増大させることを生じさせることは、床板150に形成された開口部151を介してのみ可能であることを理解すべきである。
【0103】
排水開口部112、113、114の周囲のシール部材112S、113S、114Sは、縦部材161内の排水開口部161Aと対向して設けられないため、一度シール部材112S、113S、114Sがトレイ110と縦部材161との間の隙間を埋めるために膨張すると、開口部112、113、114が閉じられることを理解すべきである。
【0104】
ある実施の形態においては、縦部材161内の開口部161Aは、自動車の使用可能寿命の間、トレイ110と縦部材161との間の容積の喚起を可能にするために開いたままである。自動車が使用中に縦部材161が液体中に浸漬される場合、例えば、水中動作にある場合に、容積が液体に晒されるため、この容積は、「ウェット」領域ともよばれる。
【0105】
図8にその詳細を示す組立体の更なる工程において、サブウーファーシステム180の上部181が自動車のキャビン内のトレイ110上に設置される。上部181は、床板150内の開口部151と実質的に流体密封シールを形成する開口部181Aを有する。
【0106】
サブウーファードライバにより、空気がバッフルトレイ110へ強制的に入るか又はバッフルトレイ110から出るために、使用時におけるサブウーファーバッフルトレイ110内の圧力は、大気圧よりも高い約1気圧から大気圧よりも低い1気圧の範囲にあり得ることを理解すべきである。サブウーファーバッフルトレイ110へ流入(AI)又は流出(AO)する経路は図8に概略的に表されている。
【0107】
ある実施の形態においては、トレイ110は、トレイ110と縦部材161との間の隙間を埋めるシールを形成してその後にシール部材のマスチックを活性化させるために、その外表面の1又は複数の他の位置に1又は複数のシール部材を備える。この特徴は、トレイ110がその長さに沿って更なる位置で支持されることを可能にし、トレイ110の1以上の共振周波数での振動などのような、使用時におけるトレイの振動を低減させることに対して有用である。
【0108】
本実施の形態においては、3つの実質的にU字形のシール部材118がトレイ110の長さに沿って空間を置いて設けられ、シール部材118は、周縁端部110Pの一側面から他方へと壁110A、110E、110Cの外表面の周囲に伸びている。これらシール部材118の存在により、縦部材内に設置された際にトレイ110の使用時における剛性を高めることに役立つ。この特徴は、上述したように使用時においてトレイ110内で発生する圧力の比較的大きな変化に対して特に有用である。
【0109】
加熱活性化マスチックで形成されたシール部材110S、112S、113S、114Sの使用は、シール部材110S、112S、113S、114Sが活性化されたときに、トレイ110と縦部材161又は床板150の間の隙間の大きさの変動をたやすく順応できるという利点を有することを理解すべきである。
【0110】
本発明の実施の形態はサブウーファーバッフルの準備に関して説明されたものであり、ある代替的な実施の形態では、トレイ110が異なる目的で使用され得ることを理解すべきである。例えば、トレイ110は、手回り品又は自動車アクセサリ等のアイテムを保管する目的のために運転手又は乗客によってアクセス可能に構成される。ある実施の形態においては、床板(パネル)は、自動ワイパーによる洗浄又は他の任意の好適な液体のための容器などのような流体容器を設けることができる。代替的に又は追加的には、床板は、1又は複数の自動車システム又はシステムコンポーネントを保管するために利用することができる。他の使用又は機能もまた有用である。
【0111】
図9は、トレイ210が自動車フロアパン組立体255の床板250の底面250Uに接続され、これによりバラストタンク210BTを定義する車体組立体201の一部を示す。
【0112】
タンク210BTは、図5に示す実施の形態のトレイ110と同様な手法による梯子形フレーム組立体の縦部材261によって取り囲まれている。トレイ210は、縦部材261内に形成された対応する組の流体排水開口部261FDの直上に位置するその下面にある一組の流体排水開口部210FDを有する。各流体導管210Cは、それぞれの開口部210FD、261FDを介してタンク210BTへ又はタンク210BTから流体を差し向けるために設けられている。バルブ210Vは、タンク210BTへ又はタンク210BTからの流体の流れを妨げることを可能にするために、開口部261FDを選択的に開閉するための開口部261FDのそれぞれに位置する縦部材261の底面に接続されている。
【0113】
換気開口部255AVが、換気バルブ255Vが取り付けられた組立体201の床板250内に設けられている。換気バルブ255Vは、タンク210BTを水で満たすか又はタンク210BTから排出させる際に開くことができる。
【0114】
バルブ210V、255Vのそれぞれは、コントローラからの信号によって開閉が制御され得る。
【0115】
使用時において、自動車が水中を走行し、自動車の浮力の削減が必要な場合、バラストタンク210BTを水で満たすことを可能にするために、流体排出バルブ210FDと換気バルブ255Vとを開くことができる。タンク210BTへ十分な量の水が引き込まれると、換気バルブ255V、随意には排出バルブ210FDを閉じることができる。タンク210BTを空にすることが必要なときは、水を排出可能にするために、換気バルブ255V(既に開かれていない場合は流体排出バルブ210FDをも)を開くことができる。
【0116】
換気バルブ255Vと流体排出バルブ210Vは、水中移動時(ウェーディング時)には開いたままに制御され得ることを理解すべきである。しかしながら、液体の水位が上がり、水が換気バルブ255を溢れるリスクが存在する場合には、換気バルブ255Vを流れる水の流れを妨げるために換気バルブ255V又は流体排出バルブ210FDまたはすべての三方バルブ255V、210FVを閉じるのが得策である。
【0117】
他の配置もまた有用である。
【0118】
本発明の実施の形態は、モノコック自動車構造に関して説明されている。本発明の実施の形態はボディ/シャーシ構造又は任意の他の形式の構造などの代替構造を有する自動車への使用に好適であることを理解すべきである。本発明の実施の形態は、建物のコンポーネント、固定翼機及び回転翼機を含む航空機、小型船及び他の大型船舶を含む船及び多くの他の物品及び目的物などの他の物品の構造にもまた有用である。
【0119】
この明細書の説明及び特許請求の範囲において、単語「備える(comprise)」、「含む(contain)」及びこれら単語の変形、例えば「備えている(を備える)」及び「備えた(を備える)」は、「含むがこれに限定されない(including but not limited to)」という意味であり、他の部分、付加物、構成要素、数値又は工程等を除外することを意図するものではない。
【0120】
この明細書の説明及び特許請求の範囲において、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、単数形は複数形を包含するものである。特に、不定冠詞が用いられる場合、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、単数のみならず複数をも意図することが理解されるべきである。
【0121】
本発明の特定の側面、実施形態又は実施例と合わせて説明される特徴、数値、特性、化合物、化学的な構成成分又は群は、矛盾のない限りここに記載された任意の他の側面、実施形態又は実施例に適用可能であることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0122】
101…車体組立体
110…バッフルトレイ
110…基底壁
110A…側壁(端壁)
110B、110E…基底壁
110P…(自由)周縁端部
110S…シール部材
110W…横方向ウェブ部材
112…(排水)開口部
112S…シール部材
116…溝
118、131…シール部材
131…接続要素
150…床板
150U…底面
151…開口部
153…床板横部材
155…フロアパン組立体
160…梯子形フレーム組立体
161…縦部材(梯子部材)
161A…(排水)開口部
180…サブウーファーシステム
181A…開口部
201…組立体
210…トレイ
210BT…バラストタンク
210C…流体導管
210FD…開口部(排出バルブ)
210V…流体排出バルブ
250…床板
250U…底面
255…換気バルブ
255…自動車フロアパン組立体
255AV…換気開口部
255V…換気バルブ
255V…三方バルブ
261…縦部材
261FD…(流体排水)開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9