特許第6084501号(P6084501)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社NTTファシリティーズの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6084501
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/04 20060101AFI20170213BHJP
   F24F 11/053 20060101ALI20170213BHJP
【FI】
   F24F11/04 G
   F24F11/053 G
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-67788(P2013-67788)
(22)【出願日】2013年3月28日
(65)【公開番号】特開2014-190640(P2014-190640A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2015年12月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100107490
【弁理士】
【氏名又は名称】杉原 鉄郎
(72)【発明者】
【氏名】関口 圭輔
(72)【発明者】
【氏名】福光 超
(72)【発明者】
【氏名】宇田川 陽介
【審査官】 岡澤 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−132537(JP,A)
【文献】 特開平03−148556(JP,A)
【文献】 特開昭60−205146(JP,A)
【文献】 特開2002−195627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/04
F24F 11/053
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内還気又は/及び外気を冷却して、室内に供給する空調システムであって、
外気導入量を可変とする手段を備えた外気導入部と、
室内空気を再循環させるための室内空気還気部と、
室内還気、又は、導入外気と室内還気との混合気を冷却する空気冷却手段と、
冷却した室内還気、又は、導入外気と室内還気との混合気を、室内に供給する送風機と、
所定の環境条件に対応して、外気導入量を制御する外気導入量制御手段と、
外気導入量に対応して、送風機回転数を一定範囲に制御する送風機回転数制御手段と、
を備えて成り、
前記外気導入部にダンパーを備え、前記外気導入量制御手段がダンパー開度調整により制御する手段であり、
前記送風機回転数制御手段が、予め設定した前記ダンパー開度に対応する信号と、前記送風機回転数との関係テーブルに基づき制御する手段である
ことを特徴とする外気導入冷房機能を備えた空調システム。
【請求項2】
前記環境条件が、外気温度であることを特徴とする請求項1に記載の外気導入冷房機能を備えた空調システム。
【請求項3】
前記環境条件が、外気温度と室内温度又は吹き出し温度との差であることを特徴とする請求項1に記載の外気導入冷房機能を備えた空調システム。
【請求項4】
前記環境条件が、外気と室内空気のエンタルピー差であることを特徴とする請求項1に記載の外気導入冷房機能を備えた空調システム。
【請求項5】
前記ダンパー開度に対応する信号を受信する前後の、室内空気還気部における吸込み温度と吹き出し温度との差に基づいて、前記関係テーブルを適宜修正する手段を、さらに備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の外気導入冷房機能を備えた空調システム。
【請求項6】
導入外気、又は、導入外気と室内還気との混合気に含まれる塵埃を除去するフィルターを、さらに備え、かつ、
前記送風機回転数制御手段が、該フィルター前後の差圧に基づき制御する手段であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の外気導入冷房機能を備えた空調システム。
【請求項7】
前記送風機回転数制御手段が、外気温度に基づき制御する手段であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の外気導入冷房機能を備えた空調システム。
【請求項8】
前記送風機回転数制御手段が、外気温度と室内温度又は吹き出し温度との差に基づき制御する手段であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の外気導入冷房機能を備えた空調システム。
【請求項9】
前記外気導入部と、前記室内空気還気部と、前記外気導入量制御手段と、を備えた外気導入ユニットと、
前記空気冷却手段と、前記送風機と、前記外気導入量制御手段により決定される外気導入量に対応して送風機回転数を制御する送風機回転数制御手段と、を備えた独立の空調機本体と、を備えて構成して成る、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の外気導入冷房機能を備えた空調システム。
【請求項10】
請求項において、一の前記外気導入ユニットが、複数の前記空調機本体に外気供給可能に構成したことを特徴とする外気導入冷房機能を備えた空調システム。
【請求項11】
前記空気冷却手段と、
前記送風機と、
前記外気導入量制御手段により決定された外気導入量に対応して、送風機回転数を制御する送風機回転数制御手段と、を備え、
請求項1乃至10のいずれか記載の外気導入冷房機能に基づく運転を可能に構成したことを特徴とする空調機本体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空調システムに係り、特に外気導入冷房機能を備えた空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、業務用空調システムの分野では、省エネ性向上の見地から低温外気を積極的に室内に導入する外気冷房システムが提案されている(例えば、特許文献1)。図6は、このような外気冷房システム100を示し、冷房用熱交換器102と内蔵ファン103等を備えた空調機101と、外気を吸気する吸気ダクト106と、冷房空気又は外気を室内側に吹き出す給気ダクト111と、を備えている。かかる構成により、冷房時は空調機101を運転して、給気ダクト111を介して冷気を室内105に吹き出し、天井面に設けられた還気口113から室内空気を還気する。さらに、還気ダクト107からの還流空気と、吸気ダクト106を介して取り込む外気とを混合して、空調機101で再度冷気にして室内105に吹き出す。その際、余剰空気を排気ファン109により外部に排出する。
また、外気冷房時は、空調機101を停止した状態で吸気ダクト106から取り入れた外気を、給気ダクト111を介して室内105に供給する。この場合、ダンパ112により還気ダクト107を閉じるとともに、開口部114を開口状態にして換気を行う。
【0003】
さらに、外気の温度、湿度に応じて外気導入量を適切に制御して、室内還気と混合して冷房運転と併用するシステムについても提案されている(例えば、特許文献2、3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−121130号公報
【特許文献2】特開2010−261696号公報
【特許文献3】特開2012−107801号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような外気冷房システムにおいて、外気導入のための送風機をパッケージ空調機の室内送風機で兼用するれば、イニシャルコストの低減が可能となる。
しかしながら、データセンタ空調においては以下のような問題がある。
ICT装置へ供給される冷気供給量が不足するとICT装置に高温異常等の障害が発生するおそれがあるため、常に冷気供給量を一定以上に維持する必要がある。
また、外気導入に際してはサーバ室の空気清浄度を高くするため、ダクト内に高性能フィルターを取り付けることが一般的であり、高性能フィルターを通過させた外気を空調機に取り込むため、空調機の機外抵抗が高くなる。このため、空調機側の室内送風機を一定回転数で運転したのでは、室内に供給される風量が低下し、上述の障害発生のおそれがある。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためのものであって、外気導入冷房機能を備えた空調システムにおいて、圧損の大きな高性能フィルターを用いていても、外気導入冷房時に十分な冷気風量を確保できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下の内容をその要旨とする。すなわち、本発明に係る外気導入冷房機能を備えた空調システムは、
(1)室内還気又は/及び外気を冷却して、室内に供給する空調システムであって、
外気導入量を可変とする手段を備えた外気導入部と、
室内空気を再循環させるための室内空気還気部と、
室内還気、又は、導入外気と室内還気との混合気を冷却する空気冷却手段と、
冷却した室内還気、又は、導入外気と室内還気との混合気を、室内に供給する送風機と、
所定の環境条件に対応して、外気導入量を制御する外気導入量制御手段と、
外気導入量に対応して、送風機回転数を一定範囲に制御する送風機回転数制御手段と、を備えて成ることを特徴とする。
【0008】
(2)上記(1)の発明において、前記環境条件が、外気温度であることを特徴とする。
【0009】
(3)上記(1)の発明において、前記環境条件が、外気温度と室内温度又は吹き出し温度との差であることを特徴とする。
【0010】
(4)上記(1)の発明において、前記環境条件が、外気と室内空気のエンタルピー差であることを特徴とする。
【0011】
(5)上記各発明において、前記送風機回転数制御手段が、予め設定した前記ダンパー開度に対応する信号と、前記送風機回転数との関係テーブルに基づき制御する手段であることを特徴とする。
【0012】
(6)上記発明において、前記ダンパー開度に対応する信号を受信する前後の、室内空気還気部における吸込み温度と吹き出し温度との差に基づいて、前記関係テーブルを適宜修正する手段を、さらに備えたことを特徴とする。
【0013】
(7)上記各発明において、導入外気、又は、導入外気と室内還気との混合気に含まれる塵埃を除去するフィルターを、さらに備え、かつ、
前記送風機回転数制御手段が、該フィルター前後の差圧に基づき制御する手段であることを特徴とする。
【0014】
(8)上記各発明において、前記送風機回転数制御手段が、外気温度に基づき制御する手段であることを特徴とする。
【0015】
(9)上記各発明において、前記送風機回転数制御手段が、外気温度と室内温度又は吹き出し温度との差に基づき制御する手段であることを特徴とする。
【0016】
(10)前記外気導入部と、前記室内空気還気部と、前記外気導入量制御手段と、を備えた外気導入ユニットと、
前記空気冷却手段と、前記送風機と、前記外気導入量制御手段により決定される外気導入量に対応して送風機回転数を制御する送風機回転数制御手段と、を備えた独立の空調機本体と、を備えて構成して成る、ことを特徴とする。
(11)上記発明において、一の前記外気導入ユニットが、複数の前記空調機本体に外気供給可能に構成したことを特徴とする。
【0017】
(12)また、本発明に係る空調機本体は、
前記空気冷却手段と、前記送風機と、前記外気導入量制御手段により決定された外気導入量に対応して、送風機回転数を制御する送風機回転数制御手段と、を備え、
上記各空調システムによる外気導入冷房運転を可能に構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
上記各発明によれば、外気導入のための送風機と空調機の室内送風機とを兼用しているため、装置の小型化、設置コストの低減化が可能となるという効果がある。
また、ダンパー開度に対応して送風機回転数を増減するため、ICT装置に供給される冷気風量を常に一定に維持できるため、ICT装置の高温異常等の障害発生を回避できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1(a)】第一の実施形態に係る外気導入冷房機能付空調システム1の構成を示す図である。
図1(b)】空調システム1を収容する機械室6の構成を示す図である。
図1(c)】ΔT−Φ関係テーブル(関係テーブル1)を概念的に示す図である。
図1(d)】Φ−R関係テーブル(関係テーブル2)を概念的に示す図である。
図1(e)】第一の実施形態における運転制御フローを示す図である。
図1(f)】外気導入冷房運転時における各部の作動状態及び導入外気、冷気、還気の流れを示す図である。
図1(g)】通常冷房運転時(外気導入なし)における各部の作動状態等を示す図である。
図2(a)】第二の実施形態における運転制御フローを示す図である。
図2(b)】第二の実施形態におけるΦ−R関係テーブル(関係テーブル2’)を示す図である。
図3(a)】第三の実施形態に係る外気導入冷房機能付空調システム30の構成を示す図である。
図3(b)】第三の実施形態におけるΔP−R関係テーブル(関係テーブル2”)を示す図である。
図3(c)】第三の実施形態における運転制御フローを示す図である。
図4(a)】第四の実施形態に係る外気導入冷房機能付空調システム40の構成(外気導入時)を示す図である。
図4(b)】第四の実施形態における外気導入冷房運転時における各部の作動状態等を示す図である。
図5(a)】第五の実施形態に係る外気導入冷房機能付空調システム50の構成を示す図(正面図)である。
図5(b)】図5(a)におけるA−A’矢視図(断面図)である。
図6】従来の外気冷房システム100の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る外気導入冷房機能付空調システムの各実施形態について、図1乃至4を参照してさらに詳細に説明する。重複説明を避けるため、各図において同一構成には同一符号を用いて示している。なお、本発明の範囲は特許請求の範囲記載のものであって、以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0021】
<第一の実施形態>
本実施形態は、予め設定したダンパー開度に対応するアナログ信号と、送風機回転数との関係テーブルに基づき送風機回転数を制御する形態に関する。
図1(a)、1(b)を参照して、本実施形態に係る空調システム1は機械室6内に設置され、空調機本体1aと、本体1aの上側に直結する外気導入部2と、室内空気還気部3と、導入外気と還気とを混合する混合部4と、を主要構成として備えている。
【0022】
外気導入部2は、機械室壁面に設けた外気導入口2bと、導入外気量を制御するダンパー2a(請求項の外気導入量を可変とする手段に該当)と、ダンパー2aの下流側に外気塵埃を除去する高性能フィルター2cと、を主要構成として備えている。
【0023】
室内空気還気部3は、2つの還気口3a、3bにより構成されている。このうち、還気口3aは常時開状態であり、また、還気口3bには電動シャッター3cが取り付けられており、後述するように外気導入の有無により開閉選択可能に構成されている。
【0024】
空調機本体1a内には、還気、又は、還気と導入外気の混合気を冷却する蒸発器1b(請求項の空気冷却手段に該当)と、冷気を室内に供給する送風機1cと、を主要構成として備えている。
【0025】
図1(b)を参照して、空調システム1は機械室6内に設置されている。機械室6内部は床パネル6cにより室内空間6a、二重床空間6bの2つの空間に区画されている。室内空間6a内には同一モジュールの複数のサーバラック9が横一列に並べられ、ラック列を形成している。各サーバラック内には、複数のICT装置9aが多段に格納されている。各装置が備える冷却ファン(図示せず)により前面から吸気される冷気は、ICT装置9aを冷却し、排気としてで背面から排気される。排気は室内上部を還流して還気部3に戻される。
【0026】
空調システム1の制御系統は、外気温度、室内温度をそれぞれ計測する温度センサS1,S2と、ダンパー2aと、還気口3bに取り付けられている電動シャッター3c、送風機1cと、これらに対して運転制御指令を行う制御部7と、により構成されている。
【0027】
制御部7には、外気温度Toと室内温度Tiの差(ΔT)に対応してダンパー開度Φを指令するためのΔT−Φ関係テーブル(関係テーブル1)(図1(c)参照)と、ダンパー開度Φに対応して送風機回転数Rを指令するためのΦ−R関係テーブル(関係テーブル2)(図1(d)参照)と、を備えている。
なお、関係テーブル1、2については、高性能フィルター2cの圧損に関らず、必要冷気供給量が確保できる送風機回転数Rとなるように設定されている。
【0028】
空調システム1は以上のように構成されており、次に図1(e)を参照して空調システム1の運転制御方法について説明する。
制御開始に伴い外気温度Toが外気導入冷房運転の閾値温度(Tm)以下か否かを判定する(S101)。To≦Tmの場合には(S101においてY)、外気導入冷房運転制御となり、電動シャッター3c操作により還気口3bを閉とする(S102)。次いで、外気温度Toと室内温度Tiの差(ΔT)を演算し(S103)、ΔT−Φ関係テーブル(関係テーブル1)に基づいてダンパー開度を指示する(S104)。
【0029】
次いで、制御部7はダンパー2a側からの開度Φに対応するアナログ信号を受けて(S105)、Φ−R関係テーブル(関係テーブル2)に基づいて送風機回転数Rを指示する(S106)。
以上の制御により、ダンパー開度に対応した外気が導入され、還気口3aを介して還流と混合されて蒸発器を通過する。この間、吸込み温度(Ts)に基づき圧縮機(図示せず)の周波数制御が行われ、室内冷房制御が行われる(S107)。
この間の各部の作動状態、導入外気、冷気、還気の流れは図1(f)に示す通りである。
【0030】
一方、S101においてN、すなわちTo>Tmの場合には外気導入による冷房効果なしと判定し、外気導入を行わない。具体的にはダンパー2aは閉状態、また、電動シャッター3c操作により還気口3bは開状態とする(S108)。これにより室内空気は還気口3bから還流される。吸込み温度(Ts)に基づき圧縮機(図示せず)の周波数制御が行われ、室内冷房制御が行われる点については(S107)、外気導入冷房運転制御と同様である。
この間の各部の作動状態、導入外気、冷気、還気の流れは図1(g)に示す通りとなり、高性能フィルターを通過することなく蒸発器に導入されるため、還気口3aから還流する場合と比較してフィルター通過抵抗がない分、送風機電力消費の減少となる。
【0031】
なお、本実施形態では制御部7はダンパー2a側の開度Φに対応するアナログ信号を受け、関係テーブル2を適用する例を示したが、関係テーブル1に基づいて直接、関係テーブル2を適用して送風機回転数Rを指示する態様とすることもできる。
【0032】
また、本実施形態では外気温度Toと室内温度Tiの差(ΔT)に基づく関係テーブル1を用いてダンパー開度を指示する例を示したが、外気温度Toと吹き出し温度Tbの差(ΔT’)に基づく関係テーブルを予め設定し、これに基づいてダンパー開度を指示する態様とすることもできる。
【0033】
また、本実施形態では蒸発器、送風機等を備えた独立の空調機本体(パッケージ空調機の室内機)を用いたシステム例を示したが、空調機本体、外気導入部、室内空気還気部、混合部を一体に構成したシステムとすることもできる。以下の各システムについても同様である。
【0034】
<第二の実施形態>
次に図2(a)、(b)を参照して、、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態は、Φ−R関係テーブル(関係テーブル2)を随時修正可能な形態に関する。
本実施形態の構成が上述の実施形態と異なる点は、Φ−R関係テーブルの構成である。すなわち、上述の実施形態ではΦ−Rテーブルが適用されるのに対して、単一の図2(a)を参照して、本実施形態のΦ−R関係テーブル(関係テーブル2’)は、複数のΦ−R関係テーブル(例えばR(−3),・・・,R(0),・・・,R(3))から環境条件に対応して適宜選択適用するように構成されている。その他の構成は上述の実施形態と同様であるので、重複説明を省略する。
【0035】
次に図2(b)を参照して、本実施形態の制御方法について説明する。制御開始に伴い、関係テーブル2’について標準関係テーブルが設定される(S201)。ここでは便宜上、R(0)が適用されるものとする。次いで、上述の実施形態の図1(e)のS101〜S106と同じフローが実行される(S202)。時間経過に伴い関係テーブルR(x)が適用されている状態を想定する。
制御中は空調機の吸込み温度Tsと吹出し温度Tbとの差(ε=Ts−Tb)が演算され(S203)、α2≧ε≧α1にあるか否かを判定する(S204)。εが一定範囲内の場合には(S204においてY)、現状関係テーブルR(x)が維持される(S206)。
ε>α2の場合には、冷気供給量に対して冷房負荷大と判定して送風機風量を増加させるため、1段階上げた関係テーブルR(x+1)が適用される(S205)。
ε<α1の場合には、現在冷気供給量に対して冷房負荷小と判定して送風機風量を減少させるため、1段階下げた関係テーブルR(x−1)が適用される(S207)。
【0036】
以上の制御により、例えばフィルター詰まり等により機外抵抗が徐々に増加するようなケースが発生しても、関係テーブルが経時的に修正されるため、常に適正な冷気供給量の維持が可能となる。
【0037】
<第三の実施形態>
さらに、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態は、高性能フィルター前後の差圧に基づいて送風機回転数を制御する形態に関する。
図3(a)を参照して、本実施形態に係る空調システム30の構成が上述の空調システム1と異なる点は、フィルター2cの前後に圧力センサS31、S32を備えていることである。また、制御部31は、圧力センサS31、S32の検出値に基づいて、送風機回転数Rを制御するためのΔP−R関係テーブル2”(図3(b)参照)を備えていることである。その他の構成は空調システム1と同様であるので、重複説明を省略する。
【0038】
次に図3(c)を参照して空調システム30の運転制御フローについて説明する。
制御開始に伴い外気温度Toが外気導入冷房運転の閾値温度(Tm)以下か否かを判定する(S301)。To≦Tmの場合には(S301においてY)、外気導入冷房運転制御となり、電動シャッター操作により還気口3bを閉とする(S302)。次いで、外気温度Toと室内温度Tiの差(ΔT)を演算し(S303)、ΔT−Φ関係テーブル(関係テーブル1)に基づいてダンパー開度を指示する(S304)。
【0039】
次いで、圧力センサS31、S32によるフィルター2c前後の圧力検出値に基づいて差圧ΔP(=P1−P2)を演算する(S305)。
さらに、ΔP−R関係テーブル(関係テーブル2”)に基づいて、送風機回転数Rを指示する(S306)。
以上の制御により、ダンパー開度及びフィルター前後差圧に対応した外気が導入され、還気口3aを介して還流と混合されて蒸発器を通過する。この間、吸込み温度(Ts)に基づき圧縮機(図示せず)の周波数制御が行われ、室内冷房制御が行われる(S307)。
【0040】
一方、S301においてN、すなわちTo>Tmの場合には外気導入による冷房効果なしと判定し、外気導入を行わない。具体的制御フロー(S308〜S310)は第一の実施形態のS108〜S110と同様であるので、重複説明を省略する。
【0041】
なお、本実施形態ではフィルター2c前後の差圧(ΔP)により、ΔP−R関係テーブル(関係テーブル2”)に基づいて送風機回転数Rを指示する例を示したが、外気温度Toと室内温度Tiとの温度差、又は、外気温度To吹き出し温度Tbとの温度差に基づいて関係テーブルを設定し、これを用いて送風機回転数Rを指示する態様とすることもできる。
【0042】
<第四の実施形態>
さらに、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態はダンパーの上流側に高性能フィルターを配置した形態に係る。
図4(a)を参照して、本実施形態に係る空調システム40の構成が上述の空調システム1と異なる点は、外気導入部44がダンパー41の上流側に高性能フィルター42を配置していることである。また、空調システム1では2つの還気口3a、3bにより室内空気還気部3が構成されているのに対して、空調システム40では室内空気還気部43は単独の開度調整可能な電動シャッター43aにより構成されている。また、空調システム1の還気部3は高性能フィルター2cの上流側に配置されているのに対して、空調システム40の還気部43は高性能フィルター42の下流側に配置されている。
その他の構成は空調システム1と同様であるので、重複説明を省略する。
【0043】
次に、空調システム40における外気導入冷房運転と通常冷房運転切り替えの形態について説明する。
図4(a)を参照して、外気高温時(通常冷房運転)においては、ダンパー41全閉、還気部43全開となる。これにより室内還気のみが蒸発器1b、送風機1cを通過して、冷気再循環供給が行われる。
【0044】
一方、図4(b)を参照して、外気低温時(外気導入冷房運転)においては、ダンパー41は第一の実施形態と同様、ΔT−Φ関係テーブル(関係テーブル1)(図1(c)参照)に基づいて開度調整が行われる。また、室内空気還気部43は電動シャッター43aにより開度調整が行われる。
このような開度制御により、外気と室内還気が混合部4において混合され、蒸発器1b、送風機1cを通過して冷気再循環供給が行われる。
【0045】
本実施形態では、還気部43は高性能フィルター42の下流側に配置されているため、室内空気の還流時の抵抗が少なく、全体として送風機負荷の軽減(小型化、省電力化)が可能となる。
【0046】
<第五の実施形態>
さらに、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態は一の外気導入部:複数の空調機本体の形態に係る。
図5(a)、5(b)を参照して、本実施形態に係る空調システム50の構成が上述の空調システム40と異なる点は、共通の外気導入部51から複数台(図では3台)の空調機本体1aに対して外気供給するように構成されていることである。
外気導入口52、高性能フィルター53、ダンパー54についても共通化されている。さらに、電動シャッター43aを備えた室内空気還気部43が、外気導入部51側に付設されていることである。その他の構成は空調システム40と同様であるので、重複説明を省略する。
本実施形態における運転制御については、外気導入部51に対しては上述の各実施形態と同様にΔT−Φ関係テーブルに基づいてダンパー開度を指示し、空調機本体1a本体に対しては、空調機本体ごとに規定されたΦ−R関係テーブルに基づいて送風機回転数Rを指示する。
【0047】
本実施形態では、外気導入部を共通としたため、空調機ごとに外気導入部を持つ必要がなく、システム構築コストの低減化が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、熱源、冷媒、空調方式、建築構造等の種類を問わず外気導入冷房機能付空調システムに広く適用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1、30、40、50・・・・外気導入冷房機能付空調システム
1b・・・・蒸発器
1c・・・・送風機
2、44、51・・・・外気導入部
2a、41、54・・・・ダンパー
2b、52・・・・外気導入口
2c、42、53・・・・高性能フィルター
3、43・・・・室内空気還気部
3・・・・還気部
3a、3b、43・・・・還気口
3c、43a・・・・電動シャッター
4・・・・混合部
7、31・・・・制御部
図1(a)】
図1(b)】
図1(c)】
図1(d)】
図1(e)】
図1(f)】
図1(g)】
図2(a)】
図2(b)】
図3(a)】
図3(b)】
図3(c)】
図4(a)】
図4(b)】
図5(a)】
図5(b)】
図6