(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように従来の充電器では、変圧器の2次側の制御ICは、充電制御等の制御を行うための電源電圧を、2次側の補助巻線から整流させて得ている。この2次側の補助巻線は、変圧器の1次巻線と同じ巻方向を取っていることにより、1次巻線への入力電圧によって、2次側の補助巻線の出力電圧が変動する。すなわち、1次巻線11への入力電圧が高いと、2次側の補助巻線14の出力電圧も高くなり、1次巻線11への入力電圧が低いと、2次側の補助巻線14の出力電圧も低くなる。そのため、入力電圧が高い場合には、2次側の補助巻線の電圧も高くなり、2次側の制御ICの定格電圧を超えてしまい、破損させる虞があった。
【0006】
そこで、従来技術では、2次側の補助巻線に制御ICとの接続ポイントとなるタップを複数設け、タップの切り替えにより2次側の補助巻線の巻数を変更する。例えば、入力電圧が低い場合には巻数を多く巻いたタップに接続して制御ICへの電源供給を賄い、入力電圧が高い場合には、制御ICの定格電圧を超えないように巻数を少なく巻いたタップに接続して制御ICの電源供給を賄っている。
【0007】
ここで、タップの切り替えは、各タップと基板パターン間を繋ぐためのジャンパー線をそれぞれ予め用意しておき、仕向地で要求される入力電圧の高低によって必要なジャンパー線にて導通させる方法を採っていた。つまり、充電器の生産の段階で、仕向地別に予めジャンパー線を物理的に接続して導通させておく必要があった。そのため、基板アッシーを仕向地別に分けて生産しておく必要があり、生産性の悪化及び生産コストの増加を招いていた。
【0008】
また、上記のような問題は、充電器に限らず、2次側の補助巻線から電源電圧の供給を受けて駆動する制御回路を有するスイッチング電源装置にも当てはまるものである。
【0009】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、入力電圧の高低によって2次側の制御ICへの電源電圧を切り換え可能であり、2次側の制御ICの保護を図りつつ、仕向地別に分けて生産する必要のないスイッチング電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のスイッチング電源装置は、次の構成を備えることを特徴とする。
(1)1次巻線と、2次巻線と、前記2次巻線側に設けられ、前記1次巻線と巻方向が同じにされたタップを有する補助巻線と、を備えた変圧器。
(2)
1次巻線と接続され、1次巻線への入力電圧を制御するスイッチング素子。
(3)補助巻線の高圧側端部及びタップと接続され、補助巻線から電源電圧の供給を受けて駆動し、2次巻線に接続された負荷の情報を受け付け、当該情報に基づいて制御信号を生成する2次側制御回路。
(4)2次側制御回路と絶縁
され、前記スイッチング素子を介して前記1次巻線と接続され、2次側制御回路から受け付けた制御信号に基づいてスイッチング素子の時比率を制御する1次側制御回路。
(5)補助巻線の両端部間の電圧をモニタリングする電圧モニタ回路。
(6)補助巻線の高圧側端部と2次側制御回路との間に
電圧モニタ回路と直接接続されて設けられ、補助巻線の高圧側端部及び2次側制御回路間の導通と遮断とを切り換えるスイッチ回路。
(7)
電圧モニタ回路は、補助巻線の両端部間の電圧が所定電圧以上である場合にスイッチ回路と導通し、スイッチ回路は、
電圧モニタ回路との導通により補助巻線の高圧側端部及び2次側制御回路間を遮断すること。
【0011】
本発明のスイッチング電源装置は、次の構成を備えるようにしても良い。
(
8)スイッチ回路は、MOSFET及びトランジスタを有し、電圧モニタ回路が所定電圧以上の電圧を検出すると、トランジスタがオンになり、補助巻線の高圧側端部及び
2次側制御回路間を遮断するようにMOSFETがオフになること。
(
9)電圧モニタ回路は、ツェナーダイオードを有し、スイッチ回路は、抵抗を有し、ツェナーダイオードは、補助巻線の両端部間と並列に、カソードが補助巻線の高圧側端部側になり、アノードが補助巻線の低圧側端部側になるように設けられ、MOSFETは、ソースが補助巻線の高圧側端部に接続され、ドレインが
2次側制御回路に接続され、抵抗は、MOSFETのソース及びゲート間に並列に接続され、トランジスタは、ベースがツェナーダイオードのカソードに接続され、エミッタ及びコレクタ間がMOSFETのソース及びゲート間に並列に接続されていること。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、入力電圧の高低によって2次側の制御ICへの電源電圧を切換可能であり、仕向地別に分けて生産する必要のないスイッチング電源装置を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態のスイッチング電源装置について、一例として充電装置について説明するが、これに限定されない。本スイッチング電源装置は、例えばACアダプタ等にも適用可能である。
【0015】
[1.第1の実施形態]
[1−1.構成]
図1は、本実施形態に係る充電装置の全体構成を示す図である。まず、本充電装置について概略的に説明し、次いで、詳細な構成を説明する。
【0016】
本充電装置は、電気機器が駆動源として用いる二次電池(バッテリ)の充電を行うものである。本充電装置は、変圧器10と、充電制御回路20と、電圧モニタ回路30と、スイッチ回路40と、を備えている。
【0017】
変圧器10は、外部電源から供給された電圧を変圧し、充電装置に接続された二次電池に電力供給する。変圧器10は、外部電源に接続される1次巻線11と、二次電池と接続される2次巻線12と、2次巻線12側に設けられた補助巻線14(以下、2次側の補助巻線14ともいう。)と、を備えている。変圧器10は、外部電源から供給される1次巻線11への入力電圧を変圧し、充電させるため2次巻線12に接続された二次電池に電力供給する。
【0018】
2次側の補助巻線14は、二次電池の充電を制御する充電制御回路20の駆動用電源電圧を供給するものである。2次側の補助巻線14は、1次巻線11と巻方向が同じにされており、高圧側端部14aと、低圧側端部14bと、その両端部14a、14bの間に設けられたタップ14cとを有する。低電圧側端部14bの電位を基準にすると、両端部14a、14b間の電圧が、タップ14c及び低電圧側端部14b間の電圧より高くなるようになっている。
【0019】
充電制御回路20は、補助巻線14の高圧側端部14a及びタップ14cと接続されており、高電圧側端部14aからの高電圧の電源電圧又はタップ14cからの低電圧の電源電圧の供給を受けて駆動する。その駆動用電源電圧の供給により、充電制御回路20は、二次電池の充電量等の情報に基づいて、二次電池への充電をフィードバック制御する。
【0020】
充電制御回路20への電源電圧の切り換えには、電圧モニタ回路30とスイッチ回路40とが用いられる。すなわち、電圧モニタ回路30は、2次側の補助巻線14の両端部14a、14b間の電圧をモニタリングする。スイッチ回路40は、電圧モニタ回路30が所定電圧以上を検出した場合に、充電制御回路20への電源電圧の供給をタップ14cからの低電圧に切り換え、両端部14a、14b間の所定電圧未満である場合には、充電制御回路20への電源電圧の供給を高電圧側端部14aからの高電圧に切り換える。
【0021】
次に、本充電装置の詳細な構成を説明する。変圧器10は、前述の1次巻線11、2次巻線12、及び2次側の補助巻線14の他に、1次巻線11側に設けられた補助巻線13(以下、1次側の補助巻線13ともいう。)を備えている。
【0022】
図1に示すように、1次巻線11には、外部電源から供給された電圧を整流及び平滑化する整流・平滑回路61と、1次巻線11への入力電圧を制御するトランジスタ(FET)62とが接続されている。トランジスタ(FET)62は半導体スイッチング素子である。1次側の補助巻線13には、トランジスタ62と接続されたスイッチング制御IC63が設けられており、スイッチング制御IC63が1次側の補助巻線13から電源電圧供給を受けて、1次巻線11への入力電圧の制御のため、トランジスタ(FET)62のオン・オフの時比率を制御する。
【0023】
2次巻線12には、ダイオード66が接続されており、2次巻線12からの出力電圧を整流する。2次巻線12の両端部間には、整流された2次巻線12からの出力電圧を直流化するコンデンサ67が接続されている。これにより、充電装置に接続された二次電池には直流電圧が供給される。
【0024】
2次側の補助巻線14は、1次巻線11の巻方向と同方向に巻回されており、1次巻線11と同一極性となる。この補助巻線14は、前述のように、高電圧側端部14aと、低電圧側端部14bと、その両方の間に設けられたタップ14cと、を有している。補助巻線14の低電圧側端部14bは図示していないが接地されており、高電圧側端部14aの方が低電圧側端部14bより高電位となる。また、2次側の補助巻線14の両端部14a、14b間の巻数をN1とし、2次側の補助巻線14の低電圧側端部14bとタップ14c間の巻数をN2とすると、N1>N2の関係にある。従って、両端部14a、14b間の電圧は、タップ14c及び低電圧側端部14b間の電圧より高電圧になる。換言すると、低電圧側端部14bを基準電位とすると、タップ14cからの出力電圧は、高電圧側端部14aからの出力電圧より低くなる。また、タップ14cは、スイッチ回路40よりも充電制御回路20側の接続ポイント14dに接続されている。
【0025】
充電制御回路20は、マイコンであり、二次電池の充電を制御する。充電制御回路20は、2次側の補助巻線14の高電圧側端部14a及びタップ14cに接続されており、その何れかから電源電圧の供給を受けて駆動する。
【0026】
充電制御回路20は、予め充電装置に設けられた二次電池の種類検知部、充電量測定部、及び二次電池の温度検出部から、二次電池の種類、充電量及び温度の情報を受け付け、入力電圧をフィードバック制御する。すなわち、充電制御回路20は、2次巻線12側に設けられたフォトカプラ64と接続されており、受けた情報に基づいて充電を制御するための制御信号を出力する。この制御信号としては、最適な充電電流にする信号や、二次電池の異常が検知された場合には充電を停止させる信号が挙げられる。フォトカプラ64は、入力された制御信号を光信号に変換し、1次巻線11側に設けられた対となるフォトカプラ65に出力する。フォトカプラ65は入力された光信号を電気信号に変換し、充電を制御する制御信号としてスイッチング制御IC63に出力する。
【0027】
なお、充電制御回路20には、二次電池へ流す電流を定電流に制御する定電流制御回路や、二次電池へ印加する電圧を定電圧にする定電圧制御回路を別途並列に設けるようにしても良い。これらの回路が出力する制御信号も一対のフォトカプラ64、65を介してスイッチング制御IC63に入力するようにしても良い。
【0028】
電圧モニタ回路30は、2次側の補助巻線14の両端部14a、14b間と並列に設けられており、両端部14a、14b間の電圧をモニタリングする。具体的には、電圧モニタ回路30は、ツェナーダイオード31を有する。ツェナーダイオード31は、両端部14a、14b間と並列に、カソード側が巻線14の高圧側端部14a側に、アノード側が巻線14の低圧側端部14b側に向けて設けられている。ツェナーダイオード31は、所定電圧以上印加されると導通する降伏電圧を有している。従って、巻線14の両端部14a、14b間に印加された電圧が降伏電圧未満である場合、ツェナーダイオード31は導通しない。一方、巻線14の両端部14a、14b間に降伏電圧以上の電圧が印加された場合、ツェナーダイオード31は導通する。この導通及び非導通は、電圧モニタ回路30と接続されたスイッチ回路40へ通知される。
【0029】
スイッチ回路40は、
図1に示すように、巻線14の高電圧側端部14a及び充電制御回路20間、より詳細には高電圧側端部14a及び接続ポイント14d間に設けられており、充電制御回路20への電源電圧の供給を、2次側の補助巻線14の高圧側端部14aから供給するか、タップ14cから供給するかを切り換える。すなわち、スイッチ回路40は、電圧モニタ回路30と接続されており、電圧モニタ回路30が検出する電圧が所定の電圧値未満の場合に、高圧側端部14a及び充電制御回路20間を導通させ、高圧側端部14aから充電制御回路20の電源電圧を供給する。一方、電圧モニタ回路30が検出した電圧が所定の電圧値以上の場合に、高圧側端部14a及び充電制御回路20間を遮断させ、タップ14cから接続ポイント14dを介して充電制御回路20の電源電圧を供給する。
【0030】
より詳細な構成について説明すると、スイッチ回路40は、スイッチ41と、トランジスタ42と、抵抗43、45と、を有している。スイッチ41は、半導体スイッチ(MOSFET)であり、2次側の補助巻線14の高圧側端部14aと充電制御回路20との間に設けられており、補助巻線14の高圧側端部14aと充電制御回路20との間の導通と遮断とを切り換える。より詳細には、MOSFETは、ソースが高圧側端部14aに接続され、ドレインが後述の降圧回路50と接続されている。また、MOSFETのゲートは、抵抗44を介して2次側の補助巻線14の低圧側端部14bと接続されている。
【0031】
トランジスタ42は、例えばPNP型のトランジスタであり、ベースがツェナーダイオード31のカソードに接続され、エミッタ及びコレクタ間がMOSFETのソース及びゲート間に並列に接続されている。トランジスタ42は、ツェナーダイオード31が導通すると、ベースに電圧が印加され、エミッタ及びコレクタ間が導通する。抵抗45は、トランジスタ42のベース及びエミッタ間に接続されており、ツェナーダイオード31が導通すると、トランジスタ42がオンになる閾値以上の電位差を発生させる。抵抗43は、スイッチ41となるMOSFETのソース及びゲート間に並列に接続されている。抵抗43に電流が流れると、抵抗43分の電圧降下が生じる。
【0032】
スイッチ回路40と充電制御回路20との間には、高圧側端部14a又はタップ14cからの出力電圧を降圧する降圧回路50が設けられており、充電制御回路20で使用するために例えば12Vから5Vへと、入力される電圧を降圧し定電圧にする。降圧回路50は、三端子レギュレータであり、入力側の端子が2次側の補助巻線14と接続され、出力側の端子が充電制御回路20と接続され、接地側の端子が接地され低圧側端部14bと接続されている。
【0033】
[1−2.作用]
本実施形態の充電装置の動作を説明する。
図2は、本実施形態の充電装置の動作フローチャートである。なお、前提として、充電装置の2次巻線12側の端子間に予め二次電池が接続されているものとする。
【0034】
まず、外部電源が整流・平滑回路61を介して変圧器10の1次巻線11に接続され、外部電源を動作させると(ステップS01)、1次巻線11に電力供給され、入力電圧が印加されると(ステップS02)、2次巻線12及び2次側の補助巻線14が誘起されることにより変圧された電圧がそれぞれ出力され、二次電池及び充電制御回路20へ電源電圧が供給される。すなわち、2次巻線12からの出力電圧は、ダイオード66及びコンデンサ67により整流及び直流化されて端子間に接続された二次電池に印加され、二次電池の充電が開始される。一方、2次側の補助巻線14からの出力電圧は、降圧回路50を介して充電制御回路20へ印加されることになる。
【0035】
ここで、2次側の補助巻線14から充電制御回路20への電源電圧の供給について詳細に説明する。前述のように、2次側の補助巻線14の巻方向は、1次巻線11の巻方向と同方向であるため、1次巻線11への入力電圧によって、2次側の補助巻線14の出力電圧が変動する。すなわち、1次巻線11への入力電圧が高いと、2次側の補助巻線14の出力電圧も高くなり、1次巻線11への入力電圧が低いと、2次側の補助巻線14の出力電圧も低くなる。
【0036】
入力電圧が低く、電圧モニタ回路30に印加される電圧、すなわち2次側の補助巻線14の両端部14a、14b間の電圧が、ツェナーダイオード31の降伏電圧よりも小さい場合は(ステップS03のNo)、ツェナーダイオード31は導通せず、スイッチ41であるMOSFETはオンとなる(ステップS04)。すなわち、スイッチ41となるMOSFETと並列に接続された抵抗43に電圧が印加されることで電圧降下が生じ、MOSFETのソース及びドレイン間に電位差が生じることにより、スチッチ41に電流が流れる。
【0037】
スイッチ41がオンである場合、2次側の補助巻線14の出力電圧は、補助巻線14の両端部14a、14b間の電圧となり、高圧側端部14aから出力され、降圧回路50へ入力される(ステップS05)。降圧回路50は、この2次側の補助巻線14の高圧側端部14aからの出力電圧を降圧して(ステップS06)、電源電圧を充電制御回路20に供給する(ステップS07)。
【0038】
一方、入力電圧が高く(ACIN200V系)、電圧モニタ回路30に印加される電圧、すなわち2次側の補助巻線14の両端部14a、14b間の電圧が、ツェナーダイオード31の降伏電圧以上である場合は(ステップS03のYes)、ツェナーダイオード31は導通し、スイッチ41であるMOSFETはオフとなる(ステップS08)。すなわち、ツェナーダイオード31は導通することで、トランジスタ42のエミッタ及びベース間の抵抗45に電位差が発生し、トランジスタ42がオンになり、トランジスタ42のエミッタ側からコレクタ側に電流が流れる。この時、トランジスタ42のエミッタ側及びコレクタ側が同電位となるので、MOSFETのソース及びゲート間も同電位となり、スイッチ41であるMOSFETはオフになる。なお、トランジスタ42の電圧降下の程度ではスイッチ41はオンにならない。
【0039】
スイッチ41がオフである場合、2次側の補助巻線14の出力電圧は、タップ14c及び低電圧側端部14b間の電圧となり、タップ14cから出力され、降圧回路50に入力される(ステップS09)。降圧回路50は、2次側の補助巻線14のタップ14cからの出力電圧を降圧して(ステップS10)、電源電圧を充電制御回路20に供給する(ステップS11)。
【0040】
充電制御回路20は、降圧回路50を介して高圧側端部14aからの高電圧、又はタップ14cからの低電圧を受けて駆動し、充電を制御する(ステップS12)。すなわち、二次電池の充電量や温度等の情報を受け取り、これらの情報に基づいて充電を制御するための制御信号を生成し、2次側に設けられたフォトカプラ64に出力する。フォトカプラ64は、入力された制御信号を光信号に変換し、1次側に設けられたフォトカプラ65に出力する。フォトカプラ65は入力された光信号を電気信号に変換し、充電を制御する制御信号としてスイッチング制御IC63に出力する。スイッチング制御IC63は、制御信号に基づいてトランジスタ(FET)62の時比率を制御し、1次巻線11への入力電圧を制御する。二次電池が所定の充電量になるまでステップS12を繰り返し(ステップS13のNo)、所定の充電量に達したら(ステップS13のYes)、充電を終了する。
【0041】
[1−3.効果]
(1)本実施形態の充電装置は、1次巻線11と、2次巻線12と、2次巻線12側に設けられ、1次巻線11と巻方向が同じにされたタップ14cを有する補助巻線14と、を備えた変圧器10と、2次側の補助巻線14の高圧側端部14a及びタップ14cと接続され、2次側の補助巻線14から電源電圧の供給を受けて駆動する充電制御回路20と、2次側の補助巻線14の両端部14a、14b間の電圧をモニタリングする電圧モニタ回路30と、2次側の補助巻線14の高圧側端部14aと充電制御回路20との間に設けられ、2次側の補助巻線14の高圧側端部14a及び充電制御回路20間の導通と遮断とを切り換えるスイッチ回路40と、を備え、スイッチ回路40は、電圧モニタ回路30と接続され、当該回路30が所定電圧以上の電圧を検出した場合に、2次側の補助巻線14の高圧側端部14a及び充電制御回路20間を遮断するようにした。
【0042】
これにより、入力電圧が高く、2次側の補助巻線14の両端部14a、14b間の電圧が所定の電圧以上になった場合に、上端部14aからは充電制御回路20へ電圧供給されなくなり、巻数の少ないタップ14cから充電制御回路20に低電圧が供給される。一方、入力電圧が低く、2次側の補助巻線14の両端部14a、14b間の電圧が所定の電圧未満であった場合、高圧側端部14aから充電制御回路20へ電圧供給される。
【0043】
従って、入力電圧の高低に応じて2次側の充電制御回路20への電源電圧を切り換え可能であり、充電制御回路20の保護を図りつつ、仕向地別に分けて生産する必要のない充電装置を得ることができる。換言すれば、入力電圧の高低による2次側の充電制御回路20の保護を図りつつも、入力のマルチ化を図ることができる。
【0044】
また、電圧モニタ回路30とスイッチ回路40が2次巻線12側に設けられていることにより、1次巻線11側に設ける場合と比べて、充電制御回路20へ印加される電源電圧をより正確に検出することができるので、充電制御回路20の保護をより万全にすることができる。
【0045】
(2)スイッチ回路40は、MOSFET及びトランジスタ42を有し、電圧モニタ回路30が所定電圧以上の電圧を検出すると、トランジスタ42がオンになり、補助巻線14の高圧側端部14a及び充電制御回路20間を遮断するようにMOSFETがオフになるようにした。これにより、補助巻線14の両端部14a、14b間の電圧のモニタリングと補助巻線14の高圧側端部14a及び充電制御回路20間の導通・遮断の切り換えをリンクすることができる。
【0046】
(3)電圧モニタ回路30は、ツェナーダイオード31を有し、スイッチ回路40は、抵抗43を有し、ツェナーダイオード31は、2次側の補助巻線14の両端部14a、14b間と並列に、カソードが2次側の補助巻線14の高圧側端部14a側になり、アノードが2次側の補助巻線14の低圧側端部14b側になるように設けられ、MOSFETは、ソースが2次側の補助巻線14の高圧側端部14aに接続され、ドレインが充電制御回路20に接続され、抵抗43は、MOSFETのソース及びゲート間に並列に接続され、トランジスタ42は、ベースがツェナーダイオード31のカソードに接続され、エミッタ及びコレクタ間がMOSFETのソース及びゲート間に並列に接続されようにした。
【0047】
これにより、ツェナーダイオード31が導通することで、トランジスタ42のエミッタ及びベース間に電圧が印加されてトランジスタ42のエミッタ及びコレクタ間が導通する。ここで、トランジスタ42のエミッタ及びコレクタ間はMOSFETのソース及びゲート間に並列に接続されているので両者は同電位となる。したがって、MOSFETのゲートに電圧が印加されないのでMOSFETはオフとなり、スイッチ回路40がオフとなる。このように、簡易な構成により、入力電圧に応じた電源電圧を供給することができる。
【0048】
[2.他の実施形態]
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。以下は、その一例である。
【0049】
(1)第1の実施形態では、電圧モニタ回路30をツェナーダイオード31により構成したが、下記の変形例1、2のように、シャントレギュレータや、オペアンプ/コンパレータを用いて構成するようにしても良い。なお、電圧モニタ回路以外の構成は、第1の実施形態と同様であり、その動作も同様であるので、電圧モニタ回路以外の構成及び動作の説明は省略する。
【0050】
(変形例1)
変形例1では、電圧モニタ回路30aをシャントレギュレータにより構成する。すなわち、
図3に示すように、電圧モニタ回路30aは、シャントレギュレータ32と、抵抗33、34とを有する。抵抗33、34は、補助巻線14の両端部14a、14b間に直列に接続されており、両端部14a、14b間を分圧する。シャントレギュレータ32は、リファレンスが、抵抗33、34の間に接続され、カソード側がトランジスタ42のベースに接続され、アノード側は補助巻線14の低圧側端部14bに接続されている。
【0051】
シャントレギュレータ32は、所定の基準電圧(例えば、2.5V)を有しており、抵抗33、34間からの分圧がリファレンスに供給される。1次巻線11への入力電圧が高く、当該分圧と基準電圧との差が所定の閾値以上であると、シャントレギュレータ32は導通し、トランジスタ42のベースに電圧が印加され、トランジスタ42がオンになる。
【0052】
一方、1次巻線11への入力電圧が低く、シャントレギュレータ32のリファレンスへの分圧と基準電圧との差が所定の閾値未満であると、シャントレギュレータ32は導通しない。従って、トランジスタ42はオフとなる。
【0053】
(変形例2)
変形例2では、
図4に示すように、電圧モニタ回路30bは、コンパレータ35、シャントレギュレータ36、及び抵抗37〜39を有する。なお、コンパレータ35としてオペアンプを用いても良い。
【0054】
抵抗37、38は互いに直列接続され、補助巻線14の両端部14a、14b間に挿入されており、両端部14a、14b間を分圧する。抵抗39とシャントレギュレータ36は互いに直列接続され、抵抗37、38と並列接続されている。コンパレータ35は、5つの端子を有し、端子1、2へ入力される電圧の大小により端子3からの出力電圧を切り換える。コンパレータ35は、端子1(+)及び端子2(−)が入力端子であり、端子1が抵抗39及びシャントレギュレータ36間に、端子2が抵抗37、38間に接続されている。また、端子4は補助巻線14の高圧側端部14aに、端子5は低圧側端部14b間に接続され、電源を確保する。端子3は出力側の端子であり、トランジスタ42のベースと接続されている。なお、トランジスタ42のベース及びエミッタ間には抵抗45が接続されている。シャントレギュレータ36は、所定の基準電圧(例えば、2.5V等)を有し、コンパレータ35の端子1への入力電圧の大きさを左右する。
【0055】
1次巻線11への入力電圧が高く、コンパレータ35の端子2への入力電圧が端子1への入力電圧以上である場合、出力側の端子3は、グラウンドに落ちる。これにより、トランジスタ42のベース及びエミッタ間に接続された抵抗45に、トランジスタ42のオンとなる閾値以上の電位差が発生することになり、トランジスタ42がオンになる。一方、1次巻線11への入力電圧が低く、コンパレータ35の端子2への入力電圧が端子1への入力電圧未満である場合、端子3はハイインピーダンス(オペアンプの場合、電源電圧)となるため、トランジスタ42のベース及びエミッタ間にはオンとなる閾値以上の電位差が発生しないので、トランジスタ42がオフになる。
【0056】
(2)第1の実施形態では、2次側の補助巻線14にタップを一つしか設けていなかったが、複数設けても良い。この場合、補助巻線14の低圧側端部14bとタップ間にそれぞれ電圧モニタ回路30を設け、各タップと同電位となる位置にスイッチ回路40を設けるようにしても良い。各電圧モニタ回路30を補助巻線14の高圧側端部14aから順にスイッチ回路40がオフとなる電圧の閾値(降伏電圧)を低くすることにより、より充電制御回路20に適した電圧を供給することができるので、充電制御回路20の損傷を的確に防止することができる。なお、電圧モニタ回路30の代わりに、上記の変形例1、2の電圧モニタ回路30a、30bを複数用いても良い。
【0057】
(3)第1の実施形態では、スイッチ回路40をオフとする場合を電圧モニタ回路30が所定電圧値以上検出するとしたが、「所定電圧値より大きい」としても良い。