特許第6084902号(P6084902)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6084902
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】検出器および荷電粒子線装置
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/244 20060101AFI20170213BHJP
   G01T 1/20 20060101ALI20170213BHJP
   G01T 1/202 20060101ALI20170213BHJP
【FI】
   H01J37/244
   G01T1/20 B
   G01T1/20 L
   G01T1/202
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-128576(P2013-128576)
(22)【出願日】2013年6月19日
(65)【公開番号】特開2015-5351(P2015-5351A)
(43)【公開日】2015年1月8日
【審査請求日】2016年2月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004271
【氏名又は名称】日本電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(72)【発明者】
【氏名】金子 武司
【審査官】 鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭51−137370(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/00 − 1/16
G01T 1/167− 7/12
H01J 37/00 −37/02
H01J 37/05
H01J 37/09 −37/244
H01J 37/252−37/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子線を検出するための検出器であって、
前記荷電粒子線を光に変換する第1発光部と、
前記第1発光部を透過した前記荷電粒子線を光に変換する第2発光部と、
前記第1発光部で発生した光および前記第2発光部で発生した光を検出する光検出部と、
を含み、
前記第1発光部は、粉末のシンチレーターであり、
前記第2発光部は、単結晶のシンチレーターである、検出器。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2発光部は、前記第1発光部で発生した光を透過し、
前記光検出部は、前記第1発光部で発生して前記第2発光部を透過した光を検出する、検出器。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第1発光部の厚さは、5μm以上500μm以下である、検出器。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、
前記第1発光部を覆っている導体膜を含む、検出器。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の検出器を含む荷電粒子線装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出器および荷電粒子線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
走査透過電子顕微鏡(STEM)の暗視野像検出器や、走査電子顕微鏡(SEM)の二次電子検出器には、電子線の入射により光を発するシンチレーターが用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、P47(YSiO:Ce)を焼結して形成したセラミック蛍光体を含むセラミックシンチレーターを備えた電子顕微鏡用の電子検出器が開示されている。
【0004】
シンチレーターは、検出器の用途に伴い、種類(材質)および形状が異なる。このようなシンチレーターとして、単結晶のシンチレーターや、粉末のシンチレーターが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−26152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、単結晶のシンチレーターでは、電子線を加速するための加速電圧の増加に伴い輝度が大きくなる。そのため、単結晶のシンチレーターを用いた電子検出器では、高加速電圧では高い検出感度を有するが、加速電圧が低くなるにしたがって検出感度が低下する。
【0007】
また、例えば、粉末のシンチレーターでは、粉末のシンチレーターの厚さにもよるが、ある特定の加速電圧で輝度がピークを示す。これは、加速電圧が低くなると電子線がシンチレーターを透過しにくくなることによって輝度が低下し、加速電圧が高くなると電子線が透過する割合が大きくなることによって輝度が低下するためである。このピークを示す加速電圧の値は、粉末のシンチレーターの厚さによって変動する。粉末のシンチレーターを用いた電子検出器では、ピークを示す加速電圧では高い検出感度を有するが、加速電圧がピークを示す加速電圧から離れるにしたがって検出感度が低下する。
【0008】
このように、上記のような電子検出器では、低加速電圧から高加速電圧まで幅広い範囲で高い検出感度を有することができないという問題があった。
【0009】
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、低加速電圧から高加速電圧まで幅広い範囲で高い検出感度を有することができる検出器を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、上記検出器を含む荷電粒子線装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明に係る検出器は、
荷電粒子線を検出するための検出器であって、
前記荷電粒子線を光に変換する第1発光部と、
前記第1発光部を透過した前記荷電粒子線を光に変換する第2発光部と、
前記第1発光部で発生した光および前記第2発光部で発生した光を検出する光検出部と、
を含み、
前記第1発光部は、粉末のシンチレーターであり、
前記第2発光部は、単結晶のシンチレーターである。
【0011】
このような検出器によれば、第1発光部が粉末のシンチレーターであり、第2発光部が単結晶のシンチレーターであるため、荷電粒子線を変換して発生する光の輝度を、低加速電圧から高加速電圧まで幅広い範囲で高めることができる。したがって、このような検出器によれば、低加速電圧から高加速電圧まで幅広い範囲で高い検出感度を有することができる。
【0012】
(2)本発明に係る検出器において、
前記第2発光部は、前記第1発光部で発生した光を透過し、
前記光検出部は、前記第1発光部で発生して前記第2発光部を透過した光を検出してもよい。
【0013】
このような検出器によれば、例えば低加速電圧の荷電粒子線に対しても、高い検出感度を有することができる。
【0014】
(3)本発明に係る検出器において、
前記第1発光部の厚さは、5μm以上500μm以下であってもよい。
【0015】
(4)本発明に係る検出器において、
前記第1発光部を覆っている導体膜を含んでいてもよい。
【0016】
このような検出器によれば、第1発光部の帯電を防ぐことができる。
【0017】
(5)本発明に係る荷電粒子線装置は、
本発明に係る検出器を含む。
【0018】
このような荷電粒子線装置によれば、本発明に係る検出器を含むため、低加速電圧から高加速電圧まで幅広い範囲で良好な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態に係る検出器を模式的に示す断面図。
図2】第1実施形態に係る検出器の第1発光部および第2発光部を模式的に示す斜視図。
図3】第1実施形態に係る検出器の第1発光部および第2発光部を模式的に示す断面図。
図4】第1実施形態に係る検出器のキャップを模式的に示す斜視図。
図5】シンチレーターの加速電圧に対する輝度の特性を示すグラフ。
図6】第1実施形態に係る検出器の製造方法を模式的に示す断面図。
図7】第1実施形態に係る検出器の製造方法を模式的に示す断面図。
図8】第2実施形態に係る荷電粒子線装置を模式的に示す断面図。
図9】第3実施形態に係る荷電粒子線装置を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものでは
ない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0021】
1. 第1実施形態
1.1. 検出器
まず、第1実施形態に係る検出器について図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る検出器100を模式的に示す断面図である。
【0022】
検出器100は、荷電粒子線を検出するための検出器である。ここで、荷電粒子線とは、電子線、およびイオン線等の電荷を帯びた粒子線である。本実施形態では、検出器100が走査透過電子顕微鏡(STEM)の暗視野像検出器である例について説明する。具体的には、検出器100は、図1に示すように、電子線の照射により試料で散乱(後方散乱)された散乱電子EBを検出し、試料を透過した透過電子EBを通過させる。
【0023】
検出器100は、図1に示すように、第1発光部10と、第2発光部20と、光検出部30と、ライトガイド40と、筒体50と、キャップ60と、を含んで構成されている。
【0024】
図2は、第1発光部10および第2発光部20を模式的に示す斜視図である。図3は、第1発光部10および第2発光部20を模式的に示す断面図である。なお、図1および図2では、便宜上、導体膜12(図3参照)の図示を省略している。
【0025】
第1発光部10は、散乱電子EBを光に変換する。第1発光部10は、第2発光部20上に設けられている。
【0026】
第1発光部10は、粉末のシンチレーターである。すなわち、第1発光部10は、複数のシンチレーターの粒で構成されている。第1発光部10は、さらに、バインダー(図示せず)を含んでいてもよい。シンチレーターの粒の直径は、例えば、2μm以上10μm以下である。第1発光部10の厚さT(図3参照)は、例えば、5μm以上500μm以下である。
【0027】
第1発光部10の材質は、例えば、P22(ZnS:Cu)、P43(GdS:Tb)、P46(YAl12:Ce)、P47(YSiO:Ce)、粉末LSO:Ce(LuSiO:Ce)等である。
【0028】
第1発光部10の表面は、図3に示すように、導体膜12で覆われている。これにより、第1発光部10の帯電を防ぐことができる。導体膜12の材質は、例えば、アルミニウム、カーボン等である。
【0029】
第2発光部20は、第1発光部10を透過した散乱電子EBを光に変換する。第2発光部20は、第1発光部10で光に変換されずに透過した散乱電子EBを光に変換する。第2発光部20は、ライトガイド40上に設けられている。具体的には、第2発光部20は、ライトガイド40の端面上に設けられている。第2発光部20は、試料で散乱されずに透過した透過電子EBの進行方向に対して所定の角度(例えば45度)傾いて配置されている。
【0030】
第2発光部20は、単結晶のシンチレーターである。第2発光部20の材質は、例えば、YAP:Ce(Yttrium aluminum perovskite)、YAG:Ce(Yttrium aluminum garnet)、LSO:Ce(LuSiO:Ce)等である。第2発光部20の材質は、第1発光部10の材質と異なっていてもよいし、同じであってもよい。第2発光部20は、第1発光部10で発生した光に対して、透明な材質(透過率が高い材質)からなる。第2発光部20の厚さは特に限定され
ず、例えば、5μm以上500μm以下である。
【0031】
第1発光部10および第2発光部20は、環状に設けられている。第1発光部10および第2発光部20には、貫通孔22が設けられている。貫通孔22は、ライトガイド40の貫通孔42と連通している。貫通孔22は、試料で散乱されずに透過した透過電子EBを通過させるための孔である。
【0032】
光検出部30は、第1発光部10で発生した光および第2発光部20で発生した光を検出する。光検出部30は、ライトガイド40の、第2発光部20が設けられる端面とは反対側の端面に接続されている。光検出部30は、ライトガイド40を介して入射する第1発光部10で発生した光および第2発光部20で発生した光を検出する。光検出部30は、例えば、光電子増倍管(Photo Multiplier Tube、PMT)である。光電子増倍管とは、光電効果を利用して光エネルギーを増幅して電気エネルギーに変換する光検出器である。
【0033】
ライトガイド40は、第1発光部10で発生した光および第2発光部20で発生した光を、光検出部30に導くための部材である。ライトガイド40の形状は、例えば、柱状である。ライトガイド40は、図示の例では、円柱の一方の端部を該円柱の中心軸に対して所定の角度(例えば45度)で切断した形状を有している。図示はしないが、ライトガイド40の形状は、円柱であってもよい。
【0034】
ライトガイド40の材質は、例えば、ガラス、アクリル樹脂等である。ライトガイド40は、柱状のガラスの側面に金属膜(アルミニウム膜)が形成された構造を有していてもよい。また、ライトガイド40は、図示はしないが、複数の光ファイバーを束ねた構造を有していてもよい。ライトガイド40には、透過電子EBを通過させるための貫通孔42が設けられている。貫通孔42は、第1発光部10および第2発光部20に設けられた貫通孔22と連通している。
【0035】
筒体50は、第1発光部10、第2発光部20、光検出部30、およびライトガイド40を収容する部材である。筒体50は、電子線EB、EBを通過させるための窓部52を有している。筒体50は、さらに、貫通孔22および貫通孔42を通過した透過電子EBを通過させるための窓部54を有している。筒体50は、例えば、導電性を有している。筒体50の材質は、例えば、アルミニウム等の金属である。
【0036】
キャップ60は、第1発光部10および第2発光部20を固定するための部材である。図4は、キャップ60を模式的に示す斜視図である。キャップ60は、図4に示すように、円筒の一方の端部を該円筒の中心軸に対して所定の角度(例えば45度)で切断した形状を有している。キャップ60の端面は、図1の例では、第2発光部20に接している。キャップ60には、電子線EB,EBを通過させるための貫通孔64が設けられている。
【0037】
検出器100では、第1発光部10および第2発光部20は、キャップ60とライトガイド40とで挟まれることで固定されている。図示の例では、第2発光部20を、キャップ60とライドガイド40とで挟んで固定している。キャップ60は、ピン(ネジ)62によって筒体50に固定されている。キャップ60は、アルミニウム等の導電性を有する材料で構成されている。これにより、第1発光部10および第2発光部20の帯電を防ぐことができる。
【0038】
次に、第1発光部10および第2発光部20の加速電圧に対する輝度の特性について説明する。ここで、加速電圧とは、検出器100の検出対象となる荷電粒子線(散乱電子E
)を加速する電場をつくるための電圧である。例えば透過電子顕微鏡において、加速電圧は、電子銃の陰極と陽極との間に印加された電圧である。また、輝度とは、第1発光部10および第2発光部20において、散乱荷電粒子線(散乱電子EB)を変換して発生する光の輝度をいう。
【0039】
図5は、シンチレーターの加速電圧に対する輝度の特性を示すグラフである。図5に示すグラフでは、横軸は加速電圧(kV)を示し、縦軸は電子1個をシンチレーターで光に変換したときの輝度を示している。図5に示すHybridは、第1発光部10としてP47、第2発光部20としてYAPを用いた場合の特性を示すグラフである。また、比較例として、粉末のシンチレーターとしてP47の特性を示し、単結晶のシンチレーターとして、YAPの特性を示した。なお、P47の膜厚は30μmであり、YAPの膜厚は、500μmであり、Hybridでは、P47の膜厚が20μmでありYAPの膜厚は500μmである。
【0040】
図5に示すように、単結晶のシンチレーター(YAP)は、加速電圧の増加に伴い、輝度が高くなる。また、粉末のシンチレーター(P47)は、ある特定の加速電圧(図示の例では80kV近傍)でピークを持つ。
【0041】
この単結晶のシンチレーターと粉末のシンチレーターとの特性の違いは、単結晶のシンチレーターが光に対して透明であるのに対して、粉末のシンチレーターは光に対して透明でないことに起因する。なお、粉末のシンチレーターのピークを示す加速電圧の値は、粉末のシンチレーターの厚みによって変動する。
【0042】
これに対して、Hybridは、図5に示すように、単結晶のシンチレーター(YAP)や粉末のシンチレーター(P47)と比べて、低加速電圧(30kV)から高加速電圧(300kV)まで幅広い範囲で輝度が高い。これは、低加速電圧の電子線は主に粉末のシンチレーターである第1発光部10で光に変換され、高加速電圧の電子線は第1発光部10を透過して主に第2発光部20で光に変換されるためである。
【0043】
第1実施形態に係る検出器100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0044】
検出器100では、散乱電子EBを光に変換する第1発光部10と、第1発光部10を透過した散乱電子EBを光に変換する第2発光部20と、第1発光部10で発生した光および第2発光部20で発生した光を検出する光検出部30と、を含み、第1発光部10は、粉末のシンチレーターであり、第2発光部20は、単結晶のシンチレーターである。これにより、上述のように、散乱電子EBを変換して発生する光の輝度を、低加速電圧から高加速電圧まで幅広い範囲で高めることができる。したがって、検出器100によれば、低加速電圧から高加速電圧まで幅広い範囲で高い検出感度を有することができる。
【0045】
検出器100では、第2発光部20は、第1発光部10で発生した光を透過し、光検出部30は、第1発光部10で発生して第2発光部20を透過した光を検出する。これにより、例えば低加速電圧の散乱電子EBに対しても、高い検出感度を有することができる。
【0046】
検出器100では、第1発光部10を覆っている導体膜12を含む。これにより、第1発光部10の帯電を防ぐことができる。
【0047】
検出器100では、第1発光部10および第2発光部20は、キャップ60とライトガイド40によって挟まれて固定されている。したがって、検出器100では、第1発光部10および第2発光部20の装着や取り外しを容易化できる。そのため、例えば第1発光
部10および第2発光部20を容易に交換することができる。
【0048】
1.2. 検出器の製造方法
次に、第1実施形態に係る検出器の製造方法について図面を参照しながら説明する。図6および図7は、第1実施形態に係る検出器100の製造方法を模式的に示す断面図である。
【0049】
図6に示すように、第2発光部20を準備する。第2発光部20としては、例えばYAP、YAG、LSO等の単結晶を用いることができる。
【0050】
図7に示すように、第2発光部20上にシンチレーターの粒を塗布し、第1発光部10を形成する。
【0051】
なお、第1発光部10の形成方法の変形例としては、例えば、まず、第2発光部20を液体のなかに沈める。次に、液体上にシンチレーターの粒を振りかける。次に、第2発光部20でシンチレーターの粒を掬い上げ、その後、液体を乾燥させる。これにより、第2発光部20上に第1発光部10を形成することができる。
【0052】
図3に示すように、第1発光部10上に導体膜12を形成する。導体膜12の形成は、例えば、スパッタ法で行われる。
【0053】
図1に示すように、光検出部30およびライトガイド40を筒体50に収容する。次に、ライトガイド40の端面上に第2発光部20および第1発光部10を配置し、キャップ60を筒体50に挿入する。そして、第2発光部20および第1発光部10を、キャップ60とライトガイド40とで挟んで固定する。このとき、ライトガイド40の貫通孔42と第1発光部10および第2発光部20の貫通孔22とが連通するように固定する。
【0054】
以上の工程により、検出器100を製造することができる。
【0055】
2. 第2実施形態
次に、第2実施形態に係る荷電粒子線装置について図面を参照しながら説明する。図8は、第2実施形態に係る荷電粒子線装置1の構成を示す図である。ここでは、荷電粒子線装置1が、走査透過電子顕微鏡(STEM)である例について説明する。
【0056】
荷電粒子線装置1は、図8に示すように、本発明に係る検出器を含んで構成されている。ここでは、荷電粒子線装置1が、本発明に係る検出器として検出器(暗視野像検出器)100を含んで構成されている場合について説明する。
【0057】
荷電粒子線装置1は、さらに、電子線源2と、照射レンズ(コンデンサーレンズ)3と、走査コイル4と、対物レンズ5と、投影レンズ6と、明視野像検出器7と、を含んで構成されている。
【0058】
電子線源2は、電子線EBを発生させる。電子線源2は、陰極から放出された電子を陽極で加速し電子線EBを放出する。電子を加速するための加速電圧は特に限定されず、例えば、30kV以上300kV以下である。電子線源2としては、公知の電子銃を用いることができる。電子線源2として用いられる電子銃は特に限定されず、例えば熱電子放出型や、熱電界放出型、冷陰極電界放出型などの電子銃を用いることができる。
【0059】
集束レンズ3は、電子線源2の後段(電子線EBの下流側)に配置されている。集束レンズ3は、電子線源2で発生した電子線EBを集束させるためのレンズである。集束レン
ズ3は、図示はしないが、多段に構成されていてもよい。
【0060】
走査コイル4は、集束レンズ3の後段に配置されている。走査コイル4は、集束レンズ3および対物レンズ5により集束された電子線EB(電子プローブ)を試料S上で走査する。
【0061】
対物レンズ5は、走査コイル4の後段に配置されている。対物レンズ5は、電子線EBを集束して試料Sに照射するためのレンズである。
【0062】
試料Sは、試料ホルダー(図示せず)によって支持されており、試料ステージによって試料室における位置決めが行われる。試料ステージは、例えば、試料Sの水平移動、上下移動、回転、傾斜などの動作を行うことができる。
【0063】
投影レンズ6は、対物レンズ5の後段に配置されている。投影レンズ6は、対物レンズ5の像面もしくは後方焦点面(回折面)を投影して検出器100上または明視野像検出器7上に結像するためのレンズである。
【0064】
検出器100は、投影レンズ6の後段に配置されている。検出器100は、図示の例では、暗視野像検出器として機能している。検出器100は、試料Sで散乱された散乱電子EBを検出する。なお、試料Sで散乱せずに透過した透過電子EBは、貫通孔22,42および窓部54を通過する。
【0065】
明視野像検出器7は、検出器100の後段(後方)に配置されている。明視野像検出器7は、検出器100を通過した透過電子EBを検出する。明視野像検出器7は、例えば、シンチレーターおよび光電子増倍管を含んで構成されている。
【0066】
次に、荷電粒子線装置1の動作について説明する。
【0067】
荷電粒子線装置1では、電子線源2において電子銃の陰極と陽極との間に加速電圧が印加されることにより加速された電子線EBは、集束レンズ3および対物レンズ5によって集束され試料Sに照射される。このとき、細く集束された電子線EBを、走査コイル4を用いて試料S上で走査する。
【0068】
試料Sに電子線EBが照射されると、試料Sで後方散乱された散乱電子EBおよび試料Sで散乱されずに透過した透過電子EBは、投影レンズ6を介して、検出器100の筒体50の窓部52に入射する。
【0069】
窓部52に入射した散乱電子EBは、キャップ60の貫通孔64を通過して、第1発光部10に入射する。
【0070】
荷電粒子線装置1において、加速電圧が低い場合、電子線EBは、主に第1発光部10で光に変換される。第1発光部10で発生した光は、第2発光部20を透過し、ライトガイド40を介して光検出部30で検出される。
【0071】
また、荷電粒子線装置1において、加速電圧が高い場合、散乱電子EBは、第1発光部10を透過して、主に第2発光部20で光に変換される。第2発光部20で発生した光は、ライトガイド40を介して、光検出部30で検出される。
【0072】
光検出部30は、入射した光を増幅して電気エネルギーに変換し、電気信号として出力する。荷電粒子線装置1では、この電気信号を、走査コイル4における走査信号と同期さ
せて、画像(暗視野像)を生成する。
【0073】
一方、窓部52に入射した透過電子EBは、検出器100を通過する。具体的には、透過電子EBは、筒体50の窓部52、キャップ60の貫通孔64、発光部10,20の貫通孔22、ライトガイド40の貫通孔42、および筒体50の窓部54を通過する。検出器100を通過した透過電子EBは、明視野像検出器7で検出される。
【0074】
荷電粒子線装置1では、明視野像検出器7で検出された検出結果に基づいて、画像(明視野像)を生成する。
【0075】
荷電粒子線装置1では、検出器100を含んで構成されている。これにより、低加速電圧から高加速電圧まで幅広い範囲で高い検出感度を有することができる。したがって、荷電粒子線装置1では、低加速電圧から高加速電圧まで幅広い範囲で良好な画像(暗視野像)を得ることができる。
【0076】
3. 第3実施形態
次に、第3実施形態に係る荷電粒子線装置について図面を参照しながら説明する。図9は、第3実施形態に係る荷電粒子線装置1Aの構成を示す図である。ここでは、荷電粒子線装置1Aが、走査電子顕微鏡(SEM)である例について説明する。
【0077】
以下、第3実施形態に係る荷電粒子線装置1Aにおいて、上述した第1実施形態に係る検出器100および第2実施形態に係る荷電粒子線装置1の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0078】
荷電粒子線装置1Aは、図9に示すように、本発明に係る検出器を含んで構成されている。ここでは、荷電粒子線装置1Aが、本発明に係る検出器として検出器200を含んで構成されている場合について説明する。検出器200は、荷電粒子線装置1Aにおいて、二次電子検出器として機能する。
【0079】
荷電粒子線装置1Aは、さらに、電子線源2と、照射レンズ(コンデンサーレンズ)3と、走査コイル4と、対物レンズ5と、を含んで構成されている。
【0080】
検出器200は、第1発光部10と、第2発光部20と、光検出部30と、ライトガイド40と、コレクタ70と、を含んで構成されている。
【0081】
コレクタ70は、第1発光部10の前段(二次電子EBの上流側)に配置されている。コレクタ70には、例えば、±数百Vの電圧(加速電圧)が印加される。これにより、試料Sから放出される二次電子EBは加速されて第1発光部10に入射する。印加される加速電圧を調整することにより、検出器200の検出効率を変えることができる。
【0082】
第1発光部10および第2発光部20に貫通孔22が形成されていない点を除いて、第1発光部10および第2発光部20の構成は、上述した図3に示す検出器100の第1発光部10および第2発光部20の構成と同様である。また、ライトガイド40に貫通孔42が形成されていない点を除いて、ライトガイド40の構成は、図1に示す検出器100のライトガイド40の構成と同様である。
【0083】
次に、荷電粒子線装置1Aの動作について説明する。
【0084】
荷電粒子線装置1Aでは、電子線源2から放出された電子線EBは、集束レンズ3および対物レンズ5によって集束されて試料S上に照射される。このとき、細く集束された電
子線EBを、走査コイル4を用いて試料S上で走査する。
【0085】
電子線EBが照射されることにより試料Sから二次電子EBが放出される。放出された二次電子EBは、所定の加速電圧が印加されたコレクタ70によって加速されて検出器200に入射する。検出器200は、この二次電子EBを検出する。
【0086】
荷電粒子線装置1Aにおいて、二次電子EBを加速するための加速電圧が低い場合、入射した二次電子EBは、主に第1発光部10で光に変換される。第1発光部10で発生した光は、第2発光部20を透過し、ライトガイド40を介して光検出部30で検出される。
【0087】
また、荷電粒子線装置1Aにおいて、加速電圧が高い場合、入射した二次電子EBは、第1発光部10を透過して、主に第2発光部20で光に変換される。第2発光部20で発生した光は、ライトガイド40を介して、光検出部30で検出される。
【0088】
光検出部30は、入射した光を増幅して電気エネルギーに変換し、電気信号として出力する。荷電粒子線装置1Aでは、この電気信号を、走査コイル4における走査信号と同期させて、画像(二次電子像)を生成する。
【0089】
荷電粒子線装置1Aでは、検出器200を含んで構成されている。これにより、低加速電圧から高加速電圧まで幅広い範囲で高い検出感度を有することができる。したがって、荷電粒子線装置1Aでは、低加速電圧から高加速電圧まで幅広い範囲で良好な画像(二次電子像)を得ることができる。
【0090】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0091】
1,1A…荷電粒子線装置、2…電子線源、3…集束レンズ、4…走査コイル、5…対物レンズ、6…投影レンズ、7…明視野像検出器、10…第1発光部、12…導体膜、20…第2発光部、22…貫通孔、30…光検出部、40…ライトガイド、42…貫通孔、50…筒体、52…窓部、54…窓部、60…キャップ、62…ピン、70…コレクタ、100,200…検出器
図1
図2
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