(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6084263
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】鏡ユニットを有する光源及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
F21V 33/00 20060101AFI20170213BHJP
H05B 37/02 20060101ALI20170213BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20170213BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20170213BHJP
F21Y 115/20 20160101ALN20170213BHJP
【FI】
F21V33/00 130
H05B37/02 M
F21V23/00 113
F21V23/00 140
F21Y115:15
F21Y115:20
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-174125(P2015-174125)
(22)【出願日】2015年9月3日
(62)【分割の表示】特願2013-535779(P2013-535779)の分割
【原出願日】2011年9月30日
(65)【公開番号】特開2015-216132(P2015-216132A)
(43)【公開日】2015年12月3日
【審査請求日】2015年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000221926
【氏名又は名称】東北パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】特許業務法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安達 一文
(72)【発明者】
【氏名】井田 和長
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 卓
(72)【発明者】
【氏名】中村 晴美
(72)【発明者】
【氏名】北村 明司
(72)【発明者】
【氏名】中村 毅
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 陽介
(72)【発明者】
【氏名】篠原 拓男
【審査官】
田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】
特開平4−129195(JP,A)
【文献】
特開平5−174977(JP,A)
【文献】
特開2001−286373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 33/00
F21V 23/00
H05B 37/02
F21Y 115/15
F21Y 115/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鏡ユニットと、
色及び明るさを調整可能な面光源と、
前記鏡ユニットに映る像の色及び明るさを検出するカラーカメラと、
複数のシーン各々に対応した色及び明るさを照明条件として記録した記録部と、
前記複数のシーンから1のシーンを選択する選択部と、
前記カラーカメラによって検出された前記像の色及び明るさと、前記選択部によって選択された前記1のシーンに対応した前記照明条件と、に応じて前記面光源の色及び明るさとを調整する調整部と、
を備える鏡セット。
【請求項2】
前記調整部は、前記カラーカメラによって検出された前記像の明るさと前記記録部から取得された照明条件の明るさとが同一となるように前記面光源の明るさを調整することを特徴とする請求項1に記載の鏡セット。
【請求項3】
前記面光源は複数の面光源として備えられ、
前記調整部は、前記カラーカメラによって検出された前記像の明るさと前記記録部から取得された照明条件とに応じて前記複数の面光源の各々の明るさを調整することを特徴とする請求項1又は2に記載の鏡セット。
【請求項4】
前記記録部には、前記複数の面光源の各々について前記複数のシーンの各々に対応した照明条件が記録されており、
前記調整部は、前記複数の面光源の各々の前記照明条件を前記記録部から取得することを特徴とする請求項3に記載の鏡セット。
【請求項5】
前記照明条件は、前記複数の面光源の各々について前記複数のシーンの各々に対応した照明条件を含み、
前記調整部は、前記カラーカメラによって検出された前記像の明るさと前記複数の面光源の各々の前記記録部から取得された照明条件の明るさとの差に応じて前記複数の面光源の各々の明るさを調整することを特徴とする請求項3又は4に記載の鏡セット。
【請求項6】
前記調整部は、前記カラーカメラによって検出された前記像の明るさと、前記複数の面光源の各々の前記記録部から取得された照明条件の明るさとが同一となるように前記複数の面光源の各々の明るさを調整することを特徴とする請求項5に記載の鏡セット。
【請求項7】
鏡ユニットと、色及び明るさを調整可能な照明用の面光源と、カラーカメラと、を備える鏡セットの制御方法であって、
前記カラーカメラによって前記鏡ユニットに映し出された像の色及び明るさを検出する検出ステップと、
入力操作に応じて複数のシーンから1のシーンを選択する選択ステップと、
前記複数のシーン各々に対応した色及び明るさを照明条件として記録した記録部から、 前記選択ステップによって選択された前記1のシーンに対応した前記照明条件を取得する取得ステップと、
前記検出ステップによって検出された前記像の色及び明るさと、前記取得ステップによって取得された前記照明条件とに応じて前記面光源の色及び明るさとを調整する調整ステップと、
を備えることを特徴とする制御方法。
【請求項8】
前記調整ステップは、前記検出ステップによって検出された前記像の明るさと前記記録部から取得された照明条件の明るさとが同一となるように前記面光源の明るさを調整することを特徴とする請求項7に記載の制御方法。
【請求項9】
前記面光源は複数の面光源として備えられ、
前記調整ステップは、前記検出ステップによって検出された前記像の明るさと前記記録部から取得された照明条件とに応じて前記複数の面光源の各々の明るさを調整することを特徴とする請求項7又は8に記載の制御方法。
【請求項10】
前記記録部には、前記複数の面光源の各々について前記複数のシーンの各々に対応した照明条件が記録されており、
前記調整ステップは、前記複数の面光源の各々の前記照明条件を前記記録部から取得することを特徴とする請求項9に記載の制御方法。
【請求項11】
前記照明条件は、前記複数の面光源の各々について前記複数のシーンの各々に対応した照明条件を含み、
前記調整ステップは、前記検出ステップによって検出された前記像の明るさと前記複数の面光源の各々の前記記録部から取得された照明条件の明るさとの差に応じて前記複数の面光源の各々の明るさを調整することを特徴とする請求項9又は10に記載の制御方法。
【請求項12】
前記調整ステップは、前記検出ステップによって検出された前記像の明るさと、前記複数の面光源の各々の前記記録部から取得された照明条件の明るさとが同一となるように前記複数の面光源の各々の明るさを調整することを特徴とする請求項10に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鏡ユニットを有する光源及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モデルや女優の化粧(整髪を含む)の際には化粧の具合を鏡に明確に映し出すために照明が必要とされ、そのような照明用として複数の光源を並べたハリウッドライトと称するものが知られている。また、化粧鏡の両側にハリウッドライトを備えた照明付き化粧鏡セットがメークアップケースとして商品化されている。ハリウッドライトにおいては光源としては通常、点光源の白熱電球が用いられている。
【0003】
更に、照明特性を調整可能な照明装置と化粧鏡とを備えた照明付き化粧鏡セット(特許文献1)が公知である。特許文献1の照明付き化粧鏡セットにおいては、ユーザによって選択されたシーンにおける照明光の照明特性のデータを、記憶部に予め記憶された想定シーン照明データベースから取得し、照明装置に対してその取得した照明特性で照明する制御信号を供給することより照明装置ではその制御信号に応じた照明が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−125114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の照明付き化粧鏡セットにおいては、予め想定したシーンによって照明光の照明特性を変化させ化粧を行う条件を作り出すことが行われる。しかしながら、周囲の環境光の存在を考慮していないので、必ずしもその環境下において最適な照明条件を得ることができないことがある。特に、照明付き化粧鏡セットが設置される場所や時間によって環境光が変化するため、環境光の影響を無視することができない。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、上記の欠点が一例として挙げられ、環境光の影響を考慮しつつシーンに最適な照明状態を作り出すことができる鏡ユニットを有する光源及びその制御方法を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明の光源は、鏡ユニットと、色及び明るさを調整可能
な面光源と、
前記鏡ユニットに
映る像の色及び明るさを検出するカラーカメラと、複数のシーン各々に対応した色及び明るさを照明条件として記録した記録部と、
前記複数のシーンから1のシーンを選択する選択部と、
前記
カラーカメラによって検出された前記像の色及び明るさと、
前記選択部によって選択された前記1のシーンに対応した前記照明条件
、に応じて前記面光源の色及び明るさとを調整する調整部と、を備えている。
【0008】
請求項7に係る発明の制御方法は、鏡ユニットと、色及び明るさを調整可能な照明用の面光源と、カラーカメラと、を備える
鏡セットの制御方法であって、
前記カラーカメラによって前記鏡ユニットに映し出された像の色及び明るさを検出する検出ステップと、入力操作に応じて複数のシーンから1のシーンを選択する選択ステップと、前記複数のシーン各々に対応した色及び明るさを照明条件として記録した記録部から、 前記選択ステップによって選択された前記1のシーンに対応した前記照明条件を取得する取得ステップと、前記検出ステップによって検出された前記像の色及び明るさと、前記取得ステップによって取得された前記照明条件とに応じて前記面光源の色及び明るさとを調整する調整ステップと、を備えている。
【0009】
請求項1に係る発明の光源及び請求項7に係る発明の光源制御方法によれば、入力操作に応じて複数のシーンから1のシーンを選択すると共に鏡ユニットに映し出された像の色及び明るさを検出し、検出した像の色及び明るさと、選択した1のシーンに対応して記録部から取得した照明条件とに応じて面光源の色及び明るさを調整するので、環境光の影響を考慮しつつ選択した1のシーンに最適な照明状態を作り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例として照明付き化粧鏡セットを示す外観図である。
【
図2】
図1の化粧鏡セット中の蝶番機構を示す図である。
【
図3】
図1の化粧鏡セットの折りたたみ状態を示す外観図である。
【
図4】
図1の化粧鏡セット中の有機ELパネルの構造を示す断面図である。
【
図5】
図1の化粧鏡セットの駆動装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】
図1の化粧鏡セット中の操作部の各押しボタンを示す図である。
【
図7】
図5の駆動装置の制御動作を示すフローチャートである。
【
図8】
図5の駆動装置の制御動作を示すフローチャートである。
【
図9】単一の面光源の発光面を複数の領域に分けて領域毎に個別に駆動する照明付き化粧鏡セットを示す外観図である。
【
図10】鏡面左右及び上方に面光源を各々備えた照明付き化粧鏡セットを示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明の実施例である照明付きの化粧鏡セットを示している。この化粧鏡セットは、鏡ユニット11、左右の側板12,13、及び支持台14を備えている。鏡ユニット11は長方形の鏡21とその鏡21の裏面に張り合わされた平板22とを有する。平板22は樹脂、木、或いは金属からなり、鏡21のサイズと同一サイズを有しても良いし、若干大きくても良い。左側の側板12は鏡ユニット11の左側端部に角度調整自在に連結され、右側の側板13は鏡ユニット11の右側端部に角度調整自在に連結されている。鏡ユニット11と側板12,13との間には
図2に示すように蝶番機構15が形成されており、その蝶番機構15によって上記の角度調整自在な連結が可能となっている。その角度調整範囲は鏡ユニット11と側板12,13とがほぼ水平となる角度から、鏡ユニット11に対して側板12,13を折りたたんだ状態における角度までを含む。
【0013】
側板12,13各々の垂直方向の長さは鏡ユニット11の垂直方向の長さと同一であるが、水平方向の長さは鏡ユニット11の水平方向の長さの1/2以下である。
【0014】
側板12,13各々の表面には4つの有機EL(Electro Luminescence)パネル(面光源)25a〜25d,26a〜26dが垂直方向に並べて接着によって取り付けられている。有機ELパネル25a〜25c,26a〜26dは同一のものであり、例えば、13cm×13cmの正方形状をしている。
【0015】
支持台14は台座14aと支柱14bとからなり、楕円平板の台座14aに対して垂直に支柱14bは連結している。支持台14は側板12,13を含む鏡ユニット11を支持するために支柱14bが鏡ユニット11に取り外し自在に連結している。例えば、鏡ユニット11の低部には連結孔(図示せず)が形成され、支柱14bの先端部がその連結孔に差し込まれることにより支持台14と鏡ユニット11とが結合するようになっている。
【0016】
上記した構成を有する
図1の化粧鏡セットにおいては、側板12,13各々を鏡ユニット11との連結部分(上記の蝶番機構15)を回転軸としてメークアップアーチスト等の利用者(ユーザ)が操作することにより側板12,13各々と鏡ユニット11との角度を調整することができる。すなわち、鏡21の鏡面に映し出されるモデル等の化粧対象者の像を側板12,13各々の有機ELパネル25a〜25d,26a〜26dによる発光によって好適に照らし出すように側板12,13各々と鏡ユニット11との角度を調整することができる。
【0017】
また、側板12,13各々は有機ELパネル25a〜25d,26a〜26dを有する状態で
図3に示すように折りたたむことができる。この折りたたんだ状態で側板12,13同士が接触することはなく、また、有機ELパネル25a〜25d,26a〜26dの厚みが薄いために有機ELパネル25a〜25d,26a〜26dが鏡21に圧接することもない。
【0018】
更に、支持台14を鏡ユニット11から取り外して支持台14と鏡ユニット11及び側板12,13部分とを分離し、上記のように鏡ユニット11に対して側板12,13を折りたたんだ状態にすることにより化粧鏡セットの搬送が容易となる。
【0019】
次に、
図1の化粧鏡セットの有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d各々及びその駆動系について説明する。
【0020】
有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d各々はフルカラーの照明用発光パネルであり、
図4に示すように、ガラス基板51上に発光色がR(赤)G(緑)B(青)である有機EL素子50R,50G,50Bがストライプ状に形成されている。なお、
図4はストライプの直線に直交する方向の断面を示している。
【0021】
それらの有機EL素子50R,50G,50B各々は陽極52、ホール注入層53、ホール輸送層54、RGB発光層55R,55G,55B、電子輸送層56、そして陰極57の順に積層された構造を有し、有機EL素子50R,50G,50B間はバンク58で仕切られている。また、各有機EL素子50R,50G,50Bの陽極52上にはバスライン59が形成されており、バスライン59によって陽極52への給電が行われるようになっている。陽極52は例えば、スパッタ法により膜厚70nmのITO膜からなる。ホール注入層53はCuPcからなり、厚さ20nmである。ホール輸送層54はNPBからなり、厚さ20nmである。R(赤)発光層55RはCPBをホスト材料とし、Ir(phq)
2tpyをドーパントとしており、G(緑)発光層55GはCPBをホスト材料とし、Ir(ppy)
3をドーパントとしており、B(青)55BはPANDをホスト材料とし、DPAVBiをドーパントとしている。RGB発光層55R,55G,55Bの厚さは40nmである。電子輸送層56はCsxMoOxをドープしたNBphenからなり、厚さ30nmである。陰極57は膜厚70〜100nmのAl膜からなる。なお、この有機ELパネル25a〜25d,26a〜26dの内部構造は一例であり、本発明はこれに限定されない。
【0022】
図1の化粧鏡セットは有機ELパネル25a〜25d,26a〜26dを駆動する駆動装置を備えている。駆動装置は
図5に示すように、AC−DCコンバータ61、制御部62、メモリ63、操作部64及び受光部65を有している。AC−DCコンバータ61は交流電圧を直流電圧に変換して出力する。AC−DCコンバータ61の出力電圧は直流電源として有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d各々及び制御部62に供給される。制御部62は、AC−DCコンバータ61の出力電圧を電源として動作し、例えば、CPUで構成され、有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d各々の上記のRGBの有機EL素子50R,50G,50B毎の駆動電流を制御することにより有機ELパネル毎に発光(発光色及び輝度)を個別に制御する。
【0023】
制御部62には更に、メモリ63、操作部64及び受光部65が接続されている。メモリ63には制御部62の制御で必要なプログラムやデータが保存される。操作部64は有線又は無線のリモコンとして備えられている。
【0024】
操作部64には、
図6に示すように、電源ボタン70とシーンボタン75a〜75eとが設けられている。ユーザによる操作部64の電源ボタン70の操作によって電源が投入された後においては、シーンボタン75a〜75eのいずれか1の操作が可能となる選択部である。
【0025】
メモリ63(記録部)には複数のシーン各々に対応した照明条件である色及び輝度(明るさ)がデータとして予め記憶されている。シーンとしては例えば、オフィス、ホテルラウンジ、ディナーパーティ、ファションショー、及びアウトドアがある。また、有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d各々の最適な発光色及び輝度に対応してRGB各々の駆動電流値がデータとしてメモリ63に記憶されている。上記のシーンボタン75a〜75eはメモリ63にデータとして記憶された複数のシーンの数分だけ備えられている。
【0026】
受光部65と制御部62とは、本化粧鏡セットの設置場所における環境光の色及び明るさを検出する検出部を構成している。受光部65は例えば、鏡ユニット11又は側板12,13のいずれかに取り付けられ(
図1では側板12に取り付けられている)、本化粧鏡セットが配置された場所(部屋)における映像(例えば、ホワイトスクリーン映像)を環境光として検出する。受光部65は例えば、カラーカメラであり、環境光を示すRGBの映像信号を出力する。受光部65によって検出された環境光の映像信号は制御部62に供給される。制御部62は有機ELパネル25a〜25d,26a〜26dを駆動していない時に得られた環境光の映像信号に応じて画像分析して環境光の色及び輝度(明るさ)を決定する。例えば、映像信号の全ての画素のRGBの数値からRGB各々の平均値を算出し、そのRGBの各平均値に基づいて色及び輝度を算出し、それを環境光の色及び輝度とする。制御部62は取得部及び調整部を構成し、環境光の色及び輝度と、選択されたシーンに対応した色及び輝度との差に基づいて有機ELパネル25a〜25d,26a〜26dを駆動すると共に有機ELパネル25a〜25d,26a〜26dの発光色及び輝度を調整する。
【0027】
ユーザによってシーンボタン75a〜75eのいずれか1つのシーンボタンが押圧操作されると、制御部62は
図7に示すように、その操作された1つのシーンボタンに対応したシーンの照明条件のデータである色及び輝度をメモリ63から読み出す(ステップS1)。一方、制御部62は受光部65から供給された環境光の映像信号に応じて上記したように環境光の色及び輝度を決定する(ステップS2)。この環境光の色及び輝度と、メモリ63から読み出した色及び輝度との差(色の差及び輝度の差)を算出する(ステップS3)。制御部62はこの色及び輝度各々の差分を打ち消すように有機ELパネル毎に1つのシーンボタンに対応したシーンの駆動用の色及び輝度を決定し(ステップS4)、更に駆動用の色及び輝度に対応したRGBの駆動電流値を有機ELパネル毎にメモリ63から読み出して決定する(ステップS5)。そして、制御部62は読み出した有機ELパネル毎のRGBの駆動電流値にて対応する有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d各々の赤緑及び青の発光色の各有機EL素子50R,50G,50Bに駆動電流を供給する(ステップS6)。よって、これらのステップS1〜S6が実行されることにより、有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d各々が点灯して鏡21の鏡面に像として映し出された化粧対象者を照明する。
【0028】
この結果、選択された1つのシーンボタンに対応したシーンの照明から環境光の影響を排除させることができ、そのシーンに最適な照明状態を作り出すことができる。
【0029】
なお、操作部64でシーンボタン75a〜75eのいずれか1つのシーンボタンが押圧操作されることが選択ステップに対応し、制御部2によるステップS1が取得ステップに対応し、ステップS2が検出ステップに対応し、ステップS3〜S6が調整ステップに対応する。
【0030】
上記した実施例においては、環境光の色及び輝度が直接検出されているが、環境光下で鏡21の鏡面に像として映し出された化粧対象者の色及び輝度を検出しても良い。
【0031】
このように化粧対象者の色及び輝度を検出する場合には受光部65は環境光下で鏡21の鏡面に像として映し出された化粧対象者(顔や肌)を撮影してその結果得られる映像信号を出力する。メモリ63には複数のシーン各々に対応して化粧対象者が受ける照明条件である色及び輝度(明るさ)がデータとして予め記憶される。
【0032】
制御部62は
図8に示すように、操作された1つのシーンボタンに対応したシーンにおいて有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d各々の点灯により化粧対象者が受ける色及び輝度をメモリ63から読み出し(ステップS11)、受光部65から供給された化粧対象者の映像信号に応じて化粧対象者の色及び輝度を決定し(ステップS12)、化粧対象者の色及び輝度と、メモリ63から読み出した色及び輝度との差(色の差及び輝度の差)を算出する(ステップS13)。制御部62はこの色及び輝度各々の差分を打ち消すように有機ELパネル毎に1つのシーンボタンに対応したシーンの駆動用の色及び輝度を決定し(ステップS14)、更に駆動用の色及び輝度に対応したRGBの駆動電流値を有機ELパネル毎にメモリ63から読み出して決定する(ステップS15)。そして、制御部62は読み出した有機ELパネル毎のRGBの駆動電流値にて対応する有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d各々の赤緑及び青の発光色の各有機EL素子50R,50G,50Bに駆動電流を供給する(ステップS16)。ステップS14〜S16は
図6のステップS4〜S6と同一である。
【0033】
この結果、化粧対象者の色及び輝度を検出する場合においても、選択された1つのシーンボタンに対応したシーンの照明から環境光の影響を排除させることができ、また、化粧対象者の日焼け等の肌の色を考慮しつつそのシーンに最適な照明状態を化粧対象者に対して作り出すことができる。
【0034】
図9は単一の面光源の発光面を複数の領域に分けて領域毎に個別に駆動する照明付き化粧鏡セットを示している。例えば、
図1に示した実施例においては、側板12,13各々には複数の有機ELパネル25a〜25d,26a〜26dが取り付けられているが、
図9に示すように側板12,13に単一の長手の有機ELパネル25,26を取り付けても良い。この
図9の照明付き化粧鏡セットにおいては、有機ELパネル25,26各々の発光面を
図9に破線で示すように複数の領域、例えば、4つの領域28a〜28d,29a〜29dに領域分けし、上記した実施例のパネル毎の駆動と同様に、操作部におけるユーザによる入力操作に応じて制御部が領域毎に駆動しかつ発光色及び輝度をシーンに対応させて調整することが行われる。
【0035】
上記した本発明の実施例においては、鏡ユニットの鏡面の左右の位置に面光源が設けられているが、鏡面の上方に面光源を設けても良い。このような鏡面上方にも面光源を備えた化粧鏡セットは、例えば、
図10に示すように、鏡ユニット11には左右の側板12,13が角度調整自在に連結され、更に上方に上板17が角度調整自在に連結され、その上板17には3つの有機ELパネル(面光源)27a〜27cが水平方向に並べて接着によって取り付けられた構成からなる。
【符号の説明】
【0036】
11 鏡ユニット
12,13 側板
14 支持台
15 蝶番機構
25a〜25d,26a〜26d,27a〜27c 有機ELパネル
50R,50G,50B 有機EL素子