特許第6084955号(P6084955)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社エムケーテクノの特許一覧 ▶ 有限会社田中テクニカルの特許一覧

特許6084955逆止弁付きフィルム搬送装置及び包装袋の製造装置
<>
  • 特許6084955-逆止弁付きフィルム搬送装置及び包装袋の製造装置 図000002
  • 特許6084955-逆止弁付きフィルム搬送装置及び包装袋の製造装置 図000003
  • 特許6084955-逆止弁付きフィルム搬送装置及び包装袋の製造装置 図000004
  • 特許6084955-逆止弁付きフィルム搬送装置及び包装袋の製造装置 図000005
  • 特許6084955-逆止弁付きフィルム搬送装置及び包装袋の製造装置 図000006
  • 特許6084955-逆止弁付きフィルム搬送装置及び包装袋の製造装置 図000007
  • 特許6084955-逆止弁付きフィルム搬送装置及び包装袋の製造装置 図000008
  • 特許6084955-逆止弁付きフィルム搬送装置及び包装袋の製造装置 図000009
  • 特許6084955-逆止弁付きフィルム搬送装置及び包装袋の製造装置 図000010
  • 特許6084955-逆止弁付きフィルム搬送装置及び包装袋の製造装置 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6084955
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】逆止弁付きフィルム搬送装置及び包装袋の製造装置
(51)【国際特許分類】
   B31B 50/84 20170101AFI20170213BHJP
   B31B 70/84 20170101ALI20170213BHJP
   B65B 61/18 20060101ALI20170213BHJP
【FI】
   B31B1/84
   B65B61/18
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-205809(P2014-205809)
(22)【出願日】2014年10月6日
(65)【公開番号】特開2016-74456(P2016-74456A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2016年9月20日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506314357
【氏名又は名称】株式会社New IWASHO
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100136995
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 千織
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 敏之
(73)【特許権者】
【識別番号】310014171
【氏名又は名称】有限会社田中テクニカル
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(72)【発明者】
【氏名】氷上 好孝
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 慎次
(72)【発明者】
【氏名】河野 光由
(72)【発明者】
【氏名】下脇 建
【審査官】 二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/128934(WO,A1)
【文献】 特許第5451949(JP,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0021092(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 1/84
B65B 61/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原反フィルムの任意の位置にガス抜きを行なうための逆止弁を装着して搬送する逆止弁付きフィルム搬送装置であって、
原反ロールから巻き解された前記原反フィルムにおける前記逆止弁を装着する位置に空気通路を形成する空気通路形成装置と、
前記空気通路を形成した前記原反フィルムに、逆止弁を多数直列配置させた逆止弁シートを搬送させて、前記空気通路のそれぞれに合わせて1個の前記逆止弁を装着する逆止弁装着装置と、を有して構成され、
前記逆止弁装着装置は、駆動装置によって前記逆止弁シートを所定間隔搬送する移動プレートと、前記移動プレート上に載置される前記逆止弁シートを把持する把持ローラとを備え、
前記逆止弁シートの送り時において、前記把持ローラは回転ロックした状態で移動プレートとともに移動され、
前記把持ローラの戻り時において、前記把持ローラは前記逆止弁シートを把持したまま空転することにより、前記逆止弁シートを残したまま前記移動プレートとともに元の位置に戻ることを特徴とする逆止弁付きフィルム搬送装置。
【請求項2】
前記空気通路は、切り幅のほとんどない切り目状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の逆止弁付きフィルム搬送装置。
【請求項3】
原反フィルムにおける逆止弁を装着する位置に切り幅のほとんどない切り目状の空気通路を形成する空気通路形成装置と、前記空気通路を形成した前記原反フィルムに、逆止弁を多数直列配置させた逆止弁シートを搬送させて、前記空気通路のそれぞれに合わせて1個の前記逆止弁を装着する逆止弁装着装置と、を備える逆止弁付きフィルム搬送装置と、
搬送された前記逆止弁付きフィルムに粉体を充填して逆止弁付き包装袋を形成する粉体充填装置と、を備え、
前記逆止弁装着装置は、駆動装置によって前記逆止弁シートを所定間隔搬送する移動プレートと、前記移動プレート上に載置される前記逆止弁シートを把持する把持ローラとを備え、
前記逆止弁シートの送り時において、前記把持ローラは回転ロックした状態で移動プレートとともに移動され、
前記把持ローラの戻り時において、前記把持ローラは前記逆止弁シートを把持したまま空転することにより、前記逆止弁シートを残したまま前記移動プレートとともに元の位置に戻ることを特徴とする包装袋の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス抜きをするための逆止弁が装着された包装袋の製造装置に関し、さらに流れている原反フィルムに逆止弁装着装置から送り出された逆止弁シートの逆止弁を1個ずつ装着して搬送する逆止弁付きフィルム搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、コーヒー粉を包装袋に充填するコーヒー粉包装袋において、コーヒー粉から発散するガスを抜いて香りのよいコーヒーが飲めるようになってきた。ガス抜きは、1個の包装袋に空気通路をあけてその位置に逆止弁を取り付けることによって行なわれる。プラスチックフィルムに装着される逆止弁は、従来から開発されているものであり、包装袋の内部からのガスは抜けても、外部からの空気を包装袋内に侵入しないように構成されているものである。
【0003】
従来においては、特許文献1のように、この逆止弁を原反フィルムに取り付けた状態で製袋しコーヒー粉を充填するする方法と、特許文献2のように、予めプラスチックフィルムに逆止弁を取り付けた状態でロール状に巻き付けた後、巻き解した逆止弁付きフィルムにコーヒー粉を充填する方法と、特許文献3のように、多数のバルブをバルブシートから1個ずつ切断して2枚のプラスチックシートの辺縁間に間歇的に挿入する装置が開示されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平07−267205号公報
【特許文献2】特開2002−308291公報
【特許文献3】特開平05−220873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の場合は、プラスチックフィルムに取り付けられる逆止弁の位置が、筒状に形成する際にプラスチックフィルムの両端部に跨るように配置されているため、ガス抜けの状態が不十分となって、コーヒーの鮮度を落す虞が生じていた。
【0006】
また、特許文献2の場合は、逆止弁が装着された状態でロール状に巻き付けられているため、きつく巻いている場合には、逆止弁の周りの部位のプラスチックフィルムに皺がよりやすく、皺を伸ばす工程が必要となる。また、プラスチックフィルムの幅方向における、巻き重ねられる逆止弁の取り付け位置が常に同じ位置にあると、巻き付けたときに一箇所の位置において膨らんでくることになるから、長手方向に沿って順に幅方向にオフセットした位置に孔をあけて逆止弁を取り付けなければならなかった。これは、通気小口用の孔あけ時においても、逆止弁の取り付け時においても、手間がかかることとなりコストを高くすることになる。また、たとえ、オフセットしても、逆止弁を取り付けた位置においては膨らみを防止できず、製袋装置において送り不良の虞があった。
【0007】
さらに、特許文献3の場合は、多数のバルブを有するバルブシートからバルブを切断して2枚のプラスチックシートの辺縁間に間歇的に挿入する構成となっており、2枚のプラスチックシート間にバルブを挿入する作動及びバルブを把持する把持爪を大きく開く作動を行なうことから、バルブシートから切断されたバルブを挿入するのに多くの時間を必要とする。そのため、生産効率を低下させることとなっていた。また、バルブが2枚のプラスチックフィルムの辺縁間に跨るように配置されているため、ガス抜けの状態が不十分となって、コーヒーの鮮度を落す虞が生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するために、原反フィルムの幅方向の任意の位置に逆止弁を取り付けるとともに、無駄な時間をなくして逆止弁を効率的に装着した状態の原反フィルムを、そのまま包装袋の製造工程に搬送する逆止弁付きフィルム搬送装置を提供するとともに、逆止弁付きフィルム搬送装置で送られた逆止弁付きフィルムを製袋するための包装袋の製造装置を提供することを目的とするものであり、以下のように構成するものである。すなわち、
請求項1記載に係る発明は、原反フィルムの任意の位置にガス抜きを行なうための逆止弁を装着して搬送する逆止弁付きフィルム搬送装置であって、原反ロールから巻き解された前記原反フィルムにおける前記逆止弁を装着する位置に空気通路を形成する空気通路形成装置と、前記空気通路を形成した前記原反フィルムに、逆止弁を多数直列配置させた逆止弁シートを搬送させて、前記空気通路のそれぞれに合わせて1個の前記逆止弁を装着する逆止弁装着装置と、を有して構成され、前記逆止弁装着装置は、駆動装置によって前記逆止弁シートを所定間隔搬送する移動プレートと、前記移動プレート上に載置される前記逆止弁シートを把持する把持ローラとを備え、前記逆止弁シートの送り時において、前記把持ローラは回転ロックした状態で移動プレートとともに移動され、前記把持ローラの戻り時において、前記把持ローラは前記逆止弁シートを把持したまま空転することにより、前記逆止弁シートを残したまま前記移動プレートとともに元の位置に戻ることを特徴とするものである。
【0009】
これによれば、逆止弁付きフィルム搬送装置は、原反フィルムの任意の位置に空気通路を形成した後、空気通路の位置に合わせて逆止弁を装着する。逆止弁シートは、駆動装置により移動プレートと把持ローラによって把持されながら搬送される。把持ローラが移動プレートとともに戻る際、把持ローラは、逆止弁フィルムに対して空転することにより逆止弁フィルムを把持したまま戻ることができる。そのため、把持ローラにおける搬送・戻り工程において逆止弁フィルムに対するリリース工程を省けるので、その分、1回の搬送周期において、搬送時間を短くすることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1の発明に係るものであって、前記空気通路は、切り幅のほとんどない切り目状に形成されていることを特徴としている。
【0011】
これによれば、空気通路は、孔をあけるのではなく、切り幅のほとんどない切り目状であるから、切り目によって、逆止弁内の空気を排出することができ、又、切り目のほとんどない状態によって、異物が混入する虞が少なく、外からの空気の逆流の虞も少ない。
【0012】
請求項3に記載の発明は、包装袋の製造装置であって、原反フィルムにおける逆止弁を装着する位置に切り幅のほとんどない切り目状の空気通路を形成する空気通路形成装置と、前記空気通路を形成した前記原反フィルムに、逆止弁を多数直列配置させた逆止弁シートを搬送させて、前記空気通路のそれぞれに合わせて1個の前記逆止弁を装着する逆止弁装着装置と、を備える逆止弁付きフィルム搬送装置と、搬送された前記逆止弁付きフィルムに粉体を充填して逆止弁付き包装袋を形成する粉体充填装置と、を備え、前記逆止弁装着装置は、駆動装置によって前記逆止弁シートを所定間隔搬送する移動プレートと、前記移動プレート上に載置される前記逆止弁シートを把持する把持ローラとを備え、前記逆止弁シートの送り時において、前記把持ローラは回転ロックした状態で移動プレートとともに移動され、前記把持ローラの戻り時において、前記把持ローラは前記逆止弁シートを把持したまま空転することにより、前記逆止弁シートを残したまま前記移動プレートとともに元の位置に戻ることを特徴とするものである。
【0013】
これによれば、逆止弁挿入装置によって、逆止弁は、逆止弁付きフィルム搬送装置の中で順に装着されたものを、粉体充填装置で1個の包装袋として1個ずつ切り離されて完成することができる。そのため、逆止弁付き包装袋フィルムとして連続的に巻き付けることがないから、逆止弁の装着された位置で膨らみを防止できることになる。また、逆止弁を原反フィルムに装着する際、逆止弁シートを把持する把持ローラは、把持ローラの戻り時、逆止弁シートに対してリリース動作をしないことから、その分、逆止弁付きフィルムの搬送を短くすることができる。さらに、空気通路形成装置によって、切り幅のほとんどない切り目状の空気通路を形成しているから、出来上がった包装体から異物や外部からの逆流の虞もない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態による製造装置を示す正面図である。
図2図1における平面図である。
図3】一実施形態における空気通路の形状を示す図である。
図4】空気通路の別の形態を示す図である。
図5図1における製造装置の空気通路形成装置を示す正面図である。
図6図3におけるスリット装置のラック・ピニオン機構を示す詳細図である。
図7】同平面図である。
図8図1における製造装置の逆止弁装着部を示す正面図である。
図9】(A)図8の逆止弁装着部における逆止弁シートの送り作用を示す作用図である。(B)同把持ローラの戻り作用を示す作用図である。
図10図1における粉体充填装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は、逆止弁付き包装体の製造装置(以下、包装体の製造装置又は単に製造装置という。)1の正面を示すものであり、図2は、その平面を示すものである。
【0017】
図1及び図2に示すように、実施形態の製造装置1は、原反ロール12から巻き解されたプラスチック製の原反フィルム(以下、単にフィルムという。)Fに逆止弁C(図8参照)を取り付ける逆止弁付きフィルム搬送装置10と逆止弁Cが装着されたフィルム(以下、逆止弁付きフィルムという。)F1を、上方を開放した筒状に形成して粉体を充填した後にシールして袋状に形成する粉体充填装置30と、を備えている。
【0018】
逆止弁付フィルム搬送装置10は、機体11の前方(逆止弁フィルム搬送装置10の粉体充填装置30側)にフィルムFが巻き付かれた原反ロール12と、原反ロール12から巻き解されたフィルムFに切り幅のほとんどない切り目状の空気通路Kを形成する空気通路形成装置13と、形成された空気通路Kの位置に合わせて逆止弁Cを貼り付ける逆止弁装着装置15と、逆止弁CをフィルムFに本付けする本シール形成装置17と、加熱されて逆止弁Cが装着された逆止弁付きフィルムF1を冷却する水冷装置(冷却装置)18と一定のピッチで送るために印刷マークを感知するマークセンサ19と、を有している。
【0019】
原反ロール12から巻き解されたフィルムFは、ガイドロール部14で張設された後、その下流側に配置された空気通路形成装置13において、切り目状の空気通路Kが流れ方向に沿ってフィルムFの幅方向の中央部付近に形成される。実施形態の空気通路Kは、図3に示すように、I字状の一端がY字状に形成されたものである。この空気通路Kは、孔状ではなく切り幅のほとんどない切り目状に形成されたものであれば好ましく、例えば、図4(a)に示すようなC字状の空気通路K1や図4(b)に示すような両端がY字状を有するI字状の空気通路K2であってもよい。さらに、図4(c)に示すように棒状の両端に小孔が形成されている空気通路K3であってもよい。もちろん、切り目状でなくても孔状に形成してもよい。いずれにしても、この空気通路Kを形成した後で、逆止弁装着装置15において空気通路Kに重なるように逆止弁Cが装着される。
【0020】
逆止弁Cは、包装袋を形成する際に、内部の空気を排出して外部からの空気を通さないように構成されているものであれば、各種の逆止弁を適用することができるものであり、特に逆止弁Cの形状を限定するものではない。
【0021】
空気通路形成装置13の一実施形態は、図5〜7に示すように、機体11(図1参照)に支持された本体支持部131と、流れているフィルムFの上方に本体支持部131に支持されたエアシリンダ132と、エアシリンダ132にレバー133を介して連結された切込み部20を備えている。
【0022】
切込み部20は、本体支持部131の底板131aから立上る垂直支持プレート201とエアシリンダ132の作動により上下動する上プレート202と下プレート203を備えている。上プレート202と下プレート203とは、4本のガイドポスト204で連結されている。垂直支持プレート201には、レバー133の一端に連結された軸21が垂直支持プレート201に対して水平方向に突出して配置されている。軸21には、ピニオン22がレバー133に取り付けられてレバー133の揺動とともに軸21に対して回動可能に配置されている。ピニオン22のピニオンギヤ221に噛合可能なラックギヤ231を有するラック板23が下プレート203上に立設されて上下方向に移動可能に配置されている。ラック板23のラックギヤ231の反対側の背部には、垂直支持プレート201に支持されたラック板ガイド24が摺動可能に配置されている。なお、4本のガイドポスト204は、本体支持部131の底板131aに固着されたガイドブッシュ205に上下方向に沿って摺動可能にガイドされる。
【0023】
下プレート203の下面側には、空気通路Kを形成するための切込み刃25が取り付けられている。切込み刃25は、フィルムFに切り込みを形成するためにピナクル刃あるいはトムソン刃が使用されている。切込み刃25は、フィルムFに形成される空気通路K(又はK1〜K3)の形状に合わせて形成されることになる。機体11には、切込み刃25に対向する位置に平面状の上面を形成する受け部111が配置され、受け部111の上面にフィルムFが流れる。従って、受け部111上を流れるフィルムFに向かって下降された切込み刃25を押圧することによってフィルムFに空気通路Kが切込まれることになる。
【0024】
なお、上プレート202の4隅には、切込み部20の上下移動量を調整して切込み刃25の高さを調整する切込み刃高さ調整ボルト26が配置されている。
【0025】
なお、空気通路形成装置13は上記構成のものではなく、単に、切込み刃25を先端に備えたシリンダ装置を使用して、切り幅のほとんどない切り目状の空気通路Kを形成するものであってもよい。
【0026】
フィルムFの流れ方向に沿って空気通路形成装置13を越える下流側には、機体11に逆止弁装着装置15が取り付けられている。図8に示すように、逆止弁装着装置15は、空気通路形成装置13で形成した空気通路Kに重ねる位置で逆止弁Cを仮付けして装着するものであり、逆止弁Cが連続して形成された逆止弁シートC1をフィルムFの流れに直交する方向に送って、逆止弁Cを逆止弁シートC1から1個ずつ切り取るように構成されている。
【0027】
逆止弁装着装置15は、機台151に設けられたサーボモータ152を備えている。サーボモータ152の先端に装着されたスクリュー153に連結板154が機台151に対して移動可能に螺合され、連結板154に移動プレート155が連結されている。
【0028】
一方、逆止弁Cが連続的に形成された逆止弁シートC1が逆止弁シートリール156に巻装されている。逆止弁シートリール156から巻き解された逆止弁シートC1は、把持ローラ157と移動プレート155とに挟持された状態(これを把持された状態ともいう)でフィルムF上に送られる。把持ローラ157には一方向クラッチが装着されていて、把持ローラ157の外輪157aが把持ローラの軸157bに対して一方向だけ回転可能に構成されている。把持ローラ157は、支持体158を介して移動プレート155に装着されているため、サーボモータ152の駆動により、移動プレート155と一体的に、移動プレート155の先端側に配置された逆止弁シート押え159(フィルムFの空気通路Kの位置に当たる部分)側に移動される。
【0029】
つまり、図9(A)に示すように、逆止弁シートC1をフィルムFの空気通路Kの位置に移動させる際には、把持ローラ157は、その外輪157aがロック状態にあって、軸157bに対して回転しない。そのため、サーボモータ152の駆動で移動プレート155が前方(フィルムFの空気通路K側)に移動するに伴って、把持ローラ157も回転しない状態で移動するため、移動プレート155と把持ローラ157とで把持された逆止弁シートC1は搬送される。
【0030】
また、図9(B)のように、移動プレート155が、元の位置に戻る際には、把持ローラ157は、移動プレート155の移動に伴って元の位置に戻るものの、外輪157aは把持ローラの軸157bに対して空転するため、逆止弁シートC1を把持したまま移動プレート155に対して、図9における時計方向に回転する。したがって、移動プレート155と把持ローラ157は元の位置に戻るが、逆止弁シートC1はそのまま残される。
【0031】
上述のように、把持ローラ157に一方向クラッチ機構を構成しているから、把持ローラ157と移動プレート155との間で逆止弁シートC1を把持したまま、往復移動することができる。したがって、把持ローラ157は逆止弁シートC1に対してリリースすることがないから、逆止弁シートを搬送する時間を短くすることができ、生産効率を向上させることができる。
【0032】
逆止弁シートC1が、逆止弁C1個分を前方に送り、先端の逆止弁Cが空気通路Kの位置まで達すると、逆止弁シートC1が、機台151に支持された逆止弁シート押え159の下面で支持される。その状態で、逆止弁Cが1個分、機台151に支持されたカッタ装置のカッタ160により逆止弁シートC1に対してカッタ160の水平方向の移動によって切断される。カッタ160は逆止弁シート押え159の把持ローラ157側付近に配置されている。逆止弁シート押え159には、シール剤が充填されていて、逆止弁シート押え159の下面で支持された逆止弁Cは、逆止弁シート押えに構成されたシリンダ機構によりフィルムの空気通路K上に移動され、その場で仮シールされる。なお、カッタ160と把持ローラ157との間には、マークセンサ161が配置されていて、形成されている空気通路K間の距離を検出して、逆止弁シートC1の送り量を確認している。また、図8上、フィルムFは、紙面の背面から表面に向かって走行するものであり、逆止弁シートC1は、図8上、右側から左側に向かって送られる。
【0033】
図1又は図2に示すように、逆止弁装着装置15の下流側には、本シール形成装置17が配置されている。本シール形成装置17は、本シール工程として逆止弁装着装置15で仮シールした逆止弁Cを本シールするものであり、ヒーターで加熱した後、逆止弁付きフィルムF1で仮付けした逆止弁Cをエアシリンダ等でさらに押圧して本付けするものである。
【0034】
本シール形成装置17の下流側に配置される水冷装置(冷却装置)18では、冷却工程として加熱された逆止弁Cを、エアシリンダを使用して水冷して温度を下げた状態で粉体充填装置30に送るようにしている。
【0035】
水冷装置18の下流側に配置されるマークセンサ19では、一定のピッチで印刷されたマークを検出している。これによって、逆止弁つきフィルムF1の送り量を一定にすることができる。
【0036】
水冷装置18の下流側にあって逆止弁付フィルム搬送装置10の最下流端には送り側ガイドロール体3が配置され、逆止弁付きフィルムF1が逆止弁付フィルム搬送装置10から粉体充填装置30に向かって送られる。
【0037】
粉体充填装置30は、逆止弁付きフィルムF1を上方が開口した半状袋4に形成し、半状袋4の開口部から粉体を注入して半状袋4内に充填した後、開口部をシールして1袋の逆止弁付き包装袋5を形成するものである。
【0038】
図10に示すように、粉体充填装置30は、機体31と、逆止弁付きフィルムF1を半状袋4に形成する半状袋形成部32と、ホッパ34から粉体が充填された半状袋4の開口部をシールして1袋分に切断する包装袋形成部33とを備えている。また、機体31の最上流端には、送り側ガイドロール体3から送られた逆止弁付きフィルムF1を受け入れる迎え側ガイドロール体7が配置されている。送り側ガイドロール体3から迎え側ガイドロール体7との間は、逆止弁付きフィルムF1が送り側ガイドロール体3側から迎え側ガイドロール体7に向かって下傾して延設され、下傾された逆止弁付きフィルムF1の一箇所に向かって、逆止弁付きフィルムF1に装着された逆止弁Cを映す事ができる逆止弁確認カメラ35が機体31内に装着されている。これによって、逆止弁付フィルム搬送装置10から粉体充填装置30に送られる逆止弁付きフィルムF1及び逆止弁付き包装袋5には、逆止弁Cが装着されていることを常に確認することができる。
【0039】
半状袋形成部32では、平面状に流れてきた逆止弁付きフィルムF1を幅方向の中央部で折り畳んで半状袋を形成した後、両端部を縦シール321するとともに、縦方向にシールした下部を横シール322することによって、上部が開口された半状袋4を形成する。この状態でホッパ34に貯留されている粉体、実施形態ではコーヒー粉を半状袋4内に1袋分充填する。次に、コーヒー粉が充填された1個分の半状袋4を下方に1袋分牽引し、包装袋形成部33において、コーヒー粉が充填された半状袋4の上部を横方向にシールして、そのシールの中間部を横方向に切断することによって、1袋分の逆止弁付き包装袋5を取り出すことができる。
【0040】
次に上述のように構成された製造装置1の作用について説明する。
【0041】
原反ロール12から巻き解されたフィルムFは、各種のガイドロール部14で張設された状態で空気通路形成装置13の切込み刃25により切り幅のほとんどない空気通路Kが形成される。空気通路形成装置13は、エアシリンダ132のピストンロッドが伸張し、先端のレバー133を、軸21を中心に揺動させる。
【0042】
レバー133の先端にはピニオン22が装着されているから、レバー133が揺動することによりピニオン22が一方の方向(実施形態では、図5または図6における時計方向)に回転する。ピニオン22のピニオンギヤ221にラックギヤ231に噛合されているラック板23が下方に向かって移動する(図5又は図6参照)ことになり、ラック板251を下降させる。ラック板251の下降により下プレート203を介して切込み刃25が所定ピッチで下降される。切込み刃25は、受け部111に当接して下降移動が停止され、受け部111を走行するフィルムFに切り目を形成する。
【0043】
下プレート203の下降は、4本のガイドポスト204により上下垂直方向に移動できるとともに、ラック板23は、背部にラック板ガイド24により上下動に摺動ガイドされているから、上下垂直方向に精度よく移動ガイドされる。
【0044】
フィルムFに切り込まれた空気通路Kは、線状に切り込まれるものであって孔状ではないため、異物混入の虞は少ない。また、この空気通路Kの位置は、切込み部20をフィルムFの幅方向に対して移動調節可能に配置されているから、フィルムFの幅方向のどこでも形成することができる。
【0045】
空気通路Kが形成されたフィルムFは、空気通路形成装置13の下流側に配置された逆止弁装着装置15において、空気通路Kの位置に逆止弁Cが装着される。巻き解された逆止弁シートC1は、フィルムFの流れ方向に対して、直交する方向に向かって流れ、フィルムFの空気通路Kと接する位置で仮シールされる。同時に、逆止弁シートC1から1個分の逆止弁Cが切断される。
【0046】
逆止弁Cが仮シールされたフィルムF1は、流れ方向に沿う下流側に設置された本シール形成装置17において、仮シールされた逆止弁Cを加熱して本シールし、さらにその下流側に設置された水冷装置18で冷却されて下流側に送られる。下流側に配置されたマークセンサ19でフィルムFに印刷されたマークを読み取って送りピッチを一定にするように制御される。
【0047】
マークセンサ19を通過した逆止弁付きフィルムF1は、逆止弁付フィルム搬送装置10の最下流端に配置された送り側ガイドロール体3から、粉体充填装置30の最上流端に配置された迎え側ガイドロール体7に向かって張設され、その途中で、粉体充填装置30内に配置された逆止弁確認カメラ35で逆止弁付きフィルムF1に逆止弁Cが装着されていることを確認する。
【0048】
粉体充填装置30では、迎え側ガイドロール体7を通過した逆止弁付きフィルムF1は、上方に送られて逆止弁付きフィルムF1の幅方向の中間部で折り畳まれて半袋状に形成される。この状態では、両縁部の合わせ面が繋がれていない。その後、逆止弁付きフィルムF1が縦シール321されて半状袋4に形成された後、ホッパ34から粉体が充填される。粉体が充填された半状袋4を下方から引っ張り1袋分引き下げる。そして、充填された粉体の上部を横シール322されて逆止弁付き包装袋5として形成される。これにより、1袋分の粉体が充填された逆止弁付き包装袋5が切り離される。
【0049】
上述のように、包装袋の製造装置1は、別体で構成された逆止弁付フィルム搬送装置10と粉体充填装置30とを並べるように配置し、逆止弁付フィルム搬送装置10においてフィルムFの流れの中で逆止弁Cが装着されて、逆止弁付きフィルムF1としてそのまま搬送され、粉体充填装置30において逆止弁付き包装袋5が順次形成されることから、逆止弁Cが装着された状態では、巻き付けロールとして巻き付けられることはない。そのため、一部が膨らむことを防止させるとともに皺寄せを発生させる虞はない。また、逆止弁CをフィルムFの幅方向における任意の位置で、巻き付けることによって重ね合わすことなく装着できるからスムーズな送りができるとともに、逆止弁付き包装袋5に逆止弁Cが装着されていることから形成された逆止弁付き包装袋5から空気が漏れることもない。
【0050】
また、空気通路形成装置13では、空気通路Kとして、フィルムFに孔をあけるのではなく、フィルムFに切り幅のほとんどない切り目を形成することから、外部から侵入する異物の混入を防止できる。
【0051】
さらに、逆止弁装着装置15では、把持ローラ157に一方向クラッチ機構を含んで構成しているから、送り工程時に外輪157aを回転ロックし、戻り工程時に外輪157aを空転させることによって、把持ローラ157と移動プレート155との間で逆止弁シートC1を把持したまま、往復移動することができる。したがって、逆止弁シートを搬送する時間を短くすることができ、生産効率を向上させる。
【0052】
なお、実施形態の包装体の製造装置1は、よこピロー型の包装機で説明したが上述の形態に限定するものではなく、例えば、たてピロー型包装機であってもよい。つまり、逆止弁装着装置15を、縦長に形成した機台151を有する逆止弁フィルム搬送装置に装着するようにしてもよい。また、ホッパ34に充填する粉体はコーヒー粉に限定するものではない。
【符号の説明】
【0053】
1、製造装置
5、包装袋
10、逆止弁装着装置
13、空気通路形成装置
15、逆止弁装着装置
155、移動プレート
157、把持ローラ
159、逆止弁シート押え
160、カッタ
F、フィルム
F1、逆止弁付きフィルム
K、空気通路
C、逆止弁
C1、逆止弁シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10