特許第6084922号(P6084922)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6084922
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】固体撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20170213BHJP
   H04N 5/357 20110101ALI20170213BHJP
   H04N 5/369 20110101ALI20170213BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20170213BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20170213BHJP
   H01L 21/761 20060101ALI20170213BHJP
   H01L 21/76 20060101ALI20170213BHJP
【FI】
   H01L27/14 E
   H04N5/335 570
   H04N5/335 690
   H01L21/28 301A
   H01L21/90 C
   H01L21/76 J
   H01L21/76 M
【請求項の数】9
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-521426(P2013-521426)
(86)(22)【出願日】2012年6月6日
(86)【国際出願番号】JP2012003710
(87)【国際公開番号】WO2012176390
(87)【国際公開日】20121227
【審査請求日】2015年4月9日
(31)【優先権主張番号】特願2011-139944(P2011-139944)
(32)【優先日】2011年6月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】坂田 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】森 三佳
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 裕
(72)【発明者】
【氏名】益田 洋司
(72)【発明者】
【氏名】栗山 仁志
(72)【発明者】
【氏名】宮川 良平
【審査官】 安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/058684(WO,A1)
【文献】 特開昭59−202777(JP,A)
【文献】 特開平01−241864(JP,A)
【文献】 特開2002−299475(JP,A)
【文献】 特開2009−188380(JP,A)
【文献】 特開2000−299453(JP,A)
【文献】 特開2011−035095(JP,A)
【文献】 特開平01−138752(JP,A)
【文献】 特開昭64−042171(JP,A)
【文献】 特開昭59−201444(JP,A)
【文献】 特開平02−272756(JP,A)
【文献】 特開2009−071310(JP,A)
【文献】 特開2011−029337(JP,A)
【文献】 特開2006−120922(JP,A)
【文献】 特開2005−244096(JP,A)
【文献】 特開2004−312039(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0217666(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/14−148
H04N 5/335−378
H01L 21/28−288
H01L 29/40−51
H01L 21/768
H01L 23/522−532
H01L 21/76−762
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
行列状に配置された複数の画素を備える固体撮像装置であって、
半導体基板と、
前記半導体基板の上方に、前記画素内に形成されており、隣接する前記画素と電気的に分離された第1電極と、
前記第1電極上に形成され、光を信号電荷に光電変換する光電変換膜と、
前記光電変換膜上に形成された第2電極と、
前記半導体基板に、前記画素内に形成され、対応する画素の前記第1電極に電気的に接続されており、前記光電変換膜により光電変換された前記信号電荷を蓄積する電荷蓄積領域と、
前記画素内に形成されており、前記電荷蓄積領域をリセットするリセットゲート電極と、
前記画素内に形成されており、対応する画素の前記電荷蓄積領域に蓄積されている前記信号電荷を増幅する増幅トランジスタと、
前記画素内に形成されており、対応する画素の前記第1電極と前記電荷蓄積領域とを電気的に接続するために用いられ、前記電荷蓄積領域に直接接する、半導体材料で構成されているコンタクトプラグと
前記半導体基板に形成され、前記電荷蓄積領域を、前記増幅トランジスタが形成されるトランジスタ領域、及び隣接画素の前記電荷蓄積領域と分離する、前記電荷蓄積領域の導電型と逆の導電型の不純物領域とを備え、
前記不純物領域の不純物濃度は前記電荷蓄積領域の不純物濃度よりも高く、前記コンタクトプラグの不純物濃度よりも小さい、
固体撮像装置。
【請求項2】
行列状に配置された複数の画素を備える固体撮像装置であって、
半導体基板と、
前記半導体基板の上方に、前記画素内に形成されており、隣接する前記画素と電気的に分離された第1電極と、
前記第1電極上に形成され、光を信号電荷に光電変換する光電変換膜と、
前記光電変換膜上に形成された第2電極と、
前記半導体基板に、前記画素内に形成され、対応する画素の前記第1電極に電気的に接続されており、前記光電変換膜により光電変換された前記信号電荷を蓄積する電荷蓄積領域と、
前記画素内に形成されており、前記電荷蓄積領域をリセットするリセットゲート電極と、
前記画素内に形成されており、対応する画素の前記電荷蓄積領域に蓄積されている前記信号電荷を増幅する増幅トランジスタと、
前記画素内に形成されており、対応する画素の前記第1電極と前記電荷蓄積領域とを電気的に接続するために用いられ、前記電荷蓄積領域に直接接する、半導体材料で構成されているコンタクトプラグとを備え、
前記半導体基板に形成され、前記電荷蓄積領域を、前記増幅トランジスタが形成されるトランジスタ領域、及び隣接画素の前記電荷蓄積領域と分離する、絶縁体で構成される素子分離領域と、
前記半導体基板の、前記素子分離領域と前記電荷蓄積領域との間に形成され、前記電荷蓄積領域の導電型と逆の導電型の不純物領域とを備え、
前記不純物領域の不純物濃度は前記電荷蓄積領域の不純物濃度よりも高く、前記コンタクトプラグの不純物濃度よりも小さい、
固体撮像装置。
【請求項3】
前記電荷蓄積領域の導電型は、前記コンタクトプラグを構成する半導体材料の導電型と同じである
請求項1または2記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記半導体材料の導電型を担う不純物の濃度は、前記電荷蓄積領域の導電型を担う不純物の濃度よりも高い
請求項記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記電荷蓄積領域は、前記コンタクトプラグに直接接する不純物拡散層を含み、
前記不純物拡散層の導電型を担う不純物の濃度は、前記電荷蓄積領域に含まれる当該不純物拡散層以外の領域の導電型を担う不純物の濃度よりも高い
請求項記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記信号電荷は、前記電荷蓄積領域の導電型を担う多数キャリアとは反対極性である
請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記固体撮像装置は、さらに、
前記電荷蓄積領域の表面のうち、前記コンタクトプラグに接しない領域に形成されている、前記電荷蓄積領域の導電型と逆の導電型の不純物領域を備える
請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記コンタクトプラグの下部幅が、当該コンタクトプラグの上部幅よりも小さい
請求項1〜7のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記コンタクトプラグは、シリコン又はゲルマニウムを含む
請求項1〜8のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アレイ状に配列された、光電変換部を含む複数の画素を備える固体撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、MOS(Metal Oxide Semiconductor)型の固体撮像装置は携帯機器カメラ、車載カメラ、及び監視カメラに搭載されている。
【0003】
これらの固体撮像装置には高解像度の撮像能力が求められており、固体撮像装置の微細化及び多画素化が必要となっている。従来の固体撮像装置においては画素の微細化によってフォトダイオードのサイズも縮小している。それに伴い、飽和信号量が低下すること、及び開口率が減少することにより感度が低下するという課題があった。
【0004】
この課題を解決する固体撮像装置として積層型固体撮像装置が提案されている。積層型固体撮像装置では、半導体基板の最表面に光電変換膜が積層される。また、光が積層膜上方より入射される。そして、当該固体撮像装置は、光電変換膜内において光電変換によって発生した電荷を半導体基板内でCCD(Charge Coupled Device)回路又はCMOS(Complementary MOS)回路を用いて読み出す構造となっている。
【0005】
従来の積層型固体撮像装置としては、特許文献1に示すものがある。図13は特許文献1に記載されている固体撮像装置の画素回路の回路図である。図13に示した画素回路では、電荷蓄積領域(FD)と画素電極15aとが電気的に接続されており、その電圧が入射光の強度に応じて変化する。また、電荷蓄積領域は増幅トランジスタ17bのゲート電極にも電気的に接続されている。よって、当該画素回路は、電荷蓄積領域の電圧変化を増幅して信号線17dに読み出すことが可能となる。
【0006】
上記積層型固体撮像装置では、光電変換膜は、読み出し回路及び信号処理回路で用いられる配線層の上部に積層して形成されるが、光電変換で得られる電荷は半導体基板内に設けられた電荷蓄積領域に蓄積される。そのため、光電変換で得られる電荷は金属プラグを介して電荷蓄積領域に転送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4444371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の技術は、電荷蓄積領域と金属プラグとの接触界面においてはシリコンの合金化反応により結晶欠陥が増加するためノイズが増加するという課題がある。
【0009】
そこで本発明は、合金化反応により生じる結晶欠陥を抑制することで、ノイズを低減する固体撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の一形態に係る固体撮像装置は、行列状に配置された複数の画素を備える固体撮像装置であって、半導体基板と、前記半導体基板の上方に、前記画素内に形成されており、隣接する前記画素と電気的に分離された第1電極と、前記第1電極上に形成され、光を信号電荷に光電変換する光電変換膜と、前記光電変換膜上に形成された第2電極と、前記半導体基板に、前記画素内に形成され、対応する画素の前記第1電極に電気的に接続されており、前記光電変換膜により光電変換された前記信号電荷を蓄積する電荷蓄積領域と、前記画素内に形成されており、前記電荷蓄積領域をリセットするリセットゲート電極と、前記画素内に形成されており、対応する画素の前記電荷蓄積領域に蓄積されている前記信号電荷を増幅する増幅トランジスタと、前記画素内に形成されており、対応する画素の前記第1電極と前記電荷蓄積領域とを電気的に接続するために用いられ、前記電荷蓄積領域に直接接する、半導体材料で構成されているコンタクトプラグとを備える。
【0011】
このような構成とすることによって、本発明の一形態に係る固体撮像装置は、積層型固体撮像装置で必須となる光電変換部と電荷蓄積領域との電気的接続に用いられるコンタクトプラグに半導体材料を用いる。よって、電荷蓄積領域とコンタクトプラグとの接触界面における合金化反応が発生しない。これにより、当該固体撮像装置は、電荷蓄積領域とコンタクトプラグとの接触部分で発生する結晶欠陥を低減することが可能となり、ノイズが減少する。
【発明の効果】
【0012】
以上より、本発明は、合金化反応により生じる結晶欠陥を抑制することで、ノイズが低減可能な固体撮像装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置を示す図である。
図2図2は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の動作を示すタイムチャートである。
図3図3は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の断面図である。
図4図4は、本発明の第1の実施形態に係る、PN接合においてN層の濃度を変化させたときの電界強度の強さを表すグラフである。
図5A図5Aは、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の、暗時におけるコンタクトプラグと電荷蓄積領域とを含むライン上のバンド構造を模式的に示す図である。
図5B図5Bは、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の、暗時におけるコンタクトプラグと電荷蓄積領域とを含むライン上の電荷分布を模式的に示す図である。
図5C図5Cは、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の、光入射時におけるコンタクトプラグと電荷蓄積領域とを含むライン上のバンド構造を模式的に示す図である。
図5D図5Dは、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の、光入射時におけるコンタクトプラグと電荷蓄積領域とを含むライン上の電荷分布を模式的に示す図である。
図6図6は、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の断面図である。
図7図7は、本発明の第2の実施形態に係る画素回路の回路図である。
図8図8は、本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置の断面図である。
図9A図9Aは、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の製造過程における断面図である。
図9B図9Bは、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の製造過程における断面図である。
図9C図9Cは、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の製造過程における断面図である。
図9D図9Dは、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の製造過程における断面図である。
図9E図9Eは、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の製造過程における断面図である。
図10A図10Aは、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の製造過程における断面図である。
図10B図10Bは、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の製造過程における断面図である。
図10C図10Cは、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の製造過程における断面図である。
図10D図10Dは、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の製造過程における断面図である。
図10E図10Eは、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の製造過程における断面図である。
図11A図11Aは、本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置の製造過程における断面図である。
図11B図11Bは、本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置の製造過程における断面図である。
図11C図11Cは、本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置の製造過程における断面図である。
図11D図11Dは、本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置の製造過程における断面図である。
図11E図11Eは、本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置の製造過程における断面図である。
図12図12は、本発明の実施形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。
図13図13は、従来の積層型固体撮像装置における画素回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。また、本発明の効果を奏する範囲を逸脱しない範囲で、適宜変更は可能である。さらに、他の実施形態との組み合わせも可能である。また、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。
【0015】
(第1の実施形態)
ここで、特許文献1に示す積層型固体撮像装置で必要となる電荷蓄積領域への高濃度注入はPN接合間の電界を強めるため、リーク電流の発生源となる。また、結晶欠陥密度の高い分離領域界面上及び基板表面上に急峻なPN接合が形成されるとリーク電流の更なる増加を招く。
【0016】
また、従来の表面照射型固体撮像装置のようにシリコンフォトダイオードで光電変換して得られた電子をN型の電荷蓄積領域に蓄積する手法では、飽和電荷量の増加のためにリセット電圧を高く設定する必要があり、暗時のリーク電流が増加する。逆に、リセット電圧を低く設定すると飽和電子数が不足するという課題がある。
【0017】
また、特許文献1に示す積層型固体撮像装置では、明時に光電変換膜から基板内に光が漏れるため、漏れた光が基板内部の電荷蓄積領域において光電変換された場合にノイズとなる。
【0018】
本発明は上記に示した、ノイズの増加、リーク電流の増加、及び飽和電子数の不足の課題を解決するものである。
【0019】
本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置は、積層型固体撮像装置で必須となる光電変換膜と電荷蓄積領域とを電気的に接続するためのコンタクトプラグに半導体材料を用いる。よって、電荷蓄積領域とコンタクトプラグとの接触界面における合金化反応が発生しない。これにより、当該固体撮像装置は、電荷蓄積領域とコンタクトプラグとの接触部分で発生する結晶欠陥を低減することが可能となり、ノイズが減少する。
【0020】
まず、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成を説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成を示す図である。
【0021】
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置は、半導体基板101と、半導体基板101に行列状に配置された複数の画素11と、画素11に種々のタイミング信号を供給する垂直走査部(行走査部とも呼ぶ)13と、画素11の信号を順次水平出力端子142へ読み出す水平走査部(列走査部とも呼ぶ)15と、列毎に形成された列信号線141と、画素11を暗時の状態にリセットするために列毎に設けられたリセット線126とを備えている。なお、図1において、画素11を「2行2列」分だけを記載しているが、行数及び列数は任意に設定してよい。
【0022】
また、各画素11は、光電変換部111と、ゲートが光電変換部111と接続された増幅トランジスタ108aと、ドレインが光電変換部111と接続されたリセットトランジスタ108bと、増幅トランジスタ108aと直列に接続された選択トランジスタ108cとを有している。
【0023】
光電変換部111は、光電変換を行う光電変換膜と、光電変換膜の半導体基板側の面に形成された画素電極と、光電変換膜の画素電極と反対側の面に形成された透明電極とを有する。この光電変換部111は、増幅トランジスタ108aのゲート及びリセットトランジスタ108bのドレインと、光電変換部制御線131との間に接続されている。増幅トランジスタ108aは、画素電極に接続されたゲートを有し、画素電極の電圧に応じた信号電圧を、選択トランジスタ108cを介して列信号線141に出力する。リセットトランジスタ108bのソース及びドレインの一方は画素電極に接続され、ソース及びドレインの他方は対応するリセット線126に接続されている。選択トランジスタ108cのゲートは、アドレス制御線121を介して垂直走査部13と接続されている。リセットトランジスタ108bのゲートは、リセット制御線123を介して垂直走査部13と接続されている。アドレス制御線121及びリセット制御線123は行ごとに設けられている。
【0024】
本実施の形態では、リセットトランジスタ108bがn型MOSトランジスタであり、そのゲートに入力されるリセット信号に含まれるリセットパルスが正パルス(上向きのパルス)であり、リセットパルスの後縁(後ろのエッジ)が立ち下がりエッジである例について説明する。
【0025】
光電変換部制御線131は、全画素に共通となっている。列信号線141は、列ごとに設けられ、列信号処理部21を介して水平走査部15と接続されている。列信号処理部21は、相関二重サンプリングに代表される雑音抑圧信号処理、及び、アナログ/デジタル変換処理等を行う。
【0026】
また、リセットトランジスタ108bが導通状態である時、電荷蓄積領域104の電圧は、0V、又は0V近傍の正電圧となる。
【0027】
図2は、本実施形態に係る固体撮像装置の最も基本的な撮像動作を示すフローチャートである。同図のSEL1は、1行目の行選択信号を示す。RST1は、1行目の行リセット信号を示す。SEL2及びRST2も、対応する行が異なる点以外同様である。1水平周期は、行選択信号が有効になってから、次の行の行選択信号が有効になるまで(SEL1の立ち上がりからSEL2の立ち上がりまで)の期間であり、1行分の画素から信号電圧を読み出すのに要する期間である。1垂直周期は、全行の画素から信号電圧を読み出すのに要する期間である。
【0028】
また、シリコンで構成される半導体基板に、増幅トランジスタ108a、選択トランジスタ108c及びリセットトランジスタ108bが形成されている。増幅トランジスタ108aは、ゲート電極と、拡散層であるドレイン及びソースとを有している。選択トランジスタ108cはゲート電極と、拡散層であるドレイン及びソースとを有している。増幅トランジスタ108aのソースと選択トランジスタ108cのドレインとは、共通の拡散層で形成される。また、リセットトランジスタ108bは、ゲート電極と、拡散層であるドレイン及びソースとを有している。増幅トランジスタ108aとリセットトランジスタ108bとは素子分離領域により分離されている。
【0029】
また、半導体基板101の上には、各トランジスタを覆うように絶縁膜が形成されている。絶縁膜の上には光電変換部111が形成されている。光電変換部111は、有機材料又は、アモルファスシリコン及びゲルマニウムに代表される半導体を含む材料等で構成される光電変換膜と、当該光電変換膜の下面に形成された画素電極と、当該光電変換膜の上面に形成された透明電極とを有している。画素電極は、コンタクトを介して増幅トランジスタ108aのゲート電極及びリセットトランジスタ108bのソースである拡散層と接続されている。画素電極と接続された拡散層は電荷蓄積領域として機能する。
【0030】
以上のように、本実施形態に係る固体撮像装置は、光吸収係数が大きな光電変換部を用いているので、量子化効率が格段に良い。従って、ランダム雑音が下がった時の効果を非常に大きい。
【0031】
また、本実施形態に係る固体撮像装置は、電荷蓄積領域の面積を小さく形成可能であるので、回路的に変換ゲインを大きくすることが可能である。これにより、ランダム雑音が下がった時の効果が格段に大きくなる。さらに、構造的に、本実施形態に係る固体撮像装置では、半導体基板内で光電変換が行われないので、ランダム雑音が抑圧された時の効果が格段に大きい。
【0032】
図3は、本発明の第1の実施形態における固体撮像装置の1つの画素に含まれる電荷蓄積領域104と増幅トランジスタ108aとを含む構成を示す断面図である。
【0033】
図3に示す画素11は、トランジスタを分離するために半導体基板101に酸化膜を埋め込むことで形成されている素子分離領域102と、素子分離領域102の界面に起因するリーク電流を抑制するために素子分離領域102を囲むように形成されるP型不純物領域103と、光電変換膜114からの信号電荷を蓄積するN型の電荷蓄積領域104と、電荷蓄積領域104よりも高濃度のN型不純物を含むポリシリコンで構成されたコンタクトプラグ107と、上記ポリシリコンからN型不純物を拡散することにより形成される不純物拡散層105と、半導体基板101との間にゲート酸化膜(図示せず)を介して形成される増幅トランジスタ108aのゲート電極と、W、Cu又はAl等の金属で構成されたコンタクトプラグである金属プラグ110a〜110dと、絶縁層109a〜109dと、画素11ごとに分離され、電荷蓄積領域104及び増幅トランジスタ108aのゲート電極と接続されている第1電極113(画素電極)と、入射光量に応じて信号電荷を生成する光電変換膜114と、光電変換膜114に光電変換に必要な所定の電圧を印加するための第2電極115(透明電極)とを含む。
【0034】
光電変換膜114は、受光量に応じて電荷を生成する。生成された電荷のうち信号電荷として正孔が第1電極113を介して電荷蓄積領域104に蓄積される。一方、電子は第2電極115に排出される。電荷蓄積領域104に蓄積された信号電荷に応じて増幅トランジスタ108aのゲート電極に印加される電圧が増加する。
【0035】
増幅トランジスタ108aは、電荷蓄積領域104に蓄積された信号電荷を増幅する。選択トランジスタ108cのゲート電極に所定の電圧を印加することで、増幅トランジスタ108aにより増幅された信号が列信号線141に出力される。
【0036】
また、信号の読み出し後にリセットトランジスタ108bのゲート電極に所定の電圧を印加することで、電荷蓄積領域104はリセット電圧に設定される。
【0037】
本実施形態では、電荷蓄積領域104と、金属プラグ110aとは、N型にドープされたポリシリコンで構成されるコンタクトプラグ107を介して接続されている。このコンタクトプラグ107の形成後に、アニールにより不純物拡散層105を形成する。この不純物拡散層105により、コンタクトプラグ107と電荷蓄積領域104と間のコンタクト抵抗を低減可能である。また、この不純物拡散層105を形成することにより、電荷蓄積領域104をN型にする必要がないので、当該電荷蓄積領域104をN型で形成している。また、素子分離領域102の界面から発生するリーク電流を防ぐために素子分離領域102の周囲にはP型不純物領域103が形成されている。なお、不純物拡散層105は、コンタクトプラグ107と電荷蓄積領域104との間のコンタクト抵抗が許容範囲内であれば必ずしも作製する必要はない。
【0038】
ここで、電荷蓄積領域104の不純物濃度を横軸にとり、PN接合間にかかる電界強度を求めると図4のようになる。ここではP型不純物領域103の濃度を1018cm−3と仮定している。図4から分かるように、電荷蓄積領域104の不純物濃度が低ければ低いほど電界強度を下げることが可能となる。また、PN接合に強電界が印加される場合、Trap Assisted Tunneling(TAT)電流によるリーク電流が支配的となる。このモデルではリーク電流は電界強度が大きくなるほど増加する。これより、電荷蓄積領域104の不純物濃度を低くすることがリーク電流の低減に高い効果を持つことがわかる。
【0039】
以上の構成から電荷蓄積領域104は、酸化膜で構成されている素子分離領域102との界面からP型層で隔離されている。また、コンタクト抵抗の低減に必要な、不純物を高濃度に含む不純物拡散層105が最小限の大きさに作られている。そのため電荷蓄積領域104の周囲で発生するリーク電流を限界まで抑制することが可能となる。また、この構成は、微細化にも有利な構造である。
【0040】
また、本実施形態では正孔読み出しに対し、N型の不純物領域である電荷蓄積領域104を用いている。これにより、明時に電荷蓄積領域104と半導体基板101との間に印加される電圧が逆バイアスの状態となる。これにより、当該構成は、電子をN型の不純物領域に蓄積する手法に比べてリーク電流が増加しにくいという利点と、飽和電子数が増加するという利点とを有する。
【0041】
また、本実施形態ではポリシリコンで構成されるコンタクトプラグ107と、金属プラグ110aとの間に太いポリシリコンプラグを配置している。この中間層は光電変換膜114を透過してしまった光が電荷蓄積領域104に直接入ることを防ぐ効果を持つ。これによりノイズを抑制することが可能である。また、太い中間層の存在は微細なプラグ同士の合わせズレを防ぐ用途にも用いることが可能である。ただし、太いポリシリコンプラグのために隣接画素とのカップリング容量が大きくなり、混色が悪化する場合は必ずしも太いポリシリコンプラグを形成する必要はない。
【0042】
また、本実施形態ではコンタクトプラグ107の材料としてポリシリコンを用いたが、代わりにコンタクトプラグ107の材料として多結晶シリコン、Ge、又はGaAsを含む材料を用いてもよい。
【0043】
以上のように、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置は、行列状に配置された複数の画素11を備える固体撮像装置であって、半導体基板101と、半導体基板101の上方に、画素11内に形成されており、隣接する画素11と電気的に分離された第1電極113と、第1電極113上に形成され、光を信号電荷に光電変換する光電変換膜114と、光電変換膜114上に形成された第2電極115と、半導体基板101に、画素11内に形成され、対応する画素11の第1電極113に電気的に接続されており、光電変換膜114により光電変換された信号電荷を蓄積する電荷蓄積領域104と、画素11内に形成されており、前記電荷蓄積領域をリセットするリセットゲート電極と、画素11内に形成されており、対応する画素11の電荷蓄積領域104に蓄積されている信号電荷を増幅する増幅トランジスタ108aと、画素11内に形成されており、対応する画素の第1電極113と電荷蓄積領域104とを電気的に接続するために用いられ、電荷蓄積領域104に直接接する、半導体材料で構成されているコンタクトプラグ107とを備える。
【0044】
本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置は、積層型固体撮像装置で必須となる光電変換膜114と電荷蓄積領域104とを電気的に接続するためのコンタクトプラグ107に半導体材料を用いる。このような構成とすることによって、電荷蓄積領域104とコンタクトプラグ107との接触界面における合金化反応が発生しない。これにより、当該固体撮像装置は、電荷蓄積領域104とコンタクトプラグ107との接触部分で発生する結晶欠陥を低減することが可能であるので、ノイズが減少する。
【0045】
また、電荷蓄積領域104の導電型は、コンタクトプラグ107を構成する半導体材料の導電型と同じである。
【0046】
このような構成とすることによって、電荷蓄積領域104とコンタクトプラグ107との間にポテンシャルの差が発生しなくなるので、電荷蓄積領域104とコンタクトプラグ107との間のコンタクト抵抗が低減する。
【0047】
また、コンタクトプラグ107を構成する半導体材料の導電型を担う不純物の濃度は、電荷蓄積領域104の導電型を担う不純物の濃度よりも高い。
【0048】
このような構成とすることによって、電荷蓄積領域104とコンタクトプラグ107との間に存在するポテンシャル障壁を小さくすることが可能であるため、電荷蓄積領域104とコンタクトプラグ107との間のコンタクト抵抗をさらに低減可能である。また、電荷蓄積領域104の不純物濃度を低くしてもコンタクト抵抗を低く形成でき、電荷蓄積領域104の低濃度化によるリーク電流低減の効果が得られる。
【0049】
また、電荷蓄積領域104は、コンタクトプラグ107に直接接する不純物拡散層105を含み、不純物拡散層105の導電型を担う不純物の濃度は、電荷蓄積領域104に含まれる不純物拡散層105以外の領域の導電型を担う不純物の濃度よりも高い。
【0050】
このような構成とすることによって、コンタクトプラグ107と電荷蓄積領域104と間のコンタクト抵抗を低減可能である。
【0051】
また、信号電荷は、電荷蓄積領域104の導電型を担う多数キャリアとは反対極性である。
【0052】
このような構成とすることによって、飽和信号量を高く保ちつつ、電荷蓄積領域104のリセット電圧を低減することが可能となるので、暗時のリーク電流を抑制可能である。
【0053】
一方、このような構成とは逆に、信号電荷が電荷蓄積領域104の導電型を担うキャリアと同極性の場合は、リセット電圧を逆バイアスの状態の高い電圧に設定することでリーク電流を犠牲に飽和信号量を高く保つか、リセット電圧を低く設定することでリーク電流を抑え、飽和信号量を犠牲にするかのどちらかを選択せざるを得ない。
【0054】
以下電荷蓄積領域104がN型である場合を例として本構成について具体的に説明する。上記構成から、暗時においては電荷蓄積領域104の電圧は0V、又は0V近傍の正電圧となる。図5Aは、電荷蓄積領域104をN型で形成したときの、暗時における、ラインA0−A1上のバンド図である。また、図5Bは、ラインA0−A1の電荷分布を示すグラフである。ここで、ラインA0−A1は、図3に示す、コンタクトプラグ107と電荷蓄積領域104とを含むラインである。
【0055】
このとき、電荷蓄積領域104には空乏層電荷118が形成されている。暗時では電荷蓄積領域104と半導体基板101間の電位差は0Vまたは0V近傍となるため、電荷蓄積領域104と半導体基板101との間のリーク電流を低減することが可能となる。また、光入射時には電荷蓄積領域104が正に帯電する。
【0056】
図5Cは、電荷蓄積領域104をN型で形成したときの、光入射時におけるラインA0−A1上のバンド図である。図5Dは、ラインA0−A1の電荷分布を示すグラフである。
【0057】
信号電荷は電荷蓄積領域104の多数キャリアと逆極性であるため、図5Dに示す電荷分布は、暗時の空乏層電荷118に信号電荷119が空間電荷として追加形成された状態となる。そのため、光入射時は電荷蓄積領域104と半導体基板101との間には逆バイアスが印加された状態となる。これにより、電荷蓄積領域104にPN接合の逆耐圧まで電圧を印加することが可能となり、高い飽和信号量を得ることが可能となる。
【0058】
また、当該固体撮像装置は、さらに、半導体基板101に形成され、電荷蓄積領域104を、増幅トランジスタ108aが形成されるトランジスタ領域、及び隣接画素の電荷蓄積領域104と分離する、絶縁体で構成される素子分離領域102と、半導体基板101の、素子分離領域102と電荷蓄積領域104との間に形成され、電荷蓄積領域104の導電型と逆の導電型のP型不純物領域103とを備え、P型不純物領域103の不純物濃度は電荷蓄積領域104の不純物濃度よりも高く、コンタクトプラグ107の不純物濃度よりも小さい。
【0059】
ここで、素子分離領域102は、増幅トランジスタ108aと選択トランジスタ108cとを囲む構造である。また、素子分離領域102は、電荷蓄積領域104とリセットトランジスタ108bとを囲む構造である。これにより、電荷蓄積領域104は、隣接画素と分離されている。
【0060】
このような構成とすることによって、素子分離領域102での絶縁性が確保され、さらに絶縁体で構成される素子分離領域102で発生するリーク電流を抑制することが可能となる。
【0061】
また、コンタクトプラグ107は、シリコン又はゲルマニウムを含む。
【0062】
このような構成では、電荷蓄積領域104の表面の界面欠陥の終端化のために用いるコンタクトプラグ107にシリコンプロセスと相性の良い材料を選択しているので、暗電流の抑制が可能となる。
【0063】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態では、上述した第1の実施形態の変形例について説明する。
【0064】
図6は、第2の実施形態に係る固体撮像装置における1つの画素に含まれる電荷蓄積領域104と増幅トランジスタ108aとを含む構成を示す断面図である。なお、図3と同様の要素には同一の符号を付している。
【0065】
また、以下では、第1の実施形態との相違点を主に説明し、重複する説明は省略する。
【0066】
図6に示す構成は、図3に示す構成に対して、素子分離領域102及びP型不純物領域103の代わりに、各トランジスタ領域を分離するために形成されているP型不純物領域116を備える。また、コンタクトプラグ107の形状及び電荷蓄積領域104の大きさが、図3と異なる。
【0067】
本実施形態ではポリシリコンで構成されるコンタクトプラグ107はプラグ最上部の太さがプラグ最下部の太さよりも太く形成されている。これにより、コンタクトプラグ107の上に金属プラグ110aを形成する時に生じる、合わせズレによる接触不良を抑制することが可能である。
【0068】
また、本実施形態では電荷蓄積領域104を最小限の大きさに形成している。このような電荷蓄積領域104は、コンタクトプラグ107の形成前において、接続孔から不純物を注入することで作製する。この手法では、電荷蓄積領域104を素子分離領域102から最大限に離して形成することが可能である。ただし、リセットトランジスタ108bを動作可能とするため、コンタクトプラグ107とリセットトランジスタ108bとの距離を近づける、又は、コンタクトプラグ形成箇所からリセットトランジスタのゲート電極下部まで別のマスクを用いて不純物注入を行うことで作製する手法を用いてもよい。
【0069】
以上の構成により、本実施形態に係る固体撮像装置は、上述した第1の実施形態と同様の効果を実現可能である。
【0070】
また、コンタクトプラグ107の下部幅が、コンタクトプラグ107の上部幅よりも小さい。
【0071】
このような構成により、明時に光電変換膜114を透過した漏れ光が電荷蓄積領域104に入り込むことを防止し、ノイズを抑制できる。また、接触不良の発生も抑制可能である。
【0072】
図7は、第2の実施形態の画素回路の構成を示す図である。本実施形態では微細化に対応するため、リセットトランジスタ108bのゲート電極及び選択トランジスタ108cのゲート電極を共通のゲート電極及び配線で形成している。また、図7に示す画素回路において、リセットトランジスタ108b及び選択トランジスタ108cを別個に駆動するために、リセットトランジスタ108bの閾値電圧は、選択トランジスタ108cの閾値電圧よりも高く設定されている。これにより、ある共通のゲート電圧においてリセットトランジスタ108bがOFFし、選択トランジスタ108cがONする状態を作ることが可能である。
【0073】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態では、上述した第1の実施形態の変形例について説明する。
【0074】
図8は、第3の実施形態に係る固体撮像装置の1つの画素に含まれる電荷蓄積領域104と増幅トランジスタ108aとを含む構成を示す断面図である。なお、図3と同様の要素には同一の符号を付している。
【0075】
図8に示す構成は、図3に示す構成に対して、さらに、P型不純物領域106、金属プラグ110e及びN型不純物領域117が追加されている。
【0076】
また、本実施形態ではポリシリコンで構成されるコンタクトプラグ107上の金属プラグ110eがコンタクトプラグ107よりも太く形成されている。このような構成により合わせズレを抑制することが可能となる。
【0077】
このように、第3の実施形態に係る該固体撮像装置は、さらに、電荷蓄積領域104の表面のうち、コンタクトプラグに接しない領域に形成されている、電荷蓄積領域104の導電型と逆の導電型のP型不純物領域106を備える。
【0078】
このような構成により、電荷蓄積領域104において、半導体基板101の表面で発生するリーク電流が電荷蓄積領域104へ与える影響を抑制する。
【0079】
ここで、P型不純物領域106の影響で、コンタクトプラグ107と電荷蓄積領域104との電気的接触が困難となる場合は、補助的に、コンタクトプラグ形成用の溝から不純物を注入することで、N型不純物領域117を追加形成してもよい。
【0080】
なお、その他効果は第1の実施形態と同様である。
【0081】
(第1の実施形態の製造方法)
以下、上述した第1の実施形態に係る固体撮像装置の製造方法について図9A図9Eに示す断面図に沿って概略を説明する。
【0082】
まず、図9Aに示すように、一般的な積層型固体撮像装置を形成する方法で、半導体基板101上に素子分離領域102と、素子分離領域102を囲むP型不純物領域103と、ゲート電極を持つMOSトランジスタ(増幅トランジスタ108a、リセットトランジスタ108b及び選択トランジスタ108c)とを形成する。また、当該MOSトランジスタの形成と同時に信号処理を行う周辺回路を構成するトランジスタも形成する。また、N型の電荷蓄積領域104をイオン注入により形成する。
【0083】
続いて、図9Bに示すように、絶縁層109aをスパッタリング法又はCVD法を用いて堆積する。その後、絶縁層109aの、N型の不純物を持つポリシリコンで構成されるコンタクトプラグ107及び配線を形成する部分にコンタクトホール107aを形成する。
【0084】
続いて、図9Cに示すように高濃度のN型の不純物を持つポリシリコン107bをCVD法又はスパッタリング法を利用して堆積する。
【0085】
続いて、図9Dに示すように、ポリシリコン107bを電荷蓄積領域104の遮光に用いる用途、又は、合わせズレ防止のための用途に必要最小限の大きさの中間層を残し、エッチングを用いて除去する。その後、酸化膜堆積後に700〜900度の高温アニール工程により不純物拡散層105を形成する。
【0086】
続いて、図9Eに示すように、一般的な方法を用いて金属プラグ110a及び配線112aを形成する。
【0087】
続いて、金属プラグ110b〜110d、配線112b〜112c、絶縁層109b〜109c、第1電極113、光電変換膜114、第2電極115、保護膜(図示せず)、カラーフィルタ(図示せず)及びレンズ(図示せず)を形成することで、図3に示す構造が形成される。なお、これらの製造方法は従来の積層型固体撮像装置の製造方法と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0088】
(第2の実施形態の製造方法)
以下、上述した第2の実施形態に係る固体撮像装置の製造方法について図10A図10Eに示す断面図に沿って概略を説明する。
【0089】
まず、図10Aに示すように、一般的な積層型固体撮像装置を形成する方法で、半導体基板101上にP型不純物領域116と、MOSトランジスタ(増幅トランジスタ108a、リセットトランジスタ108b及び選択トランジスタ108c)とを形成する。また、同時に信号処理を行う周辺回路も形成する。
【0090】
続いて、図10Bに示すように、絶縁層109aをスパッタリング法又はCVD法を用いて堆積する。その後、絶縁層109aの、N型の不純物を持つポリシリコンで構成されるコンタクトプラグ107及び配線を形成する部分にコンタクトホール107aを形成する。その後、コンタクトホール107a上からN型の不純物を注入することで電荷蓄積領域104を形成する。
【0091】
続いて、図10Cに示すように、N型の不純物を持つポリシリコン107bをCVD法又はスパッタ法を利用して堆積する。
【0092】
続いて、図10Dに示すように、ポリシリコン107bを電荷蓄積領域104の遮光に用いる用途、又は、合わせズレ防止のための用途に必要最小限の大きさの中間層を残し、ドライエッチング法を用いて除去する。その後、酸化膜堆積後に700度〜900度の高温アニール工程を用いて不純物拡散層105を形成する。
【0093】
続いて、図10Eに示すように、一般的な方法を用いて金属プラグ110a及び配線112aを形成する。
【0094】
続いて、金属プラグ110b〜110d、配線112b〜112c、絶縁層109b〜109c、第1電極113、光電変換膜114、第2電極115、保護膜(図示せず)、カラーフィルタ(図示せず)及びレンズ(図示せず)を形成することで図6に示す構成が形成される。なお、これらの製造方法は従来の積層型固体撮像装置の製造方法と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0095】
(第3の実施形態の製造方法)
以下、上述した第3の実施形態に係る固体撮像装置の製造方法について図11A図11Eに示す断面図に沿って概略を説明する。
【0096】
まず、図11Aに示すように、一般的な積層型固体撮像装置を形成する方法で、半導体基板101上にP型不純物領域116と、MOSトランジスタ(増幅トランジスタ108a、リセットトランジスタ108b及び選択トランジスタ108c)とを形成する。また、同時に信号処理を行う周辺回路も形成する。ここで、電荷蓄積領域104の上にP型不純物領域106を形成する。
【0097】
続いて、図11Bに示すように、絶縁層109aをスパッタリング法又はCVD法を用いて堆積する。その後、絶縁層109aの、N型の不純物を持つポリシリコンで構成されるコンタクトプラグ107及び配線を形成する部分にコンタクトホール107aを形成する。その後、必要に応じてコンタクトホール107a上からN型の不純物を注入することでN型不純物領域117を形成する。
【0098】
続いて、図11Cに示すように、N型の不純物を持つポリシリコン107bをCVD法又はスパッタ法を利用して堆積する。
【0099】
続いて、図11Dに示すように、ポリシリコン107bをCMP法を用いて研磨することで、コンタクトプラグ107を残して除去する。その後、酸化膜堆積後に700度〜900度の高温アニール工程を用いて不純物拡散層105を形成する。
【0100】
続いて、図11Eに示すように、一般的な方法を用いて金属プラグ110a、110e及び配線112aを形成する。ここで、金属プラグ110eを、コンタクトプラグ107との合わせズレ防止のために金属プラグ110aよりも太く形成している。
【0101】
続いて、金属プラグ110b〜110d、配線112b〜112c、絶縁層109b〜109c、第1電極113、光電変換膜114、第2電極115、保護膜(図示せず)、カラーフィルタ(図示せず)及びレンズ(図示せず)を形成することで図6に示す構成が形成される。なお、これらの製造方法は従来の積層型固体撮像装置の製造方法と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0102】
(本実施形態を利用した撮像装置)
以下、上述した第1〜第3の実施形態のいずれかで説明した固体撮像装置を用いた撮像装置(カメラ)について説明する。
【0103】
図12は本実施形態を用いた撮像装置200の全体構成を示すブロック図である。本実施形態に係る撮像装置200は、レンズ201と、固体撮像装置206と、信号処理回路207と、出力インターフェース209とを有する。
【0104】
固体撮像装置206は、上述した第1〜第3の実施形態のいずれかで説明した固体撮像装置である。また、画素アレイ202には、上述した複数の画素11が行列状に配置されている。行選択回路203及び列選択回路204は、図1に示す垂直走査部13及び水平走査部15に対応する。
【0105】
レンズ201は、被写体を画素アレイ202上に結像する。画素アレイ202で得られた信号は行選択回路203、列選択回路204及び読み出し回路205を通じて信号処理回路207へ順次送られる。信号処理回路207は、受け取った信号に信号処理を施し、信号処理後の画像信号を、ディスプレイ及びメモリを含む出力インターフェース209へ出力する。
【0106】
以上、本発明の実施の形態に係る固体撮像装置及び撮像装置について説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0107】
例えば、上記説明における半導体基板101を、半導体基板101に形成されているウェルと置き換えてもよい。
【0108】
また、上記実施の形態に係る固体撮像装置は典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0109】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0110】
また、上記断面図等において、各構成要素の角部及び辺を直線的に記載しているが、製造上の理由により、角部及び辺が丸みをおびたものも本発明に含まれる。
【0111】
また、上記第1〜第3の実施形態に係る固体撮像装置、撮像装置及びそれらの変形例の機能のうち少なくとも一部を組み合わせてもよい。
【0112】
また、上記で用いた数字は、全て本発明を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。さらに、ハイ/ローにより表される論理レベル又はオン/オフにより表されるスイッチング状態は、本発明を具体的に説明するために例示するものであり、例示された論理レベル又はスイッチング状態の異なる組み合わせにより、同等な結果を得ることも可能である。また、トランジスタ、及び不純物領域等のN型及びP型等は、本発明を具体的に説明するために例示するものであり、これらを反転し、同等の結果を得ることも可能である。また、上記で示した各構成要素の材料は、全て本発明を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された材料に制限されない。また、構成要素間の接続関係は、本発明を具体的に説明するために例示するものであり、本発明の機能を実現する接続関係はこれに限定されない。
【0113】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0114】
また、上記説明では、MOSトランジスタを用いた例を示したが、他のトランジスタを用いてもよい。
【0115】
更に、本発明の主旨を逸脱しない限り、本実施の形態に対して当業者が思いつく範囲内の変更を施した各種変形例も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は、固体撮像装置に適用できる。また、本発明は、固体撮像装置を用いる、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話用カメラ、又は監視カメラ等の撮像装置に適用できる。
【符号の説明】
【0117】
11 画素
13 垂直走査部
15 水平走査部
15a 画素電極
17b 増幅トランジスタ
17d 信号線
21 列信号処理部
101 半導体基板
102 素子分離領域
103 P型不純物領域
104 電荷蓄積領域
105 不純物拡散層
106 P型不純物領域
107 コンタクトプラグ
107a コンタクトホール
107b ポリシリコン
108a 増幅トランジスタ
108b リセットトランジスタ
108c 選択トランジスタ
109a、109b、109c、109d 絶縁層
110a、110b、110c、110d、110e 金属プラグ
111 光電変換部
112a、112b、112c 配線
113 第1電極
114 光電変換膜
115 第2電極
116 P型不純物領域
117 N型不純物領域
118 空乏層電荷
119 信号電荷
121 アドレス制御線
123 リセット制御線
126 リセット線
131 光電変換部制御線
141 列信号線
142 水平出力端子
200 撮像装置
201 レンズ
202 画素アレイ
203 行選択回路
204 列選択回路
205 読み出し回路
206 固体撮像装置
207 信号処理回路
209 出力インターフェース
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図12
図13