(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1フィルム及び前記第2フィルムは、それぞれ前記第1開口部及び前記第2開口部に沿って前記撮像ユニット及び前記照明ユニットのそれぞれに貼り付けられ、且つ、前記第1フィルム及び前記第2フィルムの外周に沿って相互に貼り付けられる、請求項1〜3の何れか一項に記載の原稿撮像装置。
前記第1フィルム及び前記第2フィルムは、粘着剤により前記撮像ユニット及び前記照明ユニットのそれぞれに貼り付けられ、且つ、溶着により相互に張り付けられる、請求項1〜4の何れか一項に記載の原稿撮像装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一側面に係る原稿搬送装置について図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0015】
図1は、イメージスキャナとして構成された原稿搬送装置100を示す斜視図である。
【0016】
原稿搬送装置100は、原稿撮像装置の一例である。原稿搬送装置100は、上側筐体101、下側筐体102、原稿台103、排出台105、複数の操作ボタン106及び表示装置107等を備える。
【0017】
上側筐体101は、原稿搬送装置100の上面を覆う位置に配置され、原稿つまり時、原稿搬送装置100内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより下側筐体102に係合している。
【0018】
原稿台103は、原稿を載置可能に下側筐体102に係合している。原稿台103には、原稿の搬送方向と直行する方向に移動可能なサイドガイド104a及び104bが設けられている。以下では、サイドガイド104a及び104bを総じてサイドガイド104と称する場合がある。
【0019】
排出台105は、矢印A1で示す方向に回転可能なように、ヒンジにより下側筐体102に係合しており、
図1のように開いている状態では、排出された原稿を保持することが可能となる。
【0020】
複数の操作ボタン106は、それぞれ上側筐体101の表面に配置され、押下されると、各ボタンに応じた操作検出信号を生成して出力する。
【0021】
表示装置107は、液晶、有機EL等から構成されるディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
【0022】
図2は、原稿搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【0023】
原稿搬送装置100内部の搬送経路は、接触センサ111、給送ローラ112a、112b、ブレーキローラ113a、113b、第1発光器114a、第1受光器114b、超音波送信器115a、超音波受信器115b、第1搬送ローラ116a、116b、第1従動ローラ117a、117b、第2発光器118a、第2受光器118b、第1撮像装置119a、第2撮像装置119b、第1照明装置120a、第2照明装置120b、第2搬送ローラ121a、121b及び第2従動ローラ122a、122b等を有している。
【0024】
以下では、給送ローラ112a及び112bを総じて給送ローラ112と称する場合がある。また、ブレーキローラ113a及び113bを総じてブレーキローラ113と称する場合がある。また、第1搬送ローラ116a及び116bを総じて第1搬送ローラ116と称する場合がある。また、第1従動ローラ117a及び117bを総じて第1従動ローラ117と称する場合がある。また、第2搬送ローラ121a及び121bを総じて第2搬送ローラ121と称する場合がある。また、第2従動ローラ122a及び122bを総じて第2従動ローラ122と称する場合がある。
【0025】
上側筐体101の下面は原稿の搬送路の上側ガイド108aを形成し、下側筐体102の上面は原稿の搬送路の下側ガイド108bを形成する。
図2において矢印A2は原稿の搬送方向を示す。以下では、上流とは原稿の搬送方向A2の上流のことをいい、下流とは原稿の搬送方向A2の下流のことをいう。
【0026】
接触センサ111は、給送ローラ112及びブレーキローラ113の上流側に配置され、原稿台103に原稿が載置されているか否かを検出する。接触センサ111は、原稿台103に原稿が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する第1原稿検出信号を生成して出力する。
【0027】
第1発光器114a及び第1受光器114bは、給送ローラ112及びブレーキローラ113の下流側、かつ第1搬送ローラ116及び第1従動ローラ117の上流側に、原稿の搬送路を挟んで対向するように配置される。第1発光器114aは、第1受光器114bに向けて光を放射する。第1受光器114bは、第1発光器114aから放射された光を検出し、検出した光に応じた電気信号である第2原稿検出信号を生成して出力する。即ち、第2原稿検出信号は、第1発光器114aと第1受光器114bの間に原稿が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する信号である。以下では、第1発光器114a及び第1受光器114bを総じて第1光センサ114と称する場合がある。
【0028】
超音波送信器115a及び超音波受信器115bは、原稿の搬送路の近傍に、搬送路を挟んで対向するように配置される。超音波送信器115aは超音波を送信する。一方、超音波受信器115bは、超音波送信器115aにより送信され、原稿を通過した超音波を検出し、検出した超音波に応じた電気信号である超音波信号を生成して出力する。以下では、超音波送信器115a及び超音波受信器115bを総じて超音波センサ115と称する場合がある。
【0029】
第2発光器118a及び第2受光器118bは、第1搬送ローラ116及び第1従動ローラ117の下流側、かつ第1撮像装置119a及び第2撮像装置119bの上流側に、原稿の搬送路を挟んで対向するように配置される。第2発光器118aは、第2受光器118bに向けて光を放射する。第2受光器118bは、第2発光器118aから放射された光を検出し、検出した光に応じた電気信号である第3原稿検出信号を生成して出力する。即ち、第3原稿検出信号は、第2発光器118aと第2受光器118bの間に原稿が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する信号である。以下では、第2発光器118a及び第2受光器118bを総じて第2光センサ118と称する場合がある。
【0030】
第1撮像装置119aは、撮像ユニットの一例であり、主走査方向に直線状に配列されたCCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える縮小光学系タイプの撮像センサを有する。この撮像センサは、原稿の裏面を撮像してアナログの画像信号を生成して出力する。同様に、第2撮像装置119bは、主走査方向に直線状に配列されたCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプの撮像センサを有する。この撮像センサは、原稿の表面を撮像してアナログの画像信号を生成して出力する。なお、第1撮像装置119a及び第2撮像装置119bを一方だけ配置し、原稿の片面だけを読み取るようにしてもよい。また、CCDの代わりにCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)を利用することもできる。以下では、第1撮像装置119a及び第2撮像装置119bを総じて撮像装置119と称する場合がある。
【0031】
第1照明装置120aは、照明ユニットの一例であり、原稿の裏面を照らす光源と、原稿の表面に対して用いられる裏当てとを有し、第1撮像装置119aと原稿搬送路の間であり且つ第2撮像装置119bと対向する位置に設けられる。同様に、第2照明装置120bは、原稿の表面を照らす光源と、原稿の裏面に対して用いられる裏当てとを有し、第2撮像装置119bと原稿搬送路の間であり且つ第1撮像装置119aと対向する位置に設けられる。以下では、第1照明装置120a及び第2照明装置120bを総じて照明装置120と称する場合がある。
【0032】
第1撮像装置119a及び第1照明装置120aの間には、第1防塵ユニット123が設けられ、第2撮像装置119b及び第2照明装置120bの間には、第2防塵ユニット124が設けられる。
【0033】
原稿台103に載置された原稿は、給送ローラ112が
図2の矢印A3の方向に回転することによって、上側ガイド108aと下側ガイド108bの間を原稿搬送方向A2に向かって搬送される。ブレーキローラ113は、原稿搬送時、
図2の矢印A4の方向に回転する。給送ローラ112及びブレーキローラ113の働きにより、原稿台103に複数の原稿が載置されている場合、原稿台103に載置されている原稿のうち給送ローラ112と接触している原稿のみが分離される。これにより、分離された原稿以外の原稿の搬送が制限されるように動作する(重送の防止)。給送ローラ112及びブレーキローラ113は、原稿の分離部として機能する。
【0034】
原稿は、上側ガイド108aと下側ガイド108bによりガイドされながら、第1搬送ローラ116と第1従動ローラ117の間に送り込まれる。原稿は、第1搬送ローラ116が
図2の矢印A5の方向に回転することによって、第1撮像装置119aと第2撮像装置119bの間に送り込まれる。撮像装置119により読み取られた原稿は、第2搬送ローラ121が
図2の矢印A6の方向に回転することによって排出台105上に排出される。
【0035】
図3は、撮像装置119、照明装置120、第1防塵ユニット123及び第2防塵ユニット124について説明するための模式図である。
【0036】
図3に示すように、第1照明装置120aは、第1撮像装置119aと原稿搬送路の間に、原稿搬送路に対して直交する方向に移動可能に設けられる。第1照明装置120aには、自重により、第2照明装置120b側に向かう方向に力が加えられている。第1照明装置120aは、第1光源202a、203a、第1裏当て204a及び第1ガイド205a等を有する。第1ガイド205aは、搬送された原稿を第1照明装置120aと第2照明装置120bの間に案内する。
【0037】
第2照明装置120bは、第2撮像装置119bと原稿搬送路の間に、原稿搬送装置100の筐体に固定されるように設けられる。第2照明装置120bは、第2光源202b、203b、第2裏当て204b及び第2ガイド205b等を有する。第2ガイド205bは、搬送された原稿を第1照明装置120aと第2照明装置120bの間に案内する。
【0038】
第1撮像装置119aは、第1照明装置120aの上方に、原稿搬送装置100の筐体に固定されるように設けられる。第1撮像装置119aは、第1ミラー211a〜214a、第1レンズ群215a及び第1撮像素子216a等を有する。第1光源202a、203aから放射された光は、搬送される原稿又は第2裏当て204bで反射し、第1ミラー211a〜214a及び第1レンズ群215aを介して第1撮像素子216aに結像する。
【0039】
第2撮像装置119bは、第2照明装置120bの下方に、原稿搬送装置100の筐体に固定されるように設けられる。第2撮像装置119bは、第2ミラー211b〜214b、第2レンズ群215b及び第2撮像素子216b等を有する。第2光源202b、203bから放射された光は、搬送される原稿又は第1裏当て204aで反射し、第2ミラー211b〜214b及び第2レンズ群215bを介して第2撮像素子216bに結像する。
【0040】
第1撮像装置119aは、第1照明装置120aと対向する面に、第1光源202aによって照らされた原稿の反射光が通過するように配置された第1開口部217aを有する。また、第1照明装置120aは、第1撮像装置119aと対向する面に、第1光源202aによって照らされた原稿の反射光が通過するように配置された第2開口部206aを有する。同様に、第2撮像装置119bは、第2照明装置120bと対向する面に、第2光源202bによって照らされた原稿の反射光が通過するように配置された第3開口部217bを有する。また、第2照明装置120bは、第2撮像装置119bと対向する面に、第2光源202bによって照らされた原稿の反射光が通過するように配置された第4開口部206bを有する。
【0041】
第1撮像装置119aと第1照明装置120aの間には、第1防塵ユニット123が設けられる。第1防塵ユニット123は、第1撮像装置119aの第1開口部217aと第1照明装置120aの第2開口部206aの間を密閉する。即ち、第1防塵ユニット123は、第1開口部217aと第2開口部206aの間の空間を密閉する。第1防塵ユニット123は、フィルムにより移動可能に形成され、第1照明装置120aの移動に関わらず、第1開口部217aと第2開口部206aの間を密閉する。フィルムは、例えば難燃性を規定するUL(Underwriters Laboratories)規格で規定されたUL94VTM−2以上のグレードを有する素材で形成される。これにより、第1光源202aから放射される光により、周囲への影響の発生を抑制することができる。
【0042】
一方、第2撮像装置119bと第2照明装置120bの間には、第2防塵ユニット124が設けられる。第2防塵ユニット124は、第2撮像装置119bの第3開口部217bと第2照明装置120bの第4開口部206bの間を密閉する。第2撮像装置119b及び第2照明装置120bは、固定されており移動しないので、第2防塵ユニット124は、スポンジによって固定されるように形成され、第3開口部217bと第4開口部206bの間を密閉する。
【0043】
図4Aは、第1防塵ユニット123の斜視図である。
図4Bは、広がった状態(第1照明装置120aが下降している状態)の第1防塵ユニット123の断面図である。
図4Cは、狭まった状態(第1照明装置120aが上昇している状態)の第1防塵ユニット123の断面図である。なお、
図4B及び
図4Cは、
図4Aの矢印X−X’において第1防塵ユニット123を切断した位置から矢印X、X’の方向に見た図を示している。
【0044】
図4A〜
図4Cに示すように、第1防塵ユニット123は、第1フィルム220a及び第2フィルム220bを含む。第1フィルム220a及び第2フィルム220bは、ロの字状、即ち矩形状の開口部223を有する矩形の平面形状(中空矩形状)である。第1フィルム220a及び第2フィルム220bをロの字状とすることにより、第1フィルム220a及び第2フィルム220bを容易且つ安価に形成することができる。なお、第1フィルム220a及び第2フィルム220bの外形及び開口部223は、円形状、三角形状、波形状等、矩形状以外の形状に形成されてもよい。開口部223は、第1フィルム220a及び第2フィルム220bの中央部の一例である。
【0045】
第1フィルム220a及び第2フィルム220bは、第1フィルム220aの外周221a及び第2フィルム220bの外周221bに沿って、溶着により、相互に貼りつけられる。即ち、第1フィルム220aの端部周囲と第2フィルム220bの端部周囲とは、直接に接着されている。一方、第1フィルム220a及び第2フィルム220bには、第1フィルム220aの内周222a及び第2フィルム220bの内周222bに沿って、両面テープが貼り付けられている。その両面テープにより、第1フィルム220aが第1撮像装置119aに貼り付けられ、第2フィルム220bが第1照明装置120aに貼り付けられる。これにより、第1光源202aによって照らされた原稿の反射光が、第1フィルム220a及び第2フィルム220bの開口部223を通過するように、第1フィルム220aの端部周囲と第2フィルム220bの端部周囲とが密閉される。
【0046】
第1フィルム220aの外周221a及び第2フィルム220bの外周221bが溶着により予め貼りつけられていることにより、組立作業を行う作業者は、第1防塵ユニット123を取り扱い易くなる。したがって、作業者は、第1防塵ユニット123を第1撮像装置119a及び第1照明装置120aに容易に貼り付けることができる。
【0047】
なお、第1フィルム220aの内周222a及び第2フィルム220bの内周222bは、接着剤等の両面テープ以外の粘着剤により、第1撮像装置119a及び第1照明装置120aに貼り付けられてもよい。
【0048】
図5は、第1防塵ユニット123が下面に貼り付けられた第1撮像装置119aを下面側から見た図である。
【0049】
図5に示すように、第2フィルム220bの内周222bに対向する位置に存在する第1フィルム220aの内周222aは、第1開口部217aに沿って第1撮像装置119aに貼り付けられる。これにより、第1フィルム220aは、第1開口部217aの全周囲を覆うように取り付けられる。同様に、第2フィルム220bの内周222bは、第2開口部206aに沿って第1照明装置120aに貼り付けられる。これにより、第2フィルム220bは、第2開口部206aの全周囲を覆うように取り付けられる。
【0050】
図6Aは、PPC用紙が搬送されている状態の第1撮像装置119a、第1照明装置120a及び第1防塵ユニット123の断面図である。
図6Bは、カードが搬送されている状態の第1撮像装置119a、第1照明装置120a及び第1防塵ユニット123の断面図である。
図7Aは、
図6Aの状態における第1撮像装置119a、第1照明装置120a及び第1防塵ユニット123の断面を示す斜視図である。
図7Bは、
図6Bの状態における第1撮像装置119a、第1照明装置120a及び第1防塵ユニット123の断面を示す斜視図である。
【0051】
図6Aに示すように、第1照明装置120aと第2照明装置120bの間にPPC用紙等の用紙Pが搬送されている状態(又は用紙が搬送されていない状態)では、第1照明装置120aは、自重により下降し、第1防塵ユニット123は上下に広がる。しかしながら、
図7Aに示すように、第1開口部217a及び第2開口部206aの全周囲は、第1防塵ユニット123によって覆われている。そのため、
図6A、
図7Aに点線で示したように原稿搬送路から進入してきた埃が、第1撮像装置119a及び第1照明装置120a内部に進入することは防止される。
【0052】
一方、
図6Bに示すように、第1照明装置120aと第2照明装置120bの間にカードCが搬送されている状態では、カードCにより、第1ガイド205aが押し上げられ、第1ガイド205aと一体的に第1照明装置120aが上昇する。この場合、第1防塵ユニット123は、
図6Aに示した状態と比較して上下方向に狭まる。しかしながら、
図7Bに示すように、第1開口部217a及び第2開口部206aの全周囲は、第1防塵ユニット123によって覆われている。そのため、
図6B、
図7Bに点線で示したように原稿搬送路から進入してきた埃が、第1撮像装置119a及び第1照明装置120a内部に進入することは防止される。
【0053】
このように、第1防塵ユニット123は、柔軟且つ薄いフィルム素材により袋状に形成されているため、第1照明装置120aの移動に関わらず、第1撮像装置119aと第1照明装置120aの間を完全に密閉することができる。
【0054】
また、第1照明装置120aが移動した場合、第1フィルム220aと第2フィルム220bが溶着している部分の角度が変化するが、第1フィルム220a及び第2フィルム220b自体は変形しない。したがって、第1照明装置120aの移動を繰り返しても、第1防塵ユニット123により第1照明装置120aの移動時に生じる負荷は変化せず、原稿を正しく搬送し続けることが可能となる。さらに、第1照明装置120aの移動を繰り返しても、第1フィルム220a及び第2フィルム220bは変形せず、破損しにくいので、第1撮像装置119aと第1照明装置120aの間を密閉し続けることも可能となる。
【0055】
また、第1防塵ユニット123は、第1フィルム220aと第2フィルム220bを、第1照明装置120aが移動する方向に重ね合わせ、外周部分で貼り合わせることにより、第1照明装置120aが移動する方向に伸縮自在に形成されている。したがって、第1照明装置120aを移動させた時に、第1防塵ユニット123により第1照明装置120aに生じる負荷を低減させることが可能となり、第1照明装置120aの可動性が低下することを防ぐことができる。
【0056】
同様に、第1照明装置120aを移動させた時に、第1照明装置120aにより第1防塵ユニット123に生じる負荷も低減するため、第1防塵ユニット123が破損することを抑制することができる。さらに、第1照明装置120aを移動させた時に、第1防塵ユニット123と第1撮像装置119a又は第1照明装置120aとの結合部分に生じる負荷も低減する。したがって、第1防塵ユニット123が、第1撮像装置119a又は第1照明装置120aから剥がれてしまうことも抑制することができる。
【0057】
また、第1防塵ユニット123は、平面形状を有し、第1撮像装置119aと第1照明装置120aの間の隙間に配置される。したがって、原稿搬送装置100内部に、第1防塵ユニット123を配置するための大きい空間を確保する必要がないため、装置内部の省スペース化を図ることができる。
【0058】
また、第1照明装置120aが最も下降している場合でも、第1フィルム220a及び第2フィルム220bが伸び切らないように、マージンをもって第1防塵ユニット123を形成しておくことが好ましい。これにより、原稿搬送装置100に振動等が加わって、第1照明装置120aが原稿搬送路に対して水平方向に移動した場合でも、第1防塵ユニット123により第1撮像装置119aと第1照明装置120aの間を密閉し続けることが可能となる。
【0059】
一方、
図3に示したように、固定され且つ移動しない第2撮像装置119bと第2照明装置120bの間は、スポンジによって固定されるように形成された第2防塵ユニット124によって密閉されるので、簡易且つ低コストに防塵性を向上させることができる。
【0060】
図8は、原稿搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0061】
原稿搬送装置100は、前述した構成に加えて、第1A/D変換器140a、第2A/D変換器140b、駆動装置141、インタフェース装置142、記憶装置143及びCPU(Central Processing Unit)150等をさらに有する。
【0062】
第1A/D変換器140aは、第1撮像装置119aから出力されたアナログの画像信号をアナログデジタル変換してデジタルの画像データを生成し、CPU150に出力する。同様に、第2A/D変換器140bは、第2撮像装置119bから出力されたアナログの画像信号をアナログデジタル変換してデジタルの画像データを生成し、CPU150に出力する。これらのデジタルの画像データが読取画像として用いられる。以下では、第1A/D変換器140a及び第2A/D変換器140bを総じてA/D変換器140と称する場合がある。
【0063】
駆動装置141は、1つ又は複数のモータを含み、CPU150からの制御信号によって、給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ121を回転させて原稿の搬送動作を行う。
【0064】
インタフェース装置142は、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)と電気的に接続して読取画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置142の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース回路とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。
【0065】
記憶装置143は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置143には、原稿搬送装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置143にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD−ROM(compact disk read only memory)、DVD−ROM(digital versatile disk read only memory)等である。さらに、記憶装置143には、読取画像が格納される。
【0066】
CPU150は、予め記憶装置143に記憶されているプログラムに基づいて動作する。なお、CPU150に代えて、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)等が用いられてよい。また、CPU150に代えて、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programming Gate Array)等が用いられてもよい。
【0067】
CPU150は、操作ボタン106、接触センサ111、第1光センサ114、超音波センサ115、第2光センサ118、第1撮像装置119a、第2撮像装置119b、第1A/D変換器140a、第2A/D変換器140b、駆動装置141、インタフェース装置142及び記憶装置143等と接続され、これらの各部を制御する。CPU150は、駆動装置141の駆動制御、撮像装置119の原稿読取制御等を行い、読取画像を取得する。
【0068】
以上詳述したように、フィルムで形成された第1防塵ユニット123により第1撮像装置119aの第1開口部217aと第1照明装置120aの第2開口部206aの間は、第1照明装置120aの移動に関わらず密閉される。したがって、原稿搬送装置100は、第1照明装置120aの移動に係る負荷を一定に保ちつつ、防塵性をより向上させることが可能となった。
【0069】
これにより、第1撮像装置119a又は第1照明装置120a内部に埃が堆積することが防止され、読み取った画像への縦筋ノイズ等の発生、又は、画像の切出し領域の判定誤りの発生等を抑制することが可能となった。したがって、第1撮像装置119a及び第1照明装置120aの修復又は保守に要する時間及び費用を削減することも可能となった。また、第1照明装置120aの移動を繰り返しても、第1防塵ユニット123により第1照明装置120aの移動時に生じる負荷は変化しないため、原稿搬送装置100は、原稿を正しく搬送し続けることが可能となった。さらに、第1照明装置120aの移動を繰り返しても、第1フィルム220a及び第2フィルム220bは変形しないため、原稿搬送装置100は、第1撮像装置119aと第1照明装置120aの間を密閉し続けることが可能となった。
【0070】
図9A、
図9Bは、第1防塵ユニットの他の構成を説明するための図である。
図9Aは、第1防塵ユニット323の斜視図である。
図9Bは、広がった状態(第1照明装置120aが下降している状態)の第1防塵ユニット323の断面図である。
【0071】
図9A、
図9Bに示す第1防塵ユニット323は、第1防塵ユニット123の代わりに用いられる。
図9A、
図9Bに示すように、第1防塵ユニット323は、第1フィルム420a、第2フィルム420b、第3フィルム420c及び第4フィルム420dを含む。第1フィルム420a、第2フィルム420b、第3フィルム420c及び第4フィルム420dは、ロの字状(中空矩形状)である。
【0072】
第1フィルム420a及び第3フィルム420cは、第1フィルム420aの外周421a及び第3フィルム420cの外周421cに沿って、溶着により、相互に貼りつけられる。また、第3フィルム420c及び第4フィルム420dは、第3フィルム420cの内周422c及び第4フィルム420dの内周422dに沿って、溶着により、相互に貼りつけられる。また、第4フィルム420d及び第2フィルム420bは、第4フィルム420dの外周421d及び第2フィルム420bの外周421bに沿って、溶着により、相互に貼りつけられる。
【0073】
一方、第1フィルム420a及び第2フィルム420bの、第3フィルム420c及び第4フィルム420dと接着しない側の面には、両面テープが貼り付けられている。その両面テープにより、第1フィルム420aが、第1開口部217aに沿って第1撮像装置119aに貼り付けられ、第2フィルム420bが、第2開口部206aに沿って第1照明装置120aに貼り付けられる。これにより、第1フィルム420aは、第1開口部217aの全周囲を覆うように取り付けられ、第2フィルム420bは、第2開口部206aの全周囲を覆うように取り付けられる。
【0074】
このように、第1防塵ユニット323において、第1フィルム420a、第2フィルム420b、第3フィルム420c及び第4フィルム420dの端部周囲は、密閉される。そして、第1光源202a、203aによって照らされた原稿の反射光は、第1フィルム420a、第2フィルム420b、第3フィルム420c及び第4フィルム420dの開口部423を通過する。
【0075】
また、第1防塵ユニット323において、第1フィルム420a及び第2フィルム420bは省略されてもよい。その場合、第3フィルム420c及び第4フィルム420dには、第3フィルム420cの外周421c及び第4フィルム420dの外周421dに沿って、両面テープが貼り付けられる。そして、その両面テープにより、第3フィルム420cが第1撮像装置119aに貼り付けられ、第4フィルム420dが第1照明装置120aに貼り付けられる。
【0076】
以上詳述したように、フィルムで形成された第1防塵ユニット323によっても第1撮像装置119aの第1開口部217aと第1照明装置120aの第2開口部206aの間は、第1照明装置120aの移動に関わらず密閉される。したがって、原稿搬送装置100は、第1照明装置120aの移動に係る負荷を一定に保ちつつ、防塵性をより向上させることが可能となった。
【0077】
但し、第1防塵ユニット123では、外周部分において二つのフィルムが溶着され、二つのフィルムの間が閉じているため、外側からの力が加わりにくい。一方、第1防塵ユニット323では、外周部分において第3フィルム420cと第4フィルム420dの間が開いているため、外側からの力が加わり易い。そのため、第1防塵ユニット323は、第1防塵ユニット123よりも引き裂かれ易く、強度の観点において、第1防塵ユニット123の構造の方が第1防塵ユニット323の構造より好ましい。
【解決手段】原稿撮像装置100は、原稿を撮像するための撮像素子216aを含み、且つ、第1開口部217aを有する撮像ユニット119aと、撮像ユニットと原稿搬送路の間に移動可能に設けられ、原稿を照らす光源202aを含み、且つ、第2開口部206aを有する照明ユニット120aと、第1開口部と第2開口部の間を照明ユニットの移動に関わらず密閉する防塵ユニット123とを有し、防塵ユニットは、第1開口部の全周囲を覆うように取り付けられた第1フィルム220aと、第2開口部の全周囲を覆うように取り付けられた第2フィルム220bとを含み、光源によって照らされた原稿の反射光が、第1開口部及び第2開口部を通過するように、第1開口部及び第2開口部が配置される。