(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記センターホール部に異物の存在を検出した場合には、前記ディスクのローディングを停止し、前記ディスクの排出動作を行う請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の光ディスク装置。
【背景技術】
【0002】
Blu-Ray/DVD/CD等の光ディスクの再生装置では、フォトセンサーを用いてディスクの挿入を検出する仕組みを持つものが上市されている。それらは、フォトセンサーでディスクを検出すると、挿入機構によってディスクを再生装置内部に移動させ、ディスクのセンターホール部を圧着してディスク回転機構に保持する。
【0003】
しかし、センターホール部に異物が詰まっている場合には、ディスク回転機構に正常に保持することができず再生不可能になる。さらに、再生装置内にディスクを保持する際、異物がディスク回転用のテーブルやその周辺に残り、正常状態のディスクでも再生できない状態に陥らせる問題がある。
【0004】
また、車載用の光ディスク再生装置では、一定の電圧でローラを回転させてディスクを回転機構に保持できる位置まで移動させるものがあるが、ユーザのディスクを挿入口に押し入れる仕方やディスクを放すタイミング、使用中の環境温度、ローラへの塵埃の付着等によって一定の速度を保つことができない。
【0005】
そのため、センターホール部をフォトセンサー通過時点で安易に特定することが難しい。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。尚、各図において同一箇所については同一の符号を付すとともに、重複した説明は省略する。
【0011】
本実施形態に係る光ディスク装置では、センターホール部における異物の存在をフォトセンサーで検出する。
【0012】
例えば、パッケジーングされたディスクを包装容器内で保持するために、いわゆるコットンパッドが利用されている。包装容器に取り付けられたコットンパッドがディスクのセンターホール部に嵌入した状態で、ディスクが保持されている。このコットンパッドは、例えば、柔らかな綿を積層させ、円筒形に形成されている。ユーザは、包装容器からディスクを取り出す場合には、コットンパッドを押さえながら、ディスクを引き抜くようにして行う。ところが、コットンパッド自体は、包装容器と一体成型されたものでないから、ディスクのセンターホール部にコットンパッドが嵌入したまま、包装容器から取り出されることがある。このような状態のままでディスクをローディングを行おうとすると、ディスクのセンターホール部に異物が存在するため正常にローディングできないばかりか、光ディスク装置内部に異物が混入してしまうことになる。
【0013】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の実施形態に係る光ディスク装置の全体配置を示す概略図である。光ディスク装置には、ディスクを挿入、排出する手法としてトレイ式やスロットローディング式があるが、本発明の実施形態に係る光ディスク装置100は、スロットローディング式のもので、ディスクはCDディスク、DVDディスク等の光ディスク(以降、単にディスクということがある)である。
【0014】
図1に示すように、ディスク2は、ノーズピース3のディスク挿入口3Aから光ディスク装置100に挿入される。搬送ローラ4及びガイド部材5から成るディスク搬送機構によりターンテーブル6の上方まで搬送される。次いで、チャッキング機構(図示せず)によりターンテーブル6上にチャッキングされた後、スピンドルモータ7によってターンテーブル6が回転され、情報の再生あるいは記録が行われる。
【0015】
ディスク挿入口3Aから挿入されたディスク2を検知するため、挿入口3Aの近傍であってディスク搬送機構の前方に、発光素子8A及び受光素子8Bから成るフォトセンサー8が配設されている。フォトセンサー8からの出力信号は、メモリ9に記録される。
【0016】
制御部10は、メモリ9に記録したフォトセンサー8の出力信号に基づいてディスク2の透明なクランプエリアを推定する。推定したクランプエリアの領域からさらに、ディスク2のセンターホール部の位置を推定し、センターホール部の信号の不透明な割合が所定値以上であれば、センターホール部に異物の存在を検出する。制御部10による検出制御の詳細は後述する。
【0017】
図2は、ディスク2のクランプエリアの推定を説明するための図で、光ディスク装置内部及びディスク2を表す模式図である。ポリカーボネート等の樹脂製のディスク2には、薄いアルミニウム反射膜の記録層から成るデータ領域(図示せず)の内側に、ディスク2の使い方に関する情報を記録したリードイン領域(図示せず)が設けられている。このリードイン領域の内側には、ディスク2を保持するための透明なクランプエリア2Aが形成されている。さらに、クランプエリア2Aの中央部には、センターホール部2Bが穿孔され、例えばターンテーブル6の軸が挿脱可能になっている。
【0018】
図1に示すように、ディスク挿入口3Aの近傍には、ディスク2のセンターホール部2Bを検出するためのフォトセンサー8が配設されている。このフォトセンサー8は、例えば、受光素子側の感知部(図示せず)への遮光時にはHighレベルの信号を出力し、通光時にはLowレベルの信号を出力する。
【0019】
ディスク2がディスク挿入口3Aから挿入され、ディスク2の先端がフォトセンサー8の位置まで到達すると、不透明なデータ領域によってフォトセンサー8は遮光状態となる。ディスク2がさらに装置内部へ進入し、フォトセンサー8の位置に透明なクランプエリア2Aが到達すると、フォトセンサー8は通光状態となる。センターホール部2Bがフォトセンサー8の位置を通過し、クランプエリア2Aの終了までは通光状態のままである。クランプエリア2Aを過ぎて、再びフォトセンサー8の位置に不透明なデータ領域が到達すると、フォトセンサー8は遮光状態となる。
【0020】
図2から明らかなように、フォトセンサー8の通光状態が続いている間が、ディスク2のクランプエリア2Aの領域であると推定することができる。
【0021】
図3は、ディスク2のセンターホール部2Bに異物が存在する場合の検出を説明する図である。
図3(a)は、ディスク2の挿入の際、センターホール部2Bに異物が存在しない場合のフォトセンサー8の出力レベルの変化を表し、
図3(b)はセンターホール部2Bに異物が存在する場合のフォトセンサー8の出力レベルの変化を表している。
図3(b)に示すように、
図2で推定したクランプエリア2Aの領域(実施形態では、径方向の長さを指す)中において、センターホール部2Bの領域を推定する。ディスク2の仕様によれば、センターホール部2Bの直径は、クランプエリア2Aの領域の1/3以下である。
【0022】
そこで、推定したクランプエリア2Aの領域を3等分し、その中央領域において、異物の存在の有無を判定することができる。すなわち、中央領域において、フォトセンサー8の遮光状態が一定の割合で続いている場合には、センターホール部2Bに異物が存在すると判定することができる。例えば、中央領域の長さに対して、フォトセンサー8の遮光状態が75%を占めている場合、異物が有りとする。
【0023】
このように、中央領域におけるフォトセンサー8の遮光状態が一定以上占める場合を異物有りと判定することにより、透明なクランプエリア2Aに文字等が印刷されたディスク2や、ラベル等が貼付されたディスク2であっても、クランプエリア2Aの全ての領域が透明でないディスク2であっても、センターホール部2Bへの異物の存在を検出することができる。
【0024】
<異物検出処理>
次に、以上のように構成された光ディスク装置において異物検出処理の流れについて説明する。
図4は、実施形態に係る光ディスク装置における異物検出処理の流れを示すフローチャートである。
【0025】
まず、センターホール検出用のフォトセンサー8の信号を取得する(ステップS401)。
【0026】
ここでは、フォトセンサー8の信号の安定化を考慮して、所定時間T1msec以上の継続的な信号検出を確認した場合に、信号を確定するのが好適である。例えば、所定時間T1は8msecとする。
【0027】
次に、フォトセンサー8の信号がHighレベルからLowレベルに変化したか否かを判定する(ステップS402)。
【0028】
ディスク2のクランプエリア2Aがフォトセンサー8に到達することにより、HighレベルからLowレベルへの変化を確認したならば(ステップS402でYes)、タイマーをスタートさせる(ステップS403)。タイマーは、ディスク2のクランプエリア2Aの領域の長さを通過時間としてカウントするものである。ある光ディスク装置において、ディスク2のローディングを開始してから完了するまでに要する時間から、クランプエリア2Aの領域の長さを概略比例で算出し、例えば300msecを計時する。HighレベルからLowレベルへの変化を確認しなければ(ステップS402でNo)、ステップS401に戻る。
【0029】
次に、フォトセンサー8の信号のサンプリング処理を行う(ステップS404)。このサンプリング処理の詳細は後述する。
【0030】
次に、タイマーが所定時間、例えば300msecの計時をしたか否かを判定する(ステップS405)。
【0031】
所定時間の計時をしたならば(ステップS405でYes)、フォトセンサー8上をクランプエリア2Aが通過したことになるので、異物判定処理を実行する(ステップS406)。この異物判定処理の詳細については、後述する。所定時間の計時が完了しなければ(ステップS405でNo)、ステップS404に戻る。
【0032】
次に、異物有りとのフラグを判定する(ステップS407)。フラグがたっていなければ(ステップS407でNo)、異物検出処理を終了する。
【0033】
一方、フラグがたっていれば(ステップS407でYes)、ディスク2のローディング動作を停止し(ステップS408)、ディスク2の排出動作処理を行う(ステップS409)。その後、異物有りとのフラグをクリア(ステップS410)して異物検出処理を終了する。
【0034】
図5は、サンプリング処理の流れを示すフローチャートである。
図5に示すように、サンプリング゛周期T1毎にフォトセンサー8の信号レベルをメモリ9に順番に記録する(ステップS51)。
図6は、メモリ9に記録される信号レベルの一例を示す図で、Highレベル=1、Lowレベル=0としている。
図6に示す例では、8msec周期で300msec間のサンプリングでは、37ビットのデータが順番に記録されている。
【0035】
図7は、異物判定処理の流れを示すフローチャートで、
図8は、信号レベルを示すサンプリングデータの処理を説明する図である。
【0036】
まず、メモリ9に記録されているサンプリングデータを検索して、最初のLow=0記録部から最終のLow=0記録部までを選択する(ステップS71)。選択されたデータは、クランプエリア領域の長さに該当するデータであるものと認識する(
図8(a)参照)。
【0037】
次に、選択されたデータをN等分し中央部分のデータの集合をセンターホール部2Bと推定する(ステップS72)。上述したように、例えばN=3とすると、センターホール部2Bに該当する8ビットのデータが抽出される(
図8(b)参照)。
【0038】
次いで、遮光状態(Highレベル=1)が、P%以上存在するかを判定する(ステップS73)。P%以上存在すれば(ステップS73でYes)、異物有りのフラグをセット(ステップS74)して、異物判定処理を終了する。P%以上存在しなければ(ステップS73でNo)、そのまま異物判定処理を終了する。ここで、P%以上とするのは、あまりに小さな数字で“異物有り”の判定をするのは適切でないからである。
【0039】
図8(c)に示す例では、8ビット中6ビットと75%がHighレベルであり、センターホール部2Bに異物が有ると判定される。
【0040】
上述した説明では、タイマーによる計時で説明したが、フォトセンサー8上をクランプエリア2Aが完全に通過したことのわかる別のフォトセンサー信号等を利用してもかまわない。
【0041】
本実施形態によれば、ディスクのセンターホール部の異物の有無を検出し、装置内への異物混入を防止することができる。
【0042】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態に係る光ディスク装置も、スロットローディング式のもので、基本的な構成は第1の実施形態と同じである。第2の実施形態では、ディスク2の外径からクランプエリア2A及びセンターホール部2Bを推定するものである。
【0043】
図9は、第2の実施形態に係るディスク2のセンターホール部2Bに異物が存在する場合の検出を説明する図である。
図9(a)に示すように、フォトセンサー8の変化パターンから、最初と最後に変化したタイミングに着目する。両者間の期間は、ディスク2の外径の幅を表していることになる。そして、ディスク2の外径の中心領域にディスクの中心位置が存在していると仮定することができる。センターホール2B部はディスクの中心位置の周囲にあるから、フォトセンサー8の出力信号からセンターホール部2Bを含む領域を選択する。
【0044】
この選択した領域におけるフォトセンサー8の通光/遮光の割合を算出する(
図9(b)参照)。
【0045】
遮光の割合が一定以上(例えば、75%以上)であれば、センターホール部2Bに異物有りと判定(
図9(c)参照)し、ディスク2を排出する動作に切換える。一般的に、異物の大きさは、センターホール部2Bの大きさよりも小さいから、
図9(c)に示すように通光状態は遮光状態よりも小さくなっている。
【0046】
尚、遮光の割合が一定以下(例えば、25%以下)であれば、ディスク2を回転機構に装着する。
【0047】
以上のようにして、ディスク2の外径からセンターホール部2Bを推定し、異物の有無を確実に検出することができる。
【0048】
このように、ディスクの外径からセンターホール部を推定し、フォトセンサーの遮光状態が一定以上占める場合を異物有りと判定することにより、透明なクランプエリアに文字等が印刷されたディスクや、ラベル等が貼付されたディスクであっても、クランプエリアの全ての領域が透明でないディスクであっても、センターホール部への異物の存在を検出することができる。
【0049】
図10は、センターホール部2Bの形状が円形でないディスク2における異物検出を説明する図である。
図10に示すように、通光状態は遮光状態よりも小さくなっており、センターホール部2の形状が円形でなく異形のものであっても、異物の検出を行うことができる。
【0050】
本実施形態によれば、光ディスクの外径からセンターホール部の位置を推定して、センターホール部における異物の存在を検出し、装置内への異物混入を防止することができる。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。