特許第6084667号(P6084667)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6084667
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】過渡動作を用いた上昇電圧供給
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20170213BHJP
   H02M 3/145 20060101ALI20170213BHJP
【FI】
   H02M3/155 P
   H02M3/145 B
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-167616(P2015-167616)
(22)【出願日】2015年8月27日
(65)【公開番号】特開2016-49014(P2016-49014A)
(43)【公開日】2016年4月7日
【審査請求日】2015年8月27日
(31)【優先権主張番号】14/470,640
(32)【優先日】2014年8月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505450755
【氏名又は名称】ビステオン グローバル テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】ディヴィッド ロナルド フライク
(72)【発明者】
【氏名】ハロルド ライアン マックス
(72)【発明者】
【氏名】マイク リーズ
(72)【発明者】
【氏名】ジョー プリス
【審査官】 北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−352690(JP,A)
【文献】 特開平06−188082(JP,A)
【文献】 特開2005−229756(JP,A)
【文献】 特開2010−183755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
H02M 3/145
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の開始・停止システムの過渡動作を用いて上昇電圧を供給するためのシステムであって、
前記過渡動作に基づいてデューティサイクルまたは電流の変化を検出するためのデューティサイクルまたは電流監視装置と、
前記デューティサイクルまたは電流の変化が所定の閾値を上回っているか否かを判定するためのクランクタイムアウト検出器と、
所定の遅延時間後に前記上昇電圧を生成する昇圧回路の再設定を発生させるための再設定発生器と、
を含
前記クランクタイムアウト検出器は、前記過渡動作が前記車両の開始・停止システムの停止モードから開始モードへの切り換えであると判断し、
前記所定の遅延時間が前記過渡動作の重度に基づいている、
システム。
【請求項2】
前記過渡動作がクランク動作である、請求項に記載のシステム。
【請求項3】
車両の開始・停止システムの過渡動作を用いて上昇電圧を供給するためのシステムであって、
前記過渡動作に基づいてデューティサイクルまたは電流の変化を検出するためのデューティサイクルまたは電流監視装置と、
前記デューティサイクルまたは電流の変化が所定の閾値を上回っているか否かを判定するためのクランクタイムアウト検出器と、
所定の遅延時間後に前記上昇電圧を生成する昇圧回路の再設定を発生させるための再設定発生器と、
を含み、
前記デューティサイクルが所定の閾値を下回っている場合、前記クランクタイムアウト検出器が前記過渡動作を無視する、
システム。
【請求項4】
前記過渡動作は、車両バッテリー電圧が所定のバッテリー電圧閾値を下回っていることを示す、請求項に記載のシステム。
【請求項5】
過渡条件に基づいて開始・停止システムの昇圧回路を制御するための回路であって、
前記昇圧回路の昇圧ゲート駆動装置に接続され、且つデューティサイクルのアナログ信号を前記昇圧ゲート駆動装置上に与えるためのデジタル・アナログ回路と、
前記アナログ信号が所定の閾値を上回っているか否かを検出するためのオペアンプ回路と、
前記アナログ信号が前記所定の閾値を上回っているのを検出したか否かに基づいて遅延信号を導入するための遅延回路と、
前記遅延回路からの前記遅延信号に基づいて前記昇圧回路を停止させるように制御するための再設定発生器と、
を含
前記遅延回路と前記再設定発生器との間に接続される第2のオペアンプをさらに備えている、
回路。
【請求項6】
過渡条件に基づいて開始・停止システムの昇圧回路を制御するための回路であって、
前記昇圧回路の昇圧ゲート駆動装置に接続され、且つデューティサイクルのアナログ信号を前記昇圧ゲート駆動装置上に与えるためのデジタル・アナログ回路と、
前記アナログ信号が所定の閾値を上回っているか否かを検出するためのオペアンプ回路と、
前記アナログ信号が前記所定の閾値を上回っているのを検出したか否かに基づいて遅延信号を導入するための遅延回路と、
前記遅延回路からの前記遅延信号に基づいて前記昇圧回路を停止させるように制御するための再設定発生器と、
を含み、
バッテリーの低電圧状態の間は、前記昇圧回路が常に上昇電圧を供給し、クランク状態の間は、前記昇圧回路が前記遅延信号に基づいて上昇電圧を供給する、
回路。
【請求項7】
前記デューティサイクルが、電流要求に基づいて負荷が加えられている車両バッテリーに対応する、請求項5又は6に記載の回路。
【請求項8】
前記電流要求が、停止モードから開始モードに変移する前記開始・停止システムに基づいている、請求項に記載の回路。
【請求項9】
前記遅延信号が前記アナログ信号の信号強度に基づいている、請求項5又は6に記載の回路。
【請求項10】
前記再設定発生器が、再設定信号を有効にするための引き下げスイッチを備えている、請求項に記載の回路。
【請求項11】
車両の開始・停止システムの過渡動作を用いて上昇電圧を供給するための方法であって、
車両バッテリーへの追加の加負荷に対応する前記過渡動作に基づいてデューティサイクルまたは電流の変化を検出することと、
前記変化が所定の閾値を上回っているか否かを判定することと、
クランク動作に対応する前記変化に応答して再設定信号の遅延を伝搬させることと、
前記再設定信号を印加することと、
を含
前記遅延が前記過渡動作の重度に基づいている、
方法。
【請求項12】
車両の開始・停止システムの過渡動作を用いて上昇電圧を供給するための方法であって、
車両バッテリーへの追加の加負荷に対応する前記過渡動作に基づいてデューティサイクルまたは電流の変化を検出することと、
前記変化が所定の閾値を上回っているか否かを判定することと、
クランク動作に対応する前記変化に応答して再設定信号の遅延を伝搬させることと、
前記再設定信号を印加することと、
を含み、
前記デューティサイクルが前記所定の閾値を下回っている場合、前記過渡動作を無視することをさらに含む、
方法。
【請求項13】
前記過渡動作がクランク動作である、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記過渡動作が、前記車両バッテリー電圧が所定のバッテリー電圧閾値を下回っていることを指し示す、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の開始・停止システムの過渡動作を用いて上昇電圧を供給するためのシステム、方法および回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車および他の車両は、本来ほぼ例外なくガソリン燃料供給技術により駆動されている。車両の操作者は、車両を、主にバッテリー動力(すなわち、電力)を用いる操作外状態に合わせる。その後に、車両は、車両の動きを確保するための関連機構がガソリンのような燃料により本来駆動されるモードに設置され得る。
【0003】
車両の動きは本来ガソリンにより駆動されていたので、ガソリン駆動モード中のバッテリー動力の保存は優先されていなかった。しかしながら、最近では、車両の開発者は、多重モード式車両の作製に向かって動いている。車両の動きを左右する車両の様相は、ここではバッテリー動力とガソリン動力の組み合わせより操作され得る。
【0004】
ある事例では、車両は、自動車に動力を供給し、駆動させるためのさまざまな方法の組み合わせを用い得る。新たに実装された技術のうちの1つは、開始・停止システムである。開始・停止システムは、エンジンがアイドリングのために費やす時間を削減するために内燃機関を自動的に停止させ、再起動させる。これにより燃料消費が低減し、したがって車両操作手段の総合効率が向上する。
【0005】
例えば、車両が交通信号機でまたは交通渋滞で停止する場合、エンジンは連続動作状態である必要はない。この場合、開始・停止システムが作動して、車両の電気システムが(燃料ではなく)電力により運転状態に保たれ得る。この技術を用いることにより、車両は環境に対する有害な影響を低減しつつ、より効率的に動作し得る。
【0006】
開始・停止システムを補助するのに用いられる要素のうちの1つは昇圧回路である。昇圧回路は本質的に、電圧が、所定値(例えば6.8V)以下に降下していることを検出し、電圧降下を補償するために補償電圧を電圧出力ノード(V出力)に印加する。
【0007】
V入力ノード上の電圧がある値以上に上昇した後は、昇圧回路が無効にされる。
【0008】
図1は、開始・停止システム100の従来の実装例を示す。システム100は、バッテリー110、昇圧回路120、およびマイクロコントローラ130を含む。
【0009】
車両バッテリー110は、車両内のさまざまな要素および部品に電力を供給する働きをし、接地ノード112を有し、ノード111を介して昇圧回路120に接続される。図1に示される状況では、車両バッテリー110は、ノード111から入力ノード128へ、昇圧回路120に電力を供給する働きをする。昇圧回路120は、要素121〜125のようなさまざまな回路要素を含む。要素121〜125の説明は、図1に示される昇圧回路120が当業者に周知のものであるとして省略されることになる。昇圧回路120の制御は、特定のデューティサイクルを有する電圧パルス列をトランジスタゲート126、および供給源129に印加することにより達成される。供給源129は、昇圧回路120に関連する電圧/電荷の送り込みを制御する信号である。本質的に、さらなる電力需要により車両バッテリー110に負荷が加えられる場合、供給源129は電圧パルス列をゲート126に印加し、それにより昇圧回路120は、上昇電圧を供給するように動作することができる。
【0010】
マイクロプロセッサ130は、昇圧回路120の状態131を監視し(すなわち、昇圧回路120がどの程度の電圧を生成しているのか、または生成する必要があるのかを測定し)、制御入力132を介して昇圧回路120を無効または有効にする。このように、マイクロプロセッサ130は、車両を開始・停止システムの停止モードに操作するのに必要とされる電圧量を押し上げるために、昇圧回路120を始動/停止するのかを効率的に判定し得る。
【0011】
本質的に、上に示されるような開始・停止システム100内のモータが停止の状況において(すなわち、待機または停止)、車両の操作者がクラッチペダルを踏み込む場合、通常、エンジンの再起動を補助するのに電流の上昇が必要とされる。このエネルギーが上に示されたバッテリー110から引き出されることにより、バッテリー110に重度の負荷がかかり、潜在的にスパイク波形が生じることになる。車両のさまざまな要素がバッテリー110に依存し得るので(例えば照明、音響装置、HVAC等)、さまざまな動作が一時的に停止され、妨害され、または変更されることにより、開始・停止システムにおける車両の総合経歴に影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記の従来のシステムは、昇圧回路120を有効にするべきかを判定するために状態ピン131を用いる。したがって、昇圧回路120は、クランクが検出される(すなわち、停止モードから離れるためにクラッチペダルが踏み込まれる)場合とバッテリー電圧が低電圧として検出される場合の2つの状況において、連続的に動作し得る。しかしながら、各々の状態は、異なる時間量に対して異なる量の上昇電圧/電力を必要とし得る。図1で上に開示された態様を用いる場合、異なる量の上昇電圧/電力を異なる時間量にわたり供給することは不可能である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
開始・停止システムの過渡動作を用いて上昇電圧を供給するためのシステム、方法および回路が提供される。本システムは、過渡動作に基づいてデューティサイクルの変化を検出するためのデューティサイクル監視装置と、デューティサイクルの変化が所定の閾値を上回っているのかを判定するためのクランクタイムアウト検出器と、所定の遅延時間後に上昇電圧を生成する昇圧回路の再設定(reset)を発生させるための再設定発生器(reset generator)とを含む。
【0014】
詳細な記述は、同じ番号が同じ品目を指す、以下の図面を参照する:
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】開始・停止システムの従来の実装例を示す。
図2】過渡動作を用いて上昇電圧を供給するためのシステムの例である。
図3】過渡動作を用いて上昇電圧を供給するための回路の例である。
図4図2のシステムまたは図3の回路の実装に基づく例示の図表を示す。
図5】図示されたグラフ上に示されるようなさまざまなクランクモードを有する、図2のシステムまたは図3の回路の別の例示の実装を示す。
図6】過渡動作に基づいて上昇電圧を供給するための方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、以下にさらに十分に、本発明の模範的な実施形態が示される付属の図面を参照しながら記載される。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で実施されることがあり、本明細書で説明される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの例示の実施形態は、本開示が完全なものであり、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるであろう。本開示の目的のために、「各々の少なくとも1つ」が、複数の列挙された要素の組み合わせを含む、各言語の後に来る列挙された要素のいずれかの組み合わせを意味すると解釈されることになると理解されるであろう。例えば、「X、Y、およびZのうちの少なくとも1つ」は、Xのみ、Yのみ、Zのみ、または2つ以上のX、Y、およびZのいずれかの組み合わせ(例えばXYZ、XZ、YZ、X)を意味すると解釈されることになる。図面および詳細な記述を通して、特に記載されない限り、同じ図面参照番号は、同じ要素、特徴、および構造を指すと理解される。これらの要素の相対的な寸法および表示は、明確化、説明、および便宜のために誇張されることがある。
【0017】
最新の車両が効率的に動作することを確保し、車両が移動または加速していないときにエネルギーを保存することができるように、開始・停止システムが用いられる。開始・停止システムは、「停止モード」から「開始モード」への変移の間に電圧または電荷を送り込む昇圧回路とともに実装され得る。開始モードは、車両が移動または加速しているときのモードを指し得る。
【0018】
しかしながら、従来の昇圧回路は、バッテリー電圧を検出し、その検出されたバッテリー電圧に基づいて昇圧回路を有効にするだけである。バッテリー電圧の読み出しに依存している従来の昇圧回路は、昇圧回路が必ずしも必要とされていない場合に(例えば、バッテリーが低電圧で検出される場合に)作動することがある。したがって、昇圧回路は、上に考察された非効率性が導入されるために、より大型のものでなければならず、より多くのエネルギーを消費することがある。
【0019】
本明細書において、過渡動作を用いて上昇電圧を供給するための方法およびシステムが開示される。過渡事象が検出される(すなわち、クラッチペダルが踏み込まれる、またはエンジンが停止状態から待機状態へ再び作動する)場合に昇圧回路を作動させることにより、昇圧回路は、滑らかに動作するのに必要とされるエネルギー量を与え、上昇電圧が必要とされないまたは十分な上昇電圧が与えられている場合にエネルギーを与えないように、効率的に容量が定められ、動作され得る。
【0020】
したがって、本明細書で開示された態様を用いている開始・停止システムは、より滑らかに動作し、引き続き効率的に動作し得る。別の利点は、本明細書に記載される態様を用いることにより、昇圧回路が従来の実装技術で周知のものよりも小さな回路要素を備え得ることである。より小さな要素を備えることの根拠は、以下により詳しく説明されるであろう。
【0021】
図2は、過渡動作を用いて上昇電圧/電力を供給するためのシステム200の例である。過渡動作は、車両バッテリー250へのいずれかの種類の加負荷を指し得る。システム200は、既存の開始・停止システムとともに実装されてもよく、車両とともに実装される開始・停止システム内に統合されてもよい。システム200は、デューティサイクル監視装置210、クランクタイムアウト検出器220、および再設定発生器230を含む。
【0022】
図2を参照して、クラッチペダル240、車両バッテリー250、および昇圧回路260が示される。昇圧回路260は、システム200と有線で連通し、さまざまな入力/出力ノードを通じてシステム200を介して制御され得る。
【0023】
クラッチペダル240が図示される。しかしながら、クラッチペダルまたはエンジン加速装置からのいずれかの種類の信号方式が用いられてもよい。したがって、センサは、エンジンの加速を測定し且つエンジンの加速が要求されていることを昇圧回路260に指し示すための装置とともに実装され得る。これにより、開始・停止システムを組み込んでいる車両は停止モードを出て、開始モードに再び入り得る。
【0024】
車両バッテリー260および昇圧回路260は、図1に示される要素と同じように動作し得る。したがって、これらの部品の説明は省略される。
【0025】
デューティサイクル監視装置210は、昇圧回路260、具体的には、上昇電圧が必要とされるモード中に入力電圧を与えるゲートノード(図2に示されない)を監視する。昇圧回路260を始動させるように命令する信号が検出される(この場合、車両バッテリー250に負荷が特定量を超えて加えられていることを検出する)とき、昇圧回路260を本質的に始動させる電圧が有効にされる。これにより、(所定量の)デューティサイクル231が生成される。(デューティサイクル231を介して指し示されるような)動作の変化は、デューティサイクル監視装置210内の回路を介して実装されたハードウェア要素を介して検出される。本質的に、クランクタイムアウト検出器220に伝搬されるパルスはラッチされる。
【0026】
クランクタイムアウト検出器220は、クランク動作(すなわちエンジンの再起動)が発生しているまたは開始しているというデューティサイクル監視装置210からの指示を受信する。クランクタイムアウト検出器220の主な機能は、デューティサイクル監視装置210からのその指示が所定の閾値を上回る信号強度であることを確定することである。
【0027】
その信号強度が所定の閾値を上回る場合、クランクタイムアウト検出器220は、要素210を介して検出されたデューティサイクルの変化が、検出されたクランク動作に正確に対応することを検出し得る。クランクタイムアウト検出器220は、指示を再設定発生器230に伝送し得る。
【0028】
信号強度が閾値を下回る場合、クランクタイムアウト検出器220は、デューティサイクル監視装置210からのその指示を無視する。これは、車両バッテリー250が他の理由のために低いことを示し得る。
【0029】
再設定発生器230は、再設定信号231を介して昇圧回路260を再び設定し、昇圧回路260を介して昇圧発生器を本質的に停止させる。昇圧回路260が所定の時間量にわたり動作し得るような適切な遅延時間を確保するために、さまざまな遅延要素、例えば図3に示されるものが導入され得る。
【0030】
昇圧回路260は、(再設定231が有効にされる前に)所定の時間量にわたり動作するのを許可され、所定の時間量にわたり上昇電圧を本質的に供給する。この上昇電圧は、出力ノード261を介して開始・停止システムに有効に移送され得る。
【0031】
図3は、システム200を実装するための回路装置300の例を示す。回路装置300は、車両バッテリー110、昇圧回路120、ゲートデューティサイクルデジタル・アナログ回路310、第1のオペアンプ(演算増幅器)320、クランクタイムアウト回路330、第2のオペアンプ330、および再設定発生器340を含む。
【0032】
ゲートデューティサイクルデジタル・アナログ回路310は、昇圧ゲート駆動装置129を介して昇圧回路120に接続される。昇圧ゲート駆動装置129は、車両バッテリー110に負荷が加えられることを検出する電源であり、したがってノード311を介して要素310に伝えられるデューティサイクルを生成する。
【0033】
したがって、抵抗312および313、およびコンデンサ314はデジタル・アナログ変換器を形成する。これらの回路要素は、ノード311を介して生成される負荷量を検出し、したがってアナログ信号315を生成する。
【0034】
この信号は、要素321を介してバイアス電圧を加えられるオペアンプ320に伝搬される。オペアンプ320は、アナログ信号315が所定の閾値を超えているのかを判定するためにノード322をバイアス321と比較する。その場合、ノード323(オペアンプ320の出力)は、クランクタイムアウトを発生させるための信号を指し示す。
【0035】
ノード323を介した信号は、クランクタイムアウト回路330に伝搬される。その信号は本質的に、図示されるように、抵抗331および332、およびコンデンサ333を介してRC回路に通される。出力ノード334は、第2のオペアンプ340に伝搬される。
【0036】
第2のオペアンプ340は本質的に、クランクタイムアウト動作を再設定発生回路350に伝搬するための緩衝器としての役割をする。回路300の実装者により予め定められ且つ抵抗およびコンデンサを適切な容量に適宜に定めることにより実行されるように、適切な時間が経過した後に、再設定発生器のゲート351が引き下げられ、再設定ノード352は、昇圧回路120に戻して伝搬され、それにより昇圧回路120が停止する、または昇圧出力127により供給される回路に戻して伝搬され、それにより昇圧回路120の負荷が低減する。
【0037】
再設定を指し示す信号は、再設定ノード352を介して、昇圧回路120を無効するように構成され得る中央マイクロコントローラに伝搬される。
【0038】
したがって、上に示される回路300を有する開始・停止回路を用いることで、実装者は、昇圧システムを効率的に操作し得る。このように、昇圧回路120は、タイマまたは上記の要素を介して導入されるタイムアウトに基づいて、適切なまたは設定された時間量にわたり動作する。この場合、クランク動作が検出されている間は、昇圧回路120が固定された時間量にわたり動作するので、昇圧回路120は、必要以上の時間にわたり電力を配送せず、再起動(すなわち、停止モードから開始モードへの変移)が効率的に達成されるのを確保するために適切な量の電力を配送する。
【0039】
図4は、システム200または回路300の例示の実装の例示の図表400を示す。図表400は、動作モード域410、バッテリー電圧域420、経過時間域430、上昇電力域440、および電源入力電流(アンペア)域450を有する。
【0040】
通常動作は、バッテリー電圧が通常動作条件内にあることを指し示す。そのように、上昇電力は必要とされず、したがって昇圧回路は停止される。
【0041】
低電圧状態では上昇電力が必要とされ、上昇電力は1時間にわたり投入状態で保たれる。バッテリー再生は、例えばクランク動作ほど重い負荷ではないので、電源は4アンペアを配送し、それによりバッテリー電圧を再生させる。この状況では、アンペア量は比較的小さく、したがって上昇電力を長い時間周期(この場合1分)にわたり投入することは、エネルギー消費に対して有害または浪費ではない。
【0042】
クランクモードでは、上昇電圧は0.5秒にわたり投入される。この場合、上昇電力は、他のモードと比べてより大きな量で強調される。したがって、上昇電圧をあまりにも長い間投入することにより、電力を不必要且つ過剰に消費することになる。
【0043】
これは、電力の再生が「開始モード」に入るのを効率的に可能にするのに必要とされる時間量である。継続時間は0.5秒のみであり、引き出される電力量は十分であり(この場合8アンペア)、エネルギーおよび電力は効率的に保存される。したがって、昇圧は、0.5秒にわたり、この場合車両を再起動するために上昇電力を供給するのに適切で十分な時間にわたり規定される。
【0044】
図5は、図示されるグラフ500で示されるようなさまざまなクランクモードを有する、システム200または回路300の別の例示の実装を示す。
【0045】
クランクは、重度のもの510または通常のもの520であり得る。重度のクランク510および通常のクランク520は参照530とともに示されている。重度のクランク510はより多くの電力を引き出し、電源から電力を警告的なまたは危険な量で引き出す危険がある。この場合、回路300が実装される方法は、迅速な再設定(および後続の)電源停止を許可する。
【0046】
通常のクランク520が適用される場合、再設定は低速で発生することがあり、それにより未来の別の時間で停止する。通常のクランク520は、より少ない電力を引き出し、したがって上昇電力生成電力を長時間にわたり有することは、車両の電源を浪費または損失させるようなものではあり得ない。
【0047】
図6は、過渡動作に基づいて上昇電圧を供給するための方法600を示す。
【0048】
操作610では、車両電源への負荷に関連するデューティサイクルの変化の検出が検出される。上に説明されるように、さまざまな因子が、上昇電源に関連するデューティサイクルに影響を及ぼし得る。デューティサイクルは、(車両に関連するさまざまな電子機器からの電流引き出しのための)低電圧のバッテリーにより影響され得る。別の例では、デューティサイクルはクランク動作により影響され得る。
【0049】
操作620では、操作610で検出されるデューティサイクルの変化が特定の閾値を超えているのかについての測定が行われる。そうであれば、方法600は操作620に進む。そうでなければ、方法600は終了する。
【0050】
操作630は、クランクの程度が測定される。クランクの程度が測定された後、再設定信号を遅延させる時間量が設定され得る(操作640)。図5に説明されるように、クランクの重度(すなわちより多くの電圧/電流/電力を必要とするクランク)は、確立される迅速な再設定信号に関連し得る。
【0051】
操作650では、再設定信号は、上昇電源を停止させるために、または上昇電源に負荷を加えている要素を取り外すためにマイクロプロセッサに伝搬される。別の例では、再設定信号が上昇電源に直接伝搬されることがあり、それにより上昇電源を停止させる。
【0052】
デューティサイクル監視装置210によるデューティサイクル262の検出に加えて、昇圧回路(121、122、123、124、125、126)内のいずれかの点で電流を測定することにより、この方法を実行することもできる。この実行では、デューティサイクル監視装置210は電流監視装置に置き換えられる。
【0053】
本発明において本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、さまざまな修正および変更が行われ得ることは当業者に明らかであるであろう。したがって、本発明は、付属の請求項およびそれらの均等物の範囲内にあるとして、本発明の修正および変更を包含すると意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6