【実施例】
【0025】
以下に、実施例、比較例及び試験例を挙げ、本発明を更に詳細に説明する。
【0026】
実施例1
(1)造粒用粉末の調製
アンブロキソール塩酸塩 495.0g
タルク 99.0g
軽質無水ケイ酸 10.0g
結晶セルロース 198.0g
アメ粉 198.0g
上記成分を秤量後、混合・粉砕し、均一な造粒用粉末を得た。
(2)結合液の調製
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース) 84.0g
精製水 1036.0g
精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース;以下、「HPMC」と略記する。)を溶解させ、結合液を得た。
(3)製剤粒子の調製
造粒用粉末を転動流動コーティング装置(商品名:マルチプレックス;パウレック社製)に167g充填し、前記結合液と造粒用粉末333gを噴霧しながら造粒し、乾燥後1700μmの篩で分級して、製剤粒子を得た。
得られた製剤粒子は、平均粒子径432μm、粒度分布の幾何標準偏差は1.348であった。
(4)1次コーティング液の調製
HPMC 20.0g
タルク 5.0g
精製水 287.5g
精製水にHPMCを溶解させ、タルクを分散させて1次コーティング液を調製した。
(5)1次コーティング層(保護膜)の被覆
上記で得られた製剤粒子500gを微粒子コーティング装置(商品名:GPCG;パウレック社製)に充填し、前記1次コーティング液を313gスプレー噴霧し、1次フィルム層(保護膜)を施した。
(6)2次コーティング液の調製
エチルセルロース 36.75g
HPMC 5.25g
タルク 10.50g
エタノール 525.60g
精製水 131.40g
エタノールと精製水の混液にエチルセルロースとHPMCを溶解させ、タルクを分散させて2次コーティング液を調製した。
(7)フィルム層で被覆された製剤粒子の調製(2次フィルム層(徐放膜)の被覆)
1次フィルム層(保護膜)を施した製剤粒子525gを微粒子コーティング装置に充填し、前記2次コーティング液を709.5gスプレー噴霧し、2次フィルム層(徐放膜)を施して、フィルム層で被覆された製剤粒子を得た。
得られたフィルム層で被覆された製剤粒子は、平均粒子径404μm、粒度分布の幾何標準偏差は1.369であった。
なお、製剤粒子をゼラチンカプセルに封入し、40℃75%RH環境下にてアルミピロー包装して保存した場合における平衡相対湿度(ERH)は、製造直後27.7%、1カ月後29.7%、3カ月後31.7%、6カ月後35.5%であった。
【0027】
実施例2
(1)造粒用粉末の調製
アンブロキソール塩酸塩 495.0g
タルク 99.0g
軽質無水ケイ酸 10.0g
結晶セルロース 198.0g
アメ粉 198.0g
上記成分を秤量後、混合・粉砕し、均一な造粒用粉末を得た。
(2)結合液の調製
HPMC 84.0g
精製水 1036.0g
精製水にHPMCを溶解させ、結合液を得た。
(3)製剤粒子の調製
造粒用粉末を転動流動コーティング装置に167g充填し、前記結合液と造粒用粉末333gを噴霧しながら造粒し、乾燥後1700μmの篩で分級して、製剤粒子を得た。
得られた製剤粒子は、平均粒子径631μm、粒度分布の幾何標準偏差は1.490であった。
(4)1次コーティング液の調製
HPMC 20.0g
タルク 5.0g
精製水 287.5g
精製水にHPMCを溶解させ、タルクを分散させて1次コーティング液を調製した。
(5)1次コーティング層(保護膜)の被覆
上記で得られた製剤粒子500gを微粒子コーティング装置に充填し、前記1次コーティング液を313gスプレー噴霧し、1次フィルム層(保護膜)を施した。
(6)2次コーティング液の調製
エチルセルロース 18.375g
HPMC 2.625g
タルク 5.250g
エタノール 262.80g
精製水 65.70g
エタノールと精製水の混液にエチルセルロースとHPMCを溶解させ、タルクを分散させて2次コーティング液を調製した。
(7)フィルム層で被覆された製剤粒子の調製(2次フィルム層(徐放膜)の被覆)
1次フィルム層(保護膜)を施した製剤粒子525gを微粒子コーティング装置に充填し、前記2次コーティング液を344.75gスプレー噴霧し、2次フィルム層(徐放膜)を施して、フィルム層で被覆された製剤粒子を得た。
得られたフィルム層で被覆された製剤粒子は、平均粒子径549μm、粒度分布の幾何標準偏差は1.401であった。
【0028】
比較例1
(1)造粒用粉末の調製
アンブロキソール塩酸塩 495.0g
タルク 99.0g
軽質無水ケイ酸 10.0g
結晶セルロース 198.0g
アメ粉 198.0g
上記成分を秤量後、混合・粉砕し、均一な造粒用粉末を得た。
(2)結合液の調製
HPMC 84.0g
精製水 1036.0g
精製水にHPMCを溶解させ、結合液を得た。
(3)製剤粒子の調製
造粒用粉末を転動流動コーティング装置に167g充填し、前記結合液と造粒用粉末333gを噴霧しながら造粒し、乾燥後1700μmの篩で分級して、製剤粒子を得た。
得られた製剤粒子は、平均粒子径160μm、粒度分布の幾何標準偏差は1.591であった。
(4)1次コーティング液の調製
HPMC 20.0g
タルク 5.0g
精製水 287.5g
精製水にHPMCを溶解させ、タルクを分散させて1次コーティング液を調製した。
(5)1次コーティング層(保護膜)の被覆
上記で得られた製剤粒子500gを微粒子コーティング装置に充填し、前記1次コーティング液を313gスプレー噴霧し、1次フィルム層(保護膜)を施した。
(6)2次コーティング液の調製
エチルセルロース 55.125g
HPMC 7.875g
タルク 15.750g
エタノール 788.40g
精製水 197.10g
エタノールと精製水の混液にエチルセルロースとHPMCを溶解させ、タルクを分散させて2次コーティング液を調製した。
(7)フィルム層で被覆された製剤粒子の調製(2次フィルム層(徐放膜)の被覆)
1次フィルム層(保護膜)を施した製剤粒子525gを微粒子コーティング装置に充填し、前記2次コーティング液を1064.25gスプレー噴霧し、2次フィルム層(徐放膜)を施して、フィルム層で被覆された製剤粒子を得た。
得られたフィルム層で被覆された製剤粒子は、平均粒子径144μm、粒度分布の幾何標準偏差は1.526であった。
なお、溶出特性を評価するために、1次フィルム層(保護膜)を施した製剤粒子に対して、2次フィルム層(徐放膜)を固形分として5質量%及び10質量%施した時点でのフィルム層で被覆された製剤粒子をサンプリングした。
【0029】
比較例2
(1)造粒用粉末の調製
アンブロキソール塩酸塩 495.0g
タルク 99.0g
軽質無水ケイ酸 10.0g
結晶セルロース 198.0g
アメ粉 198.0g
上記成分を秤量後、混合・粉砕し、均一な造粒用粉末を得た。
(2)結合液の調製
HPMC 84.0g
精製水 1036.0g
精製水にHPMCを溶解させ、結合液を得た。
(3)製剤粒子の調製
造粒用粉末を転動流動コーティング装置に167g充填し、前記結合液と造粒用粉末333gを噴霧しながら造粒し、乾燥後1700μmの篩で分級して、製剤粒子を得た。
得られた製剤粒子は、平均粒子径1041μm、粒度分布の幾何標準偏差は1.249であった。
(4)1次コーティング液の調製
HPMC 20.0g
タルク 5.0g
精製水 287.5g
精製水にヒプロメロースを溶解させ、タルクを分散させて1次コーティング液を調製した。
(5)1次コーティング層(保護膜)の被覆
上記で得られた製剤粒子500gを微粒子コーティング装置に充填し、前記1次コーティング液を313gスプレー噴霧し、1次フィルム層(保護膜)を施した。
(6)2次コーティング液の調製
エチルセルロース 55.125g
HPMC 7.875g
タルク 15.750g
エタノール 788.40g
精製水 197.10g
エタノールと精製水の混液にエチルセルロースとHPMCを溶解させ、タルクを分散させて2次コーティング液を調製した。
(7)フィルム層で被覆された製剤粒子の調製(2次フィルム層(徐放膜)の被覆)
1次フィルム層(保護膜)を施した製剤粒子525gを微粒子コーティング装置に充填し、前記2次コーティング液を1064.25gスプレー噴霧し、2次フィルム層(徐放膜)を施して、フィルム層で被覆された製剤粒子を得た。
得られたフィルム層で被覆された製剤粒子は、平均粒子径1062μm、粒度分布の幾何標準偏差は1.242であった。
なお、溶出特性を評価するために、1次フィルム層(保護膜)を施した製剤粒子に対して、2次フィルム層(徐放膜)を固形分として5質量%及び10質量%施した時点でのフィルム層で被覆された製剤粒子をサンプリングした。
【0030】
試験例1 溶出試験
(1)方法
実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2で調製した各フィルム層で被覆された製剤粒子0.1g及び製剤粒子0.1gをゼラチンカプセルに封入し、40℃75%RH環境下にてアルミピロー包装して1カ月、3カ月、6カ月間保存したものを用い、日本薬局方のパドル法(試験液:水,パドル回転数50rpm)によって溶出性を調べた。結果を
図1〜5に示す。
(2)結果
図3及び
図4より、比較例1では、1次フィルム層(保護膜)を施した製剤粒子に対して15質量%のフィルム層を施した場合でも、90分後の薬物溶出率が20〜50%,120分後の薬物溶出率が30〜60%及び300分後の薬物溶出率が80%以上とならず、徐放性製剤における徐放化製剤粒子としては十分に機能しないと考えられる。そして、さらにコーティング量を増やし、厚いフィルム層を施したとしても十分な溶出制御は示すことはないと予測される。一方、比較例2では、1次フィルム層(保護膜)を施した製剤粒子に対して5質量%のフィルム層を施した場合において、90分後の薬物溶出率が20〜50%,120分後の薬物溶出率が30〜60%及び300分後の薬物溶出率が80%以上とならず、徐放性製剤における徐放化製剤粒子としては十分に機能しないと考えられる。そして、さらにコーティング量を減らし、薄いフィルム層を施した場合、安定した溶出制御が困難となることが予測される。
一方、
図1及び2より、実施例1及び2では、1次フィルム層(保護膜)を施した製剤粒子に対してフィルム層を施した場合に、90分後の薬物溶出率が20〜50%,120分後の薬物溶出率が30〜60%及び300分後の薬物溶出率が80%以上となり、徐放性製剤における徐放化製剤粒子として十分に機能することが窺われる。
また、
図5より、製剤粒子をゼラチンカプセルに封入し、40℃75%RH環境下にてアルミピロー包装して保存したものについても、アンブロキソール塩酸塩の溶出率に変化は無く、徐放性製剤における徐放化製剤粒子として十分に機能することが窺われる。
(3)考察
試験例1の結果より、比較例1のフィルム層で被覆された製剤粒子に比し、実施例1、2のフィルム層で被覆された製剤粒子では、アンブロキソール塩酸塩の溶出が明らかに遅延しており、フィルムコーティング量を適宜に調整し、フィルム層の厚みを変えることによって、多様なパターンの徐放性製剤における徐放化製剤粒子を提供できると考えられる。また、比較例2のフィルム層で被覆された製剤粒子では、さらに薄いフィルム層の形成が徐放性製剤に必要であり、恒常的に生産するためには技術的に困難である。