(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6084429
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】セレン低減材及びセレン低減方法
(51)【国際特許分類】
B01J 20/06 20060101AFI20170213BHJP
B09B 3/00 20060101ALI20170213BHJP
B09C 1/02 20060101ALI20170213BHJP
B09C 1/08 20060101ALI20170213BHJP
C02F 1/28 20060101ALI20170213BHJP
【FI】
B01J20/06 DZAB
B09B3/00 304H
B09B3/00 304K
C02F1/28 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-237880(P2012-237880)
(22)【出願日】2012年10月29日
(65)【公開番号】特開2013-116468(P2013-116468A)
(43)【公開日】2013年6月13日
【審査請求日】2015年10月26日
(31)【優先権主張番号】特願2011-238721(P2011-238721)
(32)【優先日】2011年10月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304036743
【氏名又は名称】国立大学法人宇都宮大学
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】藤本 京子
(72)【発明者】
【氏名】城代 哲史
(72)【発明者】
【氏名】花田 一利
(72)【発明者】
【氏名】猪瀬 匡生
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 圭児
(72)【発明者】
【氏名】上原 伸夫
【審査官】
河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−074280(JP,A)
【文献】
特開2011−093946(JP,A)
【文献】
特開2005−281344(JP,A)
【文献】
特開2009−050818(JP,A)
【文献】
特開2005−036159(JP,A)
【文献】
米国特許第07294275(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 20/00 − 20/34
B09B 1/00 − 5/00
C02F 1/28
C02F 1/70 − 1/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製鋼スラグを80質量%以上含み、アルカノールアミンを含まず、鉄含有率が15質量%以上、硫黄含有率が1質量%未満であることを特徴とするセレン低減材。
【請求項2】
製鋼スラグを80質量%以上含み、アルカノールアミンを含まず、鉄含有率が15質量%以上、硫黄含有率が1質量%未満であるセレン低減材を処理対象物に接触させることによって、該処理対象物のセレン含有量を低減させる処理工程を含むことを特徴とするセレン低減方法。
【請求項3】
前記セレン低減材を処理対象物に接触させた状態で、系のpHを4以上8以下にすることを特徴とする請求項2に記載のセレン低減方法。
【請求項4】
セレン低減材を処理対象物に接触させる前記処理工程の前に、前記処理対象物に含まれる6価のセレンを4価のセレンに還元する工程を含むことを特徴とする請求項2又は3に記載のセレン低減方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水、土壌、廃棄物等の処理対象物からセレンを除去するセレン低減材及びセレン低減方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自然発生的要因及び/又は産業発生的要因によって発生した有害元素に起因する環境保全上の支障を除去する必要性が高まっている。このため、水質汚濁防止法では、排水中におけるセレン(Se)の濃度が0.1mg/L(リットル)以下に定められ、土壌汚染対策法では、環境省告示13号及び46号試験法での溶出液中におけるセレンの濃度(土壌環境基準値(平6環庁告25))が0.01mg/L以下に定められている。
【0003】
このような背景から、近年、水酸化鉄による共沈処理、活性アルミナによる吸着処理、微量のイオン形態のセレンを対象としたイオン交換処理等を利用した、セレンの様々な除去方法が提案されている。また、カルシウム化合物をセレンの捕集に利用する方法も提案され、第一鉄塩とCa(OH)
2とを排水に添加して凝集分離する方法(特許文献1参照)、カルシウム源としてカルシウムフェライト、カルシウムフェライトを提供する部材として高炉徐冷スラグを用いる方法(特許文献2〜6参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−192167号公報
【特許文献2】特開2000−86322号公報
【特許文献3】特許第4179604号公報
【特許文献4】特許第3960947号公報
【特許文献5】特許第3841770号公報
【特許文献6】特許第4264523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、水酸化鉄による共沈処理や活性アルミナによる吸着処理では、微量のセレンに対しては充分な除去率が得られず、固液分離操作も煩雑である。一方、イオン交換処理は低濃度のセレンの除去には有効であるが、セレン以外の元素を含む複雑な組成構造廃液には適用が難しい。また、特許文献1記載の方法では、固液分離操作が煩雑であるのに加えて、pH等の調整が必要である。
【0006】
一方、特許文献3記載の方法は、カルシウムフェライトと高炉水砕スラグとの混合物を用いてCr(6価)、As、Seを固定化する方法であるが、これは特許文献2に規定された高炉水砕スラグによるCr(6価)固定化の方法を発展させた方法であり、5〜90%のカルシウムフェライトの添加が必要であるため、高価である。また、特許文献4,5記載の方法は、S、Feを含有する高炉徐冷スラグをセレン低減材として用いるものであるが、Sの混入は新たな環境負荷の要因となりうるため好ましくない。
【0007】
また、特許文献6記載の方法は高炉徐冷スラグと製鋼スラグとからなるセレン低減材であるが、Sを0.3%以上含有しているために、上記と同様の理由で好ましくない。またセレン低減材を添加混合した後の水又は土壌のpHが7以下であることが規定されており、pHが7を超えるような対象には適用ができない、又はpH7以下に調整するための煩雑な処理が必要になる。さらに、特許文献6記載の方法では、例えば水質検液50mLに対し10gと非常に多くのセレン低減材が必要な上、非常に長い処理日数(実施例では28日)が必要になる。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、処理対象物からセレンを簡単、迅速、且つ、安価に除去可能なセレン低減材及びセレン低減方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るセレン低減材は、製鋼スラグを80質量%以上含み、鉄含有率が15質量%以上、硫黄含有率が1質量%未満であることを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るセレン低減方法は、製鋼スラグを80質量%以上含み、鉄含有率が15質量%以上、硫黄含有率が1質量%未満であるセレン低減材を処理対象物に接触させることによって、該処理対象物のセレン含有量を低減させる処理工程を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明に係るセレン低減方法は、上記発明において、前記セレン低減材を処理対象物に接触させた状態で、系のpHを4以上8以下にすることを特徴とする。
【0012】
本発明に係るセレン低減方法は、上記発明において、セレン低減材を処理対象物に接触させる前記処理工程の前に、前記処理対象物に含まれる6価のセレンを4価のセレンに還元する工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るセレン低減材及びセレン低減方法によれば、処理対象物からセレンを簡単、迅速、且つ、安価に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、攪拌時間の変化に伴う4価のヒ素の残存率の変化を示す図である。
【
図2】
図2は、攪拌時間の変化に伴う6価のヒ素の残存率の変化を示す図である。
【
図3】
図3は、系のpHの変化に伴う4価のヒ素の残存率の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の発明者らは、鋭意研究を重ねてきた結果、鉄鋼の製造過程で生成する製鋼スラグが、Fe(2価)による還元作用、マグネタイトによる吸着作用、Fe水酸化物による凝集作用、及びCaOによるpH調整作用を複合的に発揮して、水及び固体から溶出するセレンを捕集する能力を有することを知見した。
【0016】
ここで、製鋼スラグとは、溶銑やスクラップ等を精錬して鋼を製造する際に同時に製造される転炉スラグ,電気炉スラグ及びそのほか製鋼工程で製造される溶銑予備処理スラグ(溶銑を転炉に装入する前に溶銑の脱硫,脱珪,脱燐等の処理をする際に生成されるスラグ。予備処理の内容に応じて生成されるスラグを脱硫スラグ,脱珪スラグ,脱燐スラグ等と称する),二次精錬スラグ(転炉等から出鋼した溶鋼に脱硫,脱燐,脱ガス等の処理をする際に生成されるスラグ),スロッピングスラグ(転炉吹錬中に炉内から飛び出し、炉下に落下したスラグ),鋳造スラグ(溶鋼を鋳型又は連続鋳造機に注入した後、溶鋼鍋に残留したスラグ),及び混銑炉スラグ(混銑炉から排出されたスラグ)を意味する。より具体的には、製鋼スラグは、鉄鋼製造プロセスにおいて生成されるものであり、CaO,SiO
2,FeO,Fe
2O
3,MgO,MnO,P
2O
5を主成分、Al
2O
3,S等を副成分として含有するものである。代表的な鉱物相としては、ダイカルシウムシリケート(β−Ca
2(SiO
4,PO
4)),トリカルシウムシリケート((Mg,Ca,Mn,Fe)
3SiO
5),ウスタイト(FeO),マグネタイト(Mn,Fe)
3O
4),ライム(CaO),ダイカルシウムフェライトチタネート(Ca
2(Al,Fe)
2O
5−Ca(Si,Ti)O)等が存在する。
【0017】
本発明では、この製鋼スラグのうち、鉄含有率が15質量%以上、且つ、硫黄含有率1質量%未満である脱炭スラグ、脱珪スラグ、および脱リンスラグの少なくとも1種を使用する。製鋼スラグによるセレン除去は、製鋼スラグに含有されるFe(2価)による還元作用、マグネタイトによる吸着作用、及びFe水酸化物による凝集作用によることから、鉄濃度が低くなるほど除去効果は低減し、高炉スラグのように鉄含有率が低いスラグでは、セレン(6価)の除去効果はほとんど発現されない。また、通常の製鋼スラグの鉄含有率は40質量%以下であるため、この範囲のものを用いることができる。
【0018】
また、高炉スラグに製鋼スラグを含有させた場合でも製鋼スラグの含有率が80%未満である場合、セレン(6価)の除去効果は著しく低いため、製鋼スラグの含有率は80%以上であることが必要である。また、脱硫スラグのように多量の硫黄を含有するスラグでは、セレンの鉄塩への吸着、凝集やカルシウム塩の生成時に硫黄がセレンと競合して作用し、セレンの除去率を低下させる。そのため硫黄含有率は1%未満の製鋼スラグを用いる必要がある。
【0019】
製鋼スラグは単独で用いても、複数の異なるスラグを混合しても、又はセレンの低減処理を円滑に行うために成型助剤を添加してもよい。処理対象物との接触表面積を増やすためには、製鋼スラグは粉砕して粉末化することが望ましいが、もともと製鋼スラグは粒度が小さいものが多いので、そのまま用いる又は固液分離の際の操作性を考慮して、水質を通液できるようなカラム状容器に充填する、機械プレス等の方法により処理に適した形状に成型する等の手段をとることができる。
【0020】
水質の処理に用いる場合には、対象試料に直接本発明の製鋼スラグを添加、攪拌後、ろ過等によってスラグを除くことにより、水質中のセレンはスラグと共に固相に移動し、水質中のセレン量を低減できる。粉末状の製鋼スラグをカラム状の容器に充填、又は一定形状に成型し、これに対象の水質試料を通液することにより水質中のセレンを除去することができる。この場合、スラグに捕集されたセレンはpH9以上のアルカリ性の溶液を通液することによりスラグから溶離するので、スラグを充填した除去カラム及び成型カラムは水質処理に繰り返し供することができる。
【0021】
処理する際の試料のpHは4以上8以下であることが望ましい。pHが4未満の試料を添加するとスラグの溶損が生じて、処理水中にCa等のスラグ構成成分が増大する。一方、pHが9以上になるとセレンの除去率が著しく低下する。除去に供されるセレンの形態は特に規定されないが、鉄に捕集されやすいセレン(4価)の形態に変化させることによって、より効率的に製鋼スラグに捕集される。セレン(6価)からセレン(4価)への還元には、鉄(2価)塩やその水酸化物、亜硫酸塩等を用いることができる。スラグ中に含まれる鉄(2価)化合物もこの還元反応に寄与するが、セレン(6価)の還元は鉄(2価)の量に依存することから、鉄(2価)の量が不足する場合には、さらに上記の還元剤を添加することが有用である。
【0022】
〔実施例1〕
実施例1では、2mm目のふるいを通過するように粉砕した転炉スラグ(Fe22.6%、Si4.5%、Al2.8%、Ca25.8%、S<1.0%、Se<5ppm)及び高炉徐冷スラグ(Fe0.6%、Si15.8%、Al7.2%、Ca28.4%、S0.60%、Se<5ppm)(ここで%は質量%を、ppmは質量ppmを表す)それぞれ0.1g及び0.3gをセレン(4価)1μg/mLを含む水溶液50mLにそれぞれ添加、攪拌後、ろ過してろ液中のセレン濃度をICP質量分析法で定量した。攪拌時間を5分、10分、30分、1時間とした場合の溶液中(ろ液中)のセレンの残存率を
図1に示す。また、同様の実験を、セレン(6価)1μg/mLを含む水溶液50mLに対して行なった場合の、溶液中(ろ液中)のセレンの残存率を
図2に示す。
図1,2に示すように、転炉スラグはセレンに対して優れた捕集能力を示し、セレン(4価)については、転炉スラグ0.3gで溶液中50μgのセレンが10分で40%程度、30分では60%程度除去できた。また、セレン(6価)ではセレン(4価)に比べて捕集率は劣るものの、単に転炉スラグ0.3gを添加して攪拌するだけで溶液中50μgのセレンが20〜30%除去できた。以上のことから、転炉スラグを用いることによって水溶液中のセレン濃度を低減できることが知見された。
【0023】
〔実施例2〕
実施例2では、2mm目のふるいを通過するように粉砕した転炉スラグ(Fe22.6%、Si4.5%、Al2.8%、Ca25.8%、S<1.0%、Se<5ppm)(ここで%は質量%を、ppmは質量ppmを表す)0.1gをセレン(4価)1μg/mLを含むpH3,4,6,8,9,10の6種の酢酸アンモニウム緩衝液50mLにそれぞれ添加、60分攪拌後、ろ過してろ液中のセレン濃度をICP質量分析法で定量した。溶液中(ろ液中)のセレンの残存率を
図3に示す。
図3に示すように、pH8以下になるとセレンの除去率は60%以上に増大し、pH4近傍で除去率が最大になった。さらに、pHを下げてpHが3以下になると転炉スラグの溶解が始まって除去率が低下した。このため、添加する溶液のpHを4〜8に調整することによって、セレンの除去効率が向上することが知見された。なお、溶液のpHは転炉スラグの添加によって増大するので、処理対象液のpHによっては、転炉スラグを捕集材として添加するだけで、pHが4〜8の範囲になり高い除去率の得られる好適条件を得ることが可能になる場合もある。
【0024】
〔実施例3〕
実施例3では、2mm目のふるいを通過するように粉砕したスラグ0.5gをSe(4価)1質量ppmを含む水溶液100mLに添加、1時間攪拌後、ろ過してろ液中のセレン濃度をICP質量分析法で定量した。得られた値をスラグ添加前のセレン濃度(1質量ppm)で除して、処理液中セレンの処理後の残存率を求めた。実験に使用したスラグ中のFe含有率及びS含有率は以下の通りである。
【0025】
高炉スラグ:Fe 0.276%、S 0.604%
転炉スラグA:Fe 23.6%、S 0.018%
転炉スラグB:Fe 13.5%、S 0.013%
脱リンスラグ:Fe 35.5%、S 0.056%
脱硫スラグ:Fe 29.9%、S 1.79% (ここで%は質量%を表す)
【0026】
定量結果を以下の表1に示す。表1に示すように、本発明1〜3の低減材を使用した場合におけるセレンの残存率は比較例1〜4の低減材を使用した場合のセレンの残存率より低い。このことから、製鋼スラグを80質量%以上含み、鉄含有率が15質量%以上、硫黄含有率が1質量%未満である低減材を用いることによって、セレンを効果的に除去できることが知見された。
【0028】
〔実施例4〕
実験例4では、2mm目のふるいを通過するように粉砕した組成の異なる転炉スラグA(Fe22.6%、Si4.5%、Al2.8%、Ca25.8%、S<1.0%、Se<5ppm)、転炉スラグB(Fe13.3%、Si18.8%、Al1.9%、Ca23.6%、S<1.0%、Se<5ppm)、及び転炉スラグC(Fe21.7%、Si4.8%、Al1.0%、Ca23.5%、S<1.0%、Se<5ppm)0.5gにセレン1μg/mLを含むpH5の酢酸アンモニウム緩衝液50mLを添加し、1時間攪拌後、ろ過してろ液中のセレン濃度をICP質量分析法で定量した。得られた値をスラグ添加前のセレン濃度(1μg/mL)で除して、処理液中セレンの処理後の残存率を求めた。定量結果を以下の表2に示す。
【0029】
表2に示すように、本発明例である転炉スラグA,Cのセレンの残存率は転炉スラグBの残存率よりも低い。このことから、鉄含有率が15質量%以上であるセレン低減材の有用性が立証され、鉄以外にセレン低減効果が謳われているAlの含有率によらず、セレン低減効果が発現されることが知見された。
【0031】
〔実施例5〕
実施例5では、2mm目のふるいを通過するように粉砕した転炉スラグ(Fe22.6%、Si4.5%、Al2.8%、Ca25.8%、S<1.0%、Se<5ppm)0.5gにセレン1μg/mLを含むpH5の酢酸アンモニウム緩衝液50mL及びセレン1μg/mL標準液(pH4.5硝酸溶液)50mLをそれぞれ添加して1時間攪拌後、それぞれろ過してろ液中のセレン濃度をICP質量分析法で定量した。得られた値をスラグに添加前のセレン濃度(1μg/mL)で除して、処理液中セレンの処理後の残存率を求めた。定量結果を以下の表3に示す。
【0032】
表3に示すように、本発明例のように緩衝液を用いてpHを5.0に調整した際にはセレン残存率は低いのに対して、緩衝作用を有しない状態で転炉スラグを混合した場合には処理液のpHは11.8と高アルカリ性となり、セレンはほとんど捕集されなかった。このことより、セレン捕集時のpH調整の有用性が知見された。
【0034】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。