(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記管理機器は、前記脈拍情報を受信すると前記電話番号毎に予め設定された外部送信先に、前記脈拍測定器の装着者を特定するための前記個人情報又は前記電話番号のうち少なくともどちらかを含む情報、及び前記脈拍情報を送信することを特徴とする請求項3に記載の脈拍監視装置。
前記脈拍センサによる脈拍の測定は、所定時間測定した後、所定時間測定を休止することを繰り返すことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の脈拍監視装置。
前記管理機器は、前記第1通信部における受信状態から算出された前記脈拍測定器の位置情報を受信し、前記位置情報を前記外部送信先に送信することを特徴とする請求項4ないし5のいずれか1項に記載の脈拍監視装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示されている技術では、同じ建物内に電話回線と接続した信号発生通報器を設置する必要があり、導入コストが増大するとともに、信号発生通報器がない屋外や外出先では使用できないという課題があった。また、当該技術では、脈拍信号の送受信に、いわゆる近距離無線通信が採用されると考えられるが、一般住宅より大きな介護施設等の建物の場合、建物内であっても近距離無線通信の電波が届かないことが多く、係る場合、アクセスポイントを設置することが必須であるという課題もあった。
【0007】
また、特許文献2に開示されている技術は、脈拍測定器は携帯電話等と通信を行なうのみで、脈拍測定器自体が携帯電話回線を通じて通信を行なうものではない。
【0008】
また、特許文献3に開示されている技術には、腕時計型の簡易携帯センサに携帯電話機能を備える旨が記載されているが、具体的にどのように携帯電話機能を腕時計型の簡易携帯センサに内蔵させるかの記載は見当たらない。
【0009】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、その課題は、腕時計型という小型な機器構成ながら携帯電話回線を用いた通信機能を有し、管理機器に直接脈拍情報を送出することで、電話回線に接続された中継用機器を必要とせず、そのまま設置先や外出先で運用可能な脈拍監視装置
及び脈拍監視装置の初期設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1) 本発明の脈拍監視装置は、
腕時計型の脈拍測定器で装着者の脈拍を測定し、測定した脈拍情報を管理機器に送信する脈拍監視装置において、
前記脈拍測定器は、
前記脈拍測定器が装着者に装着されたか否かを識別する装着センサと、
装着者の脈拍を測定し前記脈拍情報の1つとして脈拍データを出力する脈拍センサと、
前記脈拍情報を、携帯電話回線を通じて予め設定された前記管理機器に送出する、固有の電話番号を有する第1通信部とを備え、
前記管理機器は、
予め前記電話番号に関連付けされた前記脈拍測定器の装着者毎の脈拍正常値
及び個人情報を記憶し、
前記脈拍測定器の初期設定がなされることにより、前記携帯電話回線を通じて前記管理機器と前記第1通信部とで通信がなされ、前記電話番号に対応する装着者の前記脈拍正常値
及び個人情報が前記脈拍測定器に記憶されることを特徴とする。
【0011】
本発明の脈拍監視装置によれば、携帯電話回線を通じて外部に脈拍情報を送出できる第1通信部を備えるため、携帯電話の電波が届く場所であればどこでも運用可能であり、装着したそのときから使用が可能となる。また、第1通信部は携帯電話回線に接続され、初期設定により予め設定された管理機器とデータの送受信を行なう。この、脈拍測定器の初期設定によって、脈拍測定器に装着者の脈拍正常値
及び個人情報が記憶されるため、煩わしい初期設定が簡単にでき、高齢者等が使いやすいものとすることができる。なお、脈拍情報とは、脈拍数等を示す脈拍データと、後述する異常信号のいずれか、又は両方を含む情報を意図する。
【0012】
2) 本発明の脈拍監視装置の好ましい例は、
前記脈拍測定器は、前記脈拍データが異常か否かを判定し異常であれば前記脈拍情報の1つとして異常信号を出力する判定部をさらに備え、
前記第1通信部は、前記脈拍情報を前記管理機器に送出する、
ことを特徴とする。
【0013】
本発明の脈拍監視装置の好ましい例によれば、判定部が、脈拍データが異常か否かを判定し異常であれば脈拍情報の1つとして異常信号を出力するため、監視者が要介護者等の脈拍の異常に気付きやすくなる。また、脈拍測定器自体で脈拍の異常を判定することができるため、脈拍の正常時には脈拍情報を送出する必要がなくなる。これにより、第1通信部の稼働時間を少なくすることができ、脈拍測定器の省電力化を図ることができる。
【0014】
3) 本発明の脈拍監視装置の好ましい例は、
前記脈拍測定器が複数設けられ、
前記管理機器は、前記電話番号に関連付けされた前記脈拍測定器の装着者の個人情報を記憶し、前記脈拍情報を受信した際、前記脈拍測定器の装着者の特定を行なうことを特徴とする。
【0015】
本発明の脈拍監視装置の好ましい例によれば、脈拍情報を送出した脈拍測定器を電話番号により識別し、さらに当該脈拍測定器を装着している装着者を特定することができる。これにより、例えば、介護施設等で複数の要介護者の健康状態を少ない人数で監視することができ、人件費の低減を図ることができる。
【0016】
4) 本発明の脈拍監視装置の好ましい例は、
前記管理機器は、前記脈拍情報を受信すると前記電話番号毎に予め設定された外部送信先に、前記脈拍測定器の装着者を特定するための前記個人情報又は前記電話番号のうち少なくともどちらかを含む情報、及び前記脈拍情報を送信することを特徴とする。
【0017】
本発明の脈拍監視装置の好ましい例によれば、管理機器は、脈拍情報を受信すると電話番号毎に予め設定された外部送信先に、前記脈拍測定器の装着者を特定するための前記個人情報又は前記電話番号のうち少なくともどちらかを含む情報、及び脈拍情報を送信することができるため、例えば、複数の介護施設又は複数のフロア等を1つの管理機器で管理し、脈拍情報を受信したときは、当該脈拍情報を送出した脈拍測定器の装着者の入居する介護施設又はフロアに、脈拍情報と脈拍測定器の装着者を特定するための情報を送信することができ、運用コストのさらなる低減を図ることができる。また、任意の外部送信先に個別に送信することで、さらなる柔軟な運用も可能となり、在宅介護等においては、送信先を脈拍測定器の装着者の近親者等とすることもできる。
【0018】
5) 本発明の脈拍監視装置の好ましい例は、
前記脈拍センサによる脈拍の測定は、所定時間測定した後、所定時間測定を休止することを繰り返すことを特徴とする。
【0019】
本発明の脈拍監視装置の好ましい例によれば、脈拍の測定を間欠して行なうため、脈拍の測定をしない時間は、脈拍センサへの通電を止めることで消費電力の低減を図ることができ、バッテリの持続時間の延長や小型化を図ることができる。
【0020】
6) 本発明の脈拍監視装置の好ましい例は、
前記管理機器は、前記第1通信部における受信状態から算出された前記脈拍測定器の位置情報を受信し、前記位置情報を前記外部送信先に送信することを特徴とする。
【0021】
本発明の脈拍監視装置の好ましい例によれば、第1通信部が受信する携帯電話回線の基地局からの電波や、GPS(Global Positioning System)から受信する電波によって脈拍測定器の装着者の位置を特定でき、外部送信先に送信できるため、脈拍測定器の装着者が外出しているとき等に異常信号を受信した際、速やかに対応することができる。
【0022】
7)
本発明の脈拍監視装置の初期設定方法は、
腕時計型の脈拍測定器で装着者の脈拍を測定し、測定した脈拍情報を管理機器に送信する脈拍監視装置の初期設定方法において、
前記脈拍測定器は、
前記脈拍測定器が装着者に装着されたか否かを識別する装着センサと、
装着者の脈拍を測定し前記脈拍情報の1つとして脈拍データを出力する脈拍センサと、
前記脈拍情報を、携帯電話回線を通じて予め設定された前記管理機器に送出する、固有の電話番号を有する第1通信部とを備え、
前記管理機器は、
予め前記電話番号に関連付けされた前記脈拍測定器の装着者毎の脈拍正常値及び個人情報を記憶し、
前記脈拍測定器の初期設定動作がなされることにより、前記携帯電話回線を通じて前記管理機器と前記第1通信部とで通信がなされ、前記電話番号に対応する装着者の前記脈拍正常値及び前記個人情報が前記脈拍測定器に記憶されることを特徴とする
【0023】
本発明の脈拍監視装置の初期設定方法によれば、脈拍測定器の初期設定によって、脈拍測定器に装着者の脈拍正常値及び個人情報が記憶されるため、煩わしい初期設定が簡単にでき、高齢者等が使いやすいものとすることができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明の脈拍監視装置
及び脈拍監視装置の初期設定方法によれば、腕時計型という小型な機器構成ながら携帯電話回線を用いた通信機能を有し、管理機器に直接脈拍情報を送出することで、電話回線に接続された中継用機器を必要とせず、そのまま外出先や設置先で運用可能とすることができる。これにより、使用場所で中継用機器の設置工事等が不要となり、設置コストの低減を図ることができ、さらに、中継用機器との接続の設定、管理機器を選択し接続する操作も不要となるため、高齢者等にも使いやすい装置とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の脈拍監視装置
及び脈拍監視装置の初期設定方法の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の好適な一実施形態に係る脈拍監視装置1の構成を説明するブロック図、
図2は脈拍測定器10の斜視図、
図3(A)は
図2のベルト27を省略した本体部11のA−A線断面図、
図3(B)は本体部11の底面図、
図4は脈拍測定器10(10a〜10d)の構成を説明するブロック図である。
【0027】
図1に示すように、本実施形態の脈拍監視装置1は、脈拍測定器10a〜10dと、管理機器30と、外部送信先として介護施設端末40と近親者携帯端末41を備える。また、脈拍測定器10a〜10dと管理機器30とは、携帯電話回線50によって接続されており、管理機器30と外部送信先40,41とは、携帯電話回線50、又は携帯電話回線を除くISDN(Integrated Services Digital Network)回線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber)回線、光回線、ケーブルテレビ回線等の電気通信回線51によって接続されている。
【0028】
また、
図2にも示すように、脈拍測定器10は腕時計型の形態をなし、本体部11とベルト27とを備える。本体部11は、
図3(A)(B)、
図4にも示すように、筐体14と、制御部15と、装着センサ17と、脈拍センサ19と、判定部16と、第1通信部21と、第2通信部22と、表示部23と、バッテリ24と、充電端子25と、操作スイッチ26とを備える。なお、
図2のA−A線の位置をわかりやすくするため、
図3(B)の対応する位置にもA−A線を記載している。
【0029】
筐体14は、金属又は硬質合成樹脂等からなり、その表側には表示部23に表示された情報を確認するための透明窓12aが設けられる。また、本体部11の底面には、装着センサ17が突出されるとともに、脈拍センサ19からの光を透過させるための透明窓12bが設けられ、さらに、図示しない充電器の充電ピンを挿入するための充電孔13が設けられる。また、本体部11の側面には、操作スイッチ26が設けられる。
【0030】
制御部15は、CPU、メモリ等が実装された基板からなるもので、メモリに予め格納されたプログラムに基づき、CPUが単独で、又は他の構成要素と協動して脈拍測定器10の動作に必要な処理を行なう。また、メモリは、脈拍測定器10の動作において発生した脈拍データや、後述する初期設定によって管理機器30から送信される装着者固有のデータ等の各種データも記憶する。
【0031】
装着センサ17は、本体部11の底面から突出された4本の金属ピン18を有するもので、これらの金属ピン18が人体に接触することで生じる静電容量の変化を検出し、脈拍測定器10が装着者の腕に装着されているか否かを判断する。
【0032】
脈拍センサ19は、本体部11の底面の透明窓12bの内側に設けられるもので、図示しない発光部と受光部とを備え、発光部より出力された光が、血液の脈動によって変化しながら反射する反射光を受光部でとらえる。そして、その反射光の変化を増幅し脈拍数として測定し、制御部15と協動して脈拍情報の1つである脈拍数等の脈拍データを生成する。
【0033】
判定部16は、制御部15のCPUと、メモリに格納されたプログラムから実現されるもので、脈拍センサ19により測定された脈拍データが、メモリに記憶された脈拍測定器の装着者の、脈拍正常値の範囲に入っているか否かを判定する。そして、脈拍データが脈拍正常値から逸脱した場合、脈拍の異常があると判定し脈拍情報の1つである異常信号を出力する。
【0034】
第1通信部21は、携帯電話回線50に接続される通信機器、及びGPS受信機が備えられたモジュールである。第1通信部21は、携帯電話回線50によって管理機器30とデータ通信を行なうとともに、携帯電話基地局から受信した電波又はGPSから受信した電波によって、脈拍測定器10の現在位置を算出する。本実施形態に用いられる脈拍測定器10では、第1通信部21は制御部15の上面に設けられ、脈拍データと異常信号を含む脈拍情報、及び必要に応じて位置情報を外部の管理機器30に送出する。また、第1通信部21には、図示しないアンテナが接続され、このアンテナは筐体14の側面の内側壁面に沿って配置される。
【0035】
なお、この第1通信部21は、制御部15のメモリに格納されたプログラムによって、予め定められた管理機器30とのデータ通信が可能となっている。また、第1通信部21による現在位置の測定は、電力の消費量の増加を招くため、介護施設等に入居している等の外出する可能性がない装着者の場合は、現在位置の測定を行なわないように設定することもできる。また、第1通信部21は、携帯電話回線50に接続されるため、第1通信部21にはそれぞれ固有の電話番号が設定されている。
【0036】
なお、脈拍測定器10には、それぞれの脈拍測定器10a〜10dを識別するためのIDが付されるが、初期状態又は第1通信部21のみで管理機器30と通信を行なうときは、上記の電話番号をIDとすることができる。
【0037】
第2通信部22は、無線PANや、無線LANによる近距離無線通信用のモジュールであり、本実施形態に用いられる脈拍測定器10では、制御部15の下面に設けられ、Bluetooth(登録商標)による通信を実現させている。そして、第2通信部22によって介護施設等の内部に設けられたアクセスポイント42(
図1参照)に接続され、さらにアクセスポイント42が接続された端末(介護施設端末40、モバイルルーター等)の設定により管理機器30に接続される。なお、本実施形態に用いられる脈拍測定器10(10a〜10d)では、第2通信部22による通信が可能なときは、初期状態を除き、第1通信部21より第2通信部22による通信を優先させている。
【0038】
なお、第2通信部22によって管理機器30と通信を行なうときは、第1通信部21に設定された電話番号が管理機器30に通知されない。そのため、後述する初期設定により、複数桁の英数字等からなる他のIDを管理機器30から脈拍測定器10a〜10dに送信し、送信されたID(英数字)を脈拍測定器10a〜10dのメモリに記憶させる。そして、第2通信部22から脈拍情報等を管理機器30に送信するときは、当該ID(英数字)を管理機器30に送信することで、脈拍測定器10a〜10dの識別を行なう。
【0039】
表示部23は、液晶パネル等から構成され、測定された脈拍数等の脈拍測定器10の状態、管理機器30との通信状態、又は脈拍測定器10の装着者固有の個人情報等を表示する。
【0040】
バッテリ24は、脈拍測定器10の動作に必要な電力を供給するもので、制御部15の下面に設けられている。このバッテリ24としては、公知のリチウムイオン電池等が採用される。
【0041】
充電端子25は、本体部11の底面に設けられた一対の充電孔13の奥に設けられ、図示しない充電器の充電ピンが挿入され、充電端子25に接触することで、バッテリ24の充電が行なわれる。
【0042】
操作スイッチ26は、本体部11の側面に設けられた、竜頭型の押しボタンスイッチであり、脈拍測定器10の電源のオンオフ、初期設定の操作等に用いられる。本実施形態に用いられる脈拍測定器10では、操作スイッチ26は1つのみ設けられており、例えば、操作スイッチ26を一瞬押すことで電源のオンオフ、3秒間長押しすることで初期設定の開始等の動作がなされる。
【0043】
ベルト27は、脈拍測定器10を装着者の腕に装着するためのもので、公知の腕時計用ベルトが採用できる。また、ベルト27には、図示しない留め具が適宜設けられる。
【0044】
図1に戻り、管理機器30は、本実施形態の脈拍監視装置1を運営する運営者が管理するものであり、公知のパーソナルコンピュータやサーバ等が用いられる。そして、管理機器30と脈拍測定器10a〜10dとは携帯電話回線50、又はアクセスポイント42を経由した電気通信回線51によって接続されている。また、管理機器30は、外部送信先ともデータの送受信を行なうため、携帯電話回線50以外の電気通信回線51にも接続され得る。
【0045】
また、管理機器30は、その内部に記憶部31を備え、複数の脈拍測定器10a〜10dのそれぞれのIDに関連付けられた、装着者の個人情報、脈拍正常値、外部送信先等が記憶される。この個人情報としては、装着者の氏名、所在地、緊急連絡先等があり、脈拍正常値としては、例えば、ある装着者は1分間に60〜80回、また、他のある装着者は1分間に55〜75回等である。
【0046】
また、管理機器30は、脈拍測定器10a〜10dからの脈拍情報を受信したときは、その脈拍測定器10a〜10dのID毎に設定されている外部送信先(介護施設端末40、近親者携帯端末41等。)に、脈拍測定器の装着者を特定するための個人情報又はIDのうち少なくともどちらかを含む情報と脈拍情報、及び必要に応じて位置情報を送信することができる。これにより、脈拍が異常と判定された脈拍測定器10a〜10dの装着者を介護する者に、当該装着者の脈拍が異常である旨と、必要な場合は装着者の位置を速やかに知らせることができる。
【0047】
外部送信先としては、脈拍測定器10a〜10dを装着した装着者の脈拍が異常となったとき、その対処をする者が該当し、例えば、装着者が介護施設等に入居しているときは当該介護施設等に設置してある介護施設端末40等であり、在宅介護となっているときは介護をしている近親者等が所有する近親者携帯端末41等である。本実施形態では、これらのうち、介護施設端末40と管理機器30とは、携帯電話回線以外の電気通信回線51によって接続され、近親者携帯端末41と管理機器30とは携帯電話回線50によって接続されている。そして、上述のように外部送信先は、管理機器30から脈拍測定器の装着者を特定するための個人情報又はIDのうち少なくともどちらかを含む情報と脈拍情報、及び必要に応じて位置情報を受信する。
【0048】
次に、以上説明した各構成要素の機能を踏まえて、本実施形態の脈拍監視装置1の動作について、
図1及び
図5〜
図7を参照して説明する。
図5は脈拍測定器10a〜10dの初期設定の動作を説明するフロー図、
図6は脈拍測定器10a〜10dの脈拍を測定する動作を説明するフロー図、
図7は異常信号を受信したときの管理機器30の動作を説明するフロー図である。
【0049】
先ず、
図1及び
図5を参照して、脈拍測定器10a〜10dの初期設定の動作を説明する。脈拍測定器10a〜10dの電源オフの状態(S1000)から、操作スイッチ26を押して、電源オンの状態にする(S1010)。次に、操作スイッチ26を3秒間長押しして、初期設定を開始する(S1020)。このとき、脈拍測定器10a〜10dは、制御部15のメモリに格納されたプログラムとCPUに制御された第1通信部21によって、携帯電話回線50を通じて予め定められた管理機器30に接続される(S1030)。そして、接続されると、脈拍測定器10a〜10dを識別するためのIDである脈拍測定器10a〜10dの電話番号が管理機器30に送信される(S1040)。
【0050】
次に、管理機器30では、記憶部30から、受信したID(電話番号)を基に当該脈拍測定器10a〜10dを装着する装着者に関するID(英数字)、個人情報、脈拍正常値を記憶部31から抽出し、携帯電話回線50を通じて脈拍測定器10a〜10dに送信する(S1050)。なお、ここで送信する個人情報は、脈拍測定器10a〜10dを使用する現場において、本来の装着者以外に脈拍測定器10a〜10dが装着されるのを防止するためであり、全ての個人情報を送る必要はなく、装着者の氏名のみでもよい。また、在宅介護等において、装着者が一人しかおらず誤って他人の脈拍測定器を装着する恐れがない場合は、個人情報の送信を省略してもよい。さらに、脈拍測定器10a〜10dにおいて第2通信部22を備えない構成とするときは、ID(英数字)の送信も省略することができる。
【0051】
次に、脈拍測定器10a〜10dにて、管理機器30から送信されたID(英数字)、個人情報、脈拍正常値を受信し、制御部15のメモリに記憶させ(S1060)、初期設定の動作は終了する(S1070)。
【0052】
次に、
図1及び
図6を参照して、脈拍測定器10a〜10dによる脈拍の測定と、脈拍測定器10a〜10dから管理機器30への、脈拍情報の送信の動作を説明する。脈拍測定器10a〜10dが電源オンの状態(S2000)で装着者の腕に装着されると、脈拍測定器10a〜10dの装着センサ17によって、脈拍測定器10a〜10dが装着者に装着されているか否かが判断される(S2010)。ここで、装着されていないと判断されれば、当該処理を繰り返す。なお、この破線で囲ってあるステップS2010の処理は、所定の間隔で割り込み処理を実行し、脈拍測定器10a〜10dが正しく装着者に装着されているかを適宜判断する。仮に、脈拍測定器10a〜10dが装着者から外されたと判断された場合、その旨を管理機器30に送信することもできる。一方、脈拍測定器10a〜10dが装着者に装着されていると判断されれば、制御部15は脈拍センサ19に電力を供給し、脈拍の測定を開始する(S2020)。
【0053】
次に、測定開始から10秒経過したか否かが判断される(S2030)。10秒経過していないときは、ステップS2020とステップS2030の処理を繰り返す。一方、10秒経過した場合、測定された脈拍データとメモリに記憶された脈拍正常値とが判定部16によって比較され、測定された脈拍データが脈拍正常値から逸脱しているか否かが判断される(S2040)。ここで、測定された脈拍数が脈拍正常値の範囲に入っていれば、脈拍は正常と判定され、脈拍センサ19への電力供給が停止され測定が休止される(S2050)。
【0054】
次に、脈拍センサ19への電力供給が停止されてから1分が経過したか否かが判断される(S2060)。ここで、1分経過していなければ、ステップS2050とステップS2060の処理を繰り返す。一方、脈拍センサ19への電力供給が停止されてから1分経過した場合、ステップS2020に戻り上述の処理を繰り返す。なお、この脈拍センサ19に通電させる時間と、通電を停止させる時間の設定はこの例に限られず、適宜変更することができる。
【0055】
また、ステップS2040で、計測された脈拍データが脈拍正常値の範囲から逸脱していた場合、判定部16は脈拍が異常と判定し、異常信号を出力する(S2070)。次に、第1通信部21によって携帯電話回線50を通じて、又は第2通信部22によってアクセスポイント42を経由して、脈拍測定器10a〜10dが管理機器30に接続される(S2080)。次に、第1通信部21又は第2通信部22より、脈拍測定器10a〜10dを識別するためのID、脈拍データや異常信号を含む脈拍情報、及び必要に応じて現在位置の情報を管理機器30に送出し(S2090)、処理は終了される(S2100)。なお、ステップS2100で処理が終了された後、脈拍測定器10a〜10dは、所定の間隔を経て上述のステップS2000からの処理を繰り返す。
【0056】
また、ステップS2080とステップS2090の処理においては、既に述べたように脈拍測定器10a〜10dは、第1通信部21によって携帯電話回線50を通じて管理機器30に接続することができ、また、第2通信部22によってアクセスポイント42を経由して、管理機器30に接続することもできる。前者の場合、第1通信部21に割り当てられた電話番号が、自動的に管理機器30に送信されるため、脈拍測定器10a〜10dを識別するためのIDとしては、電話番号を使用することができる。一方、後者の場合は電話番号が通知されないため、脈拍測定器10a〜10cを識別するためのIDとしては、英数字等からなる他のIDを送信する必要がある。また、後者では、脈拍測定器10a〜10cからアクセスポイント42を経由して一旦介護施設端末40に脈拍情報等を送信しているが、この場合、介護施設端末40自体を管理機器30とし、外部送信先を省略する構成とすることもできる。
【0057】
次に、
図1及び
図7を参照して、管理機器30から、脈拍測定器10a〜10dのID毎に予め定められた外部送信先(介護施設端末40、近親者携帯端末41。)に、脈拍測定器10a〜10dの装着者を特定するための個人情報又はIDのうち少なくともどちらかを含む情報、脈拍情報等を送信する動作を説明する。管理機器30は、処理が開始されると(S3000)携帯電話回線50等の電気通信回線に接続され、脈拍測定器10a〜10dとの通信が可能となる。次に、管理機器30は、脈拍測定器10a〜10dからID、異常信号を含む脈拍情報、及び必要に応じて位置情報を受信したか否かを判断する(S3010)。ここで、脈拍情報等を受信していなければ、この受信の判断の処理を繰り返す。一方、ID、異常信号を含む脈拍情報、及び必要に応じて位置情報を受信した場合、受信した脈拍測定器10a〜10dのIDから、どの脈拍測定器10a〜10dかを特定し、当該脈拍測定器10a〜10dを装着している装着者の個人情報と、装着者の脈拍が異常である旨を知らせる介護施設端末40や近親者携帯端末41等の外部送信先を特定する(S3020)。
【0058】
次に、管理機器30は、特定した介護施設端末40や近親者携帯端末41等の外部送信先に、脈拍測定器10a〜10dの装着者を特定するための個人情報又はIDのうち少なくともどちらかを含む情報、及び脈拍数等の脈拍情報、並びに必要に応じて脈拍測定器10a〜10dの位置情報を送信し(S3030)、処理は終了する(S3040)。なお、処理が終了しても、所定の間隔を経て、ステップS3000からの処理が繰り返し実行される。また、上述の処理においては、脈拍測定器10a〜10dからの異常信号を受信したときのみ、外部送信先にその旨を送信しているが、異常信号の有無に関わらず、常に脈拍データを外部送信先に送信するようにしてもよい。
【0059】
そして、装着者の個人情報又はIDのうち少なくともいずれか、及び脈拍数等の脈拍情報、並びに必要に応じて脈拍測定器10a〜10dの位置情報を受信した外部送信先は、例えば、介護施設等の介護施設端末40であれば、受信した個人情報又はIDから、装着者の特定を行ない、職員が必要な処置をおこなう。また、近親者携帯端末41であれば、装着者に対して近親者が必要な処置を行なう。
【0060】
以上、説明したように本実施形態の脈拍監視装置によれば、腕時計型という小型な機器構成ながら携帯電話回線を通じて通信できる第1通信部を備え、当該第1通信部から管理機器へ直接に異常信号を含む脈拍情報を送出することができるため、設置したときからすぐに使用でき、電話回線に接続された中継機器等の工事が不要となり、使いやすさと導入コストに優れた脈拍監視装置とすることができる。また、設置も、例えば、第2通信部を使用しないような上記の在宅介護等では、管理機器の管理者に脈拍正常値等の申請をして、要介護者への脈拍測定器の装着と、近親者携帯端末に外部送信先用ソフトウエアをダウンロードすることで可能となり、導入が非常に簡単である。また、第1通信部は、予め定められた管理機器とデータの送受信を行なうよう設定されており、操作の簡便化を図ることができる。
【0061】
また、脈拍センサは、10秒間脈拍を測定した後は、1分間測定を休止する設定となっている。このため、測定を休止する間は、脈拍センサに通電させる必要がなく、バッテリを長持ちさせることができる。
【0062】
また、近距離無線通信を行なう第2通信部を備えるため、アクセスポイントが近隣にある環境では、管理機器との通信に近距離無線通信を用いることができ、通信費の節約を図ることができる。
【0063】
また、脈拍の異常を知らせる異常信号を含む脈拍情報を送信する外部送信先を任意に設定できるため、複数棟あるような大規模な介護施設から、在宅介護まで、幅広く対応させることができる。また、ある程度以上の規模の介護施設等においては、外部送信先を省略し、介護施設内に管理機器を設置することもできる。
【0064】
なお、上述の脈拍監視装置は、本発明の例示であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲においてその構成を適宜変更することができる。