特許第6084471号(P6084471)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6084471充電ケーブル保持器具及び建物の給電設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6084471
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】充電ケーブル保持器具及び建物の給電設備
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20170213BHJP
   H01M 10/46 20060101ALI20170213BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20170213BHJP
【FI】
   H02J7/00 301B
   H01M10/46 101
   B60L11/18 C
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-17343(P2013-17343)
(22)【出願日】2013年1月31日
(65)【公開番号】特開2014-150629(P2014-150629A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2015年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(72)【発明者】
【氏名】北住 徹也
【審査官】 桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/005277(WO,A1)
【文献】 特開2011−50125(JP,A)
【文献】 特開2012−244710(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/034216(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 − 7/12
H02J 7/34 − 7/36
B60L 11/18
H01M 10/42 − 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物において、車両の駐車スペースの隣になる壁部に取り付けられ、一端が車載バッテリに接続され、かつ他端が前記壁部に設けられた給電手段に接続される充電ケーブルを壁面上に保持する充電ケーブル保持器具であって、
前記充電ケーブルの少なくとも一部を保持するケーブル保持部と、
前記ケーブル保持部よりも前記壁部側に設けられ、それらケーブル保持部と壁部との間に上方の前記給電手段に向けて延びる電気配線を通す空きスペースを形成する台座部と、
を備えることを特徴とする充電ケーブル保持器具。
【請求項2】
前記台座部は、前記壁部に対する取付部となる複数の脚部を有し、それら各脚部は互いに離間して設けられ、前記複数の脚部により前記ケーブル保持部と前記壁部との間に前記空きスペースが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の充電ケーブル保持器具。
【請求項3】
前記複数の脚部は、前記壁部の面方向において左右に互いに離れている脚部と、上下に互いに離れている脚部とを含んで構成されていることを特徴とする請求項2に記載の充電ケーブル保持器具。
【請求項4】
前記充電ケーブルは、前記給電手段に対して接続及び接続解除が可能であり、
前記台座部は、前記複数の脚部と、その複数の脚部により支持され前記空きスペースを隔てて前記壁部に対向する対向部とを有し、
前記ケーブル保持部は、前記充電ケーブルを保持した状態で、前記台座部の前記対向部に対して装着及び離脱が可能になっていることを特徴とする請求項2又は3に記載の充電ケーブル保持器具。
【請求項5】
前記複数の脚部は、上下に互いに離間して設けられる脚部を有し、それらの脚部の長さが相違しており、
前記ケーブル保持部は上下方向のいずれかに傾いた状態となっていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の充電ケーブル保持器具。
【請求項6】
前記ケーブル保持部には、前記充電ケーブルが巻付けられる巻付け部が一体的に設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の充電ケーブル保持器具。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の充電ケーブル保持器具を備える建物の給電設備であり、
前記壁部の壁面上には、前記給電手段としての本体部と、該本体部から下方に延び、建物側の配電手段から前記本体部に電力を供給する電気配線とが固定されており、
前記充電ケーブル保持器具は、前記本体部の下方において前記電気配線に重複する位置に設けられていることを特徴とする建物の給電設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電ケーブル保持器具及び建物の給電設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車やハイブリッド自動車の普及が進んでおり、これらの自動車について住宅等の建物側から電力を供給して車載バッテリを充電する技術が各種提案されている。その1つとして、建物の外壁に給電設備を取り付けておくことが考えられている。具体的には、建物の外壁に充電ケーブルを例えば巻付け状態で取り付けることが可能な構成とし、必要に応じて巻付けをほどいて充電ケーブルを使用する。
【0003】
なお、建物の外壁の上にて充電ケーブルを保持する技術としては例えば特許文献1が知られている。この特許文献1では、家屋壁面等にケーブルホルダを固定しておくとともに、充電ケーブルに一体に施錠用ブロック部を設けておき、施錠手段によって、施錠用ブロック部をケーブルホルダに脱離不能に連結する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−161886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、建物の外壁には、露出した状態で電気配線(保護管としてのフレキシブルチューブを含む)が取り付けられることがあると想定され、かかる場合には、充電ケーブル保持器具を取り付ける上で電気配線が邪魔になり、電気配線を避けての充電ケーブル保持器具の取り付けが強いられる等の不都合が生じる。つまり、電気配線の取り付け及び充電ケーブル保持器具の取り付けのいずれかに制約が生じることとなる。例えば、住宅の購入後に電気自動車やプラグインハイブリッド自動車が購入される場合には、その自動車購入の時点でリフォームにより給電設備が設置されることが考えられる。そしてかかる場合には、施工の都合などから、建物の外壁に電気配線が露出した状態で取り付けられることが考えられる。したがって、上記のとおり電気配線や充電ケーブル保持器具の取り付けに制約が生じることが考えられる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、建物の壁部に対する取り付けを好適に実施できる充電ケーブル保持器具及び給電設備を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0008】
第1の発明は、
建物において、車両の駐車スペース(P)の隣になる壁部(13)に取り付けられ、一端が車載バッテリ(21)に接続され、かつ他端が前記壁部に設けられた給電手段(31)に接続される充電ケーブル(25)を壁面上に保持する充電ケーブル保持器具であって、
前記充電ケーブルの少なくとも一部を保持するケーブル保持部(32)と、
前記ケーブル保持部よりも前記壁部側に設けられ、それらケーブル保持部と壁部との間に空きスペース(S)を形成する台座部(33)と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、ケーブル保持部よりも壁部側には、台座部によってケーブル保持部と壁部との間に空きスペースが形成されているため、その空きスペースを、壁面上に設けられた電気配線の設置スペースとして利用できる。そのため、例えば建物の外壁に車両充電用の給電機器を後付けする場合(建物購入後に後付けする場合)に、電気配線が壁面上に露出(実際には保護管が露出)して設けられるとしても、その露出配線との干渉(電気配線が邪魔になること)を避けつつ、給電機器の設置が可能となる。したがって、建物の壁部に対する取り付けを好適に実施できる充電ケーブル保持器具を実現できる。
【0010】
第2の発明は、前記台座部は、前記壁部に対する取付部となる複数の脚部(52)を有し、それら各脚部は互いに離間して設けられ、前記複数の脚部により前記ケーブル保持部と前記壁部との間に前記空きスペースが形成されていることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、複数の脚部は互いに離間して設けられており、その離間スペースを、電気配線を通すためのスペースとして利用できる。この場合、ケーブル保持部は、脚部により壁面に対して浮いた状態で取り付けられることになり、例えば壁面を伝って雨水等が流下する場合に、その雨水(壁面の汚れと一緒に流れる雨水)によりケーブル保持部や台座部が汚れるといった不都合を抑制できる。
【0012】
第3の発明は、前記複数の脚部は、前記壁部の面方向において左右に互いに離れている脚部と、上下に互いに離れている脚部とを含んで構成されていることを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、台座部における複数の脚部は、左右に並んで2つ以上、及び上下に並んで2つ以上の脚部よりなり、それらは互いに離間して設けられている。したがって、ケーブル保持部の背後(壁部側)の空きスペースに電気配線が設けられる場合に、その電気配線を左右の脚部の間、及び上下の脚部の間のいずれにも通すことができる。これにより、電気配線が一直線に設けられる以外に、途中で折り曲げられて設けられる場合にも、その電気配線に重なるようにして充電ケーブル保持器具を取り付けることができる。
【0014】
第4の発明は、前記充電ケーブルは、前記給電手段に対して接続及び接続解除が可能であり、前記台座部は、前記複数の脚部と、その複数の脚部により支持され前記空きスペースを隔てて前記壁部に対向する対向部(51)とを有し、前記ケーブル保持部は、前記充電ケーブルを保持した状態で、前記台座部の前記対向部に対して装着及び離脱が可能になっていることを特徴とする。
【0015】
上記構成では、充電ケーブルが建物側の給電手段から接続解除できる構成になっているため、充電ケーブルの持ち運びが可能であり、例えば出先での車両充電が可能になっている。また、上記構成では、ケーブル保持部が、ケーブル保持状態のまま台座部から離脱可能であり、充電ケーブルをコンパクトにまとめた状態での持ち運びが可能になっている。この場合特に、台座部によってケーブル保持部が壁面から離間されており、ケーブル保持部を台座部に取り付けたり台座部から取り外したりする場合に、ケーブル保持部が壁面に当たったりすることを抑制でき、ユーザにとって使い勝手の良い構成を実現できる。
【0016】
第5の発明は、前記複数の脚部は、上下に互いに離間して設けられる脚部を有し、それらの脚部の長さが各々相違しており、前記ケーブル保持部は上下方向のいずれかに傾いた状態となっていることを特徴とする。
【0017】
ケーブル保持部が上下方向のいずれかに傾いた状態となっているため、壁取り付け式となっているケーブル保持部についての作業性の改善を図ることができる。例えば、充電ケーブル保持器具がユーザ(大人の人)の腰〜胸の高さ付近に設けられることを想定する場合、ケーブル保持部が斜め上方を向いて取り付けられていることで、ケーブル保持部の装着などの作業を行いやすくすることができる。
【0018】
第6の発明は、前記ケーブル保持部には、前記充電ケーブルが巻付けられる巻付け部(45)が一体的に設けられていることを特徴とする。
【0019】
ケーブル保持部に、ケーブル巻付け用の巻付け部が設けられている構成では、そのケーブル保持部が台座部によって壁面から離れた位置となっていることから、巻付け部から充電ケーブルを取り外したり巻付け部に対して充電ケーブルを巻き付けたりする場合に、充電ケーブルが壁面に当たったりすることを抑制でき、ユーザにとって作業のしやすい構成を実現できる。したがって、充電ケーブルの使い勝手が良くなる充電ケーブル保持器具を実現できる。
【0020】
第7の発明は、上記の充電ケーブル保持器具を備える建物の給電設備(14)であり、前記壁部の壁面上には、前記給電手段としての本体部(31)と、該本体部から下方に延び、建物側の配電手段(12)から前記本体部に電力を供給する電気配線(15)とが固定されており、前記充電ケーブル保持器具は、前記本体部の下方において前記電気配線に重複する位置に設けられていることを特徴とする。
【0021】
上記構成では、建物の壁部において、給電手段としての本体部と電気配線とが鉛直方向の上下に配置され、本体部の下方において電気配線に重複する位置に充電ケーブル保持器具が設けられている。この場合、本体部の下方に、電気配線とケーブル保持部とがそれぞれ設けられることになり、雨水等に対する防水性を確保する上で好適な構成となっている。つまり、本体部に対して電気配線や充電ケーブルが接続される場合には、その接続部分における浸水の懸念(壁面を伝っての雨水浸入の懸念)が生じるが、上記構成によれば、本体部の下面側に電気配線や充電ケーブルを接続することができるため、それらの接続部分における雨水浸入が生じにくい構成を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】建物における給電システムの構成を示す概略図。
図2】給電設備の全体構成を示す斜視図。
図3】給電設備の壁取付状態を示す縦断面図。
図4】ケーブルホルダと充電ケーブルとを簡略化して示す構成図。
図5】取付ベースの構成を示す斜視図。
図6】車両充電時における設備使用状態を説明するための図。
図7】電力配線と取付ベースとの位置関係を示す正面図。
図8】取付ベースの別の構成を示す図。
図9】取付ベースの別の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、住宅として用いられる建物の給電システムを具体化するものであり、その給電システムでは、建物側から自動車への電力供給を可能とし、その電力供給により車載バッテリを充電するものとなっている。図1は、建物10における給電システムの構成を示す概略図である。
【0024】
図1において、建物10には、図示しない電柱等から送電線11を介してAC100V/200Vの商用電力が供給される。送電線11には分電盤12が接続されている。分電盤12は、建物10内に設けられた複数の電流経路に対して選択的に電力を供給する周知の分電機能に加え、車両充電用の電力を供給する充電電力供給機能を有している。建物10の外壁13には、車両充電に用いる給電設備14が取り付けられており、この給電設備14には、電力配線15を介して分電盤12が接続されている。分電盤12から給電設備14に対しては電力配線15を介して車両充電用の電力が供給される。電力配線15は、実際には保護管としてのフレキシブルチューブに収容された状態で外壁13に取り付けられている。
【0025】
建物10の側方には駐車スペースPが設けられており、その駐車スペースPに自動車20が駐車されている。自動車20は、例えば走行動力源としてエンジンとモータとを有するハイブリッド自動車であり、車両走行時等には走行用モータへの電力供給を要することから比較的大容量のバッテリ21が搭載されている。自動車20としては、ハイブリッド自動車以外に、やはり比較的大容量のバッテリを有する電気自動車であることも想定できる。自動車20には、外部電源からの充電を可能とする充電インレット22が設けられている。充電インレット22はバッテリ21に電気的に接続されており、充電インレットを22を介して外部電源によりバッテリ21が充電されるようになっている。
【0026】
建物10側の給電設備14と自動車20側の充電インレット22とは充電ケーブル25により互いに接続される。充電ケーブル25は、着脱可能なプラグ26,27を両端にそれぞれ有しており、一方は建物側プラグ26,他方は車両側プラグ27となっている。この場合、給電設備14は、建物10において駐車スペースPの隣になる壁部に取り付けられており、充電ケーブル25としては数メートル程度の長さを有する電気ケーブルが用いられる。
【0027】
次に、建物10側の給電設備14について詳しく説明する。図2は、給電設備14の全体構成を示す斜視図であり、図3は、給電設備14の壁取付状態を示す縦断面図である。なお、図3では充電ケーブル25の図示を省略している。符号Bは基礎である。
【0028】
給電設備14は、大別して、充電ケーブル25の建物側プラグ26が接続される給電口を有する本体部31と、充電ケーブル25が巻き付け状態で一体化されているケーブルホルダ32と、ケーブルホルダ32を外壁13の外側に引掛け保持する取付ベース33とを有している。このうち本体部31と取付ベース33とは、外壁13において互いに上下となる位置に設けられている。そして、ケーブルホルダ32は、取付ベース33に対して容易に着脱できる構成となっている。例えば、車両充電に際して、充電ケーブル25で一体に巻き付けられたケーブルホルダ32が取付ベース33に装着され、その車両充電が終了したら、充電ケーブル25が巻き付けられた状態のままケーブルホルダ32が取付ベース33から取り外される。
【0029】
なお本実施形態では、本体部31が給電手段に相当し、ケーブルホルダ32がケーブル保持部に相当し、ケーブルホルダ32及び取付ベース33が充電ケーブル保持器具に相当する。
【0030】
外壁13には、ユーザの作業性を考慮した所定の高さ位置に本体部31が取り付けられるとともに、その本体部31から下方に延びるようにして、外側に露出した状態で電力配線15が取り付けられている。電力配線15は、外壁13の下端部付近に設けられた孔部13aを介して建物10の内外に通されて設けられている。
【0031】
例えば、住宅の購入後において、電気自動車やハイブリッド自動車の購入に伴い建物10に給電設備14が設置される場合がある。かかる場合、施工の都合などからすると、外壁13に電力配線15が露出した状態で取り付けられることが考えられる。
【0032】
本体部31は、充電ケーブル25の建物側プラグ26が接続される給電口35aを有する接続部35と、給電の開始及び終了のユーザ操作を行うための操作部36とを有している。これらは横並びで設けられている。なお、操作部36は、開閉式の蓋部の奥側に操作スイッチが設けられて構成されている。
【0033】
次いで、ケーブルホルダ32について説明する。図4は、ケーブルホルダ32と充電ケーブル25とを簡略化して示す構成図である。充電ケーブル25は、そのケーブル途中にコントロールボックス37を有している。コントロールボックス37は、自動車20に設けられた電子制御装置(車載ECU)との通信が可能な通信機能と、その通信結果を表示する表示機能とを有しており、車載ECUとの通信によって、充電中であること、充電完了したこと、漏電等の異常が生じていないこと等の各種情報を受け取り、それらを表示部37aに適宜表示する。本実施形態の構成では、充電ケーブル25において建物側プラグ26寄りの部位にコントロールボックス37が設けられている。
【0034】
ケーブルホルダ32は、裏側ケース41と表側ケース42とを有しており、それらはヒンジにより互いに回動可能に連結されている。これら各ケース41,42は例えば合成樹脂材料により構成されている。裏側ケース41及び表側ケース42には、それら両者の間に充電ケーブル25のコントロールボックス37を収容するための収容部41a,42aが形成されている。また、これら各ケース41,42には、本ケーブルホルダ32の外周に充電ケーブル25を巻き付けるための巻付け凹部41b,42bが形成されている(図3には巻付け凹部を符号45で示している)。収容部41a,42aや巻付け凹部41b,42bは、裏側ケース41及び表側ケース42のうち一方にのみ設けられていてもよい。
【0035】
裏側ケース41は、取付ベース33に対して取り付けられる部位に相当し、取付ベース33に対する引っ掛け用の引掛け孔43が設けられている。また、表側ケース42には、コントロールボックス37の表示部37aを外側から視認可能にする表示窓44が設けられている。
【0036】
充電ケーブル25及びケーブルホルダ32は、基本状態として、ケーブルホルダ32内にコントロールボックス37が収容され、かつ充電ケーブル25のケーブル部分が巻付け凹部45に巻付けられた状態となっており、この状態のまま、自動車20の収容部(トランクルーム)に収容されている。そして、この状態のまま、自動車20から取り出されて取付ベース33に装着される。
【0037】
次いで、取付ベース33について説明する。図5は、取付ベース33の構成を示す斜視図である。取付ベース33は、例えば板状の鋼鉄材料を用い、これを所定の形状に折り曲げ形成することで構成されている。
【0038】
取付ベース33は、ケーブルホルダ32が装着されるホルダ装着部51と、そのホルダ装着部51からその背面側に延びる脚部52とを有している。ホルダ装着部51は、空きスペースSを隔てて外壁13に対向しており、これが対向部に相当する。ホルダ装着部51には、反壁側に突出するようにして、ケーブルホルダ32の引掛け孔43に挿し入れられる引掛け部53が設けられている。また、ホルダ装着部51の両側の端縁部には、その板面から反壁側に起立するようにして起立部54が設けられている。各起立部54はケーブルホルダ32を左右両側から支えるためのものであり、その間にケーブルホルダ32が装着される。
【0039】
脚部52は、上側2カ所及び下側2カ所の計4カ所に設けられている。これらはいずれも同じ脚長さを有しており、ゆえにホルダ装着部51と外壁面とは平行になっている。脚部52は、外壁面に当接する壁当接部55を有している。壁当接部55は、脚部52の先端部を各々内側に折り曲げることで形成されており、左右の壁当接部55は互いに離間して設けられている。
【0040】
取付ベース33では、脚部52を有することで、ホルダ装着部51と外壁面との間に空きスペースSが形成されており、この空きスペースSに電力配線15が配設されている。つまり、空きスペースSが、電力配線15(露出配線)の設置スペースとして利用されるようになっている。
【0041】
取付ベース33は、ネジ等の固定具により外壁13に対して固定される構成となっており、壁当接部55にはそれぞれネジ取付孔56が設けられている。また、ホルダ装着部51には、ネジ取付孔56から反壁側に離れた位置に、ネジ締め付け時に工具を挿し入れるための通し孔57が設けられている。
【0042】
車両充電には、通常、1時間〜数時間程度の充電時間を要し、その間中、充電ケーブル25は壁面上に装着されたままとなる。つまり、充電ケーブル25は長時間にわたって屋外に放置された状態となる。そこで、盗難防止の観点から、ケーブルホルダ32及び取付ベース33には施錠手段が取り付けられるようになっている。ここでは、施錠手段として南京錠を用いる構成を説明する。
【0043】
具体的には、ケーブルホルダ32にはその側面部に鍵取付孔46が設けられ(図2参照)、取付ベース33には起立部54に鍵取付孔58が設けられている(図2図5参照)。
これらそれぞれの鍵取付孔46,58は、取付ベース33に対してケーブルホルダ32が装着された状態では重なり合って互いに通じ、それら両方の孔46,58に南京錠が取り付けられることで、取付ベース33からのケーブルホルダ32の離脱が不可能になっている。なお、ケーブルホルダ32において鍵取付孔46が設けられる部位は、裏側ケース41に対する表側ケース42の開放を阻止するロック部47(スライドロック部)である。そのため、南京錠が取り付けられることによりロック部47のロック解除(ロック部47のスライド移動)が不可能になると、ケーブルホルダ32を開放しての充電ケーブル25の持ち去りが不可能になっている。
【0044】
ちなみに、取付ベース33にケーブルホルダ32が装着された状態では、ケーブルホルダ32により取付ベース33の通し孔57が覆い隠される。そのため、工具による取付ベース33の取り外しが困難になっており、この点も盗難防止に貢献していると言える。
【0045】
給電設備14の高さ方向の位置関係について説明しておく、図3に示すように、地上面から本体部31までの高さ寸法はM1であり、例えばM1=1メートルである。また、本体部31からケーブルホルダ32(又は取付ベース33)の上端までの離間寸法はM2であり、例えばM2=15〜20cmである。さらに、ケーブルホルダ32の高さ方向の縦寸法はM3であり、例えばM3=40cmである。このうち、M1は、車両充電時におけるユーザの作業性を考慮して定められている。M2は、本体部31に対するケーブルホルダ32の離間距離をなるべく小さくしつつ、取付ベース33にケーブルホルダ32を装着した状態で建物側プラグ26を接続する際の作業性を考慮して定められている。
【0046】
なお、充電ケーブル25は、コントロールボックス37を有していること、充電効率を高めるには太径ケーブルが用いられることからその重量が大きい。そのため、充電ケーブル25及びケーブルホルダ32の一体物は数kg程度(例えば3〜5kg程度)になり、持ち運びの際にはユーザが重量感を覚えることも考えられ、ユーザにとってさほど高くない位置に給電設備14が設けられることが望ましい。また、車両高さよりも低い位置に設けることで、給電設備14を自動車20により隠して目立ちにくくすることができ、防犯上の観点から望ましいと言える。
【0047】
図6は、車両充電時における設備使用状態を説明するための図である。図6では、取付ベース33の上にホルダ装着部51の全てが隠れるようにしてケーブルホルダ32が装着されている。そして、上下方向においてケーブルホルダ32の真上に存在する接続部35に、充電ケーブル25の建物側プラグ26が下側から接続されるようになっている。
【0048】
車両充電時の一連の作業を簡単に説明する。まず、自動車20が駐車スペースPに駐車された後、ユーザが自動車内又は倉庫内といった収納場所から充電ケーブル25及びケーブルホルダ32を取り出す。このとき、充電ケーブル25はケーブルホルダ32に巻き付けられた状態であることが想定される。そして、ユーザは、取付ベース33にケーブルホルダ32を引掛け保持させた後、充電ケーブル25の建物側プラグ26を給電口35aに接続する。その後、ケーブルホルダ32から充電ケーブル25を必要分だけほどき、車両側プラグ27を自動車20の充電インレット22に接続する。ここで、ケーブルホルダ32は、取付ベース33により外壁面から離間した位置に取り付けられることから、取付ベース33への取り付け時にホルダ自体が外壁面に当たってしまったり、充電ケーブル25がほどかれる際に外壁面に当たってしまったりするといった不都合が生じにくくなっている。
【0049】
この状態で、ユーザが操作部36を操作することにより車両充電が開始される。なおこのとき、コントロールボックス37と車載ECUとの通信の結果に応じて充電開始が許可される。車両充電が開始された後は、自動車20や充電ケーブル25はそのまま放置される。そして、車両充電が完了したら、ユーザは充電開始時と逆の作業を行う。つまり、充電ケーブル25の車両側プラグ27を自動車20の充電インレット22から取り外し、ケーブル部分をケーブルホルダ32に巻き付ける。そして、ケーブルホルダ32を持ち上げることで取付ベース33から取り外し、元の収納場所に戻す。ここでの作業でもやはり、充電ケーブル25の巻付け時に充電ケーブル25が外壁面に当たってしまったり、取付ベース33への取り外し時にホルダ自体が外壁面に当たってしまったりするといった不都合が生じにくくなっている。
【0050】
上記のとおり取付ベース33は4つの脚部52を有しており、これらの脚部52により、電力配線15との重複位置であっても取付ベース33の取り付けを可能にしているが、脚部52が四方に分散して設けられることを考えると、折り曲げた状態で設置される電力配線15についてもそれに重複する位置での取付ベース33の取り付けが可能となっている。つまり、図7に示すように、電力配線15が折り曲げて設けられる場合に、上側2つの脚部52の間に電力配線15を通すとともに、右側2つの脚部52の間に電力配線15を通すようすることが可能になっている。
【0051】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0052】
上記構成では、ケーブルホルダ32よりも壁部側に、取付ベース33によってケーブルホルダ32と外壁13との間に空きスペースSが形成されているため、その空きスペースSを、外壁面上に設けられた電力配線15の設置スペースとして利用できる。そのため、外壁13に車両充電用の給電機器を後付けする場合(建物購入後に後付けする場合)に、電力配線15が壁面上に露出して設けられるとしても、その露出配線との干渉(電力配線15が邪魔になること)を避けつつ、給電機器の設置が可能となる。したがって、建物10の外壁13に対する取り付けを好適に実施できる充電ケーブル保持器具を実現できる。
【0053】
また、上記構成によれば、以下の付随効果を期待できる。つまり、取付ベース33によって、ケーブルホルダ32の巻付け位置が壁面から離れた位置となる。そのため、ケーブルホルダ32から充電ケーブル25を取り外したりケーブルホルダ32に対して充電ケーブル25を巻き付けたりする場合に、充電ケーブル25が壁面に当たったりすることを抑制でき、ユーザにとって作業のしやすい構成を実現できる。したがって、充電ケーブル25の使い勝手が良くなる充電ケーブル保持器具を実現できる。
【0054】
取付ベース33は、複数の脚部52を有し、それら各脚部52の間のスペースを空きスペースSとして、電力配線15の設置に利用できる。この場合、ケーブルホルダ32は、脚部52により外壁面に対して浮いた状態で取り付けられることになり、例えば外壁面を伝って雨水等が流下する場合に、その雨水(外壁面の汚れと一緒に流れる雨水)によりケーブルホルダ32や取付ベース33が汚れるといった不都合を抑制できる。
【0055】
複数の脚部52を、外壁13の面方向における左右及び上下にそれぞれ互いに離間して設けたため、空きスペースSに電力配線15が設けられる場合に、その電力配線15を左右の脚部52の間、及び上下の脚部52の間のいずれにも通すことができる。これにより、電力配線15が一直線に設けられる以外に、途中で折り曲げられて設けられる場合にも、その電力配線15に重なるようにして充電ケーブル保持器具を取り付けることができる。
【0056】
上記構成では、充電ケーブル25が建物10側の給電設備14から接続解除できる構成になっているため、充電ケーブル25の持ち運びが可能であり、例えば出先での車両充電が可能になっている。また、上記構成では、ケーブルホルダ32が、ケーブル巻付け状態のまま取付ベース33から離脱可能であり、充電ケーブル25をコンパクトにまとめた状態での持ち運びが可能になっている。この場合特に、取付ベース33によってケーブルホルダ32が外壁面から離間されており、ケーブルホルダ32を取付ベース33に取り付けたり取付ベース33から取り外したりする場合に、ケーブルホルダ32が外壁面に当たったりすることを抑制でき、ユーザにとって使い勝手の良い構成を実現できる。
【0057】
建物10の外壁13において、給電設備14の本体部31と電力配線15とを鉛直方向の上下に配置し、本体部31の下方において電力配線15に重複する位置に充電ケーブル保持器具(ケーブルホルダ32及び取付ベース33)を設ける構成とした。この場合、本体部31の下方に、電力配線15とケーブルホルダ32とがそれぞれ設けられることになり、雨水等に対する防水性を確保する上で好適な構成となっている。つまり、本体部31に対して電力配線15や充電ケーブル25が接続される場合には、その接続部分における浸水の懸念(壁面を伝っての雨水浸入の懸念)が生じるが、上記構成によれば、本体部31の下面側に電力配線15や充電ケーブル25が接続されるため、雨水浸入が生じにくい構成を実現できる。
【0058】
[他の実施形態]
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
【0059】
・取付ベース33を図8のように構成してもよい。図8の(a)では、ホルダ装着部51に左右一対の脚部52が設けられている。図8の(b)では、ホルダ装着部51の左右の側端部ではなく、上端部及び下端部に沿って脚部52が折り曲げ形成されている。また、図8の(c)では、ホルダ装着部51の背面側に円柱状(角柱状、棒状でも可)の脚部52が4カ所に設けられている。この脚部52は接着やネジ締め等により固定されていてもよい。いずれにしても、各脚部52は互いに離間して設けられ、各脚部52の間のスペースに電力配線15を通すことが可能となっている。
【0060】
その他、取付ベース33において、左右に2つ及び上下に2つの脚部52を設ける以外に、左右に3つ以上、又は上下に3つ以上の脚部52を設けることも可能である。
【0061】
・上記実施形態では、取付ベース33の脚部52において壁当接部55を各々内側に折り曲げ形成したが(図5参照)、これを変更し、壁当接部55を各々外側に折り曲げ形成する構成であってもよい。
【0062】
・上記実施形態では、取付ベース33のホルダ装着部51を外壁面に平行に設けたが、これを変更し、取付ベース33のホルダ装着部51を外壁面に対して斜めになるように設けてもよい。より具体的には、図9の(a)に示すように、上側の脚部52aの長さを下側の脚部52bの長さよりも小さくする。これにより、ホルダ装着部51は斜め上方を向くように傾き、ひいてはホルダ装着部51の上に装着されるケーブルホルダ32も同様の向きに傾くようになっている。この場合、ケーブルホルダ32が例えば大人のユーザの腰付近の高さ(腰〜胸の高さ)に設置されることを考えると、ケーブルホルダ32の装着、充電ケーブル25の巻付け及びほどき、表示部37aの目視確認などの作業を行いやすくなると考えられる。
【0063】
又は、図9の(b)に示すように、上側の脚部52aの長さを下側の脚部52bの長さよりも大きくしてもよい。これにより、ホルダ装着部51は斜め下方を向くように傾き、ひいてはホルダ装着部51の上に装着されるケーブルホルダ32も同様の向きに傾くようになっている。
【0064】
・取付ベース33の背後側の空きスペースSを、電力配線15を設置すること以外に用いることも可能である。例えば、電力供給用以外の電気配線を、空きスペースSに設置することが可能である。また、ケーブルホルダ32の背面側に、その背面から後方に延びるフック(引掛け部)が設けられている構成において、空きスペースSをフックの引掛けスペースとして用いることが考えられる。
【0065】
・ケーブルホルダ32を外壁13に固定したままにする構成であってもよい。これは、取付ベース33にケーブルホルダ32が一体化された構成である。本構成では、基本状態として、外壁13の外側に常時、充電ケーブル25が巻付けられたままになっており、車両充電時に、ケーブルホルダ32から充電ケーブル25の巻付けがほどかれるようになっている。本構成においても、上記同様に、取付ベース(ケーブルホルダ32及び取付ベース33の一体物)に脚部を設け、ケーブル保持部と外壁との間に空きスペースSを形成する。これにより、上記同様、建物10の外壁13に対する取り付けを好適に実施できる充電ケーブル保持器具を実現できる。
【0066】
・ケーブル保持部としてのケーブルホルダ32は、少なくともコントロールボックス37を保持する機能を有していれば、充電ケーブル25の巻付け機能を有していなくてもよい。具体的には、ケーブルホルダ32にはコントロールボックス37を保持するボックス保持部(図4の収容部41a,42a)が設けられ、充電ケーブル25(詳しくはコントロールボックス37から車両側プラグ27までのケーブル部)はケーブルホルダ32以外の部材に巻き付けられる、又は巻き付けられずに使用されるといった構成であってもよい。その他に、取付ベース33においてコントロールボックス37が保持される構成であってもよい。
【0067】
・上記実施形態では、板状の鋼鉄材料を用いて取付ベース33を構成したが、これを変更し、合成樹脂材料を用いて取付ベース33を構成してもよい。
【符号の説明】
【0068】
10…建物、12…分電盤(配電手段)、13…外壁(壁部)、14…給電設備、15…電力配線(電気配線)、21…バッテリ、25…充電ケーブル、31…本体部(給電手段)、32…ケーブルホルダ(ケーブル保持部)、33…取付ベース(台座部)、45…巻付け凹部(巻付け部)、51…ホルダ装着部(対向部)、52…脚部、P…駐車スペース、S…空きスペース。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9