特許第6084241号(P6084241)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6084241
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】電子部品実装機器の基板搬送システム
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20170213BHJP
【FI】
   H05K13/02 U
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-560606(P2014-560606)
(86)(22)【出願日】2013年2月8日
(86)【国際出願番号】JP2013053023
(87)【国際公開番号】WO2014122769
(87)【国際公開日】20140814
【審査請求日】2015年4月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】成田 佳貴
(72)【発明者】
【氏名】山田 一亮
【審査官】 中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−271091(JP,A)
【文献】 特開2008−192824(JP,A)
【文献】 特開2007−184309(JP,A)
【文献】 特開2002−217592(JP,A)
【文献】 特開2002−208797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
H05K 13/08
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板を電子部品実装機器の一端部から他端部まで水平な第1の方向に搬送する実装機器コンベアと、
前記電子部品実装機器より前記プリント基板の搬送方向の上流側に位置する上流側装置から前記プリント基板を搬出させる上流側コンベアと、
前記電子部品実装機器より前記プリント基板の搬送方向の下流側に位置する下流側装置に前記プリント基板を搬入させる下流側コンベアと、
前記上流側コンベアと下流側コンベアとのうち少なくとも下流側コンベアと前記実装機器コンベアとの間に位置するように配置されたバッファコンベアとを備え、
前記実装機器コンベアは、前記プリント基板を前記搬送方向とは直交する水平な第2の方向に移動させる機能を有し、
前記上流側コンベアは、前記下流側コンベアとは前記第2の方向に離間して配置され、
前記バッファコンベアは、前記プリント基板を前記第1の方向に搬送する機能と、前記プリント基板を前記第2の方向に移動させる機能とを有し、
前記実装機器コンベアと前記バッファコンベアとが前記第2の方向において同一の位置に位置している状態でこれらのコンベアの一方のコンベアから他方のコンベアへプリント基板が乗り移り、
前記実装機器コンベアは、
前記バッファコンベアにおける、前記下流側コンベアと前記実装機器コンベアとの間に設けられた下流側バッファコンベアが前記第2の方向におけるプリント基板を搬出する搬出位置で待機している場合であって、かつ搬出可能なプリント基板および次に作業が実施される次のプリント基板が前記実装機器コンベア内にある場合には、前記第2の方向における搬出工程の次の工程が実施される次の位置であって、前記次のプリント基板について作業が実施される位置に移動するものであり、
前記下流側バッファコンベアは、プリント基板の搬出を終えてプリント基板が載せられていない状態で前記第2の方向における前記次の位置に移動することを特徴とする電子部品実装機器の基板搬送システム。
【請求項2】
プリント基板を電子部品実装機器の一端部から他端部まで水平な第1の方向に搬送する実装機器コンベアと、
前記電子部品実装機器より前記プリント基板の搬送方向の上流側に位置する上流側装置から前記プリント基板を搬出させる上流側コンベアと、
前記電子部品実装機器より前記プリント基板の搬送方向の下流側に位置する下流側装置に前記プリント基板を搬入させる下流側コンベアと、
前記上流側コンベアと下流側コンベアとのうち少なくとも下流側コンベアと前記実装機器コンベアとの間に位置するように配置されたバッファコンベアとを備え、
前記実装機器コンベアは、前記プリント基板を前記搬送方向とは直交する水平な第2の方向に移動させる機能を有し、
前記上流側コンベアは、前記下流側コンベアとは前記第2の方向に離間して配置され、
前記バッファコンベアは、前記プリント基板を前記第1の方向に搬送する機能と、前記プリント基板を前記第2の方向に移動させる機能とを有し、
前記実装機器コンベアと前記バッファコンベアとが前記第2の方向において同一の位置に位置している状態でこれらのコンベアの一方のコンベアから他方のコンベアへプリント基板が乗り移り、
前記実装機器コンベアは、搬出可能なプリント基板を有している状態であって、かつ前記下流側コンベアと前記実装機器コンベアとの間に設けられた下流側バッファコンベアが前記第2の方向におけるプリント基板を搬出する搬出位置で待機している場合に、前記第2の方向における前記搬出位置に移動するものであることを特徴とする電子部品実装機器の基板搬送システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の電子部品実装機器の基板搬送システムにおいて、前記バッファコンベアは、前記上流側コンベアと前記実装機器コンベアとの間に設けられた上流側バッファコンベアを含み、
前記上流側バッファコンベアは、前記実装機器コンベアが前記第2の方向におけるプリント基板を搬出する搬出位置で待機している場合に前記搬出位置に移動するものであることを特徴とする電子部品実装機器の基板搬送システム。
【請求項4】
請求項1または請求項2記載の電子部品実装機器の基板搬送システムにおいて、前記バッファコンベアは、前記上流側コンベアと前記実装機器コンベアとの間に設けられた上流側バッファコンベアを含み、
前記上流側バッファコンベアは、前記実装機器コンベアが前記第2の方向における前記電子部品実装機器による作業が実施される作業位置で待機している場合に前記作業位置に移動するものであることを特徴とする電子部品実装機器の基板搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品実装装置やプリント基板用半田印刷装置などにプリント基板を搬送するための電子部品実装機器の基板搬送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品実装装置やプリント基板用半田印刷装置などの電子部品実装機器にプリント基板を搬送するための基板搬送システムとしては、例えば特許文献1に記載されているものがある。
この特許文献1に開示されている基板搬送システムは、スクリーン印刷装置と、このスクリーン印刷装置の下流側に位置する塗布、検査装置との間に基板振り分け装置を備えている。
【0003】
この基板振り分け装置は、プリント基板を搬送方向とは直交する水平方向に移動させるためのものである。
前記スクリーン印刷装置によって半田が塗布されたプリント基板は、スクリーン印刷機から基板振り分け装置に送られる。そして、このプリント基板は、前記基板振り分け装置によって搬送方向とは直交する水平方向に移動させられた後、前記塗布、検査装置に搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4883071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されている電子部品実装機器の基板搬送システムでは、プリント基板の搬送を効率よく行うことができないという問題があった。この理由は、たとえば、スクリーン印刷装置において印刷終了後のプリント基板を下流側の基板振り分け装置に速やかに搬出できない場合があるからである。
【0006】
前記基板振り分け装置は、プリント基板を塗布、検査装置に送らなければ、次のプリント基板をスクリーン印刷装置から搬入することはできないものである。このため、前記塗布、検査装置でプリント基板の搬入が許可されていない場合は、基板振り分け装置にプリント基板が保持されることになり、上述したようにスクリーン印刷機でプリント基板が滞留することになる。
【0007】
すなわち、特許文献1記載の基板搬送システムでは、スクリーン印刷機においてプリント基板の搬入と搬出とを同時に行うことができない場合があるために、上述したようにプリント基板の搬送効率が低くなってしまう。このようなプリント基板の滞留に起因する不具合は、スクリーン印刷装置だけでなく、塗布、検査装置や電子部品実装装置などの他の電子部品実装機器においても同様に生じる。
【0008】
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、プリント基板の搬入位置と搬出位置が搬送方向とは直交する方向にずれている基板搬送システムにおいて、プリント基板を効率よく搬送できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明に係る電子部品実装機器の基板搬送システムは、プリント基板を電子部品実装機器の一端部から他端部まで水平な第1の方向に搬送する実装機器コンベアと、前記電子部品実装機器より前記プリント基板の搬送方向の上流側に位置する上流側装置から前記プリント基板を搬出させる上流側コンベアと、前記電子部品実装機器より前記プリント基板の搬送方向の下流側に位置する下流側装置に前記プリント基板を搬入させる下流側コンベアと、前記上流側コンベアと下流側コンベアとのうち少なくとも下流側コンベアと前記実装機器コンベアとの間に位置するように配置されたバッファコンベアとを備え、前記実装機器コンベアは、前記プリント基板を前記搬送方向とは直交する水平な第2の方向に移動させる機能を有し、前記上流側コンベアは、前記下流側コンベアとは前記第2の方向に離間して配置され、前記バッファコンベアは、前記プリント基板を前記第1の方向に搬送する機能と、前記プリント基板を前記第2の方向に移動させる機能とを有し、前記実装機器コンベアと前記バッファコンベアとが前記第2の方向において同一の位置に位置している状態でこれらのコンベアの一方のコンベアから他方のコンベアへプリント基板が乗り移り、前記実装機器コンベアは、前記バッファコンベアにおける、前記下流側コンベアと前記実装機器コンベアとの間に設けられた下流側バッファコンベアが前記第2の方向におけるプリント基板を搬出する搬出位置で待機している場合であって、かつ搬出可能なプリント基板および次に作業が実施される次のプリント基板が前記実装機器コンベア内にある場合には、前記第2の方向における搬出工程の次の工程が実施される次の位置であって、前記次のプリント基板について作業が実施される位置に移動するものであり、前記下流側バッファコンベアは、プリント基板の搬出を終えてプリント基板が載せられていない状態で前記第2の方向における前記次の位置に移動することを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明に係る電子部品実装機器の基板搬送システムは、プリント基板を電子部品実装機器の一端部から他端部まで水平な第1の方向に搬送する実装機器コンベアと、前記電子部品実装機器より前記プリント基板の搬送方向の上流側に位置する上流側装置から前記プリント基板を搬出させる上流側コンベアと、前記電子部品実装機器より前記プリント基板の搬送方向の下流側に位置する下流側装置に前記プリント基板を搬入させる下流側コンベアと、前記上流側コンベアと下流側コンベアとのうち少なくとも下流側コンベアと前記実装機器コンベアとの間に位置するように配置されたバッファコンベアとを備え、前記実装機器コンベアは、前記プリント基板を前記搬送方向とは直交する水平な第2の方向に移動させる機能を有し、前記上流側コンベアは、前記下流側コンベアとは前記第2の方向に離間して配置され、前記バッファコンベアは、前記プリント基板を前記第1の方向に搬送する機能と、前記プリント基板を前記第2の方向に移動させる機能とを有し、前記実装機器コンベアと前記バッファコンベアとが前記第2の方向において同一の位置に位置している状態でこれらのコンベアの一方のコンベアから他方のコンベアへプリント基板が乗り移り、前記実装機器コンベアは、搬出可能なプリント基板を有している状態であって、かつ前記下流側コンベアと前記実装機器コンベアとの間に設けられた下流側バッファコンベアが前記第2の方向におけるプリント基板を搬出する搬出位置で待機している場合に、前記第2の方向における前記搬出位置に移動するものであることを特徴とする。
【0011】
本発明は、前記発明において、前記バッファコンベアは、前記下流側コンベアと前記実装機器コンベアとの間に設けられた下流側バッファコンベアを含み、前記実装機器コンベアは、搬出可能なプリント基板を有している状態において、前記第2の方向におけるプリント基板搬出工程の次の工程が実施される次の位置に移動するものであり、前記下流側バッファコンベアは、プリント基板が載せられていない状態で前記第2の方向における前記次の位置に移動するものであることを特徴とする。
【0012】
本発明は、前記発明において、前記バッファコンベアは、前記上流側コンベアと前記実装機器コンベアとの間に設けられた上流側バッファコンベアを含み、前記上流側バッファコンベアは、前記実装機器コンベアが前記第2の方向におけるプリント基板を搬出する搬出位置で待機している場合に前記搬出位置に移動するものであることを特徴とする。
【0013】
本発明は、前記発明において、前記バッファコンベアは、前記上流側コンベアと前記実装機器コンベアとの間に設けられた上流側バッファコンベアを含み、前記上流側バッファコンベアは、前記実装機器コンベアが前記第2の方向における前記電子部品実装機器による作業が実施される作業位置で待機している場合に前記作業位置に移動するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、前記上流側装置から前記実装機器コンベアに搬入されるプリント基板や、前記実装機器コンベアから前記下流側装置に搬出されるプリント基板をバッファコンベアに一時的に保持させることができる。このため、プリント基板の搬送が滞ることをバッファコンベアを用いて防ぐことができる。したがって、本発明によれば、プリント基板の搬入位置と搬出位置とが前記第2の方向にずれている基板搬送システムにおいて、プリント基板の搬送効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明に係る電子部品実装機器の基板搬送システムの構成を示す平面図である。
図2図2は、本発明に係る電子部品実装機器の基板搬送システムの構成を示す平面図である。
図3図3は、制御系の構成を示すブロック図である。
図4図4は、実装機器コンベアの動作を説明するためのフローチャートである。
図5図5は、下流側バッファコンベアの動作を説明するためのフローチャートである。
図6図6は、上流側バッファコンベアの動作を説明するためのフローチャートである。
図7図7は、実装機コンベアと下流側バッファコンベアの動作を説明するための平面図である。
図8図8は、実装機コンベアと下流側バッファコンベアの動作を説明するための平面図である。
図9図9は、実装機コンベアと上流側バッファコンベアの動作を説明するための平面図である。
図10図10は、実装機コンベアと上流側バッファコンベアの動作を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る電子部品実装機器の基板搬送システムの一実施の形態を図1図10によって詳細に説明する。
図1に示す基板搬送システム1は、プリント基板2を上流側装置3から電子部品実装機器4に送り、この電子部品実装機器4において作業が終了した後に電子部品実装機器4から下流側装置5に送るためのものである。プリント基板2は、この基板搬送システム1によって、前記上流側装置3から前記下流側装置5に向けて水平な第1の方向に搬送される。以下においては、この第1の方向を単にX方向という。
【0017】
前記上流側装置3は、後述する電子部品実装機器4で実施される工程の前工程を実施するための装置である。この上流側装置3は、前記電子部品実装機器4より前記プリント基板2の搬送方向の上流側に位置している。また、この上流側装置3は、プリント基板2を搬出するための上流側コンベア6を備えている。
【0018】
前記下流側装置5は、前記電子部品実装機器4で実施される工程の後工程を実施するための装置である。この下流側装置5は、前記電子部品実装機器4より前記プリント基板2の搬送方向の下流側に位置している。また、この下流側装置5は、プリント基板2を搬入するための下流側コンベア7を備えている。前記上流側コンベア6は、この下流側コンベア7とは前記X方向とは直交する水平な第2の方向に所定の距離だけ離間して配置されている。以下においては、この第2の方向を単にY方向という。
【0019】
前記電子部品実装機器4は、プリント基板2を用いて何らかの作業を行う機器である。この電子部品実装機器4としては、図示してはいないが、例えば、プリント基板2に半田ペーストを塗布するスクリーン印刷装置や、プリント基板2に電子部品を実装する電子部品実装装置などがある。この電子部品実装機器4は、プリント基板2をこの電子部品実装機器4の一端部から他端部まで前記X方向に搬送する実装機器コンベア8を備えている。
【0020】
この実装機器コンベア8は、前記プリント基板2を前記Y方向に移動させる機能を有している。実装機器コンベア8は、前記Y方向において、前記上流側コンベア6と同じ位置と、前記下流側コンベア7と同じ位置との間で移動可能である。
電子部品実装機器4は、実装機器コンベア8がY方向の一端と他端との間において停止している状態でプリント基板2に対して作業を行う。この作業とは、電子部品実装機器4が例えば電子部品実装装置である場合は、電子部品の実装である。
【0021】
前記上流側コンベア6と前記実装機器コンベア8との間には、上流側バッファコンベア11が設けられている。また、前記下流側コンベア7と前記実装機器コンベア8との間には、下流側バッファコンベア12が設けられている。この実施の形態においては、これらの上流側バッファコンベア11と下流側バッファコンベア12とによって、本発明でいう「バッファコンベア」が構成されている。
【0022】
これらの上流側バッファコンベア11と下流側バッファコンベア12は、前記プリント基板2を前記X方向に搬送する機能と、前記プリント基板2を前記Y方向に移動させる機能とを有している。
これらの上流側バッファコンベア11と下流側バッファコンベア12は、前記Y方向において、前記上流側コンベア6と同じ位置と、前記下流側コンベア7と同じ位置との間で移動可能である。
【0023】
前記上流側バッファコンベア11がY方向において前記上流側コンベア6と同一位置に位置している状態においては、図2に示すように、プリント基板2が上流側コンベア6から上流側バッファコンベア11に乗り移ることができる。
前記上流側バッファコンベア11がY方向において前記実装機器コンベア8と同一位置に位置している状態においては、図1に示すように、プリント基板2が上流側バッファコンベア11から実装機器コンベア8に乗り移ることができる。
【0024】
前記下流側バッファコンベア12がY方向において前記実装機器コンベア8と同一位置に位置している状態においては、図1に示すように、プリント基板2が実装機器コンベア8から下流側バッファコンベア12に乗り移ることができる。
前記下流側バッファコンベア12がY方向において前記下流側コンベア7と同一位置に位置している状態においては、図2に示すように、プリント基板2が下流側バッファコンベア12から下流側コンベア7に乗り移ることができる。
前記実装機器コンベア8と、上流側バッファコンベア11と、下流側バッファコンベア12の動作は、電子部品実装機器4の制御装置13(図3参照)によって制御される。
【0025】
これらのコンベアは、図1に示すように、互いに連係して動作することによって、複数のプリント基板2を搬送することができるものとなる。図1は、実装機器コンベア8においてプリント基板2の搬入と搬出とが同時に行われている状態を示している。実装機器コンベア8へのプリント基板2の搬入は、上流側コンベア6から上流側バッファコンベア11に送られたプリント基板2を上流側バッファコンベア11から実装機器コンベア8に送ることによって行われる。
【0026】
実装機器コンベア8からのプリント基板2の搬出は、実装機器コンベア8から下流側バッファコンベア12にプリント基板2を送ることによって行われる。図1に示す「搬入位置」は、Y方向において上流側コンベア6と同一の位置である。図1に示す「搬出位置」は、Y方向において下流側コンベア7と同一の位置である。
【0027】
実装機器コンベア8に搬入されたプリント基板2は、図2に示すように、実装機器コンベア8の搬送方向(X方向)の中央部に送られ、電子部品実装機器4によって電子部品の実装等の作業が実施される。実装機器コンベア8から下流側バッファコンベア12に送られたプリント基板2は、図2に示すように、下流側バッファコンベア12がY方向において下流側コンベア7と同一位置に移動した状態で、下流側バッファコンベア12から下流側コンベア7に送られる。
【0028】
次に、実装機器コンベア8と上流側バッファコンベア11および下流側バッファコンベア12の動作を図4図6に示すフローチャートと、図7図10に示す模式図とを用いて説明する。
実装機器コンベア8がプリント基板2を搬出するときは、図4に示すフローチャートのステップS1〜S2に示すように、先ず、下流側バッファコンベア12がプリント基板2の搬出を待機しているか否かを制御装置13が判別する。下流側コンベア7にプリント基板2が残存していない場合は、「NO」と判別されてステップS3に進む。実装機器コンベア8は、ステップS3において、下流側バッファコンベア12が実装機器コンベア8の下流側に移動するまで待機し、その後、下流側バッファコンベア12にプリント基板2を送る。
【0029】
前記ステップS2で「YES」と判別された場合は、ステップS4において、制御装置13が実装機器コンベア8内に次のプリント基板2が送られているか否かを判別する。このとき、図7の上半部に示すように、実装機器コンベア8内の待機位置8aに次のプリント基板が存在していない場合、前記ステップS4で「NO」と判別されて、ステップS5に進む。ステップS5においては、図7の下半部に示すように、実装機器コンベア8がY方向において下流側バッファコンベア12と同一位置に移動する。
【0030】
一方、前記ステップS4で「YES」と判別された場合、すなわち図8の上半部に示すように、実装機器コンベア8内に作業終了後のプリント基板2aと、次に作業が実施されるプリント基板2bとがある場合は、ステップS6に進む。ステップS6においては、図8の下半部に示すように、実装機器コンベア8がY方向の次の位置に移動する。この「次の位置」は、Y方向において、プリント基板搬出工程の次の工程が実施される位置である。
【0031】
この電子部品実装機器4が電子部品実装装置である場合の「次の位置」としては、例えば、プリント基板2をカメラ(図示せず)で認識する位置が挙げられる。なお、この「次の位置」は、電子部品実装機器4毎に異なる。
実装機器コンベア8がこのように「次の位置」に移動した後、プリント基板2の搬出を終えた下流側バッファコンベア12がY方向において実装機器コンベア8と同一位置に移動し、前記プリント基板2aが実装機器コンベア8から下流側バッファコンベア12に送られる。
【0032】
下流側バッファコンベア12は、図5のフローチャートに示すように動作する。実装機器コンベア8からプリント基板2が送られた下流側バッファコンベア12は、図5のフローチャートのステップS10に示すように、下流側コンベア7と隣接する位置に移動してプリント基板2の搬出開始を待つ状態になる。
【0033】
そして、下流側バッファコンベア12は、ステップS11〜S12に示すように、下流側装置5から基板搬出許可信号が制御装置13に入力された後、制御装置13による制御によってプリント基板2を搬出する動作を開始する。
この搬出動作が完了した後、ステップS14において、制御装置13が実装機器コンベア8の位置を確認し、ステップS15において、制御装置13が下流側バッファコンベア12をY方向において実装機器コンベア8と同一位置に移動させる。
【0034】
すなわち、下流側バッファコンベア12は、図8の上半部に示すようにプリント基板2を搬出した後、図8の下半部に示すように、Y方向において実装機器コンベア8と隣接する位置に移動する。このとき、実装機器コンベア8が図1に示すような搬入位置に位置していた場合、下流側バッファコンベア12は搬入位置に移動する。
この下流側バッファコンベア12は、ステップS16〜S17に示すように、Y方向において実装機器コンベア8と同一位置(実装機器コンベア8と隣接する位置)に移動した後、実装機器コンベア8から送られたプリント基板2を搬入できる状態で待機する。
【0035】
前記上流側バッファコンベア11は、図6のフローチャートに示すように動作する。上流側コンベア6からプリント基板2が送られた上流側バッファコンベア11は、図6に示すフローチャートのステップS100において、プリント基板2を搬出する動作を開始する。次に、ステップS101において、制御装置13が実装機器コンベア8の位置を確認し、実装機器コンベア8がプリント基板2を搬入できる状態にあるか否かを判別する。
【0036】
前記「プリント基板2を搬入できる状態」とは、実装機器コンベア8の待機位置8aにプリント基板2が存在していない状態、かつ実装機器コンベア8がY方向に移動していない状態(搬出や作業などで停止している状態)である。図9の上半部は、実装機器コンベア8が搬出位置に移動し、プリント基板2を下流側へ搬出する状態を示している。図10の上半部は、実装機器コンベア8が作業位置に移動し、作業が終了した後にプリント基板2が下流側へ送られる状態を示している。
【0037】
制御装置13は、このように実装機器コンベア8がプリント基板2を搬入できる状態である場合に、ステップS103において、上流側バッファコンベア11をY方向において実装機器コンベア8と同一の位置に移動させる。このとき、上流側バッファコンベア11は、図1に示すように、実装機器コンベア8が既に隣接する位置に移動していた場合は、移動することなくその位置に停止している。また、実装機器コンベア8が図9の上半部に示すように搬出位置にある場合は、上流側バッファコンベア11は、図9の下半部に示すように、前記搬出位置に移動する。
【0038】
さらに、実装機器コンベア8が図10の上半部に示すように作業位置にある場合は、上流側バッファコンベア11は、図10の下半部に示すように、前記作業位置に移動する。
そして、上流側バッファコンベア11は、Y方向において実装機器コンベア8と同一位置に移動した後、ステップS104において、プリント基板2を搬出させる動作を開始する。
【0039】
このように構成された電子部品実装機器4の基板搬送システム1によれば、前記上流側装置3から前記実装機器コンベア8に搬入されるプリント基板2や、前記実装機器コンベア8から前記下流側装置5に搬出されるプリント基板2をバッファコンベア(上流側バッファコンベア11または下流側バッファコンベア12)に一時的に保持させることができる。このため、プリント基板2の搬送が滞ることを前記バッファコンベアを用いて防ぐことができる。
したがって、この実施の形態によれば、プリント基板2の搬入位置と搬出位置とが前記Y方向にずれている基板搬送システム1において、プリント基板2の搬送効率を向上させることができる。
【0040】
この実施の形態による前記バッファコンベアは、前記下流側コンベア7と前記実装機器コンベア8との間に設けられた下流側バッファコンベア12を含んでいる。前記実装機器コンベア8は、搬出可能なプリント基板2を有している状態であって、かつ前記下流側バッファコンベア12が前記Y方向におけるプリント基板2を搬出する搬出位置で待機している場合に、前記Y方向における前記搬出位置に移動するものである。
このため、プリント基板2を下流側バッファコンベア12から下流側コンベア7に送る動作と、プリント基板2を実装機器コンベア8から下流側バッファコンベア12に送る動作とを同時に行うことができる。したがって、この実施の形態によれば、プリント基板2の搬出に要する時間を短縮可能な電子部品実装機器4の基板搬送システム1を提供することができる。
【0041】
この実施の形態による前記実装機器コンベア8は、搬出可能なプリント基板2を有している状態において、前記Y方向におけるプリント基板搬出工程の次の工程が実施される次の位置に移動するものである。また、この実施の形態による前記下流側バッファコンベア12は、プリント基板2が載せられていない状態で前記Y方向における前記次の位置に移動するものである。
この実施の形態によれば、下流側バッファコンベア12が実装機器コンベア8の移動に追従する。このため、電子部品実装機器内のプリント基板2は、電子部品実装機器の作業工程が順次実施される途中で実装機器コンベア8から下流側バッファコンベア12に搬出される。したがって、実装機器コンベア8のY方向への移動距離が最小限になり、プリント基板2の搬送が効率よく行われる。
【0042】
この実施の形態による前記バッファコンベアは、前記上流側コンベア6と前記実装機器コンベア8との間に設けられた上流側バッファコンベア11を含んでいる。前記上流側バッファコンベア11は、前記実装機器コンベア8が前記Y方向におけるプリント基板2を搬出する搬出位置で待機している場合に前記搬出位置に移動するものである。
この実施の形態によれば、プリント基板2が実装機器コンベア8から搬出されるときに、次のプリント基板2が上流側バッファコンベア11から実装機器コンベア8に送られる。
したがって、この実施の形態によれば、実装機器コンベア8においてプリント基板2の搬入と搬出とを同時に行うことができるから、プリント基板2の搬送が効率よく行われる。
【0043】
この実施の形態による前記上流側バッファコンベア11は、前記実装機器コンベア8が前記Y方向における前記電子部品実装機器4による作業が実施される作業位置で待機している場合に前記作業位置に移動するものである。このため、実装機器コンベア8において前記作業が終了したプリント基板2が搬出されるときに次のプリント基板2を上流側バッファコンベア11から実装機器コンベア8に送ることができる。
したがって、この実施の形態によれば、実装機器コンベア8においてプリント基板2の搬入と搬出とを同時に行うことができるから、プリント基板2の搬送が効率よく行われる。
【0044】
上述した実施の形態においては、上流側バッファコンベア11と下流側バッファコンベア12とを備えた基板搬送システム1について説明した。しかし、この基板搬送システム1は、上流側バッファコンベア11と下流側バッファコンベア12とのうち一方のみを装備することによって構成することができる。
【符号の説明】
【0045】
1…基板搬送システム、2…プリント基板、3…上流側装置、4…電子部品実装機器、5…下流側装置、6…上流側コンベア、7…下流側コンベア、8…実装機器コンベア、11…上流側バッファコンベア、12…下流側バッファコンベア。
図1
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