特許第6084712号(P6084712)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6084712害虫探知装置及びシステム、害虫による損傷探知方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6084712
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】害虫探知装置及びシステム、害虫による損傷探知方法
(51)【国際特許分類】
   A01M 1/00 20060101AFI20170213BHJP
【FI】
   A01M1/00 Q
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-562902(P2015-562902)
(86)(22)【出願日】2014年3月5日
(65)【公表番号】特表2016-509867(P2016-509867A)
(43)【公表日】2016年4月4日
(86)【国際出願番号】KR2014001787
(87)【国際公開番号】WO2014142462
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2015年9月9日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0025526
(32)【優先日】2013年3月11日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515247990
【氏名又は名称】カンヌン−ウォンジュ ナショナル ユニバーシティ インダストリー アカデミー コーオペレイション グループ
(73)【特許権者】
【識別番号】515248399
【氏名又は名称】ゴ,ヒョン スン
(73)【特許権者】
【識別番号】515248403
【氏名又は名称】セウルボン カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ゴ,ヒョン スン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ビョン フン
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ビョン ハク
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ヒョ テ
(72)【発明者】
【氏名】シン,ジョン ヒョン
【審査官】 本村 眞也
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−512789(JP,A)
【文献】 特開平09−172934(JP,A)
【文献】 特開平09−121742(JP,A)
【文献】 実開平07−028373(JP,U)
【文献】 米国特許第05575105(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00−99/00
E04B 1/62−1/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定方向に延びる杭状を有し、前記一定方向に沿って形成され、害虫によって侵奪可能な木材を含む壁を挟んで互いに離隔した複数個のホールを含む本体部と、
前記本体部の上方側の端部と結合及び分離が可能なセンサー部と、を含み、
前記センサー部は、
前記複数個のホールのうち少なくとも第1ホールの内部に光を照射する発光体を含む発光部と、少なくとも第2ホールの内部で前記発光部から発光する光を感知する感知部と、前記感知部から受信された光信号を電気的信号に出力する検出部と、
を含む害虫探知装置。
【請求項2】
前記発光部は、前記複数個のホール内にそれぞれ配置された複数個の発光体を含み、前記感知部は、前記複数個の発光体と対を成して、前記複数個のホール内にそれぞれ配置される請求項1に記載の害虫探知装置。
【請求項3】
前記検出部から出力される電気的信号を受信して、外部の電子装置に無線送出する無線通信装置をさらに含む請求項1に記載の害虫探知装置。
【請求項4】
1つ以上の害虫探知装置と、
前記害虫探知装置に付着され、前記害虫探知装置の検出部から出力される信号を受信して、外部の電子装置に無線で送出する無線通信装置と、
前記無線通信装置から伝送される情報を受信し、これを処理して受信された情報に対応する出力信号を出力する処理部と、を含み、
前記害虫探知装置は、請求項1または2に記載の害虫探知装置である害虫探知システム。
【請求項5】
木材からなり、一定方向に延びる杭状を有し、内部には、前記一定方向に沿って延び、壁を挟んで互いに離隔して配置される複数個のホールを含む本体部を、前記複数個のホールの上部に蓋を装着した後、地面に挿入して所定時間保持させる第1段階と、
前記蓋を開放した後、前記複数個のホールのうち、第1ホールに発光部を挿入し、第2ホールに前記発光部から発光する光を感知する感知部を挿入する第2段階と、
前記第1ホールに挿入された発光部を発光させ、前記第2ホールに挿入された感知部が、前記発光した光を感知するかを確認して、前記第1ホール及び第2ホールの間の壁が、害虫によって穿孔されたか否かを確認する第3段階と、
を含む害虫による損傷探知方法。
【請求項6】
前記第2段階は、前記複数個のホールのそれぞれに前記発光部及び感知部を挿入する段階であり、
前記第3段階は、前記第1ホールに挿入された発光部を発光させ、前記複数個のホールのうち、第1ホールを除いた残りのホールの内部に挿入された感知部が、前記発光した光を感知するかを確認して、前記第1ホールと前記残りのホールとの間の壁が、害虫によって穿孔されたか否かを確認する段階である請求項5に記載の害虫による損傷探知方法。
【請求項7】
前記第3段階を行った以後で、前記残りのホールのうち少なくとも1つのホールに挿入された発光部を発光させ、前記発光した発光部が挿入されたホールを除いた残りのホールに挿入された感知部が、前記発光した光を感知するかを確認する段階をさらに行う請求項6に記載の害虫による損傷探知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、害虫探知装置及びシステム、害虫による損傷探知方法に係り、さらに詳細には、害虫による木造建築物の損傷を最小化するための害虫探知装置及びシステム、害虫による損傷探知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、害虫を探知する技術は、木造建築の損傷を防止するために利用される。特に、木造文化財の場合、被害が発生した場合、損失される文化財的価値は戻しにくい。また、復元が容易ではなく、相当な復旧費用がかかる。
【0003】
木材建築物に最も多く損傷を起こす害虫の代表が白蟻である。白蟻は、乾燥した木材にも加害するが、多くは湿潤材を加害する。広葉樹よりも針葉樹を好み、心材よりは辺材を、晩材よりは早材を好む。特に、松を好む特性のために、松を主材料とする伝統木造建築物への損傷の主な原因となる害虫である。
【0004】
白蟻は、光を嫌がって、地上に露出された木材の場合、内部のみ加害する。したがって、木造建築物の場合、加害が進められても、肉眼で被害状況を把握しにくく、相当な被害が進められた状態で把握される場合がほとんどである。したがって、建築物で被害が発生する場合、白蟻の探知とこれを除去するための防除とが難しいという問題点がある。このような白蟻や、その他の害虫による木造建築物の損傷を防止するために、多様な装置及び方法が利用されている。
【0005】
その例として、従来技術は、木造建築物の損傷を防止するために、害虫を誘引する餌を建築物周辺の土壌に設置し、餌が消耗したか否かを直接確認する方法によって害虫の被害を予防する方法を利用する。
【0006】
この場合、通常餌の損失の有無は、土壌の内部から取り出して確認する方法によるので、取り出して確認するまで損傷の発見が遅れ、これにより、木造建築の損傷に対する適切な対処が遅れるという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記問題点を含んで多様な問題点を解決するためのものであって、害虫の被害を早期に確認し、迅速に被害の程度についての情報を提供することができる害虫探知装置及びシステム、害虫による損傷探知方法を提供することを目的とする。しかし、このような課題は、例示的なものであって、これにより、本発明の範囲が限定されるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一観点によれば、一定方向に延びる杭状を有し、前記一定方向に沿って形成され、害虫によって侵奪可能な木材を含む壁を挟んで互いに離隔した複数個のホールを含む本体部と、前記本体部の上方側の端部と結合及び分離が可能なセンサー部と、を含む。この際、センサー部は、前記複数個のホールのうち少なくとも1つの内部に光を照射する少なくとも1つの発光体を含む発光部と、前記複数個のホールのうち少なくとも1つの内部で前記発光部から発光する光を感知する感知部と、前記感知部から受信された光信号を電気的信号に出力する検出部と、を含みうる。
【0009】
この際、前記発光部は、前記複数個のホール内にそれぞれ配置された複数個の発光体を含み、前記感知部は、前記複数個の発光体と対を成して、前記複数個のホール内にそれぞれ配置される。
【0010】
一方、前記害虫探知装置は、前記検出部から出力される電気的信号を受信して、外部の電子装置に無線送出する無線通信装置をさらに含みうる。
【0011】
本発明の他の観点によれば、1つ以上の前述した害虫探知装置と、前記害虫探知装置に付着され、前記害虫探知装置の検出部から出力される信号を受信して、外部の電子装置に無線で送出する無線通信装置と、前記無線通信装置から伝送される情報を受信し、これを処理して受信された情報に対応する出力信号を出力する処理部と、を含む害虫探知システムが提供される。
【0012】
本発明の他の観点によれば、木材からなり、一定方向に延びる杭状を有し、内部には、前記一定方向に沿って延び、壁を挟んで互いに離隔して配置される複数個のホールを含む本体部を、前記複数個のホールの上部に蓋を装着した後、地面に挿入して所定時間保持させる第1段階と、前記蓋を開放した後、前記複数個のホールのうち、第1ホールに発光部を挿入し、第2ホールに前記発光部から発光する光を感知する感知部を挿入する第2段階と、前記第1ホールに挿入された発光部を発光させ、前記第2ホールに挿入された感知部が、前記発光した光を感知するかを確認して、前記第1ホール及び第2ホールの間の壁が、害虫によって穿孔されたか否かを確認する第3段階と、を含む害虫による損傷探知方法が提供される。
【0013】
この際、前記第2段階は、前記複数個のホールのそれぞれに前記発光部及び感知部を挿入する段階であり、前記第3段階は、前記第1ホールに挿入された発光部を発光させ、前記複数個のホールのうち、第1ホールを除いた残りのホールの内部に挿入された感知部が、前記発光した光を感知するかを確認して、前記第1ホールと前記残りのホールとの間の壁が、害虫によって穿孔されたか否かを確認する段階であり得る。
【0014】
また、前記第3段階を行った以後で、前記残りのホールのうち少なくとも1つのホールに挿入された発光部を発光させ、前記発光した発光部が挿入されたホールを除いた残りのホールに挿入された感知部が、前記発光した光を感知するかを確認する段階をさらに行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の実施形態によれば、害虫による木造建物の損傷の有無を迅速に把握し、さらに、損傷に対する信号を早期に獲得して、木造建築物の損傷を最小化することができる。本発明の効果は、前述したものに制限されず、言及されていないさらに他の効果は、下記の記載から当業者に明確に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態による害虫探知装置の断面を示す概略図である。
図2】本発明の一実施形態による害虫探知装置の断面を示す概略図である。
図3】本発明の一実施形態によるセンサー部の断面図及び斜視図を示した図面である。
図4】本発明の一実施形態によるセンサー部の断面図及び斜視図を示した図面である。
図5】本発明のさらに他の一実施形態による害虫によって損傷された害虫探知装置の断面を示す図面である。
図6】本発明のさらに他の一実施形態による害虫によって損傷された害虫探知装置の断面を示す図面である。
図7】本発明のさらに他の一実施形態による害虫探知システムに関する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を詳しく説明すれば、次の通りである。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態として具現可能なものであって、以下の実施形態は、本発明の開示を完全にし、当業者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものである。また、説明の便宜上、図面では、構成要素のサイズが誇張または縮小されうる。
【0018】
図1及び図2には、本発明の一実施形態による害虫探知装置1の断面図が示されている。図1及び図2を参照すれば、害虫探知装置1は、本体部100、及び本体部100に繰り返して結合及び分離可能なセンサー部200を含む。
【0019】
本体部100は、木材からなり、一定方向に延び、端部が尖った杭状を有しうる。このような杭状によって木材建築物周辺の地面に容易に挿入することができる。本体部100は、餌を誘引することができる木材として使うことが一般的であり、その例として、白蟻のような害虫による侵害に脆弱な松類、米松、落葉松、アメリカツガ、トウヒ、ヤナギなどを使うことができる。
【0020】
本体部100の内部には、本体部100の延長方向に沿って形成され、害虫によって侵奪可能な木材からなる壁を挟んで互いに離隔して形成された複数個のホール51、52が形成されうる。この際、ホール51及びホール52の間の壁は、害虫による損傷が起こっていない場合には、互いに光が通過できないように遮断することができる。しかし、もし、害虫の侵奪によって、前記壁が損傷されて孔が形成される場合、前記孔は、ホール51及びホール52間の光が通過する経路として利用されうる。図1の右側の下部には、本体部100をA−A線に沿って切断した面の断面図が示されている。図1においては、ホール51、52の断面は円状であるが、これに限定されず、多様な形状を有しうる。
【0021】
センサー部200は、ホール51、52の上方側の開放部を覆って外部と遮断させるように本体部100の上部に結合可能な構造を有する。しかし、センサー部200は、本体部100の上部に固定されておらず、必要に応じて、本体部100と繰り返して結合及び分離される構造を有する。図1には、センサー部200が、本体部100に結合された状態が示され、図2には、センサー部200が、本体部100の上部に結合された形態が示される。
【0022】
図3及び図4には、センサー部200の平面図及び斜視図が示されており、図1ないし図4を参照すれば、センサー部200は、光を発光する発光部210a、210bと、発光部210a、210bから発光する光を感知する感知部220a、220bと、感知部220a、220bから受信された光信号を電気的信号に出力する検出部240a、240bと、を含む。
【0023】
センサー部200は、本体部100の上方側の端部に定着することができる形態であって、例えば、本体部100の上方側の端部の面積とほぼ一致する面積の下部面を有する本体を有しうる。しかし、これに限定されず、本体部100の上方側の端部に定着して、本体部100に形成されたホール51、52の上方側の開放部を閉鎖することができる構造であれば、如何なる構造でも良い。
【0024】
発光部210は、光を発生させる光源であって、センサー部200の一面に結合されて、前記本体部100内に形成された複数個のホール51、52のうち少なくとも1つの内部に光を照射する少なくとも1つの発光体を含みうる。このような発光体としては、電熱ランプ、LEDなどが使われ、それ以外にも、本発明の目的の範囲内で多様な光源が使われる。
【0025】
感知部220a、220bは、発光部210から発光した光を感知して、これを電気的信号に検出できる装置であって、センサーとも呼ばれる。
【0026】
発光部210a、210b及び感知部220a、220bは、ホール51、52のそれぞれの内部空間に挿入可能な大きさ及び配置構造を有する。一例として、発光部210a、210b及び感知部220a、220bは、センサー部200が本体部100に結合される場合、複数のホール51、52の内部に挿設されるように、センサー部200の本体部100と結合される面から所定距離離隔して配置されている。この場合、例えば、図4に示すように、センサー部200は、本体部100と結合される一面から延びる延長構造230を複数個備え、このような延長構造230の端部のそれぞれに発光部210a、210bと感知部220a、220bとが対を成して配置される構造を有しうる。
【0027】
この場合、センサー部200を本体部100に結合させる場合、延長構造230a、230bのそれぞれは、ホール51、52のそれぞれに対応して挿入され、この際、発光部210a、210b及び感知部220a、220bは、それぞれ対を成してホール51、52の内部に配置される。一方、センサー部200の本体によってホール51、52の上方側の開放部が閉鎖されて、外光のホール51、52内への入射が遮断される。
【0028】
一方、センサー部200を本体部100から分離する場合には、発光部210a、210b及び感知部220a、220bが退出されながら、ホール51、52の内部の空き空間が外部に露呈される。
【0029】
検出部240a、240bは、感知部210a、210bとそれぞれ電気的に連結されて、感知部210a、210bが感知した光を処理して電気的信号を発生させ、このような電気的信号の発生をユーザが確認することができる多様な出力装置を備える。
【0030】
前記の実施形態では、本体部100に形成されたホールが2個であるが、本発明は、これに限定されず、ホールは、2個を超過する個数を有しうる。また、これに対応して発光部及び感知部の対は、ホールの個数に対応する個数が形成されうるということはいうまでもない。ホールが多く形成されるほどホール間の間隔が狭まり、本体部100に形成されたホールの密度が高くなる、害虫の被害を精密に探知する。これは、建築物の価値保護の必要性の程度によって決定されうる。
【0031】
変形された実施形態として、センサー部を構成する発光部及び感知部は、互いに対を成さず、互いに異なるホールの内部に配置されるように別個にそれぞれ形成されうる。例えば、図1の害虫探知装置1を変形して、ホール51には発光部のみ挿入され、ホール52には感知部のみ挿入されるように形成されうる。
【0032】
一方、害虫探知装置1は、害虫探知装置1の検出部240a、240bから出力される信号を受信して、外部の電子装置に無線で送出する無線通信装置250をさらに備え、このような無線通信装置250を用いて、後述する無線通信を利用した害虫探知システムを構築することができる。
【0033】
以下、本発明の一実施形態による害虫探知装置1を用いて、害虫による損傷を探知する方法の一実施形態を、図1及び図2を参照して説明する。
【0034】
まず、本体部100を前記木材からなる文化財、例えば、古い木造建物周辺の地面に1つ以上挿入した後、所定時間保持する。この際、本体部100は、上部に蓋を装着してホール51、52が外部に露呈されないようにすることによって、雨天やホコリ、その他の多様な周辺要因などによってホール51、52の内部の損傷を防止する。
【0035】
次に、所定時間後、前記蓋を開放し、図2に示されたように、センサー部200を本体部100の上部に結合する。結合の過程で発光部210a及び感知部220aは、ホール51に、発光部210b及び感知部220bは、ホール52に挿入される。
【0036】
次に、ホール51の内部の発光部210aを発光させた後、ホール52の内部の感知部220bが、発光部210aから発光した光を感知できるか否かを確認する。この際、ホール51及びホール52が、本体部100が最初に地面に挿入される時のように、互いに光が透過できない壁によって遮断されている場合、ホール51の内部に配置された発光部210aから発光した光は、ホール52の内部に配置された感知部220bによって感知されない。このような場合は、害虫による損傷がまだ深刻に進められていないと解釈することができる。
【0037】
しかし、害虫、例えば、白蟻の侵奪によって木材からなる本体部100が損傷される過程で、図5のように、ホール51及びホール52の間が穿孔されて孔60が形成されうる。このように孔60が形成された場合には、ホール51及びホール52の間に光が通過される経路が形成されることによって、ホール51の内部に配置された発光部210aから発光した光は、孔60を通過してホール52の内部に配置された感知部220bによって感知されうる。
【0038】
感知部220bによって感知された光は、電気的信号に処理されて検出部240bの出力装置を通じて出力される。例えば、増加した光度をモニタを通じてグラフで表わすか、警報音を鳴らすか、あるいはランプをつけるか、点滅させる。
【0039】
出力装置を通じた出力結果を確認した文化財管理人は、害虫探知装置1の損傷を通じて、害虫探知装置1の付近の文化財にも、現在害虫による被害が深刻になりうるという表示として解釈することができる。したがって、文化財管理人は、これにより、対応策を準備しうる。
【0040】
このように、一回の発光と一回の感知とで害虫による損傷を探知する方法は、センサー部を構成する発光部及び感知部が互いに対を成さず、互いに異なるホールの内部に配置されるように別個にそれぞれ形成される害虫探知装置を利用する場合にも、同様に適用されうるということはいうまでもない。
【0041】
害虫による損傷を感知する方法の他の実施形態として、複数個の発光部を順次に発光させ、複数個の感知部でこれを感知する方法が行われる。例えば、発光部210bを発光させない状態で発光部210aのみを発光させた後、感知部220a及び感知部220bによる発光した光を感知する。次に、順序を変えて発光部210aを発光させない状態で発光部210bを発光させた後、感知部220a及び感知部220bによる発光した光を感知する。
【0042】
ホール51とホール52との間の壁が損傷されない場合には、ホール51に配置された発光部210aが発光する場合、感知部220aのみが発光部210aから発光する光を感知し、ホール52に配置された発光部210bが発光する場合、感知部220bのみが発光部210bから発光する光を感知することができる。
【0043】
しかし、図5のように、ホール51及びホール52の間が穿孔されて孔60が形成される場合には、ホール51及びホール52の間に光が通過される経路が形成されることによって、ホール51に配置された発光部210aが発光する場合、感知部220a及び感知部220bが、いずれも発光部210aから発光する光を感知し、ホール52に配置された発光部210bが発光する場合、感知部220a及び感知部220bが、いずれも発光部210bから発光する光を感知することができる。
【0044】
したがって、このような複数個の発光部の発光を順次に行いながら、同じホール内に配置された感知部及びそれ以外のホールに配置された感知部での光の感知の有無を確認して、より正確にホール間の穿孔の有無を確認することによって、損傷探知の正確度をさらに高めうる。
【0045】
本発明のさらに他の実施形態として、害虫探知の本体部の損傷経路による感知部の感知の有無を、図6を参照して説明する。図6には、本体部100に4個のホールA、B、C、Dのうち、ホールA、B、Dが害虫の侵奪によって互いに貫通されて孔61、62が形成されている。
【0046】
表1は、ホールA、B、C、Dに挿入された発光部を順次に発光しながら、ホールA、B、C、Dに挿入された感知部によって感知された光の出力信号を調査した表である。Oは、発光部の発光に対して感知部が光を感知した状態を表示し、Xは、光を感知していない状態を表示する。感知部A及び発光部Aは、ホールAに挿入された感知部及び発光部を意味し、それ以外も同様である。
【0047】
【表1】
【0048】
例えば、図7及び表1を参照すれば、ホールAに挿入された発光部が発光した場合、ホールAに挿入された感知部は、同一ホール内にあるので、当然光を感知し、ホールB及びホールDは、いずれも孔61及び孔62によって光が通過することができるので、ホールB、Dでも、光を感知させうる。しかし、ホールCは、まだ損傷されず、孤立してホールAと穿孔されていないので、ホールCに挿入された感知部は、ホールAに挿入された発光部の発光を感知することができなくなる。
【0049】
次に、ホールB、ホールC、ホールDに挿入された発光部を順次に発光しながら、同じ方式でホールA、B、C、Dに挿入された感知部による光の感知の有無を表示することによって、表1のような出力信号が得られる。表1の出力信号のデータを検討することによって、ホールA、B、Dに損傷された経路が形成されたということをより正確に探知させうる。
【0050】
本発明の実施形態による害虫探知装置を、無線通信を利用したシステムで構成することができる。図7には、このような無線通信を利用した害虫探知システム900が概略的に示されている。図7を参照すれば、害虫探知システムは、本発明の害虫探知装置1を含み、害虫探知装置1から検出された信号を処理することができる構成を含みうる。
【0051】
具体的に、害虫探知システム900は、害虫探知装置1に付着され、前記害虫探知装置の検出部から出力される信号を受信して、外部の電子装置に無線で送出する無線通信装置250、及び無線通信装置250から伝送される情報を受信し、これを処理して受信された情報に対応する出力信号を出力する処理部300を含みうる。
【0052】
無線通信装置250は、検出部から算出された電気的信号を処理部300に送信する手段であり、無線通信装置250は、遠距離でも処理部300に信号を伝達することが可能であり、本体のそれぞれに取り付けられてもよく、必要に応じて、本体と離隔して設置されてもよい。本発明の無線通信装置250を利用した無線通信ネットワークは、AM、FM、PM、ASK、QSK、PSKのうちの何れか1つの高周波を利用した無線通信ネットワークであり得る。
【0053】
処理部300は、無線通信装置250から伝送される情報を受信し、これを処理して受信された情報に対応する出力信号を出力する装置である。このような処理部300は、送受信部(図示せず)、制御部(図示せず)及び出力部を含みうる。
【0054】
送受信部は、無線通信装置250と電気的信号についての情報を受信する手段であり、制御部に受信された情報を送信することができる。
【0055】
制御部は、送受信部から伝送された情報を処理し、これを出力信号に出力するように制御することができる。
【0056】
出力部は、制御部によって処理された出力信号を外部に表示する手段であり、視覚、聴覚的表示手段が利用されうる。聴覚的表示手段としては、警報サイレンが鳴らす警報音とそれ以外の呼び出し音、振動音などが使われ、視覚的表示手段としては、出力結果をディスプレイすることができるLCDのようなディスプレイ装置、出力情報に基づいて動かすことができる旗、あるいは警報を鳴らすことができる警報灯などが例示されうる。この際、視覚、聴覚的手段を同時に使い、監視者の位置、周辺状況に応じて選択して適用することができる。
【0057】
このような処理部は、スマートフォン、タブレット、PCなどの情報を伝達することができる個人通信装置であり、この場合には、管理者によるリアルタイム監視が可能である。例えば、管理者は、管理対象の文化財の近所にいなくても、リアルタイムで害虫の被害を監視し、より迅速に害虫の被害に対応できるという長所がある。
【0058】
このような害虫探知システム900を利用する場合、文化財10の近所に配置された1つあるいは複数個の害虫探知装置1は、周期的に発光部による発光と感知部による感知とを行って、感知の結果、本体部ホール間の穿孔によって損傷が感知された場合、これを無線通信装置250を通じて処理部300に送信する。
【0059】
これを受信した処理部300は、これを処理して管理者が分かるように出力部を通じて感知結果を出力する。例えば、ディスプレイに警告表示をするか、害虫探知装置で何回損傷が発生したかの情報と共に損傷に対する警告表示をするか、単に旗を持ち上げるか、警報灯あるいは警報音を発生させる。
【0060】
これにより、管理者は、文化財に害虫による損傷が起こっているということを認知し、迅速に対応策を立てることができる。
【0061】
発明の特定の実施形態についての以上の説明は、例示及び説明を目的として提供された。したがって、本発明は、前記実施形態に限定されず、本発明の技術的思想内で、当業者によって、前記実施形態を組み合わせて実施するなどのさまざまな修正及び変更が可能であるということは明白である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、害虫探知装置及びシステム、害虫による損傷探知方法関連の技術分野に適用可能である。
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図7