(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係るアナライトモニタシステム(血糖モニタシステム)について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
先ず、本実施の形態に係る血糖モニタシステムを説明する前提事項として、食事内容と血糖値の変動の関係、及び食事内容とカーボ値の関係について詳述する。なお、本実施の形態における「時刻」とは、例えば、12時、12時30分等のように、一日の中でのある時点を指す意味で用いており、「時間量」とは、1時間、1時間30分等のように、ある時点から他の時点までの間(長さ)を指す意味で用いており、「時間」とは、時刻及び時間量を含む意味で用いている。
【0026】
図1は、本発明に係る食事時間と生体内の血糖値の変動を示すグラフであり、
図2は、食事内容とカーボ値の対応関係の一例を示す表である。
【0027】
図1に示すように、人体においては、食事によって摂取した栄養素が血糖(ブドウ糖)に変わる割合と時間(すなわち、速度)が異なることが知られている。例えば、糖質は、ブドウ糖への変化率が略100%で、比較的容易に消化されるため、食後から1時間前後に最も多くの量の糖質がブドウ糖へ変化する。一方、タンパク質は、ブドウ糖への変化率が略50%で、糖質に比べて緩やかにブドウ糖に変化するため、食後から3時間前後に最も多くの量のタンパク質がブドウ糖へ変化する。また、脂質は、ブドウ糖への変化率が10%未満で、消化に時間がかかるため、ブドウ糖に変化する量のピークは食後から10時間前後である。
【0028】
すなわち、食事内容(食事における栄養素)によって、食後の血糖値の上昇速度が異なるので、食後から血糖値が上昇してピーク値となる時間の設定が難しくなる。なお、従来の血糖管理においては、医師から一律的且つ経験的に食後2時間後に血糖値を測定するように指導されることが多い。
【0029】
ここで、血糖値の上昇を簡易的に判断する場合には、カーボ値を用いたカウント方法(カーボカウント)が考えられる。このカーボカウントは、血糖を安定化するインスリンの投与量を調整する際に利用されている。この「カーボ値」とは、食事内容に含まれる炭水化物の量を示す指標であり、例えば、炭水化物量10gを1カーボとすることで、食事内容毎にカーボ値が換算される。
【0030】
例えば、
図2に示す表のように、ごはん(150g:茶碗1杯分)でカーボ値が5.5、食パン(60g:6枚切り1枚)でカーボ値が3.0、エビフライ(2尾)でカーボ値が1.0等のように、食事内容毎にカーボ値を換算することができる。このカーボ値が高い場合は、食事中にとる炭水化物量が多いことになり、血糖に変化する量が多くなるとともに、血糖値がピーク値を迎える時間も早まることが予測できる。
【0031】
本発明に係る血糖モニタシステムは、従来インスリン量の調整にしか利用されていなかった「カーボ値」を有効に利用することで、血糖値の変動状態(ピーク値及びピーク値の前後所定時間の変動カーブ)を予測して、血糖値のサンプリング間隔を変動させるものである。
【0032】
図3は、本実施の形態に係る血糖モニタシステム10の全体構成を概略的に示す説明図であり、
図4は、
図3の血糖モニタシステム10のシステムブロック図である。
【0033】
血糖モニタシステム10は、
図3に示すように、血糖値(アナライト濃度)を測定するセンサ12(検出手段)と、該センサ12が測定した血糖値(測定値)の信号を無線で送信する送受信装置14と、送受信装置14が送信する信号を受信し、測定値を記憶又は表示するモニタ装置16と、によって構成される。
【0034】
センサ12は、血中のグルコースを光学的に測定可能なセンシング装置が適用される。具体的には、グルコースと標識化合物(蛍光色素化合物:例えば、フルオロセイン標識デキストランやフェニルボロン酸誘導体等の蛍光残基を有するもの)を相互作用させ、蛍光強度が変化する現象を利用した検出用のセンサ(蛍光センサ)である。
【0035】
センサ12の筐体は、外光を遮光可能な樹脂材等によって略矩形状に形成され、生体の所定箇所(例えば、腕や脇腹等)に取り付けられる。センサ12における生体(皮膚)との接触面12aは、ハイドロゲルとカーボンブラック等によって構成される。これによりグルコースを通過させる一方で、外光が遮断される。
【0036】
図4に示すように、センサ12の筐体内部には、測定部18及びA/D変換部20が設けられる。測定部18は、シリコン等からなる基体、受光素子(例えば、フォトダイオード素子)、保護膜、フィルタ、発光素子(例えば、発光ダイオード素子)、インジケータ層等が積層され、さらにインジケータ層に連なる接触面12a側に穿刺針が設けられる(ともに図示せず)。
【0037】
測定部18は、穿刺針が生体に穿刺及び留置される(すなわち、埋め込まれる)ことで、接触面12aを介して、インジケータ層に血液を案内する。インジケータ層は、標識化合物としての蛍光色素を含んで構成され、これにより接触面12aから進入したグルコースと標識化合物が相互作用する。センサ12は、測定部18の発光素子を発光して、測定光をインジケータ層に入射させると、グルコースの濃度に応じた強度の蛍光を得る。インジケータ層からの蛍光は、フィルタ等を透過した後、受光素子により光電変換され、血糖値の信号として、A/D変換部20に供給される。
【0038】
なお、センサ12としては、血糖値のサンプリング間隔を容易に変動させることが可能な光学センサ(上記のような蛍光センサ)を適用することが好ましいが、該光学センサに限定されるものではなく、例えば、血糖値をグルコースオキシダーゼ(GOD)等の酵素を用いた酵素電極法等による電気的(電気化学方式)に測定するセンサを適用してもよい。
【0039】
A/D変換部20は、測定部18によって検出された血糖値の電流値(アナログ信号)を電圧値に変換するとともに、該電圧値を増幅してデジタル信号に変換する。これにより、センサ12から送受信装置14には、血糖値のデジタル信号が送られる。
【0040】
血糖モニタシステム10の送受信装置14は、
図3に示すように、センサ12の一端部に直接接続され、センサ12による血糖値の検出を制御するとともに、該センサ12が検出した血糖値をモニタ装置16に送信する機能を有する。この送受信装置14は、センサ12と共に生体の皮膚上に容易に留置されるように平たい筐体に構成される。
図4に示すように、送受信装置14の筐体内部には、センサ側制御部22、センサ側記憶部24、センサ側送受信モジュール26及びセンサ側電源28等が設けられる。
【0041】
送受信装置14のセンサ側制御部22は、周知のマイクロコンピュータ(マイクロプロセッサ:MPU)等が適用される。センサ側制御部22は、センサ側記憶部24に保存された測定用のプログラム(図示せず)に従って動作することで、センサ12による血糖値の検出を制御する。また、センサ側制御部22は、処理クロックを利用した内部タイマー(図示せず)を有し、該タイマーによるカウントにより、サンプリング間隔に基づく血糖値の検出を行う。
【0042】
センサ側記憶部24は、ROM及びRAMによって構成され、血糖値の測定用のプログラムが予めROMに記憶されるとともに、センサ12が検出した血糖値データ、及び後述するサンプリング間隔情報が一時的にRAMに記憶される。
【0043】
センサ側送受信モジュール26は、モニタ装置16のモニタ側送受信モジュール34との間で、データの送受信を行う機能を有しており、特に本実施の形態では無線データ通信を実現するモジュール(例えば、高周波数帯域の電波を出力及び入力可能なRFモジュール)が適用される。血糖のモニタリングを実施する場合は、センサ12及び送受信装置14の配置位置(すなわち、生体の所在)に対して、モニタ装置16の配置位置がそれほど離間しないことが予測されるので、センサ側送受信モジュール26及びモニタ側送受信モジュール34は近距離通信用の規格(例えば、IEEE 802.15)を採用してもよい。
【0044】
センサ側電源28は、例えば、ボタン型電池、丸型乾電池、角型乾電池、二次電池又は外部電源等を適用することができる。このセンサ側電源28は、センサ12及び送受信装置14の電力によって駆動する内部機構(測定部18、A/D変換部20、センサ側制御部22、センサ側記憶部24、センサ側送受信モジュール26等)に対し必要な電力を供給する。
【0045】
一方、血糖モニタシステム10のモニタ装置16は、
図3に示すように、表示パネル36(表示手段)、操作ボタン38が設けられた携帯端末として構成される。このモニタ装置16の筐体内部には、
図4に示すように、モニタ側制御部30、モニタ側記憶部32、モニタ側送受信モジュール34、タイマー40、モニタ側電源42等が配設される。
【0046】
モニタ側制御部30は、センサ側制御部22と同様に、周知のマイクロコンピュータ等が適用される。このモニタ側制御部30は、モニタ側記憶部32に予め保存される制御用のプログラム(以下、制御プログラム44という:
図5参照)に基づいて所定の処理を行う。
【0047】
制御プログラム44は、センサ12、送受信装置14及びモニタ装置16を含む血糖モニタシステム10全体の制御を行うものである。すなわち、モニタ装置16は、制御プログラム44に基づき、センサ12による血糖値のサンプリング間隔の設定、センサ12が検出した複数の血糖値データの記憶及び表示、又は外部機器(例えば、コンピュータ)に対する血糖値データの送信等が実施可能となっている。
【0048】
モニタ側記憶部32は、センサ側記憶部24と同様に、ROM及びRAMによって構成される。このモニタ側記憶部32には、上記の制御プログラム44が予めROMに保存されるとともに、センサ12が測定した各種データを記憶するための複数のデータ領域がRAM上のアドレス空間に割り振られている。
【0049】
また、モニタ側送受信モジュール34は、モニタ側制御部30(又はセンサ側制御部22)の動作に基づき、所定のデータを送受信する機能を有する。このモニタ側送受信モジュール34は、センサ側送受信モジュール26との間で無線データ通信を行うとともに、前記外部機器との間で無線データ送信を行うように構成される。なお、送受信装置14とモニタ装置16間のデータの送受信は、無線通信に限定されず、有線通信でもよいことは勿論である。
【0050】
表示パネル36は、モニタ装置16の筐体上面に比較的大きな表示面積を有するように配設される(
図3参照)。この表示パネル36は、例えば、液晶モニタや有機EL、無機EL等によって構成される。表示パネル36は、モニタ装置16内の内部機構に接続され、モニタ側制御部30の制御に基づき、血糖値のモニタリングに必要な情報(例えば、血糖値、日時、サンプリング間隔、操作手順、エラー等)を表示する。
【0051】
一方、操作ボタン38は、複数の押圧式ボタンからなり、表示パネル36と共に筐体上面に配置される。これにより、ユーザは、表示パネル36に表示される情報を確認しつつ、操作ボタン38を押すことができる。
【0052】
なお、モニタ装置16は、以上のような表示パネル36や操作ボタン38を備える構成に限定されないことは勿論であり、例えば、タッチパネル方式の表示パネルを採用することで、血糖値のモニタリングにおいて要求される表示と操作を一体的に行うようにしてもよい。
【0053】
また、タイマー40は、モニタ装置16内における時刻(日時)を管理するために設けられる。このタイマー40は、モニタ装置16の電源のON/OFFに関わらず自動的に時刻を計測するように構成される。
【0054】
モニタ側電源42は、センサ側電源28と同様に種々の電源を適用することができる。このモニタ側電源42は、モニタ装置16の電力によって駆動する内部機構(モニタ側制御部30、モニタ側記憶部32、モニタ側送受信モジュール34、表示パネル36、タイマー40等)に対し必要な電力を供給する。
【0055】
血糖モニタシステム10は、上記各構成を連動させることで、血糖値のサンプリング間隔を設定し、設定されたサンプリング間隔に基づき複数の血糖値を離散的に検出する。特に、サンプリング間隔の設定においては、既述したカーボ値を利用して食後に血糖値が大きく変動する期間を予測し、その期間のサンプリング間隔を短くして、血糖値のサンプリング数を増やし、血糖値の変動を精度よく捉えようとするものである。このサンプリング間隔の設定処理は、モニタ装置16(制御プログラム44)によって実施される。
【0056】
図5は、サンプリング間隔の設定処理を行う
図4のモニタ装置16の機能ブロック図である。
【0057】
上述したように、モニタ装置16のモニタ側記憶部32には、制御プログラム44が予め保存(記憶)される。血糖モニタシステム10は、モニタ側制御部30が制御プログラム44に従って動作することで、例えば、食事時間や食事内容の設定、血糖値のサンプリング間隔の設定、及びセンサ12が検出した血糖値の表示及び記憶等を実施する。なお、血糖モニタシステム10は、上記の構成に限定されるものではなく、センサ12、送受信装置14及びモニタ装置16がまとめられた一体型装置として構成されてもよい。また、血糖値のサンプリング間隔の設定等は、モニタ装置16内での実施に限定されず、例えば、センサ12内や送受信装置14内で実施されてもよい。
【0058】
この場合、モニタ装置16の表示パネル36は、制御プログラム44に従って動作するモニタ側制御部30の制御に基づき、血糖モニタシステム10による血糖値の測定に必要な情報(例えば、食事時間、食事内容やカーボ値、サンプリング間隔等)が表示可能となる。同様に、操作ボタン38も、血糖値の測定に必要な情報を設定するための各種操作が可能となる。
【0059】
また、モニタ装置16は、制御プログラム44に基づき、モニタ側制御部30内に食事時間設定部46(食事時間設定手段)、食事データ設定部48(食事データ設定手段)、サンプリング間隔設定部50(サンプリング間隔設定手段)及びサンプリング間隔調整部51が設けられる。これに対応して、モニタ側記憶部32のデータ領域には、食事時間記憶領域52、食事データ記憶領域54、サンプリング間隔記憶領域56が形成される。また、モニタ側記憶部32には、サンプリング間隔の設定において必要な情報となるカーボ値データベース60及びサンプリング間隔データテーブル62がデータベース記憶領域58(データベース記憶手段、サンプリング間隔記憶手段)内に予め保存される。
【0060】
食事時間設定部46は、ユーザの操作指示に基づいて入力された食事時間情報を、食事時間記憶領域52に記憶(設定)させる。ここで、「食事時間情報」とは、ユーザが食事を取る際の時間に関するデータであり、ユーザは食事を取った後(又は取る前)にその時間を食事時間情報としてモニタ装置16に入力する。この食事時間情報は、ユーザが入力する際、12時、12時30分等のように時刻として入力してもよく、一方、タイマー40が計測する現在時刻に対し1時間後、1時間30分後等のように時間量として入力してもよい。ただし、食事時間記憶領域52には、タイマー40が計測する時刻と容易に対応関係をもたせるため、時刻の情報として記憶されることが好ましい。
【0061】
なお、本実施の形態に係る血糖モニタシステム10は、食後を基準に血糖値の変動状態を予測(設定)する構成であるため、食事の終了後に食事時間情報を設定するほうが、測定精度を高めることができる。勿論、食前に食事の終了時刻を予測して食事時間情報を設定してもよく、また食事にそれほど時間がかからないのであれば、食前や食中の時刻を食事時間情報として設定しても大きな誤差とはならない。
【0062】
食事時間情報の設定では、タイマー40によって時刻が計測されていることから、該タイマー40の時刻に基づき、ユーザが操作ボタン38を操作することで、食事時間情報を適宜入力して、食事時間記憶領域52に記憶させることができる。また、モニタ装置16が時刻入力用の専用ボタンを備え、その専用ボタンを食事終了後に一回押すことで、その時刻を食事時間情報として自動的に設定するように構成してもよい。さらに、毎日食事する時刻が大体同じ時間帯である場合には、その食事時刻を食事時間記憶領域52に予め登録(記憶)しておいてもよい。この場合、朝食、昼食及び夕食等のように複数の食事時間情報を食事時間記憶領域52に記憶しておくこともできる。モニタ側制御部30は、タイマー40が計測する時刻と予め記憶した食事時間情報に基づき、食事時刻になる(又は近づく)と、ユーザに対し食事時刻であることを報知し、カーボ値の入力を促すように構成してもよい。
【0063】
この食事時間記憶領域52に記憶された食事時間情報は、モニタ側制御部30が血糖値のサンプリング間隔の設定を行う際に読み出されて、演算用データとして使用される。
【0064】
一方、食事データ設定部48は、ユーザの操作指示に基づいて入力された食事内容に基づく情報を食事データ記憶領域54に記憶(設定)させる。ここで、「食事内容に基づく情報」としては、本発明の前提において説明した食事内容毎の炭水化物の量を示すカーボ値が用いられる。
【0065】
すなわち、食事データ設定部48は、ユーザが操作ボタン38を操作することによって、カーボ値を数値データとして食事データ記憶領域54に記憶させる。この場合、ユーザによって1回の食事における食事内容(品目)毎のカーボ値が加算されて、合計値として食事データ記憶領域54に記憶される。また、モニタ装置16に計算機能(図示せず)を持たせておき、ユーザによって食事内容毎のカーボ値が入力されると、カーボ値の合計値を算出するようにしてもよい。さらに、食事内容毎のカーボ値を、食事時間記憶領域52に記憶される食事時間情報と関連付けて記憶させるようにしてもよい。この場合でも、モニタ側制御部30は、同じ時刻(時間帯)にとった食事内容(カーボ値)をまとめて読み出して加算することで、血糖値の変動状態を予測することができる。
【0066】
上述したように、モニタ側記憶部32のデータベース記憶領域58には、カーボ値データベース60が予め保存される。カーボ値データベース60とは、例えば、
図2に示すような食事内容毎にカーボ値が付与された複数のデータ群である。モニタ側制御部30は、ユーザの操作に基づき、このカーボ値データベース60を読み出して、表示パネル36に表示させる。これにより、ユーザは、表示されたカーボ値データベース60でカーボ値を確認しつつ、食事データ記憶領域54にカーボ値を入力していくことができる。
【0067】
カーボ値データベース60を用いた食事内容の表示方法としては、例えば、
図2に示す大きな分類(主食、ごはん類、めん類…等)を選択させ、さらに詳細な分類(ごはん、もち、食パン…等)を選択させていくツリー形式を採ること等が考えられる。
【0068】
また、食事データ設定部48は、ユーザがカーボ値を直接入力せずに、表示パネル36に表示された食事内容(カーボ値データベース60)をユーザによって選択させることで、この選択された食事内容のカーボ値を食事データ記憶領域54に記憶するように構成してもよい。この場合、表示パネル36としてタッチパネルを採用している場合は、カーボ値データベース60に登録されている複数の食事内容を、表示パネル36に表示しつつ、ユーザに選択させることができ、データ入力をより容易化することができる。
【0069】
モニタ側記憶部32(例えば、データベース記憶領域58)には、食事内容とカーボ値の他に、該食事内容に関連付けられた写真データが記憶されていてもよい。食事内容に関連付けられた写真データは、表示パネル36によって表示されることで、ユーザによる食事内容毎のカーボ値の入力(選択)を一層容易化することができる。
【0070】
また、サンプリング間隔設定部50は、食事時間設定部46が設定した食事時間情報、及び食事データ設定部48が設定したカーボ値を、食事時間記憶領域52及び食事データ記憶領域54からそれぞれ読み出して、血糖値のサンプリング間隔を設定する機能を有する。このサンプリング間隔設定部50が設定したサンプリング間隔情報は、サンプリング間隔記憶領域56に記憶される。
【0071】
ここで、本実施の形態に係る血糖値のサンプリング間隔は、データベース記憶領域58に記憶されるテーブル(サンプリング間隔データテーブル62)に基づいて設定される。サンプリング間隔データテーブル62は、カーボ値に対応した複数のパターンデータとして用意されるものである。
図6は、このサンプリング間隔のパターンデータの一例を概略的に示す説明図である。なお、
図6では、サンプリング間隔のパターンの理解を容易にするために、パターンデータを横棒グラフによって表しているが、データベース記憶領域58には、単純に数値データとして記憶すればよいことは勿論である。
【0072】
図6に示すように、サンプリング間隔データテーブル62では、複数(
図6中では3つ)のサンプリング間隔が設定される。具体的に、
図6中の斜線数が多いハッチングはサンプリング間隔が1分に設定され(以下、サンプリング間隔aともいう)、
図6中の斜線数が少ないハッチングはサンプリング間隔が5分に設定され(以下、サンプリング間隔bともいう)、
図6中のハッチングがない部分はサンプリング間隔が10分に設定される(以下、サンプリング間隔cともいう)。センサ12による血糖値の検出は、3つのサンプリング間隔a〜cが適宜組み合わされて、1つのパターンデータに構築され、該パターンデータに基づき実施される。
【0073】
サンプリング間隔データテーブル62は、カーボ値(一回の食事の合計値)の範囲が10以上、3〜10未満、3未満の3つに分けられ、これら3つの範囲に対応するように、3つのパターンデータ設定されている(以下、カーボ値の範囲順(10以上、3〜10未満、3未満)に対応して、第1〜第3パターンともいう)。このパターンデータは、食事時刻(食事時間情報)を基準(0ベース)とする時間量として設定されている。すなわち、
図6中の横軸の時間目盛は、食事時刻を基点に、食後1時間、食後2時間…、を表わしている。
【0074】
カーボ値の範囲が10以上である第1パターンは、5分のサンプリング間隔bが食事時刻(0時間)直後に開始され、30分後に1分のサンプリング間隔aに切り換わり、該サンプリング間隔aを90分間実施した後、再びサンプリング間隔bに切り換わって30分間実施し、その後10分のサンプリング間隔cを継続的に行うように構成される。すなわち、カーボ値が10以上の場合は、食後から比較的急に血糖値が上昇し、1時間程度でピーク値となることが想定される。よって、第1パターンでは、食後1時間前後の血糖値の変動率を精度よく検出するため、サンプリング間隔aの実施期間が、食後1時間を含むように設定される。
【0075】
一方、カーボ値の範囲が3〜10未満である第2パターンは、食事時刻(0時間)直後は10分のサンプリング間隔cが実施される。そして、食後1時間後に5分のサンプリング間隔bに切り換わって30分間実施し、次に1分のサンプリング間隔aに切り換わって60分間実施し、再びサンプリング間隔bに切り換わって30分間実施して、最後にサンプリング間隔cに戻って該サンプリング間隔cを継続的に行うように構成される。すなわち、カーボ値が3〜10未満の範囲では、食後は徐々に血糖値が上昇し、2時間程度でピーク値となることが想定される。よって、第2パターンでは、食後2時間前後の血糖値の変動率を精度よく検出するため、サンプリング間隔aの実施期間が、食後2時間を含むように設定される。
【0076】
また、カーボ値の範囲が3未満である第3パターンは、第2パターンと同様に、食事時刻(0時間)直後は10分のサンプリング間隔cが実施される。そして、食後1時間30分後に5分のサンプリング間隔bに切り換わって60分間実施し、その後再びサンプリング間隔cに戻って該サンプリング間隔cを継続的に行うように構成される。すなわち、カーボ値が3未満の範囲では、食後に血糖値がそれほど大きなピーク値とならず、血糖値の変化が比較的低い山形形状となることが想定される。よって、第3パターンでは、サンプリング間隔aを実施せずに、食後2時間前後にサンプリング間隔bを実施するように設定される。
【0077】
図5に戻り、モニタ装置16のサンプリング間隔設定部50は、サンプリング間隔データテーブル62のパターンデータ(第1〜第3パターン)の中からカーボ値に基づいて1つのパターンデータを選択する。そして、食事時間情報(食事時刻)に基づき、選択したパターンデータを時刻に換算し、血糖値のサンプリング間隔情報としてサンプリング間隔記憶領域56に記憶(設定)する。
【0078】
なお、サンプリング間隔設定部50は、ユーザの操作指示に基づきパターンデータを手動で変更してサンプリング間隔記憶領域56に記憶させてもよい。例えば、食事内容によってはカーボ値が分からない場合があり、カーボ値を利用してサンプリング間隔(パターンデータ)を設定できない可能性もある。このため、ユーザの操作指示によってサンプリング間隔を設定すれば、より汎用性を高めることができる。
【0079】
また、サンプリング間隔調整部51は、ユーザの操作指示に基づきサンプリング間隔データテーブル62に記憶されている血糖値のサンプリング間隔a〜cを変更する機能を有する。すなわち、本実施の形態に係る血糖値のサンプリング間隔a〜cは固定的なパラメータではなく、ユーザの操作によって調整可能となっている。
【0080】
例えば、
図6に示す1分のサンプリング間隔aは1分〜2分程度の範囲で、5分のサンプリング間隔bは3〜8分程度の範囲で、10分のサンプリング間隔cは8〜15分程度の範囲で、血糖値の検出時間の間隔を調整することが考えられる。このように、サンプリング間隔調整部51によって、血糖値のサンプリング間隔を調整することで、例えば、患者の状態(病状や運動の有無等)に応じてサンプリング数を調整することができ、自由度の高い血糖値の検出を実現できる。
【0081】
サンプリング間隔調整部51は、ユーザにより調整されたサンプリング間隔a〜cを、データベース記憶領域58に記憶(設定)することで、サンプリング間隔データテーブル62のパターンデータも同時に書き換える。これにより、カーボ値の利用によりパターンデータ(第1〜第3パターン)が選択された際に、調整されたサンプリング間隔が使用される。なお、サンプリング間隔の調整の範囲は上記に限定されないことは勿論である。
【0082】
モニタ装置16のモニタ側送受信モジュール34は、モニタ側制御部30の制御に基づき、サンプリング間隔記憶領域56に記憶されたサンプリング間隔情報(データ)を適時送受信装置14のセンサ側送受信モジュール26(
図4参照)に無線送信する。この場合、モニタ装置16は、タイマー40による時刻の計測に基づき、異なるサンプリング間隔に切り換えるタイミング(例えば、サンプリング間隔aからサンプリング間隔bに切り換える)で、サンプリング間隔情報を送受信装置14に送信する。
【0083】
図4に示すように、送受信装置14は、モニタ装置16からサンプリング間隔情報を受信すると、センサ側記憶部24にサンプリング間隔情報を記憶する。そして、センサ側制御部22は、このサンプリング間隔情報に基づき、血糖値のサンプリング間隔を変更して、センサ12による血糖値の検出を制御する。
【0084】
サンプリング間隔情報に基づき、検出された血糖値データは、送受信装置14のセンサ側記憶部24に一時的に記憶される。そして、センサ側制御部22は、センサ側送受信モジュール26を介して、モニタ装置16(モニタ側送受信モジュール34)に検出した血糖値データを送信する。この場合、センサ12が血糖値を検出する度に、その血糖値データを送受信装置14からモニタ装置16に送信してもよく、送受信装置14において血糖値データを複数記憶してまとめてモニタ装置16に送信してもよい。
【0085】
モニタ装置16は、血糖値データをモニタ側記憶部32の血糖値データ記憶領域64に記憶し、例えば、ユーザの操作に応じて、該血糖値を表示パネル36に表示させる。表示パネル36による血糖値の表示方法としては、血糖値データを数値データとして連続表示する、標本化グラフとして表示する、或いはサンプリング間隔と血糖値データから連続的(アナログ的)な血糖値を予測して血糖値の変動カーブを表示する等、色々な表示が考えられる。
【0086】
次に、モニタ装置16におけるサンプリング間隔の設定について具体的に説明していく。モニタ側制御部30は、制御プログラム44に従って処理を行うことで、上記の各設定部46、48を動作させ、ユーザが入力する各設定情報をモニタ側記憶部32の各領域52、54に記憶させる。サンプリング間隔設定部50(モニタ側制御部30)は、モニタ側記憶部32に記憶された食事時間情報とカーボ値(食事内容に基づく情報)に基づき、血糖値のピーク値付近の時間を比較的容易に割り出すことができる。
【0087】
具体的には、サンプリング間隔設定部50は、食事データ記憶領域54から食事時間情報に対応したカーボ値を読み出す。この際、カーボ値が食事内容毎に別々に記憶されている場合は、これらのカーボ値を全て加算して、カーボ値の合計値を求める。なお、カーボ値が合計値として食事データ記憶領域54に記憶されている場合は、その値を単純に読み出す。
【0088】
次に、サンプリング間隔設定部50は、データベース記憶領域58に予め保存されているサンプリング間隔データテーブル62を読み出す。そして、サンプリング間隔データテーブル62に登録されている第1〜第3パターンの中からカーボ値(合計値)に対応したいずれかのパターンデータを選択する。その後、食事時間記憶領域52から食事時間情報を読み出し、設定されている食事時刻にパターンデータの0ベースを合わせて、時刻に基づく血糖値のサンプリング間隔情報をサンプリング間隔記憶領域56に記憶(設定)する。
【0089】
血糖モニタシステム10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にこの血糖モニタシステム10の動作及び効果について説明する。
図7は、本実施の形態に係る血糖モニタシステム10による血糖値の測定動作の一例を示すフローチャートであり、
図8は、本実施の形態に係る血糖モニタシステム10によるサンプリング間隔の処理動作を示すフローチャートである。
【0090】
本実施の形態に係る血糖モニタシステム10を用いて血糖値を測定する場合は、まず医師や看護師が患者(ユーザ)の所定の測定箇所(例えば、脇腹や上腕等)にセンサ12及び送受信装置14を取り付ける。この場合、センサ12の穿刺針をユーザの皮下に穿刺して、ユーザの血液をセンサ12の接触面12aに導くようにセットする。これにより、血糖モニタシステム10は、機械的な装置の設置が完了し、血糖値の測定が可能となる。
【0091】
装置の設置完了後、医師や看護師によって、血糖モニタシステム10の電源(センサ側電源28、モニタ側電源42)がオンされ、センサ12、送受信装置14及びモニタ装置16が起動される(ステップS10)。
【0092】
次に、モニタ装置16を介して、血糖モニタシステム10による血糖値の測定の初期設定が行われる(ステップS11)。この初期設定では、モニタ装置16において、食事時刻を含まない通常状態における血糖値のサンプリング間隔の設定がなされ、この初期設定のサンプリング間隔情報が送受信装置14に送信される。本実施の形態では、通常状態のサンプリング間隔が10分(
図6に示すサンプリング間隔cと同じ間隔)に設定される。一方、送受信装置14は、センサ側制御部22が、センサ側記憶部24から血糖値の測定用のプログラムとサンプリング間隔情報を読み出して、センサ12による血糖値の検出を可能とする。
【0093】
初期設定後、センサ側制御部22の制御に基づき、センサ12によるユーザの血糖値の検出が開始される(ステップS12)。
【0094】
この際、血糖モニタシステム10は、送受信装置14において、モニタ装置16からサンプリング間隔情報の変更指示があるか否かを判別し(ステップS13)、サンプリング間隔情報の変更指示がある場合は、ステップS14に進み、変更指示がない場合は、ステップS14を飛ばしてステップS15に進む。
【0095】
ステップS14では、モニタ装置16から送受信装置14に対してサンプリング間隔情報の送信がなされ、センサ側制御部22によって血糖値のサンプリング間隔の変更が実施される。この場合、モニタ装置16においては、既にカーボ値に基づくパターンデータの選択(設定)が実施済みである。
【0096】
次に、センサ12によって血糖値の検出を行い、検出した血糖値データをセンサ側記憶部24に記憶する(ステップS15)。血糖値の検出においては、センサ側制御部22が、内部タイマーによってサンプリング間隔情報に基づくカウントを行い、所定のカウントとなった場合に、センサ12の発光素子に電力供給を行い、測定光を照射してユーザの血糖値を光学的に測定する。
【0097】
次に、血糖モニタシステム10は、センサ側記憶部24に記憶した血糖値データを、センサ側及びモニタ側送受信モジュール26、34を介して、モニタ装置16に送信する(ステップS16)。この血糖値データは、モニタ側記憶部32の血糖値データ記憶領域64に記憶される。
【0098】
次に、血糖値の検出を終了するか否かが判別され(ステップS17)、血糖値の検出を継続する場合は、ステップS13に戻り、再びステップS13〜S16までの処理が実施される。
【0099】
一方、血糖値の検出を終了する場合は、ステップS18において、電源のオフがなされ、センサ12、送受信装置14及びモニタ装置16の起動が停止される(ステップS18)。
【0100】
以上のように、血糖モニタシステム10は設定されたサンプリング間隔に基づき血糖値の測定を行うことができる。なお、モニタ装置16による血糖値の表示、すなわち測定結果の確認は、血糖値の検出とは無関係に、血糖値の測定中及び測定終了時に、医師や看護師、ユーザの操作によって自在に行うことができる。
【0101】
次に、食事をとった場合における血糖値のサンプリング間隔の設定処理フローについて説明する。
図8に示すように、モニタ装置16は、設定開始前は待機モードとされている(ステップS20)。この待機モードでは、モニタ装置16内のうち、送受信装置14から血糖値データを受信し記憶する機能、及びタイマー40の時刻計測機能が低電力駆動されて、センサ12が検出した血糖値データを継続的に記憶している。
【0102】
ユーザが食事をとると、ユーザによってモニタ装置16が操作され、制御プログラム44によって動作するモニタ側制御部30により、サンプリング間隔の設定モードが開始される(ステップS21)。この場合、表示パネル36には、サンプリング間隔の設定用案内画面が表示される。
【0103】
そして、モニタ側制御部30は、食事時間情報を入力(設定)させる時刻入力用の画面を表示パネル36に表示させる(ステップS22)。ユーザから食事時間情報が入力されると、食事時間設定部46を介して、食事時間記憶領域52に該食事時間情報が記憶される。
【0104】
次に、モニタ側制御部30は、カーボ値(食事内容に基づく情報)を入力(設定)させるカーボ値入力用の画面を表示パネル36に表示させる(ステップS23)。カーボ値の入力においては食事内容毎に個々にカーボ値が入力されて、食事データ設定部48を介して、食事データ記憶領域54に食事内容毎のカーボ値が複数記憶される。この際、複数のカーボ値は食事時間情報に関連付けられて記憶される。なお、既述したように、一回の食事におけるカーボ値の合計値がユーザによって入力されてもよい。
【0105】
次に、モニタ側制御部30(サンプリング間隔設定部50)は、食事時間情報に関連付けられている複数のカーボ値を読み出して加算し、該カーボ値の合計値に基づき、血糖値のサンプリング間隔のパターンデータを設定する(ステップS24)。この際、データベース記憶領域58に保存されるサンプリング間隔データテーブル62を読み出し、該サンプリング間隔データテーブル62に登録されているパターンデータ(第1〜第3パターン)を選択する。
【0106】
その後、モニタ側制御部30は、食事時間記憶領域52に記憶されている食事時間情報を読み出し、選択したパターンデータの0ベースを該食事時刻に合わせ、サンプリング間隔情報としてサンプリング間隔記憶領域56に記憶(設定)する(ステップS25)。
【0107】
そして、モニタ側制御部30は、タイマー40の時刻計測に基づき、送受信装置14にサンプリング間隔情報を送信するか否かを判別する(ステップS26)。この場合、モニタ側制御部30は、設定したサンプリング間隔情報(パターンデータ)に含まれる実施期間の情報(時刻)と現在時刻を比較し、現在のサンプリング間隔と異なるサンプリング間隔に切り換わるか否かを判別し、切り換わる場合はステップS27に進み、切り換わらない場合は該判別を継続する。
【0108】
ステップS27では、新たなサンプリング間隔情報をモニタ装置16から送受信装置14に送信する。
【0109】
送受信装置14は、モニタ装置16からサンプリング間隔情報を受信すると、センサ側制御部22が該サンプリング間隔情報に基づき、血糖値のサンプリング間隔を変更する(ステップS28)。そして、センサ側制御部22は、変更したサンプリング間隔に基づき、センサ12による血糖値の検出を実施する。
【0110】
なお、モニタ装置16と送受信装置14間で送受信するデータの内容は、上記のようにサンプリング間隔が切り換わる毎に、サンプリング間隔情報を送信するだけでなく種々の態様を採り得ることは勿論である。
【0111】
例えば、血糖モニタシステム10は、モニタ装置16がカーボ値に基づき設定したパターンデータ(複数種類のサンプリング間隔が組み合わされた情報)をそのまま送受信装置14に送信してセンサ側記憶部24に該パターンデータを記憶させてもよい。センサ側制御部22は、記憶されたパターンデータを用いて血糖値を検出することがきる。また、送受信装置14が内部に時刻を計測するタイマー(図示せず)を備えることで、このタイマーの時刻計測に従って異なるサンプリング間隔を切り換えることが可能となり、パターンデータに沿った血糖値のサンプリングを行うことができる。このように、モニタ装置16からパターンデータを1回送信するだけで、設定されたサンプリング間隔で血糖値を検出できるので、データの送受信が簡易化される。
【0112】
以上のように、本実施の形態に係る血糖モニタシステム10は、血糖値の測定結果を表示するモニタ装置16によって、カーボ値を利用したサンプリング間隔の設定変更を容易に行って、センサ12による血糖値のサンプリング間隔を変更することができる。
【0113】
次に、血糖値のサンプリング間隔の変更の具体例として、ユーザが昼食時にカレーライスを選び、13時に食べ終えた場合について説明する。
図9Aは、具体例に係る血糖値の変動カーブの一例を示すグラフであり、
図9Bは、本血糖モニタシステム10を用いて血糖値のサンプリング間隔を変更した場合に、
図9Aの変動カーブから得られる血糖値データの標本グラフである。なお、
図9Bに示す血糖値のサンプリング間隔は概略的に示しており、実際のサンプリング間隔とは異なる。
【0114】
ユーザが上記のように食事をとった場合は、上述したサンプリング間隔の設定フロー(
図8参照)に従って所定の処理が行われる。すなわち、ユーザの操作により、食事時間情報として13時が食事時間記憶領域52に設定(記憶)され、一回の食事のカーボ値データとして14(
図2参照)が食事データ記憶領域54に設定される。モニタ側制御部30は、この2つの情報(食事時間情報及び食事内容に基づく情報)が関連するように入力されると、血糖値のサンプリング間隔(パターンデータ)の設定を行う。この場合、カレーライスのカーボ値が14であることから、
図6に示すサンプリング間隔データテーブル62を参照して第1パターンを選択する。そして、食事時間記憶領域52から読み出した13時(食事時間情報)に第1パターンの0ベースを合わせて、時刻に基づく血糖値のサンプリング間隔情報をサンプリング間隔記憶領域56に記憶(設定)する。
【0115】
送受信装置14には、モニタ装置16から第1パターンに応じたサンプリング間隔情報が送信され、該サンプリング間隔情報に基づき血糖値の検出を行う。すなわち、13時〜13時30分の間は、5分のサンプリング間隔bで検出し、13時30分〜15時の間は、1分のサンプリング間隔aで検出し、15時〜15時30分の間は、再び5分のサンプリング間隔bで検出し、15時30分以降は、10分のサンプリング間隔cで検出する。
【0116】
カーボ値が14というように高い場合は、炭水化物が時間をかけずに血糖化されることが想定されるため、血糖値が急激に上昇して食後1時間程度(14時前後)で最も高いピーク値付近を示す変動カーブが予測される。血糖モニタシステム10は、この変動率が大きい期間の血糖値について、サンプリング間隔を短くしサンプリング数を多くすることで、血糖値のピーク値付近の変動状態(変動カーブ)を精度よく捉えることができる。
【0117】
以上のように、本実施の形態に係る血糖モニタシステム10によれば、サンプリング間隔設定部50がカーボ値を用いて、センサ12のサンプリング間隔を設定することで、食後に血糖値が大きく変動する期間では、サンプリング間隔を短くして血糖値のサンプリング数を増やし、血糖値の変動が小さい期間ではサンプリング間隔を長くすることで血糖値のサンプリング数を減らすことができる。これにより、変動率が大きい期間の血糖値を正確に捉えることが可能になるとともに、血糖値の変動率が小さい期間では検出回数を減らして検出結果の処理負荷を軽減し、電力消費量を低減することができる。特に、サンプリング間隔に基づき電力を供給する光学的測定方法では、センサ12側の電力消費量を大幅に低減することができる。すなわち、血糖値の変動状態を効率的にモニタリングして、血糖管理を良好に実施することができる。
【0118】
この場合、食事時間情報に基づきセンサ12のサンプリング間隔を適時変更することで、食後に血糖値が上昇し、ピーク値付近の前後所定時間の変動率が大きい血糖値を、短いサンプリング間隔で検出することが可能となり、血糖管理に重要な期間のモニタリング精度を向上することができる。
【0119】
また、表示パネル36によってカーボ値データベース60を表示することで、ユーザは、表示された食事内容に基づくカーボ値を容易に利用することができる。この場合、食事データ設定部48は、表示パネル36が表示した食事内容が選択されることで、カーボ値を設定するようにすれば、ユーザは、食事内容の選択だけで、カーボ値を利用することができる。従って、ユーザ自身が食事内容をカーボ値に換算する作業を省略することが可能となり、血糖値のサンプリング間隔をより簡単に設定することができる。
【0120】
さらに、カーボ値の合計値に基づき複数のパターンデータから1つを選択することで、カーボ値に基づくパターンデータに沿って簡単にサンプリング間隔を変更することができる。また、血糖値の変動率が大きいピーク値の前後所定時間に対し、1つのパターンデータのうち最も短いサンプリング間隔を合わせて血糖値を検出することもできる。
【0121】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。