特許第6084977号(P6084977)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6084977歯科用構成要素および歯科用インプラント
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6084977
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】歯科用構成要素および歯科用インプラント
(51)【国際特許分類】
   A61C 8/00 20060101AFI20170213BHJP
【FI】
   A61C8/00 Z
【請求項の数】20
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2014-530172(P2014-530172)
(86)(22)【出願日】2012年9月10日
(65)【公表番号】特表2014-526323(P2014-526323A)
(43)【公表日】2014年10月6日
(86)【国際出願番号】EP2012067642
(87)【国際公開番号】WO2013037729
(87)【国際公開日】20130321
【審査請求日】2015年7月15日
(31)【優先権主張番号】11181242.6
(32)【優先日】2011年9月14日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/534,521
(32)【優先日】2011年9月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512167079
【氏名又は名称】デンツプライ・アイエイチ・アクチエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・マグヌソン
(72)【発明者】
【氏名】ヨーセフ・サルテル
【審査官】 佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】 特表2000−512883(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0092851(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科用構成要素が、顎骨内へ挿入されるように適合された歯科用フィクスチャーまたはフィクスチャーのレプリカに該歯科用構成要素を係合させるフィクスチャー係合部分を備え、該フィクスチャー係合部分は、幾何学的中心軸を有し、
根尖端部を有する少なくとも1つの径方向に突出する第1のインデキシング要素と、
それぞれ前記第1のインデキシング要素の該根尖端部の根尖側に位置する根尖端部を有する少なくとも2つの径方向に突出する第2のインデキシング要素とを備え、
ここで、前記少なくとも1つの第1のインデキシング要素は、前記少なくとも2つの第2のインデキシング要素のいずれか1つから円周方向に分離され、
前記少なくとも2つの第2のインデキシング要素は、該フィクスチャー係合部分の円周に沿って非対称に分散される、上記歯科用構成要素。
【請求項2】
インデキシング要素の軸方向の延長部は、フィクスチャー係合部分の中心軸に対して垂直な共通の幾何学的平面が第1のインデキシング要素および第2のインデキシング要素に交差するような延長部である、請求項1に記載の歯科用構成要素。
【請求項3】
前記少なくとも1つの径方向に突出する第1のインデキシング要素は、少なくとも2つの径方向に突出する第1のインデキシング要素を含む、請求項1または2に記載の歯科用構成要素。
【請求項4】
フィクスチャー係合部分の円周方向をたどって、前記少なくとも2つの第2のインデキシング要素は、前記第1のインデキシング要素の2つの間に介在する、請求項3に記載の歯科用構成要素。
【請求項5】
前記少なくとも2つの径方向に突出する第2のインデキシング要素は、前記第1のインデキシング要素の2つの間に介在する少なくとも3つの径方向に突出する第2のインデキシング要素として配置され、前記3つの第2のインデキシング要素のそれぞれは、前記第1のインデキシング要素の根尖端部の根尖側に位置する根尖端部を有する、請求項3または4に記載の歯科用構成要素。
【請求項6】
前記中心軸から前記少なくとも2つの第2のインデキシング要素のうちの一方の中心までの半径と、前記中心軸から前記第1のインデキシング要素の中心までの半径とが、第1の角度θを形成し、
前記中心軸から前記少なくとも2つの第2のインデキシング要素のうちの他方までの半径と、前記中心軸から前記第1のインデキシング要素の中心までの前記半径とが、第2の角度φを形成し、
前記第2の角度φは、前記第1の角度θとは異なり、また前記第1の角度θの倍数であるいずれの角度とも異なり、その結果、φ≠nθであり、ここでnは正の整数である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の歯科用構成要素。
【請求項7】
第1のインデキシング要素の数は、第2のインデキシング要素の数より大きい、請求項1〜6のいずれか1項に記載の歯科用構成要素。
【請求項8】
前記第2のインデキシング要素のそれぞれは、前記少なくとも1つの第1のインデキシング要素の寸法と比較して、円周方向および/または径方向により小さい寸法を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の歯科用構成要素。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第1のインデキシング要素および前記少なくとも2つの第2のインデキシング要素は、歯冠−根尖方向に細長い延長部を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の歯科用構成要素。
【請求項10】
フィクスチャー係合部分は円柱形表面を含み、前記少なくとも1つの第1のインデキシング要素および前記少なくとも2つの第2のインデキシング要素は、該円柱形表面から径方向に突出する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の歯科用構成要素。
【請求項11】
前記少なくとも2つの第2のインデキシング要素のうちの少なくとも1つの根尖端部は、斜面を備える、請求項1〜10のいずれか1項に記載の歯科用構成要素。
【請求項12】
支台歯、支台歯のレプリカ、支台歯のブランク、特注の支台歯、スキャン支台歯、デジタル・トランスファー・コーピング、印象ピックアップ要素、ヒーリング・キャップ、およびドライバからなる群から選択される構成要素である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の歯科用構成要素。
【請求項13】
フィクスチャー係合部分を備える歯科用構成要素であって、該フィクスチャー係合部分は、
根尖端部を有する少なくとも1つの第1のインデキシング要素、および
それぞれ根尖端部を有する少なくとも2つの第2のインデキシング要素を備える、該歯科用構成要素と、
顎骨内へ挿入されるように適合された歯科用フィクスチャーが、前記フィクスチャー係合部分に嵌合するように適合された構成要素係合部分を備え、該構成要素係合部分は、
歯冠端部を有する少なくとも1つの第3のインデキシング要素、および
それぞれ歯冠端部を有する少なくとも2つの第4のインデキシング要素を備える、該歯科用フィクスチャーとを備え、
ここで、前記少なくとも2つの第2のインデキシング要素の該根尖端部は、該第1のインデキシング要素の該根尖端部の根尖側に位置し、かつ/または前記少なくとも2つの第4のインデキシング要素の該歯冠端部は、該第3のインデキシング要素の該歯冠端部の歯冠側に位置し、
前記少なくとも1つの第1のインデキシング要素は、前記少なくとも2つの第2のインデキシング要素のいずれか1つから円周方向に分離され、前記少なくとも1つの第3のインデキシング要素は、前記少なくとも2つの第4のインデキシング要素のいずれか1つか
ら円周方向に分離され、
該第1、第2、第3、および第4のインデキシング要素は、該歯科用構成要素が該歯科用フィクスチャーに対して1つの回転方向でしか嵌合できないように、それぞれ該フィクスチャー係合部分および該構成要素係合部分の円周に沿って分散され、
該第1のインデキシング要素は、前記少なくとも2つの第2のインデキシング要素が前記少なくとも2つの第4のインデキシング要素に嵌合した後に初めて、該第3のインデキシング要素に嵌合することが可能になる、
歯科用インプラント。
【請求項14】
第1のインデキシング要素と第3の相手側インデキシング要素との間の遊びは、前記少なくとも2つの第2のインデキシング要素と前記少なくとも2つの第4の相手側インデキシング要素との間の遊びより小さく、それによって、該第1のインデキシング要素と該第3のインデキシング要素との間には、該第2のインデキシング要素と該第4のインデキシング要素との間のフィットと比較して、より密なフィットが提供される、請求項13に記載の歯科用インプラント。
【請求項15】
前記第1および第2のインデキシング要素は、歯科用構成要素のフィクスチャー係合部分の表面から突出する径方向の突起として設けられ、前記第3および第4のインデキシング要素は、歯科用フィクスチャーの構成要素係合部分の表面内に径方向の陥没として設けられる、請求項13または14に記載の歯科用インプラント。
【請求項16】
前記少なくとも2つの第2のインデキシング要素は、フィクスチャー係合部分の円周に沿って非対称に分散され、前記少なくとも2つの第4のインデキシング要素は、構成要素係合部分の円周に沿って非対称に分散される、請求項13〜15のいずれか1項に記載の歯科用インプラント。
【請求項17】
フィクスチャー係合部分の中心軸から前記少なくとも2つの第2のインデキシング要素のうちの一方の中心までの半径と、前記中心軸から前記第1のインデキシング要素の中心までの半径とが、第1の角度θを形成し、
前記中心軸から前記少なくとも2つの第2のインデキシング要素のうちの他方までの半径と、前記中心軸から前記第1のインデキシング要素の中心までの前記半径とが、第2の角度φを形成し、
前記第2の角度φは、前記第1の角度θとは異なり、また前記第1の角度θの倍数であるいずれの角度とも異なり、その結果、φ≠nθであり、ここでnは正の整数である、
請求項13〜16のいずれか1項に記載の歯科用インプラント。
【請求項18】
歯科用構成要素のフィクスチャー係合部分ならびに第1および第2のインデキシング要素は、該第2のインデキシング要素が第4のインデキシング要素に嵌合するまで、フィクスチャーの構成要素係合部分内部で回転可能である、請求項13〜17のいずれか1項に記載の歯科用インプラント。
【請求項19】
歯科用構成要素は、請求項1〜12のいずれか1項に記載の歯科用構成要素である、請求項13〜18のいずれか1項に記載の歯科用インプラント。
【請求項20】
顎骨内へ挿入されるように適合された歯科用フィクスチャーが、請求項1〜12のいずれか1項に記載の歯科用構成要素に嵌合するように適合された構成要素係合部分を備え、該構成要素係合部分は、
歯冠端部を有する少なくとも1つの径方向に凹みを付ける第3のインデキシング要素と、
それぞれ該第のインデキシング要素の該歯冠端部の歯冠側に位置し、該第のインデ
キシング要素の該歯冠端部から円周方向に分離された歯冠端部を有する少なくとも2つの径方向に凹みを付ける第4のインデキシング要素とを備え、
ここで、前記第のインデキシング要素は、該構成要素係合部分の円周に沿って非対称に分散される、上記歯科用フィクスチャー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科用構成要素に関し、この歯科用構成要素は、顎骨内へ挿入されるように適合された歯科用フィクスチャーに歯科用構成要素を係合させるための、またはフィクスチャーのレプリカに歯科用構成要素を係合させるためのフィクスチャー係合部分を備える。本発明はまた、顎骨内へ挿入されるように適合された歯科用フィクスチャーと、歯科用フィクスチャーに連結可能な歯科用構成要素とを備える歯科用インプラントに関する。本発明はまた、そのような歯科用フィクスチャーに関する。
【背景技術】
【0002】
歯科用インプラント・システムは、損傷または損失した自然歯に代えるために広く使用されている。そのようなシステムでは、自然歯根に代えるために患者の顎骨内に歯科用フィクスチャーが配置される。次いで、骨組織から柔軟な歯肉組織を通って患者の口の中へ突出する義歯の部材に対するコアを構築するために、1つまたはいくつかの部材を備える支台歯構造をフィクスチャーに取り付けることができる。最後に、前記支台歯上にプロテーゼまたはクラウンを着座させることができる。
【0003】
最終のプロテーゼは、機能上も審美上も患者の残りの歯に自然にフィットするように寸法設定および構成されるべきである。この目的で、歯科技工士は、患者の顎のモデルを使用して、個々の患者に対して適切なプロテーゼを試してみることができ、前記モデルはフィクスチャーを含む。歯科技工士はまた、フィクスチャーがすでに設置された状態で、またはそのような設置前に、患者の顎のデジタル・モデルに基づいて、適切なプロテーゼをデジタルで算出することができる。歯科技工士はまた、柔軟な歯肉組織の輪郭に整合するように、事前に製作された支台歯を修正することができる。
【0004】
様々なフィクスチャー構成がある。たとえば、フィクスチャーは、顎骨に対して任意の回転位置で設置できる頂部が平坦な歯冠ヘッド部分を有することができる。別のタイプのフィクスチャー構成は、特許文献1に開示されているフィクスチャーなど、傾斜した歯冠端部部分を有するフィクスチャーであり、フィクスチャーの長さは、顎骨の輪郭に整合するように、頬側より舌側で大きい。
【0005】
前述のフィクスチャー/顎骨のインターフェースと同様に、支台歯などの上部構造について、支台歯がフィクスチャーに対して一方向のみに位置する、たとえば支台歯がフィクスチャーの傾斜したヘッド部分に整合する傾斜部分を有する支台歯/フィクスチャーのインターフェースを設けることができる。これは、非対称の上部構造の1つのタイプであり、非対称の特徴は、フィクスチャーと周囲の歯を有する顎骨との一方または両方に対して、所望の回転関係で位置するべきである。したがって、これらのインターフェースに関して、歯科医は、上部構造を特定のフィクスチャーまたは顎骨特徴に対して正しい回転方向で確実に連結することが望ましいはずである。また、特注の支台歯など、特定の患者向けまたは特注の上部構造の場合、そのような上部構造は、フィクスチャーおよび周囲の輪郭に対して特定の所期の回転方向にすることができることが多い。したがって、これらの場合も、歯科医は、上部構造をフィクスチャーおよび口腔内の他の特徴に対して正しい回転方向で確実に連結することが望ましいはずである。
【0006】
したがって、支台歯および義歯を作製するとき、歯科技工士は、周囲の組織および隣接する歯の輪郭および位置を考慮してきた。非対称の上部構造の回転位置を操作するために現在使用されているシステムは、2つの部材からなる支台歯を設けることであり、この支台歯は、フィクスチャーの内部にねじ付きの孔に嵌合する中心に位置する条ねじと、義歯に対する適した基礎にする必要がある歯冠端部に非対称の特有の患者向けの特徴が与えられるスリーブとを有する。スリーブは、フィクスチャーの内部孔の台座内で正しい位置へ回転させることができ、ねじによって正しい位置で固定することができる。フィクスチャー内の台座および支台歯のスリーブの根尖端部は、正しい最終の位置を確実に実現できるように、軸方向に対称である。こうして、正しい位置決めは、結果を視覚的に検証する歯科医の能力に応じて行われる。
【0007】
歯科医は、1つの一体化されたユニットとして、または患者の口腔内で組み立てるべき別個の部材として、支台歯および義歯を受け取る。支台歯および義歯を受け取った歯科医は、歯科技工士が意図する位置合わせを得るために、フィクスチャーに対する支台歯の回転方向をどのような向きにするかを理解するべきであることが多い。それにもかかわらず、どれが正しい向きであるかを歯科医が理解するのが困難なことがあり、当然ながら、歯科医がフィクスチャーに対する支台歯の正しい回転方向を単に看過または無視するリスクもある。
【0008】
フィクスチャーに対して単一の回転方向にしか支台歯を配置できない異なる解決策が提案されている。それにもかかわらず、歯科医はやはり、正しい向きを見つける際に困難に直面することがあり、しばらく支台歯を回転させなければ定位置に入れることができないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,655,961号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、現在利用可能な解決策によって提供されるものより容易に、フィクスチャーに対する支台歯などの歯科用構成要素の所望の回転方向を歯科医が見つけるのを可能にすることである。
【0011】
上記の目的および以下で明らかになる他の目的は、添付の特許請求の範囲内で規定される歯科用構成要素および歯科用インプラントによって実現される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、歯科用構成要素を歯科用フィクスチャーに連結するとき、2つまたはそれ以上の先導するインデキシング要素(indexing element)を使用して、歯科用構成要素をフィクスチャーに対して所望の回転位置へ案内してから、1つまたはそれ以上の次の後続のインデキシング要素を係合させて最終の回転ロックを形成できるという洞察に基づく。
【0013】
本発明の第1の態様によれば、歯科用構成要素が提供される。この歯科用構成要素は、顎骨内へ挿入されるように適合された歯科用フィクスチャーに歯科用構成要素を係合させるための、またはフィクスチャーのレプリカに歯科用構成要素を係合させるためのフィクスチャー係合部分を備え、フィクスチャー係合部分は、幾何学的中心軸(geometrical central)を有し、
根尖端部を有する少なくとも1つの径方向に突出する第1のインデキシング要素と、
それぞれが前記第1のインデキシング要素の根尖端部の根尖側に位置する根尖端部を有する少なくとも2つの径方向に突出する第2のインデキシング要素とを備え、
前記少なくとも1つの第1のインデキシング要素は、前記少なくとも2つの第2のインデキシング要素のいずれか1つから円周方向に分離され、前記少なくとも2つの第2のインデキシング要素は、フィクスチャー係合部分の円周に沿って非対称に分散される。
【0014】
これには、歯科用構成要素がフィクスチャーに連結されるべきものであり、したがってフィクスチャーの方へ移動されるとき、少なくとも2つの第2のインデキシング要素が第1にフィクスチャーに嵌合するという効果がある。このようにして、インデキシング要素の位置特定機能は、フィクスチャー係合部分の円周の部分のみに集中する。歯科医は、従来技術による場合のようにフィクスチャー係合部分の円周の周りのすべてのインデキシング要素が同時に連結される場合と比較して、前記少なくとも2つの第2のインデキシング要素がフィクスチャーの対応する受入れ部分に対して定位置に入るとき、より独特な知覚を受ける。
【0015】
第2のインデキシング要素が、フィクスチャー係合部分の円周に沿って非対称に分散されるため、望むなら、第2のインデキシング要素(複数可)は1つの正しい回転位置のみを有し、それによって歯科医が誤った回転方向で歯科用構成要素をフィクスチャーに連結することが回避される構成要素/フィクスチャーのインターフェースを設けることができる。
【0016】
前記少なくとも1つの第1のインデキシング要素が前記少なくとも2つの第2のインデキシング要素のいずれか1つから円周方向に分離されることは、前記第1のインデキシング要素がフィクスチャー係合部分の円周に沿って第2のインデキシング要素のいずれとも異なる位置に位置することを意味する。言い換えれば、幾何学的中心軸から第1のインデキシング要素まで引かれる半径は、前記軸から第2のインデキシング要素まで引かれるいずれの半径とも異なる方向に、前記軸から延びる。
【0017】
前記少なくとも2つの第2のインデキシング要素の根尖端部は適宜、根尖−歯冠方向で実質的に同じレベルに配置される。
【0018】
先導する機能を有する少なくとも2つの第2のインデキシング要素を有することで、安定化または平衡化効果を実現する。複数の回転方向のいずれか1つで歯科用構成要素を配置することを可能にする歯科用フィクスチャーに歯科用構成要素が連結されることを意図する場合、歯科用構成要素は、それらの回転方向のいずれか1つで連結することができる。しかし、歯科医が、単一の指定の回転方向のみで歯科用構成要素を連結することを可能にする歯科用フィクスチャーに歯科用構成要素を連結したいと望むとき、2つの先導する第2のインデキシング要素を有する利点が明らかになる。1つの先導する第2のインデキシング要素しかなかった場合、後続の第1のインデキシング要素が相手側インデキシング要素を見つけられないため、当惑した歯科医が回転方向の誤りに気付く前に、この先導する第2のインデキシング要素は、フィクスチャーの相手側の(適宜凹みを付けた)インデキシング要素のいずれか1つによって、誤って受け入れられる可能性がある。2つの先導する第2のインデキシング要素を有することによって、両方がフィクスチャーの正しいインデキシング要素と位置合わせされて初めて、嵌合が可能になる。第2のインデキシング要素の1つが、フィクスチャー内の周囲の壁部分(たとえば、シェルフ)上に載っている限り、歯科用構成要素がさらに根尖側に移動するのが防止され、したがって他方の第2のインデキシング要素がフィクスチャー内の誤った凹み内へ落ちることも防止される。
【0019】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、インデキシング要素の軸方向の延長部は、フィクスチャー係合部分の中心軸に対して垂直な共通の幾何学的平面が第1のインデキシング要素および第2のインデキシング要素に交差するような延長部である。したがって、異なる根尖位置に位置する根尖端部を有することを除いて、第1および第2のインデキシング要素は実質的に同じ構成を有することができ、これは製造の観点から有利になりうる。さらに、歯科用構成要素は1つのタイプのフィクスチャーにおいて1つの特有の回転方向のみを有するべきであるが、他のタイプのフィクスチャーにおいて他の回転方向を有することも可能であり、その場合、フィクスチャー内の相手側インデキシング要素は、歯科用構成要素の第1および第2のインデキシング要素のいずれか1つを受け入れることができる。そのような選択の自由は、第1のインデキシング要素と第2のインデキシング要素がフィクスチャー係合部分の軸方向に完全に分離された場合、より複雑になるはずである。
【0020】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、前記少なくとも1つの径方向に突出する第1のインデキシング要素は、少なくとも2つの径方向に突出する第1のインデキシング要素を含む。したがって、そのような場合、正しい位置を見つけるのを容易にする少なくとも2つの先導する(第2の)インデキシング要素と、フィクスチャーに対する歯科用構成要素の回転ロックを提供および/または補完する少なくとも2つの後続(第1)のインデキシング要素とが設けられる。
【0021】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、前記少なくとも2つの径方向に突出する第2のインデキシング要素は、前記第1のインデキシング要素の2つの間に介在する少なくとも3つの径方向に突出する第2のインデキシング要素として配置され、前記少なくとも3つの第2のインデキシング要素のそれぞれは、前記第1のインデキシング要素の根尖端部の根尖側に位置する根尖端部を有する。これにより、歯科医がフィクスチャー内の歯科用構成要素の正しい回転方向を見つけようとするときに、増大された安定性が提供される。
【0022】
したがって、前記少なくとも2つの第2のインデキシング要素は、たとえば3つ、4つ、またはそれ以上のインデキシング要素とすることができることを理解されたい。
【0023】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、前記中心軸から前記少なくとも2つの第2のインデキシング要素のうちの一方の中心までの半径と、前記中心軸から前記第1のインデキシング要素の中心までの半径とが、第1の角度を形成し、前記中心軸から前記少なくとも2つの第2のインデキシング要素のうちの他方までの半径と、前記中心軸から前記第1のインデキシング要素の中心までの前記半径とが、第2の角度を形成し、前記第2の角度は、前記第1の角度とは異なり、また前記第1の角度の倍数であるいずれの角度とも異なる。倍数とは、数量に整数を掛けた積である。言い換えれば、φ≠nθであり、ここでθは第1の角度であり、φは第2の角度であり、nは正の整数である。
【0024】
前記第2の角度が前記第1の角度(およびそのあらゆる倍数)とは異なるため、非対称性が実現される。歯科用構成要素を完全に360°回転させることでしか、第1および第2のインデキシング要素は、周囲環境に対して同じ位置的な分散を得ることができない。これは、インデキシング要素の対称の分散とは対照的であり;たとえば、4つの対称に分散されたインデキシング要素を有する構成要素を90°回転させると、周囲環境に対して以前と同じ位置的な分散を得ることができる。この例示的な実施形態によって提供される非対称性により、第2のインデキシング要素がフィクスチャー内の誤ったインデキシング要素に捕捉されるリスクが低減される。
【0025】
少なくとも2つの第1のインデキシング要素および少なくとも2つの第2のインデキシング要素を含むインデキシング要素の非対称の分散は、少なくとも1つの例示的な実施形態で反映され、その例示的な実施形態によれば、前記2つの第2のインデキシング要素間の間隔は、前記第1のインデキシング要素のいずれか2つの間の間隔とは異なる。2つの第2のインデキシング要素は、互いに隣接する必要はない。前記2つの第2のインデキシング要素間に、1つまたはそれ以上の第1のインデキシング要素を配置することができる。また、3つ以上の第2のインデキシング要素がある場合、異なる間隔を有する1対の第2のインデキシング要素を識別できる限り、これらの第2のインデキシング要素のいくつかは、第1のインデキシング要素間の間隔と同じ距離をあけて隔置することができる。この非対称性の利点について、次に説明する。歯科用構成要素は、対応する第3および第4の相手側インデキシング要素を有する歯科用フィクスチャーに連結されるべきものであり、ここで、第3のインデキシング要素が歯科用構成要素の第1のインデキシング要素に嵌合するように指定され、第4のインデキシング要素が歯科用構成要素の第2のインデキシング要素に嵌合するように指定されるものとすると、1つの正しい回転方向だけが存在する。第2のインデキシング要素の根尖端部が先導するものとなり、最初に歯科用フィクスチャーとの接触を形成するため、前記1対の第2のインデキシング要素間の間隔が独特であることから、これらの第2のインデキシング要素が、異なる間隔で隔置された第3のインデキシング要素に不注意で嵌合される可能性はない。
【0026】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、前記少なくとも1つの第1のインデキシング要素と前記少なくとも2つの第2のインデキシング要素はともに、以下の2つの分類を含む一連のインデキシング要素を形成する:
− 分類A:第1の距離未満の距離によって隣接するインデキシング要素から分離されたインデキシング要素。
− 分類B:前記第1の距離より大きい距離によって隣接するインデキシング要素から分離されたインデキシング要素。
第2のインデキシング要素の少なくとも1つは、分類Aに入る。
【0027】
たとえば、分類Bのインデキシング要素は、角度θの間隔でフィクスチャー係合部分全体にわたって分散させることができ、分類Aのインデキシング要素は、他のインデキシング要素間に介在するはずである。一例として、互いに60°の間隔で隔置された6つのインデキシング要素と、他の6つの要素の2つの間に位置する(すなわち、それらの2つのインデキシング要素から30°で隔置される)第7のインデキシング要素とを設けることができる。前記6つの規則的に分散されたインデキシング要素は分類Bに入れることができるが、それらの6つのインデキシング要素のうち、第7のインデキシング要素に隣接する2つのインデキシング要素は、分類Aに入れることもできる(第7のインデキシング要素も同様)。したがって、少なくとも余分の第7のインデキシング要素は、第1のインデキシング要素の根尖端部の根尖側に位置する根尖端部を有する前記少なくとも1つの第2のインデキシング要素の1つの形態である。しかし、相手側フィクスチャーが実質的に等しい寸法の7つの受入れ凹部を有する場合、第7のインデキシング要素は、それらの凹部のいずれか1つに誤って入る可能性がある。したがって、歯科用構成要素がフィクスチャーに嵌合できる回転方向を確実に1つだけにするには、他の6つのインデキシング要素の少なくとも1つもまた、第1のインデキシング要素の根尖端部の根尖側に位置する根尖端部を有する「第2の」インデキシング要素とするべきである。必須ではないが、第7のインデキシング要素に隣接する2つのインデキシング要素を、第1のインデキシング要素の根尖端部の根尖側に位置する根尖端部を有する「第2の」インデキシング要素とすることができると有利である。
【0028】
6つの等距離を隔てて隔置されたインデキシング要素および第7の余分のインデキシング要素の上記の例は、少なくとも以下の例示的な実施形態によって包含される。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、前記少なくとも1つの第1のインデキシング要素および前記少なくとも2つの第2のインデキシング要素は合計N個のインデキシング要素になり、N−1個のインデキシング要素が、フィクスチャー係合部分の周りにわたって等距離を隔てて分散され、残りのインデキシング要素(第Nのインデキシング要素)は、前記等距離を隔てて分散されたN−1個のインデキシング要素の2つの間に介在し、この残りのインデキシング要素は、前記少なくとも2つの第2のインデキシング要素の1つである。前記等距離を隔てて分散されたN−1個のインデキシング要素の少なくとも1つもまた、他の等距離を隔てて分散された(第1の)インデキシング要素の根尖側に位置する根尖端部を有する第2のインデキシング要素である。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、前記残りのインデキシング要素に隣接するインデキシング要素の一方または両方もまた、第2のインデキシング要素である。
【0029】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、フィクスチャー係合部分の円周方向をたどって、前記少なくとも2つの第2のインデキシング要素は、前記第1のインデキシング要素の2つの間に介在する。したがって、少なくとも1つの幾何学的平面が、フィクスチャー係合部分の中心軸に対して垂直であり、第1のインデキシング要素ならびに第2のインデキシング要素を通って延びる。第2のインデキシング要素の歯冠方向の延長部は適宜、第1のインデキシング要素の歯冠方向の延長部と同じ軸方向のレベルとすることができる。別法として、第2のインデキシング要素の歯冠方向の延長部は、第1のインデキシング要素の歯冠方向の延長部より長くすることができ、または短くすることができる。
【0030】
第2のインデキシング要素が案内または先導する機能を実行し、後続の第1のインデキシング要素が続いて最終の回転ロック機能を実行するために、第2のインデキシング要素を2つの第1のインデキシング要素の間に介在させる必要はない。第2のインデキシング要素全体が、少なくとも1つの第1のインデキシング要素の根尖端部の根尖側に位置することができる。たとえば、第2のインデキシング要素は、フィクスチャー係合部分の根尖側の下位部分に位置する短い凸部の形態とすることができ、少なくとも1つの第1のインデキシング要素の根尖端部は、フィクスチャー係合部分の歯冠側の下位部分でその歯冠側に位置する。第2のインデキシング要素がフィクスチャー内の整合インデキシング要素に係合した後、歯科用構成要素は、フィクスチャーへの相対的な運動を継続し、最終的に少なくとも1つの第1のインデキシング要素もまた、整合インデキシング要素に係合する(先導する第2のインデキシング要素を受け入れるフィクスチャー内のインデキシング要素は、歯科用構成要素の前記運動の継続を可能にするのに十分なほど長いものとする)。したがって、上記の議論の観点から、少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、フィクスチャー係合部分の中心軸に対して垂直な少なくとも1つの幾何学的平面が、少なくとも1つの第1のインデキシング要素の根尖側で、第2のインデキシング要素の歯冠側に位置する。
【0031】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、歯科用構成要素のフィクスチャー係合部分は円柱形表面を含み、前記少なくとも1つの第1のインデキシング要素および前記少なくとも2つの第2のインデキシング要素は、この円柱形表面から径方向に突出する。これは、製造の観点から有利である。しかし、インデキシング要素を他の表面からも同様に、たとえば先細りした表面から径方向に突出させることも考えられる。
【0032】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、第1のインデキシング要素の数は、第2のインデキシング要素の数より大きい。第2のインデキシング要素の数は、適宜2つまたは3つとすることができ、回転ロックを完了させる後続の第1のインデキシング要素は、強度を増大させるために、適宜より多くすることができる。これは、歯科用構成要素がドライバである場合に特に有利になり、ここで、インデキシング要素は、歯科用フィクスチャーを顎骨内へ駆動するときに歯科用フィクスチャーにトルクを伝達するように適合される。
【0033】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、前記少なくとも2つの第2のインデキシング要素のうちの少なくとも1つの根尖端部は、斜面を備える。歯科用構成要素のフィクスチャー係合部分がフィクスチャー内へ挿入されたとき、歯科医は、歯科用構成要素を回転させて、歯科用構成要素のインデキシング要素をフィクスチャーの相手側インデキシング要素と位置合わせする。2つの第2のインデキシング要素を提供することで、それらのインデキシング要素の1つがフィクスチャー内の誤ったインデキシング要素に係合するリスクが少なくとも部分的に低減される。それにもかかわらず、たとえば歯科医が、歯科用構成要素を歯科用フィクスチャーに連結させようとするときに、歯科用構成要素を傾斜させた場合、一方の第2のインデキシング要素が、他方の第2のインデキシング要素の支持機能にもかかわらず、歯科用構成要素の回転時に歯科用フィクスチャー内の誤ったインデキシング要素(溝など)内に偶発的に落下することもある。そのような場合、歯科医が引き続き歯科用構成要素に回転力をかけたとき、その第2のインデキシング要素上に斜面を提供することで、その第2のインデキシング要素を一時的な誤った係合から持ち上げて取り出すのが容易になる。
【0034】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、前記第2のインデキシング要素はそれぞれ、前記少なくとも1つの第1のインデキシング要素の寸法と比較して、円周(横断)方向および/または径(突出)方向により小さい寸法を有する。これは、たとえば歯科用フィクスチャーが歯科用構成要素のインデキシング要素(突起)を受け入れるために等しく寸法設定された凹部を有する場合に有利である。なぜなら、そのような場合、少なくとも1つの第1のインデキシング要素より小さい寸法(たとえば、歯冠−根尖方向に対して横断方向)を有する第2のインデキシング要素は、比較的大きい遊び(この例では、横断方向に大きい遊び)と共に受入れ凹部内に受け入れられるからである。少なくとも1つの第1のインデキシング要素の根尖端部の根尖側に位置する根尖端部を有する第2のインデキシング要素は、後続の第1のインデキシング要素がフィクスチャー内の対応する凹部によって受け入れられる前に、対応する凹部によって受け入れられる。遊びを比較的大きくすることで、歯科医が第2のインデキシング要素をフィクスチャー内の対応する凹部に係合させることが容易になる。したがって、第2のインデキシング要素のみが係合されたこの段階で、フィクスチャーに対する歯科用構成要素の回転運動を小さくすることが可能である。しかし、少なくとも1つの第1のインデキシング要素が続いて対応する凹部に係合するとき、凹部内にぴったりフィットするように適宜より正確に寸法設定されるため、歯科用構成要素は、1つまたはそれ以上の第1のインデキシング要素がそれぞれの凹部に係合すると、回転ロックされる。
【0035】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、前記少なくとも1つの第1のインデキシング要素および前記少なくとも1つの第2のインデキシング要素は、歯冠−根尖方向に細長い延長部を有する。これにより、径方向に突出するインデキシング要素がより短い延長部を有する場合と比較して、回転ロックに追加の強度が提供される。
【0036】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、歯科用構成要素は、支台歯、支台歯のレプリカ、支台歯のブランク、特注の支台歯、スキャン支台歯、デジタル・トランスファー・コーピング、印象ピックアップ要素、ヒーリング・キャップ、およびドライバからなる群から選択される構成要素である。
【0037】
たとえば、特注の支台歯は、患者の周囲の組織および歯の輪郭に適合された形状を有することができ、その場合、歯科医が特注の支台歯を所期の回転方向に容易にフィットさせることができると有利である。
【0038】
回転方向を示すいくつかの識別特性を有し、歯科用フィクスチャーに連結されたデジタル・トランスファー・コーピングを走査することができ、次いでデジタル・ファイルが支台歯の製造業者へ送られる。このデジタル・ファイルは、識別特性の位置および向きに関する情報、したがって歯科用フィクスチャーの位置および向きに関する情報も含む。
【0039】
フィクスチャーが顎骨および口腔内の他の周囲の特徴に対して所望の向きで挿入されたかどうかを判定するための指示として、特徴的なマーキングを有するドライバを使用することができる。たとえば、フィクスチャーは、傾斜した歯冠端部を有することができる。ドライバは、特徴的なマーキングがフィクスチャーの傾斜端部の最上部に位置合わせされるように挿入されるものとすることができる。したがって、顎骨内へのフィクスチャーの回転中、歯科医は、特徴的なマーキングを見ることによって、フィクスチャーおよびその傾斜端部の回転方向が分かる。したがって、歯科医がドライバをフィクスチャーに対して所期の位置内へ容易にフィットさせることができると有利である。
【0040】
本発明の第2の態様によれば、歯科用インプラントが提供される。歯科用インプラントは、
フィクスチャー係合部分を備える歯科用構成要素であって、フィクスチャー係合部分は、
− 根尖端部を有する少なくとも1つの第1のインデキシング要素、および
− それぞれ根尖端部を有する少なくとも2つの第2のインデキシング要素を備える、歯科用構成要素と、
顎骨内へ挿入されるように適合された歯科用フィクスチャーであって、前記フィクスチャー係合部分に嵌合するように適合された構成要素係合部分を備え、構成要素係合部分は、
− 歯冠端部を有する少なくとも1つの第3のインデキシング要素、および
− それぞれ歯冠端部を有する少なくとも2つの第4のインデキシング要素を備える、歯科用フィクスチャーとを備え、
ここで、前記少なくとも2つの第2のインデキシング要素の根尖端部は、第1のインデキシング要素の根尖端部の根尖側に位置し、かつ/または前記少なくとも2つの第4のインデキシング要素の歯冠端部は、第3のインデキシング要素の歯冠端部の歯冠側に位置し、
前記少なくとも1つの第1のインデキシング要素は、前記少なくとも2つの第2のインデキシング要素のいずれか1つから円周方向に分離され、前記少なくとも1つの第3のインデキシング要素は、前記少なくとも2つの第4のインデキシング要素のいずれか1つから円周方向に分離され、
第1、第2、第3、および第4のインデキシング要素は、歯科用構成要素が歯科用フィクスチャーに対して1つの回転方向でしか嵌合できないように、それぞれフィクスチャー係合部分および構成要素係合部分の円周に沿って分散され、
第1のインデキシング要素は、前記少なくとも2つの第2のインデキシング要素が前記少なくとも2つの第4のインデキシング要素に嵌合した後に初めて、第3のインデキシング要素に嵌合することが可能になる。
【0041】
したがって、第2および第4のインデキシング要素は、歯科用構成要素をフィクスチャーに対して所望の回転方向へ案内する働きをする。この回転方向が見つかり、歯科用構成要素が引き続き根尖側に変位した後、第1および第3のインデキシング要素は、互いに係合して最終の回転停止を提供する。第1および第3のインデキシング要素は、歯科用構成要素と歯科用フィクスチャーとの間のわずかな回転運動のリスクを低減させるように適宜比較的密なフィットを形成するのに対して、第2のインデキシング要素と第4のインデキシング要素との間のフィットは、有利には遊びと共に提供されうる。これは、少なくとも1つの例示的な実施形態で反映され、その例示的な実施形態によれば、第1のインデキシング要素と第3の相手側インデキシング要素との間の遊び(たとえば、横方向の遊びまたは径方向の遊び)は、前記少なくとも2つの第2のインデキシング要素と前記少なくとも2つの第4の相手側インデキシング要素との間の遊びより小さく、それによって、第1のインデキシング要素と第3のインデキシング要素との間には、第2のインデキシング要素と第4のインデキシング要素との間のフィットと比較して、より密なフィットが提供される。
【0042】
第2のインデキシング要素と第4のインデキシング要素との間の遊びにより、そのような遊びがない場合より、第2のインデキシング要素が第4のインデキシング要素によって容易に受け入れられるため、歯科医が所望の回転方向を見つけるのが容易になる。第1のインデキシング要素と第3のインデキシング要素との間の密なフィットにより、多重工程手順全体にわたって、たとえばフィクスチャーに連結された歯科用構成要素(トランスファー・コーピングなど)を用いて印象を作製する工程、その印象に基づいてモデルを作製する工程、そのモデルに基づいて別の歯科用構成要素(支台歯など)を作製する工程、および後者の歯科用構成要素を歯科用フィクスチャーに連結させる工程において、同じ回転位置が確実に得られるようになる。起こりうる回転誤差は、各工程では小さい場合でも、最終的に大きな回転誤差をもたらすことがある。第1のインデキシング要素と第3のインデキシング要素との間の密なフィットにより、各工程における回転誤差のリスクが低減される。
【0043】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、前記第1および第2のインデキシング要素は、歯科用構成要素のフィクスチャー係合部分の表面から突出する径方向の突起として設けられ、前記第3および第4のインデキシング要素は、歯科用フィクスチャーの構成要素係合部分の表面内に径方向の陥没として設けられる。しかし、それを逆にすること、すなわちフィクスチャー上に突起を設け、歯科用構成要素内に陥没を設けることも考えられるはずである。第1および第3のインデキシング要素の嵌合前に第2および第4のインデキシング要素が嵌合する限り、他の混成代替案も考えられる。
【0044】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、前記少なくとも2つの第2のインデキシング要素は、フィクスチャー係合部分の円周に沿って非対称に分散され、前記少なくとも2つの第4のインデキシング要素は、構成要素係合部分の円周に沿って非対称に分散される。
【0045】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、フィクスチャー係合部分の中心軸から前記少なくとも2つの第2のインデキシング要素のうちの一方の中心までの半径と、前記中心軸から前記第1のインデキシング要素の中心までの半径とが、第1の角度を形成し、前記中心軸から前記少なくとも2つの第2のインデキシング要素のうちの他方までの半径と、前記中心軸から前記第1のインデキシング要素の中心までの前記半径とが、第2の角度を形成し、前記第2の角度は、前記第1の角度とは異なり、また前記第1の角度の倍数であるいずれの角度とも異なる。
【0046】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、歯科用フィクスチャー内で、構成要素係合部分の中心軸から前記少なくとも2つの第4のインデキシング要素のうちの一方の中心までの半径と、前記中心軸から前記第3のインデキシング要素の中心までの半径とが、第1の角度を形成し、前記中心軸から前記少なくとも2つの第4のインデキシング要素のうちの他方までの半径と、前記中心軸から前記第3のインデキシング要素の中心までの前記半径とが、第2の角度を形成し、前記第2の角度は、前記第1の角度とは異なり、また前記第1の角度の倍数であるいずれの角度とも異なる。
【0047】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、歯科用構成要素は、少なくとも2つの第1のインデキシング要素を有し、歯科用フィクスチャーは、少なくとも2つの第3の相手側インデキシング要素を有する。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、2つの第2のインデキシング要素間の間隔は、前記第1のインデキシング要素のいずれか2つの間の間隔とは異なり;前記2つの第4のインデキシング要素間の間隔は、前記第3のインデキシング要素のいずれか2つの間の間隔とは異なる。2つの第2のインデキシング要素は、互いに隣接する必要はなく;2つの第4のインデキシング要素も、互いに隣接する必要はない。前記2つの第2のインデキシング要素間に、1つまたはそれ以上の第1のインデキシング要素を配置することができる。同様に、前記2つの第4のインデキシング要素間に、1つまたはそれ以上の第3のインデキシング要素を配置することができる。また、3つ以上の第2のインデキシング要素が設けられる場合、異なる間隔を有する1対の第2のインデキシング要素を識別できる限り、これらの第2のインデキシング要素のいくつかは、第1のインデキシング要素間の間隔と同じ距離をあけて隔置することができる。同様に、3つ以上の第4のインデキシング要素が設けられる場合、異なる間隔を有する1対の第4のインデキシング要素を識別できる限り、これらの第4のインデキシング要素のいくつかは、第3のインデキシング要素間の間隔と同じ距離をあけて隔置することができる。この非対称性の利点については、本発明の第1の態様の議論に関連してすでに上述した。
【0048】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、歯科用構成要素のフィクスチャー係合部分ならびに第1および第2のインデキシング要素は、第2のインデキシング要素が第4のインデキシング要素に嵌合するまで、フィクスチャーの構成要素係合部分内部で回転可能である。これにより、位置特定機能が容易になり、フィクスチャーに対して歯科用構成要素がゆがむリスクが低減される。たとえば、フィクスチャーは、歯冠端部で、壁部分によって画成された内部ソケットを有することができ、壁部分には、径方向に延びる凹部の形態の第3および第4のインデキシング要素が設けられる。歯科用構成要素ならびにその第1および第2のインデキシング要素は、ソケット内へ挿入して回転させることができる。第2のインデキシング要素は、回転中に、前記凹部を含むシェルフを適宜圧迫することができる。歯科用構成要素が回転し、第2のインデキシング要素がシェルフに沿って移動すると、第2のインデキシング要素は最終的に凹部内へ落下する。
【0049】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、本発明の第2の態様による歯科用インプラントの歯科用構成要素は、本発明の第1の態様に関連して論じた特徴を有する歯科用構成要素である。
【0050】
本発明の第3の態様によれば、顎骨内へ挿入されるように適合された歯科用フィクスチャーが提供される。歯科用フィクスチャーは、歯科用構成要素に嵌合するように適合された構成要素係合部分を備え、構成要素係合部分は、
− 歯冠端部を有する少なくとも1つの第1の径方向に突出しまたは凹みを付けるインデキシング要素と、
− それぞれ第1のインデキシング要素の歯冠端部の歯冠側に位置し、第1のインデキシング要素の歯冠端部から円周方向に分離された歯冠端部を有する少なくとも2つの第2の径方向に突出しまたは凹みを付けるインデキシング要素とを備え、ここで、前記第2のインデキシング要素は、構成要素係合部分の円周に沿って非対称に分散される。
【0051】
本発明の第3の態様による歯科用フィクスチャーは、本発明の第1および第2の態様に関連して述べた歯科用フィクスチャーの特徴のいずれか1つならびに/または以下に述べる歯科用フィクスチャーの特徴のいずれか1つを有することができる。
【0052】
上記のように、歯科用インプラントは、歯科用フィクスチャーおよび歯科用構成要素を備える。
【0053】
歯科用フィクスチャーは、歯科用プロテーゼの係留部材として使用するためのものである。この目的で、歯科用フィクスチャーは、顎骨(上顎骨または下顎骨)の骨組織内で歯科用プロテーゼが必要とされる箇所に事前に準備された貫通孔内へ挿入可能である。歯科用フィクスチャーは通常、回転させて貫通孔内へ入れられる。
【0054】
ねじ式の歯科用フィクスチャーの場合、この貫通孔は、内部ねじ山を事前に備えることができ、またはねじ山を付けないままにすることができ、その場合、たとえば1つまたはそれ以上の軸方向に延びる切断凹部、縁部、またはノッチなどをフィクスチャーのねじ山内に設けることによって、歯科用フィクスチャーはセルフタッピング能力を備える。たとえば、フィクスチャーの根尖端部部分は、3つの切断凹部など、2〜4つの切断凹部を備えることができる。切断凹部の他の数も容易に考えられる。
【0055】
歯科用構成要素は、上記で論じたように、複数の異なる構成要素のいずれか1つとすることができる。一例は、歯科用フィクスチャーを顎骨内へ挿入するドライバである。別の例は、フィクスチャーにプロテーゼ部材を連結する上部構造である。上部構造は、歯科用フィクスチャーに係合して上顎骨または下顎骨の上にある歯肉をつなぐ支台歯、スペーサ、または他の経粘膜的構成要素を備えることができる。プロテーゼ部材、たとえばクラウン、ブリッジ、または義歯は、支台歯に固定することができる。上部構造は、様々な他の形態をとることができる。たとえば、プロテーゼ部材は、歯科用フィクスチャーに直接固定することができる。
【0056】
本出願全体にわたって、「歯冠」という用語は、歯科用インプラントの先端部または後端部への方向を示すために使用される。たとえば、歯科用支台歯が歯科用フィクスチャーに連結される状況で、支台歯の歯冠方向とは、フィクスチャーから離れる方へ誘導される支台歯部分への方向である。逆に、「根尖」という用語は、構成要素の挿入端部または先端部への方向を示す。したがって、根尖と歯冠は反対の方向である。さらに、本出願全体にわたって、「軸(axial)」、「軸方向(axial direction)」、または「軸方向(axially)」という用語は、歯冠端部から根尖端部への方向を示すために使用され、または逆も同様である。「径方向(radial)」、「径方向(radial direction)」、または「径方向(radially)」という用語は、軸方向に対して垂直の方向を示す。
【0057】
上部構造をフィクスチャーに固定するために、フィクスチャー本体の根尖端部と歯冠端部との間で歯冠端部から端部表面までフィクスチャー本体内へ根尖側に、貫通していない孔またはソケットを延ばすことができる。ソケットは、歯科用構成要素をフィクスチャーへねじで連結するために、内部にねじ付きの区間を備えることができる。内部の多角形の側壁、たとえば六角形の側壁、または別法として1つもしくはそれ以上のソケットの壁からの凸部もしくはソケットの壁内の凹みなど、歯科用構成要素に対する回転ロックをソケット内に提供することができる。歯冠区間など、ソケットの一区間を、根尖端部の方へ先細りさせることができる。先細りした区間は、内部にねじ付きの区間の歯冠側に適宜配置される。
【0058】
フィクスチャーは、1段階の手順または2段階の手順で使用することができる。1段階の手順では、回復用の支台歯または一時的な支台歯をフィクスチャーに連結させて歯肉組織を形成し、回復期間後、この回復用の支台歯または一時的な支台歯は、恒久的な支台歯に置き換えられる。2段階の手順では、フィクスチャーはカバーねじを備え、歯肉組織は、フィクスチャーおよびカバーねじを覆うように縫合され、回復期間後、組織は切開され、カバーねじを取り除いた後にフィクスチャーに支台歯が連結される。
【0059】
歯科用フィクスチャーは、歯冠端部の方へ先細りする円錐形に先細りした端部部分を有することができる。この歯冠端部部分の軸方向の範囲は、フィクスチャーの全長と比較して小さく、一例として1.5%〜3.7%の範囲内など、全長の4%以下である。歯冠端部部分は適宜、ねじ付きの表面を備えなくてもよく、たとえば平滑な表面または粗面(ブラスティングした表面など)を有することができる。
【0060】
フィクスチャーは、フィクスチャーの長手方向軸に対して垂直な実質的に平坦な歯冠端部表面を有することができる。別法として、歯冠端部表面は、フィクスチャーの長手方向軸に対して傾斜した輪郭を有することができ、たとえばその結果、顎骨内に位置決めされたとき、フィクスチャーの長さは、フィクスチャーの舌側でより大きく、頬側でより短くなる。別の代替案は、鞍状または波様の歯冠端部表面である。
【0061】
歯科用フィクスチャーの長さは、臨床の状況に応じて5〜19mmの範囲内とすることができる。歯科用フィクスチャーの外径は適宜、3〜5mmなど、2〜6mmの範囲内とすることができる。
【0062】
フィクスチャーは、実質的に円柱形とすることができ、または歯冠端部から根尖端部の方へわずかに先細りさせることができる。フィクスチャーがわずかな先細りを有する場合、フィクスチャーのコアと、たとえばねじ山の頂部によって画成される外周部とは、同じ先細り角度を有することができ、または異なる先細り角度を有することができる。さらに、フィクスチャーのコアを円柱形とし、ねじ山の頂部が円錐を示すことができ、逆に、フィクスチャーのコアを先細りさせ、ねじ山の頂部が略円柱形の幾何形状を示すことができる。別法として、フィクスチャーは、1つもしくはそれ以上の円柱形部分および/または1つもしくはそれ以上の先細りした部分の組合せを備えることができる。したがって、フィクスチャーの1つまたはそれ以上の部分は、たとえば共通の仮想の円柱形表面内に位置するねじ山の頂部を有することができ、この円柱形表面は、フィクスチャーの長手方向軸に対して平行である。別法または追加として、フィクスチャーの1つまたはそれ以上の部分は、根尖方向に長手方向軸の方へ先細りしている仮想の円錐形表面内に位置するねじ山の頂部を有することができる。
【0063】
外部にねじ付きのフィクスチャーは、1つまたはそれ以上のねじ山の螺旋を備えることができる。
【0064】
「ピッチ」という用語は、ねじ山の隣接する頂部間の軸方向の距離を示すために使用される。「リード」という用語は、フィクスチャーが1回転するときに長手方向軸に対して平行に進んだ距離を示すために使用され、すなわちピッチにねじ山の螺旋の数を掛けた値に対応する。一定のピッチを有する一条ねじ山の螺旋の場合、リードはピッチに等しい;二条ねじ山の螺旋の場合、リードはピッチの2倍である。
【0065】
「マイクロスレッド」という用語は、0.2mm以下の高さを有するねじ山を示すために使用される。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、フィクスチャーは、0.05〜0.15mmなど、0.02〜0.2mmの範囲内、たとえば0.1mmの高さを有するマイクロスレッドを備える。「マクロスレッド」という用語は、0.2mmより大きい高さを有するねじ山を示すために使用される。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、フィクスチャーは、0.3mmなど、0.25〜0.35mm範囲内の高さを有するマクロスレッドを備える。
【0066】
マイクロスレッドは、マクロスレッドの歯冠側に適宜位置することができる。たとえば、マイクロスレッドは、密集した皮質骨に係合するように配置することができ、マクロスレッドは、多孔質のスポンジ状の骨/海綿質骨に係合するように配置することができる。マイクロスレッドのリードは、マクロスレッドのリードに適宜対応する。マクロスレッドのピッチは、一例として、マイクロスレッドのピッチの3倍など、2〜4倍とすることができる。マイクロスレッドを備えるフィクスチャー部分のピッチ(頂部と頂部の間隔)は、約0.10〜0.30mm、たとえば0.20〜0.24mmとすることができる。マクロスレッドを備えるフィクスチャー部分のピッチ(頂部と頂部の間隔)は、約0.30〜0.90mm、たとえば0.60〜0.72mmとすることができる。
【0067】
マイクロスレッドは、画成された向きの粗さと見なすことができる。たとえば、マイクロスレッドならびにマクロスレッド上には、ブラスティング、エッチングなどによって得られるより小さい寸法を有する無方向性の粗さを重ね合わせることができる。
【0068】
ねじ山のプロファイルは、2つのフランクと、前記2つのフランクを相互に連結する頂部と、2つの隣接するねじ山間に形成された底部とを備えることができ、前記フランクは、フィクスチャー軸に対して垂直な平面に対して鋭角vを形成し、この角度vは、フィクスチャー軸の延長線を含む平面内に位置し、前記プロファイルは、高さDをさらに有する。頂部は、湾曲させることができ、頂部半径を有することができる。適宜、10°≦v<35°の場合、頂部半径は0.4×Dより大きく、35°≦v<55°の場合、頂部半径は0.2×Dより大きい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1】A〜Cは、本発明の少なくとも1つの例示的な実施形態による歯科用構成要素を示す図である。
図2】本発明の少なくとも1つの他の例示的な実施形態による歯科用構成要素を示す図であり、歯科用構成要素は、歯科用フィクスチャーに対して特有の回転方向で歯科用フィクスチャーに連結され、歯科用構成要素と歯科用フィクスチャーを合わせると、本発明の少なくとも1つの例示的な実施形態による歯科用インプラントを表す。図2はまた、同じ歯科用フィクスチャーに対して複数の異なる回転方向で配置できる別の歯科用構成要素を示す。図2Aは、図2の歯科用フィクスチャーの上面図である。図2B及び図2Cは、図2の歯科用構成要素の底面図である。
図3】少なくとも1つの例示的な実施形態による歯科用構成要素のフィクスチャー係合部分を示す図である。
図4】A〜Eは、異なる例示的な実施形態による歯科用構成要素上の第1および第2のインデキシング要素の円周方向の分散を示す概略図である。
図5】少なくとも1つの例示的な実施形態による歯科用フィクスチャーに連結されるドライバの形態の歯科用構成要素を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
各図面は、第1および第2のインデキシング要素を有する歯科用構成要素を示し、図面の一部はまた、第3および第4のインデキシング要素を有する歯科用フィクスチャーを示す。
【0071】
図1A〜1Cは、本発明の少なくとも1つの例示的な実施形態による歯科用構成要素100を示し、図1Aは斜視図であり、図1Bは底面図であり、図1Cは部分側面図である。歯科用構成要素100は、たとえば支台歯、支台歯のレプリカ、または支台歯のブランクとすることができる。歯科用構成要素100は、中心貫通孔112を備える本体部材110を備え、本体部材110をフィクスチャーに固定するために、中心貫通孔112を通じてねじ部材150を挿入可能であり、歯科用フィクスチャーの内部ねじ山に連結可能である。本体部材110は、フィクスチャー係合部分114を備え、本明細書では、フィクスチャー係合部分446について、略円柱形の包囲表面を有するものとして示すが、先細りした表面などの他の包囲表面も考えられる代替案である。本体部材110は、歯肉の上でフィクスチャーの歯冠側に延びる歯科用クラウン受入れ部分またはプロテーゼ受入れ部分116をさらに備える。本明細書で肩部120まで歯冠側に広がるものとして示す延長部分118は、歯肉を通って延びるものであり、フィクスチャー係合部分114とプロテーゼ受入れ部分116との間に設けられる。歯科用構成要素100が支台歯のブランクとして設けられる場合、延長部分118およびプロテーゼ受入れ部分116の少なくとも1つは、所望の形状になるようにさらに処理することができ、その形状は、その結果得られる処理済みの支台歯を受け入れる患者に合わせて適宜特別に設計することができる。
【0072】
フィクスチャー係合部分114は、根尖端部132を有する径方向に突出する第1のインデキシング要素130と、根尖端部142a、142bを有する2つの径方向に突出する第2のインデキシング要素140a、140bとを備える。第2のインデキシング要素140a、140bの根尖端部142a、142bは、第1のインデキシング要素130の根尖端部132の根尖側に位置する。第1のインデキシング要素130および第2のインデキシング要素140a、140bの全体的な軸方向の延長部は、フィクスチャー係合部分114の中心軸に対して垂直な共通の幾何学的平面が第1のインデキシング要素130および第2のインデキシング要素140a、140bに交差するような延長部である。したがって、第1のインデキシング要素130の軸方向の延長部には、第2のインデキシング要素140a、140bの軸方向の延長部が少なくとも部分的に重複する。
【0073】
フィクスチャー係合部分114の円周をたどって、第1のインデキシング要素130は、第2のインデキシング要素140a、140bの位置から隔置された位置に位置し、すなわち第1のインデキシング要素130は、第2のインデキシング要素140a、140bのいずれか1つから円周方向に分離される。言い換えれば、z軸が係合部分114の幾何学的中心軸に合致する円柱座標系(r、φ、z)において、角度φは、第1のインデキシング要素130と第2のインデキシング要素140a、140bのそれぞれで異なる。
【0074】
2つの第2のインデキシング要素140a、140bを近くに位置決めする結果、第2のインデキシング要素140a、140bはフィクスチャー係合部分114の円周に沿って非対称に分散される。非対称の分散とは、2つの第2のインデキシング要素がフィクスチャー係合部分の周りで均一に分散されないことを意味する。均一な対称の分散では、2つの第2のインデキシング要素がフィクスチャー係合部分114の周りに互いから180°あけて分散されるはずである。
【0075】
この歯科用構成要素100は、インデキシング要素を有する歯科用フィクスチャーに連結することができ、このインデキシング要素は、寸法に関して歯科用構成要素100のインデキシング要素130、140a、140bに整合する割出し凹み/凹部/陥没の形態である。したがって、歯科用構成要素100がフィクスチャーに接触すると、第2のインデキシング要素140a、140bが先導するものとなり、最初にフィクスチャー内の関連する割出し凹部に入る。第2のインデキシング要素140a、140bがフィクスチャー内の関連する割出し凹部に嵌合した後、歯科用構成要素100の後続の第1のインデキシング要素130が、その関連する割出し凹部と実質的に位置合わせされる。したがって、歯科用構成要素100が引き続きフィクスチャー内へ挿入されるとき、第1のインデキシング要素は、フィクスチャー内の関連する割出し凹部に容易に嵌合する。したがって、先導する第2のインデキシング要素140a、140bは、最初の案内/位置合わせ機能を有し、後続の第1のインデキシング要素130は、回転ロックを完了させる。
【0076】
図1A〜1Cで、インデキシング要素130、140a、140bは、フィクスチャー係合部分114の小さい領域に制限されている。この小さい領域は、フィクスチャー係合部分114の全周(360°)の約60°に及び、中心(第2)のインデキシング要素140aは、隣接するインデキシング要素から約30°隔置される。したがって、歯科用構成要素100は、インデキシング要素の類似の分散を有するフィクスチャーに嵌合することができ、1つの例示的なフィクスチャー4を図2に示す。図1の歯科用構成要素100のインデキシング要素130、140a、140bに嵌合するはずの図2のフィクスチャー4の3つのインデキシング要素または割出し凹部を、30e、30f、30gで示す。フィクスチャー4は、4つの他のインデキシング要素30a〜30dを有するが、これらはより大きい距離をあけて分離される。したがって、歯科用構成要素100は、1つの回転方向でしかこのフィクスチャー4に嵌合することができない。第2のインデキシング要素のうちの一方(たとえば、140a)が、フィクスチャー4内の誤ったインデキシング要素に位置合わせされた場合、他方の第2のインデキシング要素(たとえば、140b)は、フィクスチャー4内のシェルフ32に当たり、したがってさらなる根尖側への運動を困難にする。1つの第2のインデキシング要素しかなかった場合、歯科用構成要素が誤った向きであることに歯科医が気付く前に、フィクスチャー4内の7つの割出し凹部30a〜30gのいずれか1つの中へ落下する可能性がある。2つの第2のインデキシング要素を有することで安定し、第2のインデキシング要素140a、140bのうちの一方がフィクスチャーの望ましくない割出し凹部内へ落下するリスクが低減されるが、たとえば歯科医が歯科用構成要素を傾斜させすぎた場合には、落下が偶発的に生じることがある。したがって、図1Cに戻ると、任意選択の特徴として、第2のインデキシング要素は、他方の第2のインデキシング要素から離れる方を向いた側面に、それぞれ斜面144a、144bを備えることができる。そのような斜面144a、144bにより、第2のインデキシング要素140a、140bの1つが誤った割出し凹部内へわずかに落下した場合に、歯科医が回転運動を継続するのが容易になる。さらなる任意選択の特徴として、第2のインデキシング要素140a、140bは、フィクスチャー4の割出し凹部に嵌合するときに特定の遊びを提供するために、第1のインデキシング要素130と比較して、やや小さい径方向または円周方向の延長部を有することができる。そのような場合、第2のインデキシング要素140a、140bが十分な回転ロックを提供できない場合でも、寸法を小さくすることで位置特定機能が容易になり、回転ロック機能についてはやはり第1のインデキシング要素130に依拠することができる。
【0077】
歯科用構成要素100は、1つの回転方向しか許容しないフィクスチャーとの使用に限定されるものではないことに留意されたい。歯科用構成要素100は、たとえば、12個の割出し凹部を有するフィクスチャーに連結することができ、各凹部は、隣接する凹部から30°で等距離を隔てて隔置される。そのようなフィクスチャーを用いると、歯科医は、歯科用構成要素100に対して12個の回転位置のうちのいずれか1つを選択することができる。したがって、例示される歯科用構成要素100は、いくつかのタイプのフィクスチャーによる複数の回転位置の可能性を維持しながら、単一の回転位置しか許容しないフィクスチャーに関連する上記の利益を提供する。
【0078】
図2は、本発明の少なくとも1つの他の例示的な実施形態による歯科用構成要素2を示し、歯科用構成要素2は、歯科用フィクスチャー4に対して特有の回転方向で歯科用フィクスチャー4に連結され、歯科用構成要素2と歯科用フィクスチャー4を合わせると、本発明の少なくとも1つの例示的な実施形態による歯科用インプラントに相当する。図2はまた、同じ歯科用フィクスチャー4に対して複数の異なる回転方向で配置できる別の歯科用構成要素6を示す。
【0079】
本明細書に示す歯科用フィクスチャー4は、フィクスチャー4の歯冠端部12から根尖側に延びる歯冠部分8と、フィクスチャー4の根尖端部14から歯冠側に延びる根尖部分10とを有する。
【0080】
根尖部分10は、顎骨内の穿孔内へのフィクスチャー4の挿入を容易にするために、フィクスチャー4の根尖端部14の方へ先細りした円錐を有することができる。
【0081】
フィクスチャー4はコアを有し、このコアから表面構造が突出し、図示の例では表面構造はねじ山の形態である。
【0082】
本明細書では、歯冠部分8について、たとえば3つのねじ山の螺旋を有するマイクロスレッド16を少なくとも部分的に備えるものとして示すが、1つ、2つ、4つ、またはそれ以上の螺旋など、別の数も考えられる。マイクロスレッド16について示したが、少なくとも1つの代替の例示的な実施形態によれば、歯冠部分8は、根尖部分10と同様に、別個のねじ山の螺旋として、または根尖部分10に位置するねじ山の螺旋の連続として、マクロスレッド18を少なくとも部分的に備える。少なくとも別の代替の例示的な実施形態によれば、マイクロスレッド16の代わりに、歯冠部分は、複数の環状の隆起を備えることができ、これらの隆起は、裸眼にはマイクロスレッドと同じ外観を与える可能性もある。他の考えられる代替案は、円周方向に並んだ数列のビード、または無方向性/ランダムに設けられた膨らみなどの突起である。
【0083】
図示の例示的な実施形態では、根尖部分10に位置するマクロスレッド18は、歯冠部分8に位置するマイクロスレッド16と同じリードを有する。しかし、マイクロスレッド16は3つのねじ山の螺旋を備えるため、マクロスレッド18のピッチは、マイクロスレッド16のピッチの3倍である。
【0084】
本明細書では、マクロスレッド18を備える根尖部分10について、1つのねじ山の螺旋を有するものとして示すが、別法として、根尖部分10は、2つまたはそれ以上のねじ山の螺旋を有することができる。
【0085】
本明細書に示す歯冠部分8の長さは、1.5mmなど、約1〜2mmとすることができる。しかし、より短い長さまたはより長い長さも容易に考えられる。歯冠部分8の相対的な長さはまた、フィクスチャー4の全長の5〜50%、たとえば10〜20%などの広い範囲から選択することができる。
【0086】
歯冠部分8は、先細りした端部部分20を備え、先細りした端部部分20は、フィクスチャー4の歯冠端部12の方へ先細りしている。先細りした端部部分20は、フィクスチャー4の全長の4%以下である。先細りした端部部分20の表面は、ねじ付きでなくてもよく、平滑な表面またはブラスティング(もしくは他の方法で粗面化)された表面とすることができる。
【0087】
根尖端部14から歯冠側に、切断凹部22または溝が延びる。切断凹部22の数は、2つ、3つ、または4つの切断凹部など、1つまたはそれ以上とすることができ、これらの切断凹部は、上顎骨または下顎骨内に設けられた穿孔内へねじ締め/回転されたときのフィクスチャー4のセルフタッピングのために、フィクスチャー4の根尖端部14の円周の周りに適宜対称に位置する。
【0088】
フィクスチャー4の歯冠端部12内には、開端部を有するソケット24が設けられる。ソケット24は、フィクスチャー4内へ根尖側に延びる。ソケット24は、図示の支台歯などの歯科用構成要素2を受け入れるためのものであり、それによって穿孔の上にある歯肉をつなぎ、プロテーゼ部材を支持/提示する。しかし、ソケット24はまた、支台歯のレプリカ、ドライバ、ヒーリング・キャップ、印象ピックアップ要素、デジタル・トランスファー・コーピングなどの他の歯科用構成要素を受け入れることもできる。
【0089】
様々な代替構成も考えられるが、本明細書では、ソケット24について、円錐形の歯冠区間26と、実質的に円柱形の中間壁区間28とを有するものとして示す。中間壁区間28内には、本明細書で径方向に延びる凹部30a〜30gとして示す7つのインデキシング要素30a〜30gが設けられる(図2Aも参照されたい)。中間壁区間28および径方向に延びる凹部30a〜30gは、フィクスチャー4の構成要素係合部分として働く。中間壁区間28の歯冠端部はシェルフ32を形成し、前記7つの凹部30a〜30gによって間隙が形成される。凹部30a〜30e、30gの6つは、中間壁区間28の円周に沿って等距離を隔てて分散される。第7の凹部30fは、前記6つの等距離を隔てて分散された凹部のうちの2つ(30e、30g)の間に介在する。これを、図2Aの上面図にはっきりと示す。
【0090】
ソケット24は、内部にねじ付きの根尖区間34をさらに備える。
【0091】
本明細書では、本発明の少なくとも1つの例示的な実施形態による歯科用構成要素2について、本体部材40およびねじ部材42からなる2つの部分からなる支台歯2として示す。支台歯2の本体部材40は貫通孔44を備え、ねじ部材42は、本体部材40をフィクスチャー4に固定するために、貫通孔44内へ挿入されてフィクスチャー4の内部ねじ山34に係合するように適合される。本体部材40は、フィクスチャー係合部分46を備え、本明細書では、フィクスチャー係合部分46について、略円柱形の包囲表面を有するものとして示すが、先細りした表面などの他の包囲表面も考えられる代替案である。本体部材40は、歯肉の上でフィクスチャー4の歯冠側に延びる歯科用クラウン受入れ部分またはプロテーゼ受入れ部分48をさらに備える。本明細書で肩部52まで歯冠側に広がるものとして示す延長部分50は、歯肉を通って延びるものであり、フィクスチャー係合部分46とプロテーゼ受入れ部分48との間に設けられる。
【0092】
本明細書で径方向の突起60a〜60gとして示す7つのインデキシング要素60a〜60gが、フィクスチャー係合部分46の円柱形の包囲表面の円周方向に順次設けられる(図2Bも参照されたい)。フィクスチャー4内の径方向の凹部30a〜30gの分散と同様に、6つの等距離を隔てて分散された径方向の突起60a〜60e、60gが歯科用構成要素2上に位置し、第7の径方向の突起60fは、前記6つの等距離を隔てて分散された径方向の突起のうちの2つ(60e、60g)の間に介在する。この構成を用いると、第7の径方向の突起60fおよびその2つの隣接する径方向の突起60e、60gは、第7の径方向の凹部30fおよびその2つの隣接する凹部30e、30gに、1つの正しい方法でしか嵌合することができない。したがって、歯科用構成要素2を歯科用フィクスチャー4に対して連結することが可能な回転方向は1つしかない。
【0093】
これらの径方向の突起の4つは、第1のインデキシング要素60a〜60dと見なすことができ、それぞれ根尖端部を有する(図2では、インデキシング要素60dの根尖端部を参照番号62dで示す)。他の3つの径方向の突起60e〜60g、すなわち前記第7の径方向の突起60fおよびその2つの隣接する突起60e、60gは、第1のインデキシング要素60a〜60dの根尖端部の根尖側に位置する根尖端部62e〜62gを有する第2のインデキシング要素60e〜60gと見なすことができる。これにより、歯科医が歯科用構成要素2を歯科用フィクスチャー4に正しい回転方向で連結するのが容易になる。図1に示す例示的な実施形態とは反対に、この例示的な実施形態では、第1のインデキシング要素60a〜60dの数は、第2のインデキシング要素60e〜60gの数より大きい。フィクスチャー係合部分46の円周方向で、第1のインデキシング要素60a〜60dはそれぞれ、第2のインデキシング要素60e〜60gの位置とは異なる位置に位置する。したがって、第1のインデキシング要素60a〜60dはそれぞれ、第2のインデキシング要素60e〜60gのいずれとも円周方向に分離される。
【0094】
支台歯2の本体部材40がフィクスチャー4に連結されるとき、前記第2のインデキシング要素60e〜60gを形成する突起は、フィクスチャー4内のシェルフ32に接触することができる。前記第1のインデキシング要素60a〜60dを形成するこれらの突起は、シェルフ32から隔置されたままである。次いで、本体部材40は回転され、その結果、第2のインデキシング要素60e〜60gは、フィクスチャー4の指定の凹部30e〜30g内へ入り、すなわち第7の凹部30fおよびその2つの隣接する凹部30e、30g内へ入る。
【0095】
したがって、第2のインデキシング要素60e〜60gは、第4のインデキシング要素30e〜30gに相当する第7の凹部30fおよびその2つの隣接する凹部30e、30gに最初に係合し、その後、正しい回転位置をすでに見つけているので、歯科用構成要素2の第1のインデキシング要素60a〜60dは、歯科用フィクスチャー4の第3のインデキシング要素30a〜30d(他の4つの凹部30a〜30d)に係合することができる。
【0096】
歯科用構成要素2の7つのインデキシング要素60a〜60gのうちの単一のインデキシング要素(たとえば、60f)のみが、他の6つのインデキシング要素の根尖側に位置する根尖端部を有した場合、インデキシング要素60a〜60gのうちのその単一のインデキシング要素(たとえば、60f)は、フィクスチャー4の7つのインデキシング要素30a〜30gのいずれか1つに嵌合したはずである。しかし、フィクスチャーのそれらの7つのインデキシング要素30a〜30gのうちの1つ(この例では30f)だけが、歯科用構成要素の後続のインデキシング要素もフィクスチャー内の対応するインデキシング要素に嵌合することを可能にする正しいインデキシング要素である。歯科医が、7つの径方向に突出するインデキシング要素60a〜60gのうちの前記単一のインデキシング要素(たとえば、60f)を、6つの誤った径方向に凹みを付けたインデキシング要素(たとえば、30a〜30e、30g)のうちの1つに入れた場合、歯科用構成要素2の後続のインデキシング要素(たとえば、60a〜60e、60g)は、フィクスチャー4内の相手側インデキシング要素を見つけずにシェルフ32に当接するはずである。歯科医は、歯科用構成要素2を持ち上げて、フィクスチャー4に対する歯科用構成要素2の正しい回転方向を見つけることを再度試さなければならないはずである。7つのインデキシング要素(60a〜60g)のうちの別のインデキシング要素(たとえば、60g)に、他のインデキシング要素の根尖端部の根尖側に延びる根尖端部をさらに与えることによって、前記インデキシング要素(この例では60g)は、フィクスチャーのシェルフ32に接触し、それによって他のインデキシング要素(この例では60f)がフィクスチャー4内の誤った凹部に入るリスクが低減される。したがって、少なくとも1つの第1のインデキシング要素と、第1のインデキシング要素の根尖端部の根尖側に根尖端部を有する少なくとも2つの第2のインデキシング要素とを備える歯科用構成要素を有することで、第2のインデキシング要素がフィクスチャー内の誤った凹部に入るリスクが低減される。それにもかかわらず、歯科医が歯科用構成要素2をフィクスチャー4の方へわずかに傾斜した方向に動かした場合、前記第2のインデキシング要素の1つはやはり、フィクスチャー内の誤った凹部内へ到達する可能性があるが、他の第2のインデキシング要素がシェルフ32に接触してさらなる前進を防止するため、それほど深くまで入らない。第2のインデキシング要素が誤った凹部内へ深く入ることができないため、回転運動により、第2のインデキシング要素が容易に持ち上げられ、回転が継続された後、正しい位置が見つけられる。
【0097】
3つの径方向に突出する第2のインデキシング要素が、後続の第1のインデキシング要素より長い根尖方向の延長部を有することで、歯科用構成要素のインデキシング要素とフィクスチャーのインデキシング要素との正しい位置合わせがさらに容易になる。図2は、第1のインデキシング要素60a〜60dの2つ(60a、60d)の間に介在する3つの第2のインデキシング要素60e〜60gの有利な分散を示す。第2のインデキシング要素60e〜60gのうち、中間のインデキシング要素(60f)は、他の2つ(60e、60g)の第2のインデキシング要素がその両側に設けられているため、フィクスチャー4内の誤った凹部(30a〜30e、30g)に入ることができない。歯科用構成要素2がフィクスチャー4に連結されるとき、第2のインデキシング要素60e〜60gは、シェルフ32上に着く可能性が高く、したがって歯科医は歯科用構成要素2を正しい向きへ回転させる必要がある。そのような回転中、歯科医が歯科用構成要素2を絶対にまっすぐに保持しない限り、2つの外側の第2のインデキシング要素(60e、60g)の1つは、フィクスチャー内の誤った凹部内へ少しだけ落下することがある。落下は非常に小さいため、歯科医は、正しい位置合わせが見つかるまで、回転を容易に継続することができる。それにもかかわらず、歯科用構成要素のフィクスチャー係合部分46’を示す図3では、2つの外側の第2のインデキシング要素60’e、60’gのそれぞれが、第2のインデキシング要素の中間のインデキシング要素(60’f)から離れる方を向いた側面に、対応する斜面61’e、61’gを備える例示的な実施形態が示されている。そのような斜面61’e、61’gにより、外側の第2のインデキシング要素60’e、60’gの1つが誤った凹部内へわずかに落下した場合に、歯科医による回転運動の継続がさらに容易になる。図3では、2つのより短い第1のインデキシング要素60’a、60’dも見ることができる。また、第2のインデキシング要素60’e〜60’gの根尖端部は、図2のように歯科用構成要素の根尖端部と同一平面ではなく、代わりにそのやや歯冠側に位置することに留意されたい。
【0098】
図2Bの底面図に示すように、第1のインデキシング要素60a〜60dは、第2のインデキシング要素60e〜60gよりやや広い。しかし、歯科用フィクスチャー4では、第3および第4のインデキシング要素30a〜30gは、実質的に同じ幅を有する。これには、第2のインデキシング要素60e〜60gと第4のインデキシング要素30e〜30gとの間の幅の差がより大きいため、これらのインデキシング要素間に横方向の遊びが生じ、正しい回転方向を見つけるのが容易になるという効果がある。言い換えれば、径方向に突出する第2のインデキシング要素60e〜60gは、径方向に凹みを付ける第4のインデキシング要素30e〜30gに対して横方向/横断方向に寸法が小さいため、実質的に同じ寸法の場合より容易に定位置に入る。径方向に突出する第1のインデキシング要素60a〜60dは、寸法に関して、径方向に凹みを付ける第3のインデキシング要素30a〜30dにより密接に整合され、それによって起こりうる横方向の遊びが低減されるが、代わりに、歯科用フィクスチャー4に対する歯科用構成要素2の実質的に明確な回転位置が確保される。第2のインデキシング要素60e〜60gを第1のインデキシング要素60a〜60dより狭くするのではなく、これらのインデキシング要素を等しい幅にし、代わりに第4のインデキシング要素30e〜30gを第3のインデキシング要素30a〜30dより広くすることも選択肢であることを理解されたい。したがって、第2のインデキシング要素と第4のインデキシング要素との間の比較的大きい横方向の遊びは、歯科用構成要素および/または歯科用フィクスチャーの様々な設計で実現することができる。
【0099】
図2では、第2のインデキシング要素60e〜60gについて、本体部材40の根尖端部までずっと延びるものとして示したが、他の代替案も考えられる。たとえば、第2のインデキシング要素60e〜60gは、その根尖端部62e〜62gが第1のインデキシング要素60a〜60dの根尖端部の根尖側に位置する限り、やや短く延びることができ、またはより長く、すなわち本体部材の根尖端部を越えて延びることができる(たとえば、図2参照)。
【0100】
さらに、第2のインデキシング要素60e〜60gの歯冠方向の延長部もより短くすることができることに留意されたい。実際には、径方向に突出する第2のインデキシング要素60e〜60gが、径方向に凹みを付ける第4のインデキシング要素30e〜30gと連結されるように、第2のインデキシング要素60e〜60gは、本体部材40のフィクスチャー係合部分46の表面から突出する実質的に平坦な板として設計できることを理解されたい。平坦な板が関連する凹部30e〜30gによって受け入れられた後、後に続くインデキシング要素60a〜60d(すなわち、回転ロックを提供する目的を有する他の径方向の突起)を含む本体部材40全体が所望の方向に案内され、歯科用フィクスチャー4内への本体部材40の挿入が完了する。
【0101】
第2のインデキシング要素60e〜60gについて、図2では、第7の径方向の突起60fおよびその2つの隣接する径方向の突起60e、60gとして提示したが、他の代替案も可能であることにも留意されたい。たとえば、第7の径方向の突起60fおよび隣接していない突起(突起60a、60b、または60cなど)は、他の径方向の突起の根尖端部の根尖側に位置する根尖端部を有することもできる。これらの2つの径方向の突起が先導するものとなり、歯科用フィクスチャー4内の凹部間に設けられたシェルフ32に当接する最初の突起になるはずである。これらの突起は、第7の径方向の突起60fが第7の径方向の凹部30fと位置合わせされたときのみ、シェルフから落ちることができる。したがって、概括すると、少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、フィクスチャー係合部分の周りの第2のインデキシング要素の分散は、第1のインデキシング要素の分散に対して非対称である。言い換えれば、少なくとも1対の第2のインデキシング要素(たとえば、60f/60gまたは60f/60aまたは60f/60bの図示の位置に対応する)は、いずれの対の第1のインデキシング要素間の間隔とも異なる間隔で隔置される。
【0102】
図2および図2Cはまた、支台歯6の形態の別の歯科用構成要素6を示す。この支台歯6は、径方向の突起70の形態の6つの等しく寸法設定されて等距離を隔てて分散されたインデキシング要素を有する。第1の支台歯2とは異なり、この他の支台歯6には第7の突起がない。したがって、この他の支台歯6は、6つの異なる回転方向で歯科用フィクスチャー4に連結することができる。
【0103】
図4A〜4Eは、異なる例示的な実施形態による歯科用構成要素上の第1および第2のインデキシング要素の円周方向の分散を概略的に示す。図面から見ることはできないが、これらの例示的な実施形態のそれぞれで、第2のインデキシング要素はそれぞれ、第1のインデキシング要素の根尖端部の根尖側に位置する根尖端部を有する。
【0104】
図4Aで、歯科用構成要素は、1つの第1のインデキシング要素80と、2つの第2のインデキシング要素81a、81bとを備える。中心軸から前記第1のインデキシング要素80の中心までの半径r1と、中心軸から第2のインデキシング要素のうちの一方のインデキシング要素81aの中心までの半径r2とが、第1の角度θを形成する。中心軸から前記第2のインデキシング要素のうちの他方のインデキシング要素81bの中心までの半径r3と、中心軸から第1のインデキシング要素80の中心までの前記半径r1とが、第2の角度φを形成する。第2の角度φは、前記第1の角度θとは異なり、また前記第1の角度θの倍数であるいずれの角度とも異なる。言い換えれば、φ≠nθであり、ここでnは正の整数である。破線は、フィクスチャー内の受入れ側のインデキシング要素の輪郭を示す。理解されるように、フィクスチャー内のインデキシング要素のすべてを、歯科用構成要素のインデキシング要素が占めるとは限らない。非対称性のため、歯科用構成要素は、1つの正しい回転方向でしかフィクスチャーに嵌合することができない。
【0105】
図4Aに関連して、以下に留意されたい。第1のインデキシング要素80と第2のインデキシング要素のうちの一方のインデキシング要素81aとの位置を画成する角度θについて、180°であるものとして示す。歯科用構成要素が異なる方法で製造されるものとすると、第1のインデキシング要素80の位置と第2のインデキシング要素のうちの他方のインデキシング要素81bの位置とが入れ替わった場合、これらの2つの第2のインデキシング要素は、互いに対して180°離れて位置したはずである。歯科医が歯科用構成要素を90°誤って配置した場合、2つの反対側に位置する第2のインデキシング要素は、フィクスチャー内の受入れ側のインデキシング要素に入ることもできる。しかし、第1のインデキシング要素は、シェルフ上に着くはずである。歯科医は、歯科用構成要素を正しい位置へ回転させたいとき、平滑でない断続的な運動に直面する。しかし、図4Aの図示の構成では、第2のインデキシング要素81a、81bが非対称に配置されているため、位置特定プロセスははるかに平滑になる。第2のインデキシング要素のうちの一方がフィクスチャー内の誤ったインデキシング要素内へ挟まった場合でも、第2のインデキシング要素81a、81bはどちらも第1のインデキシング要素80の根尖端部の根尖側に位置する根尖端部を有するため、他方の第2のインデキシング要素が、一方の第2のインデキシング要素が深く入り込みすぎるのを防止する。
【0106】
図4Bの実施形態では、図4Aの実施形態と比較して、追加の第2のインデキシング要素81cが設けられる。これらの3つのインデキシング要素81a〜81cが、位置特定をさらに平滑にする。
【0107】
図4Cの実施形態では、歯科用構成要素は、5つの第1のインデキシング要素80a〜80eと、2つの第2のインデキシング要素81a、81bとを備える。5つの第1のインデキシング要素80a〜80eと、第2のインデキシング要素のうちの一方のインデキシング要素81aとは、60°の間隔で等距離を隔てて配置される。第2のインデキシング要素のうちの他方のインデキシング要素81bは、その隣接するインデキシング要素80e、81aから30°あけて介在して隔置される。前述の第1の角度θは、第1のインデキシング要素80a〜80eのうちのどのインデキシング要素が基準点として選択されるかに応じて、第2のインデキシング要素のうちの一方のインデキシング要素81aに対してn*60°の値を有し、ここでn=1、2、3、4、5である。図4Cでは、第1のインデキシング要素80bが選択され(n=2)、第1の角度θ=120°および第2の角度φ=150°である。
【0108】
図4Dの実施形態では、歯科用構成要素は、2つの第1のインデキシング要素80a、80bと、2つの第2のインデキシング要素81a、81bとを備える。前述の図とは異なり、図4Dでは、2つの第2のインデキシング要素81a、81bが互いに隣接していない。第1の角度θ=90°および第2の角度φ=225°である。したがって、この例示的な実施形態の場合でも、関係φ≠nθが有効である。
【0109】
図4Eでは、分散は図2の分散に対応し、したがって、4つの第1のインデキシング要素80a〜80dと、3つの第2のインデキシング要素81a〜81cとが設けられる。この分散は、図4Cの分散にも類似しているが、第1のインデキシング要素の1つが、ここでは第2のインデキシング要素に置き換えられている。第2のインデキシング要素81a〜81cは、第1のインデキシング要素80a〜80dより径方向に小さい寸法を有する。したがって、実質的に均等に凹部を付けたインデキシング要素を有するフィクスチャー内に配置されたとき、第2のインデキシング要素81a〜81cとフィクスチャー内の相手側インデキシング要素の壁との間には、第1のインデキシング要素80a〜80dと相手側インデキシング要素の壁との間の径方向のあらゆる遊びより径方向に大きい遊びが生じる。正しい回転位置が見つかった後、より大きい遊びにより、フィクスチャーの凹部を付けた相手側インデキシング要素内への第2のインデキシング要素81a〜81cの挿入が容易になる。
【0110】
図5は、少なくとも1つの例示的な実施形態による歯科用フィクスチャー304に連結されるドライバ302の形態の歯科用構成要素を示す。この例では、歯科用フィクスチャー304とドライバ302との間のインターフェースは、図2に示す歯科用フィクスチャー4と歯科用構成要素2との間のインターフェースに対応する。したがって、ドライバ302は、他の4つの径方向の突起(第1のインデキシング要素360c、360d;4つのうちの2つのみを図5に示す斜視図に見ることができる)の根尖端部(362c、362dのみを示す)の根尖側に位置する根尖端部362e〜362gを有する3つの径方向の突起(第2のインデキシング要素360e〜360g)を有する。フィクスチャーは、それぞれ第3および第4の相手側インデキシング要素を有する(この図では、1つの第3のインデキシング要素330bならびに2つの第4のインデキシング要素330fおよび330gのみを見ることができる)。したがって、図2の連結と同様に、ドライバ302は、フィクスチャー304に対して1つの回転方向にしか連結することができない。
【0111】
ドライバ302は、フィクスチャー304を顎骨内の貫通孔内へ回転駆動するために使用される。ドライバは、単独で使用できる部品として設計することができ、または別法として、ドライバはその歯冠端部で、ハンドル、レンチ(ラチェット・レンチなど)、動力駆動機械などに連結可能になるように設計することができる。
【0112】
ドライバ302は、本明細書で軸方向の線として示す視覚的に特徴的なマーキング380を備え、特徴的なマーキング380は、ドライバ302のフィクスチャー係合部分346に位置する中間の第2のインデキシング要素360fと位置合わせされる。特徴的なマーキング380は、ドライバ302の残り部分とは異なる色を有することができ、異なるテキスチャを有することができ、もしくはわずかに膨らませることができ、またはドライバの残り部分と比較して任意の他の適切な目に見える特徴を有することができる。
【0113】
ドライバ302は、フィクスチャー304に対して単一の回転割出し位置にしか位置することができず、これは、ドライバ302がそのようなフィクスチャー304に係合するたびに、フィクスチャー304に対する特徴的なマーキング380の回転位置が常に同じになることを意味する。したがって、マーキング380によって設けられる軸方向の線を見ることによって、使用者は、顎骨内のフィクスチャー304の回転位置を推定することができる。これにより、歯科用フィクスチャー304が骨の中へ挿入される前でも、手術および研究手順の事前の計画および設計が可能になる。たとえば、歯のない箇所の走査を行うことができ、支台歯がフィクスチャー304および周囲の組織に対して特定の向きを有し、したがってフィクスチャー304が顎骨内で特定の向きを有する特定の患者向けの完全なインプラントを設計することができる。
【0114】
図5に示すドライバ302などのドライバは、他の歯科用フィクスチャーとともに適宜使用することができる。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、ドライバは、平坦でない歯冠端部部分を有する歯科用フィクスチャーに連結されるように適合される。たとえば、フィクスチャーは、傾斜した歯冠端部部分を有することができ、フィクスチャーの長さは、顎骨の輪郭に整合するように、頬側より舌側で大きい。顎骨内のフィクスチャーの設置中、ドライバの特徴的なマーキングは、フィクスチャーの歯冠端部部分がどの方向に傾斜しているかを歯科医に示し、したがって歯科医がフィクスチャーの傾斜と顎骨の傾斜とを正確に位置合わせするために適切な調整を行うことを可能にする。
【0115】
図面では、径方向の突起の形態のインデキシング要素を備える歯科用構成要素と、径方向の凹部の形態のインデキシング要素を備える歯科用フィクスチャーとを示したが、他の実施形態では、代わりに、歯科用構成要素のインデキシング要素を径方向の凹部にすることができ、フィクスチャーのインデキシング要素を径方向の突起にすることができることを理解されたい。
【0116】
さらに、図面では、フィクスチャーのソケット(メスの構成要素として働く)内へ挿入されるフィクスチャー係合部分を有するオスの構成要素として歯科用構成要素を示したが、他の実施形態も考えられる。たとえば、フィクスチャーは頂上部分を有することができ、この頂上部分は、骨の隆線を越えて延びるように適宜適合することができ、歯科用構成要素の根尖端部は、歯科用構成要素内へ歯冠側に延びるソケットを備えることができ、それによってソケットは、頂上部分上へ配置されるものとする。また、そのような構成要素/フィクスチャーのインターフェースに対して、径方向に突出するまたは凹みを付けるインデキシング要素を設けることができる。
【0117】
インデキシング要素について、細長い径方向の突起および凹部として示したが、他の実施形態では細長くないこともある。さらに、インデキシング要素の横断面は、曲線、三角形、方形、台形、または任意の他の規則的もしくは不規則な形状など、任意の適した形状とすることができる。
【0118】
歯科用構成要素内のインデキシング要素の数は、歯科用フィクスチャー内のインデキシング要素の数に必ずしも等しくしなければならないとは限らないことにも留意されたい。たとえば、図1では、回転ロックの効果がやや弱くなるが、第1のインデキシング要素を形成する径方向の突起の1つを除去することもできる。
図1A
図1B
図1C
図2A-2C】
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5