特許第6084815号(P6084815)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6084815
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】タンデム飛行時間型質量分析計
(51)【国際特許分類】
   H01J 49/40 20060101AFI20170213BHJP
   H01J 49/06 20060101ALI20170213BHJP
【FI】
   H01J49/40
   H01J49/06
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-238866(P2012-238866)
(22)【出願日】2012年10月30日
(65)【公開番号】特開2014-89871(P2014-89871A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2015年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004271
【氏名又は名称】日本電子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤貴弥
【審査官】 杉田 翠
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−503020(JP,A)
【文献】 特表2009−533669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J40/00−49/48
G01N27/62−27/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルをイオン化し、繰り返しパルス的に射出するイオン源と、
繰り返し射出されるサンプルイオンを飛行させ、飛行時間の違いによってイオンを質量分離する第1の飛行時間型質量分析部と、
該第1の飛行時間型質量分析部において質量分離されたプリカーサイオンが飛行する飛行経路上に配置されたイオンゲートと、
該イオンゲートを通過したプリカーサイオンを導入して開裂させ、プロダクトイオンを生成させる衝突室と、
該衝突室から取り出されたプロダクトイオンを飛行させ、飛行時間の違いによってイオンを質量分離する第2の飛行時間型質量分析部と、
該第2の飛行時間型質量分析部で質量分離されたプロダクトイオンを検出する検出部と、
を備えたタンデム飛行時間型質量分析計において、
前記第1と第2の飛行時間型質量分析部の間には、
前記プリカーサイオンを減速する向きの電場が形成された第1の飛行空間と、
該第1の飛行空間を通過したプリカーサイオンが加減速されることなく飛行できる第2の飛行空間と、
を備え、
前記衝突室は該第2の飛行空間の内部に置かれると共に、
前記第1の飛行空間に形成された減速電場を制御する減速電場制御手段をさらに備え、
前記減速電場制御手段が、プリカーサイオンが該減速電場内に入射してから所定時間後減速電場をオフとすることにより、質量電荷比の小さなプリカーサイオンほどより大きく飛行速度が減速されるよう減速電場を制御して、質量電荷比の異なる複数の同位体イオンのパケットを前記第2の飛行時間型質量分析部の始点位置において1つのパケットとして収束させる機能を備えていることを特徴とするタンデム飛行時間型質量分析計。
【請求項2】
サンプルをイオン化し、繰り返しパルス的に射出するイオン源と、
繰り返し射出されるサンプルイオンを飛行させ、飛行時間の違いによってイオンを質量分離する第1の飛行時間型質量分析部と、
該第1の飛行時間型質量分析部において質量分離されたプリカーサイオンが飛行する飛行経路上に配置されたイオンゲートと、
該イオンゲートを通過したプリカーサイオンを導入して開裂させ、プロダクトイオンを生成させる衝突室と、
該衝突室から取り出されたプロダクトイオンを飛行させ、飛行時間の違いによってイオンを質量分離する第2の飛行時間型質量分析部と、
該第2の飛行時間型質量分析部で質量分離されたプロダクトイオンを検出する検出部と、
を備えたタンデム飛行時間型質量分析計において、
前記第1と第2の飛行時間型質量分析部の間には、
前記プリカーサイオンを減速する向きの電場が形成された第1の飛行空間と、
該第1の飛行空間を通過したプリカーサイオンが加減速されることなく飛行できる第2の飛行空間と、
を備え、
前記衝突室は該第2の飛行空間の内部に置かれると共に、
前記第1の飛行空間に形成された減速電場を制御する減速電場制御手段をさらに備え、
前記減速電場制御手段が、プリカーサイオンが該減速電場内に入射後、時間に対し所望の関数に従って減速電場を減衰させることにより、質量電荷比の小さなプリカーサイオンほどより大きく飛行速度が減速されるよう減速電場を制御して、質量電荷比の異なる複数の同位体イオンのパケットを前記第2の飛行時間型質量分析部の始点位置において1つのパケットとして収束させる機能を備えていることを特徴とするタンデム飛行時間型質量分析計。
【請求項3】
前記第1の飛行空間の電位が、その前段に置かれた第1の飛行時間型質量分析部の電位、およびその後段に置かれた第2の飛行空間の電位と同じ電位であり、前記第1の飛行空間の出口部に設けられた出口電極の電位を時間的に変化させることにより、前記減速電場の強度を減衰させるようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載のタンデム飛行時間型質量分析計。
【請求項4】
前記第1の飛行時間型質量分析部の電位が、前記第2の飛行空間の電位よりも低い電位であり、前記第1の飛行空間の入口部に設けられた入口電極の電位を時間的に増加させることにより、前記減速電場の強度を減衰させるようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載のタンデム飛行時間型質量分析計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微量化合物の定量分析、定性分析、および試料イオンの構造解析分野に用いられるタンデム飛行時間型質量分析計に関する。
【背景技術】
【0002】
[質量分析計]
質量分析計(以下、MS)は、イオン源でサンプルをイオン化し、質量分析部で質量を電荷数で割った値(以下、m/z値)ごとにイオンを分離し、検出器で分離したイオンを検出する装置である。
【0003】
その結果は、横軸にm/z値、縦軸にイオンの相対強度をとったマススペクトルの形で表示され、サンプルに含まれる化合物群のm/z値とイオンの相対強度から、サンプルの定性、定量的な情報を得ることができる。
【0004】
イオン化法、質量分離法、イオン検出法にはさまざまな方法がある。本発明にとりわけ関連が深い点は、質量分離法に関してである。質量分析計には、その質量分離原理の違いにより、四重極MS(QMS)、イオントラップMS(ITMS)、磁場型MS、飛行時間MS(TOFMS)、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴MS(FTICRMS)などがある。
【0005】
[飛行時間型質量分析計(TOFMS)]
ここでは、以降の説明に関連が深いTOFMSについて説明する。TOFMSでは、イオンに所定の加速電圧Vaをパルス的に印加して、イオンを加速する。このとき、イオンの速度vは、エネルギー保存則から、
【0006】
【数1】
【0007】
【数2】
とあらわされる(ただしmはイオンの質量、zはイオンの価数、eは素電荷)。
【0008】
イオンは、所定距離Lだけ離れた検出器に、飛行時間Tで到達する。
【0009】
【数3】
式(3)から明らかなように、TOFMSは、飛行時間がイオンの質量に応じて異なることを利用してイオンを分離する装置である。もっとも単純な構造のTOFMSは、イオンを直線的に飛行させる直線型TOFMSである。また、イオン源と検出器の間に反射場を置くことにより、エネルギー収束性と飛行距離の延長することのできる反射型TOFMSも広く利用されている。TOFMS飛行時間型質量分の質量分解能は、総飛行時間をT、ピーク幅をΔTとすると、
【0010】
【数4】
で定義される。すなわち、ピーク幅ΔTを一定にして、総飛行時間Tだけを延ばすことができれば、質量分解能を向上させることができる。しかし、従来の直線型、反射型の飛行質量分析装置では、総飛行時間Tを伸ばすこと、すなわち総飛行距離を伸ばすことは装置の大型化に直結する。装置の大型化を避け、かつ高質量分解能を実現するために開発された装置が、多重周回型TOFMS(非特許文献1)である。
【0011】
この装置は、円筒電場にマツダプレートを組み合わせたトロイダル電場を4個用い、8の字型の周回軌道を多重周回させることにより、総飛行時間Tを伸ばすことができる。この装置では、初期位置・初期角度・初期運動エネルギーによる検出面での空間的な広がりと時間的な広がりを、1次の項まで収束させることに成功している。
【0012】
しかし、イオンを閉軌道上で多重周回させる飛行時間型質量分析装置には「追い越し」の問題が存在する。これは、イオンが閉軌道を多重周回するため、軽いイオン(速度が大きいイオン)が重いイオン(速度が小さいイオン)を追い越してしまうことによりおきる。そのため、検出面に軽いイオンから順番に到着するという飛行時間型質量分析計の基本原理が通用しなくなる。
【0013】
この問題を解決するために考案されたのが、らせん軌道型飛行時間型質量分析装置である。らせん軌道型飛行時間型質量分析計は、閉軌道の始点と終点を閉軌道面に対して垂直方向にずらすことを特徴としている。これを実現するためには、イオンをはじめから斜めに入射する方法(特許文献1)や、デフレクタを用いて閉軌道の始点と終点を垂直方向にずらす方法(特許文献2)、積層型トロイダル電場を用いる方法(特許文献3)がある。また、同様のコンセプトとして、追い越しの起こる多重反射型TOFMS(特許文献4)や、そのイオン軌道をジグザグ型にして追い越しを回避させたTOFMS(特許文献5)も考案されている。
【0014】
[MS/MS測定とMS/MS装置]
上述のようにMSでは、イオン源で生成したイオン群を、質量分離部においてイオンのm/z値ごとに分離して検出する。結果は、各イオンのm/z値および相対強度をグラフ化したマススペクトルとして表される。
【0015】
以下、この測定を後述のMS/MS測定に対して、MS測定と呼ぶ。これに対し、イオン源で生成した特定のイオンを初段のMS(以下、MS1)で選択し(選択されたイオンはプリカーサイオンと呼ばれる)、自発的または強制的に開裂させ、生成したイオン群(開裂生成したイオンはプロダクトイオンと呼ばれる)を後段のMS装置(以下、MS2)で質量分析するMS/MS測定があり、それが可能な装置をMS/MS装置と呼ぶ。
【0016】
この測定では、プリカーサイオンのm/z値と、複数の開裂経路で生成するプロダクトイオンのm/z値、およびイオンの相対強度情報が得られるため、プリカーサイオンの構造情報を得ることができる。
【0017】
MS/MS測定を行なうことができるMS/MS装置には、前述の質量分析装置を2つ組み合わせた様々なバリエーションが存在する。また、開裂方法にも、ガスとの衝突による衝突誘起解離法(collision induced dissociation:CID)、光解離、電子捕獲などの方法がある。
【0018】
本発明に関連するものは、TOFMSを2台直列に接続し、その間にCID法による開裂手段を配したMS/MS装置と呼ばれる装置であり、一般的にはTOF/TOFとも呼ばれる。
【0019】
[TOF/TOF]
TOFMSを2台直列に接続したMS/MS装置は、一般にTOF/TOFと呼ばれ、おもにマトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)によりサンプルをイオン化する装置に採用されている。
【0020】
従来のTOF/TOFは、直線型TOFMSと反射型TOFMSで構成される(図1)。2台のTOFMSの間には、プリカーサイオンを選ぶためのイオンゲートが設けられ、イオンゲート付近に第1TOFMSの収束点が配置される。
【0021】
また、最近では、らせん軌道型TOFMSや多重周回型TOFMSを第1TOFMSに採用し、より高いプリカーサイオンの選択能力を実現させたTOF/TOFも報告されている。このようなTOF/TOFでは、プリカーサイオンの同位体ピークのうち、単一組成のみで構成されたイオンピークをプリカーサイオンとして選択することが可能である。
【0022】
ここで、同位体ピークについて説明する。化合物を構成する元素の多くには、安定同位体が存在する。生体高分子の主要構成元素であるC、H、N、O、Sは、全て安定同位体をもつので、生体高分子も安定同位体の組み合わせにより、イオンはその質量数にある分布をもつ。
【0023】
次に、質量分析において標準物質としてよく利用されているいくつかのペプチド(Bradykinin1-7、 ACTH18-39、insulin)がマススペクトルとしてどのように観測されるかを示す。図2に示される3つのマススペクトルの1番左側のピークは、12C、1H、14N、16O、32Sなどの単一組成のみで構成されたピークであり、モノアイソトピックピークと呼ばれる。
【0024】
構成元素数が少ないイオン(すなわち分子量の小さいイオン)においては、モノアイソトピックイオンがもっとも信号強度が高いが、構成元素数が増える(すなわち分子量が増える)につれて、全体のイオン量に占めるモノアイソトピックイオンの比率は低下する。
【0025】
TOF/TOFにおいて、プリカーサイオンのモノアイソトピックイオンを選択して開裂を起こさせると、生成するプロダクトイオンもみなモノアイソトピックイオンのみとなり、スペクトルの解釈が容易となる。その反面、プリカーサイオンの分子量が大きくなるにつれて、プリカーサイオンのモノアイソトピックイオン量は減ることから、分子量の大きな領域では、モノアイソトピックイオンを選ぶことは、感度の低下につながる。したがって、適切な情報を得ることができるプリカーサイオンの選択可能な上限は、通常3000程度とされている。
【0026】
【非特許文献1】M. Toyoda, D. Okumura, M. Ishihara and I. Katakuse, J. Mass Spectrom., 2003, 38, pp. 1125-1142.
【特許文献1】特開2000−243345号公報
【特許文献2】特開2003−86129号公報
【特許文献3】特開2006−12782号公報
【特許文献4】英国特許第2080021号公報
【特許文献5】国際公開第2005/001878号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
従来のTOF/TOFの問題点を、第1TOFMSに直線型TOFMSを採用した場合と、らせん軌道型や多重周回型など単一の同位体ピークを選択できる高分解能TOFMSを採用した場合とに分けて考察する。
【0028】
前者の場合、プリカーサイオンの同位体イオンを分離できるほどには、イオンゲート位置での時間分離がよくないため、結果的に全ての同位体イオンが第2TOFMSに導入されることになる。このとき、各同位体イオンが第2TOFMSの始点位置を通過する時間は、第1TOFMSを飛行している間の質量分離の結果、わずかに異なることになる。
【0029】
第2TOFMSが理想的な運動エネルギー収束性(すなわち、その運動エネルギーのみにより収束し、飛行時間に依存せず、プロダクトイオンのm/z値にのみ依存する)を持つとして考えると、各同位体ピークから生じる同じm/z値のプロダクトイオンの検出器への到達時間は、第2TOFMSの始点位置での各同位体ピークの時間差分だけずれることになる。その結果、プロダクトイオン・スペクトルの質量分解能が悪化する原因となる。
【0030】
次に、後者の場合を考えると、第1TOFMSでプリカーサイオンのモノアイソトピックイオンのみを選択することができるため、プロダクトイオンもモノアイソトピックイオンのみとなることから、プロダクトイオン・スペクトルを極めて単純にすることができる。
【0031】
しかしこれは、プリカーサイオンの全イオン量に対して、モノアイソトピックイオンの量が多い場合に限り有効である。一般的に、分子量が大きくなるほど、プリカーサイオンの全イオン量に対するモノアイソトピックイオンの比率は下がるため、モノアイソトピックイオンを選ぶことは、高い分子量の領域では感度の低下につながる。このような場合、むしろ同位体ピークを含んだ状態で第2TOFMSに導入するほうが感度が高いため、得られる情報量が多くなる。
【0032】
本発明は、これらの2点の問題点を解決するために、TOF/TOFの第1TOFMSと衝突室との間にバンチング機構および自由空間を設け、第2TOFMSの始点位置において、プリカーサイオンの主だった同位体イオンを時間収束させることを目的とする。
【0033】
従来のタンデム飛行時間質量分析法の問題は、第1TOFMSの飛行時間が、第2TOFMSのそれよりも短い場合、一度の飛行時間測定においてプリカーサイオンを1つしか選択することができず、試料の浪費につながることであった。
【0034】
また、第1TOFMSの飛行時間が第2TOFMSのそれよりも十分長い場合(例えば10倍以上)には、単一飛行時間測定においてプリカーサイオンを複数選択することができるものの、第1TOFMSでのイオン透過率が低下し、やはり試料の利用効率の低下につながるという問題があった。
【0035】
本発明の目的は、上述した点に鑑み、第1TOFMSの飛行時間が第2TOFMSのそれよりも数倍程度長い場合を想定することで、第1TOFMSでのイオン量の減少を抑えることができることを特徴とする。
【0036】
このとき、一度の飛行時間測定で選択できるプリカーサイオン数は限定されてしまうので、プリカーサイオン選択の方法を工夫することを提案する。
【0037】
また、一度の飛行時間測定で複数のプリカーサイオンを選択する場合に、プリカーサイオンのイオン量や、得られたプロダクトイオン・スペクトルの質に応じて、十分な質のプロダクトイオン・スペクトルを得るために必要となる積算回数が異なることが多い。そのような場合についても、効率的にプロダクトイオン・スペクトルを得ることができる方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0038】
サンプルをイオン化し、繰り返しパルス的に射出するイオン源と、
繰り返し射出されるサンプルイオンを飛行させ、飛行時間の違いによってイオンを質量分離する第1の飛行時間型質量分析部と、
該第1の飛行時間型質量分析部において質量分離されたプリカーサイオンが飛行する飛行経路上に配置されたイオンゲートと、
該イオンゲートを通過したプリカーサイオンを導入して開裂させ、プロダクトイオンを生成させる衝突室と、
該衝突室から取り出されたプロダクトイオンを飛行させ、飛行時間の違いによってイオンを質量分離する第2の飛行時間型質量分析部と、
該第2の飛行時間型質量分析部で質量分離されたプロダクトイオンを検出する検出部と、
を備えたタンデム飛行時間型質量分析計において、
前記第1と第2の飛行時間型質量分析部の間には、
前記プリカーサイオンを減速する向きの電場が形成された第1の飛行空間と、
該第1の飛行空間を通過したプリカーサイオンが加減速されることなく飛行できる第2の飛行空間と、
を備え、
前記衝突室は該第2の飛行空間の内部に置かれると共に、
前記第1の飛行空間に形成された減速電場を、プリカーサイオンが該減速電場内に入射してから所定時間後にオフとする減速電場制御手段をさらに備え、
前記減速電場制御手段が、質量電荷比の小さなプリカーサイオンほどより大きく飛行速度が減速されるよう減速電場を制御して、質量電荷比の異なる複数の同位体イオンのパケットを前記第2の飛行時間型質量分析部の始点位置において1つのパケットとして収束させる機能を備えていることを特徴としている。
【0039】
サンプルをイオン化し、繰り返しパルス的に射出するイオン源と、
繰り返し射出されるサンプルイオンを飛行させ、飛行時間の違いによってイオンを質量分離する第1の飛行時間型質量分析部と、
該第1の飛行時間型質量分析部において質量分離されたプリカーサイオンが飛行する飛行経路上に配置されたイオンゲートと、
該イオンゲートを通過したプリカーサイオンを導入して開裂させ、プロダクトイオンを生成させる衝突室と、
該衝突室から取り出されたプロダクトイオンを飛行させ、飛行時間の違いによってイオンを質量分離する第2の飛行時間型質量分析部と、
該第2の飛行時間型質量分析部で質量分離されたプロダクトイオンを検出する検出部と、
を備えたタンデム飛行時間型質量分析計において、
前記第1と第2の飛行時間型質量分析部の間には、
前記プリカーサイオンを減速する向きの電場が形成された第1の飛行空間と、
該第1の飛行空間を通過したプリカーサイオンが加減速されることなく飛行できる第2の飛行空間と、
を備え、
前記衝突室は該第2の飛行空間の内部に置かれると共に、
前記第1の飛行空間に形成された減速電場を、プリカーサイオンが該減速電場内に入射後、時間に対し所望の関数に従って減衰させる減速電場制御手段をさらに備え、
前記減速電場制御手段が、質量電荷比の小さなプリカーサイオンほどより大きく飛行速度が減速されるよう減速電場を制御して、質量電荷比の異なる複数の同位体イオンのパケットを前記第2の飛行時間型質量分析部の始点位置において1つのパケットとして収束させる機能を備えていることを特徴としている。
【0042】
また、前記第1の飛行空間の電位が、その前段に置かれた第1の飛行時間型質量分析部の電位、およびその後段に置かれた第2の飛行空間の電位と同じ電位であり、前記第1の飛行空間の出口部に設けられた出口電極の電位を時間的に変化させることにより、前記減速電場の強度を減衰させるようにしたことを特徴としている。
【0043】
また、前記第1の飛行時間型質量分析部の電位が、前記第2の飛行空間の電位よりも低い電位であり、前記第1の飛行空間の入口部に設けられた入口電極の電位を時間的に増加させることにより、前記減速電場の強度を減衰させるようにしたことを特徴としている。
【0044】
また、前記プリカーサイオンの質量電荷比の値がある値を超えて小さい場合は、前記プリカーサイオンの減速電場を予めオフとしておくことを特徴としている。
【発明の効果】
【0045】
本発明のタンデム飛行時間型質量分析計によれば、
サンプルをイオン化し、繰り返しパルス的に射出するイオン源と、
繰り返し射出されるサンプルイオンを飛行させ、飛行時間の違いによってイオンを質量分離する第1の飛行時間型質量分析部と、
該第1の飛行時間型質量分析部において質量分離されたプリカーサイオンが飛行する飛行経路上に配置されたイオンゲートと、
該イオンゲートを通過したプリカーサイオンを導入して開裂させ、プロダクトイオンを生成させる衝突室と、
該衝突室から取り出されたプロダクトイオンを飛行させ、飛行時間の違いによってイオンを質量分離する第2の飛行時間型質量分析部と、
該第2の飛行時間型質量分析部で質量分離されたプロダクトイオンを検出する検出部と、
を備えたタンデム飛行時間型質量分析計において、
前記第1と第2の飛行時間型質量分析部の間には、
前記プリカーサイオンを減速する向きの電場が形成された第1の飛行空間と、
該第1の飛行空間を通過したプリカーサイオンが加減速されることなく飛行できる第2の飛行空間と、
を備え、
前記衝突室は該第2の飛行空間の内部に置かれていることを特徴としているので、
質量電荷比の異なる複数の同位体ピークを1本のピークとして収束させた状態で、タンデム飛行時間型質量分析計による構造解析が行なえるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】直線型TOFMSと反射型TOFMSで構成された従来のTOF/TOF装置の一例を示す図である。
図2】標準的なペプチドのマススペクトルの一例を示す図である。
図3】本発明にかかるタンデムTOFMS装置の基本構成を示す図である。
図4】バンチング時の電位操作の一実施例を示す図である。
図5】バンチング時の電位操作の一実施例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。まず、装置の基本構成について記述する。図3は、本発明にかかるタンデムTOFMS装置の基本構成を示す図である。図中1は、パルスイオンビームを発生するイオン源である。具体的には、MALDIイオン源が想定される。
【0048】
図中2は、第1のTOFMSである。このTOFMS2内において、イオン源で発生したイオン群を飛行させ、飛行速度の違いに基づきイオン群を質量分離する。TOFMS2内には、質量分離されたイオン群の中から所望のイオンピークを選択するためのイオンゲート3が設けられている。
【0049】
イオンゲート3で選択された所定のイオンピークは、第1のTOFMS2の後段に置かれたバンチング機構4に入射する。バンチング機構4の内部には、入射したイオンを減速する向きの電場が形成されていて、バンチング機構4に深く入射したイオンほど、より大きく飛行速度が減速されるようになっている。
【0050】
バンチング機構4内の減速電場は、バンチング機構4の入口部に設けられた入口電極4aと、バンチング機構4の出口部に設けられた出口電極4bとの間に、所定の電位差を設けることにより発生させている。
【0051】
このバンチング機構4を出射したイオンは、その後、加減速されることなく飛行できる自由空間5を飛行し、そこに設置された衝突室6に入って、小さなイオンへとばらばらに開裂させられる。
【0052】
開裂したイオンは、自由空間5の後段に置かれた第2のTOFMS7(例えばリフレクトロン)へと導かれ、質量分離が行なわれる。
【0053】
第2のTOFMS7において質量分離されたイオンは、軽いイオンから順に検出部8に到達し、電気信号となって検出される。検出された電気信号は、データ処理部を備えた御部9に送られて、データ処理される。
【0054】
なお、制御部9は、イオン源に印加してイオンを加速するためのパルス電圧Vの制御や、イオンゲート3の開閉の制御や、バンチング機構4の入口電極4aと出口電極4bに印加される電圧の制御なども行なっている。
【0055】
以下、このようなタンデムTOFMS装置の動作について説明する。
【0056】
[実施例1]
本実施例は、第1TOFMSに直線型TOFMSなどを使用して、プリカーサイオンの主要な同位体ピークを全て選択する場合について述べる。第1TOFMSで選択されたプリカーサイオンの同位体イオンは、そのm/z値の違いにより、式(1)に従い、異なる速度で飛行部を飛行する。その速度はm/z値の平行根に反比例する。
【0057】
これらのイオンは、m/z値の小さい順にバンチング機構に入射する。バンチング機構は、はじめプリカーサイオンを減速する向きの電場が形成されており、飛行時間測定の開始時間と同期した適切なタイミングで、瞬時に電場の無い状態にスイッチングすることができる。
【0058】
つまり、早い時間にバンチング機構に入射した速度の速いイオン(m/z値の小さいイオン)は、スイッチングまでの時間を、バンチング機構のより深部にまで進入し、より大きく減速される。電場の無い状態にスイッチされると、各イオンはバンチング機構内の進入した位置から、減速後の所定の飛行速度を保って自由空間を飛行する。
【0059】
プリカーサイオンは、この自由空間中に配置された衝突室に入射し、一部が開裂し、プロダクトイオンを生成する。このとき、プロダクトイオンは、プリカーサイオンと同じ速度をもつ。そのため、m/z値の小さいプリカーサイオン、およびそこから生成したプロダクトイオンは、m/z値の大きいプリカーサイオン、およびそこから生成したプロダクトイオンに対して、ある地点で追い越されることになる。
【0060】
この追い越しが起こる地点を第2TOFMSの始点位置に持ってくることにより、異なるm/z値をもつ同位体ピークを、第2TOFMSの始点の位置で時間収束させることができる。
【0061】
次に、単純な系で本実施例の効果を考察してみる。第1TOFMSの実行飛行距離をL1、加速エネルギーをeVa、イオンを1価、質量をM+m (Mはモノアイソトピックイオンのm/z値、mはそれと同位体イオンであるイオンピークのm/z値との差 )とすると、その速度v1,M+m、および第1TOFMSの飛行時間T1,M+mは、次のように表される。
【0062】
【数5】
【0063】
【数6】
ここで、第1TOFMS終点位置での質量M+mのイオンと質量Mのイオンとの間の飛行時間差は、次の通りである。
【0064】
【数7】
バンチング機構を直線の減速場とし、減速場の距離をLd、減速場電位差をVdとすると、減速場中の運動方程式は、次の通りである。
【0065】
【数8】
これにより、減速場中のある時間tにおける速度vd,M+m、および位置xd,M+mは、次のように表される。
【0066】
【数9】
【0067】
【数10】
ここで、質量Mのイオンの第1TOFMS終点位置での飛行時間を起点に、減速電場のスイッチングまでの時間をTbとすると、質量M+mのイオンが減速場内にいる時間は、Tb-dT1,mとなる。その結果、減速場オフ後の速度vs,,M+mおよび位置xs, M+mは、
【0068】
【数11】
【0069】
【数12】
バンチング機構終点位置から第2TOFMS始点位置までの自由空間の距離をL2とすると、質量M+mのイオンが減速場オフ時の位置から第2TOFMS始点位置までの飛行にかかる時間T2,M+mは、
【0070】
【数13】
ここで、減速場オフ時から第2TOFMS始点到達時までの質量M+mのイオンと質量Mのイオンとの飛行時間差dT2,mは、次の通りとなる。
【0071】
【数14】
dT1,m+dT2,mが0となれば、第2TOFMSで時間収束することになるが、実際には、検出器の応答である数nsよりも同等以下の値であればよい。
【0072】
L1 = 0.5m, 加速エネルギーを20 keV、Ld = 0.1m、Vd = 12000 V、L2 = 0.5mとし、M = 500、1000、3000、5000、 mを主要同位体ピークに応じて、それぞれ0〜2、0〜3、0〜4、0〜7とした時に、dT1,m+dT2,mが0に近づくようなTbを探した結果を次に示す。また、その時のdT1,m+dT2,mの最大値も示した。
【0073】
【数15】
【0074】
次に、Tbを1μsに固定し、Vdを変化させながら、dT1,m+dT2,mが0に近づく条件を探した結果を次に示す。
【0075】
【数16】
【0076】
以上のように、減速電場、および減速電場のオフ時間、のどちら側を制御しても、第2TOFMS始点位置での時間収束を実現することができる。また、その時のdT1,m+dT2,mの最大値は、どちらの場合も同じ程度であり、検出器の応答数nsに対して十分に小さいものであった。
【0077】
[実施例2]
本実施例は、第1TOFMSとして、1つの同位体ピークだけを選択できるような実行飛行距離の十分に長いTOFMSを採用した場合について述べる。そのようなTOFMSの例としては、多重周回型、多重反射型、らせん軌道型、ジグザグ型のTOFMSがあげられる。
【0078】
構成は実施例1と同じである。ただし第1TOFMSは、m/z値が数千の領域まで1つの同位体ピークを選択できるほど十分に長い実行飛行距離をもつ点が実施例1とは異なっている。
【0079】
本実施例の場合、m/z値が数千の領域まで、プリカーサイオンの同位体ピークの中でひとつだけを選択することができる。背景技術においても述べたように、この場合、プリカーサイオンとしてモノアイソトピックイオンを選択することで、プロダクトイオン・スペクトルを単純にすることができる。
【0080】
その反面、m/z値が数千を超えてくると、プリカーサイオン全体に占めるモノアイソトピックイオンの比率は減ることから、感度面で不利になってくる。そこで、m/z値が数千以上の場合にバンチング機構を機能させ、それ以下の場合ではバンチング機構を機能させずにイオンを通過させることができるよう、モードを切り替え可能に構成にすることにより、従来技術の弱点を克服することを目指す。
【0081】
実施例2の解析を、L1 = 10m、加速エネルギーを20 keV、Ld = 0.1m、Vd = 12000 V とし、M が3000と5000の場合で、 m をそれぞれ0〜4、0〜7とした時に行い、dT1,m+dT2,mが0に近づくような条件となるTbを探した結果を次に示す。また、その時のdT1,m+dT2,mの最大値も示した。結果は、検出器の応答数nsに対して同等以下となった。
【0082】
【数17】
【0083】
[実施例3]
本実施例では、第1TOFMSに直線型TOFMSなどを使用して、プリカーサイオンの主要な同位体ピークを全て選択する場合について述べる。ここで、バンチング機構前後の第1TOFMS、および自由空間の飛行軸電位は同じであるとする。
【0084】
イオン源で生成された後、加速されたイオン群は、そのm/z値ごとに式(1)に従い、m/z値の平行根に反比例する速度で第1TOFMSを飛行する。第1TOFMS内のイオンゲートで選択されたプリカーサイオンの同位体イオンは、第1TOFMSにおいて大きな飛行速度をとるイオン(m/z値の小さなイオン)から順番に、バンチング機構に入射する。
【0085】
バンチング機構は、当初、イオンの進行方向に対して減速する向きの電場を形成できる空間を持っている。最も簡単なものとしては、入口と出口にグリッド電極を配した構造が考えられ、入口電極には第1TOFMSの飛行空間と同じ電位、出口電極には入口電極との間にイオンと同極性の電位差をつくる電位が印加される。
【0086】
バンチング機構に、プリカーサイオンのうち最もm/z値の小さいイオン(通常モノアイソトピックイオン)が入射したのと同期させて、バンチング機構に印加されている減速場を、出口電極に印加された電圧を時間とともに減じることにより弱める(図4参照)。その結果、後から入射したイオンほど、減速場から受ける力が小さいので、バンチング機構出射後に速い速度を持つことになる。実施例1〜2と本実施例の違いは、実施例1〜2のようにいきなり減速場をオフにすることはせず、徐々に下げる点である。
【0087】
バンチング機構出射後には、先に出射したm/z値の小さいイオンは、後から出射するm/z値の大きいイオンよりも速度が遅くなるので、ある場所でm/z値の大きいイオンがm/zの小さいイオンに追いつくことになる。この追いつく点が、主要な同位体ピークについて第2TOFMSの始点位置となるように設定する。
【0088】
またバンチング機構を出射したイオンは、第2TOFMSの始点位置に到達する前に、途中に配置された衝突室において開裂させられ、プロダクトイオンを生成する。
【0089】
まず、当初の出入口電極の電位差Vbを12000 Vに固定し、減速場の時間変化を決めるTbの最適値(すなわち第2TOFMSの始点位置でイオン群が最も時間収束する値)をm/z = 500、1000、3000、5000についてシミュレーションした。第1TOFMSの距離L1 = 0.5m、加速エネルギーを20 keV、バンチング機構長Ld = 0.1m、自由空間長L2 = 0.5mとした。収束させる同位体ピーク数は、m/z = 500、1000、3000、5000のそれぞれについて、2本、3本、4本、および7本とした。
【0090】
各m/z値についての最適なTb値、および第2TOFMS始点位置での同位体ピークの最大飛行時間差を次に示した。結果は、検出器の応答数nsに対して同等以下となった。
【0091】
【数18】
【0092】
次に、Tbを1μsに固定し、最適なVbを各m/z値について探した。下記に各m/z値についての最適なVb値、および第2TOFMS始点位置での同位体ピークの最大飛行時間差を示した。結果は、検出器の応答数nsに対して同等以下となった。
【0093】
【数19】
【0094】
以上のように、当初減速電場および減速電場の減衰時間のどちらを制御しても、第2TOFMS始点位置での時間収束を実現することができた。
【0095】
[実施例4]
本実施例は、第1TOFMSとして、1つの同位体ピークを選択するのに十分なほど実行飛行距離の長いTOFMSを採用した場合について述べる。そのようなTOFMSの例として、多重周回型、多重反射型、らせん軌道型、ジグザグ型のTOFMSがあげられる。
【0096】
構成は実施例3と同じである。ただし第1TOFMSは、m/z値が数千の領域まで、1つの同位体ピークを選択できるほど十分に長い実行飛行距離をもつ点が異なっている。
【0097】
本実施例の場合、m/z値が数千の領域まで、プリカーサイオンの同位体ピークの中で同一のものを選択することができる。背景技術でも述べたように、この場合、モノアイソトピックイオンを選択することで、プロダクトイオン・スペクトルを単純にすることができる。
【0098】
その反面、m/z値が数千を超えてくると、プリカーサイオン全体に占めるモノアイソトピックイオンの比率は減ることから、感度面で不利になる。そこで、m/z値が数千以上の場合にはバンチング機構を機能させ、それ以下の場合には機能させずにイオンを通過させられるよう、モードを切り替え可能に構成することで、従来技術の弱点を克服することができる。
【0099】
実施例3と同様の方法で、当初の出入口電極の電位差Vbを15000 Vに固定し、減速場の変化を決めるTbの最適値(すなわち第2TOFMAの始点位置で最も時間収束する値)をm/z = 3000、5000についてシミュレーションで求めた。第1TOFMSの距離L1 = 10m、加速エネルギーを20 keV、バンチング機構長Ld = 0.2m、自由空間L2 = 0.26mとし、各m/z値について調べた。
【0100】
主要同位体ピーク数は、m/z=3000、5000で想定される4本、および7本とした。各m/z値についての最適なTb値、および第2TOFMS始点位置での同位体ピークの最大飛行時間差を次に示した。結果は、検出器の応答数nsに対して同等以下となった。
【0101】
【数20】
【0102】
[実施例5]
実施例3、4では、バンチング機構前後の第1TOFMSと自由空間の電位が同じであることを前提としている。しかしながら、第1TOFMSの電位よりも、自由空間(入口電極も含む)の電位の方が高い場合、バンチング機構の入口電極の電位を時間とともに増加させる(減速場の強さとしては減衰させる)ことで、同様の効果を得ることが可能である(図5参照)。
【0103】
[実施例6]
実施例3〜5では、バンチング機構の減速場を時間に対して直線的に減衰させたが、減速場の時間変化は、多項式近似や指数関数的な変化でも構わない。
【産業上の利用可能性】
【0104】
タンデム型飛行時間型質量分析装置のMS/MS測定に広く利用できる。
図1
図2
図3
図4
図5