(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ゾンデ・ロケータ方式による位置検知ができない場合に、ジャイロ方式による位置検知装置をロッド先端側へ送り込み測定可能にセットする工程を、更に含むことを特徴とする請求項11乃至13のいずれかに記載の注入管の敷設方法。
【背景技術】
【0002】
地盤内に注入管を敷設し、この注入管から薬液などの地盤改良材を注入して地盤改良を行う工法が知られている。この工法の実施にあたっては、曲がり可能なロッドの先端に削孔ヘッドを固定し、これを用いて直線状及び曲線状に地盤を削孔し、形成された削孔部に注入管を敷設する。削孔工程では、計測器を用いて削孔ヘッドの位置を計測し、削孔方向を適宜修正しながら、計画線形に沿うように直線状及び曲線状に削孔する。削孔の過程で削孔難度の高い硬質地盤や砂礫地盤に突き当たった場合には、パーカッションを使用し、ロッドを通じてその先端の削孔ヘッドに打撃を加えて難所を突破する。
【0003】
(位置検知手段)
地中にある削孔装置の位置を検知する手段としては、「ジャイロ方式」による位置検知置と、「ゾンデ・ロケータ方式」による位置検知が一般的に知られている。
【0004】
「ジャイロ方式」の位置検知には次の2通りの方法がある。
一つ目は、絶対方位を測定する方法である(以下「方位ジャイロ方式」と称す)。方位ジャイロ方式では計測器をロッド先端の削孔ヘッドに固定して使用するため、計測時間が短くて済むという利点がある一方で、計測器が衝撃に弱いためにパーカッションの使用ができないという欠点がある。
二つ目は、計測器を動かした時に生じる加速度を測定する方法である(以下「ジャイロ方式」と称す)。このジャイロ方式では、計測の度に削孔を中断してジャイロを削孔ヘッドまで送り込み、引き抜くときに線形を計測する。削孔時には削孔ヘッドに計測器を設置しないので、この方式ではパーカッションの使用が可能である。しかし、削孔線形を計測する度に計測器の送り込みと引き抜きが必要となるので、その抜き差しの作業が煩わしく、計測に時間がかかるといった欠点がある。
さらに、上記「方位ジャイロ方式」及び「ジャイロ方式」のいずれの方式においても、測定誤差が累積されるため、計測距離が長くなると誤差が大きくなると云う計測方法としての欠点がある。
【0005】
「ゾンデ・ロケータ方式」は、ロケータ(受信機)を用いてゾンデ(発信機)からの磁気信号を受信し、ロッド先端の削孔ヘッドの位置、深度、ロール角、ピッチ角を検知する方法である。削孔ヘッド側には位置情報発信装置が装着してあり、そのゾンデハウジング内には、削孔ヘッドのロール角・ピッチ角を計測する傾斜計と、その角度データを含む位置情報を磁気信号として発信するゾンデが格納されている。ロケータは地表側に設けられており、ゾンデからの磁気信号を受信することで、削孔ヘッド真上の地表位置、削孔ヘッドの深度、ロール角、ピッチ角を検知できる。
【0006】
このゾンデ・ロケータ方式は、削孔が完了するまでの間、位置情報発信装置を削孔ヘッドに固定したままで位置検知が行える。すなわち、位置検知のたびに位置情報発信装置を出し入れする必要がないので、簡単かつ素早く計測が行え、削孔制御を細かく行えるという利点がある。さらに、方位ジャイロ方式及びジャイロ方式のように測定誤差が累積されないという利点がある。
【0007】
したがって、削孔方向を精密に制御し、計画線形に沿って正確かつ迅速に削孔するためには、可能な限りゾンデ・ロケータ方式により削孔ヘッドの位置検知を行うのが好ましい。そのようなゾンデ・ロケータ方式の位置情報発信装置を削孔ヘッドに固定するための構成が、特許文献1(特開2007-63782号公報)に開示されている。
【0008】
(従来の削孔装置)
特許文献1に開示された削孔装置(削孔ヘッド)の概略構成を、
図17に示す。同図に示すように、特許文献1の削孔装置は、ロッド先端に連結されるアウターピース101と、該アウターピース内に回収可能に収容されたインナーピース103と、該インナーピースと一連一体のゾンデ・ロケータ方式の位置情報発信装置105を有している。
【0009】
インナーピース103には、該インナーピースをアウターピース101に対し固定するためのラッチ部107が設けられている。このラッチ部107は、開閉式の係合翼片121と、該係合翼片を開翼方向(外方向)に押し広げるバネ123を有している。アウターピース101の内壁には、係合翼片121と係合するラッチ溝125が形成されている。
【0010】
位置情報発信装置105は、前方のインナーピース103と一連一体に構成されており、該インナーピースから分離することはできない。位置情報発信装置105は、そのゾンデハウジング内に、削孔装置のロール角・ピッチ角を計測する傾斜計と、その角度データを含む位置情報を磁気信号として発信するゾンデを格納している。位置情報発信装置105のゾンデハウジングとアウターピース101には、それぞれ、ゾンデからの磁気信号を通しやすくするための樹脂性の透過部127,129が設けられている。
【0011】
位置情報発信装置105の両端にはそれぞれ、水密性を確保するためのOリング131が設けられている。各Oリング131は、内側の位置情報発信装置105と外側のアウターピース101の双方に対し密着しているので、位置情報発信装置105とアウターピース101の間にある円筒状の隙間へ削孔水が浸入することはない。
【0012】
アウターピース101の内壁側の前方と後方には、段差部133,135が形成されている。一方の段差部133の前方は縮径し、インナーピース103がアウターピース101から抜け出るのを防止している。他方の段差部135の後方は拡径しており、位置情報発信装置105を引き抜き易くしている。回収時に位置情報発信装置105を手前へ強く引っ張り続け、その両端にあるOリング131が段差部135を越えて拡径領域に抜け出れば、該位置情報発信装置を一気に引き抜くことができる。
【0013】
削孔の間、インナーピース103と位置情報発信装置105は、ラッチ部107の作用によってアウターピース101内に固定されている。ロッドを介して送水される削孔水は、(位置情報発信装置105の外周とアウターピース101の間の隙間に浸入することなく)削孔水バイパス141を通って前方へ送られ、さらに削孔水ライン143を介して削孔装置の前方へ吐出される。
【0014】
なお、アウターピースと位置情報発信装置に設けられた透過部127,129の樹脂は、強度が小さいため、位置情報発信装置105とアウターピース101の間の隙間に削孔水を通すと、その高い水圧に耐えられずに透過部127,129が破壊する。そのため透過部127,129に削孔水が触れないように、削孔水は、バイパス141を介して前方へ送られる。
【0015】
削孔完了後は、先端にオーバーショットを備えた回収用ロッドを送り込み、位置情報発信装置105の後方に延設されたスピア151に連結させる。続いて、その回収用ロッドを引っ張り、係合翼片121をバネ123の付勢力(押し広げるバネ力)に抗して閉翼させ、アウターピース101に対するラッチ部107の係合を解除させる。続いて回収用ロッドを引き戻して、一連一体の位置情報発信装置105とインナーピース103を地表側に回収する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上述のとおり、ゾンデ・ロケータ方式の位置情報発信装置は、位置検知を簡単かつ速やかに行うことができ、また測定誤差が累積されないという点で、いずれのジャイロ方式よりも優れているが、ゾンデ・ロケータ方式を従来の削孔装置で利用するにあたっては次のような問題があった。
【0018】
(削孔中の問題点)
削孔作業の途中で、削孔難度の高い硬質地盤や砂礫地盤に突き当たった場合には、パーカッションを使用し、ロッドを通じて削孔装置の先端に強力な打撃力を加える必要がある。しかし、ゾンデ・ロケータ方式の位置情報発信装置を装着したままでパーカッションを使用した場合には、パーカッションによる衝撃や振動で、位置情報発信装置105内の計器類が損傷を受けるといった問題があった。
【0019】
また、位置情報発信装置105を、装着させたままで打撃や振動から保護する防護策も種々提案されてきたが、いずれも、計器類の損傷を確実に防げるものではなかった。
【0020】
なお、従来の削孔装置では、削孔完了後に位置情報発信装置105とインナーピース103を回収するように構成されているが、
削孔作業の途中で位置情報発信装置105だけを取外し・再装着できるように構成されてはいない。すなわち、インナーピース103から位置情報発信装置105を切り離して、該位置情報発信装置だけを一時的に回収し再装着できるようには構成されていない。
【0021】
したがって、従来の削孔装置でパーカッションを使用する場合には、ゾンデ・ロケータ方式の検知装置を確実に保護できないといった問題があった。そのため、従来の削孔でパーカッションを使用する場合には、計測に時間がかかるジャイロ方式の検知装置を利用するか、或いは、計器類の損傷を覚悟でゾンデ・ロケータ方式の検知装置を利用するほかなかった。
【0022】
なお特許文献1の削孔装置において、
削孔作業の途中で位置情報発信装置105を回収すると、これと一連一体のインナーピース103も一緒に抜け出てしまう。抜き出した位置情報発信装置105とインナーピース103を、ロッド内に挿入し元の位置へ戻そうとしても、Oリング131が障害となって手前の段差部135から先に位置情報発信装置105を押し込むことが困難である。また後述するように、インナーピース103の引き抜き時に前方から土砂を吸い込んでしまい、アウターピース101内が詰まってしまうため、インナーピースを元の位置まで押し戻すことができない。したがって、従来の削孔装置では、
削孔作業の途中でひとたび位置情報発信装置とインナーピースを抜き出すと、元の位置に戻すことはできない。
【0023】
(削孔完了後の問題点)
従来の削孔装置では、ラッチ部の係合翼片121が、バネ123によって開翼方向(外方向)に常に付勢されている。したがって、ラッチ部107を解除する際には、バネ123による外向きの付勢力に抗して係合翼片121を閉翼する必要がある。
また、削孔時にインナーピース103に掛る力で、係合翼片121がラッチ溝125に強く噛み込んでしまうことが多くあり、引き抜きの際にこの噛み込みが大きな抵抗となるので、係合翼片121を閉翼させてラッチ溝125から外すために、より大きな力で引っ張る必要が生じる。
したがって従来装置では、位置情報発信装置とインナーピースを回収する際、ラッチ部を解除するために極めて強い力で引っ張る必要があり、回収し難いといった問題があった。
【0024】
また従来の削孔装置では、位置情報発信装置105の両端にOリング131が設けられ、各Oリングが押し潰れた状態でアウターピース101と位置情報発信装置105に密着している。したがって、位置情報発信装置105を抜き出すときにOリング131が抵抗となるため、強い力で引っ張る必要があり、抜き出し難いという問題があった。
なお従来装置においてOリング131を設けず、位置情報発信装置105とアウターピース101の間の隙間に削孔水を通すと、削孔水の圧力によって透過部127,129が破壊され、外部へ削孔水が漏出したり、また位置情報発信装置105の内部(ゾンデや計器類)に削孔水が浸入する。したがって、
図17に示す従来装置の構成で、Oリング131を省くことはできない。
【0025】
また従来の削孔装置では、位置情報発信装置105とインナーピース103を引き抜いて回収する際に負圧が発生し、アウターピース101内に土砂を吸い込んでしまい、そのため、該アウターピースの先端が詰まって後工程で注入管を挿入できなくなるといった問題があった。
【0026】
また従来の削孔装置は、先端側寄りで内径が細くなるように形成された段差部133,135を有している。アウターピース内にこのような段差部を形成すると、後工程で注入管を挿入するときに、その先端が段差部に引っかかって挿入を妨げるといった問題があった。また、このような段差部(先端側寄りで内径が細くなる段差部)を形成すると、建て込める注入管の径が細くなるといった問題があった。さらに、位置情報発信装置とインナーピースを回収するときに吸い込んだ土砂が段差部に溜まるので、後工程でロッドを回収する際に、注入管の共上がりを起こすといった問題もあった。
なお
図17に示す従来装置において、前方の段差部133を設けない場合には、
削孔作業の途中で削孔水の圧力でインナーピース103と位置情報発信装置105が抜け出てしまう。また、後方の段差部135を設けない場合には、周囲に密着したOリング131が障害となって位置情報発信装置105とインナーピース103を回収できなくなる。したがって、
図17に示す従来装置の構成で、段差部133,135を無くすことはできない。
【0027】
(その他の問題)
また従来の削孔装置では、段差部133,135や削孔水バイパス141などを備える必要があるため構造が複雑で、製造コストが高くなるという問題があった。
【0028】
(本発明の目的)
そこで上述した従来技術の問題点に鑑み、本発明の目的は、土質に左右されず計画線形に沿って正確に削孔することができ、しかも、位置情報発信装置の回収にかかる労力を軽減できる、簡易な構造の削孔装置を提供することにある。
また本発明の他の目的は、土質に左右されず計画線形に沿って正確に削孔することができ、地盤改良に必要な注入管を簡単かつ確実に建て込むことができる注入管敷設方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上述した目的は、ロッドの先端側に連結されるアウターピースと、前記アウターピースに
前方へ押し出し可能に収容され、
傾斜した土圧受け面を含み、削孔完了後に
前方へ押し出すことによって撤去されるインナーピースと、前記ロッドを介して送水される削孔水を吐出するための送水孔と、前記アウターピース内に装着され、
削孔作業の途中での取外しと再装着を可能にする着脱機構を具備し、ゾンデ・ロケータ方式による位置検知に用いられる位置情報発信装置と、を有
しており、前記位置情報発信装置は、前記インナーピースを前記アウターピース内に残したままで、該アウターピースから取外すことが可能であることによって達成される。
【0030】
上記削孔装置において、位置情報発信装置の前記着脱機構は、前記アウターピースに対し解除可能に係合する係合部材と、前記係合部材を解除方向に付勢する付勢部材と、前記位置情報発信装置の装着状態を維持すべき間、前記係合部材の解除方向への動きを妨げる係合保持部材とを有することが好ましい。
【0031】
また前記位置情報発信装置は、ロケータによって受信される信号を発信するゾンデと、前記ゾンデを格納し防水性のあるゾンデハウジングとを有しており、前記ロッドを介して送水される削孔水が、前記ゾンデハウジングと前記アウターピースの間を通って前記送水孔へ送られることが好ましい。
【0032】
また前記インナーピースは、押し出して撤去できるように前記アウターピース内に収容されていることが好ましい。
【0033】
また前記ゾンデハウジングは、前記ゾンデを囲う非磁性体ケースを含んで構成されていることが好ましい。
【0034】
また前記ゾンデハウジングは、ゾンデを囲う金属製ケースと、ゾンデからの信号を通すように前記金属製ケースに形成されたスリットと、前記スリットに設けられた非磁性体のコーキング材とを有しており、前記スリットが、外壁側から内壁側へ向かって細くなる断面形状を有していることが好ましい。
【0035】
また前記ゾンデハウジングは、ゾンデを囲う円筒状の内ケースと、該内ケースを覆う外ケースとを有し、前記ケースの一方が、スリットが形成された金属製ケースから構成され、前記ケースの他方が、非磁性体ケースから構成されていることが好ましい。
【0036】
また前記アウターピースは、非磁性体の部材で構成されていることが好ましい。
【0037】
また前記アウターピースは、隙間を隔てて前記位置情報発信装置を囲う円筒状非磁性体の内ケースを含んで構成されていることが好ましい。
【0038】
また前記アウターピースは、内側にある前記位置情報発信装置からの信号を通すように形成されたスリットを有していることが好ましい。
【0039】
また前記アウターピースは、内側にある前記位置情報発信装置からの信号を通すように形成されたスリットと、前記スリットに設けられた非磁性体のコーキング材とを有しており、前記スリットが、内壁側から外壁側へ向かって細くなる断面形状を有していることが好ましい。
【0040】
また上述した目的は、先端に上記削孔装置を備えたロッドを押し込みつつ削孔水を送水しながら削孔する工程と、パーカッションが必要な場合に
、インナーピースをアウターピース内に残したままで、位置情報発信装置を取外して一時的に回収する工程と、パーカッション完了後に前記位置情報発信装置を再装着する工程と、削孔完了後に前記位置情報発信装置を回収する工程と、ロッドを介して削孔部に注入管を挿入する工程と、を含む注入管の敷設方法によって達成される。
【0041】
また上述した目的は、先端に上記削孔装置を備えたロッドを押し込みつつ削孔水を送水しながら削孔する工程と、パーカッションが必要な場合に
、インナーピースをアウターピース内に残したままで、位置情報発信装置を取外して一時的に回収する工程と、パーカッション完了後に前記位置情報発信装置を再装着する工程と、削孔完了後に前記位置情報発信装置を回収する工程と、削孔が完了し前記位置情報発信装置を回収した後、先端側にパッカーを有する注入管をロッド内に挿入し、該パッカーを膨張させて送水孔を閉塞し、アウターピース内に流体を送り込んでその圧力によってインナーピースを前方へ押し出し撤去する工程と、を含む注入管の敷設方法によって達成される。
【0042】
上記注入管の敷設方法では、インナーピースを押し出すための前記流体としてシール材を用いることが好ましい。
【0043】
また上記注入管の敷設方法では、ゾンデ・ロケータ方式による位置検知ができない場合に、ジャイロ方式による位置検知装置をロッド先端側へ送り込み測定可能にセットする工程を、更に含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0044】
本発明の削孔装置は、ゾンデ・ロケータ方式による位置検知に用いられる位置情報発信装置を有し、該発信装置はアウターピース内に装着される。そして本発明によれば、この位置情報発信装置は、ロッドを介しての取外しと再装着を可能にする着脱機構を備えている。このような着脱機構を設けることにより、削孔完了後に位置情報発信装置を回収できるのは勿論のこと、
削孔作業の途中であっても、必要に応じて一時的に取外し回収することができ、また再装着してゾンデ・ロケータ方式の位置検知を再開することもできる。
すなわち本発明によれば、
削孔作業の途中でパーカッションを使用する場合には、位置情報発信装置を一時的に取外して回収できる。これにより、計器類を衝撃から確実に保護できる状態で、ロッド先端の削孔装置に打撃力を与えることができる。
また、パーカッションが終了すれば、再びロッド内に挿し込んで元の位置まで押し戻し、アウターピース内に再装着できる。これにより、パーカッションが終われば、ゾンデ・ロケータ方式による正確な位置検知を再開できる。
よって本発明によれば、ゾンデ・ロケータ方式による位置検知とパーカッションを併用しても計器類の損傷を招くことがないので、削孔難度の高い硬質地盤や砂礫地盤があっても計画線形に沿う正確な削孔が可能である。
また、
削孔作業の途中で位置情報発信装置の電池が消耗してゾンデ・ロケータ方式の位置検知が行えなくなっても、位置情報発信装置を取り外し電池を交換して再装着することで、ゾンデ・ロケータ方式の位置検知を再開できる。つまり長尺削孔で施工が複数日にわたるような場合でも容易に対応が可能である。
【0045】
また本発明の削孔装置によれば、アウターピースに対し係合する係合部材は、付勢部材によって「解除方向」に付勢されている(これに対し
図17の従来装置は「係合方向」に付勢されている)。そして、位置情報発信装置の装着状態を維持すべき間は、係合保持部材が係合部材の動き(解除方向への移動)を阻止して、係合状態を保持している。このような構成によれば、単に保持部材を係合部材から引き離すだけで、付勢されている係合部材が自動的に解除方向に動く。したがって係合を解除させる際に、従来装置のように、付勢力に抗して係合部材を押し戻す必要がない。すなわち本発明によれば、軽い操作で確実に着脱機構の係合を解除できるので、位置情報発信装置を抜き出す際の解除操作が容易になる。
また、位置情報発信装置の解除操作に要する力が小さくなることで、ゾンデハウジングに要求される強度を従来に比べて緩和できる。その結果、ゾンデハウジングの構成部材として、金属製ケースのみならず、樹脂などからなる非磁性体ケースを用いることも可能になる。
【0046】
また本発明の削孔装置によれば、ロッドを介して送水される削孔水は、防水性のあるゾンデハウジングとアウターピースの間の隙間を通って送水孔へ送られるようになっている。すなわち本発明では、従来装置の如く、水密性確保のためのOリングを位置情報発信装置の外周に設ける必要がない。したがって、位置情報発信装置を取外し・再装着する際に、Oリングによる抵抗が無く、該発信装置を軽い操作で自在に抜き差しすることが可能になる。
すなわち、着脱機構の解除に続いて位置情報発信装置を引き抜く際には、はじめから軽い引っ張り力で容易に引き抜くことができる。同様に、位置情報発信装置を再装着する際に、アウターピース内のもとの位置へ軽い操作で簡単かつ確実に押し戻すことができる。
また、位置情報発信装置の取外し・再装着のための操作が軽くなり、弱い力で抜き差しできるので、位置情報発信装置のゾンデハウジングに、後述する非磁性体ケース(例えば樹脂製ケース)を用いることが可能になる。
さらに、本発明では位置情報発信装置の外周にOリングが不要なので、従来装置に見られるような段差部(
図17の段差部135)を設ける必要がない。また、位置情報発信装置の周囲に削孔水を通すようになっているので、削孔水バイパスも不要になる。したがって構造が簡単になり、その分低コストでの製造が可能になる。また、削孔水の送水経路が従来よりも大きくなり、目詰まりが発生しにくくなる。
【0047】
また本発明の削孔装置によれば、インナーピースは、注入管や押し棒などの先端で押し出して撤去できるようにアウターピース内に収容されている。したがって、インナーピースを手前に回収する従来装置では、インナーピース抜け止め用の段差部(先端側寄りで縮径する段差部)を必要としていたのに対し、本発明ではそのような段差部が不要である。よって本発明によれば、従来装置に見られる「先端側寄りで内径が縮径する段差部」(
図17の段差部133,135)をすべて無くすことができる。その結果、削孔が完了して注入管を建て込むときに、段差部に注入管が引っかかるといった事態を確実に回避できる。
また、「先端側寄りで内径が縮径する段差部」が無くなる結果、これまでは注入管挿入の後工程でロッドを回収する際にロッドと注入管の隙間のシール材の多くが、ロッドと注入管に付着して地上に排出されていたことが無くなり、シール材が孔壁に確実に残るようになる。
また、「先端側寄りで内径が縮径する段差部」を無くすことにより、建て込み可能な注入管の径が広がるので、従来装置では使えなかったより太い径の注入管も建て込むことが可能になる。
また、インナーピースとして押し出し撤去タイプのものを用いることにより、インナーピースを撤去する際に、アウターピース内への土砂の吸い込みを防止できる。その結果、詰まった土砂により注入管の挿入が妨げられることがなく、また、後工程でロッドを回収する際に、注入管の共上がりを防止できる。
【0048】
また本発明の削孔装置によれば、ゾンデハウジングに非磁性体ケースが用いることができる。このように、非磁性材料製ケースを用いてゾンデハウジングを構成することにより、該ゾンデハウジングに磁気透過用スリットを形成する必要がなくなるので、削孔水に対する耐圧性の確保が容易になる。さらに、後述する金属製ケースにスリットを設けこれにコーキングしたゾンデハウジングと比較して、磁気をより多く通すことができるため、より深い深度までの計測が可能になり、その結果、削孔装置の適用可能深度を広げることができるとともに、計測精度も向上する。
なお実施例で述べるように、非磁性体ケース(樹脂製ケース)の方が、スリットを有する金属製ケースに比べて、測定可能距離の点で優れていることが確認された。
【0049】
上記のゾンデハウジングを用いる場合には、アウターピースとして、例えば、隙間を隔てて位置情報発信装置を囲う円筒状非磁性体の内ケースと、該内ケースを覆う外ケースとを含んでなるアウターピースを用いる。このように、アウターピースの構成部材として非磁性体の内ケースを用いることにより、外ケースに形成した磁気透過用スリットの機能を妨げることなく、削孔水に対する防水性・耐圧性を容易に確保できる。
また、非磁性体である樹脂製の内ケースであれば金属製のものより表面が滑りやすく、位置情報発信装置の取り外し再装着時に掛る力が小さくなり作業をより容易に行うことができる。
また、ゾンデハウジング、アウターピースの一方又は両方に樹脂を用いることで削孔時に金属同士の接触が無くなり位置情報発信機に与える衝撃を減らすことができる。
【0050】
一方、本発明で金属製ケースを用いてゾンデハウジングを構成する場合には、該ハウジングにスリットを形成するとともに、このスリットに非磁性体のコーキング材を設ける。ゾンデハウジングのスリットは、外壁側から内壁側へ向かって細くなる断面形状を有している。このようなスリット断面形状によれば、充填されたコーキング材は、ゾンデハウジング周囲を流れる削孔水の水圧を受けてもスリットから容易に抜け出ることがない。しかも、周囲を流れる削孔水の圧力が増すほど、コーキング材がスリットのテーパー面により強く密着するとともに、コーキング材が密になって強固になる。したがってスリットを塞ぐコーキング材に、防水性のみならず強い耐圧性を持たせることができるので、削孔水の水圧によってコーキング材が破壊するのを確実に防止し、ゾンデハウジング内への削孔水の浸入を確実に阻止できる。
【0051】
上記のゾンデハウジングを用いる場合には、アウターピースとして、例えば、位置情報発信装置からの信号を通すように形成されたスリットと、該スリットに設けられた非磁性体のコーキング材とを有するアウターピースを用いる。アウターピースのスリットは、内壁側から外壁側へ向かって細くなる断面形状を有している。このようなスリット断面形状であれば、充填されたコーキング材は、内側を流れる削孔水の水圧を受けてもスリットから容易に抜け出ることがない。しかも、内側を流れる削孔水の圧力が増すほど、コーキング材がスリットのテーパー面により強く密着するとともに、密になって強固になる。したがってスリットを塞ぐコーキング材に、防水性のみならず強い耐圧性を持たせることができるので、削孔水の水圧によってコーキング材が破壊するのを確実に防止し、削孔水の漏出を確実に阻止できる。
また、内壁側から外壁側へ向かって細くなる断面形状を有しているアウターピースのスリットでは、削孔時に地盤と接触するスリットの面積が小さくなるためスリットに設けられたコーキング材の削孔による摩耗が少なくスリットを補修する回数を減らすことができる。
【0052】
またゾンデハウジングとしては、ゾンデを囲う円筒状の内ケースと、該内ケースを覆う外ケースとを有するゾンデハウジングを用いることもできる。この場合、一方のケースは、スリットが形成された金属製ケースから構成され、他方は非磁性体ケース(例えば樹脂製ケース)から構成されている。このように、金属製ケースと非磁性体ケースの組み合わせでゾンデハウジングを構成することで、樹脂製ケース単体で構成する場合よりも、部材としての強度や剛性が高くすることができる。
【0053】
また本発明の注入管敷設方法によれば、
削孔作業の途中でパーカッションを使用する場合には、位置情報発信装置を取外して一時的に回収するようになっている。これにより、衝撃による計器類の損傷を確実に回避しつつ、ロッド先端の削孔装置に打撃力を与えることができる。
また、パーカッションが終了すれば、ロッド内に挿し込んで元の位置まで押し戻し、アウターピース内に再装着するようになっている。これにより、パーカッションが終われば、ゾンデ・ロケータ方式による位置検知を再開して、計画線形に沿った正確な削孔を継続できる。
【0054】
また本発明の注入管敷設方法によれば、削孔が完了して位置情報発信装置を回収した後、先端側にパッカーを備えた注入管をロッド内に挿入し、該パッカーを膨張させて送水孔を閉塞し、続いてロッド内に送り込んだ流体の圧力によってアウターピースからインナーピースを押し出すようになっている。これにより、わずかな手間と時間でインナーピースを撤去できるので、注入管敷設作業の効率化を図ることが可能になる。
【0055】
また本発明の注入管敷設方法によれば、インナーピースを前方に押し出し撤去するための流体にシール材を使用するようになっている。これにより、注入管周りへのシール材注入の手間が省ける。また、地山の崩壊による開放されたアウターピース内への土砂の流入を防止し、ロッドの引き抜き時、注入管の共上がりもなくスムーズに入れ替ることができる。
【0056】
また本発明の注入管敷設方法によれば、ゾンデ・ロケータ方式による位置検知ができない場合には、ジャイロ方式による位置検知装置をロッドの先端側へ送り込み測定可能にセットするようになっている。これにより、磁気・電波障害のある場所や、ゾンデからの磁気信号の受信が困難な既設構造物直下の地盤においても、削孔線形を測定することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0058】
はじめに、
図1及び
図2に基づいて、本発明の削孔装置の構成・作用の概略を説明する。
【0059】
本発明の削孔装置1は、
図1に示すような曲線ボーリング(自在ボーリング)に用いられる削孔ヘッドであって、曲がり可能なロッド2の先端に連結して用いられる。
この削孔装置1は
図2に示すように、主として、ロッド先端に連結される筒状のアウターピース3と、このアウターピースに押し出し可能に収容されるインナーピース5と、ゾンデ・ロケータ方式による位置検知に用いられる位置情報発信装置7と、この位置情報発信装置の取外しと再装着を可能にする着脱機構9を有している。
【0060】
アウターピース3は、内側に通路を有するロッド2(ケーシングパイプ)に連結されている。連通するロッド2とアウターピース3内の通路は、削孔時には削孔水の送水などに利用され、削孔完了後の次工程では注入管の建込みに利用される。
【0061】
インナーピース5は、ピンなどで抜け止めされた状態でアウターピース3の先端側に収容されており、削孔の間はコア詰まりを防止する。「コア詰まり」とは、地盤や切削ズリがロッド内に入り込み、コア状に詰まることをいう。削孔が完了してインナーピース5が不要になったら、前方へ押し出して撤去する。
【0062】
位置情報発信装置7は、ゾンデ・ロケータ方式による位置検知に用いられる装置であり、アウターピース3内に取り外し可能に装着されている。「ゾンデ・ロケータ方式」とは、削孔装置側に設けたゾンデ(発信機)からの磁気信号を、地表側のロケータ(受信機)を用いて受信し、この受信信号に基づいて削孔装置の位置、深度、ロール角、ピッチ角を検知する方法である。
【0063】
着脱機構9は位置情報発信装置7のゾンデハウジング73に対し連結されており、アウターピース3の内壁に対し解除可能に係合するラッチ93(係合部材)を備えている。位置情報発信装置7をアウターピース3内の所定位置に固定すべきときは、
図2に示すように着脱機構のラッチ93を開いてアウターピース3の内壁に係合させる。一方、位置情報発信装置7を取外して回収するときは、ラッチ93を閉じてアウターピース3に対する係合を解除する。
【0064】
上記構成の削孔装置1を用いた
削孔作業の途中でパーカッションが必要になった場合には、ラッチ93を解除し、位置情報発信装置7を抜き出して一時的に回収する。これにより、ゾンデや計器類を衝撃や振動から確実に保護できる状態で、ロッド先端の削孔装置1に打撃力を与えることができる。
【0065】
パーカッションが終了したら、位置情報発信装置7を再びロッド2内に挿し込んで元の位置まで押し戻し、
図2に示すようにラッチ93を係合させてアウターピース3に再装着し、そのまま削孔を続ける。したがってパーカッションが終われば、ゾンデ・ロケータ方式による位置検知を再開し、計画線形に沿った正確な削孔を続行できる。
【0066】
削孔が完了したら、位置情報発信装置7を取外して地表側に回収し、続いてインナーピース5をアウターピース3の前方へ押し出して撤去する。地盤に貫入させたロッド2とその先端のアウターピース3は、注入管の建込みに利用される。
【0067】
以下、削孔装置1の各部の構成について詳細に説明する。
【0068】
(アウターピース)
図2に、筒状のアウターピース3をロッド2の先端に連結した状態を示す。
図3に、位置情報発信装置7を囲う部位におけるアウターピース3の構造を示す。
【0069】
アウターピース3は、
図2に示すように、先端がとがった竹槍形状を有している。
このアウターピースは、図示するように、基端側の外周に形成されたネジ部33と、通路として機能するとともに位置情報発信装置7やインナーピース5の収容空間として機能する内空部35と、着脱機構のラッチ93が嵌合するラッチ溝37と、収容されたインナーピース5の陥没を阻止する段差部39と、削孔時に土圧を受ける傾斜した土圧受け面41と、削孔装置1の前方へ削孔水を送水するための送水孔43と、土圧受け面41に植設された図示しない複数のビットとを有している。さらにアウターピース3は、
図3に示すように、位置情報発信装置7からの磁気信号を透過させるための透過部45を有している。
【0070】
図2に示すネジ部33は外ネジとして形成され、ロッド2の先端のネジ部(内ネジ)と螺合する。ロッド2にアウターピース3を連結する際には、アウターピースのネジ部33をロッド2のネジ部の内側にねじ込む。
【0071】
アウターピースの内空部35は、基端から段差部39までの小径領域と、段差部39から先端までの大径領域とを含んでおり、段差部39から先が拡径している。小径領域および大径領域のいずれも、均一な内径であって、凹凸のない滑らかな内壁面を有している。
【0072】
基端から段差部39までの小径領域は、ロッド2と等しい内径を有している。したがって、アウターピース3をロッド2に連結した状態では、
図2に示すように両者の内壁側の継ぎ目に段差はなく、基端から段差部39に至るまで均一な内径を有している。
【0073】
段差部39から先の大径領域は、小径領域よりも大きな内径寸法を有し、かつ、インナーピース5を自在に挿脱可能な寸法を有している。
【0074】
ラッチ溝37(係合部)は、アウターピース3の内壁に形成されている。このラッチ溝37には、位置情報発信装置7の装着状態を維持すべき間、着脱機構のラッチ93が嵌り込む。その結果、ラッチ93がアウターピース3と係合し、アウターピース内での位置情報発信装置7の移動が規制される。
【0075】
段差部39は、削孔装置1の組み立て時にはインナーピース5の位置決め手段として機能し、削孔時にはインナーピース5の陥没阻止手段として機能する。
組み立て時に、インナーピース5をアウターピース3の先端開口部から挿し込むと、インナーピースとアウターピースの先端面が面一状に揃ったところで(両者の先端に段差がなくなった位置で)、
図2に示すようにインナーピース5が段差部39に引っかかって位置決めされる。
削孔時には、インナーピース5が土圧を受けて基端側(反掘進方向)へ押し込まれても、段差部39にインナーピース5が引っかかるので、該インナーピースが段差部39を超えてアウターピース3内に陥没することはなく、また、装着状態の位置情報発信装置7を後方へ押し込むこともない。
【0076】
送水孔43は、アウターピースの内空部35を介して、ロッド2内の通路と連通している。削孔時にロッド2を介して送水された削孔水は、アウターピース3と位置情報発信装置7との間にある円筒状の隙間を通り、送水孔43を介して土圧受け面41の前方へ吐出される。
【0077】
図3に示すように、本実施形態のアウターピース3は、主として、隙間を隔てて位置情報発信装置を囲う円筒状非磁性体の内ケース30と、この内ケースを覆う円筒状鋼製の外ケース31とから構成されている。内ケース30を構成する非磁性材料の具体例としては、例えば、樹脂、ステンレス、アルミ、真鍮などが挙げられる。内ケース30と外ケース31の間は、接着剤等でシールされている。削孔中は、内ケース30とゾンデハウジング73との間にある隙間を通って、削孔水が前方の送水孔へ送られる。
【0078】
鋼製の外ケース31には、透過部45が設けられている。この透過部45は、
図3に示すように、鋼製の外ケース31に形成されたスリット46と、該スリットを塞ぐ非磁性体のコーキング材47から構成されている。
【0079】
スリット46は、
図3(A)に示すように、外ケース31の軸方向に対して平行に設けられ、また
図3(B)に示すように、等間隔で複数本形成されている。
コーキング材47は高強度補修材から形成され、スリット46を塞ぐように充填されている。
【0080】
位置情報発信装置7内のゾンデから発信された磁気信号は、非磁性体の内ケース30を透過し、さらに、鋼製の外ケース31の透過部45を透過する。したがって、ゾンデからの磁気信号は、アウターピース3を透過して、地表側のロケータによって受信される。
【0081】
(インナーピース)
インナーピース5は、
図2に示すように、略円柱状ブロックの先端をとがらせた形状を有し、傾斜した土圧受け面53と、位置情報発信装置7の装着時に該発信装置を所定姿勢にガイドするガイドロッド55と、アウターピース3の段差部39に突き当たる段差部を有している。
【0082】
インナーピース5の土圧受け面53は、アウターピース3の土圧受け面41と傾斜角度が同一であり、インナーピース5を収容した状態で面一の斜面を形成するように位置決めされる。
【0083】
ガイドロッド55は、インナーピース5の後方側端面に延設されている。このガイドロッド55にはキー57が突設され、このキーは、位置情報発信装置のミールシュー75のキー溝83に差し込まれている。
【0084】
インナーピース5は、ピンなどで抜け止め・回転止めされた状態でアウターピース3内に収容され、削孔の間、アウターピースの先端開口部を塞いでいる。このインナーピース5により、ロッド内に掘削土が詰まる、いわゆるコア詰まりを防止する。削孔が完了したら、インナーピース5を前方へ押し出して撤去し、アウターピース3を貫通させる。
【0085】
(位置情報発信装置)
本発明で用いる位置情報発信装置7は、
図2に示すように、傾斜計やゾンデを格納する防水性のゾンデハウジング73と、位置情報発信装置7の取外しと再装着を可能にする着脱機構9と、位置情報発信装置7を装着・再装着する際のローリングを検出するミールシュー75と、位置情報発信装置7の引き抜きに利用するスピア77とを有している。
【0086】
ゾンデハウジング73内には、主として、削孔装置1のロール角・ピッチ角を計測する傾斜計と、該傾斜計から得た角度データを磁気信号に変換して送信するゾンデ(送信機)が格納されている。ゾンデから送信される磁気信号は、削孔工程において地表側にあるロケータによって受信される。
【0087】
これらの計器類やゾンデを囲うゾンデハウジング73は、
図4に示すように、本実施形態では円筒状ケースから構成されている。この円筒状ケースは、内部にあるゾンデからの磁気信号を透過できるように非磁性体で構成され、例えば、MCナイロンや塩化ビニルなどの樹脂、或いは、ステンレス、アルミ、真鍮などから形成されている。非磁性体ケースを用いることで、後述する第2実施形態のゾンデハウジング(
図11)の場合ようにスリットを設ける必要がないので、低コストで簡単に製造できるといったメリットがある。
【0088】
ゾンデハウジング73の両端開口部にはそれぞれ、
図4に示すように、スピア77と一体の軸部78と、着脱機構のプランジャー97と一体の軸部79が差し込まれている。軸部78,79はそれぞれ、ゾンデハウジング73に対し皿ネジ71でネジ留めされており、筒状のゾンデハウジング73の両端開口部を塞いでいる。軸部78,79とゾンデハウジング73との間には、水密性を確保するためのOリング72が介在させてある。
【0089】
ロッド2を介して送水される削孔水は、ゾンデハウジング73の外周とアウターピース3の内壁の間の円筒状空間を通って、前方の送水孔43へ送られる。なお、非磁性体のゾンデハウジング73は防水性を有し、また円筒状ケースで構成したことにより高い耐圧性も有するので、ゾンデハウジング73の周囲を通る削孔水がその内部へ浸入することはない。
【0090】
ミールシュー75は
図2に示すように、着脱機構9に対し一体的に設けられ、竹槍状の円筒形状に形成されている。このミールシュー75は、その先端の傾斜面81と、インナーピースのガイドロッド55を挿脱可能な内空部と、ガイドロッド55のキー57が差し込まれるキー溝83を有している。傾斜面81は、位置情報発信装置7を装着する際に、該発信装置を回転させつつキー57をキー溝83にガイドする役割を担っている。キー57が傾斜面81にガイドされ該傾斜面上をスライドし、キー溝83に進入することで、位置情報発信装置7の姿勢(ローリング角度)が修正され、インナーピース5に対する位置情報発信装置7の姿勢(相対角度)は常に一定になる。
【0091】
スピア77は、ゾンデハウジング73の端を塞ぐ軸部78と一体的に構成され(
図4参照)、その先端に係合頭部を有している。位置情報発信装置7を取外すときには、先端にオーバーショットを備えたケーブルをロッドを介して送り込み、そのオーバーショットをスピア77の係合頭部に係合させて、位置情報発信装置を引っ張る(
図6(A)参照)。
【0092】
位置情報発信装置7が装備する着脱機構9の構成について、以下詳述する。
【0093】
(着脱機構)
位置情報発信装置7が備える着脱機構9は、
図5に示すように、主として、アウターピース3に対し解除可能に係合する開閉式のラッチ93(係合部材)と、該ラッチを閉じる方向に付勢するバネ95(付勢部材)と、位置情報発信装置7の装着状態を維持すべき間、ラッチ93の解除方向への動きを妨げるプランジャー97(係合保持部材)と、該プランジャーをスライド可能に保持するプランジャーケース99とを有している。
【0094】
ラッチ93は、開閉翼のように開閉自在にプランジャーケース99に設けられている。位置情報発信装置7をアウターピース3に対し装着するときには、ラッチ93を押し広げてその先端側をアウターピースのラッチ溝37に進入させることで、ラッチ93をラッチ溝37に係合させる。一方、位置情報発信装置7を取り外すべきときはラッチ93を閉じて、ラッチ93とラッチ溝37との係合を解除する。
【0095】
バネ95は、閉じる方向(解除方向)にラッチ93を常に付勢する役割を担っている。なお
図17に示す従来装置では、バネ123は開く方向(係合方向)に係合翼片121を付勢しているので、バネの機能作用は従来装置のものとは異なる。
【0096】
プランジャー97は、位置情報発信装置7の装着・再装着の際に、バネ95の付勢力に抗してラッチ93を押し広げる役割を担っている。また削孔中では、位置情報発信装置7がアウターピース3から外れないように、押し広げたラッチ93,93の間に介在してその解除動作(閉じる方向の動作)を阻止する役割を担っている。
【0097】
このプランジャー97には、プランジャーケース99のガイド溝11に沿ってスライドするガイドピン13が突設されている。またプランジャー97には、プランジャーケース側に設けた鋼球19が嵌合する鋼球溝15,16が刻設されている。
【0098】
プランジャー97の基端側には、ゾンデハウジング73の端を塞ぐ軸部79が一体的に設けられている(
図4参照)。一方、プランジャー97の先端寄りは、プランジャーケース99内にスライド可能に収容されている。したがって、プランジャー97に繋がっている位置情報発信装置7を押し引きすることで、プランジャー97をケース99に対し前進・後退させることができる。ただしプランジャー97が進退動できる範囲は、ガイド溝11に沿ってガイドピン13がスライドできる範囲に制限される。
【0099】
プランジャーケース99は、プランジャーのガイドピン13を案内するガイド溝11と、進退動可能なプランジャー97を所定位置に保持するプランジャー保持手段17を有している。プランジャーケース99の端には、前述したミールシュー75が延設されている。
【0100】
プランジャー保持手段17は、スプリング18と鋼球19から構成されている。スプリング18は、プランジャーケース99に穿設した収容孔に収容されており、鋼球19を常にプランジャー方向に付勢している。鋼球19は、収容孔からプランジャー方向へ突出するようにスプリング18によって常に付勢されている。
【0101】
プランジャー97を押し引きして、鋼球19が鋼球溝15,16の一方を臨む位置に達すると、付勢される鋼球19が収容孔から突き出て該鋼球溝に嵌合する。これにより、更なる外力(押し又は引き)が作用しない限り、鋼球と鋼球溝の嵌合状態が維持され、プランジャー97の位置が保持される。
一方上記の保持状態において、力を加えてプランジャー97を押し又は引っ張ると、スプリング18の付勢力に抗して鋼球19が鋼球溝15又は16から外れ、プランジャー97を自在に押し引きできる。
【0102】
(位置情報発信装置を取外す際の動作)
上記構成の削孔装置1を用いた削孔において、その途中でパーカッションの使用が必要になった場合には、位置情報発信装置7を取外し一時的に回収する。また、削孔が完了したら、位置情報発信装置7を取外して回収する。
位置情報発信装置7を取外す際の手順を、
図6に(A)→(B)の順序で図示する。またその際の着脱機構9の動作を、
図7に(A)→(B)の順序で図示する。
【0103】
位置情報発信装置7を取外すにあたっては、はじめに
図6(A)に示すように、先端にオーバーショット87を備えたケーブル89を、ロッド2を介してその先端の削孔装置1へ向けて送り込む。オーバーショット87が位置情報発信装置7の手前に達したら、更にケーブル89を押し込んで、位置情報発信装置7の後方に延出したスピア77にオーバーショット87を連結させる。この状態では
図7(A)に示すように、プランジャー97の先端部がラッチ93を押し広げ、該ラッチの係合状態が保持されている。
【0104】
続いて、スピア77に連結させたケーブル89を手前に引っ張って、ゾンデハウジングの前方に繋がるプランジャー97を後退させる。ケーブル89を引っ張ることで、スプリングの付勢力に抗して鋼球19が鋼球溝15から外れると同時に、プランジャー97がガイド溝11に沿って後退し始める。
【0105】
プランジャー97が後退し始めると、押し広げていたラッチ93からプランジャー97の先端部が離れ始め、同時に、ラッチ93自身が備えるバネ95の付勢力によって該ラッチが徐々に閉まり始める。なおラッチ93の閉動作は、プランジャー97の引っ張り力によって行われるのではなく、ラッチ自身が備えるバネ95の付勢力によって行われる。したがって、プランジャー97を引っ張ってラッチ93を閉じる際、該ラッチがラッチ溝37に強く噛み込むのを防止できる。
【0106】
そして、ガイドピン13がガイド溝11の端に至るまでプランジャー97が後退すると、
図7(B)に示すように、プランジャー先端部がラッチ93から離脱すると同時に、ラッチ93がラッチ溝37から離脱して閉じきった状態に至る。このとき同時に、スプリングにより付勢された鋼球19が、プランジャー前方の鋼球溝16に嵌り込む。
【0107】
以上の操作によりラッチ93が外れ、位置情報発信装置7の装着状態が解除される。
以後は、
図6(A)に示すケーブル89を軽く引っ張り続けることで、
図6(B)に示すように位置情報発信装置7がアウターピース3から抜け出て、ロッド2を通じて地表側に回収することができる。
【0108】
(位置情報発信装置を再装着する際の動作)
削孔作業の途中でのパーカッションが終了したら、一時的に回収していた位置情報発信装置7をアウターピース3に再装着する。
位置情報発信装置7を取外す際の着脱機構9の動作を、
図7に(C)→(B)→(A)の順序で図示する。
【0109】
位置情報発信装置7の再装着にあたっては、はじめに該発信装置をロッド2内に入れ、押し棒などを用いて元の位置へ押し戻す。位置情報発信装置7がインナーピース5の手前に達し、
図7(C)のような姿勢でミールシュー先端の傾斜面81がガイドロッド55のキー57に当ると、発信装置7全体がミールシュー先端の傾斜面81(楕円状の滑らかな曲線になっている)に沿って回転する。
【0110】
すなわち、傾斜面81にキー57が当たって相対的にスライドすることで位置情報発信装置7の全体が回転し始め、同時に、キー57がミールシューのキー溝83へガイドされる。したがって、位置情報発信装置7がローリングした状態で押し込まれても、インナーピースのキー57は、必ずミールシューのキー溝83に入り込む。このようにミールシュー75は、押し戻された位置情報発信装置7のローリングを検出するとともに、ローリング角度を修正し、常に同じ相対角度になるように位置決めする作用を奏する。
【0111】
続いて位置情報発信装置7を押し戻すと、
図7(B)に示すように、ミールシュー75の基端側の奥にガイドロッド55の先端が当り、着脱機構9がこれ以上前方に移動できない状態に至る。この状態ではまだラッチ93が閉じきっているので、位置情報発信装置7はアウターピース3に対し装着されてはいない。すなわち、位置情報発信装置7はアウターピース3内の所定位置に位置決めされているが、アウターピースに対し固定されてはいない(つまり装着直前の状態)。
【0112】
図7(B)に示す状態では、ラッチ93はバネ95の付勢力で閉じており、鋼球19はプランジャー前方の鋼球溝16に嵌り込みスプリングで押さえ付けられている。鋼球19に対するスプリングの押し付け力は、プランジャー97が前進してラッチ93を押し広げることを妨げている。したがって、押込み方向の外力が続いて作用しない限り、
図7(B)に示す状態が保持される。
【0113】
図7(B)に示す状態から位置情報発信装置7を更に押し込んでプランジャー97が前進すると、スプリングの付勢力に抗して鋼球19が鋼球溝16から外れる。同時に、プランジャー97の先端部が、ラッチ93の間に入り込み、バネ95の付勢力に抗して該ラッチを押し広げる。
【0114】
そして、ガイドピン13がガイド溝11の端に至るまでプランジャー97が前進すると、
図7(A)に示すように、開いたラッチ93の先端側がラッチ溝37に嵌り込み、同時に、付勢された鋼球19が後方の鋼球溝15に嵌り込む。これによりプランジャー97の後退が阻止されるので、再び位置情報発信装置7の取外し操作を行うまでラッチ93が閉じることはなく、
図7(A)に示す係合状態が保持される。
【0115】
ラッチ93がラッチ溝37に係合するとともに鋼球19が鋼球溝15に嵌合した状態で、位置情報発信装置7の再装着が完了する。
なお上述した再装着が完了したとき、ガイドピン13がガイド溝11の端に「カチッ」と当った振動(感触)が、プランジャー97や押し込み部材を通じて作業者の手元に伝わるので、この振動によって再装着の完了を確認できる。
【0116】
(注入管の敷設方法)
次に、上述した削孔装置を用いた注入管敷設方法について説明する。
【0117】
はじめに、アウターピース3の先端開口部からインナーピース5を挿し込んで、
削孔作業の途中で該インナーピースが抜け出ないように且つ回動しないように、ピンなどで仮止めする。次に
図2に示すように、組み立てた削孔装置1をロッド2の先端に連結する。
【0118】
削孔装置に連結するロッド2としては、凹凸のない滑らかな内壁面を有し、内径が均一であって、連結部に段差が生じることのないロッドを用いるようにする。これにより、注入管の挿入作業およびロッドの引抜き作業において、注入管がロッド内壁に引っかかることがない。
【0119】
続いて、削孔装置1を先端に備えたロッド2をボーリングマシンにセットして地盤に貫入させ、
図1に示すようにロッドを継ぎ足しながら削孔装置1を計画線形に沿って掘進させる。削孔工程では、ロッド2を回転させながら押し込み、同時に、ロッド内の通路を介して削孔水を送水する。ボーリングマシンからの推進力・打撃力・回転力は、ロッド2を介してその先端の削孔装置1へと伝達される。また、ロッド2を介して送られた削孔水は、アウターピース3と位置情報発信装置7の間の隙間を通り、送水孔43を介して削孔装置1の前方へ吐出される。
【0120】
直線削孔を行うときには、ロッド2を連続回転させて、削孔装置1の先端面(アウターピースとインナーピースの傾斜した土圧受け面41,53)を特定の回転角に固定させないようにする。一方、曲線削孔を行うときには、ロッド2を回転させることなく押し込む。これにより、傾斜した土圧受け面41,53が、同一方向の土圧を継続的に受けて掘進方向が変化するので、この押し込み操作をそのまま継続することによって、曲線削孔がなされる。
【0121】
削孔中は、削孔装置側に装着した位置情報発信装置7と地表側のロケータを用いて、必要に応じてゾンデ・ロケータ方式による位置検知を行う。位置情報発信装置7内のゾンデから発信された磁気信号は地表側のロケータによって受信され、この受信信号に基づいて、削孔装置1の真上の地表位置、削孔装置1の深度、ロール角、ピッチ角を検知する。これらの位置情報に基づいて削孔方向を細かく修正しながら、計画線形に沿って削孔装置を推進させる。
【0122】
削孔作業の途中で、削孔難度の高い硬質地盤や砂礫地盤に突き当たった場合には、ロータリーパーカッションを使用し、ロッド2を通じて削孔装置1の先端に強力な打撃力を加える。ただしロータリーパーカッションを使用する場合には、その前に
図7(A)→(B)に示す手順でラッチ93を解除し、位置情報発信装置7を取外して一時的に回収しておく。パーカッションが終了したら、回収していた位置情報発信装置7をロッド2内に挿し込み、押込み部材を用いて元の位置まで押し戻し、
図7(C)→(B)→(A)に示す手順でラッチ93をラッチ溝37に係合させて再装着する。
【0123】
続いてゾンデ・ロケータ方式による位置検知を再開し、位置情報発信装置7を装着したままで計画線形に沿って削孔を続ける。削孔装置1が目標位置に達して削孔が完了したら、位置情報発信装置7を上記手順で回収し、続いて
図8に示す注入管建込み工程に移る。
【0124】
注入管の建込み工程では、はじめに
図8(A)に示すように、先端側にパッカー23を有する注入管21をロッド内に挿入する。本実施形態で用いる注入管21は、削孔装置の送水孔43を塞ぐ特殊パッカー23と、該パッカーを膨張させるためのエアチューブ25を有している。
【0125】
ロッド2内に挿し込んだ注入管21の先端が、
図8(B)に示すようにインナーピース5の手前に到達し、パッカー23が送水孔43の入り口を臨む位置にセットされたら、エアチューブ25を介してエアを送り込みパッカー23を膨張させる。これにより、膨張したパッカー23が、アウターピース3の内壁に密着すると同時に、送水孔43を閉塞する。
【0126】
続いて、注入管21を介してアウターピース3内に流体を圧送して、その流体圧力によって、
図8(C)に示すようにインナーピース5を前方へ押し出し撤去する。インナーピース5が前方へ押し出されたら、
図8(D)に示すように、ロッドとアウターピース3だけを引き抜いて、注入管21を地盤中に残置させる。
【0127】
以上の操作で、注入管の敷設が完了する。敷設された注入管は、地盤への薬液注入に用いられる。
【0128】
なお、削孔完了後の注入管建込み手順は上述したものに限定されず、例えば、インナーピース5を押し出すための流体としてシール材を用いてもよい。
また、上述した実施形態では、注入管21を通して流体を圧送し、その流体圧力でインナーピース5を押し出すようにしているが、はじめに押し棒などでインナーピース5を突いて前方へ押し出し、インナーピースが撤去されたら続いて注入管をロッドに挿通させるようにしてもよい。
【0129】
次に、アウターピース、ゾンデハウジング、及び位置検知方法の他の実施形態について説明する。
【0130】
(アウターピースの第2実施形態)
第2実施形態に係るアウターピース3aを
図9及び
図10に示す。
このアウターピース3aは、例えば、
図11及び
図12に示す第2実施形態のゾンデハウジングとの組み合わせで用いられる。
【0131】
透過部45は、
図9に示すように、鋼製アウターピースに形成されたスリット46と、該スリットを塞ぐ非磁性体のコーキング材47から構成されている。この透過部45は、位置情報発信装置7内のゾンデからの磁気信号を透過させる役割を担っている。
【0132】
スリット46は、
図9(A)に示すように、鋼製アウターピース3aの軸方向に対して平行に設けられ、また
図9(B)に示すように、等間隔で複数本形成されている。各スリットは、
図9(B)に示すように、内壁側から外壁側へ向かって断面形状が細くなるテーパー面を有している。
【0133】
コーキング材47は、樹脂製ピースや高強度補修材から形成され、スリット46を塞ぐように充填されている。スリット46に嵌合した状態のコーキング材47の断面は、削孔水の水圧が掛る側(内壁側)でより厚い寸法を有し、また、その反対側(外壁側)でより薄い寸法を有している。
なおコーキング材47は、
図9に示すように1種の材料から構成されてもよく、あるいは
図10に示すように、外側寄りに充填した樹脂性ピースと、内側寄りに充填した止水材との組み合わせから構成されてもよい。
【0134】
また、アウターピースの他の実施形態として、アウターピースを非磁性体の部材で構成してもよい。この場合、アウターピースには、
図9及び
図10に示すような透過部45を設けてもよい。また、
図3に示すような、非磁性体の円筒状内ケースを含んで構成してもよい。このようなアウターピースを構成する非磁性材料の具体例としては、例えば、樹脂、ステンレス、アルミ、真鍮などが挙げられる。アウターピースを、これらのいずれか1種の非磁性材料からなる部材で構成してもよく、或いは、異なる非磁性材料からなる複数部材で構成してもよい。
【0135】
(ゾンデハウジングの第2実施形態)
第2実施形態に係るゾンデハウジング73aを
図11及び
図12示す。
【0136】
ゾンデハウジング73aは、計器類やゾンデを囲う円筒状の金属製ケース61と、ゾンデからの信号を通すように金属製ケース61に形成された複数のスリット62と、各スリットを塞ぐ非磁性体のコーキング材63とを有している。削孔中は、このゾンデハウジングの外周とアウターピースの内壁の間の隙間を通って、削孔水が前方の送水孔へ送られる。
【0137】
金属製ケース61は、ステンレス鋼(SUS304)、アルミ、真鍮などの非磁性体の金属から形成されている。各スリット62は、
図11(B)に示すように、外壁側から内壁側へ向かって断面形状が細くなるテーパー面を有している。
【0138】
コーキング材63は、樹脂製ピースや高強度補修材から形成され、各スリット62を塞ぐように充填されている。スリット62に嵌合した状態のコーキング材63の断面は、削孔水の水圧が掛る側(外壁側)でより厚い寸法を有し、また、その反対側(内壁側)でより薄い寸法を有している。
【0139】
コーキング材63は、
図11に示すように1種の材料から構成されてもよく、あるいは
図12に示すように、内側寄りに充填した樹脂性ピースと、外側寄りに充填した止水材との組み合わせから構成されてもよい。
【0140】
(ゾンデハウジングの第3実施形態)
第3実施形態に係るゾンデハウジング73bを
図13に示す。
【0141】
ゾンデハウジング73bは、計器類やゾンデを囲う円筒状の金属製ケース61と、ゾンデからの信号を通すように金属製ケースに形成された複数のスリット62と、各スリットを塞ぐ非磁性体のコーキング材63とを有している。削孔中は、このゾンデハウジングの外周とアウターピースの内壁の間の隙間を通って、削孔水が前方の送水孔へ送られる。
【0142】
金属製ケース61は、ステンレス鋼(SUS304)、アルミ、真鍮などの非磁性体の金属から形成されている。各スリット62は、断面形状がより細くなっている点で、
図11に示す第2実施形態のゾンデハウジングと異なる。
【0143】
図示する細いスリット62は、圧力が掛る面積(スリットの巾:X)に対して付着長(肉厚:Y)が遥かに大きいので、コーキング材の強度に大きく依存しないですみ、広い巾のスリットよりコーキングし易い。コーキング材63は、高強度補修材から形成される。高強度補修材は樹脂より強度が高いので、部材としての安全率が高いといったメリットがある。
【0144】
(ゾンデハウジングの第4実施形態)
第4実施形態に係るゾンデハウジング73cを
図14に示す。
【0145】
ゾンデハウジング73cは、計器類やゾンデを囲う円筒状の内ケース66(非磁性体の金属製ケース)と、この内ケースを覆う外ケース67(樹脂製ケース)とを有している。内ケース66と外ケース67の間は、接着剤等でシールされている。削孔中は、外ケース67の外周とアウターピースの内壁の間の隙間を通って、削孔水が前方の送水孔へ送られる。
【0146】
内ケース66は、ステンレス鋼(SUS304)、アルミ、真鍮などの非磁性体の金属から形成され、ゾンデからの信号を通すように複数のスリット62が設けられている。各スリット62には、第2実施形態のゾンデハウジングと異なりコーキング材を設けず、その代わりに、内ケース66の周囲に非磁性体の樹脂製外ケース67を被せてある。なお、本実施形態では外ケース67を構成する非磁性材料の代表例として樹脂を用いているが、ステンレス、アルミ、真鍮などの非磁性材料を用いてもよい。
【0147】
このような構成によれば、各スリットをコーキングする場合に比べて、簡単かつ確実に水密性を確保できる。また本実施形態では、金属製ケースと樹脂製ケースの組み合わせでゾンデハウジングを構成するので、
図4に示す単体ケースだけの実施形態よりも、部材としての強度や剛性が高くなる。なお、削孔水に対する耐圧性は樹脂製外ケース67の肉厚で決まるので、必要な肉厚を確保することで十分な耐圧性を得ることができる。
【0148】
(ゾンデハウジングの第5実施形態)
第5実施形態に係るゾンデハウジング73dを
図15に示す。
【0149】
ゾンデハウジング73dは、計器類やゾンデを囲う円筒状の内ケース68と、この内ケースを覆う外ケース69を有している。内ケース68および外ケース69は、いずれも非磁性体で構成されている。内ケース68と外ケース69の間は、接着剤等でシールされている。削孔中は、外ケース69の外周とアウターピースの内壁の間の隙間を通って、削孔水が前方の送水孔へ送られる。
【0150】
内ケース68は、非磁性材料である樹脂から形成されている。樹脂のほか、ステンレス、アルミ、真鍮などの非磁性材料で構成してもよい。
外ケース69は、ステンレス鋼(SUS304)、アルミ、真鍮などの非磁性体の金属から形成され、ゾンデからの信号を通すようにスリット62が複数設けられている。各スリット62には、樹脂製ピースや高強度補修材からなる非磁性体のコーキング材63が設けられている。
【0151】
(削孔時における位置検知方法の他の実施形態)
図2に示す実施形態では、位置検知手段としてゾンデ・ロケータ方式の検知装置のみを用いる場合について説明したが、必要に応じてジャイロ方式の計測装置を併用してもよい。
【0152】
例えば、磁気・電波障害のある場所や、ゾンデからの磁気信号の受信が困難な既設構造物直下の地盤では、ゾンデ・ロケータ方式による位置検知が困難となる。また、測定可能深度を超えて削孔した場合にも、位置検知が困難となる。このような場合には、
図16(A)に示すように、ゾンデ・ロケータ方式の位置情報発信装置を回収し、その代わりに、ジャイロ方式の計測装置をアウターピース内へ送り込んで測定可能にセットするようにしてもよい。
【0153】
或いは、
図16(B)に示すように、ゾンデ・ロケータ方式の位置情報発信装置を装着したまま、ジャイロ方式の計測装置を送り込んで測定可能にセットするようにしてもよい。この場合には、位置情報発信装置7の後方に、ジャイロ方式の計測装置用のガイドロッド84を固設するとともに、このガイドロッドに位置情報発信装置を引き抜くためのスピアとしての機能を持たせるようにする。
【0154】
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、上述した実施形態は例示であって、特許請求の範囲の範囲内で種々の変形例を採用することが可能である。
【実施例】
【0155】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
【0156】
表1に示す仕様のゾンデハウジングとアウターピースを用いて、金属製ゾンデハウジングと樹脂製(塩化ビニル製)ゾンデハウジングの性能を比較した。
【0157】
(参考例)
参考例の実験では、表1に示す金属製ゾンデハウジングの内部にゾンデをセットした位置情報発信装置を用意した。この位置情報発信装置をアウターピースに装着することなく、そのまま用いて測定可能距離を確認した。
【0158】
(実施例1)
実施例1の実験では、表1に示す金属製ゾンデハウジングの内部にゾンデをセットした位置情報発信装置を用いた。ゾンデ及びゾンデハウジングは、上記参考例で用いたものをそのまま使用した。この位置情報発信装置を、表1に示す金属製アウターピースに装着して、測定可能距離を確認した。
なお、実施例1で用いたゾンデハウジングは、
図11に示す第2実施形態のゾンデハウジングに相当する。
【0159】
(実施例2)
実施例2の実験では、表1に示す塩化ビニル製ゾンデハウジングの内部にゾンデをセットした位置情報発信装置を用いた。ゾンデは、参考例及び実施例1で用いたものをそのまま使用した。この位置情報発信装置を、表1に示す金属製アウターピース(実施例1で使用したもの)に装着して、測定可能距離を確認した。
なお、実施例2で用いたゾンデハウジングは、
図4に示す第1実施形態のゾンデハウジングに相当する。
【0160】
参考例、実施例1及び実施例2の各測定結果を表2に示す。
【0161】
【表1】
【0162】
【表2】
【0163】
表2においてイタリック体で示す数値は、ゾンデからの距離を実際に計測した時のロケ―タが表示した測定距離(単位:m)である。
【0164】
参考例においてゾンデからの距離1.0m地点でキャリブレーション(表2の太枠部分)を行った。参考例の計測結果は、実距離と計測距離に差が少なく、測定可能距離は8.5mであった。
【0165】
実施例1における計測距離は、実距離より大きく出ていて、磁気が参考例より弱まっていることを示した。測定可能距離は7.0mであった。
【0166】
実施例2では、実距離と計測距離の差は参考例と実施例1の間であり、透過する磁気が実施例1より強いことを示した。測定可能距離は、参考例と同じく8.5mであった。
【0167】
以上の実験結果より、スリットを設けた金属製ゾンデハウジングと比較して、スリットの無い非磁性体ゾンデハウジングの計測可能距離は、約20%長くなることが確認された。したがって測定可能距離の観点からは、
図11に示す第2実施形態のゾンデハウジングに比べて、
図4に示す第1実施形態のゾンデハウジングがより好ましいことが分かった。