特許第6084476号(P6084476)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6084476
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】プラスチックボトルおよび物品
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20170213BHJP
【FI】
   B65D1/02 221
【請求項の数】9
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-19843(P2013-19843)
(22)【出願日】2013年2月4日
(65)【公開番号】特開2014-151914(P2014-151914A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2015年10月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】596126465
【氏名又は名称】アサヒ飲料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 和大
(72)【発明者】
【氏名】早野 達宏
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−029614(JP,A)
【文献】 特開2000−229614(JP,A)
【文献】 特開平11−035027(JP,A)
【文献】 特開2000−127231(JP,A)
【文献】 特開平08−207919(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0197105(US,A1)
【文献】 登録実用新案第3050588(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/02
B65D 1/42−1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部と、前記口部から延びた肩部と、底部と、前記肩部と底部とを接続する中間部とを含むプラスチックボトルであって、
前記中間部は、円筒部と、前記円筒部と前記底部との間に設けられた模様部とを含み、
前記円筒部の径は、前記肩部の最大径および前記底部の最大径よりも小さく、
前記プラスチックボトルの高さ方向における前記円筒部の最大幅は、前記プラスチックボトルの全体の高さの20パーセント以上30パーセント以下であり、
前記模様部は、前記円筒部の表面を含む仮想円筒面よりも外側に突出した凸部と、前記仮想円筒面よりも内側に窪んだ凹部とを有
前記仮想円筒面に対する前記凹部の深さをD、前記プラスチックボトルの高さ方向における前記凹部の幅をLとすると、D/Lが0.25以上0.5以下であり、
前記プラスチックボトルの高さ方向における前記模様部の最大幅は、前記プラスチックボトルの全体の高さの10パーセント以上20パーセント以下である、
ことを特徴とするプラスチックボトル。
【請求項2】
炭酸飲料用として構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のプラスチックボトル。
【請求項3】
前記凸部および前記凹部は、前記プラスチックボトルの高さ方向にうねる波形模様を構成している、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のプラスチックボトル。
【請求項4】
前記凹部は、前記凸部に沿って配置されている、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のプラスチックボトル。
【請求項5】
前記凹部は、2つの前記凹部によって前記凸部が挟まれるように配置される、
ことを特徴とする請求項に記載のプラスチックボトル。
【請求項6】
前記プラスチックボトルの高さ方向における前記凹部の幅は、前記プラスチックボトルの高さ方向における前記凸部の最大幅よりも小さい、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のプラスチックボトル。
【請求項7】
前記プラスチックボトルの高さ方向における前記凹部の幅は、前記模様部の全周にわたって一定であり、前記プラスチックボトルの高さ方向における前記凸部の幅は、前記模様部の周方向に沿って増減する、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のプラスチックボトル。
【請求項8】
前記模様部の上端は、前記プラスチックボトルの全体の高さの1/2の高さよりも下に位置する、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のプラスチックボトル。
【請求項9】
請求項1乃至のいずれか1項に記載のプラスチックボトルと、
前記プラスチックボトルに充填された飲料と、
を含むことを特徴とする物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックボトルおよびそれに飲料が充填された物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、砲弾状の上胴部と、ほぼ円筒状の下胴部とを有し、下胴部に周方向凹ビードが形成されたプラスチックボトルが記載されている。周方向凹ビードは、きらめきや、ゆらぎ感を提供するための模様であり、下胴部の表面を基準として内側に窪んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−29614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたように周方向凹ビードなどの凹部によって模様が構成されたプラスチックボトルに炭酸飲料を充填すると、プラスチックボトル内の圧力によって凹部が外側に押し出され、凹部による段差が小さくなり、凹部が目立たなくなる。逆に、凸部によって模様が構成されたプラスチックボトルに炭酸飲料を充填すると、プラスチックボトル内の圧力によって凸部以外の部分が外側に押し出され、凸部による段差が小さくなり、凸部が目立たなくなる。模様が付された部分の段差の縮小は、段差による滑り止めの効果を低減させることにもなる。
【0005】
本発明は、上記の課題認識を契機としてなされたものであり、模様の視認性を高めたり、段差による滑り止めの効果を高めたりするために有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの側面は、口部と、前記口部から延びた肩部と、底部と、前記肩部と底部とを接続する中間部とを含むプラスチックボトルに係り、前記中間部は、円筒部と、前記円筒部と前記底部との間に設けられた模様部とを含み、前記円筒部の径は、前記肩部の最大径および前記底部の最大径よりも小さく、前記プラスチックボトルの高さ方向における前記円筒部の最大幅は、前記プラスチックボトルの全体の高さの20パーセント以上30パーセント以下であり、前記模様部は、前記円筒部の表面を含む仮想円筒面よりも外側に突出した凸部と、前記仮想円筒面よりも内側に窪んだ凹部とを有し、前記仮想円筒面に対する前記凹部の深さをD、前記プラスチックボトルの高さ方向における前記凹部の幅をLとすると、D/Lが0.25以上0.5以下であり、前記プラスチックボトルの高さ方向における前記模様部の最大幅は、前記プラスチックボトルの全体の高さの10パーセント以上20パーセント以下である。
【0007】
本発明の第2の側面は、物品に係り、該物品は、第1の側面に係るプラスチックボトルと、前記プラスチックボトルに充填された飲料とを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、模様の視認性を高めたり、段差による滑り止めの効果を高めたりするために有利な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の好適な実施形態のプラスチックボトルの構造を示す正面図。
図2図1の一部分を拡大した図。
図3図1の一部分を拡大した図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。
【0011】
図1は、本発明の好適な実施形態のプラスチックボトル100の構造を示す正面図である。図2は、図1の一部分を拡大した図である。図3は、図2のA部分における断面図である。プラスチックボトル100は、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックで構成される。プラスチックボトル100は、炭酸飲料用として構成されうるが、炭酸を含有しない飲料が充填されてもよい。
【0012】
プラスチックボトル100は、口部10と、口部10から延びた肩部20と、底部30と、肩部20と底部30とを接続する中間部40とを含む。中間部40は、円筒部42と、円筒部42と底部30との間(即ち、円筒部42の下)に設けられた模様部44とを含む。円筒部42の径は、肩部20の最大径および底部30の最大径よりも小さい。一例において、円筒部42の径は62.4mmとされ、肩部20の最大径および底部30の最大径は64.0mmとされる。
【0013】
模様部44は、円筒部42の表面(外側面)46を含む仮想円筒面VCSよりも外側に突出した凸部102と、仮想円筒面VCSよりも内側に窪んだ凹部104とを有する。円筒部42の表面46を含む仮想円筒面VCSよりも外側に突出した凸部102と、仮想円筒面VCSよりも内側に窪んだ凹部104とで模様部44の模様を構成することによって、模様を構成する段差を大きくすることができる。これは、模様を目立たせて視認性を高めることや、プラスチックボトル100を把持した際の滑り止めの効果を高めることに寄与する。特に、プラスチックボトル100に炭酸飲料が充填される場合には、プラスチックボトル100内の圧力の上昇によって模様を構成する段差が小さくなり易いので、仮想円筒面VCSを基準とした凸部102と凹部104とを設けることによる効果が大きい。
【0014】
凸部102および凹部104は、プラスチックボトル100の高さ方向にうねる波形模様を構成しうる。凹部104は、凸部102に沿って配置されうる。ここで、凹部104は、凸部102の上側および下側の双方に配置されうる。すなわち、凹部104は、2つの凹部104によって凸部102が挟まれるように配置されうる。これは、凸部102の輪郭を際立たせることに寄与する。プラスチックボトル100の高さ方向における凹部104の幅は、プラスチックボトル100の高さ方向における凸部102の最大幅よりも小さくされうる。これは、凹部104の変形量を凸部102の変形量よりも小さくし、凹部104が凸部102の輪郭を際立たせることに寄与する。プラスチックボトル100の高さ方向における凹部104の幅は、模様部44の全周にわたって一定であり、プラスチックボトル100の高さ方向における凸部102の幅は、模様部44の周方向に沿って増減しうる。
【0015】
図3に示されるように仮想円筒面VCSに対する凹部104の深さをD、プラスチックボトル100の高さ方向における凹部104の幅をLとすると、D/Lが0.25以上0.5以下であることが好ましい。D/Lが0.25よりも小さいと炭酸飲料が充填された場合における変形が大きくなるので、模様の視認性を高める効果や、プラスチックボトル100を把持した際の滑り止めの効果が小さくなりうる。一方、D/Lが0.5より大きいと、製造が難しくなる。なお、図3には、模様部44の表面(外側面)441と内側面442とが示されている。凹部104の深さDは、仮想円筒面VCSからの模様部44の表面441の深さとして定義され、凹部104の幅Lは、凹部104が存在する部分の、仮想円筒面VCSにおける幅として定義される。
【0016】
仮想基準面VCSに対する凸部102の最大突出量Pは、仮想基準面VCSに対する凸部102あるいは模様部44の表面441の最大突出量として定義される。凸部102の最大突出量Pは、例えば、凹部104の深さDよりも小さく設定されうる。一例において、D=0.3mm、L=1.1mm、P=0.5mmである。
【0017】
模様部44の上端UEは、プラスチックボトル100の全体の高さHの1/2の高さよりも下に位置しうる。これは、肩部20、円筒部42および模様部44のうち肩部20および円筒部42をシュリンクラベルで覆い、模様部44を露出させる形態に適合しうる。プラスチックボトル100の高さ方向における円筒部42の最大幅W42は、例えば、プラスチックボトル100の全体の高さHの20パーセント以上30パーセント以下でありうる。プラスチックボトル100の高さ方向における模様部44の最大幅W44は、例えば、プラスチックボトル100の全体の高さHの10パーセント以上20パーセント以下でありうる。
【0018】
本発明の好適な実施形態の物品は、プラスチックボトル100と、それに充填された炭酸飲料などの飲料とを含んで構成される。該物品は、口部10がキャップでシールされる。また、該物品には、シュリンクラベルが付されうる。プラスチックボトル100は、典型的には、炭酸飲料が充填された状態においても、仮想円筒面VCSよりも外側に突出した凸部102および仮想円筒面VCSよりも内側に窪んだ凹部104を有しうる。
【符号の説明】
【0019】
10 口部
20 肩部
30 底部
40 中間部
42 円筒部
44 模様部
46 円筒部の表面(外側面)
100 プラスチックボトル
102 凸部
104 凹部
図1
図2
図3