特許第6084291号(P6084291)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6084291
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】FGFR阻害剤の間歇投与用抗腫瘍剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/519 20060101AFI20170213BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20170213BHJP
【FI】
   A61K31/519ZNA
   A61P35/00
【請求項の数】12
【全頁数】99
(21)【出願番号】特願2015-527336(P2015-527336)
(86)(22)【出願日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】JP2014069086
(87)【国際公開番号】WO2015008839
(87)【国際公開日】20150122
【審査請求日】2016年2月9日
(31)【優先権主張番号】特願2013-149963(P2013-149963)
(32)【優先日】2013年7月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000207827
【氏名又は名称】大鵬薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】落岩 寛明
(72)【発明者】
【氏名】平井 洋
【審査官】 常見 優
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5355825(JP,B2)
【文献】 国際公開第2011/093672(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/153514(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/087395(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/121742(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/043865(WO,A1)
【文献】 Gangjee, A. et al.,Synthesis of 5,7-disubstituted-4-methyl-7H-pyrrolo[2,3-d]pyrimidin-2-amines as microtubule inhibitor,Bioorg Med Chem,2013年 3月,Vol.21, No.5,pp.1180-1189
【文献】 Nakatsuru, Y. et al.,Significant in Vivo Antitumor Activity by a Highly Potent, Irreversible FGFR Inhibitor, TAS-2985,European Journal of Cancer,2012年,Vol.48, Suppl.6,p.117
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K31/00−33/44
A61P 1/00−43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表される3,5−二置換ベンゼンアルキニル化合物又はその塩が、1週間2回以上かつ投与間隔を1日以上空ける投与スケジュールで投与されるように用いられる、当該3,5−二置換ベンゼンアルキニル化合物又はその塩を含む抗腫瘍剤:
【化1】
(式中、Rは、同一又は相異なって、C−Cアルキル基を示し;
及びXは、各々独立してN又はCHであり;
Yは、一般式(A)
【化2】
で表される基(ここで、
【化3】
で表される2価の部分は、含窒素C−C10ヘテロシクロアルキレン基を示す)、一般式(B)
【化4】
で表される基(ここで、
【化5】
で表される2価の部分は、C−C10シクロアルキレン基を示す)、又は、一般式(C)
【化6】
で表される基(ここで、
【化7】
で表される2価の部分は、C−C12アリーレン基を示す)であり;
は、水素原子、C−Cアルキニル基、−C(=O)OR、−C(=O)N(R)(R)、ヒドロキシC−Cアルキル基、ジ(C−Cアルキル)アミノC−Cアルキル基、又はRを有していてもよいC−Cヘテロアリール基であり;
は、C−Cアルキル基、又はジ(C−Cアルキル)アミノC−Cアルキル基であり;
Zは、−C(R)=C(R)(R)、又は−C≡C−Rであり;
、R及びRは、同一又は相異なって、水素原子、ハロゲン原子、Rを有していてもよいC−Cアルキル基、又は一般式(D)
【化8】
で表される基(ここで、
【化9】
で表される1価の部分は、含窒素C−C10ヘテロシクロアルキル基を示す)であり、
は、水素原子、C−Cアルキル基、又はヒドロキシC−Cアルキル基であり;
は、−OR、又は−N(R)(R)であり;
は、C−Cアルキル基、ハロゲン原子、又は−ORであり;
及びRは、同一又は相異なって、水素原子、C−Cアルキル基、C−C10シクロアルキル基、ジ(C−Cアルキル)アミノC−Cアルキル基、又はC−CアルコキシC−Cアルキル基であり;
lは、0〜3の整数であり;
mは、1〜3の整数であり;
nは、0〜2の整数である。)。
【請求項2】
3,5−二置換ベンゼンアルキニル化合物が、(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オンである請求項1記載の抗腫瘍剤。
【請求項3】
投与スケジュールが1週間で1サイクルの投与スケジュールであって、3,5−二置換ベンゼンアルキニル化合物又はその塩が、1サイクル当り1〜3日おきに2回以上投与され、当該サイクルが1回又は2回以上繰り返して実施される、請求項1又は2記載の抗腫瘍剤。
【請求項4】
投与スケジュールが14日間で1サイクルの投与スケジュールであって、3,5−二置換ベンゼンアルキニル化合物又はその塩が、1サイクル当り1〜3日おきに4〜7回投与され、当該サイクルが1回又は2回以上繰り返して実施される、請求項1〜3のいずれか1項記載の抗腫瘍剤。
【請求項5】
投与スケジュールが14日間で1サイクルの投与スケジュールであって、1サイクルに含まれる14日間のうち、(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン又はその塩が第1日目、第4日目、第8日目及び第11日目に投与される、請求項1〜4のいずれか1項記載の抗腫瘍剤。
【請求項6】
投与スケジュールが14日間で1サイクルの投与スケジュールであって、1サイクルに含まれる14日間のうち、(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン又はその塩が第1日目、第3日目、第5日目、第7日目、第9日目、第11日目及び第13日目に投与される、請求項1〜5のいずれか1項記載の抗腫瘍剤。
【請求項7】
下記一般式(I)で表される3,5−二置換ベンゼンアルキニル化合物又はその塩が1週間2回以上かつ投与間隔を1日以上空ける投与スケジュールで投与されるように用いられる抗腫瘍剤を製造するための当該3,5−二置換ベンゼンアルキニル化合物又はその塩の使用:
【化10】
(式中、Rは、同一又は相異なって、C−Cアルキル基を示し;
及びXは、各々独立してN又はCHであり;
Yは、一般式(A)
【化11】
で表される基(ここで、
【化12】
で表される2価の部分は、含窒素C−C10ヘテロシクロアルキレン基を示す)、一般式(B)
【化13】
で表される基(ここで、
【化14】
で表される2価の部分は、C−C10シクロアルキレン基を示す)、又は、一般式(C)
【化15】
で表される基(ここで、
【化16】
で表される2価の部分は、C−C12アリーレン基を示す)であり;
は、水素原子、C−Cアルキニル基、−C(=O)OR、−C(=O)N(R)(R)、ヒドロキシC−Cアルキル基、ジ(C−Cアルキル)アミノC−Cアルキル基、又はRを有していてもよいC−Cヘテロアリール基であり;
は、C−Cアルキル基、又はジ(C−Cアルキル)アミノC−Cアルキル基であり;
Zは、−C(R)=C(R)(R)、又は−C≡C−Rであり;
、R及びRは、同一又は相異なって、水素原子、ハロゲン原子、Rを有していてもよいC−Cアルキル基、又は一般式(D)
【化17】
で表される基(ここで、
【化18】
で表される1価の部分は、含窒素C−C10ヘテロシクロアルキル基を示す)であり、
は、水素原子、C−Cアルキル基、又はヒドロキシC−Cアルキル基であり;
は、−OR、又は−N(R)(R)であり;
は、C−Cアルキル基、ハロゲン原子、又は−ORであり;
及びRは、同一又は相異なって、水素原子、C−Cアルキル基、C−C10シクロアルキル基、ジ(C−Cアルキル)アミノC−Cアルキル基、又はC−CアルコキシC−Cアルキル基であり;
lは、0〜3の整数であり;
mは、1〜3の整数であり;
nは、0〜2の整数である。)。
【請求項8】
3,5−二置換ベンゼンアルキニル化合物が、(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オンである請求項7記載の使用。
【請求項9】
投与スケジュールが1週間で1サイクルの投与スケジュールであって、3,5−二置換ベンゼンアルキニル化合物又はその塩が、1サイクル当り1〜3日おきに2回以上投与され、当該サイクルが1回又は2回以上繰り返して実施される、請求項7又は8記載の使用。
【請求項10】
投与スケジュールが14日間で1サイクルの投与スケジュールであって、3,5−二置換ベンゼンアルキニル化合物又はその塩が、1サイクル当り1〜3日おきに4〜7回投与され、当該サイクルが1回又は2回以上繰り返して実施される、請求項7〜9のいずれか1項記載の使用。
【請求項11】
投与スケジュールが14日間で1サイクルの投与スケジュールであって、1サイクルに含まれる14日間のうち、(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン又はその塩が第1日目、第4日目、第8日目及び第11日目に投与される、請求項7〜10のいずれか1項記載の使用。
【請求項12】
投与スケジュールが14日間で1サイクルの投与スケジュールであって、1サイクルに含まれる14日間のうち、(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン又はその塩が第1日目、第3日目、第5日目、第7日目、第9日目、第11日目及び第13日目に投与される、請求項7〜11のいずれか1項記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2013年7月18日に出願された、日本国特許出願第2013−149963号明細書(その開示全体が参照により本明細書中に援用される)に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明は、FGFR阻害剤を有効成分とし、間歇投与されることを特徴とする抗腫瘍剤に関する。
【背景技術】
【0003】
種々のがんにおいてFibroblast growth factor(FGF)/Fibroblast growth factor receptor(FGFR)シグナルの異常(過剰発現、遺伝子増幅、変異、転座)が認められており、これまでにがんの増殖・進展や予後に寄与していることが多く報告されている(例えば、非特許文献1、2又は3等)。従ってこのシグナル経路の阻害は、がんの増殖抑制に繋がり、がん患者にとって効果的かつ新たな治療法の提供に貢献することになると考えられている。一方で、腎臓ではKlotho/FGFR1とそのリガンドであるFGF23が血中リン濃度の調節に重要な役割をすることが報告されており(非特許文献4)、Klotho/FGFR1−FGF23の機能阻害により腎臓でのリンの再吸収が増加し、血中リン濃度の上昇とそれに伴う石灰化が引き起こされることが示唆されている(非特許文献5又は6)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】J.Clin.Oncol.24,3664−3671(2006)
【非特許文献2】Mol.Cancer Res.3,655−667(2005)
【非特許文献3】Cancer Res.70,2085−2094(2010)
【非特許文献4】Bone.40,1190−1195(2007)
【非特許文献5】J Clin Invest.113,561−568(2004)
【非特許文献6】Nephrol Dial Transplant.20,2032−2035(2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決すべき課題は、強力かつ高選択的な新規なFGFR阻害剤を提供すること、及び当該FGFR阻害剤の抗腫瘍効果を維持しつつ体重減少や血中リン濃度の上昇等の副作用が軽減された抗腫瘍剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の3,5−二置換ベンゼンアルキニル化合物又はその塩の投与スケジュールとして、投与間隔を1日以上空ける、間歇投与を採用した場合に、血中リン濃度の上昇が有意に抑えられることを見出した。本発明は、かかる新規の知見に基づくものである。
【0007】
従って、本発明は、以下の項を提供する:
項1.下記一般式(I)で表される3,5−二置換ベンゼンアルキニル化合物又はその塩が、1週間2回以上かつ投与間隔を1日以上空ける投与スケジュールで投与されるように用いられる、当該3,5−二置換ベンゼンアルキニル化合物又はその塩を含む抗腫瘍剤:
【0008】
【化1】
【0009】
(式中、Rは、同一又は相異なって、C−Cアルキル基を示し;
及びXは、各々独立してN又はCHであり;
Yは、一般式(A)
【0010】
【化2】
【0011】
で表される基(ここで、
【0012】
【化3】
【0013】
で表される2価の部分は、含窒素C−C10ヘテロシクロアルキレン基を示す)、一般式(B)
【0014】
【化4】
【0015】
で表される基(ここで、
【0016】
【化5】
【0017】
で表される2価の部分は、C−C10シクロアルキレン基を示す)、又は、一般式(C)
【0018】
【化6】
【0019】
で表される基(ここで、
【0020】
【化7】
【0021】
で表される2価の部分は、C−C12アリーレン基を示す)であり;
は、水素原子、C−Cアルキニル基、−C(=O)OR、−C(=O)N(R)(R)、ヒドロキシC−Cアルキル基、ジ(C−Cアルキル)アミノC−Cアルキル基、又はRを有していてもよいC−Cヘテロアリール基であり;
は、C−Cアルキル基、又はジ(C−Cアルキル)アミノC−Cアルキル基であり;
Zは、−C(R)=C(R)(R)、又は−C≡C−Rであり;
、R及びRは、同一又は相異なって、水素原子、ハロゲン原子、Rを有していてもよいC−Cアルキル基、又は一般式(D)
【0022】
【化8】
【0023】
で表される基(ここで、
【0024】
【化9】
【0025】
で表される1価の部分は、含窒素C−C10ヘテロシクロアルキル基を示す)であり、
は、水素原子、C−Cアルキル基、又はヒドロキシC−Cアルキル基であり;
は、−OR、又は−N(R)(R)であり;
は、C−Cアルキル基、ハロゲン原子、又は−ORであり;
及びRは、同一又は相異なって、水素原子、C−Cアルキル基、C−C10シクロアルキル基、ジ(C−Cアルキル)アミノC−Cアルキル基、又はC−CアルコキシC−Cアルキル基であり;
lは、0〜3の整数であり;
mは、1〜3の整数であり;
nは、0〜2の整数である。)。
【0026】
項2.上記一般式(I)[式中、R、X、X、Y及びZは前述の通り]で表される3,5−二置換ベンゼンアルキニル化合物又はその塩を、1週間2回以上かつ投与間隔を1日以上空ける投与スケジュールで投与することを特徴とする癌患者の治療方法。
【0027】
項3.1週間2回以上かつ投与間隔を1日以上空ける投与スケジュールで投与されることを特徴とする癌患者の治療のための上記一般式(I)[式中、R、X、X、Y及びZは前述の通り]で表される3,5−二置換ベンゼンアルキニル化合物又はその塩。
【0028】
項4.上記一般式(I)[式中、R、X、X、Y及びZは前述の通り]で表される3,5−二置換ベンゼンアルキニル化合物又はその塩が1週間2回以上かつ投与間隔を1日以上空ける投与スケジュールで投与されるように用いられる抗腫瘍剤を製造するための当該3,5−二置換ベンゼンアルキニル化合物又はその塩の使用。
【0029】
項5.一般式(I)中、(1)XがNの場合、XはN又はCHであり、(2)XがCHの場合、XはCHである項1記載の抗腫瘍剤、項2記載の方法、項3記載の化合物又はその塩又は項4記載の使用。
【0030】
項6.一般式(I)中、lが0又は1である項1〜5のいずれか1項記載の抗腫瘍剤、方法、化合物もしくはその塩又は使用。
【0031】
項7.一般式(I)中、(1)Yが一般式(A)で表される基の場合、
【0032】
【化10】
【0033】
で表される基がアゼチジニレン基、ピロリジニレン基、ピペリジニレン基、ピペラジニレン基、モルホリニレン基であり、(2)Yが一般式(B)で表される基の場合、
【0034】
【化11】
【0035】
で表される基がシクロプロピレン基、シクロブチレン基であり、(3)Yが一般式(C)で表される基の場合、
【0036】
【化12】
【0037】
で表される基がフェニレン基である項1〜6のいずれか1項記載の抗腫瘍剤、方法、化合物もしくはその塩又は使用。
【0038】
項8.一般式(I)中、(1)Yが一般式(A)で表される基である場合、Zは−C(R)=C(R)(R)又は−C≡C−Rであり、(2)Yが一般式(B)又は一般式(C)で表される基である場合、Zは−C(R)=C(R)(R)である項1〜7のいずれか1項記載の抗腫瘍剤、方法、化合物もしくはその塩又は使用。
【0039】
項9.一般式(I)中、Rがメチル基又はエチル基である項1〜8のいずれか記載の抗腫瘍剤、方法、化合物もしくはその塩又は使用。
【0040】
項10.一般式(I)中、RがC−Cアルキニル基、−C(=O)OR、ヒドロキシC−Cアルキル基、又はRを有していてもよいC−Cヘテロアリール基である項1〜9のいずれか記載の抗腫瘍剤、方法、化合物もしくはその塩又は使用。
【0041】
項11.前記3,5−二置換ベンゼンアルキニル化合物が、以下の化合物群から選択されるものである項1〜10のいずれか1項記載の抗腫瘍剤、方法、化合物もしくはその塩又は使用。
(1)(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン
(2)(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−イン−1−オン
(3)(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジエトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン
(4)1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン
(5)1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−ヒドロキシブタ−2−イン−1−オン
【0042】
(6)1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン
(7)1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(シクロプロピルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン
(8)1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(イソプロピルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン
(9)1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(エチル(メチル)アミノ)ブタ−2−エン−1−オン
(10)1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(シクロブチルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン
(11)1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(ジエチルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン
(12)1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(tert−ブチルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン
(13)1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(イソプロピル(メチル)アミノ)ブタ−2−エン−1−オン
【0043】
(14)1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(ピペリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン
(15)(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(3−フルオロピロリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン
(16)(R)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(3−フルオロピロリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン
(17)1−((2S,4S)−4−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−2−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン
(18)1−((2S,4S)−4−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−2−エチニルピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン
(19)(S)−1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−イル)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン
(20)(S)−1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン
【0044】
(21)(S)−1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−イル)−4−(ピロリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン
(22)(S)−1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−イル)−4−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン
(23)(S)−1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−イル)ブタ−2−イン−1−オン
(24)(S)−1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−イル)−4−ヒドロキシ−4−メチルペント−2−イン−1−オン
(25)1−((S)−3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−イル)−4−((S)−3−フルオロピロリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン
(26)(S)−1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−イル)−4−(ピペリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン
(27)1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン
(28)1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン
【0045】
(29)1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(ピロリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン
(30)1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(アゼチジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン
(31)1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(エチル(メチル)アミノ)ブタ−2−エン−1−オン
(32)1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(イソプロピルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン
(33)1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(ジエチルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン
(34)1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)−4−((2−メトキシエチル)(メチル)アミノ)ブタ−2−エン−1−オン
(35)1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン
(36)(S)−1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン
(37)(R)−1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン
(38)(2S,4S)−メチル 1−アクリロイル−4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−2−カルボキシレート
(39)1−((2S,4S)−4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−(1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン
(40)(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン。
【0046】
項12.前記3,5−二置換ベンゼンアルキニル化合物が、(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オンである項1〜11のいずれか1項記載の抗腫瘍剤、方法、化合物もしくはその塩又は使用。
【0047】
項13.前記投与スケジュールが1週間で1サイクルの投与スケジュールであって、前記3,5−二置換ベンゼンアルキニル化合物又はその塩が、1サイクル当り1〜3日おきに2回以上投与され、当該サイクルが1回又は2回以上繰り返して実施される、項1〜12のいずれか1項記載の抗腫瘍剤、方法、化合物もしくはその塩又は使用。
【0048】
項14.前記投与スケジュールが14日間で1サイクルの投与スケジュールであって、前記3,5−二置換ベンゼンアルキニル化合物又はその塩が、1サイクル当り1〜3日おきに4〜7回投与され、当該サイクルが1回又は2回以上繰り返して実施される、項1〜13のいずれか1項記載の抗腫瘍剤、方法、化合物もしくはその塩又は使用。
【0049】
項15.前記投与スケジュールが14日間で1サイクルの投与スケジュールであって、1サイクルに含まれる14日間のうち、(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オンが第1日目、第4日目、第8日目及び第11日目に投与される、項1〜14のいずれか1項記載の抗腫瘍剤、方法、化合物もしくはその塩又は使用。
【0050】
項16.前記投与スケジュールが14日間で1サイクルの投与スケジュールであって、1サイクルに含まれる14日間のうち、(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オンが第1日目、第3日目、第5日目、第7日目、第9日目、第11日目及び第13日目に投与される、項1〜14のいずれか1項記載の抗腫瘍剤、方法、化合物もしくはその塩又は使用。
【発明の効果】
【0051】
本発明の有効成分である前記3,5−二置換ベンゼンアルキニル化合物又はその塩は、優れたFGFR阻害活性を有し、且つ癌細胞株に対する増殖抑制効果を示すため、癌の予防及び/又は治療剤として有用である。そして、本発明は、FGFRを阻害する化合物(I)を用いて、FGFR阻害時に観察される血中リン濃度の持続的な上昇と体重抑制で示される全身性の毒性を軽減しつつ、抗腫瘍効果を発揮させるための有効な投与方法を提供するものである。効果を維持し、毒性発現を軽減することは、治療効果を高めることに繋がり、がん患者にとっての有益性に貢献する。
【0052】
本発明では、連日で投与を行うことに比べ、適度な間隔を設けて投与を行う(間歇投与)ことが、より一層FGFR阻害剤の効果と毒性のバランスを高め、治療方法の改善に繋がることを示している。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】試験例6における血中リン濃度の測定結果を示す。
図2】試験例6におけるday 1の血中リン濃度を1としたときの相対的リン濃度を示す。
図3】試験例6におけるday 1に対する平均体重変化率[BWC(%)]を示す。
図4】試験例7におけるday 1に対する相対腫瘍体積を示す。
図5】試験例8におけるday 1に対する相対腫瘍体積を示す。
図6】試験例8におけるday 1に対するBWC(%)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明は、前記一般式(I)で表される3,5−二置換ベンゼンアルキニル化合物又はその塩が、1週間2回以上かつ投与間隔を1日以上空ける投与スケジュールで投与されるように用いられる、当該3,5−二置換ベンゼンアルキニル化合物又はその塩を含む抗腫瘍剤を提供する。尚、本明細書において、本発明に係る抗腫瘍剤の有効成分である前記一般式(I)で表される化合物を、単に化合物(I)と示すこともある。
【0055】
本発明は、1週間2回以上かつ投与間隔を1日以上空ける投与スケジュールを採用することによって、抗腫瘍効果を維持しつつ、体重減少や血中リン濃度の上昇等の副作用を低減できるという効果を奏することができる。
【0056】
本発明において、投与スケジュールは、1週間2回以上かつ投与間隔を1日以上空けるという条件を満たす限り、特に限定されない。
【0057】
例えば、1週間で1サイクルの投与スケジュールであって、化合物(I)又はその塩が1サイクル当り1〜3日おきに2回以上投与され、当該サイクルが1回又は2回以上繰り返して実施される、投与スケジュール;
14日間で1サイクルの投与スケジュールであって、前記化合物(I)又はその塩が、1サイクル当り1〜3日おきに4〜7回投与され、当該サイクルが1回又は2回以上繰り返して実施される、投与スケジュール;
14日間で1サイクルの投与スケジュールであって、1サイクルに含まれる14日間のうち、化合物(I)又はその塩が第1日目、第4日目、第8日目及び第11日目に投与される、投与スケジュール;
14日間で1サイクルの投与スケジュールであって、1サイクルに含まれる14日間のうち、化合物(I)又はその塩が第1日目、第3日目、第5日目、第7日目、第9日目、第11日目及び第13日目に投与される、投与スケジュール;
14日間で1サイクルの投与スケジュールであって、1サイクルに含まれる14日間のうち、化合物(I)又はその塩が第1日目、第3日目、第5日目、第8日目、第10日目及び第12日目に投与される、投与スケジュール等が挙げられる。
【0058】
本発明において、「1週間2回以上」の投与とは、投与スケジュールにおける全投与回数を全期間で割った場合の1週間当りの平均投与回数が2回以上ということではなく、各週の投与回数が全て2回以上となることを意味する。従って、例えば、4週間の投与スケジュールにおいて、第1週目に3回投与し、第2週目に4回投与し、第3週目に1回投与し、第4週目に1回投与した場合、4週間で9回投与することになるため、1週間あたりの平均投与回数は2回を超えることになるが、第3週目、第4週目の投与回数がそれぞれ2回を下回っているため、本発明においては「1週間2回以上投与」の条件を満たしていない(ただし、後述する休薬期間を設けた場合を除く)。
【0059】
また、投与スケジュールの最終週が7日に満たなかった場合、「1週間2回以上」の投与とは、第1週目から最終週の前の週までの各週の投与回数が全て2回以上となり、かつ最終週の投与回数を1週間当りの投与回数に換算した場合に2回以上となること(例えば、2日間で1回以上、3日間で1回以上、4日間で2回以上、5日間で2回以上、6日間で2回以上)を意味する。最終週の日数が1日の場合には、当該最終日に投与があった場合も、なかった場合であっても、第1週目から最終週の前の週までの各週の投与回数が全て2回以上となっていれば、本発明における「1週間2回以上」を満たす。また、14日間で1サイクルの投与スケジュールの実施形態においても、最終サイクルは14日間に満たなくてもよい。その場合も、上記と同様に、最終サイクルの投与回数を14日間当りの回数に換算した場合に、条件を満たしていればよい。
【0060】
また、本発明における投与スケジュールにおいては、1週間2回以上かつ投与間隔を1日以上空けるスケジュールで一定期間(例えば、1週間以上、10日間以上、14日間以上等)投薬を続けていれば、その後投薬を中止してもよく、また一定期間所定の休薬期間を設け、再度、投薬を再開してもよい。同様に、本発明における投与スケジュールには、複数の休薬期間を設けるスケジュールも含まれる。当該休薬期間をはさむ実施形態においては、休薬期間の前の投与期間及び休薬期間の後の投薬期間の各投与期間において「1週間2回以上かつ投与間隔を1日以上空ける」という条件を満たしていればよい。また、休薬期間を2回以上設ける場合、休薬期間の前の投与期間、休薬期間と休薬期間との間の投与期間及び休薬期間の後の投与期間のそれぞれにおいて、各投与期間において「1週間2回以上かつ投与間隔を1日以上空ける」という条件を満たしていればよい。休薬期間は、特に限定されず、患者の状態等により適宜設定することができる。休薬期間としては、例えば、1日〜35日、好ましくは1日〜14日、より好ましくは1日〜7日の範囲で適宜設定できる。
【0061】
本発明の抗腫瘍剤の有効成分として特に好ましい上記一般式(I)で表される化合物は、スペーサー部位を介してα,β不飽和アミドを置換した縮合ヘテロアリール基を有する3,5−二置換ベンゼンアルキニル化合物である。
【0062】
本願明細書において「C−Cアルキル基」とは、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、好ましくは炭素数1〜4の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基(C−Cアルキル基)であり、より好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基である。
【0063】
本願明細書において「C−C10シクロアルキル基」とは、炭素数3〜10の単環式若しくは多環式のシクロアルキル基を示し、好ましくは炭素数3〜6の単環式のシクロアルキル基(C−Cシクロアルキル基)であり、具体的にはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、デカリル基等が挙げられ、好ましくはシクロプロピル基、シクロブチル基である。
本願明細書において、一般式(A)
【0064】
【化13】
【0065】
(式中、R及びlは、前記と同義である)
で表される基の2価の部分(moiety)
【0066】
【化14】
【0067】
とは、窒素原子を少なくとも1個環内に含み、更に酸素原子又は硫黄原子から選択される同種又は異種のヘテロ原子を0〜2個環内に含む、炭素数3〜10の2価のヘテロシクロアルキレン基(含窒素C−C10ヘテロシクロアルキレン基)を示し、好ましくは窒素原子を1〜3個環内に含み、更に酸素原子を0〜1個環内に含む炭素数3〜5のヘテロシクロアルキレン基(含窒素C−Cヘテロシクロアルキレン基)であり、具体的にはアゼチジニレン基、ピロリジニレン基、ピペリジニレン基、ピペラジニレン基、モルホリニレン基、オクタヒドロキノリニレン基、オクタヒドロインドリレン基等が挙げられ、好ましくはアゼチジニレン基、ピロリジニレン基、ピペリジニレン基、ピペラジニレン基、モルホリニレン基である。
一般式(A)
【0068】
【化15】
【0069】
で表される基は、
【0070】
【化16】
【0071】
で表される2価の含窒素C−C10ヘテロシクロアルキレン基上の窒素原子の一つが結合手を有し、もう一方の結合手が置換基(−(CH−)に結合し、その環上には置換基Rを有することを意味する。
本願明細書において一般式(B)
【0072】
【化17】
【0073】
(式中、R及びlは、前記と同義である)
で表される基の2価の部分(moiety)
【0074】
【化18】
【0075】
とは、炭素数3〜10の単環式若しくは多環式の2価のシクロアルキレン基(C−C10シクロアルキレン基)を示し、好ましくは炭素数3〜6の単環式の2価のシクロアルキレン基(C−Cシクロアルキレン基)であり、具体的にはシクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、デカリレン基等が挙げられ、好ましくはシクロプロピレン基、(1,2−又は1,3−)シクロブチレン基である。
一般式(B)
【0076】
【化19】
【0077】
は、
【0078】
【化20】
【0079】
で表される2価のC−C10シクロアルキレン基の一つの結合手が隣接するアミノ基(NH)に結合し、もう一方の結合手が置換基(−(CH−)に結合し、その環上には置換基Rを有することを示す。
本願明細書において一般式(C)
【0080】
【化21】
【0081】
(式中、R及びlは、前記と同義である)
で表される基の2価の部分(moiety)
【0082】
【化22】
【0083】
とは、炭素数6〜12の2価のアリーレン基(C−C12アリーレン基)を示し、具体的にはフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基等が挙げられ、好ましくはフェニレン基である。
一般式(C)
【0084】
【化23】
【0085】
は、
【0086】
【化24】
【0087】
で表される2価のC−C12アリーレン基の一つの結合手が隣接するアミノ基(NH)と結合し、もう一方の結合手が置換基(−(CH−)に結合し、その環上には置換基Rを有することを示す。
本願明細書において一般式(D)
【0088】
【化25】
【0089】
(式中、R、m及びnは、前記と同義である)
で表される基の1価の部分(moiety)
【0090】
【化26】
【0091】
とは、窒素原子を少なくとも1個環内に含み、更に酸素原子又は硫黄原子から選択される同種又は異種のヘテロ原子を0〜2個環内に含む炭素数3〜10のヘテロシクロアルキル基(含窒素C−C10ヘテロシクロアルキル基)を示し、好ましくは窒素原子を1〜3個環内に含み、更に酸素原子を0〜1個環内に含む炭素数3〜5のヘテロシクロアルキル基(含窒素C−Cヘテロシクロアルキル基)であり、具体的にはアゼチジニル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、オクタヒドロキノリニル基、オクタヒドロインドリル基等が挙げられ、好ましくはアゼチジニル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基である。
一般式(D)
【0092】
【化27】
【0093】
は、
【0094】
【化28】
【0095】
で表される前記含窒素C−C10ヘテロシクロアルキル基上の窒素原子の一つが置換基(−(CH−)に結合し、その環上には置換基(−(R)有することを示す。
【0096】
本願明細書において「C−Cヘテロアリール基」とは、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる同種又は異種のヘテロ原子を1〜3個含む、単環式又は二環式の炭素数2〜9のヘテロアリール基を示し、好ましくは窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる同種又は異種のヘテロ原子を1〜3個含む、単環式の炭素数2〜5のヘテロアリール基(単環式C−Cヘテロアリール基)であり、具体的にはチエニル基、フリル基、ピロリル基、トリアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサジアゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、イソベンゾフリル基、インドリジニル基、イソインドリル基、インドリル基、インダゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基等が挙げられ、好ましくは1,3,4−オキサジアゾリル基である。
【0097】
本願明細書において「C−Cアルキニル基」とは、少なくとも一つの炭素−炭素三重結合を含む炭素数2〜6の直鎖状又は分枝状のアルキニル基を示し、具体的にはエチニル基、2−プロピニル基、2−ヘキシニル基等が挙げられ、好ましくはエチニル基である。
【0098】
本願明細書において「ヒドロキシC−Cアルキル基」とは、ヒドロキシ基を1個有する炭素数1〜6の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基を示し、具体的にはヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシへキシル基等が挙げられ、好ましくはヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシブチル基である。
【0099】
本願明細書において「ジ(C−Cアルキル)アミノC−Cアルキル基」とは、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基を2個有するアミノ基を有する炭素数1〜6の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基を示し、好ましくは炭素数1〜4の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基を2個有するアミノ基を有する炭素数1〜4の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基(ジ(C−Cアルキル)アミノC−Cアルキル基)であり、具体的にはジメチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジメチルアミノプロピル基、ジメチルアミノブチル基、ジメチルアミペンチル基、ジメチルアミノヘキシル基、ジエチルアミノメチル基、ジエチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、ジエチルアミノブチル基、ジエチルアミペンチル基、ジエチルアミノヘキシル基、ジプロピルアミノメチル基、ジブチルアミノメチル基、ジペンチルアミノメチル基、ジヘキシルアミノメチル基、エチル(メチル)アミノメチル基等が挙げられ、好ましくはジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノエチル基である。
【0100】
本願明細書において「C−CアルコキシC−Cアルキル基」とは、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分枝状のアルコキシ基を有する炭素数1〜6の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基を示し、好ましくは炭素数1〜4の直鎖状若しくは分枝状のアルコキシ基を有する炭素数1〜4の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基(C−CアルコキシC−Cアルキル基)であり、具体的にはメトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基、メトキシペンチル基、メトキシヘキシル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基、エトキシブチル基、エトキシペンチル基、エトキシヘキシル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基、ペンチルオキシメチル基、ヘキシルオキシメチル基等が挙げられ、好ましくは2−メトキシエチル基である。
【0101】
本願明細書において「ハロゲン原子」としては、具体的には塩素原子、臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子が挙げられ、好ましくはフッ素原子である。
一般式(I)中、X及びXにおいて好ましい組合せとしては、(1)XがNの場合、XはN又はCHであり、(2)XがCHの場合、XはCHである。
一般式(I)中、lとしては、好ましくは0又は1である。
一般式(I)中、Yとしては、一般式(A)
【0102】
【化29】
【0103】
(式中、R及びlは、前記と同義である)
で表される基、又は一般式(C)
【0104】
【化30】
【0105】
(式中、R及びlは、前記と同義である)
で表される基が好ましく、一般式(A)で表される基の2価の部分(moiety)
【0106】
【化31】
【0107】
がピロリジニレン基、アゼチジニレン基、ピペリジニレン基であるか、一般式(C)で表
される基の2価の部分(moiety)
【0108】
【化32】
【0109】
がフェニレン基であるのがより好ましい。
一般式(I)中、Y及びZにおいて好ましい組合せとしては、Yが一般式(A)
【0110】
【化33】
【0111】
(式中、R及びlは、前記と同義である)
で表される基の場合、Zは−C(R)=C(R)(R)又は−C≡C−Rであり、Yが一般式(B)又は一般式(C)で表される基
【0112】
【化34】
【0113】
(式中、R、lは、前記と同義である)
の場合、Zは−C(R)=C(R)(R)である。
【0114】
一般式(I)中、Rとしては、好ましくはC−Cアルキル基であり、より好ましくはメチル基又はエチル基である。
【0115】
一般式(I)中、Rとしては、好ましくは水素原子、C−Cアルキニル基、−C(=O)OR、ヒドロキシC−Cアルキル基、又はRを有していてもよいC−Cヘテロアリール基であり、より好ましくはエチニル基、メトキシカルボニル基、ヒドロキシメチル基、又はRを有していてもよい1,3,4−オキサジアゾリル基である。
【0116】
一般式(I)中、Rとしては、好ましくはC−Cアルキル基又はジ(C−Cアルキル)アミノC−Cアルキル基であり、より好ましくはメチル基又はジメチルアミノメチル基である。
【0117】
一般式(I)中、Rとしては、好ましくは水素原子又はハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子又はフッ素原子であり、さらに好ましくは水素原子である。
【0118】
一般式(I)中、R及びRとしては、好ましくは水素原子、Rを1個有しても良いC−Cアルキル基、又は一般式(D)
【0119】
【化35】
【0120】
(式中、、m及びnは、前記と同義である)
で表される基であり、より好ましくは水素原子、Rを有するメチル基、又は一般式(D)
【0121】
【化36】
【0122】
(式中、R、m及びnは、前記と同義である)
で表される基である。
一般式(I)中、mとしては、好ましくは1である。
一般式(I)中、Rとしては、C−Cアルキル基、フッ素原子、又は水酸基が好ましく、メチル基、フッ素原子、又は水酸基がより好ましい。
一般式(I)中、nとしては、好ましくは0又は1である。
【0123】
一般式(I)中、Rとしては、好ましくは水素原子、C−Cアルキル基、又はヒドロキシC−Cアルキル基であり、より好ましくは水素原子、ヒドロキシメチル基、メチル基、又は2−ヒドロキシ−2−メチル−エチル基である。
【0124】
一般式(I)中、Rとしては、好ましくは水酸基、又は−N(R)(R)である。ここで、R及びRは、好ましくは水素原子、C−Cアルキル基、C−C10シクロアルキル基、又はC−CアルコキシC−Cアルキル基であり、さらに好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、又は2−メトキシエチル基である。
【0125】
化合物(I)において、一般式(I)中、RがC−Cアルキル基であり;X及びXは、各々独立してN又はCHであり;Yは、一般式(A)又は一般式(C)
【0126】
【化37】
【0127】
で表される基であり;Rは、水素原子、C−Cアルキニル基、−C(=O)OR、ヒドロキシC−Cアルキル基、又はRを有していてもよいC−Cヘテロアリール基であり;Rは、C−Cアルキル基又はジ(C−Cアルキル)アミノC−Cアルキル基であり;Zは、−C(R)=C(R)(R)又は−C≡C−Rであり;Rは、水素原子又はハロゲン原子であり;R及びRは、同一又は相異なって、水素原子、Rを有していてもよいC−Cアルキル基、又は一般式(D)
【0128】
【化38】
【0129】
で表される基であり;Rは、水素原子、C−Cアルキル基、又はヒドロキシC−Cアルキル基であり;Rは、水酸基、又は−N(R)(R)であり;Rは、C−Cアルキル基、フッ素原子、又は水酸基であり;R及びRは、同一又は相異なって、水素原子、C−Cアルキル基、C−C10シクロアルキル基、又はC−CアルコキシC−Cアルキル基であり;lが0又は1であり、mが1であり、nが0又は1である化合物が好ましい。
【0130】
化合物(I)において、一般式(I)中、RがC−Cアルキル基であり;X及びXにおいて、(1)XがNの場合、XはN又はCHであり、(2)XがCHの場合、XはCHであり;Yにおいて、一般式(A)
【0131】
【化39】
【0132】
で表される基の2価の部分(moiety)
【0133】
【化40】
【0134】
がピロリジニレン基、アゼチジニレン基、ピペリジニレン基であり、又は一般式(C)
【0135】
【化41】
【0136】
で表される基の2価の部分(moiety)
【0137】
【化42】
【0138】
がフェニレン基であり;
(a)Yが一般式(A)
【0139】
【化43】
【0140】
(式中、Rは水素原子、エチニル基、メトキシカルボニル基、ヒドロキシメチル基、又はRを有していてもよい1,3,4−オキサジアゾリル基であり;RはC−Cアルキル基であり;lは0又は1である)
で表される基の場合、Zは−C(R)=C(R)(R)又は−C≡C−Rであり、(b)Yが一般式(C)
【0141】
【化44】
【0142】
(式中、Rは水素原子であり;lは0又は1である)
で表される基の場合、Zは−C(R)=C(R)(R)であり;Rは、水素原子又はフッ素原子であり;R及びRは、同一又は相異なって、水素原子、Rを有するC−Cアルキル基、又は一般式(D)
【0143】
【化45】
【0144】
で表される基であり;Rは、水素原子、ヒドロキシメチル基、メチル基、又は2−ヒドロキシ−2−メチル−エチル基であり;Rは−N(R)(R)であり;Rは、C−Cアルキル基、フッ素原子、又は水酸基であり;R及びRは、同一又は相異なって、水素原子、C−Cアルキル基、C−C10シクロアルキル基、又はC−CアルコキシC−Cアルキル基であり、mが1であり、nが0又は1である化合物がより好ましい。
【0145】
化合物(I)において、一般式(I)中、Rがメチル基又はエチル基であり;X及びXにおいて、(1)XがNの場合、XはN又はCHであり、(2)XがCHの場合、XはCHであり;Yにおいて、2価の部分(moiety)
【0146】
【化46】
【0147】
がピロリジニレン基、アゼチジニレン基、ピペリジニレン基、又は2価の部分(moiety)
【0148】
【化47】
【0149】
がフェニレン基であり;
(a)Yが一般式(A)
【0150】
【化48】
【0151】
(式中、Rは水素原子、エチニル基、メトキシカルボニル基、ヒドロキシメチル基、又はメチル基を有していてもよい1,3,4−オキサジアゾリル基であり;lは0又は1である)
で表される基の場合、Zは−C(R)=C(R)(R)又は−C≡C−Rであり、(b)Yが一般式(C)
【0152】
【化49】
【0153】
(式中、Rは水素原子であり;lは1である)
で表される基の場合、Zは−C(R)=C(R)(R)であり;Rは、水素原子であり;R及びRは、同一又は相異なって、水素原子、Rを有するメチル基、又は一般式(D)
【0154】
【化50】
【0155】
で表される基の1価の部分(moiety)
【0156】
【化51】
【0157】
がピロリジニル基、ピペリジニル基、アゼチジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基であり;Rは、水素原子、ヒドロキシメチル基、メチル基、又は2−ヒドロキシ−2−メチル−エチル基であり;Rは−N(R)(R)であり;Rは、メチル基、フッ素原子、又は水酸基であり;R及びRは、同一又は相異なって、水素原子、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、又は2−メトキシエチル基であり;mが1であり、nが0又は1である化合物がさらに好ましい。
【0158】
具体的な好適な化合物(I)は以下のものが例示できる。
(1)(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(実施例化合物2)
(2)(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−イン−1−オン(実施例化合物5)
(3)(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジエトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(実施例化合物8)
(4)1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(実施例化合物9)
(5)1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−ヒドロキシブタ−2−イン−1−オン(実施例化合物10)
【0159】
(6)1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物12)
(7)1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(シクロプロピルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物13)
(8)1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(イソプロピルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物14)
(9)1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(エチル(メチル)アミノ)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物15)
(10)1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(シクロブチルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物16)
(11)1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(ジエチルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物17)
(12)1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(tert−ブチルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物18)
【0160】
(13)1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(イソプロピル(メチル)アミノ)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物19)
(14)1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(ピペリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物20)
(15)(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(3−フルオロピロリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物22)
(16)(R)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)
−4−(3−フルオロピロリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物23)
(17)1−((2S,4S)−4−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−2−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(実施例化合物28)
(18)1−((2S,4S)−4−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−2−エチニルピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(実施例化合物32)
(19)(S)−1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−イル)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物38)
【0161】
(20)(S)−1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(実施例化合物39)
(21)(S)−1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−イル)−4−(ピロリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物40)
(22)(S)−1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−イル)−4−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物42)
(23)(S)−1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−イル)ブタ−2−イン−1−オン(実施例化合物46)
(24)(S)−1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−イル)−4−ヒドロキシ−4−メチルペント−2−イン−1−オン(実施例化合物47)
(25)1−((S)−3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−イル)−4−((S)−3−フルオロピロリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物49)
(26)(S)−1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−イル)−4−(ピペリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物50)
【0162】
(27)1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(実施例化合物51)
(28)1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物52)
(29)1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(ピロリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物53)
(30)1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(アゼチジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物55)
(31)1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(エチル(メチル)アミノ)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物56)
(32)1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(イソプロピルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物57)
(33)1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(ジエチルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物59)
【0163】
(34)1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)−4−((2−メトキシエチル)(メチル)アミノ)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物60)
(35)1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物61)
(36)(S)−1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物62)
(37)(R)−1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物63)
(38)(2S,4S)−メチル 1−アクリロイル−4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−2−カルボキシレート(実施例化合物66)
(39)1−((2S,4S)−4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−(1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(実施例化合物68)
(40)(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(実施例化合物73)
次に、本発明に係る抗腫瘍剤の有効成分である化合物(I)の製造法について説明する。化合物(I)は、例えば、下記の製造法又は実施例に示す方法等により製造することができる。ただし、化合物(I)の製造法はこれら反応例に限定されるものではない。
【0164】
製造法1
【0165】
【化52】
【0166】
[式中、PはYに含まれるアミノ基の保護基を示し;R、X、X、Y、Zは、前記と同義である。]
(工程1)本工程は、一般式(II)で表される化合物のアミノ基保護を脱保護して一般式(III)で表される化合物を製造する工程である。脱保護の方法としては、通常公知の方法、例えば、Protective Groups in Organic Synthesis, T.W.Greene, John Wiley & Sons(1981年)に記載の方法、又はそれに準じる方法により行うことができる。保護基としてはtert−ブチルオキシカルボニルが例示される。保護基としてtert−ブチルオキシカルボニル基を用いた場合、酸性条件下での脱保護が好ましく、酸としては塩酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、硫酸、メタンスルホン酸、トシル酸等が挙げられる。酸の使用量は、化合物(II)1モルに対して、好ましくは1〜100モルである。
【0167】
反応に用いる溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであればよく、例えば、アルコール類(例えば、メタノール等)、炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル等)、エーテル類(例えば、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等)、非プロトン性極性溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド等)あるいはそれらの混合物が用いられる。反応時間は0.1〜100時間であり、好ましくは0.5〜24時間である。反応温度としては0〜120℃であり、好ましくは0〜90℃である。
【0168】
このようにして得られる一般式(III)で表される化合物は、公知の分離精製手段、例えば濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィーなどにより単離精製するか又は単離精製することなく、次工程に付すことができる。
【0169】
(工程2)本工程は、一般式(III)で表される化合物とZ−COOHで表されるカルボン酸あるいはZ−C(=O)−L(Lは塩素原子又は臭素原子を表す)で表される酸ハライドとのアミド化反応により、一般式(I)で表される化合物を製造する工程である。
【0170】
アミド化試薬としてZ−COOHで表されるカルボン酸を用いる場合、適当な縮合剤の存在下、一般式(III)で表される化合物1モルに対して、カルボン酸を0.5〜10モル、好ましくは1〜3モル用いて行われる。なお、当該カルボン酸は、市販品、又は公知の方法に準じて製造することができる。
【0171】
反応溶媒は、反応に支障のないものであれば、特に限定されないが、例えば、イソプロパノール、tert−ブチルアルコール、トルエン、ベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド等又はその混合溶媒等が好適である。反応温度は、通常、−78〜200℃、好ましくは0〜50℃である。反応時間は、通常、5分〜3日間、好ましくは5分〜10時間である。
【0172】
縮合剤としては、例えばジフェニルリン酸アジド、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリスジメチルアミノホスホニウム塩、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロライド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドと1−ヒドロキシベンゾトリアゾールの組み合わせ、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムクロライド、O−(7−アザベンゾトリアゾ−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。
【0173】
また、上記反応は必要に応じて塩基を添加することができる。塩基としては、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ルチジン、コリジン、4−ジメチルアミノピリジン、カリウム−tert−ブチラート、ナトリウム−tert−ブチラート、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド、ブチルリチウム等の有機塩基、又は炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基が挙げられる。添加量としては、一般式(III)で表される化合物1モルに対して、1〜100モルであり、好ましくは1〜10モルである。
【0174】
アミド化試薬としてZ−C(=O)−L(Lは塩素原子又は臭素原子を表す)で表される酸ハライドを用いる場合、一般式(III)で表される化合物1モルに対して、酸ハライドを0.5〜5モル、好ましくは0.9〜1.1モル用いて行われる。なお、当該酸ハライドは、市販品、又は公知の方法に準じて製造することができる。
【0175】
反応溶媒は、反応に支障のないものであれば、特に限定されないが、例えばトルエン、ベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン等又はその混合溶媒等が好適である。反応温度は、通常、−78〜200℃、好ましくは−20〜50℃である。反応時間は、通常、5分〜3日間、好ましくは5分〜10時間である。
【0176】
また、上記反応は必要に応じて塩基を添加することができる。塩基は、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ルチジン、コリジン、4−ジメチルアミノピリジン、カリウム−tert−ブチラート、ナトリウム−tert−ブチラート、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド、ブチルリチウム等の有機塩基、又は炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基が挙げられる。添加量としては、一般式(III)で表される化合物1モルに対して、1〜100モル用いることができ、好ましくは1〜10モルである。
【0177】
このようにして得られる一般式(I)で表される化合物は、公知の分離精製手段、例えば濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィーなどにより単離精製することができる。
【0178】
化合物(I)において、下記一般式(I’)又は(I’’)で表される化合物については、例えば、製造法1の工程1で得られる化合物(III)を原料とし、特定のアミン類を用いて、製造法2により製造することも可能である。
【0179】
製造法2
【0180】
【化53】
【0181】
[式中、L、Lはハロゲン原子を示し;Y−HのHは窒素原子に直接結合する水素を
示し;X、X、Y、R、R、R1、
【0182】
【化54】
【0183】
、m、nは、前記と同義である。]
(工程3)本工程は、一般式(III)で表される化合物と一般式(IV)で表される酸ハライドとのアミド化反応により、一般式(V)で表される化合物を製造する工程である。
【0184】
一般式(IV)において、L、Lで表されるハロゲン原子としては、臭素原子又は塩素原子である。なお、一般式(IV)で表される化合物は、市販品、又は公知の方法に準じて製造することができる。
【0185】
一般式(III)で表される化合物1モルに対して、一般式(IV)で表される化合物0.5〜5モル、好ましくは0.9〜1.1モル用いて行われる。
【0186】
また、上記反応は必要に応じて塩基を添加することができる。塩基としては、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ルチジン、コリジン、4−ジメチルアミノピリジン、カリウム−tert−ブチラート、ナトリウム−tert−ブチラート、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド、ブチルリチウム等の有機塩基、又は炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基が挙げられる。添加量としては、一般式(III)で表される化合物1モルに対して、1〜100モル用いることができ、好ましくは1〜10モルである。
【0187】
反応溶媒は、反応に支障のないものであれば、特に限定されないが、例えばトルエン、ベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン等又はその混合溶媒等が好適である。反応温度は、通常、−78〜200℃、好ましくは0〜50℃である。反応時間は、通常、5分〜3日間、好ましくは5分〜10時間である。
【0188】
このようにして得られる一般式(V)で表される化合物は、公知の分離精製手段、例えば濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィーなどにより単離精製するか又は単離精製することなく、次工程に付すことができる。
【0189】
(工程4)本工程は、一般式(V)で表される化合物と一般式(VI)又は(VI’)で表されるアミン類とのアルキル化反応により、一般式(I’)又は(I’’)で表される化合物を製造する工程である。
【0190】
一般式(VI)又は(VI’)で表される化合物は、一般式(V)で表される化合物1モルに対して、1〜20モル用いることができ、好ましくは1〜10モルである。
【0191】
また、上記反応は必要に応じて塩基を添加することができる。塩基としては、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ルチジン、コリジン、4−ジメチルアミノピリジン、カリウム−tert−ブチラート、ナトリウム−tert−ブチラート、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド、ブチルリチウム等の有機塩基、又は炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基が挙げられる。添加量としては、一般式(V)で表される化合物1モルに対して、1〜100モル用いることができ、好ましくは1〜20モルである。
【0192】
反応溶媒は、反応に支障のないものであれば、特に限定されないが、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、N−メチルピロリジン−2−オン、アセトニトリル、などを単一又は混合して用いることができる。反応時間は0.1〜100時間であり、好ましくは0.5〜24時間である。反応温度としては0℃〜溶媒の沸騰する温度であり、好ましくは0〜100℃である。
【0193】
このようにして得られる一般式(I’) 又は(I’’)で表される化合物は、公知の分離精製手段、例えば濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィーなどにより単離精製することができる。
化合物(I)の製造に用いられる一般式(II)で表される化合物は、例えば、製造法3又は4により製造することが可能である。
【0194】
製造法3
【0195】
【化55】
【0196】
[式中、L、Lは脱離基を示し;、R、X、X、Y、Pは、前記と同義である。]
(工程5)本工程は、一般式(VII)で表される化合物を、一般式(VIII)で表される化合物とカップリング(ソノガシラ)反応させることにより、一般式(IX)で表される化合物を製造する工程である。本工程は、通常公知の方法(例えば、Chemical Reviews, Vol.107, p.874, 2007)に準じて行うことができ、例えば、遷移金属触媒及び塩基存在下、反応に悪影響を及ぼさない溶媒中で実施できる。
【0197】
一般式(VII)において、Lで表される脱離基としては、臭素原子又はヨウ素原子であり、当該化合物は、市販品、又は公知の方法に準じて製造することができる。
【0198】
本工程において、一般式(VIII)で表される化合物の使用量は、一般式(VII)で表される化合物1モルに対して、1〜10モル用いることができ、好ましくは1〜3モルである。
【0199】
本工程で利用可能な遷移金属触媒としては、例えば、パラジウム触媒(例、酢酸パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−パラジウム(II)ジクロリド−ジクロロメタン錯体等)であり、必要に応じて、リガンド(例、トリフェニルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン等)を添加し、銅試薬(例、ヨウ化銅、酢酸銅等)を共触媒として用いる。遷移金属触媒の使用量は、触媒の種類により異なるが、一般式(VII)で表される化合物1モルに対して、通常0.0001〜1モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。リガンドの使用量としては、一般式(VII)で表される化合物1モルに対して、通常0.0001〜4モル、好ましくは0.01〜2モルである。共触媒の使用量は、一般式(VII)で表される化合物1モルに対して、通常0.0001〜4モル、好ましくは0.01〜2モルである。
【0200】
また、上記反応は必要に応じて塩基を添加することができる。塩基としては、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ルチジン、コリジン、4−ジメチルアミノピリジン、カリウム−tert−ブチラート、ナトリウム−tert−ブチラート、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド、ブチルリチウム等の有機塩基、又は炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基が挙げられる。なかでも、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基が好適である。塩基の使用量は、一般式(VII)で表される化合物1モル化合物対して、通常0.1〜50モル、好ましくは1〜20モルである。
【0201】
反応溶媒は、反応に支障のないものであれば、特に限定されないが、例えば、炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル等)、エーテル類(例えば、ジメトキエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)、アルコール類(例、メタノール、エタノール等)、非プロトン性極性溶媒(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド等)、水あるいはそれらの混合物等が挙げられる。反応時間は0.1〜100時間であり、好ましくは0.5〜24時間である。反応温度としては0℃〜溶媒の沸騰する温度であり、好ましくは0〜150℃である。
【0202】
このようにして得られる一般式(IX)で表される化合物は、公知の分離精製手段、例えば濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィーなどにより単離精製するか又は単離精製することなく、次工程に付すことができる。
【0203】
(工程6)本工程は、一般式(IX)と(X)もしくは(XI)で表される化合物を用いて、一般式(II)で表される化合物を製造する工程である。
【0204】
一般式(X)で表される化合物をアルキル化試薬として用いる場合、塩基存在下で製造することができる。一般式(X)において、Lは、例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メタンスルホン酸エステル、p−トルエンスルホン酸エステル等の脱離基が挙げられ、市販品、又は公知の方法に準じて製造することができる。一般式(X)で表される化合物は、一般式(IX)で表される化合物1モルに対して、1〜10モル用いることができ、好ましくは1〜5モルである。
【0205】
塩基としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化セシウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の無機塩基やトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン、ルチジン、コリジン等の有機アミン類が挙げられ、塩基の使用量としては、一般式(IX)で表される化合物1モルに対して、1〜100モル用いることができ、好ましくは2〜10モルである。
【0206】
溶媒としてはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、N−メチルピロリジン−2−オン、アセトニトリル、などを単一又は混合して用いることができる。反応時間は0.1〜100時間であり、好ましくは0.5〜24時間である。反応温度としては0℃〜溶媒の沸騰する温度であり、好ましくは0〜100℃である。
【0207】
一般式(XI)をアルキル化試薬として用いる場合、光延反応を用いて製造することができる。本工程は、通常公知の方法(例えば、Chemical Reviews, Vol. 109, p. 2551, 2009)に準じて行うことができ、例えば、光延試薬(Mitsunobu Reagents)、ホスフィン試薬存在下、反応に悪影響を及ぼさない溶媒中で実施できる。本工程は、通常、一般式(IX)で表される化合物1モルに対して、一般式(XI)で表される化合物を1〜10モル、好ましくは1〜5モル用いて行われる。
【0208】
光延試薬は、例えばジエチルアゾジカルボキシレート、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート等が例示できる。光延試薬の使用量は、一般式(IX)で表される化合物1モルに対して1〜10モル、好ましくは1〜5モル用いて行われる。
【0209】
ホスフィン試薬は、例えばトリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィンが例示できる。ホスフィン試薬は、一般式(IX)で表される化合物1モルに対して、1〜10モル、好ましくは1〜5モル用いて行われる。
【0210】
反応溶媒は、反応に支障のないものであれば、特に限定されないが、例えばトルエン、ベンゼンテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド等又はその混合溶媒等が好適である。
【0211】
反応温度は、通常、−78〜200℃、好ましくは0〜50℃である。反応時間は、通常、5分〜3日間、好ましくは10分〜10時間である。
【0212】
このようにして得られる一般式(II)で表される化合物は、公知の分離精製手段、例えば濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィーなどにより単離精製するか又は単離精製することなく、化合物(I)の製造に利用することができる。
【0213】
製造法4
【0214】
【化56】
【0215】
[式中、L、L、R、X、X、Y、Pは、前記と同義である。]
(工程7)本工程は、第6工程と同様の方法により行うことができる。
【0216】
(工程8)本工程は、第5工程と同様の方法により行うことができる。
【0217】
化合物(I)の製造に用いられる一般式(XII)で表される化合物は、例えば、製造法5により製造することも可能である。
【0218】
製造法5
【0219】
【化57】
【0220】
[式中、L、L、X、X、Y、Pは、前記と同義である。]
(工程9)本工程は、第6工程の方法に準じて行うことができる。
【0221】
(工程10)本工程は、一般式(XIV)で表される化合物と、アンモニア又はその塩とを反応させて、一般式(XII)で表される化合物を製造する方法である。
【0222】
本工程において用いられるアンモニア又はその塩の量は、一般式(XIII)で表される化合物1モルに対して、通常、等モルないし過剰モルである。反応溶媒は、反応に支障のないものであれば、特に限定されないが、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブチルアルコール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等又はその混合溶媒等が好適である。
【0223】
反応温度は、通常、0〜200℃、好ましくは室温〜150℃である。反応時間は、通常、5分〜7日間、好ましくは30分〜24時間である。
【0224】
このようにして得られる一般式(XIV)で表される化合物は、公知の分離精製手段、例えば濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィーなどにより単離精製するか又は単離精製することなく、工程8に使用することができる。
【0225】
化合物(I)の製造に用いられる一般式(IX)で表される化合物は、例えば、製造法6により製造することも可能である。
【0226】
製造法6
【0227】
【化58】
【0228】
[式中、L、X、X2、は、前記と同義である。SEMはトリメチルシリルエトキシメチルを示す。]
(工程11)本工程は、一般式(XIII)で表される化合物と、SEMCl(トリメチルシリルエトキシメチルクロライド)とを塩基存在下において反応させて、一般式(XV)で表される化合物を製造する方法である。一般式(XIII)で表される化合物は、市販品、又は公知の方法に準じて製造することができる。
【0229】
本工程において用いられるSEMClは、一般式(XIII)で表される化合物1モルに対して、通常、等モルないし過剰モルである。反応溶媒は、反応に支障のないものであれば、特に限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、クロロホルム、塩化メチレン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等又はその混合溶媒等が好適である。
【0230】
塩基としては、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基又は炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム、カリウム−tert−ブチラート等の無機塩基を使用することができる。
【0231】
当該塩基の使用量は、通常、一般式(XIII)で表される化合物1モルに対して、等モルないし過剰モル、好ましくは1〜3モルである。
【0232】
反応温度は、通常、−78〜50℃、好ましくは0℃〜室温である。反応時間は、通常、5分〜7日間、好ましくは10分〜24時間である。
このようにして得られる一般式(XV)で表される化合物は、公知の分離精製手段、例えば濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィーなどにより単離精製するか又は単離精製することなく、次工程に付すことができる。
【0233】
(工程12)本工程は、第10工程の方法に準じて行うことができる。
【0234】
このようにして得られる一般式(XVI)で表される化合物は、公知の分離精製手段、例えば濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィーなどにより単離精製するか又は単離精製することなく、次工程に付すことができる。
【0235】
(工程13)本工程は、第5工程の方法に準じて行うことができる。
【0236】
(工程14)本工程は、一般式(XVII)で表される化合物を、酸性条件下で脱保護させることにより、一般式(IX)で表される化合物を製造する方法である。脱保護の方法としては、通常公知の方法、例えば、Protective Groups in Organic Synthesis, T.W.Greene, John Wiley & Sons(1981年)に記載の方法、又はそれに準じる方法により行うことができる。
酸としては塩酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、硫酸、メタンスルホン酸、トシル酸等が挙げられる。酸の使用量は、一般式(XVII)で表される化合物1モルに対して、1〜100モルである。
【0237】
反応に用いる溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであればよく、例えば、アルコール類(例えば、メタノール等)炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなど)、ニトリル類(例えば、アセトニトリルなど)、エーテル類(例えば、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなど)、非プロトン性極性溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、など)あるいはそれらの混合物が用いられる。反応時間は0.1〜100時間であり、好ましくは0.5〜24時間である。反応温度としては0℃〜溶媒の沸騰する温度であり、好ましくは0〜100℃である。
【0238】
このようにして得られる一般式(IX)で表される化合物は、公知の分離精製手段、例えば濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィーなどにより単離精製するか又は単離精製することなく、工程6に利用することができる。
【0239】
上記製造法1〜6において、アミノ基、イミノ基、水酸基、カルボキシル基及びアミド基、並びにインドールのような活性プロトンを有する官能基等は、各製造法における適切な工程で、保護された試薬を用いるか、常法に従い、当該官能基に保護基を導入した後、当該保護基を除去することができる。
【0240】
「アミノ基若しくはイミノ基の保護基」としては、その機能を有するものであれば特に限定されないが、例えばベンジル基、p−メトキシベンジル基、3,4−ジメトキシベンジル基、o−ニトロベンジル基、p−ニトロベンジル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、クミル基等のアラルキル基;例えばホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ピバロイル基、トリフルオロアセチル基、トリクロロアセチル基等の低級アルカノイル基;例えばベンゾイル基;例えばフェニルアセチル基、フェノキシアセチル基等のアリールアルカノイル基;例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等の低級アルコキシカルボニル基;例えばp−ニトロベンジルオキシカルボニル基、フェネチルオキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基;例えばトリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基等の低級アルキルシリル基;例えばテトラヒドロピラニル基;例えばトリメチルシリルエトキシメチル基;例えばメチルスルホニル基、エチルスルホニル基、tert−ブチルスルホニル基等の低級アルキルスルホニル基等;例えばtert−ブチルスルフィニル基等の低級アルキルスルフィニル基等;例えばベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基等のアリールスルホニル基等、例えばフタルイミド基等のイミド基が挙げられ、特にトリフルオロアセチル基、アセチル基、tert−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、トリメチルシリルエトキシメチル基、クミル基等が好ましい。
【0241】
「水酸基の保護基」としては、その機能を有するものであれば特に限定されないが、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等の低級アルキル基;例えばトリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基等の低級アルキルシリル基;例えばメトキシメチル基、2−メトキシエトキシメチル基等の低級アルコキシメチル基;例えばテトラヒドロピラニル基;例えばトリメチルシリルエトキシメチル基;例えばベンジル基、p−メトキシベンジル基、2,3−ジメトキシベンジル基、o−ニトロベンジル基、p−ニトロベンジル基、トリチル基等のアラルキル基;例えばホルミル基、アセチル基、トリフルオロアセチル基等のアシル基等が挙げられ、特にメチル基、メトキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、トリメチルシリルエトキシメチル基、tert−ブチルジメチルシリル基、アセチル基等が好ましい。
【0242】
「カルボキシル基の保護基」としては、その機能を有するものであれば特に限定されないが、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等の低級アルキル基;例えば2,2,2−トリクロロエチル基等のハロ低級アルキル基;例えばアリル基等の低級アルケニル基;例えばトリメチルシリルエトキシメチル基;例えばベンジル基、p−メトキシベンジル基、p−ニトロベンジル基、ベンズヒドリル基、トリチル基等のアラルキル基等が挙げられ、特にメチル基、エチル基、tert−ブチル基、アリル基、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、トリメチルシリルエトキシメチル基;等が好ましい。
【0243】
「カルボニル基の保護基」としては、その機能を有するものであれば特に限定されないが、例えばエチレンケタール、トリメチレンケタール、ジメチルケタール、エチレンアセタール、トリメチレンアセタール、ジメチルアセタール等のケタール、アセタール等が挙げられる。
【0244】
保護基の除去法は、当該保護基の種類及び目的化合物(I)の安定性等により異なるが、例えば文献記載の方法[プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)、第3版、T.W.グリーン(T.W.Greene)著、John Wiley & Sons社(1999年)参照]又はそれに準じる方法に従って、例えば酸又は塩基を用いる加溶媒分解、すなわち、例えば0.01モルないし大過剰の酸、好ましくはトリフルオロ酢酸、ギ酸、塩酸等、又は等モルないし大過剰の塩基、好ましくは水酸化カリウム、水酸化カルシウム等を作用させる方法;水素化金属錯体等を用いる化学的還元又はパラジウム−炭素触媒、ラネーニッケル触媒等を用いる接触還元等により行われる。
【0245】
化合物(I)は、通常の分離手段により容易に単離精製できる。かかる手段としては、例えば溶媒抽出、再結晶、分取用逆相高速液体クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー等を例示できる。
【0246】
化合物(I)が、光学異性体、立体異性体、位置異性体、回転異性体等の異性体を有する場合には、いずれの異性体の混合物も化合物(I)に包含される。例えば、化合物(I)に光学異性体が存在する場合には、ラセミ体から分割された光学異性体も化合物(I)に包含される。これらの異性体は、自体公知の合成手法、分離手法(濃縮、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、再結晶など)によりそれぞれを単一化合物として得ることができる。
【0247】
化合物(I)又はその塩は、結晶であってもよく、結晶形が単一であっても多形混合物であっても化合物(I)又はその塩に包含される。結晶は、自体公知の結晶化法を適用して、結晶化することによって製造することができる。化合物(I)又はその塩は、溶媒和物(例えば、水和物等)であっても、無溶媒和物であってもよく、いずれも化合物(I)又はその塩に包含される。同位元素(例えば、H、14C、35S、125Iなど)などで標識された化合物も、化合物(I)又はその塩に包含される。
【0248】
化合物(I)又はその塩のプロドラッグは、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応により化合物(I)又はその塩に変換する化合物、即ち酵素的に酸化、還元、加水分解等を起こして化合物(I)又はその塩に変化する化合物、胃酸等により加水分解等を起こして化合物(I)又はその塩に変化する化合物をいう。また、化合物(I)又はその塩のプロドラッグは、広川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻分子設計163頁から198頁に記載されているような生理的条件で化合物(I)又はその塩に変化するものであってもよい。
【0249】
化合物(I)の塩とは、有機化学の分野で用いられる慣用的なものを意味し、例えばカルボキシル基を有する場合の当該カルボキシル基における塩基付加塩又はアミノ基若しくは塩基性の複素環基を有する場合の当該アミノ基若しくは塩基性複素環基における酸付加塩の塩類を挙げることができる。
【0250】
該塩基付加塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;例えばカルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;例えばアンモニウム塩;例えばトリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、プロカイン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩等の有機アミン塩等が挙げられる。
【0251】
該酸付加塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、過塩素酸塩等の無機酸塩;例えば酢酸塩、ギ酸塩、マレイン酸塩、フマール酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、トリフルオロ酢酸塩等の有機酸塩;例えばメタンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等のスルホン酸塩等が挙げられる。
【0252】
化合物(I)又はその塩は、優れたFGFR阻害活性を有し、抗腫瘍剤として有用である。また、FGFRに対する優れた選択性を有しており、他のキナーゼによる副作用が少ないという利点を有する。対象となる癌は特に制限はされないが、例えば、頭頚部癌、食道癌、胃癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、胆嚢・胆管癌、胆道癌、膵臓癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、子宮頚癌、子宮体癌、腎癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣腫瘍、骨・軟部肉腫、血液癌、多発性骨髄腫、皮膚癌、脳腫瘍、中皮腫等が挙げられ、好適には、B細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病、末梢性T細胞性リンパ腫、骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病等の血液癌である。
【0253】
化合物(I)又はその塩は医薬として用いるにあたっては、必要に応じて薬学的担体を配合し、予防又は治療目的に応じて各種の投与形態を採用可能であり、該形態としては、例えば、経口剤、注射剤、坐剤、軟膏剤、貼付剤等のいずれでもよく、好ましくは、経口剤が採用される。これらの投与形態は、各々当業者に公知慣用の製剤方法により製造できる。
【0254】
薬学的担体としては、製剤素材として慣用の各種有機或いは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤等として配合される。また、必要に応じて防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、安定化剤等の製剤添加物を用いることもできる。
【0255】
経口用固形製剤を調製する場合は、化合物(I)又はその塩に賦形剤、必要に応じて賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味・矯臭剤等を加えた後、常法により錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等を製造することができる。
【0256】
注射剤を調製する場合は、化合物(I)又はその塩にpH調節剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤等を添加し、常法により皮下、筋肉内及び静脈内用注射剤を製造することができる。
【0257】
上記の各投与単位形態中に配合されるべき化合物(I)又はその塩の量は、これを適用すべき患者の症状により、或いはその剤形等により一定ではないが、一般に投与単位形態あたり、経口剤では0.05〜1000mg、注射剤では0.01〜500mg、坐剤では1〜1000mgとするのが望ましい。
【0258】
また、上記投与形態を有する薬剤の1日あたりの投与量は、患者の症状、体重、年齢、性別等によって異なり一概には決定できないが、例えば、化合物(I)又はその塩として通常成人(体重50kg)1日あたり0.05〜1000mg、好ましくは4〜1000mg、より好ましくは100〜500mgとすればよい。そして、これを1日1回にて投与する。
【0259】
化合物(I)又はその塩が投与される哺乳動物としては、ヒト、サル、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ等が挙げられる。 化合物(I)又はその塩は、前述した投与スケジュールで投与されるように用いられる、キットに含まれてもよい。当該キットには、化合物(I)又はその塩を投与するための器具(注射器等)、上記投与スケジュールを書き記した書面等を含むこともできる。
【実施例】
【0260】
以下に実施例、試験例を示し、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
【0261】
実施例で用いた各種試薬は、特に記載の無い限り市販品を使用した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーには、モリテックス社製プリフパック(登録商標)SI、バイオタージ社製KP−Sil(登録商標)Silicaプレパックドカラム、又はバイオタージ社製HP−Sil(登録商標)Silicaプレパックドカラムを用いた。塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィーにはモリテックス社製プリフパック(登録商標)NH又はバイオタージ社製KP−NH(登録商標)プレパックドカラムを用いた。分取用薄層クロマトグラフィーにはメルク社製KieselgelTM60F254,Art.5744又は和光社NH2シリカゲル60F254プレートを用いた。NMRスペクトルは、AL400(400MHz;日本電子(JEOL))、Mercury400(400MHz;アジレント・テクノロジー)型スペクトロメータ、又はOMNMRプローブ(Protasis)を装備したInova400(400MHz;アジレント・テクノロジー)型スペクトロメータを使用し、重溶媒中にテトラメチルシランを含む場合は内部基準としてテトラメチルシランを用い、それ以外の場合には内部基準としてNMR溶媒を用いて測定し、全δ値をppmで示した。マイクロウェーブ反応は、CEM社製DiscoverSクラスを用いて行った。
【0262】
またLCMSスペクトルはWaters社製ACQUITY SQD(四重極型)を用いて下記条件にて測定した。
カラム:YMC社製YMC−Triart C18,2.0X50mm,1.9μmMS検出:ESI positive
UV検出:254及び210nm
カラム流速:0.5mL/min
移動相:水/アセトニトリル(0.1%ギ酸)
インジェクション量:1μL
グラディエント(table 1)
Time(min)Water Acetonitrile
0 95 5
0.1 95 5
2.1 5 95
3.0 STOP
【0263】
また、逆相分取HPLC精製はWATERS社製分取システムを用いて下記条件にて実施した。
カラム:YMC社製YMC−Actus Triart C18,20X50mm,5μm と YMC社製YMC−Actus Triart C18,20X10mm,5μmを連結したものを使用した。
UV検出:254nm
MS検出: ESI positive
カラム流速:25mL/min
移動相:水/アセトニトリル(0.1%ぎ酸)
インジェクション量:0.1−0.5mL
略号の意味を以下に示す。
s:シングレット
d:ダブレット
t:トリプレット
q:カルテット
dd:ダブル ダブレット
dt:ダブル トリプレット
td:トリプル ダブレット
tt:トリプル トリプレット
ddd:ダブル ダブル ダブレット
ddt:ダブル ダブル トリプレット
dtd:ダブル トリプル ダブレット
tdd:トリプル ダブル ダブレット
m:マルチプレット
br:ブロード
brs:ブロードシングレット
DMSO−d:重ジメチルスルホキシド
CDCl:重クロロホルム
CDOD:重メタノール
THF:テトラヒドロフラン
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
NMP:1‐メチル‐2‐ピロリジノン
DMSO:ジメチルスルホキシド
TFA:トリフルオロ酢酸
SEMCl:2−(トリメチルシリル)エトキシメチルクロライド
PdCl(dppf)CHCl: 1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−パラジウム(II)ジクロリド−ジクロロメタン錯体
WSC:1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩
HOBt:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物
HATU:O−(7−アザベンゾトリアゾ−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート
HBTU:O−ベンゾトリアゾール−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート
DIAD:ジイソプロピルアゾジカルボキシレート
TBAF:テトラブチルアンモニウムフルオライド
DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン
BocO:二炭酸ジ−tert−ブチル
DMAP:ジメチルアミノピリジン
【0264】
実施例1
1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(実施例化合物1)の合成
(工程1)3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミンの合成
国際公開WO2007/126841号パンフレットに記載されている方法にて合成した3−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン520mg、1−エチニル−3,5−ジメトキシベンゼン504mg、ヨウ化銅(I)57.3mg、トリエチルアミン0.56mlのDMF10ml混合物に、PdCl(dppf)CHCl 163mgを加え、窒素置換した後、90℃にて6時間撹拌した。反応液にクロロホルムと水を加え、有機層を分離した。有機層を飽和食塩水で洗浄したのち、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール)にて精製し、表題化合物を茶褐色固体物質として120mg得た。物性値:m/z[M+H] 296.0
【0265】
(工程2)tert−ブチル 3−(メチルスルホニルオキシ)ピロリジン−1−カルボキシレートの合成
N−Boc−3−ピロリジノール1000mgをクロロホルム20mlに溶解し、0℃にてトリエチルアミン1.15ml、メタンスルホニルクロライド498μlを加えた。
室温にて1.0時間撹拌したのち、酢酸エチルと水を加え、有機層を分離した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化アンモニウム水溶液、水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、表題化合物を無色油状化合物として1.2g得た。物性値:m/z[M+H] 266.1
【0266】
(工程3)tert−ブチル 3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−カルボキシレートの合成
上記工程1で得られた3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン62mg、工程2で得られたtert−ブチル 3−(メチルスルホニルオキシ)ピロリジン−1−カルボキシレート217mg、炭酸カリウム221mgのDMF2.0ml懸濁溶液を70℃にて一時間撹拌した。酢酸エチルと水を加え有機層を分離した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、得られた残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、表題化合物を淡黄色アモルファスとして36.2mg得た。物性値:m/z[M+H] 465.1
【0267】
(工程4)実施例化合物1の合成
上記工程3で得られたtert−ブチル 3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−カルボキシレート32mgに4N−塩酸/1,4−ジオキサン4mlを加え、室温にて1.5時間撹拌した。得られた反応混合物の溶媒を減圧留去後、引き続きトルエン共沸を行い、3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1−(ピロリジン−3−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミンの粗生成物を32mg得た。得られた粗生成物の一部12mgにクロロホルム2.0ml、トリエチルアミン20μlを加えた。0℃に冷却後、塩化アクリル2.3μlを溶解したクロロホルム100μlを加え、室温にて10分間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液で反応を停止させた後、生成物を酢酸エチルで抽出、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/メタノール)にて精製し、表題化合物を白色固体として6.5mg得た。物性値を表1に示す。
【0268】
実施例2
(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(実施例化合物2)の合成
(工程1)(R)−tert−ブチル 3−(メチルスルホニルオキシ)ピロリジン−1−カルボキシレートの合成
(R)−N−Boc−3−ピロリジノール935mgをクロロホルム15mlに溶解し、0℃にてトリエチルアミン1.04ml、メタンスルホニルクロライド467μlを加えた。室温にて1.5時間撹拌したのち、酢酸エチルと水を加え、有機層を分離した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化アンモニウム水溶液、水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、表題化合物を無色油状化合物として1.1g得た。物性値:m/z[M+H] 266.1
【0269】
(工程2)(S)−tert−ブチル 3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−カルボキシレートの合成
実施例1(工程1)で得られた3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン334mg、上記(工程1)で得られた(R)−tert−ブチル 3−(メチルスルホニルオキシ)ピロリジン−1−カルボキシレート379mg、炭酸カリウム391mgのDMF4.0ml懸濁溶液を70℃にて3時間撹拌した。酢酸エチルと水を加え有機層を分離した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、得られた残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、表題化合物を淡黄色アモルファスとして149mg得た。物性値:m/z[M+H] 465.1
【0270】
(工程3)実施例化合物2の合成
実施例1(工程4)に準じ、tert−ブチル 3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−カルボキシレートの代わりに、上記(工程2)で得られた(S)−tert−ブチル 3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−カルボキシレートを用い、酸性条件下、Boc基の除去により(S)−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1−(ピロリジン−3−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミンの粗生成物を得た後アミド化を行い、表題化合物を白色固体として得た。物性値を表1に示す。
【0271】
実施例3
1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物3)の合成
実施例1(工程4)に準じ、塩化アクリルの代わりに、2−ブテノイルクロライドを用いることにより、表題化合物を白色固体として得た。物性値を表1に示す。
【0272】
実施例4
(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物4)の合成
実施例2の中間体として得られた(S)−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1−(ピロリジン−3−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミンの粗生成物5.6mg、4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エン酸 塩酸塩6.3mg、HATU15mgをDMF1.0mlに溶解し、DIPEA50μl加え、終夜撹拌した。反応液にクロロホルムと水を加え、有機層を分離した。有機層を飽和食塩水で洗浄したのち、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣を逆相分取HPLC精製(水/アセトニトリル(0.1%ギ酸))にて精製し、表題化合物を無色アモルファスとして2.3mg得た。物性値を表1に示す。
【0273】
実施例5
(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−イン−1−オン(実施例化合物5)の合成
実施例2の中間体として得られた(S)−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1−(ピロリジン−3−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミンの粗生成物16mg、3−(トリメチルシリル)−プロピノイックアシッド10mg、HATU28mgをDMF0.5mlに溶解し、DIPEA31μl加え、終夜撹拌した。反応液に酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、有機層を分離した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/メタノール)にて精製し、表題化合物を白色固体として0.7mg得た。物性値を表2に示す。
【0274】
実施例6
(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)−2−フルオロプロパ−2−エン−1−オン(実施例化合物6)の合成
実施例4に準じ、4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エン酸 塩酸塩の代わりに2−フルオロアクリル酸を用いることで表記化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表2に示す。
【0275】
実施例7
(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)−2−(ピロリジン−1−イルメチル)プロパ−2−エン−1−オン(実施例化合物7)の合成
実施例4に準じ、4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エン酸 塩酸塩の代わりに2−(ピロリジン−1−イルメチル)酢酸(syn.comm.1995,641)を用いることで表記化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表2に示す。
【0276】
実施例8
(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジエトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(実施例化合物8)の合成
(工程1)1,3−ジエトキシ−5−エチニルベンゼンの合成
四臭化炭素4.78gをジクロロエタン14mLに溶解し、0℃にてトリフェニルホスフィン7.56gを加えた。0℃にて5分間攪拌した後、3,5−ジエトキシベンズアルデヒド1.40gのジクロロメタン7mL溶液を加え、20分間攪拌した。そのまま反応溶液をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し1−(2,2−ジブロモビニル)−3,5−ジエトキシベンゼンを得た。得られた化合物はさらに精製することなく次の反応に用いた。上記で得られた化合物をTHF30mLに溶解し、−78℃にて1.63M n−ブチルリチウムのヘキサン溶液10.5mLを加え、−78℃にて30分間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた後、反応混合物を酢酸エチルで抽出し、得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、表題化合物を無色油状物として1.31g得た。
物性値:m/z[M+H] 191.0
【0277】
(工程2)実施例1に準じ、1−エチニル−3,5−ジメトキシベンゼンの代わりに、上記工程1で得られた、1,3−ジエトキシ−5−エチニルベンゼンを用いることにより、表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表2に示す。
【0278】
実施例9
1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(実施例化合物9)の合成
(工程1)tert−ブチル 3−(メチルスルホニルオキシ)アゼチジン−1−カルボキシレートの合成
N−Boc−3−ヒドロキシアゼチジン1.73gをクロロホルム20mlに溶解し、0℃にてトリエチルアミン2.09ml、メタンスルホニルクロライド856μlを加えた。室温にて0.5時間撹拌したのち、酢酸エチルと水を加え、有機層を分離した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化アンモニウム水溶液、水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、表題化合物を無色油状化合物として2.32g得た。物性値:m/z[M+H] 252.0
【0279】
(工程2)tert−ブチル 3−(4−アミノ−3−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−カルボキシレートの合成
上記工程1で得られたtert−ブチル 3−(メチルスルホニルオキシ)アゼチジン−1−カルボキシレート1.32g、3−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン1.37g、炭酸セシウム3.47gのDMF10ml懸濁溶液を90℃にて10時間撹拌した。酢酸エチルと水を加え有機層を分離した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、得られた残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、表題化合物を淡黄色アモルファスとして482mg得た。物性値:m/z[M+H] 417.0
【0280】
(工程3)tert−ブチル 3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−カルボキシレートの合成
上記工程2で得られたtert−ブチル 3−(4−アミノ−3−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−カルボキシレート200mg,1−エチニル−3,5−ジメトキシベンゼン117mg、ヨウ化銅(I)14mg、トリエチルアミン0.5mlのTHF5ml混合物に、PdCl(dppf)CHCl 39mgを加え、窒素置換した後、80℃にて1.5時間撹拌した。反応液に酢酸エチルと水を加え、有機層を分離した。有機層を飽和食塩水で洗浄したのち、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、表題化合物を無色アモルファスとして185mg得た。物性値:m/z[M+H] 451.1
【0281】
(工程4)実施例化合物9の合成
実施例1(工程4)に準じ、tert−ブチル 3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−カルボキシレートの代わりに、上記工程3で得られたtert−ブチル 3−(4−アミノ−3−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−カルボキシレートを用い、酸性条件下、Boc基の除去により1−(アゼチジン−3−イル)−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミンの粗生成物を得た後アミド化を行い、表題化合物を白色固体として得た。物性値を表2に示す。
【0282】
実施例10
1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−ヒドロキシブタ−2−イン−1−オン(実施例化合物10)の合成
実施例9の中間体として得られた1−(アゼチジン−3−イル)−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミンの粗生成物6.0mg、4−ヒドロキシブタ−2−イン酸3.7mg、HATU 11mgをDMF1.0mlに溶解し、DIPEA30μl加え、終夜撹拌した。
【0283】
反応液にクロロホルムと水を加え、有機層を分離した。有機層を飽和食塩水で洗浄したのち、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣を逆相分取HPLC精製(水/アセトニトリル(0.1%ギ酸))にて精製し、表題化合物を無色アモルファスとして1.4mg得た。物性値を表3に示す。
【0284】
実施例11
1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−ヒドロキシ−4−メチルペント−2−イン−1−オン(実施例化合物11)の合成
実施例10に準じ、4−ヒドロキシブタ−2−イン酸の代わりに、4−ヒドロキシ−4−メチルペンタ−2−イン酸を用いることにより、表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表3に示す。
【0285】
実施例12
1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物12)の合成
実施例10に準じ、4−ヒドロキシブタ−2−イン酸の代わりに、4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エン酸 塩酸塩を用いることにより、表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表3に示す。
【0286】
実施例13
1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(シクロプロピルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物13)の合成
(工程1)4−ブロモブタ−2−エノイルクロライドの合成
4−ブロモクロトン酸 329mgに塩化チオニル 3.0mlを加え80℃にて5時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、さらにトルエン共沸を行い、表題化合物を粗生成物として394mg得た。
【0287】
(工程2)1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)
−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−ブロモブタ−2−エン−1−オンの合成
上記実施例9で得られた中間体1−(アゼチジン−3−イル)−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミンの粗生成物140mgをTHF4.5mlに懸濁させ、DIPEA178μlを加え0℃に冷却した。上記工程1で得られた4−ブロモブタ−2−エノイルクロライド66mgのTHF 0.5ml溶液を滴下し、室温にて15分撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液で反応を停止させた後、生成物を酢酸エチルで抽出、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、表題化合物を粗生成物として160mg得た。物性値:m/z[M+H] 497.0,499.0
【0288】
(工程3)実施例化合物13の合成
上記工程2で得られた1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−ブロモブタ−2−エン−1−オンの粗生成物12mgをDMF0.5mlに溶解し、シクロプロピルアミン5μl、DIPEA10μlを加え、室温にて1時間撹拌した。減圧濃縮した後、得られた残渣を逆相分取HPLC精製(水/アセトニトリル(0.1%ギ酸))にて精製し、表題化合物を無色アモルファスとして3.4mg得た。物性値を表3に示す。
【0289】
実施例14
1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(イソプロピルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物14)の合成
実施例13(工程3)に準じ、シクロプロピルアミンの代わりにイソプロピルアミンを用いることにより、表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表4に示す。
【0290】
実施例15
1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(エチル(メチル)アミノ)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物15)の合成
実施例13(工程3)に準じ、シクロプロピルアミンの代わりにエチルメチルアミンを用いることにより、表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表4に示す。
【0291】
実施例16
1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(シクロブチルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン( 実施例化合物16)の合成
実施例13(工程3)に準じ、シクロプロピルアミンの代わりにシクロブチルアミンを用いることにより、表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表4に示す。
【0292】
実施例17
1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(ジエチルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物17)の合成
実施例13(工程3)に準じ、シクロプロピルアミンの代わりにジエチルアミンを用いることにより、表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表5に示す。
【0293】
実施例18
1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(tert−ブチルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物18)の合成
実施例13(工程3)に準じ、シクロプロピルアミンの代わりにtert−ブチルアミンを用いることにより、表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表5に示す。
【0294】
実施例19
1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(イソプロピル(メチル)アミノ)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物19)の合成
実施例13(工程3)に準じ、シクロプロピルアミンの代わりにイソプロピルメチルアミンを用いることにより、表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表5に示す。
【0295】
実施例20
1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(ピペリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物20)の合成
実施例13(工程3)に準じ、シクロプロピルアミンの代わりにピペリジンを用いることにより、表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表5に示す。
【0296】
実施例21
1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−モルホリノブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物21)の合成
実施例13(工程3)に準じ、シクロプロピルアミンの代わりにモルホリンを用いることにより、表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表6に示す。
【0297】
実施例22
(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(3−フルオロピロリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オンの合成
実施例13(工程3)に準じ、シクロプロピルアミンの代わりに(S)−3−フルオロピロリジンを用いることにより、表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表6に示す。
【0298】
実施例23
(R)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(3−フルオロピロリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オンの合成
実施例13(工程3)に準じ、シクロプロピルアミンの代わりに(R)−3−フルオロピロリジンを用いることにより、表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表6に示す。
【0299】
実施例24
1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジエトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(実施例化合物24)の合成
実施例9に準じ、1−エチニル−3,5−ジメトキシベンゼンの代わりに、1,3−ジエトキシ−5−エチニルベンゼンを用いることにより、表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表7に示す。
【0300】
実施例25
1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジエトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物25)の合成
実施例12に準じ、1−エチニル−3,5−ジメトキシベンゼンの代わりに、1,3−ジエトキシ−5−エチニルベンゼンを用いることにより、表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表7に示す。
【0301】
実施例26
1−(3−((4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(実施例化合物26)の合成
(工程1)tert−ブチル 3−((4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)ピロリジン−1−カルボキシレートの合成
実施例1(工程1)で得られた3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン148mg、N−Boc−3−ヒドロキシメチルピロリジン154 mg、ポリマー担持トリフェニルホスフィン(〜3.0mmol/g)334 mgのTHF5.0ml懸濁溶液に、DIAD197μlを加え、室温にて3時間撹拌した。不溶物をろ過し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、表題化合物を無色アモルファスとして94.5mg得た。物性値:m/z[M+H] 479.1
【0302】
(工程2)実施例化合物26の合成
実施例1(工程4)に準じ、tert−ブチル 3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−カルボキシレートの代わりに、上記工程1で得られたtert−ブチル 3−((4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)ピロリジン−1−カルボキシレートを用いることにより、表題化合物を白色固体として得た。物性値を表7に示す。
【0303】
実施例27
(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(実施例化合物27)の合成
実施例26に準じ、N−Boc−3−ヒドロキシメチルピロリジンの代わりに(R)−1−Boc―3−ヒドロキシピペリジンを用いることにより表題化合物を白色固体として得た。物性値を表7に示す。
【0304】
実施例28
1−((2S,4S)−4−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−2−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(実施例化合物28)の合成
(工程1)(2S,4R)−tert−ブチル 2−((tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)メチル)−4−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシレートの合成
1−N−Boc−(2S,4R)−4−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−ピロリジン500mgをDMF4.0mlに溶解し、イミダゾール164mgを加えた。0℃に冷却後、tert−ブチルクロロジフェニルシラン616μlを加え1時間撹拌した。反応液に酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加え、有機層を分離した。有機層を飽和食塩水で洗浄したのち、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、表題化合物を無色油状物質として655mg得た。物性値:m/z[M+H] 456.2
【0305】
(工程2)(2S,4S)−tert−ブチル 2−((tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)メチル)−4−(メチルスルホニルオキシ)ピロリジン−1−カルボキシレートの合成
上記工程1で得られた(2S,4R)−tert−ブチル 2−((tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)メチル)−4−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシレート300mgをクロロホルム3.0mlに溶解し、0℃にてトリエチルアミン137μl、メタンスルホニルクロライド56μlを加えた。室温にて2.0時間撹拌したのち、クロロホルムと水を加え、有機層を分離した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、表題化合物を無色油状化合物として389mg得た。物性値:m/z[M+H] 534.1
【0306】
(工程3)(2S,4S)−tert−ブチル 4−(4−アミノ−3−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−2−((tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)メチル)ピロリジン−1−カルボキシレートの合成
上記工程2で得られた(2S,4S)−tert−ブチル 2−((tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)メチル)−4−(メチルスルホニルオキシ)ピロリジン−1−カルボキシレート389mg、3−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン188mg、炭酸カリウム363mgをDMF4.0mlに懸濁し、80℃にて終夜撹拌した。酢酸エチルと水を加え、有機層を分離し無水硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去した。得られた残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、表題化合物を無色油状物質として191mg得た。物性値:m/z[M+H] 699.1
【0307】
(工程4)(2S,4S)−tert−ブチル 4−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−2−((tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)メチル)ピロリジン−1−カルボキシレートの合成
上記工程3で得られた(2S,4S)−tert−ブチル 4−(4−アミノ−3−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−2−((tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)メチル)ピロリジン−1−カルボキシレート113mg、1−エチニル−3,5−ジメトキシベンゼン52mg、ヨウ化銅(I)6mg、トリエチルアミン0.4mlのTHF4ml混合物に、PdCl(dppf)CHCl 13mgを加え、窒素置換した後、85℃にて3時間撹拌した。反応液に酢酸エチルと水を加え、有機層を分離した。有機層を飽和食塩水で洗浄したのち、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、表題化合物を無色アモルファスとして100mg得た。物性値:m/z[M+H] 733.3
【0308】
(工程5)(2S,4S)−tert−ブチル 4−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−2−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−カルボキシレートの合成
上記工程4で得られた(2S,4S)−tert−ブチル 4−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−2−((tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)メチル)ピロリジン−1−カルボキシレート25mgをTHF 1.0mlに溶解し、シリカゲル担持テトラブチルアンモニウムフルオライド(〜1.5mmol/g)34mgを加え終夜撹拌した。シリカゲル担持テトラブチルアンモニウムフルオライド(〜1.5mmol/g)30mgを追加で加え、さらに二日間撹拌した。試薬をろ過した後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、表題化合物を無色アモルファスとして62mg得た。物性値:m/z[M+H] 495.1
【0309】
(工程6)実施例化合物28の合成
実施例1(工程4)に準じ、tert−ブチル 3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−カルボキシレートの代わりに、上記工程5で得られた4−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−2−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−カルボキシレートを用いることにより、表題化合物を白色固体として得た。物性値を表8に示す。
【0310】
実施例29
1−(3−((4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)アゼチジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(実施例化合物29)の合成
実施例26に準じ、N−Boc−3−ヒドロキシメチルピロリジンの代わりに1−Boc―3−ヒドロキシメチルアゼチジンを用いることにより表題化合物を淡黄色アモルファスとして得た。物性値を表8に示す。
【0311】
実施例30
N−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)シクロブチル)アクリルアミド(実施例化合物30)の合成
実施例1に準じ、N−Boc−3−ヒドロキピロリジンの代わりにtert−ブチル 3−ヒドロキシシクロブチルカルバメートを用いることにより表題化合物を淡黄色アモルファスとして得た。物性値を表8に示す。
【0312】
実施例31
1−(4−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(実施例化合物31)の合成
実施例1に準じ、tert−ブチル 3−(メチルスルホニルオキシ)ピロリジン−1−カルボキシレートの代わりにtert−ブチル 4−ブロモピペリジン−1−カルボキシレートを用いることで表記化合物を白色固体として得た。物性値を表8に示す。
【0313】
実施例32
1−((2S,4S)−4−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−2−エチニルピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(実施例化合物32)の合成
(工程1)(2S,4S)−tert−ブチル 4−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−2−エチニルピロリジン−1−カルボキシレートの合成
実施例1(工程1)で得られた3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン14mg、国際公開WO2005/007083号パンフレット記載の方法で合成した(2S,4R)−tert−ブチル 2−エチニル−4−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシレート15mg、トリフェニルホスフィン23mgをTHF1.0mlに懸濁させ、DIAD18μlを加え、室温にて1時間撹拌した。反応液を濃縮後、DMSO溶液に溶解し、逆相分取HPLC精製(水/アセトニトリル(0.1%ギ酸))にて精製し、表題化合物を無色アモルファスとして5.0mg得た。物性値:m/z[M+H] 489.2
【0314】
(工程2)実施例化合物32の合成
実施例1(工程4)に準じ、tert−ブチル 3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−カルボキシレートの代わりに、上記工程1で得られた(2S,4S)−tert−ブチル 4−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−2−エチニルピロリジン−1−カルボキシレートを用いることにより、表題化合物を白色固体として得た。物性値を表9に示す。
【0315】
実施例33
1−(4−((4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)ピペリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(実施例化合物33)の合成
実施例26に準じ、N−Boc−3−ヒドロキシメチルピロリジンの代わりに1−Boc―4−ヒドロキシメチルピペリジンを用いることにより表題化合物を淡黄色アモルファスとして得た。物性値を表9に示す。
【0316】
実施例34
N−(3−((4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)フェニル)アクリルアミド(実施例化合物34)の合成
実施例26に準じ、N−Boc−3−ヒドロキシメチルピロリジンの代わりに、(3−アミノフェニル)メタノールを用いることにより表記化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表9に示す。
【0317】
実施例35
1−(3−((4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)アゼチジン−1−イル)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物35)の合成
実施例4に準じ、(S)−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1−(ピロリジン−3−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミンの代わりに、実施例29で得られた中間体1−(アゼチジン−3−イルメチル)−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミンを用いることにより表記化合物を淡黄色アモルファスとして得た。物性値を表9に示す。
【0318】
実施例36
1−(4−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物36)の合成
実施例4に準じ、(S)−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1−(ピロリジン−3−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミンの代わりに、実施例31で得られた中間体3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1−(ピペリジン−4−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミンを用いることにより表記化合物を淡黄色アモルファスとして得た。物性値を表9に示す。
【0319】
実施例37
1−(4−((4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)ピペリジン−1−イル)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物37)の合成
実施例4に準じ、(S)−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1−(ピロリジン−3−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミンの代わりに、実施例33で得られた中間体3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1−(ピペリジン−4−イルメチル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミンを用いることにより表記化合物を淡黄色アモルファスとして得た。物性値を表10に示す。
【0320】
実施例38
(S)−1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−イル)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物38)の合成
(工程1)(S)−tert−ブチル 3−(4−クロロ−5−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−カルボキシレートの合成
4−クロロ−5−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン1.00 g、(R)−N−Boc―3−ピロリジノール1.01g、トリフェニルホスフィン1.88gのテトラヒドロフラン溶液40ml溶液に、DIAD1.41mlを加え、反応液を1時間撹拌した。反応液を濃縮、酢酸エチルで洗浄し、表題化合物を白色固体として1.04g得た。物性値:m/z[M+H] 448.9
【0321】
(工程2)(S)−tert−ブチル 3−(4−アミノ−5−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−カルボキシレートの合成
上記工程1で得られた(S)−tert−ブチル 3−(4−クロロ−5−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−カルボキシレート400mgにテトラヒドロフラン2.5ml及び28%アンモニア水2.5mlを加え、反応液をマイクロウェーブ反応装置で、100℃で1.5時間撹拌した。クロロホルムと水を加え有機層を分離し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、表題化合物を白色固体化合物として382mg得た。物性値:m/z[M+H] 430.3
【0322】
(工程3)(S)−tert−ブチル 3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−カルボキシレートの合成
上記工程2で得られた(S)−tert−ブチル 3−(4−アミノ−5−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−カルボキシレート660mg、1−エチニル−3,5−ジメトキシベンゼン374mg、ヨウ化銅(I)44mg、トリエチルアミン2.0mlのTHF15ml混合物に、PdCl(dppf)CHCl122mgを加え、窒素置換した後、80℃にて3.5時間撹拌した。反応液に酢酸エチルと水を加え、有機層を分離した。有機層を飽和食塩水で洗浄したのち、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、表題化合物を無色アモルファスとして714mg得た。物性値:m/z[M+H] 464.1
【0323】
(工程4)実施例化合物38の合成
上記工程3で得られた(S)−tert−ブチル 3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−カルボキシレート30mgに4N−塩酸/1,4−ジオキサン2mlを加え、室温にて1.5時間撹拌した。得られた反応混合物の溶媒を減圧留去後、引き続きトルエン共沸を行い、(S)−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7−(ピロリジン−3−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミンの粗生成物を30mg得た。得られた粗生成物の一部10mg、4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エン酸 塩酸塩5.9mg、HATU14mgをDMF1.0mlに溶解し、DIPEA50μl加え、室温で5分撹拌した。反応液にクロロホルムと水を加え、有機層を分離した。有機層を飽和食塩水で洗浄したのち、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣を逆相分取HPLC精製(水/アセトニトリル(0.1%ギ酸))にて精製し、表題化合物を無色アモルファスとして3.9mg得た。物性値を表10に示す。
【0324】
実施例39
(S)−1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(実施例化合物39)の合成
実施例1(工程4)に準じ、tert−ブチル 3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−カルボキシレートの代わりに、実施例38(工程3)で得られた(S)−tert−ブチル 3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−カルボキシレートを用い、酸性条件下、Boc基の除去により(S)−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7−(ピロリジン−3−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミンの粗生成物を得た後アミド化を行い、表題化合物を白色固体物質として得た。物性値を表10に示す。
【0325】
実施例40
(S)−1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−イル)−4−(ピロリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物40)の合成
(工程1)4−(ピロリジン−1−イル)ブタ−2−エン酸 塩酸塩の合成4−ブロモクロトン酸メチルエステル1.79gをテトラヒドロフラン40mlに溶解し、0℃にてピロリジン1.67mlを加え、室温にて1時間撹拌した。反応液にジエチルエーテルと水を加え、有機層を分離した。有機層を飽和食塩水で洗浄したのち、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた生成物に3N塩酸40mlを加え、100℃で1時間加熱環流した。反応液を減圧濃縮、得られた残渣をイソプロパノールと酢酸エチルの混合溶媒で洗浄し、表題化合物を白色固体として939mg得た。物性値:
m/z[M+H] 156.0
【0326】
(工程2)実施例化合物40の合成
実施例4(工程1)に準じ、実施例38(工程4)で得られた中間体(S)−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7−(ピロリジン−3−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミンと上記工程1で得られた4−(ピロリジン−1−イル)ブタ−2−エン酸 塩酸塩を用いることにより、表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表10に示す。
【0327】
実施例41
(S)−1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−イル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物41)の合成
(工程1)(S)−1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−イル)−4−ブロモブタ−2−エン−1−オンの合成
実施例38(工程4)で得られた中間体(S)−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7−(ピロリジン−3−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミンの粗生成物100mgをクロロホルム 3.0mlに懸濁させ、DIPEA 117μlを加え0℃に冷却した。実施例16(工程1)で得られた、4−ブロモブタ−2−エノイルクロライド46mgのクロロホルム 0.3ml溶液を滴下し、室温にて15分撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液で反応を停止させた後、生成物を酢酸エチルで抽出、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、表題化合物を粗生成物として140mg得た。物性値:m/z[M+H] 509.9,511.9
【0328】
(工程2)実施例化合物41の合成
上記工程1で得られた(S)−1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−イル)−4−ブロモブタ−2−エン−1−オンの粗生成物12mgをDMF0.5mlに溶解し、N−メチルピペラジン4mg、DIPEA10μlを加え、室温にて終夜撹拌した。減圧濃縮した後、得られた残渣を逆相分取HPLC精製(水/アセトニトリル(0.1%ギ酸))にて精製し、表題化合物を無色アモルファスとして3.0mg得た。
物性値を表11に示す。
【0329】
実施例42
(S)−1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−イル)−4−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物42)の合成
実施例41(工程2)に準じ、N−メチルピペラジンの代わりに、4−ヒドロキシピペリジンを用いることにより表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表11に示す。
【0330】
実施例43
(S)−1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−イル)−4−(4−フルオロピペリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物43)の合成
実施例41(工程2)に準じ、N−メチルピペラジンの代わりに、4−フルオロピペリジン用いることにより表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表11に示す。
【0331】
実施例44
(S)−1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−イル)−4−(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物44)の合成
実施例41(工程2)に準じ、N−メチルピペラジンの代わりに、3,3−ジフルオロピロリジン用いることにより表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表12に示す。
【0332】
実施例45
(S)−1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−イル)−4−(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物45)の合成
実施例41(工程2)に準じ、N−メチルピペラジンの代わりに、4,4−ジフルオロピペリジン用いることにより表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表12に示す。
【0333】
実施例46
(S)−1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−イル)ブタ−2−イン−1−オン(実施例化合物46)の合成
実施例4(工程1)に準じ、実施例38(工程4)で得られた中間体(S)−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7−(ピロリジン−3−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミンと2−ブチン酸を用いることにより、表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表12に示す。
【0334】
実施例47
(S)−1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−イル)−4−ヒドロキシ−4−メチルペンタ−2−イン−1−オン(実施例化合物47)の合成
実施例4(工程1)に準じ、実施例38(工程4)で得られた中間体(S)−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7−(ピロリジン−3−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミンと4−ヒドロキシ−4−メチルペンタ−2−イン酸を用いることにより、表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表12に示す。
【0335】
実施例48
1−((S)−3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−イル)−4−((R)−3−フルオロピロリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物48)の合成
実施例41(工程2)に準じ、N−メチルピペラジンの代わりに、(R)−3−フルオロピロリジン用いることにより表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表13に示す。
【0336】
実施例49
1−((S)−3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−イル)−4−((S)−3−フルオロピロリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物49)の合成
実施例41(工程2)に準じ、N−メチルピペラジンの代わりに、(S)−3−フルオロピロリジン用いることにより表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表13に示す。
【0337】
実施例50
(S)−1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−イル)−4−(ピペリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物50)の合成
実施例41(工程2)に準じ、N−メチルピペラジンの代わりに、ピペリジン用いることにより表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表13に示す。
【0338】
実施例51
1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(実施例化合物51)の合成
(工程1)tert−ブチル 3−(4−クロロ−5−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−カルボキシレートの合成4−クロロ−5−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン1.00 g、N−Boc―3−ヒドロキシアゼチジン930mg、トリフェニルホスフィン 1.85gのテトラヒドロフラン溶液40ml溶液に、DIAD1.41mlを加え、反応液を1時間撹拌した。反応液を濃縮、酢酸エチルで洗浄し、表題化合物を白色固体として1.07g得た。物性値:m/z[M+H] 435.0
【0339】
(工程2)tert−ブチル 3−(4−アミノ−5−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−カルボキシレートの合成
上記工程1で得られたtert−ブチル 3−(4−クロロ−5−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−カルボキシレート350mgにテトラヒドロフラン2.5ml及び28%アンモニア水2.5mlを加え、反応液をマイクロウェーブ反応装置で、100℃で1.5時間撹拌した。クロロホルムと水を加え有機層を分離し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、表題化合物を白色固体化合物として340mg得た。物性値:m/z[M+H] 416.0
【0340】
(工程3)tert−ブチル 3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−カルボキシレートの合成
上記工程2で得られたtert−ブチル 3−(4−アミノ−5−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−カルボキシレート639mg、1−エチニル−3,5−ジメトキシベンゼン374mg、ヨウ化銅(I)44mg、トリエチルアミン2.0mlのTHF15ml混合物に、PdCl(dppf)CHCl122mgを加え、窒素置換した後、80℃にて3.5時間撹拌した。反応液に酢酸エチルと水を加え、有機層を分離した。有機層を飽和食塩水で洗浄したのち、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、表題化合物を無色アモルファスとして704mg得た。物性値:m/z[M+H] 450.1
【0341】
(工程4)実施例化合物51の合成
実施例1(工程4)に準じ、tert−ブチル 3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−カルボキシレートの代わりに、上記工程3で得られたtert−ブチル 3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−カルボキシレートを用い、酸性条件下、Boc基の除去により7−(アゼチジン−3−イル)−5−((3,5−)ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミンの粗生成物を得た後アミド化を行い、表題化合物を白色固体として得た。物性値を表13に示す。
【0342】
実施例52
1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物52)の合成
実施例4(工程1)に準じ、tert−ブチル 3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−カルボキシレートの代わりに、実施例51(工程3)で得られたtert−ブチル 3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−カルボキシレートを用い表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表14に示す。
【0343】
実施例53
1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(ピロリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物53)の合成
実施例4(工程1)に準じ、実施例51(工程4)で得られた中間体7−(アゼチジン−3−イル)−5−((3,5−)ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミンと実施例40(工程1)で得られた4−(ピロリジン−1−イル)ブタ−2−エン酸 塩酸塩を用いることにより、表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表14に示す。
【0344】
実施例54
1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)ブタ−2−イン−1−オン(実施例化合物54)の合成
実施例4(工程1)に準じ、実施例51(工程4)で得られた中間体7−(アゼチジン−3−イル)−5−((3,5−)ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミンと2−ブタイン酸を用いることにより、表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表14に示す。
【0345】
実施例55
1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(アゼチジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物55)の合成
(工程1)1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)−4−ブロモブタ−2−エン−1−オンの合成
上記実施例52(工程4)で得られた中間体7−(アゼチジン−3−イル)−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミンの粗生成物160mgをTHF3.0mlに懸濁させ、DIPEA202μlを加え0℃に冷却した。実施例16(工程1)で得られた、4−ブロモブタ−2−エノイルクロライド75mgのTHF0.5ml溶液を滴下し、室温にて15分撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液で反応を停止させた後、生成物を酢酸エチルで抽出、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、表題化合物を粗生成物として204mg得た。物性値:m/z[M+H] 496.0,498.0
【0346】
(工程2)実施例化合物55の合成
上記工程1で得られた1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)−4−ブロモブタ−2−エン−1−オンの粗生成物10mgをTHF0.5mlに懸濁し、アゼチジン7μlを加え、室温にて1時間撹拌した。減圧濃縮した後、得られた残渣を逆相分取HPLC精製(水/アセトニトリル(0.1%ギ酸))にて精製し、表題化合物を無色アモルファスとして1.6mg得た。物性値を表14に示す。
【0347】
実施例56
1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(エチル(メチル)アミノ)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物56)の合成
実施例55(工程2)に準じ、アゼチジンの代わりに、エチルメチルアミンを用いることにより表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表15に示す。
【0348】
実施例57
1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(イソプロピルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物57)の合成
実施例55(工程2)に準じ、アゼチジンの代わりに、イソプロピルアミンを用いることにより表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表15に示す。
【0349】
実施例58
1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(イソプロピル(メチル)アミノ)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物58)の合成
実施例55(工程2)に準じ、アゼチジンの代わりに、イソプロピルメチルアミンを用いることにより表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表15に示す。
【0350】
実施例59
1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(ジエチルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物59)の合成
実施例55(工程2)に準じ、アゼチジンの代わりに、ジエチルアミンを用いることにより表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表16に示す。
【0351】
実施例60
1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)−4−((2−メトキシエチル)(メチル)アミノ)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物60)の合成
実施例55(工程2)に準じ、アゼチジンの代わりに、2−メトキシ−N−メチルエタンアミンを用いることにより表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表16に示す。
【0352】
実施例61
1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物61)の合成
実施例55(工程2)に準じ、アゼチジンの代わりに、4−ヒドロキシピペリジンを用いることにより表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表16に示す。
【0353】
実施例62
(S)−1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物62)の合成
実施例55(工程2)に準じ、アゼチジンの代わりに、(S)−3−ヒドロキシピロリジンを用いることにより表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表17に示す。
【0354】
実施例63
(R)−1−(3−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)アゼチジン−1−イル)−4−(3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物63)の合成
実施例55(工程2)に準じ、アゼチジンの代わりに、(R)−3−ヒドロキシピロリジンを用いることにより表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表17に示す。
【0355】
実施例64
1−(4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピペリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(実施例化合物64)の合成
実施例39に準じ、(R)−N−Boc―3−ピロリジノールの代わりに、N−Boc―4−ピペリジノールを用いることにより表題化合物を淡黄色アモルファスとして得た。物性値を表17に示す。
【0356】
実施例65
1−(4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピペリジン−1−イル)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物65)の合成
実施例38に準じ、(R)−N−Boc―3−ピロリジノールの代わりに、N−Boc―4−ピペリジノールを用いることにより表題化合物を淡黄色アモルファスとして得た。物性値を表17に示す。
【0357】
実施例66
(2S,4S)−メチル 1−アクリロイル−4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−2−カルボキシレート(実施例化合物66)の合成
(工程1)4−クロロ−5−ヨード−7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンの合成
国際公開WO2005/042556号パンフレットに記載されている方法にて合成した4−クロロ−5−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン7.01gを無水THF125mlに溶解し、0℃に冷却後60%水素化ナトリウム4.02gを加えた。20分撹拌した後、SEMCl13.3mlを加え室温にて終夜撹拌した。再び0℃まで冷却後、水を加え反応を停止し酢酸エチルで生成物を抽出した。有機層を有飽和食塩水で洗浄したのち、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、表題化合物を白色固体物質として7.28g得た。物性値:m/z[M+H] 410.0
【0358】
(工程2)5−ヨード−7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミンの合成
上記工程1で得られた4−クロロ−5−ヨード−7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン200mgをTHF2.0mlに溶解し、28%アンモニア水2mlを加えた後、反応液をマイクロウェーブ反応装置中、105℃にて1.5時間撹拌した。生成物を酢酸エチルで抽出、有機層を有飽和食塩水で洗浄したのち、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、表題化合物を白色固体物質として192mg得た。物性値:m/z[M+H] 391.0
【0359】
(工程3)5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミンの合成
実施例1(工程1)に準じ、3−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミンの代わりに、上記工程2で得られた5−ヨード−7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミンを用いることにより、表題化合物を無色固体として得た。物性値:m/z[M+H] 425.4
【0360】
(工程4)5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミンの合成
上記工程3で得られた5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミン4.27gの塩化メチレン20ml溶液を0℃に冷却し、TFA10mlを加えた。反応液を室温で5時間撹拌し、溶媒を減圧留去した。残渣にTHF50mlを加えて0℃に冷却し、4N水酸化ナトリウム素溶液12.5mlを加えて室温で終夜撹拌した。酢酸エチルで抽出、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣にクロロホルムを加え、濾過することにより表題化合物を白色固体として2.60g得た。物性値:m/z[M+H] 295.3
【0361】
(工程5)(2S,4R)−4−(メチルスルホニルオキシ)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル−2−メチルエステルの合成
実施例1(工程2)に準じ、N−Boc−3−ピロリジノールの代わりに(2S,4R)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル−2−メチルエステルを用いることにより、表題化合物を無色アモルファスとして得た。
【0362】
(工程6)(2S,4S)−1−tert−ブチル 2−メチル 4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1,2−ジカルボキシレートの合成
実施例1(工程3)に準じ、3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミンの代わりに上記工程4で得られた5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミンを用い、tert−ブチル 3−(メチルスルホニルオキシ)ピロリジン−1−カルボキシレートの代わりに上記工程5で得られた(2S,4R)−4−(メチルスルホニルオキシ)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル−2−メチルエステルを用い、炭酸カリウムの代わりに水素化ナトリウムを用い、DMFの代わりにNMPを用いることにより、表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値:m/z[M+H] 522.4
【0363】
(工程7)(2S,4S)−メチル 4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−2−カルボキシレートの合成
上記工程6で得られた(2S,4S)−1−tert−ブチル 2−メチル 4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1,2−ジカルボキシレート24mgの塩化メチレン2.0ml、TFA2.0ml溶液を室温にて30分撹拌した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール)にて精製し、表題化合物を淡黄色アモルファスとして11.9mg得た。
物性値:m/z[M+H] 422.1
【0364】
(工程8)実施例化合物66の合成
上記工程7で得られた(2S,4S)−メチル 4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−2−カルボキシレート12mgに塩化メチレン2.0ml、トリエチルアミン16μlを加えた。0℃に冷却後、塩化アクリル5μlを溶解したクロロホルム100μlを加え、室温にて10分間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液で反応を停止させた後、生成物を酢酸エチルで抽出、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/メタノール)にて精製し、表題化合物を無色アモルファスとして4.2mg得た。物性値を表18に示す。
【0365】
実施例67
1−((2S,4S)−4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−((ジメチルアミノ)メチル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(実施例化合物67)の合成
(工程1)(2S,4S)−tert−ブチル 2−((tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)メチル)−4−(4−クロロ−5−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−カルボキシレートの合成
トリフェニルホスフィン443mgのTHF25ml溶液を0℃に冷却し、DIAD340μlを滴下して反応液を0℃で1時間撹拌した。4−クロロ−5−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン363mgと実施例28(工程1)で得られた(2S,4R)−tert−ブチル 2−((tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)メチル)−4−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシレート651.6mgを加え、室温で終夜撹拌した。酢酸エチルと水を加え有機層を分離した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、表題化合物を淡黄色アモルファスとして400mg得た。m/z[M+H] 718.5
【0366】
(工程2)(2S,4S)−tert−ブチル 4−(4−アミノ−5−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−((tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)メチル)ピロリジン−1−カルボキシレートの合成
上記工程1で得られた(2S,4S)−tert−ブチル 2−((tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)メチル)−4−(4−クロロ−5−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1−カルボキシレート400mgにTHF10ml、8Nアンモニア メタノール溶液5mlを加え、マイクロウェーブ照射下120℃で2時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール)にて精製し、表題化合物を淡黄色固体として293mg得た。物性値:m/z[M+H] 698.5
【0367】
(工程3)(2S,4S)−tert−ブチル 4−(4−(bis(tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−5−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−((tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)メチル)ピロリジン−1−カルボキシレートの合成
上記工程2で得られた(2S,4S)−tert−ブチル 4−(4−アミノ−5−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−((tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)メチル)ピロリジン−1−カルボキシレート200mgのTHF5ml溶液にBocO188mg、DMAP7mgを加え、室温で終夜撹拌した。反応液に酢酸エチルと水を加え有機層を分離した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、表題化合物を淡黄色アモルファスとして238mg得た。m/z[M+H] 898.5
【0368】
(工程4)(2S,4S)−tert−ブチル 4−(4−(bis(tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−5−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−カルボキシレートの合成
上記工程3で得られた(2S,4S)−tert−ブチル 4−(4−(bis(tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−5−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−((tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)メチル)ピロリジン−1−カルボキシレート237.5mgのTHF5ml溶液にシリカゲル担持テトラブチルアンモニウムフルオライド(〜1.5mmol/g)700mgを加え、室温で終夜撹拌した。シリカゲルを濾別し、濾液の溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)にて精製して表題化合物を淡黄色アモルファスとして185mg得た。物性値:m/z[M+H] 660.2
【0369】
(工程5)(2S,4S)−tert−ブチル 4−(4−(bis(tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−5−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−ホルミルピロリジン−1−カルボキシレートの合成
上記工程4で得られた(2S,4S)−tert−ブチル 4−(4−(bis(tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−5−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−カルボキシレート66mgの塩化メチレン2ml溶液にデスマーチンペルヨージナン51mgを加え、室温で1時間撹拌した。さらにデスマーチンペルヨージナン100mgを加え、室温で1時間撹拌した。さらにデスマーチンペルヨージナン70mgを加え、室温で1時間撹拌した。反応液に水を加え有機層を分離した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を減圧留去して表題化合物を淡黄色アモルファスとして68mg得た。物性値:m/z[M+H] 658.1
【0370】
(工程6)(2S,4S)−tert−ブチル 4−(4−(bis(tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−5−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−((ジメチルアミノ)メチル)ピロリジン−1−カルボキシレートの合成
上記工程5で得られた(2S,4S)−tert−ブチル 4−(4−(bis(tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−5−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−ホルミルピロリジン−1−カルボキシレート68mgの塩化メチレン2ml溶液に1Mジメチルアミン THF溶液0.3ml、酢酸0.2mlを加え、0℃に冷却した。反応液にナトリウムトリアセトキシボロヒドリド127mgを加え、0℃で2時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を減圧留去して表題化合物を淡黄色アモルファスとして31.9mg得た。物性値:m/z[M+H] 687.2
【0371】
(工程7)(2S,4S)−tert−ブチル 4−(4−(bis(tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−((ジメチルアミノ)メチル)ピロリジン−1−カルボキシレートの合成
実施例1(工程1)に準じ、3−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミンの代わりに、上記工程6で得られた(2S,4S)−tert−ブチル 4−(4−(bis(tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−5−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−((ジメチルアミノ)メチル)ピロリジン−1−カルボキシレートを用いることにより、表題化合物を淡黄色アモルファスとして得た。物性値:m/z[M+H] 721.5
【0372】
(工程8)5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7−((3S,5S)−5−((ジメチルアミノ)メチル)ピロリジン−3−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミンの合成
実施例66(工程7)に準じ、(2S,4S)−1−tert−ブチル 2−メチル 4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1,2−ジカルボキシレートの代わりに上記工程7で得られた(2S,4S)−tert−ブチル 4−(4−(bis(tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−((ジメチルアミノ)メチル)ピロリジン−1−カルボキシレートを用いることにより表題化合物を淡黄色アモルファスとして得た。物性値:m/z[M+H] 421.1
【0373】
(工程9)実施例化合物67の合成
実施例66(工程8)に準じ、(2S,4S)−メチル 4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−2−カルボキシレートの代わりに、上記工程8で得られた5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7−((3S,5S)−5−((ジメチルアミノ)メチル)ピロリジン−3−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミンを用いることにより表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表18に示す。
【0374】
実施例68
1−((2S,4S)−4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−(1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(実施例化合物68)の合成
(工程1)(2S,4S)−4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−2−カルボン酸の合成
実施例66(工程6)で得られた(2S,4S)−1−tert−ブチル 2−メチル 4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1,2−ジカルボキシレート393.8mgをメタノール6mlに溶解し、0℃に冷却後、4N水酸化ナトリウム水溶液3mlを加えた。反応懸濁液を室温で3時間撹拌した。反応液に5N塩酸を加えてpHを5とし、酢酸エチルと水を加え有機層を分離した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、表題化合物を淡黄色固体として280mg得た。物性値m/z[M+H] 508.3
【0375】
(工程2)(2S,4S)−tert−ブチル 4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−(ヒドラジンカルボニル)ピロリジン−1−カルボキシレートの合成
上記工程1で得られた(2S,4S)−4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−2−カルボン酸106mg、TBTU100mgのDMF2ml溶液にDIPEA73μl、ヒドラジン1水和物46μlを加え、室温で10分撹拌した。反応液に酢酸エチルと水を加え有機層を分離した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、表題化合物を淡黄色アモルファスとして93.6mg得た。物性値:m/z[M+H] 522.4
【0376】
(工程3)(2S,4S)−tert−ブチル 4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−(1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピロリジン−1−カルボキシレートの合成
上記工程2で得られた(2S,4S)−tert−ブチル 4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−(ヒドラジンカルボニル)ピロリジン−1−カルボキシレート93.6mgにトルエン3ml、オルト蟻酸トリメチル79μlを加え、110℃で終夜撹拌した。反応液に酢酸400μlを加え、110℃で6時間撹拌した。反応液に酢酸エチルと水を加え有機層を分離した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール)にて精製し、表題化合物を淡黄色アモルファスとして50mg得た。物性値:m/z[M+H] 532.2
【0377】
(工程4)7−((3S,5S)−5−(1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピロリジン−3−イル)−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミンの合成
実施例66(工程7)に準じ、(2S,4S)−1−tert−ブチル 2−メチル 4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1,2−ジカルボキシレートの代わりに、上記工程3で得られた(2S,4S)−tert−ブチル 4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−(1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピロリジン−1−カルボキシレート50mgを用いることにより表題化合物を淡黄色アモルファスとして30.3mg得た。m/z[M+H] 432.0
【0378】
(工程5)実施例化合物68の合成
実施例66(工程8)に準じ、(2S,4S)−メチル 4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−2−カルボキシレートの代わりに、上記工程4で得られた7−((3S,5S)−5−(1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピロリジン−3−イル)−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミンを用いることにより表題化合物を淡黄色アモルファスとして得た。
物性値を表18に示す。
【0379】
実施例69
1−((2S,4S)−4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−(5−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(実施例化合物69)の合成
(工程1)(2S,4S)−tert−ブチル 4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−(5−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピロリジン−1−カルボキシレートの合成
実施例68(工程3)に準じ、オルト蟻酸トリメチルの代わりに、オルト酢酸トリエチルを用いることにより表題化合物を淡黄色アモルファスとして得た。物性値:m/z[M+H] 546.5
【0380】
(工程2)5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7−((3S,5S)−5−(5−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピロリジン−3−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミンの合成
実施例66(工程7)に準じ、(2S,4S)−1−tert−ブチル 2−メチル 4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1,2−ジカルボキシレートの代わりに、上記工程1で得られた(2S,4S)−tert−ブチル 4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−(5−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピロリジン−1−カルボキシレートを用いることにより表題化合物を淡黄色アモルファスとして得た。物性値:m/z[M+H] 466.0
【0381】
(工程3) 実施例化合物69の合成
実施例66(工程8)に準じ、(2S,4S)−メチル 4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−2−カルボキシレートの代わりに、上記工程2で得られた5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7−((3S,5S)−5−(5−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピロリジン−3−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミンを用いることにより表題化合物を淡黄色アモルファスとして得た。物性値を表18に示す。
【0382】
実施例70
1−((2S,4S)−4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−(5−((ジメチルアミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(実施例化合物70)の合成
(工程1)(2S,4S)−tert−ブチル 4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−(2−(2−(ジメチルアミノ)アセチル)ヒドラジンカルボニル)ピロリジン−1−カルボキシレートの合成
実施例68(工程2)に準じ、ヒドラジン1水和物の代わりに、2−(ジメチルアミノ)アセトヒドラジドを用いることにより表題化合物を淡黄色アモルファスとして得た。物性値:m/z[M+H] 607.3
【0383】
(工程2)(2S,4S)−tert−ブチル 4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−(5−((ジメチルアミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピロリジン−1−カルボキシレートの合成
上記工程1で得られた(2S,4S)−tert−ブチル 4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−(2−(2−(ジメチルアミノ)アセチル)ヒドラジンカルボニル)ピロリジン−1−カルボキシレート100mgのアセトニトリル3ml溶液にDIPEA105μl、トシルクロリド56mgを加え、40℃で1時間撹拌した。反応液に酢酸エチルと水を加え有機層を分離した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール)にて精製し、表題化合物を淡黄色アモルファスとして40.5mg得た。物性値:m/z[M+H] 589.2
【0384】
(工程3)5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7−((3S,5S)−5−(5−((ジメチルアミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピロリジン−3−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミンの合成
実施例66(工程7)に準じ、(2S,4S)−1−tert−ブチル 2−メチル 4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1,2−ジカルボキシレートの代わりに、上記工程2で得られた(2S,4S)−tert−ブチル 4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−(5−((ジメチルアミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピロリジン−1−カルボキシレートを用いることにより表題化合物を淡黄色アモルファスとして得た。物性値:m/z[M+H] 489.2
【0385】
(工程4) 実施例化合物70の合成
実施例66(工程8)に準じ、(2S,4S)−メチル 4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−2−カルボキシレートの代わりに、上記工程3で得られた5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7−((3S,5S)−5−(5−((ジメチルアミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピロリジン−3−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミンを用いることにより表題化合物を淡黄色アモルファスとして得た。物性値を表19に示す。
【0386】
実施例71
(2S,4S)−1−アクリロイル−4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)−N−メチルピロリジン−2−カルボキサミド(実施例化合物71)の合成
(工程1)(2S,4S)−tert−ブチル 4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−((2−(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)カルバモイル)ピロリジン−1−カルボキシレートの合成
実施例68(工程1)で得られた(2S,4S)−4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−2−カルボン酸25.4mg、TBTU17.7mg、N,N,N’−トリメチルエタン−1,2−ジアミン13μl、DIPEA26μlのアセトニトリル3ml溶液を室温で1時間撹拌した。酢酸エチルと水を加え有機層を分離した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、得られた残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール)にて精製し、表題化合物を淡黄色アモルファスとして3mg得た。物性値:m/z[M+H] 592.4
【0387】
(工程2)(2S,4S)−4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)−N−メチルピロリジン−2−カルボキサミドの合成
実施例66(工程7)に準じ、(2S,4S)−1−tert−ブチル 2−メチル 4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1,2−ジカルボキシレートの代わりに、上記工程1で得られた(2S,4S)−tert−ブチル 4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−((2−(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)カルバモイル)ピロリジン−1−カルボキシレートを用いることにより、表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値:m/z[M+H] 492.4
【0388】
(工程3)実施例化合物71の合成
実施例66(工程8)に準じ、(2S,4S)−メチル 4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−2−カルボキシレートの代わりに、上記工程2で得られた(2S,4S)−4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)−N−メチルピロリジン−2−カルボキサミドを用いることにより、表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表19に示す。
【0389】
実施例72
1−(4−((4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)メチル)ピペリジン−1−イル)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン(実施例化合物72)の合成
実施例38に準じ、(R)−N−Boc―3−ピロリジノールの代わりに、N−Boc―4−ヒドロキシメチルピペリジンを用いることにより表題化合物を淡黄色アモルファスとして得た。物性値を表19に示す。
【0390】
実施例73
(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(実施例化合物73)の合成
(工程1)4−クロロ−3−ヨード−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジンの合成
国際公開WO2007/095223号パンフレットに記載されている方法にて合成した4−クロロ−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン247mgをDMF7.0mlに溶解し0℃に冷却後、N−ヨードスクシンイミド382mgを加えた。室温で一時間撹拌した後、クロロホルムと水を加え有機層を分離した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、表題化合物を茶褐色固体物質して455mg得た。物性値:m/z[M+H] 279.1
【0391】
(工程2)(S)−tert−ブチル 3−(4−クロロ−3−ヨード−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−1−イル)ピロリジン−1−カルボキシレートの合成
上記工程1で得られた4−クロロ−3−ヨード−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン225mgをDMF3.0mlに溶解し、0℃に冷却後60%水素化ナトリウム64.5mgを加えた。実施例2(工程1)で得られた(R)−tert−ブチル 3−(メチルスルホニルオキシ)ピロリジン−1−カルボキシレート322mgをDMF2.0ml用いて反応液に加え、室温にて終夜撹拌した。60%水素化ナトリウム64.5mgを追加で加えた後、85℃にて終夜撹拌した。反応液に酢酸エチルと水を加え有機層を分離した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、表題化合物を粗生成物として192mg得た。物性値:m/z[M+H] 448.3
【0392】
(工程3)(S)−tert−ブチル 3−(4−クロロ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−1−イル)ピロリジン−1−カルボキシレートの合成
上記工程2で得られた(S)−tert−ブチル 3−(4−クロロ−3−ヨード−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−1−イル)ピロリジン−1−カルボキシレートの粗生成物180mg、1−エチニル−3,5−ジメトキシベンゼン97mg、ヨウ化銅(I)15mg、トリエチルアミン1.0mlのTHF4.0ml混合物に、PdCl(dppf)CHCl33mgを加え、窒素置換した後、50℃にて30分撹拌した。反応液に酢酸エチルと水を加え、有機層を分離した。有機層を飽和食塩水で洗浄したのち、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、表題化合物を無色アモルファスとして133mg得た。物性値:m/z[M+H] 482.4
【0393】
(工程4)(S)−tert−ブチル 3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−1−イル)ピロリジン−1−カルボキシレートの合成
窒素雰囲気下、上記工程3で得られた(S)−tert−ブチル 3−(4−クロロ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−1−イル)ピロリジン−1−カルボキシレート120mg、2,2’−ビス(ジフェニルフォスヒィノ)−1,1’−ビナフタレン(BINAP)26mg、tert−ブトキシナトリウム72mg、ベンゾフェノンイミン92mg、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム36mgをトルエン10mlに懸濁させ、115℃にて90分間撹拌した。酢酸エチルで希釈後セライトろ過し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣に、ヒドロキシアミン塩酸塩366mg、炭酸水素ナトリウム442mg、メタノール16ml、水4mlを加え、室温にて2時間撹拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルと飽和食塩水を加え、有機層を分離した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、表題化合物を無色アモルファスとして35mg得た。物性値:m/z[M+H] 463.4
【0394】
(工程5)実施例化合物73の合成
実施例1(工程4)に準じ、tert−ブチル 3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−カルボキシレートの代わりに、上記工程3で得られた(S)−tert−ブチル 3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−1−イル)ピロリジン−1−カルボキシレートを用いることにより、表題化合物を白色固体として得た。物性値を表19に示す。
【0395】
参考例1
(R)−1−(3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(参考例化合物1)の合成
国際公開WO2008/121742号パンフレットに記載の方法に準じて合成した。物性値を表20に示す。
【0396】
参考例2
3−シクロブチル−1−(フェニルエチニル)イミダゾ[1,5−a]ピラジン−8−アミン(参考例化合物2)の合成
国際公開WO2007/087395号パンフレットに記載の方法に準じて合成した。物性値を表20に示す。
【0397】
参考例3
(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパン−1−オン(参考例化合物3)の合成
実施例1に準じ、(S)−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1−(ピロリジン−3−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミンとプロピオニルクロリドを用いることにより、表題化合物を白色固体として得た。物性値を表20に示す。
【0398】
参考例4
(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジイソプロピルフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン(参考例化合物4)の合成
(工程1)1−エチニル−3,5−ジイソプロピルベンゼンの合成
トリメチルシリルアセチレン589mg、1−ブロモ−3,5−ジイソプロピルベンゼン480mg、ヨウ化銅(I)76mg、トリエチルアミン0.11mlのTHF4ml混合物に、PdCl(dppf)CHCl163mgを加え、窒素置換した後、80℃にて4時間撹拌した。反応液に酢酸エチルと水を加え、有機層を分離し無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣に2%水酸化カリウムのメタノール溶液を10ml加え室温にて終夜撹拌した。反応液にクロロホルムと水を加え、有機層を分離し無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)にて精製し、表題化合物を黄色油状物質として181mg得た。
【0399】
(工程2)(S)−tert−ブチル 3−(4−アミノ−3−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−カルボキシレートの合成
3−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン446mg、(R)−tert−ブチル 3−(メチルスルホニルオキシ)ピロリジン−1−カルボキシレート450mg、炭酸カリウム692mgのDMF5.0ml懸濁溶液を85℃にて6時間撹拌した。酢酸エチルと水を加え有機層を分離した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を減圧留去し、得られた残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、表題化合物を淡黄色アモルファスとして354mg得た。物性値:m/z[M+H] 431.1
【0400】
(工程3)(S)−tert−ブチル 3−(4−アミノ−3−((3,5−ジイソプロピルフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−カルボキシレートの合成
上記工程1で得られた1−エチニル−3,5−ジイソプロピルベンゼン56mg、上記工程2で得られた(S)−tert−ブチル 3−(4−アミノ−3−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−カルボキシレート43mg、ヨウ化銅(I)3.8mg、トリエチルアミン0.2mlのTHF2.0ml混合物に、PdCl(dppf)CHCl8.2mgを加え、窒素置換した後、80℃にて1.5時間撹拌した。反応液に酢酸エチルと水を加え、有機層を分離した。有機層を飽和食塩水で洗浄したのち、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、表題化合物を無色アモルファスとして42mg得た。物性値:m/z[M+H] 489.2
【0401】
(工程4)(S)−3−((3,5−ジイソプロピルフェニル)エチニル)−1−(ピロリジン−3−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミンの合成
実施例66(工程7)に準じ、(2S,4S)−1−tert−ブチル 2−メチル 4−(4−アミノ−5−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)ピロリジン−1,2−ジカルボキシレートの代わりに上記工程3で得られた(S)−tert−ブチル 3−(4−アミノ−3−((3,5−ジイソプロピルフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−カルボキシレートを用いることにより表題化合物を淡黄色アモルファスとして得た。
【0402】
(工程5)参考例化合物4の合成
実施例4に準じ、(S)−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1−(ピロリジン−3−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミンの代わりに上記工程4で得られた(S)−3−((3,5−ジイソプロピルフェニル)エチニル)−1−(ピロリジン−3−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミンを用い表題化合物を淡黄色アモルファスとして得た。物性値を表20に示す。
【0403】
参考例5
(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3−メトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン(参考例化合物5)の合成
(工程1)(S)−1−(3−(4−アミノ−3−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エン−1−オンの合成
参考例4(工程2)で得られた(S)−tert−ブチル 3−(4−アミノ−3−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−カルボキシレート488mgに4N−塩酸/1,4−ジオキサン4mlを加え一時間撹拌し、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣に、4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エン酸 塩酸塩281mg、HATU647mgのDMF5.0ml溶液を加え、さらにDIPEA 0.78ml加え終夜撹拌した。反応液を減圧下濃縮し、得られた残渣にクロロホルム50mlとエタノール50mlを加え、不溶物をろ過により除去した。ろ液を減圧下濃縮し、得られた残渣を酢酸エチル5.0mlで洗浄後乾燥し、表題化合物の粗生成物を458mg得た。物性値:m/z[M+H] 442.0
【0404】
(工程2)参考例化合物5の合成
上記工程1で得られた(S)−1−(3−(4−アミノ−3−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン8.0mg、1−エチニル−3−メトキシベンゼン4.0mg、ヨウ化銅(I)0.6mg、トリエチルアミン8.6μlのTHF1.0ml混合物に、PdCl(dppf)CHCl1.3mgを加え、窒素置換した後、80℃にて終夜撹拌した。反応液を酢酸エチルとメタノールで希釈、得られた希釈溶液を塩基性シリカゲルで処理した後濃縮した。得られた残渣を逆相分取HPLC精製(水/アセトニトリル(0.1%ギ酸))にて精製し、表題化合物を無色アモルファスとして1.4mg得た。物性値を表20に示す。
【0405】
参考例6
(S)−N−(3−((4−アミノ−1−(1−(4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エノイル)ピロリジン−3−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−3−イル)エチニル)フェニル)アセトアミド(参考例化合物6)の合成
参考例5に準じ、1−エチニル−3−メトキシベンゼンの代わりにN−(3−エチニルフェニル)アセトアミドを用いて、表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表20に示す。
【0406】
参考例7
(S)−1−(3−(4−アミノ−3−(ピリジン−3−イルエチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン(参考例化合物7)の合成
参考例5に準じ、1−エチニル−3−メトキシベンゼンの代わりに3−エチニルピリジンを用いて、表題化合物を無色アモルファスとして得た。物性値を表20に示す。
【0407】
【表1】
【0408】
【表2】
【0409】
【表3】
【0410】
【表4】
【0411】
【表5】
【0412】
【表6】
【0413】
【表7】
【0414】
【表8】
【0415】
【表9】
【0416】
【表10】
【0417】
【表11】
【0418】
【表12】
【0419】
【表13】
【0420】
【表14】
【0421】
【表15】
【0422】
【表16】
【0423】
【表17】
【0424】
【表18】
【0425】
【表19】
【0426】
【表20】
【0427】
試験例1 FGFR2キナーゼ活性阻害作用の測定
FGFR2キナーゼ活性に対する阻害活性測定法の条件設定において、キャリパーライフサイエンス社のFL−Peptide 22を基質として用いた。試験に用いた精製リコンビナントヒトFGFR2蛋白質はカルナバイオサイエンス社から購入した。化合物の阻害活性測定においては、まず、被検化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)で終濃度の20倍の濃度になるように段階希釈した。次に、反応用緩衝液(15mM Tris−HCl pH7.5,0.01% Tween−20,2mM DTT)中に精製ヒトFGFR2蛋白質、FL−Peptide 22(終濃度は1.5μM)、塩化マグネシウム(終濃度は5mM)、ATP(終濃度は75μM)と被検化合物DMSO溶液(DMSOの終濃度は5%)を加えて25℃で120分間インキュベーションしキナーゼ反応を行った。そこへキャリパーライフサイエンス社のSeparation Bufferにて希釈したEDTA(終濃度は30mM)を加えてキナーゼ反応を停止させた。最後に、LabChip(登録商標)3000システム(キャリパーライフサイエンス社、励起波長488nm、検出波長530nm)でリン酸化体ペプチドと非リン酸化体ペプチドを分離し各々の量を測定し、その量比からリン酸化反応量を求め、リン酸化反応を50%抑制することのできる化合物濃度をIC50値(nM)と定義した。結果を表21に示す。
【0428】
結果、被検化合物に代表されるジアルコキシベンゼンエチニル基及びα、β不飽和アミドの部分構造を有する本発明化合物はいずれも高いFGFR2阻害活性を発現した。これに対し、ジアルコキシベンゼンエチニル基及びα、β不飽和アミドの部分構造を有さない参考例化合物ではFGFR2阻害活性は著しく低かった。
【0429】
【表21】
【0430】
試験例2 FGFRを高発現するヒト由来胃癌細胞株に対する細胞増殖抑制効果
FGFR2受容体を過剰発現するヒト由来胃癌細胞株OCUM−2MD3細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS)を含むダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中で、80%を超えない細胞密度で日常的に継代した。細胞増殖抑制活性の試験を開始するため、OCUM−2MD3細胞を上記DMEM培地中に懸濁し、96ウェル平底プレートの各ウェルに1ウェルあたりの細胞数が3,000個となるように播種した後、5%炭酸ガス含有の培養器中37℃で1日間培養した。翌日、被検化合物をDMSOで終濃度の100倍の濃度になるように段階希釈した。被検化合物のDMSO溶液を培養に用いた培地で希釈し、これを細胞の培養プレートの各ウェルにDMSOの最終濃度が0.5%になるように加え、5%炭酸ガス含有の培養器中37℃で72時間培養した。被検化合物の添加時及び72時間培養後の細胞数の計測は、セルカウンティングキット−8(同仁化学社製)を用いて、同仁化学社の推奨するプロトコールに基づき実施した。キット含有の試薬を各プレートに添加し、5%炭酸ガス含有の培養器中37℃で所定の時間呈色反応を行った。反応終了後、マイクロプレートリーダーを用いて、波長450nmにおける吸光度計測を行った。以下の式より増殖阻害率を算出し、50%阻害する被検化合物の濃度(GI50(nM))を求めた。結果を表22に示す。
【0431】
結果、被検化合物に代表される本発明化合物は、いずれもヒト由来胃癌細胞株OCUM−2MD3細胞に対して高い増殖抑制作用を示した。
増殖阻害率(%)=(C−T)/(C−C0)X 100
T:被検化合物を添加したウェルの吸光度
C:被検化合物を添加しなかったウェルの吸光度
C0:化合物添加前に測定したウェルの吸光度
【0432】
【表22】
【0433】
試験例3 FGFR1キナーゼ活性阻害作用の測定
FGFR1キナーゼ活性に対する阻害活性測定法の条件設定において、キャリパーライフサイエンス社のFL−Peptide 22を参考に、そのアミノ酸配列にビオチン修飾を付加したビオチン化ペプチド(biotin−EEPLYWSFPAKKK)を合成して基質として用いた。試験に用いた精製リコンビナントヒトFGFR1蛋白質はカルナバイオサイエンス社から購入した。化合物の阻害活性測定においては、まず、被検化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)で終濃度の20倍の濃度になるように段階希釈した。次に、反応用緩衝液(15mM Tris−HCl pH7.5,0.01% Tween−20,2mM DTT)中に精製ヒトFGFR1蛋白質、基質ペプチド(終濃度は250nM)、塩化マグネシウム(終濃度は5mM)、ATP(終濃度は190μM)と被検化合物DMSO溶液(DMSOの終濃度は5%)を加えて25℃で120分間インキュベーションしキナーゼ反応を行った。そこへ終濃度40mMになるようEDTAを加えることで反応を停止させた後、Euラベル化抗リン酸化チロシン抗体PT66(PerkinElmer)とSureLight APC−SA(PerkinElmer)を含む検出液を添加し室温で2時間以上静置した。最後に、PHERAstar FS(BMG LABTECH)で波長337nmの励起光照射時における蛍光量を620nmと665nmの二波長で測定した。二波長の蛍光量比からリン酸化反応量を求め、リン酸化反応を50%抑制することのできる化合物濃度をIC50値(nM)と定義し以下の表に示した。結果を表23に示す。
【0434】
試験例4 FGFR3キナーゼ活性阻害作用の測定
FGFR3キナーゼ活性に対する阻害活性測定は試験例3の方法に準じて行った。精製リコンビナントヒトFGFR3蛋白質はカルナバイオサイエンス株式会社より購入した。ATPの終濃度は50μMとした。結果を表23に示す。
【0435】
試験例5 FGFR4キナーゼ活性阻害作用の測定
FGFR4キナーゼ活性に対する阻害活性測定は試験例3の方法に準じて行った。精製リコンビナントヒトFGFR4蛋白質はカルナバイオサイエンス株式会社より購入した。ATPの終濃度は200μMとした。結果を表23に示す。
【0436】
試験例3〜5の結果、被検化合物に代表される本発明化合物はいずれも、FGFR1、3、4に対しても高い阻害活性を示し、pan−FGFR阻害剤であることが判明した。
【0437】
【表23】
【0438】
試験例6 間歇投与による血中リン濃度上昇の抑制と全身性毒性の軽減
生後9週齢の雌性SDラットを各群の平均体重が均等になるように6群に割り付けた。この群分け(n=3)を実施した日をday 1とした。実施例化合物2は、15、30及び100mg/kg/dayとなるよう調製し、経口でday 1から連日投与、および間歇投与を行った(表24)。
【0439】
day1、 5、 9、 15に、設定した各群で採血(約100μL/匹)を実施し、血中リン濃度の測定を行った。各ポイントでの採血は、その日の化合物投与前に実施した。血中リン濃度の測定結果を図1に、day 1の血中リン濃度を1としたときの相対的リン濃度を図2に示した。図2において、*印は各測定日のコントロール群に対して統計学的有意差(Dunnett’s test,p<0.05)が認められたことを示す。投与期間中の毒性の指標として経時的に体重[body weight:BW(g)]を測定し、day 1に対する最終評価日までの平均体重変化率[body weight change:BWC(%)]を下記式により算出した(n:2回/週で実施する体重測定日であり、最終測定日は最終評価日であるday15に該当する)。結果を図3に示した。*印は各群の最終測定日において、コントロール群に対して統計学的有意差(Dunnett’s test,p<0.05)が認められたことを示す。
BWC(%)=[(Day nにおけるBW)−(Day 1におけるBW)]/(Day 1におけるBW)×100
【0440】
【表24】
【0441】
試験例7 ラットにおける間歇投与スケジュールでの抗腫瘍効果
ヒト胃癌株(OCUM−2MD3)を生後6週齢の雄性ヌードラットの右側胸部に移植した。腫瘍移植後に腫瘍の長径(mm)及び短径(mm)を測定し、腫瘍体積(tumor volume:TV)を算出後、各群の平均TVが均等になるように各群にラットを割り付け、この群分け(n=5)を実施した日をday 0とした。実施例化合物2を3mg/kg/day、30mg/kg/day、100mg/kg/dayとなるように調製し、3mg/kg/dayは連日経口投与、30mg/kg/dayは隔日で経口投与、100mg/kg/dayは2回/週の経口投与をday 1から行い、14日間の評価期間を設け、最終評価日をday 15とした。
【0442】
抗腫瘍効果の指標として、各群でday 15におけるTVを測定し、下記式により、day 0に対する相対腫瘍体積(relative tumor volume:RTV)を算出して抗腫瘍効果を評価した。効果の評価判定は、投与群の平均RTV値がコントロール投与群の平均RTV値より統計学的に有意(Dunnett’s test,p<0.05)に小さい場合に抗腫瘍効果ありとして判定した。結果を図4に示す。図中、*印はコントロール群に対して統計学的有意差が認められたことを示す。
TV(mm)=(長径×短径)/2
RTV=(Day 15におけるTV)/(Day 0におけるTV)
【0443】
試験例8 マウスにおける間歇投与スケジュールでの抗腫瘍効果
ヒト胃癌株(SNU−16)を生後6週齢の雄性ヌードマウスの右側胸部に移植した。腫瘍移植後に腫瘍の長径(mm)及び短径(mm)を測定し、TVを算出後、各群の平均TVが均等になるように各群にマウスを割り付け、この群分け(n=6)を実施した日をday 0とした。実施例化合物2を100mg/kg/day、350mg/kg/day、700mg/kg/dayとなるように調製し、100mg/kg/dayは連日経口投与、350mg/kg/dayは2回/週の経口投与、700mg/kg/dayは1回/週の経口投与をday 1から行い、14日間の評価期間を設け、最終評価日をday 15とした。
【0444】
抗腫瘍効果の指標として、各群でday 15におけるTVを測定し、day に対するRTVを算出して抗腫瘍効果を評価した。効果の評価判定は、投与群の平均RTV値が個々のコントロール群の平均RTV値より統計学的に有意(Dunnett’s test,p<0.05)に小さい場合に抗腫瘍効果ありとして判定した。結果を図5に示す。図中、*印はコントロール群に対して統計学的有意差が認められたことを示す。
投与期間中の毒性の指標として経時的にBW(g)を測定し、day に対する最終評価日までのBWC(%)を算出した。結果を図6に示した。*印は最終測定日において、コントロール群に対して統計学的有意差(Dunnett’s test,p<0.05)が認められたことを示す。
【0445】
考察
図1、2から明らかなように、実施例化合物2の投与後の血中リン濃度推移は、15mg/kg/day、および30mg/kg/dayの連日投与群では、day 1の初回投与前と比較し、血中リン濃度のトラフ値がそれぞれおよそ1.3倍、1.7倍上昇し、それぞれの最終評価日まで持続した。一方、30mg/kg/dayの間歇投与群(隔日投与)の血中リン濃度は、初回投与前と同程度であり、トラフ値の上昇を認めなかった。100mg/kg/dayの間歇投与群(2回/週)については、初回投与前の血中リン濃度測定は実施していないが、最終評価日(day 15)の結果はコントロール群と同等であり、トラフ値の上昇の持続がないことが示された。このことから、間歇投与では連日投与に比べて、持続的な血中リン濃度上昇が回避されることが示された。
【0446】
この時の体重推移の結果を図3に示した。化合物投与による体重への影響は、15mg/kg/dayの14日間連日投与群で体重増加抑制、30mg/kg/dayの8日間連日投与群では体重減少が認められた。一方、間歇投与群では、いずれの群もコントロール群と同様に体重増加が認められた。このことから連日投与よりも間歇投与の方が、体重への影響が少ないことが示された。
【0447】
ラットにおける間歇投与での実施例化合物2の抗腫瘍効果について、図4に示した。いずれの試験化合物投与群も評価期間中にすべての動物で腫瘍消失が認められ、間歇投与においても連日投与と同程度の抗腫瘍効果を発揮できることが示された。
【0448】
マウスにおける間歇投与での実施例化合物2の抗腫瘍効果について、図5に示した。コントロール群と比較して有意に抗腫瘍効果を示したのは、100mg/kg/dayの連日投与群、350mg/kg/dayの間歇投与群(2回/週)であり、700mg/kg/dayの間歇投与群(1回/週)は有意な抗腫瘍効果を示さなかった。また、この350mg/kg/dayの間歇投与群(2回/週)と100mg/kg/dayの連日投与群の抗腫瘍効果を比較したところ(student−t test)、2群間で有意差は認めず、抗腫瘍効果は同等であることが示された。
この時の体重推移の結果を図6に示した。化合物投与による体重への影響は、100mg/kg/dayの連日投与群で体重減少が観察され、また死亡例が1例で認められた。一方、350mg/kg/dayの間歇投与群(2回/週)、700mg/kg/dayの間歇投与群(1回/週)ではコントロール群と同様の体重推移を示した。これらの結果より、間歇投与で体重抑制なく抗腫瘍効果を示すのは350mg/kg/dayの2回/週の経口投与群であった。
【0449】
以上の結果から、一般式(I)で表される3,5−二置換ベンゼンアルキニル化合物及びその塩は、隔日投与や2回/週の間歇投与のような適度な間隔で投与することにより、血中リン濃度の持続的な上昇と体重抑制を軽減し、かつ連日投与と同程度の抗腫瘍効果を発揮した。FGFR阻害を有する化合物を間歇で投与する投与方法は、臨床での治療においてもFGFR阻害に起因する毒性を回避しつつ、抗腫瘍効果を発揮する非常に有用な手法となることが十分期待される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6