(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6084906
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】セラミックヒータ
(51)【国際特許分類】
H05B 3/74 20060101AFI20170213BHJP
H05B 3/02 20060101ALI20170213BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20170213BHJP
H05B 3/20 20060101ALI20170213BHJP
【FI】
H05B3/74
H05B3/02 B
H01L21/02 Z
H05B3/20 328
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-145595(P2013-145595)
(22)【出願日】2013年7月11日
(65)【公開番号】特開2015-18704(P2015-18704A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2015年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉本 博哉
【審査官】
宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−296254(JP,A)
【文献】
特開2003−133195(JP,A)
【文献】
特開2012−080103(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0222210(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0185487(US,A1)
【文献】
特開2006−127883(JP,A)
【文献】
特開2012−069947(JP,A)
【文献】
特開2007−088484(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/039453(WO,A1)
【文献】
特開2008−066295(JP,A)
【文献】
特開2004−335151(JP,A)
【文献】
特開2007−332465(JP,A)
【文献】
特開2002−009052(JP,A)
【文献】
特開2000−353707(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/74
H01L 21/02
H05B 3/02
H05B 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック基体の内周側の領域に埋設された内周側抵抗発熱体と前記セラミック基体の外周側の領域に埋設された外周側抵抗発熱体とが同一の平面に存在しているセラミックヒータであって、
前記内周側の領域に設けられ、前記外周側抵抗発熱体に給電する一対の外周側給電端子と、
前記セラミック基体の前記内周側抵抗発熱体とオーバーラップするように前記平面とは別の平面にそれぞれ独立して埋設された第1及び第2の導電面と、
を備え、
前記外周側抵抗発熱体の一端は、前記第1の導電面を介して前記一対の外周側給電端子の一方に接続され、
前記外周側抵抗発熱体の他端は、前記第2の導電面を介して前記一対の外周側給電端子の他方に接続され、
前記第1及び第2の導電面は、前記内周側及び外周側抵抗発熱体の素線に比べて断面積が大きく、
前記第1及び第2の導電面の断面積は、前記内周側及び外周側抵抗発熱体の断面積の10倍以上になっており、
前記セラミック基体は、ウエハを載置するウエハ載置面と、該ウエハ載置面とは反対側の面に接合された冷却板とを有し、
前記第1及び第2の導電面は、前記内周側及び外周側抵抗発熱体が存在している平面よりも前記ウエハ載置面に近い平面に形成されている、
セラミックヒータ。
【請求項2】
セラミック基体の内周側の領域に埋設された内周側抵抗発熱体と前記セラミック基体の外周側の領域に埋設された外周側抵抗発熱体とが同一の平面に存在しているセラミックヒータであって、
前記内周側の領域に設けられ、前記外周側抵抗発熱体に給電する一対の外周側給電端子と、
前記セラミック基体の前記内周側抵抗発熱体とオーバーラップするように前記平面とは別の平面にそれぞれ独立して埋設された第1及び第2の導電面と、
を備え、
前記外周側抵抗発熱体の一端は、前記第1の導電面を介して前記一対の外周側給電端子の一方に接続され、
前記外周側抵抗発熱体の他端は、前記第2の導電面を介して前記一対の外周側給電端子の他方に接続され、
前記第1及び第2の導電面は、前記内周側及び外周側抵抗発熱体の素線に比べて断面積が大きく、
前記第1及び第2の導電面の断面積は、前記内周側及び外周側抵抗発熱体の断面積の10倍以上になっており、
前記別の平面には、前記第1及び第2の導電面の周りにダミー導電面が設けられ、
前記第1及び第2の導電面と前記ダミー導電面は、前記セラミック基体をウエハ載置面と平行な面で切断したときの断面のほぼ全体を覆う大きさである、
セラミックヒータ。
【請求項3】
前記セラミック基体は、ウエハを載置するウエハ載置面と、該ウエハ載置面とは反対側の面であって冷却板が接合される冷却板接合面とを有し、
前記第1及び第2の導電面は、前記内周側及び外周側抵抗発熱体が存在している平面よりも前記ウエハ載置面に近い平面に形成されている、
請求項2に記載のセラミックヒータ。
【請求項4】
前記第1及び第2の導電面は、前記セラミック基体をウエハ載置面と平行な面で切断したときの断面のほぼ全体を覆う大きさである、
請求項1〜3のいずれか1項に記載のセラミックヒータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックヒータに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置においては、ウエハを加熱するためのセラミックヒータが採用されている。こうしたセラミックヒータとしては、いわゆる2ゾーンヒータが知られている(例えば特許文献1参照)。この2ゾーンヒータは、セラミック基体中に、高融点金属からなる内周側抵抗発熱体と外周側抵抗発熱体とを同一面に埋設し、内周側及び外周側抵抗発熱体にそれぞれ独立して電力を供給することにより、内周側抵抗発熱体からの発熱と外周側抵抗発熱体からの発熱を独立して制御するものである。また、外周側抵抗発熱体の給電端子を中央付近に設け、その給電端子と外周側抵抗発熱体とを内周側及び外周側抵抗発熱体が形成された面よりも下方の面に配線された半径方向の導電線で接続することも開示されている。こうすることにより、導電線を内周側及び外周側抵抗発熱体と同一面に設ける場合に比べて、クールスポットの生成を防止できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−88484号公報(段落0052及び
図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したセラミックヒータでは、導電線はヒータ素線を延長したものであり、断面積が小さいため抵抗が大きく、導電線自身が発熱して均熱性に影響を及ぼすことがあった。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、内周側抵抗発熱体と外周側抵抗発熱体とを備えたセラミックヒータにおいて、均熱性を一層向上させることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のセラミックヒータは、
セラミック基体の内周側の領域に埋設された内周側抵抗発熱体と前記セラミック基体の外周側の領域に埋設された外周側抵抗発熱体とが同一の平面に存在しているセラミックヒータであって、
前記内周側の領域に設けられ、前記外周側抵抗発熱体に給電する一対の外周側給電端子と、
前記セラミック基体の前記内周側抵抗発熱体とオーバーラップするように前記平面とは別の平面にそれぞれ独立して埋設された第1及び第2の導電面と、
を備え、
前記外周側抵抗発熱体の一端は、前記第1の導電面を介して前記一対の外周側給電端子の一方に接続され、
前記外周側抵抗発熱体の他端は、前記第2の導電面を介して前記一対の外周側給電端子の他方に接続されている
ものである。
【0007】
このセラミックヒータでは、外周側抵抗発熱体の一端は、第1の導電面を介して一対の外周側給電端子の一方に接続され、外周側抵抗発熱体の他端は、第2の導電面を介して一対の外周側給電端子の他方に接続されている。第1及び第2の導電面は、ヒータ素線に比べて断面積が大きいため、電流が流れたとしてもほとんど発熱しない。そのため、第1及び第2の導電面によって均熱性が損なわれることがなく、従来に比べて均熱性が一層向上する。
【0008】
本発明のセラミックヒータにおいて、前記セラミック基体は、ウエハを載置するウエハ載置面と、該ウエハ載置面とは反対側の面であって冷却板が接合される冷却板接合面とを有し、前記第1及び第2の導電面は、前記内周側及び外周側抵抗発熱体が存在している平面よりも前記ウエハ載置面に近い平面に形成されていてもよい。こうすれば、第1及び第2の導電面を埋設した部分に大きな応力がかからないため好ましい。この点について、以下に説明する。セラミック基体のうち内周側及び外周側抵抗発熱体が形成された平面よりも冷却板接合面に近い側では、冷却板によって抜熱されるため、内周側及び外周側抵抗発熱体が形成された平面と冷却板接合面との間に比較的大きな温度差が生じる。こうした温度差の大きな箇所に第1及び第2の導電面を配置すると、熱収縮等によりセラミック基体にクラックが生じるおそれがある。一方、セラミック基体のうち内周側及び外周側抵抗発熱体が形成された平面よりもウエハ載置面に近い側では、冷却板による抜熱がないため、セラミック基体の厚み方向の温度はおおむね一定である。そのため、こちら側に第1及び第2の導電面を形成した場合には上述したようなクラックが生じにくい。
【0009】
本発明のセラミックヒータにおいて、前記別の平面には、前記第1及び第2の導電面の周りにダミー導電面が設けられ、前記第1及び第2の導電面と前記ダミー導電面は、前記セラミック基体をウエハ載置面と平行な面で切断したときの断面のほぼ全体を覆う大きさであることが好ましい。こうすれば、第1及び第2の導電面が形成された平面はその全体が第1及び第2の導電面とダミー導電面によってほぼ覆われているため、その平面を垂直方向に熱が伝導するときの熱伝導率が略同じになる。したがって、均熱性が一層向上する。
【0010】
本発明のセラミックヒータにおいて、前記第1及び第2の導電面は、前記セラミック基体をウエハ載置面と平行な面で切断したときの断面のほぼ全体を覆う大きさであることが好ましい。こうすれば、第1及び第2の導電面が形成された平面はその全体が第1及び第2の導電面によってほぼ覆われているため、その平面を垂直方向に熱が伝導するときの熱伝導率が略同じになる。したがって、均熱性が一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】セラミックヒータ10の使用状態を示す説明図。
【
図4】セラミックヒータ10の均熱性を評価する装置の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の好適な一実施形態であるセラミックヒータ10について以下に説明する。
図1はセラミックヒータ10の平面図、
図2は
図1のA−A断面図である。
【0013】
セラミックヒータ10は、セラミック基体12と、内周側抵抗発熱体20と、外周側抵抗発熱体24とを備えている。
【0014】
セラミック基体12は、セラミック(例えばアルミナセラミックや窒化アルミセラミック)で作製された円盤状の部材である。このセラミック基体12の上面は、ウエハを載置するウエハ載置面12aであり、セラミック基体12の下面は、冷却板40(
図3参照)と接合する冷却板接合面12bである。
【0015】
内周側抵抗発熱体20は、セラミック基体12の内周側の領域14に埋設されている。ここで、内周側の領域14は、
図1中、内周ラインLinよりも内側の円形領域のことをいう。この内周側抵抗発熱体20は、一端20aから他端20bまでを一筆書きの要領で内周側の領域14の全域に行き渡るように配線されている。また、内周側抵抗発熱体20の一端20aと他端20bは、それぞれ一対の内周側給電端子の一方22aと他方22bに接続されている。一対の内周側給電端子22a,22bは、セラミック基体12の冷却板接合面12bから外部へ露出している。一対の内周側給電端子22a,22bへ電力を供給すると、内周側抵抗発熱体20に電流が流れて内周側抵抗発熱体20が発熱する。
【0016】
外周側抵抗発熱体24は、セラミック基体12の外周側の領域16に埋設されている。ここで、外周側の領域16は、
図1中、内周ラインLinよりも外側で外周ラインLoutよりも内側の環状領域のことをいう。この外周側抵抗発熱体24は、一端24aから他端24bまでを一筆書きの要領で外周側の領域16の全域に行き渡るように、且つ、内周側抵抗発熱体20と同一の平面P1上に配線されている。また、外周側抵抗発熱体24の一端24aと他端24bは、それぞれセラミック基体12の厚み方向に延びる一対の接続端子26a,26bが接続されている。一対の外周側給電端子28a,28bは、内周側の領域14の中央付近にてセラミック基体12の厚み方向に沿う形状に設けられ、下端がセラミック基体12の冷却板接合面12bから外部へ露出している。第1及び第2の導電面30a,30bは、内周側抵抗発熱体20とオーバーラップするように、内周側及び外周側抵抗発熱体20,24が形成された平面P1とは別の平面P2にそれぞれ独立して埋設されている。平面P2は、平面P1とウエハ載置面12aとの間に位置している。そして、外周側抵抗発熱体24の一端24aは、接続端子26a及び第1の導電面30aを介して外周側給電端子28aに接続され、外周側抵抗発熱体24の他端24bは、接続端子26b及び第2の導電面30bを介して外周側給電端子28bに接続されている。このため、一対の外周側給電端子28a,28bへ電力を供給すると、外周側抵抗発熱体24に電流が流れて外周側抵抗発熱体24が発熱する。
【0017】
内周側及び外周側抵抗発熱体20,24は、コイル形状、リボン形状、メッシュ形状、板状又は膜状であり、例えばW,Mo,Ti,Si,Niの単体又は化合物(炭化物など)を主成分とする材料、それらを組み合わせた材料、あるいはそれらとセラミック基体12の原料との混合材料などによって作製される。
【0018】
次に、セラミックヒータ10の使用方法の一例について説明する。
図3は、セラミックヒータ10の使用状態を示す説明図である。まず、セラミックヒータ10の冷却板接合面12bに冷却板40を接着層42を介して接合する。冷却板40の内部には、冷媒を通過させる冷媒通路40aが形成されている。冷媒通路40aには、チラーユニット52を接続する。チラーユニット52は、冷媒通路40aに冷媒を循環させるユニットである。冷却板40のうち内周側給電端子22a,22bや外周側給電端子28a,28bと対向する位置には、それぞれ貫通孔40bが厚さ方向に貫通するように設けられている。これらの貫通孔40bを介して、各給電端子22a,22b,28a,28bとヒータ電源50とを接続する。次いで、冷却板40の下面にパイプ状の支持台44を取り付ける。その後、冷却板40及び支持台44を取り付けたセラミックヒータ10のウエハ載置面12aにウエハWを載置し、チャンバ46の内部に配置する。この状態で、チャンバ46の内部空間を真空にする。なお、支持台44の内部空間は大気に通じている。そして、ヒータ電源50から内周側及び外周側抵抗発熱体20,24に電力を供給すると共に、チラーユニット52から冷媒通路40aへ冷媒を循環する。ウエハWの温度は、内周側及び外周側抵抗発熱体20,24によって加熱されると共に冷却板40によって温度が上がり過ぎないように調整されるため、所定の温度に維持することができる。
【0019】
ここで、
図2に示すように、外周側抵抗発熱体24の一端24aは、第1の導電面30aを介して外周側給電端子28aに接続され、外周側抵抗発熱体24の他端24bは、第2の導電面30bを介して外周側給電端子28bに接続されている。第1及び第2の導電面30a,30bは、ヒータ素線に比べて断面積が大きいため、電流が流れたとしてもほとんど発熱しない。そのため、第1及び第2の導電面30a,30bによって均熱性が損なわれることがない。
【0020】
第1及び第2の導電面30a,30bの断面積は、以下のように設定してもよい。すなわち、外周側抵抗発熱体24に所定の電流を通電したときの第1及び第2の導電面30a,30bの断面積と発熱量との関係を実験で求め、断面積をそれ以上大きくしても発熱量が変わらないような断面積に設定してもよい。もしくは、内周側及び外周側抵抗発熱体20,24の断面積の10倍以上の断面積となるように設定してもよい。こうすれば、第1及び第2の導電面30a,30bの発熱量は内周側及び外周側抵抗発熱体20,24の1%以下となり、第1及び第2の導電面30a,30bはほとんど発熱しないので、均熱性を向上することができる。また、第1及び第2の導電面30a,30bは同一平面に形成されているため、それによっても均熱性が向上する。
【0021】
以上詳述した本実施形態のセラミックヒータ10によれば、外周側抵抗発熱体24への給電を内周側及び外周側抵抗発熱体20,24が形成された平面P1とは異なる平面P2を介して行う構造を採用しているにもかかわらず、均熱性が損なわれることがなく、従来に比べて均熱性が一層向上する。
【0022】
また、第1及び第2の導電面30a,30bは、内周側及び外周側抵抗発熱体20,24が存在している平面P1よりもウエハ載置面12aに近い平面P2に形成されているため、第1及び第2の導電面30a,30bを埋設した部分に大きな応力がかからず、セラミック基体12にクラックが生じにくい。すなわち、セラミック基体12のうち内周側及び外周側抵抗発熱体20,24が形成された平面P1よりも冷却板接合面12bに近い側では、冷却板40によって抜熱されるため、平面P1と冷却板接合面12bとの間に比較的大きな温度差が生じる。こうした温度差の大きな箇所に第1及び第2の導電面30a,30bを配置すると、第1及び第2導電面30a,30bへの応力集中によりセラミック基体12にクラックが生じるおそれがある。一方、セラミック基体12のうち平面P1よりもウエハ載置面12aに近い側では、冷却板40による抜熱がないため、セラミック基体12の厚み方向の温度はおおむね一定である。そのため、こちら側に第1及び第2の導電面30a,30bを形成した場合には第1及び第2導電面30a,30bへの応力集中は発生せず、上述したようなクラックが生じにくい。
【0023】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0024】
例えば、上述した実施形態では、セラミックヒータ10を内周側の領域14と外周側の領域16の2つに分割して各領域14,16の内周側及び外周側抵抗発熱体20,24を同一平面に配置したが、セラミックヒータ10を内周側の領域、中間の領域、外周側の領域の3つに分割して各領域の抵抗発熱体を同一平面に配置してもよい。この場合、内周側抵抗発熱体と中間の領域の抵抗発熱体の構成は上述した実施形態の内周側及び外周側抵抗発熱体20,24の構成に準じて形成し、内周側及び外周側抵抗発熱体の構成も上述した実施形態に準じて形成すればよい。この場合、同一面に複数の導電面を設けることにより、各抵抗発熱体からウエハ載置面までの距離を小さくすることができる。このようにセラミック基体12を3つの領域に分割した場合でも、上述した実施形態と同様の効果が得られる。なお、分割する領域の数は4つ以上でもよい。
【0025】
上述した実施形態では、セラミック基体12の平面P2のうち第1及び第2の導電面30a,30bの周りにはセラミックが存在している構成としたが、
図5に示すように、平面P2のうち第1及び第2の導電面30a,30bの周りにそれらと同じ材質で同じ厚みのダミー導電面32を設けてもよい。なお、
図5は、ダミー導電面32を設けたセラミックヒータの断面図である。この断面図は、ウエハ載置面と平行な面でセラミックヒータの第1及び第2導電面30a,30bが形成されている位置で切断したときの断面を示す。ダミー導電面32は、第1及び第2の導電面30a,30bとは電気的に絶縁されている。第1及び第2の導電面30a,30bとダミー導電面32は、セラミック基体12の円形断面のほぼ全体を覆う大きさに設計されているため、上述した実施形態に比べて均熱性が一層向上する。すなわち、上述した実施形態では、セラミックス基体12の平面P2のうち第1及び第2の導電面30a,30bが存在する部分と存在しない部分とで平面P2を垂直方向に熱が伝導するときの熱伝導率が異なるため、それが均熱性に影響を与えるおそれがあったが、
図5の構成ではそのようなおそれが解消される。
【0026】
上述した実施形態では、第1及び第2の導電面30a,30bを平面視で長方形状となるように形成したが、長方形以外の形状、例えば台形や長円形、半円状に形成してもよい。
図6は、上述した実施形態のセラミックヒータ10における第1及び第2の導電面30a,30bの代わりに、半円状の第1及び第2の導電面130a,130bを採用した場合の断面図である。この断面図は、ウエハ載置面と平行な面でセラミックヒータ10の第1及び第2導電面130a,130bが形成されている位置で切断したときの断面を上から見たときの様子を示す。この場合、第1及び第2の導電面130a,130bは、セラミック基体12の円形断面のほぼ全体を覆うため、平面P2を垂直方向に熱が伝導するときの熱伝導率が略同じになり、上述した実施形態に比べて均熱性が一層向上する。なお、
図5では、第1及び第2の導電面130a,130bを半円状に形成したが、セラミック基体12の円形断面のほぼ全体を覆う形状であれば、同様の効果が得られる。
【0027】
上述した実施形態において、セラミック基体12に内周側及び外周側抵抗発熱体20,24のほかに静電電極を埋設したりRF電極を埋設したりしてもよい。静電電極は、ウエハ載置面12aに載置したウエハWをクーロン力又はジョンソン・ラーベック力で吸着する際に利用する電極であり、RF電極は、プラズマを発生する際に利用する電極である。
【実施例】
【0028】
図4に示す均熱性評価装置を組み立てた。この均熱性評価装置は、
図3のチャンバ46の天井面に窓46aを設け、この窓46aから赤外線カメラ54でセラミック基体12のウエハ載置面12aの複数点の温度を測定するようにしたものである。
【0029】
実施例として、アルミナセラミック製のセラミック基体12に、WCとアルミナとの混合物からなる内周側抵抗発熱体20、外周側抵抗発熱体24、各給電端子22a,22b,28a,28b、各接続端子26a,26b、各導電面30a,30bを埋設したセラミックヒータ10を作製した。セラミック基体12のサイズは、直径300mm、厚さ5mmとした。また、内周側の領域14は、セラミック基体12と同じ中心を持つ直径240mmの円形領域とし、外周側の領域16は、セラミック基体12と同じ中心を持つ直径296mmの円と直径240mmの円に囲まれた環状領域とした。冷却板40として、アルミニウム製のプレートを使用した。冷却板40のサイズは、直径320mm、厚さ18mmとした。接着層42として、厚さ0.3mmの絶縁性のシリコーン樹脂層を使用した。
【0030】
ヒータパワーを3000W、冷媒の温度を20℃、冷媒の流量を10L/minとして、ウエハ載置面12aの複数の点の温度を測定し、それらの測定温度から面内平均温度を算出し、その面内平均温度と最も温度差の大きな点を特異点とした。そうしたところ、特異点の温度と面内平均温度との差は−2℃であった。
【0031】
一方、比較例として、
図7に示すセラミックヒータ110を作製した。セラミックヒータ110は、内周側及び外周側抵抗発熱体120,124とを同一の平面P1上に形成した点は、セラミックヒータ10と同じである。但し、セラミックヒータ10と異なり、外周側抵抗発熱体124の一端124aから一対の給電端子の一方128aを繋ぐヒータ素線230aと、外周側抵抗発熱体124の他端124bから一対の給電端子の他方128bを繋ぐヒータ素線230bとを、平面P1(
図2参照)上に形成した。このため、ヒータ素線230a,230bを通過させる領域は、内周側抵抗発熱体120を配線できない領域となった。このセラミックヒータ110について、均熱性評価装置により均熱性を評価したところ、特異点の温度と面内平均温度との差は−5℃であった。これは、セラミックヒータ10に比べて、ヒータ素線230a,230bを通過させる領域に内周側抵抗発熱体120を配線できなかったため、内周側の領域14の均熱性が低下したことによる。
【符号の説明】
【0032】
10 セラミックヒータ、12 セラミック基体、12a ウエハ載置面、12b 冷却板接合面、14 内周側の領域、16 外周側の領域、P1 平面、P2 平面、20 内周側抵抗発熱体、20a 内周側抵抗発熱体の一端、20b 内周側抵抗発熱体の他端、22a,22b 内周側給電端子、24 外周側抵抗発熱体、24a 外周側抵抗発熱体の一端、24b 外周側抵抗発熱体の他端、26a,26b 接続端子、28a,28b 外周側給電端子、30a,130a 第1の導電面、30b,130b 第2の導電面、32 ダミー導電面、40 冷却板、40a 冷媒通路、40b 貫通孔、42 接着層、44 支持台、46 チャンバ、46a 窓、50 ヒータ電源、52 チラーユニット、54 赤外線カメラ、110 セラミックヒータ、120 内周側抵抗発熱体、124 外周側抵抗発熱体、124a 外周側抵抗発熱体の一端、124b 外周側抵抗発熱体の他端、128a,128b 外周側給電端子、230a,230b ヒータ素線。