【実施例】
【0017】
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
【0018】
図1、
図2を参照して、実施例の多光軸光電センサ200は基本的構成要素であるケース2を有し、基本構成が共通のケース2を使って2種類のセンサ200F(
図1)、200S(
図2)が作られている。
【0019】
図1、
図2から分かるように、ケース2は断面略長方形の細長い形状を有している。
図1の第1のセンサ200Fは長方形の長辺に相当する比較的幅広の面が投受光面2aとして用いられている。
図2の第2のセンサ200Sは長方形の短辺に相当する比較的幅狭の面が投受光面2aとして用いられている。なお、
図1、
図2は共にセンサ200F、200Sの投受光面2aを下にして背面2bを上にした状態で図示してある。
【0020】
図1と
図2とを対比して、第1センサ200F(
図1)、第2センサ200Sの投受光面2aを正面視したときに、
図1の第1のセンサ200Fは幅広且つ奥行きが薄い外形形状を有している。したがって
図1に図示の第1のセンサ200Fを「フラット型センサ」と呼ぶ。他方、
図2の第2のセンサ200Sは、これを正面視したときに、幅狭且つ奥行きが厚い外形形状を有している。したがって
図2に図示の第2のセンサ200Sを「スリム型センサ」と呼ぶ。
【0021】
図3、
図4は、実施例の多光軸光電センサ200に含まれる機能の典型例を説明するための図である。
図3、
図4を参照して、多光軸光電センサ200のケース2は、概略的には、押し出し成型品であるケース本体4と、その両端開口を閉じるエンド部材6とで構成されている。多光軸光電センサ200の各光軸の広がり角を規定するための光学部品8はユニット化されている。そして、単一又は複数の光学ユニットを使って、比較的数の少ない光軸数から比較的数の多い光軸数まで光軸数の異なる複数のタイプの多光軸光電センサ200が製造される。多光軸光電センサ200に含まれる複数の光軸は、多光軸光電センサ200の一端部から他端部に亘って多光軸光電センサ200の長手方向に所定の間隔を置いて配置され、この複数の光軸は典型的には一列に配列される。なお、多光軸光電センサ200の各光軸の投光素子又は受光素子つまり光学素子は、この光学部品8の一部を構成していてもよいし、光学部品8とは別に、例えば光学素子を実装した基板(図示していない)を光学部品8に隣接させて配置してもよい。
【0022】
実施例の多光軸光電センサ200は、光学部品8を位置決めする、その基準がエンド部材6である。すなわち、多光軸光電センサ200の各光軸はエンド部材6を基準に位置決めされている。これを実現するために
図3から容易に理解できるように、エンド部材6と光学部品8とが相対回転不能に凹凸嵌合されている。この凹凸嵌合は、エンド部材6と光学部品8とがケース2の長手方向に抜き差し可能つまりケース2の長手方向に変位可能である。
図3の参照符号10は凸部を示し、12は凹部を示す。図示の例では、光学部品8がその端面に凸部10を有し、他方、エンド部材6が凹部12を有している。
【0023】
勿論、光学部品8が凹部12を有し、エンド部材6が凸部10を有していてもよい。また、光学部品8が凸部10と凹部12を有し、この凸部10及び凹部12と嵌合する相補的な凹部12及び凸部10をエンド部材6に設けることで光学部品8の回転規制を行うようにしてもよい。また、エンド部材6と光学部品8との相対回転を阻止するために複数の凹凸嵌合を採用してもよい。仮に単一の凹凸嵌合を採用するのであれば、相補的な断面形状の凸部10及び凹部12の断面形状を非円形にするのがよい。
【0024】
上述した凹凸嵌合に関し、遊びの無い状態で嵌合する意味に限定されない。例えば複数の凹凸嵌合を利用するのであれば、一方の凹凸嵌合の方式を多少の遊びがある遊嵌方式にし、他方の凹凸嵌合を遊びのない嵌合方式を採用してもよい。この遊びの無い嵌合方式の典型例がいわゆる位置決めピンである。エンド部材6に対する光学部品8の回転規制のために位置決めピン方式を採用してもよい。
【0025】
光学部品8の長手方向の位置決めは、必ずしも必須ではないが、光学部品8の端の一部をエンド部材6に突き合わせる等、光学部品8の長手方向の変位を規制する機械的な構成を光学部品8とエンド部材6の設計によって実現するのがよい。
【0026】
光軸の位置決めの基準となるエンド部材6は成型品である。エンド部材6の材料は合成樹脂であってもよいしアルミニウム合金のような金属であってもよい。
【0027】
図3に図示の仮想線14は剛性部材を示す。この剛性部材14は、典型的には、金属製の棒材又は三次元形状に成形されたフレームで構成される。このフレームはプレス成形して、例えば断面略L字状や断面略コ字状などの三次元形状に成形した金属プレートであるのが軽量化及び小型化に好都合である。この剛性部材14は多光軸光電センサ200の一端部から他端部まで延びている。この剛性部材14を採用するのであれば、光学部品8は剛性部材14に位置決めされた状態で剛性部材14に固定される。
【0028】
上記の説明から分かるように、
図3の例では、光学部品8がエンド部材6に対して直接的に位置決めされてその回転が規制される。好ましくは、この光学部品8の支持部材として上述した剛性部材14を採用するのがよい。変形例として、
図4に図示のように剛性部材14の端をエンド部材6に固定し、そして、この剛性部材14に光学部品8を位置決めしてもよい。これによれば、剛性部材14を介して光学部品8をエンド部材6に位置決めしてその回転を規制することができる。また、剛性部材14及び光学部品8の双方をエンド部材6に対して回転不能に位置決めするようにしてもよい。
【0029】
ケース本体4が押し出し成型品であるのは上述した通りであるが、その材料は金属(典型的にはアルミニウム合金)であってもよいし合成樹脂(ポリカーボネート)やFRPであってもよい。実施例のケース本体4は、アクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート、PST(ポリスチレン)、PSE(ポリエーテルサルファン)のような非晶性樹脂が採用されている。特にポリアリレート樹脂は高い光線透過率(約90%)を有する耐薬品性の樹脂であることから、このポリアリレート樹脂がケース本体4の材料として採用するのが好ましい。また、ケース本体4の断面形状は例えばU字状のような開放した断面形状であっても良いし、後に説明するように閉じた断面形状つまり中空断面形状を有していてもよい。
【0030】
押し出し成形方法は、成型品の精度を高いレベルで確保するのが難しい成型方法である。このことから、ケース本体4の中に組み込まれた光学部品8がケース本体4と直接的に接することがないように設計するのが望ましい。換言すれば、多光軸光電センサ200の設計において、ケース本体4の内面と、このケース本体4の中に収容される光学部品8とが離間しているのがよい。この「離間」という用語の意味は、光学部品8とケース本体4との間に部分的にクッション材や両面接着テープのような粘着剤を介在させることまで拒否する意味ではない。長尺の光学部品8の中間部分の支持構造として、光学部品8や上述したフレーム(剛性部材14)とケース本体4との間にクッション材や弾発材を配置してもよい。
【0031】
例えば断面U字状のような開放した断面形状の押し出し成型品のケース本体4を採用したときには、その投受光窓を構成する光透過性のプレートがケース本体4に対して典型的には接着剤を使って液密に接合される。この接着部位は、この業界では「防水ライン(IP(Ingress Protection)ライン)」と呼ばれている。これに対して、閉じた断面形状の押し出し成型品をケース本体4として採用したときには、多光軸光電センサ200を、フロントカバー(検出光通過窓部材)用のIPライン無しのセンサと呼ぶことができる。フロントカバー(検出光通過窓部材)用のIPライン無しのケース構造を採用することは、防水対策のための構造を採用する必要性が無いためセンサの小型化が可能となる。
【0032】
ケース本体(図5〜図8):
図1、
図2に戻って実施例の多光軸光電センサ200は、そのケース本体4として、閉じた断面形状の押し出し成型品が採用されている。
図5、
図6は
図1に図示のフラット型センサ200Fに用いられるケース本体4を示す。
図7、
図8は
図2に図示のスリム型センサ200Sに用いられるケース本体4を示す。各タイプのセンサ200F、200Sに採用されたケース本体4は、その端面図である
図6、
図8を対比すると良く分かるように端面形状及び断面の大きさは基本的に同一である。
【0033】
実施例の多光軸光電センサ200は従来と同様に、長さ寸法の異なる複数種類のケース本体4を用意することで、光軸数の異なるセンサが作られる。
図5と
図7とを対比すると、
図5に図示のケース本体4の長さ寸法が
図7のケース本体4よりも長いが、これは本質的なことではない。単に
図5では比較的数の多い光軸数のフラット型の多光軸光電センサ200Fのケース本体4を図示しただけである。光軸間ピッチ及び光軸数が同じであればフラット型センサ200Fとスリム型センサ200Sのケース本体4の長さ寸法は実質的に同じである。
【0034】
図5、
図6を参照してフラット型センサ200Fのケース本体4を先ず説明すると、ケース本体4の閉じた断面形状は略長方形である。具体的に説明すると、端面視したときに、2つの互いに対抗して位置し且つ互いに平行に真っ直ぐに延びる短辺4Sと、2つの互いに対抗して位置し且つ基本的には互いに平行に真っ直ぐに延びる長辺4Lとを有している。そして、各長辺4Lは、断面形状の一端部に溝部4cを有している。この対をなす溝部4cの存在によってケース本体4は、コーナー部分が若干ラウンドした断面四角形の幾何学形状との対比で異形の断面形状を有している。左右の溝部4c、4cは左右対称位置に位置していてもよいが、左右非対称に位置していてもよい。
【0035】
ケース本体4は、透明な合成樹脂材料(ポリアリレート樹脂)で作られた可視光透過部4Tと、有色の合成樹脂材料(ポリアリレート樹脂に顔料を添加)で作られた遮光部4Bとで構成されている。つまりケース本体4は2色同時成形された成型品である。勿論、ケース本体4を1種類の光透過性樹脂材料で押し出し成形し、成形した後に、塗料を塗布して遮光部4Bを作るようにしてもよい。
【0036】
図6から最も良く分かるように、可視光透過部4Tは、断面形状で見たときに、一つの長辺4Lにおいて溝部4cから遠い角部に形成され、長辺4Lの中間部分から短辺4Sの端部まで延びている。そして、可視光透過部4Tのうち、その中間部分が投受光のための検出光通過部4Mである。この中間部分つまり検出光通過部4Mは、これを規定する互いに対抗する2つの面が平行(均一な肉厚)且つ真っ直ぐに伸びる平滑な面で構成されている。
【0037】
図6、
図8に示す参照符号Rは長手方向に延びるリブを示す。
図6を参照してフラット型のケース本体4(200F)は、長辺4Lにおいて検出光通過部4Mの両側に位置する2本のリブRを有している。
図8を参照してスリム型のケース本体4(200S)は、短辺4Sにおいて検出光通過部4Mの両側に位置する2本のリブRを有している。このように検出光通過部4Mを挟んでその両側にリブRを形成することで、何等かの物体が多光軸光電センサ200に衝突したときに、この物体が検出光通過部4Mに直接的に衝突して検出光通過部4Mが傷付いてしまうのを防止することができる。
【0038】
上述したように検出光通過部4Mつまり多光軸光電センサ200Fの検出光が通過する部分が、透明な可視光透過部4Tの中間部分に存在している。換言すれば、透明な可視光透過部4Tと有色の遮光部4Bとの2つの境界から離れた部分に検出光通過部4Mが位置するように設計されているため、ケース本体4を押し出し成形する際に、有色の合成樹脂材料が検出光通過部4Mに混ざり込んでしまう虞はない。
【0039】
なお、
図6に示す「4.9」は検出光通過部4Mの幅寸法を意味し、検出光通過部4Mの幅は4.9mmである。また、「2.2」は検出光通過部4Mとケース本体4の角部との間の寸法が2.2mmであることを示す。また、「1.0」は検出光通過部4Mの厚さ寸法を意味し、検出光通過部4Mは1.0mmの厚さ寸法を有している。厚さ寸法例えば1.3mm以下、特に実施例の検出光通過部4Mの厚さ寸法1.0mmは、当業者であれば理解できるように、押し出し成形において当該検出光通過部4Mの成形精度を確保できる限界とも言えるほどの薄さである。この薄肉のケース本体4は断面略長方形であるが、上述した溝部4cを互いに対抗した位置に一対配置することによって断面長方形の形状が異形化されている。この異形化によってケース本体4の剛性を高めることができる。
【0040】
図7、
図8を参照してスリム型センサ200Sの閉じた断面形状のケース本体4は、上述したフラット型センサ200F(
図5、
図6)と同様に、透明な合成樹脂材料で作られた可視光透過部4Tと、有色の合成樹脂材料で作られた遮光部4Bとで構成されている。ただし、スリム型センサ200Sのケース本体4は、
図7、
図8から分かるように、溝部4cから離れた短辺4Sの部分が透明な可視光透過部4Tであり、この可視光透過部4Tはケース本体4の角部から各長辺4Lの端部まで延びている。
【0041】
ここに注目すべきことは、検出光通過部4Mの幅が7.6mmであり、この数値は上述したフラット型センサFよりも幅広である。更に、検出光通過部4Mは短辺4Sの中間部分に配置されている。これにより、スリム型センサ200Sを作る際に、後に説明する内蔵品を組み付ける際の基準として、2つの長辺4Lのうち任意の長辺4Lを使うことが可能になる。つまり、
図8を参照して、上に位置する長辺4Lを基準に内蔵品を組み付けてもよいし、下に位置する長辺4Lを基準に内蔵品を組み付けても投受光で問題が発生することはない。
【0042】
フラット型センサ200F及びスリム型センサ200Sは、共に、ケース本体4の形状において検出光通過部4Mを除く部分の形状、つまり長辺4L及び短辺4Sのうち検出光通過部4M以外の部分の形状は任意であり、例えば長辺4Lや短辺4Sが湾曲した形状であってもよいし、波打った形状であってもよい。勿論、
図5〜
図8に図示のようなケース本体4の形状つまり長辺4L、短辺4Sの外面を平らな面で構成することで、多光軸光電センサ200が占有する面積を小さくすることができる。つまり多光軸光電センサ200のコンパクト化が可能になる。
【0043】
多光軸光電センサ200の内部構造(図9、図10):
図9はフラット型センサ200Fの内部構造を示す。
図10はスリム型センサ200Sの内部構造を示す。これらフラット型センサ200Fとスリム型センサ200Sの内部構造は基本的には同じであることから、共通する部材には同じ参照符号を付すと共にフラット型センサ200Fの部材には「F」を付記し、スリム型センサ200Sの部材には「S」を付記する。
【0044】
実施例の多光軸光電センサ200は、所定の広がり角の光軸を生成するための光学部品8と、この光学部品8に固定される光学素子基板20と、メイン制御基板22と、金属プレートをプレス成形したフレーム14とを含む。
【0045】
光学ユニット16(図11〜図14):
図3、
図4を参照して説明した光学部品8は光学ユニット16によって構成される。光学ユニット16は8光軸ユニットと4光軸ユニットとが用意されている。勿論、光学ユニット16の光軸数は任意である。実施例の多光軸光電センサ200は、8光軸光学ユニットと4光軸光学ユニットを組み合わせることで数多くの光軸を備えた多光軸光電センサ200を作ることができる。参照符号24はレンズを示す。光学ユニット16の光軸Oaは長手方向に一列に且つ等間隔である。
図11、
図12は、フラット型センサ200Fに組み込まれる光学ユニット16Fを示す。
図11に図示の光学ユニット16F(m)はメイン光学ユニットであり、
図12に図示の光学ユニット16F(ad)は増設用の8光軸のユニットを示す。他にも増設用の光学ユニット16F(ad)として4光軸のユニットも用意される。
図13、
図14は、スリム型センサ200Sに組み込まれる光学ユニット16Sを示す。
図13に図示の光学ユニット16S(m)はメイン光学ユニットであり、
図14に図示の光学ユニット16S(ad)は増設用の4光軸光学ユニットを示す。他に増設用の光学ユニット16S(ad)として8光軸のユニットも用意される。なお、これら
図11〜
図14の光学ユニット16は、レンズ24を取り付ける前のユニットである。
【0046】
光学素子基板20(図9、図10):
光学素子基板20は、メイン素子基板20(m)と、8光軸用の増設用素子基板20(ad)と4光軸用の増設用素子基板20(ad)とを有し、多光軸光電センサ200の光軸数に応じて8光軸及び/又は4光軸の増設用素子基板20(ad)が組み付けられる。光学素子基板20には受光素子又は投光素子で構成される光学素子26が実装されている。光学素子基板20もメイン光学素子基板20(m)と増設用素子基板20(ad)が用意される。光学素子26は多光軸光電センサ200の長手方向に一列に且つ等間隔に配置される。光学素子基板20は前述した光学部品8にネジ28で固定される。また、複数の光学素子基板20は、互いに隣り合う素子基板20と20とはカード電線30によって電気的に接続される。
【0047】
フレーム14(図15、図16):
図9、
図10に加えて
図15、
図16を参照して、フレーム14は、前述したように金属プレートをプレス成形した立体的な三次元形状を有している。
図15はフラット型センサ200Fのフレーム14Fを示し、このフレーム14Fは断面概略L字状の形状を有する。
図16はスリム型センサ200Sのフレーム14Sを示し、このフレーム14Sは断面概略L字状の形状を有する。フレーム14は多光軸光電センサ200の一端部から他端部まで連続して延びる長さ寸法を有するのが好ましく、長さの異なる多光軸光電センサ200毎に専用のフレーム14が用意される。
【0048】
上述した光学ユニット16は、フレーム14に皿ネジ32を使って所定位置に固定される。皿ネジ32を使うことで、ネジヘッドがフレーム14の外側の板面から外方に突出しない状態で光学ユニット16をフレーム14にネジ止めすることができる。このことより、フレーム14とケース本体4との間の離間距離を極めて小さな寸法に抑えることができる。このことはケース本体4の断面積を小さくすることが可能であり、多光軸光電センサ200を小型化するのに貢献できる。
【0049】
複数の光学部品8を一列に配列した多光軸光電センサ200の場合には、隣接する2つの光学ユニット16、16は互いに離間した状態でフレーム14に固定される。勿論、隣接した2つの光学ユニット16、16を互いに連結する構造を採用してもよい。複数の光学ユニット16を互いに連結する構造であっても、実施例のように互いに離間した状態で光学ユニット16を配列する構造であっても多光軸光電センサ200の光軸間ピッチは一定である。
【0050】
メイン制御基板22は、多光軸光電センサ200を統合的に制御する機能を有し、このメイン制御基板22はメイン光学素子基板20(m)に隣接した状態でフレーム14の一端部分にネジ止めされる。
【0051】
図9、
図10を参照して、フレーム14の他端部分には拡張コネクタ基板34が配設され、この拡張コネクタ基板34はフレーム14にネジ固定してもよいが、この実施例では半田付けされる。この拡張コネクタ基板34には、外部ケーブル84のコネクタ82(
図37)がアクセスされ、この外部ケーブル84を使って他の多光軸光電センサ200又は制御機器などと接続される。ケーブル84を使った典型的な接続例は次のとおりである。
【0052】
(1)投光側の多光軸光電センサ200と、これと対をなす受光側の多光軸光電センサ200とをケーブル84で接続し、受光側の多光軸光電センサ200からケーブル84で遮光信号を外部機器に出力する。
(2)複数の投光側のセンサ200をケーブル84で直列に接続し、また、複数の受光側のセンサ200をケーブル84で直列に接続し、受光側の先頭の多光軸光電センサ200からケーブル84で遮光信号を外部機器に出力する。
【0053】
なお、光学素子基板20には、光学素子26の間に表示用発光素子36が実装され、この表示用発光素子36は一列に並んだ光学素子26の列上に配置されているが、この光学素子26の列からオフセットした状態で表示用発光素子36を配置してもよい。
【0054】
図17〜
図19は、代表例としてフラット型センサ200Fにおいて光学ユニット16F、光学素子基板20F、フレーム14Fを組み付けた状態を示す。
図17は斜め上から見た斜視図である。
図18は光学ユニット16Fを正面視した図である。
図19は、光学素子基板20Fの各光学素子26とレンズ24との相対的な位置関係を示す図である。
図17〜
図19において参照符号38は表示灯を示し、40は動作表示灯を示す。なお、
図19の参照符号42は動作表示灯用の発光素子を示す。
【0055】
図18及び
図21から良く分かるように、表示灯38及び動作表示灯40は、所定の光軸間ピッチで一列に配置されているレンズ24(光軸Oa)の間に配置されている。これら表示灯38及び動作表示灯40の光は、ケース本体4の可視光透過部4T(
図6、
図8)を通じて視認することができる。ケース本体4の断面形状において、この可視光透過部4Tの中間部分に検出光通過部4Mが配置されている。換言すると検出光通過部4Mよりも可視光透過部4Tが占める幅が大きい。そして、この可視光透過部4Tは、
図6、
図8から分かるように、断面略長方形のケース本体4の角部まで延び、検出光通過部4Mが存在する面と隣接する面まで更に延びている。このことから、表示灯38及び動作表示灯40が発する光は検出光通過部4Mが存在する面だけでなく、これに隣接する面からも視認することができる。したがって、表示灯38及び動作表示灯40の点灯を広範囲から確認することができる。つまり、光軸間ピッチの間に表示灯38及び動作表示灯40を配置することで多光軸光電センサ200を小型化しつつ、多光軸光電センサ200の表示灯38、動作表示灯40の点灯の視認性を向上することができる。勿論、ケース本体4の角部は断面アーチ状にラウンドしていてもよい。また、ケース本体4は例えば断面略正方形のような略四角形であってもよい。
【0056】
また、
図18及び
図21から分かるように、表示灯38は多光軸光電センサ200の長手方向の一端部から他端部までほぼ同じピッチで配置されている。つまり表示灯38は多光軸光電センサ200の長手方向に万遍なく配置されている。したがって、この表示灯38は光軸調整の適否を表すために点灯させたり、外部機器からの制御信号により作業者に対する作業指令を表すために点灯させることができる。
【0057】
フレーム14の支持構造:
図9、
図10を参照して、隣接する2つの光学ユニット16、16及び素子基板20、20の間に第1の弾発部材46が配設され、この第1の弾発部材46はフレーム14にネジ固定される。このネジは、光学素子基板20をフレーム14に固定するための皿ネジ32が用いられ、光学素子基板20と第1の弾発部材46とは皿ネジ32によってフレーム14に共締めされる(
図20、
図21、
図25)。この第1の弾発部材46の単体図が
図22、
図23である。
図22はフラット型センサ200Fに組み付けられる第1の弾発部材46Fを示す。
図23はスリム型センサ200Sに組み付けられる第1の弾発部材46Sを示す。
図24、
図25を参照して、第1の弾発部材46はバネ性の第1のバネ性リップ46aと、フレーム14の起立壁を跨いで位置する第2のバネ性リップ46bとを有する合成樹脂の成型品である。この樹脂バネである第1の弾発部材46は、その第1のバネ性リップ46aがケース本体4の長辺4Lの方向に延びて、当該長辺4Lと当接した状態になる。他方、第2のリップ46bがケース本体4の短辺4Sの方向に延びて、当該短辺4Sと当接した状態となる。
図24は、多光軸光電センサ200の内部において第1の弾発部材46を多光軸光電センサ200の長手方向から見た図であり、
図25は、第1の弾発部材46の部分を断面した図である。なお、
図24、
図25を見ると、作図上の理由からケース本体4の長辺4Lとフレーム14とが接した状態で図示されているが、実際は、ケース本体4とフレーム14とが僅かに離間している。
【0058】
エンド部材6(図19、図26〜図29):
エンド部材6は平板状の成型品であり、合成樹脂材料から作られている。
図26は、内面を上にしたエンド部材6を斜め上方から見た図である。
図27は、外面を上にしたエンド部材6を斜め上から見た図である。エンド部材6の内面6aを示す
図26を参照して、平板状のエンド部材6は、その内面6aに一つの凹部50を有している。この凹部50を拡大して図示したのが
図28である。エンド部材6はフラット型センサ200Fとスリム型センサ200Sとの双方に適用される。凹部50は、これを正面視したときに正方形の断面形状を有し、凹部50の4つの壁面50aには複数の凸条52が形成されている。この凸条52は多光軸光電センサ200の長手方向に延びており、凹部50の実質的な有効断面積は凸条52によって規定される。
【0059】
エンド部材6の内面6aに形成された凹部50(
図26、
図28)は光学部品8(
図3、
図4)の端部を構成する光学ユニット16を位置決めするのに用いられる。
図11〜
図14を参照すると良く理解できるように、光学ユニット16には、その両端に夫々位置決め突起54が形成されている。この位置決め突起54は、上記エンド部材6の内面6aに形成された凹部50に受け入れられる。位置決め突起54はその断面形状が正方形であり、また、その断面積はエンド部材6の凹部50の実質的な有効断面積と同じである。したがって光学ユニット16の突起54はエンド部材6の凹部50に嵌合可能であり且つ多光軸光電センサ200の長手方向に変位可能である(
図29)。これら凹部50及び突起54は互いに相補的な断面正方形である。つまり凹部50及び突起54は互いに相補的な非円形の断面形状を有していることから、光学ユニット16の回転はエンド部材6によって規制される。
【0060】
平板状のエンド部材6は、ケース本体4の端面と実質的に同じ寸法の長方形の形状に形作られている。エンド部材6は、ケース本体4の端面に整合させた状態で例えばレーザにより溶着される。エンド部材6をケース本体4の端面と整合させることによりエンド部材6を実質的にケース本体4に対して位置決めすることができる。ケース本体4に対するエンド部材6の位置決め手段を、例えばエンド部材6に設けても良い。具体的には、エンド部材6の内面6aに、例えばケース本体4の端部内面と係合する位置決め突起を設けてもよい。
【0061】
エンド部材6の外面6bを示す
図27を参照して、エンド部材6の外面6bには、第2の凹部56が形成されている。この第2の凹部56は正面視したときに非円形の例えば楕円形状である。この第2の凹部56にも複数の凸条58が形成されており、各凸条58は多光軸光電センサ200の長手方向に延びている。この第2の凹部56は後に説明する取付部材70の取り付けに用いられる。
【0062】
多光軸光電センサ200の設置例(図30、図31):
実施例の多光軸光電センサ200の設置例を
図30、
図31を参照して説明する。
図30、
図31は危険源である装置62を上から見た図である。この装置62は三方が壁64で囲まれ、その危険エリアの開口部分66に多光軸光電センサ200が設置されている。
【0063】
図30は、フラット型センサ200Fを壁64の内面に設置した例を示す。壁64又は柱の内面に多光軸光電センサ200を設置したとしても、これが薄いフラット型センサ200Fであれば、多光軸光電センサ200を設置したことに伴う開口部分66の間口の減少を極力小さなものにすることができる。
【0064】
図31は、スリム型センサ200Sを壁64又は柱の前方面に設置した例を示す。壁64又は柱に多光軸光電センサ200を設置したとしても、これがスリム型センサ200Sであれば、壁64又は柱から前方に突出した存在となる多光軸光電センサ200の突出量を小さくすることできる。このような設置によれば多光軸光電センサ200によって危険エリアの開口部分66の間口を狭めることはない。
【0065】
設置補助具(図32、図33):
多光軸光電センサ200が長尺のセンサである場合、その両端部を固定したとしても、長手方向中間部分が撓んでしまう可能性がある。これを抑制するための補助具を例示的に
図32、
図33に示す。
図32は第1の設置補助具94を示し、
図33は第2の設置補助具96を示す。これら第1、第2の設置補助具94、96は金属プレートをプレス成形することで形作られており、基本的に同じ構成であるので同じ要素には同じ参照符号を付してある。設置補助具94、96は平らなベース部94aを有し、このベース部94aから立ち上がった起立部94bの基端部と上端部に、夫々、爪部94cが形成されている。
【0066】
ベース部94aには、互いに離間した2つのボルト挿通孔94dが形成されている。第1の設置補助具94は、また、第3のボルト挿通孔94eを有し、これら3つのボルト挿通孔94d、94d、94eはいわゆるバカ孔であり、これらのボルト挿通孔94d、94d、94eを使って壁64又は柱にボルト止めされる。第2の設置補助具96は、2つのボルト挿通孔94d、94dに加えてスリット94fが形成され、この第2の設置補助具96は、2つのボルト挿通孔94d、94dとスリット94fを使って壁64又は柱に固定される。
【0067】
第1、第2の設置補助具94、96は予め壁64又は柱に固定される。そして、この第1、第2の設置補助具94、96に対して多光軸光電センサ200は、そのケース本体4の一対の溝部4cに補助具94、96の爪部94cが係合することにより回転不能に位置固定される。
【0068】
第1、第2の設置補助具94、96は多光軸光電センサ200を設置するための設置面によって使い分けられる。必要に応じて、1つの多光軸光電センサ200に対して単数又は複数の設置補助具94、96が壁64又は柱に配置される。
【0069】
アタッチメントとしての取付部材70(図34、図35):
図1、
図2、
図34を参照して、多光軸光電センサ200の一端及び他端には取付部材70が弾性部材(例えばゴム製のクッション部材)72を介してエンド部材6に脱着可能に固定されている。アタッチメントである取付部材70は互いに対抗する平行な平らな面に開口する貫通孔70aを有し、この貫通孔70aに挿入した締結具であるボルトを使って多光軸光電センサ200を前述した壁64や柱(
図30、
図31)に固定することができる。取付部材70を合成樹脂で作った場合には、多光軸光電センサ200の設置に際して取付部材70と設置面との間つまり取付部材70の座面にワッシャを介在させるのが好ましい。取付部材70の座面にワッシャを挿入することで、合成樹脂製の取付部材70をボルトで設置面に固定する際、このボルトの締め付けトルクによって取付部材70が損傷するのを防止することができる。取付部材70は、45°の傾斜角度の傾斜面70bを有し、隣接する2つの多光軸光電センサ200を直角に配置するときに、この傾斜面70bを突き合わせることで2つの多光軸光電センサ200、200をL字状に配列することができる。このL字状配置したときに、互いに隣接する2つの多光軸光電センサ200の端、200の端の間の光軸間ピッチは、多光軸光電センサ200の光軸間ピッチと同じ又はそれよりも小さくなるように取付部材70を設計するのが好ましい。
【0070】
取付部材70は、そのエンド部材6側の面に、エンド部材6側に向けて突出した凸部74が形成されている(
図35)。この凸部74は、エンド部材6の前述した第2の凹部56(
図27)と相補的な形状を有し、この第2の凹部56と多光軸光電センサ200の長手方向に脱着可能に凹凸嵌合するようになっている。エンド部材6の第2の凹部56は
図27から分かるように正面視したときに非円形つまり例えば楕円形状を有していることから、取付部材70の凸部74もこれを正面視したときに楕円の断面形状を有している。したがって、これら凸部74と第2の凹部56とが凹凸嵌合することで(
図35)、取付部材70の回転はエンド部材6によって規制される。これにより取付部材70の貫通孔70aの軸(この貫通孔70aに挿入されるボルトの軸)と光軸Oaとの相対的な関係を、一定の約束した関係で確立することができる。
【0071】
取付部材70は成型品であり、その材料は金属であってもよいが、この実施例では合成樹脂である。最も好ましい態様として、アタッチメントである取付部材70はフック76を有し、このフック76を使って、取付部材70はネジ無しで且つワンタッチでエンド部材6に固定することが可能である。勿論、取付部材70をネジを使ってエンド部材6に固定してもよいし、取付部材70とエンド部材6とを一体成型品(ワンピース品)で構成してもよい。
【0072】
エンド部材6は、ケース本体4にレーザ溶着されるのは前述した通りであるが、エンド部材6は、その一端部がケース本体4の端面から外方に突出する大きさを有している(
図35)。このエンド部材6の外方に突出した一端部に上述したフック76の爪76aが係止される(
図35、
図36)。すなわち、取付部材70の凸部74をエンド部材6の第2の凹部56の中に押し込むと、この押し込む操作の過程でフック76が撓み変形を伴って爪76aがエンド部材6の外方に突出した端縁に乗り上がり、更に取付部材70を第2の凹部56に押し込むと爪76aがエンド部材6の端縁を乗り越える。この乗り越えに伴ってフック76が弾性復帰して爪76aがエンド部材6の外方に突出した端部と係合する。この更なる押し込みはエンド部材6と取付部材70との間に介装した弾性部材72の圧縮変形を伴う。ひとたびフック76がエンド部材6と係合すると、弾性部材72の復元力によって、このフック76とエンド部材6との係合状態が維持される。勿論、フック76を広げる方向に外力を加えながら取付部材70を引き抜く操作を行うことで取付部材70を取り外すことができる。
【0073】
この弾性部材72は、ケース本体4の温度変化に伴う長手方向の伸縮を吸収する役割を担っている。例えばケース本体4が熱膨張して長手方向に伸びたときに、この弾性部材72が圧縮することでケース本体4の温度変化に伴う長手方向の伸びを吸収することができる。
【0074】
図34から最もよく分かるように弾性部材72には、取付部材70の凸部74の通過を許容する透孔72aが形成されているのは勿論である。弾性部材72は、また、その一端部つまり取付部材70のフック76とは反対側の端部にスリット72bを有している。このスリット72bを使って取付部材70に弾性部材72が組み付けられる。
【0075】
引き続き
図34を参照して、アタッチメントとしての取付部材70について説明すると、取付部材70には、フック76とは反対側の端に突片78が形成されている。この突片78を弾性部材72の前記スリット72bに挿入することで弾性部材72が取付部材70から脱落するのが阻止される。
【0076】
図37、
図38を参照して、取付部材70のフック76は、これを平面視したときに、フック76の中間部分に多光軸光電センサ200の長手方向に延びるケーブル挿通部76bが形成され、このケーブル挿通部76bに、外部ケーブル84が配置される。すなわち、フック76は、これを平面視したときに二股形状を有し、このフック76のケーブル挿通部76bにコネクタ82のケーブル84が収容される。
【0077】
図26、
図27などに見られる参照符号80は例えば切欠き形状の目印を示す。エンド部材6はフラット型センサ200Fとスリム型センサ200Sの双方で使用されるため、好ましくは第1、第2の目印80a、80bの少なくともいずれか一方をエンド部材6に設けるのが好ましい。第1の目印80aはフラット型センサ200Fの光軸列が存在する側であることを指し示す。第2の目印80bはスリム型センサ200Sの光軸列が存在する側であることを指し示す。
【0078】
多光軸光電センサ200は、取付部材70無しの状態で販売してもよいし、取付部材70を組み付けた状態で販売してもよい。
図1、
図2に図示するように既に取付部材70を組み付けた状態で販売したときには、これを入手したユーザは、直ちに、
図30、
図31で説明したような態様で設置できる。勿論、取付部材70が多光軸光電センサ200と一体化しているため、危険源を囲む壁64又は柱に対して多光軸光電センサ200を設置する、その設置面が正しく基準出ししてある面のときには、多光軸光電センサ200の光軸調整無しに設置して直ちに多光軸光電センサ200を動作させることができる。従来の取付金具を使った設置作業では、壁64又は柱が例え正しく基準出ししてある設置面を備えていたとしても光軸調整作業は必須である。これに対して実施例の多光軸光電センサ200にあっては、予め取付部材70を組み付けた多光軸光電センサ200を出荷することで、ユーザは入手した取付部材70付きの多光軸光電センサ200を設置したその直後から動作させることができる。また、多光軸光電センサ200の設置作業を簡便化することができる。このことは、取付部材70と光軸Oaとが共通の基準(エンド部材6)で設計されている利点の一つである。
【0079】
特に、実施例の多光軸光電センサ200では、前述したように、エンド部材6を基準に光学部品8つまり光軸Oaが位置決めされ、そして、このエンド部材6を基準に取付部材70が位置決めされていることから、取付部材70はエンド部材6を介して光軸Oaと整合した状態にある。このことも上述した多光軸光電センサ200の取付部材70を使った設置作業の容易化に大きく貢献できる要因となる。
【0080】
ケーブル接続(図1、図2、図37):
図1、
図2に示す参照符号82は外部コネクタを示す。なお、
図1、
図2は外部コネクタ82から延びるケーブル84(
図37)によって複数の多光軸光電センサ200の電気的な接続や制御装置との電気的な接続が行われる。なお、このケーブル84は多光軸光電センサ200と一体でもよい。この場合、エンド部材6の透孔を通じてケーブル84を多光軸光電センサ200の内外に延在させるのがよい。
【0081】
図29、
図35から最もよく分かるように、拡張コネクタ基板34のコネクタピン34aに隣接してマニュアルスイッチ86が配設されている。このマニュアルスイッチ86はスライド式のスイッチで構成され、このスイッチ86によって多光軸光電センサ200の動作モードを切り替えることができる。ケース本体4は、このコネクタピン34aを臨む位置に、外部コネクタ82を受け入れるコネクタ用開口88が形成され、このコネクタ用開口88の一端部にマニュアルスイッチ86が取り付けされている(
図37)。
【0082】
外部コネクタ82の本体は合成樹脂の成型品であり、この中にコネクタ部品82a(
図37)を組み込むことにより外部コネクタ82が構成されている。外部コネクタ82は、多光軸光電センサ200のケース本体4の短辺4Sよりも若干短い幅寸法を有する細長いボックス状の形状を有している。外部コネクタ82とは別体にカバー部材90が用意されている。このカバー部材90によって外部コネクタ82の上面と両側面が包囲される。
【0083】
カバー部材90(図39、図40):
図39は外部コネクタ用カバー部材90の斜視図である。外部コネクタ用カバー部材90は金属製のプレート材料をプレス成形することにより形作られている。カバー部材90は、外部コネクタ82の上面に対応する頂面90aと、この頂面90aの両側縁から夫々下方に延びる脚部90bとを有し、この脚部90bは外部コネクタ82の高さ寸法よりも大きな高さ寸法を有している。そして、この脚部90bの下端には、内方に向けて屈曲成形された爪90cが形成されている。また、上記頂面90aには、切り起こすことによって形成された2つのバネ片90dが形成され、この2つのバネ片90d、90dは外部コネクタ82の長手方向に離間して配置されている。
【0084】
外部コネクタ用カバー部材90は、予めケース本体4に装着される(
図40)。この装着は、カバー部材90の爪90cをケース本体4の溝部4cを係止することにより行われる。ケース本体4に装着したカバー部材90は溝部4cに案内されて多光軸光電センサ200の長手方向にスライド可能である。
【0085】
図38から最もよく分かるように、外部コネクタ82は、ケース本体4の上記コネクタ用開口88を完全に覆うことのできる長さ寸法及び幅寸法を有している。
図37の参照符号82cは外部コネクタ82の底面に形成された凹所を示し、この凹所82cには図示を省略したシール材料(止水パッキン)が装着される。そして、外部コネクタ82を多光軸光電センサ200にコネクタ連結した後、外部コネクタ用カバー部材90をスライドさせて、カバー部材90で外部コネクタ82を包囲した状態にする。外部コネクタ82をカバー部材90で囲んだ状態では、このカバー部材90によって外部コネクタ82が多光軸光電センサ200から抜け出すのを阻止することができる。
【0086】
また、外部コネクタ82の凹所82cに装着したシール材料がケース本体4のコネクタ用開口88の周囲と密着した状態となる。この密着状態は、前述したコネクタ用カバー部材90の2つのバネ片90d(
図39)によって維持される。すなわち、外部コネクタ82はカバー部材90のバネ片90dによってケース本体4に接近する方向に付勢された状態になる。
図37の仮想線92はIPラインを示す。このIPラインは、コネクタ連結部分及びモード切替えのためのマニュアルスイッチ86を包囲していることが
図37から分かるであろう。
【0087】
カバー部材90の変形例として、外部コネクタ82を多光軸光電センサ200にコネクタ連結した後に、このカバー部材90を装着して、このカバー部材90の爪90cをケース本体4の溝部4cにスナップ嵌めする構成を採用してもよい。
【0088】
上述したカバー部材90は一例に過ぎない。また、外部コネクタ82の抜け止めを防止しつつケース本体4のコネクタ用開口88をシールするという技術的思想はケース本体4が押し出し成型品である場合に限定されない。コネクタ用開口88を備えた金属又は合成樹脂製のセンサケースであれば、これに適用可能である。上記の例で説明すればカバー部材90は、ケース本体4と係脱可能な係止部(爪90c)を有し、この係止部によってケース本体4とスナップ嵌めするようになっている。したがって、ケース本体4は、カバー部材90の係止部(爪90c)と係合する段部(溝部4c)を有していればよい。なお、カバー部材90をスナップ嵌めではなくてスライド方式で外部コネクタ82と合体する構成を採用するのであれば、カバー部材90の脚部90bのバネ性は必須ではなく、脚部90bはバネ性を備えていなくてもよい。
【0089】
また、上記の例では、カバー部材90の頂部90aに切り起こして作ったバネ片90dによって外部コネクタ82を押し込む方向に付勢する構成を採用してあるが、例えばカバー部材90の頂部90aに弾性部材(ゴム)を配置して、この弾性部材によって外部コネクタ82を押し込む方向に付勢するようにしてもよい。
【0090】
勿論、カバー部材90はコストの観点から金属プレートをプレス加工して形作られているが、合成樹脂の成型品であってもよい。なお、上記の実施例では、上述したように、外部コネクタ82に凹所82cを設け、この凹所82cにシール材料を装着して、このシール材料をケース本体4に密着させる構成を採用してあるが、ケース本体4側にシール材料を装着する構成を採用してもよい。
【0091】
以上、本発明の好ましい実施例を説明した。上述した実施例では、一つの多光軸光電センサ200の全ての光軸が受光素子の場合には当該多光軸光電センサ200は受光器として機能し、全ての光軸が投光素子の場合には当該多光軸光電センサ200は投光器として機能する。その変形例として、一つの多光軸光電センサ200に含まれる光学素子26の半分を受光素子で構成し、残る半分を投光素子で構成して、一つの多光軸光電センサ200の半分が受光器として機能し、残る半分が投光器として機能する構成を採用してもよい。