(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複合材が、ケイ素及び一酸化ケイ素のいずれか一方又は両方、並びに遷移金属カルコゲナイド及び金属シリサイドのいずれか一方又は両方を溶媒の共存下で分散して得られた分散物の固形分であることを特徴とする請求項1に記載の炭素材料の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、炭素からなる微細粒子が多数寄せ集まって形成されており、該微細粒子同士の間隙に互いに繋がった複数の孔が形成されている連胞中空構造を有する炭素材料であって、ケイ素及び一酸化ケイ素のいずれか一方又は両方、並びに遷移金属カルコゲナイド及び金属シリサイドのいずれか一方又は両方を配合して複合材を調製する工程と、ポリマー粒子の原料となり、且つ前記ポリマーとの相溶性の低いモノマーと、前記ポリマーとの相溶性の低い有機溶媒と、前記複合材とを混合して、モノマー含有混合物を調製する工程と、前記モノマー含有混合物を水相に分散して、前記モノマー含有混合物の油滴が分散した懸濁液を調製する工程と、前記懸濁液中の油滴を重合させて、前記ポリマー粒子を調製する工程と、前記ポリマー粒子を焼成する工程と、を有する方法で得られ、前記孔に、前記焼成する工程を経た前記複合材を含有することを特徴とする炭素材料である。
【0013】
本発明の炭素材料の構造を詳細に調査した結果、リチウムと合金を形成する、ケイ素及び一酸化ケイ素のいずれか一方又は両方(以下、「ケイ素等」という場合がある。) 、並びに遷移金属カルコゲナイド及び金属シリサイドのいずれか一方又は両方(以下、「遷移金属カルコゲナイド等」という場合がある。)が配合されてなる複合材(以下、「複合材」という場合がある。)を含有し、炭素からなる微細粒子が多数寄せ集まって形成されており、該微細粒子同士の間隙に互いに繋がった複数の孔が形成されている連胞中空構造を有することが判った。該連胞中空構造を説明する模式図を
図1に示した。この場合の、炭素材料は粒子状をしており、以下、炭素粒子という場合がある。
【0014】
本発明の炭素材料1は、炭素からなる微細粒子11が多数寄せ集まって形成されており、該微細粒子11同士の間隙に互いに繋がった複数の孔12が形成されている。そして、互いに繋がった複数の孔12に、炭素からなる微細粒子11に接触するようにして焼成工程を経た複合材13が含有されている。
【0015】
本発明の炭素材料は、このような連胞中空構造を有することにより、複合材を含有して高いリチウム吸蔵放出容量を発揮できる一方で、連続充放電を行っても破損しにくいという優れた性能を発揮できるものと考えられる。本発明の炭素材料においても、連続充放電を行えば複合材の体積変化は発生する。しかし、連胞中空構造を有することにより、該体積変化による応力を分散し吸収することができるため、破損するまでには至らないと考えられる。
【0016】
本発明の炭素材料が粒子である場合には、平均粒子径の下限が10nm、上限が1mmである。平均粒子径が10nm未満であると、本発明の炭素材料を製造する際の焼成時に合着が起こり、単粒子化が困難となることがあり、1mmを超えると、電極材料に成形する際に、所望の形状や大きさに成形できないことがある。平均粒子径の好ましい下限は1000nm、好ましい上限は500μmである。
【0017】
本発明の炭素材料の空隙率の好ましい下限は5%、好ましい上限は95%である。前記空隙率が5%未満であると、連続充放電時の複合材の体積変化を充分に吸収できずに炭素材料が破損しやすくなることがあり、95%を超えると、得られる炭素材料等の強度が低くなったり、炭素量が少なすぎて導電性が低下してしまったりすることがある。
なお、前記空隙率は、例えば、ピクノメーター法真密度測定器等により測定した比重から、アルキメデス法により算出することができる。
【0018】
前記複合材は、ケイ素等及び遷移金属カルコゲナイド等を配合して得られたものであり、例えば、ケイ素等及び遷移金属カルコゲナイド等を溶媒の共存下で分散して得られた分散物の固形分を用いることができる。
【0019】
前記複合材においてケイ素等を用いることにより、本発明の炭素材料は高いリチウム吸蔵放出容量を有する。また、前記複合材において遷移金属カルコゲナイドを用いることにより、前記複合材がさらに、連続充放電時における炭素材料の体積変化の影響の緩和に寄与すると考えられる。そして、前記複合材において金属シリサイドを用いることにより、本発明の炭素材料を用いた電極は、初期クーロン効率に優れたものとなる。なお、本発明において「初期クーロン効率」とは、初回の充電電気量に対して取り出し得る放電電気量の割合([1サイクル目の放電容量(mAh)/1サイクル目の充電容量(mAh)]×100(%))を意味する。
【0020】
前記複合材の調製に用いるケイ素等は、粉末状であることが好ましく、粒子状であることがより好ましく、例えば、平均粒子径が300nm以下であることが好ましい。このような微粉末状のケイ素等を用いるとで、本発明の効果がより顕著に得られる複合材が得られる。
ケイ素等の平均粒子径は、例えば、電子顕微鏡を用いて、任意のケイ素等の粒子約100個について粒子径を計測し、その平均値を算出することで求められる。
ケイ素等は、例えば、ボールミル等を用いる公知の手法で粉砕することにより、平均粒子径を所望の値に調節できる。
【0021】
前記複合材の調製に用いる遷移金属カルコゲナイドは、遷移金属とカルコゲンとを構成元素とするものである。
遷移金属は、周期表の第3属から第11族までの元素であり、第4周期、第5周期又は第6周期の元素であることが好ましく、第4周期又は第5周期の元素であることがより好ましく、モリブデン、銅、タングステン、チタン又は鉄であることが特に好ましい。すなわち、前記遷移金属カルコゲナイドは、モリブデン、銅、タングステン、チタン又は鉄のカルコゲナイドであることが特に好ましい。
【0022】
カルコゲンは、周期表の第16属の元素であり、酸素、硫黄、セレン、テルルが例示でき、本発明においては、硫黄又は酸素であることが好ましく、硫黄であることがより好ましい。すなわち、前記遷移金属カルコゲナイドは、遷移金属の硫化物又は酸化物であることが好ましく、遷移金属の硫化物であることがより好ましい。
【0023】
好ましい前記遷移金属カルコゲナイドとしては、硫化モリブデン(IV)(MoS
2)、硫化銅(II)(CuS)、硫化タングステン(IV)(WS
2)、硫化チタン(IV)(TiS
2)、硫化鉄(II)(FeS)、二硫化鉄(FeS
2)が例示できる。
遷移金属カルコゲナイドは、分子同士でグラファイトのような層状構造を形成し得るものが好ましい。
【0024】
前記遷移金属カルコゲナイドは、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよく、二種以上を併用する場合には、その組み合わせ及び比率は目的に応じて適宜選択すればよい。
【0025】
前記複合材の調製に用いる、前記金属シリサイドを構成する金属種は、シリサイド(ケイ化物)を構成し得るものであれば特に限定されず、金属シリサイドとしては、一般式「ZSi
2」、「ZSi」又は「Z
2Si」(式中、Zは金属原子である。)で表されるものが例示できる。なかでも、金属シリサイドは、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、コバルト(Co)、ニオブ(Nb)、マグネシウム(Mg)又はカルシウム(Ca)のシリサイドであることが好ましく、二ケイ化モリブデン(MoSi
2)、二ケイ化タングステン(WSi
2)、二ケイ化鉄(FeSi
2)、二ケイ化チタン(TiSi
2)、二ケイ化クロム(CrSi
2)、二ケイ化ニッケル(NiSi
2)、二ケイ化タンタル(TaSi
2)、二ケイ化バナジウム(VSi
2)、二ケイ化コバルト(CoSi
2)、二ケイ化ニオブ(NbSi
2)、二ケイ化マグネシウム(MgSi
2)又は二ケイ化カルシウム(CaSi
2)であることがより好ましく、二ケイ化モリブデンであることが特に好ましい。
【0026】
前記金属シリサイドは、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよく、二種以上を併用する場合には、その組み合わせ及び比率は目的に応じて適宜選択すればよい。
【0027】
前記複合材において、ケイ素、一酸化ケイ素、遷移金属カルコゲナイド及び金属シリサイドの総配合量に占める遷移金属カルコゲナイド及び金属シリサイドの総配合量の比率(配合比率)は、5〜70質量%であることが好ましく、10〜60質量%であることがより好ましい。
【0028】
本発明において遷移金属カルコゲナイド及び金属シリサイドを併用する場合には、これら成分の使用効果をより明確に得るという観点からは、前記複合材において、[遷移金属カルコゲナイドの配合量]:[金属シリサイドの配合量]の比率(質量比)が20:80〜80:20であることが好ましく、35:65〜65:35であることがより好ましい。
【0029】
前記複合材(分散物)の調製に用いる溶媒は、ケイ素等及び遷移金属カルコゲナイド等を分散又は溶解させるもの(分散媒)であり、遷移金属カルコゲナイド等の種類に応じて任意に選択でき、好ましいものとしては、水、有機溶媒が例示できる。
前記複合材の調製に用いる前記有機溶媒で好ましいものとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール;N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等の鎖状又は環状アミド;アセトン等のケトンが例示できる。
前記複合材の調製に用いる前記溶媒は、一種のみでもよいし、二種以上でもよく、二種以上である場合には、その組み合わせ及び比率は目的に応じて適宜選択すればよい。
【0030】
前記複合材(分散物)は、ケイ素等、遷移金属カルコゲナイド等及び溶媒以外に、これら(ケイ素等、遷移金属カルコゲナイド等及び溶媒)に該当しない、その他の成分が配合されて得られたものでもよい。複合材における前記その他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
その他の成分を配合する場合、前記複合材において、溶媒を除く配合成分の総量に占めるその他の成分の配合量の比率(配合比率)は、5質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましい。
【0031】
前記分散物は、ケイ素等、遷移金属カルコゲナイド等及び溶媒、並びに必要に応じてその他の成分を配合し、分散することで得られる。
各成分は、これらを順次添加しながら混合して分散してもよいし、全成分を添加してから混合して分散してもよく、配合成分が均一に混合され、分散質が均一に分散されればよい。
例えば、前記溶媒は、少なくとも一部を、ケイ素等、遷移金属カルコゲナイド等及びその他の成分からなる群から選択される一種以上とあらかじめ混合して、これら成分の溶液又は分散液として、配合してもよい。このような溶液又は分散液の調製に用いる溶媒は、全量であってもよい。
【0032】
各成分の混合方法は、分散物が得られる限り特に限定されず、例えば、撹拌子、撹拌翼、ボールミル、スターラー、超音波分散機、超音波ホモジナイザー、自公転ミキサー等を使用する公知の方法を適用すればよい。そして、複数種の方法を組み合わせて行ってもよい。
【0033】
前記固形分は、後述する炭素材料の製造時に、例えば、分散物から取り出されて乾燥され、これ(固形分)のみ単独で複合材として用いてもよいし、例えば、分散物から取り出されて溶媒(分散媒)の一部が残存したウェット状態で複合材として用いてもよい。
【0034】
本発明の炭素材料の製造方法は、ケイ素等及び遷移金属カルコゲナイド等を配合して複合材を調製する工程と、ポリマー粒子の原料となり、且つ前記ポリマーとの相溶性の低いモノマーと、前記ポリマーとの相溶性の低い有機溶媒と、前記複合材とを混合して、モノマー含有混合物を調製する工程と、前記モノマー含有混合物を水相に分散して、前記モノマー含有混合物の油滴が分散した懸濁液を調製する工程と、前記懸濁液中の油滴を重合させて、前記ポリマー粒子を調製する工程と、前記ポリマー粒子を焼成する工程を有する。
【0035】
ケイ素等及び遷移金属カルコゲナイド等を配合して複合材を調製する工程は、前記の複合材の調製方法により行うことができる。
【0036】
前記複合材は、表面が顔料分散剤で処理されていることが好ましい。表面が顔料分散剤で処理されていることにより前記モノマー含有混合物中における分散性が向上する。
前記顔料分散剤としては、例えば、高分子量ポリエステル酸のアマイドアミン塩、アクリル系重合物、脂肪族系多価カルボン酸、ポリエステルのアミン塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース等が挙げられる。
なお、前記顔料分散剤は、前記複合材とともに前記モノマー混合物中に添加されてもよい。
【0037】
本明細書において「ポリマーとの相溶性の低い」とは、モノマー又は有機溶媒の溶解性パラメータ(SP値)とポリマーの溶解性パラメータ(SP値)との差が1.5以上あることを意味する。
また、本明細書において溶解性パラメータ(SP値)とは、Fedorsの式により算出される値を意味する。
【0038】
前記モノマーは、重合後に焼成することにより、得られる炭素材料の炭素成分を構成するものである。前記モノマーを用いて、相溶性の低い有機溶媒と併用することにより、得られる炭素材料は、炭素からなる微細粒子が多数寄せ集まって形成されており、該微細粒子同士の間隙に互いに繋がった複数の孔が形成されている連胞中空構造を有するものとなる。
【0039】
前記モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、塩化ビニル、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0040】
前記有機溶媒は、本発明の炭素材料の製造方法において中空剤の役割を果たすものである。
前記有機溶媒は、前記モノマーにあわせて適当なものを選択する。例えば、前記モノマーとしてジビニルベンゼンを用いる場合には、n−ヘプタン等の直鎖状炭化水素や、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素等が挙げられる。
【0041】
前記モノマー含有混合物中において、前記モノマー100質量部に対する前記有機溶媒の配合量の好ましい下限は5質量部、好ましい上限は125質量部である。前記有機溶媒の配合量が5質量部未満であると、得られる炭素材料の内部に充分な空隙が形成されず、連続充放電時の複合材の体積変化を吸収できずに炭素材料が破損しやすくなることがある。前記有機溶媒の配合量が125質量部を超えると、得られる炭素材料の強度が低くなったり、形状を維持することが難しくなったりすることがある。前記有機溶媒の配合量のより好ましい下限は10質量部、より好ましい上限は120質量部である。
【0042】
前記モノマー含有混合物中において、前記モノマー100質量部に対する前記複合材の配合量の好ましい下限は1質量部、好ましい上限は70質量部である。前記複合材の配合量が1質量部未満であると、所望する高容量の負極材料が得られない。前記複合材の配合量が70質量部を超えると、膨張緩和に必要な空隙を得るのが難しくなる。前記複合材の配合量のより好ましい下限は5質量部、より好ましい上限は60質量部である。
【0043】
前記モノマー含有混合物は、重合開始剤を含有することが好ましい。
前記重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物、アゾ系化合物、金属イオンレドックス開始剤、光重合開始剤、過硫酸塩等の従来公知の重合開始剤を用いることができる。
前記モノマー含有混合物中の前記重合開始剤は必要量が配合されればよい。ただし、重合開始剤が少なすぎると前記モノマーが充分に重合せずに粒子が形成されないことがあり、過剰に配合されると分子量が上がらず、得られる炭素材料の後処理に支障が出ることがある。
【0044】
前記モノマー含有混合物は、必要に応じて他の添加剤を含有してもよい。例えば、黒鉛、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン及びフラーレンからなる群より選択される少なくとも1種の導電助剤を更に含有してもよい。前記導電助剤を含有することにより、得られる炭素材料の導電性をより向上させることができる。なかでも、前記モノマー含有混合物が黒鉛を含有する場合には、導電助剤としての役割に加えて、放電容量の増大効果も期待できる。
【0045】
前記モノマー含有混合物を調製する方法としては、例えば、前記モノマー、前記有機溶媒、前記複合材、及び、必要に応じて添加する添加剤等を混合し、超音波分散する等の方法が挙げられる。
【0046】
本発明の炭素材料の製造方法は、前記モノマー含有混合物を水相に分散して、モノマー含有混合物の油滴が分散した懸濁液を調製する工程を有する。
前記水相を構成する水系媒体としては、例えば、水、アルコール、ケトン等が挙げられる。
前記水系媒体は、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、不溶性無機微粒子、高分子界面活性剤等の分散剤を含有することが好ましい。
【0047】
前記懸濁液を調製する方法としては、例えば、前記モノマー含有混合物を水系媒体に添加して、ホモジナイザー、静置型スタティックミキサー、超音波ミキサー、超音波ホモジナイザー、シラスポーラスフィルター、撹拌羽根等の撹拌装置で撹拌する方法が挙げられる。
前記撹拌の条件により懸濁液中のモノマー含有混合物の油滴の大きさを制御して、得られる炭素粒子の粒子径を調整することができる。
【0048】
本発明の炭素材料の製造方法は、前記懸濁液中の油滴を重合させて前記ポリマー粒子を調製する工程を有する。
前記油滴を重合させてポリマー粒子を調製する際の重合条件は、例えば、前記懸濁液を窒素気流下、30〜95℃、1〜50時間程度撹拌する方法等が挙げられる。
得られたポリマー粒子は、懸濁液から分離され、水洗、乾燥、分級等の操作を経てその後の工程に供される。
【0049】
本発明の炭素材料の製造方法は、前記ポリマー粒子を焼成する工程を有する。
前記焼成の条件は、ポリマー粒子により適宜選択すればよい。焼成温度は、1000℃以下、1000〜2500℃、2500℃以上の場合が考えられる。
焼成温度を1000℃以下とすると、得られる炭素材料をリチウムイオン二次電池電極
材料に用いた場合に、極めて高いリチウム吸蔵放出容量を発揮することができ、高い出力を得ることができる。ただし、リチウムイオン二次電池の出力が不安定となることがある。
焼成温度を1000〜2500℃とすると、得られる炭素材料をリチウムイオン二次電池電極材料に用いた場合に、安定した出力特性とサイクル寿命とを発揮することができる。ただし、リチウム吸蔵放出容量は低くなり、高い出力のリチウムイオン二次電池は得られないことがある。
焼成温度を2500℃以上とすると、得られる炭素材料をリチウムイオン二次電池電極材料に用いた場合に、極めて高いリチウム吸蔵放出容量を発揮することができ、高い出力を得ることができる。
【0050】
本発明の炭素材料の製造方法により製造される炭素材料は、従来の炭素のみからなる炭素材料に比べて高いリチウム吸蔵放出容量を有し、かつ、連続充放電を行っても破損しにくいという優れた性能を有する。
【0051】
本発明の電極材料は、前記本発明の炭素材料が配合されてなることを特徴とする。
また、本発明の電極材料は、黒鉛、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン及びフラーレンからなる群より選択される少なくとも1種の導電助剤が更に配合されてなるものが好ましい。前記導電助剤が配合されていることにより、本発明の電極材料の導電性がより向上する。
【0052】
本発明の電極材料は、更にバインダー樹脂が配合されてなるものが好ましい。前記バインダー樹脂は、本発明の炭素材料同士を結合させる結着剤の役割を果たし、任意の形状に成形する役割を果たす。ただし、大量にバインダー樹脂を添加すると、得られる電極材料の導電性が低下する恐れがある。
前記バインダー樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、スチレンブタジエンゴム等が挙げられる。
【0053】
本発明の電極材料は、後述する成型を容易にするために、更に有機溶媒が配合されてなるものでもよい。
前記有機溶媒は、前記バインダー樹脂を溶解可能な溶媒であればよく、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
【0054】
本発明の電極材料を製造する方法としては、例えば、本発明の炭素材料、導電助剤、バインダー樹脂、及び有機溶媒等の各配合成分を混合して混合物を得た後、この混合物を成型する方法等が挙げられる。
【0055】
本発明のリチウムイオン二次電池は、前記本発明の電極材料を用いてなることを特徴とする。
本発明のリチウムイオン二次電池は、例えば、前記電極(負極)材料を用いて形成された負極活物質層を、集電体(負極集電体)上に備えた負極と、正極と、電解液と、を備えて構成される。さらに必要に応じて、負極と正極との間に、セパレータが設けられていてもよい。
本発明のリチウムイオン二次電池は、前記負極を用いること以外は、従来のリチウムイオン二次電池と同様の構成とすることができ、前記負極は、前記電極材料を用いること以外は、従来の負極と同様の構成とすることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、前記電極材料を用いたことにより、高い容量維持率を発揮する
【実施例】
【0056】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0057】
(実施例1)
(1)複合材の作製
シリコン屑ウェハ(信越半導体社製)150g、直径20nmのジルコニアボールを専用ジルコニア容器に入れ、遊星型ボールミル(クラシックラインP−6、フリッチュ・ジャパン社製)で速度400rpm、時間30分の条件でシリコン屑ウェハを粗粉砕した。
得られた粗粉砕シリコン50g、硫化モリブデン(IV)(アルドリッチ社製)50g、イソプロピルアルコール120g、直径1mmジルコニアビーズを専用ジルコニア容器に入れ、遊星型ボールミル(クラシックラインP−6、フリッチュ・ジャパン社製)で速度400rpm、時間60分の条件で粉砕し、平均粒径約200nmの微粉末状の複合材のイソプロピルアルコール分散液を得た。
得られた複合材のイソプロピルアルコール分散液を遠心分離機で分離、回収し、複合材(イソプロピルアルコールのウェットケーキ(固形分66%))を得た。
(2)炭素材料の製造
油相成分として、モノマーであるジビニルベンゼン100質量部、中空剤であるn−ヘプタン100質量部、前記複合材20質量部、ポリビニルピロリドン5質量部を混合し、超音波分散した後、更に重合開始剤として有機過酸化物を添加し、モノマー混合物を調製した。一方、水相成分として、純水500質量部、分散剤としてポリビニルアルコール5質量部相当を混合した。
得られた油相成分と水相成分とを混合し、ホモジナイザーで撹拌分散して懸濁液を調製した。得られた懸濁液を窒素雰囲気下、80℃で12時間、撹拌、保持し、粒子を重合させた。得られた粒子を、洗浄し、粒径に従って分級した後、乾燥させて、複合材内包ポリマー粒子を得た。
得られたポリマー粒子を、大気雰囲気下、300℃で3時間熱処理した後、窒素雰囲気下、1000℃で3時間焼成して炭素材料を得た。
(3)電極材料及び負極の製造
得られた炭素材料100質量部に対して、導電助剤としてアセチレンブラック(電気化学社製、HS−100)10質量部、バインダー樹脂としてポリフッ化ビニリデン10質量部、有機溶媒としてN−メチルピロリドンを混合して電極材料を調製した。
得られた電極材料を、厚さ18μmの銅箔の片面に塗布し、乾燥させた後、プレスロールで加圧成形して負極シートを得た。得られた負極シートを直径16mmの大きさに打抜き、負極を製造した。
【0058】
(実施例2)
粗粉砕シリコンの配合量を50gに代えて80gとし、硫化モリブデン(IV)の配合量を50gに代えて20gとし、複合材の配合量を20質量部に代えて12.5質量部としたこと以外は、実施例1と同様に、負極を製造した。
【0059】
(実施例3)
硫化モリブデン(IV)50gに代えて硫化銅(II)50gを用いたこと以外は、実施例1と同様に、負極を製造した。
【0060】
(実施例4)
硫化モリブデン(IV)20gに代えて硫化銅(II)20gを用いたこと以外は、実施例2と同様に、負極を製造した。
【0061】
(実施例5)
硫化モリブデン(IV)50gに代えて硫化チタン(IV)50gを用いたこと以外は、実施例1と同様に、負極を製造した。
【0062】
(実施例6)
硫化モリブデン(IV)20gに代えて硫化チタン(IV)20gを用いたこと以外は、実施例2と同様に、負極を製造した。
【0063】
(比較例1)
硫化モリブデン(IV)用いなかったこと以外は、実施例1と同様に、負極を製造した。
【0064】
(比較例2)
前記複合材及びポリビニルピロリドンを用いなかったこと以外は、実施例1と同様に、負極を製造した。
【0065】
(比較例3)
グラファイト粒子(和光純薬工業社製、平均粒子径20μm、粒子径のCV値50%)100質量部に対して、導電助剤としてアセチレンブラック(電気化学社製、HS-100)10質量部、バインダー樹脂としてポリフッ化ビニリデン10質量部、有機溶媒としてN−メチルピロリドンを混合して混合液を調製した。
得られた混合液を、厚さ18μmの銅箔の片面に塗布し、乾燥させた後、プレスロールで加圧成形して負極シートを得た。得られた負極シートを直径16mmの大きさに打抜き、負極を製造した。
【0066】
(比較例4)
活性炭粒子(日本ノリット社製、Norit SX Plus、平均粒子径160μm、粒子径のCV値120%)100質量部に対して、導電助剤としてアセチレンブラック(電気化学社製、HS-100)10質量部、バインダー樹脂としてポリフッ化ビニリデン10質量部、有機溶媒としてN−メチルピロリドンを混合して混合液を調製した。
得られた混合液を、厚さ18μmの銅箔の片面に塗布し、乾燥させた後、プレスロールで加圧成形して負極シートを得た。得られた負極シートを直径16mmの大きさに打抜き、負極を製造した。
【0067】
(比較例5)
ケイ素粉末(アルドリッチ社製、シリコンパウダー)100質量部に対して、導電助剤としてアセチレンブラック(電気化学社製、HS-100)10質量部、バインダー樹脂としてポリフッ化ビニリデン10質量部、有機溶媒としてN−メチルピロリドンを混合して混合液を調製した。
得られた混合液を、厚さ18μmの銅箔の片面に塗布し、乾燥させた後、プレスロールで加圧成形して負極シートを得た。得られた負極シートを直径16mmの大きさに打抜き、負極を製造した。
【0068】
(比較例6)
(1)中実構造を有する炭素粒子の調製
油相成分として、モノマーであるジビニルベンゼン100質量部、ケイ素粒子(アルドリッチ社製シリコンナノパウダー)10質量部、顔料分散剤として高分子量ポリエステル酸塩10質量部を混合し、超音波分散した後、更に重合開始剤として有機過酸化物を添加して、モノマー混合物を調製した。水相成分として、純水500質量部、分散剤としてポリビニルアルコール5質量部相当を混合し、調製した。
得られた油相成分と水相成分とを混合し、ホモジナイザーで撹拌分散して懸濁液を調製した。得られた懸濁液を窒素雰囲気下、80℃で12時間、撹拌、保持し、粒子を重合させた。得られた粒子を、洗浄し、粒径に従って分級した後、乾燥させて、内部に空隙のなく、ケイ素を含有し、中実構造を有するポリマー粒子を得た。
得られたポリマー粒子を、窒素雰囲気下、300℃で3時間熱処理した後、窒素雰囲気下、1000℃で3時間焼成してケイ素を含有し、中実構造を有する炭素粒子を得た。
得られた炭素粒子は、平均粒子径が20μm、粒子径のCV値が5%であった。なお、平均粒子径及びCV値は、電子顕微鏡(日立ハイテクノロジー社製、S−4300SE/N)を用いて任意の粒子約100個について観測することにより求めた。
【0069】
(2)負極の製造
得られた炭素粒子100質量部に対して、導電助剤としてカーボンナノチューブ(昭和電工社製、多層カーボンナノチューブ)10質量部、バインダー樹脂としてポリフッ化ビニリデン10質量部、有機溶媒としてN−メチルピロリドンを混合して混合液を調製した。
得られた混合液を、厚さ18μmの銅箔の片面に塗布し、乾燥させた後、プレスロールで加圧成形して負極シートを得た。得られた負極シートを直径16mmの大きさに打抜き、負極を作製した。
【0070】
(比較例7)
(1)ケイ素粒子の調製
シリコン屑ウェハ(信越半導体社製)150g、φ20mmジルコニアボールを専用ジルコニア容器に入れ、遊星型ボールミル(フリッチュ・ジャパン社製、P−6)を用いて400rpm、30分間の条件でシリコン屑ウェハを粗粉砕した。
得られた粗粉砕ケイ素100g、イソプロピルアルコール120g、φ1mmジルコニアビーズ550gを専用ジルコニア容器に入れ、遊星型ボールミル(フリッチュ・ジャパン社製、P−6)を用いた400rpm、120分間の条件で粉砕を行い、ケイ素粒子のイソプロピルアルコール分散液を得た。分散されたケイ素粒子の平均粒子径は約100nmであった。
得られたケイ素粒子のイソプロピルアルコール分散液を遠心分離機を用いて濃縮を行い、ケイ素粒子(イソプロピルアルコールのウェットケーキ、固形分66質量%)を得た。
【0071】
(2)銅めっきケイ素粒子の調製
得られたケイ素粒子(イソプロピルアルコールのウェットケーキ、固形分66質量%)25gを、純水820gに投入し、超音波分散、撹拌しながら、55℃に保持してケイ素粒子分散液を調製した。
一方、銅めっき液として、硫酸銅五水和物110gとエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩四水和物(EDTA・4Na)388gとを純水750gに溶解し、50%水酸化ナトリウム水溶液でpH12に調整し、55℃で2時間熟成した。
超音波分散で、撹拌しながら、ケイ素粒子分散液に銅めっき液を流量10mL/minで滴下した。全量を滴下した後、超音波分散で、撹拌しながら、3時間、55℃に保持して、銅めっきケイ素粒子の分散液を得た。
得られた銅めっきケイ素粒子を、遠心分離器で粒子を分離して回収し、純水で1回超音波洗浄した後、遠心分離器で粒子を分離して回収、イソプロパノールで1回超音波洗浄した後、遠心分離器で粒子を分離して回収、トルエンで置換し、遠心分離した後、上澄みをデカントして銅めっきケイ素粒子(トルエンのウエットケーキ、固形分50%)を得た。
得られた銅めっきケイ素粒子を乾燥させ、島津製作所社製のエネルギー分散型蛍光X線分析装置「EDX−800HS」を用いて蛍光X線分析を行ったところ、元素質量比率はシリコンが40%、銅が60%であった。
【0072】
(3)炭素粒子の製造
油相成分として、モノマーであるジビニルベンゼン100質量部、中空剤であるノルマルヘプタン100質量部、得られた銅めっきケイ素粒子10質量部(固形分換算)、ポリビニルピロリドン5質量部を混合し、超音波分散した後、更に重合開始剤として有機過酸化物を添加し、モノマー混合物を調製した。一方、水相成分として、純水500質量部、分散剤としてポリビニルアルコール5質量部相当を混合した。
得られた油相成分と水相成分とを混合し、ホモジナイザーで撹拌分散して懸濁液を調製した。得られた懸濁液を窒素雰囲気下、80℃で12時間、撹拌、保持し、粒子を重合させた。得られた粒子を、洗浄し、粒径に従って分級した後、乾燥させて、銅めっきケイ素粒子を内包し、連胞中空構造を有するポリマー粒子を得た。
得られたポリマー粒子を、大気雰囲気下、300℃で3時間熱処理した後、アルゴン−水素(水素3%)雰囲気下、1000℃で3時間焼成して銅めっきケイ素粒子を内包し、連胞中空構造を有する炭素粒子を得た。
(4)負極の製造
得られた炭素粒子100質量部に対して、導電助剤としてアセチレンブラック(電気化学社製、HS-100)10質量部、バインダー樹脂としてポリフッ化ビニリデン10質量部、有機溶媒としてN−メチルピロリドンを混合して混合液を調製した。
得られた混合液を、厚さ18μmの銅箔の片面に塗布し、乾燥させた後、プレスロールで加圧成形して負極シートを得た。得られた負極シートを直径16mmの大きさに打抜き、負極を作製した。
【0073】
(評価)
実施例1〜6及び比較例1〜7で得られた負極について、下記のように評価を行った。結果を以下表1〜2に示す。
なお、比較例5は、評価を行おうとしたが、測定不能であった。
【0074】
(1)リチウムイオン二次電池の作製
実施例及び比較例で得られた負極を用いてコイン型モデルセルを作製した。
即ち、負極と直径16mmの対極リチウム金属とをセパレータを介して積層した。セパレータに電解液を含浸した後、これらを上部缶と下部缶によりガスケットを介してかしめ付けた。上部缶と下部缶には、負極及び対極リチウムがそれぞれ接触して導通がとられるようにした。
なお、セパレータとしては、厚さ25μm、直径24mmのポリエチレン製微孔膜を用い、電解液としては、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとの体積比1:2の混合溶媒に、電解質としてLiPF
6を濃度1mol/Lとなるように溶解した溶液を用いた。
【0075】
(2)放電容量、クーロン効率
充放電条件は、電圧、電流を0で4時間休止後、1Cに相当する電流で0.002Vまで電圧が降下した後、3時間保持し、充電した。10分間休止した後、電流0.2Cで電圧が3Vになるまで放電した。10分間休止した後、この放充電を繰り返した。その間の通電量から充放電容量を求めた。
また、クーロン効率(充放電効率)として、下記式から1サイクル目のクーロン効率(初期クーロン効率)(%)及び2サイクル目のクーロン効率(%)を計算した。なお、この試験では、リチウムを負極材料へ吸蔵する過程を充電、放出する過程を放電とした。
初期クーロン効率(%)
=(1サイクル目の放電容量/1サイクル目の充電容量)×100
2サイクル目のクーロン効率(%)
=(2サイクル目の放電容量/2サイクル目の充電容量)×100
【0076】
(3)サイクル特性
前記サイクルを10回、20回及び100回繰り返し、下記式を用いてサイクル特性を計算した。
2サイクル目から10サイクル目の容量維持率(%)
=(10サイクル目における放電容量/2サイクル目における放電容量)×100
2サイクル目から20サイクル目の容量維持率(%)
=(20サイクル目における放電容量/2サイクル目における放電容量)×100
2サイクル目から100サイクル目の容量維持率(%)
=(100サイクル目における放電容量/2サイクル目における放電容量)×100
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
前記結果から明らかなように、実施例1〜6の負極を用いたコイン型セルは、初期放電容量が高く、且つ、比較例1〜7のコイン型セルに比べて、100サイクル目までの容量維持率が高かった。
以上より、本発明の負極を用いたコイン型セルは、容量維持率に優れることが確認できた。
【0080】
(実施例7)
硫化モリブデン(IV)50gに代えて二ケイ化モリブデン50gを用いたこと以外は、実施例1と同様に、負極を製造した。
【0081】
(実施例8)
粗粉砕シリコン50gに代えて粗粉砕一酸化ケイ素50gを用い、硫化モリブデン(IV)50gに代えて二ケイ化モリブデン50gを用いたこと以外は、実施例1と同様に、負極を製造した。なお、粗粉砕一酸化ケイ素は、粗粉砕シリコンと同様の方法で得た。これは、以降の実施例でも同様である。
【0082】
(実施例9)
硫化モリブデン(IV)50gに代えて、硫化モリブデン(IV)25g及び二ケイ化モリブデン25gを用いたこと以外は、実施例1と同様に、負極を製造した。
【0083】
(実施例10)
粗粉砕シリコン50gに代えて粗粉砕一酸化ケイ素50gを用い、硫化モリブデン(IV)50gに代えて、硫化モリブデン(IV)25g及び二ケイ化モリブデン25gを用いたこと以外は、実施例1と同様に、負極を製造した。
【0084】
(実施例11)
粗粉砕シリコン50gに代えて、粗粉砕シリコン25g及び粗粉砕一酸化ケイ素25gを用い、硫化モリブデン(IV)50gに代えて二ケイ化モリブデン50gを用いたこと以外は、実施例1と同様に、負極を製造した。
【0085】
(実施例12)
粗粉砕シリコン50gに代えて、粗粉砕シリコン25g及び粗粉砕一酸化ケイ素25gを用い、硫化モリブデン(IV)50gに代えて、硫化モリブデン(IV)25g及び二ケイ化モリブデン25gを用いたこと以外は、実施例1と同様に、負極を製造した。
【0086】
(評価)
実施例7〜12で得られた負極について、実施例1〜6の場合と同様に評価を行った。結果を以下表3に示す。
【0087】
【表3】
【0088】
前記結果から明らかなように、実施例7〜12の負極を用いたコイン型セルは、初期放電容量が高く、且つ、比較例1〜7のコイン型セルに比べて、100サイクル目までの容量維持率が高かった。
以上より、本発明の負極を用いたコイン型セルは、容量維持率に優れることが確認できた。
さらに、二ケイ化モリブデンを用いることで、初期クーロン効率及び2サイクル目のクーロン効率が高くなる傾向が確認された。これは例えば、実施例1、7及び9、実施例8及び10、実施例11及び12をそれぞれ比較すれば明らかである。