(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記第4の時点から第5の時点まで前記データ収集部が物理量データを収集しつつ前記印字装置が前記第4の時点から第5の時点までに収集された物理量データに基づいてリアルタイムで波形を印字するように前記データ収集部および前記印字装置を制御する、請求項1記載の記録計。
前記印字装置による印字の開始条件を設定するとともに前記印字装置による印字の開始前において物理量の変化が波形として印字されるべき期間の長さを設定するために使用者により操作される条件設定部をさらに備え、
前記第2の時点は、前記条件設定部により設定された開始条件が満たされる時点であり、前記第1の時点は、前記第2の時点よりも前記条件設定部により設定された前記期間の長さ分だけ前の時点である、請求項1または2記載の記録計。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[1]記録計の基本構成
図1は、本発明の一実施の形態に係る記録計のブロック図である。
図1に示すように、記録計1は、扉部100、本体部200、1または複数(本例では1つ)の入力/出力ユニット300、および1または複数(本例では1つ)の収集ユニット400を備える。
【0027】
扉部100は、表示部110、タッチパネル120、開閉検出部130、チャート紙調整スイッチ140、収集スイッチ151、印字スイッチ152、記録状態表示ランプ160、電源スイッチ170およびUSB(ユニバーサルシリアルバス)インターフェース180を含む。
【0028】
本体部200は、制御装置200A、印字装置200Bおよび複数の接続端子SLa,SLbを含む。制御装置200Aは、CPU(中央演算処理装置)210、ROM(リードオンリメモリ)220、RAM(ランダムアクセスメモリ)230、内部メモリ240、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)280、USBインターフェース291、RS485インターフェース292、イーサネット(登録商標)インターフェース293、電源端子294および図示しない電源回路を含む。印字装置200Bは、マイクロコンピュータPM、印字部250、チャート紙送り部260および後述する
図2のチャート紙収容部270を含む。
【0029】
扉部100、制御装置200Aおよび印字装置200Bは、後述する
図4のフレキシブル配線回路基板190および後述する
図2のリジッド配線回路基板200Cを介して互いに接続される。本体部200の複数の接続端子SLa,SLbは
図2のリジッド配線回路基板200Cに設けられる。
【0030】
入力/出力ユニット300は、入力回路310、出力回路320、入出力端子部330および接続端子TAaを含む。入力/出力ユニット300の接続端子TAaは、本体部200の複数の接続端子SLaに接続可能および取り外し可能に構成される。入力回路310の入力端子および出力回路320の出力端子は入出力端子部330に接続されている。また、入力回路310の出力端子および出力回路320の入力端子は接続端子TAaに接続されている。
【0031】
図1の例では、1つの入力/出力ユニット300の接続端子TAaが本体部200の1つの接続端子SLaに接続されている。この状態で、入出力端子部330が、配線(図示せず)を介して記録計1の外部機器(例えば、パーソナルコンピュータまたはプログラマブルコントローラ等)に接続される。
【0032】
デジタル信号が、配線(図示せず)および入出力端子部330を通して外部機器から入力回路310に与えられる。この場合、入力回路310は、デジタル信号に所定の処理を施し、処理後の信号を接続端子TAaを通して本体部200に与える。また、出力回路320は、接続端子TAaを通して本体部200から与えられるデジタル信号に所定の処理を施し、処理後の信号を入出力端子部330を通して外部機器に与える。
【0033】
収集ユニット400は、マイクロコンピュータ410、入力回路420、A/D(アナログデジタル)変換器430、入力端子部440および接続端子TAbを含む。収集ユニット400の接続端子TAbは、本体部200の複数の接続端子SLbに接続可能および取り外し可能に構成される。入力回路420の入力端子は入力端子部440に接続されている。また、入力回路420の出力端子はA/D変換器430を介してマイクロコンピュータ410に接続されている。さらに、マイクロコンピュータ410は接続端子TAbに接続されている。
【0034】
図1の例では、1つの収集ユニット400の接続端子TAbが本体部200の1つの接続端子SLbに接続されている。入力端子部440には配線(図示せず)を介して熱電対等の各種センサが外部装置として接続される。
【0035】
物理量に対応するアナログ信号が、配線(図示せず)および入力端子部440を通して記録計1の外部装置から入力回路420に与えられる。入力回路420は、アナログ信号に所定の処理を施し、処理後の信号をA/D変換器430に与える。A/D変換器430は、入力回路420から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換し、変換後のデジタル信号をマイクロコンピュータ410に与える。マイクロコンピュータ410は、与えられたデジタル信号を所定のサンプリング周期(以下、収集周期と呼ぶ)でサンプリングすることにより物理量の値を示す物理量データを生成し、生成された物理量データを接続端子TAbを通して本体部200に与える。
【0036】
本体部200の制御装置200Aにおいて、ROM220にはシステムプログラムおよび制御プログラムが記憶される。RAM230は、種々のデータの処理のために用いられる。内部メモリ240として、NAND型フラッシュメモリ等の不揮発性メモリが用いられる。内部メモリ240は、主として物理量データを記憶するために用いられる。FPGA280は、CPU210、ROM220、RAM230、内部メモリ240、USBインターフェース291、RS485インターフェース292、イーサネットインターフェース293および電源端子294と、複数の接続端子SLa,SLbとの間を接続する。
【0037】
使用者は、扉部100のタッチパネル120または収集スイッチ151を操作することにより、CPU210に物理量データの収集開始および収集停止を指令することができる。CPU210は、収集開始指令を受けてから収集停止指令を受けるまでの期間に物理量データの収集を行う。以下、物理量データが収集される期間をデータ収集期間と呼ぶ。
【0038】
データ収集期間において、CPU210は、収集ユニット400から与えられる物理量データを上記の収集周期で順次内部メモリ240に記憶させる。以下、CPU210が収集ユニット400から与えられる物理量データを内部メモリ240に記憶させることを物理量データの収集と呼ぶ。また、データ収集期間において、CPU210は、内部メモリ240に記憶される物理量データに基づいて後述の表示画面10(
図2)に物理量の変化を示す波形を表示させる。
【0039】
また、使用者は、扉部100のタッチパネル120または印字スイッチ152を操作することにより、チャート紙への物理量の変化を示す波形の印字開始および印字停止をCPU210に指令することができる。CPU210は、印字開始指令を受けてから印字停止指令を受けるまでの期間に印字動作が行われるように印字装置200Bを制御する。以下、印字装置200Bにより印字動作が行われる期間を印字期間と呼ぶ。
【0040】
印字期間において、CPU210は、通常印字モードおよび追いかけ印字モードのうち一方の印字モードで印字装置200Bを制御する。この場合、CPU210は、収集された物理量データに基づいて、チャート紙上における印字すべき位置(印字位置)を含む印字データを生成し、生成された印字データに基づいて印字装置200Bを制御する。生成された印字データは、内部メモリ240に記憶される。印字データが生成される期間は、通常印字モードと追いかけ印字モードとで異なる。通常印字モードおよび追いかけ印字モードの詳細については後述する。
【0041】
本体部200の印字装置200Bにおいて、印字部250は、例えばインクカートリッジ(本例では、インクリボンカートリッジ)に充填されたインクを用いてドットを印字する打点(ドットインパクト)方式のプリンタである。印字装置200BのマイクロコンピュータPMは、制御装置200AのCPU210から与えられる制御信号に基づいて印字部250を制御する。この場合、印字部250は、物理量に対応するチャート紙の位置にドットを印字する。
【0042】
チャート紙送り部260は、後述する
図4のプラテンローラPRを含み、帯状のチャート紙の一部を保持可能に構成される。チャート紙の幅は例えば180mmまたは100mmであり、チャート紙の長さは例えば16mであるが、これらに限定されない。印字装置200BのマイクロコンピュータPMは、制御装置200AのCPU210から与えられる制御信号に基づいてチャート紙送り部260を制御する。この場合、プラテンローラPRが一方向に回転する。それにより、チャート紙送り部260により保持されるチャート紙が印字部250に対して一方向に送られる。
【0043】
チャート紙送り部260がチャート紙を送るとともに印字部250がチャート紙に所定の周期でドットを印字する。それにより、チャート紙上には、物理量を示すドットが長手方向に順次印字される。このようにして、チャート紙に物理量の変化を示す波形が印字される。
【0044】
扉部100の表示部110は、例えば液晶ディスプレイパネルまたは有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネルにより構成される。特に、表示部110は、可視光の透過率が約30%以上の透過型の液晶ディスプレイパネルまたは透過型の有機ELパネルにより構成されてもよい。タッチパネル120は、表示部110に重なるように設けられる。表示部110が透過型の液晶ディスプレイパネルまたは透過型の有機ELパネルにより構成される場合には、タッチパネル120も透過型のパネルにより構成される。
【0045】
開閉検出部130は、扉部100が開状態および閉状態のいずれであるかを検出し、検出結果を本体部200のCPU210に与える。開閉検出部130として、例えば透過型または反射型の光学式検出器が用いられるが、それらに限定されない。扉部100の開閉状態を検出することが可能であれば、光学式検出器に代えて磁気検出器または超音波検出器等が用いられてもよい。あるいは、開閉検出部130として、機械式スイッチが設けられてもよい。
【0046】
チャート紙調整スイッチ140は、チャート紙の位置を調整するために操作される。使用者は、チャート紙調整スイッチ140を操作することにより、記録計1の動作状態によらずチャート紙送り部260により保持されるチャート紙を印字部250に対して所望の長さ分一方向または逆方向に選択的に送ることができる。これにより、使用者は、扉部100が開かれた状態で記録計1の前方から印字部250に対するチャート紙の位置調整を行うことができる。
【0047】
記録状態表示ランプ160は、例えば発光ダイオードからなる。記録状態表示ランプ160は、例えば扉部100が開かれている状態でかつ印字期間のみ点灯する。使用者は、記録状態表示ランプ160を見ることにより、印字装置200Bによる印字動作が行われているか否かを容易に認識することができる。
【0048】
電源スイッチ170は、記録計1への電力の供給をオンおよびオフするためのスイッチである。制御装置200Aの図示しない電源回路は、電源スイッチ170の接点が開状態である場合に記録計1への電力の供給をオンし、電源スイッチ170の接点が閉状態である場合に記録計1への電力の供給をオフする。それにより、記録計1への電力の供給がオンしている状態で、後述のフレキシブル配線回路基板190(
図4)が破損することにより扉部100と本体部200との間に断線が発生しても、記録計1への電力の供給が継続される。したがって、フレキシブル配線回路基板190の破損時に、物理量収集動作およびチャート紙記録動作が停止することが防止される。
【0049】
USBインターフェース180には、USBフラッシュメモリが接続される。CPU210は、USBインターフェース180にUSBフラッシュメモリが接続されると、内部メモリ240内に記憶されている物理量データを接続されたUSBフラッシュメモリに記憶させる。それにより、使用者は、故障等により後述の表示画面10(
図2)に画像が表示されない場合でも、USBフラッシュメモリを用いて内部メモリ240に記憶された物理量データを容易に取り出すことができる。
【0050】
USBインターフェース291には、扉部100に設けられるUSBインターフェース180と同様に、例えばUSBフラッシュメモリが接続される。CPU210は、USBインターフェース291にUSBフラッシュメモリが接続されると、内部メモリ240内に記憶されている物理量データを接続されたUSBフラッシュメモリに記憶する。それにより、使用者は、扉部100と本体部200との間で断線が発生した場合でも、USBフラッシュメモリを用いて内部メモリ240に記憶された物理量データを容易に取り出すことができる。
【0051】
RS485インターフェース292およびイーサネットインターフェース293には、配線(図示せず)を通して記録計1の外部機器(例えば、パーソナルコンピュータまたはプログラマブルコントローラ等)が接続される。例えば外部機器からRS485インターフェース292を通して記録計1に物理量データが与えられる。また、例えば外部機器からイーサネットインターフェース293を通して記録計1に物理量データが与えられる。これらの場合、CPU210は、RS485インターフェース292およびイーサネットインターフェース293を通して外部機器から与えられる物理量データを内部メモリ240に記憶することも可能である。電源端子294には、電源コード(図示せず)が接続される。
【0052】
[2]記録計の構造
図2は、
図1の記録計1の外観斜視図である。
図2に示すように、本体部200は、
図1の制御装置200Aおよび印字装置200Bに加えて、本体ケーシングCAおよびリジッド配線回路基板200Cを含む。本体ケーシングCAは、上面部s1、底面部s2、一方の側面部s3、他方の側面部s4および背面部s5を有し、前面は開口している。上面部s1、底面部s2、一方の側面部s3および他方の側面部s4の前端部外表面にはフランジ200fが形成されている。本体ケーシングCAは、制御装置200A、印字装置200Bおよびリジッド配線回路基板200Cを収容する。
【0053】
リジッド配線回路基板200Cは、本体ケーシングCA内の空間を分割するように、本体ケーシングCAの前後方向における略中央部に配置される。
【0054】
本体ケーシングCA内のリジッド配線回路基板200Cよりも前方の空間に印字装置200Bが設けられる。印字装置200Bのチャート紙収容部270は、印字部250による印字前および印字後のチャート紙を収容可能に構成される。
【0055】
本体ケーシングCA内のリジッド配線回路基板200Cよりも前方の空間においては、上部に印字部250が配置され、下部にチャート紙収容部270が配置される。印字部250とチャート紙収容部270との間にチャート紙送り部260が配置される。
【0056】
本体ケーシングCAの前面開口200o(
図4)に扉部100が開閉可能に取り付けられている。扉部100は、表示画面10を有する。表示画面10は、
図1の表示部110の一部およびタッチパネル120により構成される。
図3は、表示画面10の表示例を示す図である。
図3の例では、表示画面10に物理量の変化を示す1つの波形W1が表示されている。
【0057】
図2に示すように、本体ケーシングCA内のリジッド配線回路基板200Cよりも後方の空間内の上部に制御装置200Aが配置される。本体ケーシングCAの背面部s5には、後部開口が形成されている。
図1の入力/出力ユニット300が、背面部s5の一方の後部開口を通して本体部200に差し込まれる。それにより、入力/出力ユニット300の
図1の接続端子TAaが、本体部200の複数の接続端子SLaのいずれかに接続される。
図2に太い点線の矢印aで示すように、使用者は、入力/出力ユニット300を記録計1の後方に引っ張ることにより、入力/出力ユニット300を本体部200から取り外すことができる。
【0058】
同様に、
図1の収集ユニット400が、背面部s5の一方の後部開口BOを通して本体部200に差し込まれる。それにより、収集ユニット400の
図1の接続端子TAbが、本体部200の複数の接続端子SLbのいずれかに接続される。
図2に太い点線の矢印bで示すように、使用者は、収集ユニット400を記録計1の後方に引っ張ることにより、収集ユニット400を本体部200から取り外すことができる。
【0059】
図4は、扉部100が開かれた状態の記録計1の外観斜視図である。
図4のチャート紙収容部270は、扉部100が開かれた状態で本体ケーシングCA内から取り出し可能に構成されている。
【0060】
使用者は、扉部100を開いた後、本体ケーシングCAの前面開口200oを通してチャート紙収容部270を取り出す。その後、使用者は、チャート紙収容部270に収容されている印字後のチャート紙を取り出し、チャート紙収容部270に印字前のチャート紙を装填する。さらに、使用者は、印字前のチャート紙が収容されたチャート紙収容部270を前面開口200oを通して本体ケーシングCA内に装填する。このように、使用者は、扉部100を開くことにより、印字装置200Bに対してチャート紙の交換作業を行うことができる。
【0061】
一方、扉部100が閉じられている状態では、使用者は、印字装置200Bに装填されたチャート紙の交換作業を行うことができない。また、使用者は、印字装置200Bに装填されているチャート紙に触れることもできない。
【0062】
扉部100の一側端の中央部からケーシングCAの内部に向かって帯状のフレキシブル配線回路基板190が延びている。フレキシブル配線回路基板190の端部は、ケーシングCAの内部で
図2のリジッド配線回路基板200Cに接続される。
【0063】
フレキシブル配線回路基板190は、高いフレキシブル性を有する絶縁性基板および複数の配線(図示せず)を含む。複数の配線は絶縁性基板上に形成される。フレキシブル配線回路基板190の複数の配線により扉部100と本体部200とが電気的に接続される。
【0064】
扉部100の開閉動作によりフレキシブル配線回路基板190が変形する場合には、複数の配線が絶縁性基板とともにフレキシブルに変形する。したがって、扉部100と本体部200との間の断線の発生が防止される。
【0065】
[3]印字動作
使用者は、
図1のタッチパネル120、または入力/出力ユニット300(
図1)に接続された外部機器等を操作することにより、通常印字モードおよび追いかけ印字モードのいずれかの印字モードを選択する。選択された印字モードが内部メモリ240(
図1)に記憶される。制御装置200A(
図1)のCPU210は、選択された印字モードに応じて、印字装置200Bを制御する。
【0066】
以下、通常印字モードおよび追いかけ印字モードの各々における印字装置200Bの具体的な動作例を説明する。
図5は、通常印字モードでの印字装置200Bの動作について説明するための図である。
図6は、通常印字モードでの印字データの生成について説明するための図である。
図7は、追いかけ印字モードでの印字装置200Bの動作について説明するための図である。
図8は、追いかけ印字モードでの印字データの生成について説明するための図である。
図5〜
図8において、横軸は時間を示す。
図5および
図7の上段には、データ収集期間が示される。
図5および
図7の下段には、印字期間が示される。
【0067】
[3−1]通常印字モード
図5および
図6を参照しながら通常印字モードでの印字動作について説明する。
図5の例では、時点t0から時点t5までの期間がデータ収集期間であり、時点t1から時点t2までの期間、および時点t3から時点t4までの期間が印字期間である。時点t2から時点t3までの期間においては、印字装置200Bによる印字動作が一時的に停止される。ここで、印字動作が一時的に停止されるとは、物理量データの収集が継続されつつ、予め定められた時間(以下、一時停止時間と呼ぶ)よりも短い時間だけ印字動作が停止されることをいう。印字動作が一時的に停止される期間には、印字装置200Bが即時に動作開始可能な待機状態に維持される。また、印字動作を一時的に停止するための一時停止スイッチが例えば扉部100に設けられてもよい。印字動作が一時的に停止される理由として、例えば、チャート紙の補充、または印字部250のインクカートリッジの交換等がある。
【0068】
図6に示すように、データ収集期間(時点t0から時点t5までの期間)には、一定の収集周期で物理量データd1が順次収集される。印字期間(時点t1から時点t2までの期間および時点t3から時点t4までの期間)には、規定数(
図6の例では4つ)の物理量データd1が収集される毎に、最新の物理量データd1(
図6において、ハッチングが付された物理量データd1)に基づいて印字データが生成され、生成された印字データに基づいて印字装置200Bによる印字動作が行われる。この場合、印字装置200Bによりドットが印字される周期(以下、印字周期と呼ぶ)は、印字データが生成される周期(以下、印字データ生成周期と呼ぶ)T1と略一致する。印字動作が一時的に停止される期間(時点t2から時点t3までの期間)には、印字データが生成されない。
【0069】
それにより、
図5に示すように、時点t1から時点t2までの期間における物理量の変化を示す波形が、時点t1から時点t2までの期間に印字され、時点t3から時点t4までの期間における物理量の変化を示す波形が、時点t3から時点t4の期間に印字される。時点t2から時点t3までの期間における物理量の変化を示す波形は印字されない。
【0070】
このように、通常印字モードでは、印字期間における物理量の変化を示す波形がリアルタイムで印字され、印字期間以外の物理量の変化を示す波形は印字されない。ここで、リアルタイムで印字されるとは、各印字時点において、前回の印字時点より後の時点に収集された物理量データに基づいて印字が行われることをいう。以下、このようなリアルタイムで行われる現在の物理量の変化を示す波形の印字を通常印字と呼ぶ。
【0071】
[3−2]追いかけ印字モード
図7および
図8を参照しながら追いかけ印字モードでの印字動作について通常印字モードでの印字動作と異なる点を説明する。
図7および
図8の例において、データ収集期間および印字期間は、
図5および
図6の例と同じである。
【0072】
追いかけ印字モードでは、
図8に示すように、印字動作が一時的に停止される期間(時点t2から時点t3までの期間)においても、規定数の物理量データd1が収集される毎(印字データ生成周期T1が経過する毎)に、最新の物理量データd1に基づいて印字データが生成される。
【0073】
図7に示すように、時点t3において印字が再開されると、まず、時点t2から時点t3までの期間に収集された物理量データに基づく印字が、時点t3から時点t3aまでの期間に行われる。続いて、時点t3から時点t3bまでの期間に収集された物理量データに基づく印字が、時点t3aから時点t3bまでの期間に行われる。その後、時点t3bから時点t4までの期間に収集された物理量データに基づく印字が、時点t3bから時点t4までの期間に行われる。
【0074】
これにより、時点t2から時点t4までの期間における物理量の変化を示す波形が時点t3から時点t4までの期間に印字される。この場合、時点t3から時点t3bまでの期間において、過去の印字データ(最新でない印字データ)に基づいて過去の物理量の変化を示す波形の印字が行われる。以下、このような過去の印字データに基づく波形の印字を追いかけ印字と呼ぶ。時点t3bから時点t4までの期間には、リアルタイムでの印字(通常印字)が行われる。
【0075】
上記のように、リアルタイムでの印字(通常印字)では、印字周期が印字データ生成周期と略一致する。一方、追いかけ印字では、印字周期を任意に設定することができる。
【0076】
本実施の形態では、追いかけ印字モードにおいて、印字データ生成周期よりも短い印字周期で追いかけ印字が行われる。以下、通常印字での印字周期を通常印字周期と呼び、追いかけ印字での印字周期を追いかけ印字周期と呼ぶ。
【0077】
追いかけ印字が行われる期間(時点t3から時点t3bまでの期間)にも、最新の印字データが順次生成され、内部メモリ240に記憶される。この場合、ある時点(
図7の時点t3b)で、過去の印字データに基づく印字が全て完了し、最新の印字データに基づく印字(通常印字)に移行する。
【0078】
このように、追いかけ印字モードでは、印字動作が一時的に停止された後に印字動作が再開されると、印字動作の一時停止時点からの物理量の変化を示す波形が追いかけ印字される。追いかけ印字が完了すると、通常印字に移行する。これにより、印字動作が一時的に停止されても、その停止期間を含めて物理量の変化を示す波形を連続的に印字することができる。
【0079】
また、本実施の形態では、印字動作が一時的に停止される期間中においても印字データが継続的に生成され、内部メモリ240に記憶される。これにより、印字動作の再開時に、迅速に印字動作を行うことができる。また、予め印字データが生成されることにより、特に文字の印字に関して、印字動作の停止前における印字部分と印字動作の再開後における印字部分とを精度よく一体化させることができる。
【0080】
[4]内部メモリに記憶される情報
上記のように、
図1の内部メモリ240には、選択された印字モード、収集された物理量データおよび生成された印字データが記憶される。これらに加えて、内部メモリ240には、以下に示す種々の情報が記憶される。
【0081】
使用者は、
図1のタッチパネル120を操作することによりデジタル信号のサンプリング条件を設定することができる。この場合、設定されたサンプリング条件が内部メモリ240に記憶される。サンプリング条件として例えば収集ユニット400によるデジタル信号のサンプリング周期(収集周期)が設定される。
【0082】
また、使用者は、
図1のタッチパネル120を操作することにより印字装置200Bによる波形の印字条件を設定することができる。この場合、設定された印字条件が内部メモリ240に記憶される。波形の印字条件として例えばチャート紙送り部260によるチャート紙の送り速度、印字部250によるドットの印字(打点)周期、およびチャート紙上に示される物理量のスケールが設定される。
【0083】
本実施の形態においては、チャート紙への印字動作の開始時点および停止時点が、それぞれ印字履歴情報として内部メモリ240に記憶される。また、扉部100(
図2)が開かれた時点、すなわち扉部100が閉状態から開状態に切り替わる時点が開閉履歴情報として内部メモリ240に記憶される。
【0084】
さらに、本実施の形態においては、予め定められたインクカートリッジ目標値および予め定められたチャート紙長さが内部メモリ240に記憶される。インクカートリッジ目標値は、例えば印字部250において一のインクカートリッジでドットの印字が可能な回数を表す。チャート紙長さは、チャート紙送り部260に保持されるチャート紙の長さを表す。
【0085】
[5]チャート紙への一印字例
チャート紙に印字される内容について、記録計1の動作とともに説明する。
図9は、通常印字モードで波形が印字されたチャート紙の一例を示す図である。
図10は、追いかけ印字モードで波形が印字されたチャート紙の一例を示す図である。
図9および
図10のチャート紙においては、縦軸が時間を表し、横軸が物理量(本例では電圧)の大きさを表す。太い矢印で示すように、本例の縦軸においてはチャート紙の下方から上方に向かって時間が進行する。
【0086】
[5−1]通常印字モードでの波形の印字
図9を参照しながら通常印字モードで波形が印字された場合について説明する。まず、使用者が、物理量データの収集開始およびチャート紙への波形の印字開始をCPU210に指令する。
図9の例では、矩形点線部pt1に示すように、内部メモリ240に記憶された印字履歴情報に基づいて印字動作の開始時点「2012/11/19 19:00:00」が印字される。また、内部メモリ240に記憶された印字条件に基づいてチャート紙の送り速度「90mm/h」が印字される。さらに、物理量に対応するドットが予め設定された印字条件で印字される。
【0087】
続いて、使用者が、チャート紙への波形の印字停止をCPU210に指令する。それにより、印字動作が停止する。この場合、矩形点線部pt2に示すように、内部メモリ240に記憶された印字履歴情報に基づいて印字動作の停止時刻「2012/11/19 19:19:40」が印字される。また、印字動作の停止を示す文字列「テイシ」が印字される。印字動作が停止される期間に、例えば、扉部100が開かれてインクカートリッジの交換等が行われる。この場合、内部メモリ240に記憶された開閉履歴情報に基づいて、扉部100が開かれたことを示す文字列(例えば、「トビラオープン」)が印字されてもよい。さらに、扉部100が開かれた時刻が印字されてもよい。
【0088】
次に、扉部100が閉じられた状態で、使用者が、チャート紙への印字開始をCPU210に再度指令する。この場合、矩形点線部pt3に示すように、内部メモリ240に記憶された印字履歴情報に基づいてチャート紙への印字動作の再開時刻「2012/11/19 19:29:34」が印字される。また、印字動作の再開を示す文字列「サイカイ」が印字される。この場合、矩形点線部pt1と同様に、チャート紙の送り速度(例えば、「90mm/h」)が印字されてもよい。また、物理量に対応するドットの印字が再開される。
【0089】
また、印字動作の開始時点から一定時間が経過するごとにその時刻が印字される。
図9の例では、一定時間は30分であり、矩形点線部pt4に示すように、印字動作が再開されてから30分が経過したときに、「2012/11/19 19:59:34」が印字され、矩形点線部pt5に示すように、1時間が経過したときに、「2012/11/19 20:29:34」が印字され、矩形点線部pt6に示すように、1時間30分が経過したときに、「2012/11/19 20:59:34」が印字される。
【0090】
また、矩形点線部pt7に示すように、一時的な停止を除く印字動作の最初の開始から一定時間が経過することにより、チャート紙の横軸に示される物理量のスケールが予め設定された印字条件に基づいて印字される。
図9の例では、スケール「0.000〜2.000V」およびチャンネル名「1CH」が印字される。
【0091】
また、チャート紙が一定量送られる毎に、印字される波形に対応するチャンネル名が印字される、
図9の例では、矩形点線部pt11〜pt13に示すように、チャート紙が一定量送られる毎にチャンネル名「1」が印字される。
【0092】
上記のように、通常印字モードでは、印字動作が停止される期間の物理量の変化を示す波形が印字されない。そのため、印字動作の停止時点(「2012/11/19 19:19:40」)と再開時点(「2012/11/19 19:29:34」)との間で波形が非連続になる。
【0093】
[5−2]追いかけ印字モードでの波形の印字
次に、
図10を参照しながら追いかけ印字モードで波形が印字された場合について、
図9の例と異なる点を説明する。
【0094】
上記のように、追いかけ印字モードでは、印字動作が再開された際に、印字動作が停止される期間の物理量の変化を示す波形が印字される。そのため、印字動作の停止時点(「2012/11/19 19:19」)と再開時点(「2012/11/19 19:29:34」)との間における波形が印字される。この場合、矩形点線部pt8,pt9に示すように、追いかけ印字の開始を示す文字列「オイカケカイシ」および追いかけ印字の完了を示す文字列「オイカケカンリョウ」が印字される。また、追いかけ印字の開始時刻および追いかけ印字の完了時刻が印字されてもよい。
【0095】
追いかけ印字の開始および終了を示す情報が印字されることにより、過去の物理量データに基づいて印字された波形の部分とリアルタイムで印字された波形の部分とをチャート紙上で容易に判別することができる。それにより、リアルタイムで印字された波形の部分の信頼性を確保しつつ印字動作の停止期間における物理量の変化を示す波形を視認することができる。
【0096】
[5−3]チャート紙の送りタイミング
通常印字モードおよび追いかけ印字モードのいずれにおいても、チャート紙の送りタイミングは、時間ではなく収集された物理量データ数を基準に制御されることが好ましい。
【0097】
使用者は、例えば、1時間当たりのチャート紙の送り量を設定する。この場合、設定された送り量によっては、一定の周期でチャート紙を送ることができず、チャート紙の送りタイミングが複雑になることがある。一方、通常印字モードにおいて、規定数の物理量データが収集される毎に印字が行われる。すなわち、印字タイミングは、収集された物理量データ数に依存する。仮に、チャート紙の送りタイミングが時間に基づいて制御されると、印字タイミングとチャート紙の送りタイミングとを適正に対応させることが困難になることがある。それにより、印字精度が低下する可能性がある。
【0098】
そこで、チャート紙の送りタイミングが印字タイミングと同様に収集された物理量データ数を基準に制御されることにより、印字タイミングとチャート紙の送りタイミングとを適正に対応させることが容易になる。それにより、印字精度の低下が防止される。追いかけ印字モードにおいても同様に、収集された物理量データ数を基準にチャート紙の送りタイミングが制御されることにより、印字タイミングとチャート紙の送りタイミングとを適正に対応させることが容易になる。
【0099】
[6]通常印字処理および追いかけ印字処理
本実施の形態では、使用者によって通常印字モードが選択された場合、CPU210が通常印字処理を行う。一方、使用者によって追いかけ印字モードが選択された場合、CPU210が追いかけ印字処理を行う。通常印字処理および追いかけ印字処理は、
図1のROM220に記憶される制御プログラムに従って行われる。
図11は、通常印字処理のフローチャートであり、
図12および
図13は、追いかけ印字処理のフローチャートである。
図11の通常印字処理ならびに
図12および
図13の追いかけ印字処理は、データ収集期間中に行われる。
【0100】
[6−1]通常印字処理
図11を参照しながら通常印字処理について説明する。
図11の通常印字処理は、タッチパネル120または印字スイッチ152の操作により波形の印字開始が指令されることにより開始される。
図11に示すように、CPU210は、まず、内部メモリ240に記憶される最新の物理量データに基づいて印字データを生成し、生成された印字データを内部メモリ240に記憶させる(ステップS1)。次に、CPU210は、ステップS1で生成および記憶された印字データに基づいて印字装置200Bを制御する。これにより、その印字データに対応する印字位置への通常印字が行われる(ステップS2)。
【0101】
次に、CPU210は、印字停止の指令があるか否かを判定する(ステップS3)。上記のように、使用者がタッチパネル120または印字スイッチ152を操作することにより、印字停止が指令される。印字停止の指令がある場合、CPU210は、通常印字処理を終了する。
【0102】
印字停止の指示がない場合、CPU210は、直近のステップS2で通常印字が行われてから規定数の物理量データが収集されたか否かを判定する(ステップS4)。規定数の物理量データが収集されていない場合、CPU210は、ステップS3の処理に戻る。規定数の物理量データが収集された場合、CPU210は、ステップS1の処理に戻る。
【0103】
これにより、ステップS3で印字停止が指令されるまで、規定数の物理量データが収集される毎に印字データの生成および記憶、ならびにその印字データに基づく通常印字が繰り返し行われる。一方、ステップS4で印字動作が停止されると、次に印字動作が開始されるまで、印字データの生成および記憶、ならびに通常印字が行われない。
【0104】
[6−2]追いかけ印字処理
図12および
図13を参照しながら追いかけ印字処理について説明する。
図12および
図13の追いかけ印字処理は、タッチパネル120または印字スイッチ152の操作により波形の印字開始(一時的な停止後の再開を除く)が指令されることにより開始される。
【0105】
図12のステップS11〜S14の処理は、
図11のステップS1〜S4の処理と同じである。
図12のステップS13において、印字停止の指令がない場合、CPU210は、印字開始の指令があるか否かを判定する(ステップS15)。印字開始の指令がない場合、CPU210は、ステップS14で印字停止が指令されてから予め定められた一時停止時間が経過したか否かを判定する(ステップS16)。一時停止時間が経過した場合、CPU210は、追いかけ印字処理を終了する。
【0106】
一時停止時間が経過していない場合、CPU210は、直近のステップS12で通常印字が行われてから規定数の物理量データが収集されたか否かを判定する(ステップS17)。規定数の物理量データが収集されていない場合、CPU210は、ステップS15の処理に戻る。規定数の物理量データが収集された場合、CPU210は、内部メモリ240に記憶される最新の物理量データに基づいて印字データを生成し、生成された印字データを内部メモリ240に記憶させる(ステップS18)。その後、CPU210は、ステップS15の処理に戻る。
【0107】
以後、ステップS15で印字動作が再開されるまたはステップS16で一時停止時間が経過するまで、ステップS15〜S18の処理が繰り返される。それにより、規定数の物理量データが収集される毎に印字データの生成および記憶が繰り返される。この場合、2回目以降のステップS17では、CPU210は、直近のステップS18で印字データが記憶されてから規定数の物理量データが収集されたか否かを判定する。
【0108】
ステップS15において、印字開始の指令がある場合、
図13に示すように、CPU210は、ステップS13で印字動作が停止されてからステップS15で印字動作が再開されるまでの期間に印字データが生成および記憶されたか否かを判定する(ステップS19)。印字動作の停止期間が、印字データ生成周期よりも短い場合、その停止期間に印字データの生成および記憶は行われない。一方、印字動作の停止期間が印字データ生成周期よりも長い場合、
図12のステップS18で印字データが生成および記憶される。
【0109】
印字動作の停止期間に印字データが生成および記憶されていない場合、CPU210は、
図12のステップS14の処理に戻る。印字動作の停止期間に印字データが生成および記憶された場合、CPU210は、印字動作の停止期間に生成および記憶された印字データ(ステップS18で生成および記憶された印字データ)のうち、最初に生成および記憶された印字データに基づいて印字装置200Bを制御する。これにより、その印字データに対応する印字位置への追いかけ印字が行われる(ステップS20)。
【0110】
次に、CPU210は、
図2のステップS18および後述のステップS24で生成および記憶された全ての印字データに基づいて追いかけ印字が行われたか否か、すなわち追いかけ印字が完了したか否かを判定する(ステップS21)。
図12のステップS18および後述のステップS24で生成および記憶された全ての印字データに基づいて追いかけ印字が行われていない場合、CPU210は、直近のステップS20で追いかけ印字が行われてから予め定められた追いかけ印字周期が経過したか否かを判定する(ステップS22)。
【0111】
追いかけ印字周期が経過した場合、CPU210は、ステップS20の処理に戻り、前回のステップS20で用いられた印字データの次の印字データに基づいて、印字装置200Bを制御する。これにより、追いかけ印字が順次行われる。
【0112】
ステップS22において、追いかけ印字周期が経過していない場合、CPU210は、直近のステップS18で印字データが生成および記憶されてから規定数の物理量データが収集されたか否かを判定する(ステップS23)。規定数の物理量データが収集されていない場合、CPU210は、ステップS22の処理に戻る。規定数の物理量データが収集された場合、CPU210は、ステップS18と同様に、内部メモリ240に記憶される最新の物理量データに基づいて印字データを生成し、生成された印字データを内部メモリ240に記憶させる(ステップS24)。その後、CPU210は、ステップS22の処理に戻る。
【0113】
以後、ステップS21で追いかけ印字が完了するまで、ステップS20〜S24の処理が繰り返される。それにより、追いかけ印字周期が経過する毎に追いかけ印字が繰り返し行われるとともに、規定数の物理量データが収集される毎に印字データの作成および記憶が繰り返し行われる。この場合、2回目以降のステップS23では、CPU210は、直近のステップS24で印字データが生成および記憶されてから規定数の物理量データが収集されたか否かを判定する。
【0114】
ステップS21において、
図12のステップS18および
図13のS24で生成および記憶された全ての印字データに基づいて追いかけ印字が行われた場合、CPU210は、直近のステップS24で印字データが生成および記憶されてから規定数の物理量データが収集されたか否かを判定する(ステップS25)。規定数の物理量データが収集されていない場合、CPU210は、ステップS25の処理を繰り返す。規定数の物理量データが収集された場合、CPU210は、
図12のステップS11の処理に戻る。
【0115】
[7]残り時間の表示
追いかけ印字モードにおいて、追いかけ印字が行われる期間(
図7の時点t3から時点t3bまでの期間)に、CPU210が、追いかけ印字が終了するまでの残り時間(以下、追いかけ残時間と呼ぶ)を算出し、算出された追いかけ残時間を表示画面10に表示させてもよい。この場合、表示画面10上で追いかけ残時間を容易に確認することが可能となる。
【0116】
図14は、追いかけ残時間の表示例を示す図である。
図14の例では、表示画面10に、「追いかけ印字中」であることが表示されるとともに、追いかけ残時間が「20分30秒」であることが表示される。なお、追いかけ印字の終了時点は、例えば、追いかけ印字に用いる最後の印字データの生成時点であり、現時点における最新の印字データを基準に算出される。
【0117】
追いかけ残時間の算出方法の一例について説明する。追いかけ残時間は、次式(1)で表される。
【0118】
追いかけ残時間=必要印字周期数×通常印字周期 …(1)
式(1)において、必要印字周期数とは、過去の物理量データに基づく印字(過去の印字データに基づく印字)を全て完了するために必要な印字周期数である。必要印字周期数は、次式(2)で表される。
【0119】
必要印字周期数=過去データ印字時間/印字周期中空き時間 …(2)
式(2)において、過去データ印字時間とは、追いかけ印字モードでの過去の物理量データに基づく波形(以下、過去波形と呼ぶ)の印字およびその波形に対応する文字(以下、過去文字と呼ぶ)の印字に必要な時間である。印字周期中空き時間については後述する。過去データ印字時間は、次式(3)で表される。
【0120】
過去データ印字時間=過去文字印字時間+過去波形印字時間+過去紙送り時間 …(3)
式(3)において、過去文字印字時間とは、過去文字の印字に必要な時間であり、過去波形印字時間とは、過去波形の印字に必要な時間である。過去紙送り時間とは、チャート紙を送るために必要な時間である。過去文字印字時間は、次式(4)で表される。過去波形印字時間は、次式(5)で表される。
【0121】
過去文字印字時間=過去文字印字行数×文字印字時間単位 …(4)
過去波形印字時間=過去波形印字行数×波形印字時間単位 …(5)
式(4)において、過去文字印字行数とは、過去文字を構成するドットの行数である。ここで、ドットの行とは、チャート紙の幅方向に平行な直線上におけるドットの並びである。文字印字時間単位とは、文字を構成するドットの1行を印字するために必要な時間であり、固定値である。式(5)において、過去波形印字行数とは、過去波形を構成するドットの行数である。波形印字時間単位とは、波形を構成するドットの1行を印字するために必要な時間である。
【0122】
過去文字印字行数は、次式(4a)から算出することができ、過去波形印字行数は、次式(5a)から算出することができる。
【0123】
過去文字印字行数=一時停止後蓄積データ数−過去波形印字行数 …(4a)
過去波形印字行数=(一時停止後経過時間−追いかけ印字開始後紙送り量/紙送り速度)/通常印字周期 …(5a)
式(4a)において、一時停止後蓄積データ数とは、一時停止時点(
図7の時点t2)から現時点までに生成および記憶された印字データの数である。式(5a)において、一時停止後経過時間とは、一時停止時点から現時点までの経過時間である。追いかけ印字開始後紙送り量とは、追いかけ印字の開始時点(
図7の時点t3)から現時点までのチャート紙の送り量である。
【0124】
式(5)の波形印字時間単位は、次式(6)で表される。
【0125】
波形印字時間単位=1行の波形印字数×波形印字単位ゲイン+波形印字時間単位オフセット …(6)
式(6)において、1行の波形印字数とは、波形を構成するドットの1行を印字するための実際の印字数(打点数)である。例えば、複数の波形が印字される場合、その波形数に対応するように1行の波形印字数が複数に設定される。また、物理量の急峻な変化を示すために、一の波形に関して1行の波形印字数が複数に設定されてもよい。波形印字単位ゲインとは、1回の印字(打点)のために必要な時間であり、固定値である。波形印字時間単位オフセットとは、波形を構成するドットの1行を印字するために必要な時間であり、固定値である。
【0126】
式(3)の過去紙送り時間は、次式(7)で表される。
【0127】
過去紙送り時間=過去波形印字行数×紙送り時間単位 …(7)
式(7)において、紙送り時間単位とは、印字周期においてチャート紙を送るために必要な時間である。紙送り時間単位は、次式(8)で表される。
【0128】
紙送り時間単位=周期紙送り量×mm時間単位 …(8)
式(8)において、周期紙送り量とは、印字周期毎のチャート紙の送り量である。mm時間単位とは、チャート紙を1mm送るために必要な時間であり、固定値である。mm時間単位は、例えば0.05秒である。周期紙送り量は、次式(9)で表される。
【0129】
周期紙送り量=紙送り速度×(通常印字周期/3600s) …(9)
式(2)の印字周期中空き時間は、次式(10)で表される。
【0130】
印字周期中空き時間=通常印字周期−リアルタイム印字時間 …(10)
式(10)において、リアルタイム印字時間とは、通常印字モードにおいて通常印字周期毎に印字動作のために必要な時間の平均値である。リアルタイム印字時間は、次式(11)で表される。
【0131】
リアルタイム印字時間=リアルタイム文字印字時間+波形印字時間単位+紙送り時間単位 …(11)
式(11)において、リアルタイム文字印字時間とは、通常印字モードにおいて通常印字周期毎に文字の印字に必要な時間の平均値である。本例において、通常印字モードで印字される文字は、
図9の矩形点線部pt4〜pt6に示される時刻のように、一定周期毎に印字される情報(以下、周期単位情報と呼ぶ)、および
図9の矩形点線部pt11〜pt13に示されるチャンネル名のように、チャート紙の一定の送り量毎に印字される情報(以下、紙送り量単位情報と呼ぶ)を含む。リアルタイム文字印字時間は、次式(12)で表される。
【0132】
リアルタイム文字印字時間=周期単位情報印字時間+紙送り量単位情報印字時間 …(12)
式(12)において、周期単位情報印字時間および紙送り量単位情報印字時間とは、通常印字モードにおいて通常印字周期毎に周期単位情報の印字に必要な時間および紙送り量単位情報の印字に必要な時間の平均値である。周期単位情報印字時間は、次式(13)で表される。
【0133】
周期単位情報印字時間=(通常印字周期/インターバル)×周期単位情報行数×1文字印字行数×文字印字時間単位 …(13)
式(13)において、インターバルは、周期単位情報が印字される周期であり、予め設定される値である。周期単位情報行数は、周期単位情報を構成する文字の行数である。ここで、文字の行とは、チャート紙の幅方向に平行な直線上における文字の並びである。例えば、
図9の矩形点線部pt4〜pt6に示される例では、周期単位情報は、年月日を示す文字の行、および時刻を示す文字の行からなる。この場合、周期単位情報行数は、2である。また、これらの文字の行に加えて、紙送り量を示す文字の行、チャンネル数を示す文字の行、およびスケールを示す文字の行等が周期単位情報として印字されてもよい。その場合、これらの文字の行数が周期単位情報文字行数に加えられる。1文字印字行数は、1文字を構成するドットの行数であり、固定値である。1文字印字行数は、例えば7である。
【0134】
式(12)の紙送り量単位情報印字時間は、次式(14)で表される。
【0135】
紙送り量単位情報印字時間=(周期紙送り量/紙送り量単位情報間隔)×1文字印字行数×文字印字時間単位 …(14)
式(14)において、周期紙送り量は、上式(9)から算出することができる。紙送り量単位情報間隔とは、紙送り量単位情報が印字されるチャート紙上の間隔であり、固定値である。紙送り量単位情報間隔は、例えば25mmである。
【0136】
上式(1)〜(14)から追いかけ残時間を算出することができる。なお、式(1)〜(14)における種々の値は、各種仕様および各種設定に応じて適宜変更されてもよい。また、種々の条件(例えば、印字に用いられる色)によって種々の値に微小なずれが生じるが、このような場合にはその平均値を用いることが好ましい。
【0137】
[8]実施の形態の効果
上記実施の形態に係る記録計1においては、追いかけ印字モードが選択されることにより、現在の物理量データを収集しつつ過去の物理量データに基づいてチャート紙に波形を印字することができる。このように、現在の物理量データの収集と過去の物理量データに基づく波形の印字とを並行して行うことができるので、物理量の変化を示す波形の印字タイミングの自由度が向上される。
【0138】
また、本実施の形態では、追いかけ印字モードにおいて、印字動作の一時停止後に印字動作が再開されると、印字動作の一時停止時点からの物理量の変化を示す波形が追いかけ印字される。この場合、過去の物理量データに基づく波形の印字が短時間で行われるので、ある時点で、過去の印字データに基づく波形の印字が完了し、そのままリアルタイムでの印字に移行する。これにより、印字動作が一時的に停止されても、その停止期間を含めて現在に至るまでの物理量の変化を示す波形を連続的に印字することができる。
【0139】
[9]他の印字モード
上記実施の形態における追いかけ印字モードに加えて、または追いかけ印字モードの代わりに、他の印字モードが選択可能であってもよい。以下、他の印字モードについて上記の追いかけ印字モードと異なる点を説明する。
図15および
図16は、他の印字モードでの印字装置200Bの動作について説明するための図である。
図15および
図16において、横軸は時間を示す。
図15および
図16の上段には、データ収集期間が示される。
図15および
図16の下段には、印字期間が示される。
【0140】
[9−1]プリトリガ印字モード
図15を参照しながらプリトリガ印字モードでの印字動作について説明する。プリトリガ印字モードでは、使用者が、
図1のタッチパネル120、または入力/出力ユニット300(
図1)に接続された外部機器等を操作することにより、印字動作の開始条件を設定する。開始条件は、例えば、測定される物理量が予め定められたしきい値に達すること、または入力/出力ユニット300を通して外部機器から入力信号が与えられることである。また、使用者は、
図1のタッチパネル120、または入力/出力ユニット300(
図1)に接続された外部機器等を操作することにより、印字動作の開始前において物理量の変化が波形として印字されるべき期間の長さ(以下、プリトリガ時間と呼ぶ)を設定する。設定された開始条件およびプリトリガ時間は、
図1の内部メモリ240に記憶される。
【0141】
図1のCPU210は、設定された開始条件が満たされた時点から印字動作が開始されるように印字装置200Bを制御する。この場合、開始条件が満たされる時点よりプリトリガ時間前の時点からの物理量の変化を示す波形の印字が追いかけ印字により行われる。
【0142】
図15の例では、時点t10から時点t14までの期間がデータ収集期間である。時点t12において、予め定められた開始条件が満たされる。それにより、時点t12から印字期間が開始される。また、プリトリガ時間PTが設定される。それにより、時点t12よりプリトリガ時間PT前の時点t11からの物理量の変化を示す波形が追いかけ印字により印字される。
【0143】
この場合、時点t11から時点t12までの期間に収集された物理量データに基づく印字が、時点t12から時点t12aまでの期間に行われる。続いて、時点t12から時点t12bまでの期間に収集された物理量データに基づく印字が、時点t12aから時点t12bまでの期間に行われる。その後、時点t12bから時点t13までの期間に収集された物理量データに基づく印字が、時点t12bから時点t13までの期間に行われる。
【0144】
これにより、時点t11から時点t13までの期間における物理量の変化を示す波形が時点t12から時点t13までの期間に印字される。この場合、時点t12から時点12bまでの期間において、過去の印字データに基づいて過去の物理量の変化を示す波形が追いかけ印字により印字される。時点t12bから時点t13までの期間には、リアルタイムでの印字(通常印字)が行われる。
【0145】
このように、プリトリガ印字モードでは、予め設定された開始条件の前後における物理量の変化を示す波形が印字される。これにより、特定の状況に至る前後の物理量の変化を容易に把握することができる。また、そのままリアルタイムでの印字に移行するので、特定の状況に至る前の時点から現在に至るまでの物理量の変化を示す波形を連続的に印字することができる。
【0146】
図10の例と同様に、チャート紙には、追いかけ印字の開始および終了を示す情報が印字されてもよい。また、
図14の例と同様に、現時点から追いかけ印字が終了するまでの残り時間(追いかけ残時間)が算出され、算出された追いかけ残時間が表示画面10に表示されてもよい。
【0147】
プリトリガ印字モードでの追いかけ残時間は、例えば次式(21)から算出することができる。
【0148】
追いかけ残時間=(印字時間差×リアルタイム印字時間)/(通常印字周期−リアルタイム印字時間) …(21)
式(21)において、印字時間差とは、現時点と、直近の追いかけ印字に用いられた過去の物理量データの収集時点との時間差である。リアルタイム印字時間は、上式(11)から算出することができる。
【0149】
[9−2]範囲指定印字モード
図16を参照しながら範囲指定印字モードでの印字動作について説明する。範囲指定印字モードでは、使用者が、
図1のタッチパネル120、または入力/出力ユニット300(
図1)に接続された外部機器等を操作することにより、物理量の変化が波形として印字されるべき過去の期間(以下、印字対象期間と呼ぶ)の開始時点および終了時点が指定される。指定された印字対象期間は、
図1の内部メモリ240に記憶される。
【0150】
印字対象期間が指定された後、
図1のタッチパネル120または印字スイッチ152の操作により印字動作が開始される。この場合、印字対象期間における物理量の変化を示す波形の印字が追いかけ印字により行われる。なお、タッチパネル120、または入力/出力ユニット300に接続された外部機器等の操作により印字動作の開始時点および終了時点が予め設定されてもよい。
【0151】
図17は、印字対象期間の指定について説明するための図である。
図17の例では、印字対象期間の指定のための設定画像RSが表示画面10に表示される。設定画像RSは、開始時点指定部B1、終了時点指定部B2、紙送り速度設定部B3、実行ボタンB4およびキャンセルボタンB5を含む。この場合、
図1のタッチパネル120の操作により、印字対象期間が指定される。
【0152】
開始時点指定部B1において、印字対象期間の開始時点が指定され、終了時点指定部B2において、印字対象期間の終了時点が指定される。紙送り速度設定部B3において、チャート紙送り部260によるチャート紙の送り速度が設定される。実行ボタンB4が選択されると、指定された印字対象期間が
図1の内部メモリ240に記憶される。キャンセルボタンB5が選択されると、印字対象期間が内部メモリ240に記憶されることなく設定画像RSが閉じられる。
【0153】
図16の例では、時点t20から時点t25までの期間がデータ収集期間である。時点t21から時点t22までの期間が印字対象期間に設定され、時点t23から時点t24までの期間が印字期間である。
【0154】
この場合、時点t21から時点t22までの期間に収集された物理量データに基づく印字が、時点t23から時点t24の期間に行われる。これにより、時点t21から時点t22までの期間における物理量の変化を示す波形が時点t23から時点t24までの期間に印字される。この場合、時点t23から時点24までの期間において、過去の印字データに基づいて過去の物理量の変化を示す波形が追いかけ印字により印字される。
【0155】
このように、範囲指定印字モードでは、所望の印字対象期間における物理量の変化を示す波形を短時間で印字することができる。なお、例えば印字対象期間が短い場合、追いかけ印字周期を通常印字周期と等しく設定してもよい。
【0156】
図10の例と同様に、チャート紙には、追いかけ印字の開始および終了を示す情報が印字されてもよい。また、
図14の例と同様に、現時点から追いかけ印字が終了するまでの残り時間(追いかけ残時間)が算出され、算出された追いかけ残時間が表示画面10に表示されてもよい。なお、追いかけ印字の終了時点は、例えば、印字対象期間における最後の印字データの生成時点である。
【0157】
範囲指定印字モードでの追いかけ残時間は、例えば次式(22)から算出することができる。
【0158】
追いかけ残時間=(印字対象残時間×リアルタイム印字時間)/通常印字周期 …(22)
式(22)において、印字対象残時間とは、直近の印字に用いられた過去の物理量データの収集時点から印字対象期間の終了時点までの残り時間であり、次式(23)により算出することができる。式(23)において、残物理量データ数とは、直近の印字に用いられた過去の物理量データの収集時点から印字対象期間の終了時点までに取得された物理量データ数である。リアルタイム印字時間は、上式(11)から算出することができる。
【0159】
印字対象残時間=残物理量データ数×取得周期 …(23)
[10]他の実施の形態
[10−1]
上記実施の形態では、使用者によるタッチパネル120または収集スイッチ151の操作により物理量データの収集が開始および停止されるが、物理量データの収集の開始および停止の条件はこれに限らない。例えば、タッチパネル120、または入力/出力ユニット300に接続された外部機器等の操作により、物理量データの収集開始時刻および収集停止時刻が予め設定され、設定された時刻に物理量データの収集が開始および停止されてもよい。
【0160】
また、上記実施の形態では、通常印字モードおよび追いかけ印字モードにおいて、使用者によるタッチパネル120または印字スイッチ152の操作により印字動作が開始および停止されるが、印字動作の開始および停止の条件はこれに限らない。例えば、タッチパネル120、または入力/出力ユニット300に接続された外部機器等の操作により、印字動作の開始時刻および停止時刻が予め設定され、設定された時刻に印字動作が開始および停止されてもよい。
【0161】
[10−2]
上記実施の形態では、所定の期間において、規定数の物理量データが収集される毎に印字データが生成されるが、印字データの生成タイミングはこれに限らない。例えば、期間によって異なる数の物理量データが収集される毎に印字データが生成されるように設定可能であってもよい。また、物理量データの収集周期と印字周期とが等しく設定されてもよい。その場合、一の物理量データが収集される毎に印字データが生成される。
【0162】
[10−3]
上記実施の形態では、規定数の物理量データが収集される毎に最新の物理量データに基づいて印字データが生成されるが、印字データの生成方法はこれに限らない。例えば、規定数の物理量データに基づいてそれらの物理量データに対応する物理量の平均値が算出され、その平均値に対応する印字位置を含む印字データが生成されてもよい。
【0163】
[10−4]
上記実施の形態では、追いかけ印字モードにおいて、印字動作が停止されてから予め定められた一時停止時間が経過する前に印字動作が再開されると、追いかけ印字が開始されるが、追いかけ印字の開始条件はこれに限らない。例えば、印字動作が停止された後に電源がオフされることなく印字動作が再開される場合に、追いかけ印字が開始されてもよい。
【0164】
[10−5]
上記実施の形態においては、印字部250として打点方式のプリンタが用いられるが、印字部250の例はこれに限らない。印字部250として、ペン式のプリンタが用いられてもよい。この場合、過去の物理量データではなく最新の物理量データに基づいて印字動作が行われることがリアルタイムでの印字に相当する。
【0165】
[11]請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各構成要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0166】
上記実施の形態においては、記録計1が記録計の例であり、チャート紙が記録紙の例であり、内部メモリ240がデータ収集部の例であり、CPU210が制御部の例であり、印字装置200Bが印字装置の例であり、表示部110が表示部の例である。また、時点t2,t11が請求項3の第1の時点の例であり、時点t3,t12が請求項3の第2の時点の例であり、時点t3a,t12aが請求項3の第3の時点の例であり、時点t3b,t12bが請求項3の第4の時点の例であり、時点t4,t13が請求項4の第5の時点の例である。また、時点t21が請求項8の第1の時点の例であり、時点t22が請求項8の第2の時点の例であり、時点t23が請求項8の第3の時点の例であり、時点t24が請求項8の第4の時点の例である。また、タッチパネル120が条件設定部および印字期間設定部の例である。
【0167】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の構成要素を用いることもできる。
[12]参考形態
(1)本参考形態に係る記録計は、ロール状または折り畳まれた状態の長尺状の記録紙を収容し、収容された長尺状の記録紙に外部装置により測定された物理量の変化を示す波形を記録するための記録計であって、外部装置に接続可能に構成され、外部装置により測定された物理量の値を示す物理量データを収集するデータ収集部と、データ収集部により収集される物理量データに基づいて物理量の変化を示す波形を記録紙に印字する印字装置と、データ収集部により収集される物理量データに基づいて所定期間前から現在までの物理量の変化を示す波形を表示する表示部と、データ収集部および印字装置を制御する制御部とを備え、制御部は、データ収集部が物理量データを収集しつつ印字装置がデータ収集部により収集された過去の物理量データに基づいて記録紙に波形を印字するようにデータ収集部および印字装置を制御するものである。
その記録計においては、外部装置により測定された物理量の値を示す物理量データがデータ収集部により収集される。収集された物理量データに基づいて所定期間前から現在までの物理量の変化を示す波形が表示部に表示される。
また、物理量データが収集されつつ過去に収集された物理量データに基づいて記録紙に波形が印字される。このように、現在の物理量データの収集と過去の物理量データに基づく波形の印字とを並行して行うことができるので、物理量の変化を示す波形の印字タイミングの自由度が向上される。
(2)制御部は、データ収集部が過去の物理量データの収集に要した時間よりも短い時間で印字装置が過去の物理量データに基づく波形の印字を行うようにデータ収集部および印字装置を制御してもよい。
この場合、過去の物理量データに基づく波形の印字を短時間で行うことができる。
(3)制御部は、第1の時点から第2の時点までデータ収集部が物理量データを収集し、第2の時点から第3の時点までデータ収集部が物理量データを収集しつつ印字装置が第1の時点から第2の時点までに収集された過去の物理量データに基づいて波形を印字し、第3の時点から第4の時点までデータ収集部が物理量データを収集しつつ印字装置が第2の時点から第4の時点までに収集された過去の物理量データに基づいて波形を印字するようにデータ収集部および印字装置を制御してもよい。
この場合、第1の時点から第4の時点までの物理量の変化を示す波形が第2の時点から第4の時点までに印字される。これにより、印字の開始時点よりも前の時点から現時点に到るまでの物理量の変化を示す波形を印字することができる。
(4)制御部は、第4の時点から第5の時点までデータ収集部が物理量データを収集しつつ印字装置が第4の時点から第5の時点までに収集された物理量データに基づいてリアルタイムで波形を印字するようにデータ収集部および印字装置を制御してもよい。
この場合、第4の時点までの物理量の変化を示す波形の印字が過去の物理量データに基づいて行われ、第4の時点からの物理量の変化を示す波形の印字がリアルタイムで行われる。これにより、過去の物理量データに基づく印字からリアルタイムでの印字に円滑に移行することができる。
(5)制御部は、第2の時点を示す情報および第4の時点を示す情報が記録紙に印字されるように印字装置を制御してもよい。
この場合、過去の物理量データに基づいて印字された波形の部分を記録紙上で容易に視認することができる。
(6)記録計は、印字装置による印字の開始条件を設定するとともに印字装置による印字の開始前において物理量の変化が波形として印字されるべき期間の長さを設定するために使用者により操作される条件設定部をさらに備え、第2の時点は、条件設定部により設定された開始条件が満たされる時点であり、第1の時点は、第2の時点よりも条件設定部により設定された期間の長さ分だけ前の時点であってもよい。
この場合、設定された開始条件が満たされた時点から印字が開始され、その開始時点よりも設定された期間の長さ分だけ前の時点からの物理量の変化を示す波形が印字される。これにより、開始条件が満たされる時点の前後における物理量の変化を記録紙上で視認することができる。
(7)制御部は、現時点から第4の時点に到達するまでの残り時間を算出し、算出された残り時間が表示されるように表示部を制御してもよい。
この場合、過去の物理量データに基づく印字が完了するまでの残り時間を容易に認識することができる。
(8)制御部は、第1の時点から第2の時点まで物理量データが収集されるようにデータ収集部を制御し、記録計は、第1の時点から第2の時点までの期間内における物理量の変化が波形として印字されるべき期間の開始時点および終了時点を指定するための印字期間設定部をさらに備え、制御部は、第2の時点以後の第3の時点から第4の時点まで、データ収集部が物理量データを収集しつつ印字装置が印字期間設定部により指定された開始時点から終了時点までに収集された過去の物理量データに基づいて波形を印字するようにデータ収集部および印字装置を制御してもよい。
この場合、現在の物理量データを収集しつつ指定された期間における物理量の変化を示す波形を印字することができる。