(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6084251
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】食品用コンベア
(51)【国際特許分類】
B65G 17/06 20060101AFI20170213BHJP
A21B 1/46 20060101ALN20170213BHJP
【FI】
B65G17/06 Z
B65G17/06 D
!A21B1/46
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-96422(P2015-96422)
(22)【出願日】2015年5月11日
(62)【分割の表示】特願2010-261249(P2010-261249)の分割
【原出願日】2010年11月24日
(65)【公開番号】特開2015-147684(P2015-147684A)
(43)【公開日】2015年8月20日
【審査請求日】2015年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】391017447
【氏名又は名称】サン・プラント工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086346
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 武信
(72)【発明者】
【氏名】下川 克介
【審査官】
八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−216710(JP,A)
【文献】
実開昭63−011417(JP,U)
【文献】
実公昭51−043577(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 17/00−17/48
B65G 21/00−21/22
A21B 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を加工したり移送したりする際に、食品を移動させるために使用する食品用コンベアの構造において、
上記食品用コンベアの構造は、多数のバー材を左右両側のチェーン間に渡したバーコンベアの構造であり、
複数のチェーンと、チェーンに支持されるバー材とを備え、
バー材は、両端に被支持部を備え、両端の上記被支持部が複数の上記チェーンのそれぞれに支持された状態で、複数の上記チェーン間に渡され、
上記チェーンは、少なくとも前後のスプロケット間に渡され循環する無端状のチェーンであり、
上記チェーンは、上記バー材を支持するための支持部を備え、
上記支持部は、少なくとも下方から上記被支持部を支持する下支持部を備えると共に、上記被支持部を上記支持部に対して着脱するための着脱空間を備えたものであり、
上記被支持部を上記着脱空間から上記下支持部上に配位することにより、上記被支持部を上記支持部に対して着脱可能に支持させ、
上記チェーン及び上記バー材とは別体に形成された脱落防止ガイドを備え、
上記脱落防止ガイドは、上記チェーンの循環中に上記チェーンの天地が逆転する区間にて、上記支持部の移動経路の下方に沿って設けられることにより、上記着脱空間を閉じるものであり、上記脱落防止ガイドによって上記バー材が上記着脱空間を通って脱落することを防止したものであり、
上記脱落防止ガイドの一部に開閉可能な開放部が設けられ、この開放部が開かれることによって上記着脱空間が開かれ、この開放部が閉じられることによって、上記着脱空間が閉じられるものであることを特徴とする食品用コンベアにおけるバーコンベアの構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、食品を加工したり移送したりする際に、食品を移動させるために使用する食品用コンベアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、食品用コンベアには特許文献1や2に示すようなコンベアが使用されている。特に、コンベアによって移送中の食品に対して、バーナー等で加熱を行なう場合には、多数のバー材を左右両側のチェーン間に渡したバーコンベアが使用されている。ところが、このバーコンベアに載置された食品対してバーナー等で加熱を行なうと、食品からの油や肉汁などでバー材が汚れてしまい、最悪のケースでは、新たに載置する食品に対して、油や肉汁などが付着することになる。
また、加熱処理を行なわない場合にも、バー材等の食品載置部材については、清潔に保たれていることが好ましいが、食品載置部材は通常、チェーンに固定されており、簡単に取り外しすることができず、その清掃などは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−330803号公報
【特許文献2】特開2005−52660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明は、
バー材の着脱や交換を極めて容易に行うことができる
食品用コンベアにおけるバーコンベアの構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明は、
食品を加工したり移送したりする際に、食品を移動させるために使用する食品用コンベアの構造において、
上記食品用コンベアの構造は、多数のバー材を左右両側のチェーン間に渡したバーコンベアの構造を提供する。
このバーコンベアの構造は、上記バー材が上記チェーンに支持される被支持部を備え、上記チェーンは、上記
バー材を支持するための支持部を備え、上記支持部は、少なくとも下方から上記被支持部を支持する下支持部を備えると共に、上記被支持部を上記支持部に対して着脱するための着脱空間を備えたものであり、上記
バー材の被支持部を上記着脱空間から上記下支持部上に配位することにより、上記被支持部を上記支持部に対して着脱可能に支持させるようにしたことを
特徴とする。
本願発明にあっては、少なくとも下方から上記被支持部を支持する下支持部を備えると共に、上記被支持部を上記支持部に対して着脱するための着脱空間を備えたものであるため、上記
バー材の被支持部を上記着脱空間から抜き出すだけで、簡単に
バー材をチェーンから取り外しすることができる。
本願発明は、上記チェーン及び上記
バー材とは別体に形成された脱落防止ガイドを備え、上記チェーンは、少なくとも前後のスプロケット間に渡され循環する無端状のチェーンであり、上記チェーンは、実質的に平行に複数本が設けられ、平行する上記チェーン間の互いに向かい合う部分に上記支持部が設けられ、上記支持部は、上記下支持部と、上記下支持部の前後に設けられた前支持部及び後支持部を備えると共に、上記下支持部と上記前支持部と上記後支持部とによって上記被支持部の保持空間が規定されると共に、上記下支持部と上記前支持部とによって上記保持空間の上方に上記着脱空間を備え、上記脱落防止ガイドは、上記支持部の移動経路に沿って設けられることにより、上記着脱空間を閉じるものであり、上記脱落防止ガイドによって上記
バー材が上記前支持部と上記後支持部との間から上記着脱空間を通って脱落することを防止した
ものとすることができる。
上記の脱落防止ガイドを設けることによって、スプロケットを軸を実質的に水平にしてチェーンの往路と復路とを上下に配置した場合に、下方になって天地が逆転しても、上記被支持部が着脱空間から脱落することがない。また、下方になって天地が逆転した区間の一部に、上記の脱落防止ガイドを設けないことによって、自然落下することで極めて簡単に
バー材をチェーンから外すことができる。
本願発明は、上記脱落防止ガイドの一部に開閉可能な開放部が設けられ、この開放部が開かれることによって上記着脱空間が開かれ、この開放部が閉じられることによって、上記着脱空間が閉じられるもの
とすることができる。
本願発明は、上記チェーン及び上記
バー材とは別体に形成された乗り上げ部材を備え、上記支持部は、上記下支持部と、上記下支持部の前後に設けられた前支持部及び後支持部を備えると共に、上記下支持部と上記前支持部と上記後支持部とによって上記被支持部の保持空間が規定されると共に、上記下支持部と上記前支持部とによって上記保持空間の上方に上記着脱空間を備え、上記
バー材はバー状をなしており、上記被支持部は実質的に断面円形であり、上記保持空間内にて回転可能であり、上記乗り上げ部材は上記支持部の移動経路に沿って設けられ、上記食品載置部が上記乗り上げ部材に乗り上げることにより、上記被支持部が上記保持空間内で回転するもの
として実施することができる。
本願発明にあっては、上記バー材を、食品載置部材として実施することができ、上記食品載置部材が移動することにより、上記バー材の上に載置された食品を搬送する食品用コンベアとして実施することができる。
【発明の効果】
【0006】
本願発明は、バー材の着脱や交換を極めて容易に行うことができる食品用コンベアにおけるバーコンベアの構造を提供することができたものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】(A)は本願発明の一実施の形態に係る食品用コンベアの要部分解斜視図であり、(B)と同食品用コンベアの要部斜視図である。
【
図2】(A)は同食品用コンベアの平面図であり、(B)は(A)の中央横断面図である。
【
図3】(A)は同食品用コンベアを用いた食品加工装置の説明図であり、(B)は同食品用コンベアの復路における要部説明図である。
【
図4】本願発明の一実施の形態に係る食品用コンベアの変更例の要部説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面に基づき本願発明の実施の形態を説明する。
【0009】
この実施の形態に係る食品用コンベア31は、並行に配置された2本のチェーン11と、チェーン11間に渡された多数の食品載置部材18とを備える。食品載置部材18は、この実施例では軸方向に直行する断面が円形のバー材が用いられており、その両端が後述する支持部21に支持される被支持部19となっている。この例では、食品載置部材18の中央(即ち、直接食品を載せる部分)と両端の被支持部19とに形状や大きさの差はないが、両者に異なる形状のものを採用してもよい。また、断面が円形の他、多角形や異形のものを用いてもよい。
【0010】
チェーン11は、通常のローラーチェーンを用いることができ、ローラー(図示せず)の両側に内側プレート12と外側プレート13とが配列され、軸14がローラー(図示せず)を貫通し、両側の内側プレート12と外側プレート13をそれぞれ回動可能に接続している。また、外周ガイドレール15と内周ガイドレール16とが、チェーン11の上部と下部に配位され、チェーン11にかかる荷重を受けると共に、走行の安定を図っている。なお、
図1、
図2、
図4においてチェーン11は右から左に移動しており、
図3(B)では左から右に移動しているものとする。
【0011】
そして、この実施例では、外側プレート13に支持部21を取り付けるための固定部17が設けられている。なお、この固定部17は内側プレート12に設けることも可能である。支持部21は、固定部17に取り付けられる被固定部22を備えており、固定部17と被固定部22とがネジ止めされているが、両者は溶接などの他の固定手段で固定してもよい。また、チェーン11のプレートと支持部21とを一体に形成してもよい。
【0012】
支持部21は、食品載置部材18の被支持部19を下方から支持する下支持部23と、被支持部19を前方から支持する前支持部24と、被支持部19を後方から支持する後支持部25とを備える。これら下支持部23、前支持部24、後支持部25によって規定された空間が保持空間27となり、被支持部19が抜けて食品載置部材18が脱落しないように保持する。この保持空間27の上方は開放された着脱空間26となっており、チェーン11の天地が逆になった場合には、被支持部19は前支持部24と後支持部25との間から重力によって落下する。
【0013】
この例では、下支持部23から上方に前支持部24と後支持部25とが延設されているが、被固定部22から延設するなど、前支持部24及び後支持部25を、下支持部23とは異なる位置に設けてもよい。また、この例では、1つの外側プレート13に対して、2本の食品載置部材18が支持されるようになっているため、下支持部23から前・中央・後の3つの部位が上方に延設され、前と中央の部位の間に1つの被支持部19が、中央と後の部位の間に他の1つの被支持部19が配位される。従って、中央の部位は、前支持部24と後支持部25とを兼ね備えることになり、中央の部位の前方側が前の被支持部19に対する後支持部25となり、中央の部位の後方側が後の被支持部19に対する前支持部24となる。勿論、外側プレート13と食品載置部材18との数の関係は、適宜変更できるものであり、外側プレート13の数に対して少ない数の食品載置部材18を保持せてもよく、同数の食品載置部材18を支持させてもよく、さらに多くの食品載置部材18を支持させてもよい。また、食品載置部材18の形状を鉄板等の板状にしてもよい。その場合には、プレートの前後に被支持部19を設け、前の被支持部19を前方にある外側プレート13に支持させ、後の被支持部19を後方にある外側プレート13に支持させるようにすればよい。
【0014】
また、この例では、進行方向に対して左右に平行するチェーン11間の略同一位置の外側プレート13に、食品載置部材18の両端の被支持部19を支持させており、食品載置部材18はチェーン11に対して直交するように配置されているが、前後に異なる位置で、食品載置部材18の両端の被支持部19に支持させて、食品載置部材18がチェーン11に対して斜めになるようにしてもよい。なお、前述のように、チェーン11は外周ガイドレール15と内周ガイドレール16とによって走行の安定性が図られると共に荷重が支持されているが、左右に平行するチェーン11間の間隔を一定に保つための間隔保持部材(図示省略)を渡してもよい。この間隔保持部材は、チェーン11の進行方向に適当な距離をおいて設ければよい。また、食品載置部材18の長さを長くして、その両端が左右に平行するチェーン11のプレートに接触する程度の長さにすることによって、チェーン11が内側に倒れ込むことを防止するようにしてもよく、これにより食品載置部材18が間隔保持部材の機能も果たすことができる。ただ、この場合、食品載置部材18の着脱の円滑性が劣るため、食品載置部材18の長さは左右に平行なチェーン11間の長さよりも短くしておき、チェーン11のプレート(12、13)に直接は接触しないようにしておく。そして、数本又は数十本に1本毎に、食品載置部材18の長さが長いものを用いるようにしてもよい。
【0015】
ここで、
図3(A)に基づき、この食品用コンベア31が用いられる食品調理装置の全体を説明する。このチェーン11は、少なくとも前後のスプロケット32間に渡され循環する無端状のチェーンである。スプロケット32は、その回動軸が略水平に配位されており、上の往路では、図の右から左に移動し、下の復路では左から右へ移動する。そして、往路には食品を加熱調理する調理部39が設けられ、その内部ではバーナーなどによって食品が加熱される。この調理部39は、油槽等の揚げ物用の調理を行なうものでもよいし、特に、調理部39を設けない単なる食品移送用のものでもよい。
【0016】
チェーン11は、スプロケット32の上下を境に天地が逆転し、上記の支持部21も天地が逆転するため、被支持部19は着脱空間26から抜け出し、食品載置部材18は自然落下する。そのため、チェーン11の下半分の往路には、脱落防止ガイド34が形成されている。この脱落防止ガイド34はチェーン11とは別体に形成され、図示は省略するが、架台などによって支持されている。この脱落防止ガイド34は、支持部21の移動経路に沿って設けられたもので、前支持部24、後支持部25の外側(逆転した下側)に配位され着脱空間26を閉じるものである。具体的には、前支持部24、後支持部25と接するか、接しない場合には、被支持部19よりも小さな間隔を隔てて配位されているものであり、被支持部19は脱落防止ガイド34によって支持されながら移動する。
図3(B)のように、食品載置部材18が丸棒状の場合には、被支持部19の上を回転しながら後支持部25に押されて移動するが、食品載置部材18が板状などの場合には回転せずに移動する。なお、この脱落防止ガイド34は、食品載置部材18の両端の被支持部19付近を支持するように設ければよいが、場合によっては、食品載置部材18の中央を支持するように設けても良い。
【0017】
食品載置部材18の着脱については、往路において手作業で取り外しすることできるが、復路の適宜区間において脱落防止ガイド34を設けないことによって、そこが脱落口となって、食品載置部材18は自動でチェーン11から落下する。この例では、この自然落下による取り外しのために、脱落防止ガイド34の一部に開放部35を設けている。この開放部35は、脱落防止ガイド34が下方に開くように、回動可能に設けられたものであり、開放部35を下方を開くことで、食品載置部材18はチェーン11から外れて、開放部35に沿って落下する。落下後の食品載置部材18は、洗浄する等して、次の使用に備えることとなる。また、開放部35を上方に戻して、脱落防止ガイド34を連続したものとすることで、食品載置部材18は脱落することなく、チェーンと共に循環を繰り返す。従って、通常の使用時には、開放部35を閉じて通常の循環を行い、保守点検や清掃時のみに、この開放部35を開いて食品載置部材18を取り出すようにしてもよい。
【0018】
食品載置部材18を取り付ける場合には、例えば、往路の上流にシュート33を設けて、そこから順次食品載置部材18を落下させることで、簡単に支持部21に支持させることができる。なお開放部35からシュート33までを他のコンベアで接続すれば、自動で食品載置部材18の取り外し、洗浄、装着を行なうことができる。
【0019】
図4は、食品載置部材18を意図的に回転させるための乗り上げ部材36を示すものである。この乗り上げ部材36は、往路の支持部の移動経路の一部に沿って設けられ、食品載置部材18が乗り上げ部材36に乗り上げることにより、被支持部19が上記保持空間27内で回転することによって、食品載置部材18が回転する。これにより、食品載置部材18の一面のみが汚れてしまうことを防止する。なお、この例では、乗り上げ部材36には、一定の回転をなすための直線部38の上流側に、傾斜部37を設けることによって、円滑に、内周ガイドレール16が乗り上げ部材36に乗り上げて回転するようにしているものである。
【符号の説明】
【0020】
11 チェーン
18 食品載置部材
19 被支持部
21 支持部
23 下支持部
24 前支持部
25 後支持部
26 着脱空間
27 保持空間
31 食品用コンベア
32 スプロケット
34 脱落防止ガイド
35 開放部
36 乗り上げ部材
39 調理部