特許第6084270号(P6084270)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ノリタケカンパニーリミテドの特許一覧

<>
  • 特許6084270-導電性組成物 図000004
  • 特許6084270-導電性組成物 図000005
  • 特許6084270-導電性組成物 図000006
  • 特許6084270-導電性組成物 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6084270
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】導電性組成物
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0224 20060101AFI20170213BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20170213BHJP
【FI】
   H01L31/04 264
   H01B1/22 A
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-220636(P2015-220636)
(22)【出願日】2015年11月10日
【審査請求日】2015年12月4日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004293
【氏名又は名称】株式会社ノリタケカンパニーリミテド
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100142239
【弁理士】
【氏名又は名称】福富 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】角田 航介
(72)【発明者】
【氏名】杉山 高啓
(72)【発明者】
【氏名】佐合 佑一朗
(72)【発明者】
【氏名】土斐崎 政幸
(72)【発明者】
【氏名】川本 裕介
【審査官】 濱田 聖司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−515160(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/059577(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/103896(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 1/00− 1/24
H01L 31/00−31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池の電極を形成するための導電性組成物であって、
導電性粉末と、
有鉛ガラスフリットと、
シリコーン樹脂と、
有機バインダと、
分散媒と、を含み、
前記有鉛ガラスフリットは、酸化物換算したときのPbO成分の割合が2mol%以上60mol%以下であり、
前記シリコーン樹脂は、重量平均分子量が1000以上150000以下であり、前記導電性粉末100質量%に対して0.005質量%以上0.9質量%以下の割合で含まれ
前記導電性粉末は、導電性組成物全体を100質量%としたとき、80質量%以上95質量%以下の割合で含まれる、導電性組成物。
【請求項2】
前記導電性粉末を構成する金属種が、ニッケル、白金、パラジウム、銀、銅およびアルミニウムからなる群から選択されるいずれか1種または2種以上の元素を含む、請求項に記載の導電性組成物。
【請求項3】
前記導電性粉末を構成する金属種は銀を含む、請求項2に記載の導電性組成物。
【請求項4】
前記シリコーン樹脂は、直鎖型シリコーンを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性組成物。
【請求項5】
前記有鉛ガラスフリットは、前記導電性粉末100質量%に対して0.1質量%以上12質量%以下の割合で含まれる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性組成物。
【請求項6】
前記有機バインダは、前記導電性粉末100質量%に対して1質量%以上15質量%以下の割合で含まれる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性組成物。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか1項に記載の導電性組成物の焼成物を電極として備えている太陽電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性組成物に関する。より詳細には、太陽電池の電極を形成するために用いることができる導電性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の環境意識の高まりや省エネルギーの観点から、太陽電池の普及が急速に進んでいる。これに伴い、光電変換効率が良好で高出力な太陽電池が求められている。この要求を実現するための方策として、太陽電池においては、再結合を抑制するパッシベーション膜や受光効率を高める反射防止膜を設けること、基板内のpn接合で生じた電力を高効率で電極から取り出すことが試みられている。
【0003】
この太陽電池の製造に際し、典型的には、まずシリコン基板の受光面の全面にリン含有溶液を塗布して基板表面にn−Si層(以下、n層ともいう)を構築する。その後、必要に応じて、例えば反射防止膜を形成する。そして、この反射防止膜上に電極形成用の導電性組成物を所望の電極パターンで供給し、焼成するようにしている。電極形成用の導電性組成物は、典型的には、導電性粉末と、ガラスフリットと、有機ビヒクルとを含んでいる。そして焼成中に、導電性組成物に含まれるガラスフリットが反射防止膜と反応し、反射防止膜の構成成分をガラス中に取り込む。これにより、導電性粉末が反射防止膜を通り抜けて(ファイヤースルー)、シリコン基板のn層との電気的接続(オーミックコンタクト)を実現する。このような太陽電池の電極形成用の導電性組成物に関する従来技術として、例えば、特許文献1〜2が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−087251号公報
【特許文献2】特開2012−023095号公報
【特許文献3】特開2012−508812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、シリコン基板のn層を薄くすることで表面再結合速度が低下され、開放電圧(open circuit voltage:Voc)の向上、延いては高効率化を図れることが知られている。しかしながら、n層が薄層化された基板(Lightly Doped Emitter;LDE)においては、シート抵抗が増大されると共に、ファイヤースルーによる受光面電極とのオーミックコンタクトを薄いn層内で実現することが困難であるという問題があった。そのため、直列抵抗が増加して出力特性(例えば、曲線因子(Fill Factor:FF))が低下しやすいという背反があった。
【0006】
本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、例えばLDEに対しても良好なオーミックコンタクトが得られる電極を形成し、開放電圧と曲線因子とが共に向上された太陽電池を実現し得る導電性組成物を提供することである。また、この導電性組成物の採用により実現される、機能あるいは性能が向上された太陽電池を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、これまでに、太陽電池用電極を好適に形成するための導電性組成物に、シリコーン樹脂(単にシリコーン(silicone)とも呼ばれる)を添加し、組成物中のSiO成分量を調整することで、微細で高アスペクト比の電極を安定して形成することを提案している(例えば、特願2015−001855号)。高アスペクト比の電極の実現は、受光面電極のライン抵抗を低下し、出力特性の良好な太陽電池の実現に貢献するものである。しかしながら、このようなシリコーン樹脂を含む導電性組成物については、形成される電極の形状による太陽電池の高性能化という観点とは別に、より良好なオーミックコンタクトの実現といった電気化学的な側面からの改善の余地が残されていた。そして本発明者らの更なる鋭意研究の結果、ガラスフリットの組成とシリコーン樹脂量を好適に組み合わせることで、例えばLDEに対しても良好なオーミックコンタクトを形成し、開放電圧と曲線因子とを共に向上し得る導電性組成物を実現し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
【0008】
すなわち、ここに開示される技術によって、太陽電池の電極を形成するために好適に用いることができる導電性組成物が提供される。この導電性組成物は、導電性粉末と、有鉛ガラスフリットと、シリコーン樹脂と、有機バインダと、分散媒と、を含む。そして上記有鉛ガラスフリットは、酸化物換算したときのPbO成分の割合が2mol%以上60mol%以下である。また、上記シリコーン樹脂は、上記導電性粉末100質量%に対して0.005質量%以上0.9質量%以下の割合で含まれる。これにより、上述のように、例えばLDEに対しても良好なオーミックコンタクトを形成し得る導電性組成物が提供される。したがって、例えば、良好な曲線因子(FF)を維持しながら、高い開放電圧(Voc)を実現することができる。
【0009】
ここで開示される導電性組成物の好ましい一態様において、上記シリコーン樹脂の重量平均分子量は千以上15万以下であることを特徴としている。このような構成により、シリコーン樹脂を添加しない場合と比較して、電極のライン抵抗等の電気特性をより一層高めることができる。
【0010】
ここで開示される導電性組成物の好ましい一態様において、上記シリコーン樹脂は、ポリジメチルシロキサンおよびポリエーテル変性シロキサンの少なくとも一方を含むことを特徴としている。このような構成により、基板に対して接着性の良好な電極を形成することができる。
【0011】
ここで開示される導電性組成物の好ましい一態様において、上記導電性粉末を構成する金属種が、ニッケル、白金、パラジウム、銀、銅およびアルミニウムからなる群から選択されるいずれか1種または2種以上の元素を含むことを特徴としている。このような構成により、導電性に優れた電極を構成することができる。
【0012】
本発明の導電性組成物は、例えば、n層の薄い太陽電池基板に対しても、良好なオーミックコンタクトを実現し得る。これにより、表面再結合が抑制されて高い開放電圧が実現される。また、抵抗素損失を低減して、高い曲線因子を実現することができる。したがって、高効率で高出力の太陽電池を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】太陽電池の構造の一例を模式的に示す断面図である。
図2】太陽電池の受光面に形成された電極のパターンを模式的に示す平面図である。
図3】一実施形態にかかる導電性組成物のシリコーン含有量と、太陽電池の開放電圧(Voc)との関係を示したグラフである。
図4】一実施形態にかかる導電性組成物のシリコーン含有量と、太陽電池の曲線因子(FF)との関係を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している内容以外の技術的事項であって、本発明の実施に必要な事項は、本明細書により教示されている技術内容と、当該分野における当業者の一般的な技術常識とに基づいて実施することができる。なお、本明細書において範囲を示す「A〜B」との表記は、A以上B以下を意味する。
【0015】
ここで開示される導電性組成物は、典型的には、焼成することにより太陽電池(太陽電池素子)の電極を形成することができる。すなわち、この導電性組成物の焼成物が太陽電池の電極を構成し得る。この導電性組成物は、本質的に、従来のこの種の導電性組成物と同様に、導電性粉末と、有鉛ガラスフリットと、これらの構成要素を分散させるための有機ビヒクル成分(後述するが、有機バインダと分散剤との混合物)とを含み、さらに、シリコーン樹脂を必須の構成要素として含むことで構成されている。以下、これらの各構成要素について説明する。
【0016】
該ペーストの固形分の主体をなす導電性粉末としては、用途に応じた所望の導電性およびその他の物性等を備える各種の金属またはその合金等からなる粉末を考慮することができる。かかる導電性粉末を構成する材料の一例としては、金(Au),銀(Ag),銅(Cu),白金(Pt),パラジウム(Pd),ルテニウム(Ru),ロジウム(Rh),イリジウム(Ir),オスミウム(Os),ニッケル(Ni)およびアルミニウム(Al)等の金属およびそれらの合金、カーボンブラック等の炭素質材料、LaSrCoFeO系酸化物(例えばLaSrCoFeO)、LaMnO系酸化物(例えばLaSrGaMgO)、LaFeO系酸化物(例えばLaSrFeO)、LaCoO系酸化物(例えばLaSrCoO)等として表わされる遷移金属ペロブスカイト型酸化物に代表される導電性セラミックス等が例示される。なかでも、白金,パラジウム,銀等の貴金属の単体およびこれらの合金(例えば、Ag−Pd合金、Pt−Pd合金等)、およびニッケル,銅,アルミニウムならびにその合金等からなるものが、特に好ましい導電性粉末を構成する材料として挙げられる。なお、比較的コストが安く、電気伝導度が高い等の観点から、銀およびその合金からなる粉末(以下、単に「Ag粉末」ともいう。)が特に好ましく用いられる。以下、本願発明の導電性組成物について、導電性粉末としてAg粉末を用いる場合を例として説明を行う場合があるが、本発明はこれに限定されない。
【0017】
導電性粉末の粒径については特に制限はなく、用途に応じた種々の粒径のものを用いることができる。典型的には、平均粒子径が5μm以下のものが適当であり、平均粒子径が3μm以下(典型的には1μm〜3μm、例えば1.5μm〜2.5μm)のものが好ましく用いられる。導電性粉末の平均粒子径は、レーザ回折・散乱法に基づく粒度分布測定装置により測定される、体積基準の粒度分布における積算50%粒径(D50)を採用することができる。本明細書における導電性粉末の平均粒子径は、レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製、LA−920)を用いて測定した値を採用している。
【0018】
導電性粉末を構成する粒子の形状は特に限定されない。典型的には、球状、麟片状(フレーク状)、円錐状、棒状等のものを好適に使用することができる。充填性がよく緻密な受光面電極を形成しやすい等の理由から、球状もしくは鱗片状の粒子を用いることが好ましい。使用する導電性粉末としては、例えば、粒度分布のシャープな(狭い)ものが好ましい。具体的には、粒子径10μm以上の粒子を実質的に含まないような粒度分布のシャープな導電性粉末が好ましく用いられる。この指標として、レーザ回折・散乱法に基づく粒度分布における小粒径側からの累積体積10%時の粒径(D10)と累積体積90%時の粒径(D90)との比(D10/D90)が採用できる。粉末を構成する粒径が全て等しい場合はD10/D90の値は1となり、逆に粒度分布が広くなる程このD10/D90の値は0に近づくことになる。D10/D90の値が0.2以上(例えば0.2以上0.5以下)であるような比較的狭い粒度分布の粉末の使用が好ましい。
【0019】
また他の側面において、導電性粉末は、平均粒子径の異なる2つの粒子群を混合して用いることもできる。この場合、例えば、第1の粒子群の平均粒子径(D50)を1.5μm〜2.5μm(例えば2μm)の範囲とし、第2の粒子群の平均粒子径(D50)を2μm〜3μm(例えば2.5μm)の範囲とすることができる。このとき各粒子群の粒度分布は、上記のとおりシャープなものであることが好ましい。そして、例えば、第1の粒子群が90体積%の割合、第2の粒子群が10体積%の割合となるように混合する。これにより、充填性の良好な導電性粉末を用意することができる。
以上のような平均粒子径および粒子形状を有する導電性粉末を用いた導電性組成物は、導電性粉末の充填性がよく、緻密な電極を形成し得る。このことは、細かい電極パターンを形状精度よく形成するにあたって有利である。
【0020】
なお、導電性粉末は、その製造方法等により特に限定されない。例えば、周知の湿式還元法、気相反応法、ガス還元法等によって製造された導電性粉末を必要に応じて分級して用いることができる。かかる分級は、例えば、遠心分離法を利用した分級機器等を用いて実施することができる。
【0021】
有鉛ガラスフリットは、上記導電性粉末の無機バインダとして機能し得る成分であり、導電性粉末を構成する導電性粒子同士や、導電性粒子と基板(電極が形成される対象)との結合性を高める働きをする。また、この導電性組成物が例えば太陽電池の受光面電極の形成に用いられる場合には、この有鉛ガラスフリットの存在により、導電性組成物が下層としての反射防止膜等を焼成中に貫通することが可能となり、基板との良好な接着および電気的コンタクトを実現することができる。
【0022】
このような有鉛ガラスフリットは、導電性粉末と同等かそれ以下の大きさに調整されていることが好ましい。有鉛ガラスフリットの平均粒子径は、例えば、4μm以下であることが好ましく、好適には3μm以下程度であることがより好ましい。有鉛ガラスフリットの平均粒子径の下限は特に制限されないが、典型的には0.5μm以上とすることができ、1μm以上がより好ましい。本明細書におけるガラスフリットの平均粒子径は、導電性粉末と同様に、レーザ回折・散乱法に基づく粒度分布測定装置により測定される体積基準の粒度分布における積算50%粒径(D50)を採用することができる。
【0023】
なお、本実施形態における有鉛ガラスフリットについては、Pb成分を含む、いわゆる有鉛ガラスを用いることができる。ガラスフリットがPb成分を含むことで、導電性組成物が後述のシリコーン樹脂を含む場合であっても、製造される太陽電池の曲線因子を低下させることなく開放電圧を高めることができる。なお、本明細書において有鉛ガラスとは、酸化物換算したときのPbOの割合が2mol%以上(例えば2mol%超過)であることをいう。PbOは、5mol%以上が好ましく、10mol%以上がより好ましい。一方で、有鉛ガラスフリットにおけるPbOの量が増えすぎると、PbOを含まない場合と同様に、曲線因子は急激に低下してしまう。したがって、PbOの割合は70mol%未満であって、例えば60mol%以下となるようにしている。PbOの割合は、55mol%以下がより好ましく、50mol%以下が特に好ましい。有鉛ガラスフリットにおけるPbOの寄与の詳細については明らかではないが、他のガラス構成元素の含有量にはさほど大きな影響を受けないことから、シリコーン樹脂との有鉛ガラスとの相関性が高いものと推察される。
【0024】
有鉛ガラスフリットに含まれるPbO以外の成分の割合については特に制限はなく、各種の組成のガラスを用いることができる。おおよそのガラス組成として、例えば、当業者が慣用的に表現している呼称でいう、いわゆる、鉛系ガラスの他、鉛リチウム系ガラス、亜鉛系ガラス、ボレート系ガラス、ホウケイ酸系ガラス、アルカリ系ガラス、テルル系ガラス、鉛−テルル系ガラス、および、酸化バリウムや酸化ビスマス等を含有する系のガラス等であってよい。これらのガラスは、改めて言うまでもなく、上記呼称に現れる主たるガラス構成元素の他に、Pb(ただしPb量は上記のとおり制限される)と、他の任意の元素を含むことができる。このような元素としては、Si,Zn,Ba,Bi,B,Al,Li,Na,K,Rb,Te,Ag,Zr,Sn,Ti,W,Cs,Ge,Ga,In,Ni,Ca,Cu,Mg,Sr,Se,Mo,Y,As,La,Nd,Co,Pr,Gd,Sm,Dy,Eu,Ho,Yb,Lu,Ta,V,Fe,Hf,Cr,Cd,Sb,F,Mn,P,CeおよびNb等であり得る。有鉛ガラスフリットは、これらの元素のいずれか1つまたは2以上の元素を任意の組み合わせおよび割合で含むことができる。このような有鉛ガラスフリットは、例えば、一般的な非晶質ガラスの他、一部に結晶を含む結晶化ガラスであってもよい。また、有鉛ガラスフリットは、全体としてのPbO成分が上記のとおり調整されていれば、1種の組成の有鉛ガラスフリットを単独で用いても良いし、2種以上の組成の有鉛ガラスフリットを混合して用いても良い。
【0025】
有鉛ガラスフリットを構成するガラスの軟化点は、特に限定されるものではないが、250℃以上600℃以下程度(例えば300℃以上500℃以下)であることが好ましい。このように軟化点が250℃以上600℃以下の範囲内に調整され得るガラスとしては、具体的には、例えば、以下に示す元素を組み合わせて含むガラスが挙げられる。Pb−B−Si系ガラス,Pb−B−Si−Ti系ガラス,Pb−B−Si−Ti−Bi系ガラス,Pb−B−Si−Al−Zn−P系ガラス,Pb−B−Si−Al−Li−Ti−Zn系ガラス,Pb−B−Si−Al−Li−Ti−P−Te系ガラス,Pb−Si−Li−Bi−Te系ガラス,Pb−Si−Li−Bi−Te−W系ガラス,Pb−Si−Al−Li−Zn−Te系ガラス,Pb−Li−Bi−Te系ガラス,Pb−B系ガラス,Pb−B−Mo系ガラス,Pb−Te系ガラス,Pb−Te−Li系ガラス,Pb−Te−Bi−Li−Zn系ガラス,Pb−Te−Bi−Li−W系ガラス,Pb−Te−Bi−Li−Mg系ガラス,Pb−Te−Bi−Li−Zn−W系ガラス,Pb−Te−Bi−Li−Zn−Mg系ガラス,Pb−Te−Bi−Li−W−Mg系ガラス,Pb−Te−Bi−Li−Zn−W−Mg系ガラス,Pb−Te−Li−Zn系ガラス,B−Si−Zn−Pb系ガラス,B−Si−Zn−Pb−Cu系ガラス,B−Si−Zn−Pb−Sn系ガラス,B−Si−Zn−Pb−Ta系ガラス,B−Si−Zn−Pb−Ta−Ce系ガラス,B−Si−Al−Pb系ガラス,B−Si−Zn−Al−Pb系ガラス,Si−Pb−Li系ガラス,Si−Al−Mg−Pb系ガラス,Si−Li−Zn−Bi−Mg−W−Te−Pb系ガラス,Si−Li−Zn−Bi−Mg−Mo−Te−Pb系ガラス,Si−Li−Zn−Bi−Mg−Cr−Te−Pb系ガラス,Pb−Ge−Zn−Li系ガラス,B−Zn−Pb系ガラス,Pb−P−Zn系ガラス,Pb−P−Al−Zn系ガラス,Pb−P−Si−Al−Zn系ガラス,Pb−P−B−Al−Si−Li系ガラス,Pb−P−B−Al−Mg−F−K系ガラス,Pb−V−P系ガラス,Pb−V−P−Ba−Zn系ガラス,Pb−V−P−Na−Zn系ガラス,Pb−AgI−AgO−B−P系ガラス,Pb−Zn−B−Si−Li系ガラスなどである。なお、上記のガラスは、ハイフン(−)で繋いで示した複数の元素を少なくとも含み、それらの元素を酸化物に換算したときの組成(酸化物換算組成)に基づく当該元素の酸化物の合計が、全体の70mol%以上(典型的には80%以上、より好ましくは90%以上)を占めることを意味している。
【0026】
有鉛ガラスフリットのより具体的な組成としては、次のものを一例として挙げることができる。
[Li含有鉛系ガラス]
0.6〜18mol%LiO−20〜65mol%PbO−1〜18mol%B−20〜65mol%SiO
[Te含有鉛系ガラス]
1〜25mol%PbO−25〜80mol%TeO−0.1〜30mol%ZnO
このような軟化点を有する有鉛ガラスフリットを含有する導電性組成物は、例えば、太陽電池の受光面電極を形成する際に用いると、良好なファイヤースルー特性を発現して高性能な電極形成に寄与するために好ましい。
【0027】
シリコーン樹脂は、ここに開示される導電性組成物に含まれる必須の構成成分である。このシリコーン樹脂を含有することで、この導電性組成物は、焼成時に上記の鉛含有ガラスフリットに作用し、ファイヤースルー特性を向上させて、過度なSi基板の浸食を抑えて、良好なコンタクトを形成し得るものと考えられる。また、シリコーン樹脂は、例えばSi基板上に形成された導電性組成物の塗膜(未焼成電極)の形状を印刷から焼成に亘って安定して保つことができ、より微細で高アスペクト比の電極を安定して形成することが可能とする。また、シリコーン樹脂は、焼成により電極中にSiO成分を生成し得る。このSiO成分は、有鉛ガラスフリットの軟化点を直接的に高めることなく、系の安定性および電極と基板との結着性を高めることに寄与すると考えられる。
なお、特許文献3には、太陽電池の裏面アルミニウム電極を形成するためのアルミニウムインク組成物において、シリコーン含有無機高分子を含むことが開示されている。しかしながら、アルミニウム電極はシリコン基板の裏面のほぼ全面に形成される電極であり、受光面電極に求められる機能は備えていない点で、かかる組成物中のシリコーン含有無機高分子の機能は大きく異なるといえる。
【0028】
このシリコーン樹脂としては、ケイ素(Si)を含む有機化合物を特に制限なく使用することができ、例えば、シロキサン結合(Si−O−Si)による主骨格を有する高分子有機化合物を好ましく使用することができる。主骨格部分を形成するシロキサン化合物(ポリマー)としては、例えば、一般式:HO[−Si(CHO−]H(n=1〜20);で示されるアルキル基の炭素数が1〜20のポリアルキルシロキサンや、シロキサン単位とこれとは異なるケイ素含有モノマーとを重合してなるポリマーであってよい。具体的には、ポリジメチルシロキサン,ポリジエチルシロキサン,ポリメチルエチルシロキサン等のポリジアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリ(ジメチルシロキサン―メチルシロキサン)等が挙げられる。特に好適な主骨格を構成する高分子は、例えば、ポリジメチルシロキサンであり得る。また、シリコーン樹脂としては、例えば、主骨格における未結合手(側鎖、末端または両者)にアルキル基またはフェニル基等を導入した直鎖型シリコーンであってもよい。あるいは、シリコーン樹脂としては、ポリエーテル基、エポキシ基、アミン基、カルボキシル基、アラルキル基、水酸基等の他の置換基を主骨格の側鎖、末端、または両者に導入した直鎖変性シリコーンであってもよいし、ポリエーテルをシリコーンと交互に結合させた直鎖状のブロック共重合体であってもよい。例えば、シリコーン樹脂としては、ポリエーテル変性シロキサン(ポリエーテル変性シリコーン)を好ましく用いることができる。
【0029】
このようなシリコーン樹脂は、重量平均分子量(以下、単に「Mw」と示す場合がある)が高くなるほど高アスペクト比の電極を形成し得るために好ましい。しかしながら、Mwがおおよそ15万程度を超過すると、得られる電極の断線等の欠陥を招いたり、抵抗を高めたりしてしまうために好ましくない。このような観点から、シリコーン樹脂のMwは、例えば、15万以下とすることができ、13万以下であるのが好ましく、11万以下であるのがより好ましく、9万以下であるのが特に好ましい。Mwの下限は特に制限されないが、例えば千以上とすることができ、3千以上であるのが好ましく、5千以上であるのがより好ましく、1万以上、例えば2万以上であるのが特に好ましい。
【0030】
以上の導電性粉末等の構成要素を分散させる有機ビヒクル成分としては、所望の目的に応じて、従来よりこの種の導電性組成物に用いられている各種のものを特に制限はなく使用することができる。典型的には、ビヒクルは、種々の組成の有機バインダと分散媒としての有機溶剤とから構成される。かかる有機ビヒクル成分において、有機バインダは全てが有機溶剤に溶解していても良いし、一部のみが溶解または分散(いわゆるエマルジョンタイプの有機ビヒクルであり得る。)していても良い。
【0031】
有機バインダとしては、例えば、エチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系高分子、ポリブチルメタクリレート,ポリメチルメタクリレート,ポリエチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポリビニルアルコール,ポリビニルブチラール等をベースとする有機バインダが好適に用いられる。特にセルロース系高分子(例えばエチルセルロース)が好ましく、特に良好なスクリーン印刷を行うことができる粘度特性を実現することができる。
【0032】
有機ビヒクルを構成する有機溶剤として好ましいものは、沸点がおよそ200℃以上(典型的には約200℃〜260℃)の有機溶媒である。沸点がおよそ230℃以上(典型的にはほぼ230℃〜260℃)の有機溶剤がより好ましく用いられる。このような有機溶剤としては、ブチルセロソルブアセテート,ブチルカルビトールアセテート(BCA:ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート)等のエステル系溶剤、ブチルカルビトール(BC:ジエチレングリコールモノブチルエーテル)等のエーテル系溶剤、エチレングリコールおよびジエチレングリコール誘導体、トルエン,キシレン,ミネラルスピリット,ターピネオール,メンタノール,テキサノール等の有機溶媒を好適に用いることができる。特に好ましい溶剤成分として、ブチルカルビトール(BC)、ブチルカルビトールアセテート(BCA)、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート等が挙げられる。
【0033】
導電性組成物に含まれる各構成成分の配合割合は、電極の形成方法、典型的には印刷方法等によっても異なり得るが、概ね、従来より採用されている組成の導電性組成物に準じた配合割合とすることができる。一例として、例えば、以下の配合を目安に各構成成分の割合を決定することができる。
【0034】
すなわち、導電性組成物中に占める導電性粉末の含有割合は、ペースト全体を100質量%としたとき、およそ70質量%以上(典型的には70質量%〜95質量%)とすることが適当であり、より好ましくは80質量%〜90質量%程度、例えば88質量%程度とすることが好ましい。導電性粉末の含有割合を高くすることは、形状精度がよく緻密な電極のパターンを形成するという観点から好ましい。一方、この含有割合が高すぎると、ペーストの取扱性や、各種の印刷性に対する適性等が低下することがある。
【0035】
有鉛ガラスフリットは、本質的に導電性粉末の無機バインダとして要求される程度の割合で導電性組成物中に含まれていればよい。また、良好なファイヤースルー特性を得るとの観点からは、導電性粉末に対する有鉛ガラスフリットの割合は、導電性粉末を100質量%としたとき、典型的には0.1質量%以上とすることができ、0.5質量%以上とするのが好ましく、1質量%以上とするのがより好ましい。なお、過剰な添加はSi基板を浸食したり、形成される電極の抵抗を高めたりするために好ましくない。したがって、導電性粉末に対する有鉛ガラスフリットの割合は、典型的には12質量%以下とすることができ、6質量%以下とするのが好ましく、3質量%以下とするのがより好ましい。
【0036】
シリコーン樹脂は、導電性粉末に対して極少量でも添加することで、電極をより高アスペクト比のものとして形成し得るために好ましい。例えば、導電性粉末を100質量%としたとき、シリコーン樹脂の添加量は、典型的には0.005質量%以上とすることができ、0.01質量%以上とするのが好ましく、0.05質量%以上とするのがより好ましく、0.1質量%以上とするのが特に好ましい。なお、過剰な添加は形成される電極の抵抗を高めるために好ましくない。そのため、シリコーン樹脂の添加量は、導電性粉末を100質量%としたとき、典型的には1.0質量%以下とすることができ、0.9質量%以下とするのが好ましく、0.8質量%以下とするのがより好ましく、0.6質量%以下とするのが特に好ましい。
【0037】
そして、有機ビヒクル成分のうち有機バインダは、導電性粉末の質量を100質量%としたとき、およそ15質量%以下、典型的には1質量%〜10質量%程度の割合で含有されることが好ましい。特に好ましくは、導電性粉末100質量%に対して2質量%〜6質量%の割合で含有される。なお、かかる有機バインダは、例えば、有機溶剤中に溶解している有機バインダ成分と、有機溶剤中に溶解していない有機バインダ成分とが含まれていても良い。有機溶剤中に溶解している有機バインダ成分と、溶解していない有機バインダ成分とが含まれる場合、それらの割合に特に制限はないものの、例えば、有機溶剤中に溶解している有機バインダ成分が(1割〜10割)を占めるようにすることができる。
なお、上記有機ビヒクルの全体としての含有割合は、得られるペーストの性状に合わせて可変であり、おおよその目安として、導電性組成物全体を100質量%としたとき、例えば5質量%〜30質量%となる量が適当であり、5質量%〜20質量%であるのが好ましく、5質量%〜15質量%(特に7質量%〜12質量%)となる量がより好ましい。
【0038】
また、ここに開示される導電性組成物は、本発明の目的から逸脱しない範囲において、上記以外の種々の無機添加剤及び/又は有機添加剤を含ませることができる。無機添加剤の好適例として、上記以外のセラミック粉末(ZnO、Al等)、その他種々のフィラーが挙げられる。また有機添加剤の好適例として、例えば、界面活性剤、消泡剤、酸化防止剤、分散剤、粘度調整剤等の添加剤が挙げられる。
【0039】
以上の導電性組成物は、所定の割合のシリコーン樹脂と特定の鉛含有量の有鉛ガラスフリットとを併用するようにしている。シリコーン樹脂は、導電性組成物の焼成後に電極中にSi成分(例えばSiO)として残留し得る。したがって、このSi成分が抵抗成分として作用すると、電極特性が低下する要因となる。しかしながら、ここに開示される導電性組成物については、シリコーン樹脂と有鉛ガラスフリットとを適切に併用することで、電極特性の低下(例えば太陽電池におけるFFの低下)が見られない。このことから、有鉛ガラスフリットにおけるPbO成分が、Si成分によるFF低下の作用を適切に抑制しているものと考えられる。一方で、導電性組成物がシリコーン樹脂を含むことで、例えば、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷およびインクジェット印刷等による印刷時の形状安定性が高められる。したがって、この導電性組成物は、印刷により形成される電極のための印刷用組成物(ペースト、スラリーあるいはインク等という場合もある。)として特に好適である。とりわけ、細線化および高アスペクト比化が求められる電極パターンの形成に際し、このような汎用の印刷手段を用いる場合に特に好ましく採用することができる。
【0040】
以下に、太陽電池(太陽電池素子)に設けられる各種電極のうち、例えば受光面上に、微細なフィンガー電極を含む櫛型電極パターンをこの導電性組成物をスクリーン印刷することにより形成する例を示しながら、ここに開示される太陽電池について説明を行う。なお、太陽電池に関し、本発明を特徴付ける受光面電極の構成以外については、従来の太陽電池と同様であってよく、従来と同様の構成および従来と同様の材料の使用に関する部分については本発明を特徴付けるものではないため、詳細な説明は省略する。
【0041】
図1および図2は、本発明の実施により好適に製造され得る太陽電池(セル)10の一例を模式的に図示したものであり、単結晶もしくは多結晶あるいはアモルファス型のシリコン(Si)からなるウェハを半導体基板11として利用する、いわゆるシリコン型太陽電池10である。図1に示すセル10は、一般的な片面受光タイプの太陽電池10である。具体的には、この種の太陽電池10は、シリコン基板(Siウエハ)11のp−Si層(p型結晶シリコン)18の受光面側に、不純物ドーピングにより形成されたn−Si層16を備え、pn接合が形成されている。シリコン基板11の表面には、必要に応じて、CVD等により形成された酸化チタンや窒化ケイ素等から成る反射防止膜14と、Ag粉末等を主体として含む導電性組成物から形成される受光面電極12,13とを備える。なお、反射防止膜14はパッシベーション膜を兼ねてもよいし、反射防止膜14とは別にパッシベーション膜を設けてもよい。
【0042】
一方、p−Si層18の裏面側には、いわゆる裏面電界(Back Surface Field:BSF)効果を奏する裏面アルミニウム電極20と、このアルミニウム電極20から電流を取り出す外部接続用電極22と、を備える。アルミニウム電極20は、アルミニウム粉末を主体とする導電性組成物を印刷・焼成することによって、裏面の略全面に形成される。この焼成時に図示しないAl−Si合金層が形成され、アルミニウムがp−Si層18に拡散されてp層24が形成される。かかるp層24、即ちBSF層が形成されることによって、光生成されたキャリアが裏面電極近傍で再結合することが防止され、例えば短絡電流や開放電圧(Voc)の向上が実現される。また、外部接続用電極22は、典型的には、導電性粉末がAg粉末である導体性ペーストを印刷・焼成することにより形成される。
【0043】
図2に示すように、太陽電池10のシリコン基板11の受光面11A側には、受光面電極12,13として、数本(例えば、1本〜3本程度)の相互に平行な直線状のバスバー(接続用)電極12と、該バスバー電極12と交差するように接続する相互に平行な多数の(例えば、60本〜90本程度)筋状のフィンガー(集電用)電極13とが形成されている。フィンガー電極13は、受光により生成した光生成キャリア(正孔および電子)を収集するため多数本形成されている。バスバー電極12はフィンガー電極13により収集されたキャリアを集電するための接続用電極である。このような受光面電極12,13が形成された部分は、太陽電池の受光面11Aにおいて非受光部分(遮光部分)を形成する。従って、かかる受光面11A側に設けられるバスバー電極12とフィンガー電極13(特に数の多いフィンガー電極13)をできるだけファインライン化することにより、これに対応した分の非受光部分(遮光部分)が低減され、セル単位面積あたりの受光面積が拡大される。これは、極めてシンプルに太陽電池10の単位面積あたりの出力を向上させるものとなり得る。
【0044】
このような太陽電池10は、概略的には、次のようなプロセスを経て製造される。
即ち、適当なシリコンウェハを用意し、熱拡散法やイオンプランテーション等の一般的な技法により所定の不純物をドープして上記p−Si層18やn−Si層16を形成することにより、上記シリコン基板(半導体基板)11を作製する。このとき、n−Si層16は、シート抵抗が高め(例えば80〜120Ω/□)となるように形成することができる。次いで、例えばプラズマCVD等の技法により窒化ケイ素等からなる反射防止膜14を形成する。
【0045】
その後、上記シリコン基板11の裏面11B側に、所定の導電性組成物(典型的には導電性粉末がAg粉末である導電性組成物)を用いて所定のパターンにスクリーン印刷し、乾燥することにより、焼成後に裏面側外部接続用電極22(図1参照)となる裏面側導体塗布物を形成する。次いで、裏面側の全面に、アルミニウム粉末を導体成分とする導電性組成物をスクリーン印刷法等で塗布(供給)し、乾燥することによりアルミニウム膜を形成する。
【0046】
次いで、上記シリコン基板11の表面側に形成した反射防止膜14上に、典型的には、スクリーン印刷法により、図2に示すような所定の配線パターンで本発明の導電性組成物を印刷(供給)する。印刷する線幅は特に限定しないが、本発明の導電性組成物を採用することによって、線幅が70μm程度若しくはそれ以下(好ましくは50μm〜60μm程度の範囲、より好ましくは40μm〜50μm程度の範囲)のフィンガー電極を備える電極パターンの塗膜(印刷体)を形成することができる。次いで、適当な温度域(典型的には100℃〜200℃、例えば120℃〜150℃程度)で基板を乾燥させる。好適なスクリーン印刷法の内容に関しては後述する。
【0047】
このように両面にそれぞれペースト塗布物(乾燥膜状の塗布物)が形成されたシリコン基板11を、大気雰囲気中で例えば近赤外線高速焼成炉のような焼成炉を用い、適切な焼成温度(例えばピーク温度が700℃〜900℃)で焼成する。この焼成によって、受光面電極(典型的にはAg電極)12,13および裏面側外部接続用電極(典型的にはAg電極)22とともに、焼成アルミニウム電極20が形成される。また同時に、図示しないAl−Si合金層が形成されるとともにアルミニウムがp−Si層18に拡散して上述したp+層(BSF層)24が形成され、太陽電池10が製造される。
なお、上記のように同時焼成する代わりに、例えば受光面11A側の受光面電極(典型的にはAg電極)12,13を形成するための焼成と、裏面11B側のアルミニウム電極20および外部接続用電極22を形成するための焼成とを別々に実施してもよい。
【0048】
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
(実施形態1)
[導電性組成物の調製]
以下に示す手順で電極形成用の導電性組成物を調製した。すなわち、導電性粉末としては、平均粒子径が2μmで球形の銀(Ag)粉末を用いた。ガラスフリットとしては、下記に示す組成の無鉛と有鉛のガラス粉末(平均粒子径:1.5μm)を用いた。
【0049】
[無鉛ガラスフリット]
1〜25mol%Bi−25〜80mol%TeO−0.1〜30mol%ZnO
[有鉛ガラスフリット]
1〜25mol%PbO−25〜80mol%TeO−0.1〜30mol%ZnO
なお、有鉛ガラスフリットは、酸化物換算組成でPbOを30mol%含み、網目形成元素として亜鉛(Zn)を含むガラスである。また、無鉛ガラスフリットは、鉛(Pb)を含まず、代わりに鉛に近い機能を示すビスマス(Bi)を用い、網目形成元素として亜鉛(Zn)を含むガラスである。これらのガラスフリットはいずれも軟化点が250℃以上600℃以下の範囲である。
【0050】
シリコーン樹脂としては、重量平均分子量Mwが5万のポリジメチルシロキサンを用いた。また、界面活性剤として、硬化ヒマシ油を用いた。有機ビヒクル成分としては、有機バインダ成分としてのエチルセルロース(EC)が分散媒としてのテキサノールに分散されたビヒクルを使用した。
【0051】
そしてこれらの材料を、銀粉末を100質量%としたとき、ガラスフリットを2質量%で一定とし、シリコーン樹脂を0質量%,0.1質量%,0.3質量%,0.6質量%で変化させ、有機ビヒクルを5質量%、界面活性剤としての硬化ヒマシ油を0.80質量%、分散媒としてのテキサノールを約1質量%となるように配合した。なお、有機ビヒクルとしては、エチルセルロースとテキサノールとを質量比で15:85の割合で混合したものを用いた。そして、これらの材料を、三本ロールミルを用いてよく混練することで、各例の導電性組成物を得た。本実施形態では、各例の導電性組成物の印刷性を揃えるために、導電性組成物の粘度が180〜200Pa・s(20rpm,25℃)となるよう調整することで、8通りの導電性組成物を調製した。
【0052】
[試験用太陽電池の作製]
上記で得られた導電性組成物を用いて受光面電極(即ち、フィンガー電極とバスバー電極からなる櫛型電極)を形成することで、8通りの太陽電池を作製した。
具体的には、まず、市販の156mm四方(6インチ角)の寸法の太陽電池用p型単結晶シリコン基板(板厚180μm)を用意し、その表面(受光面)をフッ酸および硝酸の混酸を用いてエッチングすることで、ダメージ層を除去するとともに凹凸のテクスチャ構造を形成した。次いで、上記テクスチャ構造面に対してリン含有溶液を塗布し、熱処理を施すことでこのシリコン基板の受光面にシート抵抗が90±10Ω/□のn−Si層(n層)を形成した。次いで、このn−Si層上に、プラズマCVD(PECVD)法により厚みが約80nm程度の窒化ケイ素膜を製膜し、反射防止膜とした。
【0053】
次いで、シリコン基板の裏面側に、所定の銀電極形成用ペーストを用いて、後に裏面側外部接続用電極となるよう所定のパターンでスクリーン印刷し、乾燥させることにより、裏面側電極パターンを形成した。そして、裏面側の全面にアルミニウム電極形成用ペーストをスクリーン印刷し、乾燥することにより、アルミニウム膜を形成した。
【0054】
その後、上記で用意した導電性組成物を用い、スクリーン印刷法によって、上記反射防止膜上に受光面電極(Ag電極)用の電極パターンを印刷し、120℃で乾燥させた。具体的には、図2に示したように、3本の相互に平行な直線状バスバー電極と、このバスバー電極に直交するようにして相互に平行な90本のフィンガー電極とからなる電極パターンをスクリーン印刷にて形成した。スクリーン印刷には、360メッシュ(線径16μm、乳剤厚15μm)のスクリーン製版を用いた。フィンガー電極パターンは、焼成後の寸法が、線幅約45μm、膜厚15μm〜25μmとなるよう調整した。また、バスバー電極は焼成後の線幅がおよそ1.5mmとなるように設定した。このように両面にそれぞれ電極パターンを印刷した基板を、大気雰囲気中、近赤外線高速焼成炉を用いて焼成温度700〜800℃で焼成することで、評価用の太陽電池を作製した。
【0055】
[評価]
上記のように作製した太陽電池について、開放電圧(Voc)および曲線因子(FF)を測定した。具体的には、ソーラーシミュレータ(Beger社製、PSS10)を用い、各例の太陽電池について得たI−V曲線から、JIS C8913に規定される「結晶系太陽電池セル出力測定方法」に基づいて開放電圧(Voc)および曲線因子(FF)を算出した。その結果を、開放電圧(Voc)については図3に、曲線因子(FF)については図4に示した。
【0056】
図3に示されるように、導電性組成物にシリコーン樹脂を添加し、その含有量を増大させることで、この導電性組成物により形成した電極を備える太陽電池の開放電圧が増大する傾向にあることがわかった。その傾向は、ガラスフリットとして、有鉛ガラスフリットを用いた場合に顕著であることも確認できた。有鉛ガラスフリットを用いた導電性組成物については、シリコーン樹脂を含有しない場合(0質量%)でも、無鉛ガラスフリットを用いた導電性組成物よりも高い開放電圧が得られるが、シリコーン樹脂を添加することでその効果は大きく向上されることがわかった。また、具体的なデータは示していないが、このような傾向は、ガラスフリットが有鉛か無鉛かで大きく異なるものの、有鉛ガラスフリットについては鉛以外のガラス成分の割合にさほど影響されないことも確認できた。
【0057】
一方で、図4に示されるように、曲線因子については開放電圧と異なる傾向が見られた。すなわち、ガラスフリットとして、無鉛ガラスフリットを用いた導電性組成物については、シリコーン樹脂を添加することで曲線因子が著しく低下してしまうことがわかった。この曲線因子の低下は、シリコーン樹脂を0.6質量%添加した場合で約10%減であり、実用レベルに無いことがわかる。一方で、有鉛ガラスフリットを用いた導電性組成物については、シリコーン樹脂を添加した場合も曲線因子に有意な影響は見られずないことがわかった。具体的なデータは示していないが、このような傾向は、ガラスフリットが有鉛か無鉛かで大きく異なるものの、有鉛ガラスフリットおよび無鉛ガラスフリットともに、鉛以外のガラス成分の割合にほぼ影響されないことが確認できた。また、以上の傾向は、導電性組成物中のガラスフリットの含有量を変化させた場合についても、概ね同様であることが確認されている。
【0058】
(実施形態2)
[導電性組成物の調製]
次いで、ガラスフリットにおける鉛の含有量を変化させ、その他の条件は上記実施形態1と同様にして電極形成用の導電性組成物を調製した。本実施形態で使用したNo.1〜45のガラスフリットの組成を、下記の表1に示した。
すなわち、表1に示すように、No.1〜9のガラスフリットは網目形成元素としてSiおよびBを、No.10〜18のガラスフリットは網目形成元素としてPを、No.19〜27のガラスフリットは網目形成元素としてTeを、No.28〜36のガラスフリットは網目形成元素としてVを、No.37〜45のガラスフリットは網目形成元素としてMoを、それぞれ使用している。そして、網目修飾元素となる鉛の含有量を、PbOとして0〜70mol%の範囲で変化させている。なお、PbOが0mol%のガラスフリット(No.1,10,19,28,37)については、鉛の替わりの網目形成元素として、鉛と類似の作用を示すといわれているビスマスを(Biとして)添加するようにしている。また、No.1〜9のガラスフリットにおけるSiOの含有量は約9〜10mol%である。これらのガラスフリットはいずれも軟化点が250℃以上600℃以下の範囲内である。
【0059】
また、導電性組成物は、銀粉末を100質量%としたとき、ガラスフリットの割合を2質量%で一定とし、シリコーン樹脂の割合を0質量%,0.005質量%,0.05質量%,0.1質量%,0.3質量%,0.6質量%,0.9質量%,1.2質量%の8通りで変化させた。また、エチルセルロースを6.7質量%、硬化ヒマシ油を0.80質量%となるよう添加し、三本ロールミルを用いてよく混練しながら、テキサノール約1質量%を加えて粘度がおよそ180〜200Pa・s(20rpm,25℃)となるよう調整した。これにより、360通りの導電性組成物を調製した。
【0060】
[試験用太陽電池の作製]
このようにして得られた導電性組成物を用い、実施形態1と同様にして、この導電性組成物を用いて形成された受光面電極を備える太陽電池を作製した。そしてこの太陽電池の開放電圧(Voc)および曲線因子(FF)を、ソーラーシミュレータ(Beger社製、PSS10)を用いて測定した。その結果を、開放電圧(Voc)については表1に、曲線因子(FF)については表2に示した。
【0061】
なお、表1には、網目形成元素が共通のガラスフリットを用いた導電性組成物ごとに、無鉛ガラスフリットを用いかつシリコーン樹脂量が0質量%の場合のVoc値を基準として、Vocが減少した場合を「×」、Vocが0〜1mV未満で増加したときに「○」、Vocが1mV以上増加したときに「◎」を示した。なお、本実施形態において、結果が「×」となった例はなかった。また、シリコーン樹脂量が0質量%の場合の結果は表示を省略した。
表2には、各導電性組成物について、FFが75%未満の場合を「×」、FFが75%以上77%未満の場合を「○」、FFが77%以上の場合を「◎」として示した。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
表1に示されるように、本実施形態では、ガラスフリットの組成によらず、全ての導電性組成物について、シリコーン樹脂を加えることでVocが低下した例はなかった。しかしながら、無鉛ガラスフリットを含む導電性組成物については、シリコーン樹脂を加えてもVocが増加しないか、その増加量が1mV未満であったのに対し、有鉛ガラスフリットを含む導電性組成物については、いずれもシリコーン樹脂を加えることでVocを1mV以上増大させることができることがわかった。ただし、シリコーン樹脂の含有量が1.2質量%にまで増えると、シリコーン樹脂量を添加しない場合と同等にまでVocは低減し、その効果が相殺されてしまうことがわかった。
【0065】
また、有鉛ガラスフリットを含む導電性組成物については、ガラスフリットの詳細な組成によらず、ガラスフリットにおけるPbOの含有量が2〜60mol%の場合に、Vocを1mV以上増大させることができることがわかった。ただし、ガラスフリットにおけるPbOの含有量が70mol%にまで増加すると、PbOの含有量が0mol%の場合同等にまでVocは低減し、その効果がほぼ失われてしまうことがわかった。
【0066】
一方でFFについては、表2に示されるように、PbOが0mol%の無鉛ガラスフリットを使用した例(No.1,10,19,28,37)については、その組成に関わらず、シリコーン樹脂を添加することでFFがいずれも75%未満と低い値を示すことがわかった。また、PbOが70mol%にまで増大された有鉛ガラスフリットを使用した例(No.9,18,27,36,45)については、その組成に関わらず、シリコーン樹脂を添加することでFFがいずれも75%未満と低い値を示すことがわかった。
さらに、シリコーン樹脂の添加量が1.2質量%の例についても、ガラスフリットの組成に関わらず、いずれもFFが75%未満と低い値を示すことがわかった。
これに対し、PbOの含有量が2〜60mol%の無鉛ガラスフリットを使用し、シリコーン樹脂の添加量を1.2質量%未満とした例では、全ての例においてFFが75%以上と良好な特性を示すことがわかった。
【0067】
なお、例2〜8の有鉛ガラスであって網目形成元素としてSiとBを含むPbO−SiO−B系ガラスフリットを用いた例については、シリコーン樹脂の添加量を1.2質量%未満として、PbOの含有量を2mol%を超えて50mol%未満とした場合に、FFが77%以上と高い値が得られることがわかった。ただし、ガラスフリットのPbOの含有量が2mol%以下と少ない場合は、シリコーン樹脂の添加量が0.9質量%未満のときに77%以上と高いFFが得られることがわかった。また、PbOの含有量が50mol%以上60mol%未満の場合はシリコーン樹脂の添加量が0.05質量%超過(1.2質量%未満)のときに、FFが77%以上と高い値が得られることがわかった。
【0068】
また、例11〜17の有鉛ガラスであって網目形成元素としてPを含むPbO−P−ZnO系ガラスフリットを用いた例については、シリコーン樹脂の添加量を1.2質量%未満として、PbOの含有量を10mol%を超えて50mol%未満とすることで77%以上と高いFFが得られることがわかった。また、ガラスフリットのPbOの含有量が10mol%以下の場合はシリコーン樹脂の添加量を0.9質量%未満に抑えることで、ガラスフリットのPbOの含有量が5mol%以下の場合はシリコーン樹脂の添加量を0.3質量%未満に抑えることで、ガラスフリットのPbOの含有量が2mol%以下の場合はシリコーン樹脂の添加量を0.005質量%未満に抑えることで、77%以上と高いFFが得られることがわかった。さらに、ガラスフリットのPbOの含有量が50mol%以上で60mol%に満たない場合は、シリコーン樹脂の添加量を0.05質量%超過(1.2質量%未満)とすることで、77%以上の高いFFが得られることがわかった。
【0069】
また、例20〜26の有鉛ガラスであって網目形成元素としてTeを含むPbO−TeO−ZnO系ガラスフリットを用いた例については、シリコーン樹脂の添加量を1.2質量%未満として、PbOの含有量を5mol%を超えて50mol%未満とすることで77%以上の高いFFが得られることがわかった。また、ガラスフリットのPbOの含有量が5mol%以下の場合はシリコーン樹脂の添加量を0.9質量%未満に抑えることで、ガラスフリットのPbOの含有量が2mol%以下の場合はシリコーン樹脂の添加量を0.3質量%未満に抑えることで、77%以上と高いFFが得られることがわかった。さらに、ガラスフリットのPbOの含有量が50mol%以上で60mol%に満たない場合は、シリコーン樹脂の添加量を0.05質量%超過(1.2質量%未満)とすることで、77%以上の高いFFが得られることがわかった。
【0070】
例29〜35の有鉛ガラスであって網目形成元素としてVを含むPbO−V−P系ガラスフリットを用いた例については、シリコーン樹脂の添加量を1.2質量%未満として、PbOの含有量を10mol%を超えて50mol%未満とすることで77%以上の高いFFが得られることがわかった。また、ガラスフリットのPbOの含有量が10mol%以下の場合はシリコーン樹脂の添加量を0.6質量%未満に抑えることで、77%以上と高いFFが得られることがわかった。さらに、ガラスフリットのPbOの含有量が50mol%以上で60mol%に満たない場合は、シリコーン樹脂の添加量を0.005質量%超過(1.2質量%未満)とすることで、77%以上の高いFFが得られることがわかった。
【0071】
例38〜44の有鉛ガラスであって網目形成元素としてMoを含むPbO−MoO−B系ガラスフリットを用いた例については、シリコーン樹脂の添加量を1.2質量%未満として、PbOの含有量を5mol%を超えて50mol%未満とすることで77%以上の高いFFが得られることがわかった。また、ガラスフリットのPbOの含有量が5mol%以下の場合はシリコーン樹脂の添加量を0.3質量%未満に抑えることで、2mol%以下の場合はシリコーン樹脂の添加量を0.005質量%未満に抑えることで、77%以上と高いFFが得られることがわかった。さらに、ガラスフリットのPbOの含有量が50mol%以上で60mol%に満たない場合は、シリコーン樹脂の添加量を0.005質量%超過(1.2質量%未満)とすることで、77%以上の高いFFが得られることがわかった。
【0072】
以上のことから、有鉛ガラスを用いる場合、(1)シリコーン樹脂の添加量を1.2質量%未満として、PbOの含有量を10mol%を超えて50mol%未満とすること、(2)ガラスフリットのPbOの含有量が20mol%に満たない場合はシリコーン樹脂の添加量を0.6質量%未満に抑えること、(3)ガラスフリットのPbOの含有量が40mol%を超えて60mol%に満たない場合は、シリコーン樹脂の添加量を0.05質量%超過(1.2質量%未満)とすることで、Pb以外の他のガラスフリットの組成に関わらず、77%以上の高いFFがより確実に得られるといえる。
【0073】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
【符号の説明】
【0074】
10 太陽電池(セル)
11 基板(シリコン基板)
11A 受光面
11B 裏面
12 バスバー電極(受光面電極)
13 フィンガー電極(受光面電極)
14 反射防止膜
16 n−Si層
18 p−Si層
20 裏面アルミニウム電極
22 裏面側外部接続用電極
24 p
【要約】
【課題】例えばLDEに対しても良好なオーミックコンタクトが得られる電極を形成し、高効率で高出力の太陽電池を実現し得る導電性組成物を提供すること。
【解決手段】本発明により太陽電池の電極を形成するための導電性組成物が提供される。この導電性組成物は、導電性粉末と、ガラスフリットと、シリコーン樹脂と、有機バインダと、分散媒と、を含む。ここでガラスフリットは、酸化物換算したときのPbO成分の割合が2mol%以上60mol%以下である。またシリコーン樹脂は、導電性粉末100質量%に対して0.005質量%以上0.9質量%以下の割合で含まれる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4