特許第6084309号(P6084309)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ニヴァロックス−ファー ソシエテ アノニムの特許一覧

特許6084309気候変動に対する感応性が抑えられた共振器
<>
  • 特許6084309-気候変動に対する感応性が抑えられた共振器 図000002
  • 特許6084309-気候変動に対する感応性が抑えられた共振器 図000003
  • 特許6084309-気候変動に対する感応性が抑えられた共振器 図000004
  • 特許6084309-気候変動に対する感応性が抑えられた共振器 図000005
  • 特許6084309-気候変動に対する感応性が抑えられた共振器 図000006
  • 特許6084309-気候変動に対する感応性が抑えられた共振器 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6084309
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】気候変動に対する感応性が抑えられた共振器
(51)【国際特許分類】
   G04B 17/06 20060101AFI20170213BHJP
   G04B 17/22 20060101ALI20170213BHJP
   H03H 9/19 20060101ALI20170213BHJP
【FI】
   G04B17/06 Z
   G04B17/22 Z
   H03H9/19 A
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-555759(P2015-555759)
(86)(22)【出願日】2014年2月13日
(65)【公表番号】特表2016-513244(P2016-513244A)
(43)【公表日】2016年5月12日
(86)【国際出願番号】EP2014052833
(87)【国際公開番号】WO2014146833
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2015年8月3日
(31)【優先権主張番号】13159870.8
(32)【優先日】2013年3月19日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599040492
【氏名又は名称】ニヴァロックス−ファー ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】キュザン,ピエール
(72)【発明者】
【氏名】エスレ,ティエリ
(72)【発明者】
【氏名】サリフ,ファトミール
(72)【発明者】
【氏名】ブロシェ,リュシー
【審査官】 藤田 憲二
(56)【参考文献】
【文献】 スイス国特許出願公開第00699780(CH,A3)
【文献】 特開2007−256290(JP,A)
【文献】 特開2011−259426(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 17/06,17/22
H03H 9/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱補償機能付きばね仕掛けバランス共振器のための補償機能付きバランスばね(1)であって、
少なくとも1つの非金属材料(11a、11b、13b、15b、11c、17c、19c、11d、13d、15d、17d、19d、11e、13e、15e、17e、19e、11f、21f)で形成され、かつ、石英を含有するコア(9a、9b、9c、9d、9e、9f)を有し、
前記コア(9a、9b、9c、9d、9e、9f)は、水分に対して耐性及び不浸透性を有する層(7)の少なくとも1つで部分的に被覆されており、この層は、クロムで作られており
これによって、当該補償機能付きバランスばね(1)の気候変動に対する感応性が抑えられる
ことを特徴とする補償機能付きバランスばね(1)。
【請求項2】
熱補償機能付きばね仕掛けバランス共振器のための補償機能付きバランスばね(1)であって、
少なくとも1つの非金属材料(11a、11b、13b、15b、11c、17c、1
9c、11d、13d、15d、17d、19d、11e、13e、15e、17e、19e、11f、21f)で形成され、かつ、石英を含有するコア(9a、9b、9c、9d、9e、9f)を有し、
前記コア(9a、9b、9c、9d、9e、9f)は、水分に対して耐性及び不浸透性を有する層(7)の少なくとも1つで部分的に被覆されており、この層は、チタンで作られており、
これによって、当該補償機能付きバランスばね(1)の気候変動に対する感応性が抑えられる
ことを特徴とする補償機能付きバランスばね(1)。
【請求項3】
熱補償機能付きばね仕掛けバランス共振器のための補償機能付きバランスばね(1)であって、
少なくとも1つの非金属材料(11a、11b、13b、15b、11c、17c、19c、11d、13d、15d、17d、19d、11e、13e、15e、17e、19e、11f、21f)で形成され、かつ、石英を含有するコア(9a、9b、9c、9d、9e、9f)を有し、
前記コア(9a、9b、9c、9d、9e、9f)は、水分に対して耐性及び不浸透性を有する層(7)の少なくとも1つで部分的に被覆されており、この層は、タンタルで作られており
これによって、当該補償機能付きバランスばね(1)の気候変動に対する感応性が抑えられる
ことを特徴とする補償機能付きバランスばね(1)。
【請求項4】
熱補償機能付きばね仕掛けバランス共振器のための補償機能付きバランスばね(1)であって、
少なくとも1つの非金属材料(11a、11b、13b、15b、11c、17c、19c、11d、13d、15d、17d、19d、11e、13e、15e、17e、19e、11f、21f)で形成され、かつ、ケイ素を含有するコア(9a、9b、9c、9d、9e、9f)を有し、このコア上には、二酸化ケイ素の被覆が少なくとも部分的に形成されており、
前記コア(9a、9b、9c、9d、9e、9f)は、水分に対して耐性及び不浸透性を有する層(7)の少なくとも1つで部分的に被覆されており、この層は、クロムで作られており
これによって、当該補償機能付きバランスばね(1)の気候変動に対する感応性が抑えられる
ことを特徴とする補償機能付きバランスばね(1)。
【請求項5】
熱補償機能付きばね仕掛けバランス共振器のための補償機能付きバランスばね(1)であって、
少なくとも1つの非金属材料(11a、11b、13b、15b、11c、17c、19c、11d、13d、15d、17d、19d、11e、13e、15e、17e、19e、11f、21f)で形成され、かつ、ケイ素を含有するコア(9a、9b、9c、9d、9e、9f)を有し、このコア上には、二酸化ケイ素の被覆が少なくとも部分的に形成されており、
前記コア(9a、9b、9c、9d、9e、9f)は、水分に対して耐性及び不浸透性を有する層(7)の少なくとも1つで部分的に被覆されており、この層は、チタンで作られており
これによって、当該補償機能付きバランスばね(1)の気候変動に対する感応性が抑えられる
ことを特徴とする補償機能付きバランスばね(1)。
【請求項6】
熱補償機能付きばね仕掛けバランス共振器のための補償機能付きバランスばね(1)であって、
少なくとも1つの非金属材料(11a、11b、13b、15b、11c、17c、19c、11d、13d、15d、17d、19d、11e、13e、15e、17e、19e、11f、21f)で形成され、かつ、ケイ素を含有するコア(9a、9b、9c、9d、9e、9f)を有し、このコア上には、二酸化ケイ素の被覆が少なくとも部分的に形成されており、
前記コア(9a、9b、9c、9d、9e、9f)は、水分に対して耐性及び不浸透性を有する層(7)の少なくとも1つで部分的に被覆されており、この層は、タンタルで作られており
これによって、当該補償機能付きバランスばね(1)の気候変動に対する感応性が抑えられる
ことを特徴とする補償機能付きバランスばね(1)。
【請求項7】
熱補償機能付きばね仕掛けバランス共振器のための補償機能付きバランスばね(1)であって、
少なくとも1つの非金属材料(11a、11b、13b、15b、11c、17c、19c、11d、13d、15d、17d、19d、11e、13e、15e、17e、19e、11f、21f)で形成され、かつ、ドープされたケイ素を含有するコア(9a、9b、9c、9d、9e、9f)を有し、このコア上には、二酸化ケイ素の被覆が少なくとも部分的に形成されており、
前記コア(9a、9b、9c、9d、9e、9f)は、水分に対して耐性及び不浸透性を有する層(7)の少なくとも1つで部分的に被覆されており、この層は、クロムで作られており
これによって、当該補償機能付きバランスばね(1)の気候変動に対する感応性が抑えられる
ことを特徴とする補償機能付きバランスばね(1)。
【請求項8】
熱補償機能付きばね仕掛けバランス共振器のための補償機能付きバランスばね(1)であって、
少なくとも1つの非金属材料(11a、11b、13b、15b、11c、17c、19c、11d、13d、15d、17d、19d、11e、13e、15e、17e、19e、11f、21f)で形成され、かつ、ドープされたケイ素を含有するコア(9a、9b、9c、9d、9e、9f)を有し、このコア上には、二酸化ケイ素の被覆が少なくとも部分的に形成されており、
前記コア(9a、9b、9c、9d、9e、9f)は、水分に対して耐性及び不浸透性を有する層(7)の少なくとも1つで部分的に被覆されており、この層は、チタンで作られており
これによって、当該補償機能付きバランスばね(1)の気候変動に対する感応性が抑えられる
ことを特徴とする補償機能付きバランスばね(1)。
【請求項9】
熱補償機能付きばね仕掛けバランス共振器のための補償機能付きバランスばね(1)であって、
少なくとも1つの非金属材料(11a、11b、13b、15b、11c、17c、19c、11d、13d、15d、17d、19d、11e、13e、15e、17e、19e、11f、21f)で形成され、かつ、ドープされたケイ素を含有するコア(9a、9b、9c、9d、9e、9f)を有し、このコア上には、二酸化ケイ素の被覆が少なくとも部分的に形成されており、
前記コア(9a、9b、9c、9d、9e、9f)は、水分に対して耐性及び不浸透性を有する層(7)の少なくとも1つで部分的に被覆されており、この層は、タンタルで作られており
これによって、当該補償機能付きバランスばね(1)の気候変動に対する感応性が抑えられる
ことを特徴とする補償機能付きバランスばね(1)。
【請求項10】
前記水分に対して耐性及び不浸透性を有する層(7)の厚みは、50nm未満である
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の補償機能付きバランスばね(1)。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の補償機能付きバランスばね(1)と連係しているバランスを有する
ことを特徴とする計時器用の熱補償機能付き共振器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱補償機能付きばね仕掛けバランス共振器に関する。これにおいて、補償機能付きバランスばねは、気候変動に対する感応性が抑えられている。
【背景技術】
【0002】
計時器用ムーブメントに対して厳しい凝結試験を行うことによって、ムーブメントの動作が影響を受けることが明らかになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、気候変動に対する感応性が低い非金属コアをバランスばねに設けることによって、前記課題のすべて又は一部を克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、本発明は熱補償機能付きばね仕掛けバランス共振器用の補償機能付きバランスばねに関する。これは、少なくとも1つの非金属材料で形成されるコアを有する。この非金属材料は、石英又はドープされたケイ素(又はドープされていないケイ素)を含有する。この非金属材料上に、二酸化ケイ素の被覆が少なくとも部分的に形成される。コアは、水分に対して耐性及び不浸透性を有する層で部分的に被覆されている。このようにして、当該補償機能付きバランスばねの気候変動に対する感応性が抑えられる。
【0005】
このように、厳しい凝結の場合においても、補償機能付きバランスばねの動作に問題が発生することが減る。これによって、バランスと連係して行われる共振器の全体的な動作は、まったく又は少ししか影響を受けない。
【0006】
本発明の他の有利な特徴によると、
− 水分に対して耐性及び不浸透性を有する層の厚みは、50nm未満である。
− 水分に対して耐性及び不浸透性を有する層は、クロム、チタン又はタンタルを含有する。
【0007】
また、本発明は、他の変種のいずれかに記載の補償機能付きバランスばねと連係するようなバランスを有する計時器用の熱補償機能付き共振器に関する。
【0008】
他の特徴及び利点が、以下の添付図面を参照する説明(例としてのみ示している)によって、以下の説明から明白に理解することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る補償機能付きバランスばねを示す。
図2】本発明の変種に係る補償機能付きバランスばねの断面図を示す。
図3】本発明の変種に係る補償機能付きバランスばねの断面図を示す。
図4】本発明の変種に係る補償機能付きバランスばねの断面図を示す。
図5】本発明の変種に係る補償機能付きバランスばねの断面図を示す。
図6】本発明の変種に係る補償機能付きバランスばねの断面図を示す。
図7】本発明の変種に係る補償機能付きバランスばねの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
厳しい凝結に応じた計時器用ムーブメントのふるまいを定める研究を行った。これは、露点を急激に超えさせることによって行い、例えば、80%より上の湿度を維持して少なくとも15℃温度を下げることによって行った。
【0011】
ばね仕掛けバランス共振器の補償機能付きバランスばねが、結晶性又は非晶質の酸化ケイ素で少なくとも部分的に形成される場合に特に、計時器の動作が影響されることが実証されている。この種の補償機能付きバランスばねは、例えば、ドープされている又はドープされていない結晶ケイ素で形成することができる。この結晶ケイ素の上には、二酸化ケイ素の被覆又は石英が少なくとも部分的に形成される。
【0012】
また、補償機能付きバランスばねの上に水分に対する部分的な隔壁を設けることによって、厳しい凝結の影響を最小化することができることが研究によって実証されている。この隔壁は、結晶性又は非晶質の酸化ケイ素を含有する。
【0013】
結果的に、本発明は、熱補償機能付きばね仕掛けバランス共振器用の補償機能付きバランスばねに関し、これは、少なくとも1つの非金属材料で形成されるコアを有する。本発明によると、好ましくは、コアは、防湿層で部分的に被覆されている。防湿とは、すなわち、水分に対して耐性及び不浸透性を有することである。これによって、補償機能付きバランスばねの気候変動に対する感応性が抑えられる。
【0014】
本発明によると、「部分的に被覆されている」コアとは、全体的に被覆されてはいないことを意味する。すなわち、コアの一部だけが被覆されており、例えば、一又は複数の面のみ、又は1つの面の一部のみが被覆されているような場合である。しかし、バランスばね全体を被覆せずに酸化部分の最大量が被覆されていることが好ましい。
【0015】
本発明によると、防湿層の厚みは、バランスばねの動作に機械的に影響を与えないようにするために、50nm未満、好ましくは、約10nm未満である。また、防湿層の厚みは、数μm以下であることができ、その場合には,ばね仕掛けバランス共振器の熱補償について考慮に入れなければならない。
【0016】
また、防湿層は、導電性であって磁界に対して感応性が低く不感応性であることが望ましい。例えば、反磁性、反強磁性、常磁性についてである。
【0017】
例えば、防湿層は、クロム、チタン、タンタル、アルミニウム、ジルコニウム、アルミナ、酸化クロム、クロムタングステン、PTFE又は窒化ケイ素(Si34)を含有することができる。しかし、クロム、チタン、タンタル又はそれらの合金が好ましい。最良の結果を示すからである。
【0018】
図1〜7は、本発明によって得られるバランスばね1の変種を示しており、これは、バランスと連係する共振器を熱的に補償するように意図されている。補償機能付きバランスばね1は、好ましくは、コレット3を有し、これは、いくつもの巻きに巻かれた細長片5と一体的になっている。本発明によると、補償機能付きバランスばね1の少なくとも1つの細長片5は、層7で部分的にのみ被覆され、この層7は、水分に対する隔壁となる。
【0019】
細長片5は、長さl、厚みe、及び高さhを有する。この細長片5は、少なくとも1つの材料11、11b、13b、15b、11c、17c、19c、11d、13d、15d、17d、19d、11e、13e、15e、17e、19e、11f、21fで作られたコア9a、9b、9c、9c、9e、9fを有する。
【0020】
図2〜7の変種によると、コア9a、9b、9c、9d、9e、9fは、石英のような単一の材料11aで形成することができ、又はいくつかの材料11b、13b、15b、11c、17c、19c、11d、13d、15d、17d、19d、11e、13e、15e、17e、19e、11f、21fで形成することができる。
【0021】
コア9b、9c、9d、9e、9fがいくつかの材料で形成される場合は、バランスばね1の細長片5が防湿性(すなわち、水分に対して耐性及び不浸透性を有する性質)を有する層7で部分的に被覆される前に、いくつかの材料で、全体的に被覆することができ(11d、13d、15d、17d、19d、11e、13e、15e、17e、19e、11f、21f)、又は部分的に被覆することができる(11b、13b、15b、11c、17c、19c)。
【0022】
各被覆13b、15b、17c、19c、13d、15d、17d、19d、13e、15e、17e、19eは、同じ種類や同じ厚みであってもなくてもよい。例えば、コア9b、9c、9d、9e、9fは、ドープされている又はドープされていないケイ素11b、11c、11d、11e、11fを有することができ、その上には、少なくとも部分的に、二酸化ケイ素の被覆13b、15b、17c、19c、13d、15d、17d、19d、13e、15e、17e、19e、21fが形成されている。
【0023】
図2〜7に示すように、部分的な被覆7を、バランスばね全体が被覆されずに、厚みeのすべて又は一部にわたって、及び/又は高さhのすべて又は一部にわたって、及び/又は長さlのすべて又は一部にわたって、施すことができる。しかし、図3及び4の場合のように、酸化された部分の最大量が被覆されていることが好ましい。これにおいて、酸化されていることが好ましい被覆13b、15b、17c、19cは、防湿性である層7によって保護されている。
【0024】
本発明は、さらに、熱補償機能付きばね仕掛けバランス共振器用の補償機能付きバランスばね1を作る方法に関する。この方法は、
a)少なくとも1つの材料11a、11b、13b、15b、11c、17c、19c、11d、13d、15d、17d、19d、11e、13e、15e、17e、19e、11f、21fで形成される熱補償されるコア9a、9b、9c、9d、9e、9fを有するバランスばねを形成するステップと、
b)防湿性である少なくとも1つの層7によってコア9a、9b、9c、9d、9e、9fを部分的に被覆して、これによって、バランスばね1の気候変動に対する感応性を抑えるステップと
を有する。
【0025】
本発明によると、ステップa)は、所望の平面においてバランスばねの所望のパターンをエッチングすることによって、コア9a、9b、9c、9d、9e、9fのすべて又は一部11a、11b、11c、11d、11e、11fを形成することて行うことができる。結晶ケイ素と石英の例においては、ステップa)を行うために、深掘り反応性イオンエッチング(DRIE)を思い描くことができる。
【0026】
もちろん、ステップa)は、さらに、第1の段階におけるエッチングで得られたバランスばねを部分的に又は全面的に被覆してコア9b、9c、9d、9e、9fを仕上げるような、第2の段階13b、15b、17c、19c、13d、15d、17d、19d、13e、15e、17e、19e、21fを少なくとも1つ有する。例えば、この第2の段階は、ステップa)の第1の段階においてドープされている又はドープされていない結晶ケイ素ウェーハがエッチングされている場合に、二酸化ケイ素を形成するように意図された熱酸化からなることができる。
【0027】
ステップb)によって、厚みが50nm未満、好ましくは約10nm未満である、少なくとも1つの防湿層7の堆積が可能になる。ステップb)は、任意の薄膜堆積方法によって行うことができる。例えば、気相成長法を用いて、好ましくは、クロム、チタン又はタンタル、又はこれらの合金の1つを堆積する。これらは、磁界に対して不感応性であるような導電性材料であることが好ましい。
【0028】
もちろん、本発明は、図示した例に制限されず、当業者が思い描くことができる様々な変種や変更を行うことができる。具体的には、水分に対する隔壁となることができるいずれの材料も思い描くことができ、クロム、チタン又はタンタル、又はこれらの合金の1つに限定されず、あるいは本明細書で言及している他の材料にも限定されない。
【0029】
また、防湿材料を、その特定の色に応じて選ぶことができる。これによって、バランスばねを見ることができる部分を有する計時器において、その美的外観を改善することができる。例えば、「スケルトン(透明)」の計時器、又は後蓋が透明な計時器である。
図1-2】
図3
図4
図5
図6
図7